説明

空間仕切りパネル

【課題】 複数の異なる部材や接合金具等を必要とせず、パネルの組立や設置、撤去が簡単に行え、保管や運搬も容易に行える。
【解決手段】 同一のパネル10が複数連接されて立設される組立室1を構成する空間仕切りパネルであり、矩形状の中空板材からなるパネル本体11と、パネル本体の設置面に当接する下端側が当該下端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成された下端側折り曲げ部12と、パネル本体の左右側端側が、それぞれ当該左右側端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成された一対の側端側折り曲げ部13、14を備え、隣接して配置された複数のパネルの各側端側折り曲げ部が、空間外側方向に折り曲げられ面接触した状態で接合されて、複数のパネルが左右方向に連接されるとともに、当該複数のパネルの各下端側折り曲げ部が空間外側方向に折り曲げられ、各下端側折り曲げ部が設置面と面接触した状態で複数のパネルが設置面に立設される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内や屋外等において組み立てられて使用される簡易型の更衣室等の組立室を構成するための空間仕切りパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物内や屋外等において、板材やパネル等を組み立てて空間を仕切ることにより、簡易な更衣室や緊急用の医療室等の組立室を設置することがある。
このような組立式の更衣室等の組立室は、組み立てや設置が簡単に行え、保管や搬送,撤去等も通常の家屋等と比較して容易に行えるものであり、一時的,応急的な空間の間仕切り等に利用される。
例えば海水浴場等に一時的に設置される更衣室や、被災地等に設置される緊急用の医療室、被災者が公共の施設(体育館,講堂,公民館等)に避難した場合の避難者同士の間仕切りや目隠し用の空間・部屋などに使用される。
【0003】
このような簡易・一時的に設置される組立室に関するものとしては、例えば特許文献1に開示されているような「組立式簡易更衣室」がある。
この特許文献1の簡易更衣室は、縦長の外板パネルを複数用意し、各外板パネルの縦方向に沿って可撓性の連結金具を連結して屈曲可能な外壁部材を形成するとともに、連結した外壁部材の両端間を接近させて、その間に開閉ドアを取り付けて更衣室を形成するようになっている。このような簡易型の更衣室は、外板パネルや連結金具、開閉ドアを分解した状態で持ち運び、設置箇所においてそれらを組み立てることで、所望の場所に更衣室を設置でき、使用後は再び分解することで撤去・移動することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−295907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上のような簡易型の組立室は、複数の外板パネルや連結金具、ドア部を構成する開閉ドア等の複数の異なる種類の部材、部品を用意し、それらを適切に組み合わせて、工具等を使用して組み立てる作業が必要であった。
このため、複数の部材、部品の管理や保管等が煩雑となる上、組立・分解作業も必ずしも容易とは言えなかった。
また、複数の外板パネルや開閉ドア、連結金具は、一つの更衣室単位でも相当な数と体積,重量となり、持ち運びも簡単には行えないものであった。
このため、例えば海水浴場や被災地用に多くの組立室を備えておくような場合には、大量の板状部材や金具、備品等を準備することになり、そのための保管や運搬等の作業も過大なものとなり、管理者や作業者に大きな負担を与えるという問題があった。
【0006】
また、複数種類の板部材や連結部材を適切に組み合わせて、それを固定用の金具や工具を使用しつつ組立室を組み立てる作業は、経験のある者であっても必ずしも容易なものとは言えず、一時的,応急的に使用される簡易型の更衣室等の場合、設置経験のない者が作業を行うこともあり、組み立て,設置の作業が煩雑乃至困難なものとなるおそれがあった。
さらに、そのようにして複数の板材で設定された仕切り空間は、板材の形状や大きさ,枚数によって空間の形状及び大きさが固定化されており、例えば設置箇所や使用人数等に応じて空間の大きさや形状を変更するようなことはできなかった。
従って、例えば使用目的や使用者の人数等に応じて、形成される空間(組立室)の大きさを拡張したり変更したりすることは困難で、設置場所の状況等によっては設置自体ができない等の問題が生じるおそれもあった。
【0007】
そこで、本発明者らは以上のような従来技術の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、一般に気泡ボードと称される樹脂製の中空板に着目し、かかる気泡ボードを用いて単一のパネルのみによって更衣室や医療室等の組立室を組み立てることを可能とし、異なる種類の複数の部材や部品を不要とし、組立作業等もきわめて容易で誰にでも簡単に組立・設置が可能となり、空間の形状や大きさも随時変更・拡張することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
すなわち、本発明は、上述した従来の問題を解決するために提案されたものであり、複数の異なる部材や部品、接続のための金具や工具等を必要とすることなく、きわめて簡単に組立や設置、撤去が行え、非使用時の保管や運搬、管理等も容易で、形成される空間の大きさや形状も随時拡張,変更することができる、簡易型の更衣室や医療室等の組立室の設置に好適な空間仕切りパネルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の空間仕切りパネルは、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材からなるパネルであり、同一のパネルが複数連接されて設置面に立設されることにより、当該設置面上の空間を所定形状に仕切る組立室を構成する空間仕切りパネルであって、各パネルが、矩形状の中空板材からなるパネル本体と、このパネル本体の設置面に当接する下端側が、当該下端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成された下端側折り曲げ部と、このパネル本体の左右側端側が、それぞれ当該左右側端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成された一対の側端側折り曲げ部とを備え、隣接して配置された複数のパネルの各側端側折り曲げ部が、空間外側方向に折り曲げられ面接触した状態で接合されて、当該複数のパネルが左右方向に連接されるとともに、当該複数のパネルの各下端側折り曲げ部が空間外側方向に折り曲げられ、各下端側折り曲げ部が設置面と面接触した状態で、当該複数のパネルが設置面に立設される構成としてある。
そして、各パネルの側端側折り曲げ部の所定箇所には、接合部品を挿入可能な貫通孔が備えられ、隣接して配置された複数のパネルの各側端側折り曲げ部が面接触した状態で、貫通孔に接合部品が挿入されて接合される構成となっている。
【0010】
このような構成からなる本発明の空間仕切りパネルによれば、中空板材からなる同形、同大の単一のパネルを複数用意し、それらを折り曲げて端部同士を連接するだけで一定の大きさに仕切られた空間を形成する組立室を構成することができる。
このため、組立作業はきわめて簡単で、経験のない者等であっても直感的に理解して組立室の組立作業を行うことが可能となる。
また、同一、同形のパネルは、管理や保管もきわめて容易であり、また、中空板材からなるパネルは重量も軽く、ハサミやカッター等で裁断や加工も簡単に行える。
そして、単一のパネルを連接するのみで組み立てることができるので、パネルの数を増減変更し、連接方向を変えることで、パネルによって形成される空間を任意の形状,大きさに設定・変更することができる。
さらに、合成樹脂製の中空板材は、軽量かつ柔軟で、耐水性や耐久性、保温性にも優れ、水洗い等も可能で、繰り返し使用することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明の空間仕切りパネルによれば、複数種類の板部材やそれを接合するための金具や工具等を必要とすることなく、きわめて簡単に簡易型更衣室等の組立室の組立・設置や撤去を行うことができ、形成される空間の大きさや形状も任意に設定,変更することができる。
また、非使用時の仕切りパネルの保管や運搬等も容易に行え、さらに、中空板材からなるパネルは、保温性や耐水性、耐久性にも優れ、汚れても洗浄して繰り返し再利用することができる空間仕切りパネルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルによって形成された組立室として簡易型更衣室を構成した場合の外観を示す斜視図であり、出入り用の扉を組立室を構成するパネルとは別パネルによって構成する場合を示している。
【図1B】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルによって形成された組立室として簡易型更衣室を構成した場合の外観を示す斜視図であり、出入り用の扉を組立室を構成するパネルに切り込みを入れて構成する場合を示している。
【図2A】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルの正面図であり、図1Aに対応して出入り用の扉を組立室を構成するパネルとは別パネルによって構成するタイプのパネルを示している。
【図2B】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルの正面図であり、図1Bに対応して出入り用の扉を組立室を構成するパネルに切り込みを入れて構成するタイプのパネルを示している。
【図3】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルを構成する中空板材を示す要部斜視図であり、(a)は三層構成の気泡ボードを示しており、(b)は(a)に示す気泡ボードの端部(縁部)を封止材で封止した場合を示している。
【図4】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルの折り部の一例を示す説明図であり、切り込み(ハーフカット)加工された折り部が形成されたパネルの要部平面を示している。
【図5】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルの折り部の一例を示す説明図であり、折り部が切り込み(ハーフカット)加工された図4のA−A断面を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルの折り部の一例を示す説明図であり、折り部が切り込み(ハーフカット)加工された図4のB−B断面を示す断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルの折り部の一例を示す説明図であり、折り部がV字加工されている場合を示している。
【図8A】本発明の一実施形態に係る図2Aに示したタイプの空間仕切りパネルによる組立室の組立手順を示す説明図であり、(a)は4枚のパネルを位置合わせして設置しつつ入り口部分を裁断している状態を、(b)は1枚のパネルを裁断して扉を形成している状態を示している。
【図8B】本発明の一実施形態に係る図2Bに示したタイプの空間仕切りパネルによる組立室の組立手順を示す説明図であり、4枚のパネルを位置合わせして設置しつつ入り口及び扉となる部分に切り込みを入れている状態を示している。
【図9】本発明の一実施形態に係る図2Aに示したタイプの空間仕切りパネルによる組立室の組立手順を示す説明図であり、(a)は4枚のパネルで形成された組立室の入り口部分に扉を取り付ける状態を、(b)は完成した更衣室の状態を示している。
【図10】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルによって形成された組立室として、簡易型医療室の外観を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルによって形成可能な組立室の空間の形状の一例を示す概略平面図であり、(a)は4枚のパネルによって平面視正方形の形状とした場合、(b)は同じく6枚のパネルによって平面視矩形(長方形)形状とした場合である。
【図12】本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルによって形成可能な組立室の空間の形状の一例を示す概略平面図であり、(a)は8枚のパネルによって平面視矩形(長方形)の形状とした場合、(b)は同じく8枚のパネルによって平面視L字系形の曲折形状とした場合である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る空間仕切りパネルの実施形態について、図面を参照して説明する。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る空間仕切りパネルによって形成された組立室として、簡易型更衣室を構成した場合の外観を示す斜視図であり、出入り用の扉を組立室を構成するパネルとは別パネルによって構成する場合を示しており、図1Bは、出入り用の扉を組立室を構成するパネルに切り込みを入れて構成する場合を示している。
また、図2A,Bは、それぞれ図1A,Bに対応した組立室を構成する本実施形態に係る空間仕切りパネルの正面図である。
【0014】
[空間仕切りパネル]
これらの図に示すように、本実施形態の空間仕切りパネル10は、同形・同大の同一(単一)のパネル10が、複数横方向に連接されて閉じられた空間(室・部屋)が形成されて、例えば簡易な更衣室や医療室として使用可能な組立室1を構成するパネル部材となっている。図1A,Bに示す例では、4枚のパネル10が連接されて平面視正方形状の組立室(更衣室)が構成されている。組み立てられた組立室1は、建物内や屋外等の任意の設置場所に設置・立設されて使用される。
具体的には、空間仕切りパネル10は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材によって所定形状(矩形状)に形成されている。
【0015】
ここで、パネル10が組み立てられて組立室1が構成された状態で、人が室内に出入り可能な大きさであり、更衣室の場合には室内において更衣が可能で、さらに、更衣中の人が外部から見えない(覗かれない)大きさの組立室1が構成されるように、各パネル10の大きさが設定されている。
更衣室用のパネル10の場合、例えば、パネル10の幅(上端及び下端側の長さ)が1100mm〜1500mm、パネル10の高さ(左右両端側の長さ)が1600mm〜1750mmの大きさに形成される。
従って、パネル10の大きさは、組立室1の用途や構成に応じて適切な値に設定することができ、合成樹脂製の中空板材を切り出すことで、任意の大きさのパネル10を形成することができる。
【0016】
そして、そのような中空板材からなるパネル10が、図2A,Bに示すように、パネル本体11と、下端側折り曲げ部12及び一対の側端側折り曲げ部13,14の各部を備えた構成となるように形成されている。まず、パネル10は、中空板材が矩形状に形成されており、矩形板の三方の端側、すなわち、下端側及び左右両端側が折り曲げ可能に形成されている。
パネル本体11は、パネル10の折り曲げ可能な三方の端側を除く平板状のパネル主要部分によって構成されている。
下端側折り曲げ部12は、パネル本体11の設置面に当接する下端側が、当該下端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成されている部分である。この下端側折り曲げ部12は、組み立てられた状態で組立室1を立設状態で支持する支持手段となる。
一対の側端側折り曲げ部13,14は、パネル本体11の左右側端側が、それぞれ当該左右側端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成されている部分である。この側端側折り曲げ部13,14は、複数連接されるパネル10の接合代(シロ)となる。
【0017】
この下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14は、パネル10の下端縁及び両側端縁から一定の幅を取った部分に折り曲げ加工が施されて折り部2が形成されることで、パネル本体11と連続した一つのパネルとして設けられている。折り部2は、後述するように切り込み加工やV字加工により、パネル10が組立室1の空間外側に向かって折り曲げ可能となるように形成される(図4〜図7参照)。
また、下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14のパネル下端側の隣接部分は、両者が干渉することなく折り曲げ可能となるようにパネルが切り取られている。図2A,Bに示すように、本実施形態では、下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14の隣接部分がほぼ45度の間隔となるようにパネルが切り取られた構成となっている。また、この下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14の隣接部分には、後述するように互いに係脱可能な係合部15(15a,15b)が形成されている。
【0018】
このようなパネル構成により、折り部2に沿って下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14がパネル本体11に対して、組立室1の空間外側に向かって折り曲げ可能となっている。
そして、このような構成からなるパネル10は、隣接して配置された複数のパネル10の各側端側折り曲げ部13,14が、空間外側方向に折り曲げられ面接触した状態で接合されて、複数のパネル10が左右方向に連接されるとともに、複数のパネル10の各下端側折り曲げ部12が空間外側方向に折り曲げられ、各下端側折り曲げ部12が設置面と面接触した状態で、当該複数のパネルが設置面に立設される。
【0019】
側端側折り曲げ部13,14の所定箇所には、接合部品を挿入可能な貫通孔が備えられている。本実施形態では、各側端側折り曲げ部13,14の上部及び下部に一つずつ、合計4つの貫通孔13a,13b,14a,14bが形成されている。
そして、隣接して配置された複数のパネル10の各側端側折り曲げ部13,14が面接触した状態で、各貫通孔13a,13b,14a,14bに接合部品が挿入されて、隣接するパネル10の側端側折り曲げ部同士が接合される。
【0020】
ここで、貫通孔13a,13b,14a,14bは、使用する接合部品に対応した大きさ・形状に形成される。接合部品としては、例えば一般的なボルト・ナットや、段ボール留め具(所謂Pジョイント)などを使用することができ、貫通孔13a,13b,14a,14bは、それら接合部品に適合した大きさ、形状に形成される。
なお、この接合部品用の貫通孔は、本実施形態では、各側端側折り曲げ部13,14の上部及び下部に一つずつ、合計4つの貫通孔13a,13b,14a,14bを設けてあるが、貫通孔の数や位置は、パネル10の大きさや厚み、接合するパネル数等に応じて設定することができる。
【0021】
また、端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14の隣接部分には、上述したように、互いに係脱可能な係合部15(15a,15b)が形成されている。
具体的には、図2A,Bに示すように、下端側折り曲げ部12の両端部と、側端側折り曲げ部13,14の下端部には、当該下端側折り曲げ部12及び側端側折り曲げ部13,14が空間外側方向に折り曲げられた状態において、互いに係合可能な係合部15a,15bが備えられている。
これによって、折り曲げられて箱状に連接されたパネル10の端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14の隣接部分は、係合部15a,15bの係合によって組立状態が保持・固定され、組み立てられた組立室(更衣室)1の形状が維持されるようになる。
なお、係合部15は、本実施形態では、側端側折り曲げ部13,14側に凸状の係合部15a、下端側折り曲げ部12側に凹状の係合部15bを設けてあるが、凹凸を逆にして設けても良い。また、係合部15の形状・係合構造は、本実施形態のものに限定されず、折り曲げた状態において下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14の隣接部分が係合可能な構成であれば、どのような係合構造、凹凸構造であっても良い。
【0022】
また、下端側折り曲げ部12は、側端側折り曲げ部13,14と隣接・対向している両端部が、当該下端側折り曲げ部12が空間外側方向に折り曲げられた状態において、隣接して接合された他のパネル10の下端側折り曲げ部12の端部と当接可能な形状に形成されている。
具体的には、図2A,Bに示すように、下端側折り曲げ部12の両端部が、パネル本体11側からパネル下端縁に向かってほぼ45度に広がる形状に形成されており、側端側折り曲げ部13,14との隣接部分がほぼ45度の間隔となるようにパネルが切り取り加工されている。
【0023】
これによって、隣接して配置される複数のパネル10のパネル本体11同士がほぼ直交するように接合される場合に、隣接して接合されたパネル10の下端側折り曲げ部12の端部同士が折り曲げられた状態において当接可能となる。そして、連接されたパネル10の下端側折り曲げ部12の端部同士が当接することで、組み立てられた組立室1の強度がより堅固に維持されるようになる。
なお、この下端側折り曲げ部12の両端部の形状は、下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14の両者が、干渉することなく折り曲げ可能となるように間隔を持っていれば、図2に示すような45度間隔の形態に限定されない。
また、この下端側折り曲げ部12の45度傾斜部分は、後述する切断予定線35に沿って切断することで下端側折り曲げ部12から切り取ることができ、複数のパネル10を直線状に配置・連接する場合に、下端側折り曲げ部12の端部同士が干渉しないようにすることができる(図10、図11(b)、図12(a),(b)参照)。
【0024】
また、側端側折り曲げ部13,14の上端側にはスリット16が形成されている。具体的には、図2に示すように、側端側折り曲げ部13,14の上端側の、パネル本体11と隣接する上端部から下端部に向かって、折り部2に沿って所定の深さのスリット16が形成されている。
このようなスリット16を備えることで、パネル10が組み立てられて組立室1が形成された状態において、スリット16を介してパネル本体11の上端縁にL字形状の接合部品を嵌合させることができ(図9(a),(b)参照)、これによって、組み立てられた組立室1の強度をより堅固に維持・増強することができるようになる。
なお、上記のようなL字形状の接合部品は必ずしも必須ではなく、従って、そのような接合部品を使用しない場合には、スリット16についても省略することができる。
【0025】
さらに、本実施形態では、パネル10を構成する中空板材の表面の所定箇所に、当該中空板材を切断すべき切断予定線を表示するようにしてある。
合成樹脂製の中空板材は、ハサミやカッターを用いて裁断・切断が可能であり、本実施形態においては、このような中空板材の特性を利用して、組立室1に必要な構成を、中空板材を切断・裁断することで得られるようにしてあり、そのために、切断すべき箇所を切断予定線によって表示するようにしてある。
【0026】
具体的には、本実施形態のパネル10では、切断予定線が、パネル本体11に形成される出入り口の外形に沿って表示されるようにしてある。これは、図2A,Bに示す例では、切断予定線31で示されている。
この切断予定線31は、人が出入り可能な出入り口となる形状(例えば矩形状)の外形を示すように表示されており、この切断予定線31に沿ってパネルが切断されることによって(図8A,B参照)、パネル本体11に出入り口1aが形成されることになる(図9(a),(b)参照)。
【0027】
ここで、図2Aに示すパネルでは、図1Aで示されているように、組立室1の出入り用の扉を、組立室1を構成するパネルとは別パネルによって構成するタイプとなっている。
このため、上述したパネル本体11に出入り口1aを形成するための切断予定線31に加えて、パネル本体11を切断して扉体を切り取って形成するための切断予定線32が表示されている。
切断予定線32は、上述したパネル本体11に形成される出入り口1a部分に取り付け可能な扉体の外形に沿って切断予定線が表示されるようになっている。具体的には、この切断予定線32は、上述した出入り口用の切断予定線31よりも一回り大きい形状(例えば矩形状)に表示されており、この切断予定線32に沿ってパネルが切断されることで(図8(b)参照)、上述したパネル本体11の出入り口1aを覆う扉体1bが切り取られて形成される(図9(a),(b)参照)。なお、扉体1bを切り取るためのパネル10は、組立室(更衣室)1を構成する4枚のパネル10とは別に用意しておき、扉体切り取り専用のパネル10として使用する。
【0028】
また、このようにして切り取られた扉体1bには、上述した出入り口を示す切断予定線31が表示されているので、その切断予定線31に沿って扉体1bに折り曲げ用の折り曲げや切り込みを形成することができる。例えば、図2Aに示す出入り口を示す切断予定線31のうち、符号31aで示す線に沿って折り目や切り込みを入れることで、扉体1bが組立室1に取り付けられた場合に、扉体1bの開閉が容易に行えるようにすることができる(図9(a),(b)参照)。
さらに、図2Aに示すタイプのパネルでは、切断予定線として、上述した扉体1bを固定するための接合部材用の貫通孔の切り取り位置を示す切断予定線33と、扉体1bに形成する取っ手1cとなる貫通孔の切り取り位置を示す切断予定線34が表示してある。これによって、扉体1bの取り付けが簡単に行えるようになり、また、扉体1bに対して他の部品等を必要とすることなく取っ手1cを設けることができる。
【0029】
なお、切断予定線33で示される接合部品用の貫通孔は、組立室1の出入り口1a側に形成すべき貫通孔を示すものであり、かつ、扉体1bに対して形成すべき貫通孔を示すものでもある。
また、扉体1bの取り付けようの接合部品は、上述した複数パネルの側端側折り曲げ部13,14同士の接合に用いる接合部品と同様のものを用いることができ、例えば例えば一般的なボルト・ナットや段ボール留め具(Pジョイント)等を使用することができる。
【0030】
一方、図2Bに示すパネルでは、図1Bで示されているように、組立室1の出入り用の扉体1bを、組立室1を構成するパネルに切り込みを入れて構成できるタイプとなっており、切断予定線31はパネル本体11の出入り口1aを形成するための線が、そのままパネル本体11を切断して扉体を形成するための線ともなっている。従って、図2Aに示したような扉体形成用の切断予定線32や扉体の接合部品用の切断予定線33は不要となる。
この場合、パネル本体11を切断して切り込みを入れるのは、図2Bに示す矩形状に表示された切断予定線31の3辺であり、残りの1辺(図2Bで符号31aで指し示した辺)は切り込みを入れずに残しておく。これによって、形成された扉体はパネル本体11から分離することなく取り付けられた状態となり、扉体1bは切断されなかった切断予定線31aに沿って折り曲げられることで開閉が可能となる。
従って、この切断予定線31aに沿って折り目や切り込みを入れることで、扉体1bの開閉が容易に行えるようにすることができる。また、このタイプのパネルについては、予め切断予定線31aに沿って折り曲げ可能なミシン目,ノッチ加工等を施しておくこともできる。
【0031】
さらに、図2A,Bのいずれのタイプのパネルについても、他の切断予定線として、下端側折り曲げ部12の45度に傾斜して突出する部分を切断して切り取り可能な位置を示す切断予定線35が表示してある。
この切断予定線35に沿って下端側折り曲げ部12の端部を切断することで、下端側折り曲げ部12から突出している45度の傾斜部を切り取ることができ、複数のパネル10を直線状に配置・連接する場合に、下端側折り曲げ部12の端部同士が干渉しないようにすることができる(図10、図11(b)、図12(a),(b)参照)。
【0032】
以上のような切断予定線は、例えば印刷等によってパネル10を構成する中空板材の表面に表示することができる。また、切断予定線は、少なくともパネル10の片側面に表示させるようにし、パネル両面に表示することもできる。
なお、中空板材はハサミ、カッター等を用いて適宜切断、裁断が可能であり、切断予定線以外の箇所を切断して所望の形状に加工・変形等することは当然可能である。従って、切断予定線を設けること自体を省略することも可能であり、パネル10を用いて組立室1の組み立てを行う者が、切断予定線に拘束されることなく自由にパネル10の切断・裁断加工が行えるようにすることもできる。
【0033】
[気泡ボード]
次に、以上のような構成からなる本実施形態のパネル10を構成する中空板材について説明する。
図3は、本実施形態に係る空間仕切りパネルを構成する中空板材を示す要部斜視図であり、(a)は三層構成の気泡ボードを示しており、(b)は(a)に示す気泡ボードの端部(縁部)を封止材で封止した場合を示している。
本実施形態に係るパネル10は、図3(a)に示す中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材からなっている。このような中空板材としては、一般に、気泡ボート、プラスチック段ボールなどと称されるものが知られているが、独立した多数の気泡内に空気が封入され、より断熱性に優れていることから、図3(a)に示すような気泡ボード100を用いるのが好ましい。
【0034】
図3(a)に示す気泡ボード100は、中空状に膨出する多数の突起103が成形されたコア材としてのキャップシート102と、突起103内に空気を封入して気泡を形成する一方の外装材としてのバックシート101と、突起103の頂面側に積層された他方の外装材としてのライナーシート104とを備えている。
【0035】
このような気泡ボード100は、例えば、図示しない多数のキャビティ孔が設けられた成形ロールの外周面に、シート状に連続して繰り出される溶融樹脂を接触させて中空状に膨出する多数の突起103を真空成形することによってキャップシート102を形成しつつ、このキャップシート102を、突起103の開口側に供給されたバックシート101と、突起103の頂面側に供給されたライナーシート104とで挟み込み、これらを熱融着により積層一体化し、しかる後に所定の形状に切り出すことによって製造することができる。
なお、上記のようにして気泡ボード100を製造するにあたり、バックシート101、キャップシート102、ライナーシート104のそれぞれの厚みは、気泡ボード100に要求される強度、剛性などを考慮して適宜調整することができる。通常は、例えば100μm〜1.5mm程度とすることができる。
【0036】
所定の形状に切り出された気泡ボード100の端縁には、必要に応じて、図3(b)に示すように、帯状の封止材105を熱融着などによって取り付けるようにしてもよい。このようにすることで、気泡ボード100の内部に異物が侵入してしまうのを防止するとともに、それぞれの気泡103の間にも空気が封入されるようにして、さらなる断熱性の向上を図ることもできる。
また、以上のような気泡ボード(中空板材)100の材料樹脂としては、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂などを挙げることができる。但し、これらに限定はされない。
【0037】
[折り部]
以上のような気泡ボード100に対して、図4に示すように、所定の加工を施すことにより折り部2を形成して、パネル本体11に対して折り曲げ可能な上述した下端側折り曲げ部12及び側端側折り曲げ部13,14を形成することができる。
ここで、折り部2は、所定の形状に形成されたパネル10の所定箇所に切り込み(ハーフカット)加工を入れて形成することができ、これによって折り部2に沿ってパネル10を折り曲げ可能に構成することができる。
折り部2を形成する際に切り込み(ハーフカット)を入れるのは、気泡ボード100のバックシート101側、ライナーシート104側のいずれであってもよいが、図4〜6示す例では、気泡ボード100のバックシート101側に切り込み3を入れることによって折り部2を形成している。これによって、気泡ボード100は切れ込み3を入れたバックシート101側からライナーシート104側に折り曲げ可能となる。従って、パネル10(気泡ボード100)は、切れ込み3が形成されている面を組立室1の空間内側に向けて配置して、下端側折り曲げ部12及び側端側折り曲げ部13,14が外側に向かって折り曲げられるようにすればよい。
【0038】
ここで、図4は、図3に示す気泡ボード100をバックシート側から見た拡大図であり、図4のA−A断面図を図5(a)に示し、当該部位を折り部2で折り曲げた状態を図5(b)に示す。同様に、図4のB−B断面図を図6(a)に示し、当該部位を折り部2で折り曲げた状態を図6(b)に示す。
これらの図に示すように、突起103がない部位では、キャップシート102とバックシート101との融着部を切断するように切り込み3を入れ(図5(a)参照)、ライナーシート104のみが屈曲して折り部2が形成されるようになる(図5(b)参照)。
これに対して、突起103がある部位では、バックシート101と突起103の側壁部とを切断するように切り込み3を入れ(図6(a)参照)、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された部分が屈曲して折り部2が形成されるようになる(図6(b)参照)。
【0039】
これにより、折り部2は、ライナーシート104のみからなる部分と、ライナーシート104に突起103の頂面が融着されて二重構造となっている部分とが交互に配置されて形成されることになる。したがって、気泡ボード100に切り込み3を入れて形成された折り部2は、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された二重構造となっている部分によって部分的に補強されて、折り部2の曲げ易さを損なわない程度に強度が高められている。すなわち、折り部2を補強するために、例えば、折り部2を形成しようとする部位にシート材を積層して二重構造としただけでは、折り部2が折り曲げにくくなって、パネル10の組み立てに支障をきたすおそれがあるが、本実施形態にあっては、折り部2が部分的に二重構造となるために、その曲げ易さを損なうことなく適度に折り部2が補強されることになる。
【0040】
また、曲げ易さを損なうことなく折り部2の強度をさらに高めるために、例えば、ポリエチレン系樹脂フィルムなどのような柔軟なフィルム材を気泡ボード100に積層することもできる。
このとき、バックシート101側に切り込み3を入れて折り部2を形成するのであれば、ライナーシート104側の面、すなわち、切り込み3を入れる側とは反対側の面に、必要に応じて接着剤を介するなどして当該フィルム材を積層することができる。
【0041】
なお、特に図示しないが、気泡ボード100のライナーシート104側から切り込み3を入れて折り部2を形成する場合、突起103がない部位では、ライナーシート104を切断するように切り込み3を入れ、キャップシート102とバックシート101との融着部が屈曲して折り部2を形成することになる。一方、突起103がある部位では、ライナーシート104に突起103の頂面が融着された部分と突起103の側壁部とを切断するように切り込み3を入れ、バックシート101が屈曲して折り部2を形成することになる。
いずれにしても、形成された折り部2は、バックシート101のみからなる部分と、バックシート101にキャップシート102が融着されて二重構造となっている部分とが交互に配置されて形成されることになり、折り部2が部分的に二重構造となって、その曲げ易さを損なうことなく適度に折り部2が補強されることになる。
【0042】
また、以上のような切り込み加工による折り部2以外にも、例えば図7に示すようなV字加工を施すことによりパネル10に折り部2を形成することができる。
図7は、上述した図5に対応する気泡ボード100(パネル10)の断面図であり、図5で示した切り込み3に換えてV字加工部4を形成したものである。
同図に示すV字加工部4は、気泡ボード100には、加熱鏝を当てるなどして断面V字状に溶融して形成するものであり、このV字加工部4を設けることによって、図7(b)に示すように、気泡ボード100がV字加工部4が設けられた側に折り曲げられるようになる。従って、この場合には、パネル10(気泡ボード100)は、V字加工部4が形成されている面を組立室1の空間外側に向けて配置して、下端側折り曲げ部12及び側端側折り曲げ部13,14が外側に向かって折り曲げられるようにする。
なお、このような溶融加工して形成されるV字加工部4は、気泡ボード100の一部が線状に押し潰された状態となっており、V字加工部4で囲まれた範囲には空気が封入されるようになる。このため、気泡ボード100の端縁に封止材105(図3(b)参照)を取り付けなくとも、当該範囲における気泡に空気が封入され、これによって気泡ボード100(パネル10)の断熱性を向上させることができる。
【0043】
[組立室の組立方法]
次に、以上のような構成からなる本実施形態の空間仕切りパネル10を用いて組立室1を組み立てる手順(組立方法)について図8〜9を参照して説明する。
図8Aは、本実施形態に係る図2Aに示したタイプの空間仕切りパネルによる組立室の組立手順を示す説明図であり、(a)は4枚のパネルを位置合わせして設置しつつ入り口部分を裁断している状態を、(b)は1枚のパネルを裁断して扉を形成している状態を示している。
図8Bは、本実施形態に係る図2Bに示したタイプの空間仕切りパネルによる組立室の組立手順を示す説明図であり、4枚のパネルを位置合わせして設置しつつ入り口及び扉となる部分に切り込みを入れている状態を示している。
図9は、図8Aから引き続いて、図2Aに示したタイプの空間仕切りパネルによる組立室の組立手順を示す説明図であり、(a)は4枚のパネルで形成された組立室の入り口部分に扉を取り付ける状態を、(b)は完成した更衣室の状態を示している。
【0044】
まず、組立室1を構成するのに必要なパネル10を用意する。図8〜9に示す例では、組立室1の本体部分を構成するための4枚のパネル10と、扉体1bを切り取るための1枚のパネル10の合計5枚のパネル10を用意する。
組立室1の本体部分を構成する4枚のパネル10は、まず、それぞれ下端側折り曲げ部12と側端側折り曲げ部13,14を、外側方向に折り曲げておく。下端側折り曲げ部12は、パネル本体11に対してほぼ90度折り曲げ、側端側折り曲げ部13,14については、パネル本体11に対して約45度に折り曲げておく。
【0045】
また、4枚のパネル10のうち1枚については、組立室1の出入り口1aを裁断形成しておく。
このとき、パネル表面に表示された出入り口用の切断予定線31(図2A,B参照)に従うことで、容易にパネルを切断・裁断して出入り口1aを形成することができる(図8A,B)参照)。
【0046】
具体的には、まず、図8Aに示す出入り口用の扉体1bを組立室1を構成するパネルと別パネルによって構成するタイプの場合には、切断予定線31(図2A参照)に沿って当該切断予定線31によって囲まれたパネル本体11の中央部分を矩形状に切り取って出入り口1aを形成する。また、出入り口1aの近傍には、切断予定線33に沿って扉体1bを取り付けるための接合部品用の貫通孔も形成しておく。
さらに、図8A(b)に示すように、扉体1bを切り取るための1枚のパネル10についても、扉体用の切断予定線32(図2参照)に沿って裁断を行い、扉体1bを形成しておく。また、扉体1bには、切断予定線33,34に従って、接合部品用の貫通孔及び取っ手1cも形成する。さらに、扉体1bは、切断予定線31aに沿って切り込み加工を施し、扉体1bの開閉用の折り曲げ部を形成しておく。
【0047】
一方、図8Bに示す出入り口用の扉体1bを組立室1を構成するパネルに切り込みを入れて構成するタイプの場合には、矩形状の切断予定線31(図2B参照)の3辺(上下辺と取っ手1c側の側辺)に沿って切り込みを入れ、残りの1辺(図2Bの符号31aで示す辺)は切り込みを入れずに残しておく。
これによって、パネル本体11には扉体1bが分離することなく取り付けられた状態で出入り口1aが形成される。扉体1bは切断されなかった切断予定線31aに沿って折り曲げられることで開閉可能となる。
また、扉体1bには、切断予定線34に従って、取っ手1cを形成する。また、扉体1bの折り曲げ・開閉を容易にするために、切断予定線31aに沿って切り込み加工を施して開閉用の折り曲げ部を形成することができる。
【0048】
この状態から、図8A,Bのいずれのタイプにおいても、まず、4枚のパネル10を位置合わせしつつ配置し、隣接するパネル10の側端側折り曲げ部13,14を、接合部材を用いて順次接合する(図8A(a),図8B及び図9(a)参照)。このとき、側端側折り曲げ部13,14の貫通孔を位置合わせしてPジョイント等の既存の接合部品Pを挿入することで、側端側折り曲げ部13,14は簡単に接合することができる。
また、このとき、隣接するパネル間で下端側折り曲げ部12は、45度に傾斜した端部同士が当接し、その当接する下端側折り曲げ部12の間に形成される係合部15bと、隣接するパネル間で接合された側端側折り曲げ部13,14の係合部15aとが係合し(図8A(a),図8B及び図9(a)参照)、4枚のパネル10は、平面視ほぼ正方形の組立室1の本体を形成する。
【0049】
この状態において、図8Aに示す出入り口用の扉体1bを組立室1を構成するパネルと別パネルによって構成するタイプの場合には、組立室1の出入り口1aの部分に、予めパネル10を切り取って形成しておいた扉体1bを取り付ける。このとき、出入り口1aと扉体1bには接合部品用の貫通孔が形成されているので、貫通孔同士を位置合わせして接合部品Pを挿入することで、扉体1bを出入り口1aの部分に簡単に取り付けることできる(図9(a),(b)参照)。図8Bに示す出入り口用の扉体1bを組立室1を構成するパネルに切り込みを入れて構成するタイプの場合には、この工程・作業は不要となる。
さらに、必要に応じて、組み立てられた組立室1の上端四隅に既存のL字形状の接合部品Lを嵌合させることができ(図9(a),(b)参照)、これによって、組み立てられた組立室1の組立強度をより堅固にすることができる。
【0050】
なお、図9(a)は、図8Aに示す出入り口用の扉体1bを組立室1を構成するパネルと別パネルによって構成するタイプについて図示してあるが、図8Bに示す出入り口用の扉体1bを組立室1を構成するパネルに切り込みを入れて構成するタイプの場合にも、扉体1bの取付作業が不要となる点を除いては同様である。
以上によって、組立室1が完成する。以上の組立作業においては、パネル10をハサミ等で切断する以外は、工具等を使用した作業は不要であり、パネル10を折り曲げて位置合わせした後は、接合部品Pによって隣接するパネル同士を接合するのみで組立室1を完成させることができ、組立作業はきわめて容易かつ迅速に行える。従って、たとえ初心者や不慣れな者等であっても、組立室1の組立はきわめて簡単に行えるようになる。
【0051】
なお、以上説明した組立室1は、4枚のパネル10を使用して平面視正方形状の一人用の更衣室を構成する場合であるが、パネル10の数を増やすことで、より大きい(広い)内部空間を有する組立室1を形成することができる。
例えば、図10に示す例では、パネル10を2枚増やして6枚とすることで、平面視長方形状の組立室1を構成した場合である。このようにすると、室内にベッドや医療器具を配置して緊急用の医療室として使用することができる。
なお、図10に示す組立室1では、組立室長手方向に沿って2枚のパネル10が直線状に連接されるようになっているので、この2枚のパネル10の下端側折り曲げ部12は、それぞれ相手側と隣接する下端側折り曲げ部12の端部を切断予定線35に沿って切断して切り取っておく。
また、図10に示す組立室1は、扉体1bを室内側から取り付けるようにしてある。このようにすると、扉体1bを室内側に内開きに構成することができ、例えば外開きの扉のスペースが確保できない、扉体を内開きとすることで室内側が外から容易に見えないようにする等のメリットが得られる。但し、扉体1bは、図1Aに示した場合と同様、組立室1の外側から取り付けるようにすることもでき、また、図2Aに示した場合と同様、扉体1bを組立室1を構成するパネルに切り込みを入れて構成することも当然できる。
【0052】
図11〜12に、以上のような本実施形態に係るパネル10を用いて形成可能な組立室(仕切り空間)の形状のパターンの一例を示す。
図11(a)は4枚のパネルによって平面視正方形の形状とした場合、同図(b)は同じく6枚のパネルによって平面視矩形(長方形)形状とした場合である。同じく図12(a)は8枚のパネルによって平面視矩形(長方形)の形状とした場合、(b)は同じく8枚のパネルによって平面視L字系形の曲折形状とした場合である。
このようにして、パネル10を複数用意し、組立室(空間)が所望の形状・大きさ(広さ)となるようにパネル10を配置して連接、接合することで、任意の形状,大きさの空間を有する組立室を形成することができるようになる。
【0053】
以上説明したように、本実施形態に係る空間仕切りパネルによれば、中空板材からなる同形、同大の単一のパネル10を複数用意し、それらを折り曲げて端部同士を連接するだけで一定の大きさに仕切られた空間を形成する組立室1を構成することができる。
このため、組立作業はきわめて簡単で、経験のない者等であっても直感的に理解して組立室の組立作業を行うことが可能となる。
また、同一、同形のパネル10は、管理や保管もきわめて容易であり、また、中空板材からなるパネル10は重量も軽く、ハサミやカッター等で裁断や加工も簡単に行える。
そして、単一のパネル10を連接するのみで組み立てることができるので、パネル10の数を増減変更し、連接方向を変えることで、パネル10によって形成される空間を任意の形状,大きさに設定・変更することができる。
さらに、合成樹脂製の中空板材は、軽量かつ柔軟で、耐水性や耐久性、保温性にも優れ、水洗い等も可能で、繰り返し使用することが可能となる。
【0054】
以上、本発明の空間仕切りパネルについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明の空間仕切りパネルは、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、建物内や屋外等において組み立てられて使用される簡易型の更衣室等の組立室を構成するための空間仕切りパネルとして利用可能であり、特に、組み立てや設置が簡単に行え、保管や搬送,撤去等も容易な、簡易型の組立室用の空間仕切りパネルに好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 組立室(更衣室、医療室)
2 折り部
3 切り込み
4 V字加工
10 パネル(空間仕切りパネル)
11 パネル本体
12 下端側折り曲げ部12
13 側端側折り曲げ部
14 側端側折り曲げ部
15 係合部
16 スリット
21、22、23 折り部
31、32、33、34、35 切断予定線
100 気泡ボード突起
101 バックシート
102 キャップシート
103 突起
104 ライナーシート
105 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空構造をなすための立体加工が施されたコア材の表裏両面に平板状の外装材を積層してなる合成樹脂製の中空板材からなるパネルであり、同一のパネルが複数連接されて設置面に立設されることにより、当該設置面上の空間を所定形状に仕切る組立室を構成する空間仕切りパネルであって、
前記パネルは、
矩形状の前記中空板材からなるパネル本体と、
このパネル本体の設置面に当接する下端側が、当該下端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成された下端側折り曲げ部と、
このパネル本体の左右側端側が、それぞれ当該左右側端側の縁部と平行に折り曲げ可能に形成された一対の側端側折り曲げ部と、を備え、
隣接して配置された複数のパネルの各側端側折り曲げ部が、空間外側方向に折り曲げられ面接触した状態で接合されて、当該複数のパネルが左右方向に連接されるとともに、
当該複数のパネルの各下端側折り曲げ部が空間外側方向に折り曲げられ、各下端側折り曲げ部が設置面と面接触した状態で、当該複数のパネルが設置面に立設される
ことを特徴とする空間仕切りパネル。
【請求項2】
前記側端側折り曲げ部の所定箇所に、接合部品を挿入可能な貫通孔を備え、
隣接して配置された複数のパネルの各側端側折り曲げ部が面接触した状態で、前記貫通孔に接合部品が挿入されて接合される請求項1記載の空間仕切りパネル。
【請求項3】
前記下端側折り曲げ部の両端部と、前記側端側折り曲げ部の下端部に、当該下端側折り曲げ部及び側端側折り曲げ部が空間外側方向に折り曲げられた状態において、互いに係合可能な係合部を備えた請求項1又は2記載の空間仕切りパネル。
【請求項4】
前記下端側折り曲げ部の両端部が、当該下端側折り曲げ部が空間外側方向に折り曲げられた状態において、隣接して接合された他のパネルの下端側折り曲げ部の端部と当接可能な形状に形成される請求項1乃至3のいずれか一項記載の空間仕切りパネル。
【請求項5】
前記下端側折り曲げ部の両端部が、パネル本体側からパネル下端縁に向かってほぼ45度に広がる形状に形成され、
隣接して配置される複数のパネルのパネル本体同士がほぼ直交するように接合される場合に、隣接して接合されたパネルの下端側折り曲げ部の端部同士が折り曲げられた状態において当接可能となる請求項4記載の空間仕切りパネル。
【請求項6】
前記側端側折り曲げ部の前記パネル本体と隣接する上端部から下端部に向かって、所定の深さのスリットが形成された請求項1乃至5のいずれか一項記載の空間仕切りパネル。
【請求項7】
前記中空板材の表面の所定箇所に、当該中空板材を切断すべき切断予定線を表示した請求項1乃至6のいずれか一項記載の空間仕切りパネル。
【請求項8】
前記切断予定線が、前記パネル本体に形成される出入り口の外形に沿って表示される請求項7記載の空間仕切りパネル。
【請求項9】
前記切断予定線が、前記出入り口部分に取り付け可能な扉体の外形に沿って表示される請求項7又は8記載の空間仕切りパネル。
【請求項10】
前記中空板材が、中空状に膨出する多数の突起が形成されたキャップシートと、前記突起の開口側に積層されたバックシートと、前記突起の頂面側に積層されたライナーシートとを備え、これらを熱融着により積層一体化した樹脂製の気泡ボートからなる請求項1乃至9のいずれか一項記載の空間仕切りパネル。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−2099(P2013−2099A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132990(P2011−132990)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)