説明

空間効率のよりピストンを有する浸透圧送達システム

【課題】有益物質を送達するための浸透圧送達システム、および特に、浸透圧性物質を受けるための凹所を有するピストンを有する浸透圧送達システムを提供する。
【解決手段】カプセル22は、内部保持ピストン、有益物質、および浸透圧性物質26を有する。該ピストンは、カプセルの内部表面について可動性で、該カプセルの内部表面と可動性シールを定義する。該可動性シールは、浸透圧性物質を有益物質24から隔離する。該ピストンは少なくとも浸透圧性物質の一部を受ける凹所を有する。該浸透圧性物質は周辺環境から半透性体28を通して液体を吸収し、ピストンの移動をもたらし、次にカプセルから有益物質の送達をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有益物質を送達するための浸透圧送達システム、およびより特に、浸透圧性物質を受けるための凹所を有するピストンを有する浸透圧送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医学および獣医学の分野において、薬物等の有益物質の制御された送達は、様々な方法によって実施されてきた。有益物質の制御された持続的な送達の1つの方法は、浸透圧送達システムの使用を含む。これらの装置は埋め込まれ、予め選択された時または投与期間に制御された方法で、有益物質を放出することができる。一般に、浸透圧送達システムは、外部環境から液体を吸収し、対応する量の有益物質を放出することによって作動する。
【0003】
一般的に「オスモティックポンプ」と称される、既知の浸透圧送達システムは、一般に水誘引性(water-attracting)浸透圧性物質を含むカプセルの内部に水を選択的に透過させ得る半透性部分を有するある型のカプセルまたは密閉系を一般に含む。そのような既知の浸透圧送達システムにおいて、該カプセルの壁は、カプセルの内部および外部の物について実質的に不浸透性アイテムであり、栓が、半透性部分として働く。水親和性物質およびカプセルの外部の間のオスモル濃度の差異が、カプセルの半透性部分を通して水を通過させ、次に、有益物質が、送達口を通して該カプセルから送達されることができる。該水親和性物質は、患者に送達される有益物質であってよい。しかし、ほとんどの場合、隔離の浸透圧性物質は、カプセル内へ水を引き出すことを可能とするために特異的に使用される。
【0004】
ある例では、ピストンは有益物質を浸透圧性物質から隔離し、浸透圧性物質が有益物質と混合または汚染することを防止するために必要とされる。該カプセルの構造は、該浸透圧性物質が水を受け取り膨潤するときに、カプセルが膨張しないようなものである。該浸透圧性物質が膨潤するにつれて、圧力はピストンを動かし、液体、典型的には水が浸透圧性物質に浸透によって進入するのと同じ速度で有益物質を送達ノズル孔から放出させる。浸透圧送達システムは、制御された一定の速度、様々な速度、またははく動性の方法で有益物質を送達するために設計され得る。
【0005】
有益物質および浸透圧性物質を隔離するピストンの使用を必要とするこれらの浸透圧送達システムにおいて、該ピストンは必然的に該カプセル内に空間を占める。故に、該ピストンは、有益物質と該浸透圧性物質を隔離することが必要であれば、該カプセルのサイズが異ならないならば、該カプセル内に保持されることのできる有益物質または浸透圧性物質の量は、ピストンを含まない同じサイズのカプセルを有する別の浸透圧送達システムと比較して少ない。該カプセル内の有益物質の量を減少させることは、持続時間に渡って送達されることのできる有益物質の正味量を不利益に減少させる。該カプセル内の浸透圧性物質の量を減少させることは、有益物質の一定した送達が取得される持続時間を不利益に減少させる。
【0006】
しかし、該特異的応用法が、特定の量の変化させられることのできない有益物質または浸透圧性物質を要し、ピストンが該浸透圧性物質から有益物質を隔離するために使用されねばならないならば、該カプセルのサイズを増大し、該ピストンによって占められる余分の空間のために適合させ、カプセル内の浸透圧性物質または有益物質の量が変化しないようにしなければならない。ピストンによって占められる余分な体積に適合させるために、該カプセルのサイズまたは体積を単に増大すれば、簡単に解決するように思える一方、多くの浸透圧送達システムは、ヒトまたは動物に埋め込まれることになるから、該浸透圧送達システムのサイズを可能な限り減少させ、一方、なお、浸透圧送達システムは有益物質を長い期間送達することのできることが、特に望ましい。
【0007】
さらに、多様な浸透圧送達システムの適用のために、1つのカプセルを使用することが望ましいために、該浸透圧性物質から該有益物質を隔離するピストンを要するこれらの使用のために、該カプセルのサイズを単に増大することは、得策ではない。さらに、より多くの有益物質または浸透圧性物質を保持するためにカプセルのサイズを増大させることなく、通常のピストンを含む現行の浸透圧送達システムによって、有益物質の安定的な放出が取得され得る時間を増大させることは特に困難であった。既知のピストンを有する現行の浸透圧送達システムに関連するこれらの問題は、解決する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
全体として、本発明は、浸透圧送達システムの密閉系内の空間を効率的に利用するようにする浸透圧送達システムを提供する。
【0009】
本発明は、カプセルを有する浸透圧送達システムを提供することによって既知の浸透圧送達システムの不利益の課題解決をしようとする。該カプセルは、有益物質を保持するための内部空間を有する。該内部空間は内部表面を有する。浸透圧性物質は、カプセルの内部に位置する。半透性体はカプセルとの液体の伝達にかかわり、液体が半透性体を通して該浸透圧性物質に浸透することを可能とする。
【0010】
ピストンは液体不浸透性カプセルの内部に位置する。該ピストンは該カプセルの内部表面に対して可動性であり、該カプセルの内部表面と可動性シールを定義する。該ピストンによって定義される可動性シールは、有益物質から浸透圧性物質を隔離する。該ピストンは、該浸透圧性物質の少なくとも一部を受ける凹所を有する。該浸透圧性物質は、該ピストンおよび半透性体の間に位置する。該浸透圧性物質は該半透性体を通して周辺環境から液体を吸収し、ピストンを動かし、次にカプセルから有益物質の送達をもたらす。
【0011】
本発明のさらなる態様によれば、浸透圧送達システムは、凹所を有するピストンを含む。浸透圧性物質は該凹所内に位置する。密閉系は、該ピストンおよび該浸透圧性物質を保持する内部を有する。該ピストンは、密閉系物に対して可動性である。該密閉系は、該浸透圧性物質と液体連通関係にある半透性体を有し、液体は該半透性体を通して該浸透圧性物質に浸透することができる。該浸透圧性物質は、周辺環境から液体を吸収し、ピストンの移動をもたらす。
【0012】
本発明のさらなる態様によれば、浸透圧送達システムは、チューブ状の内部を有するカプセルを含む。半透性体は、該チューブ状内部内に少なくとも部分的に位置する。ピストンは、該チューブ状の内部内に位置する。該ピストンは凹所を有する。該ピストンは、該チューブ状内部の内部表面とシールを定義する。該ピストンは、該チューブ状の内部の内部表面に対しておよび該半透性体に対して可動性である。浸透圧性物質は、少なくとも部分的に、該凹所および該チューブ状内部内に位置する。有益物質は、該チューブ状内部内に位置する。該ピストンは、有益物質を該浸透圧性物質から隔離する。該半透性体は、該浸透圧性物質と液体不浸透性ピストンの同じ側に位置する。
【0013】
本発明に関連する他の目的、優位性および特徴は、後記の詳細な説明から当業者にとって容易に明白となる。理解されるように、本発明は、他のおよび様々な実施態様が可能であり、そのいくつかの記載は、様々な自明な態様において修飾が可能であり、すべて本発明の範囲内である。従って、図面および記載は、本来、例示的であり、非限定的とみなされるべきである。
【0014】
本発明を、構成要素が参照用の数字を有する、添付の図面に言及することによってより詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の1つの実施態様による浸透圧送達システムの断面図である。
【図2】本発明の浸透圧送達システムの、図1のライン2−2に沿った断面図である。
【図3】本発明の1つの実施態様によるピストンの透視図である。
【図4】本発明の1つの実施態様による浸透圧送達システムの分解透視図である。
【図5】本発明によるさらなる浸透圧送達システムの断面図である。
【図6】本発明のさらなる実施態様による、カップ形状のスリーブのピストンの凹所への挿入の透視図である。
【図7】図6のライン7−7に沿った図6のスリーブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1−4に示すように、本発明は、有益物質24を送達するための、浸透圧送達システム20に関する。浸透圧送達システム20は、「空間効率のよい」ピストン30を含む。該ピストン30は、凹所34を有し、浸透圧性物質26を受ける。該浸透圧送達システム20は、密閉系21をも含み、該ピストン30および該浸透圧性物質26を内封する。該ピストン30は、密閉系21内で可動性であり、浸透圧性物質26および有益物質24が互いに不利に影響することを実質的に防止する可動性のシールを定義する。半透性体28は、浸透圧性物質26と液体連通関係にあり、半透性体を通して液体を該浸透圧性物質へ浸透させることができる。該浸透圧性物質26は、周辺環境から該液体を吸収し、ピストン30を移動させ、次に、有益物質24を浸透圧送達システム20から放出させる。
【0017】
図1−4に示す本発明の浸透圧送達システム20の構造は、オスモティックデリバリー装置の1つの例であるが、本発明を限定するように解釈されてはならない。本発明は、様々な形を有するすべてのオスモティックデリバリー装置に、並びに経口の、反芻胃の、および埋め込み可能なオスモティックデリバリー法等のような任意の様々な方法において投与されるすべてのそのような装置に一般に応用可能である。そのような装置は、貯蔵器、タンク、またはプールの中に設置されてもよい。
【0018】
該浸透圧送達システム20の該密閉系21は、浸透圧性物質26およびピストン32を内封または含む。該密閉系21は、チューブ状のまたは長い、実質的にシリンダー状の、図1および4に示すカプセル22を含む。該カプセル22は、第1の末端50に第1の開口部51を有し、第2の末端52に第2の開口部53を第1の末端の反対に有する。該密閉系21は、半透性体28をも含み、それは、カプセル22において第1の開口部51を遮断し、封鎖し、仕切り、または栓をし、浸透圧性物質26およびピストン32を内封する。そして、第1の開口部51は半透性体28を受ける。
【0019】
該封入系21は、該カプセル22の第2の末端52に送達口44も含む。該送達口44は、浸透圧送達システム20から有益物質24を送達する。本発明の他の実施態様によれば、該カプセル22は様々な形態および形状をとり得る。例えば、該カプセル22は、タブレット形状であってよく、楕円形の断面を有し、複数部分のチューブもしくはシリンダーから、または2つの回転楕円状断面から形成されることができる。さらに、該カプセル22の第2の開口部53は、該送達口44を定義することができ、該第1の開口部51は、液体、例えば水を該カプセルの外部の半透性体からカプセル内の浸透圧性物質へ伝達するためのチャンネルを定義することができる。第1の開口部51は、外部環境からカプセル内の半透性体に液体を流通させるためのチャンネルも定義することができる。
【0020】
該送達口44は、通常の技術によって形成されたノズル孔である。これらの技術には、機械的ドリリング、レーザードリリング、および鋳造が含まれる。密閉系21は、少なくとも1つのそのような送達口44を含み、ほとんどの構成において1つの送達口で十分である。しかし、2つまたはそれ以上の送達口44は、本発明の範囲内である。該送達口44は、図5に示す実施態様におけるように、カプセル22それ自体の中に形成され得る。またはカプセル22の第2の開口部53に挿入するために隔離した別個の栓様構成員42の中に形成され得る。送達口44は他の構成であってよい。例えば、該送達口44は、スリットノズル孔、例えば米国出願番号09/045944に記載のようなもの(引用をもって本明細書の一部とする)、またはスパイラルノズル孔、米国出願番号08/595761に記載のようなもの(引用をもって本明細書の一部とする)であってよい。
【0021】
直径および長さの両方の点で、口44の寸法は、有益物質24、有益物質が送達される速度、およびそれが送達される環境の型について異なる。任意の特定の密閉系または有益物質24について、該送達口44の最適な寸法を決定することに関する考察は、先行技術の密閉系の送達口またはノズル孔についてのそれらと同様であり、適当な寸法の選択は、当業者にとって容易に明白である。
【0022】
カプセル22は、浸透圧性物質26の膨張にサイズまたは形状を変化させることなく耐えるために十分に硬い材料から形成される。該カプセル22は、好ましくは、環境における液体に対して、および浸透圧送達システム20内に含まれる成分に対して実質的に不浸透性であり、カプセルの不浸透性材料を通したそのような物質のカプセル内へのまたは外への移動は、非常に低レベルのため、浸透圧送達システム20の機能における実質的に不利な影響はない。
【0023】
カプセル22に使用される得る材料は、好ましくは、カプセルが、埋め込みの間に服するストレスの下、または浸透圧送達システム20の作動の間に生じる圧力によるストレスの下でもらさず、亀裂が入らず、破壊せず、または変形しないことを保証するように十分に強い。
【0024】
該カプセル22を、当技術分野で既知である化学的に不活性かつ生物親和性の天然または合成材料から形成することができる。該カプセル材料は、好ましくは非生物侵食性の材料であり、使用後も患者内にとどまることのできる、チタンまたはチタン合金等であって、該カプセル22内および外の物質に対して十分に不浸透性である。しかし、あるいは、カプセル22の材料は、有益物質の使用の後、環境中で生物侵食される生物侵食性材料であることもできる。一般に、カプセル22のための好ましい材料は、ヒトの埋め込みに許容できるものである。
【0025】
一般に、カプセル22にとって適当な、典型的な構造材料は、非反応性ポリマーまたは生物親和性金属または合金を含む。該ポリマーは、アクリロニトリルブタジエンスチレンターポリマー等のアクリロニトリルポリマー等;ハロゲン化ポリマー、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、コポリマーテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレン等;ポリアミド;ポリスルホン;ポリカーボネート;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリビニルクロリドアクリルコポリマー;ポリカーボネートアクリロニトリルブタジエンスチレン;ポリスチレン;等を含む。カプセル22に有用な金属材料は、ステンレス鋼、チタン、白金、タンタル、金、およびそれらの合金、並びに金メッキ合金鉄、白金メッキ合金鉄、コバルトクロミウム合金、および窒化チタン被覆ステンレス鋼を含む。
【0026】
該カプセル22を、鋳造の構成によって、鋳造の上または鋳造の内部に使用された材料と共に、鋳造の使用によって任意の前記の壁形成材料から形成することができる。さらに、該カプセル22を、機械加工によって形成することができる。製薬産業において既知の任意の広範な技術がカプセル22を形成するために使用可能である。
【0027】
該カプセル22の内部は、図1および4に記載される本発明の実施態様において浸透圧性錠剤である浸透圧性物質26を受ける。浸透圧性物質26、特に、図1において記載される本発明の実施態様の浸透性錠剤は、浸透圧送達システム20の浸透性流動を駆動する。該浸透圧性物質26は錠剤である必要はない;他の考えられる形状、テクスチュア、密度、およびコンシステンシーであってよく、なお本発明の範囲に含まれる。さらに、1以上の浸透圧性錠剤を、浸透圧送達システム20の浸透圧性流動を駆動するために使用し得る。該浸透圧送達システムを組みたてると、該カプセル22は浸透圧性物質26を含む。
【0028】
該浸透圧性物質26は、浸透圧送達システム20から有益物質24の流動を駆動するために使用される液体親和性物質(liquid-attracting agent)である。該浸透圧性物質26は、オスムエージェント(osmagent)、オスモポリマー、または該2つの混合物であってよい。オスムエージェントのカテゴリー、すなわち水に可溶性で水の浸透圧性流入を駆動する浸透圧性成分を生み出す非揮発性種類に入る種類は、非常に広範囲である。例は、当技術分野で周知であり、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、d−マンニトール、ソルビトール、イノシトール、尿素、コハク酸マグネシウム、酒石酸、ラフィノース、並びに様々な単糖類、オリゴ糖類、および多糖類、例えば、スクロース、グルコース、ラクトース、フルクトース、およびデキストラン等、並びに任意のそれらの様々な種類の混合物を含む。
【0029】
オスモポリマーのカテゴリーに入る種類は、水との接触において膨潤する親水性ポリマーであり、それは、非常に広範である。オスモポリマーは、植物もしくは動物起源、または合成であってよく、オスモポリマーの例は、当技術分野で周知である。例は:分子量30000ないし5000000のポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、分子量10000ないし360000のポリ(ビニルピロリドン)、アニオンおよびカチオン性ヒドロゲル、高分子電解質錯体、少ないアセテート残基を有するポリ(ビニルアルコール)(要すればグリオキサール、ホルムアルデヒドまたはグルタールアルデヒドと架橋されており、200ないし30000の重合度を有する)、メチルセルロース、架橋アガーおよびカルボキシメチルセルロースの混合物、ヒドロキシプロプル(hydroxypropl)メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムの混合物、N−ビニルラクタムのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンゲル、ポリオキシブチレンポリエチレンブロックコポリマーゲル、キャロブガム、ポリアクリル酸ゲル、ポリエステルゲル、ポリウレアゲル、ポリエーテルゲル、ポリアミドゲル、ポリペプチドゲル、ポリアミノ酸ゲル、ポリセルロースゲル、250000ないし4000000の分子量を有するカルボポール酸性のカルボキシポリマー(carbopol acidic carboxy polymer)、Cyanamerポリアクリルアミド、架橋インデンマレイン酸無水物ポリマー、80000ないし200000の分子量を有するGood-Riteポリアクリル酸、100000ないし5000000の分子量を有するPolyox Polyethyleneオキシドポリマー、スターチグラフトコポリマー、並びにAqua-Keepsアクリレートポリマーポリサッカライドを含む。
【0030】
該浸透圧性物質26を、多くは当技術分野で既知である様々な方法によって製造し得る。そのようなある方法において、浸透圧的に活性のある物質は、固体または半固体製剤として製剤され、ペレットまたは錠剤に圧縮され、それらの寸法は、カプセル内部において占めるそれぞれのチャンバーの内部寸法よりわずかに小さいように対応している。使用される材料の性質によって、含まれ得る物質および他の固体成分は、ボールミリング、カレンダリング、撹拌またはロールミリングのような工程によってペレットを形成する前に加工され、精密な粒子サイズ、そして適当に均一なそれぞれの混合を達成することができる。
【0031】
該有益物質24は、要すれば薬学的に許容できる担体および/または付加的な成分、例えば酸化防止剤、安定剤、浸透性増強剤等を含み得る。本発明のさらなる実施態様において、カプセル22に含まれる該有益物質24は、流動可能な組成物、例えば液体、懸濁、またはスラリー等(典型的には浸透圧性物質26およびピストン32をカプセルに挿入した後にカプセルに注入する)を含み得る。
【0032】
本発明のシステムを使用して、有益物質24を投与され得る患者は、ヒトおよび動物を含む。本発明は、ヒトおよび家庭生活、スポーツ、並びに家畜、特に哺乳動物に応用するために特に重要である。有益物質を投与するために、本発明の装置は、皮下または腹膜内に埋め込まれ得、水性の体液または液体は、浸透圧性物質26を活性化するために利用可能である。本発明の装置は、ヒトおよび反芻動物のルーメンに投与され得、該装置は、そのような実施態様において、120日までまたはそれより長い期間に渡ってルーメンにおいて装置を維持するために通常の密度の成分をさらに含み得る。
【0033】
本発明を、任意の生理学的または薬理学的に活性のある物質を含む有益物質一般の投与に応用する。該有益物質24は、ヒトまたは動物の体に送達されるべきであると知られる任意の物質、例えば、医薬、ビタミン、栄養等であってよい。該有益物質24は、他の型の水性環境、例えば、プール、タンク、貯留槽等に送達される物質であってもよい。この記載に適合する物質の型には、殺生物剤、殺菌剤、栄養、ビタミン、フードサプリメント、セックスステリラント、ファーティリティーインヒビターおよびファーティリティープロモーターが含まれる。
【0034】
本発明によって送達され得る薬物物質は、辺縁神経、アドレナリンレセプター、コリンレセプター、骨格筋、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シノプティックサイト(synoptic site)、神経効果器、接合部位(junctional site)、内分泌およびホルモン系、免疫系、生殖系、骨格系、オータコイド系、消化および排出系、ヒスタミン系並びに中枢神経系に作用する薬物を含む。適当な物質が、例えば、タンパク質、酵素、ホルモン、ポリヌクレオチド、ヌクレオタンパク質、多糖類、糖タンパク質、リポタンパク質、ポリペプチド、ステロイド、鎮痛薬、局所麻酔薬、抗生物質、抗炎症性コルチコステロイド、眼科用薬物、およびこれらの種類の合成類似物から選択され得る。
【0035】
本発明の装置によって送達され得る薬物の例は、プロクロルペラジンエジシレート(prochlorperzine edisylate)、硫酸鉄、アミノカプロン酸、塩酸メカミラミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸メタンフェタミン、塩酸ベンズアンフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタニコール、塩化メタクロリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンフォルミン、塩酸メチルフェニデート、テオフィリンコリネート、塩酸セファレキシン、ジフェニドール、塩酸メクリジン、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペルジン(thiethylperzine)、アニシンドン(anisindone)、ジフェナジオン四硝酸エリトリチル、ジゴキシン、イソフルロフェート(isoflurophate)、アセタゾールアミド、メタゾールアミド、ベンドロフルメサイアザイド、クロロプロメイド(chloropromaide)、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキセート、アセチルスルフイソキサゾール、エリスロマイシン、ヒドロコリチゾン、酢酸ヒドロコリチコステロン、酢酸コルチソゾン、デキサメタゾンおよびその誘導体、例えばベタメタゾン、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−S−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエーテル、プレドニゾロン、17− ヒドロキシプロゲステロンアセテート、19−ノル−プロゲステロン、ノルゲステロール、ノルゲステロン、ノルエチンドロン、ノルエステロン、ノルエチエデロン(norethiederone)、プロゲステロン、ノルエチノドレル、アスピリン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、イソソルビドジニトレート、プロプラノロール、チモロール、アテノロール、アルプレノロール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ。クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、テオフィリン、カルシウムグルコネート、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラック、乳酸第1鉄、ビンカミン(vincamine)、ジアゼパム、ヘノキシベンザアミン、ジルチアゼム、ミルリンオン(milrinone)、カプロプリル、マンドール、クアンベンツ(quanbenz)、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン(ranitidine)、フルルブプロフェン、フェヌフェン(fenufen)、フルプロフェン(fluprofen)、トルメチン、アルクロフェナック、メフェナミック、フルフェナミック、ジフイナール(difuinal)、ニモジピン(nimodipine)、ニトレンジピン(nitrendipine)、ニソルジピン(nisoldipine)、ニカルジピン、フェロジピン(felodipine)、リドフラジン、チアパミル(tiapamil)、ガルオパミル(gallopamil)、アムロジパイン(amlodipine)、ミオファジン(mioflazine)、リシノールプリル(lisinolpril)、エナラプリル、エナラプリラト(enalaprilat9、カプトプリル、ラミプリル、ファモチジン、ニザチジン、スクラルフェート、エチンチジン(etintidine)、テトラトールオール(tetratolol)、ミノキシディル、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、アミトリプチリン、およびイミプラミンを含むがこれらに限定されない。
【0036】
さらなる例は、インスリン、コルチシン、グルカゴン、甲状腺刺激ホルモン、パラチロイドおよび下垂体ホルモン、カルシトニン、レニン、プロラクチン、コルチコトロフィン、甲状腺刺激ホルモン、濾胞刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ウシソマトトロピン、ブタソマトトリピン、オキシトシン、バソプレッシン、GRF、プロラクチン、ソマスタチン、リプレッシン、パンクレオジミン、黄体形成ホルモン、LHRH、LHRHアゴニストおよびアンタゴニスト、ロイプロリド、インターフェロン、成長ホルモン、例えば、ヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、およびブタ成長ホルモン等、ファータリティーインヒビター、例えば、プロスタグランジン等、ファータリティープロモーター、成長因子、凝血因子、ヒト膵臓ホルモン放出因子、それらの化合物の類似物および誘導体、並びにそれらの化合物の薬学的に許容できる塩、または、それらの類似物もしくは誘導体を含むがこれらに限定されないタンパク質およびペプチドである。
【0037】
該有益物質24は、本発明において、広範な化学的および物理的形態、例えば、固体、液体およびスラリー等で存在し得る。分子レベルにおいて、様々な形態の非電荷分子、分子錯体、並びに薬学的に許容できる酸付加および塩基付加塩、例えば、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、アセテート、サルフェート、ラウリレート、オレエート、およびサリチレート等を含み得る。酸を出す化合物のために、金属の塩、アミンまたは有機カチオンを使用し得る。誘導体、例えば、エステル、エーテルおよびアミド等も使用し得る。有益物質は、単独でまたは他の物質と混合して使用され得る。
【0038】
本発明の浸透圧送達システムは、生理学的または水性環境の外部の環境においても有用である。例えば、該浸透圧送達システムは、静脈内系において(例えば、IVポンプもしくはバッグにまたはIVボトルに結合して)動物またはヒトに有益物質を送達するために使用され得る。本発明の浸透圧送達システムは、例えば、血液酸素供給器、腎臓透析および電気泳動においても使用され得る。さらに、本発明の装置またはシステムは、例えば、栄養または成長調節化合物を細胞培養物に送達するため等のバイオテクノロジーの分野において使用され得る。そのような例において、機械的機構等のような活性化機構は、特に有用である。
【0039】
該浸透圧送達システム20は、前述の半透性体28、例えば、図1および4において示される半透性の栓も含む。該半透性体28は、液体を使用の外部環境からカプセル22内に通過できるようにして、浸透圧性物質26の膨潤を引き起こす半透性材料で形成されている。しかし、半透性体28を形成する材料は、多くは密閉系内の物および使用の環境内の他の成分に対して不浸透性である。図1に示すように、半透性体28は、栓の形状であり、第1の末端50のカプセル22の第1の開口部51に挿入されている。該半透性体28は、該密閉系21の一部を定義する。というのは、それは、該カプセル22の第1の開口部51を閉鎖するからである。または、該半透性体28は、該密閉系21から遠位に位置し得るが、カプセル22と液体連通関係にあるチューブを通して、または液体を流通させる他の手段を通して、液体を使用の周辺環境から浸透圧性物質26へ流通させ得る。該半透性体28は、カプセル22の外部表面上を被覆している膜または浸透圧性物質26を内封するためのカプセル22の一部の上をスライドするスリーブまたはキャップであってもよい。
【0040】
図1に示すように、該浸透圧送達システムは、表示の半透性の栓等の半透性体28を含み得る。該半透性体28は、典型的にはシリンダー状の形状であり、シーリングのための手段または該半透性体の外部表面から外部へ及ぶリブ46を有する。該リブ46は、半透性の栓がコルクまたはストッパーのように作動する手段であり、図1に示す浸透圧送達システム20のカプセル22における開口部51を遮断し栓をする。シーリング46のための手段は、例としてはリブであってよく、または、他の構成、例えば、糸、栓の外部シーリング表面およびカプセル22の間のきっちりした締りばね、にかわ、接着剤、リッジ、リップ、または半透性体28とカプセル22を結合し漏れを防ぐ他の装置等であってよい。
【0041】
そして、該半透性体28は、カプセル22の開口部に少なくとも一部に挿入されることが意図され、カプセル22の内部から使用の環境をシーリングするための手段46は、浸透液体に加えて、液体および使用の環境における他の物質が、浸透圧送達システム20に入るのを防止する。一方、物質が、該デリバリシステムの内部から使用の環境にもれたり逃げることも防止する。
【0042】
該半透性体28は、半透性材料から作成される。該部分28の半透性材料は、液体、特に水が、使用の外部環境からカプセル22に通過し、浸透圧性物質26が膨潤することを可能にする。しかし、該半透性体28を形成する該半透性材料は、該カプセル22内の物および液体環境内の他の成分に対して十分に不浸透性である。
【0043】
該半透性体28に適当な半透性構成物は、当技術分野、米国特許番号4874388、において記載される例で周知であり、引用をもって本明細書の一部とする。該部分28が作成されうるそのような可能な半透性材料は、例えば、Hytrelポリエステルエラストマー(DuPont)、セルロースエステル、セルロースエーテルおよびセルロースエステルエーテル、ウォーターフラックス増強エチレンビニルアセテートコポリマー、リギッドポリマーと水溶性低分子量化合物を混合することによって作成された半透膜、および当技術分野で周知の他の半透性材料を含むがこれらに限定されない。該前述のセルロースポリマーは、0より大きく3までをも含む無水グルコース単位に基づく置換の程度、D.S.を有する。
【0044】
「置換の程度」または「D.S.」は、置換基で置換されるセルロースポリマーを含む無水グルコースに元来存在するヒドロキシル基の平均数を意味する。代表的な材料は、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノ−、ジ−、およびトリセルースアルカニレート、モノ−、ジ−、およびトリセルースアロイレート等から構成される群から選択されるものを含むがこれらに限定されない。例示的なセルロースポリマーは、1までのD.S.および21%までのアセチル含量を有するセルロースアセテート;1ないし2のD.S.および21%ないし35%のアセチル含量を有するセルロースアセテート;2ないし3のD.S.および35%ないし44.8%のアセチル含量を有するセルロースアセテート等を含む。
【0045】
より特定なセルロースポリマーは、1.8のD.S.および39.2ないし45%のプロピオニル含量および2.8%ないし5.4%のヒドロキシル含量を有するセルロースプロピオネート;1.8のD.S.および13%ないし15%のアセチル含量および34%ないし39%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2%ないし29%のアセチル含量、17%ないし53%のブチリル含量および0.5%ないし4.7%のヒドロキシル含量を有するセルロースアセテートブチレート;1.8のD.S.、および4%平均重量パーセントのアセチル含量および51%のブチリル含量を有するセルロースアセテートブチレート;2.9ないし3のD.S.を有するセルローストリアシレート、例えば、セルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリスクシネート、およびセルローストリオクタノエート等;2.2ないし2.6のD.S.を有するセルロースジアシレート、例えば、セルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジペンテート等;セルロースの共エステル、例えば、セルロースアセテートブチレートおよびセルロース、セルースアセテートプロピオネート、等を含む。
【0046】
半透性体28のための他の材料は、ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX、ELF ATOCHEM, Inc.から商業的に入手可能)、幾分親水性を有する押出成形可能熱可塑性ポリマー、例えば、エチレンビニルアルコール(EVA)等である。半透性体28の組成は、外部液体、例えば、水および生物学的液体等の通過に浸透可能であり、有益物質、オスモポリマー、オスムエージェント等に対して実質的に不浸透性である。
【0047】
該浸透圧送達システム20は、可動性ピストン30をも含む。該ピストン30は、カプセル22の中空の内部によってはめあい式に受けられ、浸透圧性物質26からの圧力に服するときに移動し、有益物質24を置換または移動させる構成員である。該ピストン30は、カプセル22の内部表面と可動性のシールを形成する。該ピストン30によって形成される該可動性シールは、浸透圧性物質26および有益物質24を隔離し、該浸透圧性物質は、ピストンシールを通して実質的に漏れたりしみ出たりせず、該有益物質の機能に不利な影響を与えない。ゆえに、該浸透圧性物質26は、該有益物質24から可動性ピストン32によって隔離されている。
【0048】
図3に示すように、ピストン30の部分32は、シーリングの方法でカプセル22に適合するように構成されているシリンダー状の構成員であり、該ピストンは該カプセル内をカプセルの縦方向にスライドすることが可能である。すなわち、ピストン体32の外部表面は、カプセル22の内部のシリンダー状の表面に対して接触し、スライドする。というのは、該半透性体28は、第1の開口部51内に収容され、該ピストンは、該半透性体28に対しても移動するからである。
【0049】
該ピストン体32は、カプセル22の内部表面と可動性またはスライドするシールを定義する環状のリング形状の凸部またはリブ38を含む。該リブ38は、該ピストン体32の外部の放射状の表面のほとんどである。該リブ38は、ピストン30がカプセル22の内部表面とシールを形成する手段である。こうして、ピストン体32の最も外部の放射状の直径は、カプセル22の内部直径より大きい。
【0050】
図3に示すピストン体32は、2つのリブを含むが、本発明の他のピストンは、1またはそれ以上のリブを含み得る。さらに、該ピストン体32は、必ずしもリブを含む必要はない。例えば、該ピストン体の外部表面は、完全にシリンダー状であってもよいので、ピストン体のシリンダー状の全外部表面は、該カプセル22の内部表面とのシールをもたらす。しかし、完全にシリンダー状の外部表面を有するピストン体と比較して、該リブ38は、カプセル22の内部表面とよりよい可動性シールをもたらすので好ましい。
【0051】
該ピストン体32は、好ましくは不浸透性の樹脂および不活性の材料から形成される。一般に、該ピストン体32に適当な材料は、カプセル22のための材料についての言及において前記で挙げた非反応性ポリマー、並びに一般にポリウレタンおよびポリアミド、塩化ゴム、スチレンブタジエンゴム、およびクロロプレンゴム等を含むエラストマー材料である。
【0052】
図3に示すように、該ピストン32は、中空の内部部分または凹所34、例えば、示したシリンダー状空洞等を含む。該凹所34は、他の構造、例えば正方形の空洞、凹面のへこみ、円錐形のくぼみ、カップ、溝、陥没、または浸透圧性物質26を受けるのに適した同様の空間等であってよい。該凹所34は、シリンダー状および縦向きの内部表面33を有し、それは、該ピストン体32の第1の末端35における凹所34によって形成される挿入開口部31に始まり、該部分32内の奥底表面36に終わる。該ピストン体32の外部表面の全体的なシリンダー状の形状および凹所34のシリンダー形状のために、該ピストンは、シンブルまたはカップ形状であり、「カップの底」は厚みを有する。該ピストン30は、有益物質24および浸透圧性物質26を隔離するので、凹所34は好ましくはピストン体32を完全には貫通しない。該凹所34はピストン体32内の中空の領域を定義するので、該ピストン体32はカップ形状である。
【0053】
該凹所34の縦軸線は、カプセル22の縦軸線と概ね平行であり、好ましくはカプセル22の縦軸線と一致する。さらに、凹所34の開口部31は、送達口44と反対向きであり、すなわち、半透性部分28に向いている。好ましくは、該凹所の該奥底表面36は、第1の末端35から測定して、該ピストンの縦軸線に沿って、ピストン体32の中央部を過ぎるように及んでいる。該凹所34の直径は典型的にはカプセル22の内部直径の50%、好ましくは60%より大きく、好ましくは80%より小さい。該凹所34の直径を増大することによって、ピストン体32の壁の厚さは減少する。該ピストンがカプセル22に挿入されるときに、ピストンシールの有効性を損なうことなく、該凹所34が、ピストン30のできるだけ多くの内部体積を占めるのが好ましい。さらに、該ピストン体32の外部表面は、シェブロンまたは片持ち梁等のような他の形状を取りうる。
【0054】
凹所34のシリンダー状の構成が好ましいが、他の構成も本発明の範囲に入る。例えば、該凹所または中空の内部部分34は、正方形、矩形、八角形、三角形、卵型、半円形、円形、または該ピストン体32の外部表面の形状に適合する形状であってよい。同様に、該中空の内部部分34は、一連のまたは複数の凹所、チューブ、スロット、またはピストン体32の内部内の隙間であってよい。前記のすべて、および他の構成は、浸透圧性物質26の一部受けるように機能し、該ピストン30は、カプセル22内のより小さい空間を占めている。
【0055】
該ピストン体32の凹所34は、浸透圧性物質26、例えば図に示す浸透圧生錠剤等を受ける。さらに凹所34は、はめあい式に挿入またはスリーブ40、例えば、図1および2に示すシリンダー状チューブ等を受ける。該スリーブ40は、好ましくは、カプセル22に使用されるような硬いまたは不浸透性材料から作成され、ピストンおよびカプセル22の内部表面の間の可動性シールの効果を助ける。例えば、該スリーブ40はポリカーボネート、ポリスルホン、ポリスチレン、またはアセタール、例えば、DELRIN(Du Pont)から形成され得る。該スリーブ40も、不活性な材料、例えばステンレス鋼またはチタンから作成され得る。
【0056】
該スリーブ40は、該凹所34に挿入され、該凹所34の直径に少なくとも適合する外径を有する。該凹所34は該スリーブ40を受けるので、該スリーブ40の外部表面の形状が、該凹所34の形状に適合または一致するのが好ましい。例えば、該凹所34および該スリーブ40は、両方シリンダー状である。該スリーブ40の壁の厚さが、該凹所34内の空間をあまり占有しないように薄いのも好ましい。一般に、該スリーブ40の壁の厚さは、該スリーブに十分な硬さを付与し、カプセル22の内部表面とのピストンのシールを保持するために十分に厚くなければならない。
【0057】
該スリーブ40は、凹所34がはめあい式にスリーブ40を受けるようなサイズである。ピストン体32の外径を増大させるのが望ましい例において、もしピストン体が弾性体材料から形成されているならば、スリーブ40の外径が凹所34の直径より大きくても、該スリーブ40がそこへ挿入されるとき、ピストン体32は放射状に外側に湾曲する。図1に示す実施態様において、スリーブ40の縦方向の長さは、ピストン体32における凹所34の縦方向の深さに実質的に等しい。
【0058】
該スリーブ40は任意の数の様々な形状およびサイズであってよいが、好ましくは該スリーブ40が挿入される凹所34の形状およびサイズと適合し得ることが理解される。例えば、スリーブ40は、カップ形状またはシェブロン様の形状であってよい。特に浸透圧送達システム20の作動中に流体に溶解する浸透圧性錠剤が使用されるならば、一般に、該スリーブ40は、ピストンが移動するにつれてピストン体32の寸法およびシーリング力を安定化する。さらに、該スリーブ40が、オスモティックデリバリー装置20の貯蔵中に、有益物質24が浸透圧性物質26に拡散することを防止するのを助ける。
【0059】
該スリーブ40は、好ましくは、該カプセル22の内部表面と可動性シールをもたらすことにおいて、ピストン体32に助力するために凹所34に挿入される。該ピストン体32は、好ましくは、可撓性および弾力性であるので、該ピストン体32がカプセル22に挿入された後に、該ピストン体32の壁は凹所32の中心方向に変形する。該凹所34の開口部31へ好ましくは硬いスリーブ40を挿入することによって、該スリーブがはめ合い式に受けられ、ピストン体32の壁が過度に中心方向に該凹所34に向かって変形せず、ピストン30の外部表面およびカプセル22の内部表面の間に形成されたシールは保持される。
【0060】
図6および7は、スリーブのさらなる実施態様を示す。図6および7によって示されるように、スリーブ240はカップ、例えばキャップおよびシンブル等の形状である。該スリーブ240は、該ピストン232に挿入され、該浸透圧性物質226は、カップ形状スリーブ240によって形成される凹所に挿入される。スリーブ240は、不活性で硬い材料から製作され得、ピストンが不浸透性であることを確保する。
【0061】
図1に示すピストン30はスリーブ40を含むが、ある例において、ピストン体32の材料が、カプセル22の内部表面およびピストン体32の間の満足なシールをもたらすのに十分に硬い場合、凹所34にスリーブ40を含むことは必須ではない。この場合、スリーブ40は、凹所34に挿入される必要はない。一般に、壁の厚さおよびピストン体32の構造的性質は、シールを定義する場合の補助のために硬いスリーブ40が必要か否か決定し、それは実験的手段によって決定され得る。
【0062】
該浸透圧性物質26は、凹所34内に少なくとも部分的に位置する。好ましくは、浸透圧性物質26の総重量の多くは、凹所34内に位置する。該浸透圧性物質26は、完全に凹所34内に位置してもよく、または凹所34から部分的に延長し得る。図1に示すように、浸透圧性物質26の体積は、凹所34の体積より大きいので、該浸透圧性物質は凹所34から、ピストン30および半透性体28の間に位置する隙間または空間54へ延長する。該浸透圧性物質26は、図5に示すような隙間54を完全に満たし、または図1に示すように隙間54を部分的にのみ満たし得る。
【0063】
該ピストン体32は、好ましくは射出成形品である。しかし、該ピストン体32は様々な方法によって形成され得る。例えば、該ピストン体32は、押し出し、反応射出成形、回転成形、熱成形、圧縮成形、および他の既知の方法によっても作成され得る。もし射出成形法を使用してピストン体32が形成するならば、エゼクターピンまたはコアを使用して凹所34を形成することもでき、様々な長さおよびサイズのエゼクターピンまたはコアを容易に交換し、様々なサイズの凹所34を形成し、ピストン30の凹所34によって受けられる浸透圧性物質の量を制御可能に変化させ得る。さらに、ピストン体が凹所無しで形成された後であっても、該凹所34はピストン体32に形成され得る。例えば、シリンダーの半製品を形成し、より小さいシリンダーへと薄く切り取り得る。その後、シリンダー状のセクションをピストン体から除去し、ピストン体32における凹所34を形成し得る。
【0064】
さらに、該ピストン体32は、必ずしも図3に示す単一の構造であることはない。シリンダー状チューブを平らな円形ディスクに結合し、カップ形状のピストン30を定義し得る。さらに、スリーブ40は、カップ形状であってよく、リブを有する弾性体チューブは、スリーブのシリンダーの外側表面の周囲を包み、ピストン30を定義し得る。
【0065】
ピストン体32は、液体に対して実質的に不浸透性であり、該浸透圧性物質および半透性体28を通して浸透する液体が、該ピストン体32を通して拡散せず、浸透圧性物質26の反対側のピストン30の側に位置する有益物質24に影響を及ぼさず、そして有益物質はピストン体32を通して拡散せず、浸透圧性物質26の性能に影響を及ぼさない。
【0066】
ピストン体32の凹所34は、浸透圧性物質26の少なくとも一部を受けるので、以前のシステムと比較して、該浸透圧送達システム20の総体積が、有効に利用され得る。すなわち、半透性体および凹所を有しない既知のピストンの間に浸透圧性物質26が位置するよりも、該浸透圧性物質は少なくとも部分的に該ピストン内に位置し、該カプセル22内の空間は効率的に利用される。該空間効率のよいピストン30は、通常のピストンよりも、浸透圧送達システム20のカプセル22においてより小さい空間を占める。該ピストン30がカプセル22内においてより小さい空間を占めるので、ピストンによって占められる余分の空間を収容するために、カプセル22の内部の内部体積を、増大させるとしても、過度に増大させる必要はない。故に、該ピストン30を使用するとき、カプセル内の浸透圧性物質または有益物質の量は過度に変化しない。浸透圧送達システム20のこの特徴によって、有益物質24の一定状態の放出が得られ得る時間の量が、通常のピストンを含む以前の浸透圧送達システムよりも増大する。さらに、該ピストン30が以前のピストンよりもより小さい体積を占めるので、浸透圧送達システム20のカプセル22の総内部体積が減少し、ヒトまたは動物への埋め込みに適する密閉系が提供され得る。
【0067】
浸透圧送達システムからの有益物質の継続的またははく動性の送達の期間を増大させるために、通常のピストンを利用する既存の浸透圧送達システムと共に、該ピストン30を使用し得る。これは、該凹所34がさらなる浸透圧性物質を受け、または既存の浸透圧性物質が該凹所34内に位置し、該デリバリーシステムがさらなる有益物質を保持することができるからである。どれだけ量の浸透圧性物質が、有益物質を浸透圧送達システムから持続的に放出するために必要であるか決定する要因は、F. Theeuwes and S. I. Yumによる記載、 Principles of the Design and Operation of Generic Osmotic Pumps for the Delivery of Semisolid or Liquid Drug Formulations ANNALS OF BIOMEDICAL ENGINEERING 41, 1976, at 343-353において記載されており、引用をもって本明細書の一部とする。
【0068】
本発明の1つの実施態様の浸透圧送達システム20を組みたてるときに、該スリーブ40を、ピストン30の凹所34にまず挿入する。次に、該ピストン30をカプセル22の第1の開口部51に挿入する。ひとたび浸透圧性物質ペレットまたは錠剤を形成すると、それは凹所34内に位置し、該スリーブ40の中空の内部が浸透圧性物質26を受ける。もし該浸透圧性物質が粉末製剤であれば、該凹所34に注ぐことができる。該浸透圧性物質がカプセル22内に位置した後に、半透性体28を第1の開口部に挿入し、密閉系21の第1の末端50を仕切る。組みたて工程のこの段階で、該浸透圧性物質26を、半透性体28およびピストン体32の間に位置させる。次に、該有益物質24をカプセル22の第2の開口部53に挿入し、該有益物質をピストン30に直接的に隣接させる。その後、栓様の構成員42を第2の開口部に挿入し、密閉系21の第2の末端を仕切り、浸透圧送達システム20を完成する。
【0069】
図5は、本発明の浸透圧送達システム120の別の実施態様を示す。浸透圧送達システム20の利点および機能の前記および後記の考察も、該浸透圧送達システム120に当てはまる。そして、図4に示す浸透圧送達システムに、浸透圧送達システム20と対応する参照数字が付されており、100プラスされている。図4に示す浸透圧送達システム120も、後記でさらに記載されるように、多くのさらなる特徴および固有の機能を含む。
【0070】
図5に示すように、該浸透圧送達システム120は、半透性体128が挿入された開口部を有する、長い実質的にシリンダー状のカプセル122を含む。該半透性体128は、カプセル122の第1の末端150における開口部に挿入されたカップ形状の膜である。
【0071】
浸透圧性物質126は、カプセル122内にも位置し、粉末製剤である。該浸透圧性物質126は、スリーブ140のように、ピストン体132の凹所によって受けられる。該浸透圧性物質126は粉末製剤であるから、一般に、ピストン体132および半透性膜128の間の空間または隙間の全部を占める。次に、浸透圧性物質の粉末製剤は、ピストン体132および半透性膜128の間の空間を効率的に利用する。
【0072】
浸透圧送達システム120のカプセル122は、第2の末端152において送達口144を定義する。カプセル122から離れた位置にデスペンスされる有益物質を送達するカテーテルまたはチューブ160を、該送達口144に結合する。故に、該浸透圧送達システム120は、図1に示すアイテム42のような送達口を有する栓様構成員を含まない。
【0073】
本発明を、その好ましい実施態様について詳細に記載したが、様々な変更をなし、本発明の精神および範囲から離れることなく等価物を使用することができることは、当業者にとって明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有益物質を保持するための内部を有するカプセルであって、該内部が内部表面を有し、該カプセルがまた第1の開口部及び第2の開口部を有する前記カプセル;
前記内部に位置する浸透圧性物質;
前記カプセルの第1の開口部内に受け入れられた半透性体;
前記カプセルの内部に位置したピストンであって、(i)該カプセルの内部表面について可動性であり、(ii)前記カプセル内に適合するように構成されているシリンダー状の形状を有し、(iii)該浸透圧性物質を該有益物質から隔離する該カプセルの内部表面との可動性シールを定義し、及び(iv)該浸透圧性物質の少なくとも一部を受ける凹所を有する前記ピストン;並びに
前記カプセルの第2の開口部内に受け入れられた送達口構成員
を含む浸透圧送達システム。
【請求項2】
前記凹所がシリンダー状である、請求項1に記載の浸透圧送達システム。
【請求項3】
前記ピストンが、前記内部表面との前記シールを実現する少なくとも1つのリブを含む、請求項1に記載の浸透圧送達システム。
【請求項4】
前記カプセルが、シリンダー状のチューブを含む、請求項1に記載の浸透圧送達システム。
【請求項5】
前記半透性体が半透性の栓を含み、該半透性の栓が前記第1の開口部内に位置する、請求項4に記載の浸透圧送達システム。
【請求項6】
前記浸透圧性物質が錠剤を含む、請求項1に記載の浸透圧送達システム。
【請求項7】
前記凹所内に位置するスリーブをさらに含み、該スリーブが、該浸透圧性物質を受ける中空の内部を有する、請求項1に記載の浸透圧送達システム。
【請求項8】
前記スリーブが、カップ形状である、請求項7に記載の浸透圧送達システム。
【請求項9】
前記浸透圧性物質が該凹所の外部にも位置する、請求項1に記載の浸透圧送達システム。
【請求項10】
前記カプセルの内部に位置する有益物質をさらに含む、請求項1に記載の浸透圧送達システム。
【請求項11】
前記スリーブが金属から形成される、請求項7に記載の浸透圧送達システム。
【請求項12】
前記カプセルがチタン又はチタン合金から形成される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の浸透圧送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−183737(P2009−183737A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94205(P2009−94205)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【分割の表示】特願2000−591975(P2000−591975)の分割
【原出願日】平成11年12月21日(1999.12.21)
【出願人】(503130459)インターシア セラピューティクス,インコーポレイティド (4)
【Fターム(参考)】