説明

空間形成物

【課題】本発明は、空間形成物を形成する新規の単位部材の提案にある。
【解決手段】本発明は、柱形成用の部材Aおよび部材Bと梁形成用の部材Cを組み合わせた空間形成物において、部材Aの表面と部材Bの裏面は部材Cの端部契合部を上下に契合する溝契合部がX、Y方向に設けられ、部材Aの裏面と部材B表面には互いに契合可能な接続契合部が設けられ、部材Cは部材Aと部材Bとの間に契合する端部契合部と直線状とされた梁部からなり、部材A、部材C、部材Bを順次重ね、最終段を部材A、部材Cとする柱と梁部からなる空間形成物である。最少の部材で空間形成物の柱、梁を形成できるよう、部材A、部材Bと部材Cを上記の形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種用途に使用される空間形成物にかかわる技術に属する。
【背景技術】
【0002】
地下に単位部材を組立て、空間形成物を構成し、その周囲をシート類で覆った雨水等の流出抑制を目的とする、雨水貯留浸透施設が普及している。この目的のため各種の異なる形状の単位部材が例えば特開昭62-101097、特開昭62-126179、特開平9-296486、特開平10-252108、特開平10-115778、特開平11-43971、特開平11-222886などに提案且つ使用されている。いずれの方法も単位部材を地下に配列し、その周囲を透水性若しくは遮水性のシートで包み、その内部空間に雨水等を貯留する浸透・貯留施設とするものであった。
またかかる空間形成物にヘドロを充填し、その上部を駐車場あるいは公園などとして使用する提案も特開2004-313861になされている。
それらの単位部材に変わる新しい単位部材を用いた空間形成物の提案にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62-101097
【特許文献2】特開昭62-126179
【特許文献3】特開平9-296486
【特許文献4】特開平10-252108
【特許文献5】特開平10-115778
【特許文献6】特開平11-43971
【特許文献7】特開平11-222886
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、空間形成物を形成する新規の単位部材の提案にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、柱形成用の部材Aおよび部材Bと梁形成用の部材Cを組み合わせた空間形成物において、部材Aの表面と部材Bの裏面は部材Cの端部契合部を上下に契合する溝契合部がX、Y方向に設けられ、部材Aの裏面と部材B表面には互いに契合可能な接続契合部が設けられ、部材Cは部材Aと部材Bとの間に契合する端部契合部と直線状とされた梁部からなり、部材A、部材C、部材Bを順次重ね、最終段を部材A、部材Cとする柱と梁部からなる空間形成物である。最少の部材で空間形成物の柱、梁を形成できるよう、部材A、部材Bと部材Cを上記の形状とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、(1)部材Aと部材Bの間に部材Cを契合する契合溝部をX、Y方向に設けたため柱部と梁部からなる空間形成物の最小単位が形成できる。(2)さらに部材Bと部材Aとを上下に契合できる接続契合部を設けたため本単位を更に上方に伸ばしていくことができる。(3)部材Cを端部契合部と直線状の梁部から形成したため柱部間の距離が固定される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、部材Aの例を示す概念図である。
【図2】は、部材Bの例を示す概念図である。
【図3】は、部材Cの例を示す概念図である。
【図4】は、部材A、部材Bおよび部材Cを用いる空間形成物の組立て手順の例を示す概念図である。
【図5】は、空間形成物の壁部、天井部を覆った状態を示す概念図である。
【図6】は、空間形成物を雨水等の貯留浸透槽として使用する例を示す。
【図7】は、空間形成物をヘドロ処理施設として使用する例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を、図を用いて、より詳細に説明する。
図1は、部材Aの斜視図と表裏の平面図および側面図である。
部材Aは柱形成部材の一つであり後述する部材Bとともに本空間形成物の柱部を形成するとともに梁部を支える。
図では部材Aは正方形でその表面および裏面にはX、Y方向に溝が設けられている。表面に設けられた溝は、後述する部材Bの裏面に設けた溝と併せ部材Cの契合部と契合する契合溝部である。
裏面に設けられた溝は部材Bを上方に契合するための接続契合部である。
なお部材Aの側面に設けられた溝は壁溝であって、壁材を嵌めるために利用される。
【0009】
図2は、部材Aの斜視図と表裏の平面図および側面図である。
部材Bの外形は部材Aと同形の正方形であり、その表面には部材Aの裏面に設けた溝部と契合する突部が接続契合部として設けられている。
その裏面にはX、Y方向に溝部が契合溝部として設けられている。前述した部材Aの表面に設けた契合溝部と共に部材Cの端部契合部を契合して固定する。なお部材Bの側面に設けられた溝は壁溝であって部材Aの側面に設けた壁溝と直線状に繋がるように設けられている。
【0010】
部材A、部材Bの中心には貫通孔が設けられているが、この貫通孔は部材Cの端部契合部に係止部を設けた場合その係止部の収納部となる。本収納部の大きさ形状によっては貫通孔である必要はない。X、Y方向に設けた契合溝部の先に設ける凹部であってもよく、係止部の形状に応じて定めることができる。
【0011】
図3は、部材Cを示す概念図である。本空間形成物の梁部を形成する。部材Cはその両端が部材Aと部材Bとに設けられた契合溝部に挿入嵌め込まれる端部契合部であり、必要に応じて端部契合部には図3Cに示すような係止部が設けられる。
梁部は断面十字状あるいは菱形等適宜変更できる。天井板あるいは床板を載置するためには両側に翼のある十字状断面とし、雨水貯留など砂泥の堆積を防止するためには図3bに示す菱形など翼部が斜面となる形状とする。
【0012】
図4は、部材A、部材Bおよび部材Cを用いた空間形成物の形成手順を示す図である。部材A間に部材Cの端部契合部を部材Aの表面にX、Y方向に設けた契合溝部に嵌め、さらに部材Bを部材Bの裏面に設けた契合溝部を部材Cの端部契合部に嵌める。以下その繰り返しで必要な高さまで組み上げる。最終段は部材Cを嵌めたところで留める。
【0013】
壁材はその端部の厚みは、部材Aと部材Bの側面に設けた壁溝に嵌る厚みとされ、長さは部材Cの梁部の長さと壁溝の深さの2倍したものとの和となり、幅は部材A、部材Bの高さに等しくすることで空間形成物を側面からふさぐことができる。
【0014】
床天井板は部材Cの梁部の長さを一辺とする正方形となる。
天井部は図4a、図4bに示す断面十字形とされた部材Cを使用し、翼部に床天井板を載置する。必要に応じ各梁部に床天井材を使用することもできる。
【0015】
壁材、床天井材は要求される空間形成物の用途に応じて透孔を設け、あるいはリブで形成するなど適宜変更することができる。
【0016】
図5aは、空間形成物の側部、天井部を覆った状態を示す概念図である。本空間形成物を地上に設ける場合には、図5bに示すように、空間形成物の側部および柱部の両側を壁材で覆った状態とすることができる。柱部の両側を壁材で覆い壁材の間にモルタルなどの接着剤、ガラスウールなどを充填し、本空間形成物の強度向上、断熱性向上に資することができる。
【0017】
以下本空間形成物の利用分野に付き説明する。
図6は、空間形成物の側面、底部、上部をシート類で覆い、地下に埋設し雨水等の一時貯留を目的とする水槽として利用する例を示している。
図6に示すように必要な付帯設備とし、泥だめ枡、流入管、溢流管、あるいはオリフィスますを配置して利用する。
【0018】
図7は、空間形成物の側面、底部、上部を透水シートで覆い、河川あるいは湖沼の近くの地下に埋設し、ヘドロを充填し、透水シートを介して水分を浸透させヘドロ中に含まれる水分を減少させる目的に使用する。上部を公園、駐車場などとして利用可能なため、水分が減少するまでの時間を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
雨水の流出抑制施設である貯留槽、浸透槽としてあるいはヘドロを長期間にわたって貯留し、徐々に水分を減少させる施設として利用可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 部材A
2 部材B
3 部材C
11 契合溝部
12 接続契合部
14 端部契合部
15 梁部
16 係止部
17 貫通孔
18 壁溝
4 壁材
5 床材・天井材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱形成用の部材Aおよび部材Bと梁形成用の部材Cを組み合わせた空間形成物において、部材Aの表面と部材Bの裏面は部材Cの端部契合部を上下に契合する溝契合部がX、Y方向に設けられ、部材Aの裏面と部材B表面には互いに契合可能な接続契合部が設けられ、部材Cは部材Aと部材Bとの間に契合する端部契合部と直線状とされた梁部からなり、部材A、部材C、部材Bを順次重ね、最終段を部材A、部材Cとする柱と梁部からなる空間形成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−172317(P2012−172317A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32690(P2011−32690)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】