説明

空気調和装置の室外機

【課題】噴霧ノズルのノズル詰まりを検出してこれを知らせることができる空気調和装置の室外機を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、空気調和装置(1)の室外機(10)であって、熱交換器(12)と、熱交換器(12)を冷却するための水を噴霧する噴霧ノズル(22)と、噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出する検出部(34)と、検出部(34)による検出結果に基づいてノズル詰まりの発生を知らせる報知部(30)と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒が循環して蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器に水を噴霧することにより冷却効率を向上させた、空気調和装置の室外機として、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
具体的に、室外機は、図9に示されるように、熱交換器102と、熱交換器102を冷却するための水を噴霧する噴霧ノズル104と、を備える。この室外機100では、噴霧ノズル104が噴霧する水の蒸発潜熱を利用して熱交換器102を冷却することにより、熱交換器102における冷媒の冷却効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3707737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の室外機100では、噴霧ノズル104から噴霧された水を蒸発し易くして噴霧水の蒸発潜熱を効果的に利用できるように、噴霧ノズル104のノズル径を小さく(例えば、数十μm〜数mm程度)して当該ノズル104から噴霧される液滴の径を小さくしていた。
【0006】
このようなノズル径の小さな噴霧ノズル104においては、ゴミ等によるノズル詰まりの発生する可能性があり、噴霧ノズル104においてノズル詰まりが発生すると作業者等がこの詰まったゴミ等を噴霧ノズル104から取り除かなければならない。
【0007】
しかし、上記の室外機100には噴霧ノズル104のノズル詰まりを検出する手段がないため、作業者等が室外機100のメンテナンスの際に噴霧ノズル104のノズル詰まりに気付かない場合があった。
【0008】
そこで、噴霧ノズルのノズル詰まりを検出してこれを知らせることができる空気調和装置の室外機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、空気調和装置(1)の室外機(10)であって、熱交換器(12)と、前記熱交換器(12)を冷却するための水を噴霧する噴霧ノズル(22)と、前記噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出する検出部(34)と、前記検出部(34)による検出結果に基づいてノズル詰まりの発生を知らせる報知部(30)と、を備える。
【0010】
かかる構成によれば、検出部(34)が噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出して報知部(30)がこのノズル詰まりを知らせることにより、作業者等が噴霧ノズル(22)に生じたノズル詰まりを確実に認知することができる。
【0011】
具体的に、前記検出部(34)は、以下のように噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出する。
【0012】
例えば、前記室外機(10)は、前記熱交換器(10)へ導かれる外気である吸込み空気の温度を測定する吸込み空気温度測定部(18)を備える。そして、前記噴霧ノズル(22)は、前記吸込み空気の流れにおいて前記熱交換器(12)の上流側に配置されて当該吸込み空気に対して水を噴霧し、前記吸込み空気温度測定部(18)は、前記噴霧ノズル(22)と前記熱交換器(12)との間において前記吸込み空気の温度を測定し、前記検出部(34)は、前記噴霧ノズル(22)からの水の噴霧時に前記吸込み空気温度計測定部(18)によって測定された温度が予め設定された境界値よりも大きな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力してもよい。
【0013】
かかる構成では、噴霧ノズル(22)から噴霧される水の量が減ることによって熱交換器(12)に導かれる外気(吸込み空気)の温度が上昇することを利用して、噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出している。
【0014】
この場合、前記検出部(34)は、前記噴霧ノズル(22)から水が噴霧されていない状態の吸込み空気の温度から求められる基準温度の値に予め設定された所定の設定値(α)を加えた値を前記境界値とし、前記吸込み空気温度計測定部(18)によって測定された温度の値が当該境界値よりも大きな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力することにより、吸い込み温度測定部(18)以外に外気温を測定するための外気温度センサ等を設けなくてもよい。
【0015】
また、例えば、前記室外機(10)が、前記熱交換器(12)から排出される冷媒の圧力を測定する圧力測定部(50)を備え、前記検出部は、前記噴霧ノズル(22)からの水の噴霧前と噴霧中とにおいて前記圧力測定部(50)によってそれぞれ測定される前記冷媒の圧力の差が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力してもよい。
【0016】
かかる構成では、噴霧ノズル(22)から噴霧される水の量が減ることによって熱交換器(凝縮器として働く熱交換器)(12)に導かれる吸込み空気の温度が上昇し、これにより、熱交換器(12)から排出される冷媒圧力(凝縮圧力)が高くなることを利用して、噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出している。
【0017】
また、例えば、前記室外機(10)が、前記熱交換器(12)から排出される冷媒の温度を測定する冷媒温度測定部(52)を備え、前記検出部は、前記噴霧ノズル(22)からの水の噴霧前と噴霧中とにおいて前記冷媒温度測定部(52)によってそれぞれ測定される前記冷媒の温度の差が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力してもよい。
【0018】
かかる構成では、噴霧ノズル(22)から噴霧される水の量が減ることによって熱交換器(凝縮器として働く熱交換器)(12)に導かれる吸込み空気の温度が上昇し、これにより、熱交換器(12)から排出される冷媒温度が高くなることを利用して、噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出している。
【0019】
また、例えば、前記室外機(10)が、前記噴霧ノズル(22)に供給される水の流量を測定する流量測定部(54)を備え、前記検出部は、前記流量測定部(54)によって測定された流量が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力してもよい。
【0020】
かかる構成では、噴霧ノズル(22)から噴霧される水の量が減ることによって噴霧ノズル(22)に供給される水の流量が低下することを利用して、噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出している。
【0021】
尚、上記いずれの方法によって噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出する場合でも、前記検出部(34)は、前記警報状態が所定の時間以上継続して成立したときに前記検知信号を前記報知部(30)に出力することが好ましい。かかる構成によれば、誤検出を防いでノズル詰まりをより確実に検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上より、本発明によれば、噴霧ノズルの詰まりを検出してこれを報知することができる空気調和装置の室外機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
【図2】前記空気調和装置の室外機の概略構成図である。
【図3】前記室外機の斜視図である。
【図4】前記室外機の噴霧装置における噴霧ノズルの拡大断面図である。
【図5】前記室外機においてノズル詰まりを検出する際のフローを示す図である。
【図6】他実施形態に係る室外機を備えた空気調和装置の概略構成図である。
【図7】他実施形態に係る室外機を備えた空気調和装置の概略構成図である。
【図8】他実施形態に係る室外機の概略構成図である。
【図9】熱交換器に水を噴霧する方式の従来の室外機を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本実施形態に係る室外機は、例えば、図1に示される空気調和装置1に用いられる。この空気調和装置1は、室外機10と、室内機2と、これらを接続する冷媒配管3,3とを備える。
【0026】
室外機10は、図2及び図3にも示されるように、熱交換器12と、膨張機構13と、吸込み空気用ファン14と、四方切換弁15と、圧縮機16と、温度センサ(吸込み空気温度検出部)18と、噴霧装置20と、報知部30と、室外機制御部32と、を備える。尚、図2では、説明の便宜のため、噴霧装置20の一部が省略され、また、図3では、噴霧装置20の噴霧ノズル22に接続される水用流路部240やエア用流路部260等が省略されている。
【0027】
熱交換器12は、内部を冷媒が流れる伝熱管(図示省略)と、前記伝熱管が貫通する多数のプレートフィン(図示省略)と、を備える。この熱交換器12では、伝熱管の管壁とプレートフィンとを介して伝熱管内を流れる冷媒とプレートフィン同士の間を流れる外気(空気)との間で熱交換が行われる。本実施形態の熱交換器12は、例えば、クロスフィンコイル式の熱交換器であるが、これに限定されない。
【0028】
この熱交換器12は、ケーシング11の底板11aから上方に向かって立設され、例えば、ケーシング11を構成する側面板11b及び背面板11cに沿うように平面視においてL字状、U字状、又はコ字状に配置される。尚、ケーシング11の側面板11b及び背面板11cにおける熱交換器12と対向する領域には、外気がケーシング11内部に流入できるように開口(図示省略)がそれぞれ設けられている。
【0029】
吸込み空気用ファン14は、熱交換器12に外気(吸込み空気)を導くものであり、羽根車14aと、この羽根車14aを回転させるモータ(図示省略)とを備える。本実施形態の吸込み空気用ファン14は、ケーシング11の天板11dに配置される。この吸込み空気用ファン14は、側面板11b及び背面板11cの熱交換器12と対向する領域に設けられた前記開口からケーシング11内に外気を引き込み、この引き込んだ外気を天板11d側から外部に排出する(図2の矢印参照)。尚、天板11dにおける吸込み空気用ファン14(羽根車14a)が配置された位置には、ケーシング11の内部と外部とを連通する開口(図示省略)が設けられている。
【0030】
圧縮機16は、当該圧縮機16の駆動によって室外機10を備えた空気調和装置1において冷媒を循環させる。
【0031】
温度センサ18は、室外機制御部32に接続され、ケーシング11内に吸気される吸込み空気の温度を測定し、測定結果に応じた空気温度信号を出力する。この温度センサ18は、熱交換器12と、吸込み空気の流れにおける熱交換器12の上流側に配置される噴霧ノズル22と、の間に配置され、当該位置における吸込み空気の温度を測定する。
【0032】
噴霧装置20は、空気調和装置1の冷房運転時において水を噴霧することにより、熱交換器12に向かう外気(吸込み空気)を冷却する。この吸込み空気の流れは、上記の吸込み空気用ファン14の駆動によって形成される。このように、噴霧装置20は、水を霧状に噴霧して熱交換器12を補助的(間接的)に冷却することによって、空気調和装置1の冷房能力の向上を図る。
【0033】
具体的に、噴霧装置20は、複数の噴霧ノズル22と、水供給機構24と、エア供給機構26と、を備える。本実施形態の室外機10では、各噴霧ノズル22に対して水供給機構24と、エア供給機構26とがそれぞれ接続されている。図2においては、一つの噴霧ノズル22と、この噴霧ノズル22に接続された水供給機構24及びエア供給機構26とを示しており、他の噴霧ノズル22及びこれに接続される水供給機構24及びエア供給機構26の図示を省略している。これら他の噴霧ノズル22と、これに接続される水供給機構24及びエア供給機構26との構成は、図2に示されるものと同様であるため説明を省略する。尚、噴霧ノズル22の配置される数は、複数に限定されず、1つでもよい。
【0034】
各噴霧ノズル22は、熱交換器12を冷却するための水を噴霧するノズルであり、ケーシング11に設けられた誘導板110によって支持される。尚、図2における誘導板110は、噴霧装置20の説明の便宜のために模式的に記載されているため、ケーシング11に対する寸法の比率が実際のものと異なっている。
【0035】
誘導板110は、ケーシング11の側面板11b及び背面板11cの外面側において、前記開口が設けられた領域(熱交換器12と対向する領域)を囲うように設けられる(図3参照)。この誘導板110は、噴霧ノズル22から噴霧された水(液滴)が熱交換器12以外に散逸するのを防いで前記水を噴霧された吸込み空気が熱交換器12に到達するように空気の流れを誘導するためのものである。この誘導板110における、側面板11b及び背面板11cとは反対側の端部には、誘導板110に囲まれた領域を覆うように金網111が配置されている。そして、誘導板110の対向する部位間に架橋された固定部材(本実施形態では、水平方向に架橋された部材)112に各噴霧ノズル22が固定されている。
【0036】
複数の噴霧ノズル22は、噴霧装置20による冷却効果が熱交換器12のほぼ全体に及ぼされるように、互いに間隔をあけて配置される。具体的には、各噴霧ノズル22から噴霧される水(液滴)が拡散する範囲、即ち、各噴霧ノズル22により熱交換器12に向かう吸込み空気が冷却される範囲に基づいて、各噴霧ノズル22は、互いに上下及び水平方向に例えば数十センチ程度の間隔をおいて点在するように配置される。
【0037】
噴霧ノズル22は、図4にも示されるように、胴部220と、この胴部220の先端(水の流れ方向における下流側)に設けられるオリフィス部221と、を有する。また、胴部220は、水供給機構24から供給された水に気体(本実施形態では空気)を供給し、この水の中に多数の気泡を形成する気泡形成部220Bと、多数の気泡を含んだ状態の水をオリフィス部221まで案内する案内部220Aと、を有する。このように構成されることによって、気泡形成部220Bにおいて水の中に多数の気泡が形成され、この状態の水が案内部220Aによってオリフィス部221まで案内されることにより多数の気泡と水とが十分に混ざり、これら各気泡がオリフィス部221から外部に噴出されるときの圧力差によってそれぞれはじけ、噴霧ノズル22(オリフィス部221)から噴出される水が微細な霧状となる。即ち、当該噴霧ノズル22によれば、水中に多数の気泡を形成してこの気泡を圧力差によってはじけさせて水を霧状にすることにより、従来のいわゆる2流体ノズルのように高圧の空気の流れによるせん断力を利用して水を霧状にする場合に比べ、使用空気量を少なくすることができると共に液滴の大きさも小さくすることができる。
【0038】
胴部220は、水供給機構24から供給される水をオリフィス部221まで案内すると共に、エア供給機構26から供給される空気によって水の中に多数の気泡を形成する。この胴部220は、水案内配管222と、空気案内配管224と、を有する。
【0039】
水案内配管222は、水供給機構24から供給された水をオリフィス部221まで案内する水流路を形成する管である。この水案内配管222は、所定の内径を有する管であり、その基端(水の流れ方向における上流端)222bが後述の水用流路部240の下流端に接続されると共にその先端(水の流れ方向における下流端)222aがオリフィス部221に接続される。水案内配管222は、先端部に設けられた混和領域222Aと、その上流側に設けられた気泡形成領域222Bとを有する。
【0040】
気泡形成領域222Bは、エア供給機構26から供給された空気を水案内配管222内を流れる水の中に導入(供給)して多数の気泡を水中に形成する領域である。この気泡形成領域222Bの管壁には、水案内配管222の内側と外側とを連通する複数の孔223が形成され、この孔223を通じて水案内配管222内を流れる水の中に空気が供給される。
【0041】
混和領域222Aは、多数の気泡が内部に形成された状態の水を所定の距離流すことにより、水の中に形成された多数の気泡を水と十分に混ぜあわせるための領域である。即ち、気泡形成領域222Bでは、管壁に形成された孔223を通じて水の中に空気が供給されるために管壁近傍に気泡が形成され易いが、この状態の水が混和領域222Aにおいて所定の距離流れることによって気泡と水とが十分に混ざる。これにより、オリフィス部221から噴出される霧状の水(液滴)の大きさのむらを抑えることができる。
【0042】
この混和領域222Aは、気泡を含む水を流したときに、気泡と水とが十分に混ざる長さ(水案内配管222の軸方向の長さ)寸法に設定されている。
【0043】
空気案内配管224は、水案内配管222の外側に配置される管である。具体的に、空気案内配管224は、水案内配管222の外径よりも大きな内径を有し、水案内配管222の軸と当該空気案内配管224の軸とが一致するように配置される。この空気案内配管224は、水案内配管222よりも軸方向の長さ寸法が小さく、空気案内配管224の先端224aが水案内配管222の先端222a同様にオリフィス部221(オリフィス部221の裏面221b)に接続されているため、水案内配管222の基端222bが空気案内配管224の基端224bから軸方向に突出している。空気案内配管224の基端部224bでは、その内周面と水案内配管222の外周面との間が閉塞部材225によって塞がれている。
【0044】
胴部220において、閉塞部材225、水案内配管222の外周面、空気案内配管224の内周面、及びオリフィス部221によって囲まれた空間が、エア供給機構26から供給された空気を水案内配管222の気泡形成領域222Bに設けられた孔223まで案内する空気流路となる。
【0045】
また、空気案内配管224には、エア供給機構26(詳しくはエア用流路部260)が接続される接続部226が設けられ、この接続部226に接続されたエア供給機構26から供給された空気が当該接続部226を介して空気流路に導入される。
【0046】
以上のように構成される本実施形態の胴部220では、軸方向において、混和領域222Aに対応する部位が案内部220Aであり、気泡形成領域222Bに対応する部位が気泡形成部220Bである。
【0047】
オリフィス部221は、胴部220によって案内された気泡を含む水を外部(噴霧ノズル22の外部)に噴出させる。本実施形態のオリフィス部221は、円板形状を有する。このオリフィス部221は、水案内配管222と空気案内配管224との先端222a、224aに接続されている。オリフィス部221は、軸方向に水流路と噴霧ノズル22の外部とを連通する噴霧孔229を有する。この噴霧孔229は、オリフィス部221の裏面221bから先端面(水の流れ方向の下流側の面)221aに向かって径が漸減するテーパ面229Aと、テーパ面229Aの先端から延びる円筒面229Bと、によって規定される。
【0048】
尚、噴霧ノズル22は、以上の構成に限定されず、水を噴霧可能なノズルであればよい。例えば、噴霧ノズルは、前記空気の流れによる剪断力を利用して水を噴霧する所謂2流体ノズル等であってもよい。
【0049】
図2に戻り、水供給機構24は、例えば水道やタンク等の水供給源(図示省略)から噴霧ノズル22まで水を案内する流路を形成する水用流路部(流路部)240と、流路内を流れる水を噴霧ノズル22に向けて加圧する水用ポンプ242と、を有する。尚、水供給源から噴霧装置20に十分な圧力で水が供給される場合には、水供給機構24においてポンプ242が省略されてもよい。
【0050】
エア供給機構26は、外気(空気)を噴霧ノズル22まで案内する流路を形成するエア用流路部260と、外気をエア用流路部260内に引き込んで噴霧ノズル22まで送り出すエア用ポンプ262と、を有する。エア用流路部260の先端は、噴霧ノズル22の胴部220における接続部226に接続される。
【0051】
以上の水供給機構24及びエア供給機構26における水用ポンプ242とエア用ポンプ262は、室外機制御部32に接続され、室外機制御部32からの制御信号に基づいて駆動する。具体的に、室外機制御部32は、温度センサ18によって測定された吸込み空気の温度が所定の温度以上に達すると、冷房運転の負荷が所定のレベルを超えた状態となるため、水用ポンプ242とエア用ポンプ262とを駆動させ、噴霧装置20から水を噴霧させる。
【0052】
報知部30は、室外機制御部32の検出部34による検出結果に基づいてノズル詰まりの発生を作業者等に知らせる。具体的に、報知部30は、検出部34から検知信号を受信すると、所定の表示を行い、これにより、噴霧ノズル22にノズル詰まりが発生していることを操作者や作業者等に知らせる。尚、報知部30は、噴霧ノズル22にノズル詰まりが発生していることを表示によって外部に知らせる構成に限定されず、警報音や音声等によって外部に知らせる構成でもよく、また、室内機2の図略の操作部等に表示させることによって外部に知らせる構成等であってもよい。
【0053】
室外機制御部32は、室外機10の各構成要素の制御を行う。例えば、空気調和装置1の運転時に、室外機制御部32は、圧縮機16を駆動させる制御を行うと共に、吸込み空気用ファン14を駆動する制御を行う。これにより、空気調和装置1において、室外機10と室内機2との間を冷媒が循環すると共に、外気がケーシング11内に引き込まれて熱交換器12が冷却される。また、室外機制御部32は、噴霧ノズル22のノズル詰まりを検出する検出部34を機能的に備える。
【0054】
検出部34は、噴霧ノズル22からの水の噴霧時に温度センサ18によって測定された吸込み空気の温度の値が所定の境界値よりも大きな値になる警報状態が成立すると検知信号を報知部30に出力する。本実施形態の検出部34は、警報状態が所定の時間(本実施形態では、例えば2分)以上継続して成立したときに検知信号を出力する。これにより、温度センサ18によって測定される吸込み空気の温度がノズル詰まり以外の要因によって一時的に(前記所定の時間よりも短い時間内だけ)所定の境界値よりも大きな値となった場合には検知信号が出力されず、これにより、誤検知を防ぐことができる。
【0055】
尚、検出部34は、警報状態が所定の時間以上継続して成立したときに検知信号を出力する構成に限定されない。例えば、検出部は、温度センサ18から定期的に(例えば、数十秒〜数分間隔で)吸込み空気の温度を取得し、その値が所定の回数以上連続して所定の境界値よりも大きな値になる、即ち、所定の回数以上連続して警報状態が成立したときに検知信号を出力するように構成されてもよい。この場合、噴霧ノズル22のメンテナンス等によってノズル詰まりが解消されたときに、吸込み空気の温度の値が前記境界値よりも大きな値となった(警報状態が成立した)回数をカウントするカウンター等を作業者等がリセットするように室外機10が構成される。
【0056】
本実施形態の所定の境界値は、噴霧ノズル22から水が噴霧されていない状態の吸込み空気の温度から求められる基準温度の値に予め設定された所定の設定値αを加えた値である。即ち、「境界値=基準温度の値+α」である。ここで、基準温度とは、噴霧ノズル22から水が噴霧されることによって温度が下がったときの吸込み空気の温度を予測したものである。この基準温度は、予め実験等によって吸込み空気の温度とこの吸込み空気に噴霧ノズル22によって水を噴霧したときの当該吸込み空気の温度とをそれぞれ測定し、これら水の噴霧されていない状態の吸込み空気の温度と、この吸込み空気に水を噴霧した状態の当該吸込み空気の温度と、を関係付けたテーブルを検出部34の記憶領域等に記憶させておいて、このテーブルから求められてもよい。また、基準温度は、前記テーブルを用いずに、水の噴霧されていない状態の吸込み空気の温度から所定の演算等によって求められてもよい。
【0057】
尚、基準温度は、吸込み空気の温度を測定する温度センサ18によって測定される温度ではなく、吸込み空気以外の外気温度を測定する温度センサ等を別途設け、この温度センサ等によって測定された温度から求められてもよい。
【0058】
以上の室外機10では、図5及び以下のようにして噴霧ノズル22のノズル詰まりが検出される。
【0059】
上記のように、室外機制御部32は、温度センサ18によって測定された吸込み空気の温度が所定の温度以上に達すると、水用ポンプ242とエア用ポンプ262とを駆動させて噴霧ノズル22から水を噴霧させる(ステップS1)。
【0060】
検出部34は、噴霧ノズル22から水が噴霧されると、水が噴霧される直前の吸込み空気温度から基準温度を求める(ステップS2)。検出部34は、この基準温度から境界値(=基準温度+α)を求め、この境界値と、水が噴霧された状態の吸込み空気の温度の値と、を比較する。このとき、検出部34は、温度センサ18によって測定される吸込み空気(水が噴霧された状態の吸込み空気)の温度が境界値よりも大きな値になる警報状態が成立するまで、この比較を続ける(ステップS3)。警報状態が成立すると、検出部34は、この警報状態が継続して成立し続ける時間を測定し、警報状態が継続して成立し続けた時間が所定の時間(本実施形態では2分)を経過すると(ステップS4:Yes)検知信号を報知部30に出力する(ステップS5)。報知部30は、この検知信号を受信すると、ノズル詰まりの発生したことを外部に向けて表示する。これにより、作業者等は、噴霧ノズル22にノズル詰まりが発生したことを確実に認知することができる。
【0061】
一方、検出部34は、警報状態が継続して成立し続けた時間が前記所定の時間未満であれば(ステップS4:No)、検知信号を出力せずにステップS3に戻る。
【0062】
以上の室外機10によれば、検出部34が噴霧ノズル22のノズル詰まりを検出して報知部30がこのノズル詰まりを知らせることにより、作業者等が噴霧ノズル22のノズル詰まりを確実に認知することができる。
【0063】
また、本実施形態の室外機10では、検出部34が吸込み空気の温度から基準温度を求めるため、吸い込み空気の温度を測定する温度センサ18以外に外気温を測定するための外気温度センサ等を設けなくてもよい。
【0064】
また、本実施形態の室外機10では、警報状態が所定の時間以上継続して成立したときに検出部34が検知信号を報知部30に出力するため、誤検出を防いでノズル詰まりをより確実に検出することが可能となる。
【0065】
尚、本発明の空気調和装置の室外機は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0066】
検出部の具体的構成は、限定されない。即ち、検出部は、噴霧ノズル22から噴霧される水の量が減ることに起因する所定の測定値の変化からノズル詰まりを検出する構成であればよい。このように、噴霧ノズル22から噴霧される水の量が減ることに起因する所定の測定値の変化から、噴霧ノズル22においてノズル詰まりが発生したことを間接的に検出することにより、噴霧ノズル22に検出機構等を設けて噴霧ノズル22の噴霧孔229がゴミ等によって塞がれているか否かを直接的に検出する場合のように噴霧ノズルの大型化を伴うことなくノズル詰まりの検出が可能となる。
【0067】
上記実施形態の検出部34は、ノズル詰まりが生じて噴霧ノズル22から噴霧される水の量が減ることによって熱交換器12に導かれる外気(吸込み空気)の温度が上昇することを利用して、噴霧ノズル22のノズル詰まりを検出しているが、例えば、検出部は、噴霧ノズル22から噴霧される水の量が減ることによって熱交換器(凝縮器として働く熱交換器)12に導かれる吸込み空気の温度が上昇し、これにより、熱交換器12から排出される冷媒圧力(凝縮圧力)が高くなることを利用して、噴霧ノズル22のノズル詰まりを検出してもよい。この場合、具体的には、室外機10Aが、熱交換器12から排出される冷媒の圧力を測定する圧力センサ(圧力測定部)50を備え(図6参照)、検出部が、噴霧ノズル22からの水の噴霧前と噴霧中とにおいて圧力センサ50によってそれぞれ測定される冷媒の圧力(凝縮圧力)の差が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を報知部30へ出力する。
【0068】
また、検出部は、噴霧ノズル22から噴霧される水の量が減ることによって熱交換器(凝縮器として働く熱交換器)12に導かれる吸込み空気の温度が上昇し、これにより、熱交換器12から排出される冷媒温度が高くなることを利用して、噴霧ノズル22のノズル詰まりを検出してもよい。この場合、具体的には、室外機10Bが、熱交換器12から排出される冷媒の温度を測定する冷媒温度センサ(冷媒温度測定部)52を備え(図7参照)、検出部が、噴霧ノズル22からの水の噴霧前と噴霧中とにおいて冷媒温度センサ52によってそれぞれ測定される冷媒の温度(凝縮後の冷媒温度)の差が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を報知部30へ出力する。
【0069】
また、検出部は、噴霧ノズル22から噴霧される水の量が減ることによって噴霧ノズル22に供給される水の流量が低下することを利用して、噴霧ノズル22のノズル詰まりを検出してもよい。この場合、具体的には、室外機10Cが、噴霧ノズル22に供給される水の流量を測定する流量センサ(流量測定部)54を備え(図8参照)、検出部が、流量測センサ54によって測定された流量が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を報知部30へ出力する。
【0070】
上記実施形態の室外機10では、吸込み空気用ファン14は、ケーシング11内に引き込んだ空気(外気)を上方に向けて吹き出すように設けられているが、この位置に限定されず、前記空気をケーシング11から横向きに吹き出すように設けられてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 空気調和装置
10 室外機
12 熱交換器
18 温度センサ(吸込み空気温度測定部)
22 噴霧ノズル
30 報知部
34 検出部
50 圧力センサ(圧力測定部)
52 冷媒温度センサ(冷媒温度測定部)
54 流量測センサ(流量測定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置(1)の室外機(10)であって、
熱交換器(12)と、
前記熱交換器(12)を冷却するための水を噴霧する噴霧ノズル(22)と、
前記噴霧ノズル(22)のノズル詰まりを検出する検出部(34)と、
前記検出部(34)による検出結果に基づいてノズル詰まりの発生を知らせる報知部(30)と、を備える空気調和装置の室外機。
【請求項2】
前記熱交換器(12)へ導かれる外気である吸込み空気の温度を測定する吸込み空気温度測定部(18)を備え、
前記噴霧ノズル(22)は、前記吸込み空気の流れにおいて前記熱交換器(12)の上流側に配置されて当該吸込み空気に対して水を噴霧し、
前記吸込み空気温度測定部(18)は、前記噴霧ノズル(22)と前記熱交換器(12)との間において前記吸込み空気の温度を測定し、
前記検出部(34)は、前記噴霧ノズル(22)からの水の噴霧時に前記吸込み空気温度計測定部(18)によって測定された温度が予め設定された境界値よりも大きな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力する請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項3】
前記検出部(34)は、前記噴霧ノズル(22)から水が噴霧されていない状態の吸込み空気の温度から求められる基準温度の値に予め設定された所定の設定値(α)を加えた値を前記境界値とし、前記吸込み空気温度計測定部(18)によって測定された温度の値が当該境界値よりも大きな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力する請求項2に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項4】
前記熱交換器(12)から排出される冷媒の圧力を測定する圧力測定部(50)を備え、
前記検出部(34)は、前記噴霧ノズル(22)からの水の噴霧前と噴霧中とにおいて前記圧力測定部(50)によってそれぞれ測定される前記冷媒の圧力の差が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力する請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項5】
前記熱交換器(12)から排出される冷媒の温度を測定する冷媒温度測定部(52)を備え、
前記検出部(34)は、前記噴霧ノズル(22)からの水の噴霧前と噴霧中とにおいて前記冷媒温度測定部(52)によってそれぞれ測定される前記冷媒の温度の差が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力する請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項6】
前記噴霧ノズル(22)に供給される水の流量を測定する流量測定部(54)を備え、
前記検出部(34)は、前記流量測定部(54)によって測定された流量が予め設定された所定の境界値よりも小さな値になる警報状態が成立すると検知信号を前記報知部(30)へ出力する請求項1に記載の空気調和装置の室外機。
【請求項7】
前記検出部(34)は、前記警報状態が所定の時間以上継続して成立したときに前記検知信号を前記報知部(30)に出力する請求項2〜6のいずれか1項に記載の空気調和装置の室外機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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