説明

空気調和装置の室外機及びこれに用いる閉鎖弁用の支持部材

【課題】閉鎖弁に接続される冷媒配管の配索経路を簡素化することができるとともに、閉鎖弁の操作ポートの操作性を向上させることができる空気調和装置の室外機を提供する。
【解決手段】本発明の室外機は、ケーシング5と、このケーシング5内に配置された圧縮機11と、ケーシング5の側面に沿って配置された熱交換器13と、この熱交換器13の一方の側端部35aに接続される液側閉鎖弁19と、圧縮機11の吐出側又は吸入側に接続されるガス側閉鎖弁18と、これらガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁19を支持する支持部材37と、を備え、支持部材37は、液側閉鎖弁19をガス側閉鎖弁18よりも熱交換器13の前記側端部35aに近接するケーシング5の側壁に近づけて支持し、かつ液側閉鎖弁19の前端に設けられた操作ポート64をガス側閉鎖弁18の前端に設けられた操作ポート54よりも前方に位置させて支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外機及びこれに用いる閉鎖弁用の支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル等の建物や一般の住宅において利用される空気調和装置として、室内機と室外機とを備えたセパレートタイプのものが広く普及している。この空気調和装置には、室外機と室内機とにわたって冷媒回路が設けられており、室外機における冷媒回路の末端には、室内機からの冷媒配管を接続するための閉鎖弁が設けられている。この閉鎖弁は、ガス状冷媒が流れる冷媒配管を接続するためのガス側閉鎖弁と、液状冷媒が流れる冷媒配管を接続するための液側閉鎖弁とからなり、空気調和装置を設置する際に、室内機からの冷媒配管を接続したあとに閉から開へ切り替えることによって、室外機と室内機との間の冷媒の流通を可能にする。
また、下記特許文献1には、室外機における閉鎖弁の取付構造が開示されている。この閉鎖弁の取付構造は、ガス側閉鎖弁と液側閉鎖弁とをほぼ横並びの状態で支持する支持部材を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−147247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の室外機には、水平断面が矩形状のケーシングの3つの側壁に沿って平面視コの字形状に形成された熱交換器が設けられている。この熱交換器の一方の側端部には冷媒配管が接続され、他方の側端部には冷媒を流動させる伝熱管がU字状に折り返されている。また、液側閉鎖弁は、室外膨張弁を経て熱交換器の一方の側端部に接続されるが、ガス側閉鎖弁は、四路切換弁、アキュムレータ、圧縮機、オイルセパレータ等の多くの機器を経たのちに熱交換器の一方の側端部に接続される。
【0005】
そして、特許文献1の室外機は、ガス側閉鎖弁が液側閉鎖弁よりも熱交換器の前記一方の側端部の近くに配置されているので、液側閉鎖弁と熱交換器の前記一方の側端部とを接続する冷媒配管と、ガス側閉鎖弁と圧縮機等を接続する冷媒配管とが交差する関係となり、冷媒配管の配索経路が複雑となっていた。
【0006】
このような不都合を解消するため、ガス側閉鎖弁よりも液側閉鎖弁を熱交換器の前記一方の側端部の近くに配置することが考えられるが、この場合、次のような弊害がある。
すなわち、液側閉鎖弁を熱交換器の一方の側端部に近づけると、この側端部に隣接するケーシングの側壁に液側閉鎖弁が接近するため、スパナ等の工具を使用して液側閉鎖弁の先端の操作ポートを操作するときに当該側壁が邪魔になる。さらに、特許文献1の支持部材は、液側閉鎖弁とガス側閉鎖弁とをほぼ横並びの状態で支持しているが、通常、液側閉鎖弁はガス側閉鎖弁よりも小さいため、その操作ポートがガス側閉鎖弁の操作ポートよりも後退して配置される。そのため、工具を使用して液側閉鎖弁の操作ポートを操作するときに、ケーシングの側壁だけでなくガス側閉鎖弁も邪魔になり、操作性が著しく阻害される。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、閉鎖弁に接続される冷媒配管の配索経路を簡素化することができるとともに、閉鎖弁の操作ポートの操作性を向上させることができる空気調和装置の室外機及び閉鎖弁用の支持部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、ケーシングと、このケーシング内に配置された圧縮機と、前記ケーシングの側面に沿って配置された熱交換器と、この熱交換器の一方の側端部に接続される液側閉鎖弁と、前記圧縮機の吐出側又は吸入側に接続されるガス側閉鎖弁と、これらガス側閉鎖弁及び液側閉鎖弁を支持する支持部材と、を備えている室外機であって、
前記支持部材は、前記液側閉鎖弁を前記ガス側閉鎖弁よりも前記熱交換器の前記側端部に近接する前記ケーシングの側壁に近づけて支持し、かつ前記液側閉鎖弁の前端に設けられた操作ポートを前記ガス側閉鎖弁の前端に設けられた操作ポートよりも前方に位置させて支持していることを特徴とする。
【0009】
本発明の室外機によれば、液側閉鎖弁がガス側閉鎖弁よりも熱交換器の一方の側端部に近接するケーシングの側壁に近づけた状態で支持部材によって支持されるので、液側閉鎖弁と熱交換器の一方の側端部とを接続する冷媒配管と、ガス側閉鎖弁と圧縮機とを接続する冷媒配管とが交差するのを防止し、冷媒配管の配索経路を簡素化することができる。さらに、液側閉鎖弁及びガス側閉鎖弁は、液側閉鎖弁の操作ポートをガス側閉鎖弁の操作ポートよりも前方に位置させた状態で支持部材によって支持されるので、液側閉鎖弁の操作ポートを操作するときにガス側閉鎖弁が邪魔になるのを防止することができる。
【0010】
(2)前記支持部材は、前記ケーシングに取り付けられる取付部と、この取付部とは別体で形成されて当該取付部に連結され、前記ガス側閉鎖弁及び前記液側閉鎖弁を支持する支持部と、を有していることが好ましい。
この構成によれば、支持部材の支持部が取付部とは別体で形成されるので、液側閉鎖弁の操作ポートをガス側閉鎖弁の操作ポートよりも前方に配置するという特殊な形状を支持部単独で容易に形成することが可能となる。また、取付部については異なる型式の室外機間で共用し、支持部については機種毎の機器の配置等に応じて個別に形成することができる。
【0011】
(3)前記取付部には、前記支持部に支持された閉鎖弁に接続される冷媒配管との干渉を避ける回避凹部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、取付部と支持部とを別体で形成してこれらを連結したとしても、支持部に支持された閉鎖弁に対する冷媒配管の接続に支障が生じるのを防止することができる。
【0012】
(4)本発明は、室外機に設けられたガス側閉鎖弁及び液側冷媒配管を支持する支持部材であって、
前記液側閉鎖弁の前端に設けられた操作ポートを前記ガス側閉鎖弁の前端に設けられた操作ポートよりも前方に位置させて支持する支持部を備えていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、液側閉鎖弁の操作ポートを操作するときにガス側閉鎖弁が邪魔になるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、閉鎖弁に接続される冷媒配管の配索経路を簡素化することができるとともに、液側閉鎖弁の操作ポートの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る室外機を有する空気調和装置の冷媒回路を示す模式図である。
【図2】室外機の外観を示す斜視図である。
【図3】室外機の側面パネル及び天板を取り外した状態を示す概略的な正面図である。
【図4】室外機の内部の平面図である。
【図5】閉鎖弁用の支持部材を示す分解斜視図である。
【図6】支持部材の上部を示す正面図である。
【図7】支持部材の平面図である。
【図8】ガス側閉鎖弁を示す側面図である。
【図9】液側閉鎖弁を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の一実施の形態に係る室外機を有する空気調和装置の冷媒回路を示す模式図である。
空気調和装置1は、例えばビル用のマルチタイプの空気調和装置であり、1つ又は複数の室外機2に対して複数の室内機3が並列に接続され、これらの間で冷媒を流通することができるように、冷媒回路10が形成されている。
【0017】
室外機2には、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、室外膨張弁14、アキュムレータ20、オイルセパレータ21等が設けられ、これらは冷媒配管によって接続されている。また、室外機2には、送風ファン23が設けられている。室内機3には、室内膨張弁15および室内熱交換器16等が設けられている。四路切換弁12と室内熱交換器16とはガス側冷媒連絡配管17aにより接続され、室外膨張弁14と室内膨張弁15とは液側冷媒連絡配管17bにより接続されている。室外機2の内部冷媒回路の端末部には、ガス側閉鎖弁18と液側閉鎖弁19とが設けられている。ガス側閉鎖弁18は四路切換弁12側に配置されており、液側閉鎖弁19は室外膨張弁14側に配置されている。ガス側閉鎖弁18にはガス側冷媒連絡配管17aが接続され、液側閉鎖弁19には液側冷媒連絡配管17bが接続される。
【0018】
上記構成の空気調和装置1において、冷房運転を行う場合には、四路切換弁12が図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、オイルセパレータ21及び四路切換弁12を経て室外熱交換器13に流入し、送風ファン23の作動により室外空気と熱交換して凝縮・液化する。液化した冷媒は、全開状態の室外膨張弁14を通過し、液側冷媒連絡配管17bを通って各室内機3に流入する。室内機3において、冷媒は、室内膨張弁15で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器16で室内空気と熱交換して蒸発する。そして、冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、図示しない室内ファンによって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。また、室内熱交換器16で蒸発して気化した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管17aを通って室外機2に戻り、四路切換弁12及びアキュムレータ20を経て圧縮機11に吸い込まれる。
【0019】
他方、暖房運転を行う場合には、四路切換弁12が図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、オイルセパレータ21及び四路切換弁12を経て各室内機3の室内熱交換器16に流入し、室内空気と熱交換して凝縮・液化する。冷媒の凝縮によって加熱された室内空気は、室内ファンによって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器16において液化した冷媒は、全開状態の室内膨張弁15から液側冷媒連絡配管17bを通って室外機2に戻る。室外機2に戻った冷媒は、室外膨張弁14で所定の低圧に減圧され、さらに室外熱交換器13で室外空気と熱交換して蒸発する。そして、室外熱交換器13で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁12及びアキュムレータ20を経て圧縮機11に吸い込まれる。
【0020】
図2は、室外機の外観を示す斜視図、図3は、室外機の側面パネル及び天板を取り外した状態を示す概略的な正面図である。また、図4は、室外機の内部の平面図である。
本実施の形態の室外機2は、所謂、上吹き出しタイプの室外機とされており、室外機本体(ケーシング)5と、この室外機本体5に内蔵された室外熱交換器13、圧縮機11、四路切換弁12、アキュムレータ20、オイルセパレータ21等の冷媒回路10(図1参照)を構成する機器と、電装品ユニット38と、室外機本体5の上部に設けられた送風ファン23等を備えている。
【0021】
そして、室外機2は、送風ファン23の駆動によって室外機本体5の側面から空気を吸い込み、室外熱交換器13との間で熱交換を行った後に室外機本体5の上部から上方へ空気を吹き出すように構成されている。
【0022】
図2及び図3に示されるように、室外機本体5は、略直方体形状に形成されており、底フレーム26、支柱27、梁部材28、下側面パネル29A,29B、上側面パネル25、天板24等を有している。底フレーム26は、平面視で四角形状に形成されている。また、底フレーム26の前後2辺には、地面に接地する脚部26aが設けられている。支柱27は、断面形状が略L字状で上下方向に長い長尺部材からなり、底フレーム26の4隅にボルト等によって取り付けられている。
【0023】
図2に示されるように、天板24は、底フレーム26と略同一の平面視で四角形状に形成され、底フレーム26の上方に間隔をあけて配置されている。天板24の四隅には、各支柱27の上端がボルト等の連結具によって連結されている。天板24には、略四角形状の通風口24aが形成されており、この通風口24aには異物の侵入を防止するための網体24bが設けられている。
【0024】
図3に示されるように、梁部材28は、支柱27の上部側であって、天板24(図2参照)から下方に所定の間隔をあけた位置に配置され、前後左右に隣接する支柱27の間に架設されている。そして、室外機本体5は、底フレーム26、天板24、支柱27、梁部材28等からなる構造部材によって骨格が形成されている。
梁部材28には、ベルマウス30が取り付けられている。このベルマウス30は、送風ファン23の外周部を囲う円筒形状の通風ガイド(通風部材)30aを有している。
【0025】
図2に示されるように、梁部材28と天板24との間に位置する室外機本体5の4つの側面には上側面パネル25が設けられている。図3に示される送風ファン23、ベルマウス30、及び電装品ユニット38の上部は、上側面パネル25や天板24によって覆われることで、外部に露出しないように構成されている。
【0026】
図4に示されるように、室外機本体5の底フレーム26の上面には、室外熱交換器13、圧縮機11、アキュムレータ20、オイルセパレータ21、四路切換弁12等の機器が搭載されている。室外熱交換器13は、クロスフィンコイル式であり、アルミニウム製の多数のフィンを伝熱管が水平に貫通し、伝熱管を流れる冷媒と室外熱交換器13を流通する空気との間で熱交換を行うように構成されている。
【0027】
室外熱交換器13は、室外機本体5の1つの角部(左前側の角部)5Aを除く範囲で4つの側面に対向(対応)し、かつ4つの側面に沿って略四角形状に屈曲されている。具体的に、室外熱交換器13は、室外機本体5の前側の側面(前面)に沿う前熱交換部32と、右側の側面に沿う右熱交換部33と、後側の側面(後面)に沿う後熱交換部34と、左側の側面に沿う左熱交換部35とを有している。そして、前熱交換部32と右熱交換部33との間、右熱交換部33と後熱交換部34との間、及び後熱交換部34と左熱交換部35との間が略90度に屈曲されている。なお、室外熱交換器13の各熱交換部32〜35は、室外機本体5の側面に対して必ずしも平行に対向していなくてもよく、傾斜した状態で対向していてもよい。また、本明細書において、室外機本体5の側面とは、外部に向いた実体的な側面、例えば、前述の上側面パネル25や後述する下側面パネル29A,29B、室外熱交換器13の外側面を覆う格子状の枠やパネルによって規定されるものであってもよいし、このような側面パネル25,29A,29B等を備えていない場合には、底フレーム26の4辺をそのまま上方に延長した仮想の面によって規定されてもよい。
【0028】
図4に示されるように、前熱交換部32の左側端部32aと、左熱交換部35の前側端部35aとの間は、開口部36とされている。本実施の形態では、開口部36が、左前側に配置された支柱27によって2つに分けられており、以下の説明においては、室外機2の前面に配置された開口部36を前開口部36Aといい、左側面に配置された開口部36を左開口部36Bという。
【0029】
また、室外機本体5は、室外熱交換器13の一の側端部32aと支柱27との間、及びこの支柱27と室外熱交換器13の他の側端部35aとの間に、それぞれ下側面パネル(側壁)29A,29Bを着脱可能に備えており(図2参照)、この下側面パネル29A,29Bによって前開口部36A及び左開口部36Bがそれぞれ閉鎖されている。なお、図示はしていないが、室外機本体5の側面における室外熱交換器13が配置された部分には、空気の流通が可能な格子状の枠やパネルが取り付けられていてもよい。
【0030】
図4に示されるように、閉鎖弁18,19は、室外機本体5の前開口部36Aに向くように支持部材37を介して支持されている。また、圧縮機11は、前開口部36Aの右側寄りに配置され、前開口部36Aを介して前方から略全体を視認できる位置に配置される。また、底フレーム26上のアキュムレータ20やオイルセパレータ21は室外機本体5内の後部側に配置されている。
【0031】
図3に示されるように、電装品ユニット38は、室外機2全体を制御するための制御基板、圧縮機11や送風ファン23を駆動するための駆動基板(インバータ基板)、リアクタ、端子台等の電気部品と、これら電気部品を収容する電装品箱とを備えている。また、電装品ユニット38は、上下方向に細長く形成されるとともに、室外機本体5における1つの角部5A、すなわち、室外熱交換器13が配置されていない室外機本体5の角部5Aに対応して配置され、梁部材28を上下方向に跨いでいる。この電装品ユニット38の下方に支持部材37によって支持された閉鎖弁18,19が配置されている。
【0032】
図8は、ガス側閉鎖弁を示す側面図であり、図9は、液側閉鎖弁を示す側面図である。
図8に示されるように、ガス側閉鎖弁18は、略十字形状の流路が形成されたハウジング50を有している。このハウジング50の上部にはサービスポート51が形成されている。サービスポート51は、冷媒の封入や真空引き等を行うために使用される。ハウジング50の下部には、室内機3側からのガス側冷媒連絡配管17a(図1参照)を接続させる接続配管52が下方に延伸して設けられている。ハウジング50の後端には四路切換弁12を介して圧縮機11に繋がる冷媒配管55が接続されている。また、ハウジング50の後部には支持部材37に対してガス側閉鎖弁18を固定するためのフランジ部53が設けられている。ハウジング50の前端には、ガス側閉鎖弁18を開閉操作するための操作ポート54が設けられている。この操作ポート54は、ガス側閉鎖弁18の軸線(操作ポート54の中心線)X1に沿って移動可能な弁体54aと、この弁体54aの操作端(前端)を塞ぐ着脱可能なナット型のキャップ54bとを備えている。なお、ガス側閉鎖弁18は、その軸線X1が室外機本体5の前後方向に沿うように配置されている。
【0033】
図9に示されるように、液側閉鎖弁19もガス側閉鎖弁18と略同一構成のハウジング60、サービスポート61、接続配管62、フランジ部63、操作ポート64を有している。また、操作ポート64は、液側閉鎖弁19の軸線(操作ポート64の中心線)X2に沿って移動可能な弁体64aと、この弁体64aの操作端(前端)を塞ぐ着脱可能なナット型のキャップ64bとを備えている。ただし、液側閉鎖弁19は、ガス側閉鎖弁18よりも小型であり、特に、フランジ部63から操作ポート64の先端までの前後方向の長さL2が、ガス側閉鎖弁18のフランジ部53から操作ポート54の先端までの前後方向の長さL1(図8参照)よりも小さくなっている。液側閉鎖弁19のハウジング60の後端には、室外膨張弁14を介して室外熱交換器13に繋がる冷媒配管65が接続されている。なお、液側閉鎖弁19は、その軸線X2が室外機本体5の前後方向に沿うように配置されており、ガス側閉鎖弁18の軸線X1に対して平行に配置されている。
【0034】
図4に示されるように、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁19を支持する支持部材37は、室外機本体5の前面に設けられた下側面パネル29Aのやや後側に配置され、ガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁19を室外機本体5の正面に向けた状態で支持している。従って、下側面パネル29Aを取り外すことによって前開口部36Aからガス側閉鎖弁18及び液側閉鎖弁19の前端の操作ポート54,64を操作することが可能となっている。
【0035】
また、支持部材37は、室外機本体5の左側面に設けられた下側面パネル29Bの近傍に配置されている。この左側の下側面パネル29Bは、室外熱交換器13の一方の側端部(左熱交換部35の前端部)35aに近接して配置されている。そして、支持部材37は、液側閉鎖弁19を左側に、ガス側閉鎖弁18を右側に配置した状態でこれらを並べて支持している。したがって、液側閉鎖弁19は、ガス側閉鎖弁18よりも室外熱交換器13の一方の側端部35a及び左側の下側面パネル29Bの近くに配置される。
【0036】
ここで、図4に点線矢印a,bで示すように、液側閉鎖弁19は、室外熱交換器13の一方の側端部35aに対して室外膨張弁14(図1参照)を介してほぼ直接的に冷媒配管65によって接続されるが、ガス側閉鎖弁18は、室外熱交換器13の一方の側端部35aに直接的に接続されず、冷媒配管55によって四路切換弁12を介して圧縮機11に接続される。そのため、冷媒配管55と冷媒配管65とが交差した関係にならず、これら冷媒配管55,65の配索経路を簡素化することが可能となっている。
【0037】
図5は、閉鎖弁用の支持部材を示す分解斜視図、図6は、支持部材の上部を示す正面図、図7は、支持部材の平面図である。
支持部材37は、支持部70と取付部80とを備えており、これらは別部材によって構成され、互いに連結されることによって一体化されている。支持部70及び取付部80ともに、金属製の板材を折曲加工することによって構成されている。
【0038】
取付部80は、室外機本体5の底フレーム26の固定される固定板81と、固定板81の前端から上方へ立ち上がる取付板82とからなる。取付板82は、室外機本体5の前面に対して概ね平行に配置され、その上部82a側が下部82b側よりも前方へ張り出した形状となっている。支持部材37の上部82aと下部82bとの間には前斜め上方へ向けて傾斜する傾斜部82cが設けられている。また、取付板82の外周には、縁部83が後方へ折曲して設けられている。取付板82の上部82aの左右両側に配置された縁部83には、雌ねじ孔84が形成されている。また、取付板82のやや左側には、上端から下方へ延びる回避凹部85が形成されている。この回避凹部85について後述する。
【0039】
支持部材37の支持部70は、ガス側閉鎖弁18を支持するためのガス側支持板71と、液側閉鎖弁19を支持するための液側支持板72とを一体に備えている。ガス側支持板71は、室外機本体5の前面に対して平行に配置される板材からなり、ガス側閉鎖弁18を配置するための配置凹部71aが上端から下方に向けて形成されている。配置凹部71aの両側には、雌ねじ孔71bが形成されている。
【0040】
液側支持板72も、室外機本体5の前面に対して平行に配置される板材からなり、液側閉鎖弁19を配置するための配置凹部72aが上端から下方に向けて形成されている。この配置凹部72aの左右両側にも、雌ねじ孔72bが形成されている。
液側支持板72は、ガス側支持板71よりも前側に配置されており、両者の間には前後方向に沿って配置された連結板73が設けられている。また、ガス側支持板71の右端部、及び液側支持板72の左端部には、後方へ折曲された取付板74が設けられている。この取付板74の下部には、ボルト挿通孔75が形成され、このボルト挿通孔75に挿通されたボルト90(図6参照)を取付部80の雌ねじ孔84に螺合することによって、支持部70が取付部80に連結される。
【0041】
図6及び図7に示されるように、ガス側閉鎖弁18は、ハウジング50の後部がガス側支持板71の配置凹部71a内に配置され、フランジ部53が雌ねじ孔71bに螺合された取付ボルト91によってガス側支持板71に固定される。同様に、液側閉鎖弁19は、ハウジング60の後部が液側支持板72の配置凹部72a内に配置され、フランジ部63が雌ねじ孔72bに螺合される取付ボルト91によって液側支持板72に固定される。
【0042】
そして、図7に示されるように、液側閉鎖弁19は、フランジ部63から操作ポート64の前端までの長さL2が、ガス側閉鎖弁18のフランジ部53から操作ポート54の前端までの長さL1よりも長く形成されているが、液側支持板72がガス側支持板71よりも前側に配置されているため、液側閉鎖弁19の操作ポート64がガス側閉鎖弁18の操作ポート54よりも寸法L3だけ前側に配置されている。そのため、スパナ等の工具を用いて液側閉鎖弁19の操作ポート64を操作する際に、ガス側閉鎖弁18が邪魔になることはなく、その操作性を確保することができる。
【0043】
すなわち、上述したように、液側閉鎖弁19は、ガス側閉鎖弁18よりも室外熱交換器13の一方の側端部35a(図4参照)に近接する下側面パネル(側壁)29Bの近くに配置されることによって、液側閉鎖弁19と当該側端部35aとを接続する冷媒配管65と、ガス側閉鎖弁18と圧縮機11等を接続する冷媒配管55とが交差するのを防止し、冷媒配管55,65の配索経路の簡素化を可能にしているが、液側閉鎖弁19の左側に下側面パネル29Bが接近しているので、液側閉鎖弁19の操作ポート64を操作する際に下側面パネル29Bが邪魔になる可能性がある。しかしながら、液側閉鎖弁19の操作ポート64は、ガス側閉鎖弁18の操作ポート54よりも前側に配置され、これによって液側閉鎖弁19の操作ポート64の右側が開放されているので、その操作性を十分に確保することができる。
【0044】
一方、ガス側閉鎖弁18の操作ポート54は、液側閉鎖弁19の操作ポート64よりも後退しているが、下側面パネル29Bから離れており、かつ液側閉鎖弁19の右側は開放されているため、当該操作ポート54の操作性も十分に確保することができる。
また、図6に示されるように、液側閉鎖弁19は、ガス側閉鎖弁18よりもやや上側へずれた位置に配置されており、これによって液側閉鎖弁19の操作ポート64をより操作し易くすることができる。
【0045】
支持部材37は、支持部70と取付部80との2部材から構成されているので、液側閉鎖弁19の操作ポート64をガス側閉鎖弁18の操作ポート54よりも前側に配置するという特殊な支持構造を支持部70のみによって実現することができ、取付部80は、底フレーム26への固定と支持部70との連結のみを考慮した構造とすればよい。そのため、取付部80については、他の型式の室外機との間で部品を容易に共用することができ、支持部70のみを室外機の型式毎に適切な形状に形成することが可能となる。
【0046】
また、図9に示されるように、支持部70の液側支持板72は、取付部80の取付板82よりも前側に突出して配置されているため、液側閉鎖弁19の後端に接続される冷媒配管65が取付板82に干渉するおそれがあるが、取付部80の取付板82には回避凹部85が形成されているので、冷媒配管65と取付板82との干渉を好適に防止することができる。
【0047】
本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、適宜変更することが可能である。
例えば、上記実施の形態においては、支持部材37が、室外機本体5の前面(前側の下側面パネル29A)に対して平行に配置されていたが、右側又は左側に若干傾斜した状態で配置されていてもよい。この場合、液側閉鎖弁19の操作ポート64は、その軸線X2に沿った方向を前後方向としてガス側閉鎖弁18の操作ポート54よりも前側に位置していればよい。
【0048】
上記実施形態では、室外熱交換13が、室外機本体5の4つの側面に沿うように形成されていたが、室外機本体5の3つの側面に沿ってコの字形状に形成されていてもよい。また、本発明は、四路切換弁を備えていない冷房専用又は暖房専用の空気調和装置の室外機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 空気調和装置
2 室外機
5 室外機本体(ケーシング)
11 圧縮機
13 室外熱交換器
18 ガス側閉鎖弁
19 液側閉鎖弁
35a 熱交換器の一方の側端部
37 支持部材
54 操作ポート
64 操作ポート
65 冷媒配管
70 支持部
80 支持部
85 回避凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング(5)と、このケーシング(5)内に配置された圧縮機(11)と、前記ケーシング(5)の側面に沿って配置された熱交換器(13)と、この熱交換器(13)の一方の側端部(35a)に接続される液側閉鎖弁(19)と、前記圧縮機(11)の吐出側又は吸入側に接続されるガス側閉鎖弁(18)と、これらガス側閉鎖弁(18)及び液側閉鎖弁(19)を支持する支持部材(37)と、を備えている室外機であって、
前記支持部材(37)は、前記液側閉鎖弁(19)を前記ガス側閉鎖弁(18)よりも前記熱交換器(13)の前記側端部(35a)に近接する前記ケーシング(5)の側壁に近づけて支持し、かつ前記液側閉鎖弁(19)の前端に設けられた操作ポート(64)を前記ガス側閉鎖弁(18)の前端に設けられた操作ポート(54)よりも前方に位置させて支持していることを特徴とする空気調和装置の室外機。
【請求項2】
前記支持部材(37)は、前記ケーシング(5)に取り付けられる取付部(80)と、この取付部(80)とは別体で形成されて当該取付部(80)に連結され、前記ガス側閉鎖弁(18)及び前記液側閉鎖弁(19)を支持する支持部(70)と、を有している請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項3】
前記取付部(80)には、前記支持部(70)に支持された閉鎖弁(19)に接続される冷媒配管(65)との干渉を避ける回避凹部(85)が形成されている、請求項2に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項4】
空気調和装置(1)の室外機(2)に設けられたガス側閉鎖弁(18)及び液側冷媒配管(19)を支持する支持部材であって、
前記液側閉鎖弁(19)の前端に設けられた操作ポート(64)を前記ガス側閉鎖弁(18)の前端に設けられた操作ポート(54)よりも前方に位置させて支持する支持部(70)を備えていることを特徴とする閉鎖弁用の支持部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−113558(P2013−113558A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262462(P2011−262462)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】