空間光変調器およびアナモフィック投影光学を用いた単一通過画像形成システム
【課題】高速画像形成のために高エネルギ光源を利用する単一通過の画像形成システムを提供する。
【解決手段】予め決められたスキャンライン画像データに応答して、略一次元スキャンライン画像を1200dpi以上で発生する。略均一な二次元均質光場119Aは空間光変調器120を用いて、変調された光が二次元変調光場119Bを形成するように、予め決められたスキャンライン画像データに従って変調される。変調された光場は、次に、略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに画像化されかつ集中される。光変調素子125−11〜125−43は、個々に変調「オン」状態と変調「オフ」状態との間で調整可能であって、これにより、変調「オン」状態において各変調素子がその受け入れた光部分をアナモルフィック光学系の対応する領域上へ方向づけ、かつ「オフ」状態において光部分を阻止または迂回させるように配置される。
【解決手段】予め決められたスキャンライン画像データに応答して、略一次元スキャンライン画像を1200dpi以上で発生する。略均一な二次元均質光場119Aは空間光変調器120を用いて、変調された光が二次元変調光場119Bを形成するように、予め決められたスキャンライン画像データに従って変調される。変調された光場は、次に、略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに画像化されかつ集中される。光変調素子125−11〜125−43は、個々に変調「オン」状態と変調「オフ」状態との間で調整可能であって、これにより、変調「オン」状態において各変調素子がその受け入れた光部分をアナモルフィック光学系の対応する領域上へ方向づけ、かつ「オフ」状態において光部分を阻止または迂回させるように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成システム、および特に高速画像形成のために高エネルギ光源を利用する単一の通過の画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ画像形成システムは、電子写真式印刷、マスク付きおよびマスクレスリソグラフィパターン形成、表面のレーザダル加工、およびレーザ切断機などの用途において、画像を発生させるために広範囲にわたって用いられている。レーザプリンタは、ポリゴンスキャナまたはガルボスキャナを利用することによって工程方向と直角にレーザを掃引するラスタ光学スキャナ(ROS:raster optical scanner)をしばしば用い、一方で切断用途に対して、レーザ画像形成システムは、フラットベッド型x−yベクトルスキャニングを用いる。
【0003】
レーザROS技法の制約のうちの1つは、画像解像度とスキャンラインの横方向の広がりとの間に、設計上のトレードオフが存在することである。これらのトレードオフは、スキャンラインの両極端において、画像面の湾曲などの光学性能の制限から生じる。実際には、単一のガルバノメータまたはポリゴンスキャナを用いて、一列20インチの画像形成幅全体で1200dpi解像度を達成するのは、きわめて困難である。その上に、単一のレーザヘッドによる電動式x−yフラットベッドアーキテクチャは、広範囲の領域にとっては理想的であるが、最高速の印刷工程にとっては時間がかかりすぎる。
【0004】
こういう訳で、広い幅の電子写真法にとって、最大20インチ幅までのモノリシックの発光ダイオード(LED:light emitting diode)アレイには、画像形成上の利点がある。残念ながら、現在のLEDアレイは、ピクセル当たり10ミリワットの出力レベルを提供することができるだけであり、したがって電子写真法などの一部の非熱の画像形成用途に役立つだけである。加えて、LEDバーは、経年劣化差および性能差を広げる。単一のLEDが故障すると、LEDバー全体を差し換える必要がある。他の多くの画像形成またはマーキング用途には、はるかに高い出力が必要である。例えば、レーザダル加工、または切断用途は、10W〜100Wの範囲の出力レベルを必要とすることがある。それゆえにLEDバーは、これらの高出力用途に用いることができない。さらに、ずらして配置した2行以上のヘッドを用いずに、LEDをより高速度または1200dpiを上回る解像度に広げることも困難である。
【0005】
100ミリワット〜100ワットの範囲にある、より高出力の半導体レーザアレイが存在する。ほとんどの場合、それらは全幅で大略1cmのレーザ・ダイオード・バーなどの1Dアレイ形式で存在する。高出力向け光源の別のタイプは、2D垂直共振器面発光VCSELアレイである。しかしながら、これらの高出力レーザ技術のいずれも、最隣接間のレーザピッチを600dpi以上の画像形成解像度に適合可能にはしない。加えて、これらの技術のいずれも、各レーザの個々の高速度制御を可能にはしない。それゆえに高出力オーバヘッド投影画像形成システムなどの高出力用途は、Texas Instruments社のDLP(商標)チップまたは液晶アレイなどの空間光変調器と組み合わせたレーザなどの高出力源をしばしば用いる。
【0006】
画像形成システムが、並んでアレイ構成にされる場合、重なり合った投影画像を形成するのに用いることができ、ソフトウェアを用いて重なり合わせることによってより広い画像を形成して、その画像パターンを途切れのないパターンへと互いに繋ぎ合わせることができることを、先行技術は示している。このことは、PCボード製造およびディスプレイシステム用などの、多くのマスクレス・リソグラフィ・システムにおいて示されてきた。従来、高解像度用途向けのこのようなアレイ構成の画像形成システムは、連続的な高解像度画像を互いに繋ぎ合わせるために、2行の画像形成サブシステムかそれとも2重通過スキャン構成かを用いなければならないように配列されていた。これは、光学サブシステムの寸法上、物理的ハードウェアに制約があるためである。画像形成する2重の行構成は、依然として、基板を単一方向に移動させる運搬機を用いて、途切れなく互いに繋ぎ合わせることができるが、しかしこのようなシステムは、多量の追加のハードウェア設置場所および各画像形成行間の精度調整を必要とする。
【0007】
マスクレスリソグラフィ用途にとっては、画像形成されるフォトレジストの露光と現像との間の時間は決定的に重要とは言えず、したがって単一のラインに沿ってフォトレジストに画像を形成しても、すぐに露光する必要がない。しかしながら、露光と現像との間の時間は、ときどき決定的に重要となる。例えば、電子写真式レーザ印刷は、時間とともに自然に減衰する電荷を消去することによって、感光体に画像を形成することに基づいている。それゆえに露光と現像との間の時間は、時不変性ではない。このような状況では、露光システムにとっては、単一のラインを、またはいくらか詰めて配置された、表面における高解像度の隣り合うラインを同時に、露光することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,800,699号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子写真式印刷の用途に加えて、露光と現像との間の時間が決定的に重要な別のマーキングシステムがある。一例は、当初Carleyによって、発明の名称が「FOUNTAIN SOLUTION IMAGE APPARATUS FOR ELECTRONIC LITHOGRAPHY(電子リソグラフィ用の湿し水画像装置)」の米国特許第3,800,699号明細書に開示された、レーザベースの可変データ・リソグラフィ・マーキング技法である。標準のオフセットリソグラフィ印刷では、疎水性の画像形成領域および親水性の非画像形成領域を有する静的な画像形成プレートが作り出される。水ベースの湿し水の薄層は、プレートを選択的に湿潤させ、油ベースのインクを選択的に拒絶する撥油層を形成する。米国特許第3,800,699号明細書に開示された可変データ・リソグラフィ・マーキングでは、レーザは、湿し水をパターン切除して、オン・ザ・フライで可変の画像領域を形成するのに用いることができる。このようなシステムにとっては、湿し水の薄層も、周囲空気への自然な部分的蒸発が原因で時間とともに厚さが低下する。それゆえに、単一の画像形成通過ステップにおいて形成される単一の連続的な高出力レーザ画像形成ラインパターンを形成し、その結果、液体湿潤フィルム厚が、レーザ切除ステップを形成する画像のどこでも同一厚となることも有利なことである。しかしながら、大部分のアレイ構成の高出力高解像度画像形成システムにとっては、空間光変調器を囲むハードウェアおよびパッケージが、通常、途切れのない連続的なラインパターンを画像形成するのを妨げる。その上に、ダル加工、リソグラフィ、コンピュータ・トゥ・プレート製作、広領域型抜き、または熱ベース印刷もしくは他の新規な印刷用途などの、レーザ画像形成の多くの領域にとって必要なものは、1ワットレベルを十分に上回る高い総光パワーを有し、20インチを越える広い工程幅全体に拡張可能であり、1200dpiを上回る解像度を達成可能であり、単一の通過で高解像度、高速度の画像形成を可能にする、レーザベースの画像形成技法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、2次元光場のうちの少なくとも1次元にわたって大きさで一様に広がった(拡散した)、空間的に均質な光強度を発生させる、均質光発生器と、その光場内に配置され、所定のスキャンライン画像データに従って均質光を変調する空間光変調器と、変調された均質光を集束して、狭いスキャンライン画像を形成するアナモフィック光学システムとを利用する画像形成システムに向けられる。ここで用語アナモフィック光学システムは、光学レンズ、ミラー、または他の素子から成るシステムであって、空間光変調器によって形成される光パターンなどの対物面からの光を、最後の画像形成面へ直交方向に沿って異なる倍率で投影する、任意のシステムを指す。それゆえに、例えば、2D空間光変調器によって形成された正方形状の画像形成パターンは、その幅を拡大しかつ同時にその高さを縮小する(または集光された焦点をもたらす)ようにアナモフィックに投影することができ、それによって最後の画像平面において正方形状を極端に薄い細長の長方形状の画像へ変換することができる。アナモフィック光学システムを利用して、変調された均質光を集光することによって、空間光変調器を通過する高強度の光源を必要とせずに、スキャンライン画像の中の任意の点に高い総光強度(光束密度)(すなわち、数百ワット/cm2のオーダー)を発生することができ、それによって、例えば単一通過、高解像度、高速度の印刷用途向けに用いることができる、信頼性を備えつつ高出力の画像形成システムを容易にする。その上に、均質光発生器が、光導体またはレンズアレイなどの多数の光学素子を含むことがあり、2次元光場のうちの少なくとも1次元全体に実質的に一様な光強度をもたらすために、1つ以上の非一様な光源から光を作り変えることが明らかにされるべきである。高度に均質化されたレーザ「フラットトップ」プロファイルを発生させる多くの既存技術が実際に使われている。
【0011】
本発明の一態様によれば、空間光変調器は、2次元アレイ内に配列される多数の光変調素子、および各変調素子における光変調構造が所定のスキャンライン画像データに従って「オン」(第1)変調状態と「オフ」(第2)変調状態との間で調整可能となるように、その変調素子を個々に制御するコントローラを含む。各光変調構造は、その変調状態に従って均質光の中の関連部分を通過させるまたは妨げる/方向を変えるように配置される。変調素子のうちの1つが「オン」変調状態にあると、変調構造は、その関連変調光部分を対応する所定の方向(例えば、素子は関連光部分をアナモフィック光学システムの方へ通過させるまたは反射する)に向ける。反対に、変調素子が「オフ」変調状態にあると、受信した関連光部分は、アナモフィック光学システムの方へ通過することを妨げられる(例えば、光変調構造は、関連光部分を吸収する/阻止する、または関連光部分をアナモフィック光学システムから離れる方に反射する)。アナモフィックに投影され集光される前に、均質光をこのように変調することによって、任意の所与の瞬間に、スキャンラインの中の1点に高出力を加えるにすぎないラスタ化システムと比較して、本発明は、画像形成領域全体に同時に高出力スキャンラインを生成することができる。加えて、比較的低出力の均質光が多数の変調素子に広がるので、本発明は、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD:digital micromirror device)、電子光学回折変調器アレイ、または熱光学吸収素子から成るアレイなどの、市販の低コストの空間的光変調デバイスを用いて生成することができる。
【0012】
本発明の一実施の形態によれば、空間光変調器の中のアレイ構成の光変調素子は行および列に配列され、アナモフィック光学システムは、各列から受信した光部分を、細長いスキャンライン画像の中の関連画像形成領域(「ピクセル」)上へ集光するように構成される。すなわち、所与の列内にある(かつ「オン」変調状態にある)すべての光変調素子から受信した、集光された変調光部分は、アナモフィック光学システムによってスキャンライン画像の中の対応する同一の画像形成領域上へ向けられ、その結果を示す画像形成「ピクセル」は、所与の列内で「オン」状態にある、すべての光変調素子からの複合光となる。本発明の重要な態様は、各光変調素子を通過した光部分が、アナモフィック光学システムによってスキャンラインへ供給される1ピクセルの2値データを表し、その結果、スキャンライン画像を構成する各画像形成「ピクセル」の輝度は、「オン」状態にある関連した列内の数の素子によって制御されることを理解することにある。したがって、各列内に配置された多数の変調素子を個々に制御することによって、および各列を通過した光を対応する画像形成領域上へ集光することによって、本発明は、一定な(無変調の)均質光を用いてグレースケール能力を有する画像形成システムを提供する。加えて、各列内の「オン」ピクセルから成るグループの位置が、その列の中の上方または下方に調整される場合、この配列は、弓形(すなわち直線の「スマイル」)およびゆがみのソフトウェア電子補償を容易にする。
【0013】
本発明の一実施の形態によれば、均質光発生器は、1つ以上の光源と、光源によって発生する光ビームを均質化する光ホモジナイザ光学システムとを含む。高出力レーザ光ホモジナイザは、ドイツ、ドルトムント市にある、LIMO GmbH社としても知られているLissotschenko Microoptik社を含む数社から市販されている。このように、点源の高強度光ビーム(すなわち、比較的高い第1光束密度を有する光ビーム)を、比較的低強度の均質光源(すなわち、高エネルギビームの光束密度よりも低い第2光束密度を有する光)に変換する1つの利益は、この配列が、高エネルギ光を処理することができる特別な光学ガラスおよび反射防止コーティングを用いて空間光変調器を組み立てることを必要とせずに、高エネルギ光源(例えば、レーザまたは発光ダイオード)の利用を容易にすることである。すなわち、ホモジナイザを利用して、拡張された2次元領域にわたって高エネルギレーザ光を広げることによって、所与の領域にわたる(例えば、各変調素子の領域にわたる)光の強度(ワット/cc)は、出力処理能力が改善された空間光変調器を形成するのに低コストの光学ガラスおよび反射防止コーティングが利用可能なように、受け入れ可能なレベルに低減される。光を一様に広げると、点欠陥(例えば、微視的塵粒子またはひっかき傷)が全光透過損失上に有する負の画像形成効果も排除する。
【0014】
本発明の代替の実施の形態によれば、均質光発生器の光源は、所望の光エネルギを共同で生成する多数の低出力光発生素子を含む。具体的な一実施の形態では、複数の光変調素子から成る行に平行なラインに沿って、光源(例えば、端面発光レーザダイオードまたは発光ダイオード)が配列される。別の具体的な実施の形態では、2次元アレイ内に光源(例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL))が配列される。高出力均質光の用途にとっては、光源は、多数の低出力光源で構成され、それらの発光が、ホモジナイザ光学によって互いに混ぜ合わされて、均質の所望の高出力を生成することが好ましい。いくつかの独立した光源を用いることによるさらなる利益は、コヒーレント干渉に起因してレーザスペックルが低減されることである。
【0015】
本発明の別の実施の形態によれば、全体にわたるアナモフィック光学システムは、空間光変調器から受信した変調光部分を集光して、集光された変調光が実質的に1次元のスキャンライン画像を形成するようにする、工程直交光学サブシステムおよび工程方向光学サブシステムを含み、スキャンライン画像において集光された変調光は、均質化された光よりも高い光学強度(すなわち、より高い光束密度)を有する。2次元の変調光パターンをアナモフィックに集光して(焦点に集めて)高エネルギの細長いスキャンラインを形成することによって、本発明の画像形成システムは、より高強度のスキャンラインを出力する。スキャンラインは、通常、その焦点近傍の移動想像面の方に向けられ、移動想像面にわたって掃引される。これにより、プリンタなどの画像形成システムを形成することが可能となる。表面掃引の方向は、通常、スキャンラインの方向に直角であり、慣習的に工程方向と呼ばれる。加えて、スキャンラインと平行な方向は、慣習的に工程直交方向と呼ばれる。スキャンライン画像の形成は、工程方向に沿ってスキャンライン画像を収束することおよび緊密に集束すること、ならびに工程直交方向に沿ってスキャンライン画像を投影することおよび拡大することを扱う、種々の対の円柱または非円柱レンズを有することができる。具体的な一実施の形態では、工程直交光学サブシステムは、変調光を細長いスキャンライン上へ工程直交方向に投影し拡大するように構成される、第1円柱または非円柱レンズおよび第2円柱または非円柱レンズを含み、工程方向光学サブシステムは、変調光をスキャンライン上へ工程方向と平行方向に集光して縮小するように構成される、第3円柱または非円柱集束レンズを含む。この配列は、隣接する光学システムと結合する(重複領域といっしょに「繋ぎ合わされる」または混ぜ合わされる)ことができる、幅広のスキャンラインを発生させて、実質的に無制限の長さのスキャンラインを有する集合体を生成することを容易にする。任意選択のコリメーティング視野レンズを、工程方向および工程直交方向において、空間光変調器と円柱または非円柱集束レンズとの間に配置することもできる。全体にわたる光学システムは、光学収差または歪みを補償するのに役立つさらにいくつかの素子を有することができ、このような光学素子は、多数の折り畳みビーム経路を備えた透過レンズまたは反射ミラーレンズとすることができることを理解されたい。
【0016】
本発明の具体的な実施の形態によれば、空間光変調器は、パッケージ化された形態のデジタル光プロセッサと呼ばれる、Texas Instruments社のDLP(商標)チップを含む。この半導体チップはそれ自体、しばしばデジタル・マイクロミラー・デバイスまたはDMDと呼ばれる。このDMDは、基板上に配置された微小電気機械式(MEMs:microelectromechanical)ミラー機構から成る2次元アレイを含み、各MEMsミラー機構は、コントローラによって発生する関連制御信号に従って、第1傾斜位置と第2傾斜位置との間で移動可能なように支持されるミラーを含む。空間光変調器およびアナモフィック光学システムは、各ミラーが第1傾斜位置にあると、受信したその関連光部分をミラーがアナモフィック光学システムの方へ反射し、ミラーが第2傾斜位置にあると、受信した関連光部分をミラーがアナモフィック光学システムから離れてビームダンプの方へ反射するように、折り畳まれた配列内に位置を定められる。任意選択のヒートシンクが、空間光変調器に対して固定して位置を定められて、第2傾斜位置に配置されたミラーからビームダンプに向かう光部分を受ける。任意選択のフレームが、固定された相対位置にある各コンポーネントを保持するのに利用される。反射式DMDベースの画像形成システムの利点は、折り畳まれた光路配列が、システム設置面積の小型化を容易にすることである。
【0017】
本発明の別の具体的な実施の形態によれば、集合体は多数の画像形成システムを含み、各画像形成システムは、均質光を発生させて、均質光が実質的に一様な2次元均質光場を形成するようにする手段と、所定のスキャンライン画像データに従って均質光の一部を変調して、変調光部分が2次元変調光場を形成するようにする手段と、変調光部分を工程方向に沿ってアナモフィックに集光し、工程直交方向に沿って光場をアナモフィックに拡大して投影し、集光された変調光部分が細長いスキャンライン画像を形成するようにする手段とを含む。この配列のもとで、多数の画像形成システムが並んで位置して、実質的に同一直線上にある「マクロな」単一の長い、20インチを超える長さにまで十分に拡張可能なスキャンライン画像を形成することができる。この配列は、各画像形成システムのサブユニット間の掃引中にずらして配置せずにまたは時間遅延なしに、単一の通過で画像形成基板全面にわたって可変の光学パターンを掃引する全体システムを可能にする。特定の実施の形態では、各システムの空間光変調器はDMDデバイスであり、アナモフィック光学システムは上述の折り畳まれた配列内に位置を定められる。DMDベースの画像形成システムにおける別の利点は、折り畳まれた配列が、現在入手可能なDMDデバイスを用いて、20インチを越えるスキャンラインを生成する多数の画像形成システムを容易に組み合わせることである。互いに繋ぎ合わされた各スキャンラインが、画像形成面の同一焦点面と正確に垂直に向けられる必要がない、すなわち光路が隣接するサブシステム間の同一直線上にある必要がないことも理解されたい。実際に、各個々の光学システムの本体用の場所をさらに容易にするために、スキャンラインを、小さいインタレース角度で各隣接サブシステムから受信することが起こりうる。
【0018】
さらに本発明の別の実施の形態によれば、空間光変調器は、変調素子から成る行がスキャンライン画像に対して小さい鋭角の傾斜角で整列するように、アナモフィック光学システムの工程直交および工程直交方向に対して小角度でわずかに回動し、それによってアナモフィック光学システムは、スキャンライン画像の中の関連サブ画像形成領域上へ各変調光部分を集束する。このような傾斜配向の利益は、画像形成システムが、より高密度にアドレス指定可能なサブピクセル空間の間隔を生み出し、X軸およびY軸の両方向に小数の精度で画像「ピクセル」の位置を定めるソフトウェアを利用する機会を提供することである。空間光変調器は、任意選択で、アレイの中の種々の列内に多数の素子を配置した各画像形成領域の整列を生み出す傾斜角に設定され、それによって可変の解像度および可変の強度を容易にする。この配列も、隣接する画像形成サブユニット間を途切れなく繋ぎ合わせるソフトウェア調整を容易にする。
【0019】
本発明の別の実施の形態によれば、スキャン/印刷装置は、上述した単一通過画像形成システム、およびアナモフィック光学システムからの集光された変調光を受信するように配置されるスキャン構造(例えば、画像形成ドラムシリンダ)を含む。具体的な実施の形態によれば、画像形成面は、可変データリソグラフィ印刷に用いられるような湿し水を保留するものとすることができる。
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様ならびに利点が、次の説明、添付された請求項、および付随の図面に関して、より良好に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の典型的な実施の形態に従って一般化された画像形成システムを示す上側斜視図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施の形態に従って動作中の画像形成システム100Aを示す概略側面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施の形態に従って動作中の画像形成システム100Aを示す概略側面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施の形態に従って動作中の画像形成システム100Aを示す概略側面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の代替の実施の形態に従って図1の画像形成システムの中の均質光発生器によって利用される代替の光源を示す概略斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の代替の実施の形態に従って図1の画像形成システムの中の均質光発生器によって利用される代替の光源を示す概略斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の具体的な実施の形態に従って図1の画像形成システムによって利用されるマルチ・レンズ・アナモフィック光学システムを示す概略上面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の具体的な実施の形態に従って図1の画像形成システムによって利用されるマルチ・レンズ・アナモフィック光学システムを示す概略側面図である。
【図5】図5は、本発明の具体的な実施の形態に従って図1の画像形成システムによって利用されるDMD式空間光変調器の一部を示す斜視図である。
【図6】図6は、さらに詳細に図5のDMD式空間光変調器の中の光変調素子を示す分解斜視図である。
【図7A】図7Aは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図7B】図7Bは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図7C】図7Cは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の具体的な実施の形態に従って、折り畳まれた配列内にある図5のDMD式空間光変調器を利用する画像形成システムを示す概略図である。
【図9】図9は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って、折り畳まれた配列内にあるDMD式空間光変調器を利用する別の画像形成システムを示す分解斜視図である。
【図10】図10は、組み立てられた状態にある図9の画像形成システムを示す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って図9の多数の画像形成システムを含む集合体を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って傾斜空間光変調器を含む別の画像形成システムを示す斜視図である。
【図13】図13は、動作中の図12の傾斜空間光変調器を描写する概略図である。
【図14】図14は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って傾斜DMD式空間光変調器を含む別の画像形成システムを示す斜視図である。
【図15】図15は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って画像形成装置を示す斜視図である。
【図16A】図16Aは、本発明の代替の具体的な実施の形態に従って代替の画像形成装置を示す概略化された斜視図である。
【図16B】図16Bは、本発明の代替の具体的な実施の形態に従って代替の画像形成装置を示す概略化された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、画像形成システムにおける改善策および関連した装置(例えば、スキャナおよびプリンタ)に関する。方向を示す「上側」、「最上」、「下側」および「前側」等の用語は、説明を目的として相対位置を規定するためのものであり、絶対的な基準系を指定するためのものではない。「一体式に接続される」および「一体式に付着される」という言い回しは、成形された、または機械加工された単一の構造体の2つの部分間の接続上の関係性を説明するものであり、よって例えば接着剤によって接合される2つの別々の構造体を示す(「一体式に」という修飾語句のない)「接続される」または「結合される」という用語とは区別される。
【0022】
図1は、一般化された単一通過画像形成システム100を示す。システム100は一般に、均質光発生器110、空間光変調器120、および一般化された単一のアナモフィック投影レンズによって図1に単純化して表されるアナモフィック光学システム130を含む。
【0023】
均質光発生器110は、実質的に一様な2次元均質光場119Aを形成する、連続的な(すなわち、一定な/無変調の)均質光118Aを発生させるように機能する。すなわち、均質光発生器110は、投影された点線の長方形のボックス(すなわち、均質光場119Aは構造を形成しない)で描写される、均質光場119Aの全部分が、実質的に同一の一定エネルギレベル(すなわち、実質的に同一の光束密度)を有する光エネルギを受信するように、形成される。
【0024】
変調器120は、均質光場119A内に配置され、所定のスキャンライン画像データIDに従って均質光118Aの一部を変調する目的で機能し、それによって変調器120は、アナモフィック光学システム130上へ投影される変調光場119Bを発生させる。実用的な実施の形態では、このような変調器は、商業的に購入することができ、典型的には1024x768(SVGA解像度)または光変調素子(ピクセル)間隔が大略5〜20ミクロンオーダーのより高解像度の2次元の(2D)アレイサイズを有することになる。変調器120は、支持構造124上の2次元アレイ内に配置された光変調素子125−11〜125−43で構成される変調アレイ122、およびスキャンライン画像データIDに応じて制御信号127を素子125−11〜125−43へ送る制御回路(コントローラ)126を含む。素子125−11〜125−43は、各変調素子の光変調構造(例えば、ミラー、回折素子、または熱光学吸収素子)が、均質光118Aのうちの対応する部分を受信する(例えば、素子125−11および125−22がそれぞれ均質光部分118A−11および118A−22を受信する)ように配置され、アナモフィック光学システム130の方へ所定の方向に沿って、受信した対応する変調光部分を選択的に通過させるまたは方向を変えるように位置を定められる(例えば、素子125−22はアナモフィック光学システム130の方へ変調光部分118B−22を通過させるが、しかし素子125−11はアナモフィック光学システム130に達しないように光を阻止する)。詳しくは、各素子125−11〜125−43は、「オン」(第1)変調状態と「オフ」(第2)変調状態との間で、スキャンライン画像データIDの中の関連部分に応じてスイッチングするように、個々に制御可能である。所与の素子(例えば、素子125−43)が「オン」変調状態にあると、その変調素子は、その所与の素子が受信した関連光部分をアナモフィック光学レンズ130の方へ向けるように動作する。例えば、概略化された実施例では、素子125−43は、透明のようにされ、または別のやり方では関連制御信号に応じて制御されて、変調光部分118B−43が、通過するか、反射されるかそれとも別のやり方では対応する均質光部分118A−43から生成されるかして、アナモフィック光学レンズ130の方へ向けられるようにする。反対に、所与の素子(例えば、素子125−11)が「オフ」変調状態にあると、その素子は、その所与の素子が受信した関連光部分(例えば、光部分118A−11)がアナモフィック光学130に達するのを妨げる(例えば、阻止するまたは方向を変える)ように動作する。外部供給源(図示されない)からコントローラ126へ供給される画像データに従って、素子125−11〜125−43を選択的に「オン」または「オフ」にすることによって、変調器120は、連続的な均質光118Aの一部を変調して(すなわち、通過させるまたは通過させない)、アナモフィック光学システム130の方へ通過する2次元変調光場119Bが発生するように機能する。以下でさらに詳細に説明されるように、変調器120は、いくつかの技術のうちのいずれかを用いて実装される。
【0025】
アナモフィック光学システム130は、変調光部分をアナモフィックに集光する(集束する)ように機能し、変調光部分は、変調器120から2次元光場119Bを経由して幅Sを有する細長いスキャンラインSL上へと受信される。詳しくは、アナモフィック光学システム130は、変調器120からアナモフィック光学システム130へ向けられる光場119Bの2次元パターン(例えば、素子125−43を通過する変調光部分118B−43)を受信するように位置を定められた1つ以上の光学素子(例えば、レンズまたはミラー)を含み、変調器120内の1つ以上の光学素子(例えば、レンズまたはミラー)は、受信した光部分を、スキャン(X軸)方向よりも非スキャン(例えば、Y軸)方向に著しく集光するように構成され、それによって受信した光部分は、スキャン(X軸)方向と平行に広がる細長いスキャンライン画像SLを形成するように、アナモフィックに集束される。
【0026】
変調器120の中の光変調素子125−11〜125−43は、行および列から成る2Dアレイ122内に配置され、アナモフィック光学システム130は、複数の変調素子から成る各列を通過した光部分を、スキャンライン画像SLの中の各画像形成領域部分SL−1〜SL−4上へ集光するように構成される。本明細書では、各「列」は、実質的にスキャンライン画像SLと直角の方向に配列された素子(例えば、素子125−11、125−12および125−13は、アレイ122の中の列を形成する)を含み、各「行」は、実質的にスキャンライン画像SLと平行な方向に配列された素子(例えば、素子125−11、125−21、125−31および125−41は、アレイ122の中の最上行内に配置される)を含む。素子125−11、125−12および125−13を通過した任意の光が、アナモフィック光学システム130によって画像形成領域SL−1上へ集光され、素子125−21、125−22および125−23を通過した任意の光が、画像形成領域SL−2上へ集光され、素子125−31、125−32および125−33を通過した任意の光が、画像形成領域SL−3上へ集光され、素子125−41、125−42および125−43を通過した任意の光が、画像形成領域SL−4上へ集光される。
【0027】
グレースケールの画像形成は、アレイ122の中の各列内の選択された素子のオン/オフ状態を制御することによって達成される。すなわち、各画像形成領域SL−1〜SL−4上に形成された「スポット」の輝度(または暗さ)は、各関連した列内の「オン」となる光素子の数によって制御される。例えば、アレイ122の中の最左列内に配置されたすべての素子125−11、125−12および125−13は「オフ」となり、それによって画像形成領域SL−1は「黒色の」スポットを含む。対照的に、アレイ122の中の最右列内に配置されたすべての素子125−41、125−42および125−43は「オン」となり、それによって光部分118B−41、118B−42および118B−43は、変調器120を通過し、画像形成領域SL−4が最高輝度(「白色の」)スポットを含むようにアナモフィック光学システム130によって集光される。2つの中央の列は、グレースケールの画像形成を図示するように制御され、素子125−21および125−23が「オフ」となり素子125−22が「オン」となって、単一の光部分118B−23を通過させて画像形成領域SL−2上に「暗いグレーの」スポットを形成し、素子125−31および125−33が「オン」となり素子125−32が「オフ」となって、2つの変調光部分118B−31および118B−33を通過させて画像形成領域SL−3上に「明るいグレー」スポットを形成する。本発明を理解する1つの鍵は、各素子を通過した光部分が、アナモフィック光学システム130によってスキャンラインへ供給される2値データの1ピクセルを表し、結果としてスキャンラインの中の各画像形成ピクセルの輝度が、対応する画像形成領域上へ向けられる光部分(2値データビット)の数によって決定されることを理解することにある。各行(例えば、素子125−11〜125−41)から向けられた変調光部分は、残りの行から向けられた光部分と合計され、合計された光部分が全面的にまたは部分的に重なり合って、画像形成領域(スキャンライン画像セグメント)SL−1〜SL−4において一連の複合エネルギプロファイルを生成するようにする。したがって、アレイ122の中の各列内に配置された多数の素子を個々に制御することによって、および各列を通過した光を単一の画像形成領域上へ集光することによって、本発明は、均質光発生器110によって発生する一定な(無変調の)均質光118Aを利用する、グレースケール能力を有する画像形成システムを提供する。
【0028】
変調器120は、便宜的に各列内に3つの変調素子だけを含むが、素子の数を増加させると、グレースケール制御が高まることになる。1つの好適な実施の形態では、1つの列内でグレースケールを調整するのに、少なくとも24ピクセルが用いられ、それゆえにスキャン・ライン・セグメント内でほぼ4%の単一の出力調整を可能にする。
【0029】
アレイ122の中の各列内の多くの素子は、狭い幅内の2つ以上のスキャンラインの同時発生も容易にする。各列内の多数の素子は、1つ以上の常用の素子が故障するときのみ作動される、1つ以上の「予備の」または「冗長な」素子も可能にし、それによって画像形成システムの動作寿命を伸張し、弓形(ラインスマイルとしても知られている)などの光学ライン歪みの補正を可能にする。
【0030】
図2Aから図2Cは、システム100Aを示し、システム100Aは、適切な担体(例えば、半導体基板)111A上に組み立てられたまたは別のやり方では配置された光発生素子(例えば、1つ以上のレーザまたは発光ダイオード)115Aを含む光源112Aで構成される均質光発生器110Aと、光ビーム116Aを均質化すること(すなわち、拡張された2次元領域にわたって光ビーム116Aを混ぜ合わせて広げること)によって、および出力光線の発散を低減することによって、均質光118Aを生成する光均質化光学システム(ホモジナイザ)117Aとを含む。当業者は、この配列が、集光された比較的高エネルギ強度で高発散の光ビーム116を、変調器120の中の素子125−11、125−12および125−13上へ実質的に一様に分配された、拡散した比較的低エネルギ光束の均質光118へ変換することを認識するだろう。
【0031】
このように高エネルギビーム116Aを比較的低エネルギの均質光118Aへ変換する1つの利益は、この配列が高エネルギ光源(例えば、レーザ)の利用を容易にして、変調器120の構造に高エネルギ光を処理することができる特別な光学ガラスおよび反射防止コーティングを使用することを必要とせずに、ビーム116Aを発生させることである。すなわち、ホモジナイザ117Aを利用して、拡張された2次元領域にわたって高エネルギレーザ光を広げることによって、光強度の光束密度は、所与の領域にわたる(例えば、各素子125−11〜125−43の領域にわたる)光の平方センチメートル当たりのワット(ワット/cm2)の単位で、低コストの光学ガラスおよび反射防止コーティングが変調器120を形成するのに利用することができるように、受け入れ可能なレベルまで低減される。例えば、すべての素子125−31〜125−33が「オフ」になると、各素子125−11〜125−13は、低エネルギ均質光118Aの比較的小さい部分を吸収または反射するのに必要となる(すなわち、素子125−31、125−32および125−33は、それぞれ均質光部分118A−31、118A−32および118A−33を吸収する)。対照的に、ホモジナイザ117Aが無い場合、ビーム116Aの大部分のエネルギは、1つまたは比較的少数の素子上に集光されることになり、実質的にさらに高価な光学ガラスおよび反射防止コーティングを利用する必要があることになる。
【0032】
高エネルギビーム116Aを比較的低エネルギの均質光118Aへ変換する別の利益は、この配列が、出力処理能力の改善をもたらすことである。すなわち、高エネルギレーザ光116Aが直接に変調器120へと通過すると仮定すると、どれほどのエネルギがアナモフィック光学システム130の方へ通過するかを制御するのに、1つまたは少数の素子しか用いることができない(例えば、素子が「オン」となると、実質的にすべてのエネルギは通過することになり、素子「オフ」となると、エネルギは少しも通過しないことになる)。高エネルギレーザ光116Aを拡大して、幅広の領域にわたって低エネルギ均質光118Aをもたらすことによって、アナモフィック光学システム130の方へ変調器120を通過する光エネルギの量は、はるかに高精度で制御される。例えば、図2Bでは、均質光118Aが素子125−21〜125−23にわたって広がるので、少量の光エネルギ(例えば、均質光部分118A−22/変調光部分118B−22)が、素子125−22を「オン」させ、かつ素子125−21および125−23を「オフ」のままに(すなわち、均質光部分118A−21および118A−23が阻止されるように)することによって画像形成領域SL−2の方へ通過する。同様に、図2Cでは、わずかに多い量の光エネルギ(例えば、部分118B−31および118−33)が、素子125−32を「オフ」させ、かつ素子125−31および125−33を「オン」(すなわち、光部分118A−31/118B−31および118A−33/118B−33は通過するが、均質光部分118A−32は阻止されるように)させることによって、画像形成領域SL−3の方へ通過する。光を広げると、点欠陥(例えば、微視的塵粒子またはひっかき傷)が全光透過損失上に有する負の画像形成効果も排除する。
【0033】
代替策としては、光源112Aは、単一の高出力光発生素子115A(例えば、レーザ)で構成され、または多数の低出力光発生素子で構成されるとすることができる。高出力均質光の用途にとっては、光源は、多数の低出力光源(例えば、端面発光レーザダイオードまたは発光ダイオード)で構成され、それらの発光が、ホモジナイザ光学によって互いに混ぜ合わされて、均質の所望の高出力を生成することが好ましい。
【0034】
図3Aは、多数の端面発光レーザダイオード115Bを、素子(図示されない)から成る行と平行に配置した直線に沿って配列した光源112Bを図示する。
【0035】
図3Bは、多数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)115Cを担体111C上の2Dアレイ内に配列した光源112Cを図示する。
【0036】
図2Aでは、光ホモジナイザ117Aが、当技術分野で周知の、いくつかの異なる技術および方法のうちのいずれかを用いて実装することができ、これらには、ビームを作り直すのにマイクロレンズアレイとともに速軸集光部(FAC:fast axis concentrator)レンズを用いること、またはさらに加えて導波路の内部で光混合を引き起こす光導体技法を用いることが含まれるがこれらに限定されない。
【0037】
図4Aおよび図4Bは、アナモフィック光学システム130Eを含むシステム100Eを示す。図4Aでは、アナモフィック光学システム130Eは、コリメーティング光学サブシステム131E、工程直交光学サブシステム133E、および工程方向光学サブシステム137Eを含む。光学サブシステム131E、133Eおよび137Eは、変調器120EとスキャンラインSLとの間の光路内に配置される。図4Aは、コリメーティング光学サブシステム131Eおよび工程直交光学サブシステム133Eが、変調器120Eを通過した変調光部分118Bに作用して、X軸と平行な(すなわち、工程直交方向の)スキャンラインSL上に、集光された光部分118Cを形成することを指し示し、図4Bは、コリメーティング光学サブシステム131Eおよび工程方向光学サブシステム137Eが、変調器120Eを通過した変調光部分118Bにいかに作用して、Y軸と直角方向の(すなわち、工程方向の)スキャンラインSL上に、集光された光部分118Cを発生させるかを指し示す。
【0038】
コリメーティング光学サブシステム131Eはコリメーティング視野レンズ132Eを含み、コリメーティング視野レンズ132Eは、変調器120Eの直後に位置を定められ、変調器120Eの表面からわずかに発散する光部分を平行にするように構成される。コリメーティング光学サブシステム131Eは、任意選択であり、変調器120を離れる変調光部分118Bがすでに十分に平行にされているときは省略することができる。
【0039】
本開示の実施の形態では、工程直交光学サブシステム133Eは、工程直交(スキャン)方向に(すなわち、X軸に沿って)光を拡大する、2レンズの円柱または非円柱投影システムであり、工程方向光学サブシステム137Eは、工程(スキャン間)方向に(すなわち、Y軸に沿って)光を集束する、円柱または非円柱の単一の集束レンズサブシステムである。この配列の利点は、配列が、スキャンラインSL上で光(例えば、レーザ)出力の強度を集光することを可能にすることである。2レンズの円柱または非円柱投影システム133Eは、変調器120E(および任意選択のコリメーティング光学サブシステム131E)を通過した変調光部分(画像形成データ)118Bを、画像形成面(例えば、シリンダ)上へ工程直交方向に投影して拡大するように構成される、第1円柱または非円柱レンズ134Eおよび第2円柱または非円柱レンズ136Eを含む。以下でさらに詳細に説明されるように、集光された光部分118Cのわずかな扇形の広がり(拡散)を図4Aに指し示されるようにX軸に沿って生み出すことにより、隣接する光学サブシステムからの機械的干渉を受けずに、出力画像を互いに繋ぎ合わせることが可能となる。レンズサブシステム137Eは、スキャンラインSL上の狭い高解像度ライン画像に至るまで投影画像形成データを集光する、第3円柱または非円柱レンズ138Eを含む。レンズ138Eの集束能力が増加するにつれて、変調器120Eの光の強度は、スキャンラインSLにおいて発生するライン画像の強度に比較して低減される。しかしながら、これは、円柱または非円柱レンズ138Eが、透明開口部がレンズ138Eのエッジぎりぎりまで広がる状態で、工程表面(例えば、画像形成ドラム)に、より接近して配置されなければならないことを意味する。
【0040】
代替策としては、空間光変調器は、米国テキサス州ダラス市のTexas Instruments社から入手可能なデジタル光処理(DLP(登録商標))チップなどのデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)、米国コロラド州ラファイエット市のBoulder Nonlinear Systems社から入手可能なLinear Array Liquid Crystal Modulatorなどの電子光学回折変調器アレイ、またはバナジウム二酸化物反射もしくは吸収ミラー素子などの熱光学吸収素子から成るアレイを含む市販のデバイスを用いて実装される。1200dpi以上の解像度、10:1を超える高い画像コントラスト比、小さいピクセルサイズ、および30kHzを超える高速度のラインアドレス指定を必要とする現在の多くの印刷/スキャン用途に対して、DLP(商標)チップは最適である。
【0041】
図5は、多数の微小電気機械式(MEMs)ミラー機構125Gで構成されるアレイ122Gを含むDMD式空間光変調器(DMD)120Gの一部を示す。アレイ122Gは、基板124G上の長方形のアレイ内に配列されたMEMsミラー機構125Gを含む。ミラー機構125Gは、コントローラ回路126Gによって制御される。64個だけのミラー機構125Gが図5に例示目的で示されるが、ミラー機構はアレイ122G上にいくつでも配置され、Texas Instruments社によって販売されているDMDは、デバイス当たり数十万のミラーを含む。
【0042】
図6は、アレイ122G(図5を参照のこと)の中の典型的なミラー機構125G−11をさらに詳細に示す。便宜的に、ミラー機構125G−11は、最上層210、中央領域220、および下方領域230へ分割され、これらはすべて、基板124Gの上面に形成されたパッシベーション層(図示されない)上に配置される。ミラー機構125G−11の中の最上層210は、正方形または長方形のミラー(光変調構造)212を含み、ミラー212は、アルミニウムで作られ、典型的には直径で大略16マイクロメートルである。中央領域220は、2つのコンプライアントねじりヒンジ224によって支持プレート225に接続されるヨーク222、ならびに1対の高架電極227および228を含む。下方領域230は、第1電極プレート231および第2電極プレート232、ならびにバイアスプレート235を含む。加えて、ミラー機構125G−11は、基板124G上に配置された関連SRAMメモリセル240(すなわち、双安定フリップフロップ)によって制御され、コントローラ126Gによって発生する制御信号127G−1を経由して、2つのデータ状態のうちのいずれかを格納するように制御される。メモリセル240は、現在の格納状態から発生する相補出力信号DおよびDバーを発生させる。
【0043】
下方領域230は、めっき層をエッチングすること、または別のやり方ではメモリセル240にわたって基板124Gの上面に形成されるパッシベーション層(図示されない)上に金属パッドを形成することによって形成される。電極プレート231および232は、バイアス制御信号127G−2か、それともメモリセル240によって金属ビアまたはパッシベーション層を通して広がる他の導電構造を経由して格納された相補データ信号DおよびDバーかを、それぞれ受信するように接続されることに留意されたい。
【0044】
中央領域220は、MEMS技術を用いて下方領域230の上方に配置され、ヨーク222は、コンプライアントねじりヒンジ224を経由して支持プレート225によって、移動可能なように(回動可能なように)接続されるとともに支持され、コンプライアントねじりヒンジ224は、以下で説明するようによじれて、基板124Gに対してヨーク222を容易に傾ける。支持プレート225は、バイアスプレート235の上方に配置され、バイアスプレート235の中の領域236上へ固定して接続される支持ポスト226(1つが示される)を経由して電気的に接続される。電極プレート227および228は同様に、それぞれ電極プレート231および232の上方に配置され、電極プレート231および232の中の領域233上へ固定して接続される支持ポスト229(1つが示される)を経由して電気的に接続される。最後に、ミラー212は、ヨーク222の中の中央領域223上へ取り付けられたミラーポスト214によってヨーク222に固定して接続される。
【0045】
図7Aから図7Cは、動作中の図5のミラー機構125G−11を示す。図7Aは、第1(例えば、「オン」)変調状態にあるミラー機構125G−11を示し、第1変調状態において、受信した光部分118A−Gは、第1角度θ1でミラー212を離れる反射(変調)光部分118B−G1となる。「オン」変調状態を設定するために、SRAMメモリセル240は、あらかじめ書き込まれたデータ値を格納して、出力信号Dが、電極プレート231および高架電極227へ送られる高電圧(VDD)を含むとともに、出力信号Dバーが、電極プレート232および高架電極228へ送られる低電圧(接地電位)を含むようにする。これらの電極は、静電引力によってミラーの位置を制御する。電極プレート231および232によって形成された電極対は、ヨーク222に作用するように位置を定められ、高架電極227および228によって形成された電極対は、ミラー212に作用するように位置を定められる。大部分の場合、同等のバイアス電荷が、ヨーク222の両側に同時に加えられる(例えば、図7Aに指し示されるように、バイアス制御信号127G−2が、電極プレート227および228ならびに高架電極231および232の両方に加えられる)。予期されるように中心位置へはじく代わりに、この同等のバイアスは、ミラー122と高架電極231/電極プレート227との間の引力が、ミラー122と高架電極232/電極プレート228との間の引力よりも大きいので(すなわち、前者の側が電極により接近しているので)、実際に現在の「オン」位置にミラー122を保留する。
【0046】
「オン」位置から「オフ」位置へミラー212を移動させるために、要求される画像データビットが、制御信号127G−1を経由してSRAMメモリセル240内へロードされる(図7Aの下方部分を参照)。図7Aに指し示されるように、アレイ122Gの中のすべてのSRAMセルがいったん画像データをロードされると、バイアス制御信号は無効にされ、それによってSRAMセル240から電極プレート231および高架電極227へD信号を、およびSRAMセル240から電極プレート232および高架電極228へDバーを送り、それによってミラー212を図7Bに示された「オフ」位置へ移動させ、それによって受信した光部分118A−Gは、ミラー212を第2角度θ2で離れる反射光部分118B−G2となる。一実施の形態では、ミラー212の平らな上面は、図7Aに図示された「オン」状態と図7Bに図示された「オフ」状態との間において、大略10度から12度の範囲内で傾く(角度的に移動する)。次にバイアス制御信号127G−2が、図7Cに指し示されるように復活すると、ミラー212は、「オフ」位置に保持され、次に要求される移動をメモリセル240内へロードすることができる。ミラーをアドレス指定するのに必要な電圧レベルを低減して、電圧レベルがSRAMセルから直接に駆動できるようにするので、さらにバイアス電圧が全部のチップに対して同時に除去されて、あらゆるミラーが同時に移動するので、このバイアスシステムが使用される。
【0047】
図7Aから図7Cに指し示されるように、ミラー機構125G−11の回動ねじり軸によって、ミラー212は、DLPチップハウジングのx−y座標に対して斜めの軸を中心に回動する。このように斜めに傾けると、画像形成システム内の空間光変調器から受信した入射光部分が各ミラー機構125G上へ合成入射角で投影され、したがって光の出射角がDLPチップの表面と直角になる必要がある。この要件は、画像形成システムを並べて配置することを困難にする。
【0048】
図8は、好適な「折り畳まれた」配列内に配置されたDMD120Gを含むシステム100Gを示す。システム100Gは、上述したように機能するとともに動作する、均質光発生器110Gおよびアナモフィック光学システム130を含む。DMD120Gが、均質光発生器110Gおよびアナモフィック光学システム130に対して合成角で位置を定められて、入射均質光部分118A−Gが、DMD120Gの表面によって定められた直交軸X、YまたはZのうちのいずれかと平行でも直角でもないようにし、反射光部分118B−G1および118B−G2(ミラーがそれぞれ「オン」および「オフ」位置にあるときに生成される)のいずれでもないようにするという点で、システム100Gは、一般化されたシステムとは区別される。システム100Gの中のコンポーネントがこの「折り畳まれた」配列内に位置を定められた状態で、各MEMsミラー機構125Gのミラーが「オン」位置にあるときだけ、均質光発生器110GからDMD120Gの方へ向けられた均質光118A−Gの一部は、MEMsミラー機構125Gからアナモフィック光学システム130の方へ反射される。すなわち、図8に指し示されるように、「オン」位置にある各MEMsミラー機構125Gは、入射光方向に対して角度θ1で光部分118B−G1の中の関連部分を反射し、それによって光部分118B−G1は、DMD120Gによって対応する所定の方向に沿ってアナモフィック光学システム130へ向けられ、アナモフィック光学システム130は、光部分118GをスキャンラインSL上へ集束するように位置を定められるとともに構成され、スキャンラインSLは、DMD120Gの表面によって定められたZ軸と直角となる。入力光線118Aとアナモフィックシステム130Gの方へ向けられた出力「オン」光線(例えば、光線118B−G1)との間の合成角θ1は、典型的には22度〜24度またはDMDチップのミラー回動角度の2倍である。反対に、「オフ」位置にある各MEMsミラー機構125Gは、角度θ2で光部分118B−G2の中の関連部分を反射し、それによって光部分118B−G2は、DMD120Gによってアナモフィック光学システム130から離れる方へ向けられる。入場光線と「オフ」光線との間の合成角θ2は、通常は大略48度である。システム100Gは、「オフ」位置にあるMEMsミラー機構125Gによって反射される光部分118B−G2を受信するように位置を定められたヒートシンク構造140Gを含む。システム100Gの中のコンポーネントは、同一の画像形成システムをいくつでも含む、途切れのない集合体の構造を容易にするやり方で配列される。
【0049】
図9および図10は、図8に示された本システムのコンポーネントを含むとともに、さらにラーメンフレーム150Hを含むシステム100Hを示す。フレーム150Hの目的は、低コストの集合体を容易にすること、および好適な「折り畳まれた」配列内に本システムのコンポーネントを保持することである。加えて、フレーム150Hについて開示された設計は、各システム100Hをより大きな集合体の中のサブシステムとして利用することを容易にする。
【0050】
図9を参照すると、フレーム150Hは、鋳物などの適切な熱伝導性を有する剛性材料から成形されるまたは別のやり方では形成される一体構造であり、一般に支持領域152Hを定める角ベース部分151Hと、ベース部分から支持領域152Hの両側に伸張する第1アーム153Hおよび第2アーム154Hと、第1アーム153Hの端部に一体的に取り付けられた第1ボックス状ブラケット155Hと、第1ブラケット155Hに一体的に取り付けられた第2ボックス状ブラケット156Hと、第2アーム153Hの端部に取り付けられた第3ブラケット157Hとを含む。図9および図10に指し示されるように、支持領域152Hは、DMD120Gを所定の向きに装着することを容易にするように形作られるとともに構成され、ブラケット155H、156Hおよび157Hは、それぞれ均質光発生器110G、アナモフィック光学システム130Gおよびヒートシンク140Gの作動端部を収納するように位置を定められるとともに方向付けられ、これらの素子は、これらのブラケットにしっかりと固定されるとき、DMD120Gに対して適切に方向付けられるようにする。
【0051】
図11は、画像形成領域(すなわち、細長いスキャンラインSL−Hと一致したまたはこれと平行な面)の幅全体にわたってスタック状に形成される一連の3つの画像形成システム100H−1、100H−2および100H−3で構成される集合体300を示す。システム100H−1、100H−2および100H−3は、アナモフィック光学システム130G−1〜130G−3が並んで配列された状態で固定して接続されるように配列されて、画像形成システム100H−1、100H−2および100H−3によってそれぞれ形成されたスキャン・ライン・セクションSL−1〜SL−3が、実質的に同一直線上にあり、細長い複合スキャンライン画像SL−Hを形成するようにする(「実質的に同一直線上にあり」は、スキャン(焦点)ラインが単一機能のスキャンラインを形成するのに十分な精度で整列することを意味する)。集合体300が3つのサブシステムだけを用いて示されるが、図示された配列は、折り畳まれた配列が画像形成システムをいくつでも組み立てて、任意の長さを有するスキャンライン画像を容易に形成することを、明白に示す。
【0052】
集合体300によってもたらされる1つの利点は、各光学サブシステム100H−1〜100H−3が、量産された容易に入手可能なコンポーネント(例えば、Texas Instruments社によって生産されるDMDチップ)を用いて製造することができることであり、したがって各サブシステムは、大量生産から得られる価格低減の利益を享受することができる。すなわち、本発明の画像形成システムにおいて利用することができるデバイスであって、十分な解像度(例えば、インチ当たり1200ドット)で工程直交方向に20インチ以上のスキャンラインを発生させるのに十分なサイズを有する単一の空間光変調器デバイスは、現在1つもない。現在市販されているDMD式空間光変調器デバイスを用いて多数の光学サブシステム(例えば、光学サブシステム100H−1〜100H−3)を生み出すこと、本明細書で説明された折り畳まれた配列を用いてサブシステムコンポーネントを配列すること、および図11に示されるやり方でサブシステムをスタック状に形成することによって、本質的に任意の幅のスキャンラインを生成することができる安価な集合体を生み出すことができる。
【0053】
このように画像形成サブシステム100H−1、100H−2および100H−3を組み合わせる別の利点は、この配列が、途切れなく自動的に繋ぎ合わせることを容易にして、並べた画像形成システムをいくつでも整列させることである。途切れなく繋ぎ合わせることを成し遂げる重要な要件は、各画像形成システムが、各画像形成システムの機械的全幅よりもわずかに長い出力長さの範囲にわたってその光を投影して、各画像形成システムによって生成されるスキャン・ライン・セクションの端部部分が、細長い複合スキャンライン画像に沿って重なり合うことである。この要件は、例えば、各スキャン・ライン・セクションSL−1〜SL−3がその隣接するスキャン・ライン・セクションと重なり合うように、アナモフィック光学システム130G−1〜130G−3と関連した光学を修正することによって成し遂げられる。例えば、図11に示されるように、スキャン・ライン・セクションSL−1がスキャン・ライン・セクションSL−2の一部と重なり合う幅S1で発生し、スキャンラインSL−2がスキャン・ライン・セクションSL−1およびSL−3の両方と重なり合うS2の幅で発生し、スキャン・ライン・セクションSL−3がスキャンラインSL−2と重なり合うS3の幅で発生するように、アナモフィック光学システム130G−1が形成される。スキャン・ライン・セクションSL−1、SL−2およびSL−3の実際の(作動)幅は、スキャン・ライン・セクションSL−1、SL−2およびSL−3の途切れのない重なり合いをもたらすやり方で、変調器120G−1〜120G−3の外側エッジに位置を定められた素子(ピクセル)を恒久的にオフにするソフトウェアを用いて調整される。この技法は、弓形、ゆがみ、および各光学サブシステムのわずかな機械的偏位などの、各個々の画像形成サブシステム100H−1、100H−2および100H−3のわずかな機械的公差の変動に対する補償を容易にする。
【0054】
図12は、上述した直交配列と関連した起こり得る問題に対処する単一通過画像形成システム100Kを示す。システム100Kは、一般に、実質的に上述したように動作する、均質光発生器110、変調器120、およびアナモフィック光学システム130を含み、素子125から成る行がスキャンラインSLに対して鋭角の傾斜角βで整列するように、変調器120がアナモフィック光学システム130に対して傾けられ、それによってアナモフィック光学システム130が、細長い焦線の中の関連サブ画像形成領域上へ各変調光部分を集束する(例えば、アナモフィック光学システム130は、光部分118C−41〜118C−43をそれぞれ画像形成領域SL−4の中のサブ画像形成領域SL−41〜SL−43上へ集光する)という点で、システム100Kは一般化された画像形成システムとは異なる。この傾斜角は、万線スクリーンのハーフトーン画像を形成するドット配置において、より高いアドレス指定能力を可能にする。
【0055】
図13は、変調器120の上端水平エッジ121とスキャンラインSLとの傾斜配向を描写し、同図で傾斜角βは、各素子125−11〜125−43の中心がX軸方向に沿って等しい間隔で配置されるように選択され、それによって各素子125−11〜125−43を通過した各光部分は、スキャンラインSLの中の対応する固有の領域上へ向けられる。すなわち、傾斜角βは、各素子125−11〜125−43の中心(垂直の点線によって指し示される)が、スキャンラインSLに沿って共通のピッチPで分離される(例えば、素子125−41および125−42の中心ならびに素子125−43および125−31の中心が、同一のピッチ間隔Pで分離される)ように選択される。一実施の形態では、変調器120の中のすべての素子に対してピッチ間隔Pを等しくするために、傾斜角βは1/nのアークタンジェントに等しく設定されて、R/nに等しい一様なピッチ間隔Pを与え、ここでnは各列内の素子数(すなわち、概略化された実施例では、n=3)であり、Rは各行内で隣接する素子間の心心距離によって決定される素子解像度である。
【0056】
図12において、スキャンラインSLに対する変調器120の傾斜配向が原因で、素子125−41〜125−43の中心は、X軸方向に沿って右方へ連続してシフトされる(すなわち、素子125−41は素子125−42の左にあり、素子125−42は素子125−43の左にある)。各列内の素子間のわずかなオフセットが原因で、アナモフィック光学システム130は、各素子から受信した光部分を、光が細長いスキャンラインSLの中の固有の関連サブ画像形成領域の中心に置かれるように、集光する。例えば、アナモフィック光学システム130の方へ素子125−41および125−43を通過した変調光部分118B−41および118B−43は、アナモフィック光学システム130によってアナモフィックに集光されて、集光された光部分118C−41および118C−43がサブ画像形成領域SL−41およびSL−43の中心に置かれるようにする(サブ画像形成領域SL−42上の暗い領域は、素子125−42が「オフ」状態にあるために生成される)。素子125−41および125−43を通過した光の重なり合いは、説明的な目的のために無視され、Y軸方向のわずかなオフセットは、例示目的で拡大されていることに留意されたい。このような傾斜配向の利益は、システム100Kが、直角配向を用いて可能なピッチよりも細かいピッチでアドレス指定可能なサブピクセルの間隔解像度を生み出し、X軸およびY軸方向の両方に小数の精度で画像「ピクセル」の位置を定めるソフトウェアを利用する機会を提供することである。
【0057】
図14は、関連アナモフィック光学システム130Lによって発生するスキャンラインSLに対して、傾斜角βLで傾く概略化されたDMD式空間光変調器120Lを含むシステム100Lを示す。典型的なDMD120Lは、各列内に15個のミラー125Lを含むので、この実施例における最適な傾斜角は、3.81度(すなわち、1/15のアークタンジェント)となる。好適な一実施の形態では、24のピクセル列が用いられ、したがって傾斜角は1/24のアークタンジェントすなわち2.38度となる。図示された実施の形態では、これらの数は、可視化が容易なように誇張され、図示された傾斜角βLは、ミラー列当たり4ピクセルのサブピクセル間隔を生成するように大略14.0度(すなわち、1/4のアークタンジェント)となる。隣接する画像ピクセルはわずかに重なり合い、高速スキャン方向に特別のアドレス指定能力をもたらし、したがって垂直エッジは、サブピクセルずつ左または右に調整することができることにも留意されたい。工程方向に対しては、水平エッジが必要となる位置に発生するのに間に合わせて、水平エッジがサブピクセルずつ遅れたり進んだりすることを確実にするように、タイミングを調整することができる。
【0058】
可変の解像度は、各画像形成領域の内部に位置を定められたミラー中心の数を制御することによって、実行することができる。n=3の場合の例として図13を参照すると、垂直の行内に3つのミラーを用いることによって、3倍だけ画像解像度が増加する。対照的に、あらゆる4つのミラーが図14の状態となるように、傾斜角が選択されるとすると、図13に示される実施の形態の傾斜角よりもわずかに小さい傾斜角βLが用いられて、より高解像度を生み出す。nが(典型的なDLPチップにおけるように)760以上のとき、広範囲の代替の解像度が高精度で実装することができることは、容易に理解される。
【0059】
上述した直交配列と同様に、図14に示される傾斜配向は、スキャンラインSLに沿って出力を可変にすることも容易にする。すなわち、画像サブ画像形成領域SL−23において最高出力または最高輝度を有する画像を生み出すために、すべてのミラー素子125L−1〜125L−4は、「オン」位置とすることができ、画像サブ画像形成領域SL−23において低出力を有する画像を生み出すために、1つ以上のミラー素子125L−1〜125L−4は、「オフ」位置とすることができる。さらにその上、DMDミラーは、すべてを全出力性能に利用する必要があるとは限らない。1つ以上の「予備」ミラーを、通常動作中に取っておいて(すなわち、非動作状態にしておいて)、故障中のミラーを差し換えるのに、または特別な処理動作中に通常の「全」出力を上回る出力に増大するのに利用することができる。反対に、強度不良を補正するために、より少ないミラーを用いて、特定の画像サブ領域内の出力を減少させることができる。スキャン位置に応じて切除に利用可能なミラーの数を較正することによって、その出力はスキャン面にわたって一様に保つことができ、オフライン時に思いのままに較正することができる。
【0060】
弓形および傾斜などの全体的な非理想的スキャンラインの不完全さ、および通常はバンディングを引き起こす工程方向速度の不完全さは、DMDチップなどの2次元光変調器を用いることによって、電子的に極めて容易に調整することもできる。狭い周波数範囲で発射するインクジェットヘッドとは違って、このような光変調器は、広範囲の工程速度と一致するように調整して、種々の速度範囲にあるより高いまたはより低いライン解像度を作り出すことができる。これもまた、ドラム速度がはるかに容易に変化することに起因するバンディング問題を補償させる。サブ解像度の増分で互いに繋ぎ合わされた隣接する画像形成システム間で、ラスタのセグメントを遅らせたり進めたりすると、全スキャンラインにわたって弓形または傾斜を補償することができる。
【0061】
図15は、システム100Mおよびスキャン構造(例えば、画像形成ドラムシリンダ)160Mを含むスキャン/印刷装置200Mを示す。システム100Mは、一般に均質光発生器110M、空間光変調器120M、およびアナモフィック光学(例えば、投影レンズ)システム130Mを含み、これらは本質的には上述したように機能する。図15の上方右部分を参照すると、画像形成ドラムシリンダ(ローラ)160Mは、アナモフィック光学システム130Mが、工程直交光学サブシステム133Mおよび工程方向光学サブシステム137Mを用いて、変調器120Mから受信した変調光部分を、画像形成ドラムシリンダ160Mの中の画像形成面162M上へ、ならびに詳しくは画像形成面162Mの中の画像形成領域167M内へ、画像形成して集光するように、システム100Mに対して位置を定められる。工程直交光学サブシステム133Mは、変調器120Mを通過した光を水平に反転させるように動作する(すなわち、光部分118B−41、118B−42および118B−43が、工程直交光学サブシステム133Mの中の右側から画像形成領域167Mの中の左側の方へ向けられるように)。加えて、画像形成ドラムシリンダ160Mは、画像形成面162Mが、アナモフィック光学システム130Mによって定められたスキャン(または焦点)ラインと一致するように位置を定められるか、それとも画像形成面162Mが、アナモフィック光学システム130Mによって定められた焦線と一致するように位置を定められるかする。図15内の破線のバブルによって指し示されるように、画像形成面162Mは、スキャンラインSL−4においてビーム118C−41、118C−42および118C−43によって発生する画像が、破線のバブル内に指し示されるやり方で反転するように、焦線FLの位置に設定される。
【0062】
装置400Mは、可変データリソグラフィ印刷に用いられるプリンタまたはスキャナであり、同装置において画像形成ドラムシリンダ160Mは湿し水でコーティングされ、湿し水は、システム100Mによって処理されるレーザ光で切除される。すなわち、インクおよび水で選択的に湿潤する、静的な画像形成領域および非画像形成領域を有するプレートを用いて標準のオフセットを行うとともに、続いて用紙へインクを転写する代わりに、インクは、一般に、システム100Mによって選択的に切除された液体の湿し水全面にわたってローラに加えられる。本装置では、ローラの中の切除された領域だけが、インクを用紙へ転写することになる。それゆえに、従来のシステムにあるようにプレートからの一定データの代わりに、切除からの可変データが転写される。ラスタ化光源(すなわち、スキャンライン全体にわたって端から端へラスタ化される光源)を用いて動作するこの工程にとっては、リアルタイムで湿し水を十分に切除するために、単一の極めて高出力の光(例えば、レーザ)源が、必要となるはずである。本発明の利益は、湿し水が全スキャンラインから同時に切除されるので、可変データ高速度リソグラフィ印刷機が、多数の比較的低出力光源を用いて提供されることである。
【0063】
図16Aおよび図16Bは、画像形成装置400Nおよび400Pの一部を示す。関連した画像形成システムによって発生するくさび状光ビーム場118C−1〜118C−4が、複数のブロックのように示され、スキャンラインSLを共同で形成する関連スキャン・ライン・セグメントSL1〜SL4を形成する。画像形成装置400Nと画像形成装置400Pとは、画像形成システム100N−1〜100N−4が整列したパターンで配列され、一方で画像形成システム100P−1〜100P−4がオフセットパターンで配列されるという点で異なる。スキャンラインSLは、4つのスキャン・ライン・セグメントSL1〜SL4から互いに繋ぎ合わされるが、しかし画像形成システム100N−1〜100N−4が接近して配置され、単一の行内に配列されるので、画像形成装置400N内にビーム場118C−1〜118C−4を発生させる発生源は、同一直線上にあり、ビーム場118C−1〜118C−4は、画像形成面162Nと垂直に向けられる。対照的に、システム100P−1〜100P−4は2行に配列されて、小さいインタレース角度で方向付けられたビーム場118C−1〜118C−4を発生させる。このオフセットパターン配列は、隣接する画像形成システム100P−1〜100P−4間にさらに余裕をもたらす。
【0064】
本発明の代替実施形態によれば、最終的なアッセンブリのアナモルフィック光学系(例えば、アナモルフィック光学系130G−1から130G−3、図11参照)は、最終的なモノリシック集束レンズを共用してもよい。さらに、本発明は、線形である光路を有する(図1参照)、または1つの折り畳みを有する(図8参照)ものとして示されているが、当業者には、任意数の任意の光路に沿って折り畳みを含む他の配置が企図されてもよい。最後に、高エネルギースキャンライン画像を発生するための上述の方法は、本明細書に記述されているもの以外のデバイスを用いて達成されてもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成システム、および特に高速画像形成のために高エネルギ光源を利用する単一の通過の画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ画像形成システムは、電子写真式印刷、マスク付きおよびマスクレスリソグラフィパターン形成、表面のレーザダル加工、およびレーザ切断機などの用途において、画像を発生させるために広範囲にわたって用いられている。レーザプリンタは、ポリゴンスキャナまたはガルボスキャナを利用することによって工程方向と直角にレーザを掃引するラスタ光学スキャナ(ROS:raster optical scanner)をしばしば用い、一方で切断用途に対して、レーザ画像形成システムは、フラットベッド型x−yベクトルスキャニングを用いる。
【0003】
レーザROS技法の制約のうちの1つは、画像解像度とスキャンラインの横方向の広がりとの間に、設計上のトレードオフが存在することである。これらのトレードオフは、スキャンラインの両極端において、画像面の湾曲などの光学性能の制限から生じる。実際には、単一のガルバノメータまたはポリゴンスキャナを用いて、一列20インチの画像形成幅全体で1200dpi解像度を達成するのは、きわめて困難である。その上に、単一のレーザヘッドによる電動式x−yフラットベッドアーキテクチャは、広範囲の領域にとっては理想的であるが、最高速の印刷工程にとっては時間がかかりすぎる。
【0004】
こういう訳で、広い幅の電子写真法にとって、最大20インチ幅までのモノリシックの発光ダイオード(LED:light emitting diode)アレイには、画像形成上の利点がある。残念ながら、現在のLEDアレイは、ピクセル当たり10ミリワットの出力レベルを提供することができるだけであり、したがって電子写真法などの一部の非熱の画像形成用途に役立つだけである。加えて、LEDバーは、経年劣化差および性能差を広げる。単一のLEDが故障すると、LEDバー全体を差し換える必要がある。他の多くの画像形成またはマーキング用途には、はるかに高い出力が必要である。例えば、レーザダル加工、または切断用途は、10W〜100Wの範囲の出力レベルを必要とすることがある。それゆえにLEDバーは、これらの高出力用途に用いることができない。さらに、ずらして配置した2行以上のヘッドを用いずに、LEDをより高速度または1200dpiを上回る解像度に広げることも困難である。
【0005】
100ミリワット〜100ワットの範囲にある、より高出力の半導体レーザアレイが存在する。ほとんどの場合、それらは全幅で大略1cmのレーザ・ダイオード・バーなどの1Dアレイ形式で存在する。高出力向け光源の別のタイプは、2D垂直共振器面発光VCSELアレイである。しかしながら、これらの高出力レーザ技術のいずれも、最隣接間のレーザピッチを600dpi以上の画像形成解像度に適合可能にはしない。加えて、これらの技術のいずれも、各レーザの個々の高速度制御を可能にはしない。それゆえに高出力オーバヘッド投影画像形成システムなどの高出力用途は、Texas Instruments社のDLP(商標)チップまたは液晶アレイなどの空間光変調器と組み合わせたレーザなどの高出力源をしばしば用いる。
【0006】
画像形成システムが、並んでアレイ構成にされる場合、重なり合った投影画像を形成するのに用いることができ、ソフトウェアを用いて重なり合わせることによってより広い画像を形成して、その画像パターンを途切れのないパターンへと互いに繋ぎ合わせることができることを、先行技術は示している。このことは、PCボード製造およびディスプレイシステム用などの、多くのマスクレス・リソグラフィ・システムにおいて示されてきた。従来、高解像度用途向けのこのようなアレイ構成の画像形成システムは、連続的な高解像度画像を互いに繋ぎ合わせるために、2行の画像形成サブシステムかそれとも2重通過スキャン構成かを用いなければならないように配列されていた。これは、光学サブシステムの寸法上、物理的ハードウェアに制約があるためである。画像形成する2重の行構成は、依然として、基板を単一方向に移動させる運搬機を用いて、途切れなく互いに繋ぎ合わせることができるが、しかしこのようなシステムは、多量の追加のハードウェア設置場所および各画像形成行間の精度調整を必要とする。
【0007】
マスクレスリソグラフィ用途にとっては、画像形成されるフォトレジストの露光と現像との間の時間は決定的に重要とは言えず、したがって単一のラインに沿ってフォトレジストに画像を形成しても、すぐに露光する必要がない。しかしながら、露光と現像との間の時間は、ときどき決定的に重要となる。例えば、電子写真式レーザ印刷は、時間とともに自然に減衰する電荷を消去することによって、感光体に画像を形成することに基づいている。それゆえに露光と現像との間の時間は、時不変性ではない。このような状況では、露光システムにとっては、単一のラインを、またはいくらか詰めて配置された、表面における高解像度の隣り合うラインを同時に、露光することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,800,699号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電子写真式印刷の用途に加えて、露光と現像との間の時間が決定的に重要な別のマーキングシステムがある。一例は、当初Carleyによって、発明の名称が「FOUNTAIN SOLUTION IMAGE APPARATUS FOR ELECTRONIC LITHOGRAPHY(電子リソグラフィ用の湿し水画像装置)」の米国特許第3,800,699号明細書に開示された、レーザベースの可変データ・リソグラフィ・マーキング技法である。標準のオフセットリソグラフィ印刷では、疎水性の画像形成領域および親水性の非画像形成領域を有する静的な画像形成プレートが作り出される。水ベースの湿し水の薄層は、プレートを選択的に湿潤させ、油ベースのインクを選択的に拒絶する撥油層を形成する。米国特許第3,800,699号明細書に開示された可変データ・リソグラフィ・マーキングでは、レーザは、湿し水をパターン切除して、オン・ザ・フライで可変の画像領域を形成するのに用いることができる。このようなシステムにとっては、湿し水の薄層も、周囲空気への自然な部分的蒸発が原因で時間とともに厚さが低下する。それゆえに、単一の画像形成通過ステップにおいて形成される単一の連続的な高出力レーザ画像形成ラインパターンを形成し、その結果、液体湿潤フィルム厚が、レーザ切除ステップを形成する画像のどこでも同一厚となることも有利なことである。しかしながら、大部分のアレイ構成の高出力高解像度画像形成システムにとっては、空間光変調器を囲むハードウェアおよびパッケージが、通常、途切れのない連続的なラインパターンを画像形成するのを妨げる。その上に、ダル加工、リソグラフィ、コンピュータ・トゥ・プレート製作、広領域型抜き、または熱ベース印刷もしくは他の新規な印刷用途などの、レーザ画像形成の多くの領域にとって必要なものは、1ワットレベルを十分に上回る高い総光パワーを有し、20インチを越える広い工程幅全体に拡張可能であり、1200dpiを上回る解像度を達成可能であり、単一の通過で高解像度、高速度の画像形成を可能にする、レーザベースの画像形成技法である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、2次元光場のうちの少なくとも1次元にわたって大きさで一様に広がった(拡散した)、空間的に均質な光強度を発生させる、均質光発生器と、その光場内に配置され、所定のスキャンライン画像データに従って均質光を変調する空間光変調器と、変調された均質光を集束して、狭いスキャンライン画像を形成するアナモフィック光学システムとを利用する画像形成システムに向けられる。ここで用語アナモフィック光学システムは、光学レンズ、ミラー、または他の素子から成るシステムであって、空間光変調器によって形成される光パターンなどの対物面からの光を、最後の画像形成面へ直交方向に沿って異なる倍率で投影する、任意のシステムを指す。それゆえに、例えば、2D空間光変調器によって形成された正方形状の画像形成パターンは、その幅を拡大しかつ同時にその高さを縮小する(または集光された焦点をもたらす)ようにアナモフィックに投影することができ、それによって最後の画像平面において正方形状を極端に薄い細長の長方形状の画像へ変換することができる。アナモフィック光学システムを利用して、変調された均質光を集光することによって、空間光変調器を通過する高強度の光源を必要とせずに、スキャンライン画像の中の任意の点に高い総光強度(光束密度)(すなわち、数百ワット/cm2のオーダー)を発生することができ、それによって、例えば単一通過、高解像度、高速度の印刷用途向けに用いることができる、信頼性を備えつつ高出力の画像形成システムを容易にする。その上に、均質光発生器が、光導体またはレンズアレイなどの多数の光学素子を含むことがあり、2次元光場のうちの少なくとも1次元全体に実質的に一様な光強度をもたらすために、1つ以上の非一様な光源から光を作り変えることが明らかにされるべきである。高度に均質化されたレーザ「フラットトップ」プロファイルを発生させる多くの既存技術が実際に使われている。
【0011】
本発明の一態様によれば、空間光変調器は、2次元アレイ内に配列される多数の光変調素子、および各変調素子における光変調構造が所定のスキャンライン画像データに従って「オン」(第1)変調状態と「オフ」(第2)変調状態との間で調整可能となるように、その変調素子を個々に制御するコントローラを含む。各光変調構造は、その変調状態に従って均質光の中の関連部分を通過させるまたは妨げる/方向を変えるように配置される。変調素子のうちの1つが「オン」変調状態にあると、変調構造は、その関連変調光部分を対応する所定の方向(例えば、素子は関連光部分をアナモフィック光学システムの方へ通過させるまたは反射する)に向ける。反対に、変調素子が「オフ」変調状態にあると、受信した関連光部分は、アナモフィック光学システムの方へ通過することを妨げられる(例えば、光変調構造は、関連光部分を吸収する/阻止する、または関連光部分をアナモフィック光学システムから離れる方に反射する)。アナモフィックに投影され集光される前に、均質光をこのように変調することによって、任意の所与の瞬間に、スキャンラインの中の1点に高出力を加えるにすぎないラスタ化システムと比較して、本発明は、画像形成領域全体に同時に高出力スキャンラインを生成することができる。加えて、比較的低出力の均質光が多数の変調素子に広がるので、本発明は、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD:digital micromirror device)、電子光学回折変調器アレイ、または熱光学吸収素子から成るアレイなどの、市販の低コストの空間的光変調デバイスを用いて生成することができる。
【0012】
本発明の一実施の形態によれば、空間光変調器の中のアレイ構成の光変調素子は行および列に配列され、アナモフィック光学システムは、各列から受信した光部分を、細長いスキャンライン画像の中の関連画像形成領域(「ピクセル」)上へ集光するように構成される。すなわち、所与の列内にある(かつ「オン」変調状態にある)すべての光変調素子から受信した、集光された変調光部分は、アナモフィック光学システムによってスキャンライン画像の中の対応する同一の画像形成領域上へ向けられ、その結果を示す画像形成「ピクセル」は、所与の列内で「オン」状態にある、すべての光変調素子からの複合光となる。本発明の重要な態様は、各光変調素子を通過した光部分が、アナモフィック光学システムによってスキャンラインへ供給される1ピクセルの2値データを表し、その結果、スキャンライン画像を構成する各画像形成「ピクセル」の輝度は、「オン」状態にある関連した列内の数の素子によって制御されることを理解することにある。したがって、各列内に配置された多数の変調素子を個々に制御することによって、および各列を通過した光を対応する画像形成領域上へ集光することによって、本発明は、一定な(無変調の)均質光を用いてグレースケール能力を有する画像形成システムを提供する。加えて、各列内の「オン」ピクセルから成るグループの位置が、その列の中の上方または下方に調整される場合、この配列は、弓形(すなわち直線の「スマイル」)およびゆがみのソフトウェア電子補償を容易にする。
【0013】
本発明の一実施の形態によれば、均質光発生器は、1つ以上の光源と、光源によって発生する光ビームを均質化する光ホモジナイザ光学システムとを含む。高出力レーザ光ホモジナイザは、ドイツ、ドルトムント市にある、LIMO GmbH社としても知られているLissotschenko Microoptik社を含む数社から市販されている。このように、点源の高強度光ビーム(すなわち、比較的高い第1光束密度を有する光ビーム)を、比較的低強度の均質光源(すなわち、高エネルギビームの光束密度よりも低い第2光束密度を有する光)に変換する1つの利益は、この配列が、高エネルギ光を処理することができる特別な光学ガラスおよび反射防止コーティングを用いて空間光変調器を組み立てることを必要とせずに、高エネルギ光源(例えば、レーザまたは発光ダイオード)の利用を容易にすることである。すなわち、ホモジナイザを利用して、拡張された2次元領域にわたって高エネルギレーザ光を広げることによって、所与の領域にわたる(例えば、各変調素子の領域にわたる)光の強度(ワット/cc)は、出力処理能力が改善された空間光変調器を形成するのに低コストの光学ガラスおよび反射防止コーティングが利用可能なように、受け入れ可能なレベルに低減される。光を一様に広げると、点欠陥(例えば、微視的塵粒子またはひっかき傷)が全光透過損失上に有する負の画像形成効果も排除する。
【0014】
本発明の代替の実施の形態によれば、均質光発生器の光源は、所望の光エネルギを共同で生成する多数の低出力光発生素子を含む。具体的な一実施の形態では、複数の光変調素子から成る行に平行なラインに沿って、光源(例えば、端面発光レーザダイオードまたは発光ダイオード)が配列される。別の具体的な実施の形態では、2次元アレイ内に光源(例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL))が配列される。高出力均質光の用途にとっては、光源は、多数の低出力光源で構成され、それらの発光が、ホモジナイザ光学によって互いに混ぜ合わされて、均質の所望の高出力を生成することが好ましい。いくつかの独立した光源を用いることによるさらなる利益は、コヒーレント干渉に起因してレーザスペックルが低減されることである。
【0015】
本発明の別の実施の形態によれば、全体にわたるアナモフィック光学システムは、空間光変調器から受信した変調光部分を集光して、集光された変調光が実質的に1次元のスキャンライン画像を形成するようにする、工程直交光学サブシステムおよび工程方向光学サブシステムを含み、スキャンライン画像において集光された変調光は、均質化された光よりも高い光学強度(すなわち、より高い光束密度)を有する。2次元の変調光パターンをアナモフィックに集光して(焦点に集めて)高エネルギの細長いスキャンラインを形成することによって、本発明の画像形成システムは、より高強度のスキャンラインを出力する。スキャンラインは、通常、その焦点近傍の移動想像面の方に向けられ、移動想像面にわたって掃引される。これにより、プリンタなどの画像形成システムを形成することが可能となる。表面掃引の方向は、通常、スキャンラインの方向に直角であり、慣習的に工程方向と呼ばれる。加えて、スキャンラインと平行な方向は、慣習的に工程直交方向と呼ばれる。スキャンライン画像の形成は、工程方向に沿ってスキャンライン画像を収束することおよび緊密に集束すること、ならびに工程直交方向に沿ってスキャンライン画像を投影することおよび拡大することを扱う、種々の対の円柱または非円柱レンズを有することができる。具体的な一実施の形態では、工程直交光学サブシステムは、変調光を細長いスキャンライン上へ工程直交方向に投影し拡大するように構成される、第1円柱または非円柱レンズおよび第2円柱または非円柱レンズを含み、工程方向光学サブシステムは、変調光をスキャンライン上へ工程方向と平行方向に集光して縮小するように構成される、第3円柱または非円柱集束レンズを含む。この配列は、隣接する光学システムと結合する(重複領域といっしょに「繋ぎ合わされる」または混ぜ合わされる)ことができる、幅広のスキャンラインを発生させて、実質的に無制限の長さのスキャンラインを有する集合体を生成することを容易にする。任意選択のコリメーティング視野レンズを、工程方向および工程直交方向において、空間光変調器と円柱または非円柱集束レンズとの間に配置することもできる。全体にわたる光学システムは、光学収差または歪みを補償するのに役立つさらにいくつかの素子を有することができ、このような光学素子は、多数の折り畳みビーム経路を備えた透過レンズまたは反射ミラーレンズとすることができることを理解されたい。
【0016】
本発明の具体的な実施の形態によれば、空間光変調器は、パッケージ化された形態のデジタル光プロセッサと呼ばれる、Texas Instruments社のDLP(商標)チップを含む。この半導体チップはそれ自体、しばしばデジタル・マイクロミラー・デバイスまたはDMDと呼ばれる。このDMDは、基板上に配置された微小電気機械式(MEMs:microelectromechanical)ミラー機構から成る2次元アレイを含み、各MEMsミラー機構は、コントローラによって発生する関連制御信号に従って、第1傾斜位置と第2傾斜位置との間で移動可能なように支持されるミラーを含む。空間光変調器およびアナモフィック光学システムは、各ミラーが第1傾斜位置にあると、受信したその関連光部分をミラーがアナモフィック光学システムの方へ反射し、ミラーが第2傾斜位置にあると、受信した関連光部分をミラーがアナモフィック光学システムから離れてビームダンプの方へ反射するように、折り畳まれた配列内に位置を定められる。任意選択のヒートシンクが、空間光変調器に対して固定して位置を定められて、第2傾斜位置に配置されたミラーからビームダンプに向かう光部分を受ける。任意選択のフレームが、固定された相対位置にある各コンポーネントを保持するのに利用される。反射式DMDベースの画像形成システムの利点は、折り畳まれた光路配列が、システム設置面積の小型化を容易にすることである。
【0017】
本発明の別の具体的な実施の形態によれば、集合体は多数の画像形成システムを含み、各画像形成システムは、均質光を発生させて、均質光が実質的に一様な2次元均質光場を形成するようにする手段と、所定のスキャンライン画像データに従って均質光の一部を変調して、変調光部分が2次元変調光場を形成するようにする手段と、変調光部分を工程方向に沿ってアナモフィックに集光し、工程直交方向に沿って光場をアナモフィックに拡大して投影し、集光された変調光部分が細長いスキャンライン画像を形成するようにする手段とを含む。この配列のもとで、多数の画像形成システムが並んで位置して、実質的に同一直線上にある「マクロな」単一の長い、20インチを超える長さにまで十分に拡張可能なスキャンライン画像を形成することができる。この配列は、各画像形成システムのサブユニット間の掃引中にずらして配置せずにまたは時間遅延なしに、単一の通過で画像形成基板全面にわたって可変の光学パターンを掃引する全体システムを可能にする。特定の実施の形態では、各システムの空間光変調器はDMDデバイスであり、アナモフィック光学システムは上述の折り畳まれた配列内に位置を定められる。DMDベースの画像形成システムにおける別の利点は、折り畳まれた配列が、現在入手可能なDMDデバイスを用いて、20インチを越えるスキャンラインを生成する多数の画像形成システムを容易に組み合わせることである。互いに繋ぎ合わされた各スキャンラインが、画像形成面の同一焦点面と正確に垂直に向けられる必要がない、すなわち光路が隣接するサブシステム間の同一直線上にある必要がないことも理解されたい。実際に、各個々の光学システムの本体用の場所をさらに容易にするために、スキャンラインを、小さいインタレース角度で各隣接サブシステムから受信することが起こりうる。
【0018】
さらに本発明の別の実施の形態によれば、空間光変調器は、変調素子から成る行がスキャンライン画像に対して小さい鋭角の傾斜角で整列するように、アナモフィック光学システムの工程直交および工程直交方向に対して小角度でわずかに回動し、それによってアナモフィック光学システムは、スキャンライン画像の中の関連サブ画像形成領域上へ各変調光部分を集束する。このような傾斜配向の利益は、画像形成システムが、より高密度にアドレス指定可能なサブピクセル空間の間隔を生み出し、X軸およびY軸の両方向に小数の精度で画像「ピクセル」の位置を定めるソフトウェアを利用する機会を提供することである。空間光変調器は、任意選択で、アレイの中の種々の列内に多数の素子を配置した各画像形成領域の整列を生み出す傾斜角に設定され、それによって可変の解像度および可変の強度を容易にする。この配列も、隣接する画像形成サブユニット間を途切れなく繋ぎ合わせるソフトウェア調整を容易にする。
【0019】
本発明の別の実施の形態によれば、スキャン/印刷装置は、上述した単一通過画像形成システム、およびアナモフィック光学システムからの集光された変調光を受信するように配置されるスキャン構造(例えば、画像形成ドラムシリンダ)を含む。具体的な実施の形態によれば、画像形成面は、可変データリソグラフィ印刷に用いられるような湿し水を保留するものとすることができる。
本発明のこれらのおよび他の特徴、態様ならびに利点が、次の説明、添付された請求項、および付随の図面に関して、より良好に理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の典型的な実施の形態に従って一般化された画像形成システムを示す上側斜視図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施の形態に従って動作中の画像形成システム100Aを示す概略側面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施の形態に従って動作中の画像形成システム100Aを示す概略側面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施の形態に従って動作中の画像形成システム100Aを示す概略側面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の代替の実施の形態に従って図1の画像形成システムの中の均質光発生器によって利用される代替の光源を示す概略斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の代替の実施の形態に従って図1の画像形成システムの中の均質光発生器によって利用される代替の光源を示す概略斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の具体的な実施の形態に従って図1の画像形成システムによって利用されるマルチ・レンズ・アナモフィック光学システムを示す概略上面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の具体的な実施の形態に従って図1の画像形成システムによって利用されるマルチ・レンズ・アナモフィック光学システムを示す概略側面図である。
【図5】図5は、本発明の具体的な実施の形態に従って図1の画像形成システムによって利用されるDMD式空間光変調器の一部を示す斜視図である。
【図6】図6は、さらに詳細に図5のDMD式空間光変調器の中の光変調素子を示す分解斜視図である。
【図7A】図7Aは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図7B】図7Bは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図7C】図7Cは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の具体的な実施の形態に従って、折り畳まれた配列内にある図5のDMD式空間光変調器を利用する画像形成システムを示す概略図である。
【図9】図9は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って、折り畳まれた配列内にあるDMD式空間光変調器を利用する別の画像形成システムを示す分解斜視図である。
【図10】図10は、組み立てられた状態にある図9の画像形成システムを示す斜視図である。
【図11】図11は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って図9の多数の画像形成システムを含む集合体を示す斜視図である。
【図12】図12は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って傾斜空間光変調器を含む別の画像形成システムを示す斜視図である。
【図13】図13は、動作中の図12の傾斜空間光変調器を描写する概略図である。
【図14】図14は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って傾斜DMD式空間光変調器を含む別の画像形成システムを示す斜視図である。
【図15】図15は、本発明の別の具体的な実施の形態に従って画像形成装置を示す斜視図である。
【図16A】図16Aは、本発明の代替の具体的な実施の形態に従って代替の画像形成装置を示す概略化された斜視図である。
【図16B】図16Bは、本発明の代替の具体的な実施の形態に従って代替の画像形成装置を示す概略化された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、画像形成システムにおける改善策および関連した装置(例えば、スキャナおよびプリンタ)に関する。方向を示す「上側」、「最上」、「下側」および「前側」等の用語は、説明を目的として相対位置を規定するためのものであり、絶対的な基準系を指定するためのものではない。「一体式に接続される」および「一体式に付着される」という言い回しは、成形された、または機械加工された単一の構造体の2つの部分間の接続上の関係性を説明するものであり、よって例えば接着剤によって接合される2つの別々の構造体を示す(「一体式に」という修飾語句のない)「接続される」または「結合される」という用語とは区別される。
【0022】
図1は、一般化された単一通過画像形成システム100を示す。システム100は一般に、均質光発生器110、空間光変調器120、および一般化された単一のアナモフィック投影レンズによって図1に単純化して表されるアナモフィック光学システム130を含む。
【0023】
均質光発生器110は、実質的に一様な2次元均質光場119Aを形成する、連続的な(すなわち、一定な/無変調の)均質光118Aを発生させるように機能する。すなわち、均質光発生器110は、投影された点線の長方形のボックス(すなわち、均質光場119Aは構造を形成しない)で描写される、均質光場119Aの全部分が、実質的に同一の一定エネルギレベル(すなわち、実質的に同一の光束密度)を有する光エネルギを受信するように、形成される。
【0024】
変調器120は、均質光場119A内に配置され、所定のスキャンライン画像データIDに従って均質光118Aの一部を変調する目的で機能し、それによって変調器120は、アナモフィック光学システム130上へ投影される変調光場119Bを発生させる。実用的な実施の形態では、このような変調器は、商業的に購入することができ、典型的には1024x768(SVGA解像度)または光変調素子(ピクセル)間隔が大略5〜20ミクロンオーダーのより高解像度の2次元の(2D)アレイサイズを有することになる。変調器120は、支持構造124上の2次元アレイ内に配置された光変調素子125−11〜125−43で構成される変調アレイ122、およびスキャンライン画像データIDに応じて制御信号127を素子125−11〜125−43へ送る制御回路(コントローラ)126を含む。素子125−11〜125−43は、各変調素子の光変調構造(例えば、ミラー、回折素子、または熱光学吸収素子)が、均質光118Aのうちの対応する部分を受信する(例えば、素子125−11および125−22がそれぞれ均質光部分118A−11および118A−22を受信する)ように配置され、アナモフィック光学システム130の方へ所定の方向に沿って、受信した対応する変調光部分を選択的に通過させるまたは方向を変えるように位置を定められる(例えば、素子125−22はアナモフィック光学システム130の方へ変調光部分118B−22を通過させるが、しかし素子125−11はアナモフィック光学システム130に達しないように光を阻止する)。詳しくは、各素子125−11〜125−43は、「オン」(第1)変調状態と「オフ」(第2)変調状態との間で、スキャンライン画像データIDの中の関連部分に応じてスイッチングするように、個々に制御可能である。所与の素子(例えば、素子125−43)が「オン」変調状態にあると、その変調素子は、その所与の素子が受信した関連光部分をアナモフィック光学レンズ130の方へ向けるように動作する。例えば、概略化された実施例では、素子125−43は、透明のようにされ、または別のやり方では関連制御信号に応じて制御されて、変調光部分118B−43が、通過するか、反射されるかそれとも別のやり方では対応する均質光部分118A−43から生成されるかして、アナモフィック光学レンズ130の方へ向けられるようにする。反対に、所与の素子(例えば、素子125−11)が「オフ」変調状態にあると、その素子は、その所与の素子が受信した関連光部分(例えば、光部分118A−11)がアナモフィック光学130に達するのを妨げる(例えば、阻止するまたは方向を変える)ように動作する。外部供給源(図示されない)からコントローラ126へ供給される画像データに従って、素子125−11〜125−43を選択的に「オン」または「オフ」にすることによって、変調器120は、連続的な均質光118Aの一部を変調して(すなわち、通過させるまたは通過させない)、アナモフィック光学システム130の方へ通過する2次元変調光場119Bが発生するように機能する。以下でさらに詳細に説明されるように、変調器120は、いくつかの技術のうちのいずれかを用いて実装される。
【0025】
アナモフィック光学システム130は、変調光部分をアナモフィックに集光する(集束する)ように機能し、変調光部分は、変調器120から2次元光場119Bを経由して幅Sを有する細長いスキャンラインSL上へと受信される。詳しくは、アナモフィック光学システム130は、変調器120からアナモフィック光学システム130へ向けられる光場119Bの2次元パターン(例えば、素子125−43を通過する変調光部分118B−43)を受信するように位置を定められた1つ以上の光学素子(例えば、レンズまたはミラー)を含み、変調器120内の1つ以上の光学素子(例えば、レンズまたはミラー)は、受信した光部分を、スキャン(X軸)方向よりも非スキャン(例えば、Y軸)方向に著しく集光するように構成され、それによって受信した光部分は、スキャン(X軸)方向と平行に広がる細長いスキャンライン画像SLを形成するように、アナモフィックに集束される。
【0026】
変調器120の中の光変調素子125−11〜125−43は、行および列から成る2Dアレイ122内に配置され、アナモフィック光学システム130は、複数の変調素子から成る各列を通過した光部分を、スキャンライン画像SLの中の各画像形成領域部分SL−1〜SL−4上へ集光するように構成される。本明細書では、各「列」は、実質的にスキャンライン画像SLと直角の方向に配列された素子(例えば、素子125−11、125−12および125−13は、アレイ122の中の列を形成する)を含み、各「行」は、実質的にスキャンライン画像SLと平行な方向に配列された素子(例えば、素子125−11、125−21、125−31および125−41は、アレイ122の中の最上行内に配置される)を含む。素子125−11、125−12および125−13を通過した任意の光が、アナモフィック光学システム130によって画像形成領域SL−1上へ集光され、素子125−21、125−22および125−23を通過した任意の光が、画像形成領域SL−2上へ集光され、素子125−31、125−32および125−33を通過した任意の光が、画像形成領域SL−3上へ集光され、素子125−41、125−42および125−43を通過した任意の光が、画像形成領域SL−4上へ集光される。
【0027】
グレースケールの画像形成は、アレイ122の中の各列内の選択された素子のオン/オフ状態を制御することによって達成される。すなわち、各画像形成領域SL−1〜SL−4上に形成された「スポット」の輝度(または暗さ)は、各関連した列内の「オン」となる光素子の数によって制御される。例えば、アレイ122の中の最左列内に配置されたすべての素子125−11、125−12および125−13は「オフ」となり、それによって画像形成領域SL−1は「黒色の」スポットを含む。対照的に、アレイ122の中の最右列内に配置されたすべての素子125−41、125−42および125−43は「オン」となり、それによって光部分118B−41、118B−42および118B−43は、変調器120を通過し、画像形成領域SL−4が最高輝度(「白色の」)スポットを含むようにアナモフィック光学システム130によって集光される。2つの中央の列は、グレースケールの画像形成を図示するように制御され、素子125−21および125−23が「オフ」となり素子125−22が「オン」となって、単一の光部分118B−23を通過させて画像形成領域SL−2上に「暗いグレーの」スポットを形成し、素子125−31および125−33が「オン」となり素子125−32が「オフ」となって、2つの変調光部分118B−31および118B−33を通過させて画像形成領域SL−3上に「明るいグレー」スポットを形成する。本発明を理解する1つの鍵は、各素子を通過した光部分が、アナモフィック光学システム130によってスキャンラインへ供給される2値データの1ピクセルを表し、結果としてスキャンラインの中の各画像形成ピクセルの輝度が、対応する画像形成領域上へ向けられる光部分(2値データビット)の数によって決定されることを理解することにある。各行(例えば、素子125−11〜125−41)から向けられた変調光部分は、残りの行から向けられた光部分と合計され、合計された光部分が全面的にまたは部分的に重なり合って、画像形成領域(スキャンライン画像セグメント)SL−1〜SL−4において一連の複合エネルギプロファイルを生成するようにする。したがって、アレイ122の中の各列内に配置された多数の素子を個々に制御することによって、および各列を通過した光を単一の画像形成領域上へ集光することによって、本発明は、均質光発生器110によって発生する一定な(無変調の)均質光118Aを利用する、グレースケール能力を有する画像形成システムを提供する。
【0028】
変調器120は、便宜的に各列内に3つの変調素子だけを含むが、素子の数を増加させると、グレースケール制御が高まることになる。1つの好適な実施の形態では、1つの列内でグレースケールを調整するのに、少なくとも24ピクセルが用いられ、それゆえにスキャン・ライン・セグメント内でほぼ4%の単一の出力調整を可能にする。
【0029】
アレイ122の中の各列内の多くの素子は、狭い幅内の2つ以上のスキャンラインの同時発生も容易にする。各列内の多数の素子は、1つ以上の常用の素子が故障するときのみ作動される、1つ以上の「予備の」または「冗長な」素子も可能にし、それによって画像形成システムの動作寿命を伸張し、弓形(ラインスマイルとしても知られている)などの光学ライン歪みの補正を可能にする。
【0030】
図2Aから図2Cは、システム100Aを示し、システム100Aは、適切な担体(例えば、半導体基板)111A上に組み立てられたまたは別のやり方では配置された光発生素子(例えば、1つ以上のレーザまたは発光ダイオード)115Aを含む光源112Aで構成される均質光発生器110Aと、光ビーム116Aを均質化すること(すなわち、拡張された2次元領域にわたって光ビーム116Aを混ぜ合わせて広げること)によって、および出力光線の発散を低減することによって、均質光118Aを生成する光均質化光学システム(ホモジナイザ)117Aとを含む。当業者は、この配列が、集光された比較的高エネルギ強度で高発散の光ビーム116を、変調器120の中の素子125−11、125−12および125−13上へ実質的に一様に分配された、拡散した比較的低エネルギ光束の均質光118へ変換することを認識するだろう。
【0031】
このように高エネルギビーム116Aを比較的低エネルギの均質光118Aへ変換する1つの利益は、この配列が高エネルギ光源(例えば、レーザ)の利用を容易にして、変調器120の構造に高エネルギ光を処理することができる特別な光学ガラスおよび反射防止コーティングを使用することを必要とせずに、ビーム116Aを発生させることである。すなわち、ホモジナイザ117Aを利用して、拡張された2次元領域にわたって高エネルギレーザ光を広げることによって、光強度の光束密度は、所与の領域にわたる(例えば、各素子125−11〜125−43の領域にわたる)光の平方センチメートル当たりのワット(ワット/cm2)の単位で、低コストの光学ガラスおよび反射防止コーティングが変調器120を形成するのに利用することができるように、受け入れ可能なレベルまで低減される。例えば、すべての素子125−31〜125−33が「オフ」になると、各素子125−11〜125−13は、低エネルギ均質光118Aの比較的小さい部分を吸収または反射するのに必要となる(すなわち、素子125−31、125−32および125−33は、それぞれ均質光部分118A−31、118A−32および118A−33を吸収する)。対照的に、ホモジナイザ117Aが無い場合、ビーム116Aの大部分のエネルギは、1つまたは比較的少数の素子上に集光されることになり、実質的にさらに高価な光学ガラスおよび反射防止コーティングを利用する必要があることになる。
【0032】
高エネルギビーム116Aを比較的低エネルギの均質光118Aへ変換する別の利益は、この配列が、出力処理能力の改善をもたらすことである。すなわち、高エネルギレーザ光116Aが直接に変調器120へと通過すると仮定すると、どれほどのエネルギがアナモフィック光学システム130の方へ通過するかを制御するのに、1つまたは少数の素子しか用いることができない(例えば、素子が「オン」となると、実質的にすべてのエネルギは通過することになり、素子「オフ」となると、エネルギは少しも通過しないことになる)。高エネルギレーザ光116Aを拡大して、幅広の領域にわたって低エネルギ均質光118Aをもたらすことによって、アナモフィック光学システム130の方へ変調器120を通過する光エネルギの量は、はるかに高精度で制御される。例えば、図2Bでは、均質光118Aが素子125−21〜125−23にわたって広がるので、少量の光エネルギ(例えば、均質光部分118A−22/変調光部分118B−22)が、素子125−22を「オン」させ、かつ素子125−21および125−23を「オフ」のままに(すなわち、均質光部分118A−21および118A−23が阻止されるように)することによって画像形成領域SL−2の方へ通過する。同様に、図2Cでは、わずかに多い量の光エネルギ(例えば、部分118B−31および118−33)が、素子125−32を「オフ」させ、かつ素子125−31および125−33を「オン」(すなわち、光部分118A−31/118B−31および118A−33/118B−33は通過するが、均質光部分118A−32は阻止されるように)させることによって、画像形成領域SL−3の方へ通過する。光を広げると、点欠陥(例えば、微視的塵粒子またはひっかき傷)が全光透過損失上に有する負の画像形成効果も排除する。
【0033】
代替策としては、光源112Aは、単一の高出力光発生素子115A(例えば、レーザ)で構成され、または多数の低出力光発生素子で構成されるとすることができる。高出力均質光の用途にとっては、光源は、多数の低出力光源(例えば、端面発光レーザダイオードまたは発光ダイオード)で構成され、それらの発光が、ホモジナイザ光学によって互いに混ぜ合わされて、均質の所望の高出力を生成することが好ましい。
【0034】
図3Aは、多数の端面発光レーザダイオード115Bを、素子(図示されない)から成る行と平行に配置した直線に沿って配列した光源112Bを図示する。
【0035】
図3Bは、多数の垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)115Cを担体111C上の2Dアレイ内に配列した光源112Cを図示する。
【0036】
図2Aでは、光ホモジナイザ117Aが、当技術分野で周知の、いくつかの異なる技術および方法のうちのいずれかを用いて実装することができ、これらには、ビームを作り直すのにマイクロレンズアレイとともに速軸集光部(FAC:fast axis concentrator)レンズを用いること、またはさらに加えて導波路の内部で光混合を引き起こす光導体技法を用いることが含まれるがこれらに限定されない。
【0037】
図4Aおよび図4Bは、アナモフィック光学システム130Eを含むシステム100Eを示す。図4Aでは、アナモフィック光学システム130Eは、コリメーティング光学サブシステム131E、工程直交光学サブシステム133E、および工程方向光学サブシステム137Eを含む。光学サブシステム131E、133Eおよび137Eは、変調器120EとスキャンラインSLとの間の光路内に配置される。図4Aは、コリメーティング光学サブシステム131Eおよび工程直交光学サブシステム133Eが、変調器120Eを通過した変調光部分118Bに作用して、X軸と平行な(すなわち、工程直交方向の)スキャンラインSL上に、集光された光部分118Cを形成することを指し示し、図4Bは、コリメーティング光学サブシステム131Eおよび工程方向光学サブシステム137Eが、変調器120Eを通過した変調光部分118Bにいかに作用して、Y軸と直角方向の(すなわち、工程方向の)スキャンラインSL上に、集光された光部分118Cを発生させるかを指し示す。
【0038】
コリメーティング光学サブシステム131Eはコリメーティング視野レンズ132Eを含み、コリメーティング視野レンズ132Eは、変調器120Eの直後に位置を定められ、変調器120Eの表面からわずかに発散する光部分を平行にするように構成される。コリメーティング光学サブシステム131Eは、任意選択であり、変調器120を離れる変調光部分118Bがすでに十分に平行にされているときは省略することができる。
【0039】
本開示の実施の形態では、工程直交光学サブシステム133Eは、工程直交(スキャン)方向に(すなわち、X軸に沿って)光を拡大する、2レンズの円柱または非円柱投影システムであり、工程方向光学サブシステム137Eは、工程(スキャン間)方向に(すなわち、Y軸に沿って)光を集束する、円柱または非円柱の単一の集束レンズサブシステムである。この配列の利点は、配列が、スキャンラインSL上で光(例えば、レーザ)出力の強度を集光することを可能にすることである。2レンズの円柱または非円柱投影システム133Eは、変調器120E(および任意選択のコリメーティング光学サブシステム131E)を通過した変調光部分(画像形成データ)118Bを、画像形成面(例えば、シリンダ)上へ工程直交方向に投影して拡大するように構成される、第1円柱または非円柱レンズ134Eおよび第2円柱または非円柱レンズ136Eを含む。以下でさらに詳細に説明されるように、集光された光部分118Cのわずかな扇形の広がり(拡散)を図4Aに指し示されるようにX軸に沿って生み出すことにより、隣接する光学サブシステムからの機械的干渉を受けずに、出力画像を互いに繋ぎ合わせることが可能となる。レンズサブシステム137Eは、スキャンラインSL上の狭い高解像度ライン画像に至るまで投影画像形成データを集光する、第3円柱または非円柱レンズ138Eを含む。レンズ138Eの集束能力が増加するにつれて、変調器120Eの光の強度は、スキャンラインSLにおいて発生するライン画像の強度に比較して低減される。しかしながら、これは、円柱または非円柱レンズ138Eが、透明開口部がレンズ138Eのエッジぎりぎりまで広がる状態で、工程表面(例えば、画像形成ドラム)に、より接近して配置されなければならないことを意味する。
【0040】
代替策としては、空間光変調器は、米国テキサス州ダラス市のTexas Instruments社から入手可能なデジタル光処理(DLP(登録商標))チップなどのデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)、米国コロラド州ラファイエット市のBoulder Nonlinear Systems社から入手可能なLinear Array Liquid Crystal Modulatorなどの電子光学回折変調器アレイ、またはバナジウム二酸化物反射もしくは吸収ミラー素子などの熱光学吸収素子から成るアレイを含む市販のデバイスを用いて実装される。1200dpi以上の解像度、10:1を超える高い画像コントラスト比、小さいピクセルサイズ、および30kHzを超える高速度のラインアドレス指定を必要とする現在の多くの印刷/スキャン用途に対して、DLP(商標)チップは最適である。
【0041】
図5は、多数の微小電気機械式(MEMs)ミラー機構125Gで構成されるアレイ122Gを含むDMD式空間光変調器(DMD)120Gの一部を示す。アレイ122Gは、基板124G上の長方形のアレイ内に配列されたMEMsミラー機構125Gを含む。ミラー機構125Gは、コントローラ回路126Gによって制御される。64個だけのミラー機構125Gが図5に例示目的で示されるが、ミラー機構はアレイ122G上にいくつでも配置され、Texas Instruments社によって販売されているDMDは、デバイス当たり数十万のミラーを含む。
【0042】
図6は、アレイ122G(図5を参照のこと)の中の典型的なミラー機構125G−11をさらに詳細に示す。便宜的に、ミラー機構125G−11は、最上層210、中央領域220、および下方領域230へ分割され、これらはすべて、基板124Gの上面に形成されたパッシベーション層(図示されない)上に配置される。ミラー機構125G−11の中の最上層210は、正方形または長方形のミラー(光変調構造)212を含み、ミラー212は、アルミニウムで作られ、典型的には直径で大略16マイクロメートルである。中央領域220は、2つのコンプライアントねじりヒンジ224によって支持プレート225に接続されるヨーク222、ならびに1対の高架電極227および228を含む。下方領域230は、第1電極プレート231および第2電極プレート232、ならびにバイアスプレート235を含む。加えて、ミラー機構125G−11は、基板124G上に配置された関連SRAMメモリセル240(すなわち、双安定フリップフロップ)によって制御され、コントローラ126Gによって発生する制御信号127G−1を経由して、2つのデータ状態のうちのいずれかを格納するように制御される。メモリセル240は、現在の格納状態から発生する相補出力信号DおよびDバーを発生させる。
【0043】
下方領域230は、めっき層をエッチングすること、または別のやり方ではメモリセル240にわたって基板124Gの上面に形成されるパッシベーション層(図示されない)上に金属パッドを形成することによって形成される。電極プレート231および232は、バイアス制御信号127G−2か、それともメモリセル240によって金属ビアまたはパッシベーション層を通して広がる他の導電構造を経由して格納された相補データ信号DおよびDバーかを、それぞれ受信するように接続されることに留意されたい。
【0044】
中央領域220は、MEMS技術を用いて下方領域230の上方に配置され、ヨーク222は、コンプライアントねじりヒンジ224を経由して支持プレート225によって、移動可能なように(回動可能なように)接続されるとともに支持され、コンプライアントねじりヒンジ224は、以下で説明するようによじれて、基板124Gに対してヨーク222を容易に傾ける。支持プレート225は、バイアスプレート235の上方に配置され、バイアスプレート235の中の領域236上へ固定して接続される支持ポスト226(1つが示される)を経由して電気的に接続される。電極プレート227および228は同様に、それぞれ電極プレート231および232の上方に配置され、電極プレート231および232の中の領域233上へ固定して接続される支持ポスト229(1つが示される)を経由して電気的に接続される。最後に、ミラー212は、ヨーク222の中の中央領域223上へ取り付けられたミラーポスト214によってヨーク222に固定して接続される。
【0045】
図7Aから図7Cは、動作中の図5のミラー機構125G−11を示す。図7Aは、第1(例えば、「オン」)変調状態にあるミラー機構125G−11を示し、第1変調状態において、受信した光部分118A−Gは、第1角度θ1でミラー212を離れる反射(変調)光部分118B−G1となる。「オン」変調状態を設定するために、SRAMメモリセル240は、あらかじめ書き込まれたデータ値を格納して、出力信号Dが、電極プレート231および高架電極227へ送られる高電圧(VDD)を含むとともに、出力信号Dバーが、電極プレート232および高架電極228へ送られる低電圧(接地電位)を含むようにする。これらの電極は、静電引力によってミラーの位置を制御する。電極プレート231および232によって形成された電極対は、ヨーク222に作用するように位置を定められ、高架電極227および228によって形成された電極対は、ミラー212に作用するように位置を定められる。大部分の場合、同等のバイアス電荷が、ヨーク222の両側に同時に加えられる(例えば、図7Aに指し示されるように、バイアス制御信号127G−2が、電極プレート227および228ならびに高架電極231および232の両方に加えられる)。予期されるように中心位置へはじく代わりに、この同等のバイアスは、ミラー122と高架電極231/電極プレート227との間の引力が、ミラー122と高架電極232/電極プレート228との間の引力よりも大きいので(すなわち、前者の側が電極により接近しているので)、実際に現在の「オン」位置にミラー122を保留する。
【0046】
「オン」位置から「オフ」位置へミラー212を移動させるために、要求される画像データビットが、制御信号127G−1を経由してSRAMメモリセル240内へロードされる(図7Aの下方部分を参照)。図7Aに指し示されるように、アレイ122Gの中のすべてのSRAMセルがいったん画像データをロードされると、バイアス制御信号は無効にされ、それによってSRAMセル240から電極プレート231および高架電極227へD信号を、およびSRAMセル240から電極プレート232および高架電極228へDバーを送り、それによってミラー212を図7Bに示された「オフ」位置へ移動させ、それによって受信した光部分118A−Gは、ミラー212を第2角度θ2で離れる反射光部分118B−G2となる。一実施の形態では、ミラー212の平らな上面は、図7Aに図示された「オン」状態と図7Bに図示された「オフ」状態との間において、大略10度から12度の範囲内で傾く(角度的に移動する)。次にバイアス制御信号127G−2が、図7Cに指し示されるように復活すると、ミラー212は、「オフ」位置に保持され、次に要求される移動をメモリセル240内へロードすることができる。ミラーをアドレス指定するのに必要な電圧レベルを低減して、電圧レベルがSRAMセルから直接に駆動できるようにするので、さらにバイアス電圧が全部のチップに対して同時に除去されて、あらゆるミラーが同時に移動するので、このバイアスシステムが使用される。
【0047】
図7Aから図7Cに指し示されるように、ミラー機構125G−11の回動ねじり軸によって、ミラー212は、DLPチップハウジングのx−y座標に対して斜めの軸を中心に回動する。このように斜めに傾けると、画像形成システム内の空間光変調器から受信した入射光部分が各ミラー機構125G上へ合成入射角で投影され、したがって光の出射角がDLPチップの表面と直角になる必要がある。この要件は、画像形成システムを並べて配置することを困難にする。
【0048】
図8は、好適な「折り畳まれた」配列内に配置されたDMD120Gを含むシステム100Gを示す。システム100Gは、上述したように機能するとともに動作する、均質光発生器110Gおよびアナモフィック光学システム130を含む。DMD120Gが、均質光発生器110Gおよびアナモフィック光学システム130に対して合成角で位置を定められて、入射均質光部分118A−Gが、DMD120Gの表面によって定められた直交軸X、YまたはZのうちのいずれかと平行でも直角でもないようにし、反射光部分118B−G1および118B−G2(ミラーがそれぞれ「オン」および「オフ」位置にあるときに生成される)のいずれでもないようにするという点で、システム100Gは、一般化されたシステムとは区別される。システム100Gの中のコンポーネントがこの「折り畳まれた」配列内に位置を定められた状態で、各MEMsミラー機構125Gのミラーが「オン」位置にあるときだけ、均質光発生器110GからDMD120Gの方へ向けられた均質光118A−Gの一部は、MEMsミラー機構125Gからアナモフィック光学システム130の方へ反射される。すなわち、図8に指し示されるように、「オン」位置にある各MEMsミラー機構125Gは、入射光方向に対して角度θ1で光部分118B−G1の中の関連部分を反射し、それによって光部分118B−G1は、DMD120Gによって対応する所定の方向に沿ってアナモフィック光学システム130へ向けられ、アナモフィック光学システム130は、光部分118GをスキャンラインSL上へ集束するように位置を定められるとともに構成され、スキャンラインSLは、DMD120Gの表面によって定められたZ軸と直角となる。入力光線118Aとアナモフィックシステム130Gの方へ向けられた出力「オン」光線(例えば、光線118B−G1)との間の合成角θ1は、典型的には22度〜24度またはDMDチップのミラー回動角度の2倍である。反対に、「オフ」位置にある各MEMsミラー機構125Gは、角度θ2で光部分118B−G2の中の関連部分を反射し、それによって光部分118B−G2は、DMD120Gによってアナモフィック光学システム130から離れる方へ向けられる。入場光線と「オフ」光線との間の合成角θ2は、通常は大略48度である。システム100Gは、「オフ」位置にあるMEMsミラー機構125Gによって反射される光部分118B−G2を受信するように位置を定められたヒートシンク構造140Gを含む。システム100Gの中のコンポーネントは、同一の画像形成システムをいくつでも含む、途切れのない集合体の構造を容易にするやり方で配列される。
【0049】
図9および図10は、図8に示された本システムのコンポーネントを含むとともに、さらにラーメンフレーム150Hを含むシステム100Hを示す。フレーム150Hの目的は、低コストの集合体を容易にすること、および好適な「折り畳まれた」配列内に本システムのコンポーネントを保持することである。加えて、フレーム150Hについて開示された設計は、各システム100Hをより大きな集合体の中のサブシステムとして利用することを容易にする。
【0050】
図9を参照すると、フレーム150Hは、鋳物などの適切な熱伝導性を有する剛性材料から成形されるまたは別のやり方では形成される一体構造であり、一般に支持領域152Hを定める角ベース部分151Hと、ベース部分から支持領域152Hの両側に伸張する第1アーム153Hおよび第2アーム154Hと、第1アーム153Hの端部に一体的に取り付けられた第1ボックス状ブラケット155Hと、第1ブラケット155Hに一体的に取り付けられた第2ボックス状ブラケット156Hと、第2アーム153Hの端部に取り付けられた第3ブラケット157Hとを含む。図9および図10に指し示されるように、支持領域152Hは、DMD120Gを所定の向きに装着することを容易にするように形作られるとともに構成され、ブラケット155H、156Hおよび157Hは、それぞれ均質光発生器110G、アナモフィック光学システム130Gおよびヒートシンク140Gの作動端部を収納するように位置を定められるとともに方向付けられ、これらの素子は、これらのブラケットにしっかりと固定されるとき、DMD120Gに対して適切に方向付けられるようにする。
【0051】
図11は、画像形成領域(すなわち、細長いスキャンラインSL−Hと一致したまたはこれと平行な面)の幅全体にわたってスタック状に形成される一連の3つの画像形成システム100H−1、100H−2および100H−3で構成される集合体300を示す。システム100H−1、100H−2および100H−3は、アナモフィック光学システム130G−1〜130G−3が並んで配列された状態で固定して接続されるように配列されて、画像形成システム100H−1、100H−2および100H−3によってそれぞれ形成されたスキャン・ライン・セクションSL−1〜SL−3が、実質的に同一直線上にあり、細長い複合スキャンライン画像SL−Hを形成するようにする(「実質的に同一直線上にあり」は、スキャン(焦点)ラインが単一機能のスキャンラインを形成するのに十分な精度で整列することを意味する)。集合体300が3つのサブシステムだけを用いて示されるが、図示された配列は、折り畳まれた配列が画像形成システムをいくつでも組み立てて、任意の長さを有するスキャンライン画像を容易に形成することを、明白に示す。
【0052】
集合体300によってもたらされる1つの利点は、各光学サブシステム100H−1〜100H−3が、量産された容易に入手可能なコンポーネント(例えば、Texas Instruments社によって生産されるDMDチップ)を用いて製造することができることであり、したがって各サブシステムは、大量生産から得られる価格低減の利益を享受することができる。すなわち、本発明の画像形成システムにおいて利用することができるデバイスであって、十分な解像度(例えば、インチ当たり1200ドット)で工程直交方向に20インチ以上のスキャンラインを発生させるのに十分なサイズを有する単一の空間光変調器デバイスは、現在1つもない。現在市販されているDMD式空間光変調器デバイスを用いて多数の光学サブシステム(例えば、光学サブシステム100H−1〜100H−3)を生み出すこと、本明細書で説明された折り畳まれた配列を用いてサブシステムコンポーネントを配列すること、および図11に示されるやり方でサブシステムをスタック状に形成することによって、本質的に任意の幅のスキャンラインを生成することができる安価な集合体を生み出すことができる。
【0053】
このように画像形成サブシステム100H−1、100H−2および100H−3を組み合わせる別の利点は、この配列が、途切れなく自動的に繋ぎ合わせることを容易にして、並べた画像形成システムをいくつでも整列させることである。途切れなく繋ぎ合わせることを成し遂げる重要な要件は、各画像形成システムが、各画像形成システムの機械的全幅よりもわずかに長い出力長さの範囲にわたってその光を投影して、各画像形成システムによって生成されるスキャン・ライン・セクションの端部部分が、細長い複合スキャンライン画像に沿って重なり合うことである。この要件は、例えば、各スキャン・ライン・セクションSL−1〜SL−3がその隣接するスキャン・ライン・セクションと重なり合うように、アナモフィック光学システム130G−1〜130G−3と関連した光学を修正することによって成し遂げられる。例えば、図11に示されるように、スキャン・ライン・セクションSL−1がスキャン・ライン・セクションSL−2の一部と重なり合う幅S1で発生し、スキャンラインSL−2がスキャン・ライン・セクションSL−1およびSL−3の両方と重なり合うS2の幅で発生し、スキャン・ライン・セクションSL−3がスキャンラインSL−2と重なり合うS3の幅で発生するように、アナモフィック光学システム130G−1が形成される。スキャン・ライン・セクションSL−1、SL−2およびSL−3の実際の(作動)幅は、スキャン・ライン・セクションSL−1、SL−2およびSL−3の途切れのない重なり合いをもたらすやり方で、変調器120G−1〜120G−3の外側エッジに位置を定められた素子(ピクセル)を恒久的にオフにするソフトウェアを用いて調整される。この技法は、弓形、ゆがみ、および各光学サブシステムのわずかな機械的偏位などの、各個々の画像形成サブシステム100H−1、100H−2および100H−3のわずかな機械的公差の変動に対する補償を容易にする。
【0054】
図12は、上述した直交配列と関連した起こり得る問題に対処する単一通過画像形成システム100Kを示す。システム100Kは、一般に、実質的に上述したように動作する、均質光発生器110、変調器120、およびアナモフィック光学システム130を含み、素子125から成る行がスキャンラインSLに対して鋭角の傾斜角βで整列するように、変調器120がアナモフィック光学システム130に対して傾けられ、それによってアナモフィック光学システム130が、細長い焦線の中の関連サブ画像形成領域上へ各変調光部分を集束する(例えば、アナモフィック光学システム130は、光部分118C−41〜118C−43をそれぞれ画像形成領域SL−4の中のサブ画像形成領域SL−41〜SL−43上へ集光する)という点で、システム100Kは一般化された画像形成システムとは異なる。この傾斜角は、万線スクリーンのハーフトーン画像を形成するドット配置において、より高いアドレス指定能力を可能にする。
【0055】
図13は、変調器120の上端水平エッジ121とスキャンラインSLとの傾斜配向を描写し、同図で傾斜角βは、各素子125−11〜125−43の中心がX軸方向に沿って等しい間隔で配置されるように選択され、それによって各素子125−11〜125−43を通過した各光部分は、スキャンラインSLの中の対応する固有の領域上へ向けられる。すなわち、傾斜角βは、各素子125−11〜125−43の中心(垂直の点線によって指し示される)が、スキャンラインSLに沿って共通のピッチPで分離される(例えば、素子125−41および125−42の中心ならびに素子125−43および125−31の中心が、同一のピッチ間隔Pで分離される)ように選択される。一実施の形態では、変調器120の中のすべての素子に対してピッチ間隔Pを等しくするために、傾斜角βは1/nのアークタンジェントに等しく設定されて、R/nに等しい一様なピッチ間隔Pを与え、ここでnは各列内の素子数(すなわち、概略化された実施例では、n=3)であり、Rは各行内で隣接する素子間の心心距離によって決定される素子解像度である。
【0056】
図12において、スキャンラインSLに対する変調器120の傾斜配向が原因で、素子125−41〜125−43の中心は、X軸方向に沿って右方へ連続してシフトされる(すなわち、素子125−41は素子125−42の左にあり、素子125−42は素子125−43の左にある)。各列内の素子間のわずかなオフセットが原因で、アナモフィック光学システム130は、各素子から受信した光部分を、光が細長いスキャンラインSLの中の固有の関連サブ画像形成領域の中心に置かれるように、集光する。例えば、アナモフィック光学システム130の方へ素子125−41および125−43を通過した変調光部分118B−41および118B−43は、アナモフィック光学システム130によってアナモフィックに集光されて、集光された光部分118C−41および118C−43がサブ画像形成領域SL−41およびSL−43の中心に置かれるようにする(サブ画像形成領域SL−42上の暗い領域は、素子125−42が「オフ」状態にあるために生成される)。素子125−41および125−43を通過した光の重なり合いは、説明的な目的のために無視され、Y軸方向のわずかなオフセットは、例示目的で拡大されていることに留意されたい。このような傾斜配向の利益は、システム100Kが、直角配向を用いて可能なピッチよりも細かいピッチでアドレス指定可能なサブピクセルの間隔解像度を生み出し、X軸およびY軸方向の両方に小数の精度で画像「ピクセル」の位置を定めるソフトウェアを利用する機会を提供することである。
【0057】
図14は、関連アナモフィック光学システム130Lによって発生するスキャンラインSLに対して、傾斜角βLで傾く概略化されたDMD式空間光変調器120Lを含むシステム100Lを示す。典型的なDMD120Lは、各列内に15個のミラー125Lを含むので、この実施例における最適な傾斜角は、3.81度(すなわち、1/15のアークタンジェント)となる。好適な一実施の形態では、24のピクセル列が用いられ、したがって傾斜角は1/24のアークタンジェントすなわち2.38度となる。図示された実施の形態では、これらの数は、可視化が容易なように誇張され、図示された傾斜角βLは、ミラー列当たり4ピクセルのサブピクセル間隔を生成するように大略14.0度(すなわち、1/4のアークタンジェント)となる。隣接する画像ピクセルはわずかに重なり合い、高速スキャン方向に特別のアドレス指定能力をもたらし、したがって垂直エッジは、サブピクセルずつ左または右に調整することができることにも留意されたい。工程方向に対しては、水平エッジが必要となる位置に発生するのに間に合わせて、水平エッジがサブピクセルずつ遅れたり進んだりすることを確実にするように、タイミングを調整することができる。
【0058】
可変の解像度は、各画像形成領域の内部に位置を定められたミラー中心の数を制御することによって、実行することができる。n=3の場合の例として図13を参照すると、垂直の行内に3つのミラーを用いることによって、3倍だけ画像解像度が増加する。対照的に、あらゆる4つのミラーが図14の状態となるように、傾斜角が選択されるとすると、図13に示される実施の形態の傾斜角よりもわずかに小さい傾斜角βLが用いられて、より高解像度を生み出す。nが(典型的なDLPチップにおけるように)760以上のとき、広範囲の代替の解像度が高精度で実装することができることは、容易に理解される。
【0059】
上述した直交配列と同様に、図14に示される傾斜配向は、スキャンラインSLに沿って出力を可変にすることも容易にする。すなわち、画像サブ画像形成領域SL−23において最高出力または最高輝度を有する画像を生み出すために、すべてのミラー素子125L−1〜125L−4は、「オン」位置とすることができ、画像サブ画像形成領域SL−23において低出力を有する画像を生み出すために、1つ以上のミラー素子125L−1〜125L−4は、「オフ」位置とすることができる。さらにその上、DMDミラーは、すべてを全出力性能に利用する必要があるとは限らない。1つ以上の「予備」ミラーを、通常動作中に取っておいて(すなわち、非動作状態にしておいて)、故障中のミラーを差し換えるのに、または特別な処理動作中に通常の「全」出力を上回る出力に増大するのに利用することができる。反対に、強度不良を補正するために、より少ないミラーを用いて、特定の画像サブ領域内の出力を減少させることができる。スキャン位置に応じて切除に利用可能なミラーの数を較正することによって、その出力はスキャン面にわたって一様に保つことができ、オフライン時に思いのままに較正することができる。
【0060】
弓形および傾斜などの全体的な非理想的スキャンラインの不完全さ、および通常はバンディングを引き起こす工程方向速度の不完全さは、DMDチップなどの2次元光変調器を用いることによって、電子的に極めて容易に調整することもできる。狭い周波数範囲で発射するインクジェットヘッドとは違って、このような光変調器は、広範囲の工程速度と一致するように調整して、種々の速度範囲にあるより高いまたはより低いライン解像度を作り出すことができる。これもまた、ドラム速度がはるかに容易に変化することに起因するバンディング問題を補償させる。サブ解像度の増分で互いに繋ぎ合わされた隣接する画像形成システム間で、ラスタのセグメントを遅らせたり進めたりすると、全スキャンラインにわたって弓形または傾斜を補償することができる。
【0061】
図15は、システム100Mおよびスキャン構造(例えば、画像形成ドラムシリンダ)160Mを含むスキャン/印刷装置200Mを示す。システム100Mは、一般に均質光発生器110M、空間光変調器120M、およびアナモフィック光学(例えば、投影レンズ)システム130Mを含み、これらは本質的には上述したように機能する。図15の上方右部分を参照すると、画像形成ドラムシリンダ(ローラ)160Mは、アナモフィック光学システム130Mが、工程直交光学サブシステム133Mおよび工程方向光学サブシステム137Mを用いて、変調器120Mから受信した変調光部分を、画像形成ドラムシリンダ160Mの中の画像形成面162M上へ、ならびに詳しくは画像形成面162Mの中の画像形成領域167M内へ、画像形成して集光するように、システム100Mに対して位置を定められる。工程直交光学サブシステム133Mは、変調器120Mを通過した光を水平に反転させるように動作する(すなわち、光部分118B−41、118B−42および118B−43が、工程直交光学サブシステム133Mの中の右側から画像形成領域167Mの中の左側の方へ向けられるように)。加えて、画像形成ドラムシリンダ160Mは、画像形成面162Mが、アナモフィック光学システム130Mによって定められたスキャン(または焦点)ラインと一致するように位置を定められるか、それとも画像形成面162Mが、アナモフィック光学システム130Mによって定められた焦線と一致するように位置を定められるかする。図15内の破線のバブルによって指し示されるように、画像形成面162Mは、スキャンラインSL−4においてビーム118C−41、118C−42および118C−43によって発生する画像が、破線のバブル内に指し示されるやり方で反転するように、焦線FLの位置に設定される。
【0062】
装置400Mは、可変データリソグラフィ印刷に用いられるプリンタまたはスキャナであり、同装置において画像形成ドラムシリンダ160Mは湿し水でコーティングされ、湿し水は、システム100Mによって処理されるレーザ光で切除される。すなわち、インクおよび水で選択的に湿潤する、静的な画像形成領域および非画像形成領域を有するプレートを用いて標準のオフセットを行うとともに、続いて用紙へインクを転写する代わりに、インクは、一般に、システム100Mによって選択的に切除された液体の湿し水全面にわたってローラに加えられる。本装置では、ローラの中の切除された領域だけが、インクを用紙へ転写することになる。それゆえに、従来のシステムにあるようにプレートからの一定データの代わりに、切除からの可変データが転写される。ラスタ化光源(すなわち、スキャンライン全体にわたって端から端へラスタ化される光源)を用いて動作するこの工程にとっては、リアルタイムで湿し水を十分に切除するために、単一の極めて高出力の光(例えば、レーザ)源が、必要となるはずである。本発明の利益は、湿し水が全スキャンラインから同時に切除されるので、可変データ高速度リソグラフィ印刷機が、多数の比較的低出力光源を用いて提供されることである。
【0063】
図16Aおよび図16Bは、画像形成装置400Nおよび400Pの一部を示す。関連した画像形成システムによって発生するくさび状光ビーム場118C−1〜118C−4が、複数のブロックのように示され、スキャンラインSLを共同で形成する関連スキャン・ライン・セグメントSL1〜SL4を形成する。画像形成装置400Nと画像形成装置400Pとは、画像形成システム100N−1〜100N−4が整列したパターンで配列され、一方で画像形成システム100P−1〜100P−4がオフセットパターンで配列されるという点で異なる。スキャンラインSLは、4つのスキャン・ライン・セグメントSL1〜SL4から互いに繋ぎ合わされるが、しかし画像形成システム100N−1〜100N−4が接近して配置され、単一の行内に配列されるので、画像形成装置400N内にビーム場118C−1〜118C−4を発生させる発生源は、同一直線上にあり、ビーム場118C−1〜118C−4は、画像形成面162Nと垂直に向けられる。対照的に、システム100P−1〜100P−4は2行に配列されて、小さいインタレース角度で方向付けられたビーム場118C−1〜118C−4を発生させる。このオフセットパターン配列は、隣接する画像形成システム100P−1〜100P−4間にさらに余裕をもたらす。
【0064】
本発明の代替実施形態によれば、最終的なアッセンブリのアナモルフィック光学系(例えば、アナモルフィック光学系130G−1から130G−3、図11参照)は、最終的なモノリシック集束レンズを共用してもよい。さらに、本発明は、線形である光路を有する(図1参照)、または1つの折り畳みを有する(図8参照)ものとして示されているが、当業者には、任意数の任意の光路に沿って折り畳みを含む他の配置が企図されてもよい。最後に、高エネルギースキャンライン画像を発生するための上述の方法は、本明細書に記述されているもの以外のデバイスを用いて達成されてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められたスキャンライン画像データに応答して略一次元スキャンライン画像を発生するための方法であって、
均質光を、前記均質光が略均一の二次元均質光場を形成するように発生することと、
前記均質光を前記予め決められたスキャンライン画像データに従って、変調された光が二次元変調光場を形成するように変調することと、
前記変調光を、集中される変調光が略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに画像化しかつ集中させることを含む方法。
【請求項2】
予め決められたスキャンライン画像データに応答して略一次元スキャンライン画像を発生するための方法であって、
第1の束密度を有する最初の光を発生することと、
前記最初の光を、均質化された光が第1の束密度より低い第2の束密度を有しかつ略均一な二次元均質光場を形成するように均質化することと、
前記均質光を前記予め決められたスキャンライン画像データに従って、変調された光が二次元変調光場を形成するように変調することと、
前記変調光を、集中される変調光が略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに集中させることを含み、前記スキャンライン画像における前記集中された変調光は前記第2の束密度より大きい第3の束密度を有する方法。
【請求項3】
予め決められたスキャンライン画像データに応答して、一連の一次元光ピクセルで構成される実質的なスキャンライン画像を発生するための方法であって、
均質光を、前記均質光が略均一の二次元均質光場を形成するように発生することと、
複数の光変調素子を前記予め決められたスキャンライン画像データに従って制御することであって、前記複数の光変調素子は、前記複数の光変調素子の各々が前記均質光の関連する受光部分を受け入れるように二次元アレイに配置され、前記複数の光変調素子は第1の変調状態と第2の変調状態との間で調整可能であって、これにより、前記各変調素子が前記第1の変調状態にあるとき、前記各変調素子は前記関連する受光部分を対応する予め決められた方向へ配向しかつ前記各変調素子が前記第2の変調状態にあるとき、前記関連する受光部分は前記各変調素子により前記対応する予め決められた方向に沿って通ることを妨げられることと、
前記複数の光変調素子から受け入れられる前記変調光部分を、アナモルフィックに集中される変調光部分が略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに集中させることを含む方法。
【請求項1】
予め決められたスキャンライン画像データに応答して略一次元スキャンライン画像を発生するための方法であって、
均質光を、前記均質光が略均一の二次元均質光場を形成するように発生することと、
前記均質光を前記予め決められたスキャンライン画像データに従って、変調された光が二次元変調光場を形成するように変調することと、
前記変調光を、集中される変調光が略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに画像化しかつ集中させることを含む方法。
【請求項2】
予め決められたスキャンライン画像データに応答して略一次元スキャンライン画像を発生するための方法であって、
第1の束密度を有する最初の光を発生することと、
前記最初の光を、均質化された光が第1の束密度より低い第2の束密度を有しかつ略均一な二次元均質光場を形成するように均質化することと、
前記均質光を前記予め決められたスキャンライン画像データに従って、変調された光が二次元変調光場を形成するように変調することと、
前記変調光を、集中される変調光が略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに集中させることを含み、前記スキャンライン画像における前記集中された変調光は前記第2の束密度より大きい第3の束密度を有する方法。
【請求項3】
予め決められたスキャンライン画像データに応答して、一連の一次元光ピクセルで構成される実質的なスキャンライン画像を発生するための方法であって、
均質光を、前記均質光が略均一の二次元均質光場を形成するように発生することと、
複数の光変調素子を前記予め決められたスキャンライン画像データに従って制御することであって、前記複数の光変調素子は、前記複数の光変調素子の各々が前記均質光の関連する受光部分を受け入れるように二次元アレイに配置され、前記複数の光変調素子は第1の変調状態と第2の変調状態との間で調整可能であって、これにより、前記各変調素子が前記第1の変調状態にあるとき、前記各変調素子は前記関連する受光部分を対応する予め決められた方向へ配向しかつ前記各変調素子が前記第2の変調状態にあるとき、前記関連する受光部分は前記各変調素子により前記対応する予め決められた方向に沿って通ることを妨げられることと、
前記複数の光変調素子から受け入れられる前記変調光部分を、アナモルフィックに集中される変調光部分が略一次元スキャンライン画像を形成するようにアナモルフィックに集中させることを含む方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【公開番号】特開2013−47797(P2013−47797A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−170722(P2012−170722)
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】
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