説明

空調設備

【課題】外気冷房を有効利用することで省エネを図りつつ、湿度の管理を容易に適切に行うことのできる空調設備を提供する。
【解決手段】サーバー室10の空調設備において、外気取入口13から外気を床下吹出室11に導入し、サーバー室10から排出される空気のうち、外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を排気口14を通して外部に排出すると共に、残りの空気をリターンチャンバ12を通して床下吹出室11にリターンさせ、そのリターン空気に第2のミスト吹付装置22によりミストを吹き付ける第1の運転モードと、外気取入口13から外気を床下吹出室11に導入し、導入する外気に第1のミスト吹付装置21によりミストを吹き付けると共に、サーバー室10から排出される空気の全量を排気口14を通して外部に排出する第2の運転モードと、を切り替えられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、サーバー等の高発熱の電子装置が多数設置されたデータセンターのコンピュータ室のような部屋を空調するのに適した空調設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデータセンターのコンピュータ室の空調設備においては、一般的に、空気調和機からの冷気を床下からサーバー等のラックに送風し、天井からの排気を空気調和機に循環させている。この際、サーバー等は年間を通して非常に大きな発熱があるため、冷却するための多大なエネルギーを空気調和機に投入する必要があった。
【0003】
この空気調和機に投入するエネルギーの削減のために、外気冷房を有効活用することが注目されており、特許文献1にその一例が示されている。この特許文献1に記載の空調設備では、戸外から外気を取り入れ、取り入れた外気を冷却コイルや加湿器で調和処理した上で、室内に吹き出している。また、外気条件がコンピュータ室に適合する場合は、そのままコンピュータ室に外気を導入して戸外に排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010ー261696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンピュータ室の空調を行う場合は、温度の他に特に湿度を適切に管理する必要がある。湿度が高すぎると結露や電気回路の短絡といった問題が生じるおそれがあり、また、湿度が低過ぎると静電気による障害が生じるおそれがあるからである。しかし、上述した特許文献1に記載の空調設備では、外気冷房を有効活用して省エネを図りながら、湿度をうまく適正に制御することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、上記事情を考慮し、外気冷房を有効利用することで省エネを図りつつ、湿度の管理を容易に適切に行うことのできる空調設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明の空調設備は、空調対象室と、該空調対象室の床下に配され、床を通して前記空調対象室の内部へ調和処理された空気を吹き出す床下吹出室と、該床下吹出室に外気を導入する外気取入口と、該外気取入口から前記床下吹出室へ導入する外気にミストを吹き付ける第1のミスト吹付装置と、前記空調対象室の空気を外部に排出する排気口と、前記空調対象室の壁の外側に配され、上部連通口により前記空調対象室の上部空間に連通し且つ下部連通口により前記床下吹出室に連通し、前記上部連通口を通して前記空調対象室から排出されてくる空気を前記下部連通口を通して前記床下吹出室にリターンさせるリターンチャンバと、該リターンチャンバを通過するリターン空気にミストを吹き付ける第2のミスト吹付装置と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の空調設備において、前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、前記空調対象室から排出される空気のうち、前記外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を前記排気口を通して外部に排出すると共に、残りの空気を前記リターンチャンバを通して前記床下吹出室にリターンさせ、そのリターン空気に前記第2のミスト吹付装置によりミストを吹き付ける第1の運転モードと、前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、導入する外気に前記第1のミスト吹付装置によりミストを吹き付けると共に、前記空調対象室から排出される空気の全量を前記排気口を通して外部に排出する第2の運転モードと、を択一的に選択する運転モード選択手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の空調設備において、前記外気取入口が前記リターンチャンバの下部の壁に開口され、前記排気口が前記リターンチャンバの上部の壁に開口され、前記第1のミスト吹付装置が、前記リターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口より上流側の前記外気取入口の直後に配置され、前記第2のミスト吹付装置が、前記リターンチャンバの上部と下部の中間に配置され、
さらに、前記リターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口の付近に除湿材の除湿位置が設定されて該除湿位置に通過空気を除湿するための除湿材が配置され、また、前記リターンチャンバと前記空調対象室とを連通する上部連通口の付近に除湿材の再生位置が設定されて該再生位置に通過空気により除湿機能の再生が行われる除湿材が配されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1に記載の空調設備において、前記第2のミスト吹付装置を備えたリターンチャンバが第1のリターンチャンバとされ、前記空調対象室の壁の外側に、前記第1のリターンチャンバとは別に、上部連通口により前記空調対象室の上部空間に連通し且つ下部連通口により前記床下吹出室に連通し、前記上部連通口を通して前記空調対象室から排出される空気を前記下部連通口を通して前記床下吹出室にリターンさせる第2のリターンチャンバが設けられ、該第2のリターンチャンバに、前記上部連通口を通して前記空調対象室から排出される空気を調和処理した上で前記下部連通口を通して前記床下吹出室に送出する空調機が配置され、前記第2のリターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口の付近に除湿材の除湿位置が設定されて該除湿位置に通過空気を除湿するための除湿材が配置され、前記第2のリターンチャンバと前記空調対象室とを連通する上部連通口の付近に除湿材の再生位置が設定されて該再生位置に通過空気により除湿機能の再生が行われる除湿材が配されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載の空調設備において、前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、前記空調対象室から排出される空気のうち、前記外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を前記排気口を通して外部に排出すると共に、残りの空気を前記第1のリターンチャンバを通して前記床下吹出室にリターンさせ、そのリターン空気に前記第2のミスト吹付装置によりミストを吹き付ける第1の運転モードと、前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、導入する外気に前記第1のミスト吹付装置によりミストを吹き付けると共に、前記空調対象室から排出される空気のうち、前記外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を前記排気口を通して外部に排出し、残りの空気を前記第2のリターンチャンバを通して前記空調機により調和処理しながら前記床下吹出室にリターンさせ、その際、前記第2のリターンチャンバの下部連通口に配した除湿材により通過空気を除湿し、前記第2のリターンチャンバの上部連通口に配した除湿材の除湿機能を通過空気により再生させる第2の運転モードと、を択一的に選択する運転モード選択手段を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項4または5に記載の空調設備において、前記空調対象室が平面視長方形の部屋として構成され、前記空調対象室の一方の対向2壁の外側に前記第1のリターンチャンバが設けられると共に、前記空調対象室の他方の対向2壁の外側に前記第2のリターンチャンバが設けられ、前記外気取入口が前記第1のリターンチャンバの下部の壁に開口され、前記排気口が前記第1のリターンチャンバの上部の壁に開口され、前記第1のミスト吹付装置が、前記第1のリターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口より上流側の前記外気取入口の直後に配置され、前記第2のミスト吹付装置が、前記リターンチャンバの上部と下部の中間に配置されており、前記第1のリターンチャンバの下部連通口を通過した空気と前記第2のリターンチャンバの下部連通口を通過した空気とが前記床下吹出室で混合された上で前記空調対象室に吹き出されることを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項3〜6のいずれか1項に記載の空調設備において、前記除湿位置にある除湿材と前記再生位置にある除湿材とが、相互に位置を交換できるように配されていることを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7に記載の空調設備において、前記除湿材が高分子収集材よりなることを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の空調設備において、前記空調対象室が、サーバー等の高発熱の電子機器が設置されたデータセンターのコンピュータ室であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、外気取入口から床下吹出室へ導入する外気に第1のミスト吹付装置によりミストを吹き付けることによって、導入する外気を加湿冷却することができるので、特に夏期において外気冷房の効果を有効に発揮することができて、省エネを図ることができる。また、空調対象室から排出された温度の高いリターン空気に対して第2のミスト吹付装置によりミストを吹き付けることによって、加湿効率を高めることができるので、特に冬期において空調対象室の湿度を良好に保つことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、冬期と夏期に運転モードを切り替えることにより、通年にわたり外気冷房の効果を発揮することができて、省エネを図ることができる。即ち、冬期や中間期の一部では、第1の運転モードを選択する。そうすることにより、外気取入口から乾燥した低温の外気を床下吹出室に導入し、導入外気量に見合った量の空気を排気口から排出する。また、残りの空気をリターンチャンバを通して床下吹出室にリターンし、リターン空気に第2のミスト吹付装置からミストを吹き付けることにより、加湿と冷却を行う。この際、温度の高いリターン空気にミストを吹き付けるので、加湿効率を高めることができ、空調対象室の温度と湿度を良好に保つことができる。また、夏期と中間期の一部では、第2の運転モードを選択する。そうすることにより、外気取入口から外気を床下吹出室に導入し、その導入する外気に第1のミスト吹付装置からミストを吹き付けて外気を加湿冷却し、空調対象室からの排気はリターンせずに全量を屋外に排出する。このように、ミストの吹き付けにより冷却効果を発揮するので、省エネを図ることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、外気取入口がリターンチャンバの下部の壁に開口しているので、リターンチャンバを通って来たリターン空気と外気取入口から導入する外気を、リターンチャンバの下部空間で混合しながら床下吹出室に導入することができる。その際、主に夏場においては、外気取入口の直後に配置した第1のミスト吹付装置により、導入した外気に対してミストを吹き付けることで、外気を加湿冷却することができる。また、排気口がリターンチャンバの上部の壁に開口しているので、空調対象室から排出されて来た空気を排気口から排出する排気とリターン空気とに分流し、リターン空気をリターンチャンバに流通させることができる。その際、主に冬場においては、リターンチャンバの上部と下部の中間に配置した第2のミスト吹付装置により、温度の高いリターン空気に対してミストを吹き付けることで、効率よくリターン空気を加湿冷却することができる。また、第1または第2のミスト吹付装置によって加湿された空気は、下部連通口の付近にある除湿材によって除湿された上で床下吹出室に導入されるので、良好な湿度に保たれた調和処理空気を空調対象室に給気することができる。また、空調対象室から排出される温度の高い空気は、上部連通口の付近の再生位置に配置された除湿材を通過するので、除湿材の除湿機能を再生させることができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、ミスト吹付装置を備えた第1のリターンチャンバとは別に、空調機を備えた第2のリターンチャンバが設けられており、その第2のリターンチャンバの下部連通口の付近に除湿材が配置されているので、例えば、夏期において、空調機により調和処理し除湿したリターン空気と、第1のミスト吹付装置によるミストの吹き付けにより加湿冷却された外気とを床下吹出室で混合しながら、空調対象室に給気することができる。また、空調対象室から第2のリターンチャンバに排出される温度の高い空気は、上部連通口の付近の再生位置に配置された除湿材を通過するので、除湿材の除湿機能を再生させることができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、冬期と夏期に運転モードを切り替えることにより、通年にわたり外気冷房の効果を発揮することができて、省エネを図ることができる。即ち、冬期や中間期の一部では、第1の運転モードを選択する。そうすることにより、外気取入口から乾燥した低温の外気を床下吹出室に導入し、導入外気量に見合った量の空気を排気口から排出する。また、残りの空気をリターンチャンバを通して床下吹出室にリターンし、リターン空気に第2のミスト吹付装置からミストを吹き付けることにより、加湿と冷却を行う。この際、温度の高いリターン空気にミストを吹き付けるので、加湿効率を高めることができ、空調対象室の温度と湿度を良好に保つことができる。また、夏期と中間期の一部では、第2の運転モードを選択する。そうすることにより、外気取入口から外気を床下吹出室に導入し、その導入する外気に第1のミスト吹付装置からミストを吹き付けて外気を加湿冷却する。このようにミストの吹き付けにより冷却効果を発揮するので、省エネを図ることができる。また、空調対象室からの排気のうち、外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を排気口を通して外部に排出し、残りの空気を第2のリターンチャンバを通して空調機により調和処理しながら床下吹出室にリターンさせる。その際、第2のリターンチャンバの下部連通口に配した除湿材により通過空気を除湿し、第2のリターンチャンバの上部連通口に配した除湿材の除湿機能を通過空気により再生させる。こうすることにより、外気冷房では足りない能力を空調機で補うことができ、空調対象室を良好な温湿度環境に保つことができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、平面視長方形の空調対象室の一方の対向2壁の外側に外気冷房用の第1のリターンチャンバを配置し、他方の対向2壁の外側に空調機を備えた第2のリターンチャンバを配置し、第1のリターンチャンバと第2のリターンチャンバを経由するリターン空気や外気を床下吹出室で合流させるので、外気冷房を有効に活用しながら不足する冷房分を空調機で補うことができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、除湿位置に配する除湿材と再生位置に配する除湿材を交換できるようしたので、除湿能力が飽和した除湿材を再生位置に配置し、既に再生位置に配することで除湿能力が再生した除湿材を除湿位置に配置することができ、それにより常に除湿能力を継続して発揮させることができる。
【0023】
請求項8の発明によれば、シリカゲルやゼオライト等に比べて低温再生性に優れた高分子収集材を除湿材として用いたので、空調対象室から排出される高めの温度の排気によって十分に除湿機能を再生させることができる。
【0024】
請求項9の発明によれば、発熱度の高いサーバー等の電子機器が多数設置されたコンピュータ室の内部を、外気冷房を有効活用することにより、省エネを図りながら適切な稼働環境に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態の空調設備の構成と空気の流れを示す図で、(a)は主に冬期に実行される第1の運転モード時の空気の流れを矢印で示す側面図、(b)は主に夏期に実行される第2の運転モード時の空気の流れを矢印で示す側面図である。
【図2】本発明の第2実施形態の空調設備の構成と空気の流れを示す図で、(a)は空調設備の平面図、(b)および(c)は(a)のIIbc−IIbc矢視断面図で、(b)は主に冬期に実行される第1の運転モード時の空気の流れを矢印で示す図、(b)は主に夏期に実行される第2の運転モード時の空気の流れを矢印で示す図である。
【図3】第2実施形態の作用説明に使用する空気線図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の空調設備の構成と空気の流れを示す図で、(a)は主に冬期に実行される第1の運転モード時の空気の流れを矢印で示す側面図、(b)は主に夏期に実行される第2の運転モード時の空気の流れを矢印で示す側面図である。
【0027】
この空調設備は、サーバー等の高発熱の電子機器が設置されたデータセンターのコンピュータ室である空調対象室(以下、「サーバー室」という)10と、サーバー室10の床10Fの下に配され、床10Fを通してサーバー室10の内部へ調和処理した空気を吹き出す床下吹出室11と、床下吹出室11に外気を導入する外気取入口13と、外気取入口13から床下吹出室11へ導入する外気にミストを吹き付ける第1のミスト吹付装置(第1のミストノズル)21と、サーバー室10の空気を外部に排出する排気口14と、サーバー室10の壁10Wの外側に配され、上部連通口15によりサーバー室10の上部空間に連通し且つ下部連通口16により床下吹出室11に連通し、上部連通口15を通してサーバー室10から排出されてくる空気を下部連通口16を通して床下吹出室にリターンさせるリターンチャンバ12と、リターンチャンバ12を通過するリターン空気にミストを吹き付ける第2のミスト吹付装置(第2のミストノズル)22と、を備えている。
【0028】
サーバー室10の内部には、間隔をおいて複数のサーバーラック1が配列され、サーバーラック1間には、サーバーを冷却する調和処理した空気が流れるコールドアイル2と、サーバー冷却後の調和処理した空気が流れるホットアイル3とが確保されている。また、サーバー室10の床10Fは、床下吹出室11からの風が吹き抜けるよう通風性が確保されている。また、ミスト吹付装置21、22は、通過空気に対してミクロンレベルの水蒸気ミストを吹き付けることができるようになっている。
【0029】
外気取入口13はリターンチャンバ12の下部の壁に開口され、排気口14はリターンチャンバ12の上部の壁に開口されている。第1のミスト吹付装置21は、リターンチャンバ12と床下吹出室11とを連通する下部連通口16より上流側の外気取入口13の直後に配置され、第2のミスト吹付装置22は、リターンチャンバ12の上部と下部の中間に配置されている。
【0030】
また、リターンチャンバ12と床下吹出室11とを連通する下部連通口16の付近に除湿材の除湿位置18Aが設定されており、その除湿位置18Aに、通過空気を除湿するための除湿材17が配置されている。また、リターンチャンバ12とサーバー室10とを連通する上部連通口15の付近に除湿材の再生位置18Bが設定されており、その再生位置18Bに通過空気により除湿機能の再生が行われる除湿材17が配されている。2つの除湿材17は、例えば、それぞれ上下方向に延びるガイド18に沿って上下方向に移動できるようになっており、一方の除湿材17を除湿位置18Aに移動すると、他方の除湿材17が再生位置18Bに移動し、一方の除湿材17を再生位置18Bに移動すると、他方の除湿材17が除湿位置18Aに移動し、相互に位置を交換できるようになっている。なお、除湿材17としては、低温再生性の優れた高分子収集材が採用されている。この高分子収集材は、例えば20℃〜80℃の温度で除湿機能を再生することができるものであり、コンピュータ室のような高温環境を冷却した後の排気で十分に除湿機能を回復することができる。
【0031】
また、この空調設備には、次の第1の運転モードと第2の運転モードを択一的に切り替える運転モード選択手段が備わっている。
即ち、図1(a)に示す冬期や一部の中間期に実施する第1運転モードでは、外気取入口13から外気を床下吹出室11に導入し、サーバー室10から排出される空気のうち、外気取入口13から導入した外気の量に見合った量の空気を排気口14を通して外部に排出すると共に、残りの空気をリターンチャンバ12を通して床下吹出室11にリターンさせ、そのリターン空気に第2のミスト吹付装置22によりミストを吹き付ける。また、図1(b)に示す夏期や一部の中間期に実施する第2の運転モードでは、外気取入口13から外気を床下吹出室11に導入し、導入する外気に第1のミスト吹付装置21によりミストを吹き付けると共に、サーバー室10から排出される空気の全量を排気口14を通して外部に排出する。
【0032】
このように、冬期と夏期に運転モードを切り替えることにより、通年にわたり外気冷房の効果を発揮することができて、省エネを図ることができる。即ち、冬期や中間期の一部では、第1の運転モードを選択することにより、外気取入口13から乾燥した低温の外気を床下吹出室11に導入し、導入外気量に見合った量の空気を排気口14から排出する。また、残りの空気をリターンチャンバ12を通して床下吹出室11にリターンし、リターン空気に第2のミスト吹付装置22からミストを吹き付けることにより、加湿と冷却を行う。この際、温度の高いリターン空気にミストを吹き付けるので、加湿効率を高めることができ、サーバー室10の温度と湿度を良好に保つことができる。また、夏期と中間期の一部では、第2の運転モードを選択することにより、外気取入口13から外気を床下吹出室11に導入し、その導入する外気に第1のミスト吹付装置21からミストを吹き付けて外気を加湿冷却し、サーバー室10からの排気はリターンせずに全量を屋外に排出する。
【0033】
従って、外気取入口13から床下吹出室11へ導入する外気に第1のミスト吹付装置21によりミストを吹き付けることによって、導入する外気を加湿冷却することができるので、特に夏期において外気冷房の効果を有効に発揮することができて、省エネを図ることができる。また、サーバー室10から排出された温度の高いリターン空気に対して第2のミスト吹付装置22によりミストを吹き付けることによって、加湿効率を高めることができるので、特に冬期においてサーバー室10の湿度を良好に保つことができる。
【0034】
また、この空調設備においては、外気取入口13がリターンチャンバ12の下部の壁に開口しているので、リターンチャンバ12を通って来たリターン空気と外気取入口13から導入する外気を、リターンチャンバ12の下部空間で混合しながら床下吹出室11に導入することができる。その際、主に夏場においては、外気取入口13の直後に配置した第1のミスト吹付装置21により、導入した外気に対してミストを吹き付けることで、外気を加湿冷却することができる。また、排気口14がリターンチャンバ12の上部の壁に開口しているので、サーバー室10から排出されて来た空気を排気口14から排出する排気とリターン空気とに分流し、リターン空気をリターンチャンバ12に流通させることができる。その際、主に冬場においては、リターンチャンバ12の上部と下部の中間に配置した第2のミスト吹付装置22により、温度の高いリターン空気に対してミストを吹き付けることで、効率よくリターン空気を加湿冷却することができる。また、第1または第2のミスト吹付装置22によって加湿された空気は、下部連通口16の付近にある除湿材17によって除湿された上で床下吹出室11に導入されるので、良好な湿度に保たれた調和処理空気をサーバー室10に給気することができる。また、サーバー室10から排出される温度の高い空気は、上部連通口15の付近の再生位置に配置された除湿材17を通過するので、除湿材17の除湿機能を再生させることができる。
【0035】
また、この空調設備においては、除湿位置18Aに配する除湿材17と再生位置18Bに配する除湿材17を交換できるようしたので、除湿能力が飽和した除湿材17を再生位置18Bに配置し、既に再生位置に配することで除湿能力が再生した除湿材17を除湿位置18Aに配置することができ、それにより常に除湿能力を継続して発揮させることができる。また、シリカゲルやゼオライト等に比べて低温再生性に優れた高分子収集材を除湿材として用いているので、サーバー室10から排出される高めの温度の排気によって十分に除湿機能を再生させることができる。
【0036】
以上のように、この空調設備によれば、発熱度の高いサーバー等の電子機器が多数設置されたサーバー室110の内部を、外気冷房を有効活用することにより、省エネを図りながら適切な稼働環境に保つことができる。
【0037】
<第2実施形態>
図2は第2実施形態の空調設備の構成と空気の流れを示す図で、(a)は空調設備の平面図、(b)および(c)は(a)のIIbc−IIbc矢視断面図で、(b)は主に冬期に実行される第1の運転モード時の空気の流れを矢印で示す図、(b)は主に夏期に実行される第2の運転モード時の空気の流れを矢印で示す図である。また、図3は第2実施形態の作用説明に使用する空気線図である。
【0038】
この空調設備は、サーバー等の高発熱の電子機器が設置されたデータセンターのコンピュータ室である空調対象室(以下、「サーバー室」という)110と、サーバー室110の床110Fの下に配され、床110Fを通してサーバー室110の内部へ調和処理した空気を吹き出す床下吹出室111と、床下吹出室111に外気を導入する外気取入口113と、外気取入口113から床下吹出室111へ導入する外気にミストを吹き付ける第1のミスト吹付装置(第1のミストノズル)121と、サーバー室110の空気を外部に排出する排気口114と、サーバー室110の壁110Wの外側に配され、上部連通口115Aによりサーバー室110の上部空間に連通し且つ下部連通口116Aにより床下吹出室111に連通し、上部連通口115Aを通してサーバー室110から排出されてくる空気を下部連通口116Aを通して床下吹出室にリターンさせる第1のリターンチャンバ112Aと、第1のリターンチャンバ112Aを通過するリターン空気にミストを吹き付ける第2のミスト吹付装置(第2のミストノズル)122と、サーバー室110の壁110Wの外側に第1のリターンチャンバ112とは別に設けられ、上部連通口115Bによりサーバー室110の上部空間に連通し且つ下部連通口116Bにより床下吹出室111に連通し、上部連通口115Bを通してサーバー室110から排出される空気を下部連通口116Bを通して床下吹出室111にリターンさせる第2のリターンチャンバ112Bと、第2のリターンチャンバ112B内に設置され、上部連通口115Bを通してサーバー室110から排出される空気を調和処理した上で下部連通口116Bを通して床下吹出室111に送出する空調機150と、を備えている。
【0039】
サーバー室110の内部には、間隔をおいて複数のサーバーラック101が配列されている。また、サーバー室110の床110Fは、床下吹出室111からの風が吹き抜けるよう通風性が確保されている。また、ミスト吹付装置121、122は、通過空気に対してミクロンレベルの水蒸気ミストを吹き付けることができるようになっている。
【0040】
外気取入口113は第1のリターンチャンバ112Aの下部の壁に開口され、排気口114は第1のリターンチャンバ112Aの上部の壁に開口されている。第1のミスト吹付装置121は、第1のリターンチャンバ112と床下吹出室111とを連通する下部連通口116Aより上流側の外気取入口113の直後に配置され、第2のミスト吹付装置122は、第1のリターンチャンバ112の上部と下部の中間に配置されている。
【0041】
また、第2のリターンチャンバ112Bと床下吹出室111とを連通する下部連通口116Aの付近に除湿材の除湿位置118Aが設定されており、その除湿位置118Aに、通過空気を除湿するための除湿材117が配置されている。また、第2のリターンチャンバ112とサーバー室110とを連通する上部連通口115Bの付近に除湿材の再生位置118Bが設定されており、その再生位置118Bに通過空気により除湿機能の再生が行われる除湿材117が配されている。2つの除湿材117は、例えば、それぞれ上下方向に延びるガイド118に沿って上下方向に移動できるようになっており、一方の除湿材117を除湿位置118Aに移動すると、他方の除湿材117が再生位置118Bに移動し、一方の除湿材117を再生位置118Bに移動すると、他方の除湿材117が除湿位置118Aに移動し、相互に位置を交換できるようになっている。なお、除湿材117としては、低温再生性の優れた高分子収集材が採用されている。この高分子収集材は、例えば20℃〜80℃の温度で除湿機能を再生することができるものであり、コンピュータ室のような高温環境を冷却した後の排気で十分に除湿機能を回復することができる。
【0042】
この場合、サーバー室110は平面視長方形の部屋として構成されており、サーバー室110の一方の対向2壁の外側に第1のリターンチャンバ112Aが設けられると共に、サーバー室110の他方の対向2壁の外側に第2のリターンチャンバ112Bが設けられている。そして、第1のリターンチャンバ112Aの下部連通口116Aを通過した空気と第2のリターンチャンバ112Bの下部連通口116Bを通過した空気とが床下吹出室111で混合された上でサーバー室110に吹き出されるようになっている。
【0043】
また、この空調設備には、次の第1の運転モードと第2の運転モードを択一的に切り替える運転モード選択手段が備わっている。
即ち、図2(b)に示す冬期や一部の中間期に実施する第1運転モードでは、外気取入口113から外気を床下吹出室111に導入し、サーバー室110から排出される空気のうち、外気取入口113から導入した外気の量に見合った量の空気を排気口114を通して外部に排出すると共に、残りの空気を第1のリターンチャンバ112Aを通して床下吹出室111にリターンさせ、そのリターン空気に第2のミスト吹付装置122によりミストを吹き付ける。また、図2(c)に示す夏期や一部の中間期に実施する第2の運転モードでは、外気取入口113から外気を床下吹出室111に導入し、導入する外気に第1のミスト吹付装置121によりミストを吹き付けると共に、サーバー室110から排出される空気のうち、外気取入口113から導入した外気の量に見合った量の空気を排気口114を通して外部に排出し、残りの空気を第2のリターンチャンバ112Bを通して空調機150により調和処理しながら床下吹出室111にリターンさせ、その際、第2のリターンチャンバ112Bの下部連通口116Bに配した除湿材117により通過空気を除湿し、第2のリターンチャンバ112Bの上部連通口115Bに配した除湿材117の除湿機能を通過空気により再生させる。
【0044】
このように、冬期と夏期に運転モードを切り替えることにより、通年にわたり外気冷房の効果を発揮することができて、省エネを図ることができる。即ち、冬期や中間期の一部では、第1の運転モードを選択することにより、外気取入口113から乾燥した低温の外気を床下吹出室111に導入し、導入外気量に見合った量の空気を排気口114から排出する。また、残りの空気を第1のリターンチャンバ112を通して床下吹出室111にリターンし、リターン空気に第2のミスト吹付装置122からミストを吹き付けることにより、加湿と冷却を行う。この際、温度の高いリターン空気にミストを吹き付けるので、加湿効率を高めることができ、サーバー室110の温度と湿度を良好に保つことができる。また、夏期と中間期の一部では、第2の運転モードを選択することにより、外気取入口113から外気を床下吹出室111に導入し、その導入する外気に第1のミスト吹付装置121からミストを吹き付けて外気を加湿冷却する。このようにミストの吹き付けにより冷却効果を発揮するので、省エネを図ることができる。また、空調対象室からの排気のうち、外気取入口113から導入した外気の量に見合った量の空気を排気口を通して外部に排出し、残りの空気を第2のリターンチャンバ112Bを通して空調機150により調和処理しながら床下吹出室111にリターンさせる。その際、第2のリターンチャンバ112Bの下部連通口116Bに配した除湿材117により通過空気を除湿し、第2のリターンチャンバ112Bの上部連通口115Bに配した除湿材117の除湿機能を通過空気により再生させる。こうすることにより、外気冷房では足りない能力を空調機150で補うことができ、サーバー室110を良好な温湿度環境に保つことができる。
【0045】
また、この空調設備においては、外気取入口113が第1のリターンチャンバ112Aの下部の壁に開口しているので、第1のリターンチャンバ112を通って来たリターン空気と外気取入口113から導入する外気を、第1のリターンチャンバ112の下部空間で混合しながら床下吹出室111に導入することができる。その際、主に夏場においては、外気取入口113の直後に配置した第1のミスト吹付装置121により、導入した外気に対してミストを吹き付けることで、外気を加湿冷却することができる。また、排気口114が第1のリターンチャンバ112の上部の壁に開口しているので、サーバー室110から排出されて来た空気を排気口114から排出する排気とリターン空気とに分流し、リターン空気を第1のリターンチャンバ112に流通させることができる。その際、主に冬場においては、第1のリターンチャンバ112の上部と下部の中間に配置した第2のミスト吹付装置122により、温度の高いリターン空気に対してミストを吹き付けることで、効率よくリターン空気を加湿冷却することができる。
【0046】
また、この空調設備においては、ミスト吹付装置121、122を備えた第1のリターンチャンバ112Aとは別に、空調機150を備えた第2のリターンチャンバ112Bが設けられており、その第2のリターンチャンバ112Bの下部連通口116Bの付近に除湿材117が配置されているので、例えば、夏期において、空調機150により調和処理し除湿したリターン空気と、第1のミスト吹付装置121によるミストの吹き付けにより加湿冷却された外気とを床下吹出室111で混合しながら、サーバー室110に給気することができる。しかも、平面視長方形のサーバー室110の一方の対向2壁の外側に外気冷房用の第1のリターンチャンバ112Aを配置し、他方の対向2壁の外側に空調機150を備えた第2のリターンチャンバ112Bを配置し、第1のリターンチャンバ112Aと第2のリターンチャンバ112Bを経由するリターン空気や外気を床下吹出室111で合流させるので、外気冷房を有効に活用しながら不足する冷房分を空調機で補うことができる。
【0047】
また、この空調設備においては、除湿位置118Aに配する除湿材117と再生位置118Bに配する除湿材117を交換できるようしたので、除湿能力が飽和した除湿材117を再生位置118Bに配置し、既に再生位置に配することで除湿能力が再生した除湿材117を除湿位置118Aに配置することができ、それにより常に除湿能力を継続して発揮させることができる。また、シリカゲルやゼオライト等に比べて低温再生性に優れた高分子収集材を除湿材として用いているので、サーバー室110から排出される高めの温度の排気によって十分に除湿機能を再生させることができる。
【0048】
以上のように、この空調設備によれば、発熱度の高いサーバー等の電子機器が多数設置されたサーバー室110の内部を、外気冷房を有効活用することにより、省エネを図りながら適切な稼働環境に保つことができる。
【0049】
以下に図3の空気線図を用いて説明する。
空気線図上において、基本線X−Xは、サーバー室110への給気温度・湿度と排気温度・湿度を示す。サーバー室110への給気と排気はこの基本線X−X上を基本的に動く。例えば、サーバー室110への給気条件が温度17℃、湿度70%であるとすると、サーバー室110の発熱状態により異なるが、サーバー室110からの排気は温度30℃、湿度32%となる。
【0050】
冬期のように空気線図上において外気がcの状態である場合は、次のように運転される。即ち、外気が基本線X−Xより下の領域では、運転モードは加湿運転モードとなる。その場合は、外気取入口113から外気を取り入れ、且つ、取り入れた外気と同じ量の空気を排気口114から捨てる。また、リターン空気は、第1のリターンチャンバ112Aに入り、第2のミスト吹付装置122により加湿され、外気取入口113から取り入れられた外気と混合され、混合された空気が、床下吹出室111からサーバー室110へ供給される。その際、空気線図の動きは、bの状態のリターン空気が加湿されることでdの状態となる。外気はcの状態であるから、dとcが床下で混合してaの給気条件となる。
【0051】
また、一部の中間期のように空気線図上において外気がfの状態である場合は、次のように運転される。即ち、外気が基本線X−Xより下の領域では、運転モードは加湿運転モードとなる。その場合は、外気取入口113から外気を取り入れ、且つ、取り入れた外気と同じ量の空気を排気口114から捨てる。また、リターン空気は、第1のリターンチャンバ112Aに入り、第2のミスト吹付装置122により加湿され、外気取入口113から取り入れられた外気と混合され、混合された空気が床下吹出室111からサーバー室110へ供給される。その際、空気線図の動きは、bの状態のリターン空気が加湿されることでeの状態となる。外気はfの状態であるから、eとfが床下で混合してaの給気条件となる。
【0052】
また、夏期のように空気線図上において外気がgの状態である場合は、次のように運転される。即ち、外気が基本線X−Xより上の領域では、運転モードは噴霧冷却と除湿冷風の混合運転モードとなる。その場合は、外気取入口113から外気を取り入れ、且つ、取り入れた外気と同じ量の空気を排気口114から捨てる。また、外気取入口113から取り入れた外気を第1のミスト吹付装置121により噴霧冷却する。一方、第2のリターンチャンバ112Bからのリターン空気は、空調機150で温調され除湿材117で除湿され、噴霧冷却した外気と床下吹出室111で混合されて、サーバー室110へ供給される。その際、空気線図の動きは、gの状態の外気が噴霧冷却されることでhの状態となり、一方、空調機150からの冷風が除湿材117で除湿されことによりiの状態となり、iとhが床下で混合されることでjとなり、jの条件でサーバー室110へ冷風が床下から供給される。
【0053】
また、一部の中間期のように空気線図上においては外気がkの状態である場合は、次のように運転される。即ち、外気が基本線X−Xより上の領域では、運転モードは噴霧冷却と除湿冷風の混合運転モードとなる。その場合は、外気取入口113から外気を取り入れ、且つ、取り入れた外気と同じ量の空気を排気口114から捨てる。また、外気取入口113から取り入れた外気を第1のミスト吹付装置121により噴霧冷却する。一方、第2のリターンチャンバ112Bからのリターン空気は、空調機150で温調され除湿材117で除湿され、噴霧冷却した外気と床下吹出室111で混合されて、サーバー室110へ供給される。その際、空気線図の動きは、kの状態の外気が噴霧冷却されることでlの状態となり、一方、空調機150からの冷風が除湿されることによりiの状態となり、iとlを床下で混合されることでmの状態となり、mの空気条件でサーバー室110冷風が床下から供給される。
【符号の説明】
【0054】
10 サーバー室(空調対象室)
11 床下吹出室
12 リターンチャンバ
13 外気取入口
14 排気口
15 上部連通口
16 下部連通口
17 除湿材
18A 除湿位置
18b 再生位置
21 第1のミスト吹付装置
22 第2のミスト吹付装置
110 サーバー室(空調対象室)
111 床下吹出室
112A 第1のリターンチャンバ
112B 第2のリターンチャンバ
113 外気取入口
114 排気口
115A,115B 上部連通口
116B,116B 下部連通口
117 除湿材
118A 除湿位置
118b 再生位置
121 第1のミスト吹付装置
122 第2のミスト吹付装置
150 空調機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調対象室と、
該空調対象室の床下に配され、床を通して前記空調対象室の内部へ調和処理された空気を吹き出す床下吹出室と、
該床下吹出室に外気を導入する外気取入口と、
該外気取入口から前記床下吹出室へ導入する外気にミストを吹き付ける第1のミスト吹付装置と、
前記空調対象室の空気を外部に排出する排気口と、
前記空調対象室の壁の外側に配され、上部連通口により前記空調対象室の上部空間に連通し且つ下部連通口により前記床下吹出室に連通し、前記上部連通口を通して前記空調対象室から排出されてくる空気を前記下部連通口を通して前記床下吹出室にリターンさせるリターンチャンバと、
該リターンチャンバを通過するリターン空気にミストを吹き付ける第2のミスト吹付装置と、
を備えることを特徴とする空調設備。
【請求項2】
前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、前記空調対象室から排出される空気のうち、前記外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を前記排気口を通して外部に排出すると共に、残りの空気を前記リターンチャンバを通して前記床下吹出室にリターンさせ、そのリターン空気に前記第2のミスト吹付装置によりミストを吹き付ける第1の運転モードと、
前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、導入する外気に前記第1のミスト吹付装置によりミストを吹き付けると共に、前記空調対象室から排出される空気の全量を前記排気口を通して外部に排出する第2の運転モードと、
を択一的に選択する運転モード選択手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の空調設備。
【請求項3】
前記外気取入口が前記リターンチャンバの下部の壁に開口され、前記排気口が前記リターンチャンバの上部の壁に開口され、
前記第1のミスト吹付装置が、前記リターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口より上流側の前記外気取入口の直後に配置され、
前記第2のミスト吹付装置が、前記リターンチャンバの上部と下部の中間に配置され、
さらに、前記リターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口の付近に除湿材の除湿位置が設定されて該除湿位置に通過空気を除湿するための除湿材が配置され、
また、前記リターンチャンバと前記空調対象室とを連通する上部連通口の付近に除湿材の再生位置が設定されて該再生位置に通過空気により除湿機能の再生が行われる除湿材が配されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の空調設備。
【請求項4】
前記第2のミスト吹付装置を備えたリターンチャンが第1のリターンチャンバとされ、
前記空調対象室の壁の外側に、前記第1のリターンチャンバとは別に、上部連通口により前記空調対象室の上部空間に連通し且つ下部連通口により前記床下吹出室に連通し、前記上部連通口を通して前記空調対象室から排出される空気を前記下部連通口を通して前記床下吹出室にリターンさせる第2のリターンチャンバが設けられ、
該第2のリターンチャンバに、前記上部連通口を通して前記空調対象室から排出される空気を調和処理した上で前記下部連通口を通して前記床下吹出室に送出する空調機が配置され、
前記第2のリターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口の付近に除湿材の除湿位置が設定されて該除湿位置に通過空気を除湿するための除湿材が配置され、
前記第2のリターンチャンバと前記空調対象室とを連通する上部連通口の付近に除湿材の再生位置が設定されて該再生位置に通過空気により除湿機能の再生が行われる除湿材が配されている
ことを特徴とする請求項1に記載の空調設備。
【請求項5】
前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、前記空調対象室から排出される空気のうち、前記外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を前記排気口を通して外部に排出すると共に、残りの空気を前記第1のリターンチャンバを通して前記床下吹出室にリターンさせ、そのリターン空気に前記第2のミスト吹付装置によりミストを吹き付ける第1の運転モードと、
前記外気取入口から外気を前記床下吹出室に導入し、導入する外気に前記第1のミスト吹付装置によりミストを吹き付けると共に、前記空調対象室から排出される空気のうち、前記外気取入口から導入した外気の量に見合った量の空気を前記排気口を通して外部に排出し、残りの空気を前記第2のリターンチャンバを通して前記空調機により調和処理しながら前記床下吹出室にリターンさせ、その際、前記第2のリターンチャンバの下部連通口に配した除湿材により通過空気を除湿し、前記第2のリターンチャンバの上部連通口に配した除湿材の除湿機能を通過空気により再生させる第2の運転モードと、
を択一的に選択する運転モード選択手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の空調設備。
【請求項6】
前記空調対象室が平面視長方形の部屋として構成され、前記空調対象室の一方の対向2壁の外側に前記第1のリターンチャンバが設けられると共に、前記空調対象室の他方の対向2壁の外側に前記第2のリターンチャンバが設けられ、
前記外気取入口が前記第1のリターンチャンバの下部の壁に開口され、前記排気口が前記第1のリターンチャンバの上部の壁に開口され、
前記第1のミスト吹付装置が、前記第1のリターンチャンバと前記床下吹出室とを連通する下部連通口より上流側の前記外気取入口の直後に配置され、
前記第2のミスト吹付装置が、前記リターンチャンバの上部と下部の中間に配置されており、
前記第1のリターンチャンバの下部連通口を通過した空気と前記第2のリターンチャンバの下部連通口を通過した空気とが前記床下吹出室で混合された上で前記空調対象室に吹き出されることを特徴とする請求項4または5に記載の空調設備。
【請求項7】
前記除湿位置にある除湿材と前記再生位置にある除湿材とが、相互に位置を交換できるように配されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の空調設備。
【請求項8】
前記除湿材が高分子収集材よりなることを特徴とする請求項7に記載の空調設備。
【請求項9】
前記空調対象室が、サーバー等の高発熱の電子機器が設置されたデータセンターのコンピュータ室であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の空調設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−237469(P2012−237469A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105170(P2011−105170)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(306022513)新日鉄エンジニアリング株式会社 (897)
【Fターム(参考)】