説明

空調システムのコントローラ

【課題】複数の空調グループを有する空調システムにおいて用いられ、特定の空調グループの設定操作を行う場合に生じる違和感を低減でき、かつ、安価な空調システムのコントローラを提供する。
【解決手段】複数の空調グループG1、G2、G3を空調グループG1、G2、G3毎に管理する空調システム100のコントローラ50であって、空調グループG1、G2、G3毎に対応するように複数設けられている複数の空調グループ直接選択ボタン81〜88と、空調グループ直接選択ボタン81〜88のそれぞれに対応して発光する発光部81a〜88aと、空調グループ毎の設定情報を格納した設定メモリ72と、設定情報を表示出力する液晶表示部61と、グループCPU91および設定CPU71を備えている。設置CPU71は、空調グループ直接選択ボタン81〜88のいずれかが押されることで、対応した発光部81a〜88aに発光させ、グループCPU91は、対応する設定情報を液晶表示部61に表示出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の空調グループを有する空調システムのコントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1(特開2008−196779号公報)に記載の方法のように、空調対象となるエリア毎に区切られた複数の空調グループを有する空調システムが知られている。
【0003】
このような空調システムのコントローラでは、液晶表示部、十字キー、決定ボタン等が設けられており、ある空調グループについて操作しようとする場合には、当該空調グループを選択するために十字キーを何度か押して、液晶表示部に表示されている複数の空調グループの中から当該空調グループにカーソルを合わせた状態で、決定ボタンを押している。これにより、当該空調グループについて設定操作が可能な画面が、液晶表示部に表示されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上述の特許文献1(特開2008−196779号公報)に記載されているような空調システムのコントローラでは、特定の空調グループにカーソルを合わせるために、十字キーを繰り返して何度も押す必要があり、管理している空調グループが多ければ多いほど、空調グループの選択のために煩雑な処理が必要になってしまう。
【0005】
これに対して、液晶表示部に表示されている画面を、特定のグループについて設定操作を行うための設定画面に、直接的に遷移させるために、空調グループ毎に個々のダイレクトキーをリモコンに設けることが考えられる。これにより、操作しようとする特定の空調グループについての設定画面を、簡易な操作だけで表示させることができる。
【0006】
ところが、このように管理対象の空調グループが複数存在している空調システムにおいて、空調グループ毎の設定画面を直接的に表示させようとする場合には、従来の十字キーの構成でも上記ダイレクトキーの構成でも同じように、ユーザによる入力操作が行われた時点から、特定の空調グループの設定画面を複数の空調グループの中から読み出して液晶表示部に表示出力された状態となるまでの間に、多少のタイムラグが生じてしまうという問題を解決できていない。
【0007】
このため、入力操作を行ったユーザは、自分が行った入力操作が、コントローラに認識されているか否か確信が持てない状況になり、違和感を感じることがある。このようなタイムラグは、コントローラに内蔵させるマイコンを安価にすればするほど長くなりがちである。
【0008】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、複数の空調グループを有する空調システムにおいて用いられ、特定の空調グループの設定操作を行う場合に生じる違和感を低減でき、かつ、安価な空調システムのコントローラを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1観点に係る空調システムのコントローラは、複数の空調グループを空調グループ毎に管理する空調システムのコントローラであって、複数の空調グループ選択ボタンと、発光部と、設定メモリと、液晶表示部と、処理部と、を備えている。複数の空調グループ選択ボタンは、空調グループ毎に対応するように設けられている。発光部は、複数の空調グループ設定ボタンのそれぞれに対応して発光することが可能である。設定メモリは、空調グループ毎の設定情報が格納されている。液晶表示部は、設定メモリに格納されている設定情報を表示出力することが可能である。処理部は、空調グループ選択ボタンが押されることで、当該押された空調グループ選択ボタンに対応して発光部に発光させる処理、および、当該押された空調グループ選択ボタンに対応する設定情報を液晶表示部に表示出力させる処理を行う。なお、この複数の空調グループ選択ボタンとしては、例えば、1つの空調グループに対して一対一に対応付けられて設けられる場合等が含まれる。発光部としては、例えば、1つの空調グループ選択ボタンに対して一対一に対応付けられて設けられる場合だけでなく、各空調グループ選択ボタンに対応する位置を発光させることができるように1つの発光体の照射エリアがコントロールされるような場合等も含まれる。また、ここで、発光部が空調グループ設定ボタンのそれぞれに対応して発光する場合の例としては、例えば、空調グループ設定ボタンのぞれぞれの近傍の位置で発光する場合や、空調グループ設定ボタンの裏側から光が照射されることで発光する場合等が含まれる。
【0010】
この空調システムのコントローラでは、処理部は、当該押された空調グループ選択ボタンに対応する設定情報を液晶表示部に表示出力させるために時間を要している間に、当該押された空調グループ選択ボタンに対応して発光部に発光させることにより、操作を受け付けていることをユーザに対して迅速に知らせることができる。また、当該押された空調グループ選択ボタンに対応する設定情報を液晶表示部に表示出力させるために時間を要するような処理能力の低い安価な構成であったとしても、上述のように、操作を受け付けていることをユーザに対して迅速に知らせることができる。
【0011】
これにより、特定の空調グループの設定操作を行う場合に生じる違和感を低減させることを安価な構成によって行うことが可能になっている。
【0012】
本発明の第2観点に係る空調システムのコントローラは、第1観点に係る空調システムのコントローラにおいて、処理部は、第1処理基板と第2処理基板とを有している。第1処理基板は、空調グループ選択ボタンが押されたことを把握し、当該押された空調グループ選択ボタンに対応して発光部に発光させる処理を行う。第2処理基板は、第1処理基板と通信線を介して接続されており、第1処理基板からの指示を受けることによって当該押された空調グループ選択ボタンに対応する設定情報を液晶表示部に表示出力させる処理を行う。
【0013】
この空調システムのコントローラでは、空調グループ選択ボタンが押された際に、第1処理基板は、当該押された空調グループ選択ボタンに対応して発光部に発光させる処理を行うが、表示出力に必要な具体的な処理を行うことなく、通信線を介して第2処理基板に対して、当該押された空調グループ選択ボタンに対応する設定情報を液晶表示部に表示出力させる指示を送信する。これにより、第1処理基板における処理負荷を少なくすることができているため、空調グループ選択ボタンが押された時点から発光部が発光した状態になるまでに要する時間をより短縮化させることが可能になる。
【0014】
本発明の第3観点に係る空調システムのコントローラは、第2観点に係る空調システムのコントローラにおいて、第2処理基板は、当該押された空調グループ選択ボタンに対応する設定情報を液晶表示部に表示出力できる状態になるまでの間、切換処理が進行中であることを示す所定の文字情報を液晶表示部に表示させる処理を行う。
【0015】
この空調システムのコントローラでは、発光部が発光することによって操作を受け付けていることをユーザに対して示すだけでなく、液晶表示部に対する表示出力内容を切り換える処理が進行中であることを示す文字情報を表示させることによって、より具体的な情報をユーザに知らせることができる。これにより、特定の空調グループの設定操作を行う場合に生じる違和感を、よりいっそう低減させることができる。
【0016】
本発明の第4観点に係る空調システムのコントローラは、第1観点から第3観点のいずれかに係る空調システムのコントローラにおいて、設定情報を変更するために用いられる設定ボタンをさらに備えている。処理部は、空調グループ選択ボタンが押された時点から、当該押された空調グループ選択ボタンに対応する設定情報を液晶表示部に表示出力させる処理が終わるまでの間は、空調グループ選択ボタンがさらに押されたことは受け付けるが、設定ボタンが押されたことは受け付けない。
【0017】
この空調システムのコントローラでは、ユーザによる空調グループの選択ミスが生じた場合においては、再度の空調グループの選択を随時受け付けることができる。また、空調グループを選択する以外の設定操作等の他の入力を受け付けることにより表示出力処理が遅れることを防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1観点に係る空調システムのコントローラでは、特定の空調グループの設定操作を行う場合に生じる違和感を低減させることを安価な構成によって行うことが可能になっている。
【0019】
本発明の第2観点に係る空調システムのコントローラでは、空調グループ選択ボタンが押された時点から発光部が発光した状態になるまでに要する時間をより短縮化させることが可能になる。
【0020】
本発明の第3観点に係る空調システムのコントローラでは、特定の空調グループの設定操作を行う場合に生じる違和感を、よりいっそう低減させることができる。
【0021】
本発明の第4観点に係る空調システムのコントローラでは、再度の空調グループの選択を随時受け付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る空調システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るコントローラの外観図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るコントローラのブロック構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るコントローラにおいて空調グループG1が選択された直後の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の空調システムのコントローラ1の一実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0024】
<1>全体概略構成
図1に、空調システム100の概略構成図を示す。
【0025】
本実施形態の空調システム100は、2つの冷媒系統A,Bを有しており、かつ、3つの空調グループG1、G2、G3を有しており、コントローラ50によって各種制御が行われる。
【0026】
(1−1)冷媒系統A、Bについて
本実施形態の空調システム100は、室外ユニット1の圧縮機を介して冷媒が循環している冷媒回路10aを備える冷媒系統Aと、室外ユニット2の圧縮機を介して冷媒が循環している冷媒系統10bを備えている。
【0027】
冷媒系統Aは、室外ユニット1、室内ユニット21、室内ユニット22、室内ユニット23、室内ユニット24、室内ユニット25、および、室内ユニット26を有している。室外ユニット1には、図示しない圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、室外ファン、四路切換弁、室外制御基板等が設けられている。各室内ユニット21、22、23、24、25、26には、それぞれ、図示しない室内膨張弁、室内熱交換器、室内ファン、室内制御基板等が設けられている。冷媒系統Aの冷媒回路10aは、室外ユニット1の圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、四路切換弁、各室内ユニット21、22、23、24、25、26の室内熱交換器、室内膨張弁等が冷媒配管を介して接続されることで構成されている。
【0028】
冷媒系統Bは、冷媒系統Aを流れる冷媒とは独立して設けられた冷媒系統であり、室外ユニット2、室内ユニット31、室内ユニット32、室内ユニット33、および、室内ユニット34を有している。室外ユニット2には、図示しない圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、室外ファン、四路切換弁、室外制御基板等が設けられている。各室内ユニット31、32、33、34には、それぞれ、図示しない室内熱交換器、室内ファン、室内制御基板等が設けられている。冷媒系統Bの冷媒回路10bは、室外ユニット2の圧縮機、室外熱交換器、室外膨張弁、四路切換弁、各室内ユニット31、32、33、34の室内熱交換器、室内膨張弁等が冷媒配管を介して接続されることで構成されている。
【0029】
(1−2)空調グループG1、G2、G3について
本実施形態の空調システム100の室内ユニット21、22、23、24、25、26、31、32、33、34は、空調グループG1と、空調グループG2と、空調グループG3との3つのグループに分けられている。
【0030】
室内ユニット21、22、23、24は、空調グループG1に属している。この空調グループG1に属する室内ユニット21は、空調グループG1の親機であり、他の室内ユニット22、23、24は、それぞれ空調グループG1の子機である。
【0031】
室内ユニット25、26は、空調グループG2に属している。この空調グループG2に属する室内ユニット25は、空調グループG2の親機であり、他の室内ユニット26は、空調グループG2の子機である。
【0032】
室内ユニット31、32、33、34は、空調グループG3に属している。この空調グループG3に属する室内ユニット31は、空調グループG3の親機であり、他の室内ユニット32、33、34は、それぞれ空調グループG3の子機である。
【0033】
(1−3)コントローラ50および伝送線について
空調システム100は、ユーザが操作するコントローラ50によって、各種制御を実行する。
【0034】
このコントローラ50からは、伝送線が延びており、各空調グループG1、G2、G3の親機である室内ユニット21、25、31の室内制御基板と通信可能に接続されている。
【0035】
各空調グループG1、G2、G3に属している子機である室内ユニット22、23、24、26、32、33、34の室内制御基板は、それぞれ自分が属している空調グループG1、G2、G3の親機である室内ユニット21、25、31の室内制御基板と伝送線を介して通信可能に接続されている。
【0036】
このような伝送線の接続形態によって、各室内ユニット21〜26、31〜34は、空調グループ毎の設定条件に従って運転制御が行われる。すなわち、コントローラ50から出される運転指示は、まず、対象となる空調グループの親機の室内制御基板に伝えられ、次に、当該親機の空調グループに属している子機の室内制御基板それぞれに対して親機の室内制御基板と同じ動きをするように運転指示が伝えられる。これにより、空調システム100の各空調グループG1、G2、G3は、グループ毎の設定条件に沿って運転制御が行われる。
【0037】
<2>コントローラ50の詳細構成
図2に、コントローラ50の外観構成図を示す。図3に、コントローラ50のシステムブロック構成図を示す。
【0038】
コントローラ50は、設定部60と、グループ選択部80とを有している。設定部60は、グループ選択部80によって選択された空調グループG1、G2、G3のいずれかについて、設定入力を受け付ける。なお、設定部60とグループ選択部80とは、樹脂製のケーシング50aによって一体的に覆われている。
【0039】
(2−1)設定部60について
設定部60は、液晶表示部61、運転切換ボタン62、風量風向ボタン63、運転停止ボタン64、キャンセルボタン65、十字キー66、確定ボタン67、および、設定基板70を有している。
【0040】
液晶表示部61は、設定基板70によって、各種情報が表示出力される。なお、液晶表示部61は、設定部60が操作された場合や設定基板70がグループ選択基板90から何らかの情報を受信した場合に点灯するバックライトを有している。一度点灯したバックライトは、所定時間の間だけ点灯状態を続ける。なお、図4に示すように、後述するグループ選択部80の空調グループ直接選択ボタン81、82、83のいずれかが押されることで、当該押された空調グループ直接選択ボタンに対応する空調グループの設定情報を示す画面表示を液晶表示部61に表示させる旨の指示をグループ選択基板90から設定基板70が受け付けた後、当該押された空調グループ直接選択ボタンに対応する空調グループの設定情報を示す画面表示を液晶表示部61に表示出力させるまでの間に、設定基板70からの指示によって「グループ切換中」の表示出力を行う。なお、液晶表示部61が選択された空調グループの設定情報を表示している様子は、図2に示す通りである。ここで、「グループ切換中」の表示出力が行われている間に、設定基板70によって実行される処理としては、表示するための情報を選択して収集する処理が挙げられる。このような処理としては、例えば、空調グループ直接選択ボタンが押されることで、その時点で継続して行われている処理に割り込ませる場合に、継続中の処理を先に完了させる処理、または、後述する設定メモリ72に格納されている情報の中から必要な情報を選定して読み出しを行うために必要な処理等が挙げられる。この設定基板70が通常行っている処理としては、例えば、定期的に、空調グループ毎の室内温度の情報や空調グループ毎の運転状態の情報等を収集し、設定メモリ72に格納された情報に対して上書きしていく処理等が挙げられる。
【0041】
運転切換ボタン62は、ユーザに押されることにより、冷房運転、暖房運転、送風運転等の運転切換を選択されている空調グループG1、G2、G3に行わせるための指示を、設定基板70に受け付けさせる。
【0042】
風量風向ボタン63は、ユーザに押されることにより、選択されている空調グループG1、G2、G3における風量と風向を設定する指示を、設定基板70に受け付けさせる。風量については、4段階の風量のうちのいずれかの指定を受け付けさせる。風向については、3段階のフラップ傾斜角度のうちのいずれかの指定もしくはフラップを回動させるスイング状態の指定を受け付けさせる。
【0043】
運転停止ボタン64は、ユーザに押されることにより、選択されている空調グループG1、G2、G3における運転を開始させる指示や運転を停止させる指示を、設定基板70に受け付けさせる。
【0044】
キャンセルボタン65は、ユーザに押されることにより、設定途中の内容をキャンセルしたり、1つ前の(1つ上位の階層の)画面表示に戻らせる指示を、設定基板70に受け付けさせる。
【0045】
十字キー66は、上方キー66u、下方キー66d、左方キー66l、右方キー66rを有しており、それぞれ、ユーザに押されることにより、設定基板70に以下の指示を受け付けさせる。上方キー66uが押されると、カーソルを上方に移動させたり設定数値を上げる指示を受け付けさせる。下方キー66dが押されると、カーソルを下方に移動させたり設定数値を下げる指示を受け付けさせる。左方キー66lが押されると、カーソルを左方に移動させたり選択された項目についての設定画面に移行させる(より下位の階層の画面に遷移させる)指示を受け付けさせる。右方キー66rが押されると、カーソルを右方に移動させたり選択された設定画面から前の画面に移行させる(一階層上位の画面に遷移させる)指示を受け付けさせる。
【0046】
確定ボタン67は、ユーザに押されることにより、カーソルが選択している画面表示に移行させる指示や、カーソルが選択している機能項目を実行させるため指示を、設定基板70に受け付けさせる。
【0047】
設定基板70は、各種処理を行う設定CPU71と、各空調グループG1、G2、G3毎の設定条件(例えば、設定温度、設定風向、設定風量等の情報)や各空調グループG1、G2、G3毎の状態情報(例えば、空調対象空間の温度等の情報)を格納する設定メモリ72と、各空調グループG1、G2、G3の親機の室内制御基板との間で通信を行うためおよびグループ選択基板90との間で通信を行うための設定通信部73と、を有している。
【0048】
設定基板70は、上記運転切換ボタン62や、風量風向ボタン63や、運転停止ボタン64や、キャンセルボタン65や、十字キー66や、確定ボタン67が押されることで受け付けた指示に基づいて、空調グループG1、G2、G3のうちの選択されていた空調グループについて、液晶表示部61に表示出力させつつ、当該選択されていた空調グループについての制御指示を、当該選択されていた空調グループの親機の室内制御基板に向けて伝送線を介して送信する。これにより、設定基板70からの指示を受け付けた親機の室内制御基板が、同じ指令を同じ空調グループの子機の室内制御基板に向けて伝送線を介して送信する。これにより、同一の空調グループに属している室内制御基板が、同じ指示を受け付けることになり、空調グループ毎の設定を、コントローラ50から行うことができるようになっている。
【0049】
なお、設定基板70は、常時、室内ユニットの室内制御基板との間で通信を行っており、現時点での空調対象空間の温度の情報等を取得し、設定メモリ72に格納している情報を更新させていく。
【0050】
(2−2)グループ選択部80について
グループ選択部80は、空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88、一括運転ボタン89a、一括停止ボタン89b、運転中表示部89c、空調エリア表示部80a、発光部81a、82a、83a、84a、85a、86a、87a、88a、および、グループ選択基板90を有している。
【0051】
空調グループ直接選択ボタン81は、ユーザに押されることにより、空調グループG1の設定情報を示す画面表示を設定部60の液晶表示部61に表示させるための指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。空調グループ直接選択ボタン82は空調グループG2について設定を行うための画面を、空調グループ直接選択ボタン83は空調グループG3について設定を行うための画面を、それぞれ、設定部60の液晶表示部61に表示させるための指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。なお、本実施形態においては、コントローラ50によって操作される空調グループが、空調グループG1、G2、G3の3つだけであるため、空調グループ直接選択ボタン84、85、86、87、88については、ユーザからの設定を受け付ける機能は割り振られていない。
【0052】
一括運転ボタン89aは、ユーザに押されることにより、設定基板70の設定メモリ72に格納されている各空調グループG1、G2、G3の設定条件に従って、空調グループG1、G2、G3の全ての空調グループの運転を開始させる指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。なお、一括運転ボタン89aが押された時点で既に運転状態にある空調グループについては、そのまま運転状態を継続させることになる。
【0053】
一括停止ボタン89bは、ユーザに押されることにより、空調グループG1、G2、G3の全ての空調グループの運転を停止させる指示を、グループ選択基板90に受け付けさせる。
【0054】
運転中表示部89cは、グループ選択部80の情報に設けられており、コントローラ50が制御を行う対象となる空調グループG1、G2、G3のいずれかが駆動している場合にユーザにその旨を知らせる。具体的には、グループ選択基板90が、設定基板70からいずれかの空調グループG1、G2、G3が駆動中である旨の情報を受け取ることで、発光制御されるLEDにより構成されている(なお、このLEDが設けられている部分の手前側のケーシング50aは、光透過性の樹脂で構成されている)。
【0055】
空調エリア表示部80aは、各空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88と一対一に対応するように割り振られた1〜8までの数字および各数字の横に設けられており空調エリアを記入するための欄が示された空調エリア記入シートと、空調エリアシートを覆う透明の樹脂カバーと、を有している。本実施形態では、空調グループは、空調グループG1、G2、G3の3つであるため、空調グループ直接選択ボタン81、82、83に対して一対一に対応した1〜3までの数字の横にそれぞれ設けられた空調エリアを記入するための欄に、具体的な部屋名等が記入された状態で空調エリア記入シートは利用される。
【0056】
発光部81a、82a、83a、84a、85a、86a、87a、88aは、各空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88に一対一に対応するようにして、横の空調エリア記入シートの数字部分を後ろ側から照らすためのLEDである。これらの発光部81a〜88aは、ケーシング50aの内部に設けられており、グループ選択基板90によって発光制御が行われる。なお、発光部81a〜88aは、空調グループ直接選択ボタンが押された後、グループ選択部80がなんら操作されない状態が5秒間続くと、自動的に消灯するように、グループ選択基板90によって発光制御される。
【0057】
グループ選択基板90は、各種演算処理を行うグループCPU91と、グループ通信部92と、を有している。グループ通信部92は、空調グループ直接選択ボタン81、82、83、84、85、86、87、88や、一括運転ボタン89aや、一括停止ボタン89bが押されることで受け付けた指示に応じた指示を通信線95を介して設定基板70に送り、設定基板70から空調グループG1、G2、G3のうちで稼働中の空調グループが存在しているか否かの情報を通信線95を介して設定基板70から受信する。
【0058】
なお、上述したように、空調グループ直接選択ボタン81、82、83のいずれかが押された際に、グループ選択基板90は、当該押された空調グループ直接選択ボタンに対応する空調グループの設定情報を示す画面表示を液晶表示部61に表示させるために、設定基板70に向けて指示を送る。
【0059】
<3>発光部が発光することによる受付完了の報知
以下、グループ選択部80の空調グループ直接選択ボタン81がユーザによって押された場合のコントローラ50の処理を説明する。
【0060】
空調グループ直接選択ボタン81がユーザによって押されると、図4に示すように、グループ選択基板90は、当該押された空調グループ直接選択ボタンに対応する発光部81aのLEDを発光させる。ここでの発光部81aのLEDの発光は、発光状態(点滅であってもよい)を5秒間維持する。そして、グループ選択基板90は、当該押された空調グループ直接選択ボタンに対応する空調グループの設定情報を示す画面表示を液晶表示部61に表示せる旨の指示を、通信線95を介して、設定基板70に送信する。
【0061】
設定基板70は、当該押された空調グループ直接選択ボタンに対応する空調グループの設定情報を示す画面表示を液晶表示部61に表示せる旨の指示をグループ選択基板90から受け付けると、液晶表示部61のバックライトを発光させつつ、図4に示すように、液晶表示部61に「グループ切換中」との表示を行わせる。そして、設定基板70は、各空調グループに関する情報が格納されている設定メモリ72から、空調グループG1の設定条件や状態情報として最新の情報(更新されている情報)を読み出す。そして、設定基板70は、この読み出しを終えると、読み出した内容を、「グループ切換中」と表示させていた液晶表示部61に対して表示出力させる。なお、ここで、発光部81aのLEDが発光中であり、「グループ切換中」との表示が液晶表示部61に表示出力されている間は、設定基板70およびグループ選択基板90は、空調グループ直接選択ボタン81〜88以外のボタンが押されることがあっても、その受付を行わない。この間は、ユーザが空調グループの選択を誤って選択し直ししようとして、再度、別の空調グループ直接選択ボタン82〜88が押された場合にのみ、設定基板70およびグループ選択基板90が受け付けを行う。
【0062】
この状態で、設定部60の運転切換ボタン62、風量風向ボタン63、運転停止ボタン64、キャンセルボタン65、十字キー66、確定ボタン67がユーザによって押されることで、設定基板70は、空調グループG1の設定状態の変更を受け付ける。そして、設定基板70は、空調グループG1の親機の室内制御基板に対して、設定変更された後の内容を指示する。
【0063】
<4>空調システム100のコントローラ50の特徴
上記実施形態の空調コントローラ1では、グループ選択部80の空調グループ直接選択ボタン81〜88のいずれかがユーザによって押された場合に、空調グループ直接選択ボタン81、82、83からの指示を受け付けたグループ選択基板90が、対応する発光部81a〜88aを発光させる。この際に、グループ選択基板90は、設定基板70との間で通信線95を介した通信を行う前に、対応する発光部81a〜88aを発光させる処理を行うために、空調グループ直接選択ボタン81〜88のいずれかがユーザによって押された場合に、押されてから対応する発光部81a〜88aが発光した状態になるまでの間に要する時間を短くすることができている。また、グループ選択基板90のとしては、空調グループ直接選択ボタン81、82、83からの指示を受け付けて対応する発光部81a〜88aを発光させ、設定基板70に設定情報を表示する旨の指示を送信できるものであれば安価なものを選定することができる。
【0064】
これにより、空調グループ直接選択ボタン81〜88のいずれか押したユーザは、自己の行った操作がコントローラ50に受け付けられたことを、迅速に、違和感なく把握することができる。
【0065】
さらに、設定基板70においても、当該押された空調グループ直接選択ボタンに対応する空調グループの設定情報を示す画面表示を液晶表示部61に表示せる旨の指示をグループ選択基板90から受け付けると、設定メモリ72に格納されている対応する空調グループの設定情報や状態情報を読み出して表示出力を行うことができる状態になる前に、液晶表示部61に対して「グループ切換中」の表示を行うようにしている。
【0066】
これにより、空調グループ直接選択ボタン81〜88のいずれか押したユーザは、自己の行った操作がコントローラ50によって実行されている途中であることを、把握することができる。
【0067】
<5>他の実施形態
(5−1)
上記実施形態では、空調グループ内の室内制御基板同士やコントローラ50と各親機の室内制御基板とが、伝送線を介して接続されている場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、例えば、無線通信可能に構成されていてもよい。
【0068】
(5−2)
上記液晶表示部61による切換処理が進行中であることを示す表示としては、「グループ切換中」という文字情報を例に挙げて説明したが、本発明において液晶表示部61が表示する文字情報はこれに限られず、選択された空調グループの設定情報を表示するために時間を要していることをユーザに知らせることができる文字情報であれば、特に限定されない。
【0069】
(5−3)
上記実施形態では、発光部81a〜88aがLEDである場合を例に挙げて説明したが、本発明の発光部はこれに限られず、選択されたことを示すために光を発することができるものであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の空調システムのコントローラは、例えば、複数の空調グループ毎に管理を行うものとして用いた場合に特に有用である。
【符号の説明】
【0071】
50 コントローラ
61 液晶表示部
70 設定基板(処理部、第2処理基板)
71 設定CPU(第2処理基板)
72 設定メモリ
81〜88 空調グループ直接選択ボタン(空調グループ設定ボタン)
81a〜88a 発光部
90 グループ選択基板(処理部、第1処理基板)
91 グループCPU(第1処理基板)
95 通信線
100 空調システム
G1、G2、G3 空調グループ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0072】
【特許文献1】特開2008−196779号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空調グループ(G1、G2、G3)を前記空調グループ毎に管理する空調システム(100)のコントローラ(50)であって、
前記空調グループ(G1、G2、G3)毎に対応するように設けられた複数の空調グループ選択ボタン(81、82、83)と、
前記複数の空調グループ設定ボタン(81、82、83)のそれぞれに対応して発光することが可能な発光部(81a、82a、83a)と、
前記空調グループ毎の設定情報が格納されている設定メモリ(72)と、
前記設定メモリに格納されている前記設定情報を表示出力することが可能な液晶表示部(61)と、
前記空調グループ選択ボタン(81、82、83)が押されることで、当該押された空調グループ選択ボタン(81)に対応して前記発光部(81a)に発光させる処理、および、当該押された前記空調グループ選択ボタン(81)に対応する前記設定情報を前記液晶表示部(61)に表示出力させる処理を行う処理部(70、90)と、
を備えた空調システムのコントローラ。
【請求項2】
前記処理部(70、90)は、
前記空調グループ選択ボタン(81)が押されたことを把握し、当該押された空調グループ選択ボタン(81)に対応して前記発光部(81a)に発光させる処理を行う第1処理基板(90、91)と、
前記第1処理基板(90)と通信線(95)を介して接続されており、前記第1処理基板(90)からの指示を受けることによって当該押された前記空調グループ選択ボタン(81)に対応する前記設定情報を前記液晶表示部(61)に表示出力させる処理を行う第2処理基板(70、71)と、
を有している、
請求項1に記載の空調システムのコントローラ。
【請求項3】
前記第2処理基板(70、71)は、当該押された前記空調グループ選択ボタン(81)に対応する前記設定情報を前記液晶表示部(61)に表示出力できる状態になるまでの間、切換処理が進行中であることを示す所定の文字情報を前記液晶表示部(61)に表示させる処理を行う、
請求項2に記載の空調システムのコントローラ。
【請求項4】
前記設定情報を変更するために用いられる設定ボタン(62〜67)をさらに備え、
前記処理部(70、90)は、前記空調グループ選択ボタン(81、82、83)が押された時点から、当該押された前記空調グループ選択ボタン(81)に対応する前記設定情報を前記液晶表示部(61)に表示出力させる処理が終わるまでの間は、前記空調グループ選択ボタン(81、82、83)がさらに押されたことは受け付けるが、前記設定ボタン(62〜67)が押されたことは受け付けない、
請求項1から3のいずれか1項に記載の空調システムのコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−93040(P2012−93040A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241667(P2010−241667)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】