説明

空気調和装置の室外機

【課題】発熱部品による熱が他の電装品に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる空気調和装置の室外機を提供する。
【解決手段】空気調和装置の電装品ユニット5は、ケーシング2と、仕切板26と、第1制御基板51と、放熱フィン7とを備える。ケーシング2は、略直方体の形状を有する。仕切板26は、ケーシング2の内部を送風室Sq2と機械室Sq1とに分割するように、略鉛直に延びている。第1制御基板51は、機械室Sq1に設けられ、ケーシング2の略正面に沿って略鉛直方向に延びており、発熱部品を含む電装品が実装されている。放熱フィン7は、第1制御基板51のうち発熱部品に近接して配置され、発熱部品により発せられた熱を放出する。そして、ケーシング2には、外気を取り入れるための外気取り込み用開口22aが、放熱フィン7に対応する位置より下部に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和装置の室外機には、特許文献1に開示されているように、略直方体の形状を有するケーシングが、鉛直方向に延びる仕切板によって機械室と送風室とに分けられているものがある。送風室には、2つのファンが上下方向に並んで配置され、機械室には、圧縮機及び電装品ユニットが設置される。特に、機械室における電装品ユニットは、圧縮機の上方に設置される。そして、この電装品ユニットは、ファンモータや圧縮機用モータの制御回路を構成する電装品が実装されたモータ制御用基板や、各種配線が接続される端子台を有している。尚、モータ制御用基板は、仕切板に沿うようにして配置されている。
【特許文献1】特開2008−138941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年の室外機には、上述したモータ制御用基板に加え、ファンや圧縮機以外の空気調和装置の構成機器を制御するための他制御用基板が更に設けられる場合がある。この他制御用基板には、発熱部品を含む電装品が実装されており、モータ制御用基板のように電装品ユニット内に設けられる。
【0004】
しかしながら、ケーシング内部のスペースの都合上、他制御用基板は、既に述べたモータ制御用基板のように仕切板に沿って配置されるのではなく、ケーシングの正面に沿うようにして配置される場合がある。すると、他制御用基板に実装されている発熱部品によって発熱された熱が機械室内部にこもってしまい、他の電装品に悪影響を及ぼす恐れがある。
【0005】
そこで、本発明は、発熱部品による熱が他の電装品に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる空気調和装置の室外機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る空気調和装置の室外機は、ケーシングと、仕切板と、制御基板と、放熱フィンとを備える。ケーシングは、略直方体の形状を有する。仕切板は、ケーシングの内部を送風室と機械室とに分割するように、略鉛直に延びている。制御基板は、機械室に設けられ、ケーシングの略正面に沿って略鉛直方向に延びており、発熱部品を含む電装品が実装されている。放熱フィンは、制御基板のうち発熱部品に近接して配置され、発熱部品により発せられた熱を放出する。そして、ケーシングには、外気を取り入れるための第1開口が、放熱フィンに対応する位置より下部に形成されている。
【0007】
この空気調和装置の室外機によると、発熱部品が実装された制御基板は、ケーシングの略正面に沿うようにして配置されており、放熱フィンは、発熱部品の近傍に配置されている。そして、ケーシングには、放熱フィンに対応する位置よりも低い高さ位置に第1開口が形成されている。これにより、発熱部品によって発せられた熱は、放熱フィンによって放熱されるが、この熱は、第1開口からケーシング内部に取り入れられた外気によって冷やされる。従って、放熱フィン付近の温度は外気によって下げられ、発熱部品により発せられた熱が制御基板上の他の電装品に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0008】
発明2に係る空気調和装置の室外機は、発明1に係る空気調和装置の室外機であって、機械室に配置される電磁誘導コイルを更に備える。制御基板は、電磁誘導コイルを制御するためのコイル用制御基板である。
【0009】
この空気調和装置の室外機には、電磁誘導コイルが更に備えられており、電磁誘導コイルは、例えば冷媒を素早く加熱するのに用いられる。この場合、電磁誘導コイルは、常にオンしているのではなく、冷媒を加熱する際のみオンする。つまり、電磁誘導コイルの制御用基板であるコイル用制御基板に実装されている発熱部品は、常に発熱するわけではなく、該コイルがオンする場合にのみ発熱するようになる。従って、コイル用制御基板が、仕切板に沿ってではなくケーシングの正面に沿って配置されていても、コイル用制御基板に近接配置された放熱フィン及びケーシングの第1開口によって熱が機械室内部にこもるのを十分に防ぐことができる。
【0010】
発明3に係る空気調和装置の室外機は、発明1または2に係る空気調和装置の室外機であって、放熱フィンは、機械室においてケーシングの前端付近かつ側端付近に位置している。そして、第1開口は、機械室に対応するケーシングの部分の前端付近かつ側端付近に形成されている。
【0011】
この空気調和装置の室外機によると、放熱フィン及び第1開口は、共にケーシングにおける機械室の前端付近かつ側端付近に位置している。これにより、ケーシングにおける前端付近かつ側端付近に位置する第1開口からは外気が取り入れられ、この外気は、同じくケーシングにおける前端付近かつ側端付近に位置する放熱フィンに送られる。
【0012】
発明4に係る空気調和装置の室外機は、発明3に係る空気調和装置の室外機であって、制御基板とケーシングの正面との間には、ケーシングの正面に沿って略鉛直に延びる絶縁シートが設けられている。
【0013】
この空気調和装置の室外機によると、制御基板とケーシングの正面との間には絶縁シートが設けられているが、第1開口及び放熱フィンは、共にケーシングにおける機械室の前端付近かつ側端付近に位置しているため、外気は、絶縁シートにより妨げられることなくケーシング内に取り入られる。
【0014】
発明5に係る空気調和装置の室外機は、発明1〜4のいずれかに係る空気調和装置の室外機であって、仕切板の上部には、第2開口が形成されている。この第2開口には、機械室から送風室へと流れる空気が通過する。
【0015】
この空気調和装置の室外機によると、ケーシングの第1開口から取り入られた外気は、放熱フィンにより放熱された熱と混ざった後、仕切板の第2開口を通って送風室へと送られるようになる。
【0016】
発明6に係る空気調和装置の室外機は、発明1〜5のいずれかに係る空気調和装置の室外機であって、ケーシングは、放熱フィンの下方に位置する配管カバーを有している。そして、第1開口は、配管カバーに形成されている。
【0017】
この空気調和装置の室外機によると、外気は、配管カバーに形成された第1開口からケーシング内部に取り込まれるようになる。
【発明の効果】
【0018】
発明1に係る空気調和装置の室外機によると、放熱フィン付近の温度は外気によって下げられ、発熱部品により発せられた熱が制御基板上の他の電装品に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0019】
発明2に係る空気調和装置の室外機によると、コイル用制御基板に近接配置された放熱フィン及びケーシングの第1開口によって熱が機械室内部にこもるのを十分に防ぐことができる。
【0020】
発明3に係る空気調和装置の室外機によると、ケーシングにおける前端付近かつ側端付近に位置する第1開口から外気が取り入れられ、この外気は、同じくケーシングにおける前端付近かつ側端付近に位置する放熱フィンに送られる。
【0021】
発明4に係る空気調和装置の室外機によると、外気は、絶縁シートにより妨げられることなくケーシング内に取り入られる。
【0022】
発明5に係る空気調和装置の室外機によると、ケーシングの第1開口から取り入られた外気は、放熱フィンにより放熱された熱と混ざった後、仕切板の第2開口を通って送風室へと送られるようになる。
【0023】
発明6に係る空気調和装置の室外機によると、外気は、配管カバーに形成された第1開口からケーシング内部に取り込まれるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る空気調和装置の室外機について、図面を用いて詳細に説明する。
【0025】
(1)空気調和装置の室外機の構成
図1は、本発明の一実施形態に係る空気調和装置の室外機1の外観斜視図である。図2は、図1の室外機1の分解斜視図である。図3は、室外機1におけるケーシング2の右前板22、右側板23、背面グリル24及び天板25が取り除かれた状態の、室外機1の斜視図である。この室外機1は、室外に設置されており、室内の壁面等に取り付けられている室内機(図示せず)と冷媒連絡配管(図示せず)を介して接続されている。尚、以下の説明においては、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」等の方向を示す表現を適宜用いているが、これらは、室外機1が図1の状態で設置された状態での各方向を表す。また、室外機1について「正面」は、ファングリル21a,21bが配置されている面を表し、「背面」は、「正面」に対向する面を表すものとする。
【0026】
室外機1は、図1〜図3に示すように、主として、ケーシング2、仕切板26、室外熱交換器41、四路切換弁42、圧縮機43、IHヒータユニット45、送風ファン46a,46b、電装品ユニット5及び放熱フィン7を備える。
【0027】
(1−1)ケーシング
ケーシング2は、図1に示されるように、略直方体の形状を有しており、板金及び樹脂によって形成されている。そして、ケーシング2は、図2に示すように、底板20、左前側板21、右前板22、右側板23、背面グリル24、及び天板25で構成される。
【0028】
底板20は、ケーシング2の下面部分を構成する略直方形状の金属製の板状部材である。底板20の周縁部は、上向きに折り曲げられている。底板20の上面には、圧縮機43から吐出されたガス冷媒が流れるためのガス冷媒用配管20aが配置されている。また、底板20の下面には、現地据付面に固定される2つの固定脚20b,20cが設けられている。
【0029】
左前側板21は、主にケーシング2の左側部分を構成する金属製の板状部材である。左前側板21は、上面視において略L字形状に形成されており、室外機1の左側面から正面の左側部分にかけて配置され、底板20から天板25まで延びている。左前側板21のうち、室外機1の正面を構成する部分には、円の形状を有する吹き出し口(図示せず)が上下方向に並んで2つ形成され、各吹き出し口を覆うようにしてファングリル21a,21bがそれぞれ取り付けられている。尚、吹き出し口は、送風ファン46a,46bによってケーシング2の背面側及び左側面側から内部に取り込まれた空気を外部に排出するための開口である。
【0030】
右前板22は、主にケーシング2の正面右側を構成する金属製の板状部材である。より具体的には、右前板22は、上面視において略L字形状に形成されており、室外機1の右側面の一部分から正面の右側部分にかけて配置され、底板20から天板25まで延びている。つまり、左前側板21と右前板22とで、ケーシング2の正面が構成される。
【0031】
特に、本実施形態に係る右前板22には、2つの開口22a,22bが形成されている。2つの開口22a,22bのうち、上側に位置する開口22aは、外気をケーシング2内部に取り込むための開口であって、後述する放熱フィン7によって決定された位置に設けられている。以下、この開口22aを、外気取り込み用開口(第1開口に相当)という。尚、外気取り込み用開口22aの位置関係については、「(1−9)放熱フィン」で説明する。そして、外気取り込み用開口22aよりも下方に位置する開口22bは、室外機1と室内機(図示せず)とを繋ぐ冷媒連絡配管が通るための開口である。以下、この開口22bを、配管用開口という。配管用開口22bは、右前板22の前端付近かつ側端付近であって、底板20付近に形成されている。
【0032】
右側板23は、主に、ケーシング2の右側面のうち、右前板22により構成される部分を除く残りの部分と、背面の一部とを構成する金属性の板状部材である。右側板23は、底板20から天板25まで延びており、上面視において略L字形状に形成されている。
【0033】
背面グリル24は、主にケーシング2の背面を構成している。具体的に、背面グリル24は、右側板23で構成される部分を除く残りの部分(具体的には、ケーシング2の背面の左寄りの部分)を構成しており、底板20から天板25まで延びている。背面グリル24は、ポリプロピレン樹脂で形成されている。
【0034】
天板25は、ケーシング2の上面を構成する略直方形状の金属製の板状部材である。天板25の周縁部分は、左前側板21、右前板22、右側板23及び背面グリル24の各上端部と係合可能な形状を有している。
【0035】
(1−2)仕切板
仕切板26は、ケーシング2の底板20から天板25に至るまで略鉛直に延びており、上面視において弧状の形状を有している。仕切板26は、図3に示すように、ケーシング2内部を機械室Sq1と送風室Sq2とに分割するようにしてケーシング2内に設けられている。機械室Sq1には、四路切換弁42、圧縮機43、IHヒータユニット45、電装品ユニット5及び放熱フィン7が設置され、送風室Sq2には、室外熱交換器41及び送風ファン46a,46bが設置されている。
【0036】
そして、仕切板26の上部には、通気口26a(第2開口に相当)が形成されている。通気口26aは、機械室Sq1から送風室Sq2へと流れる空気が通過するための開口であって、ラビリンス構造を有している。尚、通気口26aを通過する空気の流れについては、「(1−9)放熱フィン」の“〔外気の経路〕”で説明する。更に、仕切板26には、図4に示されるように、電装品ユニット5の一部が送風室Sq2側に露出されるための電装品ユニット用開口26cが形成されている。本実施形態では、電装品ユニット用開口26cは、仕切板26の約半分の高さ位置よりも上部であって、かつ通気口26aよりも下部に形成されている(図3)。
【0037】
(1−3)室外熱交換器
室外熱交換器41は、ケーシング2の背面側及び左側面側からケーシング2内に吸い込まれてきた空気と熱交換を行うためのものである。室外熱交換器41は、図2に示すように略L字状の形状を有しており、図3に示すように、ケーシング2の左側面から背面に沿うように配置されている。このような室外熱交換器41は、長手方向両端で複数回折り返されてなる伝熱管(図示せず)と、伝熱管が挿通される複数のフィンを含むフィン部分(図示せず)とを有する。伝熱管は、配管(図示せず)と接続されており、伝熱管の内部には、該配管内を流れる冷媒が流れている。
【0038】
(1−4)四路切換弁
四路切換弁42は、冷媒の流れ方向を切り換えるためのものである。四路切換弁42は、IHヒータユニット45の上方かつ電装品ユニット5の上方に位置している。四路切換弁42は、冷房運転時には、室外熱交換器41を圧縮機43により圧縮された冷媒の冷却器として機能させるべく、圧縮機43の吐出側と室外熱交換器41の一端とを接続すると共に、圧縮機43の吸入側と冷媒連絡配管(図示せず)とを接続する。また、四路切換弁42は、暖房運転時には、室外熱交換器41を室内熱交換器(図示せず)において冷却された冷媒の加熱器として機能させるべく、圧縮機43の吐出側と冷媒連絡配管(図示せず)とを接続すると共に、圧縮機43の吸入側と室外熱交換器41の一端とを接続する。
【0039】
(1−5)圧縮機
圧縮機43は、冷媒を圧縮するためのものであって、図示しない圧縮機用モータによって駆動される。圧縮機43は、図3に示すように、機械室Sq1内に配置されている。より具体的には、圧縮機43は、機械室Sq1内のうち、仕切板26の近傍であって、かつ電装品ユニット5の下側に配置されている。また、圧縮機43の横には、アキュムレータ44が位置している。
【0040】
(1−6)IHヒータユニット
IHヒータユニット45は、主として電磁誘導コイルで構成されており、機械室Sq1におけるアキュムレータ44の上部に位置している。IHヒータユニット45は、配管を介してアキュムレータ44及び四路切換弁42と接続されている。IHヒータユニット45は、冷媒を素早く加熱する運転時にのみオンする。ここで、冷媒を素早く加熱する運転時としては、運転開始時や、室外熱交換器41に付着した霜を取り除くデフロスト運転時が挙げられる。
【0041】
(1−7)送風ファン
送風ファン46a,46bは、送風室Sq2内の空気を室外機1の外部に送るためのものである。送風ファン46a,46bは、図2に示されるように、上下方向に並ぶにようにして2基設けられている。より具体的には、各送風ファン46a,46bは、3枚の翼を有するプロペラファンであって、ケーシング2の左前側板21に上下方向に並んで形成された各吹き出し口に対応するようにして配置されている。各送風ファン46a,46bの回転軸には、各送風ファン46a,46bの回転駆動源として機能するファンモータ(図示せず)の出力軸がそれぞれ連結されている。そのため、各ファンモータが回転すると、各送風ファン46a,46bは、各ファンモータの回転が回転軸に伝達されることにより回転することができる。
【0042】
(1−8)電装品ユニット
電装品ユニット5は、機械室Sq1内の、圧縮機43の上側に配置されており、複数の電装品を収納している。電装品ユニット5は、図3及び図4に示されるように、主として、第1制御基板51(制御基板に相当)及び第2制御基板52を有する。
【0043】
〔第1制御基板〕
第1制御基板51は、ケーシング2の略正面(具体的には、ケーシング2の右前板22の正面側部分)に沿って略鉛直方向に延びるようにして設けられている。第1制御基板51は、IHヒータユニット45、即ち電磁誘導コイルの制御用基板であって、IHヒータユニット45のオン及びオフ等を制御する制御回路の他、該制御回路に供給される電源生成用の電源回路等を構成する複数の電装品が実装されている。特に、電源回路を構成する電装品には、パワートランジスタ等の発熱部品が含まれており、第1制御基板51には、電装品全てがケーシング2の正面側の面(以下、第1制御基板51の表面という)のみに実装されている。つまり、第1制御基板51には、第1制御基板51の片面にのみ電装品が実装されている。
【0044】
また、第1制御基板51とケーシング2の正面との間には、絶縁シート61が設けられている。絶縁シート61は、ケーシング2の正面に沿って略鉛直に延びている。より具体的には、絶縁シート61は、第1制御基板51の上部に設けられている天板のうち、ケーシング2の正面側の端部と連結され、該端部から下方に向かって第1制御基板51及び端子台60を覆っている。この絶縁シート61により、第1制御基板51において発生した熱や電流等は、ケーシング2に伝導しにくくなる。尚、絶縁シート61の材質としては、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0045】
〔第2制御基板〕
第2制御基板52は、仕切板26に沿うようにして略鉛直に延びて配置されている。つまり、第2制御基板52は、上面視において第1制御基板51に対し所定の角度傾斜するようにして配置されている。この第2制御基板52には、IHヒータユニット45以外の機器、具体的には圧縮機用モータ、四路切換弁42、ファンモータ等の制御回路を構成する複数の電装品が実装されている。複数の電装品は、第2制御基板52のうち、仕切板26側の面とは反対側の面、即ち第1制御基板51側の面に実装されている。つまり、第1制御基板51と同様、第2制御基板52には、第2制御基板52の片面にのみ電装品が実装されている。
【0046】
(1−9)放熱フィン
放熱フィン7は、第1制御基板51上に実装されている発熱部品によって発せられた熱を放熱するためのものであって、該発熱部品に近接して配置されている。放熱フィン7は、例えば図4に示されるように、第1制御基板51における電装品の実装面上に取り付けられている。また、電装品ユニット5及び放熱フィン7がケーシング2内に収納されている際には、放熱フィン7は、図5に示されるように、機械室Sq1においてケーシング2の前端付近かつ側端付近に位置している。つまり、放熱フィン7は、正面視においてケーシング2の右端部付近、更にはアキュムレータ44の上方に位置している。
【0047】
次に、放熱フィン7とケーシング2の外気取り込み用開口22aとの位置関係について説明する。本実施形態では、外気取り込み用開口22aは、図1及び図5に示されるように、ケーシング2のうち、放熱フィン7に対応する位置よりも下部であって、更には機械室Sq1に対応するケーシング2の部分の前端付近かつ側端付近に形成されている。より具体的には、本実施形態に係る外気取り込み用開口22aは、配管用開口22bの上方かつ配管用開口22b付近に、スリット状に設けられている。つまり、放熱フィン7は、ケーシング2の外気取り込み用開口22aの上方に位置していることになる。
【0048】
〔外気の経路〕
次に、上記構成を有する室外機1の機械室Sq1内部に取り込まれた外気の経路について、図5を用いて説明する。
【0049】
先ず、機械室Sq1に対応するケーシング2の部分(具体的には、右前板22)に形成されている配管用開口22bには、冷媒連絡配管が通っているが、該配管と配管用開口22bとの間には隙間がある。外気は、この隙間を介してケーシング2の内部に取り込まれ、図5の矢印U1に示されるように、機械室Sq1の下方から上方へと流れる。この時、外気は、第1制御基板51に取り付けられた放熱フィン7付近の空気と混ざり、やがて仕切板26の上部に形成された通気口26aを通って送風室Sq2へと送られる。
【0050】
更に、機械室Sq1に対応するケーシング2の部分(具体的には、右前板22)に形成された外気取り込み用開口22aからも、外気が取り込まれる。この外気は、矢印U1と同様、機械室Sq1の上方へと流れる(図5の矢印U2)。そして、この外気は、外気取り込み用開口22aの上方に位置する放熱フィン7付近の空気と混ざり、やがて通気口26aを通って送風室Sq2へと送られる。
【0051】
即ち、発熱部品により発せられ放熱フィン7によって放熱された熱は、配管用開口22b及び外気取り込み用開口22aから取り込まれた外気により、送風室Sq2へと送られる。従って、放熱フィン7が送風室Sq2側に突出していない構成であっても、機械室Sq1内部に熱がこもることを抑制することができる。
【0052】
(2)効果
(A)
本実施形態に係る空気調和装置の室外機1によると、発熱部品が実装された第1制御基板51は、ケーシング2の略正面に沿うようにして配置されており、放熱フィン7は、発熱部品の近傍に配置されている。そして、ケーシング2には、放熱フィン7に対応する位置よりも低い高さ位置に外気取り込み用開口22aが形成されている。これにより、発熱部品によって発せられた熱は、放熱フィン7によって放熱されるが、この熱は、外気取り込み用開口22aからケーシング2内部に取り入れられた外気によって冷やされる。従って、放熱フィン7付近の温度は外気によって下げられ、発熱部品により発せられた熱が第1制御基板51上の他の電装品に悪影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0053】
(B)
また、この空気調和装置の室外機1には、電磁誘導コイルを備えるIHヒータユニット45が更に備えられており、IHヒータユニット45は、冷媒を素早く加熱するのに用いられる。そのため、IHヒータユニット45は、常にオンしているのではなく、冷媒を加熱する際のみオンする。つまり、IHヒータユニット45の制御用基板である第1制御基板51に実装されている発熱部品は、常に発熱するわけではなく、該ユニット45がオンする場合にのみ発熱するようになる。従って、第1制御基板51が、仕切板26に沿ってではなくケーシング2の正面に沿って配置されていても、第1制御基板51に近接配置された放熱フィン7及びケーシング2の外気取り込み用開口22aによって熱が機械室Sq1内部にこもるのを十分に防ぐことができる。
【0054】
(C)
また、この空気調和装置の室外機1によると、放熱フィン6及び外気取り込み用開口22aは、共にケーシング2における機械室Sq1の前端付近かつ側端付近に位置している。これにより、ケーシング2における前端付近かつ側端付近に位置する外気取り込み用開口22aからは外気が取り入れられ、この外気は、同じくケーシング2における前端付近かつ側端付近に位置する放熱フィン7に送られる。
【0055】
(D)
また、この空気調和装置の室外機1によると、第1制御基板51とケーシング2の正面との間には、絶縁シート61が設けられている。しかし、外気取り込み用開口22a及び放熱フィン7は、共にケーシング2における機械室S1の前端付近かつ側端付近に位置しているため、外気は、絶縁シート61により妨げられることなくケーシング2内に取り入られる。
【0056】
(E)
また、この空気調和装置の室外機1によると、ケーシング2の外気取り込み用開口22aから取り入られた外気は、放熱フィン7により放熱された熱と混ざった後、仕切板26の通気口26aを通って機械室Sq1から送風室Sq2へと送られるようになる。
【0057】
<その他の実施形態>
(a)
上記実施形態(a)では、外気取り込み用開口22aが、図1及び図5に示されるような箇所に位置している場合を例に取り説明した。しかし、外気取り込み用開口22aは、ケーシング2のうち、放熱フィン7に対応する位置より下部に位置すればよく、図1及び図5に示された位置に限定されない
また、ケーシング2が、図6に示されるように、配管用開口22bを覆う配管カバー22cを有している場合には、外気取り込み用開口22aは、配管カバー22cに設けられていても良い。配管カバー22cは、放熱フィン7の下方かつ底板20付近に配置されている。より具体的には、配管カバー22cは、室外機1の前端付近かつ側端付近であって、かつ底板20付近に設けられており、外気取り込み用開口22aは、配管カバー22cにスリット状に形成されている。この場合、外気は、配管カバー22cの外気取り込み用開口22aからケーシング2内部に取り込まれ、機械室Sp1を下方から上方へ移動した後、仕切板26の通気口26aから送風室Sp2へと送られるようになる。
【0058】
(b)
上記実施形態(b)では、ケーシング2に外気取り込み用開口22aが形成され、仕切板26の上部に通気口26aが設けられている場合を例に取り説明した。しかし、ケーシング2には外気取り込み用開口22aが形成されているが、仕切板26には通気口26aが形成されていなくともよい。例えば、IHヒータユニット45がオンしている時間が比較的短い場合には、外気取り込み用22aから外気が取り込まれ、該外気によって放熱フィン7が放熱した熱が十分に冷やされる場合には、仕切板26に通気口26aを設けずとも良い。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明に係る室外機は、発熱部品により発せられた熱が第1制御基板上の他の電装品に悪影響を及ぼすのを防ぐことができるという効果を有し、空気調和装置の室外機に搭載される電装品ユニットとして適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本実施形態に係る空気調和装置の室外機の外観斜視図。
【図2】本実施形態に係る空気調和装置の室外機の分解斜視図。
【図3】ケーシングの右前板、右側板、背面グリル及び天板が取り除かれた状態の、室外機の斜視図。
【図4】仕切板の一部分と、この仕切板の部分に取り付けられる電装品ユニット及び板状部材を示す図。
【図5】放熱フィン及び外気取り込み用開口の位置と共に、外気の経路を説明するための図。
【図6】その他の実施形態(a)に係る空気調和装置の室外機の外観斜視図であって、スリット状の外気取り込み用開口が配管カバーに形成されている例を示す図。
【符号の説明】
【0061】
1 室外機
2 ケーシング
20 底板
21 左前側板
21a,21b ファングリル
22 右前板
22a 外気取り込み用開口(第1開口)
22b 配管用開口
22c 配管カバー
23 右側板
24 背面グリル
25 天板
26 仕切板
26a 通気口(第2開口)
26c 電装品ユニット用開口
41 室外熱交換器
42 四路切換弁
43 圧縮機
44 アキュムレータ
45 IHヒータユニット
46a,46b 送風ファン
5 電装品ユニット
51 第1制御基板(制御基板)
52 第2制御基板
61 絶縁シート
7 放熱フィン
Sq1 機械室
Sq2 送風室
U1,U2 外気の経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体の形状を有するケーシング(2)と、
前記ケーシング(2)の内部を送風室(Sq2)と機械室(Sq1)とに分割するように、略鉛直に延びる仕切板(26)と、
前記機械室(Sq1)に設けられ、前記ケーシング(2)の略正面に沿って略鉛直方向に延びており、発熱部品を含む電装品が実装された制御基板(51)と、
前記制御基板(51)のうち前記発熱部品に近接して配置され、前記発熱部品により発せられた熱を放出するための放熱フィン(7)と、
を備え、
前記ケーシング(2)には、外気を取り入れるための第1開口(22a)が、前記放熱フィン(7)に対応する位置より下部に形成されている、
空気調和装置の室外機(1)。
【請求項2】
前記機械室(Sq1)に配置される電磁誘導コイル(45)、
を更に備え、
前記制御基板(51)は、前記電磁誘導コイル(45)を制御するためのコイル用制御基板である、
請求項1に記載の空気調和装置の室外機(1)。
【請求項3】
前記放熱フィン(7)は、前記機械室(Sq1)において前記ケーシング(2)の前端付近かつ側端付近に位置しており、
前記第1開口(22a)は、前記機械室(Sq1)に対応する前記ケーシング(2)の部分の前端付近かつ側端付近に形成されている、
請求項1または2に記載の空気調和装置の室外機(1)。
【請求項4】
前記制御基板(51)と前記ケーシング(2)の正面との間には、前記ケーシング(2)の正面に沿って略鉛直に延びる絶縁シート(61)が設けられている、
請求項3に記載の空気調和装置の室外機(1)。
【請求項5】
前記仕切板(26)の上部には、第2開口(26a)が形成されており、
前記第2開口(26a)には、前記機械室(Sq1)から前記送風室(Sq2)へと流れる空気が通過する、
請求項1〜4のいずれかに記載の空気調和装置の室外機(1)。
【請求項6】
前記ケーシング(2)は、前記放熱フィン(7)の下方に位置する配管カバー(22c)を有しており、
前記第1開口(21a)は、前記配管カバー(22c)に形成されている、
請求項1〜5のいずれかに記載の空気調和装置の室外機(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−71534(P2010−71534A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238742(P2008−238742)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)