説明

穿刺装置

【課題】生体組織を所定の深さに確実に穿刺することができるとともに、患者の負担が少なく、患者の安全性が高く、また術者の安全性も高い穿刺装置を提供すること。
【解決手段】穿刺装置1は、生体組織を穿刺する鋭利な針先531を有する穿刺針5と、膣内に挿入される長手形状の膣挿入部材2と、針先531が向かう方向に位置する案内部である先端部321を有する案内部材3と、膣挿入部材2と案内部材3とを連結する連結部材4とを備え、穿刺針5は、針先531が先端部321に向かって接近するように移動可能に支持されており、穿刺針5には、針先531付近に第1の磁石10aが設けられ、案内部材3には、先端部321に第2の磁石10bが設けられており、針先531が先端部321に接近した際、第1の磁石10aと第2の磁石10bとの斥力により、針先531と先端部321とが離間する程度に互いの接近距離が規制されるよう構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穿刺装置に関する。
【背景技術】
【0002】
尿失禁、特に、腹圧性尿失禁になると、通常の運動中や、笑い、咳、くしゃみ等により腹圧がかかることで、尿漏れが生じる。この原因は、例えば、出産等により、尿道を支える筋肉である骨盤底筋が緩むこと等が挙げられる。
【0003】
尿失禁の治療には、外科的療法が有効であり、例えば、「スリング」と呼ばれるテープ状のインプラントを用い、スリングを体内に留置し、そのスリングで尿道を支持する(例えば、特許文献1参照)。スリングを体内に留置するには、術者がメスで膣を切開し、尿道と膣の間を剥離し、穿刺針を用いて、その剥離した部位から体外(外部)に向かって穿刺孔を形成する。この穿刺孔は、貫通して形成された貫通孔とせずに、前記剥離した部位から体表に至る途中まで形成された孔(以下、この孔を「非貫通孔」という)とする場合がある。このような穿刺孔を用いて、スリングを体内に留置する。
【0004】
しかしながら、術者の技量によっては、穿刺孔を形成する際に、穿刺針で、前記剥離した部位から体表までを貫通させてしまい、その結果、当該穿刺孔が非貫通孔とはならず、貫通孔となってしまうおそれがある。さらに、スリングを留置する際に、メス等の従来の医療用器具を用いて膣を切開するが、この場合、侵襲が大きく、患者への負担が大きいという欠点がある。また、術者による手技の最中に尿道等を損傷する虞があり、また、術者自身も指先を損傷するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−99499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、生体組織を所定の深さに確実に穿刺することができるとともに、患者の負担が少なく、患者の安全性が高く、また術者の安全性も高い穿刺装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(15)の本発明により達成される。
(1) 生体組織を穿刺する鋭利な針先を有する穿刺針と、
膣内に挿入される長手形状の膣挿入部材と、
前記針先が向かう方向に位置する案内部を有する案内部材と、
前記膣挿入部材と前記案内部材とを連結する連結手段とを備え、
前記膣挿入部材または前記連結手段には、前記穿刺針を前記針先が前記案内部に向かって接近するように移動可能に支持する支持部が設けられ、
前記穿刺針には、前記針先付近に第1の磁石が設けられ、前記案内部材には、前記案内部付近に第2の磁石が設けられており、
前記針先が前記案内部に接近した際、前記第1の磁石と前記第2の磁石との斥力により、前記針先と前記案内部とが離間する程度に互いの接近距離が規制されるよう構成されていることを特徴とする穿刺装置。
【0008】
(2) 生体組織を穿刺する鋭利な針先を有する穿刺針と、
前記針先が向かう方向に位置する案内部を有し、膣内に挿入される長手形状の膣挿入部材と、
前記穿刺針を前記針先が前記案内部に向かって接近するように移動可能に支持する支持部を有する案内部材と、
前記膣挿入部材と前記案内部材とを連結する連結手段とを備え、
前記穿刺針には、前記針先付近に第1の磁石が設けられ、前記膣挿入部材には、前記案内部付近に第2の磁石が設けられており、
前記針先が前記案内部に接近した際、前記第1の磁石と前記第2の磁石との斥力により、前記針先と前記案内部とが離間する程度に互いの接近距離が規制されるよう構成されていることを特徴とする穿刺装置。
【0009】
(3) 前記穿刺針は、管状をなし、その一端に前記針先が設けられた外管と、
前記外管内にその軸方向に沿って移動可能に挿通され、前記針先と同じ側に前記第1の磁石が設けられたシャフトとを有する上記(1)または(2)に記載の穿刺装置。
【0010】
(4) 前記穿刺針は、管状をなし、その一端が前記案内部側に向かって開口する外管と、
前記針先および前記第1の磁石が設けられており、前記外管内にその軸方向に沿って移動可能に挿通され、その挿通状態で前記外管の一端から前記針先が突出可能なシャフトとを有する上記(1)または(2)に記載の穿刺装置。
【0011】
(5) 前記針先は、前記外管の一端から突出した状態から前記接近距離が規制されると、前記外管内に退避する上記(4)に記載の穿刺装置。
【0012】
(6) 前記穿刺針には、前記接近距離が規制されたことを報知する報知手段が設けられている上記(4)または(5)に記載の穿刺装置。
【0013】
(7) 前記報知手段は、前記外管の他端部に形成された外管側係合部と、前記シャフトの前記針先と反対側の端部に形成され、前記針先が前記外管の一端から突出した状態で前記外管側係合部と係合可能なシャフト側係合部とを有し、前記接近距離が規制されたときに、前記外管側係合部と前記シャフト側係合部との係合が解除されて、その解除された感触および音のうちの少なくとも一方が得られ、これにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである上記(6)に記載の穿刺装置。
【0014】
(8) 前記外管は、その他端が開口したものであり、
前記シャフトは、前記接近距離が規制されたときに、前記針先と反対側の端部が前記外管の他端から突出するものであり、
前記報知手段は、前記シャフトの前記針先と反対側の端部が前記外管の他端から突出して、その状態を視認可能とすることにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである上記(6)または(7)に記載の穿刺装置。
【0015】
(9) 前記案内部材には、前記接近距離が規制されたことを報知する報知手段が設けられている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の穿刺装置。
【0016】
(10) 前記第2の磁石は、支持部材を介して前記案内部内を移動可能に支持されており、
前記報知手段は、前記案内部内に形成された案内部側係合部と、前記支持部材に形成され、前記案内部側係合部と係合可能な支持部材側係合部とを有し、前記接近距離が規制されたときに、前記案内部側係合部と前記支持部材側係合部との係合が解除されて、その解除された感触および音のうちの少なくとも一方が得られ、これにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである上記(9)に記載の穿刺装置。
【0017】
(11) 前記支持部材は、前記接近距離が規制されたときに、前記案内部材から離間する部分を有し、
前記報知手段は、前記支持部材が前記案内部材から離間して、その状態を視認可能とすることにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである上記(9)または(10)に記載の穿刺装置。
【0018】
(12) 前記第1の磁石および前記第2の磁石は、それぞれ、永久磁石で構成されている上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の穿刺装置。
【0019】
(13) 前記膣挿入部材および前記案内部材のうちの一方に設けられ、超音波の送受信を行う超音波プローブと、
前記膣挿入部材および前記案内部材のうちの他方に設けられ、前記超音波プローブにより送受信した超音波から得られる超音波画像で認識可能な超音波マーカとを備える上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の穿刺装置。
【0020】
(14) 前記案内部材は、前記膣挿入部材に対して相対的に前記膣挿入部材の長手方向に移動可能な状態と回動可能な状態とのうちの少なくとも一方の状態を取り得る上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の穿刺装置。
【0021】
(15) 前記案内部材が前記膣挿入部材に対して相対的に前記膣挿入部材の長手方向に移動または回動したとき、前記穿刺針の進行方向を変更する進行方向変更手段を備える上記(14)に記載の穿刺装置。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、穿刺針で生体組織を穿刺していくと、針先が案内部に徐々に接近していく。そして、針先が案内部に所定距離だけ接近したときに、それ以上の接近を規制する、すなわち、接近距離が規制される程度の斥力が第1の磁石と第2の磁石と間に生じる。このとき、穿刺針で生体組織を穿刺する操作を停止すれば、生体組織に形成される穿刺孔は、当該生体組織を確実に所定の深さに穿刺したもの、すなわち、当該生体組織を貫通しないものとなる。
また、このような穿刺は、患者への負担が少なく、患者の安全性も高い。
【0023】
また、穿刺針の針先が生体組織内に留まるため、当該針先で指先等を穿刺してしまうことを防止することができ、術者にとっての安全性も高い。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の穿刺装置の第1実施形態を示す図((a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図)である。
【図2】図1(b)に示す穿刺装置の部分縦断面図である。
【図3】図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。
【図4】図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。
【図5】図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。
【図6】図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。
【図7】図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。
【図8】図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。
【図9】図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。
【図10】本発明の穿刺装置の第2実施形態を示す部分縦断面図である。
【図11】図10中の一点鎖線で囲まれた領域[A]および[B]の拡大図((a)は斥力が生じて接近距離が規制される直前の図、(b)は斥力が生じて接近距離が規制された直後の図)である。
【図12】本発明の穿刺装置の第3実施形態を示す部分縦断面図である。
【図13】図12中の一点鎖線で囲まれた領域[C]の拡大図((a)は斥力が生じて接近距離が規制される以前の図、(b)は斥力が生じて接近距離が規制された直後の図)である。
【図14】本発明の穿刺装置の第4実施形態を示す図((a)および(b)はそれぞれ側面図、(c)は、(a)中のD−D線での断面図)である。
【図15】本発明の穿刺装置の第5実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の穿刺装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の穿刺装置の第1実施形態を示す図((a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図)、図2は、図1(b)に示す穿刺装置の部分縦断面図、図3〜図9は、それぞれ、図1に示す穿刺装置を用いた場合の手技の手順を説明するための図である。以下では、図1(a)、図1(b)、図2中(図10〜図15についても同様)の右側を「先端」、左側を「基端」とし、また、図2および図3中の右上側を「先端」、左下側を「基端」として説明を行なう。なお、図2では、超音波プローブの内部の図示は、省略し、超音波プローブの内部は、単に、斜線で示している。
【0026】
図1〜図4に示す穿刺装置1は、女性の尿失禁の治療、すなわち、インプラント(生体内留置器具)を生体内に埋設する際に用いる装置である。
【0027】
インプラントは、女性の尿失禁の治療のための埋設可能な器具、すなわち、尿道100を膣壁300から離間する方向へ引っ張るようにして支持する器具である。このインプラントとしては、例えば、可撓性を有する長尺物を用いることができる。本実施形態では、インプラントは、2本の糸(糸状体)500で構成されている(図8、図9参照)。なお、各糸500の構成は、同様であるので、以下では、代表的に、一方の糸500について説明する。
【0028】
糸500は、その一方の端部に、生体(生体組織)に固定される固定部501を有している。この固定部501は、生体に穿刺される部位である。
【0029】
固定部501は、糸500の固定部501以外の部位よりも生体から引き抜こうとしたときの抵抗が大きくなるように構成されている。本実施形態では、固定部501は、V字状をなす複数の単位固定部502で構成されている。そして、各単位固定部502は、糸500の長手方向に沿って、等間隔で並設されている。なお、各単位固定部502の「V」の向きは、それぞれ、糸500を生体に穿刺するときにその糸500が進む方向と反対の方向に、Vの開いた方が向くように設定されている(図6〜図9参照)。
【0030】
また、各糸500の構成材料としては、それぞれ、特に限定さないが、例えば、生体適合性を有する各種樹脂材料、繊維等を用いることができる。
【0031】
なお、インプラントは、本実施形態では2本の糸500で構成されているが、これに限らず、例えば、1本の糸で構成されていてもよい。この場合は、その糸の両方の端部に、それぞれ、生体に固定される固定部が設けられている。
【0032】
また、インプラントとしては、糸500に限らず、例えば、紐、帯等の可撓性を有する他の長尺物を用いることができる。
【0033】
なお、糸500は、その横断面形状が円形のものである場合、直径が0.3〜3mm程度のものが好ましく、0.5〜2mm程度のものがより好ましい。
【0034】
また、長尺物として帯を用いる場合は、幅が2〜10mm程度、厚さが0.3〜1.5mm程度のものが好ましい。
【0035】
また、インプラントは、前記長尺物の他に、尿道に当接するパッドを有していてもよい。また、そのパッドと長尺物とは、一体化されていてもよく、また、別体であってもよいが、別体であることが好ましい。なお、パッドとしては、拡張可能であり、拡張した状態での外形の形状が板状をなすものが好ましく、さらに、折り畳んだ状態から自己の復元力で拡張するものであることがより好ましい。また、パッドとしては、網状をなしているものが好ましい。
【0036】
図1、図2に示すように、穿刺装置1は、生体組織を穿刺する穿刺針5と、膣200内に挿入される長手形状の膣挿入部材2と、体外に配置される案内部材3と、膣挿入部材2と案内部材3とを連結する連結手段である連結部材4と、膣挿入部材2の先端部(ヘッド部21)に設けられ、超音波の送受信を行なう超音波プローブ61と、案内部材3に設けられ、超音波プローブ61により送受信した超音波から得られる超音波画像で認識可能な超音波マーカ62とを備えている。以下では、膣挿入部材2と超音波プローブ61とで構成される部材を、単に「膣挿入部材2」とも言う。また、案内部材3と超音波マーカ62とで構成される部材を、単に「案内部材3」とも言う。また、穿刺装置1では、超音波プローブ61が膣挿入部材2に設けられ、超音波マーカ62が案内部材3に設けているが、これに限定されず、超音波プローブ61が案内部材3に設けられ、超音波マーカ62が膣挿入部材2に設けられていてもよい。
【0037】
図2に示すように、穿刺針5は、直線状の管体で構成された外管53と、外管53内にその軸方向に沿って移動可能に挿通されたシャフト54とを有する。この穿刺針5は、外管53にシャフト54を挿入した、図2に示す組立状態で用いることができる。
【0038】
外管53には、その先端(一端)に鋭利な針先531が設けられているとともに、その先端部に刃面が形成されている。これにより、生体組織を穿刺することができる。
【0039】
また、外管53の基端部には、その内径および外径がそれぞれ拡径したハブ52が設けられている。このハブ52は、基端側に向かって開口している。そして、外管53からシャフト54を抜去した状態では、例えばハブ52を介して基端側からガイドワイヤ(図示せず)を挿入して、外管53の内腔部532をガイドワイヤルーメンとしても使用することができる。
【0040】
外管53、シャフト54、膣挿入部材2、案内部材3、連結部材4の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料が挙げられる。また、その他の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0041】
なお、外管53は、直線状のものに限らず、例えば、湾曲または屈曲していてもよい。
また、外管53は、その先端部に、超音波プローブ61により送受信した超音波から得られる超音波画像で認識可能な超音波マーカ51を有している。これにより、膣挿入部材2を用いて得られた超音波画像を見て、穿刺針5の先端部の位置を確認しつつ操作を行なうことができる。
【0042】
超音波マーカ51としては、例えば、複数の微小な凹凸等が挙げられる。すなわち、金属材料で構成された穿刺針5の先端部の表面に複数の微小な凹凸を形成することにより、その凹凸が形成された部位を超音波で検出することができる。
【0043】
シャフト54は、直線状の中実体または中空体で構成されたシャフト本体541と、シャフト本体541の基端部に設けられ、その外径が拡径した拡径部542とを有している。そして、シャフト本体541が外管53の内腔部532に挿通した状態では、外管53のハブ52の内側に拡径部542が嵌合する。これにより、シャフト54が外管53から不本意に抜去するのが確実に防止され、よって、シャフト54と外管53との組立状態が維持される。
【0044】
また、図2に示すように、シャフト54の先端部、すなわち、外管53の針先531と同じ側には、第1の磁石10aが設けられている。第1の磁石10aは、シャフト54と外管53との組立状態で、針先531付近、すなわち、図2に示す構成では超音波マーカ51が形成されている範囲内に位置することとなる。
【0045】
この第1の磁石10aは、丸みを帯びた小片状をなす永久磁石で構成されている。第1の磁石10aは、N極およびS極のうちの一方の極が先端方向に臨み、他方の極が基端方向に臨むように配置されている。
【0046】
なお、第1の磁石10aを構成する永久磁石としては、特に限定されず、例えば、鋳造磁石、焼結磁石、ボンド磁石、圧延磁石、鍛造磁石等が挙げられる。このような永久磁石で第1の磁石10aを構成することにより、当該第1の磁石10aを、簡単な構成のものとすることができるとともに、生体組織を穿刺する外管53内に挿入可能な程度に小型のものとすることができる。
【0047】
膣挿入部材2は、その先端部に、丸みを帯びたヘッド部21を有し、また、その基端部に、把持部22を有している。
【0048】
ヘッド部21は、患者の膣200内に挿入され、膣壁に当接する部位である。ヘッド部21が丸みを帯びていることにより、ヘッド部21の膣200内挿入時に、患者に対する安全性を向上させることができる。
【0049】
また、ヘッド部21には、超音波振動子等を備えた超音波プローブ61が設けられている。超音波振動子は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等で構成された圧電体の両面に、電極を形成したものである。
【0050】
超音波プローブ61の超音波振動子においては、超音波が発せられ、その超音波の反射波を受信する。すなわち、超音波の送受信が行なわれる。この超音波の送受信により、観察部位の画像を取り込むことができる。すなわち、超音波振動子では、受信した超音波の反射波を信号に変換し、その信号を、ケーブル73を介して、図示しない制御装置に送信する。制御装置では、前記信号を受信し、例えば、座標変換処理等の各処理を行ない、観察部位の画像信号を生成する。その画像信号は、制御装置から図示しない表示装置に送信され、その表示装置により観察部位の画像、すなわち超音波画像が表示される。なお、その超音波画像は、簡単に言えば、超音波振動子から超音波を送信したときから、その反射波が超音波振動子に戻ってきたときまでの時間に基づいて、対象物までの距離等を求め、これにより当該対象物を可視化したものである。
【0051】
また、膣挿入部材2の図1(b)中上側には、穿刺針5をその長手方向に沿って移動可能に支持するする支持部23が形成されている。この支持部23には、図1(b)中の左右方向に沿って貫通孔231が形成されている。
【0052】
連結部材4の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、直方体形状をなしている。図2に示すように、連結部材4には、2つの貫通孔41、42が図2中の左右方向に沿って形成されている。また、各貫通孔41、42は、それぞれ、その中心軸の方向が互いに一致、すなわち中心軸が互いに平行になるように形成されている。また、貫通孔41は、連結部材4の図2中下側の端部に形成され、貫通孔42は、連結部材4の図2中上側の端部に形成されている。
【0053】
このような貫通孔41、42が形成されていることにより、案内部材3が移動する方向と、膣挿入部材2が移動する方向とは、全て一致することとなる。
【0054】
連結部材4の貫通孔41には、膣挿入部材2がその長手方向に移動可能に挿入されている。すなわち、膣挿入部材2は、貫通孔41により、移動方向が規制され、連結部材4に対して長手方向に移動可能に支持されている。
【0055】
また、穿刺装置1は、雄ネジ71を有しており、連結部材4の貫通孔41に対応する部位には、その雄ネジ71と螺合する雌ネジを有する雌ネジ部44形成されている。
【0056】
雄ネジ71を所定方向に回転させると、その雄ネジ71の先端が膣挿入部材2に圧接し、連結部材4に対する膣挿入部材2の移動が阻止される。また、雄ネジ71を前記と逆方向に回転させると、その雄ネジ71の先端が膣挿入部材2から離間し、連結部材4に対する膣挿入部材2の移動が可能となる。
【0057】
なお、雄ネジ71および雌ネジ部44により、連結部材4に対して膣挿入部材2が移動し得る状態と、膣挿入部材2の移動が阻止された状態とに切り替えるロック部が構成される。
【0058】
また、連結部材4により、膣挿入部材2のヘッド部21、すなわち超音波プローブ61と、案内部材3の超音波マーカ62との間の離間距離を調節する調節機構が構成される。
【0059】
案内部材3の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、側面視、すなわち図1(b)において、L字状をなしている。なお、案内部材3のそのL字の長い方の部位を第1の部位31とし、短い方の部位を第2の部位32とする。
【0060】
前記連結部材4の貫通孔42には、案内部材3の第1の部位31がその長手方向に移動可能に挿入されている。すなわち、案内部材3は、貫通孔42により、移動方向が規制され、連結部材4に対して長手方向に移動可能に支持されている。なお、案内部材3が移動する方向と、膣挿入部材2が移動する方向とは、一致している。
【0061】
この案内部材3の連結部材4に対する位置と、前記膣挿入部材2の連結部材4に対する位置との一方または両方を調節することにより、膣挿入部材2と案内部材3との位置関係、すなわち、膣挿入部材2のヘッド部21と案内部材3の超音波マーカ62との間の離間距離を調節することができる。
【0062】
また、案内部材3の第2の部位32の図1(b)中下側の端部、すなわち第2の部位32の先端部321は、患者の体表面に当接する当接部となる。さらに、この先端部321は、膣挿入部材2の支持部23の貫通孔231によって移動方向が規制された穿刺針5を先端方向に移動させたとき、その穿刺針5の針先531が向かう方向に位置に案内部でもある。
【0063】
図1(b)に示すように、第2の部位32の先端部321には、超音波プローブ61により送受信した超音波から得られる超音波画像で認識可能な超音波マーカ62が設けられている。穿刺針5は、先端方向に移動させたとき、膣挿入部材2の支持部23の貫通孔231で案内されて、穿刺針5の針先531が超音波マーカ62に向かうようになっている。すなわち、穿刺針5は、膣挿入部材2の支持部23の貫通孔231によりその針先531が超音波マーカ62に向けて案内されるように移動することができる。そして、超音波マーカ62により、超音波プローブ61を用いて得られた超音波画像を見て、穿刺針5の針先531が向かう位置を確認しつつ操作を行なうことができる。
【0064】
超音波マーカ62としては、その構成材料として、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料を用い、表面に複数の微小な凹凸を設けたもの等が挙げられる。すなわち、金属材料で構成された部位の表面に複数の微小な凹凸を形成することにより、その凹凸が形成された部位を超音波で検出することができる。
【0065】
さらに、第2の部位32の先端部321には、第2の磁石10bが設けられて(埋設されて)いる(図2参照)。この第2の磁石10bは、小片状をなす永久磁石で構成されている。例えば、第1の磁石10aが、そのN極およびS極のうちのN極が先端方向に臨み、S極が基端方向に臨むように配置されている場合、第2の磁石10bは、そのN極およびS極のうちのS極が先端方向に臨み、N極が基端方向に臨むように配置されている。すなわち、穿刺装置1では、第1の磁石10aと第2の磁石10bとは、同極同士が互いに反対方向を臨むように配置されている。そして、穿刺針5を先端方向に移動させて、針先531が案内部材3の先端部321に接近した際、針先531と先端部321とが所定距離だけ離間する(所定距離以上の接近が規制される)ように、互いの接近距離dが規制される程度の第1の磁石10aと第2の磁石10bとの斥力(反発力)Fが得られる。この斥力Fの大きさを設定する方法としては、特に限定されず、例えば、第1の磁石10aおよび第2の磁石10bの各大きさをそれぞれ適宜調整する方法、第1の磁石10aおよび第2の磁石10bの各構成材料をそれぞれ適宜選択する方法等が挙げられる。
【0066】
なお、第2の磁石10bを構成する永久磁石としては、特に限定されず、例えば、第1の磁石10aを構成する永久磁石と同様のものを用いることができる。このような永久磁石で第2の磁石10bを構成することにより、当該第2の磁石10bを、簡単な構成のものとすることができる。
【0067】
また、穿刺装置1は、雄ネジ72を有しており、連結部材4の貫通孔42に対応する部位には、その雄ネジ72と螺合する雌ネジを有する雌ネジ部45形成されている。
【0068】
雄ネジ72を所定方向に回転させると、その雄ネジ72の先端が案内部材3の第1の部位31に圧接し、連結部材4に対する案内部材3の移動が阻止される。また、雄ネジ72を前記と逆方向に回転させると、その雄ネジ72の先端が案内部材3の第1の部位31から離間し、連結部材4に対する案内部材3の移動が可能となる。
【0069】
なお、雄ネジ72および雌ネジ部45により、連結部材4に対して案内部材3が移動し得る状態と、案内部材3の移動が阻止された状態とに切り替えるロック部が構成される。
【0070】
また、穿刺針5は、膣挿入部材2の支持部23の貫通孔231に挿入して用いられる。そして、貫通孔231に挿入された穿刺針5は、その長手方向に移動し得るようになっている。すなわち、穿刺針5は、貫通孔231により、移動方向が規制され、連結部材4に対して長手方向に移動可能に支持されている。この移動により、穿刺針5は、針先531が案内部材3の先端部321に向かって接近することができる。
【0071】
なお、穿刺針5は、予め、貫通孔231に挿入されていてもよく、また、使用時に、貫通孔231に挿入するようにしてもよい。
【0072】
また、穿刺針5を移動可能に支持する支持部23は、本実施形態では膣挿入部材2に設けられているが、これに限定れず、連結部材4に設けられていてもよい。
【0073】
次に、穿刺装置1の使用方法の一例について詳細に説明する。ここでは、穿刺装置1を用いて、女性の尿失禁の治療のための、糸500で構成されるインプラントを生体内に埋設するまでの手順について説明する。
【0074】
なお、術者は、穿刺装置1の超音波プローブ61により送受信した超音波から得られ、表示装置により表示された超音波画像を見つつ、手技を行なう。
【0075】
まず、穿刺装置1により、患者に、2つの穿刺孔を形成する。この2つの穿刺孔のうちの一方の穿刺孔(以下この穿刺孔を「右側穿刺孔」と言う)は、膣200内から図3中右側の閉鎖孔400を越えて形成され、他方の穿刺孔(以下この穿刺孔を「左側穿刺孔」と言う)は、膣200内から図3中左側の閉鎖孔400を越えて形成されたものである。従って、右側穿刺孔および左側穿刺孔は、いずれも、膣200内から体表面までを貫通しない非貫通孔である。
【0076】
なお、前記2つの穿刺孔を形成する手技は、同様であるので、以下では、代表的に、右側穿刺孔を形成する場合について説明する。
【0077】
まず、穿刺装置1の膣挿入部材2の支持部23の貫通孔231に穿刺針5を挿入しない状態で、膣挿入部材2を患者の膣200内に挿入し、案内部材3を患者の体外に配置する。そして、図3に示すように、案内部材3の第2の部位32の先端部321を患者の図3中右側の鼠蹊部またはその近傍の部位、すなわち図3中右側の閉鎖孔400に対応する位置に押し付ける。
【0078】
この際、必要に応じて、膣挿入部材2および案内部材3の一方または両方の連結部材4に対する位置を変更し、膣挿入部材2と案内部材3との位置関係を調節する。すなわち、必要に応じて、雄ネジ71を緩む方向に回転させ、膣挿入部材2を連結部材4に対して先端方向または基端方向に移動させ、雄ネジ71を締まる方向に回転させ、連結部材4に対する膣挿入部材2の移動が阻止された状態とする。また、必要に応じて、雄ネジ72を緩む方向に回転させ、案内部材3を連結部材4に対して先端方向または基端方向に移動させ、雄ネジ72を締まる方向に回転させ、連結部材4に対する案内部材3の移動が阻止された状態とする。
【0079】
次に、図3に示すように、組立状態の穿刺針5を膣挿入部材2の支持部23の貫通孔231に挿入する。そして、図4に示すように、この穿刺針5を先端方向に移動させ、膣200内に挿入し、さらに先端方向に移動させる。前述したように、穿刺針5は、貫通孔231により、その針先531が案内部材3の超音波マーカ62(先端部321)に向かうように案内されるようになっているので、穿刺針5が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができ、安全である。すなわち、穿刺針5は、貫通孔231により案内され、膣200内から膣壁を穿刺し、尿道100を避けることができる。
【0080】
さらに、穿刺針5を押し込んでいくと、前述したように、針先531が案内部材3の先端部321に所定距離だけ接近したときに、それ以上の接近を規制する、すなわち、接近距離dが規制される程度の斥力Fが第1の磁石10aと第2の磁石10bと間に生じる。この斥力Fは、術者の手に感じられる。このとき、術者は、穿刺針5を押し込む操作を停止する。これにより、穿刺針5は、膣200内から閉鎖孔400を超えて、さらに体表面までの生体組織を穿刺し、鼠蹊部またはその近傍の部位から体外に突出するのが防止される。よって、右側穿刺孔は、膣200内から閉鎖孔400までの生体組織に確実に形成されたもの、すなわち、穿刺針5で生体組織を過不足なく確実に所定の深さに穿刺したものとなる。このような穿刺は、患者への負担が少なく、患者の安全性も高い。また、穿刺針5が体外に突出するのが防止されるため、穿刺針5で指先を穿刺してしまうことを防止することができ、安全である。
【0081】
一方、術者は、超音波画像により、穿刺針5の先端部を示す超音波マーカ51、その穿刺針5の針先531が向かう位置を示す案内部材3の超音波マーカ62、尿道、血管、閉鎖孔等を視認しつつ、手技を行なうことができるので、穿刺針5が尿道100や血管を穿刺しないように微調整することができ、さらに安全に穿刺針5を穿刺することができる。また、この穿刺装置1を用いることにより、術者自身も穿刺針5で指先を穿刺してしまうことを防止することができ、安全である。
【0082】
次に、穿刺針5を抜去する。そして、必要に応じて、前記と同様にして、膣挿入部材2および案内部材3の一方または両方の連結部材4に対する位置を変更し、膣挿入部材2と案内部材3との位置関係を調節し、穿刺装置1を患者から取り外す。このようして、患者には、右側穿刺孔が形成される。
【0083】
次に、前記と同様にして、左側穿刺孔を形成する。なお、前記2つの穿刺孔は、いずれを先に形成してもよい。
【0084】
次に、図5に示すように、左側穿刺孔にシース15を挿入する。
次に、図6に示すように、針16の先端部の図示しない保持部に、2本の糸500のうちの一方の固定部501を保持し、その針16をシース15内に挿入して、移動させる。
【0085】
針16を移動させると、シース15により、針16の移動方向が規制され、図6(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100を避けて、図6(b)中の左上方向に進む。これより、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。なお、糸500の固定部501が目的部位に到達するまで針16を移動する。このようにして、糸500の固定部501が生体に穿刺される。
【0086】
次に、図7に示すように、針16を抜去する。この際、糸500の固定部501の各単位固定部502が生体に穿刺され、その固定部501が生体に固定され、固定部501が生体から抜けてしまうことを防止することができる。このようにして、一方の糸500の固定部501が生体に固定される。
【0087】
次に、図8に示すように、左側穿刺孔に挿入されていたシース15を右側穿刺孔に挿入して、針16の先端部の図示しない保持部に、他方の糸500の固定部501を保持し、その針16をシース15内に沿って移動させる。
【0088】
針16を移動させると、シース15により、針16の移動方向が規制され、図8(b)に示すように、針16の先端部は、尿道100を避けて、図8(b)中の右上方向に進む。これより、針16が尿道100を穿刺してしまうことを防止することができる。なお、糸500の固定部501が目的部位に到達するまで針16を移動する。このようにして、糸500の固定部501が生体に穿刺される。
【0089】
次に、図9に示すように、針16を抜去する。この際、糸500の固定部501の各単位固定部502が生体に穿刺され、その固定部501が生体に固定され、固定部501が生体から抜けてしまうことを防止することができる。このようにして、他方の糸500の固定部501が生体に固定される。
【0090】
次に、図示しない装置を用いて、2本の糸500を合わせて、図示しない結び目を形成する。この結び目の結び方としては、例えば、クリンチ・ノット等の一方向にのみ移動可能な結び方とする。そして、前記結び目を図9中上側に移動させる。この際、術者は、結び目の移動による各糸500の締め付け具合を調整する。尿道100と膣200の間は、比較的容易に剥離するようになっているので、結び目は、尿道100と膣200の間に位置し、尿道100の周囲の生体組織に当接する。そして、各糸500の張力により、尿道100が膣壁300から離間する方向に引っ張られ、各糸500でその尿道100が支持される。
【0091】
次に、シース15を抜去し、糸500の不要な部分を切除し、所定の縫合等を行って、手技を終了する。
【0092】
なお、穿刺装置1は、本実施形態では女性の尿失禁の治療のための埋設可能なインプラントを生体内に埋設する際に用いられる場合について説明したが、これに限定されず、その他の用途にも用いられる。
【0093】
<第2実施形態>
図10は、本発明の穿刺装置の第2実施形態を示す部分縦断面図、図11は、図10中の一点鎖線で囲まれた領域[A]および[B]の拡大図((a)は斥力が生じて接近距離が規制される直前の図、(b)は斥力が生じて接近距離が規制された直後の図)である。
【0094】
以下、これらの図を参照して本発明の穿刺装置の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、穿刺針の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0095】
図10、図11に示すように、本実施形態の穿刺装置1では、穿刺針5Aは、その先端(一端)が先端側(案内部材3の先端部321側)に向かって開口した先端開口533を有する外管53Aと、外管53A内にその軸方向に沿って移動可能に挿通され、先端に鋭利な針先543を有するシャフト54Aとを備えている。
【0096】
外管53Aには、ハブ52の内周部に、その周方向に沿ってリング状に突出した外管側係合部521が形成されている。
【0097】
シャフト54Aには、針先543の基端側直近に第1の磁石10aが設けられている。また、シャフト54Aの拡径部542(針先543と反対側の端部)の外周部には、その周方向に沿ってリング状に突出したシャフト側係合部544が形成されている。
【0098】
図11(a)に示すように、シャフト54Aは、外管53A内に挿通した状態で、当該外管53Aの先端開口533から針先543が突出可能となっている。この突出状態では、外管53Aの外管側係合部521にシャフト54Aのシャフト側係合部544が先端側から係合することができ、当該突出状態が維持されている。
【0099】
なお、外管側係合部521とシャフト側係合部544との係合力は、斥力Fよりも小さくなるように設定されている。その設定方法としては、特に限定されず、例えば、外管側係合部521およびシャフト側係合部544の高さや表面粗さ等と適宜調整する方法、外管側係合部521およびシャフト側係合部544の材質を適宜選択する方法等が挙げられる。
【0100】
そして、図11(b)に示すように、シャフト54Aは、接近距離dが規制されると、斥力Fにより基端方向に押されて、針先543が突出状態から外管53Aの内腔部532内に退避した退避状態となる。針先543が退避した分、穿刺針5Aにおける穿刺抵抗(刺通抵抗)が増加することなり、術者は、その抵抗増加を指先で感じることができる。このとき、術者が穿刺針5Aの穿刺操作を停止することにより、生体組織を確実に所定の深さに穿刺することができる。
【0101】
また、退避状態となったとき、シャフト54Aのシャフト側係合部544が外管53Aの外管側係合部521を乗り越えて、外管側係合部521とシャフト側係合部544との係合が解除される。術者は、この解除された感触(クリック感)を得たり、解除音を聞いたりすることもできる。これにより、術者は、穿刺装置1において接近距離dが規制されたのを認識して、穿刺針5Aの穿刺操作を確実に停止することができる。これにより、生体組織をより確実に所定の深さに穿刺することができる。このように、穿刺装置1では、外管側係合部521とシャフト側係合部544とが、接近距離dが規制されたことを報知する報知手段としても機能を有している。
【0102】
また、図11(b)に示すように、退避状態となった(接近距離dが規制された)とき、シャフト54Aの拡径部542が外管53Aのハブ52から突出する。術者は、この突出状態を視認することができる。これによっても、術者は、穿刺装置1において接近距離dが規制されたのを認識して、穿刺針5Aの穿刺操作を確実に停止することができ、生体組織をさらに確実に所定の深さに穿刺することができる。このように、穿刺装置1では、視認可能に突出状態となった拡径部542が、接近距離dが規制されたことを報知する報知手段として機能を有している。
【0103】
<第3実施形態>
図12は、本発明の穿刺装置の第3実施形態を示す部分縦断面図、図13は、図12中の一点鎖線で囲まれた領域[C]の拡大図((a)は斥力が生じて接近距離が規制される以前の図、(b)は斥力が生じて接近距離が規制された直後の図)である。
【0104】
以下、これらの図を参照して本発明の穿刺装置の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、案内部材の構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0105】
図12、図13に示すように、本実施形態の穿刺装置1では、案内部材3Aは、第2の部位32の先端部321に貫通孔322が形成されたものとなっている。貫通孔322は、第2の部位32の軸方向と直交する方向、すなわち、穿刺針5の穿刺方向に沿って、第2の部位32を貫通して形成されている。また、貫通孔322の内周部には、その周方向に沿ってリング状に突出した案内部側係合部323が形成されている。
【0106】
そして、第2の磁石10bは、支持部材14を介して貫通孔322(先端部321)内をその形成方向に沿って移動可能に支持されている。
【0107】
支持部材14は、柱状をなす部材で構成されている。図13に示すように、支持部材14の外周部の先端側の部分には、その周方向に沿ってリング状に突出した支持部材側係合部141が形成されている。また、支持部材14の外周部の基端側の部分には、図13中の上側に向かって板状に突出した突片142が形成されている。
【0108】
図13(a)に示すように、穿刺針5の針先531と案内部材3Aの先端部321との距離が接近距離dに未だ達していない状態では、支持部材14は、支持部材側係合部141が案内部材3Aの案内部側係合部323に基端側から係合し、突片142が案内部材3Aの第2の部位32に先端側から当接している。これにより、第2の磁石10b(支持部材14)の移動が規制される。
【0109】
なお、支持部材側係合部141と案内部側係合部323との係合力は、斥力Fよりも小さくなるように設定されている。その設定方法としては、特に限定されず、例えば支持部材側係合部141および案内部側係合部323の高さや表面粗さ等と適宜調整する方法、支持部材側係合部141および案内部側係合部323の材質を適宜選択する方法等が挙げられる。
【0110】
そして、図13(b)に示すように、支持部材14は、接近距離dが規制されると、斥力Fにより先端方向に押されて、第2の磁石10bごと移動する。このとき、支持部材14の支持部材側係合部141が案内部材3Aの案内部側係合部323を乗り越えて、支持部材側係合部141と案内部側係合部323との係合が解除される。術者は、この解除された感触(クリック感)を得たり、解除音を聞いたりすることもできる。これにより、術者は、穿刺装置1において接近距離dが規制されたのを認識して、穿刺針5の穿刺操作を確実に停止することができる。これにより、生体組織を確実に所定の深さに穿刺することができる。このように、穿刺装置1では、支持部材側係合部141と案内部側係合部323とが、接近距離dが規制されたことを報知する報知手段としても機能を有している。
【0111】
また、図13(b)に示すように、支持部材14は、接近距離dが規制されたとき、突片142が案内部材3Aの第2の部位32から離間する。術者は、この離間状態を視認することができる。これによっても、術者は、穿刺装置1において接近距離dが規制されたのを認識して、穿刺針5の穿刺操作を確実に停止することができ、生体組織をより確実に所定の深さに穿刺することができる。このように、穿刺装置1では、視認可能に離間状態となった突片142が、接近距離dが規制されたことを報知する報知手段として機能を有している。
【0112】
<第4実施形態>
図14は、本発明の穿刺装置の第4実施形態を示す図((a)および(b)はそれぞれ側面図、(c)は、(a)中のD−D線での断面図)である。
【0113】
以下、この図を参照して本発明の穿刺装置の第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0114】
本実施形態は、穿刺装置が進行方向変更手段をさらに備えること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0115】
図14に示すように、本実施形態の穿刺装置1では、案内部材3は、膣挿入部材2に対して相対的に膣挿入部材2の長手方向に移動可能な状態と、回動可能な状態とを取り得るように設置されている。図示の構成では、案内部材3は、連結部材4に、膣挿入部材2の長手方向に移動可能でかつ回動可能に支持されている。
【0116】
具体的な構成としては、まず、案内部材3の第1の部位31に長孔33が形成されている。長孔33は、第1の部位31の長手方向に沿って延在している。
【0117】
また、連結部材4の図14(a)中上側の端部には、貫通孔46が形成されている。この貫通孔46は、図14(c)中の上下方向に沿って形成されている。
【0118】
また、穿刺装置1は、雄ネジ74を有しており、連結部材4の図14(c)中上側の貫通孔46に対応する位置には、その雄ネジ74と螺合し、貫通孔46と連通する雌ネジを有する雌ネジ部47が形成されている。そして、案内部材3の長孔33と、連結部材4の貫通孔46とが連通した状態で、雄ネジ74が、図14(c)中下側から長孔33および貫通孔46に挿入され、雌ネジと螺合している。これにより、案内部材3は、長孔33内に挿入された雄ネジ74を中心として、回動することができる。また、案内部材3は、長孔33と雄ネジ74とにより、その移動方向が長孔33の方向に規制され、連結部材4に対して移動することができる。
【0119】
ここで、雄ネジ74を所定方向に回転させると、雄ネジ74が締まり、雄ネジ74と連結部材4とで案内部材3が挟持され、連結部材4に対する案内部材3の移動および回動が阻止される。また、雄ネジ74を前記と逆方向に回転させると、雄ネジ74が緩み、連結部材4に対する案内部材3の移動および回動が可能となる。
【0120】
なお、雄ネジ74および雌ネジ部47により、連結部材4に対して案内部材3が移動および回動し得る状態と、案内部材3の移動および回動が阻止された状態とに切り替えるロック部が構成される。
【0121】
また、この穿刺装置1は、案内部材3が膣挿入部材2に対して相対的に膣挿入部材2の長手方向に移動または回動したとき、穿刺針5が超音波マーカ62の方向を向くように穿刺針5の進行方向を変更する進行方向変更手段として、進行方向変更部材11を有している。この進行方向変更部材11は、案内部材3と穿刺針5とを連結する部材であり、案内部材3および穿刺針5は、それぞれ、進行方向変更部材11に移動可能に支持される。
【0122】
進行方向変更部材11の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、直方体形状をなしており、進行方向変更部材11の図14(a)中上側の端部および図14(a)中下側の厚み、すなわち図14(a)における紙面に対して垂直な方向の長さが、それぞれ、中央部よりも厚く設定されている。
【0123】
そして、進行方向変更部材11の図14(a)中下側の端部には、貫通孔111が形成され、図14(a)中上側の端部には、貫通孔112が形成されている。各貫通孔111および112は、それぞれ、図14(a)中の左右方向に沿って形成されている。また、各貫通孔111および112は、その中心軸の方向が互いに一致、すなわち中心軸が互いに平行になり、かつ、進行方向変更部材11の軸線と連結部材4の軸線とが平行である図14(a)に示す状態において、貫通孔111の中心軸が、後述する支持部23の貫通孔231の中心軸の延長線上に位置し、貫通孔112の中心軸が、雄ネジ74の中心軸と交わるように形成されている。
【0124】
進行方向変更部材11の貫通孔112には、案内部材3の第1の部位31がその長手方向に移動可能に挿入されている。言い換えれば、進行方向変更部材11は、第1の部位31に、その第1の部位31の長手方向に沿って移動可能に支持されている。
【0125】
また、膣挿入部材2の図14(a)中上側には、穿刺針5をその長手方向に沿って移動可能に支持するする支持部23が形成されている。この支持部23には、図14(a)中の左右方向に沿って貫通孔231が形成されている。
【0126】
穿刺針5は、組立状態で、膣挿入部材2の貫通孔231、連結部材4および進行方向変更部材11の貫通孔111に挿入して用いられる。そして、貫通孔231および111に挿入された穿刺針5は、その長手方向に移動し得るようになっている。
【0127】
この穿刺装置1では、進行方向変更部材11の軸線と連結部材の軸線とが平行である図14(a)に示す状態においては、案内部材3の第1の部位31の軸線と、穿刺針5の軸線とが平行になっている。そして、穿刺針5は、先端方向に移動させたとき、支持部23の貫通孔231および進行方向変更部材11の貫通孔111で案内されて、穿刺針5の先端が超音波マーカ62に向かうようになっている。
【0128】
また、図14(b)に示すように、案内部材3を図14(b)中の反時計回りに所定量回転させると、進行方向変更部材11がその回転量に応じた角度だけ傾斜し、進行方向変更部材11により、穿刺針5の先端部は、屈曲して、図14(b)中の右上方向を向く。この穿刺針5の先端部が屈曲したときの角度は、案内部材3の回転量に応じたものであり、進行方向変更部材11により、案内部材3の第1の部位31の軸線と、穿刺針5の貫通孔111よりも先端側の部位の軸線とが平行である状態が保持される。これにより、穿刺針5は、先端方向に移動させたとき、貫通孔111で案内されて、穿刺針5の先端が超音波マーカ62に向かう。案内部材3を回動させると、このようにして穿刺針5が超音波マーカ62の方向を向くように穿刺針5の進行方向が変更される。
【0129】
また、穿刺針5の先端部が屈曲した図14(b)に示す状態において、案内部材3を連結部材4に対して長手方向に移動させる場合は、進行方向変更部材11が連結部材4に対して移動しないように、案内部材3に対して長手方向に移動させる。これにより、進行方向変更部材11により、案内部材3の第1の部位31の軸線と、穿刺針5の貫通孔111よりも先端側の部位の軸線とが平行である状態を保持することができる。これによって、穿刺針5は、先端方向に移動させたとき、貫通孔111で案内されて、穿刺針5の先端が超音波マーカ62に向かう。
【0130】
なお、図14(a)に示す状態において、案内部材3を連結部材4に対して長手方向に移動させる場合は、必ずしも、進行方向変更部材11が連結部材4に対して移動しないように、案内部材3に対して長手方向に移動させる必要はない。
【0131】
この穿刺装置1によれば、前述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
そして、この穿刺装置1では、案内部材3が連結部材4に対して長手方向に移動可能でかつ回動可能に構成され、穿刺針5の進行方向を変更し得るようになっているので、患者の個人差や種々の症例に対応することができ、より確実に、尿道を穿刺してしまうことを防止することができる。
【0132】
なお、案内部材3は、本実施形態では膣挿入部材2に対して相対的に膣挿入部材2の長手方向に移動可能な状態と、回動可能な状態との双方の状態を取り得るよう構成されているが、これに限定されず、例えば、いずれか一方の状態のみを取り得るよう構成されていてもよい。
【0133】
<第5実施形態>
図15は、本発明の穿刺装置の第5実施形態を示す側面図である。
【0134】
以下、この図を参照して本発明の穿刺装置の第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、穿刺針の穿刺方向が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
【0135】
図15に示すように、本実施形態の穿刺装置1では、穿刺針5は、組立状態で、案内部材3に対して回動可能で、かつ穿刺針5の軸方向に移動に構成されている。
【0136】
すなわち、案内部材3は、穿刺針5をその軸方向に移動可能に支持する支持部材(支持部)13を有しており、支持部材13は、案内部材3の第2の部位32の図15中下側の端部、すなわち第2の部位32の先端部321に回動可能に設置されている。
【0137】
支持部材13の形状は、特に限定されないが、本実施形態では、円柱状または円板状をなしている。この支持部材13は、その中心軸が図15の紙面に対して垂直な方向を向くように配置されている。
【0138】
支持部材13には、貫通孔131、133がそれぞれ形成されている。貫通孔133は、図15の紙面に対して垂直な方向、すなわち支持部材13の中心軸に沿って形成されている。また、貫通孔131は、貫通孔133からずれた位置に、図15の紙面に対して平行な方向に沿って形成されている。
【0139】
穿刺針5は、支持部材13の貫通孔131に挿入して用いられる。そして、貫通孔131に挿入された穿刺針5は、その長手方向に移動し得るようになっている。すなわち、穿刺針5は、貫通孔131により、超音波マーカ62の位置または超音波マーカ62の近傍の位置から突出し、穿刺針5の針先531を超音波プローブ61に向けて案内されるように、移動可能に支持される。
【0140】
また、案内部材3の第2の部位32の図15中下側の端部には、貫通孔37が形成されている。この貫通孔37は、図15の紙面に対して垂直な方向に沿って形成されている。
【0141】
また、穿刺装置1は、雄ネジ77を有しており、案内部材3の第2の部位32の図15の紙面手前側の貫通孔37に対応する位置には、その雄ネジ77と螺合し、貫通孔37と連通する雌ネジを有する雌ネジ部38が形成されている。そして、案内部材3の貫通孔37と、支持部材13の貫通孔133とが連通した状態で、雄ネジ77が、図15の紙面裏側から貫通孔133および37に挿入され、雌ネジと螺合している。これにより、支持部材13は、雄ネジ77を中心として、回動することができる。
【0142】
ここで、雄ネジ77を所定方向に回転させると、雄ネジ77が締まり、雄ネジ77と案内部材3とで支持部材13が挟持され、案内部材3に対する支持部材13の回動が阻止される。また、雄ネジ77を前記と逆方向に回転させると、雄ネジ77が緩み、案内部材3に対する支持部材13の回動が可能となる。
【0143】
なお、雄ネジ77および雌ネジ部38により、案内部材3に対して支持部材13が回動し得る状態と、支持部材13の回動が阻止された状態とに切り替えるロック部が構成される。
【0144】
この穿刺装置1によれば、前述した第4実施形態と同様の効果が得られる。
また、膣挿入部材2は、そのヘッド部21が、穿刺針5を針先531が向かう方向に位置する案内部となる。このヘッド部21には、第2の磁石10bが埋設されている。
【0145】
そして、案内部材3の膣挿入部材2に対する位置(姿勢)に応じて、支持部材13を調整する(作動する)ことにより、穿刺針5を針先531が確実に膣挿入部材2のヘッド部21に向かって接近することができる。針先531とヘッド部21との接近距離dが規制されると、術者は、斥力Fを感じて、穿刺針5の穿刺操作を停止することができる。これにより、生体組織を所定の深さに確実に穿刺することができる。
【0146】
なお、本実施形態では、支持部材13は、案内部材3に回動可能に支持されているが、これに限らず、支持部材13は、案内部材3に固定的に設置されていてもよい。また、案内部材3が支持部材13の機能を有していてもよい。すなわち、案内部材3に、穿刺針5が挿入され、穿刺針5をその長手方向に移動可能に支持する貫通孔が形成されていてもよい。
【0147】
以上、本発明の穿刺装置を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、穿刺装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0148】
また、本発明の穿刺装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0149】
また、穿刺装置は、膣挿入部材を連結部材から取り外せるように構成されていてもよい。
【0150】
また、第1の磁石および第2の磁石としては、前記各実施形態では永久磁石であったが、これに限定されず、例えば、電磁石であってもよい。
【符号の説明】
【0151】
1 穿刺装置
2 膣挿入部材
21 ヘッド部
22 把持部
23 支持部
231 貫通孔
3、3A 案内部材
31 第1の部位
32 第2の部位
321 先端部
322 貫通孔
323 案内部側係合部
33 長孔
37 貫通孔
38 雌ネジ部
4 連結部材
41、42 貫通孔
44、45、47 雌ネジ部
46 貫通孔
5、5A 穿刺針
51 超音波マーカ
52 ハブ
521 外管側係合部
53、53A 外管
531 針先
532 内腔部
533 先端開口
54、54A シャフト
541 シャフト本体
542 拡径部
543 針先
544 シャフト側係合部
61 超音波プローブ
62 超音波マーカ
71、72、74、77 雄ネジ
73 ケーブル
10a 第1の磁石
10b 第2の磁石
11 進行方向変更部材
111、112 貫通孔
13 支持部材(支持部)
131、133 貫通孔
14 支持部材
141 支持部材側係合部
142 突片
15 シース
16 針
100 尿道
200 膣
300 膣壁
400 閉鎖孔
500 糸(糸状体)
501 固定部
502 単位固定部
d 接近距離
F 斥力(反発力)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織を穿刺する鋭利な針先を有する穿刺針と、
膣内に挿入される長手形状の膣挿入部材と、
前記針先が向かう方向に位置する案内部を有する案内部材と、
前記膣挿入部材と前記案内部材とを連結する連結手段とを備え、
前記膣挿入部材または前記連結手段には、前記穿刺針を前記針先が前記案内部に向かって接近するように移動可能に支持する支持部が設けられ、
前記穿刺針には、前記針先付近に第1の磁石が設けられ、前記案内部材には、前記案内部付近に第2の磁石が設けられており、
前記針先が前記案内部に接近した際、前記第1の磁石と前記第2の磁石との斥力により、前記針先と前記案内部とが離間する程度に互いの接近距離が規制されるよう構成されていることを特徴とする穿刺装置。
【請求項2】
生体組織を穿刺する鋭利な針先を有する穿刺針と、
前記針先が向かう方向に位置する案内部を有し、膣内に挿入される長手形状の膣挿入部材と、
前記穿刺針を前記針先が前記案内部に向かって接近するように移動可能に支持する支持部を有する案内部材と、
前記膣挿入部材と前記案内部材とを連結する連結手段とを備え、
前記穿刺針には、前記針先付近に第1の磁石が設けられ、前記膣挿入部材には、前記案内部付近に第2の磁石が設けられており、
前記針先が前記案内部に接近した際、前記第1の磁石と前記第2の磁石との斥力により、前記針先と前記案内部とが離間する程度に互いの接近距離が規制されるよう構成されていることを特徴とする穿刺装置。
【請求項3】
前記穿刺針は、管状をなし、その一端に前記針先が設けられた外管と、
前記外管内にその軸方向に沿って移動可能に挿通され、前記針先と同じ側に前記第1の磁石が設けられたシャフトとを有する請求項1または2に記載の穿刺装置。
【請求項4】
前記穿刺針は、管状をなし、その一端が前記案内部側に向かって開口する外管と、
前記針先および前記第1の磁石が設けられており、前記外管内にその軸方向に沿って移動可能に挿通され、その挿通状態で前記外管の一端から前記針先が突出可能なシャフトとを有する請求項1または2に記載の穿刺装置。
【請求項5】
前記針先は、前記外管の一端から突出した状態から前記接近距離が規制されると、前記外管内に退避する請求項4に記載の穿刺装置。
【請求項6】
前記穿刺針には、前記接近距離が規制されたことを報知する報知手段が設けられている請求項4または5に記載の穿刺装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記外管の他端部に形成された外管側係合部と、前記シャフトの前記針先と反対側の端部に形成され、前記針先が前記外管の一端から突出した状態で前記外管側係合部と係合可能なシャフト側係合部とを有し、前記接近距離が規制されたときに、前記外管側係合部と前記シャフト側係合部との係合が解除されて、その解除された感触および音のうちの少なくとも一方が得られ、これにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである請求項6に記載の穿刺装置。
【請求項8】
前記外管は、その他端が開口したものであり、
前記シャフトは、前記接近距離が規制されたときに、前記針先と反対側の端部が前記外管の他端から突出するものであり、
前記報知手段は、前記シャフトの前記針先と反対側の端部が前記外管の他端から突出して、その状態を視認可能とすることにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである請求項6または7に記載の穿刺装置。
【請求項9】
前記案内部材には、前記接近距離が規制されたことを報知する報知手段が設けられている請求項1ないし8のいずれかに記載の穿刺装置。
【請求項10】
前記第2の磁石は、支持部材を介して前記案内部内を移動可能に支持されており、
前記報知手段は、前記案内部内に形成された案内部側係合部と、前記支持部材に形成され、前記案内部側係合部と係合可能な支持部材側係合部とを有し、前記接近距離が規制されたときに、前記案内部側係合部と前記支持部材側係合部との係合が解除されて、その解除された感触および音のうちの少なくとも一方が得られ、これにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである請求項9に記載の穿刺装置。
【請求項11】
前記支持部材は、前記接近距離が規制されたときに、前記案内部材から離間する部分を有し、
前記報知手段は、前記支持部材が前記案内部材から離間して、その状態を視認可能とすることにより、前記接近距離が規制されたことを報知するものである請求項9または10に記載の穿刺装置。
【請求項12】
前記第1の磁石および前記第2の磁石は、それぞれ、永久磁石で構成されている請求項1ないし11のいずれかに記載の穿刺装置。
【請求項13】
前記膣挿入部材および前記案内部材のうちの一方に設けられ、超音波の送受信を行う超音波プローブと、
前記膣挿入部材および前記案内部材のうちの他方に設けられ、前記超音波プローブにより送受信した超音波から得られる超音波画像で認識可能な超音波マーカとを備える請求項1ないし12のいずれかに記載の穿刺装置。
【請求項14】
前記案内部材は、前記膣挿入部材に対して相対的に前記膣挿入部材の長手方向に移動可能な状態と回動可能な状態とのうちの少なくとも一方の状態を取り得る請求項1ないし13のいずれかに記載の穿刺装置。
【請求項15】
前記案内部材が前記膣挿入部材に対して相対的に前記膣挿入部材の長手方向に移動または回動したとき、前記穿刺針の進行方向を変更する進行方向変更手段を備える請求項14に記載の穿刺装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−106715(P2013−106715A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253122(P2011−253122)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】