説明

穿刺デバイスならびにそれを構成するランセットアッセンブリおよびインジェクターアッセンブリ

【課題】採血後に、穿刺部材の先端部をその周囲から可及的に隔離した状態にしてインジェクターから取り外せる穿刺デバイスを提供する。
【解決手段】(a)ランセット101および保護カバー102を有するランセットアッセンブリ100、ならびに
(b)インジェクターボディ内に配置されたプランジャー204およびプッシャー206を有し、ランセットを発射するインジェクターアッセンブリを有する穿刺デバイスにおいて、
(1)ランセットは、ランセットボディ、ランセットキャップおよび穿刺部材を有し、
(2)保護カバーは、ランセットボディ104の前方部分114の周囲に配置され、保護カバーの前端開口部に所定箇所を押し当てて穿刺した後、穿刺部材に沿って前方に移動でき、
(3)プランジャーは、所定箇所を穿刺するようにランセットボディを発射し、
(4)プッシャーは、穿刺後保護カバーを前方に押して穿刺部材に沿って前方に移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液、例えば血液を採取するために、身体の所定の部位を鋭利な穿刺部材、例えば針によって穿刺するために使用する穿刺デバイスならびにそれを構成するランセットアッセンブリおよびインジェクターアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
糖尿病患者の血糖値を測定するために、微少量の血液を採取するために種々の穿刺デバイスが使用されている。そのようなデバイスは、ランセットおよびインジェクターから構成され、身体の所定箇所を穿刺する穿刺部材を有するランセットを、そのようなランセットを所定箇所に向かって発射するインジェクターに組み込み、インジェクター内で圧縮されたバネが伸長する作用を利用してランセットを所定箇所に向けて発射することによって用いる。
【0003】
このような穿刺デバイスを用いて採血する場合、使用後のランセットの取扱に特に注意する必要がある。穿刺した後のランセットでは、通常、穿刺部材の先端部は、採血者の血液が微量付着した状態でランセットボディから露出している。例えば、この先端部に、被採血者本人以外の人(例えば採血作業を実施する看護師)の身体の一部分が誤って触れた場合、先端部がその部分を傷付けてその傷口から被採血者の血液が被採血者以外の人の体内に入り込み、その結果、その人が感染症にうつってしまうという危険性がある。
【0004】
公知の穿刺デバイスでは、穿刺後のランセットの取り扱いについては、必ずしも十分に検討されておらず、例えば穿刺後に露出した穿刺部材の先端部にキャップを被せることが提案されている(後述の特許文献1参照)。このデバイスでは、キャップを被せるために、先端部が露出した状態のランセットを取り扱う必要があり、この意味では、上述の危険性が解消されていない。
【0005】
従って、穿刺デバイスにおいては、穿刺後のランセットの取り扱いが非常に重要であり、穿刺した後に、より安全な状態となった後にランセットを取り扱うことができる穿刺デバイスが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許明細書第5385571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
穿刺した後に、穿刺部材の先端部がランセットボディから突出した状態のままで、インジェクターから外されるのではなく、突出した先端部をその周囲から可及的に隔離した状態にした後、インジェクターから取り外せる穿刺デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の要旨において、本発明は、
(a)ランセットおよび保護カバーを有して成るランセットアッセンブリ、ならびに
(b)インジェクターボディならびにその中に配置されたプランジャーおよびプッシャーを有して成り、ランセットボディを発射するインジェクターアッセンブリ
を有して成る穿刺デバイスであって、
(1)ランセットは、ランセットボディ、ランセットキャップおよび穿刺部材を有して成り、穿刺部材はランセットボディおよびランセットキャップにまたがってこれらの中に存在し、穿刺部材の先端部はランセットキャップによって包囲され、
(2)保護カバーは、ランセットボディの前方部分の周囲に配置され、保護カバーの前端開口部に所定箇所を押し当てた状態で穿刺した後、穿刺部材に沿って前方に移動でき、
(3)プランジャーは、ランセットボディの後端部を保持し、突出した穿刺部材の先端部が所定箇所を穿刺するようにランセットボディを発射し、
(4)プッシャーは、穿刺後、ランセットボディの周囲に配置された保護カバーを前方に押して、穿刺部材に沿って前方に移動させる
ことを特徴とする穿刺デバイスを提供する。
【0009】
第2の要旨において、本発明は、
ランセットおよび保護カバーを有して成るランセットアッセンブリであって、
(1)ランセットは、ランセットボディ、ランセットキャップおよび穿刺部材を有して成り、穿刺部材はランセットボディおよびランセットキャップにまたがってこれらの中に存在し、穿刺部材の先端部はランセットキャップによって包囲され、
(2)保護カバーは、ランセットボディの前方部分の周囲に配置され、穿刺すべき所定箇所を押し当てる開口部を前端に有し、穿刺後にあっては、穿刺部材に沿って前方に移動できる
ことを特徴とするランセットアッセンブリを提供する。
【0010】
第3の要旨において、本発明は、
インジェクターボディならびにその中に配置されたプランジャーおよびプッシャーを有して成り、前方部分が保護カバーによって包囲され、また、穿刺部材の先端部が突出した状態にあるランセットボディを発射するインジェクターアッセンブリであって、
(1)プランジャーは、ランセットボディの後端部を保持し、突出した穿刺部材の先端部が所定箇所を穿刺するようにランセットボディを発射し、
(2)プッシャーは、穿刺後、ランセットボディの前方部分の周囲に配置された保護カバーを前方に押して穿刺部材に沿って前方に移動させ、
(3)インジェクターボディは、穿刺に際して、保護カバーの前端開口部がインジェクターボディの前端よりも前方に位置した状態となるように保護カバーを位置決めする保持手段を有する
ことを特徴とするインジェクターアッセンブリを提供する。
【0011】
以下に本発明を説明するが、その説明において考慮する「前」および「後」の方向は、ランセットを発射する方向、即ち、ランセットが移動する方向を基準にする。即ち、穿刺のためにランセットが移動する方向(従って、穿刺部材の露出した先端部が所定穿刺部位に向かって移動する方向)を意味するとき、「前」、「前向き」または「前方向」なる用語を用い、それと丁度反対の方向を意味するとき、「後」、「後向き」または「後方向」なる用語を用いる。そして、「上」および「下」なる用語は、上述の「前」および「後」に対して垂直な方向であって、参照する図面を基準に考えるものとする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の穿刺デバイスを用いる場合、穿刺後にランセットをインジェクターアッセンブリから外す時は、ランセットボディから突出する穿刺部材の先端部は、保護カバーによって包囲されているので、より安全になった状態のランセットを取り扱うことが可能となる。
【0013】
また、従来のランセットアッセンブリを用いる場合、インジェクターボディの前端開口部に穿刺すべき所定の箇所に押し当てるので、所定箇所をインジェクターボディの前端開口部から離す際、滲出した血液の一部分がインジェクターボディの前端内側に付着する可能性がある。穿刺後のインジェクターアッセンブリから使用済みのランセットアッセンブリを外して、次の穿刺のために新たなランセットアッセンブリを装填する。
【0014】
インジェクターボディの前端内側に血液が付着したまま状態で、最初の穿刺の患者とは異なる次の患者の所定の箇所を穿刺する場合、穿刺によって滲出した血液(次の患者の血液)に、付着している血液(最初の患者の血液)が混入し得るという問題がある。更に、次の患者に形成された穿刺傷部が付着している血液(最初の患者の血液)に触れる場合が有り得る。最初の患者が感染症に感染している場合は、傷部を介して次の患者が感染し得るという問題がある。このような問題を解消するには、穿刺が終了してランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリから外した後で、インジェクターボディの前端内側への血液の付着の有無を確認し、付着している場合には拭き取ればよい。しかしながら、そのような確認作業は煩雑である。しかも、付着している血液量は微量である可能性が大きく、その場合、綿密な確認作業が要求され、そのための労力は多大なものとなる。また、拭き取る作業も完全に拭き取ることが必要となり、そのために細心の注意が要求される。
【0015】
本発明の穿刺デバイスまたはランセットアッセンブリでは、穿刺に際して、穿刺すべき所定の箇所(即ち、穿刺所定箇所)を保護カバーの前端開口部に押し当てるので、滲出した血液がインジェクターボディの前端内側付近に付着する可能性は大きく減少する。もし、滲出した血液が付着するとすれば、付着する箇所は保護カバーの前端内側付近が考えられる。しかしながら、穿刺後、保護カバーはランセットボディから前向きに突出する穿刺部材の先端部の周囲に位置するように移動させ、その後、インジェクターアッセンブリから外して廃棄できるので、保護カバーに付着した血液が上述のような問題の発生を最小限にできる。
【0016】
更に、保護カバーの前端開口部に穿刺すべき所定箇所を押し当てることができるので、手のひらのような比較的広大な箇所に穿刺傷を形成する場合であっても、特別なアタッチメントを使用することなく、穿刺すべき箇所の周囲を確実に位置決めして押圧することができ、また、そのような押圧によって穿刺の際に滲出する血液量をより多くすることができる。特に、保護カバーを透明なプラスチック材料で形成すると、保護カバーを介して穿刺すべき箇所およびその周辺を見ることができるので穿刺すべき箇所に的をしぼるのがより容易になるので好都合である。
【0017】
このように手のひらで採血する場合、一般的に指先を穿刺する場合よりも感じる痛みが小さく、それを知ったうえで採血する場合、痛みを感じることに関連する被採血者の緊張感が緩和される。また、保護カバーが透明であると、保護カバーが穿刺部位を押圧した状態で、保護カバーを介して穿刺部位(例えば手のひら)からの出血の状況を確認することができる。出血量が不十分であると、保護カバーを採血部位に押し付ける力を大きくして出血量を増やすことができる。
【0018】
保護カバーが透明でないと、出血量が分からない状態で、穿刺部位を押圧している保護カバーを穿刺部位から外して出血量を確認する必要があり、出血量が少ないと、穿刺部位が中央付近に位置するように保護カバーを位置決めして再度押圧する必要があるが、そのような位置決めは容易ではない。場合によっては、出血量の確認およびその後の位置決めに時間を要すると、再度押圧しても出血量が増えず、再度穿刺する必要が生じ得る。保護カバーが透明であると、再度穿刺する必要性を可及的に減少させることができる。この意味で、本発明において保護カバーが透明であるのが好ましい。特に手のひらからの採血に際しては、一般的に出血量が少ないことが多いので、透明な保護カバーは特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の穿刺デバイスに使用できるランセットアッセンブリを斜視図にて示す。
【図2】図2は、図1のランセットアッセンブリの手前側半分のうち上側半分を切除した状態で斜視図にて模式的に示す。
【図3】図3は、本発明のランセットアッセンブリを構成するランセットを斜視図にて、模式的に示す。
【図4】図4は、本発明のランセットアッセンブリを構成する保護カバーを斜視図にて模式的に示す。
【図5】穿刺後、保護カバーが前方に移動した後のランセットアッセンブリの状態を斜視図にて模式的に示す。
【図6】図6は、図5のランセットアッセンブリの手前側半分のうち上側半分を切除した状態で斜視図にて模式的に示す。
【図7】図7は、本発明の穿刺デバイスに使用できるインジェクターアッセンブリの外観を斜視図にて模式的に示す。
【図8】図8は、インジェクターアッセンブリのインジェクターボディを構成するボディハーフを斜視図にて模式的に示す。
【図9】図9は、図7に示したインジェクターアッセンブリの手前のボディハーフを除去して内部の様子が分かるようにした斜視図を模式的に示す。
【図10】図10は、インジェクターボディの前端部に嵌め込まれる保持部材を斜視図にて模式的に示す。
【図11】図11は、深さ調節部材を斜視図にて模式的に示す。
【図12】図12は、プランジャーの斜視図を模式的に示す。
【図13】図13は、プッシャーの斜視図を模式的に示す。
【図14】図14は、インジェクターボディ内においてプランジャーとプッシャーとを組み合わせる状態を斜視図にて模式的に示す。
【図15】図15は、ランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリに挿入して、ランセットボディの後端部がプランジャーのアーム間に接近する様子を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図16】図16は、ランセットボディの後端部がプランジャーのアーム間で完全に把持された状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図17】図17は、図16の状態からプランジャーが後方に移動して、プランジャーの突起がトリガー部材の後方に位置する状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図18】図18は、図17の状態から、ランセットアッセンブリを挿入する力を解除して、トリガー部材の後端部にプランジャーの突起が当接している状態、即ち、ランセットアッセンブリの装填が完了した状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図19】図19は、ランセットアッセンブリにおいてランセットキャップを捻転によって除去している様子であり、それによって、ランセットの発射準備完了となる状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図20】図20は、プレスボタンを押し込んでランセットが発射される瞬間の状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図21】図21は、ランセットが発射されて、穿刺部材の先端部がインジェクターアッセンブリの開口部から突出している状態、即ち、所定箇所を穿刺している状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図22】図22は、穿刺が終了して、ランセットが後退した後の状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図23】図23は、穿刺が終了したランセットボディに対して、保護カバーを前方に移動させるために、プッシュバーを前方に押してプッシュバーのアームが保護カバーの後端部に当接した状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図24】図24は、図23の状態からプッシュバーを更に前方に押すことによって、保護カバーを前方に移動させ、それによって、ランセットボディの突出部が保護カバーの開口部に嵌り込んだ状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【図25】図25は、図24の状態からプッシュバーを更に前方に押すことによって、プランジャーのアームの前端部がランセットボディの後端部を解放した状態を、図9と同様に、模式的斜視図にて示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の穿刺デバイスを添付図面を参照して説明する。尚、本発明のランセットアッセンブリ、インジェクターアッセンブリおよび穿刺デバイスにおいて、穿刺部材は一般的には金属製(例えばステンレススチール製)であり、穿刺時を含み、穿刺の前後にランセットを移動させるエネルギーを発生するためのスプリング(またはバネ)は、いずれの適当な材料でできていてもよく、例えばプラスチック製、好ましくは金属製であり、他の部分は、いずれかの適当なプラスチック材料でできているのが好ましく、通常、そうである。従って、以下の説明では、特に断らない限り、種々の部材または要素はそのような材料でできていることを前提にして説明する。例えば、穿刺部材は金属製(例えば金属製針)であり、スプリングも金属製(例えばコイルバネ)であり、他の部材は、適当なプラスチック材料製(例えば成形品)である。プラスチック材料は通常射出成形によって所定の構造を有するように形成する。使用できるプラスチック材料は、ランセットについては、例えば低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)等であり、インジェクターアッセンブリおよび保護カバーについては例えば、ポリカーボネート樹脂(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂(ABS)、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリスチレン樹脂(PS)等である。
【0021】
図1に、本発明の穿刺デバイスに使用できるランセットアッセンブリを斜視図にて、また、図2に、そのランセットアッセンブリの長手方向軸の周囲の90°分(即ち、手前半分の内の上側半分)を切除した状態で斜視図にて模式的に示す。図示したランセットアッセンブリ100は、ランセット101および保護カバー102から構成され、図示した態様では、ランセット101のランセットボディ104の周囲に保護カバーが配置されている状態を示している。
【0022】
図3に、本発明のランセットアッセンブリを構成するランセット101を斜視図にて、模式的に示す。ランセット101は、ランセットボディ104およびランセットキャップ106から構成される。図2から分かるように、所定箇所を穿刺する先端部を有する穿刺部材105が、ランセット内に埋設され、その先端部は、ランセットキャップ106内部に、また、その他の部分がランセットボディ104内部に存在する。
【0023】
図4に、本発明のランセットアッセンブリを構成する保護カバー102を斜視図にて模式的に示す。図示した態様では、矢印Aで示す方向が、ランセットの発射方向、即ち、前向きである。尚、容易に理解できるように、本発明のランセットアッセンブリ100は、保護カバー102の前端部の開口部123(図3では見えない)からランセットのランセットボディ104の後端部116を矢印Aと反対の方向に挿入することによって形成することができる。
【0024】
このようなランセット101および保護カバー102から構成されるランセットアッセンブリ100は、図1に示した状態でランセットを発射するインジェクターアッセンブリに挿入してチャージされ、その後、穿刺部材105の先端部124を露出させた状態でランセットボディ104が発射された後、図5および図6に示すように、ランセットボディ104に対して保護カバー102が前方に移動した状態にできる。これらの図面に示した状態は、穿刺部材105の先端部が露出していることと、ランセットキャップ106が除去されていること、および保護カバー102の位置が前方に移動している点で、図1および図2に示す状態と異なるが、その他については実質的に相違しない。
【0025】
ランセットボディ104とランセットキャップ106は、その間に位置する弱化部分108によって一体に結合されている。この弱化部分は、ランセットボディ104とランセットキャップ106とを穿刺部材105の周囲で相対的に反対方向に回すことによって破壊することができる、即ち、いわゆるツイストオフすることができる。このようなランセットは、穿刺部材105を金型に予め挿入した状態でプラスチック材料をインサート成形することによって一体に形成するのが好ましく、弱化部分は、穿刺部材の周囲のプラスチック材料の厚さを薄くすることによって形成できる。
【0026】
このツイストオフを容易ならしめるために、ランセットキャップ106は、指で挟んで容易に回転できるようにタブ要素110を有する。これは、例えば平坦な広がり部分であってよい。図示した態様では、そのような部分は、ランセットキャップ106の前方部分に設けられている。また、ランセットキャップ106の中間部には、当接要素112が設けられている。これは、ランセットキャップ本体から外向きに延在する突出部の形態、例えばフランジ形態であってよい。
【0027】
図1および図2から理解できるように、当接要素112は、保護カバー102の前端部の開口部123からランセットボディ104を挿入して、ランセットボディ104、特にその前方部分114およびランセットキャップの後方部分107の周囲に保護カバー102を配置する際に止めとして作用でき、保護カバー102の前端部121が当接要素112に当接した状態となり、保護カバー102はそれ以上前進できない。
【0028】
ランセットボディ104の後端部116は、後述するようにインジェクターアッセンブリのプランジャーの対向するアームの間に位置でき、後端部116に設けた突出部118がアームの内側に設けた凹部によって挟まれて把持されるようになっている。このように突出部118が把持されることによって、インジェクターアッセンブリ内でランセットがプランジャーに保持される。
【0029】
また、ランセットボディの前方部分114はその後端部に突出部120を有し、また、前方部にも別の突出部122を有する。これらの突出部120および122は、保護カバー102をランセットボディ104の前方部分114およびランセットキャップの後方部分107の周囲に配置した場合、ランセット101に対して保護カバー102を位置決めする。
【0030】
このような突出部120は、ランセットアッセンブリ100を構成するに際して、ランセットを保護カバー内に挿入して保護カバーを前方に移動すると、保護カバーの後端部150が突出部120を乗り越えた後、好ましくは直後、ランセットキャップの保護カバーの当接要素112が保護カバーの前端部121に当接するように構成する。このような乗り越えを容易にするために、突出部120の穿刺部材の軸方向に沿った断面は、図2に示すように、前方に向かって外向きに広がるテーパー形状を有し、好ましくは、突出部120は穿刺部材に近づくように移動できるのが好ましい。図示した態様では、突出部120は、ランセットボディ104の前方部分114の本体から空間部119を隔てて離間しているが、(例えば保護カバーの後端部が突出部120を乗り越えようとすることによって)突出部120に内向きの力が作用すると、(図6において矢印で示すように)突出部120は内側に移動できるように構成されている。図示した態様では、突出部およびその前端部から前方い延在する薄いシート状部材によって空間部119が形成されている。突出部が内側に移動できればよく、空間部は必ずしも必要ではない。例えば、プラスチック材料の弾性を利用した変形によって移動できてもよい。
【0031】
保護カバーの後端部が突出部120を乗り越えた結果、そのような力が作用しなくなると、(プラスチック材料の弾性故に)突出部120の位置は元の位置に戻ることができ、図2の状態になる。図2の状態において、保護カバーを後方に移動させようとしても、保護カバーの後端部は突出部120の前端面117に当接する。前端面は、図示するように、好ましくは穿刺部材の軸方向に対して垂直に延在するので、保護カバーを後方に移動させようとしても、保護カバーの後端部は、突出部120を実質的に乗り越えることはできない。従って、図2に示す位置関係で、ランセットと保護カバーは位置決めされる。
【0032】
更に、穿刺が終了した後、後述するように、突出部120は保護カバー102の後端部150より前方に位置する。その状態のままで、インジェクターアッセンブリのプランジャーがランセットボディを放したなら、ランセットボディは保護カバーの前端開口部から抜け出て、穿刺部材の先端部がランセットボディの前端部から露出した状態で、ランセットボディが保護カバーの外に出て分離してしまうことになる。そのような分離を防止するために、突出部122は、ランセットボディを保護カバー内に保持した状態を確保する。より詳しくは、保護カバー102を前方に移動して、その後端部150が突出部120の前方に位置し、その結果、後端部150の前方に設けた開口部125に突出部122が嵌まり込むように構成する。
【0033】
そのように嵌まり込んだ状態では、保護カバー102がランセットボディ104に対して前方に移動しようとすると、開口部125の後壁127が前方の突出部122に当接し、および/または、ランセットボディ104が保護カバー102に対して前方に移動しようとすると、開口部の前壁129が前方突出部122に当接し、その結果、保護カバーの後端部125が突出部122を乗り越えて前方に移動できないように構成されている。
【0034】
尚、対向する突出部122の間の距離は、開口部125における保護カバーの内径より若干大きく、その結果、突出部が開口部125内に一旦嵌まり込むと、突出部は開口部内に突出した状態となるように構成することによって、上述のように乗り越えを防止できる。後述するように、穿刺に際しては、突出部122は、開口部付近の内径より十分に大きい内径を有する、保護カバーの前方に位置するので、そのように若干大きい突出部間の距離は、穿刺に対する妨げにはならない。
【0035】
より具体的には、保護カバー102がをランセットボディ104に対して前方に移動して、図5および図6に示す位置関係の状態となり、そのような位置関係が実質的に変化しないように構成されている。即ち、保護カバー102の後端部に設けた開口部125内にランセットボディの前方の突出部122が嵌まり込み、そのように嵌まり込んだ状態では、突出部122がランセットボディ104に対して開口部125内で移動できるが、それ以上の移動は実質的に阻止される構造になっている。
【0036】
図示した態様では、突出部120は、ランセットボディ104の前方部分114の側面上で穿刺部材を介して対向するように(即ち、穿刺部材に関して対照に)、例えば2つが、配置されており、突出部122についても同様である。上述のような保護カバーの後端部による突出部の乗り越え、開口部への突出部の嵌まり込み等は、プラスチック材料の弾性的変形を利用すると好都合に実施できる。
【0037】
換言すれば、保護カバー102が前方に移動して露出した穿刺部材の先端部124を完全に覆って、その後、その最先端126が保護カバー102の前端面から十分に後方に位置する図5および図6に示す状態になった時、突出部122は、保護カバー102の後方側面に設けた開口部125に嵌り込み、その結果、図5および図6に示す状態において、保護カバー102をランセットボディ104に対して後退させようとする力が作用した場合であっても、そのような嵌り込みによって後退が阻止されるように設計されている。即ち、保護カバー102の開口部125とランセットボディ104の突出部122は協働して保護カバー102の後退を防止する。保護カバーの開口部の前壁128は、突出部122を乗り越えて前方に進むことができる必要があるので、突出部122は、図示するように前方に向かって若干広がるテーパー部を少なくとも部分的に有する面130を有するのが好ましく、また、一旦乗り越えた保護カバー102の戻りを防止するために保護カバー102の側面に対して急峻な面、好ましくは実質的に垂直な面132を有する。このような突出部122は、戻り防止突起として機能する。
【0038】
特に好ましい態様では、この突出部122は、図3に示すように、ランセットボディの前方部分114のいずれの適当な箇所(例えば図示するように、前方部分114の中央部またはその近傍)の側面から垂直方向に延び、その後、前方に折れ曲がって延びる形態(但し、折れ曲がり部分は、湾曲状態であってもよい)であってよく、ランセットボディの側面から半「U」字状に前方に向かって突出する形態であるのが好ましい。特に、折れ曲がり部分は、図示するように、ウイング状であると、嵌まり込んだ状態を解除するのがより困難になる点で好ましい。
【0039】
図7に、本発明の穿刺デバイスに使用できるインジェクターアッセンブリの外観を斜視図にて模式的に示し、図9は、図7に示したインジェクターアッセンブリの手前半分を切除して内部の様子が分かるようにした斜視図を、図1の状態のランセットアッセンブリ(但し、保護カバーの手前側半分を切除した状態)と共に模式的に示す。この状態は、ランセットの装填を待っている状態、即ち、待機状態であり、図9に示す矢印の方向にランセットアッセンブリ100をインジェクターアッセンブリ200に対して移動してその前端の開口部214から挿入することによってランセットアセンブリを装填する。
【0040】
本発明のインジェクターアッセンブリ200は、インジェクターボディ202ならびにその中に配置されたプランジャー204およびプッシャー206を有して成る。このインジェクターアッセンブリは、上述の保護カバーを有するランセットアッセンブリ100を装填して、穿刺部材の先端部が露出したランセットボディを発射できる。インジェクターボディ202は、1対のボディハーフ210および210’から構成される(図8参照)。インジェクターアッセンブリ200は、穿刺に際して、ランセットアッセンブリを挿入する開口部214をその前端に有する。より詳しくは、開口部214は、インジェクターボディ202の前端部に嵌め込まれた保持部材215によって規定される。
【0041】
保持部材215を図10に斜視図にて模式的に示す。保持部材215は、開口部214を有する全体としては筒状の部材である。筒の内側には、開口部の後方に突出部219を、好ましくは穏やかな隆起部を有する。好ましい態様では、この突出部219は上下(または左右)に1対形成する。別の態様では、3箇所以上に突出部を形成してよい。突出部219は、ランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリに装填するために、開口部214を介して挿入すると、保護カバーが突出部によって緊密に保持されるように構成されている。このような緊密な保持は、保護カバーと突出部とが丁度接触するか、あるいはそれに近い状態となり、かつ、その状態で保護カバーが前後に移動できるような寸法を有するように、これらを形成することによって実施できる。例えば、これらをプラスチック材料で形成する場合、複数の突出部の間に保護カバーが弱いプレスフィット(または圧入)によって移動可能に嵌り込む(従って、突出部が保護カバーを挟むまたは掴む)ように構成されている。
【0042】
このように保持部材をインジェクターアッセンブリに配置することによって、ランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリに装填するに際して、保護カバーは、その前端の開口部がインジェクターアッセンブリの前端より前方に位置するように、インジェクターアッセンブリと、より詳しくは保持部材と協働して、所定のように保持される
【0043】
保持部材は、上述の突出部219に加えて、別の突出部290が好ましくは複数設けられている。この突出部は、ランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリに装填するために、開口部214を介して後方に挿入するに際して、保護カバーが挿入方向の回りで回転することを防止するように構成されている。即ち、突出部290は、ランセットアッセンブリが回転しないように挿入するためのガイドを提供する。そのような回転防止は、保護カバーの外側形状および突出部290の挿入方向に対して垂直な形状が相補的な関係なるように、これらを形成することによって実施できる。例えば、保護カバーの外側に凹部を形成し、保持部材の内側にその凹部に嵌り込む凸部を形成すればよい。
【0044】
好ましい態様では、突出部290は、保護カバーを介して対向するように配置されている。ランセットアッセンブリを開口部に挿入すると、保護カバーの例えば上側および下側ならびに/または左側および右側に突出部が位置するように突出部が配置されている。別の態様では、突出部が保護カバーの周囲で120°毎に位置するように配置されている。図示した態様では、開口部の周囲で90°毎に4箇所設けられている。更に別の態様では、180°毎に2箇所に設けてもよい。尚、突出部は、全て同じ形態である必要は必ずしも無く(例えば、1つが周状であり、他の1つまたはそれ以上が点状であってもよい)、また、ランセットアッセンブリの挿入方向に沿って突出部が延在していてもよい。
【0045】
保持部材215は、その後方部分において、突出部押し込み手段221を有する。この手段は、ランセットアッセンブリを挿入するに際して、この手段は、ランセットボディ104の突出部120がその手段を内側に押し込むことができればいずれの形態であってもよい。例えば、保持部材の後端の開口部の寸法を、開口部を形成する壁が、ランセットボディ104の上側および下側に接触するか、若干の間隙を隔てて位置するような寸法を有するようにする。そのようにすると、ランセットボディは開口部を形成する壁に接触またはそれに近い状態で挿入され、そして、開口部に突出部120が達すると、開口部を規定する壁が突出部120に接触し、その後、挿入を継続すると、壁によって突出部120に内向きの力が作用するため、突出部120は内側に押し込まれた状態となる。その状態で、保護カバーをインジェクターアッセンブリに固定した状態でランセットボディ104に前向きの力が作用すると、突出部120は、保護カバーの後端部150よりも前方に移動できるようになっている。図示するように、突出部120がテーパー面を有すると、そのような移動が容易になる。
【0046】
尚、本発明のインジェクターアッセンブリは、穿刺深さ変えることができるのが好ましく、その機構自体は、例えばWO1997/004707号公報(日本国特許第3638958号、米国特許第5,730,753号に対応)から公知であり、この特許文献に開示の内容は、この引用によって本明細書に組み込まれる。例えば、ランセットを発射した時に、穿刺部材の先端部が突出しているランセットボディ104を前方に発射するプランジャーの動きを瞬間的に止めて、その後、ランセットボディ104を後退させる、プランジャーの一部が衝突する要素(インジェクターボディ内に設けられ、ストッパーとして機能する要素)をインジェクターボディ内に設ける。そのような要素は、プランジャーの該一部が衝突する箇所を、穿刺方向に沿って、変えることができ、その結果、プランジャーの該一部が衝突する迄に前方にプランジャーが移動する距離を変えることができ、その結果、穿刺深さを変更できるようになっている。
【0047】
例えば、図9に示す態様では、深さ調節部材280をインジェクターボディ内に配置して、プランジャーの後端部に設けた衝突部材281が、深さ調節部材280に衝突するように構成する。深さ調節部材の具体例を図11に斜視図にて模式的に示す。深さ調節部材280はプランジャーの周囲で回転可能に配置される全体として筒状の形態である(図11では、手前側半分を切除した状態で示す)。深さ調節部材280は、プランジャーの該一部(または該一部として作用するプランジャーに設けた要素281)が衝突するステップ282を複数有する。各ステップは、穿刺方向に沿った位置が異なるので、プランジャーの該一部が衝突するステップを種々変えることによって、プランジャーが移動できる距離が種々異なり、その結果、前方にプランジャーが移動する距離が変わる。
【0048】
プランジャー204は、ランセットボディの後端部116を保持し、穿刺部材105の先端部124が所定箇所を穿刺するように、穿刺部材105の先端部124が突出したランセットボディ104を前方に発射する機能を有する。尚、穿刺後は、穿刺部材105の先端部124が突出したランセットボディ104を後方に引き戻す機能をも有する。
【0049】
プッシャー206は、穿刺後、引き戻された、ランセットボディ104の周囲に配置された保護カバー102を、ランセットボディ104に対して前方に押して、ランセットボディ104から前向きに突出する穿刺部材105の先端部124の周囲に位置するように移動させるように機能する。
【0050】
本発明のインジェクターボディ202において、(例えばスナップフィットによって)相互に組み合わされ、内部に空間部を規定する対のボディハーフ210および210’の前方端部の周囲に、キャップアッセンブリ208が配置されている。このように規定された空間部には、上述のように、プランジャー204およびプッシャー208が配置されている。
【0051】
図12に、プランジャー204の斜視図を、また、図13に、プッシャー206の斜視図を模式的に示す。これらは、プランジャーの突起524の箇所にてプランジャー本体205の両側に形成されている空間285および285’にプッシャー206のロッド状部分286および286’が嵌め込まれ、これらのアームがプランジャー本体205の両側で延在するように組み合わせた状態でインジェクターアッセンブリ内に配置されている。このように組み合わせた状態を図14に模式的斜視図にて示す。
【0052】
プランジャー204は、プランジャーボディ205の前方端部から前向きに延びる2本の対向する上方アーム228および下方アーム230を有して成る。プランジャー204の上方アーム228および下方アーム230は、前方端部に凹部239および241をそれぞれ有する。これらの凹部の間に、ランセットボディ104の後端部116に設けた突出部118の一部分が嵌り込む。即ち、このようなアーム、特にその凹部239および凹部241は、チャック要素を構成する。これらの凹部の形状は、突出部118の一部分が丁度嵌り込むようになっているのが好ましい、即ち、穿刺部材の長手方向に沿った断面に関して、凹部239および241と突出部118とが相補的であるのが好ましい。プランジャーがプラスチック材料で形成されている場合、これらのアームを広げようとする力が作用すると、これらは弾性的に開くことができる。
【0053】
尚、ランセットアッセンブリの装填に際しては、図9にて矢印で示すように、ランセットボディ104の後端部116がインジェクターアッセンブリ200の開口部214から内部に挿入され、その中に配置されたプランジャー204に向かって移動してくる。この時、挿入されてくるランセットボディ116の後端部は、アーム228の前端部264とアーム230の前端部266との間を通過し、ランセットボディ104の後端部116の一部分は、アームを押し広げた後、凹部239と凹部241との間にの間に入り込み、その瞬間に、アームが元の形状に戻り、その結果、後端部116は、アームに挟まれた状態で、これらの間に形成される空間部に嵌り込む。容易に理解できるように、プランジャーは、上述のように対向する2つのアームを、好ましくは全体としてU字形状のアームを有してよいが、別の態様では、ランセットボディの後端部を適当に把持できる限り、2より多い数のアームを有してよい。従って、プランジャーは少なくとも2つのアームを有して成る。
【0054】
ランセットボディ104の後端部の突出部118は、例えばリムまたはフランジの形態であって、ランセットボディ104の後端部を構成するか、あるいはランセットボディの側面から突出した形態であってよい。1つの態様では、図3に示すように、突出部108は、ランセットボディ104後端部向かって斜めに延在するスロープ面140(図示した態様では円錐台の側面に相当)によって規定されている。他方、アーム228および230の前端部264および前端部266は、図12に示すように、ランセットの発射方向に向かって広がる面268および270を有し、好ましくは、その面は、スロープ面140と相補的である。
【0055】
従って、上述のようにランセットボディ104が挿入されて、突出部118がアームの前端部264および前端部266に当接する場合、ランセットの発射方向に向かって広がるスロープ面140が、ランセットの発射方向に向かって広がるスロープ面268および270を押すので、プランジャーのアームの前端部264および266を上向きおよび下向きに移動させようとする力がそれぞれ作用する。
【0056】
アーム228およびアーム230は、その後方端部にてプランジャー204の後方部分226と一体になっているので、上述のような力が作用すると、アームの前端部264および266は移動しようとしてアーム228およびアーム230が弾性的に外向きに若干湾曲する(即ち、外向きに広がる)。その結果、前端部264と266との間が広がり、ランセットボディ104の突出部118が、アームの前端部の間を通過して、前端部の直ぐ後に位置する凹部239および凹部241に嵌り込む。
【0057】
突出部118が凹部239および241に嵌り込んだ後は、これらの形状が相補的であるので、アーム228および230に作用する力は実質的に存在しなくなり、その結果、弾性的に湾曲したアームは元の形状に戻り、アーム228および230によるランセットの把持が完結する。尚、インジェクターアッセンブリ内において、上述のようなアームの一時的な弾性的な湾曲を可能にし、また、把持後は、弾性的な変形を阻止するために、インジェクターボディの内壁は、アームの前端部264および266の上側形状および下側形状に対応する形状を有する凹部(図9参照、凹部506および508)を設けている。そして、そのような凹部が存在しない領域では、アームの先端部は上または下に移動することができず、他方、そのような凹部が存在する領域では、先端部の上側形状部分および下側形状部分がその凹部に嵌り込む結果、先端部が上または下方向に移動して(即ち、インジェクターアッセンブリの内壁に向かう方向に広がり)弾性的な湾曲が可能となるようになっている。
【0058】
上述のようなプランジャー204に、図13示すようなプッシャー206を組み合わせて用いる。プッシャー206は、ロッド状部分286および286’ならびにその前端部から前向きに延びるアーム246およびアーム248から構成される前方部分250を有して成る。アーム246および248を有する前方部分250は全体としてU字形状の形態である。
【0059】
尚、プッシャー206の前方部分250に隣接するロッド状部分286および286’は、その前方端部から後方に向かって、断面が比較的長い距離にわたって矩形で一定形状であり(部分252)、その後でロッド状部分が一体に接続され(部分254)、後端部には突出部を有する(部分256)。断面が矩形で一定形状である部分(部分252)は、プランジャーの側方に規定される空間285および285’内を前後に移動、好ましくは摺動できるようになっている。この移動は、後ろ向きについては、プッシャーに形成したフランジ部247がプランジャーに形成したフランジ部249に当接することによって妨げられる。
【0060】
上述のようにプランジャーとプッシャーを組み合わせた状態でインジェクターボディ内に配置すると、プランジャーの前後への移動と、プッシャーの前後への移動とを独立して実施できる。即ち、プッシャーの後端部256に前向きの力を加えると、プランジャー204に力を作用することなく、プッシャー206を前方に移動させることが可能となる。また、プランジャー204に前向きまたは後ろ向きのとからを加えると、プッシャー206に力を作用することなく、プランジャーを206を前方または後方に移動させることが可能となる。
【0061】
本発明の穿刺デバイスは、上述の本発明のランセットアッセンブリを上述の本発明のインジェクターアッセンブリに装填することによって構成される。従って、装填前の状態にある、本発明のランセットアッセンブリおよび上述の本発明のインジェクターアッセンブリ、即ち、これらが別々に存在して、組み合わされていない状態にある、本発明のランセットアッセンブリおよび上述の本発明のインジェクターアッセンブリは、穿刺デバイスのキットを構成する。
【0062】
図9および図15〜図25を参照して、上述のランセットアッセンブリおよびインジェクターアッセンブリを用いて本発明の穿刺デバイスを構成して、所定箇所を穿刺し、その後、使用済みのランセットをインジェクターアッセンブリから取り出す様子を順に説明する。
【0063】
最初に、図9に示す待機状態にあるインジェクターアッセンブリ200に、ランセットアッセンブリ100を装填する。具体的には、図9の矢印で示すように、インジェクターアッセンブリ200の前端面の開口部214からランセットボディ104の後端部116を挿入する。尚、保護カバー102がインジェクターボディの前端に設けた保持部材215の開口部214の後方に設けた突出部219に接触しながら、あるいはそれに近い状態で後ろ向きに通過できる。この際、保護カバーに設けた凹部160に保持部材の突出部290が嵌り込むので、ランセットアッセンブリ100は保持部材の内側で回転できないように構成されている。
【0064】
上述のように挿入を続けると、後端部116は、図15に示すように、プランジャーのアーム228の前端部264とアーム230の前端部266との間の空間部に接近し、その後、アームの前端部264および266に当接する。
上述のように前端部264および266は、ランセットの発射(または射出)方向に向かって広がるスロープ面268および270を有し、スロープ面の形状は、突出部118のスロープ面140と相補的であるので、当接後に更にランセットアッセンブリを後方に移動させようとすると、アーム228および230は外側に向かって広がろうとする。この場合、インジェクターボディインジェクターボディの内壁部をアームの前端部の最外部が内壁部に対して摺動するように設計していると、そのように広がろうとする作用は抑制されるが、内壁部に凹部506および508(図9参照)を設けておくと、前端部が摺動して後退し、その最外部が凹部506および508に嵌り込んだ時のみ、凹部の深さ分だけアームが外向きに広がろうとする。
【0065】
この広がりによってアームの前端部の最内部の間の距離を、ランセットボディの後端部116に設けた突出部118がその間を通過できるようにすることによって、後端部116は、更に後方に移動でき、その結果、図16に示すように、後端部116に設けた突出部118がアーム前端部の凹部239および241の間に嵌り込む。尚、凹部239と241を規定する面を、突出部118を規定する面と相補的にすることによって、突出部118の凹部239と241との間への嵌り込みは、緊密なものとなる。そして、図16に示すように、インジェクターボディの内壁部に設けた凹部506および508の長さは発射方向に対して短いものであるので、その後、ランセットを後方に押す力が作用しても、アーム228および230は外側に広がることはなく、後退しようとするだけであり、従って、ランセットアッセンブリ100は、プランジャーのアーム228および230によってしっかり把持されている。
【0066】
その後、ランセットアッセンブリを更に押し込んで、後退させるように力が作用すると、プランジャーは後退することができる。ところで、インジェクターアッセンブリ200には、ランセットを発射する引き金として作用する、レバー状のトリガー部材514が設けられている。図示した態様では、点516を支点として移動(軸回転)可能であり、後方の端部分542とその上方のインジェクターボディの内壁部518との間には伸張状態でバネ520が設けられている。トリガー部材は、支点516の回りでシーソー状に運動可能であり、前方端部分543にはバネ520によって上向きの力が作用しているが、インジェクターボディの内壁部515によってトリガー部材の前方端部分の上向きの動きは制限されている。
【0067】
上述のように、プランジャーが更に後退すると、それに一体に設けた突起524も一緒に後退する。この突起524は、最初はその上部がトリガー部材514の後方端部分527の下側に接触し、その後、後方部分527に上向きの力を作用させながら(従って、バネ520を圧縮しながら)、図16に示すように更に後退する。そして、突起524が、トリガー部材514の後端部526を通過すると、トリガー部材514と突起524との接触関係は解除され、圧縮されたバネ520は再び延び、トリガー部材514も元の状態(図15の状態)に戻る。このように、突起524が後端部526を通過して、トリガー部材514が丁度元の状態に戻った様子を図17に示す。
【0068】
このようにトリガー部材が元の状態に戻る時、あるいはその前に、好ましくは直前に、ランセットボディの104に設けた突出部120が、インジェクターボディ内に設けた突出部押し込み手段221によって内側に押し込まれた状態となる。通常、ランセットアッセンブリの挿入に際しては、上述のようにプランジャーを後退させるのに十分な力を加えて、ランセットアッセンブリを後方に押すため、プランジャーの突起524は、図17に示すように、トリガー部材の後端部526よりも後方まで移動する。図17においては、突出部120が内側に押し込まれている状態も示している。
【0069】
上述のようにトリガー部材が元の状態に戻ってトリガー部材514の後端が下がると、突起524の前方への移動が阻止される。また、このようにトリガー部材514が元の状態に戻った時に、保護カバーがインジェクターボディ内に保持されるように、インジェクターボディ内に保護カバー固定手段が設けられている。この固定手段は、トリガー部材が元の状態に戻る時に、保護カバー102をランセット101に対して固定できるものであればよい。
【0070】
図示した態様では、保護カバーの開口部133上に跨って位置することによって、一部分が開口部の内部に嵌り込む円柱状部材233が固定手段として機能する。図示した態様では、保護カバーの対向する対の開口部133に嵌り込む対の円柱状部材が存在する。円柱状部材を固定手段として用いると、指先でランセットアッセンブリの一部(例えばタブ要素110)をつまんで挿入するに際して加える力であっても、保護カバーの後端150が円柱状部材を容易に乗り越えて、円柱状部材の一部分が開口部内に嵌り込むことができるので好都合である。図17に示すように、保護カバー102を固定手段233によってインジェクターボディに固定した状態でランセットボディ104に前向きの力が作用すると、突出部120は、保護カバーの後端部150よりも前方に移動できるようになっている。
【0071】
尚、インジェクターボディ202の内部では、プランジャーの周囲にて突起524とインジェクターボディに設けた止め530との間に、バネS1(矢印で示す)がインジェクションスプリングとして配置されている。このバネS1は圧縮可能である。上述のように、ランセットアッセンブリを挿入するに際しては、バネS1が図9に示す状態から図17に示す状態まで圧縮される。図9の状態に比べて図17状態では、バネS1の長さ(即ち、突起524と止め530との距離)が短くなっている。上述のように、トリガー部材514の後端部526が、突起524の前方への移動、従って、プランジャー204の前方への移動を阻止しているので、バネS1は圧縮状態で保持されている。
【0072】
図17に示した状態において、ランセットアッセンブリを挿入しようとして加える力を除去すると、上述のようにバネS1は圧縮状態で保持されているので、プランジャーは若干前方に移動し、プランジャーの突起524がトリガー部材514の後端部526に当接する状態となる。この時、保護カバーは上述のようにインジェクターボディに対して固定されているので、ランセット101は若干前方に移動し、その結果、保護カバーの前端部121とランセットの当接要素112との間に若干の隙間139が形成される。この状態を図18に示す。この状態が、ランセットアッセンブリ100のインクターアッセンブリ200への装填(即ち、チャージ)が完了した状態である。明らかなように、穿刺に際して、ランセットアッセンブリのインジェクターアッセンブリへの装填が完了した場合では、保護カバーの前端121(従って、その開口部)は、インジェクターアッセンブリの前端、詳しくは、そこに位置する保持部材215の前方に位置する。
【0073】
この状態からトリガー部材514の後端部526が上方に移動すると、即ち、トリガー部材の前方端部543を下方に押し込んでバネ520を圧縮すると、トリガー部材514の後端部526は上方にずれ、その結果、突起524の前方への移動を阻止できないことになり、上述のように圧縮状態で保持されているバネS1は一気に伸長し、それによって、突起524は、従って、プランジャーは、従って、プランジャーに保持されたランセットボディは前方に移動する。後述のように穿刺部材の先端部を露出させた状態で、上述のようなトリガー部材514の操作を実施して圧縮状態のバネS1を拘束しているもの無くすので、バネS1は瞬間的に伸び、ランセット、詳しくはランセットボディが発射され、保護カバーの開口部123に押し当てた所定の箇所を穿刺できる。
【0074】
また、バネS1の後方において、プランジャーの後端部の周囲にて、止め530とプランジャーの後端部の後方に設けた仕切部材534との間にバネS2がS2…リターンスプリングとして配置され、また、プッシュボタン213と仕切部材534との間にバネS3がプッシュバックスプリングとして配置されている。尚、仕切部材534は、インジェクターボディ内に固定され、プランジャーの後端部にはバネ保持部材535が嵌め込まれ、それと深さ調節部材280の前端部との間でプランジャーの周囲でバネS2が保持されている。よって、バネ保持部材535の位置に応じてバネS2は圧縮される程度が変化する。
【0075】
バネS2は、ランセットが発射されると、プランジャー204の後端部が前に移動するので瞬間的に圧縮されるが、その後、直ちに元の長さに向かって伸びる。従って、バネS2は、発射されたランセットを後方に引き戻すように作用する。バネS3は、後述するように、使用済みのランセットボディから突出している穿刺部材の先端部の周囲で保護カバーを更に前方に移動させるに際して、プッシャーを前方に移動させるために力を加えて前方に移動させたプッシュボタン213を後に戻す機能を有する。即ち、プッシュバックスプリングとして機能する。
【0076】
上述のように、図18のようにランセットアッセンブリ100のチャージが完了した状態では、(インジェクターボディ202を基準として)プランジャー204は図9に示す待機状態から後方に移動しているので、プランジャーの後端部が後方に移動し、従って、バネS2は相対的に伸びた状態であり、図示した態様では、実質的に延びきった状態である。
【0077】
チャージが完了すると、次に、ランセットキャップを除去する。これは、図18に示すように、プランジャーに把持されたランセットを有するインジェクターアッセンブリに対して、ランセットキャップを発射方向の回りで回転する、即ち、図18にて矢印で示すようにランセットキャップ106をツイストすることによって、ランセットの弱化部分108を破壊し、その後、ランセットキャップ106を前方に引くことによって実施する。ランセットキャップを取り出している途中の状態を図19に示す。尚、上述のように、ランセットキャップをツイストするに際して、ランセットボディが一緒に回転するのを防止するために、保護カバー102は、ランセットボディの突出部122が保護カバー内において穿刺部材の周囲で回転できないような内部空間を形成している。具体的には、保護カバーは、突出部が実質的に前後方向のみに移動できる、穿刺部材105の延在方向に平行な溝状空間部141を有する。
【0078】
次に、保護カバーの開口部123に穿刺すべき所定の箇所、例えば指先をあてがう。その状態で、インジェクターボディの側面上方部に、プレスボタンとして露出しているトリガー部材514の前方端部分543の一部分を、図20に示すように、矢印で示すように下向きに押し込むと、トリガー部材514の後端部526が上向きに移動し、その結果、後端部526とプランジャーの突起524との当接関係が解除され、圧縮されていたバネS1が一気に伸びる。それによって、穿刺部材105の先端部124が露出したランセットボディ104が一瞬のうちに前方に移動して、保護カバーの開口部123から突出して所定箇所を穿刺した後、逆向きに移動し、即ち、後退して、プランジャーは待機状態と同じ位置に戻る。
【0079】
図21は、そのように穿刺部材の先端部124が最も前方に移動した状態(即ち、穿刺している状態)を示し、図22は、その後、プランジャーが戻りきってその突起524がトリガー部材517の後方部分に設けた凹部525に嵌り込んだ状態を示す。この後、使用済みのランセットボディ104を廃棄するためにインジェクターアッセンブリから外すプロセスに移る。
【0080】
図22の状態から、図23に示すように、最初に、矢印で示すように、プッシュボタン213に前向きの力を加える。プッシュボタン213はプッシャー206の後端部を押すことができるように構成されて接続されているので、そのような力がプッシャー206を前方に移動させる。尚、図9および図15〜図22においては、インジェクターボディ、保護カバー、保持部材、プランジャーおよびプッシャーの組み合わせ、ならびにプッシュボタンについては手前側半分を切除した状態で示しているが、図23においては、インジェクターボディの手前側半分を、また、保持部材の手前半分の上側半分を切除した状態で示している。
【0081】
このようにプッシャー206を移動させると、その前方部分250の両アーム246および248の前端部は、保護カバー102の後端部150(図4参照)に当接する。別の態様では、保護カバーの後方部分に位置する突出部、例えば突出部157に当接してもよい。このようにプッシャーが前進して保護カバーに当接した状態を図23に示す。図23の状態では、インジェクターボディ内においてプッシャーの下方に、圧縮状態のバネ234によって上向きの力が作用して支点243を軸として上向きに回転しようするカンチレバー(片持ち梁部材)232の後方部分が持ち上がっている。その結果、プランジャーの側方に設けた張り出し部235の下方部がカンチレバーの上側に設けたステップ237に当接するまでプランジャーはわずかに前進できるが、それ以上は前進できないようになる。尚、図22に示す状態では、プッシャーのアーム246の後端に設けたフランジ部247下端が、上向に軸回転しようとするカンチレバー232を押さえつけた状態となっている。
【0082】
図23の状態から、プッシュボタン213を更に前方に押してプッシャー206を更に前方に移動させると、使用済みのランセットボディ104はプランジャーに把持されたままであり、プランジャーは上述のようにわずかしか前進できないので、プッシャーのロッド状部分286および286’がプランジャー本体205の側方を摺動する。その結果、プッシャーのアーム246および248によって保護カバー102に加えられる力により、保護カバーの端部はランセットボディの後方の突出部120を乗り越えて前方に移動し、最終的に、図24に示すように、保護カバーの開口部133内にランセットボディ104の前方の突出部122が嵌り込む。
【0083】
詳細には、ランセットボディと保護カバーとの関係は、図5および図6に示す状態となっている。即ち、プランジャー204の前方の移動が防止されると、ランセットボディ104の前方への移動が防止され、そのような状態で、プッシュボタン213を更に前方に押すと、保護カバー102の後端150に前向きの力が作用する。そのような力によって、保護カバー102のみが前方に十分に移動して、突出している穿刺部材の先端部の周囲を更に前方に移動し、そして、図5および図6に示すように、穿刺部材の最先端部126が保護カバー102の前端面から十分に後方に位置するようになる。従って、保護カバー102は、この状態からランセットボディ104に対して前へも後へも実質的に移動できないようになっている。
【0084】
その後、プッシュボタン213を更に前方に押すと、上述のようにプランジャーの前方への移動はカンチレバー232によって制限されるため、保護カバーにプッシュボタンを押す力が作用する。その力がある程度大きいと、ランセットボディの後端116の弾性的変形部および/またはプランジャーのアーム228および230の前端部264および266の弾性的変形をもたらし、その結果、プランジャーが把持していたランセットボディの後端部116を放す。図25は、その後、ランセットボディの後端部116がアームの凹部239および241から解放された状態を示す。その後、保護カバーを引き出すことによって、保護カバーが周囲に配置されたランセットボディをインジェクターアッセンブリから取り出し、所定のように適切に処分できる。尚、プッシュボタン213に加える力が大きい場合には、開放されたランセットボディおよび保護カバーは、インジェクターボディの前端開口部から飛び出す。
【0085】
容易に理解できるように、プッシャーは、上述のように対向する2つのアームを、好ましくは(図示するように)全体としてU字形状のアームを有してよいが、別の態様では、保護キャップの後端部を適当に押すことができる限り、2より多い数のアームを有してよい。従って、プッシャーは少なくとも2つのアームを有して成る。
【0086】
飛び出した、あるいは上述のように解放されたランセットでは、保護カバーが穿刺部材の周囲に配置され、また、穿刺部材の最先端部が保護カバー102の前端面から十分奥に位置するので、使用済みのランセットを取り扱う場合であっても、穿刺後の穿刺部材の先端部に接触する可能性が大きく減る。
【0087】
このように、穿刺後にランセットをインジェクターアッセンブリから取り外す操作は、本発明のランセットアッセンブリおよびインジェクターアッセンブリを用いる穿刺デバイスを用いる場合、上述のように、ランセットボディを直接取り扱うことなく、単に、プッシュボタン213を前方に押し込むことによって、保護カバーを突出している穿刺部材の先端部に配置することによって容易に実施できる。
利点もある。
【産業上の利用可能性】
【0088】
上述の記載から明らかなように、本発明のランセットアッセンブリおよびインジェクターアッセンブリは、より安全に採血できる穿刺デバイスを提供する。
【符号の説明】
【0089】
100…ランセットアッセンブリ、101…ランセット、102…保護カバー、
104…ランセットボディ、105…穿刺部材、106…ランセットキャップ、
108…弱化部分、110…タブ要素、112…当接要素、114…前方部分、
116…後端部、118…突出部、119…空間部、120…突出部、121…前端部、
122…突出部、123…保護カバーの前端開口部、124…穿刺部材先端部、
125…開口部、126…穿刺部材最先端、127…開口部後壁、128…開口部前壁、
130…テーパー面、131…突出部、132…急峻面、133…開口部、139…隙間、
140…スロープ面、141…溝状空間部、150…後端部、157…突出部、160…凹部、
200…インジェクターアッセンブリ、202…インジェクターボディ、
204…プランジャー、205…プランジャー本体、206…プッシャー、
210,210’…ボディハーフ、213…プッシュボタン、214…開口部、
215…保持部材、219…突出部、221…突出部押し込み手段、226…後方部分、
228…上方アーム、230…下方アーム、232…カンチレバー、
233…保護カバー固定手段、234…バネ、235…張り出し部、237…ステップ、
239…前方端部凹部、241…前方端部凹部、243…支点、246…アーム、
247…フランジ部、248…アーム、249…フランジ部、250…前方部分、
252,254,256…プッシャーの一部、264,266…アームの前端部、
268,270…面、280…深さ調節部材、281…衝突部材、282…ステップ、285.285’…空間、286、286’…ロッド状部分、290…突出部、506,508…凹部、
514…トリガー部材、515…インジェクターボディの内壁部、516…支点、
518…内壁部、520…バネ、524…突起、526…後端部、527…後方部分、
530…止め、534…仕切部材、542…端部分、543…前方端部、
S1…インジェクションスプリング、S2…リターンスプリング、
S3…プッシュバックスプリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ランセットおよび保護カバーを有して成るランセットアッセンブリ、ならびに
(b)インジェクターボディならびにその中に配置されたプランジャーおよびプッシャーを有して成り、ランセットボディを発射するインジェクターアッセンブリ
を有して成る穿刺デバイスであって、
(1)ランセットは、ランセットボディ、ランセットキャップおよび穿刺部材を有して成り、穿刺部材はランセットボディおよびランセットキャップにまたがってこれらの中に存在し、穿刺部材の先端部はランセットキャップによって包囲され、
(2)保護カバーは、ランセットボディの前方部分の周囲に配置され、保護カバーの前端開口部に所定箇所を押し当てた状態で穿刺した後、穿刺部材に沿って前方に移動でき、
(3)プランジャーは、ランセットボディの後端部を保持し、突出した穿刺部材の先端部が所定箇所を穿刺するようにランセットボディを発射し、
(4)プッシャーは、穿刺後、ランセットボディの周囲に配置された保護カバーを前方に押して、穿刺部材に沿って前方に移動させる
ことを特徴とする穿刺デバイス。
【請求項2】
プッシャーがランセットボディの周囲に配置された保護カバーを前方に押すために、プッシャーをプランジャーに対して前方に移動させる時、プランジャーの前方への移動が阻止されるようになっている
ことを特徴とする請求項1に記載の穿刺デバイス。
【請求項3】
プランジャーは、少なくとも2つのアームを有して成る前方部分を有して成り、
アームの前端部は、ランセットボディの後方部分を把持するチャック要素を構成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の穿刺デバイス。
【請求項4】
プッシャーは、少なくとも2つのアームを有して成る前方部分を有して成り、
アームの前端部は、保護カバーの後端を押して保護カバーを前方に移動させることができる
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の穿刺デバイス。
【請求項5】
穿刺に際して、ランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリに装填した場合、保護カバーの前端開口部は、インジェクターアッセンブリの前端の前方に位置する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の穿刺デバイス。
【請求項6】
ランセットおよび保護カバーを有して成るランセットアッセンブリであって、
(1)ランセットは、ランセットボディ、ランセットキャップおよび穿刺部材を有して成り、穿刺部材はランセットボディおよびランセットキャップにまたがってこれらの中に存在し、穿刺部材の先端部はランセットキャップによって包囲され、
(2)保護カバーは、ランセットボディの前方部分の周囲に配置され、穿刺すべき所定箇所を押し当てる開口部を前端に有し、穿刺後にあっては、穿刺部材に沿って前方に移動できる
ことを特徴とするランセットアッセンブリ。
【請求項7】
ランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリに装填するに際して、保護カバーは、その前端の開口部がインジェクターアッセンブリの前端より前方に位置するように、インジェクターアッセンブリと協働して保持される
ことを特徴とする請求項6に記載のランセットアッセンブリ。
【請求項8】
ランセットボディは、保護カバーの後端部の前方に位置する突出部、および後方に位置する突出部を有して成り、
ランセットアッセンブリをインジェクターアッセンブリに装填するに際して、後方の突出部は、その位置が穿刺部材に向かうように変位し、それによって、ランセットボディの突出部は保護カバーの後端部より前方に移動可能となる
ことを特徴とする請求項6または7に記載のランセットアッセンブリ。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれかに記載の穿刺デバイスを構成するための請求項6〜8のいずれかに記載のランセットアッセンブリ。
【請求項10】
インジェクターボディならびにその中に配置されたプランジャーおよびプッシャーを有して成り、前方部分が保護カバーによって包囲され、また、穿刺部材の先端部が突出した状態にあるランセットボディを発射するインジェクターアッセンブリであって、
(1)プランジャーは、ランセットボディの後端部を保持し、突出した穿刺部材の先端部が所定箇所を穿刺するようにランセットボディを発射し、
(2)プッシャーは、穿刺後、ランセットボディの前方部分の周囲に配置された保護カバーを前方に押して穿刺部材に沿って前方に移動させ、
(3)インジェクターボディは、穿刺に際して、保護カバーの前端開口部がインジェクターボディの前端よりも前方に位置した状態となるように保護カバーを位置決めする保持手段を有する
ことを特徴とするインジェクターアッセンブリ。
【請求項11】
保護カバーの前端の開口部がインジェクターアッセンブリの前端より前方に位置するように、保護カバーを保持する保持部材を更に有して成る
ことを特徴とする請求項10に記載のインジェクターアッセンブリ。
【請求項12】
ランセットボディの突出部をその位置が穿刺部材に向かうように変位させる押し込み手段を更に有して成る
ことを特徴とする請求項10または11に記載のインジェクターアッセンブリ。
【請求項13】
請求項1〜5のいずれかに記載の穿刺デバイスを構成するための請求項10〜12のいずれかに記載のインジェクターアッセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−24870(P2011−24870A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175215(P2009−175215)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【出願人】(000200666)泉株式会社 (24)
【出願人】(591185076)株式会社旭ポリスライダー (3)
【Fターム(参考)】