説明

空調用レジスタ

【課題】部品点数の増加を招くことなく、空気出口から吹き出す空調用空気の指向性を向上させる。
【解決手段】リテーナ10内の空気出口20に接近した箇所に、2枚以上の長フィン31,32を有するバレル30を傾動可能に支持した空調用レジスタにおいて、バレル30が、各長フィン31,32を、空気出口20の長辺Yを含む各第2壁部22に対し平行にしてなる中立状態にされたとき、空気出口20内に位置する長フィン31のうち長辺Yに最も近いものを主長フィンとする。そして、両第2壁部22には、空気出口20の内側へ膨出し、かつバレル30が可動範囲の最大傾斜位置まで傾動させられたとき、傾動方向前側の主長フィン31の下流端に近接する膨出部23をそれぞれ設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置から送られてきて室内に吹き出される空調用空気の向きを調整等する空調用レジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメントパネル等においては、空調装置から送られてくる空調用空気(温風や冷風)の吹出し口に空調用レジスタが設けられる。この空調用レジスタは、内部空間を通風路とし、かつ正方形状の空気出口を下流端に有する筒状のリテーナと、リテーナ内にそれぞれ傾動可能に設けられた複数枚のフィンとを備える。この空調用レジスタでは、各フィンの向きを調整することで、空気出口から吹き出される空調用空気の向き(風向き)を可変としている。
【0003】
ところで、近年では、意匠上の観点や設置スペースの観点から、上記空調用レジスタとして、特許文献1及び特許文献2に記載されているような、空気出口が長方形状をなしていて、薄型と呼ばれるタイプが求められる傾向にある。この薄型の空調用レジスタでは、リテーナについて通風路周りの4つの壁部のうち空気出口の短辺を含むものが第1壁部とされ、長辺を含むものが第2壁部とされる。複数枚のフィンとして、長辺に沿う方向に延びる長フィンと、短辺に沿う方向に延びる短フィンとが用いられる。長フィンは、長辺に沿う方向についての両側に設けられた支軸により傾動可能に支持され、短フィンは、短辺に沿う方向についての両側に設けられた支軸により傾動可能に支持される。
【0004】
そして、長フィンが第2壁部に対し平行となる状態を長フィンの中立状態とし、短フィンが第1壁部に対し平行となる状態を短フィンの中立状態とする。長フィン及び短フィンがともに中立状態にあると、空調装置からの空調用空気は、長フィン及び短フィンに沿って流れ、リテーナの空気出口から真っ直ぐ乗員側へ吹き出される。また、長フィン及び短フィンの少なくとも一方が上記中立状態から傾けられると、空調用空気はその傾けられたフィンに沿って流れ、リテーナの空気出口から上記傾けられたフィンの方向へ吹き出される。
【0005】
ところで、上記薄型の空調用レジスタでは、短辺に沿う方向に配置される長フィンの枚数が、長辺に沿う方向に配置される短フィンの枚数よりも少なくなる。これは、隣り合う長フィン間の空調用空気の流路を確保するためである。この短辺に沿う方向に配置されるフィンの枚数は、空気出口が正方形状をなす一般的な空調用レジスタにおいて、空気出口のいずれの辺に沿う方向に配置されるフィンの枚数よりも少ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−306365号公報
【特許文献2】特開昭61−188219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記薄型の空調用レジスタにおいて、空気出口の短辺に沿う方向に配置される長フィンの枚数が少なくなると、長フィンを傾けたとき空気出口から空調用空気を目的とする方向(フィンの傾けられた方向)へ的確に吹き出させることが難しく、空気出口から吹き出す空調用空気の指向性が充分高くない。
【0008】
特に、中立状態の長フィンが可動範囲の最大傾斜位置まで傾けられたとき、第2壁部と、空気出口内に位置する長フィンのうち長辺に最も近い長フィンとの間に隙間が生じ、この隙間から空調用空気が吹き抜ける。この吹き抜ける空調用空気が、隣り合う長フィン間等を流れて空気出口から吹き出す空調用空気の流れに影響を与え、空調用空気の指向性を低下させる。
【0009】
なお、上記指向性の低下を抑制するための機構を別途設けた空調用レジスタも見られるが、この場合には部品点数の増加が避けられず、部品点数を少なくしたいという薄型の空調用レジスタ特有の要求に応えることが難しい。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品点数の増加を招くことなく、空気出口から吹き出す空調用空気の指向性を向上させることのできる空調用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、内部空間を空調用空気の通風路とし、かつ前記通風路の下流端に長方形状の空気出口を有する筒状体からなり、同筒状体について前記通風路周りの4つの壁部のうち前記空気出口の短辺を含むものが第1壁部とされ、長辺を含むものが第2壁部とされるリテーナと、前記リテーナ内で前記長辺に沿う方向に延び、かつ前記短辺に沿う方向に互いに離間した状態で平行に配列される2枚以上の長フィンを有し、前記長辺に沿う方向へ延びる支軸において、前記空気出口に接近した箇所で前記第1壁部に傾動可能に支持されるバレルとを備える空調用レジスタであって、前記バレルが、前記各長フィンを前記各第2壁部に対し平行にしてなる中立状態にされたとき、前記空気出口内に位置する前記長フィンのうち前記長辺に最も近いものを主長フィンとし、前記両第2壁部には、前記空気出口の内側へ膨出し、かつ前記バレルが可動範囲の最大傾斜位置まで傾動させられたとき、傾動方向前側の前記主長フィンの下流端に近接する膨出部がそれぞれ設けられていることを要旨とする。
【0012】
上記の構成によれば、バレルが中立状態にされると、各長フィンが第2壁部に平行となる。隣り合う主長フィン間に流入した空調用空気は、両主長フィンに沿うことで、第2壁部に平行に流れる。また、主長フィンとその隣の第2壁部との間に流入した空調用空気は、それらの主長フィン及び第2壁部に沿って、同第2壁部に平行に流れる。
【0013】
これに対し、バレルが支軸を支点として傾動させられ、長フィンが第2壁部に対し傾斜させられると、隣り合う主長フィン間に流入した空調用空気は、両主長フィンに沿うことで、同主長フィンの傾斜方向に向きを変えられる。
【0014】
そして、上記のようにバレルを通過した空調用空気は、リテーナの下流端の空気出口から吹き出す。バレルが中立状態にされたときには、隣り合う主長フィン間を通過した空調用空気も、主長フィン及び第2壁部間を通過した空調用空気も、空気出口から第2壁部に平行に吹き出す。これに対し、バレルが上記中立状態から傾動させられたときには、隣り合う主長フィン間を通過した空調用空気は、空気出口から主長フィンが傾斜した方向へ吹き出す。このように、請求項1に記載の発明によれば、空気出口から吹き出す空調用空気について必要な指向性が確保される。
【0015】
さらに、バレルが可動範囲の最大傾斜位置まで傾動させられると、傾動方向前側の主長フィンと第2壁部との間に流入した空調用空気は、それらの主長フィン及び第2壁部に沿って流れようとする。この際、仮に、傾動方向前側の主長フィンの下流端と、第2壁部との間に隙間があると、それら主長フィンと第2壁部との間を空調用空気が吹き抜ける。この吹き抜けた空調用空気は、上記隣り合う長フィン間を通過して空気出口から吹き出す空調用空気に影響を及ぼし、上記指向性を低下させるおそれがある。
【0016】
この点、請求項1に記載の発明では、バレルの上記傾動により、主長フィンの下流端が、リテーナの第2壁部に設けられた膨出部に近接し、それら下流端及び膨出部間の隙間が小さくなる。そのため、傾動方向前側の主長フィンと第2壁部との間に流入した空調用空気は、それらの主長フィン及び第2壁部間を吹き抜けにくく、上記隣り合う長フィン間を通過して空気出口から吹き出す空調用空気に影響を及ぼしにくい。その結果、空気出口から吹き出す空調用空気の指向性が向上する。
【0017】
また、別部材を追加していないため、部品点数の増加を招くことなく上記指向性向上効果が得られる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記バレルは、前記中立状態にされたとき、前記リテーナ内であって前記空気出口の外側に配置される副長フィンを前記長フィンとしてさらに有することを要旨とする。
【0018】
上記の構成によれば、バレルにおける一部の長フィンを構成する副長フィンは、他の長フィンと同様、空調用空気の流れの向きを決定する機能を発揮する。バレルが中立状態にされたときには、副長フィンも他の長フィンと同様に第2壁部に平行となる。このときには、副長フィンは、空気出口よりも外側に位置する。副長フィンと隣の長フィン(主長フィン)との間に流入した空調用空気は、両長フィンに沿うことで第2壁部に平行に流れる。そして、この空調用空気は空気出口から第2壁部に平行に吹き出す。
【0019】
これに対し、バレルが中立状態から傾動させられると、主長フィンとその隣の副長フィンとの間に流入した空調用空気は、それらの主・副両長フィンに沿うことで、同主・副両長フィンの傾斜方向に向きを変えられる。そして、この空調用空気は空気出口から、主・副両長フィンの傾斜した方向へ吹き出す。
【0020】
その結果、バレルの長フィンとして上記副長フィンが設けられていないものに比べ、空気出口から吹き出す空調用空気の指向性がさらに向上する。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記副長フィンは、前記第2壁部に近接した箇所に設けられており、前記副長フィンの下流端は、前記主長フィンの下流端よりも上流側に位置することを要旨とする。
【0021】
上記の構成によれば、副長フィンと第2壁部との間の隙間が小さいため、この隙間を通って空気出口から吹き出す空調用空気は僅かである。
また、副長フィンの下流端が主長フィンの下流端よりも上流側に位置していることから、バレルが中立状態から傾動させられたときに、傾動方向前側の副長フィンが第2壁部に当たって干渉することが起こりにくい。また、傾動方向後側の副長フィンがリテーナの空気出口から下流側へ露出して見栄えを損なうことが起こりにくい。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記リテーナ内には、前記短辺に沿う方向に延び、かつ前記長辺に沿う方向に互いに離間した状態で平行に配列され、さらに前記短辺に沿う方向に延びる支軸においてそれぞれ傾動可能に支持される複数枚の短フィンが設けられており、前記各短フィンの少なくとも一部は前記バレル内に配置され、前記各短フィンの前記支軸は前記バレルに支持され、さらに、前記各短フィンは連結ロッドにより連結されていることを要旨とする。
【0023】
上記の構成によれば、リテーナの通風路を流れる空調用空気の向きは、上記長フィンに加え短フィンによっても決定される。複数の短フィンのうちの1つが第1壁部に対し平行にされると、連結ロッドを介して互いに連結された他の短フィンも第1壁部に対し平行にされる。そのため、隣り合う短フィン間に流入した空調用空気は、両短フィンに沿うことで、第1壁部に平行に流れる。
【0024】
これに対し、複数の短フィンのうちの1つが、支軸を支点として傾動されると、その傾動が連結ロッドを介して他の短フィンにも伝達される。この伝達により、複数の短フィンが平行な状態を保ちつつ(同期して)、同じ方向へ傾動される。全ての短フィンが第1壁部に対し傾斜させられた状態となる。隣り合う短フィン間に流入した空調用空気は、両短フィンに沿うことで、同短フィンの傾斜方向に向きを変えられる。そして、上記のように短フィンを通過した空調用空気は空気出口から吹き出す。
【0025】
ここで、各短フィンは、その少なくとも一部がバレル内に配置されていることから、各長フィンに対し、通風路に沿う方向に重複していることとなる。そのため、通風路に沿う方向について、各短フィン及び各長フィンの合計の長さは、各短フィンがバレル内に配置されていない場合に比べて短くなる。その結果、上記通風路に沿う方向についての空調用レジスタの寸法を小さくし、空調用レジスタを同方向にコンパクトにすることが可能である。
【0026】
また、各短フィンが、通風路に沿う方向について空気出口から上流側へ遠ざかると、空調用空気が短フィンによって流れの向きを変えられても、空気出口から吹き出す前に第1壁部やバレルに当たる可能性が高くなる。短フィンが、通風路に沿う方向についてバレルよりも上流側に配置された場合に、こうした傾向が強まる。この場合、第1壁部やバレルに当たった空調用空気は、第1壁部やバレルに沿う方向に流れの向きを変えられ、その状態で空気出口から吹き出すこととなる。
【0027】
しかし、請求項4に記載の発明では、上述したように、その少なくとも一部がバレル内に配置されている。短フィンは、通風路に沿う方向についてバレルよりも上流側に配置された場合に比べ空気出口に近付く。そのため、短フィンによって流れの向きを変えられた空調用空気は第1壁部やバレルに当たりにくくなり、空気出口から短フィンの傾斜方向へ吹き出しやすくなる。
【0028】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記各短フィンは前記第1壁部に平行にされた状態で前記主長フィンよりも前記通風路に沿う方向に長く形成されており、前記短フィンにおいて、前記通風路に沿う方向についての長さの1/3以上の部分が前記バレル内に配置されていることを要旨とする。
【0029】
上記の構成によれば、各短フィンが第1壁部に平行にされた状態では、短フィンにおいて、通風路に沿う方向についての長さの1/3以上の部分が長フィンと重複する。そのため、上記方向についての空調用レジスタの寸法を小さくし、コンパクト化を図るといった、上記請求項4に記載の発明の効果が効率よく得られるようになる。
【0030】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の発明において、前記短フィンの下流端は、前記主長フィンの下流端に接近した箇所に位置することを要旨とする。
バレルがリテーナ内の空気出口に接近した箇所に配置されることから、上記の構成によれば、通風路に沿う方向についての短フィンの下流端は、空気出口に接近した箇所に位置する。そのため、短フィンによって流れの向きを変えられた空調用空気を第1壁部やバレルに当たらせることなく空気出口から吹き出させるといった、上記請求項4に記載の発明の効果が効率よく得られるようになる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の空調用レジスタによれば、部品点数の増加を招くことなく、空気出口から吹き出す空調用空気の指向性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明を具体化した一実施形態における車両用の空調用レジスタの外観形状を示す斜視図。
【図2】一実施形態において、バレルが中立状態にされた空調用レジスタの側断面図。
【図3】一実施形態において、各短フィンが中立状態にされた空調用レジスタの平断面図。
【図4】一実施形態において、バレルが可動範囲の一方(下方)の最大傾斜位置まで傾動させられた空調用レジスタの側断面図。
【図5】比較例を示す図であり、バレルが可動範囲の一方(下方)の最大傾斜位置まで傾動させられた空調用レジスタの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明を車両用の空調用レジスタに具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、車両の前進方向を前方と記載し、それを基準に前、後、上、下、左、右を規定している。また、各図において、「前」は車両前側を、「後」は車両後側をそれぞれ示している。
【0034】
車室内において、運転席及び助手席の車両前方にはインストルメントパネル(図示略)が配設されている。インストルメントパネルの車幅方向についての両端部、中央部等には、車幅方向(左右方向)の寸法に比べて上下方向の寸法の短い(高さの低い)薄型の空調用レジスタが組み込まれている。この空調用レジスタの機能の主なものに、空調装置(図示略)から送られてきて車室内に吹き出される空気の向き(風向き)を調整することがある。
【0035】
図1は、本実施形態の空調用レジスタの外観形状を示している。この空調用レジスタは、リテーナ10、複数枚の長フィンを有するバレル30、短フィン群等を備えて構成されている。次に、各部の構成について説明する。
【0036】
<リテーナ10>
図1及び図2に示すように、リテーナ10は、その内部空間を空調用空気Aの流路(以下「通風路9」という)とするものであり、それぞれ樹脂材料によって形成された本体部11及びベゼル16を備えている。本体部11は、通風路9に沿う方向(空調用空気Aの流れ方向)に延びる筒状体からなる。なお、以降の記載における「上流」及び「下流」は、通風路9に沿う方向についての上流及び下流を指すものとする。同方向について、空調装置に近い方向を「上流」といい、遠い方向を「下流」というものとする。また、これに関連して、上流端は上流側の端部を指し、下流端は下流側の端部を指すものとする。
【0037】
本体部11は、通風路9に沿う方向についての中央部分を基準とすると、それよりも上流側の部分12と、下流側の部分13とからなる。上流側の部分12の上流端は、横長の長方形状に開口しており、この開口は空調用レジスタへの空調用空気Aの入口を構成している。
【0038】
下流側の部分13は、上記通風路9に沿う方向に直交する断面として、上流側の部分12よりも上下方向に大きな断面を有している。両部分12,13の境界部14では、上記断面が下流側ほど徐々に上下に拡大している。上記境界部14では、通風路9に沿う断面形状(側断面)が円弧状をなしている(図2参照)。下流側の部分13の下流端の上下には係止孔15があけられている。
【0039】
ベゼル16は、四角環状の取付け部17と、取付け部17の下流端に一体に設けられて空調用レジスタの意匠面を構成する四角枠状の枠部18とを備えている。取付け部17の上流端の上下には係止爪19が形成されている。ベゼル16は本体部11の下流側に配置されており、取付け部17が部分13に挿入され、かつ上記係止爪19が対応する係止孔15に内側から係入されることにより、本体部11に連結されている。ベゼル16の取付け部17における開口の一部は、空調用レジスタからの空調用空気Aの出口(以下「空気出口20」という)を構成している。本実施形態では、ベゼル16の開口のうち開口面積の最も小さな箇所を空気出口20としている。
【0040】
ここで、横長の長方形状をなす空気出口20の各辺を区別するために、上下方向に延びる辺を「短辺X」といい、車幅方向(左右方向)に延びる辺を「長辺Y」というものとする。
【0041】
通風路9は、リテーナ10の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部を区別するために、空気出口20の短辺Xを含むものを第1壁部21といい、長辺Yを含むものを第2壁部22というものとする。空気出口20が横長の長方形状をなす本実施形態では、車幅方向(左右方向)に相対向する壁部が第1壁部21となり、上下方向に相対向する壁部が第2壁部22となる。
【0042】
さらに、本実施形態のリテーナ10では、上記両第2壁部22に、空気出口20の内側へ膨出する膨出部23がそれぞれ一体形成されている。具体的には、上側の膨出部23は下方へ向けて膨出し、下側の膨出部23は上方へ向けて膨出している。各膨出部23の膨出方向先端(膨出端)は、バレル30が後述する中立状態にされたとき、副長フィン32の直下流に位置する(図2参照)。また、各膨出部23の膨出端は、バレル30が可動範囲の最大傾斜位置まで傾動させられたとき、傾動方向前側の主長フィン31の下流端に近接する(図4参照)。
【0043】
<バレル30>
図2及び図3に示すように、バレル30は、リテーナ10内で空気出口20の長辺Yに沿う方向(車幅方向)に延び、かつ短辺Xに沿う方向(上下方向)に互いに離間した状態で平行に配列された2枚以上(本実施形態では4枚)の長フィン31,32と、長辺Yに沿う方向についての長フィン31,32の両側に配置された一対の側壁33とを備える。これらの長フィン31,32及び両側壁33は樹脂材料によって形成されている。上記複数枚の長フィン31,32は、いずれも通風路9に沿う方向に所定の幅を有する偏平な板状に形成されている。
【0044】
各側壁33は、リテーナ10の第1壁部21に接近した箇所で短辺Xに沿う方向(上下方向)に延びており、上記長フィン31,32に一体形成されている。各側壁33からは、隣接する第1壁部21に向けて支軸34が突設されている。表現を変えると、両支軸34は、長辺Yに沿う方向へ延びている。そして、バレル30はこれらの支軸34において、通風路9に沿う方向について上記空気出口20に接近した箇所で、第1壁部21に傾動可能に支持されている。
【0045】
ここで、バレル30について、上記空気出口20の短辺X(又は長辺Y)に沿う方向について、同短辺X(又は長辺Y)の中央部に近付く側を「内側」といい、同中央部から遠ざかる側を「外側」というものとする。
【0046】
また、上記各長フィン31,32が各第2壁部22に対し平行となったときのバレル30の状態(図2参照)を「中立状態」といい、各長フィン31,32が各第2壁部22に対し傾斜したときのバレル30の状態(図4参照)を「傾斜状態」というものとする。
【0047】
さらに、複数枚の長フィン31,32を区別するために、短辺Xに沿う方向について中間の2枚を「主長フィン31」といい、短辺Xに沿う方向について各主長フィン31の外側に位置する2枚を「副長フィン32」というものとする。バレル30が中立状態にされたときには、各主長フィン31の下流端は空気出口20又はその近傍に位置している。また、両主長フィン31は、空気出口20内に位置する長フィン31のうち長辺Yに最も近いものを構成している。各主長フィン31の上流端には軸受孔35があけられている。
【0048】
両副長フィン32は、第2壁部22に近接した箇所に設けられていて(図2参照)、バレル30が中立状態にされたとき、リテーナ10内であって空気出口20の外側に位置する。また、各副長フィン32の外面は、空気出口20の外側へ膨らむ湾曲面となっている。バレル30の中立状態では、各副長フィン32の上流端は、通風路9に沿う方向について、各主長フィン31の上流端に接近した箇所に位置している。これに対し、各副長フィン32の下流端は、主長フィン31の下流端、すなわち空気出口20よりも上流側に位置している。従って、各副長フィン32は、通風路9に沿う方向について、各主長フィン31よりも短いことになる。
【0049】
また、両主長フィン31間の間隔をD1とし、各主長フィン31とその隣の副長フィン32との間隔をD2とすると、バレル30は、間隔D1>間隔D2の関係を満たすように形成されている。
【0050】
<短フィン群>
図2及び図3に示すように、短フィン群は、リテーナ10内において、空気出口20の短辺Xに沿う方向に延び、かつ長辺Yに沿う方向に互いに離間した状態で平行に配列された複数枚(本実施形態では7枚)の樹脂製の短フィン40からなる。各短フィン40は、通風路9に沿う方向に所定の幅を有する偏平な板状に形成されている。各短フィン40は、各副長フィン32及び各主長フィン31よりも通風路9に沿う方向に長く形成されている。各短フィン40が第1壁部21に平行にされた状態では、各短フィン40において、通風路9に沿う方向についての長さL1(図3参照)の1/3以上の部分は、バレル30内に配置されている。本実施形態では、各短フィン40の下流端と、その下流端から上流側へ上記長さL1の1/3以上離れた箇所との間の領域がバレル30内に配置されている。
【0051】
上記配置により、各短フィン40は各長フィン31,32に対し、通風路9に沿う方向に重複している。そのため、通風路9に沿う方向について、各短フィン40及び各長フィン31,32の合計の長さは、各短フィン40がバレル30内に配置されていない場合に比べて短くなっている。
【0052】
上記のような、各短フィン40の少なくとも一部がバレル30内に配置される構成を実現するために、各短フィン40の上流側部分は1つの基部41によって構成され、下流側部分は、互いに短辺Xに沿う方向へ離間した状態で基部41から下流側へ突出する3つの突出部42,43,42によって構成されている。2つの突出部42の各々は、短辺Xに沿う方向についての中間部分の突出部43から上記主長フィン31の厚みよりも僅かに大きく離れている。中間部分の上記突出部43からは、両側の突出部42に向けて一対の支軸44が突出している。表現を変えると、両支軸44は、短辺Xに沿う方向へ延びている。
【0053】
そして、中間部分の突出部43は、上記両主長フィン31間に対し、上流側から下流側へ向けて挿入配置されている。この突出部43の下流端は、通風路9に沿う方向について、両主長フィン31の下流端に接近した箇所、すなわち空気出口20に接近した箇所に位置している。また、両側部分の各突出部42は、各主長フィン31とその隣の副長フィン32との間に対し、上流側から下流側へ向けて挿入配置されている。さらに、各短フィン40の両支軸44が、各主長フィン31の軸受孔35に傾動可能に係合されている。
【0054】
複数の短フィン40のうち、長辺Yに沿う方向についての中央部に位置するものには操作ノブ45が装着されている。さらに、各短フィン40において、上記支軸44よりも上流側には連結軸46が設けられている。本実施形態では、各短フィン40における基部41の下部に切欠き47が形成されており、この切欠き47から下方へ延びる上記連結軸46が同短フィン40に設けられている。そして、短フィン40毎の連結軸46は、長辺Yに沿う方向へ延びる長尺状の連結ロッド48によって連結されている。この連結ロッド48は、1つの短フィン40(操作ノブ45の装着された短フィン40)の傾動を他の短フィン40(操作ノブ45の装着されていない短フィン40)に伝達するためのものである。
【0055】
なお、短フィン群及び短フィン40について、上記各短フィン40が各第1壁部21に対し平行となったときの状態(図3参照)を「中立状態」といい、各短フィン40が各第1壁部21に対し傾斜したときの状態(図示略)を「傾斜状態」というものとする。
【0056】
次に、上記のように構成された本実施形態の空調用レジスタの作用について説明する。
この空調用レジスタでは、リテーナ10の通風路9を流れる空調用空気Aの多くは、バレル30内を通過する。この際、空調用空気Aの流れる向きが、各長フィン(両主長フィン31、両副長フィン32)及び各短フィン40によって決定される。
【0057】
図2及び図3は、バレル30が中立状態にされ、かつ各短フィン40が中立状態にされた空調用レジスタを示している。このときには、両副長フィン32はリテーナ10内ではあるが空気出口20よりも外側に位置する。両副長フィン32の下流側にはそれぞれ膨出部23が位置する。そのため、乗員が空調用レジスタを下流側から見た場合、両副長フィン32は膨出部23の上流側に隠れた状態となり、乗員には見えない。
【0058】
各短フィン40の中立状態は、複数枚の短フィン40のうちの1つ(操作ノブ45の装着されたもの)が第1壁部21に対し平行にされることによって得られる。上記短フィン40が第1壁部21に対し平行にされると、連結ロッド48を介して互いに連結された他の短フィン40も第1壁部21に対し平行にされる。隣り合う短フィン40間に流入した空調用空気Aや、長辺Yに沿う方向についての両端の短フィン40及び側壁33間に流入した空調用空気Aは、それらの短フィン40及び側壁33に沿うことで、第1壁部21に平行に流れる。そして、空調用空気Aは、リテーナ10の下流端の空気出口20から第1壁部21に平行に吹き出す。
【0059】
また、バレル30の上記中立状態では、両主長フィン31及び両副長フィン32がいずれも第2壁部22に平行となる。隣り合う主長フィン31間に流入した空調用空気Aは、両主長フィン31に沿うことで、第2壁部22に平行に流れる。また、主長フィン31とその隣の副長フィン32との間に流入した空調用空気Aは、それら主・副両長フィン31,32間に沿うことで、第2壁部22に平行に流れる。そして、隣り合う主長フィン31間を通過した空調用空気Aも、主・副両長フィン31,32間を通過した空調用空気Aも、空気出口20から第2壁部22に平行に吹き出す。なお、各副長フィン32と第2壁部22との間の隙間は小さいため、この隙間を通って空気出口20から吹き出す空調用空気Aは僅かである。
【0060】
これに対し、複数枚の短フィン40のうちの1つ(操作ノブ45の装着されたもの)が両支軸44を支点として傾動されると、その傾動が連結軸46及び連結ロッド48を介して他の短フィン40にも伝達される。この伝達により、複数の短フィン40が平行な状態を保ちつつ(同期して)、同じ方向へ傾動される。全ての短フィン40が第1壁部21に対し傾斜させられた状態となる。隣り合う短フィン40間等に流入した空調用空気Aは、両短フィン40に沿うことで、同短フィン40の傾斜方向に向きを変えられる。そして、空調用空気Aは、空気出口20から各短フィン40が傾斜した方向へ吹き出す。
【0061】
また、バレル30が支軸34を支点として可動範囲の一部で傾動させられ(最大傾斜位置まで傾動させられず)、第2壁部22に対し傾斜させられると、両主長フィン31及び両副長フィン32が第2壁部22に対し傾斜させられる。この傾動に伴い、傾動方向前側の主長フィン31は同前側の膨出部23に近付き、傾動方向後側の主長フィン31は同後側の膨出部23から遠ざかる。隣り合う主長フィン31間に流入した空調用空気Aは、両主長フィン31に沿うことで、同主長フィン31の傾斜方向に向きを変えられる。また、主長フィン31とその隣の副長フィン32との間に流入した空調用空気Aは、それらの主・副両長フィン31,32に沿うことで、同主・副両長フィン31,32の傾斜方向に向きを変えられる。このとき、バレル30の傾動方向前側の主長フィン31の下流端は、同前側の膨出部23から離れている。ただし、上記主長フィン31の下流端と膨出部23との間の隙間は、上述したバレル30が中立状態となっているときの同隙間よりも小さくなっている。そして、空調用空気Aは、空気出口20から主・副両長フィン31,32が傾斜した方向へ吹き出す。なお、このときにも各副長フィン32と第2壁部22との間の隙間は小さいため、この隙間を通って空気出口20から吹き出す空調用空気Aは僅かである。
【0062】
また、各副長フィン32の下流端が主長フィン31の下流端よりも上流側に位置していることから、バレル30が傾斜状態にされたときに、傾動方向前側の副長フィン32が第2壁部22に当たることが起こりにくい。また、傾動方向後側の副長フィン32がリテーナ10の空気出口20から下流側へ露出することが起こりにくい。
【0063】
さらに、バレル30が可動範囲の一方(図4では下方)の最大傾斜位置まで傾動させられると、傾動方向前側(図4の下側)の主長フィン31と第2壁部22との間に流入した空調用空気Aは、それらの主長フィン31及び第2壁部22に沿って流れようとする。この際、仮に、図5に示すように、第2壁部22に膨出部23が設けられておらず、傾動方向前側(図5の下側)の主長フィン31の下流端と、第2壁部22との間に隙間Gがあると、それら主長フィン31と第2壁部22との間に流入した空調用空気Aは、上記隙間Gを吹き抜ける。この吹き抜けた空調用空気Aは、上記隣り合う主長フィン31間を通過して空気出口20から吹き出す空調用空気Aに影響を及ぼし、指向性を低下させる。なお、図5において図4と同様の要素については、同一の符号が付されている。また、図5では、説明の便宜上、リテーナ10は、本体部11とベゼル16とが一体となった状態で図示されている。
【0064】
この点、第2壁部22に膨出部23が設けられた本実施形態では、図4に示すように、バレル30の上記傾動により、傾動方向前側(図4の下側)の主長フィン31の下流端が膨出部23に近接し、それら下流端及び膨出部23間の隙間が小さくなる。そのため、傾動方向前側の主長フィン31と第2壁部22との間に流入した空調用空気Aは、主長フィン31及び第2壁部22間の上記隙間を吹き抜けにくく、上記隣り合う主長フィン31間を通過して空気出口20から吹き出す空調用空気Aに影響を及ぼしにくい。たとえ影響を及ぼしたとしても、その影響は無視できるほど小さい。
【0065】
なお、バレル30が可動範囲の他方(上方)の最大傾斜位置まで傾動させられた場合についても上記と同様である。そのため、ここでは説明を省略する。
ところで、各短フィン40が、通風路9に沿う方向について空気出口20から上流側へ遠ざかると、空調用空気Aが短フィン40によって流れの向きを変えられても、空気出口20から吹き出す前に第1壁部21やバレル30(側壁33)に当たる可能性が高くなる。この傾向は、各短フィン40が空気出口20から上流側へ遠ざかるほど強まる。特に、短フィン40が、通風路9に沿う方向についてバレル30よりも上流側に配置された場合に上記の現象が起こりやすい。この場合、第1壁部21やバレル30(側壁33)に当たった空調用空気Aは、第1壁部21やバレル30(側壁33)に沿う方向に流れの向きを変えられ、その状態で空気出口20から吹き出すこととなる。
【0066】
しかし、本実施形態では、上述したように、短フィン40の多くの部分(長さL1の1/3以上の部分)がバレル30内に配置されることで、各短フィン40の下流端が、各主長フィン31の下流端に接近した箇所、すなわち空気出口20に接近した箇所に位置する。そのため、短フィン40によって流れの向きを変えられた空調用空気Aは、第1壁部21やバレル30(側壁33)に当たることなく空気出口20から、短フィン40の傾斜方向へ吹き出しやすくなる。
【0067】
以上詳述した本実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)通風路9に沿う方向について、リテーナ10内の空気出口20に接近した箇所にバレル30を傾動可能に支持した空調用レジスタを前提とする。この空調用レジスタにおいて、バレル30が、主・副両長フィン31,32を各第2壁部22に対し平行にしてなる中立状態にされたとき、空気出口20内に位置する長フィンのうち長辺Yに最も近いものを主長フィン31とする(図2)。そして、両第2壁部22には、空気出口20の内側へ膨出し、バレル30が可動範囲の最大傾斜位置まで傾動させられたとき、傾動方向前側の主長フィン31の下流端に近接する膨出部23をそれぞれ設けている(図4)。
【0068】
そのため、空気出口20から吹き出す空調用空気Aの必要な指向性を2枚の主長フィン31によって確保することができる。
さらに、バレル30を可動範囲の最大傾斜位置まで傾動させたときには、空調用空気Aが、傾動方向前側の主長フィン31と第2壁部22との間を通って空気出口20から吹き出すのを抑制し、同空調用空気Aの指向性を向上させることができる。
【0069】
また、別部材を追加していないため、部品点数の増加を招くことなく上記指向性向上効果を得ることができる。
(2)バレル30が中立状態にされたとき、リテーナ10内であって空気出口20の外側に位置する副長フィン32を長フィンとしてさらにバレル30に設けている(図2、図4)。
【0070】
そのため、バレル30の長フィンとして副長フィン32が設けられていないものに比べ空調用空気Aの指向性をさらに向上させることができる。
(3)副長フィン32を第2壁部22に近接した箇所に設け、副長フィン32の下流端を、主長フィン31の下流端よりも上流側に位置させている(図2、図4)。
【0071】
そのため、副長フィン32と第2壁部22との間を空調用空気Aが通って空気出口20から吹き出すのを抑制することができる。
また、バレル30が傾斜状態にされたときに、傾動方向前側の副長フィン32が第2壁部22に当たって干渉するのを抑制するとともに、傾動方向後側の副長フィン32がリテーナ10の空気出口20から下流側へ露出して見栄えを損なうのを抑制することができる。
【0072】
(4)リテーナ10内に複数枚の短フィン40を設ける。各短フィン40の少なくとも一部(多くの部分)をバレル30内に配置する。各短フィン40の支軸44をバレル30に支持し、さらに、各短フィン40を連結ロッド48により連結している(図2、図3)。
【0073】
そのため、通風路9に沿う方向についての空調用レジスタの寸法を小さくし、コンパクト化を図ることができる。
また、短フィン40によって流れの向きを変えられた空調用空気Aを、第1壁部21やバレル30(側壁33)に当たらせることなく、空気出口20から短フィン40の傾斜方向へ吹き出させることができる。
【0074】
(5)各短フィン40を各主長フィン31よりも通風路9に沿う方向に長く形成する。各短フィン40が第1壁部21に平行にされた状態で、各短フィン40について通風路9に沿う方向についての長さL1の1/3以上の部分をバレル30内に配置している(図3)。
【0075】
そのため、通風路9に沿う方向についての空調用レジスタの寸法を小さくしてコンパクト化を図るといった上記(4)の効果を効率よく得ることができる。
(6)短フィン40の下流端を、主長フィン31の下流端に接近した箇所に位置させている(図3)。
【0076】
そのため、短フィン40によって流れの向きを変えられた空調用空気Aを第1壁部21やバレル30(側壁33)に当たらせることなく空気出口20から吹き出させるといった上記(4)の効果を効率よく得ることができる。
【0077】
なお、本発明は次に示す別の実施形態に具体化することができる。
<バレル30について>
・バレル30は、一対の主長フィン31間に他の長フィンが配置されたものであってもよい。
【0078】
この場合、空気出口20内に3枚以上の長フィンが位置することとなり、それらのうち長辺Yに最も近い2枚が主長フィン31とされる。
・バレル30は、長フィンとして副長フィン32を有しないものであってもよい。
【0079】
<短フィン40について>
・各短フィン40は、通風路9に沿う方向について、各主長フィン31と同程度又は主長フィン31よりも短く形成されてもよい。
【0080】
・各短フィン40において、通風路9に沿う方向についての長さL1の1/3以上の部分が主長フィン31と重複することを条件に、同短フィン40がバレル30内に配置される長さが変更されてもよい。
【0081】
・各短フィン40は、同短フィン40とは別部材からなる支軸によって主長フィン31に傾動可能に支持されてもよい。
・各短フィン40は、主長フィン31に代えて、又は加えて副長フィン32に傾動可能に支持されてもよい。
【0082】
・各短フィン40は、短辺Xに沿う方向についての1箇所又は3箇所以上の箇所に設けられた支軸において傾動可能に支持されてもよい。
・各短フィン40は、通風路9に沿う方向について主長フィン31の全部と重複してもよいし、主長フィン31の一部とのみ重複してもよい。
【0083】
<適用箇所について>
・本発明は、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に配設される空調用レジスタにも適用可能である。
【0084】
・本発明の空調用レジスタは、空調装置から送られてきて室内に吹き出す空気の向きを調整することのできるものであれば、車両に限らず広く適用可能である。
<その他>
・本発明は、空気出口20が縦長となるように配置される空調用レジスタにも適用可能である。この場合、リテーナ10において、上下方向に相対向する壁部が第1壁部21となり、車幅方向に相対向する壁部が第2壁部22となる。複数の長フィン31,32は車幅方向に配列され、短フィン40は上下方向に配列されることとなる。
【符号の説明】
【0085】
9…通風路、10…リテーナ、20…空気出口、21…第1壁部、22…第2壁部、23…膨出部、30…バレル、31…主長フィン(長フィン)、32…副長フィン(長フィン)、34,44…支軸、40…短フィン、48…連結ロッド、A…空調用空気、L1…短フィンの長さ、X…短辺、Y…長辺。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を空調用空気の通風路とし、かつ前記通風路の下流端に長方形状の空気出口を有する筒状体からなり、同筒状体について前記通風路周りの4つの壁部のうち前記空気出口の短辺を含むものが第1壁部とされ、長辺を含むものが第2壁部とされるリテーナと、
前記リテーナ内で前記長辺に沿う方向に延び、かつ前記短辺に沿う方向に互いに離間した状態で平行に配列される2枚以上の長フィンを有し、前記長辺に沿う方向へ延びる支軸において、前記空気出口に接近した箇所で前記第1壁部に傾動可能に支持されるバレルと
を備える空調用レジスタであって、
前記バレルが、前記各長フィンを前記各第2壁部に対し平行にしてなる中立状態にされたとき、前記空気出口内に位置する前記長フィンのうち前記長辺に最も近いものを主長フィンとし、
前記両第2壁部には、前記空気出口の内側へ膨出し、かつ前記バレルが可動範囲の最大傾斜位置まで傾動させられたとき、傾動方向前側の前記主長フィンの下流端に近接する膨出部がそれぞれ設けられていることを特徴とする空調用レジスタ。
【請求項2】
前記バレルは、前記中立状態にされたとき、前記リテーナ内であって前記空気出口の外側に配置される副長フィンを前記長フィンとしてさらに有する請求項1に記載の空調用レジスタ。
【請求項3】
前記副長フィンは、前記第2壁部に近接した箇所に設けられており、
前記副長フィンの下流端は、前記主長フィンの下流端よりも上流側に位置する請求項2に記載の空調用レジスタ。
【請求項4】
前記リテーナ内には、前記短辺に沿う方向に延び、かつ前記長辺に沿う方向に互いに離間した状態で平行に配列され、さらに前記短辺に沿う方向へ延びる支軸においてそれぞれ傾動可能に支持される複数枚の短フィンが設けられており、
前記各短フィンの少なくとも一部は前記バレル内に配置され、前記各短フィンの前記支軸は前記バレルに支持され、
さらに、前記各短フィンは連結ロッドにより連結されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の空調用レジスタ。
【請求項5】
前記各短フィンは、前記第1壁部に平行にされた状態で前記主長フィンよりも前記通風路に沿う方向に長く形成されており、
前記各短フィンにおいて、前記通風路に沿う方向についての長さの1/3以上の部分が前記バレル内に配置されている請求項4に記載の空調用レジスタ。
【請求項6】
前記短フィンの下流端は、前記主長フィンの下流端に接近した箇所に位置する請求項4又は5に記載の空調用レジスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−28228(P2013−28228A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164441(P2011−164441)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】