空調システムの集中制御・監視装置

【目的】集中制御・監視を安価に構築できる空調システムの集中制御・監視装置を提供すること。
【構成】通信・制御装置１１を有する１台又は複数台の空調装置１０と、１個又は複数個の遠隔制御装置とを具備する単位グループ（Ａ、Ｂ、Ｃ）を１又は複数グループ設けた空調システムにおいて、それぞれの単位グループに３個以上でも後押し優先で制御することが可能な遠隔制御装置１２を１個又は複数個接続し、更に該遠隔制御装置１２と同一構成の遠隔制御装置１２を集中管理装置として集中管理室２０に配置する。

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は空調システムの集中制御・監視装置に関するものである。
【０００２】
【従来技術】図４及び図５は従来のこの種の空調システムの集中制御・監視装置の構成例を示す図である。空調システムは通信及び制御を行なう通信・制御装置１１を具備する空調装置１０を１台又は複数台通信線３０で接続し単位グループＡ、Ｂ、Ｃとし、単位グループＡ、Ｂ、Ｃ毎に１個の遠隔制御装置１２を設けている。そして図３においては集中管理室２０のコンピュータ２２を使用して、インタフェースボード２１を介して空調装置１０のグループ編成や単位グループＡ、Ｂ、Ｃ毎の制御を行なっている。また、図４においては集中管理室２０のコンピュータ２２はグループ編成、制御・監視用として専用となっている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら図４の集中制御・監視装置においては、コンピュータ２２は一般的にパーソナルコンピュータを使用し、汎用又は専用のインタフェースボード２１を備えると共に、集中制御や監視のための専用のソフトが必要であった。又は、図５のようにコンピュータ２２がグループ編成、制御・監視用として専用となっている場合は、遠隔制御装置とは異なる使用のものを別に用意しなければ集中制御、監視ができないため、集中制御や監視を行なうためには集中制御、監視のための付加装置が非常に高価になってしまう。
【０００４】また、専用のグループ編成、制御・監視は例えばグループ編成とＯＮ／ＯＦＦ制御しか行なわないとか、監視を行なわないなどの集中制御・監視の機能を削減してコストを低減することもできるが、付加装置としてはやはり高価であり性能低下が生じるため集中制御、監視の点から不十分であった。
【０００５】本発明はこの上述の点に鑑みてなされたもので、集中制御・監視を安価に構築できる空調システムの集中制御・監視装置を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため本発明は、通信・制御装置を有する１台又は複数台の空調装置と、１個又は複数個の遠隔制御装置とを具備する単位グループを１又は複数グループ設けた空調システムにおいて、それぞれの単位グループに３個以上でも後押し優先で制御することが可能な遠隔制御装置を１個又は複数個接続し、更に該遠隔制御装置と同一構成の遠隔制御装置を集中管理装置として使用することを特徴とする。
【０００７】
【作用】本発明は上記構成を採用することにより、単位グループに３個以上でも後押し優先で制御することが可能な遠隔制御装置を１個又は複数個接続し、更に該遠隔制御装置と同一構成の遠隔制御装置を集中管理装置として使用することにより、全ての単位グループの空調装置の全機能を集中制御でき、異常時にはどのグループのどの空調装置がどんな異常の状態にあるかを集中管理できる空調システムを非常に安価に構築できる。
【０００８】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図１は空調システムの集中制御・監視装置の構成を示すブロック図である。同図において、１０は空気調和機や全熱交換機等の空調装置である。各空調装置１０には通信及び制御を行なうための通信・制御装置１１が設けられ、該通信・制御装置１１は通信線３０で接続されている。通信・制御装置１１を具備する空調装置１０の１台又は複数台（図では複数台）を単位グループＡ、Ｂ、Ｃとして、各単位グループ内の１台を親機｛空調装置（親）１０ａ｝とし、他を子機｛空調装置（子）１０ｂ｝とする。
【０００９】単位グループの空調装置（親）１０ａには１個又は複数個の遠隔制御装置１２を接続している。複数個の遠隔制御装置１２を接続した場合は、該複数個の遠隔制御装置１２が後押し優先で通信・制御装置１１を制御するように構成する。遠隔制御装置１２は通信・制御装置１１に通信し、空調装置１０の風量切り替え、ダンパの開閉、温度設定等の機能を制御する。集中管理室２０には各単位グループＡ、Ｂ、Ｃの空調装置（親）１０ａに通信線３０で接続された１個の遠隔制御装置１２が設置される。
【００１０】図２は遠隔制御装置１２の構成を示す図である。同図に示すように、遠隔制御装置１２は表示部１２−１、キー入力部１２−２、制御部１２−３、設定スイッチ（ＳＷ）１２−４、送信回路１２−５及び受信回路１２−６で構成される。各単位グループＡ、Ｂ、Ｃに設けられる遠隔制御装置１２と集中管理室２０に設けられる遠隔制御装置１２は図２に示す構成と同じ構成のものである。
【００１１】空調装置１０に異常が生じた場合はこの異常の内容を遠隔制御装置１２の表示部１２−１に表示する。また、この遠隔制御装置１２は３個以上の後押し優先で制御が可能で空調装置１０の異常は各単位グループに設けた全ての遠隔制御装置１２の表示部１２−１に表示するようにする。単位グループが複数台の空調装置１０からなる場合は異常の内容とその異常がどの空調装置１０に発生したのかがわかるように空調装置１０のアドレス番号も表示する。また、集中管理室２０に設置された各遠隔制御装置１２は、それが接続された単位グループの空調装置１０を集中管理する。
【００１２】遠隔制御装置１２は３個以上の後押し優先で制御が可能であるから、集中管理室２０に設置される集中管理用以外の２個以上の遠隔制御装置１２を空調を行なう部屋の数箇所に設けて後押し優先で運転することも可能である。
【００１３】集中管理室２０では、図３に示すように、３Ｆの客室、大浴場脱衣室、娯楽室、２Ｆの大宴会場、１Ｆの玄関ホール、喫茶室、厨房毎に設置された１台又は複数台の空調装置１０（単位グループ）に１個の遠隔制御装置１２を配置する。該集中管理室２０ではそれぞれの単位グループの遠隔制御装置１２を使用して、各単位グループ毎の空調装置１０の全機能について制御可能であり、異常が生じた場合も、どの単位グループのどの空調装置１０にどんな異常が発生したかを表示（表示部１２−１に表示）することができる。
【００１４】また、集中管理室２０に設置する遠隔制御装置１２及び各単位グループに設置する遠隔制御装置１２には、空調装置１０に標準的に使用する遠隔制御装置を使用するので、システムを非常に安価に構築することができる。
【００１５】図１に示すような構成を採用することにより、各単位グループには、例えば空調装置（親）１０ａと空調装置（子）１０ｂを合わせて最大５０台の空調装置１０の通信・制御装置１１を５００ｍの範囲に渡り通信線３０で接続して配置することが、各遠隔制御装置１２の操作により後押し優先で処理し、当該単位グループの通信・制御装置１１に指令することができる。
【００１６】
【発明の効果】以上説明したように、単位グループに３個以上でも後押し優先で制御することが可能な遠隔制御装置を１個又は複数個接続し、更に該遠隔制御装置と同一構成の遠隔制御装置を集中管理装置として使用することにより、従来のようにコンピュータや専用の集中管理装置を使用することなく、全ての単位グループの空調装置の全機能を集中制御でき、異常時にはどのグループのどの空調装置がどんな異常の状態にあるかを集中管理できる空調システムを非常に安価に構築できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の空調システムの集中制御・監視装置の構成を示すブロック図である。
【図２】遠隔制御装置の構成を示すブロック図である。
【図３】集中管理室の構成を示すブロック図である。
【図４】従来のこの種の空調システムの集中制御・監視装置の構成例を示す図である。
【図５】従来のこの種の空調システムの集中制御・監視装置の構成例を示す図である。
【符号の説明】
１０空調装置
１０ａ空調装置（親）
１０ｂ空調装置（子）
１１通信・制御装置
１２遠隔制御装置
２０集中管理室
３０通信線
１２−１表示部
１２−２キー入力部
１２−３制御部
１２−４設定スイッチ
１２−５送信回路
１２−６受信回路

【特許請求の範囲】
【請求項１】通信・制御装置を有する１台又は複数台の空調装置と、１個又は複数個の遠隔制御装置とを具備する単位グループを１又は複数グループ設けた空調システムにおいて、それぞれの前記単位グループに３個以上でも後押し優先で制御することが可能な遠隔制御装置を１個又は複数個接続し、更に該遠隔制御装置と同一構成の遠隔制御装置を集中管理装置として使用することを特徴とする空調システムの集中制御・監視装置。

【図２】