説明

空間光変調器およびアナモルフィック投影光学系を用いるマルチライン単一パス画像形成

【課題】複数の一次元スキャンライン画像を同時に生成するために使用が可能な高信頼かつ高速の画像形成システムを提供する。
【解決手段】複数行および複数列に配置される光変調素子を有する空間光変調器120を用いて二次元均質光場119Aを変調することにより、2つの略一次元スキャンライン画像SL1、SL2を同時発生させる。上側の変調素子グループは、第1のスキャンライン画像データグループを用いて構成され、かつ下側の変調素子グループは、第2のスキャンライン画像データグループを用いて構成される。次に、二次元均質光場を空間光変調器上へ方向づけるために、均質光源110がパルスされる。二次元変調光場119Bはアナモルフィック光学系130を介して方向づけられ、アナモルフィック光学系は、画像形成面上に2つの平行する一次元スキャンライン画像が同時に形成されるように、変調光を画像形成面上へ画像化し、かつ集中させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成システム、および特に高速画像移動操作のために高エネルギ光源を利用する単一パス画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ画像形成システムは、電子写真印刷、マスク付きおよびマスクレス・リソグラフィ・パターニング、表面のレーザダル加工およびレーザ切断機などの用途において、画像を発生させるために広範囲に渡って用いられる。レーザプリンタは、ポリゴンスキャナまたはガルボスキャナを利用することにより工程方向に対して直角にレーザを掃引するラスタ光学スキャナ(ROS:raster optical scanner)を用いることが多いが、切断用途では、レーザ画像形成システムは、フラットベッド型x−yベクトルスキャニングを用いる。
【0003】
レーザROS技法の制約のうちの1つは、画像解像度とスキャンラインの横方向の広がりとの間に設計上のトレードオフが存在することである。これらのトレードオフは、スキャンラインの両極端における画像面の湾曲等の光学性能の制限から生じる。実際には、単一のガルバノメータまたはポリゴンスキャナを用いて、一列20インチの画像形成幅全体で1200dpiの解像度を達成することは極めて困難である。さらに、単一のレーザヘッドによる電動式x−yフラットベッドアーキテクチャは、広範囲の領域にとっては理想的であるが、最高速の印刷工程にとっては時間がかかりすぎる。
【0004】
こうした理由により、広い幅の電子写真法にとって、最大20インチ幅までのモノリシックの発光ダイオード(LED)アレイには、画像形成上の利点がある。残念ながら、現在のLEDアレイは、ピクセル当たり10ミリワットの出力レベルを提供することができるだけであり、したがって電子写真法などの一部の非熱画像形成用途にしか役立っていない。さらに、LEDバーは、経年劣化差および性能差を広げる。単一のLEDが故障すると、LEDバー全体を差し換える必要がある。他の多くの画像形成またはマーキング用途には、より高い出力が必要である。例えば、レーザダル加工、または切断用途は、10W〜100Wの範囲の出力レベルを必要とすることがある。したがって、LEDバーをこれらの高出力用途に用いることはできない。また、ずらして配置された2行以上のヘッドを用いることなくLEDをより高速度または1200dpiを上回る解像度にまで拡張することも困難である。
【0005】
100ミリワット〜100ワットの範囲にある、より高出力の半導体レーザアレイは存在する。ほとんどの場合、これらは全幅で大略1cmのレーザ・ダイオード・バーなどの1Dアレイ形式で存在する。高出力向け光源の別のタイプは、2D面発光VCSELアレイである。しかしながら、これらの高出力レーザ技術のいずれも、最隣接間のレーザピッチを600dpi以上の画像形成解像度に適合可能にはしない。加えて、これらの技術のいずれも、各レーザの個々の高速度制御を可能にはしない。したがって、高出力オーバヘッド投影画像形成システムなどの高出力用途は、Texas Instruments社のDLP(商標)チップまたは液晶アレイなどの空間光変調器と組み合わせたレーザなどの高出力源を用いる場合が多い。
【0006】
先行技術は、画像形成システムが、並んでアレイ構成にされれば重なり合った投影画像を形成すべく使用されることが可能であり、この場合、重なり合いは、複数の画像パターンを繋ぎ合わせて1つの途切れのないパターンにするソフトウェアを用いてより大きい画像を形成することができることを示している。このことは、PCボード製造並びにディスプレイシステム用などの、多くのマスクレス・リソグラフィ・システムにおいて示されてきた。従来、高解像度用途向けのこのようなアレイ構成の画像形成システムは、連続的な高解像度画像を互いに繋ぎ合わせるために、2行の画像形成サブシステムまたは二重通過スキャン構成の何れかを用いなければならないように配列されていた。これは、サブ光学系の寸法上、ハードウェアに物理的制約があるためである。画像形成する二重の行構成は、依然として、基板を一方向に移動させる運搬機を用いて途切れなく繋ぎ合されることが可能であるが、このようなシステムは、大量の追加のハードウェア設置場所および各画像形成行間の精度調整を必要とする。
【0007】
マスクレスリソグラフィ用途の場合、画像形成されるフォトレジストの露光と現像との間の時間は決定的に重要とは言えず、したがって単一のラインに沿ってフォトレジストに画像を形成しても、すぐに露光する必要はない。しかしながら、露光と現像との間の時間が決定的に重要となる場合がある。例えば、電子写真式レーザ印刷は、時間とともに自然に減衰する電荷を消去することによって感光体に画像を形成することに基づいている。したがって、露光と現像との間の時間は時不変性ではない。このような状況では、露光システムが単一のラインを露光する、または一表面の間隔が狭い幾つかの隣接する高解像度ラインを一度に露光することが望ましい。
【0008】
電子写真式印刷用途に加えて、露光と現像との間の時間が決定的に重要である別のマーキングシステムが存在する。一例は、当初Carleyにより「FOUNTAIN SOLUTION IMAGE APPARATUS FOR ELECTRONIC LITHOGRAPHY(電子リソグラフィ用の湿し水画像装置)」と題する米国特許第3,800,699号明細書において開示された、レーザベースの可変データ・リソグラフィ・マーキング技法である。標準的なオフセットリソグラフィ印刷では、疎水性の画像形成領域および親水性の非画像形成領域を有する静的な画像形成プレートが作成される。水ベースの湿し溶液の薄層はプレートを選択的に湿潤し、かつ油ベースのインクを選択的に拒絶する撥油層を形成する。米国特許第3,800,699号明細書に開示された可変データ・リソグラフィ・マーキングでは、レーザを用いて湿し溶液をパターン切除し、可変画像領域をオン・ザ・フライで形成することができる。このようなシステムでは、湿し溶液の薄層も、周囲空気への圧力の自然な部分的気化が原因で時間とともに厚さが低減する。したがって、画像を形成するレーザ切除ステップのどの時点でも湿し液の膜厚が同じであるように、単一の画像形成パスステップにおいて単一の連続的な高出力レーザ画像形成ラインパターンを形成することも効果的である。しかしながら、大部分のアレイ構成の高出力高解像度画像形成システムの場合、ハードウェアおよび空間光変調器を囲むパッケージングは、通常、途切れのない連続的なラインパターンの画像形成を妨げる。さらに、ダル加工、リソグラフィ、コンピュータ・トゥ・プレート製作、広領域型抜きまたは熱ベース印刷もしくは他の新規な印刷用途等の、レーザ画像形成の多くの領域にとって必要なものは、20インチを越える広い工程幅に渡って拡張可能であると同時に1200dpi以上の達成可能解像度を有しかつ単一パスで高解像度、高速度の画像形成を可能にする、1ワットレベルを十分に上回る高い総光パワーを有するレーザベースの画像形成技法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第3,800,699号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、二次元画像の2つ以上の略一次元スキャンライン画像部分が画像形成面上に同時に発生される高速画像形成方法に関する。本画像形成方法の説明は、画像形成面にスキャンライン画像部分を発生するために均質光源と、空間光変調器と、アナモルフィック光学系とを含む画像形成システムを用いて行う。画像形成工程の間に画像形成システムにより発生される二次元画像は、既知の技法を用いて、複数のスキャンライン画像データグループにより構成される画像データファイルに格納され、スキャンライン画像データグループは各々、その二次元画像の関連する略一次元スキャンライン画像部分を集合的に形成する画像ピクセルデータ部分の1行を含む。空間光変調器は、複数の行および複数の列に配列される光変調素子のアレイを含む。画像形成動作の第1の段階の間は、空間光変調器が少なくとも2つのスキャンライン画像データグループを用いて構成され、この場合、各スキャンライン画像データグループは、空間光変調器の割り当てられた二次元水平領域に配置される光変調素子を構成するために用いられる(即ち、光変調素子は全てアレイの隣接する行グループ内に配置される)。例えば、第1のスキャンライン画像データグループは、アレイの上半分に配置される行を含む第1の変調素子グループの変調素子を構成するために用いられ、かつ第2のスキャンライン画像データグループは、アレイの下半分に配置される行を含む第2の変調素子グループの変調素子を構成するために用いられる。本発明の一態様によれば、各変調素子グループの各列内に配置される複数の変調素子は、関連するスキャンライン画像データグループの関連する画像ピクセルデータ部分に従って調整される。変調素子が構成された後は、構成された変調素子が二次元変調光場を発生するように、均質光が空間光変調器上へ方向づけられる。即ち、構成される各変調素子の変調状態に依存して、均質光は変調光場へと通されるか、変調光場への通過を妨げられ、こうして空間光変調器の変調パターンに対応する明暗領域による二次元「場」が生成される。変調された光場は、次に、画像形成面上で工程方向へ広がる2つ以上の略一次元スキャンライン画像を発生すべく変調光場をアナモルフィックに画像化しかつ集中させるように形成されかつ配置されるアナモルフィック光学系を介して透過される。即ち、変調光場は、その変調素子が2つ以上のスキャンライン画像データグループに従って構成される空間光変調器によって発生されることから、2つ以上の一次元スキャンライン画像による「延伸された」画像を含む。アナモルフィック光学系を利用して変調光場を集中させることにより、高輝度光源を必要とすることなく2つ以上のスキャンライン画像の任意の点において高い総光強度(束密度)(即ち、約数百ワット/cmのオーダー)を発生することができ、これにより、例えば単一パス高解像度高速印刷用途において複数の一次元スキャンライン画像を同時に生成するために使用されることが可能な高信頼かつ高速の画像形成システムが容易にされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、均質光発生器は、1つまたは複数の光源と、これらの光源により発生される光ビームを均質化するための光均質化光学系とを含む。高出力均質光用途の場合、光源は、その発光がホモジナイザ光学系によって互いに混合されて所望される高パワー均質出力を生成する複数の低出力光源で構成されることが好ましい。本発明の代替実施形態によれば、均質光発生器の光源は、一行または二次元アレイに配列される複数の低出力発光素子を含む。いくつかの独立した光源を用いることによるさらなる利点は、コヒーレントな干渉に起因するレーザスペックルが低減されることにある。
【0012】
画像形成動作において利用される空間光変調器は、画像データを格納するメモリセルを有する、光変調素子の各々の変調状態を個々に制御するための制御回路を含む。ある所定の光変調構造体に割り当てられる関連の画像ピクセルデータ部分により決定されるその関連するメモリセルに格納されるデータに依存して、各変調素子は、予め決められた画像データに従って(第1の)変調「オン」状態と(第2の)変調「オフ」状態との間で調整可能である。各光変調構造体は、均質光の関連部分をその変調状態に従って通す、または妨げる/配向し直すように配置される。変調素子のうちの1つが変調「オン」状態にあるとき、変調構造体は、関連するその変調光部分を対応する既定方向へ方向づける(例えば、素子は関連する光部分をアナモルフィック光学系へと通すか、反射する)。逆に、変調素子が変調「オフ」状態にあるとき、受信された関連する光部分は、アナモルフィック光学系へと通ることを妨げられる(例えば、光変調構造体は関連する光部分を吸収/阻止する、または関連する光部分をアナモルフィック光学系から遠方へ反射する)。均質光を、アナモルフィックに投射されかつ集中される前にこのようにして変調することにより、本発明は、任意の所定の瞬間にスキャンラインの1点に高出力を印加するだけのラスタリング系とは対照的に、画像形成領域全体に沿って高出力スキャン(工程)ラインを同時に生成することができる。さらに、比較的低出力の均質光は多数の変調素子上に広がることから、本発明は、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)、電子光学回折変調器アレイまたは熱光学吸収体素子アレイ等の低コストである市販の空間光変調デバイスを用いて製造されることが可能である。
【0013】
本発明の一態様によれば、空間光変調器およびアナモルフィック光学系は、光変調素子の各列から受け入れられる変調光が結合して2つ以上の略一次元スキャンライン画像の2つ以上の関連する画像ピクセル領域(「ピクセル」)を形成するように配置される。即ち、ある所定の列において(および変調「オン」状態において)2つ以上の光変調素子から受け入れられる被集中変調光部分は、アナモルフィック光学系によって画像形成面上へ画像化され、これにより、受け入れられた複数の光部分は略重複するが、隣接する光部分が集合的に2つ以上のスキャンライン画像の対応する画像ピクセル領域を形成するように垂直方向へ僅かにオフセットされる。本発明の主要な特徴は、各光変調素子により通過される光部分がアナモルフィック光学系によってスキャンラインへ送達される1サブピクセルのバイナリデータを表し、よって、2つ以上のスキャンライン画像を作り上げる各画像形成「ピクセル」の明るさは関連するグループ/列内の「オン」状態にある素子の数によって制御される、という理解に存する。したがって、各グループおよび列内に配置される複数の変調素子を個々に制御することにより、かつ各グループ/列によって通過される光を対応する画像形成ピクセル領域上へ集中させることにより、本発明は、一定の(変調されない)均質光を用いるグレースケール・ケイパビリティを有する画像形成システムを提供する。本発明の一実施の形態によれば、アナモルフィック光学系全体は、空間光変調器から受け入れられる変調光部分を、画像化されかつ集中された変調光が略一次元スキャンライン画像を形成するように画像化しかつ集中させる工程横断サブ光学系と工程方向サブ光学系とを含み、この場合、スキャンライン画像における被集中変調光は、均質化された光のそれより高い光強度(即ち、より高い束密度)を有する。高エネルギーの細長いスキャンラインを形成すべく二次元変調光パターンをアナモルフィックに集中させる(焦点を合わせる)ことによって、本発明の画像形成システムは、より高い輝度のスキャンラインを出力する。形成されるスキャンライン画像は、工程方向に沿ったスキャンライン画像の収束および強集束、および工程横断方向に沿ったスキャンライン画像の投影および拡大に対処する異なる円柱または非円柱レンズペアを有してもよい。ある特有の実施形態において、工程横断サブ光学系は、変調光を細長いスキャンライン上に工程横断方向へ投影しかつ拡大するように配置される第1および第2の円柱または非円柱レンズを含み、工程方向サブ光学系は、変調光をスキャンライン上に工程方向に対して平行方向へ集中させかつ縮小するように配置される第3の円柱または非円柱集束レンズを含む。光学系全体は光学収差または歪みの補償に役立つ素子をさらに幾つか有することが可能であり、かつこのような光学素子はビーム経路の複数の折り畳みを有する透過レンズまたは反射鏡レンズであってもよい点は理解されるべきである。
【0014】
本発明の一態様によれば、均質光源は、二次元画像を生成する間の連続するスキャンライン画像の二重露光(スミアリング)を回避するために、連続する各スキャンライン画像ペアが画像形成面の対応部分に発生されるように画像形成面の動作と協調してパルスされ、またはストローブ(トグルオン、トグルオフ)される。例えば、画像形成動作の第1の時間期間中、空間光変調器が第1のスキャンライン画像データグループペアに従って構成される一方で、均質光源は非活性化(オフに)される。次に、これに続く画像形成動作の(第2の)時間期間中に均質光源は活性化(オンに)され、これにより、空間光変調器の構成された変調素子が画像形成面上の第1の細長い画像形成領域上へ第1のスキャンライン画像ペアを発生する。画像形成動作の次(第3)の時間期間中、空間光変調器が第2のスキャンライン画像データグループペアに従って構成される一方で、均質光源は再び非活性化(オフに)され、かつ画像形成面は、ある実施形態では第1のスキャンライン画像ペアの工程横断「高さ」に等しい予め決められた増分量だけ工程横断方向へ移動される。均質光源は次に、これに続く画像形成動作の(第4の)時間期間中に再起動され、これにより、第2のスキャンライン画像ペアが、好ましくはこれらの2つのペアが略隣接する画像特徴を形成するように、画像形成面の第2の細長い画像形成領域に発生される。このプロセスは、画像形成面上へ二次元画像全体が発生されるまで、連続する各スキャンライン画像データグループペアを用いて反復される。
【0015】
本発明の特有の一実施形態によれば、空間光変調器は、パッケージされた形態でデジタル光プロセッサと称される、Texas Instruments社のDLP(商標)チップを備える。この半導体チップ自体は、デジタル・マイクロミラー・デバイスまたはDMDと称される場合が多い。このDMDは、基板上に配置される微小電気機械式(MEM)ミラー機構の二次元アレイを含み、各MEMミラー機構は、制御回路により発生される関連の制御信号に従って、第1および第2の傾斜位置間で移動可能式に支持されるミラーを含む。空間光変調器およびアナモルフィック光学系は、各ミラーが、それが第1の傾斜位置にあるときは、受信されるその関連する光部分をアナモルフィック光学系へと反射し、かつ第2の傾斜位置にあるときは、受信される関連の光部分をアナモルフィック光学系から遠方にビームダンプへ向けて反射するように、折り畳まれた配列で位置合わせされる。任意選択のヒートシンクは、第2の傾斜位置にビームダンプへ向けて配置されたミラーからの光部分を受信するように、空間光変調器に相対して固定的に位置合わせされる。コンポーネントの各々を固定された相対位置に保持するために利用されるフレームは、任意選択である。反射式DMDベースの画像形成システムの利点は、折り畳まれた光路配列が、システム設置面積の小型化を容易にすることにある。
【0016】
本発明による別の特有の実施形態によれば、DMD式空間光変調器上へ方向づけられる光源からの均質光は、画像形成ドラムシリンダの回転と一致すべくストローブ(パルス)され、この場合、ドラムシリンダの外側(画像形成)表面にはダンピング(湿し)溶液がコーティングされ、かつダンピング溶液は、トナー供給構造体の下を通過する前にアナモルフィック光学系からの集中された変調光を用いて選択的に気化される。DMD式空間光変調器は、光源が非活性化される第1の時間期間中に第1の変調素子グループペアに従って構成され、次に、光源は、これに続く(第2の)時間期間中に、ドラム外面の第1の細長い走査領域に2つ以上のスキャンライン画像を発生すべく活性化(パルス)される。次に、光源は非活性化され、かつMEMミラー機構は、これに続く(第3の)時間期間中に、ドラムが予め決められた量だけ回転するにつれて第2の変調素子グループペアに従って再構成される。次に光源は、前記画像形成面の第2の細長い画像形成領域に第3及び第4の略一次元スキャンライン画像が第1のスキャンライン画像ペアとの予め決められた見当合わせで発生されるように再起動される。ある特有の実施形態において、各スキャンライン画像を生成するために利用される光変調素子は隣接する行グループ内に配置され、かつストローブは2行間の距離に等しいドラムローラの回転量に一致するようにタイミングを合わされ、これにより二次元画像が、各画像形成段階中に2つの隣接するスキャンライン画像を発生することによって形成される。別の実施形態では、各スキャンライン画像を生成するために利用される光変調素子は分離された行グループ内に配置され、かつ光源のパルス/ストローブは2行の高さに等しいドラムローラの回転量に一致するようにタイミングを合わされ、これにより二次元画像が、各画像形成段階中に2つのインタレース式スキャンライン画像を発生することによって形成される。
【0017】
本発明のこれらの、および他の特徴、態様および優位点は、以下の説明、添付の請求の範囲および添付の図面との関連においてより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の例示的な一実施形態に従って利用される一般化された画像形成装置を示す上側面斜視図である。
【図2A】図2Aは、本発明の一実施形態による、画像形成動作中の図1の画像形成システムを示す略側面図である。
【図2B】図2Bは、本発明の一実施形態による、画像形成動作中の図1の画像形成システムを示す略側面図である。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施形態による、画像形成動作中の図1の画像形成システムを示す略側面図である。
【図2D】図2Dは、本発明の一実施形態による、画像形成動作中の図1の画像形成システムを示す略側面図である。
【図3A】図3Aは、本発明の代替実施形態による、図1の画像形成システムの均質光発生器により利用される代替光源を示す略斜視図である。
【図3B】図3Bは、本発明の代替実施形態による、図1の画像形成システムの均質光発生器により利用される代替光源を示す略斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の特有の一実施形態による、図1の画像形成システムにより利用されるマルチレンズアナモルフィック光学系を示す略平面図である。
【図4B】図4Bは、本発明の特有の一実施形態による、図1の画像形成システムにより利用されるマルチレンズアナモルフィック光学系を示す略側面図である。
【図5】図5は、本発明の特有の一実施形態による、図1の画像形成システムにより利用されるDMD式空間光変調器の一部を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5のDMD式空間光変調器に属する光変調素子をさらに詳細に示す分解斜視図である。
【図7A】図7Aは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図7B】図7Bは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図7C】図7Cは、動作中の図6の光変調素子を示す斜視図である。
【図8】図8は、本発明の特有の一実施形態による、折り畳まれて配置された図5のDMD式空間光変調器を利用する画像形成システムを示す略斜視図である。
【図9】図9は、本発明の別の特有の実施形態による、折り畳まれて配置されたDMD式空間光変調器を利用する別の画像形成システムを示す斜視図である。
【図10A】図10Aは、本発明の別の実施形態による、画像形成動作中の図9の画像形成システムを示す略側面図である。
【図10B】図10Bは、本発明の別の実施形態による、画像形成動作中の図9の画像形成システムを示す略側面図である。
【図10C】図10Cは、本発明の別の実施形態による、画像形成動作中の図9の画像形成システムを示す略側面図である。
【図10D】図10Dは、本発明の別の実施形態による、画像形成動作中の図9の画像形成システムを示す略側面図である。
【図10E】図10Eは、本発明の別の実施形態による、画像形成動作中の図9の画像形成システムを示す略側面図である。
【図10F】図10Fは、本発明の別の実施形態による、画像形成動作中の図9の画像形成システムを示す略側面図である。
【図11】図11は、本発明のさらに別の実施形態による、単純化されたインタレース式マルチライン画像形成動作を実装するように構成されるDMD式空間光変調器を示す略正面図である。
【図12A】図12Aは、図11の空間光変調器構成を用いて実行されるインタレース式マルチライン画像形成動作を利用する、連続する画像形成動作期間中の画像形成面を示す略正面図である。
【図12B】図12Bは、図11の空間光変調器構成を用いて実行されるインタレース式マルチライン画像形成動作を利用する、連続する画像形成動作期間中の画像形成面を示す略正面図である。
【図12C】図12Cは、図11の空間光変調器構成を用いて実行されるインタレース式マルチライン画像形成動作を利用する、連続する画像形成動作期間中の画像形成面を示す略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、画像形成システムおよび関連装置(例えば、スキャナおよびプリンタ)の改良に関する。方向を示す「上側」、「最上」、「下側」および「前側」等の用語は、説明を目的として相対位置を規定するためのものであり、絶対的な基準系を指定するためのものではない。さらに、本明細書において「一体式に接続される」および「一体式に付着される」という言い回しは、成形された、または機械加工された単一の構造体の2つの部分間の接続上の関係性を説明するために用いられ、よって例えば接着剤、締結具、クリップまたは可動ジョイントによって接合される2つの別々の構造体を示す(「一体式に」という修飾語句のない)「接続される」または「結合される」という用語とは区別される。好適な実施形態に対する様々な変更は当業者には明らかとなり、かつ本明細書において定義される一般原理は他の実施形態へ適用されてもよい。
【0020】
図1は、画像形成面162上へ二次元画像の2つ以上の略一次元スキャンライン画像部分を同時に発生させるために利用される単純化された単一パス画像形成システム100を示す。システム100は、コントローラ180により制御される均質光源110および空間光変調器120と、画像形成面162上へスキャンライン画像部分SL1およびSL2を同時に発生させるために用いられるアナモルフィック光学系130とを含む。本明細書に記述される画像形成方法は、システム100を用いて、図1の下部にコントローラ180へ送信されて描かれている画像データファイルID内に格納されるデジタル画像データを処理する。
【0021】
大部分の標準化された画像ファイルフォーマットと合致して、画像データファイルIDはLID1からLIDnまでのスキャンライン画像データグループで構成され、各スキャンライン画像データグループは、二次元画像の関連する一次元スキャンライン画像部分を集合的に形成する複数の画像ピクセルデータ部分を含む。例えば、図1に示されている単純化された例では、スキャンライン画像データグループLID1は4つの画像ピクセルデータ部分PID11からPID14までを含み、スキャンライン画像データグループLID2は画像ピクセルデータ部分PID21からPID24までを含む。各画像ピクセルデータ部分(例えば、画像ピクセルデータ部分PID11)は、二次元画像の対応部分に関連づけられる対応する画像ピクセルの色および/またはグレースケール特性に対応する1ビットまたは複数ビットの画像データを含む。各スキャンライン画像データグループは、典型的には、本明細書に記述される4ピクセルまたは8ピクセル画像行より遙かに多数の画像ピクセルデータ部分を含む。
【0022】
均質光源110は、略均一な二次元均質光場119Aを形成する連続的な(即ち、一定/変調されない)均質光118Aを発生する働きをする。均質光発生器110は、均質光118Aが発生されるアクティブな「オン」状態と、光が発生されない非活性化された「オフ」状態との間をトグルするように(例えば、制御スイッチ113へ送信される「オン/オフ」制御信号によって)制御可能である。均質光発生器110が起動された「オン」状態にある間、点投影された長方形ボックスにより描かれている均質光場119Aは、略同一の定エネルギーレベル(束密度)を有する均質光118Aで構成される。
【0023】
図2(A)および図2(B)は、均質光発生器110Aを含む画像形成システム100Aを示す。均質光発生器110Aは、キャリア111A上へ配置される発光素子(レーザまたは発光ダイオード)115Aを含む光源112Aと、光均質化光学系(ホモジナイザ)117Aとを含む。光源112Aは、制御信号(オン/オフ)に応答するスイッチ(SW)113Aによって、光が発生されない(即ち、図2(A)によって示されるような)非活性状態と、光ビーム116Aが発生されてホモジナイザ117A上へ方向づけられる起動状態(図2(B)に示されている)との間で制御(トグル)される。ホモジナイザ117Aは次に、光ビーム116を均質化し(即ち、光ビーム116Aを混合しかつこれを拡大された二次元エリアに渡って拡散し)、並びに光ビーム116の発散を減らすことによって、均質光118Aを発生する。図2(B)に示されているように起動されると、この装置は効果的に、集中された比較的高エネルギー強度の高発散性光ビーム116Aを、変調器120の全ての変調素子125−11、125−21、125−31および125−41上へ略均等に分散される比較的低エネルギーの分散均質光束118Aに変換する。光ホモジナイザ117Aは、高速軸集光器(FAC)レンズ並びにビーム再成形用マイクロレンズアレイまたはライトパイプを含む幾つかの異なる技術のうちの任意のものを用いて実装されることが可能である。
【0024】
図3(A)および図3(B)は、均質光発生器110によって利用され得る代替光源を示す。図3(A)は、複数の端面発光レーザダイオード115Bが直線に沿って配置される光源112Bを示している。光源112Bは、1つの端面発光レーザダイオードバーまたは互いに積層される複数のダイオードバーより成る。これらの光源は、単一モードのレーザであっても、多くの多重モードレーザであってもよい。場合により、端面発光レーザからの出力光をコリメートする手助けをするために、高速軸コリメーションマイクロレンズが使用される可能性もある。図3(B)は、複数の垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)115Cが二次元アレイに配列される光源112Cを示している。理想的には、このようなレーザ源は、過剰な熱を容易に除去すべく受動水冷または強制気流が使用可能であるように、高い(例えば、50%を超える)プラグ効率を有する。
【0025】
変調器120は均質光場119A内に配置され、かつ変調素子アレイ122と、制御回路126とを含む。変調器120は、均質光場119Aを、アナモルフィック光学系130を介して画像形成面162の細長い画像形成領域167上へ投射される変調光場119Bへ変換することによって、均質光118Aの一部を変調する。このような空間光変調器は市販されていて、典型的には、光変調素子(ピクセル)が約5〜20ミクロン間隔で存在する1024x768(SVGA解像度)またはこれより高い解像度の二次元(2D)アレイサイズを有する。変調器120の変調素子アレイ122は、支持構造体124上へ4行R1〜R4および4列C1〜C4に配置される変調素子125−11から125−44までを含む。素子125−11から125−44までは、均質光場119A内に、各素子の光変調構造体(例えば、鏡、回折素子または熱光学吸収体素子)が均質光118Aの対応部分を受け入れ、かつ受け入れた対応する変調された光部分を予め決められた方向に沿って光学系130へと選択的に通す、または配向し直すように配置される(例えば、素子125−24は受け入れた光部分118A−24を光学系130へ通過させるが、素子125−14は受け入れた光部分118A−14が光学系130へ通過しないように阻止/再配向/防止する)。
【0026】
制御回路126は、外部ソースから制御回路126へ送信される(書き込まれる)画像データIDの一部を格納するためのメモリセル128−11から128−44までによるアレイを含む。各メモリセル128−11から128−44は、1つのデータビット(1または0)を格納し、各素子125−11から125−44は各々、(第1の)変調「オン」状態と(第2の)変調「オフ」状態との間を切換すべくその関連するメモリセル128−11から128−44に格納されるデータビットによって(例えば、制御信号127によって)個々に制御可能である。ある所定の素子の関連するメモリセルが「1」を格納しているとき、その素子は「オン」にされ、これにより、素子の関連する受信された光部分は光学系130へ向けて方向づけられる。例えば、変調素子125−24は、メモリセル128−24に格納されている「1」に応答して「オン」(透明)にされ、これにより、受信された光部分118A−24は光学系130へ通される。逆に、変調素子125−14は、メモリセル128−14に格納されている「0」に応答して「オフ」(不透明)にされ、これにより、受信された光部分118A−14は阻止される(光学系130への通過を妨害される)。素子125−11から125−44を画像データIDに従って選択的に「オン」または「オフ」にすることにより、変調器120は連続的な均質光118Aの一部を、変調光が光学系130上へ方向づけられるように変調する(即ち、通過させる、または通過させない)働きをする。
【0027】
変調器120を通される、または別段で変調器120からアナモルフィック光学系130へと方向づけられる均質光118Aの部分は、個々に変調光部分と称され、かつ集合的に、変調光118Bまたは二次元変調光場119Bと称される。逆に、所定の変調素子(例えば、変調素子125−14)が変調「オフ」状態にある場合、変調素子は、所定の変調素子の受信された関連する光部分(例えば、光部分118A−14)がアナモルフィック光学系130へ達することを妨げる(例えば、阻止する、または配向し直す)ように作動され、これにより、変調光場119Bを描いている図面の対応する領域は暗い。
【0028】
アナモルフィック光学系130は、二次元変調光場119Bを画像形成面162の細長い画像形成領域167上へアナモルフィックに画像化しかつ集中させる(焦点を合わせる)働きをする。アナモルフィック光学系130は、変調光場119Bの二次元パターンを受け入れるように位置合わせされる1つまたは複数の光学素子(例えば、レンズまたは鏡)を含み、1つまたは複数の光学素子(例えば、レンズまたは鏡)は、受け入れた光部分を工程(X軸)方向沿いよりも工程横断(例えば、Y軸)方向沿いにより高い度合いで集中させるように配列され、これにより、受け入れられた光部分は工程/走査(X軸)方向に対して平行に広がる細長いスキャンライン画像SL1およびSL2を形成すべくアナモルフィックに集束される。アナモルフィック光学系130を通過しているが、画像形成面162にまだ到達していない変調光部分は、被集中変調光部分と称されることに留意されたい(例えば、変調光部分118B−24は、アナモルフィック光学系130と画像形成面162との間で集中される変調光部分118C−24になる)。図1において、アナモルフィック光学系130は、単純化のために単一の一般化されたアナモルフィック投影レンズによって表現されている。実際のところ、アナモルフィック光学系130は、典型的には、図4(A)および図4(B)を参照して後述するもの等の複数の分離した円柱または非円柱レンズで構成され、本明細書に記述されている一般化されたレンズまたは特有のレンズ系に限定されない。
【0029】
図4(A)および図4(B)は、一般化されたアナモルフィック光学系130Eを含む画像形成システム100Eを示す。本発明の特有の例示的な実施形態によれば、アナモルフィック光学系130Eは、任意選択のコリメートサブ光学系131Eと、工程横断サブ光学系133Eと、工程方向サブ光学系137Eとを含む。サブ光学系131E、133Eおよび137Eは、変調器120EとスキャンラインSLとの間の光路内に配置される。図4(A)は、サブ光学系131Eおよび133Eが、工程横断方向に平行なスキャンラインSL上へ被集中光部分118Cを形成すべく変調器120Eにより通過される変調光部分118Bに作用することを示す平面図であり、図4(B)は、サブ光学系131Eおよびサブ光学系137Eが変調器120Eにより通過される変調光部分118Bにどのように作用して被集中光部分118CをスキャンラインSL上に工程方向へ発生させるかを示す側面図である。任意選択のコリメーティングサブ光学系131Eは、変調器120Eの直後に位置決めされかつ変調器120Eの表面から外れて僅かに拡散する光部分をコリメートするように配置されるコリメーティング視野レンズ132Eを含む。サブ光学系133Eは、光を工程横断(スキャン)方向へ拡大する2レンズ式の円柱または非円柱投影系であり、サブ光学系137Eは、光を工程(スキャン横断)方向へ集束する円柱または非円柱の単一集束サブレンズ系である。この配置の優位点は、光(レーザ)パワーの強度がスキャンラインSL上に集中されることを可能にすることにある。光学系133Eは、変調器120E(および任意選択のコリメーティングサブ光学系131E)により通過される変調光部分(画像形成データ)118Bを画像形成面(例えば、シリンダ)上に工程横断方向へ投影しかつ拡大するように配置される第1の円柱または非円柱レンズ134Eおよび第2の円柱または非円柱レンズ136Eを含む。サブレンズ系137Eは、投影される画像形成データをスキャンラインSL上で狭い高解像度ライン画像へと集中させる第3の円柱または非円柱レンズ138Eを含む。レンズ138Eの集束能力が増加するにつれて、空間光変調器120E上の光強度は、スキャンラインSLにおいて発生されるライン画像の強度と相対的に低減される。しかしながら、これは、円柱または非円柱レンズ138Eが、透明な開口がレンズ138Eのエッジぎりぎりまで広がる状態で工程面(例えば、画像形成ドラム)の方へ接近して配置されなければならないことを意味する。
【0030】
変調器120およびアナモルフィック光学系130は、アレイ122の光変調素子による各列から受け入れられる変調光部分が、理想的には両方向に等しい大きさの、または工程横断(Y軸)方向へ僅かに長くされた大きさの画像形成「スポット」を形成するように配置される。このスポットは、変調器表面上の素子の対応する列の画像である。画像形成面162がアナモルフィック光学系130により画定される焦線に精確に配置されると、各列内の全ての光変調素子から受け入れられる変調光部分は、理想的には等しい大きさの、または工程横断(Y軸)方向へ僅かに長くされた「スポット」を形成する。この長くされた「スポット」部分を、スポットの上側部分(例えば、ピクセル画像部分P21)が第1のスキャンライン画像データグループからの画像データ(例えば、スキャンライン画像グループLID1のピクセル画像データPID11)に応答して発生され、かつスポットの下側部分(例えば、ピクセル画像部分P21)が第2のスキャンライン画像データグループからの画像データ(例えば、スキャンライン画像グループLID2のピクセル画像データPID21)に応答して発生されるように変調することにより、上側および下側の「スポット」部分は結合して2つの画像ピクセル領域(「ピクセル」)を形成し、かつこれらの画像ピクセル領域は集合的に2つの略一次元スキャンライン画像SL1およびSL2を形成する。ピクセル画像部分の関連する各ペア(例えば、部分P11およびP12)は、説明を目的として別々の領域として示されているが、実際には、これらの領域は重なり合っている可能性がある。本発明の主要な特徴は、各光変調素子により通過される光部分がアナモルフィック光学系によってスキャンラインへ送達される1サブピクセルのバイナリデータを表し、よって、2つ以上のスキャンライン画像を作り上げる各画像形成「ピクセル」の明るさは関連するグループ/列内の「オン」状態にある素子の数によって制御される、という理解に存する。したがって、各グループおよび列内に配置される複数の変調素子を個々に制御することにより、かつ各グループ/列によって通過される光を対応する画像形成ピクセル領域上へ集中させることにより、本画像形成システムは、一定の均質光を用いるグレースケール・ケイパビリティを有し、これらのグレースケール・ケイパビリティは、2つ以上のスキャンライン画像を発生するために用いられる。
【0031】
システム100は、画像データファイルIDのスキャンライン画像データグループLID1からLIDnまでのうちの少なくとも2つを用いて空間光変調器120を同時に構成することにより、画像形成面162上へ少なくとも2つのスキャンライン画像部分(例えば、スキャンライン画像部分SL1およびSL2)を同時に発生する。これは、各画像形成段階中に画像データファイルIDの2つのスキャンライン画像データグループ(例えば、LID1およびLID2)を変調器120へ、素子125−11から125−44が双方のスキャンライン画像データグループによって同時に構成されるように書き込むことによって達成される。画像データグループは各々、アレイ122の対応する列グループに書き込まれる。上側の行R1およびR2は第1のスキャンライン画像グループG1を形成し、下側の行R3およびR4は第2のスキャンライン画像グループG2を形成する。各ピクセルデータ部分は、アレイ122の各列内に選択された変調素子を構成する(そのオン/オフ状態を制御する)ことによってグレースケール画像形成を達成するために利用される。この例示的な実施形態では、2つのスキャンライン画像データグループLID1およびLID2はコントローラ180から変調器120の制御回路126へ書き込まれ、制御回路126は次に、対応する制御ビット「1」および「0」を制御セル128−11から128−44へ書き込む。具体的には、スキャンライン画像データグループLID1の画像ピクセルデータ部分PID11はコントローラ180から制御回路126へ書き込まれ、制御回路126は次に、論理「1」を制御セル128−11へ、かつ論理「0」を制御セル128−21へ書き込む(制御セル128−11および制御セル128−21は共に列C1に存在することに留意されたい)。スキャンライン画像データグループLID1の残りの画像ピクセルデータ部分PID12、PID13およびPID14も、同様にしてアレイ122の行R1およびR2に関連づけられる残りの制御セルに書き込まれ、ピクセル画像データ部分PID12は論理「0」として制御セル128−12および128−22へ、ピクセル画像データ部分PID13は論理「1」として制御セル128−13および128−23へ、かつピクセル画像データ部分PID14は論理「0」として制御セル128−14へかつ論理「1」として制御セル128−24へ書き込まれる。スキャンライン画像データグループLID2も同様に、アレイ122の行R3およびR4に関連づけられる制御回路126の制御セルに書き込まれ、画像ピクセルデータ部分PID21は「0」として制御セル128−31へかつ「1」として制御セル128−41へ、ピクセル画像データ部分PID22は「1」として制御セル128−32および128−42へ、ピクセル画像データ部分PID23は「0」として制御セル128−33および128−43へかつピクセル画像データ部分PID24は論理「1」として制御セル128−34へかつ論理「0」として制御セル128−44へ書き込まれる。
【0032】
各ピクセルデータ部分は、アレイ122の関連する列/グループ内に対応する変調素子ペアを構成することによってグレースケール画像形成を達成するために利用される。即ち、各画像ピクセル領域P11からP14およびP21からP24の明るさ(または暗さ)は、アレイ122のその関連する列/グループにおいて「オン」にされる素子の数によって制御される。画像ピクセル領域P12およびP23は、これらの領域に関連づけられる全ての素子が「オフ」にされていることから「黒い」スポットを含む。これに対して、列C2内の素子125−32および125−42と、列C2内の素子125−13および125−23とは「オン」であり、よって画像ピクセル部分P22およびP13は最大の明るさを有する。外側の2列はグレースケール画像形成を示すが、この場合、列C1では素子125−21および125−31が「オフ」にされかつ変調素子125−11および125−41が「オン」にされ、これにより、画像ピクセル領域P11およびP21は、これらの2領域間の界面に沿って最も暗い領域が配置されるグレースケール・スポットとして形成される。逆に、列C4では変調素子125−14および125−44が「オフ」にされかつ変調素子125−24および125−34が「オン」にされ、これにより、画像ピクセル領域P14およびP24は、これらの2領域間の界面に沿って最も明るい領域が配置されるグレースケール・スポットとして形成される。図1に示されている単純化された空間光変調器120は、説明を目的として各列内に4つの変調素子しか含んでいないことに留意されたい。しかしながら、当業者であれば、アレイ122の各列内に配置される変調素子の数が増加すると、追加的なグレーの陰影を示すスポットの生成が容易になることにより、グレースケール制御が増強されることを認識するであろう。ある好適な実施形態では、グレースケールを調整するために1列内で少なくとも24ピクセルが使用され、こうしてスキャンライン・セグメントにおける4%に近い単一の出力調整が見込まれる。また、アレイ122の各列における多数の変調素子も、1つまたは複数の「予備」素子、または「冗長」素子を容易にする。
【0033】
上述の方法を用いる二次元画像の生成は、各画像形成動作の後に画像形成面162を工程横断(Y軸)方向へ移動させる(即ち、スクロールする)ことを必要とし、延ては、各画像形成動作の後に変調器120を再構成することが必要とされる。均質光源110は、連続するスキャンライン画像の各ペアが画像形成面162上で二重露光(スミアリング)を回避する方法で発生されるように、画像形成面162の工程横断方向への移動および変調器120の再構成と協調してパルスされ、またはストローブ(オン、オフにトグル)される。
【0034】
図2(A)は、均質光源110Aが非活性化され、かつ変調器120のグループG1およびG2が各々スキャンライン画像データグループLID1およびLID2によって構成される場合の画像形成システム100A(T1)(即ち、時間T1における画像形成システム100A)を示している。図2(A)は、ピクセル画像データ部分PID11を用いる変調素子125−11および125−21の構成、およびピクセル画像データ部分PID21を用いる変調素子125−31および125−41の構成を描いている。この時点で、画像形成面162は、工程横断方向の任意に選択される位置Y(T1)に位置合わせされている。
【0035】
図2(B)は、均質光源110Aが起動され、よって均質光場119Aが変調器120上へ方向づけられている間の画像形成システム100A(T2)を示している。素子125−11、125−21、125−31および125−41の設定状態に起因して、均質光部分118A−11および118A−41は変調器120を通過されるが、均質光部分118A−21および118A−31は阻止され、これにより、変調光部分118B−11および118B−41はアナモルフィック光学系130によって画像化されかつ集中される変調光場119Bを形成し、かつ集中される変調光部分118C−11および118C−41はピクセル画像領域P11およびP12を生成する。ピクセル画像領域P11およびP12は、画像形成面162上の第1の細長い画像形成領域167−1内に形成される第1のスキャンライン画像ペアSL1およびSL2の一部である。画像形成面162上の第1の細長い画像形成領域167−1の位置は、画像形成面162の時間T2における工程横断方向の位置Y(T2)によって決定される。位置Y(T2)は、例えば画像形成面162が増分的に移動された際に位置Y(T1)と同じとなる場合もあれば、画像形成面162が絶えず移動されるときに異なる位置を表す場合もあることに留意されたい。
【0036】
図2(C)は、均質光源110Aの発光素子115Aが再び非活性化され、変調器120が第2のスキャンライン画像データグループペアLID3およびLID4によって再構成され、かつ画像形成面162が位置Y(T3)へ移動された後の画像形成システム100A(T3)を示している。スキャンライン画像データグループLID3およびLID4は、画像データファイルIDの第3及び第4のスキャンライン画像データグループを表し、かつ図2(C)は、スキャンライン画像データグループLID3のピクセル画像データ部分PID31を用いる素子125−11および125−21の再構成、およびスキャンライン画像データグループLID4のピクセル画像データ部分PID41を用いる素子125−31および125−41の再構成を描いている。
【0037】
図2(D)は、均質光源110Aが再び起動され、よって均質光場119Aが変調器120上へ方向づけられ、かつ光変調素子125−11、125−21が「オン」でありかつ光変調素子125−31、125−41が「オフ」であることから変調光部分118B−11および118B−21が空間光変調器120から光学系130へ通過される間の画像形成システム100A(T4)を示している。集中される光部分118C−11および118C−21は、スキャンライン画像SL3のピクセル画像領域P31内に「白い」スポットを形成し、かつスキャンライン画像SL4のピクセル画像領域P41は「暗い」ままである。但し、スキャンライン画像SL3およびSL4は、画像形成面162上の第2の細長い画像形成領域167−2内に形成される。第2の細長い画像形成領域167−2の位置は、画像形成面162の時間T4における工程横断方向の位置Y(T4)によって決定され、かつ第2の細長い画像形成領域167−2の位置は、画像形成面162を工程横断方向へスキャンラインSL1およびSL2の合計高さHに等しい距離だけ移動することによって決定される。
【0038】
代替実施形態によれば、変調器は、米国テキサス州ダラス所在のTexas Instruments社から入手可能なデジタル光処理(DLP(登録商標))チップ等のデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)、米国コロラド州ラファイエット所在のBoulder Nonlinear Systems社から入手可能なLinear Array Liquid Crystal Modulator(リニアアレイ液晶変調器)等の電子光学回折変調器アレイ、または二酸化バナジウム反射または吸収鏡素子等の熱光学吸収素子のアレイを含む、市販のデバイスを用いて実装される。今日、多くの印刷/走査用途は、10:1を超える高い画像コントラスト比を有する1200dpi以上の解像度、小さいピクセルサイズおよび30kHzを超える高速表示行指定機構を必要とし、よって、現時点で好ましい空間光変調器は、その最良の総合性能に起因してDLP(商標)チップである。
【0039】
図5は、複数の微小電気機械式(MEM)ミラー機構125Gで構成される変調素子アレイ122Gを含むDMD式空間光変調器(DMD)120Gの一部を示す斜視図である。変調素子アレイ122Gは、Texas Instruments社によって販売されるDMDと一致し、MEMミラー機構125Gは、半導体基板124G上の長方形アレイ内に配列される。ミラー機構125Gは、ミラー125Gの下に配置される制御回路126Gによって制御される。
【0040】
図6は、DMD式変調素子アレイ122G(図5参照)の例示的なミラー機構125G−11をさらに詳細に示したものである。説明を目的として、ミラー機構125G−11は、最上層210と、中央領域220と、下方領域230とに分割されている。ミラー機構125G−11の最上層210は、アルミニウム製でありかつ典型的には幅約16マイクロメートルである正方形または長方形のミラー(光変調構造体)212を含む。中央領域220は、2つの弾性ねじりヒンジ224によって支持プレート225へ接続されるヨーク222と、1対の高架電極227および228とを含む。下方領域230は、第1及び第2の電極プレート231および232と、バイアスプレート235とを含む。さらに、ミラー機構125G−11は、基板124G上へ配置されかつ制御信号127G−1により2つのデータ状態のうちの何れかを格納するように制御される関連のSRAMメモリセル240によって制御される。メモリセル240は、相補的な出力信号DおよびDバーを発生する。
【0041】
下方領域230は、めっき層をエッチングすること、または別段でメモリセル240を覆う基板124Gの上面上へ形成されるパッシベーション層上に金属パッドを形成することによって形成される。電極プレート231および232は各々、バイアス制御信号127G−2、または金属バイアによってメモリセル240により格納される相補的なデータ信号DおよびDバーの何れかを受信するように接続される。
【0042】
中央領域220は、MEMS技術を用いて下方領域230の上に配置され、ヨーク222は、ヨーク222の基板124Gに対する傾斜を容易にするように捻れる弾性ねじりヒンジ224によって支持プレート225により移動可能式(回動可能式)に接続されかつ支持される。支持プレート225は、バイアスプレート235の上に配置され、かつバイアスプレート235の領域236上へ固定的に接続される支持ポスト226(一方が図示されている)によってバイアスプレート235へ電気的に接続される。電極プレート227および228も同様に、各々電極プレート231および232の上に配置され、かつ電極プレート231および232の領域233上へ固定的に接続される支持ポスト229によって電極プレート231および232へ電気的に接続される。最後に、ミラー212は、ヨーク222の中央領域223上へ付着されるミラーポスト214によってヨーク222へ固定的に接続される。
【0043】
図7(A)から図7(C)は、動作中の図5のミラー機構125G−11を示す。図7(A)は、受け入れられる光部分118A−Gが第1の角度θ1でミラー212を去る反射光部分118B−G1になる、変調「オン」状態におけるミラー機構125G−11を示す。変調「オン」状態を設定するために、SRAMメモリセル240は、出力信号Dが電極プレート231および高架電極227へ送られる高電圧(VDD)を含み、かつ出力信号Dバーが電極プレート232および高架電極228へ送られる低電圧(接地)を含むように、あらかじめ書き込まれたデータ値を格納する。これらの電極は、ミラーの位置を静電気引力によって制御する。電極プレート231および232により形成される電極対はヨーク222へ作用するように位置合わせされ、かつ高架電極227および228により形成される電極対はミラー212に作用するように位置合わせされる。ほとんどの時間、ヨーク222の両側へは等しいバイアス電荷が同時に印加される(例えば、図7(A)に示されているように、バイアス制御信号127G−2が電極プレート227および228と高架電極231および232との双方へ印加される)。中央位置へ反転する代わりに、予期されるように、ミラー122と高架電極231/電極プレート227との間の引力は(即ち、こちら側の方が電極へ近いために)ミラー122と高架電極232/電極プレート228との間の引力より大きいことから、この等しいバイアスは実質的にミラー122をその現行の「オン」位置に保持する。
【0044】
ミラー212を「オン」位置から「オフ」位置へ移動させるために、必要とされる画像データビットが制御信号127G−1によってSRAMメモリセル240へロードされる(図7(A)の下側部分参照)。図7(A)に示されているように、アレイ122Gの全てのSRAMセルが画像データでロードされると、バイアス制御信号がディアサートされ、これにより、D信号がSRAMセル240から電極プレート231および高架電極227へ送信され、かつDバーがSRAMセル240から電極プレート232および高架電極228へ送信され、これにより、ミラー212は図7(B)に示されている「オフ」位置へ移動され、これにより、受け入れられた光部分118A−Gはミラー212を第2の角度θ2で去る反射光部分118B−G2になる。ある実施形態において、ミラー212の平らな上面は、図7(A)に示されている「オン」状態と図7(B)に示されている「オフ」状態との間で約10゜から12゜の範囲内で傾斜(角度を付けて移動)する。続いて、バイアス制御信号127G−2が復元されると、図7(C)に示されているように、ミラー212は「オフ」状態に保持され、次の必要な動作のメモリセル240へのロードが可能になる。このバイアスシステムは、ミラーをこれらのミラーがSRAMセルから直に駆動可能であるように扱うために必要とされる電圧レベルを低減するという理由で用いられ、かつバイアス電圧をチップ全体で同時に除去することができ、よってあらゆるミラーが同時に移動するという理由でも用いられる。
【0045】
図7(A)から図7(C)に示されているように、ミラー機構125G−11の回動ねじり軸によって、ミラー212は、対角軸を中心としてDLPチップハウジングのx−y座標に対して相対回転する。この対角的な傾斜により、DMDから受け入れられる入射光部分は、光の出射角がDMDの表面に対して垂直となるように、各ミラー機構125G上へ合成入射角で投影される必要がある。
【0046】
図8は、好適な「折り畳まれた」配列で配置されるDMD120Gを含む画像形成システム100Gを示す。画像形成システム100Gは、均質光発生器110Gと、アナモルフィック光学系130とを含む。画像形成システム100Gは、DMD120Gが均質光発生器110Gおよびアナモルフィック光学系130に対し、入射する均質光部分118A−Gが空間光変調器120Gの表面により画定される直交する軸X、軸Yまたは軸Zの何れに対しても平行でも垂直でもなく、かつ反射される光部分118B−G1および118B−G2も同様であるように合成角を成して位置合わせされることにおいて、一般化されたシステムから区別化される。この「折り畳まれた」配置によって、均質光発生器110GからDMD120Gへ方向づけられる均質光部分118A−Gは、各ミラー機構125Gのミラーが「オン」であるときにのみミラー機構125Gから光学系130へ反射される。即ち、「オン」である各ミラー機構125Gは光部分118B−G1を角度θ1で反射し、これにより、光部分118B−G1は対応する予め決められた方向に沿ってアナモルフィック光学系130へと配向され、アナモルフィック光学系130は光部分118GをスキャンラインSL上へ集束する。但し、スキャンラインSLは、空間光変調器120Gの表面により画定されるZ軸に対して垂直である。入射光118Aと、アナモルフィック光学系130Gへと方向づけられる出射「オン」光(例えば、光線118B−G1)との間の合成角θ1は、典型的には22〜24度であり、もしくはDMDチップのミラー回転角の2倍である。逆に、「オフ」である各MEMミラー機構125Gは、光部分118B−G2を角度θ2で光学系130から遠位へ反射する。入射光線と「オフ」光線との間の合成角θ2は、通常、約48度である。ヒートシンク構造体140Gは、光部分118B−G2を受け入れるように位置合わせされる。
【0047】
図9は、折り畳まれた配置のDMD120Hと、「オン/オフ」制御信号をレーザ光源110Hへ送信し、スキャンライン画像データ部分LINAおよびLINBをDMD120Hへ送信しかつ任意選択の位置制御信号Pをドラムシリンダ160Hへ送信するコントローラ180Hとを利用する画像形成システム100Hを示す。
【0048】
アナモルフィック光学系130Hは、ドラムシリンダ160H上に発生される2つのスキャンライン画像部分の位置および左から右への順序が工程方向および工程横断方向の双方へ効果的に「反転される」ように、変調光場119Bを工程方向および工程横断方向の双方へ反転させる。図9の左下の図は、DMD120Hの正面図を示し、かつ図9の右下の図は、細長い画像形成領域167の正面図を示す。左下の図は、行125H−5から125H−7がデータ部分LINAを実装するためのグループGAを形成し、かつ素子行125H−2から125H−4がデータ部分LINBを実装するための第2のグループGBを形成することを示す。グループGAおよびGBは、変調器120Hへ「上下逆かつ後向き」に書き込まれる(例えば、スキャンライン画像データ部分LINAの最左のピクセル画像データPIDA1は、変調素子グループGAの左部分に反転式(逆さま)に書き込まれる)。サブ光学系133Hは、ピクセル画像データPIDA1により構成される光変調素子が細長い画像形成領域167Hの右側にピクセル画像部分PA1を発生し、かつピクセル画像データPIDB8により構成される光変調素子が細長い画像形成領域167Hの左側にピクセル画像部分PB8を発生するように、均質光場119Aを反転する。サブ光学系137Hは、(反転されない)ピクセル画像部分PA1が細長い画像形成領域167Hの上側部分に現出するように、かつ(反転されない)ピクセル画像部分PB8が細長い画像形成領域167Hの下側部分に現出するように、変調光場119Aを反転する。
【0049】
図10(A)、図10(B)、図10(C)、図10(D)、図10(E)および図10(F)は、動作中の画像形成システム100Hを示す。単純化されているこれらの側面図は、工程方向の反転を考慮していない。
【0050】
図10(A)は、均質光源110Aが非活性化され、かつDMD120HのグループGAおよびGBは各々、素子125H−51から125H−71が第1のスキャンライン画像データグループのピクセル画像データ部分PID11を用いて構成され、かつ素子125H−21から125H−41が第2のスキャンライン画像データグループのピクセル画像データ部分PID21を用いて構成される場合の画像形成システム100H(T1)(時間T1における画像形成システム100H)を示している。
【0051】
図10(A)において、システム100Hはさらに、画像形成領域の上流側のあるポイントで画像形成面162H上へ湿し溶液192を塗布する液体源190と、画像形成領域の下流側のあるポイントでインク材料197を塗布するインク源195とを含む。さらに、インク材料197を標的である印刷媒体へ転写するための転写機構(図示せず)が設けられ、かつ次の露光サイクルのために画像形成面162Hを準備するためのクリーニング機構198が設けられる。
【0052】
図10(B)は、均質光源110Aが起動され、よって均質光場119AがDMD120H上へ方向づけられている間の画像形成システム100H(T2)を示している。ミラー機構125H−21から125H−71の構成状態に起因して、変調光部分118B−21、118B−31および118B−41はミラー機構125H−21から125H−41からアナモルフィック光学系130Hへと反射されるが、均質光部分はミラー機構125H−51から125H−71によって遠位へ配向し直される。変調光部分118B−21から118B−41は、アナモルフィック光学系130Hによって画像化されかつ集中される変調光場119Bを形成し、これにより、画像形成面162H上の第1の細長い画像形成領域167H−1内に形成される第1のスキャンライン画像ペアSL1およびSL2の一部であるピクセル画像領域P11およびP21を生成する集中された変調光場119Cが発生される。光部分118B−21、118B−31および118B−41の集中された光は領域167H−1の下側部分から湿し溶液192を除去するが、ピクセル画像領域P11に関しては光が集中されないことから、領域167H−1の上側部分には湿し溶液192が残される。
【0053】
図10(C)は、均質光源110Hが非活性化され、かつ変調器120Hのミラー機構125H−21から125H−71がピクセル画像データ部分PID31およびPID41を含む第2のスキャンライン画像データグループペアによって再構成された後の画像形成システム100H(T3)を示している。時間T3において、第1の細長い画像形成領域167H−1の位置は、それが画像形成領域から部分的に外れるように上側へ回転される。
【0054】
図10(D)は、均質光場119Aが再びDMD120H上へ方向づけられている間の画像形成システム100H(T4)を示している。ミラー機構125H−51から125H−71は「オン」でありかつミラー機構125H−21から125H−41は「オフ」であることから、変調光部分118B−51から118B−71はDMD120Hを通過して光学系130Hへ至り、かつ集中された光場119Cはスキャンライン画像SL3のピクセル画像領域P31における湿し溶液192を気化させるが、領域P41は「湿った」ままである。第2の細長い画像形成領域167H−2の位置は、ドラムシリンダ160Hの画像形成面162の工程横断方向の回転位置によって決定され、かつ第2の細長い画像形成領域167H−2の位置は、第1の細長い画像形成領域167H−1の下縁が第2の細長い画像形成領域167H−2の上縁に隣接するように選択される角度θまでドラムシリンダ160Hを回転することによって決定される。即ち、画像形成面162Hは、時間T2と時間T4との間の第1の細長い画像形成領域167H−1の高さに等しい距離を工程横断方向へ移動される。したがって、ピクセル画像領域P21およびP31によって、画像形成面162Hの表面領域162H−1上に「乾燥した」表面特徴SFが形成される。
【0055】
図10(E)および図10(F)は、表面特徴SFがこの後、画像形成システム100Hの画像転写動作によってどのように利用されるかを示すために、DMD120Hが非活性化されている時間T4後の画像形成システム100Hを示している。図10(E)では、時間T5において、ドラムシリンダ160Hがインク源195の下で表面領域162H−1を回転し、かつインク材料197がインク外形TFを形成する。図10(F)では、時間T6においてインク外形TFが転写ポイントを通るにつれて、インクが印刷媒体へ転写され、「ドット」になる。次に、表面領域162H−1は、後続の露光/印刷サイクル用に表面領域162H−1を準備するクリーニング機構198の下を回転される。印刷媒体へは、従来システムの場合のプレートからの絶え間ないデータではなく、画像形成面162H上に配置されたインク材料だけが転写される。ラスタ光源を用いてこのプロセスを動作させるためには、湿し溶液をリアルタイムで除去するに足る超高出力光源が必要となる。しかしながら、インク・ドナー・ローラからの液体はスキャンライン全体から同時に除去されることから、オフセットされたプレス構成が複数の比較的低出力の光源を用いて高速で準備される。
【0056】
他の実施形態では、光変調素子が別々の変調素子グループ内に配置され、よって、二次元画像は、各画像形成段階中に2つのインタレース式スキャンライン画像を発生することにより形成される。
【0057】
図11は、単純化されたインタレース式マルチライン画像形成動作を実装するように構成されるMEMミラー機構125Kによる8x8アレイ122Kを含むDMD120Kを示し、図12(A)から図12(C)は、インタレース式マルチライン画像形成動作の連続する画像形成段階におけるドラムシリンダ160Kの画像形成面162Kを示す。
【0058】
図11において、各画像形成段階の間、DMD120Kは、素子行125K−7および125K−8が第1のスキャンライン画像データ部分を実装するための変調素子グループGAを形成し、かつ光変調素子行125K−1および125K−2が第2のスキャンライン画像データ部分を実装するための変調素子グループGBを形成するように構成されている。グループGAとグループGBは、素子行125K−3から125K−6を含むアイドル状態の変調素子グループSによって分離されている。
【0059】
図12(A)から図12(C)は、連続する3つの画像形成段階の間に画像形成面162K上へ発生されるスキャンライン画像を示す。図12(A)は、スキャンライン画像データ部分LID1およびLID4に応答して第1の細長い画像形成領域167K−1内にスキャンライン画像部分SL1およびSL4が発生される第1の画像形成段階中のドラムローラ160K(T1)を示し、この場合、スキャンライン画像部分SL1とSL4との間に第1のインタレースされた未処理領域IUR1が発生されている。図12(B)は、画像形成面162Kがスキャンライン画像部分SL1の高さに等しい距離を工程横断方向へ移動された後の第2の画像形成段階中のドラムローラ160K(T2)を示し、この間、スキャンライン画像データ部分LID2およびLID5に応答して第2の細長い画像形成領域167K−2内にスキャンライン画像部分SL2およびSL5が発生され、スキャンライン画像部分SL2とSL4との間に第2のインタレースされた未処理領域IUR2が発生される。図12(C)は、画像形成面162Kがスキャンライン画像部分SL2の高さに等しい第2の距離を工程横断方向へ移動された後の第3の画像形成段階中のドラムローラ160K(T3)を示し、この間、スキャンライン画像データ部分LID3およびLID6に応答して第3の細長い画像形成領域167K−3内にスキャンライン画像部分SL3およびSL6が発生され、これにより、線形的なスキャン領域SL1からSL6が空間を介在させることなく発生される。
【0060】
本発明は、線形である光路を有する(図1参照)、または1つの折り畳みを有する(図8参照)ものとして示されているが、当業者には、任意数の任意の光路に沿って折り畳みを含む他の配置が企図されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成面上へ二次元画像の2つ以上の略一次元スキャンライン画像部分を同時に発生するための方法であって、前記二次元画像は、複数のスキャンライン画像データグループを含む画像データファイルに格納され、各スキャンライン画像データグループは、前記二次元画像の関連する一次元スキャンライン画像部分を表す複数の画像ピクセルデータ部分を含み、前記方法は、
前記複数のスキャンライン画像データグループの少なくとも2つのスキャンライン画像データグループに従って、複数行および複数列内に配置される複数の光変調素子を含む空間光変調器を構成することであって、前記構成することは、
第1の複数の前記行内に配置される前記複数の変調素子による第1の変調素子グループを、前記第1の変調素子グループの各列内に配置される2つ以上の変調素子が前記第1のスキャンライン画像データグループの関連する画像ピクセルデータ部分に従って調整されるように、前記複数のスキャンライン画像データグループの第1のスキャンライン画像データグループに従って調整することと、
第2の複数の前記行内に配置される変調素子を含む第2の変調素子グループを、前記第2の変調素子グループの各列内に配置される2つ以上の変調素子が前記第2のスキャンライン画像データグループの関連する画像ピクセルデータ部分に従って調整されるように、前記複数のスキャンライン画像データグループの第2のスキャンライン画像データグループに従って調整することを含むことと、
前記構成される第1及び第2の変調素子グループが、アナモルフィック光学系を介して前記画像形成面上へ送信される変調光場を発生するように、前記構成される空間光変調器を利用して、均質光を前記複数の光変調素子上へ方向づけることにより、前記画像形成面上へ第1及び第2の略一次元スキャンライン画像を発生することを含み、前記アナモルフィック光学系は、前記変調光場が、前記画像形成面の細長い画像形成領域上へ前記第1及び第2の略一次元スキャンライン画像を形成すべくアナモルフィックに画像化されかつ集中されるように形成されかつ位置合わせされる方法。
【請求項2】
画像形成面上へ二次元画像の2つ以上の略一次元スキャンライン画像部分を同時に発生するための方法であって、前記二次元画像は、複数のスキャンライン画像データグループを含む画像データファイルに格納され、各スキャンライン画像データグループは、前記二次元画像の関連する一次元スキャンライン画像部分を表す複数の画像ピクセルデータ部分を含み、
第1の時間期間中に、前記複数のスキャンライン画像データグループの少なくとも2つのスキャンライン画像データグループに従って、複数行および複数列内に配置される複数の光変調素子を含む空間光変調器を構成することであって、前記構成することは、
第1の複数の前記行内に配置される前記複数の変調素子による第1の変調素子グループを、前記第1の変調素子グループの各列内に配置される2つ以上の変調素子が前記第1のスキャンライン画像データグループの関連する画像ピクセルデータ部分に従って調整されるように、前記複数のスキャンライン画像データグループの第1のスキャンライン画像データグループに従って調整することと、
第2の複数の前記行内に配置される変調素子を含む第2の変調素子グループを、前記第2の変調素子グループの各列内に配置される2つ以上の変調素子が前記第2のスキャンライン画像データグループの関連する画像ピクセルデータ部分に従って調整されるように、前記複数のスキャンライン画像データグループの第2のスキャンライン画像データグループに従って調整することを含むことと
第2の時間期間中に、前記構成される第1及び第2の変調素子グループがアナモルフィック光学系を通過される変調光場を発生し、よって前記変調光場がアナモルフィックに画像化されかつ集中されて前記画像形成面上へ第1及び第2の略一次元スキャンライン画像が形成されるように、均質光を前記複数の光変調素子上へ方向づけることを含む方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【公開番号】特開2013−48235(P2013−48235A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−179824(P2012−179824)
【出願日】平成24年8月14日(2012.8.14)
【出願人】(502096543)パロ・アルト・リサーチ・センター・インコーポレーテッド (393)
【氏名又は名称原語表記】Palo Alto Research Center Incorporated
【Fターム(参考)】