説明

空調システム、および、建造物の建造方法

【課題】簡単な構成で施工が容易で地熱を効率よく建造物の空調に利用できる環境に良好な空調システムを提供する。
【解決手段】先端部が閉塞する鋼管製の複数の中空の支持杭210を埋設し、上部を送風装置300の室外吸気口311に連通して接続する第一本管430とそれぞれ連通して連結する。埋設した複数の支持杭210の上端部から、軸方向の一端部が中空の支持杭210の下端部近傍で開口し上端部から外部に延設する状態に可撓性の内管420をそれぞれ嵌挿して配設する。内管420の延設する他端部を、送風装置300の室外排気口312に連通して接続する第二本管440とそれぞれ連通して連結する。地中と良好に熱交換した支持杭210内の空気を部屋の空調に直接利用でき、簡単な構成で施工が容易に確実な建造物の支持力を有した基礎を利用して、良好な空調を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設する支持杭を用いる建造物の空調システム、および、空調システムを備えた建造物を支持杭を用いて建造する建造物の建造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に水田などや谷間、臨海などを埋め立てて宅地造成すると、地盤は比較的に軟弱な埋め立て地となる。このことから、すぐに住宅などの建造物を建てると地盤沈下を生じるおそれがある。このため、宅地造成をした後から住宅を建てるまでに、地盤沈下が収まるまで相当期間待たなければならない。また、埋め立て地でなくもともと地盤が軟弱な場所では、建造物を建てることが困難である。
【0003】
そこで、従来では、比較的に軟弱な地盤に建造物を建てる場合には、補強杭を埋設し、これら補強杭に一体的に建造物を建てて、建造物の安定化を図っている。このような補強杭を埋設する方法として、例えば特開平11−209977号公報(特許文献1)に記載の構成が知られている。
この特開平11−209977号公報に記載のものは、略円筒状の杭の外周面に螺旋状に掘削翼が設けられ、基端に杭施工治具に着脱可能に係合する突起を有した補強杭を用いる。そして、補強杭が連結する状態の杭施工治具を回転させ、補強杭を地中に埋設させる構成が採られている。
しかしながら、例えば地中に木の根や礫などが存在する場合、補強杭の掘削翼が木の根や礫などに当接する。このことにより、摩擦力が増大するなどして回転負荷が大きくなったり、掘削翼が損傷して良好に掘削できなくなるなど、補強杭を所定の深さまで埋設させることができなくなるおそれがある。
そこで、例えば実開平1−69835号公報(特許文献2)などに記載のように、オーガマシンを用いて地面の所定の位置に掘削孔を穿設した後、掘削孔に杭を埋設する構成が採られている。しかしながら、工程数が多く、複数の杭を埋設するのに要する時間が長くなり、施工期間の短縮が図れない。
また、特開平8−284165号公報(特許文献3)に記載のように、埋設する杭の先端に螺旋状に掘削翼が設けられたソケットを一体的に取り付け、ソケットを杭とともに回転させ、ソケットにより掘削しつつ杭を埋設する構成が採られている。しかしながら、この特開平8−284165号公報に記載のものでも、地中に木の根や礫などが存在する場合、良好に杭を所定の深さまで埋設させることができなくなる。
さらに、特許第2893443号公報(特許文献4)に記載のように、鋼管の先端を紡錘状に形成し、この周側面に鋼管の回転方向に捩った複数枚のブレードを等間隔で突設した杭を埋設する構成が知られている。しかしながら、この特許第2893443号公報に記載のものでも、地中に木の根や礫などが存在する場合、良好に杭を所定の深さまで埋設させることができなくなる。また、地中との摩擦により、地盤まで到達せず、十分な支持力が得られなくなるおそれがある。
【0004】
一方、杭を用いて、地中の熱を利用して空調や輻射冷暖房および給湯などに利用する構成が知られている(例えば、特許文献5参照)。
この特許文献5に記載のものは、既成杭内に、空気などの熱媒体が流通される少なくとも一部が蛇腹状の熱交換用の配管を配設する。既成杭と熱交換用の配管との間には充填材を充填している。そして、循環ポンプの駆動により熱媒体を配管内で循環させ、循環し地中と熱交換した熱媒体により、地中の熱を効率よく利用する構成が採られている。
しかしながら、この特許文献5に記載の構成を建造物の空調に利用する場合、別途既成杭を埋設し、さらに熱交換用の配管を配設する必要があり、地中の熱の利用のために、多大な施工工事が必要となる。また、この特許文献5に記載の構成を、建造物の基礎を構成する補強杭に利用することも考えられる。しかしながら、このような場合、補強杭を露出させてから補強杭の一部に開口部を設けて、熱交換用の配管を配設する必要があり、施工工事が煩雑であるとともに、基礎を構成する補強杭の一部に開口部を設けることによる基礎強度の低下を生じ、建造物自体に悪影響を招くおそれもある。
【0005】
【特許文献1】特開平11−209977号公報(第2頁右欄−第3頁右欄)
【特許文献2】実開平1−69835号公報(第4図、第5図)
【特許文献3】特開平8−284165号公報(第2頁右欄−第3頁右欄)
【特許文献4】特許第2893443号公報(第2頁左欄−第3頁左欄、第1図)
【特許文献5】特開2004−177013号公報(第3頁−第4頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、建造物の基礎として十分な支持力を確保しつつ、建造物の基礎を構成する杭を利用して容易に建造物の空調として利用することが困難である。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みて、簡単な構成で施工が容易で地熱を効率よく建造物の空調に利用できる環境に良好な空調システム、および、建造物の建造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に記載の空調システムは、地中に埋設され建造物と一体的に連結されて前記建造物を支持する支持杭を用いて、前記建造物に外部と区画されて形成される内部空間の空調を実施する空調システムであって、前記内部空間内の空気を吸気する室内吸気口、前記内部空間内へ空気を排出する室内排気口、外部からの空気を吸気する室外吸気口、および、外部へ空気を排出する室外排気口を有した筐体、この筐体内に配設され、前記室内吸気口を介して吸気して前記室外排気口を介して排気させる吸気動作、および、前記室外吸気口を介して吸気して前記室内排気口を介して排気させる送風動作のうちの少なくともいずれか一方を実施する送風機を備えた送風装置と、先端部が閉塞されて前記地中に軸方向が略鉛直方向に沿って埋設された鋼管製の複数の中空の支持杭と、一端が前記送風装置の室外吸気口に連通して接続され、前記複数の埋設された支持杭の鉛直方向の上部がそれぞれ連通して連結された第一本管と、前記埋設された支持杭の上端部から内部に嵌挿され、軸方向の一端部が前記支持杭の下端部近傍で開口し軸方向の他端部が前記支持杭の上端部から外部に延設されて開口する可撓性の内管と、一端が前記送風装置の室外排気口に連通して接続され、前記支持杭の上端部から延設された前記内管の他端部がそれぞれ連通して連結された第二本管と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、先端部が閉塞された鋼管製の複数の中空の支持杭を軸方向が略鉛直方向に沿う状態に地中に埋設させる。埋設した複数の支持杭の鉛直方向の上部を、送風装置の外部からの空気を送風機の駆動により吸気する室外吸気口に連通して接続する第一本管とそれぞれ連通して連結させる。また、埋設した複数の支持杭の上端部から、軸方向の一端部が中空の支持杭の下端部近傍で開口し軸方向の他端部が支持杭の上端部から外部に延設されて開口する状態に、可撓性の内管をそれぞれ嵌挿して配設する。これら内管における支持杭の上端部から延設された他端部を、送風装置の外部へ空気を排出する室外排気口に連通して接続する第二本管とそれぞれ連通して連結させる。
このように、建造物の所定の支持強度を得るために、支持杭は比較的に地中の深い位置、例えば地表面から3m以上の深い位置まで埋設されることから、支持杭の埋設先端となる鉛直方向における下端部では地中の温度が安定しているので、中空の鋼管製で埋設時に内部に土砂が流入しないように閉塞した支持杭を埋設することで、支持杭の下端部内の空気は、地中との熱伝導効率が高い鋼管製の支持杭を介して良好に地中との熱交換が得られる。このため、支持杭内の良好に地中と熱交換された空気を、支持杭の埋設後で建造物の建造前に配管して接続した送風装置の送風機を駆動させるのみで、建造物の内部空間の空気と支持杭内の空気とが循環され、支持杭にて支持する建造物の内部空間に支持杭内の空気を直接送風して空調に利用でき、良好な空調が得られる。また、支持杭は、鋼管製であるため、支持杭内と建造物の内部空間との空気の循環により結露しても、カビなどの発生が抑制されるので、直接循環させることができ、より簡単な構成で、良好な空調が容易に得られる。さらに、送風装置と配管した後に建造物と連結、例えば建造物の支持のための所定の強度設計に応じて埋設した支持杭の上端部にコンクリート基礎を設け、このコンクリート基礎上に建造物を建造することで支持杭と一体的に連結させる簡単な施工で、確実な建造物の支持と良好な空調とを得ることができる。なお、鋼管としては、鉄系に限らず、ステンレス鋼などでもできる。特に、ステンレス鋼などの強度が高く耐蝕性を有する鋼管を用いることが好ましい。
【0009】
そして、本発明では、請求項1に記載の空調システムであって、前記支持杭は、筒状で内周側が実質的に閉塞された鋼管製の胴体部、および、この胴体部の外周面に平面がこの胴体部の軸方向に対して交差する斜めに傾いた状態で一体的に接合された鋼板製の掘削翼を備えた杭施工治具と、この杭施工治具の胴体部の軸方向の一端部に略同軸上に接続された鋼管製の筒状の管杭と、この管杭の軸方向の他端に軸方向の一端部が略同軸上に連結され軸方向の他端部が実質的に閉塞され前記内管が挿通される貫通孔を周面に開口する鋼管製の筒状の接続管部、この接続管部の周面に内周面が連通して周方向に突出され前記第一本管が接続される継ぎ手部を備えた接続部と、を備えた構成とすることが好ましい。
この発明では、鋼管製の筒状の管杭の軸方向の一端部に、筒状で内周側が実質的に閉塞、すなわち支持杭を埋設する際に土砂が内部に入り込まない状態に閉塞された鋼管製の胴体部の外周面に平面が胴体部の軸方向に対して交差する斜めに傾いた状態で鋼板製の掘削翼を一体的に接合した杭施工治具が、略同軸上に接続される。さらに、鋼管製の筒状の管杭の軸方向の他端部に、軸方向の他端部が実質的に閉塞され内管が挿通される貫通孔を周面に開口する鋼管製の筒状の接続管部の周面に第一本管が接続される継ぎ手部を内周面が連通して周方向に突設下接続部が、略同軸上に接続される。
このように、地中に支持杭を埋設させるための杭施工治具を一端に設けた管杭を、例えば杭施工治具が地盤に到達して所定の支持力が得られるまで管杭を順次連結しつつ埋設させ、建造物と連結される上端部に接続部を設けて、地中と熱交換されて空調に利用される空気が循環される中空部分を区画する支持杭を構成させるので、建造物を支持するための支持杭としての支持力を確保できる。さらに、所定の支持力が得られるまで管杭を埋設した後に、鋼管に継ぎ手部と貫通孔を設けた簡単な構成の接続部の接続管部を接続するのみで、閉塞する杭施工治具とにて空気を循環させるための支持杭内に空気層を区画形成できるとともに、空調に利用する空気を循環させるための内管の配設や第一本管および第二本管との接続が容易にでき、確実な建造物の支持と良好な空調とが、容易に得られる。
なお、内管の挿通作業が容易となるように多少大きめに貫通孔を開口形成しても、内管を貫通孔から挿通後、例えばシーリング剤などにて隙間を閉塞することで、内管と支持杭との隙間から土砂などが流入して支持杭内に堆積することを防止でき、良好な空調のための支持杭内の容積を確保できる。
【0010】
また、本発明では、請求項1または請求項2に記載の空調システムであって、前記複数の埋設された支持杭は、前記第一本管が接続されるとともに前記第二本管が前記内管に接続された後に、前記建造物が構築されるコンクリート基礎が上端部に一体的にそれぞれ設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、複数の埋設された支持杭に第一本管を接続するとともに支持杭内に嵌挿した内管に第二本管を接続した後、支持杭の上端部に建造物が構築されるコンクリート基礎を一体的に設けている。
このことにより、支持杭を埋設後、埋設作業のために地表面に露出する支持杭の上端部に、第一本管を接続するとともに内管を配設して第二本管を接続した後、建造物と一体的に連結すべく、露出する支持杭の上端部にコンクリート基礎を打設して一体化させる、すなわち、支持杭を埋設後に、通常に実施されるコンクリート基礎を打設する前に、露出する支持杭に空調のための配管をするので、建造物の十分な支持力を得るとともに建造物の支持のための支持杭を空調に利用できる構成が、容易に得られる。
【0011】
さらに、本発明では、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の空調システムであって、前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気を加温するヒータを備えた構成とすることが好ましい。
この発明では、送風装置の送風機にて送風する空気を加温するヒータを設けている。
このように、支持杭内の地中と熱交換した空気を直接利用するので、支持杭内の空気を簡単な構成のヒータのみ加温すればよく、例えば冬季において、建造物の内部空間の冷え切った空気を、地中との熱交換によりある程度加温されて不足分をヒータにて加温することで暖房のための消費エネルギを低減できる構成が、簡単で容易に得られる。
【0012】
また、本発明では、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の空調システムであって、前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気が通過されて前記空気中の塵埃を補足するフィルタを備えた構成とすることが好ましい。
この発明では、送風装置の送風機にて送風する空気中の塵埃を補足するフィルタを設けている。
このことにより、支持杭内の地中と熱交換された空気を建造物の内部空間の空気と直接循環させる空調方式でも、フィルタにより支持杭内で空気に混入するおそれがある塵埃が除去されて内部空間に供給されるので、良好な空調が簡単な構成で容易に得られるとともに、送風機を備えた簡単な構成の送風装置を用いるので、フィルタの交換や洗浄なども容易で、保守管理も容易にできる。
【0013】
さらに、本発明では、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の空調システムであって、前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気中の水分を除去する水分除去部を備えた構成とすることが好ましい。
この発明では、送風装置の送風機にて送風する空気中の水分を除去する水分除去部を設けている。
このことにより、支持杭内の地中と熱交換された空気を建造物の内部空間の空気と直接循環させる空調方式でも、水分除去部により支持杭内で空気に混入するおそれがある水分が除去されて内部空間に供給されるので、良好な空調が簡単な構成で容易に得られるとともに、送風機を備えた簡単な構成の送風装置を用いるので、水分除去部で除去した水分の除去なども容易で、保守管理も容易にできる。
なお、水分除去部としては、例えばドレンなどの構造物や吸湿剤などの薬剤を用いる構成など、各種構成が適用できる。
【0014】
また、本発明では、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の空調システムであって、前記第一本管は、前記送風装置の送風機の駆動により、連結する前記支持杭からの各吸気量が略同程度となる状態に前記複数の支持杭に連結され、前記第二本管は、前記送風装置の送風機の駆動により、連結する前記内管への各送気量が略同程度となる状態に前記複数の内管に連結された構成とすることが好ましい。
この発明では、送風装置の送風機の駆動により支持杭からの各吸気量が略同程度となる状態に複数の支持杭に連結する状態に第一本管を構成するとともに、送風装置の送風機の駆動により内管への送風量が略同程度となる状態に複数の内管に連結する状態に第二本管を構成している。
このことにより、各支持杭内の空気と建造物の内部空間とが同程度で循環する状態が得られ、良好な空調効率が得られる。
ここで、同等の吸気量や送風量となる状態の連結としては、風路抵抗が同等となるように例えば内径や長さ寸法が適宜設定されて第一本管および第二本管が構成される。
【0015】
そして、本発明では、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の空調システムであって、前記支持杭は、少なくとも内周面に耐蝕性が付与された構成とすることが好ましい。
この発明では、支持杭の少なくとも内周面に耐蝕性を付与している。
このことにより、建造物の内部空間と空気が循環される支持杭内の内面に結露などにより水滴が付着して支持杭が腐蝕することが防止され、長期間安定して支持杭の支持力が得られるとともに、腐蝕による異臭の防止により支持杭内の空気を直接空調に利用する構成でも良好な空調状態が得られる。
なお、例えば腐食性塗料などを塗布して支持杭の内面のみに耐蝕性を付与するのみに限らず、例えば支持杭自体を例えばステンレス鋼を用いるなどの耐蝕性部材にて構成するなどしてもよい。
【0016】
さらに、本発明では、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の空調システムであって、前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気に紫外線を照射する紫外線照射装置を備えた構成とすることが好ましい。
この構成では、送風装置の送風機にて送風する空気に紫外線を照射する紫外線照射装置を設ける。
このことにより、支持杭内の地中と熱交換された空気を建造物の内部空間の空気と直接循環させる空調方式でも、紫外線照射装置により支持杭内で空気に混入するおそれがある細菌やカビ類などが紫外線にて殺菌されて内部空間に供給されるので、良好な空調が簡単な構成で容易に得られるとともに、送風機を備えた簡単な構成の送風装置を用いるので、紫外線灯を設けるなども容易で、容易に殺菌した空気の供給による良好な空調が容易に得られる。
【0017】
本発明に記載の建造物の建造方法は、地中に埋設される支持杭に支持されて地上に構築され空調システムを備えた建造物を建造する建造物の建造方法であって、前記内部空間内の空気を吸気する室内吸気口、前記内部空間内へ空気を排出する室内排気口、外部からの空気を吸気する室外吸気口、および、外部へ空気を排出する室外排気口を有した筐体、この筐体内に配設され、前記室内吸気口を介して吸気して前記室外排気口を介して排気させる吸気動作、および、前記室外吸気口を介して吸気して前記室内排気口を介して排気させる送風動作のうちの少なくともいずれか一方を実施する送風機を備えた送風装置を用い、少なくとも先端部が実質的に閉塞された鋼管製の筒状の前記支持杭を、前記構造物の構造に応じて複数埋設する支持杭埋設工程と、これら埋設した複数の支持杭の上端部が前記地表面から所定の位置となる状態に前記支持杭の上端部を切断して上端部を実質的に閉塞する支持杭加工工程と、これら上端部が切断されて閉塞された前記支持杭の上端部から所定の位置で、互いに内周側が連通する状態に連結する支持杭連通工程と、前記上端部が切断されて閉塞された前記支持杭の上端部から所定の位置の周面に、内部が外部に連通する状態にそれぞれ貫通して貫通孔を開口形成する貫通孔形成工程と、この貫通孔形成工程で形成した貫通孔に、一端が前記埋設された支持杭の下端部近傍で開口する状態に、可撓性の内管を嵌挿して他端側が前記貫通孔から外部に延設する状態に、前記埋設された支持杭のうちの少なくともいずれか1つに配設する内管配設工程と、前記支持杭連通工程で連結した複数の支持杭のうちの少なくともいずれか1つおよび前記支持杭同士を連結する連結部分のうちの少なくともいずれか1つのうち、少なくともいずれか1つを、前記送風装置の室外吸気口に連通させる支持杭側風路形成工程と、前記内管配設工程で配設した内管の他端側を、前記送風装置の室外排気口に連通させる内管側風路形成工程と、前記支持杭側風路形成工程および前記内管側風路形成工程の後に、前記建造物が上部に構築されるコンクリート基礎を前記支持杭の上端部を連結する状態に一体的に形成する基礎形成工程と、を実施することを特徴とする。
この発明では、支持杭埋設工程で、先端部が閉塞された鋼管製の複数の中空の支持杭を軸方向が略鉛直方向に沿う状態に地中に埋設させる。この支持杭埋設工程の後、支持杭加工工程で、埋設した複数の支持杭の鉛直方向の上端部を、地表面から所定の位置となる状態に支持杭の上端部を切断し、上端部を実質的に閉塞させる。この支持杭加工工程後、支持杭連通工程で、支持杭の上端部から所定の位置で、支持杭の内周側が互いに連通する状態に連結する。さらに、支持杭加工工程後、貫通孔形成工程で、支持杭の上端部から所定の位置の周面に、内部が外部に連通する状態に貫通孔を開口形成する。この貫通孔形成工程の後、内管配設工程で、一端が埋設された支持杭の下端部近傍で開口する状態に、可撓性の内管を支持杭の貫通孔に嵌挿し内管の他端側が貫通孔から外部に延設する状態に内管を配設する。そして、支持杭側風路形成工程で、支持杭連通工程で連結した複数の支持杭のうちの少なくともいずれか1つと、支持杭同士を連結する連結部分とのうちの少なくともいずれか1つを、送風装置の室外吸気口に連通させる。さらに、内管側風路形成工程で、配設した内管の他端側を送風装置の室外排気口に連通させる。これら送風装置との連通の後、建造物が上部に構築されるコンクリート基礎を、支持杭の上端部を連結する状態に一体的に形成する。
このように、建造物の所定の支持強度を得るために、支持杭は比較的に地中の深い位置、例えば地表面から3m以上の深い位置まで埋設されることから、支持杭の埋設先端となる鉛直方向における下端部では地中の温度が安定しているので、中空の鋼管製で埋設時に内部に土砂が流入しないように閉塞した支持杭を埋設することで、支持杭の下端部内の空気は、地中との熱伝導効率が高い鋼管製の支持杭を介して良好に地中との熱交換が得られる。このため、支持杭内の良好に地中と熱交換された空気を、支持杭の埋設後で建造物の建造前に配管して接続した送風装置の送風機を駆動させるのみで、建造物の内部空間の空気と支持杭内の空気とが循環され、支持杭にて支持する建造物の内部空間に支持杭内の空気を直接送風して空調に利用でき、良好な空調が得られる。また、支持杭は、鋼管製であるため、支持杭内と建造物の内部空間との空気の循環により結露しても、カビなどの発生が抑制されるので、直接循環させることができ、より簡単な構成で、良好な空調が容易に得られる。さらに、送風装置と配管した後に建造物と連結、例えば建造物の支持のための所定の強度設計に応じて埋設した支持杭の上端部にコンクリート基礎を設け、このコンクリート基礎上に建造物を建造することで支持杭と一体的に連結させる簡単な施工で、確実な建造物の支持と良好な空調とを得ることができる。
【0018】
そして、本発明では、請求項10に記載の建造物の建造方法であって、前記支持杭埋設工程は、筒状で内周側が実質的に閉塞された鋼管製の胴体部、および、この胴体部の外周面に平面がこの胴体部の軸方向に対して交差する斜めに傾いた状態で一体的に接合された板状の掘削翼を備えた杭施工治具と、この杭施工治具の胴体部と略同径の鋼管製の筒状の管杭と、を用い、前記杭施工治具の胴体部を前記管杭の軸方向の一端に溶接にて連結し、前記杭施工治具が設けられた側が鉛直方向の下端側となる状態で前記管杭の他端側を保持して前記地中に回転しつつ所定の回転トルクが発生するまで、前記管杭を連結しつつ埋設させることを特徴とする。
この発明では、支持杭埋設工程で、筒状で内周側が実質的に閉塞された鋼管製の胴体部の外周面に平面が胴体部の軸方向に対して交差する斜めに傾いた状態で鋼板製の掘削翼を一体的に接合した杭施工治具を鋼管製の筒状の管杭の一端に溶接して連結する。そして、施工治具が設けられた側が鉛直方向の下端側となる状態で管杭の他端側を保持して地中に回転しつつ所定の回転トルクが発生するまで、管杭を連結しつつ埋設させる。
このことにより、従来の支持杭の埋設と同様の埋設させる工程にて確実に建造物を支持する所定の支持力を確保できるとともに、管杭を埋設した後に上端部を閉塞させることで、空調のための支持杭内の空気層を区画形成できるとともに、空気の循環のための送風装置と支持杭および配設した内管とを連通させる配管作業が容易で、配管作業後に建造物を建造するためのコンクリート基礎の打設などを実施すればよく、確実な建造物の支持と良好な空調とが、容易に得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の空調システムに係わる一実施の形態について、図面を参照して説明する。
〔空調システムの構成〕
図1は、本発明の空調システムの概略構成を示す概念図である。図2は、支持杭の上端部の概略構成を示す一部を切り欠いた側面図である。
図1において、100は空調システムで、この空調システムは、図示しない家屋など建造物を支持するとともに建造物の空調をするシステムである。
この空調システム100は、支持部200と、送風装置300と、風路形成部400と、を備えている。支持部200は、支持杭210と、コンクリート基礎220と、を備えている。
【0020】
支持杭210は、地中に軸方向が略鉛直方向に沿う状態に地中に複数埋設される。この支持杭210は、杭施工治具211と、管杭212と、接続部213と、を備えている。
杭施工治具211は、略円筒状の胴体部211Aを有している。この胴体部211Aは、鋼管にて例えば外形が約10cm、長さ寸法が約30cm、肉厚寸法が約5mmの円筒状に形成されている。そして、この胴体部211Aは、例えば軸方向の一端側となる上端側には、図示しない略円盤状の閉塞板が溶接などにより設けられて軸方向で実質的に閉塞されている。ここで、実質的に閉塞する状態とは、例えば支持杭210を地中に埋設する際に土砂が流通できない状態に閉塞されていればよい。
また、この胴体部211Aの外周面には、平板状の掘削翼211Bが複数、例えば一対設けられている。この掘削翼211Bは、鋼板にて例えば縦寸法が約20cm、横寸法が約10cm、厚さ寸法が約5〜7mmの平板状に形成されている。また、掘削翼211Bの長手方向の一側には、円弧状の切欠部211Cが設けられている。そして、掘削翼211Bは、切欠部211Cが胴体部211Aの外周面に係合し、平面が胴体部211Aの軸方向に対して交差した傾斜する状態で例えば溶接により一体的に接合されている。また、掘削翼211Bは、この掘削翼211Bの傾斜する方向の先端縁である支持杭210の軸方向の他端となる先端側に位置する縁が、胴体部211Aの外周面に連続することなく周方向に突出する状態に接合されている。なお、複数の掘削翼211Bは、同方向に傾斜、すなわち同一面側となる胴体部211Aに連結される管杭212側の平面が胴体部211Aの周方向において同方向に向いて傾斜した状態に設けられている。
さらに、掘削翼211Bの角部には、掘削爪部211Dがそれぞれ設けられている。これら掘削爪部211Dは、例えば鋳造により楔状に形成されている。そして、掘削爪部211Dは、掘削翼211Bの下面側、すなわち支持杭210の先端側となる管杭212が胴体部211Aから導出する側と反対側の面に、例えば溶接により接合されている。また、掘削爪部211Dは、掘削翼211Bから突出する先端側が次第に肉薄となる状態に接合されている。さらに、掘削爪部211Dは、胴体部211Aの中心軸を中心として掘削翼211Bの角部を通過する円周での角部における接線方向に略沿って掘削翼211Bから突出して溶接されている。
そして、杭施工治具211は、胴体部211Aの中心軸を中心として回転した際の最大径寸法が約30cmとなるように形成されている。すなわち、掘削翼211Bは、掘削翼211Bの先端縁の外周側の角部が胴体部211Aの中心から約15cm離れた状態で接合されている。このことにより、杭施工治具211は、直径で約30cmで掘削して地中を穿設する。
【0021】
管杭212は、杭施工治具211の胴体部211Aと同様の鋼管にて同径に形成され、長さ寸法が例えば5mの円筒状に形成されている。この管杭212の軸方向の一端は、杭施工治具211の胴体部211Aが溶接により同軸上に一体に連結可能に形成されている。
なお、支持杭210は、管杭212が1本のみに限らず、図1に示すように、管杭212が軸方向で同軸上に連結されて構成されていてもよい。
また、管杭212の軸方向の他端側となる上端側の周面には、角柱状に突出する突起部212Aが例えば溶接などにより一体に突設されている。
さらに、支持杭210における管杭212の上端には、図2に示すように、連結ねじ部212Bが設けられている。この連結ねじ部212Bは、鋼管製の略円筒状で、軸方向の一端側に管杭212の軸方向の端部に同軸上に溶接にて連結される連結筒部212B1が設けられ、軸方向の他端側に外径が管杭212の内径と略同径に形成され外周面に雄ねじが設けられた雄ねじ部212B2が設けられている。この連結ねじ部212Bは、支持杭210と管杭212が複数連結される構成では、軸方向の上端側に位置する管杭212の上端側に一体に設けられる。
【0022】
接続部213は、図2に示すように、杭施工治具211の胴体部211Aと同様の鋼管にて同径に形成された円筒状の接続管部213Aを有している。なお、図2は、説明の都合上、支持杭210を地中に埋設した後で配管前の状態を示す。
この接続管部213Aの軸方向の一端の内周面には、管杭212の上端部に設けられる連結ねじ部212Bの雄ねじ部212B2が螺合させる雌ねじ部213A1が設けられている。また、接続管部213Aの他端部は、杭施工治具211の胴体部211Aと同様に、例えば軸方向の一端側となる上端側には、略円盤状の閉塞板213Bが溶接などにより設けられて軸方向で実質的に閉塞されている。
そして、接続管部213Aには、内周面を外周面に連通させる状態に内周面に貫通孔を有した外方に向けて突出する筒状の貫通孔としての貫通部213A2が形成されている。なお、筒状の貫通部213A2を設けて説明したが、単に貫通孔としてフランジ部分がない構成に形成してもよい。
また、接続管部213Aの周面には、外方に向けて分岐状に内周面が接続管部213Aの内周面に連通して突出する筒状の継ぎ手部213Cが一体に突設されている。なお、継ぎ手部213Cは、図に示すように、1本のみ設けたものや、複数、例えば2本設けたものなどがある。なお、貫通部213Aと継ぎ手部213Cとは、同方向に突出する状態に設けられる構成に限らず、互いに異なる方向に突出する状態で設けられていてもよい。
そして、接続部213の継ぎ手部213Cは、図1に示すように、隣接する支持杭210の継ぎ手部213Cと、風路形成部400を構成する連結管410にて支持杭210内が連通する状態に連結されている。連結管410は、例えば、硬質のプラスチック管や耐圧ホースなどが利用され、接続パイプ411にて継ぎ手部213Cに接続される。
【0023】
コンクリート基礎220は、支持杭210の軸方向の一端となる鉛直方向における上端部に、複数の支持杭210を一体的に連結する状態に打設形成される。このコンクリート基礎220は、地面に溝状に掘削された根切り溝510の底面に所定の厚さ寸法で図示しない砕石が敷き詰められ、この敷き詰められた砕石上に現場コンクリート打ちにより形成される。
そして、コンクリート基礎220は、所定の厚さ寸法、例えば厚さ寸法が約15cmの帯状のベース221を有している。このベース221は、砕石上に軸組形成された図示しない鉄筋を囲むように型枠が組まれ、この型枠内に鉄筋を支持杭210の上端部とともに包み込むようにコンクリートが現場打ちされて形成される。また、このベース221には、例えば幅方向の略中央に位置して所定の高さ寸法、例えば約57cmの壁状の布基礎222が設けられている。この布基礎222は、ベース221から突出する図示しない鉄筋に軸組形成された鉄筋を囲むように型枠が組まれ、この型枠内に鉄筋を包み込むようにコンクリートが現場打ちされて形成される。これらベース221および布基礎222により、逆T字状のコンクリート基礎220が構成される。そして、このコンクリート基礎220の上端に、建造物である例えば家屋が軸組形成され、支持部200と家屋とが一体的に連結される。
なお、コンクリート基礎220は、ベース221に埋設する支持杭210の上端部が少なくとも5cm以上内包される状態に一体的に形成される。すなわち、5cmより短くなると、支持杭210とコンクリート基礎220との接合強度が低下して一体化できなくなる。このため、支持杭210の上端部の少なくとも5cm以上が内包される状態にコンクリート基礎220が形成される。
【0024】
送風装置300は、例えば家屋の屋内や屋外などに適宜設置され、支持部200の中空の支持杭210内と家屋の内部空間である部屋内とで空気を循環させる。この送風装置300は、略箱状の筐体310を備えている。
そして、筐体310には、図示しない、室内吸気口、室内排気口、室外吸気口311、および、室外排気口312を有している。筐体310の室内吸気口および室内排気口は、直接あるいは配管を介して部屋に連通する状態に開口形成されている。また、筐体310の室外吸気口311および室外排気口312は、直接あるいは配管を介して屋外に連通する状態に開口形成されている。
また、筐体310内には、例えばブロワやファン、ポンプなどの図示しない送風機などが配設されている。この送風機は、筐体310内に配設された図示しない電源部からの電力の供給により駆動し、室内吸気口を介して家屋の部屋から吸気して室外排気口312を介して排気させる吸気動作とともに、室外吸気口311を介して外部から吸気して室内排気口を介して部屋内へ排気すなわち送風させる送風動作とを実施する。なお、送風機としては、例えば、室外吸気口311および室外排気口312での吸排気を1台で実施する構成や、室外吸気口311から吸気するものと、室外排気口312から排気するものと、複数設けるなどしてもよい。
さらに、筐体310内には、図示しないフィルタが配設されている。このフィルタは、送風機の駆動により送風装置300を介して部屋の内外へ通気される空気が通気可能でかつ空気中の塵埃を補足可能な織布や不織布、多孔質材などが利用できる。そして、フィルタは、筐体310内に着脱可能に配設されている。すなわち、フィルタは、取り外して交換、あるいは洗浄して再装着可能に配設されている。
また、送風装置300には、ヒータが配設されている。このヒータは、例えば電熱線などを有し、送風機の駆動により送風装置300を介して部屋の内部へ通気される空気を加温する状態に配設されている。
その他、送風装置300としては、例えば除湿剤などを備えた構成やドレンなどの水分除去部や、室内へ送風する空気に紫外線などを照射したり、オゾンと接触させたりして殺菌処理する殺菌処理部などを設けてもよい。なお、水分除去部を設ける構成では、支持杭210内の地中と熱交換された空気を建造物の内部空間の空気と直接循環させる空調方式でも、水分除去部により支持杭210内で結露や浸水などで空気に混入するおそれがある水分が除去されて内部空間に供給されるので、良好な空調が簡単な構成で容易に得られるとともに、送風機を備えた簡単な構成の送風装置300を用いるので、水分除去部で除去した水分の除去なども容易で、保守管理も容易にできる。
なお、送風装置300としては、例えば室外機として風路形成部400に1台接続する構成や、室内機として各部屋に配設して風路形成部400に複数接続する構成とするなどしてもよい。
【0025】
風路形成部400は、上述した支持杭210の継ぎ手部213C同士を連結する連結管410と、内管420と、第一本管430と、第二本管440と、を備えている。
内管420は、例えば、耐圧ホースや耐寒ホースなどの可撓性で、外径が接続管部213Aの貫通部213A2に嵌挿可能な管状物である。そして、内管420は、一端が支持杭210の貫通部213A2から嵌挿されて支持杭210の下端部近傍で開口し、他端が貫通部213A2から支持杭210の外部へ延設する状態に支持杭210内に略二重管構造に配設されている。なお、貫通部213A2の内周縁と、内管420の外周面との間には、例えばシーリング剤などの図示しない充填材が充填されて閉塞される。
第一本管430は、一端が送風装置300の筐体310の室外吸気口311に連通して接続され、他端が例えば支持杭210の継ぎ手部213Cに接続されている。この第一本管430と継ぎ手部213Cとの接続は、例えば図1に示すように、複数の支持杭210同士が連結管で接続されて互いに連通するいずれかの支持杭210の継ぎ手部213Cに接続する構成の他、連結管410に接続する構成、分岐して各継ぎ手部213Cにそれぞれ接続する構成、さらにはこれら構成の組み合わせなどが例示できる。この第一本管430は、例えば連結管410と同様に、硬質のプラスチック管や耐圧ホースなどの利用が例示できる。
第二本管440は、一端が送風装置300の筐体310の室外排気口312に連通して接続され、他端が内管420に接続されている。この第二本管440と内管420との接続は、例えば図1に示すように、分岐管441などにて分岐する状態に複数の内管420が枝分かれ状にそれぞれ接続する構成の他、櫛状にそれぞれ接続する構成などが例示できる。この第二本管440は、例えば連結管410や第一本管430と同様に、硬質のプラスチック管や耐圧ホースなどの利用が例示できる。
そして、風路形成部400は、送風装置300と第一本管430および第二本管440との接続(配管)により、部屋内、この部屋に連通する送風装置300の室内吸気口、送風装置300の室外排気口312、第二本管440、内管420、支持杭210内、連結管410、第一本管430、送風装置300の室外吸気口311、および、部屋に連通する送風装置300の室内排気口を経由する循環風路を形成し、送風装置300の送風機の駆動により、この順で空気が流通する。
【0026】
〔空調システムの作用〕
(杭打ち装置の構成)
まず、支持杭210を埋設するための装置構成について、以下に図面に基づいて説明する。
図3は、コンクリート基礎を形成するための杭打ち装置による支持杭を埋設する動作を示す一部を切り欠いた説明図である。
【0027】
図3において、1は杭打ち装置で、この杭打ち装置1は、クレーン2を備えたクレーン車両3を備えている。このクレーン車両3のクレーン2は、旋回および上下方向に回動可能でかつ伸縮可能に構成されている。また、クレーン車両3には、転倒防止用のジャッキ4が設けられている。
また、杭打ち装置1は、正逆回転可能な駆動手段としての例えば油圧モータ6を備えている。この油圧モータ6は、例えばクレーン車両3の図示しないエンジンの駆動により回転可能なスプライン出力軸7を有している。そして、油圧モータ6は、クレーン2の先端にスプライン出力軸7が軸方向を上下方向である鉛直方向に略沿う状態に着脱可能に取り付けられる。なお、この油圧モータ6の回転トルクは、クレーン車両3のクレーン運転台8に設けられた図示しないトルク計により認識可能となっている。
【0028】
さらに、杭打ち装置1は、杭打ち治具10を備えている。
この杭打ち治具10は、図3に示すように、略円柱状の筒部11を有している。そして、この筒部11の一端には、略円筒状の取付部12が筒部11に対して同軸上に一体に設けられている。この取付部12は、外径が筒部11の外径より径小に形成され、内周に油圧モータ6のスプライン出力軸7を係脱可能に嵌合する。そして、杭打ち治具10は、油圧モータ6のスプライン出力軸7に軸方向を鉛直方向に沿う状態で中心軸を回転軸として回転可能に取り付けられる。
なお、取付部12は、内周面に油圧モータ6のスプライン出力軸7が嵌合可能に軸方向に沿った図示しない複数の溝を有している。
【0029】
さらに、筒部11の他端には、外径が筒部11より径大の略円筒状の嵌合部15が、筒部11に対して同軸上に一体に設けられている。この嵌合部15には、内周に略円筒状の管杭212が係脱可能に嵌合する。
そして、杭打ち治具10の嵌合部15には、切り込み部17がこの嵌合部15の径方向に位置して一対設けられている。この切り込み部17は、端部縁すなわち油圧モータ6に取り付けられた状態での下端縁に連続する状態で、管杭212が嵌合部15に嵌挿されて管杭212の突起部212Aが係合可能に、嵌合部15の軸方向に沿って設けられる。また、これら切り込み部17には、係合部18が切欠形成されている。この係合部18は、嵌合部15の下端縁と反対側に位置して嵌合部15の周方向に沿い、かつ管杭212を埋設させる際の油圧モータ6のスプライン出力軸7の回転方向に向けて設けられている。この係合部18は、スプライン出力軸7の回転により、嵌合部15が管杭212と相対的に回転して切り込み部17に係合された管杭212の突起部212Aが係合可能に形成されている。
【0030】
(空調システムの構築)
次に、空調システムを構築する動作について、図面を参照して説明する。
図4は、管杭を埋設する状況を示す一部を切り欠いた説明図である。図5は、管杭を埋設後に上端部を切断除去する状況を示す一部を切り欠いた説明図である。図6は、管杭の上端部に連結ねじ部を設けた状態を示す一部を切り欠いた説明図である。図7は、支持杭に風路形成部400を構築した状態を示す説明図である。
【0031】
まず、支持杭埋設工程を実施する。
すなわち、クレーン車両3のクレーン2の先端に油圧モータ6を取り付ける。さらに、油圧モータ6のスプライン出力軸7を杭打ち治具10の取付部12に嵌合する。そして、スプライン出力軸7に杭打ち治具10を一体的に取り付ける。また、あらかじめ所定の位置、例えば図示しない家屋の通し柱が立つ位置に、図3に示すように、クレーン車両3のクレーン2を操作して、杭施工治具211が一端に接合された管杭212を、杭施工治具211が設けられた側が鉛直方向の下側に位置する状態に起立させ、杭打ち治具10の嵌合部15に起立した状態の管杭212を嵌合させるとともに、管杭212の突起部212Aを係合部18に係合させ、管杭212を杭打ち治具10にてクレーン2に吊り下げ支持する。
この後、油圧モータ6を駆動させてスプライン出力軸7を回転させて杭打ち治具10を回転させる。この油圧モータ6の駆動による杭打ち治具10の回転により、突起部212Aが係合部18から外れて切り込み部17の端部に当接する状態となって管杭212も一体的に回転する。そして、クレーン運転台8の図示しないトルク計により埋設時の回転トルクと荷重とを測定し、地盤の軟度を判断するとともに管杭212の埋設状態を判断する。
ここで、例えば設計変更や管杭212が曲がったり、傾いて埋設してしまったりした場合などにより、管杭212を打ち直す場合には、油圧モータ6のスプライン出力軸7を管杭212の埋設時の回転方向と反対方向に回転させる。この逆回転により、管杭212の突起部212Aは杭打ち治具10の係合部18に係合する。そして、管杭212は掘削翼211Bにより引き抜かれる状態となり、クレーン2を操作して杭打ち治具10を上方に移動するように上方に回動させて管杭212を引き抜く。なお、引き抜いた管杭212を杭打ち治具10から取り外す場合には、管杭212を杭打ち治具10に対して埋設時のスプライン出力軸7の回転方向に回転させる。このことにより、管杭212の突起部212Aが係合部18から外れて切り込み部17に位置する状態となり、管杭212を軸方向に移動させることにより取り外される。この管杭212の移動は、管杭212の自重を利用すると取り外し作業が容易となる。
【0032】
そして、管杭212が埋設されても、所定の回転トルクとならない場合、先端部の杭施工治具211が地盤に到達していないと判断し、油圧モータ6を若干逆転させて杭打ち治具10から埋設した管杭212を外し、別の管杭212を上記と同様に杭打ち治具10に装着する。そして、装着した管杭212の下端を吊り下げ支持しつつ、埋設する管杭212の上端に当接させて溶接にて連結し、再び油圧モータ6を回転させて、図4に示すように、管杭212をさらに埋設させる。
さらに、所定の回転トルクとなって管杭212の埋設ができなくなった状態で、先端部の杭施工治具211が地盤に到達したと判断し、杭打ち治具10を埋設する管杭212から取り外す。このようにして、順次、所定の位置に複数の管杭212を埋設していく。
【0033】
そして、所定の位置に管杭212を埋設する支持杭埋設工程の後、支持杭加工工程および貫通孔形成工程を実施する。
すなわち、図5に示すように、地表面であるグランドレベルGLから所定の深さ、具体的には凍結深度より深い管杭212の上端部を連結するような溝状に、埋設した管杭212の周囲および管杭212間の地面をバックフォなどで掘削して根切り溝510を形成する。
この後、コンクリート層より突出する余分となる管杭212、すなわち図3に示すように水準器21を用いてグランドレベルGLから所定の深さ位置に上端縁が位置するように、上端部を切断する。この管杭212の余分な切れ端は、例えば杭施工治具211の胴体部Aとして利用したり、連結ねじ部212Bに利用したり、鉄屑として管杭212などに再利用したりする。
さらに、余分な上端部が切断された管杭212の上端部に、図6に示すように、連結ねじ部212Bを溶接する。そして、この連結ねじ部212Bの雄ねじ部212B2に接続部213の雌ねじ部213A1を螺合させて管杭212に接続部213を一体的に接続し、管杭212の上端側が接続部213で閉塞されて内部空間を有する支持杭210を構成させる。
また、接続部213の取付により、接続部213にあらかじめ設けられた貫通部213A2により、支持杭210内が外部に連通する状態となる。すなわち、支持杭210に貫通孔が設けられたこととなる。
【0034】
この支持杭210の埋設、すなわち管杭212を埋設して接続部213を取り付ける支持杭加工工程および貫通孔形成工程の後、配管工程となる支持杭連通工程および内管配設工程を実施する。
すなわち、上端部が切断された管杭212に接続部213が取り付けられて構成された支持杭210の上端部から所定の位置、すなわち隣り合う支持杭210の接続部213の継ぎ手部213C同士を連結管410で互いに内周側が連通する状態に連結する。
また、貫通孔形成工程で形成された貫通部213A2内に、内管420を配管する。すなわち、内管420の一端を貫通部213A2から支持杭210内に嵌挿し、嵌挿した内管420の一端である下端部が支持杭210の下端部近傍に開口する位置まで挿入する。この内管の挿入は、例えば内管420の自重による内管420自体の落下が停止するまで挿入する。なお、途中で端部が管杭212同士の溶接部分で引っ掛かって落下が停止した状態となり得るので、自重による落下が停止した際、上下に揺する状態として落下の停止を確認する。このようにして、内管420の下端が支持杭210の下端部、すなわち杭施工治具211の閉塞板の位置に到達して開口する状態となる。
この内管420の配設状態では、貫通部213A2から内管420の端部が延出した状態とする。なお、貫通部213A2の開口縁と内管420の外周面との間の隙間は、例えばシーリング剤などにて閉塞すればよい。すなわち、内管420の挿通作業が容易となるように多少大きめの貫通部213A2を開口形成しておき、配管後にシールすることで内部に土砂などが流入して支持杭210内に堆積することを防止でき、良好な空調のための支持杭210内の容積確保ができる。
【0035】
この後、支持杭側風路形成工程および内管側風路形成工程を実施する。
すなわち、支持杭連通工程で連結管410で連結した支持杭210の少なくともいずれか1つの継ぎ手部213C、または、連結管410に分岐状に設けた部分に、第一本管430の端部を接続する。さらに、第一本管430の反対側の端部を、送風装置300の室外吸気口311に接続させ、図7に示すように、送風装置300と支持杭210の内部とを連通する支持杭側の風路を構築する。
また、各支持杭210内に配設した内管420の支持杭210から延出する端部に、第二本管440の端部を接続する。さらに、第二本管440の反対側の端部を、送風装置300の室外排気口312に接続させ、図7に示すように、送風装置300と内管420とを連通する内管側風路を構築する。
これら支持杭側風路形成工程および内管側風路形成工程により、部屋内、この部屋に連通する送風装置300の室内吸気口、送風装置300の室外排気口312、第二本管440、内管420、支持杭210内、連結管410、第一本管430、送風装置300の室外吸気口311、および、部屋に連通する送風装置300の室内排気口を経由する循環風路が形成される。
【0036】
これら配管工程の後、基礎形成工程を実施する。
すなわち、根切り溝510の底部に所定の厚さ寸法で図示しない砕石を敷き詰め、この敷き詰められた砕石の上に、いわゆる捨てコンと称される図示しないコンクリート層を現場コンクリート打ちにより形成する。なお、支持杭側風路形成工程および内管側風路形成工程で適宜必要に応じて掘削した地面は、埋め戻しておく。
そして、捨てコンにより略平坦となった平面上に鉄筋を軸組みし、鉄筋を覆うように型枠を形成する。この鉄筋の軸組の際、捨てコンの平面より突出する支持杭210にも連結するとよい。この後、型枠内に所定の厚さ寸法にコンクリートを現場打ちして硬化させ、コンクリート基礎220のベース221を形成する。このベース221の形成の際、図示しない捨てコンの上面から突出する支持杭210の上端部はコンクリート内に埋没されベース221に内包されてベース221と一体化する。なお、コンクリートの硬化後は、型枠を解体しておく。
さらに、硬化したコンクリート基礎220のベース221上に、ベース221から突出する鉄筋に連続して鉄筋を軸組みし、鉄筋を覆うように型枠を形成する。そして、型枠内に所定の高さでコンクリートを現場打ちして硬化させ、図1に示すように、コンクリート基礎220の布基礎222を形成し、ベース221に布基礎222が連続した略逆T字状のコンクリート基礎220を形成する。なお、布基礎222が硬化する前に、図示しないアンカーボルトを立設しておく。また、布基礎222の硬化後は、型枠を解体しておく。そして、掘削した根切り溝510を、略GLまで埋め戻し、コンクリート基礎220上に建造物を構築していく。
【0037】
〔空調システムの作用効果〕
上述したように、上記実施の形態では、先端部が閉塞された鋼管製の複数の中空の支持杭210を軸方向が略鉛直方向に沿う状態に地中に埋設させる。埋設した複数の支持杭210の鉛直方向の上部を、送風装置300の外部からの空気を送風機の駆動により吸気する室外吸気口311に連通して接続する第一本管430とそれぞれ連通して連結させる。また、埋設した複数の支持杭210の上端部から、軸方向の一端部が中空の支持杭210の下端部近傍で開口し軸方向の他端部が支持杭210の上端部から外部に延設されて開口する状態に、可撓性の内管420をそれぞれ嵌挿して配設する。これら内管420における支持杭210の上端部から延設された他端部を、送風装置300の外部へ空気を排出する室外排気口312に連通して接続する第二本管440とそれぞれ連通して連結させる。
このように、家屋などの建造物の所定の支持強度を得るために、支持杭210は比較的に地中の深い位置、例えば地表面から3m以上の深い位置まで埋設されることから、支持杭210の埋設先端となる鉛直方向における下端部では地中の温度が安定しているので、中空の鋼管製で埋設時に内部に土砂が流入しないように閉塞した支持杭210を埋設することで、支持杭210の下端部内の空気は、地中との熱伝導効率が高い鋼管製の支持杭210を介して良好に地中との熱交換が得られる。
このため、支持杭210内の良好に地中と熱交換された空気を、支持杭210の埋設後で建造物の建造前に配管して接続した送風装置300の送風機を駆動させるのみで、建造物の内部空間の空気と支持杭210内の空気とが循環され、支持杭210にて支持する建造物の内部空間に支持杭210内の空気を直接送風して空調に利用でき、良好な空調が得られる。また、支持杭210は、鋼管製であるため、支持杭210内と建造物の内部空間との空気の循環により結露しても、金属による抗菌性によりカビなどの発生が抑制されるので、直接循環させることができ、より簡単な構成で、良好な空調が容易に得られる。さらに、送風装置300と配管した後に建造物と連結、例えば建造物の支持のための所定の強度設計に応じて埋設した支持杭210の上端部にコンクリート基礎220を設け、このコンクリート基礎220上に建造物を建造することで支持杭210と一体的に連結させる従来工法と同様の簡単な施工で、確実な建造物の支持と良好な空調とを得ることができる。
【0038】
そして、地中に支持杭210を埋設させるための杭施工治具211を一端に設けた管杭212を、例えば杭施工治具211が地盤に到達して所定の支持力が得られるまで管杭212を順次連結しつつ埋設させ、建造物とコンクリート基礎220を介して連結される上端部に接続部213を設けて、地中と熱交換されて空調に利用される空気が循環される中空部分を区画する支持杭210を構成させるので、建造物を支持するための支持杭210としての支持力を確保できる。さらに、所定の支持力が得られるまで管杭212を埋設した後に、鋼管の接続管部213Aに継ぎ手部213Cと貫通部213A2を設けた簡単な構成の接続部213を接続するのみで、閉塞する杭施工治具211とにて空気を循環させるための支持杭210内に空気層を区画形成できるとともに、空調に利用する空気を循環させるための内管420の配設や第一本管430および第二本管440との接続が容易にでき、確実な建造物の支持と良好な空調とが、容易に得られる。
特に、所定の支持力が得られるまで埋設した管杭212の切断される余分な上端部を、杭施工治具211の胴体部211Aや接続部213の接続管部213Aに利用するリサイクルにより、コストの低減や産業廃棄物の低減による環境保護の利点なども得られる。
さらに、筒状の貫通部213A2を設けているため、単に貫通孔を開口形成する場合に比して、配設する可撓性を有する内管420が貫通孔の開口縁にて損傷することを防止できる。
【0039】
また、複数の埋設された支持杭210に第一本管430を接続するとともに支持杭210内に嵌挿した内管420に第二本管440を接続した後、支持杭210の上端部に建造物が構築されるコンクリート基礎220を一体的に設けている。
このため、支持杭210を埋設後、埋設作業のために地表面に露出する支持杭210の上端部に、第一本管430を接続するとともに内管420を配設して第二本管440を接続した後、建造物と一体的に連結すべく、露出する支持杭210の上端部にコンクリート基礎220を打設して一体化させる。すなわち、支持杭210を埋設後に、通常に実施されるコンクリート基礎220を打設する前に、露出する支持杭210に空調のための配管をするので、建造物の十分な支持力を得るとともに建造物の支持のための支持杭210を空調に利用できる構成が、期間が短い簡単な配管作業を建造物の構築前に実施するのみでよく、容易に得られる。
【0040】
さらに、送風装置300の送風機にて送風する空気を加温するヒータを設けている。
このため、支持杭210内の地中と熱交換した空気を直接利用するので、支持杭210内の空気を簡単な構成のヒータのみ加温すればよく、例えば冬季において、建造物の内部空間の冷え切った空気を、地中との熱交換によりある程度加温されて不足分をヒータにて加温することで暖房のための消費エネルギを低減できる構成が、簡単で容易に得られる。
【0041】
また、送風装置300の送風機にて送風する空気中の塵埃を補足するフィルタを設けている。
このことにより、支持杭内の地中と熱交換された空気を建造物の内部空間の空気と直接循環させる空調方式でも、フィルタにより支持杭内で空気に混入するおそれがある塵埃が除去されて内部空間に供給されるので、良好な空調が簡単な構成で容易に得られるとともに、送風機を備えた簡単な構成の送風装置を用いるので、フィルタの交換や洗浄なども容易で、保守管理も容易にできる。
【0042】
そして、送風装置300の送風機の駆動により支持杭210からの各吸気量が略同程度となる状態に複数の支持杭210に連結する状態に第一本管430を構成するとともに、送風機の駆動により内管420への送風量が略同程度となる状態に複数の内管420に連結する状態に第二本管440を構成している。
このため、例えば内径や長さ寸法が適宜設定されて第一本管430および第二本管440が各支持杭210および各内管420に風路抵抗が同等となるように接続しているので、各支持杭210内の空気と建造物の内部空間とが同程度で循環する状態が得られ、良好な空調効率が得られる。
【0043】
また、支持杭210として、板状の掘削翼211Bを平面が胴体部211Aの軸方向に対して交差する斜めに傾いた状態で一体的に接合し掘削翼211Bの角部に掘削爪部211Dを有する杭施工治具211を設けている。
このため、略円筒状の胴体部211Aに掘削爪部211Dを有した平板状の掘削翼211Bを設ける簡単な構成で、例えば地中に木の根や礫などが存在する場合でも良好に掘削可能な比較的に厚い掘削翼211Bを設けることも容易にでき、容易に管杭212を所定の深さまで埋設でき、軟弱な地盤でも建造物を胴体部211Aの先端部および掘削翼211Bにて支持できる安定した支持が得られるコンクリート基礎220を容易に形成できる。さらに、掘削爪部211Dが掘削翼211Bの角部に位置するので、掘削翼211Bの角部での掘削時における摩耗を防止でき、管杭212が埋設されるまで確実に掘削能が確保でき、確実に所定の深さまで掘削できる。
さらに、胴体部211Aを鋼管にて形成し、掘削翼211Bを鋼板にて形成して胴体部211Aに溶接している。このため、杭施工治具211を容易に形成でき、製造性の向上およびコストの低減が図れるとともに、比較的に厚い掘削翼211Bを設けることも容易にでき、安定した良好な掘削が得られる杭施工治具211を容易に得ることができる。
また、掘削翼211Bの傾斜する方向の掘削する側の先端縁が胴体部211Aの外周面からこの外周面に連続することなく周方向に突出する状態に設けられ、この掘削翼211Bの先端縁における角部の位置での接線方向に向けて掘削爪部211Dが突出する状態に設けている。このため、掘削の際の掘削爪部211Dの突出方向に沿って負荷が係る状態となり、掘削爪部211Dが掘削翼211Bから脱落するなどの損傷を防止できるとともに、掘削爪部211Dが掘削の際の案内となり、安定して掘削できる。また、掘削翼211Bは長方形板状で、先端縁に隣接する直角方向の一縁が胴体部211Aに接合されるので、掘削翼211Bの胴体部211Aから突出する先端縁の角部は少なくとも2つ以上となる。このことにより、先端縁の角部の位置が胴体部211Aの中心軸から異なる距離となる。したがって、掘削爪部211Dは、突出する方向が平行とはならずに異なる方向に向けて突出する状態となり、掘削爪部211Dが硬質の支持地盤に到達した際に良好に支持地盤に噛み込む状態となり、支持杭210の安定した支持状態を容易に得ることができる。
【0044】
さらに、管杭212の上端部を切除後に接続部213を取り付けるための連結ねじ部212Bを設け、螺合により接続部213を取り付けて支持杭210を構成させている。
このため、接続部213を例えば溶接などにより直接取り付けるのでなく螺着により取り付けるので、管杭212の連結などにより必要だった溶接機器を、あらかじめ継ぎ手部213Cや貫通部213A2を有した連結ねじ部212Bを取り付けた後、配管作業に移行する際に不要となり、配管作業が容易にできる。
【0045】
そして、管杭212の端部外周面に突起部212Aを設け、クレーン車両3のクレーン2の先端に取り付けた正逆回転可能な油圧モータ6に着脱可能で中心軸を回転軸として回転可能に中心軸を上下方向として略円筒状の杭打ち治具10を取り付け、この杭打ち治具10の略円筒状の嵌合部15に支持杭210の管杭212の上端部を嵌合するとともに、管杭212の突起部212Aを嵌合部15の下端縁に連続して軸方向に沿って設けた切り込み部17に係合させる。そして、油圧モータ6の正転により、管杭212を杭打ち治具10とともに回転して埋設する。また、油圧モータ6の逆転により、管杭212の突起部212Aを切り込み部17の上端部に嵌合部15の周方向に沿って少なくとも油圧モータ6の正転方向に向けて切欠形成した係合部18に係合させ、管杭212を杭打ち治具10の軸方向に対して移動規制し、埋設した管杭212を地面から引き抜き可能としている。
このため、切り込み部17と係合部18とにて構成される略逆L字状の簡単な構造で、油圧モータ6の正逆回転により、特別な構成を用いることなく簡単に管杭212の埋設や引き抜きあるいはつり下げ支持などを選択できる。このことから、作業性を向上でき、工期の短縮化も容易に図ることができる。さらに、管杭212の引き抜き機能を有した杭打ち治具10を容易に形成でき、製造性を向上でき、安価に提供できる。
【0046】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成などを含み、以下に示すような変形なども本発明に含まれる。
【0047】
すなわち、支持杭210としては、円筒状に限らず、例えば四角筒状や楕円筒状などでもできる。
また、支持杭210を、杭施工治具211、管杭212および接続部213にて構成して説明したが、例えば管杭212の先端部に掘削翼211Bを設けた構成として、この管杭212を順次接続しつつ埋設して最後に接続部213を接続して構成するなど、別途形成した杭施工治具211を用いなくてもよい。
なお、この場合、最初に埋設する管杭212の先端側は実質的に閉塞しておき、他の管杭212は閉塞しない構成としておく。
さらに、別途形成した接続部213を接続する構成に限らず、管杭212を埋設して余分な上端部を切除した後に上端面を鋼板などを溶接するなどして閉塞し、内管420を嵌挿させる貫通部213A2を設けたり、貫通孔を開口形成したり、開口した孔に連結管410を溶接あるいは第一本管430から分岐した分岐管を溶接したりするなど、接続部213を用いなくてもよい。
そして、掘削翼211Bとしては、2枚に限らず、例えば3枚以上設けてもよく、また螺旋状に1枚のみあるいは複数枚設けるなどしてもよい。
また、掘削爪部211Dを設けなくてもよい。
さらには、胴体部211Aの先端園を例えば鋸歯状に形成して掘削性を向上させてもよい。
【0048】
また、支持杭連通工程として、連結管410にて支持杭210を連通させて接続する工程を例示したが、第一本管430の枝分かれ状に分岐する端部をそれぞれ支持杭210の継ぎ手部213Cに接続し、支持杭210同士が第一本管430を介して連通する状態としてもよい。
この場合、支持杭間風路形成工程としては、端部がそれぞれ支持杭210の継ぎ手部213Cに接続する第一本管430の反対側の合流する端部を送風装置300に接続すればよい。
【0049】
そして、支持杭210としては、鋼鉄系に限らず、ステンレス鋼など、各種鋼管を利用することができる。特に、ステンレス鋼などの強度が高く耐蝕性を有する鋼管を用いることが、長期的な支持力維持に好ましい。
さらに、支持杭210として、内周面に耐蝕性を付与、例えば耐蝕性塗料を塗布したり、耐蝕性のステンレス鋼にて形成したりするとよい。このことにより、建造物の内部空間と空気が循環される支持杭210内の内面に結露などにより水滴が付着して支持杭210が腐蝕することが防止され、長期間安定して支持杭210の支持力が得られるとともに、腐蝕による異臭の防止により支持杭210内の空気を直接空調に利用する構成でも良好な空調状態が得られる。
【0050】
そして、送風装置300にフィルタを設けて説明したが、上述したように、フィルタとしては濾布に限らず、いずれの構成を利用できる。また、支持杭210内には、塵埃などがほとんど流入せず、塵埃としては比較的に部屋内から風路内に流入する割合が多いので、室外排気口312側にのみ設けてもよく、全く設けない構成としてもよい。さらには、風路中に設けてもよい。
さらに、送風装置300にヒータを設けて説明したが、ヒータに限らず、例えばオイルヒータなどの電熱線を用いないものなど、各種加温手段を利用できる。さらには、ヒータとしては、送風装置300に設けるのみならず、例えば第一本管430内に配設するなどしてもよい。さらには、加熱手段を設けなくてもよい。
また、ヒータによる加熱として、例えば外気温や部屋内の温度を検出する温度センサを設け、この温度センサによる温度に基づいて、循環させる空気を自動的に加熱する構成とするなど、夏季は冷房として、冬季は暖房として自動的に機能するようにしてもよい。また、冷房と暖房とを、別途設けた利用者による切り替え操作される切り替え手段により切り替える構成としてもよい。
同様に、水分除去部や殺菌処理部なども、送風装置300に設けるのみならず、他の風路中に設けてもよく、設けない構成としてもよい。
なお、送風装置300に設けることにより保守点検が容易であるため、送風装置300にこれら構成を設けることが好ましい。
【0051】
さらに、コンクリート基礎220は、断面逆T字状に限らず、ベース221に対して布基礎222が一側に変位して設けた断面L字状に形成されたものなどでもできる。さらには、独立杭として、各支持杭210の上端部に独立したコンクリート基礎をそれぞれ設け、各基礎上に亘って建造物を構築するなどしてもよい。
また、建造物としては家屋などに限らず、例えば地下室などの地下構造物など、地上に構築される建造物に限られない。そして、地下構造物などの場合には、コンクリート基礎220を設けず、各支持杭210の上端部を連続する状態に平面上にコンクリートを現場打ちして地下建造物の床部を構築して連結する構成とするなどしてもよい。同様に、根切り溝510などを設けなくてもよい。
【0052】
そして、正逆回転可能な油圧モータ6を用いて説明したが、例えばクレーン車両3の蓄電池からの電力や別途発電機からの電力により駆動する電動機や、燃料の供給により駆動する内燃機関を有したエンジン式、クレーン車両3のエンジンからの排気ガスを利用したものなど、いずれのものでもできる。また、正逆回転可能なものに限らず、一方向のみ回転する構成でもできる。この場合には、例えば杭打ち治具10に例えばギアなどを設けてスイッチ操作などにより杭打ち治具10を適宜反転させる構成としてもできる。さらには、駆動手段として、回転駆動するものに限らず、振動や衝撃などにて管杭212を埋設する構成としてもできる。
さらに、杭打ち治具10は、筒部11に取付部12および嵌合部15を同軸状に設けた構成に限らず、上述したように、例えば振動や衝撃を管杭212に加える構成など、駆動手段の駆動力を管杭212の埋設に作用させるいずれの構成でもできる。
嵌合部15として、例えば係合部18を対照的に設けた逆T字状などに形成して、埋め込み時にも係合する状態としてもよい。少なくとも管杭212を引き抜く際に突起部212Aが係合可能ないずれの形状でもできる。
【0053】
その他、本発明の実施における具体的な構造および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態に係る空調システムの概略構成を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図2】前記一実施の形態における支持杭の上端部の概略構成を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図3】前記一実施の形態における空調システムを構築するための杭打ち装置による管杭を埋設する動作を示す説明図である。
【図4】前記一実施の形態における管杭の埋設状況を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図5】前記一実施の形態における管杭の埋設後の状態を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図6】前記一実施の形態における連結ねじ部を取り付けた状況を示す一部を切り欠いた側面図である。
【図7】前記一実施の形態における配管後の状態を示す一部を切り欠いた概略図である。
【符号の説明】
【0055】
100………空調システム
210………支持杭
211………杭施工治具
211A……胴体部
211B……掘削翼
212………管杭
213………接続部
213A……接続管部
213A2…貫通孔を構成する貫通部
213C……継ぎ手部
220………コンクリート基礎
300………送風装置
310………筐体
311………室外吸気口
312………室外排気口
420………内管
430………第一本管
440………第二本管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中に埋設され建造物と一体的に連結されて前記建造物を支持する支持杭を用いて、前記建造物に外部と区画されて形成される内部空間の空調を実施する空調システムであって、
前記内部空間内の空気を吸気する室内吸気口、前記内部空間内へ空気を排出する室内排気口、外部からの空気を吸気する室外吸気口、および、外部へ空気を排出する室外排気口を有した筐体、この筐体内に配設され、前記室内吸気口を介して吸気して前記室外排気口を介して排気させる吸気動作、および、前記室外吸気口を介して吸気して前記室内排気口を介して排気させる送風動作のうちの少なくともいずれか一方を実施する送風機を備えた送風装置と、
先端部が閉塞されて前記地中に軸方向が略鉛直方向に沿って埋設された鋼管製の複数の中空の支持杭と、
一端が前記送風装置の室外吸気口に連通して接続され、前記複数の埋設された支持杭の鉛直方向の上部がそれぞれ連通して連結された第一本管と、
前記埋設された支持杭の上端部から内部に嵌挿され、軸方向の一端部が前記支持杭の下端部近傍で開口し軸方向の他端部が前記支持杭の上端部から外部に延設されて開口する可撓性の内管と、
一端が前記送風装置の室外排気口に連通して接続され、前記支持杭の上端部から延設された前記内管の他端部がそれぞれ連通して連結された第二本管と、
を具備したことを特徴とした空調システム。
【請求項2】
請求項1に記載の空調システムであって、
前記支持杭は、
筒状で内周側が実質的に閉塞された鋼管製の胴体部、および、この胴体部の外周面に平面がこの胴体部の軸方向に対して交差する斜めに傾いた状態で一体的に接合された鋼板製の掘削翼を備えた杭施工治具と、
この杭施工治具の胴体部の軸方向の一端部に略同軸上に接続された鋼管製の筒状の管杭と、
この管杭の軸方向の他端に軸方向の一端部が略同軸上に連結され軸方向の他端部が実質的に閉塞され前記内管が挿通される貫通孔を周面に開口する鋼管製の筒状の接続管部、この接続管部の周面に内周面が連通して周方向に突出され前記第一本管が接続される継ぎ手部を備えた接続部と、を備えた
ことを特徴とした空調システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の空調システムであって、
前記複数の埋設された支持杭は、前記第一本管が接続されるとともに前記第二本管が前記内管に接続された後に、前記建造物が構築されるコンクリート基礎が上端部に一体的にそれぞれ設けられた
ことを特徴とした空調システム。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の空調システムであって、
前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気を加温するヒータを備えた
ことを特徴とした空調システム。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の空調システムであって、
前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気が通過されて前記空気中の塵埃を補足するフィルタを備えた
ことを特徴とした空調システム。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の空調システムであって、
前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気中の水分を除去する水分除去部を備えた
ことを特徴とした空調システム。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の空調システムであって、
前記第一本管は、前記送風装置の送風機の駆動により、連結する前記支持杭からの各吸気量が略同程度となる状態に前記複数の支持杭に連結され、
前記第二本管は、前記送風装置の送風機の駆動により、連結する前記内管への各送気量が略同程度となる状態に前記複数の内管に連結された
ことを特徴とした空調システム。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の空調システムであって、
前記支持杭は、少なくとも内周面に耐蝕性が付与された
ことを特徴とした空調システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の空調システムであって、
前記送風装置は、前記送風機にて送風する空気に紫外線を照射する紫外線照射装置を備えた
ことを特徴とした空調システム。
【請求項10】
地中に埋設される支持杭に支持されて地上に構築され空調システムを備えた建造物を建造する建造物の建造方法であって、
前記内部空間内の空気を吸気する室内吸気口、前記内部空間内へ空気を排出する室内排気口、外部からの空気を吸気する室外吸気口、および、外部へ空気を排出する室外排気口を有した筐体、この筐体内に配設され、前記室内吸気口を介して吸気して前記室外排気口を介して排気させる吸気動作、および、前記室外吸気口を介して吸気して前記室内排気口を介して排気させる送風動作のうちの少なくともいずれか一方を実施する送風機を備えた送風装置を用い、
少なくとも先端部が実質的に閉塞された鋼管製の筒状の前記支持杭を、前記構造物の構造に応じて複数埋設する支持杭埋設工程と、
これら埋設した複数の支持杭の上端部が前記地表面から所定の位置となる状態に前記支持杭の上端部を切断して上端部を実質的に閉塞する支持杭加工工程と、
これら上端部が切断されて閉塞された前記支持杭の上端部から所定の位置で、互いに内周側が連通する状態に連結する支持杭連通工程と、
前記上端部が切断されて閉塞された前記支持杭の上端部から所定の位置の周面に、内部が外部に連通する状態にそれぞれ貫通して貫通孔を開口形成する貫通孔形成工程と、
この貫通孔形成工程で形成した貫通孔に、一端が前記埋設された支持杭の下端部近傍で開口する状態に、可撓性の内管を嵌挿して他端側が前記貫通孔から外部に延設する状態に、前記埋設された支持杭のうちの少なくともいずれか1つに配設する内管配設工程と、
前記支持杭連通工程で連結した複数の支持杭のうちの少なくともいずれか1つおよび前記支持杭同士を連結する連結部分のうちの少なくともいずれか1つのうち、少なくともいずれか1つを、前記送風装置の室外吸気口に連通させる支持杭側風路形成工程と、
前記内管配設工程で配設した内管の他端側を、前記送風装置の室外排気口に連通させる内管側風路形成工程と、
前記支持杭側風路形成工程および前記内管側風路形成工程の後に、前記建造物が上部に構築されるコンクリート基礎を前記支持杭の上端部を連結する状態に一体的に形成する基礎形成工程と、を実施する
ことを特徴とする建造物の建造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の建造物の建造方法であって、
前記支持杭埋設工程は、
筒状で内周側が実質的に閉塞された鋼管製の胴体部、および、この胴体部の外周面に平面がこの胴体部の軸方向に対して交差する斜めに傾いた状態で一体的に接合された板状の掘削翼を備えた杭施工治具と、この杭施工治具の胴体部と略同径の鋼管製の筒状の管杭と、を用い、
前記杭施工治具の胴体部を前記管杭の軸方向の一端に溶接にて連結し、前記杭施工治具が設けられた側が鉛直方向の下端側となる状態で前記管杭の他端側を保持して前記地中に回転しつつ所定の回転トルクが発生するまで、前記管杭を連結しつつ埋設させる
ことを特徴とする建造物の建造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−96083(P2008−96083A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281329(P2006−281329)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(598019738)
【Fターム(参考)】