説明

空間通信装置

【課題】複数の目標物の位置が接近した場合においても高い識別性を備えるとともに、パルス列などの変調信号に対する応答性を兼ね備えた空間通信装置を得る。
【解決手段】電波信号送信部(12)と、スキャナ(13)と、スキャナ制御部(14)と、光受信部(17)と、信号処理部(18)とを有する質問機(10)と、電波信号受信部(21)と、応答機情報発生部(23)と、変調信号発生部(24)と、光源(25)とを有する1つ以上の応答機(20)とを備え、光受信部は、単素子の受光素子により構成され、スキャナ制御部は、スキャナを制御することで、受信視野を2次元スキャンするとともに、スキャナの角度情報を送信し、信号処理部は、復調処理後の信号に含まれている個人情報に基づいて、応答機を識別するとともに、角度情報に基づいて、識別した応答機の方向を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像視野内における目標の識別を目的とした空間通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置としては、例えば、質問機と応答機を備えた以下のような空間通信装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1における空間通信装置では、まず、質問機から電波もしくは光波の質問信号を送信する。一方、応答機側では、質問機から送信された質問信号を受信し、光波による応答信号を質問機に向けて送信する。
【0003】
そして、質問機側では、応答機から返送される応答信号を受信し、目標の識別を行っている。ここで、質問機側において、応答機から返送される応答信号を受信するカメラには、応答信号の光波のみを透過する光フィルタが設置されており、背景光との識別を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-157479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような従来の空間通信装置では、次に示す課題があった。
複数の目標物の位置が接近していた場合には、応答信号が同じ位置から送信されたとみなされる。このため、受信カメラで撮像した画像からは、複数の目標物のそれぞれの位置を弁別することが困難であるという問題がった。
【0006】
このとき、応答機側から送信する応答信号にパルス列などの変調信号をかけて、質問機側の受信カメラで変調信号を受信することができれば、複数の目標物のそれぞれの位置を弁別することが可能となる。しかしながら、一般的な受信カメラでは応答性が低く、応答信号の識別が困難であるという問題があった。
【0007】
また、応答信号と同様の波長の背景光があった場合には、質問機側の受信カメラでは、応答機側から送信される応答信号と同様に、背景光が受信されてしまう。したがって、応答信号による信号成分と背景光による雑音成分との比である受信SN比が劣化し、目標の識別が困難になるという問題があった。
【0008】
このような受信SN比の劣化の問題に対しては、応答信号の送信パワーを上げることができれば、受信SN比を改善することができる。しかしながら、送信パワーを上げることで、応答信号用の送信機が大きくなるという問題、さらには、人の目に安全な送信パワーの制限を越えてしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、複数の目標物の位置が接近した場合においても高い識別性を備えるとともに、パルス列などの変調信号に対する応答性を兼ね備えた空間通信装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る空間通信装置は、1つの質問機および1つ以上の応答機を備えた空間通信装置であって、質問機は、質問信号を電波信号により送信する電波信号送信部と、電波信号に対する応答として、応答機からのレーザ光である応答信号を受信するために、受信視野をスキャンするスキャナと、スキャナを制御するためのスキャナ制御部と、スキャナによりスキャンされた応答信号を、受信レンズを介して受信する光受信部と、光受信部で受信された応答信号を電気信号に変換した後、復調処理する信号処理部とを有し、1つ以上の応答機のぞれぞれは、質問機から送信される質問信号を電波信号として受信するとともに、受信を知らせるトリガ信号を生成する電波信号受信部と、応答機の個体情報を生成する応答機情報発生部と、電波信号受信部で生成されたトリガ信号のタイミングで、応答機情報発生部で生成された個人情報をもとに変調信号を発生させる変調信号発生部と、変調信号発生部で発生された変調信号に基づいて変調された送信レーザ光を発生させる光源とを有し、質問機内の光受信部は、単素子の受光素子により構成され、質問機内のスキャナは、2次元スキャン機能を有し、質問機内のスキャナ制御部は、スキャナを制御することで、受信視野を2次元スキャンするとともに、信号処理部にスキャナの角度情報を送信し、質問機内の信号処理部は、復調処理後の信号に含まれている個人情報に基づいて、1以上の応答機の中のいずれの応答機からの応答信号であるかを識別するとともに、スキャナ制御部から受信した角度情報に基づいて、識別した応答機の方向を特定するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る空間通信装置によれば、質問信号を電波信号とし、応答信号をレーザ光信号とし、さらに、光受信部を単素子タイプで構成して2次元スキャンされた受信視野を逐次受信する構成を備えることにより、複数の目標物の位置が接近した場合においても高い識別を備えるとともに、パルス列などの変調信号に対する応答性を兼ね備えた空間通信装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における空間通信装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の空間通信装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における空間通信装置の構成図である。図1における本実施の形態1の空間通信装置は、質問機10と応答機20とを備えて構成されている。質問機10は、電波信号からなる質問信号を、ある所定の空間領域に送信する機能を有している。一方、応答機20は、質問機10からの質問信号に対し、光信号により応答する機能を有している。
【0015】
ここで、質問機10は、送信位置検出部11、電波信号送信部12、スキャナ13、スキャナ制御部14、光フィルタ15、受信レンズ16、光受信部17、および信号処理部18を有している。このような質問機10としては、例えば、スキャナ13としてMEMSスキャナ、光受信部17として高速トランスインピーダンスアンプ付InGaAs APDといったものを用いることが考えられる。
【0016】
一方、応答機20は、電波信号受信部21、受信位置検出部22、応答機情報発生部23、変調信号発生部24、光源25、姿勢検出部26、および照射方向設定部27を有している。このような応答機20としては、例えば、光源25として、波長1.5μm帯半導体レーザダイオードといったものを用いることが考えられる。
【0017】
次に、本実施の形態1における空間通信装置の各構成要素の機能について説明する。
図1において、質問機10内の送信位置検出部11は、いわゆるGPSのようなものであり、質問機10自身の空間的な位置を検出する。そして、電波信号送信部12は、送信位置検出部11で検出された位置情報を含む情報をコード化し、このコードで変調された電波信号を規定の方向に規定の拡がり範囲で、質問信号として送信する。
【0018】
一方、応答機20内の電波信号受信部21は、電波信号送信部12から送信された電波信号を受信する。そして、電波信号受信部21は、この信号を受信したタイミングと同期した所定のある遅延時間の後、トリガ信号を変調信号発生部24に送る。さらに並行して、電波信号受信部21は、受信した電波信号に含まれている位置情報に基づいて、照射方向設定部27に対し、質問機10の位置を知らせる。
【0019】
また、受信位置検出部22は、いわゆるGPSのようなものであり、応答機自身の空間的な位置を検出して、この位置情報信号を発生する。また、応答機情報発生部23は、応答者のシリアル番号をはじめとした個体情報を、応答機情報信号として発生する。
【0020】
また、変調信号発生部24は、電波信号受信部21から受信したトリガ信号に同期して、受信位置検出部22から得た応答機20の位置情報、および応答機情報発生部23から得た応答機情報をコード化した変調信号を発生する。そして、変調信号発生部24は、この変調信号に基づいて、光源25の出力に対し強度変調をかける。
【0021】
また、光源25は、変調信号発生部24により変調を受けた送信レーザ光を出力する。また、姿勢検出部26は、応答機20の空間における姿勢状態を検出し、この姿勢情報を照射方向設定部27に送る。そして、照射方向設定部27は、光源25から得た送信レーザ光を、電波信号受信部21から得た質問機10の位置情報、受信位置検出部22から得た応答機20の位置情報、および姿勢検出部26から得た姿勢情報に基づいて設定された方向の空間に対し送信する。
【0022】
これに対して、質問機10内のスキャナ13は、スキャナ制御部14により所定の角度で2次元にスキャンされ、受信レンズ16および光受信部17により決まる受信視野を2次元スキャンする。また、スキャナ制御部14は、スキャナ13の動きを制御するとともに、スキャナ13の角度情報を信号処理部18に逐次送る。また、光フィルタ15は、受信レンズ16に入射される光信号の内、所定の波長成分のみを透過させ、他の波長成分を除去する。
【0023】
また、光受信部17は、スキャナ13、光フィルタ15、受信レンズ16を介し受信された受信光を、直接検波により電気領域からなる受信信号に変換し、この受信信号を、信号処理部18に送る。
【0024】
そして、信号処理部18は、光受信部17からの受信信号を電気信号に変換した後、復調をかけるとともに、復調後の信号が応答機20からの信号であるか否かの識別を行う。さらに、信号処理部18は、この識別結果を、スキャナ制御部14から得たスキャナ角度情報と対応させ、各角度方向における応答機20の有無を識別する。
【0025】
次に、図1に示した本実施の形態1の空間通信装置の一連動作について説明する。
まず、質問機10は、電波信号からなる質問信号を、ある所定の空間領域に送信する。この際、送信位置検出部11は、質問機10自身の空間的な位置を検出して、この位置情報を、例えば、0もしくは1のビットによりコード化し、このコードで変調された電波信号を、電波信号送信部12から規定の方向に規定の拡がり範囲で送信する。
【0026】
次に、変調された電波信号の拡がり範囲内に応答機20が存在する場合、電波信号受信部21は、この電波信号を受信して前記コードを復調し、この復調信号を受信タイミングに同期させた同期信号として、変調信号発生部24に送る。さらに並行して、電波信号受信部21は、復調により得られた質問機10の位置情報信号を照射方向設定部27に送る。
【0027】
さらに、受信位置検出部22は、応答機20自身の空間的な位置を検出して、この位置情報信号を発生する。また、応答機情報発生部23は、応答者の氏名をはじめとした応答機情報信号を発生する。そして、変調信号発生部24は、応答機20の位置情報および応答機情報を、0もしくは1のビットでコード化した変調信号を発生する。
【0028】
そして、変調信号発生部24は、この変調信号に基づいて、光源25の出力に対し、前記ビットに対応したON・OFFの強度変調をかける。また、姿勢検出部26は、応答機20自身の空間における姿勢状態を検出し、この姿勢情報を照射方向設定部27に送る。
【0029】
次に、光源25は、変調信号発生部24により変調を受けた送信光を応答信号として発生し、照射方向設定部27に送る。そして、照射方向設定部27は、質問機10の位置情報、応答機20の位置情報、および応答機20の姿勢情報から、送信光の拡がり角の範囲内に質問機10が含まれるための送信光の照射方向を求め、この方向に送信光を照射する。
【0030】
送信された光は、所定の角度で拡がりながら伝搬するが、この際、質問機10がこの拡がり角の範囲内となるように、送信光が照射されている。この結果、質問機10の受信視野内に、照射方向設定部27の送信箇所が含まれる状態において、応答機20から送信された応答信号が、質問機10により受信されることとなる。
【0031】
質問機10は、上述した質問信号の送信と並行して、スキャナ13をスキャナ制御部14により所定の角度で2次元にスキャンし、受信レンズ16および光受信部17により決まる受信視野を2次元スキャンする。
【0032】
このスキャンにおいて、照射方向設定部27の送信箇所が、質問機10の受信視野内に含まれる状態になると、光受信部17は、スキャナ13、光フィルタ15、受信レンズ16を介し受信された受信光を、直接検波により電気領域からなる受信信号に変換する。そして、光受信部17は、変換後の受信信号を信号処理部18に送る。一方、スキャナ制御部14は、スキャナ13の動きを制御するとともに、スキャナ13の角度情報を信号処理部18に逐次送っている。
【0033】
そして、信号処理部18は、光受信部17からの受信信号に対して復調をかけるとともに、復調後の信号が応答機20からの信号であるか否かの識別を行う。さらに、信号処理部18は、この識別結果を、スキャナ制御部14からのスキャナ角度情報と対応させ、各角度方向における応答機20の有無を識別する。
【0034】
このように、本実施の形態1によれば、質問信号を電波信号としている。これにより、比較的広い送信の指向性を実現でき、一度に広域に対する質問信号の送信が可能となる。一方、応答信号をレーザ光信号としている。これにより、応答信号の指向性を高くすることができ、通信の秘匿性を高めることが可能となる。
【0035】
さらに、単一の受信視野を2次元スキャンする構成を備えている。これにより、受信系に2次元カメラを用いた場合と同様に、応答信号の有無を各角度方向に対して判別できる。
【0036】
さらに、2次元アレイ素子タイプのカメラとは異なり、光受信部17は、単素子タイプで構成されている。これにより、光受信部17に含まれる電気回路に関し、0もしくは1のビットでの変調に対する応答速度を高くすることが可能となる。
【0037】
例えば、2次元カメラであれば、応答速度は、せいぜい30Hz程度である。また、この30Hzの応答速度を上げるには、2次元アレイ化された高速電気回路が必要であり、非常に高コストとなる。これに対し、本発明のように単素子タイプの光受信部17を用いれば、電気回路を高速化することは容易である。
【0038】
例えば、光ファイバ通信に用いられている単素子タイプの光受信部17のビットに対する応答速度は、市販レベルでも既に1GHzを超えている。したがって、単素子タイプの光受信部17を備えた本発明の実施の形態1に係る空間通信装置により、2次元カメラでは困難だった大容量の情報を含む応答信号を送ることが可能となる。
【0039】
さらに、2次元アレイ素子タイプのカメラの場合、受光素子を高感度なAPDとすると、歩留まりの関係上、価格が大幅に上昇する問題があった。これに対して、本発明では、光受信部17が単素子タイプであるため、価格上昇を抑えた上で、受光素子として高感度なAPDを用いることができ、光受信部17での受信感度も高くすることが可能である。
【0040】
また、2次元アレイ素子タイプのカメラの場合、アレイ中の1画素が故障すると、その画素が不感知領域となるため、アレイの全素子が正常動作する必要がある。これに対して、本発明のように単素子タイプの光受信部17を用いることで、この1素子が正常でありさえすればよく、不感知領域を無くすことが容易となる。
【0041】
さらに、2次元アレイ素子タイプのカメラの場合、捜索範囲全体の捜索レートがビデオレートである30Hzで制限される。これに対して、本発明のように単素子タイプの光受信部17を用いることで、スキャン速度を速くして捜索レートを上げることが可能になるとともに、光受信部17の応答速度も非常に速くできる。この結果、スキャンレートを上げて応答信号が受信視野内に入る時間が短くなったとしても、大容量の通信にさほど制限を受けないという効果も得ることができる。
【0042】
なお、上述したようにスキャン速度を速くすると、スキャナ制御部14が大きく、かつ高価になり、さらに、スキャナ13の寿命に問題が生じる場合がある。しかしながら、このような問題に対しては、図1に示すように、スキャナ13に2次元MEMSスキャナを用いることで、高速スキャンを長寿命で実現することが可能となる。
【0043】
また、光フィルタ15の通過波長をコード情報の1つとして利用し、質問機10および応答機20の2つにおいてのみ、そのコード情報を既知としておくことで、通信の秘匿性をさらに高めることができる。すなわち、質問機10側から見たスキャン範囲内に不要な光信号を発する物体があったとしても、この不要な光信号を発する物体には、前記通過波長を知るすべがないため、不要な光信号がフィルタの通過波長と一致している可能性は、極めて低い。したがって、このような光フィルタ15を用いることで、通信の秘匿性をさらに高めることが可能となる。
【0044】
また、本発明に係る空間通信装置では、質問機10から質問信号を送信し、応答機20で受信し、応答機20から応答信号を送信し、質問機10で受信する、という一連の信号の流れが同期している。したがって、この同期タイミングをコード情報として利用することも可能である。
【0045】
例えば、電波信号受信部21から変調信号発生部24にトリガ信号を送る際の遅延時間を、ある所定値に設定しておき、質問機10側で、質問信号を送信してからこの値以上遅れて受信された信号のみを応答信号として識別する。このような識別処理により、検出された信号が所望のものであるか否かの識別確度をさらに向上させることができる。
【0046】
なお、上述した実施の形態1においては、質問機10に対して応答機20が1つの場合の、1対1の通信を行う場合について説明した。しかしながら、本発明は、このような1対1の通信に限定されるものではない。本発明の空間通信装置では、各角度方向における応答機20の有無を判定し、さらに、応答機20の応答機情報を得ている。
【0047】
したがって、応答機情報を各々において変えておけば、複数の方向に多数の応答機20がある場合においても、それらを区別することが可能である。すなわち、本発明は、応答機20の個数が2つ以上の場合の1対多数の通信を行う場合においても、適用可能である。
【0048】
また、上述した実施の形態1においては、送信位置検出部11により得られた質問機10の位置情報、姿勢検出部26からの姿勢情報、および受信位置検出部22からの応答機20の位置情報を用いて、照射方向設定部27によりレーザ光の照射方向を設定していた。しかしながら、本発明は、このような照射方向の設定に限定されるものではない。
【0049】
質問機10と応答機20との相対位置関係が、あらかじめある程度既知である場合には、送信位置検出部11、受信位置検出部22、姿勢検出部26、および照射方向設定部27を取り除き、レーザ光の照射方向をある規定の一方向に固定することも可能である。これにより、装置構成をシンプルにして、装置を廉価にできる。
【0050】
以上のように、実施の形態1によれば、質問信号を電波信号とし、応答信号をレーザ光信号としている。この結果、比較的広い送信の指向性と、応答信号の指向性向上の両立を図り、複数の目標物の位置が接近した場合においても、個々の応答信号を受信して弁別し、目標物を識別することができる。さらに、背景光を受信する光量を低減でき、背景光による雑音成分を軽減し、応答信号送信機の小型化を実現することができる。
【0051】
さらに、実施の形態1によれば、光受信部を単素子タイプで構成している。この結果、応答速度を高くできるとともに、不感知領域の発生確率を低減することができ、装置の信頼度を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0052】
10 質問機、11 送信位置検出部、12 電波信号送信部、13 スキャナ、14 スキャナ制御部、15 光フィルタ、16 受信レンズ、17 光受信部、18 信号処理部、20 応答機、21 電波信号受信部、22 受信位置検出部、23 応答機情報発生部、24 変調信号発生部、25 光源、26 姿勢検出部、27 照射方向設定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの質問機および1つ以上の応答機を備えた空間通信装置であって、
前記質問機は、
質問信号を電波信号により送信する電波信号送信部と、
前記電波信号に対する応答として、前記応答機からのレーザ光である応答信号を受信するために、受信視野をスキャンするスキャナと、
前記スキャナを制御するためのスキャナ制御部と、
前記スキャナによりスキャンされた前記応答信号を、受信レンズを介して受信する光受信部と、
前記光受信部で受信された前記応答信号を電気信号に変換した後、復調処理する信号処理部と
を有し、
前記1つ以上の応答機のぞれぞれは、
前記質問機から送信される前記質問信号を電波信号として受信するとともに、受信を知らせるトリガ信号を生成する電波信号受信部と、
前記応答機の個体情報を生成する応答機情報発生部と、
前記電波信号受信部で生成された前記トリガ信号のタイミングで、前記応答機情報発生部で生成された前記個人情報をもとに変調信号を発生させる変調信号発生部と、
前記変調信号発生部で発生された前記変調信号に基づいて変調された送信レーザ光を発生させる光源と
を有し、
前記質問機内の前記光受信部は、単素子の受光素子により構成され、
前記質問機内の前記スキャナは、2次元スキャン機能を有し、
前記質問機内の前記スキャナ制御部は、前記スキャナを制御することで、前記受信視野を2次元スキャンするとともに、前記信号処理部に前記スキャナの角度情報を送信し、
前記質問機内の前記信号処理部は、前記復調処理後の信号に含まれている前記個人情報に基づいて、前記1以上の応答機の中のいずれの応答機からの応答信号であるかを識別するとともに、前記スキャナ制御部から受信した前記角度情報に基づいて、識別した前記応答機の方向を特定する
ことを特徴とする空間通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空間通信装置において、
前記質問機は、
質問機自身の空間的な位置を質問機側位置情報として検出する送信位置検出部
をさらに有し、
前記質問機内の前記電波信号送信部は、前記質問機側位置情報を付加した電波信号を送信し、
前記1つ以上の応答機のぞれぞれは、
応答機自身の空間的な位置を応答機側位置情報として検出する受信位置検出部と、
応答機自身の空間における姿勢情報を検出する姿勢検出部と、
前記光源から得た前記送信レーザ光を、空間内の特定方向に送信する照射方向設定部と
を有し、
前記応答機内の前記電波信号受信部は、受信した前記電波信号から前記質問機側位置情報を抽出し、
前記応答機内の前記照射方向設定部は、前記電波信号受信部21から得た前記質問機側位置情報、前記受信位置検出部22から得た前記応答機側位置情報、および前記姿勢検出部から得た前記姿勢情報に基づいて前記送信レーザ光を送信すべき前記特定方向を特定する
ことを特徴とする空間通信装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の空間通信装置において、
前記質問機は、
前記受信レンズに入射される応答信号の内、所定の波長成分のみを透過させ、他の波長成分を除去する光フィルタ
をさらに有し、
前記応答機内の前記光源は、前記光フィルタを透過する波長成分を有する送信レーザ光を発生させる
ことを特徴とする空間通信装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空間通信装置において、
前記応答機内の前記電波信号受信部は、前記質問機から前記質問信号を受信した後、所定時間だけ遅延したタイミングで前記トリガ信号を生成し、
前記質問機内の前記信号処理部は、前記質問信号を送信後、前記所定時間が経過した後に受信した信号を応答信号として識別する
ことを特徴とする空間通信装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−237059(P2011−237059A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106578(P2010−106578)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】