説明

空気調和装置

【目的】 単一のダクトシステムで冷暖同時運転が可能に構成された空気調和装置において、冷風の再加熱により生じるエネルギーロスを抑制する。
【構成】 ビルのペリメータCpとインテリアCiとを共通の送風ファンF2による通風路50で接続し、インテリア側分岐路52の下流側にペリメータ側分岐路51を設ける。通風路50の最上流側に利用側熱交換器12を、ペリメータ側分岐路51に再熱器14を介設し、ペリメータCpで暖房をインテリアCiで冷房を同時に行う冷暖同時運転を可能とする。ペリメータ側分岐路51の風量調節機構Va1を設け、ペリメータCpへの送風を制御する際、冷暖同時運転時にはペリメータCpの冷房運転時よりも定格風量を小さく設定し、吹出空気の制御目標値を高く設定することで、冷風の再加熱によるエネルギーロスを抑制する。吹出空気温度を制御指標として再熱器14の能力制御を行うこともできる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、単一のダクトシステムで複数の空調空間における冷暖同時運転可能に構成された空気調和装置の運転制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、特開平3―156225号公報に開示される如く、例えばビルのペリメータ(窓側)等の暖房負荷が大きい空調空間(暖房負荷側空調空間)と、ビルのインテリア(内部側)等の冷房負荷が大きい空調空間(冷房負荷側空調空間)とを同時に空調するための空気調和装置において、蒸発器としてのみ機能する利用側熱交換器を設け、利用側熱交換器の下流側の通風路を、冷房負荷側空調空間に連通する冷房負荷側分岐路と、暖房負荷側空調空間に連通する冷房負荷側分岐路とに分岐させ、暖房負荷側分岐路に冷風を加熱する再熱器を配設することにより、単一のダクトシステムでもって、複数の室内における冷暖房同時運転を可能にしたものは公知の技術である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来のもののように、単一のダクトシステムで温風と冷風とを生ぜしめ、複数の室内における冷暖同時運転を行わしめる場合、下記のような問題があった。
【0004】すなわち、暖房負荷側空調空間で冷房運転を行うときには、再熱器を作動させずに冷風をそのまま通過させることになるが、ビルの西側ペリメータのように夏の冷房負荷が大きい暖房負荷側空調空間では、冷風の定格風量も大きく確保しておく必要がある。一方、暖房運転を行う際には、いったん利用側熱交換器で冷却された空調空気を再加熱することで、エネルギーロスが生じるが、その場合、上述のように冷房運転時に必要な空調空気量で各分岐路の風量が設定されていると、暖房運転時に、暖房負荷側分岐路で冷風を再加熱することによるエネルギーロスが非常に大きくなる。
【0005】本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、暖房能力は吹出空気量つまり風量と吹出空気温度−室温間の温度差との積で決定されることに鑑み、暖房負荷側分岐路における定格風量そのものを、冷暖同時運転時には同時冷房運転時よりも小さく設定しておくことにより、空気調和装置のエネルギーロスを抑制し、もって、運転効率の向上を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明の講じた手段は、図1に示すように、暖房負荷側空調空間(Cp)と冷房負荷側空調空間(Ci)とを有する建物に配設され、送風ファン(F2)による通風路(50)から上記暖房負荷側空調空間(Cp)に通ずる暖房負荷側分岐路(51)を上記冷房負荷側空調空間(Ci)に通ずる冷房負荷側分岐路(52),(53)よりも下流側で分岐させ、上記通風路(50)の冷房負荷側分岐路(52),(53)との分岐点よりも上流側に蒸発器として機能可能な利用側熱交換器(12)を配設する一方、暖房負荷側分岐路(51)に空調空気を再加熱するための再熱器(14)を配置し、暖房負荷側空調空間(Cp)で暖房を冷房負荷側空調空間(Ci)で冷房を同時に行う冷暖同時運転が可能に構成された空気調和装置を前提とする。
【0007】そして、空気調和装置の運転制御装置として、上記暖房負荷側分岐路(51)の風量を調節する風量調節機構(Va1)と、該風量調節機構(Va1)で調節される上記暖房負荷側分岐路(51)の定格風量を、上記冷暖同時運転時では、暖房負荷側空調空間(Cp)の冷房時の定格風量よりも小さくするよう設定する定格風量設定手段(61)とを設ける構成としたものである。
【0008】請求項2の発明の講じた手段は、上記請求項1の発明において、図1の破線部分に示すように、暖房負荷側空調空間(Cp)における要求能力を検出する負荷検出手段(Thr)と、該負荷検出手段(Thr)の出力を受け、上記風量調節機構(Va1)を駆動して、上記暖房負荷側分岐路(51)の風量と定格風量との強度比を、暖房負荷側空調空間(Cp)の要求能力に応じた値とするよう制御する風量制御手段(63A)とを設ける構成としたものである。
【0009】請求項3の発明の講じた手段は、上記請求項1の発明において、図1の破線部分及び一点鎖線部分に示すように、暖房負荷側空調空間(Cp)における要求能力を検出する負荷検出手段(Thr)と、該負荷検出手段(Thr)の出力を受け、上記風量調節機構(Va1)を駆動して、上記暖房負荷側分岐路(51)の風量と定格風量との強度比を、暖房負荷側空調空間(Cp)の要求能力に応じた値とするよう制御する風量制御手段(63B)と、暖房負荷側空調空間(Cp)の室温を検出する室温検出手段(Thr)と、該室温検出手段(Thr)の出力を受け、上記冷暖同時運転時、暖房負荷側空調空間(Cp)の吹出空気温度の制御目標値と現在室温との差値を、要求暖房能力を上記風量制御手段(63A)で制御される風量で除算した値にするよう設定する吹出目標値設定手段(64)と、暖房負荷側空調空間(Cp)への吹出空気の温度を検出する吹出温度検出手段(Thp)と、該吹出温度検出手段(Thp)の出力を受け、暖房負荷側空調空間(Cp)への吹出空気温度が上記吹出目標値設定手段(64)で設定された制御目標値になるよう上記再熱器(14)の加熱能力を制御する加熱能力制御手段(62)とを設ける構成としたものである。
【0010】請求項4の発明の講じた手段は、上記請求項1,2又は3の発明において、図11に示すように、再熱器(14)のケーシング(40)内に設けられ、吹出空気が再熱器(14)をバイパスして吹出口まで流通するためのバイパス路(41)と、該バイパス路(41)の通路面積を増減変更する面積変更機構(45)と、暖房負荷側空調空間(Cp)の冷房時にはバイパス路(41)の通路を開き、冷暖同時運転時にはバイパス路(41)の通路を閉じるよう上記面積変更機構(45)を制御するバイパス量制御手段とを設ける構成としたものである。
【0011】請求項5の発明の講じた手段は、上記請求項4の発明において、面積変更機構(45)を、風量調節機能を有するものとしたものである。
【0012】
【作用】以上の構成により、請求項1の発明では、暖房負荷側空調空間(Cp)に空調空気を供給するための暖房負荷側分岐路(51)において、風量調節機構(Va1)が配設されているので、吹出空気の風量の調節により、吹出空気温度の調節が可能になる。
【0013】その場合、定格風量設定手段(61)により、冷暖同時運転時の定格風量が暖房負荷側空調空間(Cp)の冷房運転時の定格風量よりも小さく設定されているので、いったん利用側熱交換器(12)で冷却された空調空気を再加熱する風量が少なくなり、一方、吹出空気温度は上昇する。したがって、暖房能力は良好に維持されるとともに、再加熱により生じるエネルギーロスが小さく抑制されることになる。
【0014】請求項2の発明では、上記請求項1の発明の作用に加えて、風量制御手段(63A)により、暖房負荷側分岐路(51)における風量の定格風量に対する強度比が要求能力に応じた値になるよう風量調節機構(Va1)が制御される。したがって、冷暖同時運転時における風量の低減作用を利用して、簡素な制御構成でエネルギーロスが抑制され、しかも、暖房負荷側空調空間(Cp)における空調の快適性が良好に維持されることになる。
【0015】請求項3の発明では、上記請求項1の発明の作用に加えて、冷暖同時運転時、風量制御手段(63B)により、暖房負荷側分岐路(51)における風量の暖房定格風量に対する強度比が暖房負荷側空調空間(Cp)の空調負荷に応じた値になるように、風量調節機構(Va1)が制御される。さらに、吹出目標値設定手段(64)により、吹出空気の制御目標値が、要求暖房能力を目標風量で除算した値と、現在の室温とを加算した値になるよう設定されるので、吹出空気の制御目標値が冷房定格風量に基づいて定まる目標風量から求められる値よりもかなり高い値となる。そして、加熱能力制御手段(62)により、吹出空気温度がこの制御目標値になるよう再熱器(14)の加熱能力が制御されるので、エネルギーロスを低減しながら、より正確な室温の制御が可能になり、空調の快適性が向上することになる。
【0016】請求項4の発明では、ケーシング(40)内において、バイパス量制御手段により、暖房負荷側空調空間(Cp)の冷房運転時にはバイパス路(41)の通路を開放するように面積変更機構(45)が制御されて、ほとんどの空調空気が再熱器(14)をバイパスしてバイパス路(41)を介して流通する一方、冷暖同時運転時には、バイパス路(41)を閉じるように面積変更機構(45)が制御されるので、すべての空調空気が再熱器(14)を流通する。その場合、熱交換器の圧力損失は熱交換器入口の風速の増大につれて増大するが、上記各請求項の発明の作用において、冷暖同時運転時には冷房運転時よりも暖房負荷側分岐路(51)側の風量が小さくするように制御されるので、送風ファン(F2)の所要動力が冷房運転時と同じ程度で済み、製造コストや所要電力の増大が回避されることになる。
【0017】請求項5の発明では、上記請求項4の発明において、面積変更機構(45)により、同時に暖房負荷側分岐路(51)の風量も調節されるので、構造が簡素化されることになる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図2以下の図面に基づき説明する。
【0019】まず、請求項1及び2の発明に係る第1実施例について説明する。図2は第1実施例に係る空気調和装置の室外ユニット(B)における冷媒配管系統を示し、該室外ユニット(A)には、インバ―タにより運転周波数が可変に調整される第1圧縮機(1a)と、キャピラリチュ―ブ(1g)及び開閉弁(1f)等からなるアンロ―ダにより容量が複数段階に調整される第2圧縮機(1b)とを逆止弁(1e)を介し並列に接続して構成される容量可変な圧縮機(1)と、上記第1,第2圧縮機(1a),(1b)から吐出されるガス中の油をそれぞれ分離する第1,第2油分離器(4a),(4b)と、各々凝縮器、蒸発器に機能しうる第1,第2熱源側熱交換器(6a),(6b)および該熱源側熱交換器(6a),(6b)に付設された2台の室外ファン(F1),(F1)と、上記各熱源側熱交換器(6a),(6b)が凝縮器となるときには冷媒流量を調節し、蒸発器となるときには冷媒の絞り作用を行う第1,第2室外電動膨張弁(8a),(8b)と、液化した冷媒を貯蔵するレシ―バ(9)と、吸入冷媒中の液冷媒を除去するためのアキュムレ―タ(10)とが主要機器として配設されている。
【0020】ここで、上記各熱源側熱交換器(6a),(6b)及び室外電動膨張弁(8a),(8b)は各々分岐管によって冷媒回路内に並列に配設されており、さらに、各分岐管と圧縮機(1)の吐出管及び吸入管との間には、冷凍サイクルを切換える第1,第2四路切換弁(5a),(5b)が介設されている。すなわち、各四路切換弁(5a),(5b)が個別に切換わることにより、各熱源側熱交換器(6a),(6b)が個別に凝縮器,蒸発器に切換り、室内側の冷暖房負荷の微妙な変化に追随しうるようになされている。なお、上記各四路切換弁(5a),(5b)のデッドポートは、キャピラリチュ―ブ及び逆止弁を介して熱源側熱交換器(6a),(6b)の分岐管に接続されている。
【0021】また、上記圧縮機(1)の吐出管側からは吐出ライン(11a)が、吸入管側からは吸入ライン(11b)が、上記各室外熱交換器(6a),(6b)の液分岐管の合流管側からは液ライン(11c)が、それぞれ室内ユニット(B)側に向かって延設されており、いわゆる3本配管の構造となっている。
【0022】一方、図3は室内ユニット(B)の冷媒配管系統及び空調空気の配管構成を示し、該室内ユニット(B)は、ビルの暖房負荷側空調空間であるペリメータ(Cp)と、冷房負荷側空調空間であるインテリア(Ci1),(Ci2)とを冷暖房するようになされている。該室内ユニット(B)において、(C)は利用側熱交換器ユニット、(D)は再熱器ユニット、(E)はダクトシステムである。
【0023】上記利用側熱交換器ユニット(C)には、冷房運転時には蒸発器、暖房運転時には凝縮器となる室内熱交換器(12)及び室内ファン(F2)と、該利用側熱交換器(12)の暖房サイクル運転時に冷媒流量を調節し、冷房サイクル運転時に冷媒の絞り作用を行う室内電動膨張弁(13)とが配置され、利用側配管によって直列に接続されている。そして、利用側熱交換器(12)の液管側は、上記液ライン(11c)に接続される一方、利用側熱交換器(12)のガス管側は、各々逆止機能を有する第1,第2開閉弁(SV1),(SV2)により、上記吐出ライン(11a)と吸入ライン(11b)とに交互に切換え可能になされている。すなわち、第1開閉弁(SV1)が開いたときには、吐出ライン(11a)から高圧ガス冷媒が利用側熱交換器(12)に導入されて、利用側熱交換器(12)が凝縮器となり、第2開閉弁(SV2)が開いたときには、利用側熱交換器(12)から吸入ライン(11b)に冷媒が吸引されて、利用側熱交換器(12)が蒸発器となるようになされている。
【0024】また、上記再熱器ユニット(D)には、再熱器(14)と、キャピラリチュ―ブ(15)と、開閉弁(16)とが配設され、上記再熱器(14)のガス管側は吐出ライン(11a)に、液管側は液ライン(11c)に接続されている。つまり、上記利用側熱交換器(12)が蒸発器,凝縮器に切換可能に構成されているのに対し、再熱器(14)は凝縮器としてのみ機能するようになされている。
【0025】そして、上記ダクトシステム(E)において、上記室内ファン(F2)の送風が流通する通風路(50)は、ペリメータ(Cp)に吹出口(51a)を開口させてなる暖房負荷側分岐路としての第1分岐路(51)と、各インテリア(Ci1),(Ci2)に吹出口(52a),(53a)を開口させてなる冷房負荷側分岐路としての第2,第3分岐路(52),(53)とに分岐されている。そして、各分岐路(51)〜(53)には、風量調節機構である第1〜第3ダンパー(Va1)〜(Va3)が設けられ、該各ダンパー(Va1)〜(Va3)により、各々各分岐路(51)〜(53)の風量を、相互の風量変化にも対応させて目標風量にするよう制御するようになされている。
【0026】なお、冷媒回路において、(11d)は吐出管と吸入管とを開閉弁(SV3)を介して接続する均圧バイパス路、(11e)は吐出ライン(11a)とレシーバ(9)とをキャピラリチュ―ブ及び開閉弁(SV4)を介して接続する冷房低温時制御回路、(11f)は液ライン(11c)と吸入ライン(11b)とをキャピラリチュ―ブ及び開閉弁(SV5)を介して接続するリキッドインジェクションバイパス路、(31)は液ライン(11c)の高圧冷媒との熱交換により吸入冷媒を暖めるべく設けられた吸入熱交、(32a),(32b)は各油分離器(4a),(4b)から圧縮機(1a),(1b)の吸入側までキャピラリチュ―ブを介して設けられた油戻し通路である。
【0027】また、空気調和装置にはセンサ類が配設されており、(P1)は高圧側圧力を検出する高圧センサ、(P2)は低圧側圧力を検出する低圧センサ、(Thp)はペリメータ(Cp)の空気吹出口に配設されたペリメータ側吹出温度センサ、(Thi1 ),(Thi2 )は各インテリア(Ci1),(Ci2)の空気吹出口に配設されたインテリア側吹出温度センサ、(Thr)はペリメータ(Cp)の室温Trを検出する室温検出手段としての室温センサ、(Tha)は該室温センサ(Thr)に接続され、室温Trと使用者により設定される設定温度Tsとの差温ΔTrから要求能力を検出する負荷検出手段としての室温サーモスタット、(Wqp),Wqi1 ),(Wqi2 )は各分岐路(51〜53)に配設された風量センサである。
【0028】ここで、空気調和装置の運転モードについて説明する。例えば夏期等ペリメータ(Cp)及びインテリア(Ci1),(Ci2)において冷房運転を行う同時冷房運転モードでは、利用側熱交換器(12)が蒸発器となるよう第1,第2開閉弁(SV1),(SV2)が切換えられ通風路(50)に冷風が流通するとともに、再熱器(14)の開閉弁(16)が閉じられて、第1分岐路(51)で冷風が再加熱されることなくペリメータ(Cp)側にも冷風が吹き出される。また、厳冬期などペリメータ及びインテリア(Ci1),(Ci2)で暖房を行う同時暖房運転モードでは、利用側熱交換器(12)が凝縮器となるよう第1,第2開閉弁(SV1),(SV2)が切換えられ通風路(50)に温風が流通するとともに、再熱器(14)の開閉弁(16)は必要に応じて開くよう制御される。一方、春期,秋期や冬期の初めと終りなどの中間期においてペリメータ(Cp)では暖房要求があり、インテリア(Ci1),(Ci2)で冷房要求がある冷暖同時運転モードでは、利用側熱交換器(12)が蒸発器として機能するよう第1,第2開閉弁(SV1),(SV2)が切換えられ通風路(50)に冷風が流通する一方、再熱器(14)の開閉弁(16)が開かれ、インテリア(Ci1),(Ci2)に冷風が、ペリメータ(Cp)には再熱器(14)で再加熱された温風が吹き出される。
【0029】その場合、本実施例では、吹出空気の風量は以下のように制御される。すなわち、ペリメータ(Cp)の風量調節ダンパー(Va1)の定格風量は、冷房運転時には、図4の(a)に示す所定値Qf(例えば7.5m3 /min 程度の値)に設定され、暖房運転時には、図4の(b)に示すように、上記冷房定格風量Qfに所定の比(冷暖風量比Rhc)を乗じた値Rhc・Qfに設定されている(ただし、0<Rhc<1で、例えば3.3m3 /min 程度の値)。
【0030】そして、図5に示すように、室温Trと設定温度Tsとの差温ΔTr(冷房運転時にはΔTr=Tr−Ts、暖房運転時にはΔTr=Ts−Tr)に対し、上記定格風量Qf(又はRhc・Qf)に対する強度比Rqを、ΔTr>1の範囲では100%に、ΔTr<−0.25℃では、37.5%に、−0.25℃<ΔTr<1℃では、37.5%から100%までリニアに変化させるようになされている。
【0031】上記の制御において、図4に示す冷房定格風量Qf及び暖房定格風量Rhc・Qfの設定により、請求項1の発明にいう定格風量設定手段(61)が構成されている。
【0032】また、再熱器(14)のキャピラリチュ―ブ(15)及び開閉弁(16)により、請求項2の発明にいう能力制御手段(62A)が構成され、図5に示す強度比Rqの制御により、請求項2の発明にいう風量制御手段(63A)が構成されている。
【0033】したがって、上記第1実施例では、ペリメータ(Cp)の空調空気が流通する第1分岐路(51)に風量調節機構である第1ダンパー(Va1)が配設され、吹出空気の風量が可変に調節されることで、吹出空気の温度の調節が可能になる。
【0034】その場合、図4(a),(b)に示すように、ペリメータ(Cp)の冷房運転時の定格風量Qfに対し、暖房定格風量Rhc・Qfが小さく設定されていることで、暖房運転時におけるエネルギーロスを抑制することができる。例えば、10HPの72m3 /min のファン能力をもつ空気調和装置で、図4の(a)に示すペリメータ通路の冷房定格風量Qfを7.5m3 /min ×4か所とし、冷暖同時運転時にも同じ風量の空調空気がペリメータ(Cp)に供給されるとすると、いったん利用側熱交換器(12)で冷却された空調空気72m3 /min のうち7.5m3 /min の分を再熱することによる冷却エネルギーロスQxは、吹出空気温度を32℃、室温を22℃、インテリア(Ci1),(Ci2)側への吹出空気温度を10℃とすると、10HPの空気調和装置で17426 ×1.5 ×4 /72=7260(Kcal/h)となる。つまり、全体として、42%のエネルギーロスが生じることになる。
【0035】一方、同図(b)に示すごとく、暖房定格風量3.3m3 /min ×4か所の空調空気を供給し、吹出空気温度を44℃として、暖房能力Qyを等しくした場合には、同じインテリア(Ci1),(Ci2)への冷風温度10℃に対し、冷却エネルギーロスQxは、17426 ×3.3 ×4 /72=3195(Kcal/h)となる。つまり、全体として、18%のエネルギーロスとなり、エネルギーロスが50%以上低減されることになる。
【0036】さらに、吹出空気温度Tpが高いので、暖房時におけるコールドドラフトが生じにくいという利点をも有する。
【0037】特に、上記第1実施例のごとく、風量制御手段(63A)により、要求能力に応じて第1分岐路(51)における風量の定格風量に対する強度比を制御するようにした場合、簡素な制御構成でしかもエネルギーロスを抑制しながら、ペリメータ(Cp)における快適な暖房を行うことができる。
【0038】なお、上記第1実施例や後述の第2実施例では、3本配管を用いた熱回収機能により、損失は礼帽能力のみとなるが、本発明除ける再熱器の構造は冷媒との熱交換を利用したものに限定されるものではなく、例えば電気ヒータや温水コイル等を利用することもできる。その場合には、冷房能力の損失だけでなくいったん冷却した空気を室温まで加熱する分が熱ロスとなるため、冷房能力と暖房能力とを合わせた分(2倍)のエネルギーロスが生じることになり、その分本発明によるエネルギーロスの抑制効果が大きい。
【0039】次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0040】図6は第2実施例に係る空気調和装置の室内ユニット(B)の冷媒配管系統を示し、本実施例では、再熱ユニット(D)において、上記第1実施例におけるキャピラリチュ―ブ(15)及び開閉弁(16)の代りに電子流量制御弁(EV)が冷媒配管の液管側に配設されており、この電子流量制御弁(EV)の開度の調節によって、再熱器(14)の能力を可変に調節しうるようになされている。その他の構成及び室外ユニット(A)の構成は上記第1実施例と同様である。
【0041】また、図7は第2実施例におけるペリメータ(Cp)用制御回路の構成を示し、上記各センサ類は空気調和装置の運転を制御するコントローラ(60)に接続され、該コントローラ(60)により、室温サーモスタット(Tha)、吹出温度センサ(Thp)及び風量センサ(Wqp)の信号に応じて、空気調和装置の機器、特に第1ダンパー(Va1)のモータと電子流量制御弁(EV)とを制御するようになされている。
【0042】ここで、第2実施例におけるペリメータ(Cp)の運転制御内容について、図8〜10のフロ―チャ―トに基づき説明する。図8は、初期設定の制御内容を示し、ステップST1で、冷暖風量比率Rhc(0<Rhc<1)を設定し、ステップST2で、電源を投入し、ステップST3で、空気調和装置が運転中か停止中かを判別し、運転中であれば、ステップST4に進んで、冷房運転か暖房運転かを判別し、冷暖房運転のモードに応じ、ステップST5,ST6でそれぞれ冷房運転又は暖房運転を行う。一方、ステップST3における判別で、空気調和装置の運転が停止中のときには、ステップST7に移行し、電子流量制御弁(EV)を全閉に、かつ第1ダンパー(Va1)を全閉にするよう制御する。
【0043】図9はペリメータ(Cp)における冷房運転時の制御内容を示し、ステップSR1で、電子流量制御弁(EV)を全閉とし、再熱器(14)が凝縮器として機能しないようにした後、ステップSR2で、上記室温センサ(Thr)で室温Trを検知し、ステップSR3で、使用者から設定された設定室温Tsと室温Trとの差温ΔTrを演算する。
【0044】次に、ステップSR4で、上記図5に示す差温ΔTr−強度比Rqの特性から求められる冷房定格風量Qfに対する強度比Rqと、図5に示す冷房定格風量Qfとの積として、目標風量Qs(=Qf・Rq)を決定する。そして、ステップSR5で、第1タイマ(Tm1)がカウントアップするまで待ってから、ステップSR6に進み、ステップSR6で、上記風量センサ(Wqp)で検出される現在風量Qcを検知し、ステップSR7で、現在風量Qcと目標風量Qsとの風量差に基づき第1ダンパー(Va1)の開度を決定して、さらにステップSR8で、第1ダンパー(Va1)がその開度になるようモータを駆動した後、第1タイマ(Tm1)をリセットする。
【0045】また、図10は暖房運転における制御内容を示し、ステップSS1,SS2で、室温Trの検知と、使用者から設定された設定室温Tsと室温Trとの差温ΔTrの演算とを行って、ステップSS3で、上記強度比Rqと、暖房定格風量Rhc・Qf(つまり、上記ステップST1で決定した冷暖風量比率Rhcと冷房定格風量Qfとの積)との積として目標風量Qsを決定する(Qs=Qf・Rhc・Rq)。このうち暖房定格風量Qf・Rhcは、図4の(b)に示すように、冷房運転時の定格風量Qfよりも小さく設定されている。
【0046】そして、ステップSS4〜SS8で、上記ステップSR5〜SR9と同様の制御により、吹出空気の風量を制御する。
【0047】その後、ステップSS9で、第2タイマ(Tm2)がカウントアップするまで待ってから、ステップSS10で、ペリメータ(Cp)の吹出空気の目標値Tpsを決定する。つまり、図4の(b)において、室温Trと設定温度Tsとの差温ΔTから求まるそのときの要求暖房能力Qyを目標風量Qsで徐して得られる値を、現在の室温Trに加算することにより、目標吹出温度Tpsを決定する。
【0048】そして、ステップSS11で、ペリメータ(Cp)の吹出温度センサ(Thp)の検出値である吹出空気温度Tpを入力し、ステップSS12で、上記ステップSS4で求めた目標吹出温度Tpsと現在の吹出空気温度Tpとの差温ΔTpを算出し、ステップSS13で、この差温ΔTrに応じて電子流量制御弁(EV)の開度変更量を演算し、ステップSS14で、電子流量制御弁(EV)のステッピングモータを駆動させた後、ステップSS15で、第2タイマ(Tm2)をリセットして、制御を終了する。
【0049】上記フローにおいて、ステップSS5及びSS6の制御により、請求項3の発明にいう風量制御手段(63B)が構成され、ステップSS10の制御により、請求項3の発明にいう吹出目標値設定手段(64)が構成され、ステップSS13及びSS14の制御により、請求項3の発明にいう能力制御手段(62)が構成されている。
【0050】したがって、上記第2実施例では、定格風量設定手段(61)により、予め暖房定格風量Rhc・Qfが冷房定格風量Qfよりも小さく設定され、冷暖同時運転時、風量制御手段(63B)により、ペリメータ(Cp)の負荷に応じて、第1分岐路(51)における風量の暖房定格風量Rhc・Qfに対する強度比Rqが制御される。
【0051】さらに、吹出目標値設定手段(64)により、吹出空気の制御目標値Tpsが、要求暖房能力Qyを目標風量Qsで除算した値と、現在の室温Trとを加算した値になるよう設定される。すなわち、図4の(a)及び(b)から類推されるように、このようにして設定された吹出空気の制御目標値Tpsは、要求暖房能力Qyを冷房定格風量Qfに基づいて定まる目標風量で除算した値と室温Trとを加算した値よりも、かなり高い値となる。
【0052】そして、加熱能力制御手段(62)により、吹出空気温度Tpがこの高い制御目標値になるよう再熱器(14)の加熱能力が制御されるので、上記第1実施例に比べ、エネルギーロスを低減しながら、より正確な室温の制御が可能になり、空調の快適性の向上を図ることができるのである。
【0053】したがって、図5に示すように、暖房負荷が小さくなり、ΔTr<0の領域で最低風量となっても、要求暖房能力が小さくなることから、吹出空気温度Tpのみで能力制御することが可能になる。すなわち、より低能力レベルでの能力制御が可能になり、暖房負荷側の吹出を停止させるサーモオフの回数が少なくなり、より快適なペリメータ空調を行うことができる。
【0054】次に、請求項4及び5の発明に係る第3実施例について説明する。本第3実施例においても、冷媒配管系統の構成は上記第1実施例と略同様であり、制御についても、第1実施例または第2実施例における制御内容が適用される。ただし、再熱ユニット(D)の機械的構成のみが異なり、その部分について、以下に説明する。
【0055】図11〜14は、第3実施例における再熱ユニット(D)の構造を示し、そのケーシング(40)には、上記第1分岐路(51)の配管が接続され、さらに、内部において、ケーシング(40)上壁に接して上記再熱器(14)が配設され、再熱器(14)の下端とケーシング(40)下壁とは所定の空間を隔てており、この空間に、上記第1ダンパー(Va1)が配設されている。該第1ダンパー(Va1)は、上端が再熱器(14)の側面に沿って水平軸回りに回動自在に取付けられかつ再熱器(14)の下端から下方に向かって板状に延びる可動仕切板(42)と、該可動仕切板(42)を上方からストッパー(44)に当接させるよう付勢するスプリング(43)と、断面略V字形に形成され、V字の角部回りに回動自在な一対の板部材からなる折曲部材(45)と、該折曲部材(45)の開き角を調節するためのダンパーモータ(Mp)と、該ダンパーモータ(Mp)に連結され、上記折曲部材(45)と直行する水平方向に延びる回転自在なウォームギア(46)と、該ウォームギア(46)に係合して、ウォームギア(46)の回転に応じ、ウォームギア(46)の軸方向に往復動する係止部材(47)と、上記折曲部材(45)の開閉時に一端を案内するための軸ガイド(48)とを備えている。
【0056】すなわち、上記折曲部材(45)のV字の両上端は上記可動仕切板(42)の下端よりもやや上方に位置しており、両上端のうち一端はケーシング(40)に固定され、他端が上記軸ガイド(48)に沿って可動に構成されていて、ダンパーモータ(Mp)の回転に応じてウォームギア(46)が回転すると、係止部材(47)がウォームギア(46)の軸方向に沿って移動することにより、折曲部材(45)を開閉させるとともに、折曲部材(45)が開かれてその可動側上端が上記ストッパー(44)で係止された状態の可動仕切板(42)に当接すると、可動仕切板(42)がスプリング(43)に抗してストッパー(44)から離れるように回動する一方、逆に折曲部材(45)が閉じられて可動仕切板(44)をストッパー(44)に当接させる位置まで戻った後は、折曲部材(45)と可動仕切板(44)との間に所定の空隙を生ぜしめるようになされている。つまり、上記折曲部材(45)により、可動仕切部材(42)とケーシング(40)壁面との間の空間部(41)の面積を増減調節するようになされており、この空間部(41)は請求項4の発明にいう空調空気のバイパス路であり、折曲部材(45)は面積変更機構として機能するものである。
【0057】図15は、各運転モードに対応して変化する折曲部材(45)と可動仕切板(42)との位置の変化と、その変化による空調空気の流通経路の変化を示す。まず、ペリメータ(Cp)の冷房運転時には、同図(a)又は(b)の状態となる。すなわち、冷房負荷が大きいときには、同図(a)に示すように、折曲部材(45)はほとんど閉じられ、空間部(41)が略全断面に亘って開放状態となり、吹出空気は流通抵抗の大きい再熱器(14)を通過するよりも空間部(41)を介してペリメータ(Cp)に吹出される。この制御により、請求項4の発明にいうバイパス量制御手段が構成されている。
【0058】また、冷房運転中に冷房負荷が小さくなると、同図(b)に示すごとく、折曲部材(45)が空間部(41)の開放面積を狭めるように開かれ、吹出空気が再熱器(14)側を流れる割合が増大する。
【0059】一方、冷暖同時運転時には、同図(c)に示すごとく、折曲部材(45)が開かれて可動仕切板(42)に当接し、空間部(41)を全閉状態にする。したがって、この状態では、吹出空気はもっぱら再熱器(14)を経てペリメータ(Cp)に供給されることになる。そして、暖房負荷が小さくなると、同図(d)に示すごとく、折曲部材(45)はさらに回動して、可動仕切板(42)を回動させ、吹出空気の流量が絞られる。
【0060】したがって、上記第3実施例では、ケーシング(40)内において、空調空気が再熱器(14)をバイパスするバイパス路である空間部(41)が設けられ、折曲部材(45)により、このバイパス路(41)の通路面積が増減調節される。そして、バイパス量制御手段により、ペリメータ(Cp)の冷房運転時には空間部(41)を開放するように第1ダンパー(Va1)が制御されるので、ほとんどの空調空気が再熱器(14)をバイパスして空間部(41)を介しバイパスして流通する。一方、冷暖同時運転時には空間部(41)を閉じるように第1ダンパー(Va1)が制御されるので、利用側熱交換器(12)で冷却された冷風が再加熱され、ペリメータ(Cp)の暖房が行われる。
【0061】その場合、図16に示すように、一般的に熱交換器の圧力損失は熱交換器入口の風速の増大につれて増大する。ところが、暖房運転時には冷房運転時のように空調空気が再熱器(14)をバイパスすることなくすべての空調空気が再熱器(14)を通過するので、冷房運転時と同じ風量の空調空気を供給するとすると、圧力損失が大きくなり、その結果、室内ファン(F2)の所要動力が増大する。それに対し、上述のように、冷暖同時運転時には第1分岐路(51)側の風量が小さくなるように制御されるので、室内ファン(F2)の所要動力が冷房運転時と同じ程度となり、よって、製造コストの抑制と所要電力の低減とを図ることができる利点がある。
【0062】特に、上記第3実施例のごとく、折曲部材(45)の開閉作動によって可動仕切板(42)を回動させ、風量の調節機能をもたせた場合には、単一のダンパーモータ(Mp)で、バイパス作用と風量調節作用とを行うことができ、構造が簡素化され、コストの低減を図ることができる。
【0063】次に、上記第3実施例の変形例について、説明する。図17は変形例における再熱ユニット(D)の構造を示し、上記第3実施例における可動仕切(42)及び折曲部材(45)の代りに、蛇腹部材(45a)が設けられており、この蛇腹部材(45a)を、再熱器(14)下方の空間部(41)から再熱器(14)上流側(下流側でもよい)に亘って伸縮させることで、同図(a)〜(d)に示すように、上記図15(a)〜(d)と同様の作用を行わせることができる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明によれば、暖房負荷側空調空間と冷房負荷側空調空間とを有する建物に配置される空気調和装置において、利用側熱交換器の送風ファンの通風路から暖房負荷側分岐路を冷房負荷側分岐路の下流側で分岐させ、暖房負荷側分岐路に再熱器を介設するとともに、暖房負荷側分岐路に風量調節機構を配設し、この風量調節機構による冷暖同時運転時の定格風量を暖房負荷側空調空間の冷房運転時の定格風量よりも小さく設定したので、いったん利用側熱交換器で冷却された空調空気を再熱することによるエネルギーロスを抑制することができ、よって、運転効率の向上を図ることができる。
【0065】請求項2の発明によれば、上記請求項1の発明において、再熱器の加熱能力を一定に制御するとともに、暖房負荷側分岐路における風量の定格風量に対する強度比を要求能力に応じた値になるよう風量調節機構を制御するようにしたので、冷暖同時運転時における風量の低減作用を利用して、簡素な制御構成でエネルギーロスを抑制しながら、暖房負荷側空調空間における快適空調の快適性を良好に維持することができる。
【0066】請求項3の発明によれば、上記請求項1の発明において、冷暖同時運転時、暖房負荷側分岐路における風量の暖房定格風量に対する強度比が暖房負荷側空調空間の空調負荷に応じた値になるように風量調節機構を制御するとともに、吹出空気の制御目標値が、要求暖房能力を目標風量で除算した値と、現在の室温とを加算した値になるよう設定し、吹出空気温度がこの高い制御目標値になるよう再熱器の加熱能力が制御するようにしたので、エネルギーロスを低減しながら、より正確な室温の制御によって空調の快適性の向上を図ることができる。
【0067】請求項4の発明によれば、上記請求項1,2又は3の発明において、再熱器のケーシング内に吹出空気が再熱器をバイパスして吹出口まで流通するためのバイパス路と、バイパス路の通路面積を増減変更する面積変更機構とを設け、暖房負荷側空調空間の冷房運転時にはバイパス路を開き、冷暖同時運転時にはバイパス路を閉じるようにしたので、冷暖同時運転時における風量低減作用とあいまって熱交換器の圧力損失の増大による送風ファン動力の増大を招くことなく、上記各発明の効果を発揮することができ、よって、製造コストや所要電力の増大を回避することができる。
【0068】請求項5の発明によれば、上記請求項4の発明において、面積変更機構に風量調節機能を併有させたので、構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例に係る空気調和装置の室外ユニットの冷媒配管系統図である。
【図3】第1実施例に係る空気調和装置の室内ユニットの冷媒配管系統図である。
【図4】ペリメータの冷房運転時及び冷暖同時運転時における定格風量と吹出空気の目標値設定との関係及びエネルギーロスを示す説明図である。
【図5】室温と設定室温との差温に対する目標風量の設定特性を示す図である。
【図6】第2実施例に係る空気調和装置の室内ユニットの冷媒配管系統図である。
【図7】第2実施例におけるペリメータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施例における初期設定制御の内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図9】第2実施例における冷房運転時の制御内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図10】第2実施例における冷暖同時運転時の制御内容を示すフロ―チャ―ト図である。
【図11】第3実施例における再熱ユニットの構造を示す斜視図である。
【図12】第3実施例における再熱ユニットの正面構造を示す図である。
【図13】第3実施例における再熱ユニットの平面構造を示す図である。
【図14】上記図12のXIV −XIV 線断面図である。
【図15】第3実施例における再熱ユニット内の空調空気の流通経路の変化を示す説明図である。
【図16】熱交換器入口の風速に対する熱交換器の圧力損失の特性を示す図である。
【図17】第3実施例における再熱ユニット内の空調空気の流通経路の変化を示す説明図である。
【符号の説明】
12 利用側熱交換器
14 再熱器
41 空間部(バイパス路)
45 折曲部材(面積変更機構)
50 通風路
51 第1分岐路(暖房負荷側分岐路)
52 第2分岐路(冷房負荷側分岐路)
53 第3分岐路(冷房負荷側分岐路)
61 定格風量設定手段
62 加熱能力制御手段
63 風量制御手段
64 吹出目標値設定手段
Cp ペリメータ(暖房負荷側空調空間)
Ci インテリア(冷房負荷側空調空間)
Va1 第1ダンパー(風量調節機構)
Tha 室温サーモスタット(負荷検出手段)
Thr 室温センサ(室温検出手段)
Thp 吹出温度センサ(吹出温度検出手段)
Wqp 風量センサ(風量検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 暖房負荷側空調空間(Cp)と冷房負荷側空調空間(Ci)とを有する建物に配設され、送風ファン(F2)による通風路(50)から上記暖房負荷側空調空間(Cp)に通ずる暖房負荷側分岐路(51)を上記冷房負荷側空調空間(Ci)に通ずる冷房負荷側分岐路(52)よりも下流側で分岐させ、上記通風路(50)の冷房負荷側分岐路(52)との分岐点よりも上流側に蒸発器として機能可能な利用側熱交換器(12)を配設する一方、暖房負荷側分岐路(51)に空調空気を再加熱するための再熱器(14)を配置し、暖房負荷側空調空間(Cp)で暖房を冷房負荷側空調空間(Ci)で冷房を同時に行う冷暖同時運転が可能に構成された空気調和装置において、上記暖房負荷側分岐路(51)の風量を調節する風量調節機構(Va1)と、該風量調節機構(Va1)で調節される上記暖房負荷側分岐路(51)の定格風量を、上記冷暖同時運転時では、暖房負荷側空調空間(Cp)の冷房時の定格風量よりも小さくするよう設定する定格風量設定手段(61)とを備えたことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
【請求項2】 請求項1記載の空気調和装置の運転制御装置において、暖房負荷側空調空間(Cp)における要求能力を検出する負荷検出手段(Thr)と、該負荷検出手段(Thr)の出力を受け、上記風量調節機構(Va1)を駆動して、上記暖房負荷側分岐路(51)の風量と定格風量との強度比を、暖房負荷側空調空間(Cp)の要求能力に応じた値とするよう制御する風量制御手段(63A)とを備えたことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
【請求項3】 請求項1記載の空気調和装置の運転制御装置において、暖房負荷側空調空間(Cp)における要求能力を検出する負荷検出手段(Thr)と、該負荷検出手段(Thr)の出力を受け、上記風量調節機構(Va1)を駆動して、上記暖房負荷側分岐路(51)の風量と定格風量との強度比を、暖房負荷側空調空間(Cp)の要求能力に応じた値とするよう制御する風量制御手段(63B)と、暖房負荷側空調空間(Cp)の室温を検出する室温検出手段(Thr)と、該室温検出手段(Thr)の出力を受け、上記冷暖同時運転時、暖房負荷側空調空間(Cp)の吹出空気温度の制御目標値と現在室温との差値を、要求暖房能力を上記風量制御手段(63A)で制御される風量で除算した値にするよう設定する吹出目標値設定手段(64)と、暖房負荷側空調空間(Cp)への吹出空気の温度を検出する吹出温度検出手段(Thp)と、該吹出温度検出手段(Thp)の出力を受け、暖房負荷側空調空間(Cp)への吹出空気温度が上記吹出目標値設定手段(64)で設定された制御目標値になるよう上記再熱器(14)の加熱能力を制御する加熱能力制御手段(62)とを備えたことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
【請求項4】 請求項1,2又は3記載の空気調和装置の運転制御装置において、再熱器(14)のケーシング(40)内に設けられ、吹出空気が再熱器(14)をバイパスして吹出口まで流通するためのバイパス路(41)と、該バイパス路(41)の通路面積を増減変更する面積変更機構(45)と、暖房負荷側空調空間(Cp)の冷房時にはバイパス路(41)の通路を開き、冷暖同時運転時にはバイパス路(41)の通路を閉じるよう上記面積変更機構(45)を制御するバイパス量制御手段とを備えたことを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。
【請求項5】 請求項4記載の空気調和装置の運転制御装置において、面積変更機構(45)は、風量調節機能を有するものであることを特徴とする空気調和装置の運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図12】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開平6−50566
【公開日】平成6年(1994)2月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−206661
【出願日】平成4年(1992)8月3日
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)