説明

穿孔方法、制御方法、穿孔装置

【課題】コンクリート構造物に穿孔する際に、コンクリート構造物内に埋設されている各種の配管等を切断したり傷付けたりするのを防止する。
【解決手段】コンクリート構造物65に孔を形成するための穿孔方法であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ、該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビット55を用い、流体供給手段45により前記コア孔を介して前記穿孔面に流体を供給しながら、該砥石ビット55を回転させつつ推進させることにより、前記コンクリート構造物65に孔を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物の所定の位置に孔を形成するのに好適な穿孔方法、制御方法、穿孔装置及び砥石ビットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既存のコンクリート構造物に対してリニューアルや耐震補強工事を行う際に、コンクリート構造物の所定の位置に所定の径、深さの孔を形成し、この孔内にボルト等を埋め込み、資材の取り付け、補強等を行っている。
【0003】
このような工事を行う場合、コアビットドリル、グラインドビットドリル等のドリルを用い、これらのドリルを穿孔機に取り付け、穿孔機を作動させてドリルを回転駆動させることにより、コンクリート構造物の所定の位置に所定の径、深さの孔を形成している。
【0004】
コンクリート構造物の穿孔作業に用いられるドリルは、穿孔作業の効率を高めるために改良が重ねられて切れ味が高められているため、コンクリートだけでなくコンクリート中に埋設されている埋設物(鉄筋、各種の配管(水道管、ガス管、電線や信号線等のCD管等)も一緒に切断したり、傷付けたりしてしまうことがあり、このような埋設物を切断等する事故を未然に防ぐ対策を施す必要がある。
【0005】
コンクリート中に埋設されている埋設物を切断等する事故を未然に防ぐ方法の一例として、埋設物が導電体の場合に、埋設物の一部をはつり出し、そのはつり出した部分とドリルとの間を予めアース処理しておき、穿孔作業中にドリルの先端が導電体と接触した瞬間に、漏電遮断機を作動させて穿孔作業を中断し、導電体を切断したり、傷付けたりするのを防止する方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−27908号公報
【特許文献2】特許第2869682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、このような方法にあっては、水道配管、樹脂製の保護管内を挿通している電線、通信線等に対しては適用することができず、適用範囲が制限されてしまい、全ての埋設物に対して切断等の事故を未然に防ぐことができない。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、コンクリート構造物の所定の位置に所定の径、深さの孔を形成する場合に、コンクリート内に埋設されている埋設物(鉄筋、各種の配管(水道管、ガス管、電線や信号線等のCD管等))を切断したり、傷付けたりすることがなく、埋設物を切断等する事故を防止することができる穿孔方法、制御方法、穿孔装置及び砥石ビットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、請求項1に係る発明は、コンクリート構造物に孔を形成するための穿孔方法であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ、該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットを用い、流体供給手段により前記コア孔を介して前記穿孔面に流体を供給しながら、該砥石ビットを回転させつつ推進させることにより、前記コンクリート構造物に孔を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明による穿孔方法によれば、コンクリート構造物に対して、流体供給手段によりコア孔を介して砥石ビットの穿孔面に流体を供給しながら、砥石ビットを回転させつつ推進させることにより、コンクリート構造物のコンクリートが砥石ビットによって切削され、コンクリート構造物に所定の径、深さの孔が形成される。この場合、砥石ビットのコア孔の内外を貫通する孔又はスリットを介してコア孔の内外で流体を循環させることができるので、コア孔内に流体が封入されるようなことはなく、砥石ビットの穿孔面に十分に流体を供給することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の穿孔方法であって、前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする。
本発明による穿孔方法によれば、コア孔は砥石ビットに対して偏心回転することになるので、形成されるコアの径を小さくすることができ、コアを容易に取り出すことができる。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の穿孔方法であって、前記砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることを特徴とする。
本発明による穿孔方法によれば、コンクリート構造物に対して、砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることにより、コンクリート構造物が砥石ビットによって切削され、コンクリート構造物に所定の径、深さの孔が形成され、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔が形成されることになる。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1から3の何れかに記載の穿孔方法であって、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、穿孔開始から所定の時間経過後に前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする。
本発明による穿孔方法によれば、コンクリート構造物に孔を形成する際に、予め、一定の推進力における砥石ビットのコンクリート構造物に対する穿孔時間と穿孔深さとの関係を求めておき、穿孔開始から所定の時間経過後に砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔が形成され、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔が形成されることになる。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1から3の何れかに記載の穿孔方法であって、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、前記砥石ビットによる穿孔音、前記砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、該穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする。
本発明による穿孔方法によれば、コンクリート構造物に砥石ビットにより孔を形成する際に、砥石ビットによる穿孔音、砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、この穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔が形成され、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔が形成されることになる。
【0015】
請求項6に係る発明は、コンクリート構造物に孔を形成するための制御方法であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットを用い、流体供給手段により前記コア孔を介して前記穿孔面に流体を供給しながら、該砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることにより、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、穿孔開始から所定の時間経過後に前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする。
本発明による制御方法によれば、砥石ビットによりコンクリート構造物に孔を形成する際に、穿孔開始から所定の時間経過後に砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔が形成され、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔が形成されることになる。
【0016】
請求項7に係る発明は、コンクリート構造物に孔を形成するための制御方法であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットを用い、流体供給手段により前記コア孔を介して前記穿孔面に流体を供給しながら、該砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることにより、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、前記砥石ビットによる穿孔音、前記砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、該穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする。
本発明による制御方法によれば、コンクリート構造物に砥石ビットにより孔を形成する際に、砥石ビットによる穿孔音、砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、この穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔が形成され、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔が形成されることになる。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の制御方法であって、前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする。
本発明による制御方法によれば、コア孔は砥石ビットに対して偏心回転することになるので、形成されるコアの径を小さくすることができ、コアを容易に取り出すことができる。
【0018】
請求項9に係る発明は、コンクリート構造物に孔を形成するための穿孔装置であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットと、前記コア孔を介して前記砥石ビットの穿孔面に流体を供給する流体供給手段と、該砥石ビットを回転駆動させる駆動手段と、該砥石ビットを推進させる推進手段と、前記駆動手段及び前記推進手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、穿孔開始から所定の時間経過後に前記駆動手段及び前記推進手段による前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする。
本発明による穿孔装置によれば、流体供給手段によりコア孔を介して砥石ビットの穿孔面に流体を供給しながら、駆動手段と推進手段との協働によって砥石ビットを回転させつつ推進させ、制御手段により穿孔開始から所定の時間経過後に砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の径、深さの孔が形成され、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔が形成されることになる。この場合、孔又はスリットを介して砥石ビットのコア孔の内外で流体を循環させることができるので、コア孔内に流体が封入されるようなことはなく、砥石ビットの穿孔面に流体を十分に供給することができる。
【0019】
請求項10に係る発明は、コンクリート構造物に孔を形成するための穿孔装置であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットと、前記コア孔を介して前記砥石ビットの穿孔面に流体を供給する流体供給手段と、該砥石ビットを回転駆動させる駆動手段と、該砥石ビットを推進させる推進手段と、前記駆動手段及び前記推進手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、前記砥石ビットによる穿孔音、前記砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、該穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする。
本発明による穿孔装置によれば、コンクリート構造物に砥石ビットにより孔を形成する際に、砥石ビットによる穿孔音、砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、この穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔が形成され、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔が形成されることになる。
【0020】
請求項11に係る発明は、請求項9又は10に記載の穿孔装置であって、前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする。
本発明による穿孔装置によれば、コア孔は砥石ビットに対して偏心回転することになるので、形成されるコアの径を小さくすることができ、コアを容易に取り出すことができる。
【0021】
請求項12に係る発明は、コンクリート構造物に孔を形成するための砥石ビットであって、円柱状をなすとともに、先端面が平面の穿孔面に形成され、かつ軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ、該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられていることを特徴とする。
本発明による砥石ビットによれば、コンクリート構造物に孔を形成する場合に、砥石ビットを回転させながら推進させることにより、コンクリート構造物に中心部にコアが位置する筒状の孔が形成される。この場合、砥石ビットのコア孔の内外を貫通する孔又はスリットを介して流体を循環させることができるので、砥石ビットのコア孔内に流体が封入されるようなことはなく、砥石ビットの穿孔面に流体を十分に供給することができる。
【0022】
請求項13に係る発明は、請求項12に記載の砥石ビットであって、前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする。
本発明による砥石ビットによれば、コア孔は砥石ビットに対して偏心回転することになるので、形成されるコアの径を小さくすることができ、コアを容易に取り出すことができる。
【発明の効果】
【0023】
以上、説明したように、本発明の穿孔方法によれば、コンクリート構造物に対して、流体供給手段によりコア孔を介して砥石ビットの穿孔面に流体を供給しながら、砥石ビットを回転させつつ推進させることにより、コンクリート構造物のコンクリートが砥石ビットによって切削され、コンクリート構造物に所定の径、深さの孔が形成される。この場合、砥石ビットのコア孔の内外を貫通する孔又はスリットを介してコア孔の内外で流体を循環させることができるので、コア孔内に流体が封入されるようなことはなく、砥石ビットの穿孔面に十分に流体を供給することができ、切削効率を高めることができる。
また、穿孔面が平面に形成されているので、穿孔作業の効率を高めることができるとともに、穿孔面がコンクリート構造物内の埋設物に接触した場合に、穿孔面と埋設物との間にすべりが生じることにより、それ以上の砥石ビットの推進が阻止され、砥石ビットによって埋設物を切断したり、傷つけたりするのを防止できる。
【0024】
また、コンクリート構造物に対して、砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることにより、コンクリート構造物に所定の径、深さの孔を形成し、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔を形成することができる。
【0025】
さらに、コンクリート構造物に孔を形成する際に、予め、一定の推進力における砥石ビットのコンクリート構造物に対する穿孔時間と穿孔深さとの関係を求めておき、穿孔開始から所定の時間経過後に砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔を形成し、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔を形成することができる。従って、砥石ビットによって埋設物を切断したり傷つけたりするのを防止できる。
【0026】
さらに、コンクリート構造物に砥石ビットにより孔を形成する際に、砥石ビットによる穿孔音、砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、この穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔を形成し、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔を形成することができる。従って、砥石ビットによって埋設物を切断したり傷つけたりするのを防止できる。
【0027】
さらに、本発明による制御方法によれば、砥石ビットによりコンクリート構造物に孔を形成する際に、穿孔開始から所定の時間経過後に砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、又は、砥石ビットによる穿孔音、砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、この穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の深さの孔を形成し、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔を形成することができる。従って、砥石ビットにより埋設物を切断したり、傷つけたりするのを防止できる。
【0028】
さらに、本発明による穿孔装置によれば、流体供給手段によりコア孔を介して砥石ビットの穿孔面に流体を供給しながら、駆動手段と推進手段との協働によって砥石ビットを回転させつつ推進させ、制御手段により穿孔開始から所定の時間経過後に砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、又は、砥石ビットによる穿孔音、砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、この穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により砥石ビットの回転及び推進を停止させることにより、コンクリート構造物に所定の径、深さの孔を形成し、又はコンクリート構造物に埋設されている埋設物に達する孔を形成することができる。
この場合、孔又はスリットを介して砥石ビットのコア孔の内外で流体を循環させることができるので、コア孔内に流体が封入されるようなことはなく、砥石ビットの穿孔面に流体を十分に供給することができ、砥石ビットによる切削効率を高めることができる。さらに、砥石ビットによって埋設物を傷つけたり、切断したりするのを防止できる。
【0029】
さらに、本発明による砥石ビットによれば、コンクリート構造物に孔を形成する場合に、砥石ビットを回転させながら推進させることにより、コンクリート構造物に中心部にコアが位置する筒状の孔を形成することができる。この場合、砥石ビットのコア孔の内外を貫通する孔又はスリットを介して流体を循環させることができるので、砥石ビットのコア孔内に流体が封入されるようなことはなく、砥石ビットの穿孔面に流体を十分に供給することができ、砥石ビットによる切削効率を高めることができる。
さらに、砥石ビットは、円柱状をなすとともに、先端面が平面の穿孔面に形成され、かつ偏心した位置に軸線方向に貫通するコア孔が設けられているので、コンクリート構造物に孔を形成する場合に、コンクリート構造物に中心部にコアが位置する筒状の孔を形成することができる。この場合、コアはコア孔の偏心回転によって細く形成されるので、容易に取り出すことができ、穿孔作業効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による穿孔装置の一実施の形態を示した概略図である。
【図2】図1のフレームの基台の下面図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図1の砥石ホルダの断面図である。
【図5】図1の砥石ビットの斜視図である。
【図6】図5の砥石ビットの断面図であって、コンクリート構造物に対する穿孔作業の状態を示した説明図である。
【図7】砥石ビットの変形例を示した断面図である。
【図8】砥石ビットの変形例を示した斜視図である。
【図9】砥石ビットによるコンクリート構造物に対する押付け力と切削速度との関係を示した説明図である。
【図10】埋設物の有無の判断方法を示した説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面に示す本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図6には、本発明の一実施の形態が示されている。本実施の形態は、鉄筋、各種の配管(水道管、ガス管、電線や信号線等のCD管等)等の埋設物が埋設されたコンクリート構造物65に所定の径、深さの孔70を形成するのに有効なものである。
【0032】
すなわち、本実施の形態の穿孔装置1は、図1に示すように、砥石ビット55と、砥石ビット55を回転駆動させる駆動手段30と、砥石ビット55を推進させる推進手段15と、砥石ビット55に流体(磨ぎ水等の液体、空気等の気体、又は液体と気体との混合物等であり、本実施の形態では磨ぎ水を用いている。)を供給する流体供給手段45と、駆動手段30及び推進手段15を支持するフレーム2と、駆動手段30及び推進手段15を制御する制御手段50とを備えている。
【0033】
フレーム2は、図1〜図3に示すように、コンクリート構造物65の上部に真空吸着により固定される基台3と、基台3の上部に垂直に設けられる支持軸13とから構成され、このフレーム2に推進手段15及び駆動手段30が支持されている。
【0034】
基台3は、板状をなすものであって、図2及び図3に示すように、下面側に連通孔5を介して相互に連通する複数の凹部4が設けられ、これらの複数の凹部4のうちの一つには凹部4の内外を貫通する接続口6が設けられ、この接続口6に配管を介して真空ポンプ(図示せず)が接続されている。
【0035】
基台3の各凹部4の開口周縁部には、各凹部4を囲むように環状のパッキン8がそれぞれ一体に設けられ、基台3をコンクリート構造物65の上部に位置した際に、これらのパッキン8によって基台3とコンクリート構造物65との間がシールされ、基台3の各凹部4に対応する部分にそれぞれ密閉された空所7が形成される。そして、この空所7内を真空ポンプにより真空吸引することにより、基台3がコンクリート構造物65の上部に真空吸着され、穿孔装置1の全体がコンクリート構造物65の上部に固定される。
【0036】
基台3の中心部には、図1及び図2に示すように、基台3を上下方向に貫通する貫通孔9が設けられ、この貫通孔9内を後述する砥石ホルダ34及び砥石ホルダ34に取り付けられる砥石ビット55が上下方向から挿通可能に構成されている。
【0037】
貫通孔9の上端開口部には、図1に示すように、環状のガイド10が嵌合され、このガイド10によって砥石ホルダ34が上下方向に移動可能に案内され、砥石ホルダ34に取り付けられる砥石ビット55が回転振れを起こすのが防止される。
【0038】
貫通孔9の下端開口部には、図1に示すように、環状のブッシュ11が嵌合され、このブッシュ11によって砥石ビット55に供給される磨ぎ水、及びコンクリート構造物65に対する穿孔作業の際に生じる切削のろが基台3とコンクリート構造物65との間を介して穿孔装置1の周囲に漏れ出るのが防止される。
【0039】
基台3の内部には、図1に示すように、一端が貫通孔9の内周側に開口し、他端が基台2の外周側に開口する逃し孔12が設けられ、この逃し孔12によって排水路47が構成され、この排水路47を介して流体供給手段45から砥石ビット55に供給される磨ぎ水、及びコンクリート構造物65に対する穿孔作業の際に生じる切削のろが流体供給手段45に戻される。
【0040】
推進手段15は、図1に示すように、支持軸13の外面に沿って上下方向に移動可能に設けられる板状の移動台16と、支持軸13の内部に設けられるとともに、移動台16を上下方向に進退させるアクチュエータ20と、アクチュエータ20を駆動させる圧力供給源21とから構成されている。
【0041】
アクチュエータ20は、直動可能なロッドを有する空圧シリンダ又は油圧シリンダであって、圧力供給源21から配管22及び切替えバルブ23を介してアクチュエータ20に空気圧又は油圧を供給することにより、ロッドが直動するように構成されている。
【0042】
本実施の形態においては、アクチュエータ20に空圧シリンダを用い、圧力供給源21にコンプレッサーを用い、ロッドが上下方向に直動可能となるように、空圧シリンダを支持軸13の内部に設け、空圧シリンダのロッドに移動台16が一体に連結されている。
【0043】
推進手段15の移動台16には、取付け治具17を介して駆動手段30が取り付けられ、アクチュエータ20の作動により移動台16を上下方向に進退させることにより、移動台16に追従して駆動手段30が上下方向に進退する。
【0044】
アクチュエータ20を作動させて駆動手段30を上下方向に進退させることにより、駆動手段30に取り付けられる砥石ビット55に圧力供給源21からの圧力に応じた推進力が付与される。なお、アクチュエータ20に電気、空圧、又は油圧式の回転機を用い、回転機の回転を変換機構により直動に変換することにより、移動台16を上下方向に移動させるように構成してもよい。
【0045】
移動台16には変位検出手段25が設けられ、この変位検出手段25によって移動台16の上下方向の変位、すなわち、移動台16に駆動手段30を介して取り付けられる砥石ビット55の上下方向の変位が検出される。本実施の形態においては、支持軸13にレーザー変位計26を取り付け、レーザー変位計26に対向する移動台16の部分に反射鏡27を取り付け、これらの組合せによって変位検出手段25を構成している。但し、これらの組合せに限らず、砥石ビット55の上下方向の変位を検出できるものであればよい。
【0046】
駆動手段30は、図1に示すように、推進手段15の移動台16に取付け治具17を介して取り付けられて、移動台16と一体に上下方向に移動可能な駆動モータ31と、駆動モータ31の駆動軸32に着脱自在に取付けられるチャック33と、チャック33に着脱自在に取り付けられると砥石ホルダ34とから構成され、砥石ホルダ34に砥石ビット55が着脱自在に取り付けられている。なお、駆動モータ31の代わりに空気圧又は油圧式の回転機を使用してもよい。
【0047】
砥石ホルダ34は、図4に示すように、丸棒状の取付け軸35と、取付け軸35の先端部に一体に連結される円筒状のホルダ本体40とからなり、取付け軸35をチャック33内に挿入し、チャック33を締め付けることにより、砥石ホルダ34がチャック33に取り付けられる。
【0048】
取付け軸35の内部には、一端が周面に開口し、他端が下端面に開口する連通孔36が設けられ、この連通孔36の下端開口部はホルダ本体40の内部に連通している。取付け軸35の外周面には、上下端が閉塞された円筒状のジョイント37が、その中心部を取付け軸35が貫通するように一体に取り付けられ、このジョイント37の内部に取付け軸35の連通孔36の一端開口部が連通している。
【0049】
ジョイント37の周面の一部には、内外を貫通する流入孔38が設けられ、この流入孔38と、ジョイント37の内部と、取付け軸35の連通孔36と、ホルダ本体40の内部と、ホルダ本体40の下端開口部とによって一連の供給路39が構成され、この供給路39を介して流体供給手段45から砥石ビット55に磨ぎ水が供給される。
【0050】
ホルダ本体40の下端開口部内周面は、他の部分よりも大径の取付け部41に形成され、この取付け部41に後述する砥石ビット55の取付け部58が取り付けられる。砥石ホルダ34は、ホルダ本体40がフレーム2の基台3の貫通孔9を挿通可能に構成されるとともに、貫通孔9の上端開口部に設けられているガイド10によって上下方向に移動可能に案内されている。
【0051】
流体供給手段45は、図1に示すように、磨ぎ水を貯留させておく貯留タンク46と、貯留タンク46から供給路39を介して砥石ビット55に磨ぎ水を供給するとともに、砥石ビット55に供給した磨ぎ水を排水路47を介して貯留タンク46に戻すポンプ48と、貯留タンク45から供給される磨ぎ水の量を調整するバルブ(図示せず)とを備え、貯留タンク45には砥石ビット55から戻される磨ぎ水を濾過するフィルタ(図示せず)が設けられている。磨ぎ水としては、特に制限はなく、ゲル状液、泡状液等を使用することができる。
【0052】
砥石ビット55は、図5及び図6に示すように、穿孔面37が平面に形成される円柱状の砥石本体56と、砥石本体56の一端部に一体に設けられる筒状の取付け部58とから構成され、図4に示すように、取付け部58をホルダ本体40の取付け部41に嵌合又は螺合させることにより、砥石ビット55がホルダ本体40に一体に取り付けられる。
【0053】
砥石本体56は、研磨砥粒を結合材で焼結したものであって、周知の各種の砥石を使用することができる。砥石本体56には、中心軸から偏心した位置にコア孔59が軸線方向に貫通した状態で設けられ、砥石ビット55を砥石ホルダ34に取り付けた際に、このコア孔59が取付け部58の内周側を介して砥石ホルダ34の供給路39に連通する。なお、コア孔59が中心軸上に位置するタイプのものを使用してもよい。
【0054】
砥石本体56には、砥石本体56の内外を貫通する孔60が少なくとも1箇所に設けられ、この孔60を介して磨ぎ水及び切削のろが砥石ビット55のコア孔59の内外間で循環し、砥石ビット55のコア孔59内に磨ぎ水及び切削のろが封入され、砥石ビット55とコンクリート構造物65との間の摩擦熱が上昇するのを防止している。
【0055】
なお、孔60は、図7に示すように、取付け部58の少なくとも1箇所に設けるように構成してもよい。
また、図8に示すように、砥石ビット55の砥石本体56の穿孔面57に、コア孔59の内外を貫通するスリット61を少なくとも1箇所に設け、このスリット61を介して磨ぎ水及び切削のろをコア孔59の内外間で循環させるように構成してもよい。
【0056】
制御手段50は、図1に示すように、推進手段15の圧力供給源21及び駆動手段30の駆動モータ31の電源29を制御するように構成されている。また、制御手段50には、予め求めておいた、砥石ビット55のコンクリート構造物65に対する穿孔作業の情報(一定の推進力(押付け力)における穿孔深さと穿孔時間との関係(図9参照))が記憶されており、この情報に基づいて、砥石ビット55の駆動モータ31及び圧力供給源21が穿孔開始から一定時間経過後に停止するように制御される。
【0057】
そして、上記のように構成した本実施の形態による穿孔装置1を用いて本発明による穿孔方法及び制御方法を実施するには、穿孔装置1をコンクリート構造物65の上部の所定の位置に位置し、真空ポンプを作動させてフレーム2の基台3をコンクリート構造物65の上部に真空吸着させ、穿孔装置1をコンクリート構造物65の上部に固定する。
【0058】
そして、電源29を入れて駆動モータ31を作動させて、砥石ホルダ34を介して砥石ビット55を回転させ、流体供給手段45のポンプ48を作動させて、貯留タンク46と砥石ビット55のコア孔59との間で磨ぎ水を循環させ、アクチュエータ20を作動させて、移動台16、駆動モータ31、及び砥石ホルダ34を介して砥石ビット55を下方に一定の推進速度で推進させることにより、コンクリート構造物65が砥石ビット55によって下方に向かって穿孔され、コンクリート構造物65に所定の径、深さの孔70が形成される。
【0059】
この場合、砥石ビット55には、コア孔59の内外を貫通する孔60が設けられ、この孔60を介してコア孔59の内外で磨ぎ水が循環するようになっているので、砥石ビット55の穿孔面57に十分な量の磨ぎ水を供給することができる。従って、砥石ビット55の穿孔面57とコンクリート構造物65との間の摩擦熱が上昇して砥石ビット55が焼き付けを起こすようなことはなく、砥石ビット55による穿孔作業を効率良く行うことができる。
【0060】
また、制御手段50には、予め求めておいた砥石ビット55のコンクリート構造物65に対する穿孔作業における情報(一定の推進力(押付け力)における穿孔深さと穿孔時間との関係(図9参照))が記憶されており、この情報を基にして、穿孔開始から一定時間経過後に駆動モータ31及び圧力供給源21が停止させられるので、コンクリート構造物65に所定の深さの孔70を確実に形成することができる。
【0061】
一方、コンクリート構造物65に埋設物(水道管、ガス管、電線や信号線等のCD管等)が埋設されている場合には、以下の4つの方法によって埋設物が埋設されているか否かの判断を行うことができる。
【0062】
(1)タイマーによる判断方法
図10(a)に示すように、砥石ビット55によりコンクリート構造物65に対して穿孔する際に、図9に示すように、切削深さと切削時間とはほぼ比例の関係にあるので、タイマーにより切削時間を制御し、穿孔開始から一定時間経過後に砥石ビット55の回転及び推進を停止させることにより、所定の深さの孔70を形成することができる。この場合、変位検出手段25により砥石ビット55の変位を検出し、切削深さが所定の値に達していない場合には、砥石ビット55が埋設物に接触し、それ以上の推進が阻止されたと判断することができる。
【0063】
(2)変位計による判断方法
図10(b)に示すように、砥石ビット55によりコンクリート構造物65に対して穿孔する際に、図9に示すように、切削深さと切削時間とはほぼ比例の関係にあるので、砥石ビット55の変位を変位検出手段25により逐一検出し、ある変曲点で変位が一定値に達し、それ以上変化しなくなった状態を検知することにより、埋設物の有無の判断を行うことができる。すなわち、砥石ビット55が埋設物に接触すると、砥石ビット55の穿孔面57と埋設物との間の摩擦抵抗が低減し、両者間にすべりが発生することになるので、砥石ビット55が推進することができなくなる。
【0064】
(3)振動、騒音による判断方法
図10(c)に示すように、砥石ビット55が埋設物に接触すると、コンクリート構造物65を切削する際に生じる騒音が高騒音から低騒音(高振動から低振動)に変化する。従って、この騒音(振動)の変化を騒音計、振動計により検出することにより、埋設物の有無の判断を行うことができる。
【0065】
(4)砥石ビットの駆動モータの電流、トルクによる判断方法
図10(d)に示すように、砥石ビット55が埋設物に接触すると、コンクリート構造物65を切削する際に生じていたトルクが急激に低下する。この変化を電流計で検出することにより、埋設物の有無の判断を行うことができる。
【0066】
上記のように構成した本実施の形態による穿孔方法、制御方法及び穿孔装置1にあっては、砥石ビット55によってコンクリート構造物65に孔70を形成する場合に、制御手段50により穿孔開始から所定の時間経過した後に砥石ビット55を回転させる駆動モータ31、及び砥石ビット55を推進させるアクチュエータ20を作動させる圧力供給源21を停止させるように構成したので、コンクリート構造物65に所定の深さの孔70を確実に形成することができる。又は、埋設物が存在する場合には、埋設物に到達する孔を形成することができる。
【0067】
この場合、砥石ビット55の穿孔面57は平面に形成されているので、埋設物が砥石ビット55によって切断されたり、傷付けられたりするようなことはない。また、砥石ビット55のコア孔59の内外を貫通する孔60を介して磨ぎ水を循環させることができるので、砥石ビット55の穿孔面57とコンクリート構造物65との間を十分に冷却して摩擦熱が上昇するのを防止でき、砥石ビット55による穿孔作業の効率を大幅に高めることができる。
【0068】
また、コンクリート構造物65を穿孔する砥石ビット55としてコア孔59を備えたものを用いているので、穿孔によってコア孔59に対応する部分にコアが形成されることになるが、コア孔59は砥石ビット55に対して偏心回転しているので、形成されるコアの径を小さくすることができる。従って、コアを容易に取り出すことができるので、穿孔作業効率を大幅に高めることができる。
【符号の説明】
【0069】
1 穿孔装置 2 フレーム
3 基台 4 凹部
5 連通孔 6 接続口
7 空所 8 パッキン
9 貫通孔 10 ガイド
11 ブッシュ 12 逃げ孔
13 支持軸 15 推進手段
16 移動台 17 取付け治具
20 アクチュエータ 21 圧力供給源
22 配管 23 切替えバルブ
25 変位検出手段 26 レーザー変位計
27 反射鏡 29 電源
30 駆動手段 31 駆動モータ
32 駆動軸 33 チャック
34 砥石ホルダ 35 取付け軸
36 連通孔 37 ジョイント
38 流入孔 39 供給路
40 ホルダ本体 41 取付け部
45 流体供給手段 46 貯留タンク
47 排水路 48 ポンプ
50 制御手段 55 砥石ビット
56 砥石本体 57 穿孔面
58 取付け部 59 コア孔
60 孔 61 スリット
65 コンクリート構造物 70 孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物に孔を形成するための穿孔方法であって、
穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ、該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットを用い、流体供給手段により前記コア孔を介して前記穿孔面に流体を供給しながら、該砥石ビットを回転させつつ推進させることにより、前記コンクリート構造物に孔を形成することを特徴とする穿孔方法。
【請求項2】
前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の穿孔方法。
【請求項3】
前記砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることを特徴とする請求項1又は2に記載の穿孔方法。
【請求項4】
前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、穿孔開始から所定の時間経過後に前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の穿孔方法。
【請求項5】
前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、前記砥石ビットによる穿孔音、前記砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、該穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の穿孔方法。
【請求項6】
コンクリート構造物に孔を形成するための制御方法であって、
穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットを用い、流体供給手段により前記コア孔を介して前記穿孔面に流体を供給しながら、該砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることにより、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、穿孔開始から所定の時間経過後に前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする制御方法。
【請求項7】
コンクリート構造物に孔を形成するための制御方法であって、
穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットを用い、流体供給手段により前記コア孔を介して前記穿孔面に流体を供給しながら、該砥石ビットを一定の回転速度で回転させつつ、一定の推進力で推進させることにより、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、前記砥石ビットによる穿孔音、前記砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、該穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする制御方法。
【請求項8】
前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項6又は7に記載の制御方法。
【請求項9】
コンクリート構造物に孔を形成するための穿孔装置であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットと、前記コア孔を介して前記砥石ビットの穿孔面に流体を供給する流体供給手段と、該砥石ビットを回転駆動させる駆動手段と、該砥石ビットを推進させる推進手段と、前記駆動手段及び前記推進手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、穿孔開始から所定の時間経過後に前記駆動手段及び前記推進手段による前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする穿孔装置。
【請求項10】
コンクリート構造物に孔を形成するための穿孔装置であって、穿孔面が平面で形成されるとともに、軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられる円柱状の砥石ビットと、前記コア孔を介して前記砥石ビットの穿孔面に流体を供給する流体供給手段と、該砥石ビットを回転駆動させる駆動手段と、該砥石ビットを推進させる推進手段と、前記駆動手段及び前記推進手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記コンクリート構造物に孔を形成する際に、前記砥石ビットによる穿孔音、前記砥石ビットの負荷、又は切削深さを逐一監視し、該穿孔音、負荷、又は切削深さの変化により前記砥石ビットの回転及び推進を停止させることを特徴とする穿孔装置。
【請求項11】
前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項9又は10に記載の穿孔装置。
【請求項12】
コンクリート構造物に孔を形成するための砥石ビットであって、
円柱状をなすとともに、先端面が平面の穿孔面に形成され、かつ軸線方向に貫通するコア孔が設けられ、かつ、該コア孔の内外を貫通する孔又はスリットが少なくとも1箇所に設けられていることを特徴とする砥石ビット。
【請求項13】
前記コア孔は、偏心した位置に設けられていることを特徴とする請求項12に記載の砥石ビット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−60013(P2013−60013A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−232766(P2012−232766)
【出願日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【分割の表示】特願2006−314439(P2006−314439)の分割
【原出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000142919)株式会社呉英製作所 (21)
【Fターム(参考)】