説明

空燃比制御方法

【課題】航空機レシプロエンジンの空燃比のズレ量を短時間で推定し、さらに空燃比の補正を行う際の速度変動を抑える手法が必要とされる。
【解決手段】航空機レシプロエンジンの目標空燃比に対する実空燃比のズレ量を、スロットル開度を変化させて推定する。予め、エンジンのスロットル開度を求め、スロットル開度と空気過剰率のマップTh-λと排気温度と空気過剰率の特性曲線マップEGT-AF-Thを作成し、EGT-AF-Thに近似する近似式を求めておく。航空機の飛行中に燃料流量が一定の状態で、Th-λを参照し、予め定めたスロットル開度に対応する空気過剰率を求め、スロットル開度に対応する排気温度を計測する。こうして求められた空気過剰率および排気温度を、近似式に代入し、実理論空気過剰率λpを算出し、理論空気過剰率λ*と実理論空気過剰率λpの差Δλを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機レシプロエンジンの空燃比に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機レシプロエンジンの空燃比(AF)は、排気温度(EGT温度)が最大になるとき、理論空燃比(14.7)になることが知られている。図1に示すように、空燃比を増大させ、EGT温度が上昇する場合はリーン状態であり、EGT温度が最大値を過ぎて降下する場合はリッチ状態であると判断する。
【0003】
従来の航空機レシプロエンジンの制御においては、このEGT温度と空燃比の関係を用いて、パイロットが、EGT温度を計器により目視しながらミクスチャレバーを手動操作し、目標AFとなるように制御してきた。
【0004】
しかし、パイロットの目視や手動操作に依存した制御方法は、目標となる目標AFに対して実空燃比の精度が悪く、出力低下、燃費悪化、信頼性低下などの問題点があった。
【0005】
この問題点を解決するために、特許文献1は、パイロットの介入を無くしたコンピュータによるエンジンの自動制御を開示している。
【0006】
具体的には、EGTを含めた補正プログラムにより目標空燃比に対して、リッチ側と判断した場合は燃料流量を減少させ、リーン側と判断した場合は燃料流量を増大させ、目標空燃比に到達するまで補正を繰り返して行うものである。
【0007】
しかし、特許文献1の補正プログラムは、空燃比を0.001のレベルで制御するため、目標空燃比に到達するまでの補正時間が非常に大きくなる。言い換えれば、実空燃比と理論空燃比の差の推定に時間が掛かり、消費電力(演算処理時間)が増大していた。
【0008】
また、特許文献1の補正プログラムは、燃料流量によって空燃比のズレ量を調整している。図2(a)は、燃料流量とトルクの関係を表し、図2(b)は、トルクと空気量の関係を表す。図2(a)(b)から解るように、燃料流量は空気量に比べて、エンジンのトルク変動に大きな影響を与える。そのため、燃料流量によって、空燃比のズレ量を調整している特許文献1の補正プログラムは、巡航時に実行すると速度変動を起こしていた。
【特許文献1】米国特許第6,317,680号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、上記課題を解決するために、短時間で空燃比のズレ量を推定する手法が必要とされる。
【0010】
さらに、空燃比の補正を行う際の速度変動を抑える手法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明の一形態では、航空機レシプロエンジンの目標空燃比に対する実空燃比のズレ量を、スロットル開度を変化させて推定する。
【0012】
予め、エンジンのキャリブレーション用の少なくとも3つのスロットル開度 (Th1、Th2、Th3)を定める。次に、予めエンジンの所定の燃料流量Gfごとに、スロットル開度と空気過剰率のマップTh-λを作成する。さらに、予め所定の燃料流量Gfごとに、スロットル開度をパラメータとした排気温度と空気過剰率の特性曲線マップEGT-AF-Thを作成し、この特性曲線マップEGT-AF-Thに近似するEGT-AF-Th近似式を求めておく。この近似式は、複数の特性曲線マップに対して1つ求めるのが好ましい。
【0013】
航空機の飛行中に燃料流量が一定の状態で、Th-λを参照し、それぞれのキャリブレーション用の少なくとも3つのスロットル開度(Th1、Th2、Th3)に対応する空気過剰率(λ1、λ2、λ3)を求める。これと同時またはこれと前後して、スロットル開度(Th1、Th2、Th3)に対応する排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を計測する。
【0014】
こうして求められた空気過剰率(λ1、λ2、λ3)および排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を、EGT-AF-Th近似式に代入し、実理論空気過剰率λpを算出する。理論空気過剰率λ*と実理論空気過剰率λpの差Δλを算出する。
【0015】
この形態によると、AF精度の低下に対して、短時間で、高精度に空気過剰率のズレ量を推定することができるという利点が得られる。
【0016】
また、この形態によると、空気過剰率のズレ量の推定を吸入空気量を変化させて行うので、燃料流量を変化させて計測する場合に比べて、空気過剰率のズレ量を推定している間におけるトルクの変動を少なくすることができるという利点が得られる。
【0017】
この発明のもう一つの形態では、EGT-AF-Th近似式が、
Tg1=a*(λ1-λp)2+Tp, Tg2=a*(λ2-λp)2+Tp, Tg3=a*(λ3-λp)2+Tp
である。ここで、Tpは最大温度、λpは、Tpにおける空気過剰率、aは定数である。
【0018】
さらに、この発明のもう一つの形態では、燃料噴射量の現在値Tiから、補正燃料噴射量ΔTi=Δλ*Tiを算出する。現在のスロットル開度を維持した状態で、補正燃料噴射量ΔTiに基づき航空機レシプロエンジンの空燃比を制御する。
【0019】
さらに、この発明のもう一つの形態では、航空機レシプロエンジンの目標空燃比に対する実空燃比のズレ量を、燃料流量を変化させて推定する。
【0020】
予めエンジンのキャリブレーション用の少なくとも3つの燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)を定める。次に、予めエンジンの所定のスロットル開度Thごとに、燃料流量と空気過剰率のマップGf-λを作成する。さらに、予め所定のスロットル開度Thごとに、燃料流量をパラメータとした排気温度と空気過剰率の特性曲線マップEGT-AF-Gfを作成し、この特性曲線マップEGT-AF-Gfに近似するEGT-AF-Gf近似式を求めておく。この近似式は、複数の特性曲線マップに対して1つ求めるのが好ましい。
【0021】
航空機の飛行中にスロットル開度が一定の状態で、マップGf-λを参照し、それぞれのキャリブレーション用の少なくとも3つの燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)に対応する空気過剰率(λ1、λ2、λ3)を求める。これと同時またはこれと前後して、キャリブレーション用の少なくとも3つの燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)に対応する排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を計測する。
【0022】
こうして求められた空気過剰率(λ1、λ2、λ3)および排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を、EGT-AF-Gf近似式に代入し、実理論空気過剰率λpを算出する。理論空気過剰率λ*と実理論空気過剰率λpの差Δλを算出する。
【0023】
この形態によると、AF精度の低下に対して、短時間で、高精度に空気過剰率のズレ量を推定することができるという利点が得られる。
【0024】
さらに、この発明のもう一つの形態では、航空機レシプロエンジンの目標空燃比に対する実空燃比のズレ量を、スロットルと燃料流量を変化させ、エンジン出力を一定にして推定する。
【0025】
エンジンの所定の出力ごとに、エンジンのスロットル開度(Th1、Th2、Th3)と燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)を組み合わせたキャリブレーション用の少なくとも3つの組合せTh/Gf((Th1、Gf1)、(Th2、Gf2)、(Gf3、Th3))を予め決定する。次に、予め所定の出力ごとに、スロットル開度と燃料流量と空気過剰率の3次元マップTh-Gf-λ-mapまたは、関係情報Th-Gf-λ-infoを作成する。さらに、予め所定の出力における、スロットル開度と燃料流量をパラメータとした排気温度と空気過剰率の特性曲線マップEGT-AF-Tを作成し、この特性曲線マップEGT-AF-Tに近似するEGT-AF-T近似式を求めておく。この近似式は、複数の特性曲線マップに対して1つ求めるのが好ましい。
【0026】
航空機の飛行中にエンジン出力の現在値を推定し、エンジン出力が一定の状態で、3次元マップTh-Gf-λ-mapまたは関係情報Th-Gf-λ-infoを参照し、それぞれのキャリブレーション用の少なくとも3つの組合せTh/Gf((Th1、Gf1)、(Th2、Gf2)、(Gf3、Th3))に対応する空気過剰率(λ1、λ2、λ3)を求める。これと同時またはこれと前後して、キャリブレーション用の少なくとも3つの組合せTh/Gf((Th1、Gf1)、(Th2、Gf2)、(Gf3、Th3))に対応する排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を計測する。
【0027】
こうして求められた空気過剰率(λ1、λ2、λ3)および排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を、EGT-AF近似式に代入し、実理論空気過剰率λpを算出する。理論空気過剰率λ*と実理論空気過剰率λpの差Δλを算出する。
【0028】
この形態によると、AF精度の低下に対して、短時間で、高精度に空気過剰率のズレ量を推定することができるという利点が得られる。
【0029】
また、この形態によると、空気過剰率のズレ量を推定している間におけるエンジン出力を一定に維持することができるという利点が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
次に図面を参照して、この発明の実施形態を説明する。
【0031】
図3は、空燃比制御システムの概略図であり、エンジン31、燃料タンク41、エンジン出力レバー11および電子制御ユニット(ECU)21を備える。
【0032】
エンジン
エンジン31は、電子スロットル36、モータ37、開度センサ(図示せず)、燃料噴射装置(インジェクタ)35、インジェクタ35に接続された燃料レール33、圧力調整器(PR)32、燃料流量センサ34、エンジン回転数(NE)センサ38および排気温度センサ(EGTセンサ)39を備える。
【0033】
PR32は、燃料レール33内の燃料圧力を調整し、過剰な燃料を燃料タンク41に環流させる。燃料流量センサ34は燃料レール33を流れる燃料の流量を計測する。
【0034】
エンジン出力レバー
航空機は、飛行状態に応じて、地上モード、離陸モード、巡航モード、着陸モードが存在する。航空機の操作モードは、エンジン出力レバー11のレバー開度(θ1〜θ4)によって決定される。
【0035】
エンジン出力レバー11は、補正スイッチ15を備えており、パイロットが補正スイッチ15をONにすると、補正命令がECU21に発信されAF制御補正が実行される。また、エンジン回転数の積分値を記憶しておき、これを噴射回数による経路劣化判定の尺度として、所定値を超えると自動的にAF制御補正をスタートさせることもできる。
【0036】
ECU
ECUは、コンピュータであり、プロセッサ、このプロセッサに作業領域を与えるランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プロセッサが実行するプログラムを格納する読み取り専用メモリ(ROM)、航空機に備えられて各種のセンサからの信号を受け取る入力インターフェース、航空機の各部に指令信号および駆動信号を送り出す出力インターフェースを備える。
【0037】
ECU21は、電子スロットル36の開度とインジェクタ35による燃料噴射などを制御する。
【0038】
電子スロットル36は、モータ37によって駆動される。モータ37は、ECU21からの指令信号に応じて電子スロットルを指令された開度に駆動する。このようにECU21からの指令に応じてスロットルを駆動する方式はドライブバイワイア(Drive-by-wire)と呼ばれる。
【0039】
1.スロットルを変化させることによるズレ量推定
この発明の一形態では、AF制御補正を行う際のΔλの推定を電子スロットル36を変化させて行う。
【0040】
図4は、本実施例のECUのブロック図である。このブロック図は、本発明の空燃比制御システムに関する機能に限って作成されている。
【0041】
データ決定部101は、Δλの推定に必要なデータを予め実験により準備し、ECUのROMに格納する。
【0042】
準備
この準備用の実験では、キャリブレーション用に少なくとも3つの電子スロットル開度(Th1,Th2,Th3)を定める。
【0043】
次に、燃料流量(Gf)一定の条件下でエンジンを働かせ、電子スロットル開度(Th)と空気過剰率(λ)の関係を測定し、Th-λマップを作成する。このマップはいくつかの異なる燃料流量について作成する。ここで、空気過剰率λとは、実空燃比AF/理論空燃比AFである。図5(a)は、1つの燃料流量についてのTh-λマップの一例である。
【0044】
さらに、燃料流量(Gf)一定の条件下で、排気温度(EGT温度)と空気過剰率(λ)の関係を測定し、特性曲線マップEGT-AF-Th マップを作成する。図5(b)は、1つの燃料流量についてのEGT-AF-Thマップの一例である。いくつかの異なる燃料流量について同様の特性曲線マップを作成する。Tpは最大温度であり、λpは、Tpにおける空気過剰率である。
【0045】
このEGT-AF-Th特性曲線マップに近似する近似式を求める。この近似式は、二次関数Tg=a*(λ-λp)2+Tpとすることができる。aは、比例係数である。この二次関数近似式は、最小自乗法などの既知の手法を用いて複数の特性曲線マップに対して1つの式として求めることができる。また、この近似式は、確率密度関数(ガウス関数)を用いて求めることもできる。
【0046】
キャリブレーション
航空機の実際の飛行中に、目標空燃比に対する実空燃比のズレ量Δλを算出し、燃料噴射量を補正する処理をキャリブレーションと呼ぶ。キャリブレーションは、航空機の飛行時間、または飛行距離に応じて実施することができる。また、例えば半年に1度のように定期的に実行してもよい。
【0047】
ECUの入力インターフェース121は、エンジンその他の航空機の各部に設けられたセンサからの信号を受け取る。図3を参照すると、エンジン出力レバーの開度センサ13から開度θ、電子スロットルの開度センサから開度Thin、燃料レールのGfセンサ34から燃料流量Gf、エンジンの排気系のEGTセンサ39からEGT温度Tg、その他の信号を受け取る。
【0048】
Δλ推定部107では、これらの入力信号とECUのROMに格納されたデータに基づいて、エンジンの目標空燃比に対する実空燃比の空気過剰率のズレ量(Δλ)を推定し、空燃比制御部109に送る。
【0049】
空燃比制御部109では、空燃比を制御するための、スロットル開度および燃料流量を決定する。
【0050】
スロットル開度は、現在の開度を維持する。
【0051】
燃料流量は、補正済燃料噴射量(Ti’)を以下により求める。
【0052】
まず、現在の燃料噴射量(Ti)に対する燃料の補正量(ΔTi)を算出する。ΔTiは、
ΔTi=Δλ*Ti
で求められる。補正済燃料噴射量Ti’は、
Ti’=Ti-ΔTi
で求められる。
【0053】
スロットル制御部111と燃料制御部113では、空燃比制御部109から受け取る信号が示す運転状態に従って、電子スロットル36およびインジェクタ35を制御するための制御信号を出力インタフェース123を介して発信する。
【0054】
図7は、Δλの推定方法のブロック図である。
【0055】
エンジン出力レバー11の補正スイッチ15をONにすると、AF制御補正が実行され、キャリブレーションが開始される。
【0056】
Δλを算出するためには燃料流量が一定に維持される必要がある。このため、操作モードは巡航モード(θ3)に設定する(S201)。これにより、燃料噴射量が一定になるので燃料流量が一定になる。
【0057】
燃料流量センサから、現在の燃料流量(Gf)を検出する(S203)。空気過剰率の補正量(Δλ)の算出中は、燃料流量を一定に維持しておく必要がある。
【0058】
Δλ推定用の電子スロットル開度を、ECUに格納した「巡航モード」におけるキャリブレーション用のスロットル開度(Th1、Th2、Th3)とする(S205)。以下のプロセスはECUのROMに格納されたコンピュータ・プログラムにより実行される。
【0059】
実際に、電子スロットル弁を開度Th1に設定する(S207)。
【0060】
電子スロットル開度Th1におけるエンジン排気温度(EGT温度)(Tg1)を温度センサの出力から検出する。同時に、電子スロットル開度Th1における空気過剰率(λ1)を算出する(S209)。
【0061】
空気過剰率は、現在の燃料流量(Gf)に該当するTh-λマップを参照して求める。現在の燃料流量がTh-λマップの燃料流量の値と一致しないときは、補間演算によりλ1を求める。
【0062】
次に、電子スロットル弁を開度Th2に設定する(S211)。
【0063】
電子スロットル開度Th2におけるEGT温度の測定にあたっては、前回の測定の温度影響をなくす為に、所定の時間差(T(0)-T(-1))における温度変化(|Tg(0)-Tg(-1)|)が、所定の値(ΔTg)よりも小さくなるまで、開度を維持してから開始する(S213)。
【0064】
電子スロットル開度Th2のEGT温度(Tg2)を検出し、同時に、電子スロットル開度Th2の空気過剰率(λ2)を算出する(S215)。
【0065】
さらに、電子スロットル弁を開度Th3に設定する(S217)。
【0066】
電子スロットル開度Th3におけるEGT温度の測定にあたっても、前回の測定の温度影響をなくす為に、Tg2の測定と同様に行う(S219)。
【0067】
電子スロットル開度Th3のEGT温度(Tg3)を検出し、同時に、電子スロットル開度Th3の空気過剰率(λ3)を算出する(S221)。
【0068】
図6(a)は、電子スロットル開度(Th1、Th2、Th3)と空気過剰率(λ1、λ2、λ3)の一例である。
【0069】
上記で求めた、空気過剰率(λ1、λ2、λ3)とEGT温度情報(Tg1、Tg2、Tg3)を、ECUに格納した二次関数式に代入すると次の3つの式が得られる。
Tg1=a*(λ1-λp)2+Tp, Tg2=a*(λ2-λp)2+Tp, Tg3=a*(λ3-λp)2+Tp
この式を解くことによりλpを求める。
【0070】
図6(b)は、(λ1、λ2、λ3、λp)とEGT温度情報(T1、T2、T3、Tp)との関係の一例を示す。
【0071】
理論空気過剰率λ* (=1)と実理論空気過剰率λpの差異であるズレ量Δλは、
Δλ=1-λp
で求められる。
【0072】
このようにして、短時間で高精度のΔλを推定することができる。
【0073】
また、空燃比を燃料流量で制御する場合に比べて、トルクの変動を少なくすることができる。
【0074】
2.燃料流量を変化させることによるズレ量推定
この発明の一形態では、AF制御補正を行う際のΔλの推定を燃料流量を変化させて行う。
【0075】
図8は、一実施例のECUのブロック図である。このブロック図は、本発明の空燃比制御システムに関する機能に限って作成されている。
【0076】
データ決定部301は、Δλの推定に必要なデータを予め実験により準備し、ECUのROMに格納する。
【0077】
準備
この準備用の実験では、キャリブレーション用に少なくとも3つの燃料流量(Gf1,Gf2,Gf3)を定める。
【0078】
次に、電子スロットル開度(Th)一定の条件下でエンジンを働かせ、燃料流量(Gf)と空気過剰率(λ)の関係を測定し、Gf-λマップを作成する。このマップはいくつかの異なる電子スロットル開度について作成する。図9(a)は、一つの電子スロットル開度についてのGf-λマップの一例である。
【0079】
さらに、電子スロットル開度(Th)一定の条件下で、排気温度(EGT温度)と空気過剰率(λ)の関係を測定し、特性曲線マップEGT-AF-Gfマップを作成する。図9(b)は、一つの電子スロットル開度についての特性曲線マップEGT-AF-Gfマップの一例である。いくつかの異なる電子スロットル開度について同様の特性曲線マップを作成する。Tpは最大温度であり、λpは、Tpにおける空気過剰率である。
【0080】
このEGT-AF-Gf特性曲線マップに近似する近似式を求める。近似式に関しては、前記実施例と同様のため説明を省略する。
【0081】
キャリブレーション
キャリブレーションについては、前記実施例と同様のため説明を省略する。
【0082】
図11は、Δλの推定方法のブロック図である。
【0083】
エンジン出力レバー11の補正スイッチをONにすると、AF制御補正が実行され、キャリブレーションが開始される。
【0084】
Δλを算出するためにはスロットル開度が一定に維持される必要がある。このため、操作モードは巡航モード(θ3)に設定する(S401)。これにより、吸入空気量が一定になるのでスロットル開度が一定になる。
【0085】
燃料流量センサから、現在の電子スロットル開度(Th)を検出する(S403)。空気過剰率の補正量(Δλ)の算出中は、スロットル開度を一定に維持しておく必要がある。
【0086】
Δλ推定用の燃料流量を、ECUに格納した「巡航モード」におけるキャリブレーション用の燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)とする(S405)。以下のプロセスはECUのROMに格納されたコンピュータ・プログラムにより実行される。
【0087】
実際に、燃料流量をGf1に設定する(S407)。
【0088】
燃料流量Gf1におけるエンジン排気温度(EGT温度)(Tg1)を温度センサの出力から検出する。同時に、燃料流量Gf1における空気過剰率(λ1)を算出する(S409)。
【0089】
空気過剰率は、現在のスロットル開度(Th)に該当するGf-λマップを参照して求める。現在のスロットル開度がGf-λマップのスロットル開度の値と一致しないときは、補間演算によりλ1を求める。
【0090】
次に、燃料流量をGf2に設定する(S411)。
【0091】
燃料流量Gf2におけるEGT温度の測定にあたっては、前回の測定の温度影響をなくす為に、所定の時間差(T(0)-T(-1))における温度変化(|Tg(0)-Tg(-1)|)が、所定の値(ΔTg)よりも小さくなるまで、開度を維持してから開始する(S413)。
【0092】
燃料流量Gf2のEGT温度(Tg2)を検出し、同時に、燃料流量をGf2の空気過剰率(λ2)を算出する(S415)。
【0093】
さらに、燃料流量をGf3に設定する(S417)。
【0094】
燃料流量Gf3におけるEGT温度の測定にあたっても、前回の測定の温度影響をなくす為に、Tg2の測定と同様に行う(S419)。
【0095】
燃料流量Gf3のEGT温度(Tg3)を検出し、同時に、燃料流量をGf3の空気過剰率(λ3)を算出する(S421)。
【0096】
図10は、燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)と空気過剰率(λ1、λ2、λ3)の一例である。
【0097】
S423以降に関しては、前記実施例と同様のため説明を省略する。
【0098】
このようにして、短時間で高精度のΔλを推定することができる。
【0099】
3.エンジン出力を一定にし、スロットルと燃料流量を変化させることによるズレ量推定
この発明の一形態では、電子スロットルと燃料流量を変化させ、エンジン出力(T)を一定にしてAF制御補正を行う際のΔλの推定を行う。
【0100】
図12は、一実施例のECUのブロック図である。このブロック図は、本発明の空燃比制御システムに関する機能に限って作成されている。
【0101】
データ決定部501は、Δλの推定に必要なデータを予め実験により準備し、ECUのROMに格納する。
【0102】
準備
この準備用の実験では、キャリブレーション用にエンジン出力が一定となる、少なくとも3つの電子スロットル開度と燃料流量を組み合わせた組合せTh/Gf{(Th1,Gf1)、(Th2,Gf2)、(Th3,Gf3)}を定める。図13は、組合せTh/Gfの一例である。
【0103】
次に、エンジン出力(T)一定の条件下でエンジンを働かせ、電子スロットル(Th)と燃料流量(Gf)と空気過剰率(λ)の関係を測定した、Th-Gf-λ-mapまたはTh-Gf-λ-infoを作成する。このTh-Gf-λ-mapまたはTh-Gf-λ-infoはいくつかの異なるエンジン出力について作成する。Th-Gf-λ-mapは、Th-λとGf-λをマージして、エンジン出力が一定となるラインを求めたものである。
【0104】
図14(a)は、一つのエンジン出力についてのTh-Gf-λ-mapの一例である。図14(b)は、一つのエンジン出力についてのTh-Gf-λ-infoの一例である。
【0105】
さらに、エンジン出力(T)一定の条件下で、排気温度(EGT温度)と空気過剰率(λ)の関係を測定し、特性曲線マップEGT-AF-Tマップを作成する。図14(c)は、一つのエンジン出力についての特性曲線マップEGT-AF-Tマップの一例である。いくつかの異なるエンジン出力について同様の特性曲線マップを作成する。Tpは最大温度であり、λpは、Tpにおける空気過剰率である。
【0106】
この、EGT-AF-T特性曲線マップに近似する近似式を求める。近似式に関しては、前記実施例と同様のため説明を省略する。
【0107】
キャリブレーション
キャリブレーションについては、前記実施例と同様のため説明を省略する。
【0108】
図16は、Δλの推定方法のブロック図である。
【0109】
エンジン出力レバー11の補正スイッチ15をONにすると、AF制御補正が実行され、キャリブレーションが開始される。
【0110】
現在のエンジン状態量から現在のエンジン出力(T)を推定する(S601)。エンジン状態量は、例えば、スロットル開度と燃料流量とエンジン回転数、あるいは、トルクセンサからの実測値である。このエンジン出力の推定は、巡航モードで行うのが好ましい。
【0111】
以下、現在のエンジン出力(T)が「T-A」と推定されたとして説明する。
【0112】
Δλ推定用の組合せTh/Gfを、予めECUに格納したエンジン出力T-Aにおけるキャリブレーション用の組合せTh/Gf((Th1,Gf1)、(Th2,Gf2)、(Th3,Gf3))とする(S603)。以下のプロセスは、ECUのROMに格納されたコンピュータ・プログラムにより実行される。
【0113】
実際に、電子スロットル開度Th1、燃料流量をGf1に設定する(S605)。
【0114】
Th1、Gf1におけるエンジン排気温度(EGT温度)(Tg1)を温度センサの出力から検出する。同時に、Th1、Gf1における空気過剰率(λ1)を算出する(S607)。
【0115】
空気過剰率は、現在のエンジン出力(T)に該当するTh-Gf-λ-mapまたはTh-Gf-λ-infoを参照して求める。現在のエンジン出力がTh-Gf-λ-mapまたはTh-Gf-λ-infoのエンジン出力の値と一致しないときは補間演算によりλ1を求める。
【0116】
次に、電子スロットル開度Th2、燃料流量をGf2に設定する(S609)。
【0117】
Th2、Gf2におけるEGT温度の測定にあたっては、前回の測定の温度影響をなくす為に、所定の時間差(T(0)-T(-1))における温度変化(|Tg(0)-Tg(-1)|)が、所定の値(ΔTg)よりも小さくなるまで、開度を維持してから開始する(S611)。
【0118】
Th2、Gf2のEGT温度(Tg2)を検出し、同時に、Th2、Gf2の空気過剰率(λ2)を算出する(S613)。
【0119】
さらに、電子スロットル開度Th3、燃料流量をGf3に設定する(S615)。
【0120】
Th3、Gf3におけるEGT温度の測定にあたっても、前回の測定の温度影響をなくす為に、Tg2の測定と同様に行う(S617)。
【0121】
Th3、Gf3のEGT温度(Tg3)を検出し、同時に、Th3、Gf3の空気過剰率(λ3)を算出する(S619)。
【0122】
図15(a)は、Th-Gf-λ-mapのエンジン出力T-Aライン上の座標点(Th1,Gf1)、(Th2,Gf2)、(Th3,Gf3)と空気過剰率(λ1、λ2、λ3)の一例である。図15(b)は、Th-Gf-λ-infoのエンジン出力T-Aにおけるスロットル開度(Th1,Th2,Th3)と燃料流量(Gf1,Gf2,Gf3)と空気過剰率(λ1、λ2、λ3)の一例である。
【0123】
S621以降に関しては、前記実施例と同様のため説明を省略する。
【0124】
このようにして、短時間で高精度のΔλを推定することができる。
【0125】
また、空気過剰率のズレ量の推定をエンジン出力を一定に維持したままで行うことができる。
【0126】
以上に、この発明を特定の実施例について説明したが、この発明は、このような実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】空燃比とエンジンの排気温度の関係を示す図。
【図2a】エンジンの燃料流量とトルクの関係を示す図。
【図2b】エンジンの空気量とトルクの関係を示す図。
【図3】空燃比制御システムの全体を示す図。
【図4】この発明の実施例における電子制御ユニット(ECU)の機能ブロック図。
【図5a】所定の燃料流量における空気過剰率とスロットル開度の関係の一例を示す図。
【図5b】所定の燃料流量における空気過剰率とエンジン排気温度(EGT温度)の関係の一例を示す図。
【図6a】この発明の実施例における空気過剰率とスロットル開度の関係の一例を示す図。
【図6b】この発明の実施例における空気過剰率とエンジン排気温度(EGT温度)の一例を示す図
【図7】この発明の実施例における空気過剰率のズレ量の算出方法のフローチャート。
【図8】この発明の第2の実施例における電子制御ユニット(ECU)の機能ブロック図。
【図9a】所定のスロットル開度における空気過剰率と燃料流量の関係の一例を示す図。
【図9b】所定の燃料流量における空気過剰率とエンジン排気温度(EGT温度)の関係の一例を示す図。
【図10】この発明の第2の実施例における空気過剰率と燃料流量の関係の一例を示す図。
【図11】この発明の第2の実施例における空気過剰率のズレ量の算出方法のフローチャート。
【図12】この発明の第3の実施例における電子制御ユニット(ECU)の機能ブロック図。
【図13】この発明の第3の実施例における電子スロットル開度と燃料流量を組み合わせの一例を示す図。
【図14a】所定のエンジン出力における空気過剰率と電子スロットル開度と燃料流量の関係の一例を示す図。
【図14b】所定のエンジン出力における空気過剰率と電子スロットル開度と燃料流量の関係の一例を示す図。
【図14c】所定のエンジン出力における空気過剰率とエンジン排気温度(EGT温度)の関係の一例を示す図。
【図15a】この発明の第3の実施例における空気過剰率と電子スロットル開度と燃料流量の関係の一例を示す図。
【図15b】この発明の第3の実施例における空気過剰率と電子スロットル開度と燃料流量の関係の一例を示す図。
【図16】この発明の第3の実施例における空気過剰率のズレ量の算出方法のフローチャート。
【符号の説明】
【0128】
21 電子制御ユニット(ECU)
31 エンジン
34 燃料流量センサ
35 燃料噴射装置
36 電子スロットル
37 モータ
39 排気温度センサ(EGTセンサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機レシプロエンジンの目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法であって、
予め前記エンジンの少なくとも3つのキャリブレーション用のスロットル開度 (Th1、Th2、Th3)を定め、
予め前記エンジンの所定の燃料流量Gfごとに、スロットル開度と空気過剰率のマップTh-λを準備し、
予め前記所定の燃料流量Gfごとに、スロットル開度をパラメータとした排気温度と空気過剰率の特性曲線マップEGT-AF-Thを作成し、前記特性曲線マップEGT-AF-Thに近似するEGT-AF-Th近似式を求めておき、
航空機の飛行中に燃料流量が一定の状態で、前記マップTh-λを参照し、それぞれの前記少なくとも3つのキャリブレーション用のスロットル開度(Th1、Th2、Th3)に対応する空気過剰率(λ1、λ2、λ3)を求めるステップと、
前記ステップと同時またはこれと前後して、前記少なくとも3つのキャリブレーション用のスロットル開度(Th1、Th2、Th3)に対応する排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を計測するステップと、
こうして求められた前記空気過剰率(λ1、λ2、λ3)および前記排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を、前記EGT-AF-Th近似式に代入し、実理論空気過剰率λpを算出するステップと、
理論空気過剰率λ*と実理論空気過剰率λpの差Δλを算出するステップと、
からなる目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法。
【請求項2】
前記EGT-AF-Th近似式が、
Tg1=a*(λ1-λp)2+Tp, Tg2=a*(λ2-λp)2+Tp, Tg3=a*(λ3-λp)2+Tp
であり、Tpは最大温度、λpは、Tpにおける空気過剰率、aは定数である、
請求項1に記載の目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法。
【請求項3】
燃料噴射量の現在値Tiから、補正燃料噴射量ΔTi=Δλ*Tiを算出するステップと、
現在のスロットル開度を維持した状態で、前記補正燃料噴射量ΔTiに基づき空燃比を制御するステップと、
からなる、請求項1または請求項2に記載の航空機レシプロエンジンの空燃比制御方法。
【請求項4】
航空機レシプロエンジンの目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法であって、
予め前記エンジンの少なくとも3つのキャリブレーション用の燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)を定め、
予め前記エンジンの所定のスロットル開度Thごとに、燃料流量と空気過剰率のマップGf-λを準備し、
予め前記所定のスロットル開度Thごとに、燃料流量をパラメータとした排気温度と空気過剰率の特性曲線マップEGT-AF-Gfを作成し、前記特性曲線マップEGT-AF-Gfに近似するEGT-AF-Gf近似式を求めておき、
航空機の飛行中にスロットル開度が一定の状態で、前記マップGf-λを参照し、それぞれの前記少なくとも3つのキャリブレーション用の燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)に対応する空気過剰率(λ1、λ2、λ3)を求めるステップと、
前記ステップと同時またはこれと前後して、前記少なくとも3つのキャリブレーション用の燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)に対応する排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を計測するステップと、
こうして求められた前記空気過剰率(λ1、λ2、λ3)および前記排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を、前記EGT-AF-Gf近似式に代入し、実理論空気過剰率λpを算出するステップと、
理論空気過剰率λ*と実理論空気過剰率λpの差Δλを算出するステップと、
からなる目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法。
【請求項5】
前記EGT-AF-Th近似式が、
Tg1=a*(λ1-λp)2+Tp, Tg2=a*(λ2-λp)2+Tp, Tg3=a*(λ3-λp)2+Tp
であり、Tpは最大温度、λpは、Tpにおける空気過剰率、aは定数である、
請求項4に記載の目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法。
【請求項6】
燃料噴射量の現在値Tiから、補正燃料噴射量ΔTi=Δλ*Tiを算出するステップと、
現在のスロットル開度を維持した状態で、前記補正燃料噴射量ΔTiに基づき空燃比を制御するステップと、
からなる、請求項4または請求項5に記載の航空機レシプロエンジンの空燃比制御方法。
【請求項7】
航空機レシプロエンジンの目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法であって、
前記エンジンの所定の出力ごとに、前記エンジンのスロットル開度(Th1、Th2、Th3)と燃料流量(Gf1、Gf2、Gf3)を組み合わせた少なくとも3つのキャリブレーション用の組合せTh/Gf((Th1、Gf1)、(Th2、Gf2)、(Gf3、Th3))を、予め定め、
予め前記所定の出力ごとに、スロットル開度と燃料流量と空気過剰率の3次元マップTh-Gf-λ-mapまたは、関係情報Th-Gf-λ-infoを準備し、
予め前記所定の出力ごとに、スロットル開度と燃料流量をパラメータとした排気温度と空気過剰率の特性曲線マップEGT-AF-Tを作成し、前記特性曲線マップEGT-AF-Tに近似するEGT-AF-T近似式を求めておき、
航空機の飛行中にエンジン出力の現在値を推定するステップと、
前記エンジン出力が一定の状態で、前記3次元マップTh-Gf-λ-mapまたは関係情報Th-Gf-λ-infoを参照し、それぞれの前記少なくとも3つのキャリブレーション用の組合せTh/Gf((Th1、Gf1)、(Th2、Gf2)、(Gf3、Th3))に対応する空気過剰率(λ1、λ2、λ3)を求めるステップと、
前記ステップと同時またはこれと前後して、前記少なくとも3つのキャリブレーション用の組合せTh/Gf((Th1、Gf1)、(Th2、Gf2)、(Gf3、Th3))に対応する排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を計測するステップと、
こうして求められた前記空気過剰率(λ1、λ2、λ3)および前記排気温度(Tg1、Tg2、Tg3)を、前記EGT-AF近似式に代入し、実理論空気過剰率λpを算出するステップと、
理論空気過剰率λ*と実理論空気過剰率λpの差Δλを算出するステップと、
からなる目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法。
【請求項8】
前記EGT-AF-Th近似式が、
Tg1=a*(λ1-λp)2+Tp, Tg2=a*(λ2-λp)2+Tp, Tg3=a*(λ3-λp)2+Tp
であり、Tpは最大温度、λpは、Tpにおける空気過剰率、aは定数である、
請求項7に記載の目標空燃比に対する実空燃比のズレ量の推定方法。
【請求項9】
燃料噴射量の現在値Tiから、補正燃料噴射量ΔTi=Δλ*Tiを算出するステップと、
現在のスロットル開度を維持した状態で、前記補正燃料噴射量ΔTiに基づき空燃比を制御するステップと、
からなる、請求項7または請求項8に記載の航空機レシプロエンジンの空燃比制御方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図14c】
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【図15a】
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【図15b】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−62849(P2009−62849A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230457(P2007−230457)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】