説明

空気超音波診断装置

【目的】 空気中を伝搬する超音波を用いて、非接触で材料表面性状、内部欠陥、異常部を検出・評価する空気超音波診断装置を提供する。
【解決手段】 複数の超音波送受信圧電素子23により構成される空気超音波アレイ探触子2、複数の超音波信号発生装置3、走査機構4、複数の超音波受信増幅装置5、複数の高速A/D変換ボード6、複数のデジタル波形記憶部7、波形処理部10を内蔵するパーソナルコンピュータ8を用い、超音波信号発生装置3で発生させた電気信号を空気超音波アレイ探触子2により空気を介して被測定物30に入射し、被測定物30の表面、内部あるいは裏面で散乱された超音波信号を空気超音波アレイ探触子2により受信し、その信号を超音波受信増幅装置5で増幅し、デジタル波形記憶部7に同期加算してあるいは加算せずに収録し、パーソナルコンピュータ8を用いて材料特性の空間分布あるいは内部欠陥を画像化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
空気中を伝搬する超音波を用いて、非接触で被測定対象物表面性状、内部の材料特性分布及び内部欠陥を非破壊的に画像化する診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気中を伝搬する超音波を用いて被測定物表面からの反射波を測定することにより、例えば、特開平09−331599号公報及び特開平09−053925号公報に開示される技術によって、液面高さの測定、移動物体の位置の検出を行う技術が実用化されている。
【特許文献1】特開平09−331599号公報
【特許文献2】特開平09−053925号公報
【0003】
空気から金属、プラスチック、あるいは人体内部の欠陥あるいは異常部からの超音波往復透過率は1/10000程度と極めて低いところ、2個の空気超音波探触子の間に被測定物を配置する透過法、あるいは板状物体の片面に送信及び受信空気超音波探触子を配置するいわゆるピッチキャッチ法により、板状物体の内部あるいは裏面に存在する欠陥を検出する技術は存在するが、空気超音波反射法を用いてそれら内部に存在する欠陥あるいは異常部を検出する技術は存在しなかった。
【0004】
即ち、上記した透過法は、被測定物の一方の側からの測定が不可能であり、被測定物の一方の側から超音波を送受信する測定配置では、被測定物表面での反射波信号に比べて、裏面あるいは内部欠陥からの反射あるいは散乱波信号は極めて微弱であるので、増幅率を80乃至120dBという高い増幅率を必要とするという欠点がある。また、ピッチキャッチ法では、送信及び受信探触子の寸法を小型化することが困難であり、装置の小型化ができないという問題点を有する。
【0005】
空気中において非接触で超音波を送受する他の方法として、例えば、特開2007−271555号公報に示されるように、電磁超音波探触子を用いる方法が存在するが、適用対象が導電材料に限定され、しかも被測定物と探触子との間の距離を1mm程度以下にする必要がある。
【0006】
また、特開2006−200970号公報に示されるように、空気中において強力レーザービームを被測定物の表面に照射し熱弾性による膨張収縮にあるいは表面層の気化に伴う応力により超音波を励起し、レーザー干渉計で表面超音波変位を検出する方法が存在するが、超音波ビームの指向性制御が困難であると共に低感度であり、また強力レーザーに対する防御が必要であり、さらに高価格等の問題点を有するため適用範囲が限定されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、工業材料内の材料特性及び欠陥、食品中の異質物、人体中の異常組織などを、空気伝搬超音波を用いて非接触で検出・評価することのできる空気超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明が採用した解決手段は、複数の超音波送受信圧電素子により構成される空気超音波アレイ探触子と、該空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信圧電素子のそれぞれに電気信号を送る複数の超音波信号発生装置と、前記空気超音波アレイ探触子を被測定物に対して相対的に移動しながら位置決めを行う超音波アレイ探触子走査機構と、前記複数の超音波送受信圧電素子のそれぞれに対応して設けられて受信した信号を増幅する複数の超音波受信増幅装置、該複数の超音波受信増幅装置に対応して設けられる複数の高速A/D変換ボードと、該複数の高速A/D変換ボードに対応して設けられる複数のデジタル波形記憶部と、パーソナルコンピュータ内に内蔵された送信時間差設定部及び波形処理部並びに画像表示部と、を備え、前記パーソナルコンピュータからの指令に基づいて前記複数の超音波信号発生装置で発生させた電気信号により、前記空気超音波アレイ探触子の対応する前記超音波送受信電圧素子を励起し空気を介して超音波を被測定物に入射し、該被測定物の表面と内部と裏面で散乱された超音波信号を前記空気超音波アレイ探触子の対応する前記超音波送受信電圧素子により受信し、その受信した超音波信号を前記複数の超音波受信増幅装置でそれぞれ増幅した後、前記高速A/D変換ボードでデジタル変換し、そのデジタル変換したデジタル波形を前記複数のデジタル波形記録部に同期加算してあるいは加算せずに収録し、その収録されたデジタル波形を用いて前記パーソナルコンピュータの波形処理部及び画像表示部によって材料特性の空間分布又は内部欠陥あるいは対象物輪郭を高速で画像化することを特徴とする。
【0009】
前記空気超音波アレイ探触子を励起し空気を介して入射する入射超音波は、広帯域パルス波、一定周波数のバースト波、チャ−プ波、あるいは任意関数発生器で作成した任意波形、のいずれかであることを特徴とする。被測定物の材質、表面性状に応じて、入射超音波を広帯域パルス波、一定周波数のバースト波、チャ−プ波、あるいは任意関数発生器で作成した任意波形の中から選択することにより、受信信号のSN比を高めることができる。
【0010】
前記超音波信号発生装置は、複数の圧電素子に適切な時間遅れを与えて独立に励起し、前記被測定物の任意の点に超音波ビームの焦点を結ばせることを特徴とする。複数の圧電素子で構成される空気超音波アレイ探触子及びそれらを適切な時間遅れを与える複数の超音波発生装置と、被測定物の表面あるいは内部からの散乱波信号を空気超音波アレイ探触子で受信するための複数の超音波受信増幅装置とを適切に制御することにより、縦波、モード変換横波及び表面波などの励起が可能である。
【0011】
前記パーソナルコンピュータは、前記複数のデジタル波形記録部に記憶されたデジタル波形に前記波形処理部で各種デジタル処理を加えることにより、前記画像表示部で前記被測定物の材料特性分布又は内部欠陥分布あるいは輪郭を再構成し画像化することを特徴とする。この画像化により、工業材料内の材料特性及び欠陥、食品中の異質物、人体中の異常組織などを、空気伝搬超音波を用いて非接触で検出・評価するができる。
【0012】
前記空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信圧電素子は、一次元配列させた複数の圧電素子の前面に空気との音響整合層を持つことにより、空気を通して数百KHzないし数MHzの超音波を送受信することを可能にすることを特徴とする。素子数が少なく、波長が長く、素子の周波数帯域が狭いと、ホイヘンスの原理によりセンサ中心軸線以外にグレ−ティングローブと呼ばれる超音波音圧の高い部分が発生する場合があるが、音響整合層を持つことにより、グレーティングローブの発生を抑制し、また、空気との音響インピーダンス整合を図ることができる。
【0013】
複数の超音波送受信圧電素子により構成される空気超音波アレイ探触子と、高速で信号を切り替えるマルチプレクサと、前記空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信圧電素子のそれぞれに前記マルチプレクサを介して電気信号を送る1個の超音波信号発生装置と、前記空気超音波アレイ探触子を被測定物に対して相対的に移動しながら位置決めを行う超音波アレイ探触子走査機構と、前記複数の超音波送受信圧電素子で受信した信号を前記マルチプレクサを介して増幅する1個の超音波受信増幅装置、該1個の超音波受信増幅装置に対応して設けられる1個の高速A/D変換ボードと、該1個の高速A/D変換ボードに対応して設けられる1個のデジタル波形記憶部と、パーソナルコンピュータ内に内蔵された送信時間差設定部及び波形処理部並びに画像表示部と、を備え、前記マルチプレクサを用いて、前記パーソナルコンピュータからの指令に基づいて前記1個の超音波信号発生装置で発生させた電気信号を、前記空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信電圧素子を順次励起し空気を介して超音波を被測定物に入射し、該被測定物の表面と内部と裏面で散乱された超音波信号を前記空気超音波アレイ探触子の前記超音波送受信電圧素子により順次受信し、その受信した超音波信号を前記1個の超音波受信増幅装置で増幅した後、前記高速A/D変換ボードでデジタル変換し、そのデジタル変換したデジタル波形を前記1個のデジタル波形記録部に同期加算してあるいは加算せずに収録する過程を繰り返し、その収録されたデジタル波形を用いて前記パーソナルコンピュータの波形処理部及び画像表示部によって材料特性の空間分布又は内部欠陥あるいは対象物輪郭を高速で画像化することを特徴とする。簡易的に、複数の超音波信号発生装置、複数の超音波送受信装置、及び複数のA/D変換ボード、複数のデジタル波形記憶部に替えて、高速マルチプレクサ(信号切替スイッチングユニット)と単一の超音波信号発生装置、超音波送受信装置、A/D変換ボード及びデジタル波形記憶部を用いて、超音波信号を送受信することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、完全に非接触で被測定物から数十mm離れて超音波を送受信し、表面性状、内部欠陥、内部異常部を非破壊的に画像化する手段が確立された。
【0015】
また、超音波探触子を接触させることで変形・変質する軟質物体、例えばグリーンセラミックス、食品などに対する超音波評価、欠陥検出が容易に達成できる。
【0016】
低周波超音波を用いることにより低減衰で長距離超音波を伝搬させることができるので、大型構造物の非破壊検査に適用できる。また非接触で低周波超音波を用いるので、被測定物表面に0.1mm台の凹凸があってもそのまま超音波の送受信ができる。
【0017】
走査機構により空気中で空気超音波アレイ探触子を機械的に走査することにより、任意の位置に存在する物体の表面形状及びその内部欠陥を高速で画像化できる。
【0018】
接触式あるいは水浸超音波法では測定できない、水中音速より遅く空中音速より早い伝搬速度を持つCFRP、 プラスチック材料、木材等の表面波あるいはガイド波を励起することができるので、表面層及び表面直下の材料特性を非破壊的に評価できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明を用いて内部欠陥を非接触で検出するための最良の形態を実施例に基づき、図面を参照して以下に説明する。
【0020】
図1は、本発明に関わる空気超音波診断装置を説明する図である。空気超音波診断装置1は、複数の超音波送受信圧電素子23により構成される空気超音波アレイ探触子2と、空気超音波アレイ探触子2の複数の超音波送受信圧電素子23のそれぞれに電気信号を送る複数の超音波信号発生装置3と、空気超音波アレイ探触子2を被測定物30に対して相対的に移動しながら位置決めを行う超音波アレイ探触子走査機構4と、複数の超音波送受信圧電素子23のそれぞれに対応して設けられて受信した信号を増幅する複数の超音波受信増幅装置5、複数の超音波受信増幅装置5に対応して設けられ且つアナログ信号をデジタル信号に変換する複数の高速A/D変換ボード6と、複数の高速A/D変換ボード6に対応して設けられる且つデジタル波形を記憶する複数のデジタル波形記憶部7と、パーソナルコンピュータ8内に内蔵された送信時間差設定部9及び波形処理部10並びに画像表示部11と、を備えて構成されている。
【0021】
空気超音波アレイ探触子2は、図2に示すように、アレイセンサ取付部材20のセンサ取付面21に、一次元配列した複数個の圧電性PZTセラミックス角柱(超音波送受信圧電素子23)の周りをプラスチックで充填したセンサコンポジット22を取り付け、そのセンサコンポジット22の表面に空気との音響インピーダンス整合を図るために音響整合層24を貼付して構成されている。図示の場合には、例えば、アレイセンサ取付部材20は、直径13mmで長さ140mmのステンレス製円筒状部材に長さ24mmのセンサ取付面21を形成し、該センサ取付面21に、素子寸法が「2×5mm」の超音波送受信圧電素子23をピッチ2.5mmで10個配列したセンサコンポジット22を取り付けることにより空気超音波アレイ探触子2が構成されている。なお、アレイセンサ取付部材20の一端から超音波送受信圧電素子23に接続される配線25が外部に引き出されている。
【0022】
ところで、空気中を伝播させると高周波での減衰が大きいので,数MHz以下の超音波(望ましくは、1MHz)しか伝搬させられない。このため、周波数0.8MHzのセンサを使用するとき、鉄鋼中の縦波波長は約8mmであり、人体中で約2mmとなる。図2に示す空気超音波アレイ探触子2においては、人体診断用を想定し、素子幅を2mmとしたものを示した。
【0023】
また、素子数が少なく、波長が長く、素子の周波数帯域が狭いと、ホイヘンスの原理によりセンサ中心軸線以外にグレ−ティングローブと呼ばれる超音波音圧の高い部分が発生する。グレーティングローブが発生すると本来の欠陥位置以外にも、あたかも欠陥が存在するようなアーチファクト(虚像)が現れ、画像の解釈が困難となる。グレーティングローブの発生を抑制するため、また、空気との音響インピーダンス整合を図るため、素子の前面に貼り付ける音響整合層24を最適化した。これにより0.8MHz送信でも数cm離して超音波送受信が可能になり、グレーティングローブの発生を抑制することができる。
【0024】
しかして、上記のように構成される空気超音波診断装置1において、パーソナルコンピュータ8の送信時間差設定部9からの指令に基づいて複数の超音波信号発生装置3で発生させた適切な時間遅れの電気信号により、空気超音波アレイ探触子2の対応する超音波送受信電圧素子23を独立に励起し空気を介して超音波を走査機構4で設定した被測定物30の任意の点に超音波ビームの焦点を結ばせるように入射し、該被測定物30の表面と内部と裏面で散乱された超音波信号を空気超音波アレイ探触子2の対応する超音波送受信電圧素子23により受信し、その受信した超音波信号を複数の超音波受信増幅装置5でそれぞれ増幅した後、高速A/D変換ボード6でデジタル変換し、そのデジタル変換したデジタル波形を複数のデジタル波形記録部7に同期加算してあるいは加算せずに収録し、その収録されたデジタル波形を用いてパーソナルコンピュータ8の波形処理部10で各種デジタル処理を加え、画像表示部11によって材料特性の空間分布又は内部欠陥あるいは対象物輪郭を高速で画像化することができる。
【0025】
空気超音波アレイ探触子2の全素子23を用いて超音波を送信し、その後全素子を用いて超音波を受信する方式、あるいは空気超音波アレイ探触子2の一部の素子23を用いて超音波送信し、残りの素子23で超音波を受信する方式のいずれかを選択することができる。後者の方式を用いると、モード変換横波及び表面波を用いた超音波測定ができる。素子数が多い空気超音波アレイ探触子2を用いれば、走査機構4による機械的走査を行わずに被測定物の表面形状及び内部欠陥の画像化ができる。
【0026】
次に、上記した空気超音波診断装置1を用いて病変部に打ち込まれたと仮定した識別クリップの有無の画像化を行った結果を図3及び図4を参照して説明する。図3において、病変部の金属製の識別クリップ32を支持台33に置いた状態で、空気超音波アレイ探触子2から超音波を入射した。識別クリップ32が支持台33に置かれたとき、図4(A)の受信波形の実線枠内に示すように有意な受信波形が得られ、これをセクタスキャンで画像化すると図4(B)に示すように長方形枠中央部にクリップ画像34が表示される。セクタスキャン像は、超音波ビームを垂直下方から左右に20度振ったときの反射波形を画像化する。長方形枠内のクリップ画像34の左右に弱い虚像35(アーチファクト)と機器ノイズ36が観察されるが、クリップ画像34のコントラストが有意に強い。一方、図4(C)、(D)は、病変部の識別クリップ32がない場合の結果であり、図4(C)の時間波形には大振幅の受信波が見られず、その結果、図4(D)のセクタスキャン像には機器ノイズ36以外は表示されない。
【0027】
図1に示す空気超音波診断装置1は、最適測定形態を示すものであるが、その簡易形態として、図5に示す空気超音波診断装置40であってもよい。図5において、複数の超音波送受信圧電素子42により構成される空気超音波アレイ探触子41と、高速で信号を切り替えるマルチプレクサ43と、空気超音波アレイ探触子41の複数の超音波送受信圧電素子42のそれぞれにマルチプレクサ43を介して電気信号を送る1個の超音波信号発生装置44と、空気超音波アレイ探触子41を被測定物30に対して相対的に移動しながら位置決めを行う超音波アレイ探触子走査機構45と、複数の超音波送受信圧電素子42で受信した信号をマルチプレクサ43を介して増幅する1個の超音波受信増幅装置46、1個の超音波受信増幅装置46に対応して設けられる1個の高速A/D変換ボード47と、1個の高速A/D変換ボード47に対応して設けられる1個のデジタル波形記憶部48と、パーソナルコンピュータ49内に内蔵された送信時間差設定部50及び波形処理部51並びに画像表示部52と、を備え、マルチプレクサ43を用いて、パーソナルコンピュータ49からの指令に基づいて1個の超音波信号発生装置44で発生させた電気信号を、空気超音波アレイ探触子41の複数の超音波送受信電圧素子42を順次励起し空気を介して超音波を被測定物30に入射し、被測定物30の表面と内部と裏面で散乱された超音波信号を空気超音波アレイ探触子41の超音波送受信電圧素子42により順次受信し、その受信した超音波信号を1個の超音波受信増幅装置46で増幅した後、高速A/D変換ボード47でデジタル変換し、そのデジタル変換したデジタル波形を1個のデジタル波形記録部48に同期加算してあるいは加算せずに収録する過程を繰り返し、その収録されたデジタル波形を用いてパーソナルコンピュータ49の波形処理部51及び画像表示部52によって材料特性の空間分布又は内部欠陥あるいは対象物輪郭を高速で画像化する。この構成からなる空気超音波診断装置40は、空間分解能は図1の空気超音波診断装置1より低下するが安価なシステムで被測定物30の表面形状及び内部欠陥の画像化ができる。この方法は、空気超音波アレイ探触子41と被測定物30との間距離が200mm以上の場合に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施形態に係る空気超音波診断装置の全体構成説明図である。
【図2】空気超音波アレイ探触子の概略図を示す側面図である。
【図3】病変部の識別クリップと空気超音波アレイ探触子の位置関係を示す説明図である。
【図4】空気超音波診断装置による病変部識別クリップの画像と受信波形を示す説明図である。
【図5】簡易型の空気超音波診断装置の全体構成説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 空気超音波診断装置
2 空気超音波アレイ探触子
3 超音波信号発生装置
4 走査機構
5 超音波受信増幅装置
6 高速A/D変換ボード
7 デジタル波形記憶部
8 パーソナルコンピュータ
9 送信時間差設定部
10 波形処理部
11 画像表示部
23 超音波送受信圧電素子
24 音響整合層
30 被測定物
40 空気超音波診断装置
41 空気超音波アレイ探触子
42 超音波送受信圧電素子
43 マルチプレクサ
44 超音波信号発生装置
45 走査機構
46 超音波受信増幅装置
47 高速A/D変換ボード
48 デジタル波形記憶部
49 パーソナルコンピュータ
50 送信時間差設定部
51 波形処理部
52 画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の超音波送受信圧電素子により構成される空気超音波アレイ探触子と、該空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信圧電素子のそれぞれに電気信号を送る複数の超音波信号発生装置と、前記空気超音波アレイ探触子を被測定物に対して相対的に移動しながら位置決めを行う超音波アレイ探触子走査機構と、前記複数の超音波送受信圧電素子のそれぞれに対応して設けられて受信した信号を増幅する複数の超音波受信増幅装置、該複数の超音波受信増幅装置に対応して設けられる複数の高速A/D変換ボードと、該複数の高速A/D変換ボードに対応して設けられる複数のデジタル波形記憶部と、パーソナルコンピュータ内に内蔵された送信時間差設定部及び波形処理部並びに画像表示部と、を備え、
前記パーソナルコンピュータからの指令に基づいて前記複数の超音波信号発生装置で発生させた電気信号により、前記空気超音波アレイ探触子の対応する前記超音波送受信電圧素子を励起し空気を介して超音波を被測定物に入射し、該被測定物の表面と内部と裏面で散乱された超音波信号を前記空気超音波アレイ探触子の対応する前記超音波送受信電圧素子により受信し、その受信した超音波信号を前記複数の超音波受信増幅装置でそれぞれ増幅した後、前記高速A/D変換ボードでデジタル変換し、そのデジタル変換したデジタル波形を前記複数のデジタル波形記録部に同期加算してあるいは加算せずに収録し、その収録されたデジタル波形を用いて前記パーソナルコンピュータの波形処理部及び画像表示部によって材料特性の空間分布又は内部欠陥あるいは対象物輪郭を高速で画像化することを特徴とする空気超音波診断装置。
【請求項2】
前記空気超音波アレイ探触子の前記超音波送受信電圧素子を励起し空気を介して入射する超音波は、広帯域パルス波、一定周波数のバースト波、チャ−プ波、あるいは任意関数発生器で作成した任意波形、のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の空気超音波診断装置。
【請求項3】
前記超音波信号発生装置は、前記パーソナルコンピュータの前記送信時間差設定部によって、前記複数の超音波送受信圧電素子に適切な時間遅れを与えて独立に励起し、前記被測定物の任意の点に超音波ビームの焦点を結ばせることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の空気超音波診断装置。
【請求項4】
前記パーソナルコンピュータは、前記複数のデジタル波形記録部に記憶されたデジタル波形に前記波形処理部で各種デジタル処理を加えることにより、前記画像表示部で前記被測定物の材料特性の空間分布又は内部欠陥あるいは対象物輪郭を再構成し画像化することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の空気超音波診断装置。
【請求項5】
前記空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信圧電素子は、一次元配列させた複数の圧電素子の前面に空気との音響整合層を持つことにより、空気を通して数百KHzないし数MHzの超音波を送受信することを可能にすることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の空気超音波診断装置。
【請求項6】
複数の超音波送受信圧電素子により構成される空気超音波アレイ探触子と、高速で信号を切り替えるマルチプレクサと、前記空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信圧電素子のそれぞれに前記マルチプレクサを介して電気信号を送る1個の超音波信号発生装置と、前記空気超音波アレイ探触子を被測定物に対して相対的に移動しながら位置決めを行う超音波アレイ探触子走査機構と、前記複数の超音波送受信圧電素子で受信した信号を前記マルチプレクサを介して増幅する1個の超音波受信増幅装置、該1個の超音波受信増幅装置に対応して設けられる1個の高速A/D変換ボードと、該1個の高速A/D変換ボードに対応して設けられる1個のデジタル波形記憶部と、パーソナルコンピュータ内に内蔵された送信時間差設定部及び波形処理部並びに画像表示部と、を備え、
前記マルチプレクサを用いて、前記パーソナルコンピュータからの指令に基づいて前記1個の超音波信号発生装置で発生させた電気信号を、前記空気超音波アレイ探触子の前記複数の超音波送受信電圧素子を順次励起し空気を介して超音波を被測定物に入射し、該被測定物の表面と内部と裏面で散乱された超音波信号を前記空気超音波アレイ探触子の前記超音波送受信電圧素子により順次受信し、その受信した超音波信号を前記1個の超音波受信増幅装置で増幅した後、前記高速A/D変換ボードでデジタル変換し、そのデジタル変換したデジタル波形を前記1個のデジタル波形記録部に同期加算してあるいは加算せずに収録する過程を繰り返し、その収録されたデジタル波形を用いて前記パーソナルコンピュータの波形処理部及び画像表示部によって材料特性の空間分布又は内部欠陥あるいは対象物輪郭を高速で画像化することを特徴とする空気超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−276319(P2009−276319A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130411(P2008−130411)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(504327306)有限会社超音波材料診断研究所 (12)
【Fターム(参考)】