説明

空気調和装置の運転制御装置

【課題】 モータ効率の低下を抑制して省エネルギ化を図る。
【解決手段】 空調負荷に対応して圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧を導出し、この導出した周波数で電圧を圧縮機モータ(CM)に印加して圧縮機(21)の運転容量を制御する。そして、圧縮機モータ(CM)の出力電圧を微小変動させて圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるようにする。加えて、冷媒回路(12)の冷媒挙動が不安定な状態において、供給電流の制御を禁止し、圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧を所定値に保持する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和装置の運転制御装置に関し、特に、圧縮機モータの制御対策に係るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、空気調和装置の圧縮機モータ制御装置には、特公昭63−49478号公報に開示されているように、圧縮機モータに制御電力を供給するインバータの出力周波数及び出力電圧に予め所定の関係(V/F)を保持させ、空調負荷に対応した出力周波数及び出力電圧を導出し、この導出した周波数で電圧を圧縮機モータに印加するようにインバータを制御しているものがある。
【0003】更に、上記圧縮機モータ制御装置は、空調負荷が変動したり、電源電圧が変動すると、圧縮機モータの供給周波数及び印加電圧が最適値より逸脱することになるので、インバータの出力電流を検出し、インバータの出力電圧を微小変動させて圧縮機モータの供給電流が最小となるようにインバータの出力電圧をフィードバック制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した空気調和装置の圧縮機モータ制御装置は、圧縮機モータの供給電流が最小となるように最適制御して省エネルギ化を図っているが、冷媒挙動が不安定な運転状態であると、逆に、モータ効率が悪い場合が生ずるという問題があった。
【0005】つまり、圧縮機を起動した際や圧縮機の供給周波数を変更した直後等においては、冷媒挙動が不安定な運転状態にあり、この運転状態において、モータ制御手段が圧縮機モータの印加電圧をフィードバック制御すると、冷媒挙動に対応した最適な電流を圧縮機モータに供給し得るとは限られず、逆に、必要以上に電流が増加するなど、モータ効率が悪い供給電流になる場合が生ずるという問題があった。
【0006】本発明は、斯かる点に鑑みてなされたもので、モータ効率の低下を抑制して省エネルギ化を図るようにすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−本発明は、空調運転時において、空調負荷に対応して圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧を導出し、この導出した周波数で電圧を圧縮機モータ(CM)に印加して圧縮機(21)の運転容量を制御すると共に、上記圧縮機モータ(CM)の出力電圧を微小変動させて圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるようにする一方、冷媒回路(12)の冷媒挙動が不安定な状態において、供給電流の制御を禁止し、圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧を所定値に保持する。
【0008】−発明の特定事項−具体的に、図1に示すように、請求項1に係る発明が講じた手段は、先ず、運転容量の可変な圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)と膨張機構(EV)と利用側熱交換器(31)とが順に接続されて成る冷媒回路(12)を備えた空気調和装置を前提としている。
【0009】そして、空調負荷に対応した所定の周波数で所定の電圧を圧縮機モータ(CM)に印加し、空調負荷に対応して圧縮機(21)の運転容量を制御する容量制御手段(51)が設けられている。更に、上記圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるように容量制御手段(51)の印加電圧を制御するモータ制御手段(53)が設けられている。加えて、上記冷媒回路(12)の冷媒挙動が不安定な状態において所定時間が経過するまでモータ制御手段(53)の制御を禁止する禁止制御手段(54)が設けられている。
【0010】また、請求項2記載の発明が講じた手段は、上記請求項1記載の発明において、禁止制御手段(54)が、モータ制御手段(53)の制御を禁止し、容量制御手段(51)が設定する圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧に固定保持する構成としている。
【0011】−作用−上記の発明特定事項により、請求項1記載の発明では、冷房運転時及び暖房運転時の何れにおいても、容量制御手段(51)は、圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧を空調負荷に対応して算出する。この圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧に所定の関係(V/F)が予め設定されており、容量制御手段(51)は、算出した周波数で電圧を圧縮機モータ(CM)に印加して圧縮機(21)の運転容量を制御している。
【0012】そして、モータ制御手段(53)は、圧縮機(21)の供給電流を検出し、電圧を微小変動させて圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるように圧縮機モータ(CM)の印加電圧をフィードバック制御し、容量制御手段(51)の印加電圧を最適制御している。
【0013】一方、各種運転時において、禁止制御手段(54)は、冷媒挙動が不安定な状態でモータ制御手段(53)の制御を禁止し、特に、請求項2記載の発明では、容量制御手段(51)の供給周波数及び印加電圧に固定保持する。
【0014】具体的に、圧縮機(21)を起動して圧縮機モータ(CM)の供給周波数が所定の周波数になると、禁止制御手段(54)は所定時間が経過するまでモータ制御手段(53)の制御を禁止する。
【0015】また、容量制御手段(51)が圧縮機(21)の供給周波数を変化させた場合、例えば、周波数を上昇した際、圧縮機モータ(CM)の供給周波数が所定の周波数になると、禁止制御手段(54)は所定時間が経過するまでモータ制御手段(53)の制御を禁止する。
【0016】また、暖房運転時にデフロスト条件が成立すると、禁止制御手段(54)はモータ制御手段(53)の制御を禁止する。その後、このデフロスト運転の終了後所定時間が経過すると、禁止制御手段(54)の制御が終了し、モータ制御手段(53)の制御が再開される。
【0017】
【発明の効果】したがって、請求項1及び請求項2記載の発明によれば、冷媒挙動の不安定状態においてモータ制御手段(53)の制御を禁止するようにしたために、モータ効率が悪い電流供給状態を極力回避することができるので、省エネルギ運転を確実に実現することができる。
【0018】つまり、モータ制御手段(53)が最適な電流供給状態にしてモータ効率を高く維持するようにしてるが、冷媒挙動が不安定な運転状態においては、モータ制御手段(53)のフィードバック制御が冷媒挙動に追随せず、モータ効率が悪い供給電流になる場合が生ずることから、モータ制御手段(53)の制御を禁止し、このモータ効率が悪い電流供給状態を極力回避することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】図2に示すように、本実施形態における空気調和装置(10)は、一台の室外ユニット(20)に対して一台の室内ユニット(30)が接続されたいわゆるセパレートタイプの空気調和装置である。
【0021】上記室外ユニット(20)は、インバータにより運転周波数(運転容量)を可変に調節されるロータリタイプの圧縮機(21)と、冷房運転時に図中実線の如く、暖房運転時に図中破線の如く切換わる四路切換弁(22)と、冷房運転時に凝縮器として、暖房運転時に蒸発器として機能する熱源側熱交換器である室外熱交換器(23)と、冷媒を減圧するための膨張回路(24)とを備えており、上記室外熱交換器(23)には室外ファン(Fo)が設けられている。
【0022】また、室内ユニット(30)は、冷房運転時に蒸発器として、暖房運転時に凝縮器として機能する利用側熱交換器である室内熱交換器(31)が配置され、上記室内熱交換器(31)には室内ファン(Fr)が設けられている。
【0023】そして、上記圧縮機(21)と四路切換弁(22)と室外熱交換器(23)と膨張回路(24)と室内熱交換器(31)とは、冷媒配管(11)により順次接続され、冷媒の循環により熱移動を生ぜしめる冷媒回路(12)が構成されている。
【0024】上記膨張回路(24)は、ブリッジ状の方向制御回路(2a)と、該方向制御回路(2a)に接続された一方向通路(2b)とを備え、該一方向通路(2b)には、上流側に位置して液冷媒を貯溜する受液器(2c)と、下流側に位置する膨張機構である開度調整自在な電動膨張弁(EV)とが直列に配置されている。
【0025】上記方向制御回路(2a)は、逆止弁(CV,CV,…)をそれぞれ備えた第1流入路(2d)と第1流出路(2e)と第2流入路(2f)と第2流出路(2g)とがブリッジ状に接続されて構成されている。
【0026】上記第1流入路(2d)は、室外熱交換器(23)が接続される第1接続点(P1)から、一方向通路(2b)の上流端が接続される第2接続点(P2)に向う冷媒流れを形成し、また、第1流出路(2e)は、一方向通路(2b)の下流端が接続される第3接続点(P3)から、室内熱交換器(31)が接続される第4接続点(P4)に向う冷媒流れを形成している。
【0027】上記第2流入路(2f)は、第4接続点(P4)から第2接続点(P2)に向う冷媒流れを形成し、また、第2流出路(2g)は、第3接続点(P3)から第1接続点(P1)に向う冷媒流れを形成している。
【0028】また、上記一方向通路(2b)が接続される方向制御回路(2a)の第2接続点(P2)と第3接続点(P3)との間には、キャピラリチューブ(CP)を有する液封防止通路(2h)が設けられ、該液封防止通路(2h)は、圧縮機(21)の停止時における液封を防止している。尚、上記キャピラリチューブ(CP)の減圧度は、電動膨張弁(EV)よりも十分大きくなるように設定されていて、通常運転時における電動膨張弁(EV)による冷媒流量調節機能を良好に維持し得るように構成されている。
【0029】また、上記受液器(2c)の上部と、常時低圧液ラインとなる一方向通路(2b)における電動膨張弁(EV)より下流側との間には、開閉弁(SV)が設けられて上記電動膨張弁(EV)をバイパスするバイパス通路(2i)が接続されて受液器(2c)内のガス冷媒を抜くようになっている。
【0030】尚、(ER)は、圧縮機(21)の吐出管に設けられて該圧縮機(21)の運転音を低減するための消音器である。
【0031】更に、上記空気調和装置(10)にはセンサ類が設けられている。つまり、上記圧縮機(21)の吐出管には、該圧縮機(21)の吐出側の冷媒圧力相当飽和温度である吐出管温度Tdを検出する吐出管センサ(Th-d)が配置され、室外ユニット(20)の空気吸込口には、室外空気温度である外気温度Taを検出する外気温センサ(Th-a)が配置され、室外熱交換器(23)には、冷房運転時には凝縮温度となり、暖房運転時には蒸発温度となる外熱交温度Tcを検出する外熱交センサ(Th-c)が配置されている。
【0032】また、上記室内ユニット(30)の空気吸込口には、室内空気温度である室内温度Trを検出する室温センサ(Th-r)が配置され、室内熱交換器(31)には、冷房運転時には蒸発温度となり、暖房運転時には凝縮温度となる内熱交温度Teを検出する内熱交センサ(Th-e)が配置されている。
【0033】また、上記圧縮機(21)の吐出管には、高圧冷媒圧力を検出して、該高圧冷媒圧力の過上昇によりオンとなって高圧信号を出力する高圧圧力スイッチ(PS-1)が配置されている。
【0034】そして、上記各センサ(Th-d〜Th-e)及び高圧圧力スイッチ(PS-1)の出力信号は、コントローラ(50)に入力されており、該コントローラ(50)は、入力信号に基づいて空調運転を制御するように構成されている。
【0035】上述した冷媒回路(12)において、冷房運転時には、室外熱交換器(23)で凝縮して液化した液冷媒が第1流入路(2d)を通って受液器(2c)に貯溜され、電動膨張弁(EV)で減圧した後、第1流出路(2e)を経て室内熱交換器(31)で蒸発して圧縮機(21)に戻る循環となる一方、暖房運転時には、室内熱交換器(31)で凝縮して液化した液冷媒が第2流入路(2f)を通って受液器(2c)に貯溜され、電動膨張弁(EV)で減圧した後、第2流出路(2g)を経て室外熱交換器(23)で蒸発して圧縮機(21)に戻る循環となる。
【0036】一方、上記コントローラ(50)は、圧縮機(21)の運転容量である運転周波数を制御する容量制御手段(51)が設けられている。該容量制御手段(51)は、インバータの出力周波数を8つの周波数ステップNに区分して、各周波数ステップNを設定温度と室内温度Trとの差温に基いて設定して室内温度Trが設定温度になるように圧縮機(21)の運転周波数を制御している。つまり、上記容量制御手段(51)は、インバータの出力周波数及び出力電圧である圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧に予め所定の関係(V/F)を保持させた各周波数ステップNが設定され、この周波数ステップNを設定温度と室内温度Trとの差温に基いて算出し、この算出した周波数ステップNの周波数で電圧を圧縮機モータ(CM)に印加するようにインバータを制御している。
【0037】また、上記コントローラ(50)には、電動膨張弁(EV)の開度を制御する開度制御手段(52)が設けられており、該開度制御手段(52)は、圧縮機(21)の最適吐出管温度を導出して、該吐出管温度Tdが最適吐出管温度になるように電動膨張弁(EV)の開度を制御している。
【0038】また、上記コントローラ(50)には、本発明の特徴として、圧縮機モータ(CM)のモータ制御手段(53)と該モータ制御手段(53)の禁止制御手段(54)とが設けられている。上記モータ制御手段(53)は、容量制御手段(51)が周波数ステップNを算出して圧縮機モータ(CM)に所定の周波数で電圧を印加している状態において、圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるように容量制御手段(51)の印加電圧を制御している。
【0039】つまり、空調負荷が変動したり、電源電圧が変動すると、圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧が最適値より逸脱することになるので、上記モータ制御手段(53)は、インバータの出力電流を検出し、インバータの出力電圧を微小変動させて圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるようにインバータの出力電圧をフィードバック制御し、容量制御手段(51)の印加電圧を最適制御している。
【0040】上記禁止制御手段(54)は、冷媒回路(12)の冷媒挙動が不安定な状態において所定時間が経過するまでモータ制御手段(53)の制御を禁止し、容量制御手段(51)が設定する圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧に固定保持するように構成されている。
【0041】具体的に、図3に示すように、圧縮機(21)を起動して容量制御手段(51)が周波数ステップNを1に設定し、圧縮機モータ(CM)の供給周波数が周波数ステップN1の周波数になると、禁止制御手段(54)は3秒間モータ制御手段(53)の制御を禁止する。
【0042】また、図4に示すように、容量制御手段(51)が周波数ステップNを変化させた場合、例えば、周波数ステップNを上昇した際、圧縮機モータ(CM)の供給周波数が変化後の周波数ステップNの周波数になると、禁止制御手段(54)は3秒間モータ制御手段(53)の制御を禁止する。
【0043】また、図5に示すように、コントローラ(50)は、圧縮機モータ(CM)の供給電流が垂下レベルまで上昇し、高圧冷媒圧力が過上昇して高圧圧力スイッチ(PS-1)が作動すると、上記供給電流を復帰レベルまで垂下させる電流垂下制御を行うが、この垂下制御時に禁止制御手段(54)はモータ制御手段(53)の制御を禁止する。つまり、上記供給電流が垂下レベルから復帰レベルまで垂下する間はモータ制御手段(53)の制御を禁止する。
【0044】また、図6に示すように、コントローラ(50)は、暖房運転時にデフロスト条件が成立すると四路切換弁(22)を冷房運転状態に切り換えて逆サイクルデフロスト運転を実行するが、このデフロスト条件が成立してデフロスト許可状態になってからデフロスト運転の終了後8分が経過するまで、禁止制御手段(54)はモータ制御手段(53)の制御を禁止する。
【0045】つまり、何れの運転状態においても、冷媒挙動が不安定な運転状態であり、この運転状態において、モータ制御手段(53)が圧縮機モータ(CM)の印加電圧をフィードバック制御すると、冷媒挙動に対応した最適な電流を圧縮機モータ(CM)に供給し得るとは限られず、逆に、モータ効率が悪い供給電流になる場合が生ずることから、禁止制御手段(54)がモータ制御手段(53)の制御を禁止して容量制御手段(51)が設定する所定の供給周波数及び印加電圧に固定するようにしている。
【0046】−空気調和装置(10)の制御動作−次に、上記空気調和装置(10)における圧縮機モータ(CM)などの制御動作について説明する。
【0047】先ず、冷房運転時及び暖房運転時の何れにおいても、容量制御手段(51)は、インバータの周波数ステップNを設定温度と室内温度Trとの差温に基いて算出する。この周波数ステップNには、予め圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧に所定の関係(V/F)が設定されており、容量制御手段(51)は、算出した周波数ステップNの周波数で電圧を圧縮機モータ(CM)に印加して圧縮機(21)の運転周波数(運転容量)を制御している。
【0048】また、開度制御手段(52)は、圧縮機(21)の最適吐出管温度を導出して、該吐出管温度Tdが最適吐出管温度になるように電動膨張弁(EV)の開度を制御して冷媒回路(12)の冷媒循環量を制御する。
【0049】一方、モータ制御手段(53)は、インバータの出力電流を検出し、インバータの出力電圧を微小変動させて圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるようにインバータの出力電圧をフィードバック制御し、容量制御手段(51)の印加電圧を最適制御している。
【0050】また、各種運転時において、禁止制御手段(54)は、冷媒挙動が不安定な状態でモータ制御手段(53)の制御を禁止しているので、この禁止制御について説明する。
【0051】図3に示すように、A1点において、圧縮機(21)を起動して容量制御手段(51)が周波数ステップNを1に設定すると、圧縮機(21)が起動する。その後、A2点において、圧縮機モータ(CM)の供給周波数が周波数ステップN1の周波数になると、禁止制御手段(54)は3秒間モータ制御手段(53)の制御を禁止し、この3秒が経過すると(図3のA3参照)、禁止制御手段(54)の制御が終了し、モータ制御手段(53)の制御が開始されて、容量制御手段(51)の印加電圧が最適制御される。
【0052】また、図4に示すように、B1点において、容量制御手段(51)が周波数ステップNを変化させた場合、例えば、周波数ステップNを上昇した際、圧縮機モータ(CM)の供給周波数が変化後の周波数ステップNの周波数になると(図4のB2参照)、禁止制御手段(54)は3秒間モータ制御手段(53)の制御を禁止する。その後、この3秒が経過すると(図4のB3参照)、禁止制御手段(54)の制御が終了し、モータ制御手段(53)の制御が再開されて、容量制御手段(51)の印加電圧が最適制御される。
【0053】また、図5に示すように、冷暖房運転時に、C1点において、圧縮機モータ(CM)の供給電流が垂下レベルまで上昇し、高圧冷媒圧力が過上昇して高圧圧力スイッチ(PS-1)が作動すると、コントローラ(50)は供給電流を復帰レベルまで垂下させる電流垂下制御を行う。その際、禁止制御手段(54)はモータ制御手段(53)の制御を禁止する。その後、C2点において、圧縮機モータ(CM)の供給電流が復帰レベルまで低下すると、禁止制御手段(54)の制御が終了し、モータ制御手段(53)の制御が再開されて、容量制御手段(51)の印加電圧が最適制御される。
【0054】また、図6に示すように、D1点において、暖房運転時にデフロスト条件が成立してデフロスト許可状態になると、禁止制御手段(54)はモータ制御手段(53)の制御を禁止する。その後、コントローラ(50)は圧縮機(21)の周波数ステップNを所定値に設定し(D2点参照)、続いて、四路切換弁(22)を冷房運転状態に切り換えて逆サイクルデフロスト運転を実行する。
【0055】更に、D3点において、デフロスト運転の終了条件が成立すると、例えば、外熱交センサ(Th-c)が所定温度を検出すると、コントローラ(50)は圧縮機(21)の周波数ステップNを最大周波数ステップN8から所定値に設定する。その後、D4点において、デフロスト運転が終了すると、四路切換弁(22)を暖房運転状態に切り換えた後、周波数ステップNを上昇させる。そして、このデフロスト運転の終了後8分が経過すると、D5点において、禁止制御手段(54)の制御が終了し、モータ制御手段(53)の制御が再開されて、容量制御手段(51)の印加電圧が最適制御される。
【0056】−本実施形態の効果−以上のように、本実施形態によれば、冷媒挙動の不安定状態においてモータ制御手段(53)の制御を禁止するようにしたために、モータ効率が悪い電流供給状態を極力回避することができるので、省エネルギ運転を確実に実現することができる。
【0057】つまり、モータ制御手段(53)が最適な電流供給状態にしてモータ効率を高く維持するようにしてるが、冷媒挙動が不安定な運転状態においては、モータ制御手段(53)のフィードバック制御が冷媒挙動に追随せず、モータ効率が悪い供給電流になる場合が生ずることから、モータ制御手段(53)の制御を禁止し、このモータ効率が悪い電流供給状態を極力回避することができる。
【0058】
【発明の他の実施の形態】本実施形態においては、セパレートタイプの空気調和装置(10)について説明したが、本発明は、マルチ型の空気調和装置などに適用してもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態を示す冷媒回路図である。
【図3】起動時の圧縮機モータの供給周波数を示す特性図である。
【図4】周波数変更時の圧縮機モータの供給周波数を示す特性図である。
【図5】垂下制御時の圧縮機モータの供給周波数を示す特性図である。
【図6】デフロスト運転時の圧縮機モータの供給周波数を示す特性図である。
【符号の説明】
10 空気調和装置
12 冷媒回路
20 室外ユニット
21 圧縮機
22 四路切換弁
23 室外熱交換器(熱源側熱交換器)
EV 電動膨張弁(膨張機構)
30 室内ユニット
31 室内熱交換器(利用側熱交換器)
50 コントローラ
51 容量制御手段
52 開度制御手段
53 モータ制御手段
54 禁止制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 運転容量の可変な圧縮機(21)と熱源側熱交換器(23)と膨張機構(EV)と利用側熱交換器(31)とが順に接続されて成る冷媒回路(12)を備えた空気調和装置において、空調負荷に対応した所定の周波数で所定の電圧を圧縮機モータ(CM)に印加し、空調負荷に対応して圧縮機(21)の運転容量を制御する容量制御手段(51)と、上記圧縮機モータ(CM)の供給電流が最小となるように容量制御手段(51)の印加電圧を制御するモータ制御手段(53)と、上記冷媒回路(12)の冷媒挙動が不安定な状態において所定時間が経過するまでモータ制御手段(53)の制御を禁止する禁止制御手段(54)とを備えていることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
【請求項2】 請求項1記載の空気調和装置の運転制御装置において、禁止制御手段(54)は、モータ制御手段(53)の制御を禁止し、容量制御手段(51)が設定する圧縮機モータ(CM)の供給周波数及び印加電圧に固定保持することを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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