説明

空間・時間コード行列によるコード信号をデコードするための受信機および方法

本発明は、空間・時間コード行列によって空間および時間に分布されたシンボルを備える受信信号をデコードするための方法に関し、空間・時間デコードステップおよび少なくとも2つの反復を備えており、この各々は以下のサブステップを備えている方法に関する。プリコードデータを提供する、信号の発射時に実行されたダイバーシティプリデコードと逆のダイバーシティプリデコードを行う。前記信号を形成するシンボルを前記プリデコードデータに基づいて推定し、推定シンボルを提供する。推定信号を提供するために推定シンボルに適用された、発射時に実行されたダイバーシティプリコードと同一のダイバーシティプリコードを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無線通信の分野である。より具体的には、本発明は、1つ以上の送信チャネルを介して受信機で受信された信号の受信、特に、デコードに関する。
【0002】
さらに具体的には、本発明は、非直交空間・時間エンコード行列によってエンコードされたデータの反復デコードに関する。
【0003】
従って本発明は、発射および/または受信用の複数のアンテナ(少なくとも2つのアンテナ)を使用する送信システムに特に適用可能であるが、これに限定されない。従って、本発明は、MIMO(多入力多出力)およびMISO(多入力単出力)システムに基づいたNt(Nt≧2)個のエミッタアンテナおよびNr(Nt≧2)個の受信アンテナを有する非直交空間・時間コード用の受信機に適している。
【0004】
本発明の例示的用途は、特に第3、第4世代以降のシステム用の無線通信の分野である。
【背景技術】
【0005】
このようなシステムについて、2つのエミッタアンテナにわたって、1レートの空間・時間コードが非直行である。これは、例えばTirkkonen[6]およびJafarkhani[7]コードによる場合である(本特許出願に引用された参照は別表1にまとめてある)。
【0006】
これらのコードについて不可避の非直交性は概して、最尤デコードつまり半球タイプの使用を必要とする、実現困難な受信機につながる。これらのアルゴリズムの実現の複雑さは、アンテナ数および変調位相数に応じて指数関数的に増大する。従って、非直交空間・時間コードのデコード技術は受信システムにおいて、1レートの空間・時間コードが使用される場合に、実現が困難であるという大きな欠点を有している。従来の非反復技術は最尤(ML)基準に基づいている。
【0007】
技術的進歩についての現在の状況を考えると、実現の困難さは処理するトレリスの位相数によって指数関数的に増大するため、ひとたび変調のアンテナ数または位相数が増加すると、これらは極めて困難または実行不可能でさえある。
【0008】
ごく最近、空間・時間コードを関連づける反復方法が公開された。
【0009】
[1]において、Tujkovicは再帰的トレリス空間・時間ターボコードを提示している。受信はMAP(最大事後確率)デコーダの使用において(ターボコードの場合と同様に)反復して実行される。
【0010】
[2]において、S.Jayaweeraは畳込みコードと1レート空間・時間コードとの連結について研究している。デコードはMAPアルゴリズムによって反復して実行される。
【0011】
そして[3]において、A.GuillenおよびG.Caireは特定の空間・時間コード、つまり自然空間・時間コードおよびスレッド空間・時間コードの性能を分析している。彼らは、異なるエミッタアンテナによって実行された寄与を分離するための反復干渉キャンセラーを使用する。
【0012】
[4]において、Bauchは、異なるチャネルで導入されたシンボル間干渉を排除する目的の反復システムを使用する。各反復において使用された要素はMAP(最大事後確率)型デコーダを動かす。
【0013】
これらの従来の反復技術は特定クラスの空間・時間コードに適用可能であり、これらの多くは、これもまた実現が困難な非線形等化器(または検出器)を使用する。性能は、畳込みチャネルコード(場合によってはターボコード)と空間・時間コードを発射時に連結することによって改良可能である。
【0014】
BoariuおよびM.Ionescu[5]は1クラスの最小干渉準直交空間・時間ブロックコードを提示する。これらのコードは反復干渉除去方法によってデコード可能である。
【0015】
[5]に示された技術は、(4位相の)QPSK変調および1に等しいレートを有する4個のアンテナに制限される。効率的に実行不可能であるが、例えばCDMAタイプのシステムにおいてうまく機能する多数のアプローチがある。さらに、適応MRC(最大比合成)フィルタは、提案されているもの以外のタイプのコードとはうまく機能しない。
【0016】
さらに、Boariuのアプローチは、使用された行列が空間・時間コードと同じサイズのものであることを想定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、従来技術の様々な欠点を克服することである。
【0018】
さらに具体的には、本発明の目的は、同時に困難さを削減しつつ、従来技術よりも効率的な空間・時間コードのデコード技術を提供することである。
【0019】
従って、本発明の目的は、非直交空間・時間エンコード行列を実行する、この種の技術を提供することであるが、これは最尤基準によるものではない。
【0020】
言い換えると、本発明の目的は、多数のアンテナ(4個、8個以上のアンテナ)および/または多数の位相による変調を実行するシステムにおいて、許容できるコストで受信機において実用的かつ確実に実現可能な種類の技術を提供することである。
【0021】
本発明のもう1つの目的は、とりわけBoariuによって提案されたものよりも効率的であり、かつ特定クラスのコードに制限されないが、その一方で、どんな効率性であれ全ブロック空間・時間コードに適用可能な種類の技術を提供することである。同様に、本発明の目的は、空間・時間エンコードの行列よりもサイズの大きな行列の使用を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
これらの目的および、以下により明確に現れる他の目的は、特に空間・時間または空間・周波数エンコード行列によって空間、時間および/または周波数に分布されたシンボルを備える受信信号をデコードして、空間・時間デコードステップおよび少なくとも1つの反復(好都合なことには少なくとも2つの反復)を実行する方法によって達成され、各反復は以下のサブステップを備えている。
プリデコードデータを供給する、該信号が発射された場合に実行されるダイバーシティプリエンコードの逆のダイバーシティプリデコードを行う。該信号を形成するシンボルを該プリデコードデータから推定して、推定シンボルを供給する。推定信号を付与するために該推定シンボルに適用された、発射時に実行される該ダイバーシティプリエンコードと同一のダイバーシティプリエンコードを行う。
【0023】
従って、本発明のアプローチは、デコードの品質を最適化するためにダイバーシティプリエンコードを利用する。このために、各反復中は、対応するプリデコードが実行されて、シンボルが推定されて、プリエンコードがこれらの推定シンボルで反復される。
【0024】
該プリエンコードは、特に、以下の方法のうちの1つによって得ることができる。
スペクトル拡散技術と、線形プリエンコードとである。
【0025】
従って、本発明は、OFDM、CDMA、MC−CDMAまたは類似の技術を実行する全システム、あるいは[10]に説明されたような線形プリデコードに適用可能である。
【0026】
本発明の好都合な実施形態によると、該方法は、該等化ステップの前または後および/または該反復の少なくとも1つの間に自動利得制御ステップを実行する。
【0027】
本発明の方法は好都合なことに、発射時に実行されるチャネルエンコードステップと対称的なチャネルデコードステップを含んでもよい。
【0028】
このチャネルデコードステップは、必要ならば、本発明の各反復内の様々なターボデコード反復によって、特に、ターボデコード動作を実行してもよい。
【0029】
チャネルエンコード動作を実行する好都合な変形例によると、該方法は以下のステップを備えている。
該エンコード行列の共役転置である行列に対応するデコード行列の、少なくとも該エンコード行列を考慮する完全エンコード/チャネル/デコード行列から得られた対角化を行う。発射時に実行される変調と対称的な復調を行う。発射時に実行されるインタレースと対称的なデインタレースを行う。発射時に実行されるチャネルエンコードと対称的なチャネルデコードを行う。発射時に実行されるのと同一のリインタレースを行う。発射時に実行されるのと同一の、推定信号を供給する再変調を行う。最適化信号を供給する、干渉行列を乗算した該推定信号を等化信号から減算することを備える干渉除去ステップの少なくとも1つの反復を行う。
【0030】
該方法はまた、発射時に実行されるインタレースに対応する少なくとも1つのデインタレースステップおよび少なくとも1つのリインタレースステップを備えてもよい。
【0031】
好適には、該反復の少なくとも1つの間に推定されたデータを考慮するチャネル推定の改良ステップを備えてもよい。
【0032】
好適には、デコード方法は以下のステップを備える。
デコード信号を供給する、発射時に実行された空間・時間エンコードの逆である空間・時間デコードを行う。等化信号を供給する、該デコード信号の等化を行う。該エンコード行列の共役転置である行列に対応するデコード行列の、少なくとも1つのエンコード行列を考慮する完全対角エンコード/チャネル/デコード行列につながる行列と該等化信号の乗算による対角化を行う。プリデコードデータを供給する、該信号の発射時に実行されるダイバーシティプリエンコードの逆であるダイバーシティプリデコードを行う。推定シンボルを供給する、該信号を形成するシンボルを該プリデコードデータから推定する。推定信号を付与するために該推定シンボルに適用される、発射時に実行される該ダイバーシティプリエンコードと同一のダイバーシティプリエンコードを行う。以下のサブステップを実行する干渉除去ステップの少なくとも1つの反復を行う。最適化信号を供給する、干渉行列を乗算した該推定信号を該等化信号から減算する。プリデコードデータを供給する、該信号の発射時に実行されるダイバーシティプリエンコードの逆である該最適化信号のダイバーシティプリデコードを行う。新たな推定シンボルを供給する、該最適化信号を形成するシンボルをプリデコードデータから推定する。最後の反復を除いて、新たな推定信号を付与するために該新たな推定シンボルに適用される、発射時に実行される該ダイバーシティプリエンコードと同一の(最後の反復を除く)ダイバーシティプリエンコードを行う。
【0033】
従って、既知の技術よりも高い効率が、全空間・時間ブロックコードに適用可能なアプローチによって得られる。
【0034】
本発明はまた以下のサブステップのみを備える単一反復システムに関する。
デコード信号を供給する、発射時に実行される空間・時間エンコードの逆である空間・時間デコードを行う。等化信号を供給する該デコード信号の等化と、該エンコード行列の共役転置である行列に対応するデコード行列の、少なくとも1つの該エンコード行列を考慮する完全対角エンコード/チャネル/デコード行列につながる行列と該等化信号の乗算による対角化を行う。プリデコードデータを供給する、該信号の発射時に実行されるダイバーシティプリエンコードの逆であるダイバーシティプリデコードを行う。推定シンボルを供給する、該信号を形成するシンボルを該プリデコードデータから推定する。
【0035】
あるシステムについて、サブステップは受容可能な利得を取得するために実際に十分である。従って、既知の技術よりも高い効率が、全空間・時間ブロックコードに適用可能なアプローチによって得られる。
【0036】
特定の実施形態において、該空間・時間デコードおよび等化ステップおよび/または該等化および変換ステップは共に実行されてもよい。
【0037】
好適な特徴によると、該エンコードシンボルは少なくとも2つのアンテナによって発射される。そして受信機は様々な対応する送信チャネルを包括的に考慮する。
【0038】
本発明はまた、1つのエミッタアンテナのみを具備するシステムに適用可能である。受信アンテナ数もまた可変的であってもよい。
【0039】
好適には、該等化ステップは、MMSE型等化と、EGC型等化と、ZF型等化と、受信信号と受信雑音間の信号対雑音比を表す情報を考慮する等化とを備えるグループに属する技術のうちの1つに従う等化を実行する。
【0040】
これらの技術は他の用途において既知である。
【0041】
Boariuによって提案されたような適応フィルタリングではなく等化の実行はより高い効率を付与する点に注目する。
【0042】
好適な実施形態によると、該シンボル推定ステップは、信頼情報を判定に関連付ける軟判定を実行し、該1つまたは複数の減算ステップは該信頼情報を考慮する。
【0043】
当然、硬判定の実行も可能である。
【0044】
等化ステップを対角化ステップに統合することも可能である。この場合、対角信号は、完全エンコード/チャネル/デコード行列および雑音分散行列の合計の逆行列を乗算したデコード信号に等しい。
【0045】
好適なことに、該受信信号はマルチキャリア信号であり、受信機は対応する処理手段を備える。プリエンコードおよびOFDMによって、エンコードは空間・時間・周波数エンコードとなる。
【0046】
ある実施形態において、該空間・時間コードは1と異なるレートを有してもよい。
【0047】
好都合なことに、該方法は該等化ステップの前または後および/または該反復中に自動利得制御ステップを実行する。
【0048】
第1の特定の実施形態によると、該受信信号は4個のアンテナによって送信され、該行列は1つの値を有する。
【数1】

この場合
【数2】

、干渉を表す
【数3】

および
【数4】

であり、
ここで、
【数5】

は空間・時間エンコードおよび送信チャネルをグルーピングする行列であり、SNRは信号対雑音比を表す。
【0049】
別の特定の実施形態によると、該受信信号は8個のアンテナによって送信され、該完全行列は1つの値を有する。
【数6】

この場合
【数7】

【数8】

および
【数9】

であり、
ここで
【数10】

は空間・時間コードおよび送信チャネルをグルーピングする行列であり、SNRは信号対雑音比を表す。
【0050】
本発明はまた、エンコードおよびデコード方法に関し、これに従ってエンコードは、
【数11】

などの空間・時間エンコード行列を実行し、またデコードは上記のようなデコードである。
【0051】
本発明はまた上記の方法を実行するデコード手段を実現する受信機に関する。
【0052】
本発明の他の特徴および利点は、簡単な例示的かつ非制限的例によって与えられた本発明の好ましい実施形態についての以下の説明および添付の図面からより明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
従って、本発明は、実行がより効率的で簡単な空間・時間コードのデコードの新規アプローチを提案する。このために、特に、エンコード段階で、(スペクトル拡散または線形プリエンコード方法による)ダイバーシティプリエンコードおよび、受信時の反復処理の実行を提案する。本発明によると、デコード、そしてこのプリエンコードに対応するリエンコードが各反復で実行される。これは発射されたシンボルのより正確な推定を付与し、送信による干渉を受信信号からより効率的に排除することをもたらす。
【0054】
最初の反復は特別なものである。(完全行列が元々対角ではないために)対角化を含んでいるからである。受信信号の等化がこれに先行する。
【0055】
後続の反復はすべて同一である。推定は要求に応じて必要な場合に干渉の効果を減算することによって精緻化されるからである。
【0056】
本発明の理解を容易にするために、まず迅速に、Jafarkhaniの既知のアプローチ(§1)、次いで4アンテナコード用のプリエンコードを使用しない反復アプローチ(§2)、次いで、それぞれ既知のコード(§3)および新たなコード(§4)である2個の8アンテナコードを示す。次に、それぞれ線形プリエンコード(§5)およびスペクトル拡散エンコード(§6)を使用する本発明のデコードの例を2つ示す。
【0057】
1. Jafarkhaniのアプローチ
1.1 序論
4個のエミッタアンテナおよび1個の受信アンテナを具備しかつレート1のこの空間・時間コードはH.Jafarkhaniによって[7]で紹介された。
【0058】
M個の位相状態によるディジタル変調について、図1は、4個のエミッタアンテナE1、E2、E3およびE4と1個の受信アンテナR1とを備える通信スキームを説明している。4個の伝搬チャネル、つまりE1−R1、E2−R1、E3−R1およびE4−R1は、シンボル間干渉(フラットフェーディング)がなくかつ4個の連続発射インターバルIT1、IT2、IT3およびIT4中は一定であるとみなされる。
【0059】
そのそれぞれの複素フェーディング係数はh1、h2、h3およびh4と称される。ここで、hi個の値は、これらの各々について独立レイリー法則に従うとされる。
【0060】
用語s1、s2、s3およびs4は、タイムインターバルIT1、IT2、IT3およびIT4中にそれぞれ発射される複素シンボルを示している。これらの同じタイムインターバル中に受信されたシンボルはr1、r2、r3およびr4と称される。受信アンテナによって導入された熱雑音はサンプルn1、n2、n3およびn4によって表される。
【0061】
1.2 発射
Jafarkhaniエンコードは、4個のタイムインターバルIT1、IT2、IT3およびIT4においてかつ異なるエミッタアンテナにおいて、以下の表に示されるシンボルの発射からなる。
【表1】

【0062】
1.3 受信
図1に従った受信において、以下の信号がアンテナR1で得られる。
IT1中:
【数12】

IT2中:
【数13】

IT3中:
【数14】

IT4中:
【数15】

【0063】
等化行列表示は以下のように書かれる。
【数16】

この場合、
【数17】

である。
【0064】
エンコードの全レートは1に等しい。
【0065】
受信中は、チャネルh1、h2、h3およびh4の位相について正確な情報があるとする。そしてデコードは以下のように実行される。
IT1中:
【数18】

IT2中:
【数19】

IT3中:
【数20】

IT4中:
【数21】

【0066】
行列表示によると、デコードは行列HHの適用によって実行され、ここで演算子Hは共役転置を示している。
【数22】

この場合、
【数23】

および
【数24】

である。
【0067】
行列積をとる際に、
【数25】

を取得し、
この場合、
【数26】

および
【数27】

である。
【0068】
完全エンコード/チャネル/デコード行列と称される
【数28】

を仮定する。
【0069】
対角のAの項は
【数29】

の法則に従う。ゆえに、ダイバーシティは最大である。しかしながら、干渉項Jは直線形検出の性能を次善とする。従って、著者は最尤(ML)検出を提案する。この検出は実現が面倒で複雑である。
【0070】
従って、ここに示されたJafarkhaniのエンコードは4個のエミッタアンテナによって付与されたダイバーシティを利用するために使用可能である。しかしながら、2アンテナAlamoutiエンコード[8]と異なり、干渉項Jrは完全行列に残っている。これらの項はエンコードを次善とし、受信の際に、実現が困難なML検出アルゴリズムの使用を必要とする。
【0071】
2. 反復アプローチ:4アンテナの例
本発明の態様の1つは、発射された信号のa priori情報によって反復して干渉項を相殺することである。これを実行するために、2つのモジュールが図2に示されるように使用される。
初期化(反復1)において、(対角化モジュールと称される)第1のモジュール21が第1のタイムの発射信号を推定するために使用される。
第2の反復222から最終反復22pまで:(干渉除去モジュールと称される)第2のモジュールは、先行の反復によって付与された発射信号のa priori情報によって再構築された干渉項を受信信号から除去することを目的としている。
【0072】
使用された空間・時間デコード23は上記のものである。
【0073】
MMSE等化24中に、信号は係数
【数30】

を乗じ、ここでSNRは信号対雑音比である。従って行列Gはγを乗じる。
【0074】
2.1 第1の反復:行列G4の対角化
図3に示された第1の反復21は後続の反復と異なる。信号と行列を乗算することからなるため、全体として行列は対角である。このために、まず行列Gは対角化される(31)。この動作は、Gと、係数とは別にGの余行列である対角行列Φとの行列乗算によって簡単に実行される。
【数31】

この場合
【数32】

である。
【0075】
【数33】

を得る。
【0076】
行列Gの対角化動作はサンプルxiの線形結合になり、従って実行が極めて簡単である。
【0077】
ゆえに
【数34】

を得、この場合
【数35】

である。
【0078】
行列Gdiagは対角であるため、線形検出32が可能である。しかしながら、対角の項は
【数36】

の法則にもはや従わず、ゆえにダイバーシティはもはや最適に利用されない。
【0079】
しかしながら、
【数37】

と称されるシンボルベクトルの推定が得られる。図5の性能曲線において、この推定は対角化なしでなされた推定よりも良好であることに注目する。
【0080】
シンボルは、(例えば硬判定による復調動作による:考慮されるシンボルに最も近い群のポイントが求められる)ビットのパケットに変換され、
【数38】

が得られ、ここで
【数39】

は長さ2Mのビットのベクトルを表している。
【0081】
最後に、変調動作が
【数40】

に対して実行され、シンボルベクトルと「判定された」
【数41】

を得る。これらのシンボルは次の反復で使用されることになる。
【0082】
2.2 反復p(p>1):干渉の除去
そして先行の反復
【数42】

で判定された複数のデータが使用可能である。反復が図4に示される。
【0083】
干渉行列J4411が構築される。
【数43】

【0084】
干渉除去41が以下のように、等化器24の出力からのJ4の乗算411の結果を減算すること412によって実行される。
【数44】

【0085】
【数45】

がsの良好な近似であれば、干渉項は行列Gにおいて実際に相殺されると思われる。
【0086】
従って、行列は対角になり、線形検出によるシンボル推定42は可能である。反復1の場合と同じ等化、復調および検出の動作を実行することによって、
【数46】

の新たな推定を得る。
【0087】
2.3 結果
図5は、エンコード(スペクトル効率=2ビット/Hz)なしの4位相変調(QPSK)について上記説明されたシステムの性能を表す。レイリーチャネルは白(未フィルタリング)とみなされる。
【0088】
SISOと称された曲線は、エミッタアンテナ1つと受信アンテナ1つを具備するシステムの性能を示す。このシステムは空間ダイバーシティから利益を得ることはない。ゆえに最小限度である。
【0089】
曲線Linは線形検出されたJafarkhaniシステム(行列G)の性能を付与するのに対して、曲線MLは、MLアルゴリズムによって検出された同じシステムのバイナリエラーレートを表す。
【0090】
ite1およびite2と称された曲線は、システム(反復2以降のシステムカバレージ)の最初の2つの反復の性能を表す。
【0091】
ite2はJafarkhaniMLと区別がつかないことに注目する。従って、最尤アルゴリズムと同じ性能を得ることは、それほど困難ではなく可能であった。
【0092】
エンコードを追加すること、つまり単純変調をエンコード変調(畳込みエンコーダ、インタレーサおよび変調)と置き換えることによってシステムを改良することが可能であることにも注目する。受信に際して、インタレーサおよびチャネルでコーダが続く軟判定復調器と硬判定復調器を置き換えれば充分である。ソフト情報を維持することによって、発射されたシンボルは、エンコード変調段階を再度適用することによって再構築される。
【0093】
3. 3/4レートの8エミッタアンテナスキーム
使用されたコードはH.Jafarkhaniによって[7]で紹介された。8個のエミッタアンテナE1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8および1個の受信アンテナR1が考慮される。この結果は(シンボル間干渉のない)8個の伝搬チャネル、h1、h2、h3、h4、h5、h6、h7、h8である。
【0094】
発射される複素シンボルはs1、s2、s3、s4、5およびs6と示され、使用可能な8個の発射タイムインターバルIT1、IT2、IT3、IT4、IT5、IT6、IT7およびIT8があり、この間寄与hiは一定であるとする。
【0095】
3.1 発射
以下は発射スキームである。
【表2】

【0096】
このコードのレートは3/4であることに注目する。
【0097】
8個のタイムインターバル中に、以下のサンプルが受信される。
【数47】

この場合1<i<8、1<n<8であり、Sは上記発射スキームに対応するマッピングの行列である。
【0098】
雑音を見落とすと、等化行列表示は以下のように書かれる。
【数48】

この場合、
【数49】

である。
【0099】
3.2 受信
デコードする際に、行列HHが適用され、MMSE等化係数γが続く。
【数50】

また以下の完全行列が得られる。
【数51】

この場合、
【数52】

【数53】

および
【数54】

である。
【0100】
Aは
【数55】

の法則(第8番目のダイバーシティ)に従うことに注目する。
【0101】
4アンテナの場合と同様に、デコードは2つのステップに再分割可能である。
【0102】
3.2.1 対角化
対角化動作は行列Φを適用することによって実行される。
【数56】

【0103】
【数57】

を得る。
ゆえに、線形検出は可能である
【数58】

、そして判定後に
【数59】

を得る。
【0104】
3.2.2 干渉の除去
干渉現象は、前のステップで推定されたデータのベクトル
【数60】

に行列J6を乗算することによって再構築される
【数61】

【0105】
これらの干渉現象をデコード信号xから減算することによって、
【数62】

を推定する。
【0106】
3.3 結果
図6は、チャネルエンコード(スペクトル効率=1.5ビット/Hz)なしの4位相変調(QPSK)に対して3/4レートコードで提案されたシステムの性能を表す。レイリーチャネルは白(未フィルタリング)であり、16個のシンボルタイムインターバルで一定であるとみなされる。
【0107】
曲線Linは線形検出コード(粗デコード)の性能を付与するのに対して、曲線MLは、MLアルゴリズムによって検出された同じシステムのバイナリエラーレートを表す。ite1およびite2と称された曲線は提案されたシステムの最初の2つの反復の性能を表すのに対して、最適曲線は干渉(適応フィルタ)の完全な除去からなるシステムの最適限度を付与する。
【0108】
4. 8アンテナの1/212レート発射スキーム
ここに表されたコードは文献には存在しない。これは、Tirkkonen ABBAスキーム[6]に続いてTarokhのG4コード[8]から作成された。8個のエミッタアンテナE1、E2、E3、E4、E5、E6、E7、E8および1個の受信アンテナが、8個の伝搬チャネル、h1、h2、h3、h4、h5、h6、h7、h8と共に依然として考慮される。
【0109】
発射される複素シンボルはs1、s2、s3、s4、s5、s6、s6、s7およびs8と称される。使用可能な16個の発射タイムインターバルIT1、IT2、IT3、IT4、IT5、IT6、IT7およびIT8があり、この間寄与hiは一定であるとされる。
【0110】
4.1 発射
以下は発射スキームである。
【表3】

【0111】
このコードのレートは1/2であることに注目する。
【0112】
16個のタイムインターバル中に、以下のサンプルが受信される。
【数63】

この場合1<i<8、1<n<16であり、Sは以下のスキームに対応するマッピング行列である。
【0113】
雑音を見落とすと、等化行列表示が以下のように書かれる。
【数64】

この場合、
【数65】

である。
【0114】
4.2 受信
エンコード時に、行列HHが適用され、MMSE等化係数γが続く。
【数66】

、完全行列Gは以下のように書かれる。
【数67】

この場合、
【数68】

【数69】

および
【数70】

である。
【0115】
Aは
【数71】

の法則(8番目のダイバーシティ)に従うことに注目する。
【0116】
本発明の2つのステップは以下のように実行される。
4.2.1 対角化
Gを対角化するために使用される行列は
【数72】

である。
【0117】
【数73】

を得る。
【0118】
ゆえに線形検出は可能である。
【数74】

、そして判定後に
【数75】

を得る。
【0119】
4.2.2 干渉の除去
干渉は、前のステップで推定されたデータのベクトル
【数76】

に行列J8を乗算することによって再構築される
【数77】

【0120】
この干渉をデコード信号xから減算することによって、
【数78】

を推論する。
【0121】
4.3 結果
図7は、チャネルエンコード(スペクトル効率=1ビット/Hz)なしの4位相変調(QPSK)に対して1/2レートコードで提案されたシステムの性能を表す。レイリーチャネルは白(未フィルタリング)であり、かつ16個のシンボルタイムインターバルでは一定であるとみなされる。
【0122】
曲線Linは、線形検出コード(粗デコード)の性能を付与する。Ite1およびIte2と称された曲線は提案されたシステムの最初の2つの反復の性能を表すのに対して、最適曲線は、干渉(適応フィルタ)の完全な除去から成るシステムの最適限度を付与する。
【0123】
曲線MLは長すぎるためシミュレートできず、結果に表されていない。(曲線ite2とは明らかに区別がつかない)。レート3/4コードと比較して、ite2の性能はさらに最適値にわずかに近づいていることが分かる。
【0124】
5. 線形プリエンコード技術との関連
V.Le Nirによって[10]に紹介されたプリエンコードは同じスペクトル効率のままでありながらダイバーシティの利得を提供し、直交空間・時間コードをも提供する。
【0125】
5.1 オリジナルスキーム
本書は直交空間・時間コードに対して設計されたアプローチを提案しており、これに従って、発射されるシンボルは、ブロック空間・時間エンコード動作によってエンコードされる前に特定の線形プリエンコード行列によってプリエンコードされる。このアプローチは受信時の処理を簡略化する。
【0126】
5.2 本発明のアプローチ
非直交空間・時間コードについて、本書に示されたプリエンコードスキームはコードの非直交性によって作成された干渉ゆえにもはや作用しない。
【0127】
このようなコードについて、本発明は、空間・時間コードによってかつプリエンコードスキームによっても提供されるダイバーシティの最も効率的な使用による単純なデコードを提供する。図8は、プリエンコードと関連した(非直交)空間・時間エンコードシステムならびに対応する受信機を表している。
【0128】
ゆえに、発射時に[10]で提案されたタイプのプリエンコード81、そしてインタレース82および空間・時間エンコード83が提供される。信号はn個のエミッタアンテナEiによって、n個の送信チャネルhpを介して受信アンテナR1に発射される(当然複数の受信アンテナが予定可能である)。
【0129】
受信時に、まず、発射時に実行されたエンコードと対称的な空間・時間デコード84が実行され、例えばMMSE型の等化85が続く。
【0130】
ここで説明されたアプローチに従った異なる反復が再度実行される。
反復1では図9に詳細に説明される対角化86と、後続の反復では図10に詳細に説明される干渉除去872〜87p。である。
【0131】
図9に示されたように、対角化ステップはここに説明されたような適切な対角化91をまず備える。発射時に実行されたインタレース動作と対称的なデインタレース動作92、次いで発射時に実行されたプリエンコード動作と対称的な逆プリデコード動作93、さらにシンボル推定94がこれに続く。次いで、発射時に実行されたのと同一の新たなプリエンコード動作95が推定シンボルに実行され、最終的に発射時に実行されたのと同一のインタレース動作96が実行される。
【0132】
対応する信号が、図10に示されたような第1の干渉除去反復を提供する。これに干渉行列1011を乗算し、この結果は、干渉除去101の性能に対して等化信号から減算される(1012)。軟判定の実行時に、信頼性1013についての情報が考慮されてもよい。
【0133】
そして、各反復において、対角化ステップ中に実行される動作もまた反復される。発射時に実行されるインタレースと対称的なデインタレース102、発射時に実行されるプリエンコードと対称的な逆プリデコード103、およびシンボル推定104である。そして、発射時に実行されたのと同一の新たなプリエンコード105が推定信号に実行され、最終的に、発射時に実行されたのと同一のインタレース105が実行される。結果
【数79】

が次の反復に再導入され、あるいは最後の反復について、処理動作の残りについて考慮される。
【0134】
5.3 結果
4アンテナ発射システムのシミュレーション条件が取り上げられる(Jafarkhani空間・時間コード、4個のシンボルタイム期間において未フィルタリングで、白かつ一定のレイリーチャネル、チャネルエンコードなしのQPSK変調、2ビット/Hzのスペクトル効率)。プリエンコードが長さ64によって選択され、インタレースはIQタイプであり、均一であり、かつ10000個のシンボルタイムインターバルの長さを有している。
【0135】
結果は図11に示される。
Linはプリエンコード64による線形デコードシステム(粗デコード)の性能を表す。Ite1およびIte2は提案されたシステムの最初の2つの反復の性能を表す。干渉およびプリエンコードの最適除去である、プリエンコードによるシステムの最適限度は最終的に最適である、
【0136】
曲線Ite2は、本発明のアプローチは両タイプのダイバーシティ、プリエンコードおよび空間・時間コードを利用することを示している。結果として得られるダイバーシティは64*4=256に等しい。これは、2ビット/Hzのスペクトル効率に対する準ガウスダイバーシティである。ダイバーシティのさらなる利得について、ここに表された2つの8アンテナコードのうちの一方を使用することができる。
【0137】
6. スペクトル拡散プリエンコードの使用
例えばCDMA、MC−CDMA、WCDMA、DS−CDMAおよび他の技術の使用によって、類似のアプローチがスペクトル拡散プリエンコードと併用されてもよい。
【0138】
図12は、このアプローチの一般原理を示している。スペクトル拡散動作121は、例えばCDMAコードによって、1セットk人のユーザの発射時に実行される。そして空間・時間コード122が適用される。
【0139】
n個の逆FFT動作1231〜123nによって、n個のアンテナE1〜Enで発射されるn個のOFDM変調が実行される。受信アンテナR1は、さらなる雑音nが付加される(124)n個のチャネルh1〜hnを介する送信に対応する信号を受信する。
【0140】
まず、受信時に、OFDM復調がFFT125によって実行される。そして、上記と同様に、空間・時間デコード126および等化127が実行される。対角化ステップ128およびp個の干渉除去反復1292〜129pが反復される。
【0141】
図13に示された対角化はここに説明されたものと類似しており、プリデコード動作はユーザコードに従ったCDMA逆拡散動作131からなり、プリエンコード動作はユーザコードに従ったCDMA拡散動作132からなる。
【0142】
この逆拡散動作141および拡散動作142はまた、図14に示された各干渉除去反復で見られる。
【0143】
図13および14に示された他の動作については再度論じない。これらは図9および10を参照してここで説明されたものと同一であるからである。
【0144】
この種のスペクトル拡散プリデコードの場合、エンコード、チャネルおよびデコード動作だけでなく、拡散および逆拡散動作を完全行列に統合することによって同じ処理を様々に実行することができることに注目する。
【0145】
この場合、対角化および干渉除去に使用された行列Gのサイズは空間・時間コードのサイズよりも大きいが、全処理は簡略化される。一般的に、あらゆる場合において、この行列のサイズは、Boariuによって提案されたアプローチとは異なり、空間・時間コードの行列よりも大きくてもよいことに注目すべきである。
【0146】
図15は、長さ16、8人のユーザおよび1に等しい多数のキャリアを有するコードに対するこのアプローチの結果を表している。
【0147】
MRC(最大比合成)フィルタリング技術は、(MMSEつまり最小平均二乗誤差型の場合に)等化を実行する本発明のアプローチと結合される。この後者のアプローチはより良好な結果を付与する。
【0148】
7. チャネルエンコードとの関連
図16に示された本発明の一実施形態によると、チャネルエンコードによってシンボルをエンコードすることが提案される。そしてこれらのシンボルは空間・時間コードによってエンコードされる。チャネルエンコードは、冗長情報を付加することによってシステム全体の性能を改良する。
【0149】
発射時に、従って、送信されるビットでの(文献においてこれ自体が既知である)チャネルエンコード動作161があり、その後インタレース162および変調動作163が行われる。そして、得られたシンボルはブロック空間・時間コード168によってエンコードされる。信号は、n個のエミッタアンテナEiによって、n個の送信チャネルhpを介して受信アンテナR1に発射される(当然複数の受信アンテナが予定可能である)。
【0150】
受信時に、まず、発射時に実行されたエンコードと対称的な空間・時間デコード164が実行され、例えばMMSE型の等化165が続く。
【0151】
上記のアプローチに従った反復が次いで実行される。
反復1である図17に詳細に説明される対角化166と、後続の反復である図18に詳細に説明される干渉除去1672〜167p。とである。
【0152】
図17に示されたように、対角化ステップはまず、上記のような適切な対角化171を備える。発射時に実行された変調と対称的な復調動作172がこれに続く。この復調は、復調ビットに関する信頼情報を供給するという意味ではソフトであってもよい。
【0153】
用語「変調」は、1つ以上のバイナリ要素と複素シンボル間の変換としてここでは理解される。復調は逆の動作である。格子エンコード変調が実行されると、この位相の変調または復調は恒等に等しい。
【0154】
そして、発射時に実行されたのと対称的なデインタレース動作173が実行され、発射時に実行されたチャネルエンコード動作と対称的なチャネルデコード動作174が続く。このデコードは出力時にエンコードビットについての確率を生成する。デコーダは出力時ならびに入力時にソフト情報を処理することができる。
【0155】
そして、発射時に実行されたのと同一のインタレース175が実行される。次いで、発射時に実行されたのとまたも同一の変調176が実行される。この変調は入力時にソフトデータを受け入れることができ、また入力ビットの信頼レベル、つまり重み付けシンボルを考慮するシンボルを出力時に生成することができる。
【0156】
特定の実施形態によると、復調およびチャネルデコードは結合時に実行可能である。
【0157】
対応する信号は、図16に示されるような最初の干渉除去反復を提供する。干渉行列1811がこれに乗算され、この結果は、干渉除去181の性能について、等化信号から減算される(1812)。軟判定が実行されると、信頼度1813に関する情報が考慮されてもよい。
【0158】
そして、各反復において、対角化ステップ中に実行された動作である発射時に実行された変調および対称的な復調182もまた反復される。この復調は、復調ビットに関する信頼情報を供給可能であるという意味においてソフトであってもよい。
【0159】
そして、発射時に実行されたのと対称的なデインタレース183が実行される。次いで、発射時に実行されたチャネルエンコードと対称的なチャネルデコード動作184が実行される。このデコードは出力時に、エンコードビットに関する確率を生成する。デコーダは入力時および出力時の両方でソフト情報を処理可能である。
【0160】
そして、発射時に実行されたのと同一のインタレース185が実行される。次いで、発射時に実行されたのとまたも同一の変調186が実行される。この変調は入力時にソフトデータを受け入れてもよく、また入力ビットの信頼レベル、つまり重み付けシンボルを考慮するシンボルを出力時に生成してもよい。結果
【数80】

が次の反復に導入され、あるいは、最後の反復については、処理動作の残りについて考慮される。
【0161】
図16のチャネルエンコード161はターボコードであってもよい。この場合、図17の機能174は、全スキームの各反復に応じて異なってもよい多数のターボデコード反復によるターボデコード動作である。
【0162】
8. チャネルエンコードおよびプリエンコードとの関連
本発明の別の態様によると、シンボルはチャネルエンコード動作によってエンコードされ、次いでプリエンコードされることが可能である。空間・時間エンコードが次いで実行される。
【0163】
ゆえに、送信されるビットについてのチャネルエンコード動作191(文献においては非常によく知られた動作)が提供され、インタレース192および変調動作193が続く。そして、得られたシンボルはプリエンコードされ194、最終的にインタレースされる195。結果として得られたシンボルは最終的にブロック空間・時間コード1910によってエンコードされる。信号はn個のエミッタアンテナEiによって、n個の送信チャネルhpを介して受信アンテナR1に発射される(当然複数の受信アンテナが予定可能である)。
【0164】
受信時に、まず、発射時に実行されたエンコードと対称的な空間・時間デコード195が実行され、例えばMMSE型の等化196が続く。
【0165】
上記のアプローチに従った様々な反復が次いで実行される。
反復1では図20に詳細に説明される対角化197、後続の反復では図21に詳細に説明される干渉の除去1982〜198p。である。
【0166】
図20に示されたように、対角化ステップはまず、上記のような適切な対角化201を備える。発射時に実行されたインタレース動作195と対称的なデインタレース動作202、次いで発射時に実行されたプリエンコード動作と対称的な逆プリデコード動作203がこれに続く。
【0167】
そして、発射時に実行されたのと対称的な復調動作204が実行される。この復調は、復調ビットについての信頼情報を供給するという意味においてソフトであってもよい。
【0168】
そして、発射時(192)に実行されたのと対称的なデインタレース動作205が実行され、発射時に実行されたチャネルエンコード動作と対称的なチャネルデコード動作206が続く。このデコードは出力時にエンコードビットについての確率を生成する。デコーダは、出力時ならびに入力時にソフト情報を処理可能である。そして、発射時(192)に実行されたのと同一のインタレース207が実行される。次いで、発射時に実行されたのとまたも同一の変調208が実行される。この変調は入力時にソフトデータを受け入れることができ、入力ビットの信頼レベル、つまり重み付けシンボルを考慮するシンボルを出力時に生成可能である。そしてこれらのシンボルは発射時のようにプリエンコードされ209、発射時のようにインタレースされる2010。
【0169】
対応する信号は、図21に示されたように、最初の干渉除去反復を提供する。干渉行列2111がこれに乗算され、この結果は、干渉除去211の性能について、等化信号から減算される(2112)。軟判定が実行されると、確率2113に関する情報が考慮されてもよい。
【0170】
そして、各反復において、対角化ステップ中に実行された動作である、発射時(195)に実行されたインタレースと対称的なデインタレース212、次いで、発射時に実行されたプリエンコードと対称的な逆プリエンコード213がまた反復される。
【0171】
そして、発射時に実行された動作と対称的な復調動作214が実行される。この復調は、復調ビットについての信頼情報を供給するという意味においてはソフトであってもよい。そして、発射時(192)に実行されたのと対称的なデインタレース動作215が実行され、発射時に実行されたチャネルエンコード動作と対称的なチャネルデコード動作216が続く。このデコードは出力時にエンコードビットについての確率を生成する。デコーダは出力時ならびに入力時にソフト情報を処理可能である。
【0172】
そして、発射時(192)に実行されたのと同一のインタレース217が実行される。次いで、発射時に実行されたのとまたも同一の変調218が実行される。この変調は入力時にソフトデータを受け入れることが可能であり、また入力ビットの信頼レベル、つまり重み付けシンボルを考慮するシンボルを出力時に生成可能である。そしてこれらのシンボルは発射時のようプリエンコードされ219、発射時のようにインタレースされる2210。結果
【数81】

は次の反復に導入され、あるいは最後の反復については、処理動作の残りについて考慮される。
【0173】
9. 対角化および等化の結合
等化は図22に示されたように対角化に統合可能である。以前のシステムによると、受信信号はまずデコードされる(空間・時間デコードモジュール221)。次いで対角化および等化される(対角化および等化モジュール223)。MMSEの場合、動作は、デコード信号と行列
【数82】

を乗算することからなり、ここでHはエンコードおよび上記定義されたチャネルを表す行列であり、SNRは信号対雑音比であり、Iは単位行列であり、(.)-1は行列反転動作である。ZFの場合、デコード信号に行列
【数83】

が乗算される。
【0174】
そして、シンボルは従来の方法によって推定される。
【0175】
後続の反復は、空間・時間デコード221によって供給されたデータに実行されたMMSE等化22を考慮する。反復は図23に示される。
【0176】
ゆえに、MMSEの場合に行列
【数84】

を使用する対角化および等化ステップ231、そしてシンボル推定ステップ232を含む。
【0177】
セクション5〜8に従ってプリエンコードおよび/またはチャネルエンコードを統合することが常に可能である。
【0178】
10. チャネル推定の改良
チャネル推定を反復に導入することが可能である。チャネル推定は、文書に説明された機能に優先して従来的に実行される。複数のデータhiは以下の機能(等化、対角化、チャネルデコードなど)のうちのそれほど重要ではない図19のこの機能196に対して必要であるため、空間・時間でコードの前に完全に実行されなければならない。
【0179】
各反復の最後に推定されるデータが平行して実行される新たなチャネル推定に使用されてもよい動作モードを想定することができる。新たに推定されたデータhiは次の反復に使用されてもよい。
【0180】
図24のようなモジュール196によってループすることも可能である。この場合、各反復は上記のような空間・時間デコード、等化およびモジュールを有する。
【0181】
11. 本発明の利点
これらの異なる態様によると、本発明は以下のような多数の利点を有する。
(例えばプリエンコードによるスキームに含まれる)反復が実行される際に確率レベルを考慮する再構築、IESによるチャネルへの可能な適用、任意の数のアンテナ(4、8、・・・)の使用、空間・時間コードとの併用、ダイバーシティプリエンコードとの関連、等化の実行などである、
【0182】
本発明の方法の効率は、前記等化ステップの前または後および/または前記反復中に自動利得制御(AGC)を実行することによってさらに改良可能である。
【0183】
付録1:参考文献
1.Tujkovic D.,「Recursive Space−Time Treillis Codes for Turbo coded Modulation」,IEEE GLOBECOM,2000,p.1010−1015,vol.2.
2.Jayaweera S.K.,Poor H.V.,「Turbo(iterative)decoding of a unitary space−time code with a convolutional code」,IEEE VTC Spring 2002,p.1020 ?1024,vol.2.
3.Guillen i Fabregas A.,Caire G.,「Analysis and design of natural and threaded space−time codes with iterative decoding」,Conference on Signals,Systems and Computers,2002,p.279−283,Vol.1.
4.G.Bauch,N.Al−Dahir,「Reduced−complexity Space−Time Turbo−Equalization for Frequency−Selective MIMO Channels」,IEEE journal on Selected areas in communications,2002.
5.Boariu A.,Ionescu M.,「A class of nonorthogonal rate−one space−time block codes with controlled interference」,IEEE trans.on wireless comm.,mar.2003,pp.270−276,vol.2.
6.Tirkkonen O.,Boariu A.et Hottinen A.,「Minimal non−orthonality rate 1 space−time block code for 3+ tx antennas,in proceedings of IEEE ISSTA’00,sept.2000,New Jersey,USA.
7.Jafarkhani H.,「A Quasi−Orthogonal Space−Time Block Code」,IEEE WCNC,2000,p.1457−1458 vol.1.
8.Alamouti S.M.,「A Simple Transmitter Diversity Scheme for Wireless Communications」,IEEE JSAC,oct 1998,p.1457−1458.
9.Tarokh V.,Jafarkhani H.et Calderbanck R.「Space−time block coding for wireless communications:performance results」,IEEE JSAC,mar.1999,pp.451−460,vol.17.
10.V.Le Nir et M.Helard,「Reduced−complexity space−time block coding and decoding schemes with block linear precoding」,Electronics Letters,10th July 2003,Vol.39,N° 14.
【図面の簡単な説明】
【0184】
【図1】それ自体が既知のJafarkhaniのエンコードおよびデコード原理を示す。
【図2】デコードの反復一般構造を示す。
【図3】図2のスキームの最初の反復を示す。
【図4】図2のスキームの後続の反復の構造を示す。
【図5】図1のデコードと比較した反復アプローチの性能を示す。
【図6】2個の他のコードおよび8個のエミッタアンテナによる反復アプローチの性能を示す。
【図7】2個の他のコードおよび8個のエミッタアンテナによる反復アプローチの性能を示す。
【図8】線形ダイバーシティプリエンコードを実行する本発明のアプローチの一般図である。
【図9】図8の最初の反復を示す。
【図10】図8の後続の反復を示す。
【図11】既知のデコード方法と比較した、図8の方法の性能値を示す。
【図12】スペクトル拡散プリエンコードを実行する本発明の別の実施形態を示す。
【図13】図12の最初の反復を示す。
【図14】図12の後続の反復を示す。
【図15】既知のデコード方法と比較した、図12の方法の性能を示す。
【図16】チャネルエンコードおよびプリエンコードも実行される本発明の別の実施形態を示す。
【図17】チャネルエンコードおよびプリエンコードも実行される本発明の別の実施形態を示す。
【図18】チャネルエンコードおよびプリエンコードも実行される本発明の別の実施形態を示す。
【図19】チャネルエンコードもまた実行される本発明のさらに別の実施形態を示す。
【図20】チャネルエンコードもまた実行される本発明のさらに別の実施形態を示す。
【図21】チャネルエンコードもまた実行される本発明のさらに別の実施形態を示す。
【図22】対角化および等化が共に実行される本発明の実施形態を示す。
【図23】対角化および等化が共に実行される本発明の実施形態を示す。
【図24】チャネル推定を実行する本発明の変形例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間・時間または空間・周波数エンコード行列によって、空間、時間および/または周波数に分布されたシンボルを備える受信信号をデコードするための方法であって、
空間・時間デコードステップおよび少なくとも1つの反復を実行し、
各反復が、
前記信号が発射される際に実行されるダイバーシティプリエンコードの逆である、プリデコードデータを供給するダイバーシティプリデコードを行うステップと、
前記信号を形成するシンボルを前記プリデコードデータから推定し、推定シンボルを供給するステップと、
最後の反復を除いて推定信号を付与するために前記推定シンボルに適用される、発射時に実行された前記ダイバーシティプリエンコードと同一のダイバーシティプリエンコードを行うステップと
を含む、方法。
【請求項2】
発射時に実行された空間・時間エンコードの逆である、デコード信号を供給する空間・時間デコードを行うステップと、
前記デコード信号を等化して、等化信号を供給するステップと、
前記エンコード行列の共役転置である行列に対応するデコード行列の少なくとも前記エンコード行列を考慮する完全エンコード/チャネル/デコード行列から得られた対角行列に等化信号の行列を変換するステップと、
前記信号の発射時に実行されたダイバーシティプリエンコードの逆である、プリデコードデータを供給するダイバーシティプリデコードを行うステップと、
前記信号を形成するシンボルを前記プリデコードデータから推定し、推定シンボルを供給するステップと、
推定信号を付与するために前記推定シンボルに適用される、発射時に実行された前記ダイバーシティプリエンコードと同一のダイバーシティプリエンコードを行うステップと、
以下のサブステップを実行する干渉除去ステップの少なくとも1つの反復を行うステップと、
干渉行列を乗算した前記推定信号を前記等化信号から減算して、最適信号を供給するステップと、
前記信号の発射時に実行されたダイバーシティプリエンコードの逆である、プリデコードデータを供給する前記最適信号のダイバーシティプリデコードを行うステップと、
前記最適信号を形成するシンボルをプリデコードデータから推定して、新たな推定シンボルを供給するステップと、
最後の反復を除いて新たな推定信号を付与するために前記新たな推定シンボルに適用される、発射時に実行された前記ダイバーシティプリエンコードと同一のダイバーシティプリエンコードを行うステップと
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空間・時間デコードおよび等化ステップおよび/または前記等化および変換ステップが共に実行される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記エンコードシンボルが少なくとも2つのアンテナによって発射され、異なる対応する送信チャネルが包括的に考慮される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
MMSE型等化と、
EGC型等化と、
ZF型等化と、
受信信号および受信雑音間の信号対雑音比を表す情報を考慮する等化と
を備える群に属する技術のうちの1つに従って、前記等化ステップが等化を実行する請求項2〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記シンボル推定ステップが信頼情報を判定と関連付ける軟判定を実行し、前記1つまたは複数の減算ステップが前記複数の信頼情報を考慮する請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記受信信号がマルチキャリア信号である請求項2〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記プリエンコードが、
スペクトル拡散技術と、
線形プリエンコードと
のうちの1つによって得られる請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記等化ステップの前または後および/または少なくとも1つの前記反復中に自動利得制御ステップを実行する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
発射時に実行されたチャネルエンコードステップと対称的なチャネルデコードステップを備える請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記チャネルデコードステップはターボデコード動作を実行する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
発射時に実行されたインタレースに対応する少なくとも1つのデインタレースステップおよび少なくとも1つのリインタレースステップを備える請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの反復中に推定されたデータを考慮する、チャネル推定を改良するステップを備える請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記受信信号が4個のアンテナによって送信され、前記完全行列は、
【数1】

に等しく、この場合、
【数2】

、干渉を表す
【数3】

および
【数4】

であり、
ここで
【数5】

は空間・時間エンコードおよび送信チャネルをグルーピングする行列であり、SNRは信号対雑音比を表している請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記受信信号が8個のアンテナによって送信され、前記完全行列は
【数6】

に等しく、この場合、
【数7】

【数8】

および
【数9】

であり、
ここで
【数10】

は空間・時間エンコードおよび送信チャネルをグルーピングする行列であり、SNRは信号対雑音比を表す請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
【数11】

となるようにエンコードが空間・時間エンコードを実行し、デコードは請求項14に従ったデコードである、エンコードおよびデコード方法。
【請求項17】
空間・時間エンコード行列によって空間および時間および/または周波数に分布されたシンボルを備える受信信号をデコードするための手段を実行する受信機であって、
発射時に実行された空間・時間エンコードの逆である空間・時間デコード手段を備え、さらに、
前記最適信号をダイバーシティプリデコードするための手段であって、前記信号の発射時に実行されたダイバーシティプリエンコードの逆であるプリデコードを実行し、プリデコードデータを供給する、手段と、
前記最適信号を形成するシンボルをプリデコードデータから推定して、新たな推定シンボルを供給するための手段と、
新たな推定信号を付与するために前記新たな推定シンボルに適用された、発射時に実行された前記ダイバーシティプリエンコードと同一のプリエンコードを実行するダイバーシティプリエンコード手段と
を備え、前記手段が各シンボルに対して少なくとも一回は実行される、受信機。
【請求項18】
空間・時間または空間・周波数エンコード行列によって空間、時間および/または周波数に分布されたシンボルを備える受信信号をデコードするための方法であって、
少なくとも前記エンコード行列を考慮する完全エンコード/チャネル/デコード行列から得られた、前記エンコード行列の共役転置である行列に対応するデコード行列の対角化を行うステップと、
発射時に実行された変調と対称的な復調を行うステップと、
発射時に実行されたインタレースと対称的なデインタレースを行うステップと、
発射時に実行されたチャネルエンコードと対称的なチャネルデコードを行うステップと、
発射時に実行されたのと同一のリインタレースを行うステップと、
発射時に実行されたのと同一の、推定信号を供給する再変調するステップと、
干渉行列が乗算された前記推定信号を等化信号から減算することを備える干渉除去ステップの少なくとも1つの反復であって、最適信号を供給するステップと
を含む、方法。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公表番号】特表2007−504692(P2007−504692A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524381(P2006−524381)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000538
【国際公開番号】WO2005/029757
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】