説明

空気調和装置の室外機

【課題】底板の強度を確保しつつ熱交換器下方のドレン排水のための開口面積を大きくすることができる空気調和装置の室外機を提供する。
【解決手段】天板、側板及び底板30からなる略直方体形状のケーシング内において、前記底板に熱交換器が配設されてなる、空気調和装置の室外機であって、前記熱交換器は、前記底板に形成された複数の膨出部60上に載置されている。前記膨出部には前記熱交換器からのドレンを機外に排出する第1排水孔63が形成されており、且つ、前記熱交換器の下方であって前記膨出部以外の底板に、前記第1排水孔よりも小さな第2排水孔65が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和装置の室外機に関する。さらに詳しくは、室外機のケーシングの底板の構造に改良が施された空気調和装置の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和装置の室外機は、通常、直方体形状を呈しており、鋼板で作製された天板、側板及び底板からなるケーシング内に圧縮機や室外側熱交換器などが収容されている。
【0003】
かかる室外機のうち、室外熱交換器が底板の上に載置されるタイプのものでは、室外熱交換器のフィンに付着していた霜がデフロスト時に溶けて落下したドレンを効率よく機外に排出するために、当該室外熱交換器の下方の底板に排水孔を形成することが知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。特許文献1〜2記載の室外機では、室外熱交換器下方の排水孔で排出できなかったドレンを排出するためのサブの排水孔が、室外熱交換器下方以外の底板部分に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−300131号公報
【特許文献2】特開2010−071531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、デフロスト時に発生したドレンが落下する箇所(室外熱交換器のフィンの下方位置)から離れた位置にドレンの排水孔を設けると、室外熱交換器のフィンから落下したドレンが当該排水孔に至る途中でドレンが再凍結する恐れがあるため、排水孔は、室外熱交換器の下方に集中させることが望ましい。
【0006】
排水孔を室外熱交換器の下方に集中させる方法として、各排水孔の面積をできるだけ大きくすることが考えられるが、この方法では、底板の強度が低下してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、底板の強度を確保しつつ熱交換器下方のドレン排水のための開口面積を大きくすることができる空気調和装置の室外機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の空気調和装置の室外機(以下、単に「室外機」ともいう)は、天板、側板及び底板からなる略直方体形状のケーシング内において、前記底板に熱交換器が配設されてなる、空気調和装置の室外機であって、
前記熱交換器は、前記底板に形成された複数の膨出部上に載置されており、
前記膨出部には前記熱交換器からのドレンを機外に排出する第1排水孔が形成されており、且つ、
前記熱交換器の下方であって前記膨出部以外の底板に、前記第1排水孔よりも小さな第2排水孔が形成されていることを特徴としている。
【0009】
本発明の室外機では、ケーシングを構成する底板に形成された複数の膨出部上に熱交換器が載置されている。そして、熱交換器が載置された膨出部にドレンを機外に排出する第1排水孔を形成し、当該熱交換器の下方であって前記膨出部以外の底板に、前記第1排水孔よりも小さな第2排水孔を形成しているので、デフロスト時に熱交換器のフィンから落下したドレンを効率よく当該排水孔から機外に排出することができる。前記第1排水孔は、強度的に補強された膨出部に形成されるので、その開口面積を大きくとることが可能であり、ドレンの排出効率を向上させることができる。
また、第1排水孔及び第2排水孔は熱交換器の下方に形成されているので、熱交換器からのドレンを速やかに機外に排出することができ、熱交換器下方位置から離間した箇所に形成された排水孔からドレンを排出する場合のような「ドレンの再凍結」という問題を回避することができる。
【0010】
(2)前記(1)の室外機において、前記第2排水孔は、隣接する膨出部間に形成されていてもよい。この場合、膨出部に形成された第1排水孔から排出されなかったドレンを第2排水孔から機外に速やかに排出することができる。
【0011】
(3)前記(1)又は(2)の室外機において、前記第1排水孔は、前記膨出部において、熱交換器を通過する空気流の風上側に寄った位置に形成されていることが好ましい。霜は、熱交換器の風上側のフィンに多く付着するが、第1排水孔を、膨出部において当該熱交換器を通過する空気流の風上側に寄った位置に形成することで、ドレンを効率的に機外に排出することができる。
【0012】
(4)前記(1)〜(3)の室外機において、前記膨出部は長丸形状を呈しており、前記熱交換器の平面形状に沿って所定の間隔で配設されていてもよい。
【0013】
(5)前記(4)の室外機において、前記第1排水孔は、長孔からなり、当該長孔の長軸が前記膨出部の長手方向に沿うように膨出部に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の空気調和装置の室外機によれば、底板の強度を確保しつつ熱交換器下方のドレン排水のための開口面積を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係る室外機を有する空気調和装置の冷媒回路を示す模式図である。
【図2】本発明の室外機の一実施の形態の斜視図である。
【図3】図2に示される室外機の天板及び側板を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図2に示される室外機内部の上部側を示す平面説明図である。
【図5】図2に示される室外機内部の下部側を示す平面説明図である。
【図6】図2に示される室外機における底板の平面説明図である。
【図7】図6のA―A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の室外機の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る室外機2を有する空気調和装置1の冷媒回路を示す模式図である。空気調和装置1は、例えばビル用のマルチタイプの空気調和装置であり、1つ又は複数の室外機2に対して複数の室内機3が並列に接続され、冷媒が流通できるように、冷媒回路10が形成されている。
【0017】
室外機2には、圧縮機11、四路切換弁12、室外熱交換器13、室外膨張弁14、及び送風機23等が設けられている。また、室内機3には、室内膨張弁15および室内熱交換器16等が設けられている。四路切換弁12と室内熱交換器16とはガス側冷媒連絡配管17aにより接続され、室外膨張弁14と室内膨張弁15とは液側冷媒連絡配管17bにより接続されている。室外機2の内部冷媒回路の端末部には、ガス側閉鎖弁18と液側閉鎖弁19とが設けられている。ガス側閉鎖弁18は四路切換弁12側に配置されており、液側閉鎖弁19は室外膨張弁14側に配置されている。ガス側閉鎖弁18にはガス側冷媒連絡配管17aが接続され、液側閉鎖弁19には液側冷媒連絡配管17bが接続される。
【0018】
本実施の形態の室外機2には、2台の圧縮機11が並列に設けられている。この2台の圧縮機11は、インバータにより回転数制御が行われる容量可変のインバータ圧縮機と、オンオフ制御がなされる定容量の定容量圧縮機との組合せとしてもよいし、同一容量又は異なる容量の2台のインバータ圧縮機の組合せ、又は2台の定容量圧縮機の組合せとしてもよい。
【0019】
前記構成の空気調和装置1において、冷房運転を行う場合には、四路切換弁12が図1において実線で示す状態に保持される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁12を介して室外熱交換器13に流入し、送風機23の作動により室外空気と熱交換して凝縮・液化する。液化した冷媒は、全開状態の室外膨張弁14を通過し、液側冷媒連絡配管17bを通って各室内機3に流入する。室内機3において、冷媒は、室内膨張弁15で所定の低圧に減圧され、さらに室内熱交換器16で室内空気と熱交換して蒸発する。そして、冷媒の蒸発によって冷却された室内空気は、図示しない室内ファンによって室内に吹き出され、当該室内を冷房する。また、室内熱交換器16で蒸発して気化した冷媒は、ガス側冷媒連絡配管17aを通って室外機2に戻り、圧縮機11に吸い込まれる。
【0020】
一方、暖房運転を行う場合には、四路切換弁12が図1において破線で示す状態に保持される。圧縮機11から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、四路切換弁12を介して各室内機3の室内熱交換器16に流入し、室内空気と熱交換して凝縮・液化する。冷媒の凝縮によって加熱された室内空気は、室内ファンによって室内に吹き出され、当該室内を暖房する。室内熱交換器16において液化した冷媒は、全開状態の室内膨張弁15から液側冷媒連絡配管17bを通って室外機2に戻る。室外機2に戻った冷媒は、室外膨張弁14で所定の低圧に減圧され、さらに室外熱交換器13で室外空気と熱交換して蒸発する。そして、室外熱交換器13で蒸発して気化した冷媒は、四路切換弁12を介して圧縮機11に吸い込まれる。
【0021】
図2は、本発明の室外機の一実施の形態の斜視図、図3は、図2に示される室外機の天板及び側板を取り外した状態を示す斜視図、図4は、図2に示される室外機の内部の上部側を示す平面説明図である。
【0022】
室外機2は、ケーシング22と、このケーシング22の側面に沿うように配置された室外熱交換器13とを有している。ケーシング22は、鋼板などにより略直方体形状に形成されており、底板30、天板31、支柱32、横架材33a〜33d、側板44,54,55等からなっている。
【0023】
図2及び図3に示されるように、底板30は、平面視で四角形状、特に左右方向に長い長方形状に形成されている。底板30の四隅には、それぞれ支柱32の下部がボルト等の連結具によって連結されている。各支柱32は、例えば底板30の隅部の形状に適合する略L字形状のアングル材からなる。
【0024】
図2に示されるように、天板31は、底板30と略同一の平面視で四角形状に形成され、底板30の上方に間隔をあけて配置されている。天板31の四隅には、各支柱32の上端部がボルト等の連結具によって連結されている。天板31には、2つの四角形状の通風口35が左右に並べて形成されており、この通風口35には異物の侵入を防止するためのグリル36が設けられている。
【0025】
図3に示されるように、横架材33a〜33dは、支柱32の上部側であって、天板31から下方に所定の間隔をあけた位置に配置され、前後左右に隣接する支柱32の間に架設されている。そして、ケーシング22は、支柱32及び横架材33a〜33dからなる構造部材によって骨格が形成されており、この骨格に前記底板30、天板31、及び側板44、54、55がビスやボルトで取り付けられている。また、後述するカバー部材21(図3参照)もケーシング22の骨格を形成する構造部材(強度部材)とされている。
【0026】
図4に示されるように、ケーシング22の左右両側に配置された横架材33a、33b、及びケーシング22の後部側に配置された横架材33dは、断面形状が矩形状やL字状等の細長い長尺部材により構成されている。これに対してケーシング22の前部側に配置された横架材(前横架材)33cは、前後方向の幅wがやや広く形成された板材から構成されている。そして、この前横架材33cの上には、電装品ユニット24が配置されている。すなわち、前横架材33cは、電装品ユニット24の支持台として用いられている。電装品ユニット24は、箱形状のケーシングの内部に室外機2全体を制御するための制御基板や圧縮機を制御するためのインバータ基板、その他の電気部品を収容してなる。そして、電装品ユニット24は、室外機2の左右方向の幅の全体又は大部分を占める広い範囲に設けられている。
【0027】
前横架材33cと後横架材33dとの間には、2つの支持台41が左右に並べて架設されている。各支持台41には、送風機23のモータ23aが支持されている。また、図3に示されるように、横架材33a〜33dには、送風機23の外周を囲って通風路を形成するベルマウス42が取り付けられている。電装品ユニット24は、その左右方向の中央部に、左右2つの送風機23の間(ベルマウス42の間)のデッドスペースに突出する突出部24aを有しており、この突出部24aによって電装品ユニット24の内部容量の増大が図られている。
【0028】
図2に示されるように、横梁材33a〜33dと天板31との間に位置するケーシング22の4つの側面には上部側板44が設けられている。送風機23、ベルマウス42、及び電装品ユニット24(図3参照)は、上部側板44や天板31によって覆われることで、外部に露出しないように構成されている。前面の上部側板44は、電装品ユニット24の前面部を開閉自在に閉鎖する蓋部材を構成していてもよい。
【0029】
図5は、図2に示される室外機の内部の下部側を示す平面説明図である。ケーシング22の底板30の上面には、室外熱交換器13、圧縮機11、アキュムレータ45、オイルセパレータ46等の機器が搭載されている。室外熱交換器13は、いわゆるクロスフィン型のフィンアンドチューブ式熱交換器であり、アルミニウム製の多数のフィン47と銅製の伝熱管48とを備えている。伝熱管48は、冷媒が空気と熱交換しながら流通するための冷媒流路を形成しており、複数本が上下方向に並設されている。各伝熱管48は、複数のフィン47を直交状に貫通する共に、室外熱交換器13の両側の側端部でU字状に180度湾曲することによって蛇行している。また、室外熱交換器13の一方の側端部13aには、U字状に湾曲する伝熱管48(U字型配管48a)のみが突出し、他方の側端部13bには、U字状に湾曲する伝熱管48の他、キャピラリーチューブやヘッダー管等を含む配管群49に接続される伝熱管48の端部が突出している。
【0030】
室外熱交換器13は、ケーシング22の4つの側面に沿うように略四角形状に屈曲されている。具体的には、室外熱交換器13は、ケーシング22の前側の側面(前面)に沿う前熱交換部50と、右側の側面に沿う右熱交換部51と、後側の側面(後面)に沿う後熱交換部52と、左側の側面に沿う左熱交換部53とを有している。そして、前熱交換部50と右熱交換部51との間、右熱交換部51と後熱交換部52との間、及び後熱交換部52と左熱交換部53との間が、90度又はそれに近い角度で屈曲されている。そして、本実施の形態では、前熱交換部50の左端部と左熱交換部53の前端部とが、それぞれ室外熱交換器13の一方の側端部13aと他方の側端部13bとを構成している。
【0031】
前熱交換部50は、ケーシング22の前面のうち、概ね右側半分の範囲に沿うように設けられている。そして、左熱交換部53は、ケーシング22の左側面のうち、概ね後側半分の範囲に沿うように設けられている。したがって、室外熱交換器13の一方の側端部13aと、他方の側端部13bとの間、すなわちケーシング22の前面の左側半分と、左側面の前側半分とには、室外熱交換器13が存在しない開口部20が形成されている。
【0032】
図2及び図3に示されるように、開口部20は、支柱32によって2つに分割されている。また、ケーシング22の前面の開口部20aは前側板54a、54bによって閉塞され、ケーシング22の左側面の開口部20bは左側板55によって閉鎖されている。そして、前側板54a、54b及び左側板55を取り外すことによって開口部20a、20bを開放し、室外機本体22の内部と外部とを連通させることができる。なお、図2においては、上部側板44、前側板54a、54b、及び左側板55以外の室外機本体22の側面部分には、側板が設けられておらず、室外熱交換器13がそのまま露出しているが、空気の流通を許容する通風口が形成された側板や、複数本の線材を格子状に組んだ格子状部材を室外熱交換器13と対向する室外機本体22の側面部分に設けてもよい。
【0033】
図5に示されるように、閉鎖弁18、19は、ケーシング22の前面の開口部20aに向くようにブラケット57を介して支持されている。また、配管群49は、左側面の開口部20bの近傍に配置されている。2台の圧縮機11のうち左側に配置された圧縮機11aは、前面の開口部20aを介して前方から略全体を視認できる位置に配置され、右側に配置された圧縮機11bは、開口部20aよりもやや右側に入り込んだ位置に配置されている。また、アキュムレータ45やオイルセパレータ46はケーシング22内の後部側に配置されている。
【0034】
ケーシング22の内部に配置された圧縮機11や弁等の機器は、定期的な点検やメンテナンスの対象となり、これらの作業は開口部20を介して行うことができる。また、ケーシング22に配置された機器の交換作業も開口部20を介して行うことができる。そして、これらの作業を行う際に、メンテナンス等に使用する工具や交換する機器等が室外熱交換器13の側端部13aから突出するU字型配管48aに接触すると、当該U字型配管48aを損傷させてしまうおそれがあるため、本実施の形態の室外機2には、U字型配管48aを覆うカバー部材21が設けられており、このカバー部材21によってU字型配管48aが保護されている。
【0035】
本発明の室外機2は、前述したケーシング22を構成する底板30の構造に特徴がある。図6は、図2に示される室外機2における底板30の平面説明図であり、図7は、図6のA―A線断面図である。
【0036】
底板30は、前述したように、平面視で四角形状、特に左右方向に長い長方形状を呈しており、鋼板をプレス加工することで作製することができる。底板30の周縁部には、室外熱交換器13の平面形状に合わせて複数の膨出部60、具体的には14個の膨出部60が形成されている。膨出部60は、底板30の4つの辺のすべてについて辺長の全体に亘って形成されているわけではないが、各辺について、少なくともその一部に沿って配設されている。図6に示される例では、上辺と右辺は、辺長の全体に亘って膨出部60が配設されており、下辺と左辺は、辺長の一部に沿ってだけ膨出部60が配設されている。室外熱交換器13は、このように略C字状に配置された膨出部60の上に載置される。
【0037】
一方、底板30の中央部には、室外熱交換器13で囲まれた空間に配設される圧縮機11やアキュムレータ45などの機器を載置するための凸部61及び補強用の帯状凹部62が、前記膨出部60と同様にプレス加工により形成されている。凸部61及び帯状凹部62の位置及び形状は、圧縮機1などの機器類の配置箇所や底板30に要求される強度などに応じて適宜選定することができる。
【0038】
本実施の形態における膨出部60は、載置面積が小さい小膨出部60aと、この小膨出部60aより載置面積が大きい大膨出部60bとを有している。小膨出部60a及び大膨出部60bは、いずれも長丸形状を呈しており、小膨出部60aには1つの長孔63が形成されており、大膨出部60bには2つの長孔63が形成されている。長孔63は、デフロスト時において室外熱交換器13のフィンに付着した霜が溶けて落下したドレンを機外に直接に排出する排水孔(第1排水孔)として機能し、いずれの長孔63も、その長軸が、小膨出部60a及び大膨出部60bの長手方向に沿うように形成されている。また、大膨出部60bに形成される2つの長孔63は、当該大膨出部60bの長手方向に沿って所定の間隔をあけて連なって形成されている。
【0039】
ドレン排出孔としての長孔63が、室外熱交換器13が載置される膨出部60に形成されている、つまり室外熱交換器13の下方に形成されているので、ドレンを効率よく当該長孔63から機外に排出することができる。しかも、前記長孔63は、排水チューブなどを経由して機外にドレンを排出するのではなく、ドレンを「直接に」機外に排出することができるので、室外熱交換器13のフィンから落下したドレンが機外に排出される前に底板30の内表面や前記排水チューブ内などで再凍結することがない。
【0040】
本実施の形態では、底板30の4つの隅部のうち3つの隅部(図6に示される例では、左上隅部、右上隅部及び右下隅部)において、一対の大膨出部60bが互いに近接して配設されている。これにより、当該3つの隅部の強度を向上させることができる。
【0041】
膨出部60は、これを形成しない場合に比べ、荷重に対する強度を大きくすることができるので、当該膨出部60に形成される長孔63の面積を大きくすることができる。これにより、室外熱交換器13からのドレンを効率よく機外に排出することができる。
【0042】
本実施の形態における長孔63は、図6に示されるように、膨出部60の平坦な上面64において、底板30の外側寄りの位置に形成されている。本実施の形態に係る室外機2では、装置上部に配設された送風機23によって、室外熱交換器13の外方から機内に向けて吸引された外気が天板31に配設されたグリル36から機外に排気される。このため、室外熱交換器13のフィンにおいて、内側の部分よりも、外気の風上側に位置する外側の部分に多くの霜が付着する。したがって、長孔63を外側寄りの位置(風上側寄りの位置)に形成することで、デフロスト時に発生するドレンを効率よく集めて機外に排出することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、互いに隣接する膨出部60と膨出部60の間、並びに線状に配置された一連の膨出部60のうち最初の膨出部60−fの手前及び最後の膨出部60−eの奥側にサブの排出孔としての丸孔65(第2排水孔)が形成されている。換言すれば、各膨出部60の長手方向を基準として、膨出部60の両側に丸孔65が形成されている。
【0044】
前記丸孔65は、底板30の周縁部において、当該底板30の外形に沿って、且つ、室外熱交換器13の下方に位置するように形成された溝66の底部66aに形成されている。溝66は、図7に示されるように、底部66aの両側に傾斜面66bを有している。傾斜面66bの傾斜角は、排水性などを考慮して適宜選定することができる。この丸孔65も、外気に開放されているので、室外熱交換器13から落下し、前記傾斜面66bを経由して丸孔65に達したドレンは、当該丸孔65から直接に機外に排出される。丸孔65が形成される溝66の底部66aは、膨出部60に比べると強度が小さいので、前記長孔63のように開口面積を大きくとることができず、その面積は、長孔63の面積の1/3〜1/5程度である。
【0045】
丸孔65は、室外熱交換器13のフィンから落下したドレンのうち、前記長孔63から機外に排出されずに前記溝66に流れ込んだドレンを機外に排出する。その際、本実施の形態における丸孔65は、図7に示されるように、機外側にフランジ部67が突出するようなバーリング加工が施されている。このため、ドレンが丸孔65の内側(機内側)周縁に表面張力により溜まることがなく、ドレンをスムーズに機外に流すことができる。
【0046】
〔その他の変形例〕
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において種々の変更が可能である。例えば、前述した実施の形態では、第1排水孔を長孔とし、第2排水孔を丸孔としているが、ドレンを排出することができる限り、排水孔の形状は特に限定されるものではなく、例えば、第1排水孔を丸孔とし、第2排水孔を長孔とすることもできる。さらには、長孔や丸孔以外の、例えば多角形状とすることも可能である。
【0047】
また、前述した実施の形態では、室外熱交換器が載置される膨出部の形状を長丸形状としているが、矩形状など他の形状であってもよい。
【0048】
また、前述した実施の形態では、室外熱交換器がケーシングの4つの側板にほぼ対向するように配設されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、室外熱交換器がケーシングの1つの側板、2つの側板又は3つの側板だけに対向して配設されるタイプの室外機にも本発明を適用することができる。これらの場合においても、底板の強度を確保しつつ熱交換器下方のドレン排水のための開口面積を大きくすることができるという効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 空気調和装置
2 室外機
3 室内機
10 冷媒回路
11 圧縮機
13 室外熱交換器
22 ケーシング
30 底板
31 天板
32 支柱
33a〜33d 横架材
35 通風口
36 グリル
60 膨出部
61 凸部
62 帯状凹部
63 長孔(第1排水孔)
65 丸孔(第2排水孔)
66 溝
66a 底部
67 フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板(31)、側板(44,54,55)及び底板(30)からなる略直方体形状のケーシング(22)内において、前記底板(30)に熱交換器(13)が配設されてなる、空気調和装置(1)の室外機(2)であって、
前記熱交換器(13)は、前記底板(30)に形成された複数の膨出部(60)上に載置されており、
前記膨出部(60)には前記熱交換器(13)からのドレンを機外に排出する第1排水孔(63)が形成されており、且つ、
前記熱交換器(13)の下方であって前記膨出部(60)以外の底板(30)に、前記第1排水孔(63)よりも小さな第2排水孔(65)が形成されていることを特徴とする空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項2】
前記第2排水孔(65)は、隣接する膨出部(60)間に形成されている請求項1に記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項3】
前記第1排水孔(63)は、前記膨出部(60)において、熱交換器(13)を通過する空気流の風上側に寄った位置に形成されている請求項1又は2に記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項4】
前記膨出部(60)は長丸形状を呈しており、前記熱交換器(13)の平面形状に沿って所定の間隔で配設されている請求項1〜3のいずれかに記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。
【請求項5】
前記第1排水孔(63)は、長孔からなり、当該長孔の長軸が前記膨出部(60)の長手方向に沿うように膨出部(60)に形成されている請求項4に記載の空気調和装置(1)の室外機(2)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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