説明

空調装置

【課題】台数制御で停止している冷却ファンの箇所に発生する逆流現象を無くして熱交換風量の損失を防ぎ、かつ、高効率な熱交換を実現して省エネルギー化に寄与する空調装置を提供する。
【解決手段】複数台の熱交換器を収納する筐体13に、複数台熱交換器と各々対応する複数の通気窓14を設けるとともに、該各通気窓14に筐体13内の空気を外部に排出する冷却ファン16をそれぞれ設置し、かつ、負荷に応じて少なくとも冷却ファン16の運転台数を制御する空調装置11において、各通気窓14に、冷却ファン16の運転・停止に連動して通気窓14を開閉するシャッター17を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空調装置に関するものであり、特に、複数台の熱交換器及び冷却ファンの運転台数を負荷需要に応じて増減する空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数台の熱交換器を収納する筐体に、該複数台熱交換器と各々対応する通気窓を設けるとともに、該各通気窓に筐体内の空気を外部に排出する冷却ファンをそれぞれ設置し、かつ、熱交換器及び冷却ファンの運転台数を負荷に応じて制御する空調装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような空調装置は、熱交換器及び冷却ファンの運転台数の制御により負荷変動への対応と省エネルギー運転とが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−283051号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の空調装置は、負荷の需要に応じて熱交換器及び冷却ファンの運転台数の制御を行い、該負荷の変動に対応している。しかしながら、このような台数制御では、運転している冷却ファンが筐体内にマイナスの圧力(負圧)を発生させ、該負圧が停止している冷却ファンの箇所に外気を筐体の内部に吸い込む逆流現象を発生させる。その結果、熱交換風量が減少して空調装置の能力低下及びエネルギーロスが生じるという問題点があった。また、該逆流現象は、停止している冷却ファンに逆回転を起こさせ、該冷却ファンが台数制御によって起動した時に過剰トルクが発生して、該冷却ファン及び電動機が破損するという問題点があった。
【0006】
そこで、台数制御で停止している冷却ファンの箇所に発生する逆流現象を無くして熱交換風量の損失を防ぎ、かつ、冷却ファンと電動機の故障を防ぎ、高効率で安定した熱交換を実現して省エネルギー化に寄与するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、複数台の熱交換器を収納する筐体に、前記複数台の熱交換器と各々対応する複数の通気窓を設けるとともに、該各通気窓に前記筐体内の空気を外部に排出する冷却ファンをそれぞれ設置し、かつ、負荷に応じて前記冷却ファンの運転台数を制御する空調装置において、前記各通気窓に、前記冷却ファンの運転・停止に連動して該通気窓を開閉するシャッターを設けた空調装置を提供する。
【0008】
この構成によれば、ファン台数制御で停止している冷却ファンが設置されている箇所の通気窓はシャッターで閉じられ、通気が遮断される。したがって、筐体内が負圧になっても該通気窓から外気が筐体内に取り込まれることがなくなる。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の空調装置において、上記シャッターの開度を上記負荷に応じて調整可能にして成る空調装置を提供する。
【0010】
この構成によれば、シャッターの開度を負荷または筐体内の負圧に応じて調整できる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の空調装置において、上記シャッターは、上記通気窓を覆って上記冷却ファンの外側に設けた空調装置を提供する。
【0012】
この構成によれば、ファン台数制御または全ての運転休止によって冷却ファンの一部または全てが停止しているとき、該停止している冷却ファンはそれぞれ外側からシャッターで覆われて保護される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明は、ファン台数制御で停止している冷却ファンが設置されている箇所の通気窓はシャッターにより閉じられ、通気を遮断するようにしておくので、停止している冷却ファンが設置されている箇所での空気の逆流現象は起きることがなく、外気を筐体内に吸い込むことによって発生する熱交換風量の減少を防ぐことができる。また、停止している冷却ファンの逆回転が無く、起動時の過剰トルクによる該冷却ファン及び電動機の破損を防ぐことができる。これにより、高効率で安定した熱交換が可能になり、省エネルギー化に寄与する効果が期待できる。
【0014】
請求項2記載の発明は、シャッターの開度を負荷または筐体内の負圧に応じて調整することができるので、請求項1記載の発明の効果に加えて、負荷または筐体内の負圧に応じてシャッターの開度を細かく調整制御することができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、ファン台数制御または全運転休止によって冷却ファンの一部または全てが停止しているとき、停止している冷却ファンの外側をシャッターで覆って保護しておくことができるので、特に寒冷地等では停止時における冷却ファンの凍結や雪の侵入を防止することができ、また、寒冷地以外でも外部からのゴミ等の侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す図であり、シャッターを閉じた状態で示す空調装置の概略外観斜視図。
【図2】本発明の実施例を示す図であり、シャッターを筐体から分離させた状態で示す空調装置の概略外観斜視図。
【図3】図1のA−A線に相当する部分の概略断面図で、シャッターを全閉にした状態で示す図。
【図4】図1のA−A線に相当する部分の概略断面図で、シャッターを半開にした状態で示す図。
【図5】図1のA−A線に相当する部分の概略断面図で、シャッターを全開にした状態で示す図。
【図6】本発明の実施例におけるシャッターの動作説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、台数制御で停止している冷却ファンの箇所に発生する逆流現象を無くして熱交換風量の損失を防ぎ、かつ、冷却ファンと電動機の故障を防ぎ、高効率で安定した熱交換を実現して省エネルギー化に寄与するという目的を達成するために、複数台の熱交換器を収納する筐体に、前記複数台の熱交換器と各々対応する複数の通気窓を設けるとともに、該各通気窓に前記筐体内の空気を外部に排出する冷却ファンをそれぞれ設置し、かつ、負荷に応じて前記冷却ファンの運転台数を制御する空調装置において、前記各通気窓に、前記冷却ファンの運転・停止に連動して該通気窓を開閉するシャッターを設けたことによ
り実現した。
【実施例】
【0018】
以下、本発明の空調装置について、好適な実施例を添付図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は本発明に係る空調装置を示す。以下の説明において、図1の上下方向を上下として説明する。
【0019】
図1及び図2において、この空調装置11は、熱交換器(図示せず)を4台備えた大型冷凍機であり、枠体12で直方体形状に形成された筐体13の上面には、前記熱交換器と各々対応する4個の通気窓14,14,14,14がそれぞれ格子状のカバー15,15,15,15で覆われて設けられている。また、該各通気窓14,14,14,14内には、図3乃至図4に示すようにそれぞれ冷却ファン16が設置されている。
【0020】
そして、該筐体13では、冷却ファン16,16,16,16が駆動されると、前後面及び側面側から外気が吸い込まれて熱交換器を通過して該熱交換器を熱交換により冷却し、かつ、暖かくなった空気が通気窓14,14,14,14を通って上方に吹き出される構造になっている。また、ここでの冷却ファン16,16,16,16及び熱交換器は、負荷に応じて台数が選択される。すなわち、負荷が少ない場合は1台の冷却ファン16とこれに対応した1台の熱交換器が運転され、負荷が大きくなるに従って2台の冷却ファン16,16とこれに対応した2台の熱交換器と順に増加し、最大では4台の冷却ファン16,16,16,16とこれに対応した4台の熱交換器が運転される。
【0021】
一方、筐体13の上面外側には、前記カバー15を含めて前記通気窓14の外側全体を覆うようにして、各通気窓14,14,14,14を個々に開閉することが可能なシャッター17,17,17,17が取り付けられている。
【0022】
前記各シャッター17,17,17,17は、図3〜図5に示すように、矩形状のシャッター枠体18と、該シャッター枠体18に回転自在に取り付けられた回転軸19,19,19,19と、該各回転軸19,19,19,19に一体に取り付けられた回転翼片20,20,20,20と、シャッター枠体18の外側に取り付けられた駆動部21等により構成されている。また、シャッター枠体18の内面には、図3〜図5に示すように前記回転翼片20,20,20,20の閉方向への回転を規制する閉側ストッパー22,22,22,22と、開方向への回転を規制する開側ストッパー23,23,23,23がそれぞれ設けられている(図6に詳細に示す)。
【0023】
そして、該各シャッター17は、冷却ファン16が停止している状態においては、回転翼片20の自重により閉方向に回転し、図3に示すように回転翼片20が閉側ストッパー22と当接するまで各回転軸19,19,19,19が時計回り方向に回転されると全閉状態となり、通気窓14を全閉に保持する。
【0024】
一方、図4及び図5に示すように冷却ファン16が駆動している状態においては、回転翼片20が風圧によって押し上げられて各回転軸19,19,19を反時計回り方向に回転させると、各回転翼片20,20,20,20が該回転軸19,19,19,19と一体に回転する。また、各回転翼片20,20,20,20が開側ストッパー23,23,23,23と当接した図5に示す位置まで回転されると全開状態になる。なお、図4は回転翼片20,20,20,20が半開位置で回転された状態を示す。また、各回転翼片20,20,20,20が開いている状態で、駆動部21が時計回り方向に回転されると、シャッター17を全閉方向に操作することができる。
【0025】
なお、該シャッター17,17,17,17を開閉する駆動部21,21,21,21の駆動
は、冷却ファン16,16,16,16の運転・停止に連動しており、冷却ファン16が駆動されると該冷却ファン16に対応している駆動部21,21,21,21が回転翼片20,20,20,20を回転軸19,19,19,19と共に開方向に駆動させてシャッター17を開き、該冷却ファン16の運転が停止されると該冷却ファン16に対応している駆動部21,21,21,21が回転翼片20,20,20,20を回転軸19,19,19,19と共に閉方向に駆動させてシャッター17を閉じる。また、各シャッター17は、熱交換器のインバータ制御等に連動してシャッター開度を任意に調整することができる構造になっている。
【0026】
したがって、本実施例の構造による空調装置によれば、冷却ファン16,16,16,16の台数制御で停止している冷却ファンが設置されている箇所の通気窓14はシャッター17で閉じられて通気が遮断されるので、停止している冷却ファン16が設置されている箇所での空気の逆流現象は無くなり、外気との熱交換風量の減少を防ぐことができる。これにより、高効率な熱交換が可能となり、省エネルギー化に寄与する。
【0027】
また、シャッター17の開度を負荷または筐体内の負圧に応じて調整することができるので、負荷または筐体内の負圧に応じてシャッター17の開度を細かく調整制御することができる。
【0028】
さらに、冷却ファンの台数制御または全運転休止によって冷却ファン16,16,16,16の一部または全てが停止しているとき、停止している冷却ファンの外側はシャッター17で覆って保護しておくことができるので、特に寒冷地等では停止時における冷却ファンの凍結や雪の侵入を防止することができ、また、寒冷地以外でも外部からのゴミ等の侵入を防止することができることになる。
【0029】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は冷却塔のファン台数制御にも、逆流防止装置として応用することができる。
【符号の説明】
【0031】
11 空調装置
12 枠体
13 筐体
14 通気窓
15 カバー
16 冷却ファン
17 シャッター
18 シャッター枠体
19 回転軸
20 回転翼片
21 駆動部
22 閉側ストッパー
23 開側ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の熱交換器を収納する筐体に、前記複数台の熱交換器と各々対応する複数の通気窓を設けるとともに、該各通気窓に前記筐体内の空気を外部に排出する冷却ファンをそれぞれ設置し、かつ、負荷に応じて前記冷却ファンの運転台数を制御する空調装置において、
前記各通気窓に、前記冷却ファンの運転・停止に連動して該通気窓を開閉するシャッターを設けたことを特徴とする空調装置。
【請求項2】
上記シャッターの開度を上記負荷に応じて調整可能にして成ることを特徴とする請求項1記載の空調装置。
【請求項3】
上記シャッターは、上記通気窓を覆って上記冷却ファンの外側に設けたことを特徴とする請求項1または2記載の空調装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−12613(P2011−12613A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158156(P2009−158156)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(592031318)富士古河E&C株式会社 (7)
【Fターム(参考)】