説明

空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置

【課題】 高い精度で予測された輻射温度値を用いて、空調制御対象の室内にいる在室者の予測温熱感指標を出力する空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置を提供する。
【解決手段】 予め空調制御対象の室内の窓部の様々な状況のときに当該窓部を撮影した画像情報から得られた所定方向についての輝度ヒストグラムデータであるテンプレートデータと、各テンプレートデータから推定される予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する輻射温度DB記憶部21と、前記窓部を撮影した画像情報から、この画像情報の所定方向についての輝度ヒストグラムデータを生成する画像特徴量検出部13と、この輝度ヒストグラムデータと類似度が高いテンプレートデータを検出し、対応する予測輻射温度値を出力する輻射温度出力部22と、出力された予測輻射温度値を利用して、当該室内の在室者の予測PMVを算出するPMV算出部30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の室内空間にいる在室者の温熱感指標値を提供する空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の室内空間においては、空調制御により適正な室内環境をできる限り少ないエネルギー消費により確保することが求められている。適正な室内温熱環境を確保するに当たって、人間の感じる暑さ、寒さの温熱感覚を考慮することが重要である。
【0003】
この温熱感覚は、人間の発熱量(対流による放射量、輻射による放熱量、人からの蒸発熱量、呼吸による放熱量および蓄熱量の合計)の熱平衡が保たれている場合には人体が熱的に中立の状態にあり、暑くも寒くもない快適な状態であるといえる。逆に、熱平衡がくずれた場合には人体が暑さや寒さを感じる。
【0004】
そこで、特許文献1では、熱平衡式に基づく人間の温熱感覚指標として、PMV(Predicted Mean Vote:予測平均申告)を用い、空調制御の最適化を図っている。このPMVの算出には、温熱感覚に影響を与える変数として、空気温度値、相対湿度値、平均輻射温度値、気流速度値、活動状態(人体の内部発熱量)値、着衣状態値の6つが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3049266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この6つの入力変数のうち、精度よく計測が可能なものは、空気温度値、相対湿度値、気流速度値である。活動状態値や着衣量値は直接計測することが困難なため、通常は設定値が用いられるが、部屋の用途や季節によりある程度予測することが可能である。
【0007】
一方、平均輻射温度値は、(1)固定された設定値、(2)季節や時間による太陽の高さや窓や建物の構造等、天気予報等の事前データから算出される値、または(3)壁の一箇所に設置された輻射温度計の値、等が用いられるが、実際には外光の入射状況の影響で時々刻々と大きく変動するため正確な値をリアルタイムで計測することが困難である。そこで、輻射温度値を精度よく、リアルタイムに計測することが望まれている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、高い精度で予測された輻射温度値を用いて、空調制御対象の室内にいる在室者の予測温熱感指標を出力する空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の空調制御装置は、予め、空調制御対象の室内の窓部に設置された外光の入射状況を調整する設備が様々な調整状況のときに当該窓部を撮影した複数の画像情報から得られた画像特徴量と、これらの画像情報の画像特徴量からそれぞれ推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する輻射温度DB記憶部と、前記空調制御対象の室内の窓部を撮影した画像情報から、画像特徴量を検出する画像特徴量検出部と、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と前記輻射温度DB記憶部に記憶された複数の画像情報の画像特徴量とを比較し、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と類似度が高い画像特徴量を前記輻射温度DBから検出し、検出した画像特徴量に対応する予測輻射温度値を取得して出力する輻射温度出力部と、前記輻射温度出力部から出力された予測輻射温度値を利用して、当該室内の在室者の予測温熱感指標を算出する温熱感指標算出部とを備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の空調制御方法は、予め、空調制御対象の室内の窓部に設置された外光の入射状況を調整する設備が様々な調整状況のときに当該窓部を撮影した複数の画像情報から得られた画像特徴量と、これらの画像情報の画像特徴量からそれぞれ推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する輻射温度DB記憶ステップと、前記空調制御対象の室内の窓部を撮影した画像情報から、画像特徴量を検出する画像特徴量検出ステップと、前記画像特徴量検出ステップで検出された画像特徴量と前記輻射温度DB記憶部に記憶された複数の画像情報の画像特徴量とを比較し、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と類似度が高い画像特徴量を前記輻射温度DBから検出し、検出した画像特徴量に対応する予測輻射温度値を取得して出力する輻射温度出力ステップと、前記輻射温度出力ステップで出力された予測輻射温度値を利用して、当該室内の在室者の予測温熱感指標を算出する温熱感指標算出ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
更に、本発明の輻射温度計測装置は、予め、空調制御対象の室内の窓部に設置された外光の入射状況を調整する設備が様々な調整状況のときに当該窓部を撮影した複数の画像情報から得られた画像特徴量と、これらの画像情報の画像特徴量からそれぞれ推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する輻射温度DB記憶部と、前記空調制御対象の室内の窓部を撮影した画像情報から、画像特徴量を検出する画像特徴量検出部と、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と前記輻射温度DB記憶部に記憶された複数の画像情報の画像特徴量とを比較し、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と類似度が高い画像特徴量を前記輻射温度DBから検出し、検出した画像特徴量に対応する予測輻射温度値を取得して出力する輻射温度出力部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空調制御装置、空調制御方法及び輻射温度計測装置によれば、高い精度で予測された輻射温度値を用いて、空調制御対象の室内にいる在室者の温熱感指標を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による空調制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態による空調制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態による空調制御装置の処理対象の室内の窓部に設置された横スラットのブラインドの一例を示す外観図である。
【図4】本発明の一実施形態による空調制御装置の画像特徴量検出部において生成された輝度ヒストグラムの例を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態による空調制御装置の処理対象の室内の窓部に設置された横スラットのブラインドのスラット角度の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態による空調制御装置1では、空調制御対象の室内の窓部に、外光の入射状況を調整する設備として、横スラットのブラインドが設置されている場合について説明する。
【0015】
〈一実施形態による空調制御装置の構成〉
本発明の一実施形態による空調制御装置1の構成について、図1を参照して説明する。
【0016】
空調制御装置1は、空調制御対象の室内の窓部付近を撮影する画角に設置されたカメラ装置2に接続され、画像情報処理部10と、輻射温度処理部20と、温熱感指標算出部としてのPMV算出部30と、制御値演算部40とを有する。
【0017】
画像情報処理部10は、エリア抽出部11と、遮蔽物除去部12と、画像特徴量検出部13とを有する。
【0018】
エリア抽出部11は、カメラ装置2で撮影された画像情報を取得し、この画像情報の中から外光の入射状況を検出する処理対象として窓部エリアの画像情報のみを抽出する。
【0019】
遮蔽物除去部12は、エリア抽出部11で抽出された窓部エリアの画像情報の中に、外光の入射状況を検出する処理対象外とする遮蔽物(例えば、移動体である人や、静止物である植木など)が存在するときにはこれらの画像情報部分を検出し、処理対象の画像情報から除去する。
【0020】
画像特徴量検出部13は、遮蔽物除去部12で遮蔽物の画像情報部分が除去された処理対象の画像情報からこの画像情報の特徴量を検出するための情報として、所定方向についての画素の輝度ヒストグラムデータを生成する。
【0021】
輻射温度処理部20は、輻射温度DB記憶部21と、輻射温度出力部22とを有する。
【0022】
輻射温度DB記憶部21は、予め当該窓部に設置された横スラットのブラインドのスラット角度や日光の照射角度の変化に応じて変わる様々な外光の入射状況のときに当該窓部を撮影した画像情報から生成した、所定方向についての輝度ヒストグラムデータである複数のテンプレートデータと、これらの各テンプレートデータから推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する。
【0023】
輻射温度出力部22は、画像特徴量検出部13で生成された輝度ヒストグラムデータと輻射温度DB記憶部21に記憶された複数のテンプレートデータとを比較し、画像特徴量検出部13で生成された輝度ヒストグラムデータと類似度が高いテンプレートデータを検出し、このテンプレートデータに対応する予測輻射温度値を取得して出力する。
【0024】
PMV算出部30は、輻射温度出力部22から出力された予測輻射温度値と、入力された室内の空気温度値と、相対湿度値と、気流速度値と、活動状態値と、着衣状態値とから、在室者の予測PMVを算出する。
【0025】
制御値演算部40は、PMV算出部30で算出された予測PMVと設定PMV値(例えば、快適範囲−0.5〜+0.5)に基づいて、空調設備の制御値を算出し、この制御値に基づき空調設備を制御する。
【0026】
〈一実施形態による空調制御装置の動作〉
次に、本実施形態による空調制御装置1の動作について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0027】
まず、空調制御対象の室内に設置されたカメラ装置2により当該室内の窓部を含む付近が撮影され、撮影された画像情報が空調制御装置1の画像情報処理部10のエリア抽出部11で取得される(S1)。
【0028】
ここで当該画像情報は、可視カメラ画像情報、近赤外線カメラ画像情報、赤外カメラ画像情報など、いずれの画像情報でもよい。また、当該画像情報のフォーマットとしては、NTSC、MPEG2、MPEG4、MotionJPEG、Bitmap、GPEG、またはRAWなどが用いられるまた、伝送手段は無線でも有線でもよい。
【0029】
エリア抽出部11では、さらに取得された画像情報の中から外光の入射状況を検出する処理対象として窓部エリアの画像情報のみが抽出される(S2)。
【0030】
次に遮蔽物除去部12において、エリア抽出部11で抽出された窓部エリアの画像情報の中に、外光の入射状況を検出する処理対象外とする遮蔽物(例えば、移動体である人や、静止物である植木など)が存在するときにはこれらの画像情報部分が検出され、処理対象の画像情報から除去される(S3)。
【0031】
この遮蔽物としては、現在の画像情報Tと過去の画像情報T-1との差分をとることにより検出される移動体や、当該窓部エリアに存在する静止物として予め保持された画像情報と合致する部分が検索されることにより検出される静止物などがある。
【0032】
次に画像特徴量検出部13において、遮蔽物除去部12で遮蔽物の画像情報部分が除去された処理対象の画像情報から、この画像情報の特徴量を検出するための情報として所定方向についての輝度ヒストグラムデータが生成される(S4)。
【0033】
この輝度ヒトグラムデータは、本実施形態においては、窓辺に設置された横スラットのブラインドのスラット角度や日光の照射角度の変化に応じて変わる外光の入射状況を効率良く検出できるように、画像情報の縦方向について生成される。
【0034】
図3に示すような横スラットのブラインドが設置された窓部を撮影した画像情報の、縦方向についての輝度ヒストグラムデータの一例を、図4(a)〜(e)に示す。図3は、エリア抽出部11において窓部エリアが抽出された画像情報であり、この画像情報について遮蔽物除去部12においては遮蔽物は検出されなかったものとする。
【0035】
図4(a)はブラインドのスラット角度が0度(全開)の状態の輝度ヒストグラムデータであり、図4(b)はブラインドのスラット角度が45度の状態の輝度ヒストグラムデータであり、図4(c)はブラインドのスラット角度が90度(全閉)の状態の輝度ヒストグラムデータであり、図4(d)はブラインドのスラット角度が135度の状態の輝度ヒストグラムデータであり、図4(e)はブラインドのスラット角度が180度(全開)の状態の輝度ヒストグラムデータである。これらのヒストグラムデータには、グラフの左から右に向かって低輝度→高輝度の画素数の分布が示されている。図5は、ブラインドの横スラットが0度、45度、90度、135度、180度に設定されたときの当該スラットを真横から見た状態を示す図である。
【0036】
この図4(a)〜(e)から、スラット角度が90度もしくは135度のときが、輝度値が高い画素の頻度が高いことが分かる。
【0037】
このように、スラット角度および日光の照射角度により輝度ヒストグラムの特性が異なり、輝度ヒストグラム特性の違いが外光の入射状況の違いに対応する。
【0038】
生成された輝度ヒストグラムデータは、有線または無線により輻射温度処理部20に伝送され、輻射温度出力部22において画像特徴量検出部13で生成された輝度ヒストグラムデータと輻射温度DB記憶部21に記憶された複数のテンプレートデータとが比較され、画像特徴量検出部13で生成された輝度ヒストグラムデータと類似度が高いテンプレートデータが検出される(S5)。
【0039】
画像特徴量検出部13で生成された輝度ヒストグラムデータと輻射温度DB記憶部21に記憶された複数のテンプレートデータとの比較は、例えばヒストグラムインタセクションの値を比較することで実行される。
【0040】
ヒストグラムインタセクションの値の算出について説明する。あるテンプレートデータAの輝度値i(=0〜255)における総画素数をai、画像特徴量検出部13で生成された輝度ヒストグラムデータBの輝度値iにおける総画素数をbi、輝度階調数をN(通常は255)とすると、ヒストグラムインタセクションDは下記式(1)により算出される。
【0041】
〔数1〕

上記式(1)で得られたヒストグラムインタセクションDの値が大きければ、テンプレートデータA と生成された輝度ヒストグラムデータBとの類似度が高いといえる。したがって、画像特徴量検出部13で生成された輝度ヒストグラムデータBと、輻射温度DBに格納されている全てのテンプレートデータとの総当りのD値を求め、この中で最もD値が高いテンプレートデータが、最も類似度が高いテンプレートデータとして検出される。
【0042】
最も類似度が高いテンプレートデータが検出されると、輻射温度出力部22においてさらに、検出されたテンプレートデータに対応する予測輻射温度値が輻射温度DBから取得されて出力される(S6)。
【0043】
そしてPMV算出部30において、輻射温度出力部22から出力された予測輻射温度値と、センサの計測値等に基づいて入力された室内の空気温度値と、相対湿度値と、気流速度値と、活動状態値と、着衣状態値とから、在室者の予測PMVが算出される(S7)。
【0044】
さらに制御値演算部40において、ステップS7で算出された予測PMVと予め設定された設定PMVに基づいて、空調設備の制御値が算出され、この制御値に基づいて空調設備が制御される。
【0045】
以上の本実施形態によれば、横スラットのブラインドが設置された窓部を監視する画角に設置されたカメラ装置で撮影された画像から縦方向の輝度ヒストグラムデータにより外光の入射状況を検出し、これを基に輻射温度値を予測することで、この輻射温度値を用いた精度の高い温熱感指標を出力することができ、より細やかで快適な空調制御が実現できる。
【0046】
本実施形態においては、横スラットのブラインドのスラット角度や日光の照射角度の変化に基づいて作成した画像情報の縦方向の輝度ヒストグラムデータから予測輻射温度値を算出する場合について説明したが、さらにこの横スラットのブラインド全体の縦方向における昇降状態も考慮し、予測輻射温度値を算出するようにしてもよい。
【0047】
この場合、画像特徴量検出部13において画像情報からブラインド部分をエッジ解析で検出することによりブラインドの昇降状態を認識することができ、この昇降状態に応じて横ブラインドがかかっている窓部分のみについて、上述したようなブラインドのスラット角度や日光の照射角度の変化を考慮した輻射温度値を算出するようにしてもよい。これにより、さらに高い精度で輻射温度値を算出することができる。
【0048】
また本実施形態においては、外光の入射状況を調整する設備として窓部に横スラットのブラインドが設置された場合について説明したが、これには限定されず、縦スラットのブラインド、カーテン、雨戸・シャッター等が設置されている場合についても適用することができる。
【0049】
例えば、窓部に縦スラットのブラインドが設置された場合には、輻射温度DB記憶部21において、スラット角度や日光の照射角度の変化に応じて変わる外光の入射状況を効率良く検出できるように画像情報の横方向について輝度ヒストグラムデータを生成し、輻射温度出力部22において上述した実施形態と同様の処理を行うことにより、予測輻射温度値を検出することができる。
【0050】
また、窓部にカーテン、雨戸・シャッター等が設置された場合には、輻射温度DB記憶部21に当該カーテン、雨戸・シャッター等の開閉状態から推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値を格納した輻射温度DBを記憶しておき、画像特徴量検出部13において画像情報からテクスチャ解析や輝度の解析により画像特徴量を検出することによりこれらの開閉状態を検出し、輻射温度出力部22において、検出された開閉状態(画像特徴量)に対応する輻射温度値を予測輻射温度値として検出するようにしてもよい。
【0051】
また本実施形態においては、カメラ装置2で撮影される窓部が1箇所の場合について説明したが、カメラ装置2により複数の窓部が巡回して撮影されるように設定することで複数の窓部の画像情報を取得してそれぞれの外光の入射状況を検出し、これらに基づいて当該部屋の輻射温度値を算出するようにしてもよい。この場合、カメラ装置2にパン、チルト、ズーム機能を持たせ、撮影対象の窓部を任意のタイミングで巡回撮影するようにカメラ装置2を旋回させたり撮影画像を拡大・縮小させたりするように撮影動作を制御することにより、複数の窓部の画像情報を取得することができる。
【0052】
また本実施形態の空調制御装置1に、輝度ヒストグラムデータと輻射温度値との対応関係を学習する機能をさらに設け、この学習機能により得られた情報により輻射温度DB記憶部21に記憶させる輻射温度DBを生成するようにしてもよい。
【0053】
また本実施形態の空調制御装置1に、PMV算出部30から算出されたPMVの値が、予め設定された快適範囲(例えば−0.5〜+0.5)の範囲内であるか否かを判定するPMV判定部をさらに設け、このPMV判定部において算出されたPMVの値が設定された快適範囲から外れていると判定されたときには、PMVの値が設定された快適範囲に近付く輻射温度となるように外光の入射状況を調整する設備の操作を促すガイダンスを表示や音によって行ってもよい。これにより、外光の入射状況を調整する設備の操作が適切に行われ輻射温度が変化することで、PMVの値が快適範囲に近付くことになり、例えば空調設備の温度変化量が小さくなり空調設備の負荷が低減され省エネルギー化を実現することができる。
【0054】
また、外光の入射量等は季節や月ごとに異なるため、本実施形態における空調制御装置1の輻射温度DB記憶部21に記憶させる輻射温度DBを、季節別または月別等に生成するようにしてもよい。これにより、さらに高い精度で輻射温度値を算出することができる。
【符号の説明】
【0055】
1…空調制御装置
2…カメラ装置
10…画像情報処理部
11…エリア抽出部
12…遮蔽物除去部
13…画像特徴量検出部
20…輻射温度処理部
21…輻射温度DB記憶部
22…輻射温度出力部
30…PMV算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め、空調制御対象の室内の窓部に設置された外光の入射状況を調整する設備が様々な調整状況のときに当該窓部を撮影した複数の画像情報から得られた画像特徴量と、これらの画像情報の画像特徴量からそれぞれ推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する輻射温度DB記憶部と、
前記空調制御対象の室内の窓部を撮影した画像情報から、画像特徴量を検出する画像特徴量検出部と、
前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と前記輻射温度DB記憶部に記憶された複数の画像情報の画像特徴量とを比較し、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と類似度が高い画像特徴量を前記輻射温度DBから検出し、検出した画像特徴量に対応する予測輻射温度値を取得して出力する輻射温度出力部と、
前記輻射温度出力部から出力された予測輻射温度値を利用して、当該室内の在室者の予測温熱感指標を算出する温熱感指標算出部と、
を備えることを特徴とする空調制御装置。
【請求項2】
前記外光の入射状況を調整する設備は、横スラットのブラインド、縦スラットのブラインド、カーテン、雨戸、またはシャッターであることを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項3】
前記空調制御対象の室内の窓部を撮影した画像情報から、処理対象外とする遮蔽物の画像情報部分を除去する遮蔽物除去部をさらに有し、
前記画像特徴量検出部は、前記空調制御対象の室内の窓部を撮影し前記遮蔽物除去部で遮蔽物の画像情報部分が除去された画像情報から、画像特徴量を検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の空調制御装置。
【請求項4】
前記外光の入射状況を調整する設備はブラインドであり、
前記輻射温度DB記憶部に記憶される輻射温度DBは、所定方向についての画像特徴量としての輝度ヒストグラムデータである複数のテンプレートデータと、これらの各テンプレートデータから推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを記憶し、
前記画像特徴量検出部は、この画像情報の所定方向についての輝度ヒストグラムデータを生成することで画像特徴量を検出し、
前記輻射温度出力部は、前記画像特徴量検出部で生成された輝度ヒストグラムデータと類似度が高いテンプレートデータを前記輻射温度DBから検出し、検出したテンプレートデータに対応する予測輻射温度値を取得して出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の空調制御装置。
【請求項5】
前記輻射温度出力部は、前記画像特徴量検出部で生成された輝度ヒストグラムデータと類似度が高いテンプレートデータを、ヒストグラムインタセクションの値に基づいて検出する
ことを特徴とする請求項4に記載の空調制御装置。
【請求項6】
温熱感指標算出部で算出された予測温熱感指標が予め設定された快適範囲外のときに、前記外光の入射状況を調整する設備の操作を促すガイダンスを出力するガイダンス部
を備えることを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の空調制御装置。
【請求項7】
空調制御装置が、予め、空調制御対象の室内の窓部に設置された外光の入射状況を調整する設備が様々な調整状況のときに当該窓部を撮影した複数の画像情報から得られた画像特徴量と、これらの画像情報の画像特徴量からそれぞれ推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する輻射温度DB記憶ステップと、
前記空調制御対象の室内の窓部を撮影した画像情報から、画像特徴量を検出する画像特徴量検出ステップと、
前記画像特徴量検出ステップで検出された画像特徴量と前記輻射温度DB記憶部に記憶された複数の画像情報の画像特徴量とを比較し、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と類似度が高い画像特徴量を前記輻射温度DBから検出し、検出した画像特徴量に対応する予測輻射温度値を取得して出力する輻射温度出力ステップと、
前記輻射温度出力ステップで出力された予測輻射温度値を利用して、当該室内の在室者の予測温熱感指標を算出する温熱感指標算出ステップと、
を有することを特徴とする空調制御方法。
【請求項8】
予め、空調制御対象の室内の窓部に設置された外光の入射状況を調整する設備が様々な調整状況のときに当該窓部を撮影した複数の画像情報から得られた画像特徴量と、これらの画像情報の画像特徴量からそれぞれ推定される外光の入射量に対応する予測輻射温度値とを格納した輻射温度DBを記憶する輻射温度DB記憶部と、
前記空調制御対象の室内の窓部を撮影した画像情報から、画像特徴量を検出する画像特徴量検出部と、
前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と前記輻射温度DB記憶部に記憶された複数の画像情報の画像特徴量とを比較し、前記画像特徴量検出部で検出された画像特徴量と類似度が高い画像特徴量を前記輻射温度DBから検出し、検出した画像特徴量に対応する予測輻射温度値を取得して出力する輻射温度出力部と、
を備えることを特徴とする輻射温度計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−122802(P2011−122802A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283027(P2009−283027)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】