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空間形成用型枠
説明

空間形成用型枠

【課題】所定の延長にわたる略円形断面のトンネル空間の外形を形成可能な組立、解体が簡易に行える空間形成用型枠を提供する。
【解決手段】充填されたグラウトモルタル等の硬化により、充填領域が形成される区画内に設置され、充填領域内に形成されるトンネル等の空間の外形となる外周袋体11と、内部が所定圧エアで満たされて円筒状に保形された筒状袋体とを備える。数種の直径からなる筒状袋体12A、12B、12Cを外周袋体11内に配列して収容する。これを型枠として、充填領域内に形成されるトンネル等の外形形状を外周袋体11で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空間形成用型枠に係り、地中に存在する地下空洞の充填作業等において、小規模な開口部を介して型枠の搬入搬出が容易で、また地下空洞の形状変化に応じた組立てが容易な、トンネル等の長手方向の連続した空間を形成可能な空間形成用型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば火山地帯に位置する地域では、都市部においても地下の一部に、自然形成された地下空洞としての風穴が存在している。風穴は、過去の火山の噴火活動の溶岩流に伴って形成された自然地下空間であるが、地盤内で比較的広域に形成された不定形な大地下空洞であるため、風穴の存在する地域の地上部に構築される建築物等の設計では、建物の直下に風穴が位置しないような設計を行ったり、杭基礎によって風穴の存在による影響を最小限となる設計を行っている。
【0003】
近年、これら風穴等の地下空洞上に構築された既存建物の耐震性能の向上のため、風穴等の地下空洞を、所定強度を有するセメント系充填材等で充填する補強工が進められている。この場合、風穴は自然形成された比較的不定形で広域にわたる地下空洞であるため、充填工は必要な領域に対する部分的なものとなる。このため、地下空洞内を隔壁等で区画し、その領域を充填材等で閉塞する充填工を行うことが多い。ところで、地下に広がる地下空洞内全域を効率よく調査するためには、充填領域で分断された地下空洞間を連絡可能な点検用横坑を、充填領域内に設けることが好ましい。
【0004】
このためには、地下空洞を閉塞する充填工に先だって、その領域を通過できるような点検用横坑を構築するための型枠を組み立てておく必要がある。ところが、従来、これらの地下空洞への出入りは、点検者が昇降可能な程度の人孔を設けている程度であり、地下空洞内への資機材や型枠材料の搬入、搬出は困難である。このため、この人孔を介して搬入搬出が行え、狭い地下空洞内においても組立設置、解体が容易な型枠等の開発が求められていた。
【0005】
この問題点に関連して、出願人は暗渠構築のために繊維補強されたゴム状弾性体からなる筒状の袋体を掘削した溝内に横置きし、その袋体内に圧力流体を充満させて所定の断面と延長とを確保可能な型枠とした、地下中空構造物構築用筒状袋体と、この袋体を用いた地中中空構造物の構築方法を提案している(特許文献1参照)。
【0006】
この筒状袋体からなる型枠を用いることにより、中空構造物27を構築する際、袋体1の内部に水等の圧力流体を充填して膨張させるだけで、中空構造物27の内壁面27aに対応した形状にすることができる。このため、内壁面27aを形成するための型枠を使用する必要がなく、型枠を設置する手間を省くことができる。また、袋体は従来の型枠に比べ、軽量であるため、中空構造物27を構築後に、袋体1の内部の圧力流体を排出して、外形を収縮させ、容易に袋体1を中空構造物27の内壁面27aの内側から移動して撤去することができ、さらに暗渠の延長方向の次工程箇所に移動させて所定形状に膨張させて連続して用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−59258公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示した袋体は、単一の筒状をなす袋体で暗渠断面を構成するため、コンパクトな型枠材料で、その組立、解体が容易で、地下空洞内で用いる型枠として有効なものといえる。しかし、特許文献1の袋体は、暗渠内径を精度を確保するために、袋体内の圧力流体の内圧を高圧にする必要がある。その場合、高圧内圧が加わると、袋体の材質がゴム状弾性体を主素材であるため、膨張時に延長方向において中央部の直径が端部の直径より大きくなる傾向にある。そのため、円柱形状の全長を大きくできない。このため、1回のコンクリート打設によって施工できる延長が短いという問題がある。
【0009】
また、上述したような点検用横坑では、点検者が通行できるだけの空間を確保できれば、その施工精度は高くなくても、1回での施工延長が長い方が好ましい。その場合でも、型枠材料の現場への搬入経路が狭いため、コンパクトな型枠材料であって、その組立、解体が容易であることが好ましい。そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、所定の延長にわたる略円形断面のトンネル空間の外形を形成可能な組立、解体が簡易に行える空間形成用型枠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は充填された材料の硬化により、構造体が形成される区画内に設置され、前記構造体内に形成される空間の外形となる外周袋体と、内部が流体で満たされて所定筒状に保形された筒状袋体とを備え、前記筒状袋体を、前記外周袋体内に配列して収容し、前記構造体内に形成される空間の外形形状を前記外周袋体で形成するようにしたことを特徴とする。
【0011】
前記筒状袋体は、複数個の円筒形状体からなり、前記筒状袋体の一部が前記外周袋体の内周面に内接するように、前記複数本の筒状袋体を密接して配列し、前記外周袋体内に収容させることが好ましい。
【0012】
前記筒状袋体は、その内部を所定内圧の空気で満たして円筒形状体とすることが好ましい。
【0013】
前記筒状袋体は、前記区画内の設置位置に扁平状態で搬入され、前記区画内で所定の円筒形状に膨張させて組み立てられ、前記外周袋体内に配列、収容することが好ましい。
【0014】
前記外周袋体は、前記構造体内に形成される空間の外形形状をなすように、前記区画内の基礎面上に固定することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上に述べたように、本発明によれば、地中に存在する地下空洞の充填作業等において、小規模な開口部を介して型枠の搬入搬出が容易で、また地下空洞の形状変化に応じた組立てが容易な、トンネル等の長手方向の連続した空間を形成可能な型枠を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の空間形成用型枠を基礎コンクリート上に設置した状態を示した横断面図。
【図2】図1に示した空間形成用型枠の断面と縦断方向の外周袋体の一部を切欠いて示した部分斜視図。
【図3】筒状袋体の構成(エア注入の前後)を示した概略斜視図。
【図4】図1に示した空間形成用型枠の変形例を示した横断面図。
【図5】外周袋体の延長方向外形図及び外周袋体内の筒状袋体の収容状態を示した縦断面図。
【図6】空間形成用型枠を用いた充填領域内での施工手順を示した説明図。
【図7】空間形成用型枠を用いた充填領域内での施工手順を示した説明図。
【図8】空間形成用型枠を地下空洞内の充填領域内に設置し、充填領域内を通過する点検用横坑を構築する工事の施工手順を示した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の空間形成用型枠の実施するための形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0018】
図1は本発明の空間形成用型枠の横断面、図2は空間形成用型枠の長手方向の構成の一部が分かるように、空間形成用型枠の断面と縦断方向の外周袋体(後述する)の一部を切欠いて示した部分斜視図である。
【0019】
本実施例の空間形成用型枠は、図8(c)に示したような地下空洞1としての風穴内に、点検用横坑9となるトンネル空間を構築することを想定したものである。この点検用横坑9の内径はφ=約1.6mを想定しており、そのため空間形成用型枠10の外周袋体は展開時に同直径となるものが利用されている。本実施例では既製品としての外径φ1.6mの風管を外周袋体11として、予定する点検用横坑9全長にわたり敷設した。なお、風管の製品長が横坑9の施工延長より短い場合には、液密性を保持できる程度の通常の接続方法で複数本の風管を連結して使用すればよい。外周袋体11としての風管は既製品であるが、その素材は塩化ビニル樹脂ターポリンからなる。このため、外周袋体11を型枠として使用し、外周面にモルタル等が付着した場合にも剥離が容易である。そして、図1に示したように、外周袋体11の内部には、その内周面に内接するように、直径φ0.6mの支持用の5個の筒状袋体12Aが1個のφ0.4mの中央筒状袋体12Cを中心として互いに接するように収容されている。さらに隣接する筒状袋体12A間と外周袋体11の内周面との間には2個の保形用の筒状袋体12Bが外周袋体11の内周面に接するように収容されている。なお、以下の説明において、直径、配置の異なる筒状袋体12A、12B、12Cを特定しないで総称する場合には、符号12を付して筒状袋体12と記す。
【0020】
外周袋体11内に収容される各筒状袋体12は、図3(a),(b)に示したように、内部に所定空気を注入した略円筒形状体からなり、その全長は3〜5mで、その施工性から特定長の筒状袋体12を選択できる。これら筒状袋体12は、内部に空気を注入する前は、同図(a)に示したように扁平袋体をなし、この一端に設けられたバルブ13にエアポンプ14から延びた注入ホース13のノズル(図示せず)を装着し、所定内圧(たとえば0.1N/mm2程度)で袋体が略円筒形状となるまでエア注入し、バルブ13を密栓する。この程度の内圧を加えることにより、エア注入後の筒状袋体12は、同図(b)に示したように、細長い円筒形となる。この所定内圧のエアが注入され形成された細長い円筒形をなす筒状袋体12は、図1のように外周袋体11内に配列して収容された状態にあって、外周袋体11に作用する外圧に対して、互いの筒状袋体12が接した状態で変形しないで、その断面形状を保持することができる。
【0021】
この筒状袋体12は、図1に示したように、各種の直径の各筒状袋体12の一部が外周袋体11の内周面の数点で接して、外周袋体を内側から支持できるように配列されている。これにより外周袋体11は、その直径の円形にほぼ近似した断面形状を保形することできる。すなわち、外周袋体11は、正確な円形断面ではなく、内部に収容され、外周袋体11に内接する筒状袋体12との接点において、その筒状袋体12と接した部分で保形されている。このため、外周袋体11は、筒状袋体12との内接箇所数だけの多角形となっている。
【0022】
図1に示した各種の筒状袋体12の直径、収容数、配列は外周袋体11を、効率よくほぼ円形形状に保形させるための一例である。このとき、外周袋体11内に収容する筒状袋体12はあらかじめ上述したような円筒形状体に膨張させておき、それらを外周袋体11内に順に詰め込むようにして外周袋体11が略円形形状となるようにすることが好ましい。たとえば、図1に示した配列の場合、中央筒状袋体12Cと支持用の筒状袋体12Aの直径が、1個の中央筒状袋体12Cの周囲に5つの支持用の筒状袋体12Aを外周袋体11内に配列した際に、支持用の筒状袋体12Aの一部が外周袋体11に内接し、その5カ所の内接箇所で、外周袋体11を角の丸まった五角形とすることができる。次いで、隣接した筒状袋体12A間に保形用の小直径の筒状袋体12Bを2個並べて詰めるように収容することで、外周袋体11をより円形に近い形状にすることができる。この保形用の筒状袋体12Bとして、さらに小直径のものを3個用いて、三角形状に並べるように配列しても良い。
【0023】
図4は、保形用の筒状袋体12の変形例を示した断面図である。この変形例では、保形用の筒状袋体12Dは完全に膨張させない程度までエア注入した状態で図示した各位置に挿入するように配置する。その後、さらに筒状袋体12D内にエア注入することにより、外周袋体11の内周面との密着面が十分確保され、隣接している筒状袋体12Aにも接触した、やや扁平な略半円断面形状に膨張する。この結果、図3に示したように、外周袋体11は、図1の場合に比べて、より円形断面に近い形状にすることができる。
【0024】
以上の説明では、各筒状袋体12内にエア注入することを述べたが、水等の非圧縮性流体を注入することも可能である。その場合には、筒状袋体12の1本当たりの重量が大きくなるため、注入前の扁平な筒状袋体12をあらかじめ外周袋体11内に収容しておき、送水ポンプ14、注水ホース15を介してタンク16(図3(a))等に貯水した水を筒状袋体12内に供給(注水)するようにしても良い。
【0025】
次に、外周袋体11の延長方向の保形構造について、図5(a),(b)を参照して説明する。上述したように、外周袋体11としては、形成する空間の内径に適合した直径の既製品の風管を用いることが便宜であるが、風管は延長方向に展開した際に、所定の直径で保形されるように、保形用の被覆鋼線等の線材17が風管の膜材と一体なるように取り付けられている。外周袋体11を独自に製造して空間形成用型枠10に適用する場合にも、同様の保形用の線材17を膜材に一体的に組み込むことが好ましい。その例としては、図5(a)に示したリング状の線材17を延長方向に所定間隔をあけて取り付けたり、図5(b)に示したように、螺旋状の線材17を取り付けることが好ましい。なお、図5(b)の例では、線材17は2条螺旋となるように取り付けられている。
【0026】
このように外周袋体11自体、保形性能を有するが、型枠として外圧に抵抗するために、内部に複数本の筒状袋体12を配列し、略円形断面形状を保持する。ところで、空間形成用型枠10は、延長方向に所定の距離にわたり敷設される。このとき、外周袋体11は延長方向のどの位置においても、略円形断面形状を保持する必要がある。一方、外周袋体11内に収容される筒状袋体12は、図3(b)に示したように、単位長さがあらかじめ決まっている。このため、延長方向に複数本を配置した場合に、図2に示したように、延長方向において、連結されることなく、継ぎ目のように不連続に外周袋体11内に収容される。したがって、型枠として外周袋体11が外圧に抵抗し、略円形断面形状を保持するためには、各筒状袋体12の継ぎ目に相当する位置が延長方向において、一カ所に集中しないようにすることが好ましい。このため、本発明では、各筒状袋体12の隣接位置は、図2に示したように、その隣接位置をずらして配置されている。図5(c)は、図5(a),(b)を例とした外周袋体11に対応した縦断面における各筒状袋体12の延長方向での配置例を示した概略図である。このように外周袋体11内で各筒状袋体12の継ぎ目がずれるように配置することにより、外周袋体11の外圧に対する変形抵抗性を均一に確保することができる。
【0027】
ここで、上述した空間形成用型枠10を基礎コンクリート2上等に固定する手段について、図1、図2を参照して説明する。
空間形成用型枠10は、均しコンクリートや基礎コンクリート2上の所定位置に固定する必要がある。この固定手段としては、図1に示したように、外周袋体11の両側の基礎コンクリート2の所定位置に設置された後打ちアンカー20に取り付けられた2カ所のリングボルト21を固定部として、外周袋体11に沿ってワイヤ22を掛け渡し、ワイヤ22の両端をリングボルト21に固定する。この固定手段は、予定している点検用横坑9(図6(c)、図8(c)等参照)のルートに沿って空間形成用型枠10の延長方向に所定間隔をあけて設置する。ワイヤ22が外周袋体11を傷つけるおそれがある場合には、樹脂被覆ワイヤあるいは布製バンド等を用いることが好ましい。
【0028】
上述した空間形成用型枠10を用いて、その周囲にコンクリート等の充填材料を施工してその中に点検用横坑9などのトンネル状の空洞を構築する工程について、図6,図7を参照して説明する。
上述したような、地下空洞1を充填する材料としては、その周囲の地盤強度と同等の強度を確保でき、また地下空洞1に充填材料を満たしたことにより、その直下地盤に沈下を生じさせないようにすることが必要である。本実施例では、地下空洞1の充填材料としてグラウトモルタル5を採用しているが、このほか、充填材料の軽量化を図るためにモルタルに大量の空気を連行したエアモルタルやエアミルク、気泡混合軽量土、流動化処理土等を用いることも好ましい。
【0029】
図6各図は、基礎コンクリート2の所定位置に固定された空間形成用型枠10の周囲空間に充填材料としてのグラウトモルタル5を打設する手順を示した説明図である。図6(a)は打設前の型枠設置時を示している。この状態から同図(b)に示したように、空間形成用型枠10の周囲にグラウトモルタル5を打設する。このとき、筒状袋体12内にエアを充填して構成された空間形成用型枠10の単位体積質量は、その周囲に打設されるグラウトモルタル5の単位体積質量より小さい。このため、グラウトモルタル5を空間形成用型枠10の周囲に打設する際、打設したグラウトモルタル5の自重が空間形成用型枠10を下向きに抑える力として作用する高さ(空間形成用型枠10の高さの1/2)以上までは型枠の浮き上がり現象がないこと、固定用ワイヤに加わる張力が過大にならないように注意した作業を進める。
【0030】
同図(c)に示したように、空間形成用型枠10が完全にグラウトモルタル5内に埋設され、所定の打設深さまでグラウトモルタル5の打設が終了後、所定の養生期間を経て、グラウト部分の強度が確保されたら、脱型を行う。まず、エア注入された筒状袋体12のエアを抜いて各筒状袋体12を扁平にして外周袋体11内から引き出す。搬出口となる人孔の直径以下の大きさまで折り畳んで坑外に搬出する。その後、外周袋体11の保形用の線材17を緩め、グラウトモルタル5に密着している外周袋体11をグラウトモルタル5から剥離するようにして横坑内で畳み込み、筒状袋体12と同様に坑外に搬出する。
【0031】
図7各図は、地下空洞1の天井面3側から支持サポート25を組み立てることで、グラウトモルタル5を打設した際の空間形成用型枠10の浮き上がりを防止するようにした施工手段、手順を示している。同図(a)に示したように、基礎コンクリート2上に設置された空間形成用型枠10と地下空洞1の天井面3との間の空間に軽量鉄骨、木材等で支持サポート25を組み立てて、空間形成用型枠10を上方から基礎コンクリート2上の所定位置に固定する。その後、同図(b)に示したように、上述したように、打設したグラウトモルタル5の自重が空間形成用型枠10を下向きに抑える力として作用する高さ(空間形成用型枠10の高さの1/2)以上まで打設し、グラウトモルタル5が所定の強度に達した段階で、支持サポート25を撤去することができる。支持サポート25を撤去しても空間形成用型枠10の周囲に打設されたグラウトモルタル5の自重及び硬化したことによる周囲の拘束により、空間形成用型枠10は位置保持されている。したがって、同図(b)に示した未充填の地下空洞1にグラウトモルタル5の打設ホース(図示せず)を配管し、同図(c)に示した状態まで空間充填すればよい。また、図6(c)の場合と同様に、グラウトモルタル5の打設が終了し、所定の養生期間を経て、グラウト部分の強度が確保されたら、脱型を行う。脱型の手順も、上述のように、複数本の筒状袋体12を外周袋体11から引き出して折り畳んでコンパクトにして、人孔等の狭い搬出口から搬出すればよい。
【0032】
図8各図は、建物直下に地下空洞1として存在していた風穴内を充填して地盤強度を高めることを目的とした耐震工事の施工の流れを示した説明図である。この建物4はこの杭基礎Pによって支持されているが、建物4の耐震性を高めるために、建物4直下に存在する地下空洞1を充填して閉塞する工事を想定している。この工事において、本発明の空間形成用型枠10を、地下空洞1の充填領域7内で点検用横坑9を構築するために使用した例について、以下説明する。
【0033】
図8(a)に示したように、既存の風穴(以下、地下空洞1と記す。)が存在する地盤の地上部には建物4が構築されている。また、同図には建物4の直下の地下空洞1の点検のために構築された既設の人孔6が示されている。この人孔6を使って建物4直下の地下空洞1を充填することが工程上、好ましい。そこで、まず、地下空洞1の充填領域7を区画する隔壁8を構築する。そしてこの区画された領域に充填材としてのグラウトモルタル5を注入する。このとき、定期的な地下空洞1の状況調査のため、この充填領域7と隔壁8を貫通し、充填していない他の領域の地下空洞1へ抜けられる点検用横坑9を構築することが好ましい。この点検用横坑9の構築のために、本発明の空間形成用型枠10を使用する。本実施例では、充填領域7内を貫通する程度の延長を有する外周袋体11と、その内部に収容する多数の筒状袋体12とを、折り畳んだ状態で、人孔6から地下空洞1内に搬入する。そして、基礎コンクリート2上に外周袋体11を延長方向に延在させるとともに、エア注入した各種の直径からなる多数本の筒状袋体12を外周袋体11内に挿入して収容し、図1に示した空間形成用型枠10を、隔壁8と人孔6との間で組み立てて、基礎コンクリート2上に固定する(図8(b))。その後、たとえば図6(b)、(c)に示したように、充填領域7内にグラウトモルタル5を充填する。そしてグラウトが所定強度発現後に、外周袋体11内から筒状袋体12を取り出す。その際、上述したように、各筒状袋体12のエア抜きを行いながら、筒状袋体12を外周袋体11内から取り出せば、その後、人孔6から迅速に搬出することができる。また、最後にトンネル状に形成された空間のグラウトモルタル5面が露出するように、円周方向に展開してあった外周袋体11を取り除く。最終的に、図8(c)に示したように、充填領域7内に点検用横坑9が構築される。供用時には、人孔6から下りてきた点検者は、この点検用横坑9内を通過して、隣接した地下空洞1内に移動できる。このような点検用横坑9を、各所の充填領域7に設けておくことで、各充填領域内を通過して、地下に広域にわたって存在する地下空洞1を行き来でき、点検作業を効率よく行うことができる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、仮設ダム、仮設堤防、シールドトンネル発進立坑等の各種構造物における監査廊(点検用通路)、洪水吐、仮設水路、作業空間等の各種目的を有する空間形成に適用することが可能である。そして、発明は各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、各請求項に示した範囲内で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0035】
1 地下空洞
2 基礎コンクリート
4 建物
5 グラウトモルタル
9 点検用横坑
10 空間形成用型枠
11 外周袋体
12 筒状袋体
20 アンカー
22 ワイヤ
25 支持サポート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填された材料の硬化により、構造体が形成される区画内に設置され、前記構造体内に形成される空間の外形となる外周袋体と、内部が流体で満たされて所定筒状に保形された筒状袋体とを備え、前記筒状袋体を、前記外周袋体内に配列して収容し、前記構造体内に形成される空間の外形形状を前記外周袋体で形成するようにしたことを特徴とする空間形成用型枠。
【請求項2】
前記筒状袋体は、複数個の円筒形状体からなり、前記筒状袋体の一部が前記外周袋体の内周面に内接するように前記複数本の筒状袋体を密接して配列し、前記外周袋体内に収容したことを特徴とする請求項1に記載の空間形成用型枠。
【請求項3】
前記筒状袋体は、内部が所定内圧の空気で満たされ、円筒形状体を構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空間形成用型枠。
【請求項4】
前記筒状袋体は、前記区画内の設置位置に扁平状態で搬入され、前記区画内で所定の円筒形状に膨張させて組み立てられ、前記外周袋体内に配列、収容されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の空間形成用型枠。
【請求項5】
前記外周袋体は、前記構造体内に形成される空間の外形形状をなすように、前記区画内の基礎面上に固定されたことを特徴とする請求項1に記載の空間形成用型枠。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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