説明

空調装置の吸込パネルおよびこれを備えた空調装置

【課題】空調装置の空気吸込口前面に取り付けて用いられる吸込パネルにおいて、吸込パネル上に支持されたり吸込パネルに一体化されたりするエアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等のために吸込パネルを取り外す際に、吸込パネルの表面に堆積した埃の落下を簡単に防止することができる吸込パネルを提供することを目的とする。
【解決手段】空調装置の空気吸込口前面に取り付けて用いられる吸込パネル1において、前記空気吸込口前面に対して脱着可能となるように略板状に形成され、前記空気吸込口前面に取り付けられた状態で該空気吸込口に取り込まれる空気を通り抜けさせる吸込パネル本体11と、前記吸込パネル本体11の前面を露出及び隠蔽可能となるように前記吸込パネル本体11に対して動作可能に取り付けられた被覆部12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として天井に設置される空調装置の空気吸込口前面に取り付けて用いられる吸込パネル、およびこれを備えた空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、天井内に埋設されるか天井下に吊り下げられるタイプの、温度、湿度、空気清浄度等の調整用の空調装置においては、該空調装置の下面に空気吸込口が設けられ、この空気吸込口の前面を覆うようにして吸込グリル等の吸込パネルが取り付けられる。吸込パネルの裏側にはエアフィルタが取り付けられたり、吸込パネルにエアフィルタが一体化されたりして、吸込パネルを通じて空気吸込口から空調装置の内部に取り込まれる空気から埃が取り除かれるようになっている。
【0003】
このため、裏側にエアフィルタが取りつけられたり、エアフィルタが一体化されたりする吸込パネルの前面には、エアフィルタによって取り除かれた埃が堆積する。そこで、吸込パネルを取り外してエアフィルタに堆積した埃を清掃したり、エアフィルタを新しいものと交換したりする作業を定期的に行う必要がある。
【0004】
また、空調装置の内部の点検やメンテナンスの作業を行う際にも、作業者が空調装置の内部にアクセスできるように吸込パネルを取り外す必要がある。
【0005】
このように吸込パネルを取り外す際には、吸込パネルは空調装置の下面に設けられた空気吸込口の前面を覆うようにして取り付けられているので、吸込パネルの取り外し作業に伴う振動によって、吸込パネルの前面に堆積した埃が空調装置下方の室内に落下してしまう。しかし、空調装置が特に食品工場や飲食店等の室内の天井に設けられている場合には、埃が室内に落下してしまうことは衛生上好ましくない。
【0006】
空調装置の吸込パネルを取り外す際の埃の落下を防止するための仕組みとして、例えば特許文献1に開示された技術が知られている。この技術では、空調装置の下面に設けられた化粧パネルに形成された中央開口の奥部に吸込空気を清浄化するためのフィルタを設け、前記中央開口を両側に吸込口空間を残して塞ぐセンターパネルを設け、前記センターパネルには所定高さの脚部を介して前記フィルタを支持させ、このフィルタと一体的に前記センターパネルを昇降自在となるように形成している。この構成により、センターパネルを空調装置本体から下降させ、センターパネルに支持されたフィルタを低所で取り外して交換あるいは清掃することができる。センターパネルの下降時に振動が発生したとしても、フィルタに付着する埃はセンターパネルの上に落下し、そこに捕集されるので、埃が室内に落下することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−196999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、この方法では、センターパネルを空調装置本体に対して昇降させるため、センターパネルを吊り下げる吊りひもを繰り出したり巻き取ったりするモータやシャフト・プーリなどの複雑な構造が必要となり、空調装置の構造を複雑にするとともに空調装置の価格を上昇させてしまう。また、吊りひもの巻き取りが不完全に行われるたびに空調装置の修理をする必要が生じていた。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、空調装置の空気吸込口前面に取り付けて用いられる吸込パネルにおいて、吸込パネル上に支持されたり吸込パネルに一体化されたりするエアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等のために吸込パネルを取り外す際に、吸込パネルの表面に堆積した埃の落下を簡単に防止することができる吸込パネル、およびこれを備えた空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
【0011】
本発明の第1の態様に係る吸込パネルは、空調装置の空気吸込口前面に取り付けて用いられる吸込パネルであって、前記空気吸込口前面に対して脱着可能となるように略板状に形成され、前記空気吸込口前面に取り付けられた状態で該空気吸込口に取り込まれる空気を通り抜けさせる吸込パネル本体と、前記吸込パネル本体の前面を露出及び隠蔽可能となるように前記吸込パネル本体に対して動作可能に取り付けられた被覆部とを備えている。
【0012】
この吸込パネルによれば、吸込パネル上に支持されたり吸込パネルに一体化されたりするエアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等の作業を行うために吸込パネルを空調装置の空気吸込口前面から取り外す際に、埃が堆積した吸込パネル本体の前面を予め被覆部で隠蔽するように覆った状態を保ちながら吸込パネル本体を空調装置の空気吸込口前面から取り外すことにより、吸込パネル本体の前面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0013】
本発明の第1の態様に係る吸込パネルにおいては、前記吸込パネル本体は略線対称形状に形成され、前記被覆部は、前記吸込パネル本体の前記略線対称形状の対称軸の両側に位置する第1の部分と第2の部分とのうち第1の部分の外周に沿う略コ字形状に形成され、前記吸込パネル本体に対して揺動可能となるように両端部が該吸込パネル本体の外周が前記対称軸と交差する部位に回動自在に取り付けられた枠体と、一端部が前記吸込パネル本体の前記第1の部分の外周に固定され、他端部が前記枠体の中間部に固定された被覆膜とを含み、前記被覆膜はプリーツ状に折り畳み可能に形成され、前記枠体が前記吸込パネル本体の前記第1の部分側に位置するときに該第1の部分の外周と前記枠体の中間部との間に折り畳まれて前記吸込パネル本体の前面を露出させ、前記枠体が前記吸込パネル本体の前記第2の部分側に位置するときに展張されて前記吸込パネル本体の前面を隠蔽するように該吸込パネル本体の前面に沿って延在することが望ましい。
【0014】
本構成によれば、枠体を吸込パネル本体の第1の部分側から第2の部分側に移動させることによって、プリーツ状に形成され第1の部分の外周と枠体の中間部との間に折り畳まれていた被覆膜が展張されて、被覆膜が吸込パネル本体の前面を隠蔽するように吸込パネル本体の前面に沿って延在するようになる。したがって、吸込パネルを空調装置の空気吸込口前面から取り外す際に、簡単な作業で吸込パネル本体の前面を被覆膜で覆い、吸込パネル本体の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0015】
また、枠体を吸込パネル本体の第2の部分側から第1の部分側に移動させるとともに、プリーツ状に形成された被覆膜を吸込パネル本体の第1の部分の外周と枠体の中間部との間に折り畳んで収納することによって、被覆膜から吸込パネル本体の前面が露出される。したがって、吸込パネル本体を空調装置の空気吸込口前面に再び取り付ける際に、吸込パネル本体の前面を被覆膜から簡単に露出させることができる。
【0016】
あるいは、前記吸込パネル本体は略長方形状に形成され、前記被覆部は、前記吸込パネル本体の互いに対向する二辺にそれぞれ沿うようにして取り付けられた一対の巻取軸と、両端部が前記一対の巻取軸にそれぞれ巻き付けられた状態で前記吸込パネル本体の前面に沿って延在する被覆膜とを含み、前記被覆膜は、前記吸込パネル本体の前面を露出させるように形成された露出孔を備える露出部と、前記吸込パネル本体の前面を隠蔽するように形成された隠蔽部とを備え、前記隠蔽部が前記一対の巻取軸の一方に巻き付けられているとき前記露出部の前記露出孔は前記吸込パネル本体の前面の略全体を露出させ、前記露出部が前記一対の巻取軸の他方に巻き付けられているとき前記隠蔽部は前記吸込パネル本体の前面の略全体を隠蔽することが望ましい。
【0017】
本構成によれば、被覆膜の露出部を一対の巻取軸の他方に巻き付けることによって、一対の巻取軸の一方に巻き付けられていた被覆膜の隠蔽部が展張されて吸込パネル本体の前面を隠蔽するように吸込パネル本体の前面に沿って延在するようになる。したがって、吸込パネルを空調装置の空気吸込口前面から取り外す際に、簡単な作業で吸込パネル本体の前面を被覆膜の隠蔽部で覆い、吸込パネル本体の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0018】
また、被覆膜の隠蔽部を一対の巻取軸の一方に再び巻き付けることによって、吸込パネルを空調装置の空気吸込口前面から取り外す際に一対の巻取軸の他方に巻き付けた被覆膜の露出部が再び展張されて吸込パネル本体の前面に沿って延在するようになり、露出部の露出孔から吸込パネル本体の前面が露出される。したがって、吸込パネル本体を空調装置の空気吸込口前面に再び取り付ける際に、簡単な作業で吸込パネル本体の前面を露出部の露出孔から露出させることができる。
【0019】
あるいは、前記吸込パネル本体は略長方形状に形成され、前記被覆部は、前記吸込パネル本体の一辺に沿うようにして取り付けられた巻取軸と、前記吸込パネル本体の前面に沿って前記巻取軸の長さ方向と略直角な方向に移動可能となるように前記吸込パネル本体に支持された先端軸と、一端部が前記巻取軸に巻き付けられ、他端部が前記先端軸に固定された被覆膜とを含み、前記先端軸が前記巻取軸に最も近づいた位置にあるとき、前記被覆膜の略全体は前記巻取軸に巻き付けられて前記吸込パネル本体の前面の略全体を露出させ、前記先端軸が前記巻取軸から最も遠ざかった位置にあるとき、前記被覆膜は前記吸込パネル本体の前面の略全体を隠蔽するように該吸込パネルの前面に沿って延在することが望ましい。
【0020】
本構成によれば、被覆膜の他端部が固定された先端軸を巻取軸から遠ざかるように吸込パネル本体の前面に沿って移動させることによって、巻取軸に巻き付けられていた被覆膜が展張されて吸込パネル本体の前面の略全体を隠蔽するように吸込パネル本体の前面に沿って延在するようになる。したがって、吸込パネルを空調装置の空気吸込口前面から取り外す際に、簡単な作業で吸込パネル本体の前面を被覆膜で覆い、吸込パネル本体の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0021】
また、被覆膜の他端部が固定された先端軸を巻取軸に近づけるように吸込パネル本体の前面に沿って移動させ、被覆膜を巻取軸に再び巻き付けることによって、被覆膜から吸込パネル本体の前面が再び露出される。したがって、吸込パネル本体を空調装置の空気吸込口前面に再び取り付ける際に、簡単な作業で吸込パネル本体の前面を被覆膜から露出させることができる。
【0022】
本発明の第2の態様に係る空調装置は、上記の吸込パネルを空気吸込口前面に備えている。
【0023】
この空調装置によれば、上記の吸込パネルと同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の吸込パネルまたはこれを備えた空調装置によれば、吸込パネル上に支持されたり吸込パネルに一体化されたりするエアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等の作業を行うために空調装置の空気吸込口前面から吸込パネルを取り外す際に、埃が堆積した吸込パネル本体の前面を予め被覆部で隠蔽するように覆った状態で吸込パネル本体を空調装置の空気吸込口前面から取り外すことにより、吸込パネル本体の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る吸込パネルを示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る吸込パネルにおいて、被覆部によって吸込パネル本体の前面が隠蔽される途中の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る吸込パネルにおいて、被覆部によって吸込パネル本体の前面が隠蔽された状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る吸込パネルを示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る吸込パネルにおいて、被覆部によって吸込パネル本体の前面が隠蔽される途中の状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る吸込パネルにおいて、被覆部によって吸込パネル本体の前面が被覆された状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る吸込パネルを示す斜視図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る吸込パネルの要部を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る吸込パネルの変形例の要部を示す拡大断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る吸込パネルにおいて、被覆部によって吸込パネル本体の前面が隠蔽される途中の状態を示す斜視図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る吸込パネルにおいて、被覆部によって吸込パネル本体の前面が隠蔽された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明に係る吸込パネルおよびこれを備えた空調装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図1から図3を用いて説明する。第1実施形態の吸込グリル(吸込パネル)1は、天井内に埋設されるタイプの空調装置(図示せず)の下面に設けられた空気吸込口の前面を覆うようにして取り付けて用いられる。
【0028】
図1に示すように、吸込グリル1は、吸込グリル本体(吸込パネル本体)11と、被覆部12とを備えている。吸込グリル本体11は、空気吸込口前面に対して脱着可能となるように略長方形の板状に形成され、空気吸込口前面に取り付けられた状態でこの空気吸込口に取り込まれる空気を通り抜けさせるように、格子状に配置されたリブの間に多数の隙間が形成されている。被覆部12は、吸込グリル本体11の前面を露出及び隠蔽可能となるように吸込グリル本体に対して動作可能に取り付けられている。吸込グリル1の裏側にはエアフィルタ(図示せず)が取り付けられ、このエアフィルタによって空気吸込口から空調装置の内部に取り込まれる空気から埃が取り除かれるようになっている。
【0029】
吸込グリル本体11は、図1に示すように、対称軸Aによって互いに対称な形状の第1の部分11aと第2の部分11bとに区分されている。被覆部12は、枠体13と、被覆膜17とを含んで構成されている。枠体13は、吸込グリル本体11のうち第1の部分11aあるいは第2の部分11bの外周に沿う略コ字形状に形成されている。また、枠体13の両端部14、15は、枠体13が吸込グリル本体11に対して揺動可能となるように、吸込グリル本体11の外周が対称軸Aと交差する部位に回動自在に取り付けられている。
【0030】
被覆膜17は、例えばポリエチレンシートによってプリーツ状に折り畳み可能に形成され、図2に示すように、一端部18が吸込グリル本体11の第1の部分11aの外周に固定され、他端部19が枠体13の中間部16に固定されている。被覆膜17は、図1に示すように枠体13の中間部16が吸込グリル本体11の第1の部分11a側に位置するときに、第1の部分11aの外周と枠体13の中間部16との間に折り畳まれて、吸込グリル本体11の前面を露出させる。この状態で、吸込グリル1は空調装置の空気吸込口の前面に取り付けられて用いられる。
【0031】
エアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等の作業を行うために吸込グリル1を空調装置の空気吸込口前面から取り外す際には、図2に示すように、枠体13を吸込グリル本体11の第1の部分11a側から第2の部分11b側に約180度回して移動させる。これによって、第1の部分11aの外周と枠体13の中間部16との間に折り畳まれていた被覆膜17が展張される。そして、図3に示すように、被覆膜17が吸込グリル本体11の前面を隠蔽するように吸込グリル本体11の前面に沿って延在するようになる。この被覆膜17の展張作業は、吸込グリル1が空調装置の空気吸込み口前面に取り付けられた状態、すなわち高所で行われる。しかし、枠体13を吸込グリル本体11の第1の部分11a側から第2の部分11b側に回すだけで被覆膜17が展張されるので、簡単な作業によって被覆膜17で吸込グリル本体11の前面を隠蔽するように覆うことができる。
【0032】
そして、この状態を保ちつつ吸込グリル1を空調装置の空気吸込口前面から取り外し、必要に応じて吸込グリル1の裏側に取り付けられたエアフィルタを取り外してエアフィルタの清掃あるいは交換を行う。
【0033】
エアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等の作業が終了したら、枠体13を吸込グリル本体11の第2の部分11b側から第1の部分11a側に戻すように移動させて、被覆膜17を吸込グリル本体11の第1の部分11aの外周と枠体13の中間部16との間に折り畳んで収納することによって、被覆膜17から吸込グリル本体11の前面を露出させる。そして、吸込グリル1を再び空調装置の空気吸込口前面に取り付ける。
【0034】
第1実施形態の吸込グリル1によれば、吸込グリル1上に支持されたエアフィルタの清掃や空調装置のメンテナンス等のために空調装置の空気吸込口前面から吸込グリル1を取り外す際に、埃が堆積した吸込グリル本体11の前面を予め被覆膜17で隠蔽するように覆った状態を保ちながら吸込グリル本体11を空調装置の空気吸込口前面から取り外すことにより、吸込グリル本体11の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0035】
具体的には、枠体13を吸込グリル本体11の第1の部分11a側から第2の部分11b側に移動させることによって、プリーツ状に形成され第1の部分11aの外周と枠体13の中間部16との間に折り畳まれていた被覆膜17が展張されて、被覆膜17が吸込グリル本体11の前面を隠蔽するように吸込グリル本体11の前面に沿って延在するようになる。したがって、吸込グリル1を空調装置の空気吸込口前面から取り外す際、簡単な作業で吸込グリル本体11の前面を被覆膜17で覆い、吸込グリル本体11の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0036】
また、枠体13を吸込グリル本体11の第2の部分11b側から第1の部分11a側に移動させるとともに、プリーツ状に形成された被覆膜17を吸込グリル本体11の第1の部分11aの外周と枠体13の中間部16との間に折り畳んで収納することによって、被覆膜17から吸込グリル本体11の前面が露出される。したがって、吸込グリル本体11を空調装置の空気吸込口前面に再び取り付ける際、吸込グリル本体11の前面を被覆膜17から簡単に露出させることができる。
【0037】
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態について、図4から図6を用いて説明する。
【0038】
図4に示すように、第2実施形態の吸込グリル(吸込パネル)2は、第1実施形態の吸込グリル1と同様に、天井内に埋設されるタイプの空調装置(図示せず)の下面に設けられた空気吸込口の前面を覆うようにして取り付けて用いられる。吸込グリル2の裏側にはエアフィルタ(図示せず)が取り付けられ、空気吸込口から空調装置の内部に取り込まれる空気から埃が取り除かれるようになっている。
【0039】
図4に示すように、吸込グリル2は、吸込グリル本体(吸込パネル本体)21と、被覆部22とを備えている。第2実施形態の吸込グリル2においては、吸込グリル本体21は、第1実施形態の吸込グリル1の吸込グリル本体11と同様に、空気吸込口前面に対して脱着可能となるように略長方形の板状に形成され、空気吸込口前面に取り付けられた状態でこの空気吸込口に取り込まれる空気を通り抜けさせるように形成されている。
【0040】
被覆部22は、吸込グリル本体21の前面を露出及び隠蔽可能となるように吸込グリル本体に対して動作可能に取り付けられている。被覆部22は、第1の巻取軸(巻取軸)23、第2の巻取軸(巻取軸)24、被覆膜25を含んで構成されている。図4に示すように、第1の巻取軸23と第2の巻取軸24は、吸込グリル本体21の互いに対向する二辺にそれぞれ沿うようにして回転自在に取り付けられている。
【0041】
被覆膜25は、例えばポリエチレンシートによって形成され、両端部が第1の巻取軸23と第2の巻取軸24とにそれぞれ巻き付けられた状態で吸込グリル本体21の前面に沿って延在している。図5に示すように、被覆膜25は、露出部26と隠蔽部28とを備えている。被覆膜25の露出部26は、吸込グリル本体21の前面を露出させるように形成された露出孔27を備えている。隠蔽部28は、吸込グリル本体21の前面を隠蔽するように形成されている。
【0042】
図4に示すように、隠蔽部28が第1の巻取軸23に巻き付けられているとき、露出部26の露出孔27は、吸込グリル本体21の前面の略全体を露出させる。この状態で、吸込グリル2は空調装置の空気吸込口の前面に取り付けられて用いられる。
【0043】
エアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等の作業を行うために吸込グリル2を空調装置の空気吸込口前面から取り外す際には、図5に示すように、第2の巻取軸24の一端部に設けられたダイヤル29を回すことによって、第2の巻取軸24に被覆膜25の露出部26を巻き付けていく。この際、第1の巻取軸23に内蔵されたバネの復元力によって被覆膜25が第1の巻取軸23に巻き戻されようとするが、第2の巻取軸24の軸受部(図示せず)に生じる摩擦力によって、被覆膜25は第1の巻取軸23側に引き戻されることなく、被覆膜25は第1の巻取軸23と第2の巻取軸24との間にたるまずに展張された状態が常に保たれる。これによって、第1の巻取軸23に巻き付けられていた被覆膜25の隠蔽部28が展張されて吸込グリル本体21の前面の略全体を隠蔽するように吸込グリル本体21の前面に沿って延在するようになる。
【0044】
そして、この状態を保ちつつ吸込グリル2を空調装置の空気吸込口前面から取り外し、必要に応じて吸込グリル2の裏側に取り付けられたエアフィルタを取り外して清掃あるいは交換を行う。
【0045】
エアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等の作業が終了したら、ダイヤル29を逆方向に回すことによって第2の巻取軸24から被覆膜25の露出部26を繰り出していく。すると、第1の巻取軸23に内蔵されたバネの復元力によって被覆膜25の隠蔽部28が第1の巻取軸23に巻き付けられていき、被覆膜25の露出部26の露出孔27から吸込グリル本体11の前面が再び露出される。そして、吸込グリル1を再び空調装置の空気吸込口前面に取り付ける。
【0046】
第2実施形態の吸込グリル2によれば、吸込グリル2上に支持されたエアフィルタの清掃や空調装置のメンテナンス等のために空調装置の空気吸込口前面から吸込グリル2を取り外す際に、埃が堆積した吸込グリル本体21の前面を予め被覆膜25の隠蔽部28で隠蔽するように覆った状態で吸込グリル本体21を空調装置の空気吸込口前面から取り外すことにより、吸込グリル本体21の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0047】
具体的には、被覆膜25の露出部26を第2の巻取軸24に巻き付けることによって、第1の巻取軸23に巻き付けられていた被覆膜25の隠蔽部28が展張されて、吸込グリル本体21の前面を隠蔽するように吸込グリル本体21の前面に沿って延在するようになる。したがって、吸込グリル2を空調装置の空気吸込口前面から取り外す際、簡単な作業で吸込グリル本体21の前面を被覆膜25の隠蔽部28で覆い、吸込グリル本体21の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0048】
また、被覆膜25の隠蔽部28を第1の巻取軸23に巻き付けることによって、吸込グリル2を空調装置の空気吸込口前面から取り外す際に第2の巻取軸24の一方に巻き付けた被覆膜25の露出部26が展張されて、吸込グリル本体21の前面に沿って延在するようになり、露出部26の露出孔27から吸込グリル本体21の前面が露出される。したがって、吸込グリル本体21を空調装置の空気吸込口前面に再び取り付ける際、簡単な作業で吸込グリル本体21の前面を露出部の露出孔から露出させることができる。
【0049】
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態について、図7から図11を用いて説明する。
【0050】
図7に示すように、第3実施形態の吸込グリル(吸込パネル)3は、第1実施形態及び第2実施形態の吸込グリル1、2と同様に、天井内に埋設されるタイプの空調装置(図示せず)の下面に設けられた空気吸込口の前面を覆うようにして取り付けて用いられる。吸込グリル3の裏側にはエアフィルタ(図示せず)が取り付けられ、空気吸込口から空調装置の内部に取り込まれる空気から埃が取り除かれるようになっている。
【0051】
図7に示すように、吸込グリル3は、吸込グリル本体(吸込パネル本体)31と、被覆部32とを備えている。第3実施形態の吸込グリル3においては、吸込グリル本体31は、第1実施形態及び第2実施形態の吸込グリル1、2の吸込グリル本体11、21と同様に、空気吸込口前面に対して脱着可能となるように略長方形の板状に形成され、空気吸込口前面に取り付けられた状態でこの空気吸込口に取り込まれる空気を通り抜けさせるように形成されている。
【0052】
被覆部32は、吸込グリル本体31の前面を露出及び隠蔽可能となるように吸込グリル本体に対して動作可能に取り付けられている。被覆部32は、巻取軸33と、先端軸34と、被覆膜35とを含んで構成されている。巻取軸33は、吸込グリル本体31の一辺に沿うようにして回転自在に取り付けられている。先端軸34は、吸込グリル本体31の前面に沿って巻取軸33の長さ方向と略直角な方向に移動可能となるように、吸込グリル本体31に支持されている。被覆膜35は、例えばポリエチレンシートによって形成されている。被覆膜35の一端部36は巻取軸33に巻き付けられ、被覆膜35の他端部37は先端軸34に固定されている。
【0053】
図8は、先端軸34が吸込グリル本体31に支持される構造を示す、要部拡大図である。先端軸34の両端部には、略T字状の断面形状を有する突出部39が形成されている。また、先端軸34の突出部39に対応する断面形状を有する溝部38が、吸込グリル本体31の巻取軸33が取り付けられた辺を挟む2辺に沿って延在するように形成されている。そして、先端軸34の両端部の突出部39が、吸込グリル本体31の溝部38に係入されている。この構成により、先端軸34は、巻取軸33の長さ方向と略直角な方向に、吸込グリル本体31の前面に沿って移動可能とされている。
【0054】
また、図9は、先端軸34が吸込グリル本体31に支持される構造の変形例を示す、要部拡大図である。この変形例においては、先端軸34の両端部には、略T字状の断面形状を有する溝部39’が形成されている。また、先端軸34の溝部39’に対応する断面形状を有する突出部38’が、吸込グリル本体31の巻取軸33が取り付けられた辺を挟む2辺に沿って延在するように形成されている。そして、吸込グリル本体31の突出部38’が、先端軸34の両端部の溝部39’に係入されている。このような構成により、先端軸34は、吸込グリル本体31の前面に沿って巻取軸33の長さ方向と略直角な方向に移動可能とされていてもよい。
【0055】
先端軸34が巻取軸33に最も近づいた位置にあるとき、被覆膜35の略全体は巻取軸33に巻き付けられて、吸込グリル本体31の前面の略全体を露出させる。この状態で、吸込グリル2は空調装置の空気吸込口の前面に取り付けられて用いられる。
【0056】
吸込グリル3を空調装置の空気吸込口前面から取り外す際には、図10に示すように、先端軸34を巻取軸33から遠ざかるように吸込グリル本体31の前面に沿って移動させることによって、巻取軸33に巻き付けられた被覆膜35を吸込グリル本体31の前面に展張させていく。この際、巻取軸33に内蔵されたバネの復元力によって被覆膜35が巻取軸33に巻き戻されようとするが、先端軸34の突出部39あるいは溝部39’と吸込グリル本体31の溝部38あるいは突出部38’に生じる摩擦力によって、先端軸34と被覆膜35は巻取軸33側に引き戻されることなく、被覆膜35は巻取軸33と先端軸34との間にたるまずに展張された状態が保たれる。これによって、巻取軸33に巻き付けられていた被覆膜35が展張されて、吸込グリル本体31の前面の略全体を隠蔽するように吸込グリル本体31の前面に沿って延在するようになる。
【0057】
そして、この状態を保ちつつ吸込グリル3を空調装置の空気吸込口前面から取り外す。この状態で、吸込グリル3の裏側に取り付けられたエアフィルタを取り外して清掃あるいは交換を行う。
【0058】
エアフィルタの清掃、交換や空調装置のメンテナンス等の作業が終了したら、先端軸34を巻取軸33に近づけるように吸込グリル本体31の前面に沿って移動させることによって、巻取軸33に内蔵されたバネの復元力によって被覆膜35が巻取軸33に巻き付けられていき、被覆膜35から吸込グリル本体31の前面が再び露出される。そして、吸込グリル3を再び空調装置の空気吸込口前面に取り付ける。
【0059】
第3実施形態の吸込グリル3によれば、吸込グリル3上に支持されたエアフィルタの清掃や空調装置のメンテナンス等のために空調装置の空気吸込口前面から吸込グリル3を取り外す際に、埃が堆積した吸込グリル本体31の前面を予め被覆膜35で隠蔽するように覆った状態を保ちながら吸込グリル本体31を空調装置の空気吸込口前面から取り外すことにより、吸込グリル本体31の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0060】
具体的には、被覆膜35の他端部37が固定された先端軸34を巻取軸33から遠ざかるように吸込グリル本体31の前面に沿って移動させることによって、巻取軸33に巻き付けられていた被覆膜35が吸込グリル本体31の前面の略全体を隠蔽するように吸込グリル本体31の前面に沿って延在するようになる。したがって、吸込グリル31を空調装置の空気吸込口前面から取り外す際、簡単な作業で吸込グリル本体31の前面を被覆膜で覆い、吸込グリル本体31の表面に堆積した埃が空調装置の下方の室内に落下することを簡単に防止できる。
【0061】
また、被覆膜35の他端部37が固定された先端軸34を巻取軸33に近づけるように吸込グリル本体31の前面に沿って移動させ、被覆膜35を巻取軸33に巻き付けることによって、被覆膜35から吸込グリル本体31の前面が露出される。したがって、吸込グリル本体31を空調装置の空気吸込口前面に再び取り付ける際、簡単な作業で吸込グリル本体31の前面を被覆膜から露出させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1、2、3 吸込グリル(吸込パネル)
11、21、31 吸込グリル本体(吸込パネル本体)
12、22、32 被覆部
13 枠体
14、15 両端部
16 中間部
17、25、35 被覆膜
18、36 一端部
19、37 他端部
23 第1の巻取軸(巻取軸)
24 第2の巻取軸(巻取軸)
26 露出部
27 露出孔
28 隠蔽部
33 巻取軸
34 先端軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置の空気吸込口前面に取り付けて用いられる吸込パネルであって、
前記空気吸込口前面に対して脱着可能となるように略板状に形成され、前記空気吸込口前面に取り付けられた状態で該空気吸込口に取り込まれる空気を通り抜けさせる吸込パネル本体と、
前記吸込パネル本体の前面を露出及び隠蔽可能となるように前記吸込パネル本体に対して動作可能に取り付けられた被覆部と
を備えることを特徴とする吸込パネル。
【請求項2】
前記吸込パネル本体は略線対称形状に形成され、
前記被覆部は、
前記吸込パネル本体の前記略線対称形状の対称軸の両側に位置する第1の部分と第2の部分とのうち第1の部分の外周に沿う略コ字形状に形成され、前記吸込パネル本体に対して揺動可能となるように両端部が該吸込パネル本体の外周が前記対称軸と交差する部位に回動自在に取り付けられた枠体と、
一端部が前記吸込パネル本体の前記第1の部分の外周に固定され、他端部が前記枠体の中間部に固定された被覆膜と
を含み、
前記被覆膜はプリーツ状に折り畳み可能に形成され、前記枠体が前記吸込パネル本体の前記第1の部分側に位置するときに該第1の部分の外周と前記枠体の中間部との間に折り畳まれて前記吸込パネル本体の前面を露出させ、前記枠体が前記吸込パネル本体の前記第2の部分側に位置するときに展張されて前記吸込パネル本体の前面を隠蔽するように該吸込パネル本体の前面に沿って延在すること
を特徴とする請求項1に記載の吸込パネル。
【請求項3】
前記吸込パネル本体は略長方形状に形成され、
前記被覆部は、
前記吸込パネル本体の互いに対向する二辺にそれぞれ沿うようにして取り付けられた一対の巻取軸と、
両端部が前記一対の巻取軸に巻き付けられた状態で前記吸込パネル本体の前面に沿って延在する被覆膜と
を含み、
前記被覆膜は、前記吸込パネル本体の前面を露出させるように形成された露出孔を備える露出部と、前記吸込パネル本体の前面を隠蔽するように形成された隠蔽部とを備え、前記隠蔽部が前記一対の巻取軸の一方に巻き付けられているとき前記露出部の前記露出孔は前記吸込パネル本体の前面の略全体を露出させ、前記露出部が前記一対の巻取軸の他方に巻き付けられているとき前記隠蔽部は前記吸込パネル本体の前面の略全体を隠蔽すること
を特徴とする請求項1に記載の吸込パネル。
【請求項4】
前記吸込パネル本体は略長方形状に形成され、
前記被覆部は、
前記吸込パネル本体の一辺に沿うようにして取り付けられた巻取軸と、
前記吸込パネル本体の前面に沿って前記巻取軸の長さ方向と略直角な方向に移動可能となるように前記吸込パネル本体に支持された先端軸と、
一端部が前記巻取軸に巻き付けられ、他端部が前記先端軸に固定された被覆膜と
を含み、
前記先端軸が前記巻取軸に最も近づいた位置にあるとき、前記被覆膜の略全体は前記巻取軸に巻き付けられて前記吸込パネル本体の前面の略全体を露出させ、前記先端軸が前記巻取軸から最も遠ざかった位置にあるとき、前記被覆膜は前記吸込パネル本体の前面の略全体を隠蔽するように該吸込パネルの前面に沿って延在すること
を特徴とする請求項1に記載の吸込パネル。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載された吸込パネルを空気吸込口前面に備えていることを特徴とする空調装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−112250(P2011−112250A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267440(P2009−267440)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】