説明

空調システム及び空調制御プログラム

【課題】スケジュール管理システムが管理している個人のスケジュール情報を有効利用して空調制御を行う。
【解決手段】スケジュール管理システムから各従業員のスケジュール情報を取得するスケジュール情報取得部21と、スケジュール情報から当日の各部屋38の所定時間間隔毎の在室人数を集計する部屋別人数集計部22と、その集計結果を参照して各部屋38の在室人数の変動を見越して各部屋38が適切な室温となるよう各部屋38に設置された空調機34の動作制御に用いる空調制御情報を生成する空調制御情報保持部25と、空調制御情報を参照して各空調機34の空調制御を行う空調制御部26と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調システム及び空調制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
施設内の会議室等の室の出入口にカードリーダを設置して、施設利用者の入退室を管理するセキュリティシステム(入退室管理システム)を導入している企業は少なくない。従来では、このセキュリティシステムと連動して、各室の照明や空調の起動、停止を施設利用者の入退室に応じて制御することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−234615号公報
【特許文献2】特開平1−89854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば空調制御の場合、施設利用者の入室に応じて空調の動作を自動的に開始しても、実際の室温が設定温度になるまでには時間がかかる。また、施設内の各室の人数は、会議への参加や外出等室の移動により変動する場合があるが、この在室人数の増減を見越した適切な温度設定がなされているとは限らない。
【0005】
本発明は、スケジュール管理システムが管理している個人のスケジュール情報を有効利用して空調制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る空調システムは、スケジュール管理システムから施設の利用者のスケジュール情報を取得する取得手段と、前記スケジュール情報から施設内の室の利用状況を示す利用状況情報を生成する利用状況情報生成手段と、前記利用状況情報から特定される各室の利用状況に応じて各室に設置された空調設備の動作制御に用いる空調制御情報を生成する空調制御情報生成手段と、前記空調制御情報を参照して前記各空調設備の空調制御を行う空調制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記空調制御情報生成手段は、前記利用状況情報から特定される室の利用開始時刻より前に当該室に設置された空調設備の動作を開始させる動作開始指示情報を前記空調制御情報に含めることを特徴とする。
【0008】
また、前記空調制御情報生成手段は、前記利用状況情報から特定される在室人数の増減に応じてその在室人数が増減する時刻より前に当該室の温度を調整する温度調整指示情報を前記空調制御情報に含めることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る空調制御プログラムは、コンピュータを、スケジュール管理システムから施設の利用者のスケジュール情報を取得する取得手段、前記スケジュール情報から施設内の室の利用状況を示す利用状況情報を生成する利用状況情報生成手段、前記利用状況情報から特定される各室の利用状況に応じて各室に設置された空調設備の動作制御に用いる空調制御情報を生成する空調制御情報生成手段、前記空調制御情報を参照して前記各空調設備の空調制御を行う空調制御手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スケジュール管理システムが管理している施設の利用者のスケジュール情報を有効利用して空調制御を行うことができる。
【0011】
また、室の利用が開始される時点において適切な室温となるよう空調設備の動作を制御することができる。
【0012】
また、室内の人数の増減を見越して適切な室温となるよう空調設備の動作を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る空調システムの一実施の形態を含むシステム全体構成図及び空調管理サーバのブロック構成図である。
【図2】本実施の形態における空調管理サーバを形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。
【図3】本実施の形態における空調制御処理を示したフローチャートである。
【図4】本実施の形態においてスケジュール管理システムから取得するスケジュール情報のデータ構成例を示した図である。
【図5】本実施の形態において知的財産部の部屋における部屋別人数情報のデータ構成例を示した図である。
【図6】本実施の形態において会議室Bにおける部屋別人数情報のデータ構成例を示した図である。
【図7】本実施の形態における空調制御情報のデータ構成例を示した図であり、図5に示した部屋別人数情報に基づき生成された空調制御情報のデータ設定例を示した図である。
【図8】本実施の形態における空調制御情報のデータ構成例を示した図であり、図6に示した部屋別人数情報に基づき生成された空調制御情報のデータ設定例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る空調システムの一実施の形態を含むシステム全体構成図及び空調管理サーバのブロック構成図である。図1には、空調システム28と、スケジュール管理システム30と、がネットワーク36で接続された施設システムが示されている。空調システム28は、各室(本実施の形態における「部屋」)38に設置された空調機34、操作パネル(図示せず)及び室温センサ(図示せず)を含む空調設備と、空調設備の動作制御を行うコントローラ32と、1又は複数のコントローラ32を接続して、施設内の空調制御を行う空調管理サーバ20と、を有している。本実施の形態は、空調管理サーバ20における空調制御に特徴があるので、ハードウェア構成としては、従前からある空調システムを利用してもよい。また、ビル用マルチ空調方式やセントラル空調方式など従前からあるまた今後提供されるかもしれない種々の空調方式にも適用可能である。
【0016】
図2は、本実施の形態における空調管理サーバ20を形成するサーバコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において空調管理サーバ20を形成するサーバコンピュータは、従前から存在する汎用的なハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、図2に示したようにCPU1、ROM2、RAM3、ハードディスクドライブ(HDD)4を接続したHDDコントローラ5、入力手段として設けられたマウス6とキーボード7、及び表示装置として設けられたディスプレイ8をそれぞれ接続する入出力コントローラ9、通信手段として設けられたネットワークコントローラ10を内部バス11に接続して構成される。
【0017】
図1に戻り、スケジュール管理システム30は、施設の利用者である各従業員のスケジュール情報が保持、管理されている。
【0018】
本実施の形態における空調管理サーバ20は、スケジュール情報取得部21、部屋別人数集計部22、部屋別人数情報保持部23、空調制御情報生成部24、空調制御情報保持部25及び空調制御部26を有している。スケジュール情報取得部21は、取得手段として機能し、スケジュール管理システム30から各従業員のスケジュール情報を取得する。部屋別人数集計部22は、利用状況情報生成手段として機能し、スケジュール情報取得部21により取得されたスケジュール情報から施設内の各部屋38の利用状況を示す利用状況情報を生成する。本実施の形態では、各部屋38を利用する人数を部屋毎に集計して、時間の経過に伴う人数の変動を示す部屋別人数情報を利用状況情報として生成し、その生成した部屋別人数情報を部屋別人数情報保持部23に登録する。空調制御情報生成部24は、空調制御情報生成手段として機能し、部屋別人数情報保持部23にて保持されている部屋別人数情報を参照して、各部屋38に設置された空調機34の動作制御に用いる空調制御情報を生成して空調制御情報保持部25に登録する。コントローラ32は、対応する部屋38に設置された空調設備の動作制御を行うが、空調制御部26は、空調制御手段として機能し、空調制御情報保持部25にて保持されている空調制御情報の設定内容に従い、コントローラ32に空調設備の動作制御を指示する。
【0019】
空調管理サーバ20における各構成要素21,22,24,26は、空調管理サーバ20を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU1で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、部屋別人数情報保持部23及び空調制御情報保持部25は、RAM3又はHDD4で実現してよい。もちろん、外部の記憶手段を利用することも可能である。
【0020】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやDVD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0021】
次に、本実施の形態における空調制御処理について図3に示したフローチャートを用いて説明する。ここでは、冷房の場合を例にして説明する。
【0022】
本実施の形態においては、各空調設備の動作制御のスケジュールを就業日単位に予め設定する。従って、当日の空調制御を開始する前、例えば前日の就業終了後から当日の就業開始までの間に、これから説明する空調制御処理を定時処理として1度実行させて各空調設備の動作制御のスケジュールを作成する。空調制御部26は、この就業日毎に作成されるスケジュールに相当する空調制御情報に基づいて各コントローラ32に各空調設備の動作を制御させることになる。なお、ここでは、就業日当日の就業開始直前に空調制御処理が実施されるものとして説明する。
【0023】
まず、空調管理サーバ20におけるスケジュール情報取得部21は、就業開始直前の所定の時刻になると、スケジュール管理システム30から各従業員のスケジュール情報を取得する(ステップ110)。図4には、スケジュール管理システム30から取得するスケジュール情報のデータ構成例が示されている。スケジュール管理システム30から取得するスケジュール情報には、就業日当日のスケジュールとして、必要により開始時刻、終了時刻、その予定(内容)及びその予定が実施される場所が含まれている。必要によりというのは、例えば会議であれば、開始時刻及び終了時刻が予定として設定されているが、出社の予定は、時間に幅を持たないのである時刻だけでよいからである。本実施の形態では、時間に幅を持たない予定に関しては、開始時刻にその予定時刻を設定した。
【0024】
図4に示した知的財産部所属のユーザAのスケジュールの例では、ユーザAは、9時に出社し、そのまま部室内で仕事をし、10時から12時まで会議室Bで会議を行い、午後は14時から15時半の間に外出し、外出から戻った後は部室内で仕事をし、そして17時に退社する予定であることを示している。なお、通常は、昼休みまでスケジュールに設定しないので、本実施の形態では、昼休み(12時から13時)は離席しているものとして処理する。
【0025】
空調システムは、スケジュール管理システム30からスケジュール情報を取得することで、各従業員が施設内にいる間に所在する部屋及びその時間が特定できればよい。なお、ここでは、説明の便宜上、来客については考慮しないが、来客に関しても訪問先となる部署や接客対応者、訪問時間帯などから従業員と同様に扱うことは可能である。
【0026】
スケジュール情報取得部21が全従業員のスケジュール情報を取得すると、部屋別人数集計部22は、従業員の在室人数を施設内の部屋毎に集計することで、各部屋の部屋別人数情報を生成する(ステップ120)。
【0027】
図5は、知的財産部員の座席がある部屋38における部屋別人数情報のデータ構成例を示した図である。図5には、10分という時間間隔で当該時刻において当該部屋38に所在している人数が集計されて生成された部屋別人数情報の例が示されている。図5に示した部屋別人数情報のデータ設定例は、9時に3人の部員が出社し、9時30分に2人の部員が出社することで計5人が在室することがわかる。また、10時から12時の間は2人の部員が離席して在室人数は3人となり、昼休みには1人のみとなり、昼休み終了時点の13時には5人となり、14時から15時30分の間は4人となり、17時に5人とも退社することを示している。
【0028】
図6は、会議室Bにおける部屋別人数情報のデータ構成例を示した図である。図6には、図5と同様に、10分という時間間隔で当該時刻において当該会議室に所在している人数が集計されて生成された部屋別人数情報の例が示されている。図6に示した部屋別人数情報のデータ設定例は、10時から11時30分の間は6人で、11時30分から12時の間は8人で会議が開催される予定であることを示している。また、15時から15時30分の間は4人で会議が開催される予定であることを示している。本実施の形態では、10時から12時までの間で1つの会議において11時30分から2人が途中から参加するのか、あるいは2つの会議が連続して実施されるのかの別は問わない。
【0029】
部屋別人数集計部22は、以上のようにスケジュール情報に基づき部屋別人数情報を部屋毎に生成すると、生成した部屋別人数情報を部屋別人数情報保持部23に登録する。
【0030】
部屋別人数情報が生成されると、続いて、空調制御情報生成部24は、部屋別人数情報保持部23に登録された部屋別人数情報を参照して、空調制御情報を部屋毎に次のようにして生成する(ステップ130)。
【0031】
図7及び図8は、本実施の形態における空調制御情報のデータ構成例を示した図であり、図7は、図5に例示した知的財産部室における部屋別人数情報のデータ設定例に対応して生成される空調制御情報であり、図8は、図6に例示した会議室Bにおける部屋別人数情報のデータ設定例に対応して生成される空調制御情報である。本実施の形態における空調制御情報には、当該就業日において温度を設定する「時刻」及びその設定する「温度」、更に空調設備の動作の開始/終了の指示を示す「スイッチ」の各データ項目が対応付けされている。
【0032】
まず、図5に例示した知的財産部室における部屋別人数情報を参照すると、9時になってはじめて3人の部員が出社してくることがわかる。従って、空調制御情報生成部24は、9時には適切な室温である27度となるよう、「時刻」に“8:50”を、温度に“27”をそれぞれ設定する。更に、知的財産部室の空調機34の動作を開始させるために「スイッチ」の項目に“ON”を設定して空調制御情報を生成する。続いて、9時30分には人数が2人増えて5人の部員が在室することになるので、9時30分には在室人数5人に対して適切な設定温度を考えられ、9時の設定温度に比して低い温度、すなわち図7に示した設定例では26度となるように「時刻」に“9:25”を、温度に“26”をそれぞれ設定して空調制御情報を生成する。また、10時30分は人数が減少して3人の部員が在室することになるので、10時には在室人数3人に対して適切な設定温度を考えられ、9時30分の設定温度に比して高い温度、すなわち図7に示した設定例では27度となるように「時刻」に“9:55”を、温度に“27”をそれぞれ設定して空調制御情報を生成する。人数が変動する12時、14時、15時半にも、上記の同様にして各時刻において適切な室温となるように温度及び時刻を設定して空調制御情報を生成する。なお、17時における設定については後述する。
【0033】
空調制御情報生成部24は、会議室Bに対しても上記と同様にして空調制御情報を生成する。なお、図8には、「スイッチ」の項目に“OFF”が設定された空調制御情報の例が示されているが、これについては追って説明する。以上のようにして部屋毎に空調制御情報を生成すると、各空調制御情報を空調制御情報保持部25に登録する。
【0034】
以上説明したように、空調制御情報生成部24は、空室の部屋38に従業員が入室してくる場合には、停止状態の空調機34の動作を、入室してくる時刻より前に開始させるよう空調制御情報を生成する。また、在室する人数が増加する場合には、冷房効果を高めるために現在の設定温度に比して低い温度に設定温度を変更し、他方、在室する人数が減少する場合には、冷房効果を抑えるために現在の設定温度に比して高い温度に設定温度を変更する。そして、このような在室人数の変動に伴う設定温度の変更は、在室人数が変動する時刻より前に行う。本実施の形態では、スケジュール情報から導出される各部屋の人数の変動を見越して、室温の設定を事前に調整する。
【0035】
以上のようにして空調制御情報が生成されると、空調制御部26は、空調制御情報の設定内容に従って、各部屋38の空調制御を行う(ステップ140)。例えば、図8に示された設定例に従うと、空調制御情報保持部25には、「スイッチ」に項目値“ON”が設定されていることから動作開始指示情報として設定されている空調制御情報が登録されているが、空調制御部26は、この空調制御情報の設定内容に従い、温度を27度に設定して、会議室Bの空調設備の動作を8時50分に開始するよう、対応するコントローラ32に指示を出す。なお、空調制御部26からコントローラ32に対する指示は、8時50分に行ってもよいし、8時50分により前に指示してもよい。8時50分により前に指示した場合、コントローラ32は、8時50分まで待ってから空調設備の動作を開始させる。コントローラ32は、空調制御部26からの指示に従い、8時50分に空調機34のスイッチをオンにして冷風を送出させる。これにより、会議室Bは、9時には室温が適切な温度の27度になる。換言すると、9時には室温が27度となる時刻と推定される8時50分に、空調機34のスイッチをオンにする。
【0036】
ところで、本実施の形態では、9時には室温が27度となる時刻として8時50分とした。これは、停止中の空調機34を作動させて室温が設定温度になるために要する時間として、予め10分と設定してもよい。あるいは、部屋の広さや空調機34の能力に関する情報を図示しない記憶手段から取得し、また現在の室温を部屋38に設置された室温センサ(図示せず)から取得し、少なくともこれらのデータのうち1つのデータをもとに9時に室温を27度とするためには、9時の何分前に空調機34のスイッチをオンにすればよいのか算出するようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態においては、以上のように空調制御することで、会議室Bの利用が開始される9時には、適切な室温となっていることから、会議参加者は、入室したときから快適な室温の中で会議を開始することができる。前述した知的財産部の室内においても、9時には出社してくる人数に適した室温となっているので、最初に出社してきた部員は、入室したときから快適な室温の中で仕事を開始することができる。
【0038】
また、図6に示した部屋別人数情報の設定例によると、11時30分には、会議室内の人数が6人から8人に増加するので、11時30分には8人にとって快適な室温と推定できる26度となるよう、空調制御部26は、空調制御を行う。すなわち、図8に示した設定例によると、空調制御情報保持部25には、時刻“11:25”と設定された空調制御情報のように、「スイッチ」に項目値が設定されいないことから温度調整指示情報として設定されている空調制御情報が登録されているが、空調制御部26は、この空調制御情報の設定内容に従って、11時25分に26度の設定温度で空調機34を動作させるようコントローラ32を制御する。この5分前というのは、前述したように11時30分に室温が26度となるために要する時間と推定された時間である。
【0039】
ところで、図8に示した設定例によると、空調制御情報保持部25には、「スイッチ」に項目値“OFF”が設定されいることから動作終了指示情報として設定されている空調制御情報が登録されている。空調制御部26は、この空調制御情報の設定内容に従い、会議室Bの空調機34を15時30分に停止させるよう制御する。一般に、会議の終了時には、会議参加者が会議室Bに設置された操作パネルを操作して、空調機34の動作を停止させる。また、会議も時間通りに終了するとは限らない。従って、10時から12時の会議のときのように、「スイッチ」に“OFF”を設定した空調制御情報を設定しておく必要はないと考えられる。もちろん、会議終了時刻になって空調機34を自動的に停止させるように運用してもよい。また、会議終了予定時刻若しくは会議終了予定時刻から所定の時間経過後に空調機34を自動的に停止させて消し忘れを防ぐようにしてもよい。図7に示した知的財産部室に対する設定例においては、最終退出者が空調のスイッチを必ずオフにして帰社することを想定して、動作終了指示情報に相当する空調制御情報を設定していない。
【0040】
本実施の形態によれば、以上のようにスケジュール管理システムから取得した各従業員のスケジュール情報から、各就業日における各部屋38の在室人数を所定時間間隔毎に推定し、そしてその推定した在室人数から各部屋38の在室人数の変動を見越して各部屋38の温度設定を事前に行うようにしたので、従業員が出社してきたときや、会議室において会議が始まるときにはすでに室内を適切な室温とすることができる。また、在室人数が変動する際にも、その人数の増減を見越した空調制御を事前に行うようにしたので、在室人数が変更したときにはすでに変更後の在室人数に適した室温とすることができる。
【0041】
なお、会議室に限定すれば、会議室予約システムから会議室の利用時間や参加人数を取得して、上記と同様の会議室の空調制御を行うことは可能であるかもしれない。ただ、各所属部署の室の空調制御や各部屋38からの退出を考慮すると、スケジュール管理システムから従業員のスケジュール情報を取得するのが好適である。また、会議室予約システムが管理する情報では、1つの会議における参加人数の増減に対応することは困難であると考えられる。
【0042】
本実施の形態では、スケジュール管理システムからスケジュール情報を取得するので、上記のように在室人数の変動に応じた細かな温度設定が可能になる。本実施の形態における空調制御処理は、週単位など複数の就業日の空調制御情報をまとめて生成することも可能であるが、在室人数の推定精度を考慮すると、スケジュール情報を取得し、空調制御情報を生成する処理(ステップ110〜130)は、就業日の早朝など極力直前に実施するのが好適である。なお、スケジュール管理システムが管理するスケジュール情報は、仮に当日だとしてもあくまで予定である。従って、各部屋の在室人数に関しては、セキュリティシステムと連動させて、現時点における各部屋の在室人数をセキュリティシステムから取得して、スケジュール情報から生成した部屋別人数情報を修正して、より精度の高い空調制御情報を生成するようにしてもよい。
【0043】
なお、本実施の形態においては、在室人数を集計する所定時間間隔は、10分としたが、これに限る必要はなく、より短い時間間隔としてより緻密な空調制御を実現するようにしてもよい。また、本実施の形態では、部屋別人数情報を生成する際に、9時、9時10分などのように10分間隔の時刻の、その時点における在室人数を集計により求めたが、ある時間帯(10分間)の平均人数を当該時間帯の在室人数として求めてもよい。
【0044】
また、本実施の形態においては、適切な室温あるいは快適な室温というのを在室人数に基づき設定している。しかしながら、在室人数という指標のみならず、例えば天候や従業員の年齢、性別等の個人情報を取得し、これらの情報をも指標として参照して室温を設定するようにしてもよい。また、室温の他、湿度や風量、風向、二酸化炭素濃度などの設定により、快適な室環境を制御するようにしてもよい。
【0045】
また、本実施の形態では、部屋別人数集計部22がスケジュール管理システム30から取得したスケジュール情報を参照して各部屋38の所定時間間隔毎の在室人数を集計したが、スケジュール管理システム30に部屋別人数集計部22の機能を持たせて、この集計結果をスケジュール管理システム30から取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 CPU、2 ROM、3 RAM、4 ハードディスクドライブ(HDD)、5 HDDコントローラ、6 マウス、7 キーボード、8 ディスプレイ、9 入出力コントローラ、10 ネットワークコントローラ、11 内部バス、20 空調管理サーバ、21 スケジュール情報取得部、22 部屋別人数集計部、23 部屋別人数情報保持部、24 空調制御情報生成部、25 空調制御情報保持部、26 空調制御部、28 空調システム、30 スケジュール管理システム、32 コントローラ、34 空調機、36 ネットワーク、38 部屋。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケジュール管理システムから施設の利用者のスケジュール情報を取得する取得手段と、
前記スケジュール情報から施設内の室の利用状況を示す利用状況情報を生成する利用状況情報生成手段と、
前記利用状況情報から特定される各室の利用状況に応じて各室に設置された空調設備の動作制御に用いる空調制御情報を生成する空調制御情報生成手段と、
前記空調制御情報を参照して前記各空調設備の空調制御を行う空調制御手段と、
を有することを特徴とする空調システム。
【請求項2】
前記空調制御情報生成手段は、前記利用状況情報から特定される室の利用開始時刻より前に当該室に設置された空調設備の動作を開始させる動作開始指示情報を前記空調制御情報に含めることを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項3】
前記空調制御情報生成手段は、前記利用状況情報から特定される在室人数の増減に応じてその在室人数が増減する時刻より前に当該室の温度を調整する温度調整指示情報を前記空調制御情報に含めることを特徴とする請求項1記載の空調システム。
【請求項4】
コンピュータを、
スケジュール管理システムから施設の利用者のスケジュール情報を取得する取得手段、
前記スケジュール情報から施設内の室の利用状況を示す利用状況情報を生成する利用状況情報生成手段、
前記利用状況情報から特定される各室の利用状況に応じて各室に設置された空調設備の動作制御に用いる空調制御情報を生成する空調制御情報生成手段、
前記空調制御情報を参照して前記各空調設備の空調制御を行う空調制御手段、
として機能させるための空調制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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