空気調和装置及び空気調和方法
【課題】室内に居る人の快適温度を実現する空気調和装置及び空気調和方法を提供する。
【解決手段】被空調者の動静脈吻合(AVA)が開放して血流量が増加することにより上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する際の室内温度を維持する空調制御を行う。すなわち、所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の所定空間の空気温度を検出し、この検出された空気温度を維持するように空調制御を行う。
【解決手段】被空調者の動静脈吻合(AVA)が開放して血流量が増加することにより上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する際の室内温度を維持する空調制御を行う。すなわち、所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の所定空間の空気温度を検出し、この検出された空気温度を維持するように空調制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温変化に基づいて室内の温度調節を行う空気調和装置及び空気調和方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の空気調和装置の多くは、被空調者が適宜リモートコントローラ等を用いて設定した室内温度に基づいて空調制御を行う。このような被空調者の切り替え操作に基づく空調制御は、設定温度の立ち上がり時において図22の(a)及び(b)に示すような突発的な温度変化を生じ、快適な室内温度を実現することが難しい。
【0003】
そこで、従来より、被空調者の体温変化に応じて空調制御を行う空気調和装置が開発されている。例えば特許文献1には、赤外線センサを用いて被空調者の顔部の皮膚温度を測定し、この測定結果に基づいて空調制御を行う方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−178064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような被空調者の体温変化に応じた空調制御であっても、被空調者の体温は、環境温度変化に関わらずほぼ一定に保たれるため、被空調者の温冷感を適切に把握することが難しかった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、被空調者の温冷感に適応した空調制御を行う空気調和装置及び空気調和方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、所定空間の空気温度を調節する空気調和装置において、上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出する皮膚温度センサと、上記皮膚温度センサによって検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出する検出手段と、上記検出手段によって検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行う空調制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、上述した目的を達成するために、本発明は、所定空間の空気温度を調節する空気調和方法において、上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、当該検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出し、当該検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、動静脈吻合(AVA(arteriovenous anastomoses))が開放して血流量が増加することにより上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する際の室内温度を維持する空調制御を行うものである。すなわち、本発明は、所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の所定空間の空気温度を検出し、この検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことにより、被空調者の温冷感に適応した快適な空調制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本実施の形態における空気調和装置は、動静脈吻合(以下、AVAと記載する。)の開閉運動の影響が大きく表れる上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度変化を検出して室内を温度調節する空調制御を行うものである。
【0012】
AVAは、細動脈を流れてきた血液を毛細血管に流さずに細静脈へと流すバイパス血管である。AVAは、表皮の血管内に存在し、開閉運動を行うことにより血管を収縮又は拡張させる。ヒトは、外気温が低いときは、体温の放散を防ぐためにAVAを閉じて血管を収縮させて皮膚表面の血流量を減少させ、外気温が高いときは、AVAを開放して血管を拡張させて皮膚表面の血流量を増加させ、熱放散を促進させる。
【0013】
図1は、空気調和装置により、室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対する室内温度変化、及び各部位の皮膚の温度変化を示す図である。図1に示すように、額、胸、大腿、足背等の皮膚温度に比べて手先及び足先の皮膚温度は、室内温度の影響を大きく受けることがわかる。ヒトの手先の皮膚温度は、暖房開始後20分から30分の間に急上昇する。これは、AVAが開放して血流量が上昇するためであると考えられる。ヒトは、恒温動物であり、体温を一定に保とうとするが、上肢末梢部(手の甲及び手のひらから指先まで)及び/又は下肢末梢部(足の甲及び足の裏から指先まで)においては、体積が小さいためにAVAによる血管拡張運動の影響を大きく受け、ある時間帯で皮膚温度が急上昇する。この図1に示す例では、AVAは、暖房開始後20分から30分にかけて開放していると考えられる。
【0014】
また、図2は、空気調和装置により室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対するヒトの温冷感の変化を示す図である。ここで、温冷感は、暑い、寒い等の主観に基づいて、「暑い」が7点、「寒い」が1点、「快適(中立)」が4点として評価される。図2に示すように、温冷感は、この暖房開始後20分から30分において急激に変化している。これより、上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度と温冷感との間には相関関係があると考えられる。
【0015】
本実施の形態における空気調和装置は、このようなAVAの運動特性に着目し、所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の所定空間の空気温度を検出し、この検出された空気温度を維持するように所定空間の空調制御を行うことにより、被空調者の温冷感に適応した快適な空調制御を実現する。
【0016】
図3は、本発明を適用した一実施の形態における空気調和装置100の内部構成を示す図である。なお、本実施の形態では、空気調和装置100を建物の室内に設置した場合について説明する。
【0017】
空気調和装置100において、圧縮機1の吐出口には、四方弁2を介して室外熱交換器3が接続され、室外熱交換器3には、膨張弁4を介して室内熱交換器5が接続されている。室内熱交換器5には、四方弁2を介して圧縮機1の吸込口が接続されている。空気調和装置100は、このような接続により、冷房運転及び暖房運転が可能なヒートポンプ式冷凍サイクルを構成する。
【0018】
冷房運転時には、圧縮機1から吐出される冷媒が実線矢印の方向に流れ、室外熱交換器3が凝縮器、室内熱交換器5が蒸発器として機能する。一方、暖房運転時には、四方弁2の切換により、圧縮機1から吐出される冷媒が破線矢印の方向に流れ、室内熱交換器5が凝縮器、室外熱交換器3が蒸発器として機能する。
【0019】
室外熱交換器3に対しては室外ファン6が設けられ、室内熱交換器5に対しては室内ファン7が設けられている。また、室内ファン7により吸い込まれる室内空気の流路には、室内温度センサ8、室内湿度センサ9、皮膚温度センサ13が設けられている。
【0020】
なお、室外側の圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4、及び室外ファン6、室外温度センサ14は、室外ユニットに設けられ、室内側の室内熱交換器5、室内ファン7、室内温度センサ8、室内湿度センサ9、及び皮膚温度センサ13は、室内ユニットに設けられている。
【0021】
圧縮機1は、回転数可変型(能力可変型)であり、インバータ11から供給される交流電力の周波数に応じた回転数で動作する。インバータ11は、商用交流電源10の電圧を整流し、整流後の直流電圧をマイクロコンピュータ12からの指令に応じた周波数の交流電圧に変換して出力する。
【0022】
皮膚温度センサ13は、所定の時間毎に室内にいる被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出する。
【0023】
図4は、マイクロコンピュータ12の内部構成を示す図である。マイクロコンピュータ12は、CPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)に記憶されている制御プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)上に展開して実行することにより、空気調和装置100の処理全般を制御する。
【0024】
マイクロコンピュータ12は、制御部121と、インターフェース(以下、I/Fと記載する。)122と、メモリカード123と、データ入力部124と、温度設定ボタン125と、運動モード選択ボタン126と、情報入力ボタン127とを備える。マイクロコンピュータ12には、四方弁2、室外ファン6、室内ファン7、インバータ11、室内温度センサ8、室内湿度センサ9、皮膚温度センサ13、及び、室外温度センサ14が接続されている。
【0025】
メモリカード123の所定の領域には、本実施の形態に係る処理動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPUがこのプログラムをメモリカード123より読み出してRAMに展開し、このプログラムに基づく処理を実行する。
【0026】
また、メモリカード123は、I/F122を介して制御部121に接続されている。メモリカード123は、様々な環境温変化に対する人の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度データを記憶するデータベースをメモリ領域の一部に備える。このデータベースは、情報入力ボタン127にて入力された情報に基づいて随時データの内容をより高精度のものに書き換えることが可能である。
【0027】
データ入力部124には、温度設定ボタン125、運転モード選択ボタン126、及び情報入力ボタン127が接続されている。被空調者は、温度設定ボタン125を押して室内温度を指定する。指定された室内温度の情報は、データ入力部124に入力される。また、被空調者は、運転モード選択ボタン126を押して冷房モード、暖房モード、及び快適モードの何れかを選択する。選択されたモードの情報は、データ入力部124に入力される。また、被空調者は、情報入力ボタン127を押して年齢、性別、体脂肪率等の被空調者情報を入力する。入力された被空調者情報は、データ入力部124に入力されてデータベースに記憶される。
【0028】
図5は、制御部121の処理工程を示す機能ブロック図である。なお、本実施の形態では、暖房モード時の処理工程について説明する。
【0029】
検出部121Aは、所定の時間毎の皮膚温度センサ13によって検出された被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇した空調時間を検出する。
【0030】
具体的に、検出部121Aは、皮膚温度センサ13によって検出された空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度と空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度との差が、皮膚温度センサ13によって検出された空調時間T1から空調時間Tnまでの被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度の標準偏差のN倍(1<N)(以下、この値を基準値という。)よりも大きくなった場合に、空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)を被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇した時間とする。
【0031】
ここで、基準値をSとした場合、基準値Sは、空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度をvn(n=1,2,・・・,k)、空調時間T1から空調時間Tnまでの被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度の平均値をvaとして、数式(1)で表される。
【0032】
【数1】
【0033】
図6は、N=4とした場合の皮膚温度差の時間変化を示す図である。この図6に示す例では、空調時間27分において被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇したと考えられる。ここで、空調時間とは、暖房運転又は冷房運転を開始させてからの経過時間をいう。
【0034】
検出部121Aは、空調時間Tn+1における被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度vn+1(n=1,2,・・・,k)と空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度vn(n=1,2,・・・,k)との差が基準値Sよりも大きくなった場合に、空調時間Tn+1における室内温度を室内温度センサ8より入力する。そして、検出部121Aは、この室内温度を最適温度として制御信号生成部121Bに供給する。
【0035】
また、検出部121Aは、検出した最適温度を被空調者情報としてI/F122を介してメモリカード123が備えるデータベースに記憶させることが可能である。なお、被空調者情報としては、最適温度の他に、初期温度、最適温度の設定時間、皮膚温度の温度変化式、被空調者専用ID、被空調者専用パスワード等、種々の情報を挙げることができる。この被空調者情報の記憶処理は、被空調者が情報処理入力ボタン127にて操作することにより選択的に行われる。
【0036】
本実施の形態では、被空調者が再度同じ運転モードを選択した際に、被空調者の選択操作に応じてこのデータベースに記憶された被空調者情報に基づいて室内温度を制御する空調制御を行うようにしてもよい。この場合、空気調和装置100は、データベースに記憶された被空調者情報を参照し、例えば図7に示すように、上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する時間帯の中間点で暖房を止める又は暖房を弱める空調制御を行うことが可能である。
【0037】
また、データベースには、予め、不特定多数人の性別、年齢、体脂肪率等の情報と、これらの情報に対応する最適温度、及び、室内を最適温度に制御する空調時間の情報とが記憶されている。本実施の形態では、被空調者が情報入力ボタン127を介して自身の性別、年齢、体脂肪率等の情報を入力した場合に、制御部121が被空調者の情報とデータベースに予め記憶されている不特定多数人の情報とを参照して被空調者に対する最適温度等を特定し、この特定された情報に基づいて室内温度を制御する空調制御を行うようにしてもよい。
【0038】
制御信号生成部121Bは、室内温度を検出部121Aによって検出された最適温度に制御するための制御信号を生成する。そして、制御信号生成部121Bは、この制御信号を四方弁2、室外ファン6、室内ファン7、インバータ11に出力して室内温度を検出部121Aによって特定された最適温度にする制御を行う。
【0039】
空気調和装置100は、制御信号生成部121Bによって生成された制御信号に基づいて暖房を切る又は弱めることにより、室内温度を最適温度にする。
【0040】
ここで、制御部121の温度制御動作について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
ステップS1において、制御部121は、空調制御動作を開始する。
【0042】
ステップS2において、制御部121における検出部121Aは、皮膚温度センサ13によって検出された空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度と空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度との差を基準値と比較する。
【0043】
検出部121Aは、このステップS2において、被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が基準値よりも大きい場合はステップS3に進み、基準値以下である場合は次の時間の皮膚温度差についてステップS2の比較演算処理を行う。
【0044】
ステップS3において、検出部121Aは、空調時間Tn+1を検出する。
【0045】
ステップS4において、検出部121Aは、ステップS3にて検出した空調時間Tn+1における室内温度を室内温度センサ8より入力し、この室内温度を最適温度として制御信号生成部121Bに供給する。
【0046】
ステップS5において、制御信号生成部121Bは、室内温度を検出部121Aによって検出された最適温度に制御する制御信号を生成する。
【0047】
ステップS6において、制御信号生成部121Bは、生成した制御信号を四方弁2、室外ファン6、室内ファン7、インバータ11に出力し、室内温度を検出部121Aにて検出された最適温度にする制御を行う。
【0048】
ステップS7において、制御部121は、温度制御動作を終了する。
【0049】
以下、本発明を適用した一実施形態における具体的な実験結果を示す。
【0050】
図9は、空気調和装置100が暖房モードにおいて室内温度を2℃/分の速度で上げる際に本実施の形態における温度制御処理を行った場合の結果を示す図である。また、図10は、空気調和装置100が空間温度を2℃/分の速度で上げる際に本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の結果を示す図である。なお、図9に示す例では、室内温度が30℃となった時点で空気調和装置100を停止させた。
【0051】
図9及び図10に示すように、本実施の形態における温度制御処理を行った場合の室内温度、手先及び足先の温度は、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の室内温度、手先及び足先の温度よりも低い値に収束した。
【0052】
図11は、本実施の形態における温度制御処理を行った場合、及び、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の被空調者の温冷感の時間変化を示す図である。室内温度を上昇させてから約45分までは、本実施の形態における温度制御処理を行った場合の温冷感と本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の温冷感とは同じ変化パターンを示したが、約45分を過ぎてからは、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の温冷感のみが「中立」を示すレベル4から「少し暑い」を示すレベル5に推移した。
【0053】
図12は、本実施の形態における温度制御処理を行った場合、及び、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の被空調者の快適度の時間変化を示す図である。室内温度を上昇させてから約60分までは、本実施の形態における温度制御処理を行った場合の快適度と本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の快適度とは同じ変化パターンを示したが、約60分を過ぎてからは、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の快適度のみが「快適」を示すレベル1から「少し不快」を示すレベル2に推移した。
【0054】
このように、空気調和装置100は、AVAが開放して血流量が増加することにより上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する際の室内温度を維持する空調制御を行うことにより、被空調者の温冷感に適応した快適な室内温度を実現することが可能となる。
【0055】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0056】
上述した実施の形態では、本発明を空気調和装置が室内温度を上げる処理に適用する場合について説明したが、本発明を空気調和装置が室内温度を下げる処理に適用するようにしてもよい。
【0057】
図13は、室内温度35℃、湿度60%の人工気象室の室内温度を0.5℃/分の速度で下げた場合の室内温度(PG1温度)及び室内湿度(PG1湿度)、また、この人工気象室の室内温度を0.25/分の速度で下げた場合の室内温度(PG2室内温度)及び室内湿度(PG2湿度)の時間変化を示す図である。この図13に示す室内環境において、札幌、新潟、神奈川、静岡、愛知、徳島、福岡、及び沖縄出身者の手先の皮膚温度、足先の皮膚温度、温冷感、及び快適度の時間変化をそれぞれ測定した。
【0058】
図14(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、図14(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図である。また、図15(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、図15(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図である。図14及び図15に示すように、手先及び足先の皮膚温度は、ともに室内温度に応じて徐々に下がった。
【0059】
ここで、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の温冷感、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の温冷感は、それぞれ図16(A)、図16(B)に示すように変化した。また、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の快適度、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の快適度は、それぞれ図17(A)、図17(B)に示すように変化した。
【0060】
このように、環境温度を下げた場合、ヒトの手先及び足先の皮膚温度は、温冷感と相関しながら下がっていく。これは、上肢末梢部及び下肢末梢部に多く存在するAVAが徐々に閉鎖して血流量を減少させるためであると考えられる。
【0061】
空気調和装置100は、室内温度を下げる場合、被空調者又は不特定多数人の手先又は足先の皮膚温度の温度変化を測定し、温冷感と皮膚温度との関係式を算出し、この関係式から最適温度を特定する。そして、空気調和装置100は、室内温度をこの特定した最適温度にするような制御信号を生成して空調制御を行う。なお、空気調和装置100は、温冷感と皮膚温度との関係式、及び検出された快適温度を被空調者情報としてデータベースに記憶させてもよい。
【0062】
このような温度制御処理を行った場合、手先の皮膚温度、足先の皮膚温度、温冷感、及び快適度は、それぞれ図18、図19、図20、図21に示すような時間変化を示した。
【0063】
空気調和装置100は、室内温度が予め設定された設定温度以下になった時点で冷房運転を止める空調制御を行う。この設定温度は、被空調者の入力操作によって設定されるようにしてもよい。
【0064】
空気調和装置100が冷房運転を止めて室温が徐々に上昇すると、被空調者は、室内温度が所定の温度に達した時点で暑いと感じる。この際、被空調者は、AVAが開放されることにより血流量が増加し、上肢末梢部及び下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する。空気調和装置100は、上述の実施の形態で説明したように、室内に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の室内温度を検出し、検出された室内温度を維持するように空調制御を行う。
【0065】
また、上述した実施の形態では、空気調和装置を建物の室内に設置した場合について説明したが、空気調和装置の設置場所はこれに限らず、例えば自動車内部に設置してもよい。被空調者がドライバーである場合、皮膚温度センサは、自動車のハンドル表面に備えられ、ハンドルを握った被空調者の手の指先、手のひら等の皮膚温度を検出するようにしてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、メモリカード123に最適温度や被空調者によって入力された情報を記憶させた場合について説明したが、入力された情報は、例えばパーソナルコンピュータ等に記憶させてもよい。このようにメモリカード123等を利用することにより各モードのデータの更新を容易に行うことができる。また、メモリの種類は、カード型、USBキー型など、種々の型を利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】空気調和装置が室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対する室内温度変化、及び各部位の皮膚の温度変化を示す図である。
【図2】空気調和装置により室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対する人の温冷感の変化を示す図である。
【図3】本発明を適用した一実施形態における空気調和装置の内部構成を示す図である。
【図4】空気調和装置が備えるマイクロコンピュータの内部構成を示す図である。
【図5】空気調和装置が備える制御部の処理工程を示す機能ブロック図である。
【図6】N=4とした場合の皮膚温度差の時間変化を示す図である。
【図7】上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する時間帯の中間点で暖房を止める又は暖房を弱める空調制御を行った際の皮膚温度及び室内温度の時間変化を示す図である。
【図8】空気調和装置が備える制御部の温度制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】温度制御処理を行った空調制御による皮膚温度及び室内温度の時間変化を示す図である。
【図10】温度制御処理を行わなかった空調制御による皮膚温度及び室内温度の時間変化を示す図である。
【図11】温度制御処理を行った空調制御、及び、温度制御処理を行わなかった空調制御による被空調者の温冷感の時間変化を示す図である。
【図12】温度制御処理を行った空調制御、及び、温度制御処理を行わなかった空調制御による被空調者の快適度の時間変化を示す図である。
【図13】室内温度35℃、湿度60%の人工気象室の室内温度を0.5℃/分の速度で下げた場合の室内温度(PG1温度)及び室内湿度(PG1湿度)、この人工気象室の室内温度を0.25/分の速度で下げた場合の室内温度(PG2室内温度)及び室内湿度(PG2湿度)の時間変化を示す図である。
【図14】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図である。
【図15】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図である。
【図16】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の温冷感の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の温冷感の時間変化を示す図である。
【図17】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の快適度の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の快適度の時間変化を示す図である。
【図18】温度制御処理を施した空調制御による手先の皮膚温度の時間変化を示す図である。
【図19】温度制御処理を施した空調制御による足先の時間変化を示す図である。
【図20】温度制御処理を施した空調制御による温冷感の時間変化を示す図である。
【図21】温度制御処理を施した空調制御による快適度の時間変化を示す図である。
【図22】従来の空気調和装置の空調制御による室内温度の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 圧縮機、2 四方弁、3 室外熱交換器、4 膨張弁、5 室内熱交換器、8 室内温度センサ、12 マイクロコンピュータ、13 皮膚温度センサ、14 室外温度センサ、100 空気調和装置、121 制御部、121A 検出部、121B 制御信号生成部、122 インターフェース(I/F)、123 メモリカード、124 データ入力部、125 温度設定ボタン、126 運転モード選択ボタン、127 情報入力ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温変化に基づいて室内の温度調節を行う空気調和装置及び空気調和方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の空気調和装置の多くは、被空調者が適宜リモートコントローラ等を用いて設定した室内温度に基づいて空調制御を行う。このような被空調者の切り替え操作に基づく空調制御は、設定温度の立ち上がり時において図22の(a)及び(b)に示すような突発的な温度変化を生じ、快適な室内温度を実現することが難しい。
【0003】
そこで、従来より、被空調者の体温変化に応じて空調制御を行う空気調和装置が開発されている。例えば特許文献1には、赤外線センサを用いて被空調者の顔部の皮膚温度を測定し、この測定結果に基づいて空調制御を行う方法が記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−178064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような被空調者の体温変化に応じた空調制御であっても、被空調者の体温は、環境温度変化に関わらずほぼ一定に保たれるため、被空調者の温冷感を適切に把握することが難しかった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、被空調者の温冷感に適応した空調制御を行う空気調和装置及び空気調和方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明は、所定空間の空気温度を調節する空気調和装置において、上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出する皮膚温度センサと、上記皮膚温度センサによって検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出する検出手段と、上記検出手段によって検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行う空調制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、上述した目的を達成するために、本発明は、所定空間の空気温度を調節する空気調和方法において、上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、当該検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出し、当該検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、動静脈吻合(AVA(arteriovenous anastomoses))が開放して血流量が増加することにより上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する際の室内温度を維持する空調制御を行うものである。すなわち、本発明は、所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の所定空間の空気温度を検出し、この検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことにより、被空調者の温冷感に適応した快適な空調制御が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
本実施の形態における空気調和装置は、動静脈吻合(以下、AVAと記載する。)の開閉運動の影響が大きく表れる上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度変化を検出して室内を温度調節する空調制御を行うものである。
【0012】
AVAは、細動脈を流れてきた血液を毛細血管に流さずに細静脈へと流すバイパス血管である。AVAは、表皮の血管内に存在し、開閉運動を行うことにより血管を収縮又は拡張させる。ヒトは、外気温が低いときは、体温の放散を防ぐためにAVAを閉じて血管を収縮させて皮膚表面の血流量を減少させ、外気温が高いときは、AVAを開放して血管を拡張させて皮膚表面の血流量を増加させ、熱放散を促進させる。
【0013】
図1は、空気調和装置により、室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対する室内温度変化、及び各部位の皮膚の温度変化を示す図である。図1に示すように、額、胸、大腿、足背等の皮膚温度に比べて手先及び足先の皮膚温度は、室内温度の影響を大きく受けることがわかる。ヒトの手先の皮膚温度は、暖房開始後20分から30分の間に急上昇する。これは、AVAが開放して血流量が上昇するためであると考えられる。ヒトは、恒温動物であり、体温を一定に保とうとするが、上肢末梢部(手の甲及び手のひらから指先まで)及び/又は下肢末梢部(足の甲及び足の裏から指先まで)においては、体積が小さいためにAVAによる血管拡張運動の影響を大きく受け、ある時間帯で皮膚温度が急上昇する。この図1に示す例では、AVAは、暖房開始後20分から30分にかけて開放していると考えられる。
【0014】
また、図2は、空気調和装置により室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対するヒトの温冷感の変化を示す図である。ここで、温冷感は、暑い、寒い等の主観に基づいて、「暑い」が7点、「寒い」が1点、「快適(中立)」が4点として評価される。図2に示すように、温冷感は、この暖房開始後20分から30分において急激に変化している。これより、上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度と温冷感との間には相関関係があると考えられる。
【0015】
本実施の形態における空気調和装置は、このようなAVAの運動特性に着目し、所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の所定空間の空気温度を検出し、この検出された空気温度を維持するように所定空間の空調制御を行うことにより、被空調者の温冷感に適応した快適な空調制御を実現する。
【0016】
図3は、本発明を適用した一実施の形態における空気調和装置100の内部構成を示す図である。なお、本実施の形態では、空気調和装置100を建物の室内に設置した場合について説明する。
【0017】
空気調和装置100において、圧縮機1の吐出口には、四方弁2を介して室外熱交換器3が接続され、室外熱交換器3には、膨張弁4を介して室内熱交換器5が接続されている。室内熱交換器5には、四方弁2を介して圧縮機1の吸込口が接続されている。空気調和装置100は、このような接続により、冷房運転及び暖房運転が可能なヒートポンプ式冷凍サイクルを構成する。
【0018】
冷房運転時には、圧縮機1から吐出される冷媒が実線矢印の方向に流れ、室外熱交換器3が凝縮器、室内熱交換器5が蒸発器として機能する。一方、暖房運転時には、四方弁2の切換により、圧縮機1から吐出される冷媒が破線矢印の方向に流れ、室内熱交換器5が凝縮器、室外熱交換器3が蒸発器として機能する。
【0019】
室外熱交換器3に対しては室外ファン6が設けられ、室内熱交換器5に対しては室内ファン7が設けられている。また、室内ファン7により吸い込まれる室内空気の流路には、室内温度センサ8、室内湿度センサ9、皮膚温度センサ13が設けられている。
【0020】
なお、室外側の圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、膨張弁4、及び室外ファン6、室外温度センサ14は、室外ユニットに設けられ、室内側の室内熱交換器5、室内ファン7、室内温度センサ8、室内湿度センサ9、及び皮膚温度センサ13は、室内ユニットに設けられている。
【0021】
圧縮機1は、回転数可変型(能力可変型)であり、インバータ11から供給される交流電力の周波数に応じた回転数で動作する。インバータ11は、商用交流電源10の電圧を整流し、整流後の直流電圧をマイクロコンピュータ12からの指令に応じた周波数の交流電圧に変換して出力する。
【0022】
皮膚温度センサ13は、所定の時間毎に室内にいる被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出する。
【0023】
図4は、マイクロコンピュータ12の内部構成を示す図である。マイクロコンピュータ12は、CPU(Central Processing Unit)がROM(Read Only Memory)に記憶されている制御プログラムを読み出してRAM(Random Access Memory)上に展開して実行することにより、空気調和装置100の処理全般を制御する。
【0024】
マイクロコンピュータ12は、制御部121と、インターフェース(以下、I/Fと記載する。)122と、メモリカード123と、データ入力部124と、温度設定ボタン125と、運動モード選択ボタン126と、情報入力ボタン127とを備える。マイクロコンピュータ12には、四方弁2、室外ファン6、室内ファン7、インバータ11、室内温度センサ8、室内湿度センサ9、皮膚温度センサ13、及び、室外温度センサ14が接続されている。
【0025】
メモリカード123の所定の領域には、本実施の形態に係る処理動作を実行するためのプログラムが記憶されており、CPUがこのプログラムをメモリカード123より読み出してRAMに展開し、このプログラムに基づく処理を実行する。
【0026】
また、メモリカード123は、I/F122を介して制御部121に接続されている。メモリカード123は、様々な環境温変化に対する人の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度データを記憶するデータベースをメモリ領域の一部に備える。このデータベースは、情報入力ボタン127にて入力された情報に基づいて随時データの内容をより高精度のものに書き換えることが可能である。
【0027】
データ入力部124には、温度設定ボタン125、運転モード選択ボタン126、及び情報入力ボタン127が接続されている。被空調者は、温度設定ボタン125を押して室内温度を指定する。指定された室内温度の情報は、データ入力部124に入力される。また、被空調者は、運転モード選択ボタン126を押して冷房モード、暖房モード、及び快適モードの何れかを選択する。選択されたモードの情報は、データ入力部124に入力される。また、被空調者は、情報入力ボタン127を押して年齢、性別、体脂肪率等の被空調者情報を入力する。入力された被空調者情報は、データ入力部124に入力されてデータベースに記憶される。
【0028】
図5は、制御部121の処理工程を示す機能ブロック図である。なお、本実施の形態では、暖房モード時の処理工程について説明する。
【0029】
検出部121Aは、所定の時間毎の皮膚温度センサ13によって検出された被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇した空調時間を検出する。
【0030】
具体的に、検出部121Aは、皮膚温度センサ13によって検出された空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度と空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度との差が、皮膚温度センサ13によって検出された空調時間T1から空調時間Tnまでの被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度の標準偏差のN倍(1<N)(以下、この値を基準値という。)よりも大きくなった場合に、空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)を被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇した時間とする。
【0031】
ここで、基準値をSとした場合、基準値Sは、空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度をvn(n=1,2,・・・,k)、空調時間T1から空調時間Tnまでの被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度の平均値をvaとして、数式(1)で表される。
【0032】
【数1】
【0033】
図6は、N=4とした場合の皮膚温度差の時間変化を示す図である。この図6に示す例では、空調時間27分において被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇したと考えられる。ここで、空調時間とは、暖房運転又は冷房運転を開始させてからの経過時間をいう。
【0034】
検出部121Aは、空調時間Tn+1における被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度vn+1(n=1,2,・・・,k)と空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度vn(n=1,2,・・・,k)との差が基準値Sよりも大きくなった場合に、空調時間Tn+1における室内温度を室内温度センサ8より入力する。そして、検出部121Aは、この室内温度を最適温度として制御信号生成部121Bに供給する。
【0035】
また、検出部121Aは、検出した最適温度を被空調者情報としてI/F122を介してメモリカード123が備えるデータベースに記憶させることが可能である。なお、被空調者情報としては、最適温度の他に、初期温度、最適温度の設定時間、皮膚温度の温度変化式、被空調者専用ID、被空調者専用パスワード等、種々の情報を挙げることができる。この被空調者情報の記憶処理は、被空調者が情報処理入力ボタン127にて操作することにより選択的に行われる。
【0036】
本実施の形態では、被空調者が再度同じ運転モードを選択した際に、被空調者の選択操作に応じてこのデータベースに記憶された被空調者情報に基づいて室内温度を制御する空調制御を行うようにしてもよい。この場合、空気調和装置100は、データベースに記憶された被空調者情報を参照し、例えば図7に示すように、上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する時間帯の中間点で暖房を止める又は暖房を弱める空調制御を行うことが可能である。
【0037】
また、データベースには、予め、不特定多数人の性別、年齢、体脂肪率等の情報と、これらの情報に対応する最適温度、及び、室内を最適温度に制御する空調時間の情報とが記憶されている。本実施の形態では、被空調者が情報入力ボタン127を介して自身の性別、年齢、体脂肪率等の情報を入力した場合に、制御部121が被空調者の情報とデータベースに予め記憶されている不特定多数人の情報とを参照して被空調者に対する最適温度等を特定し、この特定された情報に基づいて室内温度を制御する空調制御を行うようにしてもよい。
【0038】
制御信号生成部121Bは、室内温度を検出部121Aによって検出された最適温度に制御するための制御信号を生成する。そして、制御信号生成部121Bは、この制御信号を四方弁2、室外ファン6、室内ファン7、インバータ11に出力して室内温度を検出部121Aによって特定された最適温度にする制御を行う。
【0039】
空気調和装置100は、制御信号生成部121Bによって生成された制御信号に基づいて暖房を切る又は弱めることにより、室内温度を最適温度にする。
【0040】
ここで、制御部121の温度制御動作について、図8のフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
ステップS1において、制御部121は、空調制御動作を開始する。
【0042】
ステップS2において、制御部121における検出部121Aは、皮膚温度センサ13によって検出された空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度と空調時間Tnにおける被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度との差を基準値と比較する。
【0043】
検出部121Aは、このステップS2において、被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が基準値よりも大きい場合はステップS3に進み、基準値以下である場合は次の時間の皮膚温度差についてステップS2の比較演算処理を行う。
【0044】
ステップS3において、検出部121Aは、空調時間Tn+1を検出する。
【0045】
ステップS4において、検出部121Aは、ステップS3にて検出した空調時間Tn+1における室内温度を室内温度センサ8より入力し、この室内温度を最適温度として制御信号生成部121Bに供給する。
【0046】
ステップS5において、制御信号生成部121Bは、室内温度を検出部121Aによって検出された最適温度に制御する制御信号を生成する。
【0047】
ステップS6において、制御信号生成部121Bは、生成した制御信号を四方弁2、室外ファン6、室内ファン7、インバータ11に出力し、室内温度を検出部121Aにて検出された最適温度にする制御を行う。
【0048】
ステップS7において、制御部121は、温度制御動作を終了する。
【0049】
以下、本発明を適用した一実施形態における具体的な実験結果を示す。
【0050】
図9は、空気調和装置100が暖房モードにおいて室内温度を2℃/分の速度で上げる際に本実施の形態における温度制御処理を行った場合の結果を示す図である。また、図10は、空気調和装置100が空間温度を2℃/分の速度で上げる際に本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の結果を示す図である。なお、図9に示す例では、室内温度が30℃となった時点で空気調和装置100を停止させた。
【0051】
図9及び図10に示すように、本実施の形態における温度制御処理を行った場合の室内温度、手先及び足先の温度は、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の室内温度、手先及び足先の温度よりも低い値に収束した。
【0052】
図11は、本実施の形態における温度制御処理を行った場合、及び、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の被空調者の温冷感の時間変化を示す図である。室内温度を上昇させてから約45分までは、本実施の形態における温度制御処理を行った場合の温冷感と本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の温冷感とは同じ変化パターンを示したが、約45分を過ぎてからは、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の温冷感のみが「中立」を示すレベル4から「少し暑い」を示すレベル5に推移した。
【0053】
図12は、本実施の形態における温度制御処理を行った場合、及び、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の被空調者の快適度の時間変化を示す図である。室内温度を上昇させてから約60分までは、本実施の形態における温度制御処理を行った場合の快適度と本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の快適度とは同じ変化パターンを示したが、約60分を過ぎてからは、本実施の形態における温度制御処理を行わなかった場合の快適度のみが「快適」を示すレベル1から「少し不快」を示すレベル2に推移した。
【0054】
このように、空気調和装置100は、AVAが開放して血流量が増加することにより上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する際の室内温度を維持する空調制御を行うことにより、被空調者の温冷感に適応した快適な室内温度を実現することが可能となる。
【0055】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0056】
上述した実施の形態では、本発明を空気調和装置が室内温度を上げる処理に適用する場合について説明したが、本発明を空気調和装置が室内温度を下げる処理に適用するようにしてもよい。
【0057】
図13は、室内温度35℃、湿度60%の人工気象室の室内温度を0.5℃/分の速度で下げた場合の室内温度(PG1温度)及び室内湿度(PG1湿度)、また、この人工気象室の室内温度を0.25/分の速度で下げた場合の室内温度(PG2室内温度)及び室内湿度(PG2湿度)の時間変化を示す図である。この図13に示す室内環境において、札幌、新潟、神奈川、静岡、愛知、徳島、福岡、及び沖縄出身者の手先の皮膚温度、足先の皮膚温度、温冷感、及び快適度の時間変化をそれぞれ測定した。
【0058】
図14(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、図14(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図である。また、図15(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、図15(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図である。図14及び図15に示すように、手先及び足先の皮膚温度は、ともに室内温度に応じて徐々に下がった。
【0059】
ここで、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の温冷感、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の温冷感は、それぞれ図16(A)、図16(B)に示すように変化した。また、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の快適度、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の快適度は、それぞれ図17(A)、図17(B)に示すように変化した。
【0060】
このように、環境温度を下げた場合、ヒトの手先及び足先の皮膚温度は、温冷感と相関しながら下がっていく。これは、上肢末梢部及び下肢末梢部に多く存在するAVAが徐々に閉鎖して血流量を減少させるためであると考えられる。
【0061】
空気調和装置100は、室内温度を下げる場合、被空調者又は不特定多数人の手先又は足先の皮膚温度の温度変化を測定し、温冷感と皮膚温度との関係式を算出し、この関係式から最適温度を特定する。そして、空気調和装置100は、室内温度をこの特定した最適温度にするような制御信号を生成して空調制御を行う。なお、空気調和装置100は、温冷感と皮膚温度との関係式、及び検出された快適温度を被空調者情報としてデータベースに記憶させてもよい。
【0062】
このような温度制御処理を行った場合、手先の皮膚温度、足先の皮膚温度、温冷感、及び快適度は、それぞれ図18、図19、図20、図21に示すような時間変化を示した。
【0063】
空気調和装置100は、室内温度が予め設定された設定温度以下になった時点で冷房運転を止める空調制御を行う。この設定温度は、被空調者の入力操作によって設定されるようにしてもよい。
【0064】
空気調和装置100が冷房運転を止めて室温が徐々に上昇すると、被空調者は、室内温度が所定の温度に達した時点で暑いと感じる。この際、被空調者は、AVAが開放されることにより血流量が増加し、上肢末梢部及び下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する。空気調和装置100は、上述の実施の形態で説明したように、室内に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、この検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の室内温度を検出し、検出された室内温度を維持するように空調制御を行う。
【0065】
また、上述した実施の形態では、空気調和装置を建物の室内に設置した場合について説明したが、空気調和装置の設置場所はこれに限らず、例えば自動車内部に設置してもよい。被空調者がドライバーである場合、皮膚温度センサは、自動車のハンドル表面に備えられ、ハンドルを握った被空調者の手の指先、手のひら等の皮膚温度を検出するようにしてもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、メモリカード123に最適温度や被空調者によって入力された情報を記憶させた場合について説明したが、入力された情報は、例えばパーソナルコンピュータ等に記憶させてもよい。このようにメモリカード123等を利用することにより各モードのデータの更新を容易に行うことができる。また、メモリの種類は、カード型、USBキー型など、種々の型を利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】空気調和装置が室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対する室内温度変化、及び各部位の皮膚の温度変化を示す図である。
【図2】空気調和装置により室内温度を5度から30度まで上昇させた場合の時間変化に対する人の温冷感の変化を示す図である。
【図3】本発明を適用した一実施形態における空気調和装置の内部構成を示す図である。
【図4】空気調和装置が備えるマイクロコンピュータの内部構成を示す図である。
【図5】空気調和装置が備える制御部の処理工程を示す機能ブロック図である。
【図6】N=4とした場合の皮膚温度差の時間変化を示す図である。
【図7】上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度が急上昇する時間帯の中間点で暖房を止める又は暖房を弱める空調制御を行った際の皮膚温度及び室内温度の時間変化を示す図である。
【図8】空気調和装置が備える制御部の温度制御動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】温度制御処理を行った空調制御による皮膚温度及び室内温度の時間変化を示す図である。
【図10】温度制御処理を行わなかった空調制御による皮膚温度及び室内温度の時間変化を示す図である。
【図11】温度制御処理を行った空調制御、及び、温度制御処理を行わなかった空調制御による被空調者の温冷感の時間変化を示す図である。
【図12】温度制御処理を行った空調制御、及び、温度制御処理を行わなかった空調制御による被空調者の快適度の時間変化を示す図である。
【図13】室内温度35℃、湿度60%の人工気象室の室内温度を0.5℃/分の速度で下げた場合の室内温度(PG1温度)及び室内湿度(PG1湿度)、この人工気象室の室内温度を0.25/分の速度で下げた場合の室内温度(PG2室内温度)及び室内湿度(PG2湿度)の時間変化を示す図である。
【図14】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の手先の皮膚温度の時間変化を示す図である。
【図15】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の足先の皮膚温度の時間変化を示す図である。
【図16】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の温冷感の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の温冷感の時間変化を示す図である。
【図17】(A)は、室内をPG1温度及びPG1湿度にした場合の快適度の時間変化を示す図であり、(B)は、室内をPG2温度及びPG2湿度にした場合の快適度の時間変化を示す図である。
【図18】温度制御処理を施した空調制御による手先の皮膚温度の時間変化を示す図である。
【図19】温度制御処理を施した空調制御による足先の時間変化を示す図である。
【図20】温度制御処理を施した空調制御による温冷感の時間変化を示す図である。
【図21】温度制御処理を施した空調制御による快適度の時間変化を示す図である。
【図22】従来の空気調和装置の空調制御による室内温度の時間変化を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
1 圧縮機、2 四方弁、3 室外熱交換器、4 膨張弁、5 室内熱交換器、8 室内温度センサ、12 マイクロコンピュータ、13 皮膚温度センサ、14 室外温度センサ、100 空気調和装置、121 制御部、121A 検出部、121B 制御信号生成部、122 インターフェース(I/F)、123 メモリカード、124 データ入力部、125 温度設定ボタン、126 運転モード選択ボタン、127 情報入力ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定空間の空気温度を調節する空気調和装置において、
上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出する皮膚温度センサと、
上記皮膚温度センサによって検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出する検出手段と、
上記検出手段によって検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行う空調制御手段と
を備えることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
上記検出手段は、上記皮膚温度センサによって検出された空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における皮膚温度と空調時間Tnにおける皮膚温度との差が、上記皮膚温度センサによって検出された空調時間T1から空調時間Tnまでの皮膚温度の標準偏差のN倍(1<N)よりも大きくなった場合に、当該空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における上記所定空間の空気温度を検出することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
【請求項3】
上記検出手段によって検出された空気温度を上記被空調者の情報として記憶する記憶手段をさらに備え、
上記空調制御手段は、上記記憶手段に記憶された上記被空調者の情報である空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
【請求項4】
所定空間の空気温度を調節する空気調和方法において、
上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、当該検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出し、当該検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことを特徴とする空気調和方法。
【請求項1】
所定空間の空気温度を調節する空気調和装置において、
上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出する皮膚温度センサと、
上記皮膚温度センサによって検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出する検出手段と、
上記検出手段によって検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行う空調制御手段と
を備えることを特徴とする空気調和装置。
【請求項2】
上記検出手段は、上記皮膚温度センサによって検出された空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における皮膚温度と空調時間Tnにおける皮膚温度との差が、上記皮膚温度センサによって検出された空調時間T1から空調時間Tnまでの皮膚温度の標準偏差のN倍(1<N)よりも大きくなった場合に、当該空調時間Tn+1(n=1,2,・・・,k)における上記所定空間の空気温度を検出することを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
【請求項3】
上記検出手段によって検出された空気温度を上記被空調者の情報として記憶する記憶手段をさらに備え、
上記空調制御手段は、上記記憶手段に記憶された上記被空調者の情報である空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことを特徴とする請求項1記載の空気調和装置。
【請求項4】
所定空間の空気温度を調節する空気調和方法において、
上記所定空間に居る被空調者の上肢末梢部及び/又は下肢末梢部の皮膚温度を検出し、当該検出された皮膚温度の差が所定の基準値よりも大きくなった際の上記所定空間の空気温度を検出し、当該検出された空気温度を維持するように上記所定空間の空調制御を行うことを特徴とする空気調和方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2008−209077(P2008−209077A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47859(P2007−47859)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】
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