説明

突出した形状適応的な器官の周辺近接照射治療に関する適用

【課題】患者の形状適応的な突出した器官内の標的体積に対して非侵襲性の近接照射治療を適用するシステムを提供する。
【解決手段】患者の突出した器官内の標的体積に対して非侵襲性の近接照射治療を適用するシステムおよび方法は、標的体積を取り囲む組織よりも高い線量が標的体積に対して送達されるように、増強された線量の発散放射線を、器官の周囲の、またはそれに近接した少なくとも2つの位置から経皮的に、少なくとも2つの方向から突出した器官の標的体積に送達可能であるように、器官に対して位置付けられるようにして構築されたアプリケータを使用する。治療計画、およびイメージ・ガイダンス技術も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年2月15日付けの、Raymond J.BricaultおよびPiran Sioshansiによる、Peripheral Brachytherapy of Protruding Organs Using Distributive Radioactive Soucesという名称の米国仮出願第60/653191号(代理人整理番号71602−012、ART−2PR)に基づき、その優先権を主張する。本出願は、2006年2月15日付けの、Raymond J.BricaultおよびPiran Sioshansiによる、Peripheral Brachytherapy of Protruding Organs Using Distributive Radioactive Sourcesという名称の、関連出願である米国出願第_____号(代理人整理番号71602−014、ART−2B)と同時に出願されるものである。
本開示は、一般に、近接照射治療に関し、より具体的には、突出した器官に対して周辺近接照射治療を提供するための非侵襲性の装置、ならびにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
キュリー夫人による放射能の発見以来、様々な形態の近接照射治療が実施されてきた。ギリシャ語の語根から「短いまたは近い距離から」という意味の、近接照射治療は、一般的に、治療線量を線源付近の腫瘍または腫瘍床に送達するため、1つまたは複数の放射能源を組織内に、または身体の管腔もしくは体腔内に置くことを表す用語である。現在実施されている近接照射治療は、いくつかの種類の侵襲的な治療を含む。介在性放射線治療は、1つまたは複数の放射能源を組織(例えば、前立腺)内に置くステップを含む。管腔内近接照射治療は、解剖学的管腔(例えば、血管)に線源を導入することを含む。空洞内近接照射治療は、がん組織の近傍の自然発生的な空洞(例えば、子宮頸がん、または眼内黒色腫の場合の眼窩)、または手術中に作られた人工的な空洞(例えば、乳腺腫瘤摘出または他の腫瘍床)の内部に、放射能源を置くことによって行われる。様々な近接照射治療のアプリケータが知られており、侵襲的処置に使用される。
【特許文献1】米国仮出願第60/653191号
【特許文献2】米国出願第_____号
【特許文献3】米国特許第6560312号
【特許文献4】米国特許第4780898号
【特許文献5】米国特許第5528651号
【特許文献6】米国特許第5629967号
【特許文献7】米国特許第6049587号
【非特許文献1】www.varian.comlobrylpdffvbtapplicatorcatalogue.pdf,page 113
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高照射量放射線(HDR)源を受け入れる一連の並列の管腔を規定する構造を含む表面アプリケータは、表面の病変、皮膚がんの治療に、または容易にアクセスされる組織の切開手術中に使用されてきた(例えば、www.varian.comlobrylpdffvbtapplicatorcatalogue.pdf,page 113のVarianのカタログを参照のこと)。しかし、このアプリケータは、深部腫瘍または腫瘍床を処置するために設計されたものではない。
【0004】
Cashら(米国特許第6560312号)は、遠隔放射線治療を使用して、人体に対して放射線手術を行う技術を開示している。この技術は、治療線量に達するため、集束しない放射線照射野を蓄積することを含む。Cashらの遠隔放射線治療の設計は、遠隔X線源の予め定められた分布が人体内で複数のビームが交差する体積を作成することに基づいている。それは、1つのプラットフォーム上に置かれた遠隔線源を整列させて、個別のプラットフォーム上に位置付けられる患者の中の病変を治療する能力に依存する。この方策は、特に、呼吸などに関連する患者の動きが治療中にずれを生じる可能性があるとき(例えば、患者が乳がんの治療をされているとき)、正確な病変の追跡を提供するため、線源の相対的な位置付けが慎重に維持されなければならないという大きな制限を有する。
【0005】
Sundqvist(米国特許第4780898号)およびLeskell(米国特許第5528651号、同第5629967号、および同第6049587号)は、全体として、商標「GammaKnife」の名称で販売されている、Eiekta instrument ABに譲渡された遠隔放射線治療システムを記載している。このシステムは、患者の脳内の局所的な地点を露出させることにより、手術できない微細な脳腫瘍を治療するために使用される。ガンマナイフは、「ヘルメット」を頭骨に直接取り付けることによって患者の頭部をしっかりと不動にし、それと同時に脳組織を複数の角度から放射線源に曝露することに依存する。各線源は平行にされて、単一の焦点を標的とする集束する放射線ビームレットを照射する。線源のビームレットまたは治療線をそれぞれ慎重に整列させることにより、ガンマナイフ・システムは、標的の位置で放射線照射野を治療レベルまで蓄積することができる。この設計は、非常に微細な(点)病変の治療に有用であり、ビームレットまたは治療線それぞれの慎重な方向付けを必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に記載される装置および方法は、乳房、睾丸、または陰茎などの突出した器官内の、大きな指定のまたは標的の体積(数cm〜数十cm程度、またはそれ以上)を治療するのに特に適している。一実施形態では、装置および方法は、突出した器官の表面に対して支持されたアプリケータ内に置かれた1つまたは複数の放射線源からの、1つまたは複数の治療放射線の発散ビームまたはパターンを必要とする。本明細書で使用されるとき、「線源」または「複数の線源」に対する言及は、いずれの場合も、照射可能な放射線全体のより多くが周りの組織よりも標的体積に集中するように、1つを越える方向で標的体積に向かって放射するように構成および/または移動されるように適合された単一の線源、または、1つを越える方向で放射するように構成されるように同様に適合された2つ以上の線源の分布のどちらかを意味することができることを理解されたい。アプリケータは、線源(1つまたは複数)による各照射のため、器官に対して付着され、放射線源を受け入れるとともに、標的の動き(例えば、呼吸周期による)とは無関係に指定の体積に線量を送達する、安定したプラットフォームを提供する。指定の体積ならびに線源(1つまたは複数)の相対的な位置付けの定義は、送達される線量を適切に整列し監視する撮像ガイダンス技術によって正確に特定することができる。1つの応用例では、線源(1つまたは複数)は、皮膚から狭い範囲の距離内に位置しなければならない。線源(1つまたは複数)を皮膚に近すぎるところ(例えば、約3mm未満)に置くと、過剰な皮膚の曝露を引き起こす恐れがあるが、皮膚から数cm(例えば、5cm)以上離して置くと、線量の強度が低下し、近接照射治療が非効率的になり、その結果、不十分で効果が低いものになる恐れがある。治療中に標的体積に対して線源(1つまたは複数)を適切に置くことにより、複数の発散ビームを、標的体積内で重複するか、または単に交差するように方向付けることができる。次に、これにより、照射野が標的体積内で重ね合わされ、その結果、標的体積に治療線量が提供されるとともに、発散ビームの交点に曝露されない体積の一部は、部分的な治療線量を受け取る。
【0007】
本開示はまた、1つまたは複数の線源を使用することによって分布された放射線源パターンが作成される、非侵襲性の近接照射治療技術の設計および利用を記載している。線源(1つまたは複数)は、1つまたは複数のアイソトープ、1つまたは複数の別個の線源、および/あるいは1つまたは複数の電離放射線発生器を含むことができるが、それらに限定されない。治療中、治療線量を提供する単一の線源または複数の線源の一部は、好ましくは、突出した器官の周りの皮膚に対して予め定められた近距離で、予め定められた固定の位置に分布され、またはそこに連続的に移動されるとともに、規定の治療線量が器官内の標的の腫瘍または腫瘍床に送達されるように移動され、かつ/または配置される。撮像ガイダンスは、好ましくは、放射線が送達される器官内の指定の標的体積を位置決めし規定するのに使用されるが、必ずしもそうである必要はない。指定の体積に送達される規定の線量は、例えば、標的組織の周りに配置された分布された位置から指定の体積にそれぞれ送達された、重ね合わされたより低い線量の総計の累積または合計を計算することによって、決定することができる。あるいは、コンピュータ・シミュレーション技術を使用して、指定の標的組織の形状、サイズ、体積、ならびにその場所および皮膚からの位置を考慮に入れて、所望の体積に送達された、重ね合わされたまたは重畳された(蓄積)線量を決定することができる。
【0008】
乳房などの突出した変形可能な器官は、周囲からの放射線治療に対して独自の幾何学形状を提示する。それにより、アプリケータが、乳房の場合、例えば乳房の形状を修正し、放射線源(1つまたは複数)が器官の周囲の2つ以上の位置を取り囲むか、またはそこに位置付けられることを可能にしてもよいようにして、非侵襲性のアプリケータを設計する(ならびに、その結果、治療の手順を容易にする)ことが可能になり、その結果、2つ以上の方向/角度からの発散放射線の重複し交差するビームのパターンが、器官内の内部の標的組織または指定の体積に対する蓄積線量を増加させ、発散放射線の各ビームがそこから方向付けられる位置それぞれにおいて、線源(1つまたは複数)の距離を固定することが可能になる。指定の体積内のこの重複により、線源、または複数の線源それぞれが、複数の位置それぞれから介在組織に対してより低い平均線量を送達するとともに、対象組織に対して、単一の放射線源のみが使用された場合よりも高い線量を送達することが可能になる。したがって、乳がんの治療の場合、乳房の周辺近接照射治療(PBB)概念と称する、本明細書に開示される方策は、各放射線源の位置に向いた、標的とされない、あるいは健康な組織に対する線量を制限するという利益を有する。これは、従来の放射線治療から利用可能な遠隔放射線治療源または放射線ビームでは不可能である。本開示において主張される放射線源(1つまたは複数)からの限定的な浸透、ならびにアプリケータの幾何学形状および相対的な近接が組み合わされて、標的組織を取り囲む、その下にある、隣接した、あるいは健康な組織に対する線量を制限するとともに、その器官内の標的体積に治療線量を送達する。より高い線量を様々な手段によって作成することができ、それらのすべては、変形可能な突出した器官を有効に取り囲むこと(または、少なくともその周囲の周りの選択した位置に位置付けること)を伴う。線源(1つまたは複数)は、好ましくは、各位置における線源が、標的体積から予め定められた相対的に固定された位置であり、各線源位置において発生する照射野が標的体積内で構造的に加算され、その結果、その位置で治療線量を集合的に生成するようにして、三次元空間内に位置付けられる。線源は、複数の位置それぞれに同時に置かれてもよく、かつ/または、線源は、治療の間、時間とともに複数の位置それぞれに移動されてもよい。本開示は、放射線源(1つまたは複数)が、標的体積において蓄積線量を提供する重複する放射線パターンを作成するように、点状線源(実質的に一次元)、線状(直線でなくてもよい)線源(二次元)、および/または広い面状(平坦でなくてもよいが、三次元で延びる)線源を提供することを検討する。放射線源(1つまたは複数)は、電離放射線のラジオアイソトープまたは発生器を含むことができるが、それらに限定されない。
【0009】
本明細書に開示される方法およびシステムの実施形態は、がん性の乳房組織が外科的に切除された乳腺腫瘤摘出後の、乳がんの近接照射治療に特に有用であるが、必要以上の実験作業なしに他の用途を提供できることを理解されたい。乳腺腫瘤摘出後、局所的な再発を防ぐため、腫瘍床を放射線に曝露して、その領域を「滅菌」するとともに、そうでなければ局所的な障害をもたらすであろう、元の部位近傍に依然として存在するかも知れない前がん性の微細な封入体を破壊する必要がある。乳腺腫瘤摘出の後に乳房に送達される一般的な近接照射治療線量は、約10Gyから約50Gyであった。特定の線量は、線量率、分割スケジュールおよび治療期間、元の成長の性質、単独療法対追加照射、ならびに当業者には明らかであろう他の要因の宿主によって決まる。部分的な乳房の近接照射治療の一般的な標的は、乳腺腫瘤摘出による(切除空洞)余白を越えて約2cmから延びる体積である。本願に開示される乳房の周辺近接照射治療(PBB)概念を使用して、部分的な治療線量をほぼ乳房全体に、治療線量を乳房内の標的体積に送達することができる。乳房の一般的な指定された体積に対する規定の治療線量は、通常、約15Gy〜約40Gyの範囲である。治療線量は、他の要因の中でも特に、放射線治療の期間に依存し、放射線治療の期間がより短ければ、線量はより低い。主な代案(現在の「医療の標準」)は、一般的に1日約1.8Gyの線量で5〜7週間、総線量約45Gyが送達される外部ビームによって、乳房全体を照射するものである。
【0010】
一般に受容されている慣例は、乳がんのための放射線治療が、PBB方法の最大の予想期間である60日以内に完了すると予想されるものであるが、その期間は60日間を越えて変わる場合がある。より一般的には、PBB方法を使用して、治療は約2日〜約10日送達されると予想される。
【0011】
開示されるシステムおよび技術に従って、周辺乳房近接照射治療は、様々な異なる位置の任意の1つで患者に実行することができる。患者は、例えば、仰臥位または腹臥位で横たわった状態で治療されてもよい。腹臥位では、特別なテーブルが使用されてもよい。テーブルはそれぞれ、例えば、乳房を受け入れるように適切に位置付けられた穴またはアパーチャを含むことができるので、乳房は重力によって自由に垂れ下がることができる。あるいは、患者は、立ったまたは座った状態で治療されてもよい。器官は、特に乳房を治療するとき、治療の間、標的体積の位置と線源(1つまたは複数)の位置(1つまたは複数)との間の固定の関係を確保するため、限定された空間内に合致または適合されてもよい。治療および撮像システムに対する線源(1つまたは複数)に対して、治療中の患者の標的体積の向きまたは動きを、または線源(1つまたは複数)に対する標的体積の動きを変えることにより、乳房内の特定の予め定められた体積に標的を定めそれを治療する能力に影響が及ぼされ、かつ他の器官および組織に対する迷線量が増加される。したがって、患者の位置付けおよび向き、ならびに治療の間、乳房が閉じ込められるかは、実際は、標的体積の位置に部分的に依存する。
【0012】
乳房などの形状適応的な突出した器官の治療の場合、放射線源(1つまたは複数)は特別なアプリケータ内に置くことができる。アプリケータは、形状適応的な器官に対して支持されたとき、好ましくは、治療の間、線源(1つまたは複数)に対して器官の形状を固定するとともに、例えば呼吸周期による身体全体の動きまたは特に器官の動きとは無関係に、一定の放射線照射野を提供する、安定したプラットフォームを提供する。アプリケータは、突出した器官の形状に合致するか、あるいはそれを取り囲むように設計することができ、それにより、器官の周囲にその表面付近で線源(1つまたは複数)をしっかり配置することが可能になる。あるいは、アプリケータは、器官を受け入れる空洞を含んでもよく、また、突出した器官が剛性のアプリケータ内の空洞の形状を取り、その結果その形状に合致するようにされるように、剛性材および剛性の幾何学形状で作られていてもよい。アプリケータは、さらに、好ましくは、各放射線源の規定の治療位置での挿入、ならびに移動および/または取付けのため、セル、ポケット、凹部、および/または管腔を含む。
【0013】
圧縮プレートは、マンモグラフィ処置に一般に使用される。圧縮された乳房は、平坦で均一な組織質量を提示し、がん性病変の石灰化を識別するためX線撮影で撮像するのがより容易である。同様に、圧縮された乳房組織は、放射線治療のためのより均一な標的を提示する。本開示は、撮像および放射線治療のために均一な質量を提示するため、2つのプレートの間で乳房を圧縮する方法を含む。特に、圧縮の向きは、異なる角度から組織を撮像し照射するため変更することができる。乳房組織の圧縮は、その変形可能な性質のため、器官を横方向に広がらせ、したがって、治療プレートの間の正常な組織の量と指定の体積とを低減することができる。これにより、乳房の正常な組織に対する線量を大幅に低減することができる。2つの直交する圧縮プレートの向き、または複数の圧縮プレートの配向角は、撮像および放射線治療を行うために使用することができる。異なる圧縮プレートの向きを放射線治療に使用する過程において、指定の体積に対する線量が蓄積されるとともに、皮膚線量が異なる入口点の間で分割され、したがって皮膚の毒性が制御される。X線撮像および放射線治療の両方に好ましい角度は、圧縮プレートに垂直な方向である。圧縮プレートの向きそれぞれにおいて撮像することにより、放射線照射野を指定の部位と一致するように標的を定めることが可能になる。
【0014】
本開示の一実施形態は、乳腺腫瘤摘出による窩洞を照射することである。2つの直交面からの乳房の2つの圧縮により、2つの直交面からの放射線治療が可能になり、また、皮膚の毒性限度を越えることなく、指定の標的への線量の蓄積が可能になる。圧縮、画像登録、および放射線治療を提供することができる装置は本開示の一部である。
【0015】
したがって、アプリケータは、一組のアプリケータ・プレートの形態を取ってもよく、そのどちらかまたは両方は、突出した器官の表面付近で、放射線源(1つまたは複数)を収容する構造を含んでもよい。これらのプレートは、好ましくは互いに平行に配置され、また、突出した器官を圧縮するために使用されてもよい。プレートはまた、湾曲していてもよいので、患者の不快感があればそれを低減するが、依然として、器官を所望の形状に圧縮するように器官に対して圧迫するとともに、治療の間、標的体積を線源(1つまたは複数)の位置に対して固定することができるように、器官の一般的な形状に合致するようにして設計される。さらに、アプリケータは、器官に合致し、アプリケータを器官と密接して保持して、一定で一貫した線量を規定の方向および距離から標的体積送達するため、弾性、可撓性、または柔軟な構造を含むことができる。アプリケータの付加的な機能は、突出した器官を身体の隣接する部分から持ち上げ分離して、それらの隣接する部分への迷放射線量を最低限に抑えることを含んでもよい。アプリケータは、好ましくは、線源(1つまたは複数)を各治療位置で標的体積に対して固定するため、治療される突出した器官の表面(周囲)と接触して、またはそれに連通して置かれる。その結果、従来の遠隔放射線治療方法とは異なり、器官への放射線の送達は、呼吸に関連した動きなどの患者の動きに影響されない。
【0016】
迷放射線線量(他の標的とされていない組織、器官、または人に対する線量)を最小限に抑えるため、アプリケータは、減衰または遮蔽する外層をさらに含んでもよい。一般的な減衰層および遮蔽層は、高い原子番号の高密度材料で作られるが、減衰材料の特定の選択は、特定の器官、放射線源、および治療計画に依存する。アプリケータは、放射線源の皮膚からの距離を制御することができる、皮膚と直接接触するように設計された内層を含んでもよい。そのような内層の厚さは、放射線源に面する器官の部分に対する皮膚線量の強度を低減するべきである。内層はまた、高い含水量を含んでもよく、また、水で充填されたスポンジおよび/またはゲル媒体、あるいは水等価物質を含んでもよい。
【0017】
付加的な減衰材料、アパーチャ、および構造が、照射野の方向を制御し、その結果それを決定する構造を提供するように、アプリケータに組み込まれてもよい。それらの照射野整形(field−shaping)構造は、例えば、減衰材料のマスク、バンド、および/またはシース、あるいは、線源がその中に置かれる減衰材料内の溝を含んでもよい。構造はまた、放射線源材料を受け入れる照射野整形セルで作ることができる。照射野整形セルは、組織をセルまたはセルの組の前面で直接曝露させるのに使用される、放射線ビームの側面照射を制限するとともに、完全な照射を提供し、すなわちその形状を規定するようにして設計されてもよい。これらのセルの設計(高さ、アスペクト比、減衰器材料、減衰器厚さを含む)は、したがって、放射線照射野を選択的に整形するのに使用することができる。HDRアプリケータが使用される場合、照射野整形セルが含まれ、好ましくは、線源のドウェル位置と一致するように、とHDR管腔(1つまたは複数)の経路に沿って置かれてもよい。
【0018】
患者の位置付けおよびイメージ・ガイダンスは、放射線を突出した器官内の指定の体積に正確に標的を定めるのに重要である。乳房の場合、例えば、X線(マンモグラフィまたはCTスキャンなど)、超音波、蛍光透視法、MRI、およびポータル・イメージングなどの様々な撮像方法が、腫瘍または腫瘍床を撮像し放射線の標的を決定するのに使用されてもよい。同様に、埋込み可能なマーカー、皮膚入墨、および造影剤などの異なるX線撮影または超音波の基準が、腫瘍床(乳腺腫瘤摘出による窩洞)をマークするために一般に使用される。呼吸周期が動く標的を示すので、イメージ・ガイダンスは、通常、乳房の放射線治療に極めて重要である。本開示は、(a)乳房に取り付けられたアプリケータ内の放射線源(1つまたは複数)の位置付けを容易にし、(b)呼吸周期中の乳房組織の動きとは無関係に、一定の放射線を乳房内の指定の体積に送達するように設計された、一実施形態を記載する。
【0019】
アプリケータは、突出した器官または撮像システムのどちらかとアプリケータとの整列を容易にするため、1つまたは複数のマーカーを含んでもよい。アプリケータ・マーカーは、好ましくは、複数の一般的な撮像技術の任意の1つ(特定の用途に使用されるものに依存する)によって目に見えるように設計される。さらに、マーカーは、正確に放射線照射野の標的を定める助けとして役立つように、線量計画ソフトウェアによって追跡されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本明細書に記載される原理にしたがった、乳房の近接照射治療に使用されるアプリケータの一実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示された、治療中の乳房を支持するアプリケータのカップを通って取った断面図である。
【図3】本明細書に記載される原理にしたがった、乳房の近接照射治療に使用されるアプリケータの別の実施形態の斜視図である。
【図4】治療中の乳房を支持する、図3に示されるアプリケータのカップを通って取った断面図である。
【図5】線源それぞれからの放射線の指向性の送達を容易にするための、線源が埋め込まれた減衰器を含むアプリケータの一部分の断面図である。
【図6A】平行なプレート・アプリケータおよび専用撮像マンモグラフィ・システムを使用して、乳房に近接照射治療を提供するための、一連のステップの一実施形態を示す図である。
【図6B】平行なプレート・アプリケータおよび専用撮像マンモグラフィ・システムを使用して、乳房に近接照射治療を提供するための、一連のステップの一実施形態を示す図である。
【図6C】平行なプレート・アプリケータおよび専用撮像マンモグラフィ・システムを使用して、乳房に近接照射治療を提供するための、一連のステップの一実施形態を示す図である。
【図6D】平行なプレート・アプリケータおよび専用撮像マンモグラフィ・システムを使用して、乳房に近接照射治療を提供するための、一連のステップの一実施形態を示す図である。
【図7】「ランプのかさ」型のHDRカテーテル・パターンを使用して乳房に対する等線量の分布を示すため、仮想線上に乗せられた、試作品のブラジャー式アプリケータからのCT画像上に重ねられた線量マップの一例の断面図である。
【図8A】アプリケータの単一の照射野整形セルからの照射野分布の有限要素分析(FEA)の一例と、一般的に平行なプレート・アプリケータの上側および下側プレートの中に置かれた一連の照射野整形セルとをそれぞれ示す図である。
【図8B】アプリケータの単一の照射野整形セルからの照射野分布の有限要素分析(FEA)の一例と、一般的に平行なプレート・アプリケータの上側および下側プレートの中に置かれた一連の照射野整形セルとをそれぞれ示す図である。
【図9A】一般的な治療シーケンスにおける、最初に行われる計算、主な入力(静的および動的の両方)、および主な意思決定経路を示す、一般的なプログラム・フローチャートである。
【図9B】一般的な治療シーケンスにおける、最初に行われる計算、主な入力(静的および動的の両方)、および主な意思決定経路を示す、一般的なプログラム・フローチャートである。
【図10】皮膚に対する相対放射線量と標的体積の中心に対する線量との制御に使用される、複数の照射野整形セルを示す図である。
【図11A】組織の放射線に対する曝露を制御するのに使用される、照射野整形セルの向きの2つの例を示す図である。
【図11B】組織の放射線に対する曝露を制御するのに使用される、照射野整形セルの向きの2つの例を示す図である。
【図12】連続的な照射野整形セルの一例の概略斜視図である。
【図13】単一の円錐形の照射野整形構造/セルの一例の概略斜視図である。
【図14】ロボット・アームを使用するアプリケータの一例の概略斜視図である。
【図15】照射野整形構造から放射される放射線パターンの発散形状に対する、照射野整形構造内における線源の位置付けの効果を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
一実施形態では、アプリケータ・ブラジャーは、より大きな線源を受け入れるチャネル、管腔、またはカバーを含んでもよい。例えば、図1および2に示されるように、支持ストラップ22を含むブラジャー20は、内層26と外層28の間に形成され、1つまたは複数の放射線源30を受け入れるように構築された、1つまたは複数のコンパートメント24を含む。線源は、上述したように、面状、線状、または点状(もしくは類似の構造)の線源であってもよい。各コンパートメント24の構成は、乳房のサイズ、ならびに標的組織のサイズ、形状、およびその皮膚の下の距離によって変わってもよい。この実施形態では、線源は、必要な放射線パターンを提供するように適切に処理された、プレート、箔、布地、シート、ワイヤ、または点状(もしくは他の構造の)線源(箔が図2に示される)に組み込むことができる。外層28は、X線を減衰するように構築されるべきであり、皮膚に接触する内層は、X線透過性であるべきである。あるいは、X線吸収性のプレート、シート、箔、または類似の構造を、線源と外層28の間の各コンパートメント内に含むことができる。
【0022】
乳房の場合、アプリケータは、ブラジャー、カップ、または小袋の形態であってもよい。本開示の一実施形態では、アプリケータは、線源(1つまたは複数)を受け入れるように構築されてもよい(図3および4に示されるようなブラジャー40など)。ブラジャー40は、HDRアフターローダーと互換性をもつ乳房の治療を容易にする。ブラジャーは、使用中、患者がブラジャーを快適に着用できるように、乳房を支持する一対のカップ42と、支持ストラップ44とを含む。治療中の乳房を支持するのに使用されるカップ42aは、また、線源(1つまたは複数)48を受け入れる、別個の内部管腔(1つまたは複数)あるいはコンパートメント(1つまたは複数)46を含む。図示されるアプリケータの実施形態では、管腔は、1つまたは複数の線源を支持するキャリアを受け入れるように適合される。キャリアは、好ましくは、少なくとも1つの線源がその上または中に取り付けられる、または挿入されるカテーテル50であるが、必ずしもそうでなくてもよい。図4で最も良く分かるように、カップ42aは、管腔(1つまたは複数)あるいはコンパートメント(1つまたは複数)56をそれらの間に規定する、少なくとも1つの外層52および少なくとも1つの内層54を含む。図3および4に示される管腔またはコンパートメントは、螺旋状の構成を有する。管腔(1つまたは複数)あるいはコンパートメント(1つまたは複数)の構成は、線源(1つまたは複数)に適合するように、他の構成および幾何学形状を取ることができることを理解されたい。チャネル、管腔、およびカバーのパターンは、乳房のサイズ、ならびに標的組織のサイズ、形状、およびその皮膚の下の距離によって変わってもよい。管腔の一般的なパターンとしては、例えば、基部からカップの先端に向かってなどの予め定められた方向に延びる、ほぼ直線のまたは曲線のチャネル、螺旋(1つまたは複数)、直径が増加する複数の同心円、または、組織がその中に含まれた円錐もしくは切頭円錐の輪郭を描く一連の管腔が挙げられる。明らかに、カップおよび線源の特定の構成は、特定の用途および治療に依存して設計することができる。この構成では、管腔のパターンならびに線源のドウェル時間は、乳房のサイズ、器官内の指定の組織のサイズおよび形状、ならびに器官の表面に対する標的の位置によって決定される。外層52は、好ましくは、カップから外向きに放射される放射線を吸収し、したがって低減または防止するため、遮蔽材料(例えば、鉛を含む布地)で作られ、内層54は、好ましくは、X線が内層を介して治療される患者の乳房の標的体積まで伝搬できるように、X線をほぼ透過する布地などの材料で作られる。あるいは、遮蔽(X線の吸収性)プレート、シート、布地、または材料(図示なし)は、外層52とコンパートメントまた管腔との間に提供されてもよい。この後者の例では、外層はX線吸収材料を含んでいなくてもよい。適切な開口部(1つまたは複数)が、放射線源(1つまたは複数)を管腔またはコンパートメント内に受け入れるために提供される。
【0023】
例えばカテーテルなどのキャリアの助けによって、線源を挿入するのに有用なHDRアフターローダーは、介在性、空洞内、または管腔内の近接照射治療で使用するように設計されたものを含む。HDRアフターローダー・システム(図示なし)は、一般的に、a)使用されていないときに強度のアイソトープ線源を収容する保護された容器、b)所望の治療範囲内で患者に対する適所において、キャリア、例えばカテーテルまたは類似の構造の助けにより、1つまたは複数のコンパートメント、チャネル、または管腔を介して保護された容器から線源を前進させる送達システム、および、c)治療キャリア内の線源のドウェル位置および時間を監視し制御して、送達された線量が規定の線量と一致することを保証する制御システムを含む。図3および4に示されるタイプのブラジャー・アプリケータでは、線源を配置するのに管腔を使用して、下にある組織に対する線量が、ドウェル位置およびドウェル時間の調節によって制御される。さらに、この実施形態では、管腔内に予め位置付けされた1つまたは複数の照射野整形セルを使用するか、または、それらが線源のドウェル位置と一致するように、線源(1つまたは複数)に関連して位置付けることができる。あるいは、管腔に沿った連続的なアパーチャを使用して、皮膚、または、心臓、肺、もしくは反対側の乳房などの健康な組織に対する相対的な線量を低減するように、指定の体積に対する線量を制御してもよい。
【0024】
本開示の場合、さらに、好ましくは、アプリケータの管腔(1つまたは複数)内の線源(1つまたは複数)のドウェル位置を制御するように配置されたコンピュータ・プログラムを含む、制御システムの選択肢が存在することが検討される。
【0025】
制御システムは、好ましくは、プロセス/処置の制御を提供するため、幾何学的因子(線源のサイズ、形状、アプリケータのサイズ、形状など)、線量規定因子(線量、線量率、標的組織など)、生物学的因子(標的組織、余白、敏感な組織の位置など)、線源因子(サイズ、形状、活性、活性分布)、ならびに動的因子(患者および操作者の準備、適切な機械的位置付けおよび動作検証、位置の遠隔測定など)を含むことができる、静的および動的の両方のパラメータ入力を必要とする。制御システムは、また、ユーザの介在、オーバーライド、監視、および報告に対する選択肢を含んでもよい。
【0026】
コンピュータ・プログラムが治療計画プロセスに使用されてもよい。このプログラムは、(a)突出した器官に対する、または器官内の指定の標的体積に対する線量分布を規定し、(b)器官の周囲に沿った、線源(1つまたは複数)、照射野整形セル、および/またはドウェル時間の適切な分布を決定する選択肢を提示する。コンピュータ・プログラムは、また、ユーザが、線源(1つまたは複数)および/または照射野整形セル、ならびにそれらの位置を規定し、器官内の線量分布を計算することを可能にすることができる。いずれの場合も、プログラムは、線源の必要な配置または結果として得られる線量分布を決定する際、数、タイプ、種、強度、形状、活性分布、サイズなどのパラメータ入力の1つまたは複数を受理してもよい。さらに、照射野整形セルが使用される場合、その数、タイプ、および特性が決定に含まれてもよい。治療計画ソフトウェア・プログラムは、治療計画ソフトウェアの座標系の、突出した器官、アプリケータ、または撮像システムのそれとの整列を可能にする選択肢を含んでもよい。アプリケータ上/内のマーカーが、基準となる解剖学的標識、または突出した器官またはアプリケータのどちらかの上または中に適用された撮像可能なマーカーとともに、ソフトウェア・プログラムの座標系と、器官、アプリケータ、および撮像システムの1つまたは複数との重なり合いを容易にするため、プログラムによって使用されてもよい。あるいは、標的組織の位置は、入力データをコンピュータ・プログラムに提供する治療システムに直接組み込まれた、またはそれと連通した画像診断療法によって決定されてもよい。器官および関連する構造の多次元画像は、この整列を容易にするため、ソフトウェア・プログラムによって取り込まれてもよい。指定の体積に対する線量と隣接する器官または組織に対する線量制限との組合せに基づいて、線源の配置を計算する選択肢が含まれてもよい。ソフトウェア・プログラムは、また、将来の線源位置およびドウェル時間が、過去の線量送達フィードバックに基づいて所望に応じて頻繁に再計算される場合、標的組織に送達される線量のリアルタイム・フィードバックの選択肢を含んでもよい。
【0027】
ラジオアイソトープ(1つまたは複数)は、線源キャリア内で(例えば、直接の核活性化によって)変形されてもよく、または、任意の数の化学的または物理的方法、単純な接着またはカプセル化によって、キャリアの表面に分散されるか、もしくは適用されてもよい。より一般的な方法のいくつかの例としては、めっき、塗布、スパッタリング、反応結合、ポリマーなどの中へのラジオアイソトープ分散液の封入のプロセスが挙げられる。他の方法も使用されてもよい。
【0028】
線源(1つまたは複数)の放射性核種(1つまたは複数)を一般に認識された、かつ/または利用可能な放射性核種の一覧から選択することができる。理想的なアイソトープは、半減期、ガンマ線エネルギー、および製造と精製の容易性の正しい組合せを有する。半減期は、製品の保存寿命に影響を及ぼす。X線またはガンマ線(光子)エネルギーは、線量送達のための照射野の深さを制御し、また、腫瘍床の体積および位置と一致するように最適化されてもよい。より高いエネルギー光子が、より深いところにある標的により適している。最後に、放射性核種は、利用可能または容易に製造可能な種の中で選択されなければならない。これらの要件を満たすことができるラジオアイソトープの主な現在の選択肢としては、Co−56、Co−57、Co−58、Co−60、Zn−65、Pd−103、Cd−109、I−125、Cs−131、Cs−137、Sm−145、Cd−153、Yb−169、W−187、Ir−192、およびAu−198が挙げられるが、それらに限定されず、他の線源が、これらの基準を満たすことができ、また今後満たす可能性がある。本願に規定されるような一般的なサイズの器官を治療するため、一次光子放射のエネルギーは、約20keV〜約1500keVの範囲に制限されるべきである。乳房の場合、好ましい線源の一次放射のエネルギーは、好ましくは、一般に約50keV〜約1300のkeVである。
【0029】
本開示で検討される放射能源(1つまたは複数)は、突出した器官の周辺に置くことができるX線源または電子源などの、発散照射野を送達する電離放射線発生器であることができる。放射線源の一例は正中電圧X線源である。発生器のドウェル位置および放射強度は、個々の線源のドウェル位置からの照射野が重ね合わされた結果として、突出した器官内の標的体積に所望の治療線量を送達するように制御することができる。照射野整形構造は、上述したように、発生器に付加して照射野を整形することができる。
【0030】
現在の近接照射治療アプリケータは、突出した器官内の大きな指定の体積の治療に適している点で、従来のアプリケータとは異なる。それは、突出した器官の表面上に取り付けられたアプリケータ内に置かれた、少なくとも1つの放射線源からの少なくとも1つの発散ビームを必要とする。アプリケータは、器官に固着されるとともに、放射線源(1つまたは複数)を受け入れ、対象の動き(例えば、呼吸周期による)とは無関係に線量を指定の体積に送達する安定したプラットフォームを提供する。指定の体積、ならびにアプリケータは、線量の適切な整列の撮像ガイダンスおよび線量の監視によって、最初に特定される。線源は、皮膚からの狭い範囲の距離内になければならない。線源を皮膚に近すぎるところ(約3mm未満)に置くと、過剰な皮膚の曝露が引き起こされ、線源を皮膚から約数cm(例えば、5cm)以上離して置くと、強度が低下し、可能な前面照射角度の範囲が制限され、近接照射治療が非効率的になる。照射野が重なり合う発散ビームの重複によって、治療線量が提供されるとともに、発散ビームの交点に対して曝露されない部分の体積は、部分的な治療線量を受ける。
【0031】
分布効果は、単一の分散されたまたは複数の分割された線源、ならびに単一または複数の照射野整形セルによって達成することができることを理解されたい。単一の分散された線源の場合、線源の1つの部分からの放射線照射野が、同じ線源の別の部分から発生した照射野の上に重なり合い、それによって、構造的に重複し、標的組織または師弟の体積に対して所望の線量を提供するように、異なる方向または角度から標的組織または指定の体積に向かって放射するようにして、単一の線源が範囲全体に広がるように構成される。適切な放射線パターンを作成することによって、この方法および製品は、単一の点状線源からの、または放射線が1つの位置で放射される線源(面状または線状線源)からの放射線を送達する線源よりも高い濃度の放射線を、非侵襲的に標的組織または指定の体積に送達するとともに、周りの組織の曝露を偶発的な照射まで低減することを可能にする。
【0032】
図5は、放射線の指向性の送達を容易にし、予め定められた対象体積における放射線パターンの所望の重複または重なり合いを達成する、アプリケータ内に埋め込まれた照射野整形構造(1つまたは複数のアパーチャを備える)の一例を示す。図面に見られるように、図示される実施形態は、好ましくはアプリケータの一部である減衰材料を含む。減衰材料70は、好ましくは、減衰器内に複数のチャネル72を備える。線源(1つまたは複数)74は、指向性の発散ビーム・パターン76を形成するように、各チャネル内に埋め込まれる。線源(1つまたは複数)74は、パターン76が標的範囲78内で互いに重複するように位置付けられるので、周りの範囲よりも高い放射線量が標的範囲78に送達される。
【0033】
図6A〜6Dは、平行なプレート・アプリケータ方法を使用した、非侵襲性の周辺乳房治療の要素を示す。図6Aは、標準的なマンモグラフィ技術を使用した、乳房の最初の撮像を示す。図6Bにおいて、病変80の位置、サイズ、および形状が、元の向きから60°〜120°の任意の角度の、2つのほぼ直交する方向82および84からの治療を伴う治療計画に変換される。各プレートは、複数の個々の線源位置(例えば、図8Bに示されるような)を規定することができる。図6Cにおいて、第1の治療が、方向84において各治療アプリケータ内で、一連のHDR線源のドウェル位置によって送達される。図6Dにおいて、次の治療部分が、方向82における第1の治療部分に対して90°の角度で提供される。標的組織に対する全治療線量が達成されるまで、追加の治療部分が行われる。一実施形態では、乳房に放射線治療を適用するため、後続のステップが続く。適用方法は次のステップを含む。
A.最初の治療面を規定するため、乳房を2つのプレートの間で圧縮する。
B.放射線治療を必要とする組織の指定の体積を特定するため、不動にされた状態で、乳房を最初の治療面で撮像する。
C.乳房が不動にされた状態で、最初の治療面に対して垂直の角度から30°以内で、指定の体積に放射線治療の発散放射線を送達する。
D.圧縮プレートを除去し、圧縮プレートを、最初の治療面の60°〜120°以内の新たな向きまで回転させ、再度圧縮して、前記突出した器官を新たな向きで不動にする。
E.撮像または他の手段によって、新たな向きから突出した器官内の指定の体積を特定する。
F.突出した器官が新たな向きで不動にされた状態で、圧縮プレートにほぼ垂直な方向から、指定の体積に放射線治療を送達する。
G.治療線量が突出した器官内の指定の体積に送達されるまで、必要に応じてステップDからFを繰り返す。
【0034】
図6A〜6Dに関連して記載される実施形態は、圧縮プレートの2つの向きを使用しているが、この技術は、用途および/または所望の治療に応じて、2つを越える向きを使用することができることが明白であろう。
【0035】
図7は、HDR線源パターンによって発生される等線量の分布を示すため、仮想線121上に乗せられた、試作品のブラジャー式アプリケータからのCT画像上に重ねられた等線量の断面図の一例を示す。この面内にある、乳房の周辺に沿った線源のドウェル位置の部分は、地点120として強調される。等線量の等高線122は、この線源分布構造から発生させることができる一般的な均一パターンを示す。
【0036】
図8Aおよび8Bは、図8Aにおいて、単一の照射野整形セルからの照射野分布の有限要素分析(FEA)を使用した一例と、図8Bにおいて、平行なプレート・アプリケータの上側および下側プレートの中に置かれた一連の照射野整形セルとを示す。図8Aでは、二次元の照射野分布は、照射野整形セルに対する有限要素分析によって決定することができる。図示される例では、セルは、90°の開先角度と厚さ9mmの鉛減衰器とを有する。角度および厚さは、明らかに、治療の特定の状況によって変わる場合がある。この構造は、減衰されない前面の放射線照射野130および大幅に減衰された側部照射野または領域132を作る。図8Bでは、この照射野整形構造の、平行なプレート・アプリケータのプレート間における二次元の照射野の均一性に対する影響の一例が示される。この図では、13個のHDRカテーテル管腔134が平行に置かれ、上側プレート136および下側プレート138に沿って1cm間隔で離間している。結果として得られる照射野の均一性がプロットされる。
【0037】
図9は、最初の計算、主な入力(静的および動的の両方)、および主な意思決定経路を示す、一般的なプログラム・フローチャートである。図9に示されるように、様々なユーザまたは操作者の入力は、線量、期間、線量率、標的体積、および分割などの線量規定因子150、標的体積の形状、標的体積のサイズ、アプリケータの形態、アプリケータ内の線源位置、アプリケータ内の線源経路などの幾何学的因子152、標的組織、余白の規定、線量に敏感な組織(すなわち、任意の「非」治療範囲)などの生物学的因子154、線源の形状、線源の活性分布、線源の活性、および線源の可撓性などの線源因子156を含む。様々な操作者入力は、ステップ160で示される、プログラム経路のプログラム入力に提供される。ステップ160は、部分ごとの線量、ドウェル時間、ドウェル位置、管腔の選択、および現在の線量率を計算することを含む。次に、結果が、確認のため、ステップ162で示されるように操作者に提示される。操作者は、経験的な決定に基づいて、計算された線量レベルをオーバーライドし訂正することができる。線量レベルが設定されると、ステップ164で示されるように、治療を開始することができる。次に、線源、機器、および患者のステータスに関する動的な入力が考慮される(ステップ166で示される)。これらの動的な入力は、患者の状態、線源位置フィードバックの検証、線源移動機構、操作者の状態、およびプログラム・エラー検出アルゴリズムを含む。これらの動的な入力は、線源が開始位置で前進される(置かれる)ステップ168で提供され、そのような位置付けが確認される。ステップ170で、各位置における治療が適切に進行しているかの判定が行われる。これは、ここまで実行された治療に照らして、標的腫瘍(1つまたは複数)の状態にアクセスすることによって遂行される。ステップ168で線源の開始位置を確認することができないか、または治療が不適切に進行している場合、ステップは、動的な入力166に照らしてその問題を評価する、ステップ172のエラー処理モジュールに進む。一方、ステップ170での判定がyesである場合、ステップ174で、規定の線量に達したかの決定が行われる。noの場合、ステップ170が繰り返される。yesの場合、ステップ176で、治療が最終位置にあるかの決定が行われる。yesの場合、ステップ178で、線源が除去され、線源が安全化の決定が行われる。noの場合、ステップ180で、治療が次の位置に前進され、次に、ステップ170およびステップ170に続く後続のステップが、次の位置に対して繰り返される。
【0038】
ステップ172を再び参照すると、エラー処理モジュールが治療のエラーを決定すれば、ステップ182で、エラーを修正することができるかの決定が行われる。yesの場合、ステップ184で、修正または修復の計画が決定され、治療パラメータが訂正される。ステップ186で、訂正された治療パラメータに対する承認が必要かの決定が行われる。不要であれば、ステップ188および後続のステップが繰り返され、yesの場合であって、ステップ188で承認が得られれば、ステップ180および後続のステップが繰り返される。noの場合、ステップ178および後続のステップが繰り返される。最後に、ステップ178で、線源(1つまたは複数)が除去され、線源(1つまたは複数)は、安全であることが検証され、ステップ190で示されるように報告が作成され、ステップ192で示されるように治療が終了される。図9に関して記載されたフローチャートの手続きステップの多くは、ソフトウェアによって実施され、コンピュータのCDまたはROMなどの適切なメモリに格納され、かつ操作者によって、デスクトップ、ラップトップ、ワークステーション、または他の類似のシステム上で操作されることができることを理解されたい。
【0039】
図10は、HDR処置における組み合わされた照射野整形セルの使用の実証である。この例に示されるように、HDRカテーテル管腔200は、カテーテル管腔200内に固定的に取り付けられた、またはその中で移動可能なHDR照射源204を含む、1つまたは複数の照射野整形セル202を含む。図示されるように、セル202および線源204は、標的体積206に向かって放射線の発散ビームを提供する。図に見られるように、照射野整形セルは、所望の治療のため、規定の位置に予め位置付けることができる。この例では、線源204が連続したセルを介して動くようにして、単一のHDR線源204が最初に前進されることができるので、線源204は、各セルから予め定められた部分的な線量を送達するため、予め定められた時間、照射野整形セル202内の位置に滞留することができるようにされる。このプロセスは、規定の照射時間、連続した位置210それぞれに対してHDR線源204を前進させることによって繰り返される。位置および配置の数は特定の治療に依存する。照射野整形セルの使用により、(皮膚に隣接した)周りの表面組織に対する線量の側部照射が制限されると同時に、その器官内の予め定められた標的体積に対する、より大きな線量の蓄積が可能になる。
【0040】
図11は、照射野整形セル216の向きをどのように使用して、組織の放射線に対する曝露を制御することができるかを実証する。図11Aでは、照射野整形セル216は、胸壁に対して垂直に向けられて、乳房を均一に治療するが、胸壁217よりも下の位置への曝露を可能にする。図11Bでは、照射野整形セル216は、胸壁から離れる方向に向けられ、その結果、胸壁の緩やかな向きを作るように、胸壁217よりも下の位置への線量が最小限に抑えられる。
【0041】
同様の結果が、図12に示されるように、放射線源の経路に沿った連続的なアパーチャを使用することによって達成される。図12を参照すると、連続的な照射野整形構造の一実施形態は、妨げられない前面の開放角220、長手方向軸線222、アパーチャ224、放射線吸収材料を含むカテーテルなどの放射線減衰器構造226、HDR源またはX線発生器のどちらかなどの放射線源のための管腔228、拡張アプリケータの表面230、乳房の表面232、アプリケータと乳房表面の間における中間の皮膚に接触する層の空間234、ならびに妨げられない前面照射の方向225を含むものとして示される。
【0042】
図13は、発散ビームで規定された放射線照射野を作成するための、単一の放射線照射野整形構造250の一実施形態の要素を示す。構造250は、前面の開放角254およびアパーチャ258を規定し(かつ半角256を規定する)、好ましくは円錐形状であるが、必ずしもそうでなくてよい開口部252を規定する、放射線吸収材料、高さまたはセットバック距離262によってアパーチャ258に対して位置付けられた線源260、ならびに減衰器264を含む。アパーチャ258を介して線源260から出る放射線ビームは、中心線またはビーム軸266によって規定され、したがって、発散する前面照射野268および側面の照射方向/領域270を規定する。開放角254、半角256、アパーチャ258、距離262を変えることにより、照射野整形構造250から放射される発散照射野を制限し、突出した器官内の病変のサイズ、形状、および位置に合わせて、複数の発散照射野の適切な重複を容易にするすることができる。
【0043】
図14は、ロボットに基づいたアプリケータを使用した、アプリケータの代替実施形態を示す。放射線源270は、アーム272に取り付けられ、それは次に支持体274に取り付けられ、回転軸276の周りで回転するように適合される。この配置では、乳房278は、一例として、アプリケーションに対して適切に位置付けられて、患者支持体282内に形成されたアパーチャ280を介して重力によって垂れ下がることができる。回転角度284、方位角286、線源の傾斜角288、線源距離の変化290、高さ変化292、および乳房278に対する支持体274の横方向変位294が示される。回転角度284、方位角286、線源の傾斜角288、線源距離の変化290、高さ変化292、および横方向変位294は、6つの自由度を規定し、協力して動作して、PBB技術が、適切に線源(I)(または別の線源および照射野整形構造)と、乳房の周囲に沿った、ただしそれに近接した距離(上述の寸法以内)の、またはそれと直接接触する任意の地点における線源方向とを整列させることを可能にし、それにより、放射線源からの発散照射野を適切に追跡し、または乳房内における指定の体積296と整列させることができるようになる。
【0044】
図15A〜Cを参照すると、照射野整形構造内における放射線源または発生器の配置と、結果として得られる照射野との関係が実証される。図15Aは、中心に、かつ広い発散照射野302を発生させるアパーチャ付近に置かれた、放射線源300を備えた照射野整形構造298を示す。図15Bは、中心に、かつ広い発散照射野パターン302を発生させるアパーチャ付近に置かれた、放射線源300を備える照射野整形構造298を示す。最後に、図15Cは、「中心からずれて」、かつ狭く非対称の発散照射野306を発生させる照射野整形構造内のアパーチャから離れて置かれた、放射線源300を備える照射野整形構造298を示す。
【0045】
開示されるシステムおよび方法の様々な追加の態様
アプリケータは、患者の単回使用のために特別に設計することができる。乳房の治療の場合、放射線分布パターンは、乳首に対する線量および/または切除部位に対する線量が、所望に応じて制御される(低減または増加される)ように設計することができる。アプリケータは、表面(皮膚)被曝線量を追跡/測定する、放射線モニタ(1つまたは複数)を含むことができる。アプリケータが内側の皮膚に接触する層を有する実施形態では、乳房の表面とアプリケータの間の空間により、線源と皮膚の間の分離距離が制御される。それに加えて、アプリケータの内側の皮膚に接触する層は、アプリケータから分離可能であることができる。1つの代替配置では、アプリケータは、高い含水量、あるいは、水で充填されたスポンジ、バルーン、またはゲル媒体などであるが、それらに限定されない水等価物質を含む、中間層を含むことができる。
【0046】
主要なラジオアイソトープは、約20〜約1500keV程度の顕著なガンマ線エネルギー、好ましくは約50〜1300keV程度の顕著なエネルギーを含むべきであることが想到される。ラジオアイソトープは、好ましくは、Co−56、Co−57、Co−58、Co−60、Zn−65、Pd−103、Cd−109、I−125、Cs−131、Cs−137、Sm−145、Gd−153、Yb−169、W−187、Ir−192、およびAu−198を含む群から選択される。一実施形態では、放射線源は正中電圧X線源である。線量は、約10分〜約60日の範囲の期間にわたって、連続的あるいは断続的(部分ごと)に送達することができる。また、各部分における放射線量は約1〜約10Gyであり、蓄積線量は約10〜約100Gyの範囲であることが想到される。各部分の間の指定の体積への線量は、好ましくは、約3.0〜約4.0Gyであり、約30〜約40Gyの合計線量が、4〜5日の期間にわたる8〜10回のセッションにおいて送達される。規定の分割された線量が各セッションにおいて送達されるまで、非侵襲性の近接照射治療を断続的に適用することができる。本明細書に記載される非侵襲性の近接照射治療は、他の放射線治療処置に対するブーストとして行うことができる。例えば、非侵襲性の近接照射治療技術は、温熱療法、放射線増感剤、または放射線治療の有効性を増強する他の手段と組み合わせることができる。線量および治療が変化し得ることは明白であろう。送達される蓄積された治療放射線量が、約15〜約45Gyの範囲の場合、周りの組織に送達される平均の部分的な治療線量は、治療線量よりも少なくとも20%少ないことが好ましい。上述したように、患者が腹臥位または仰臥位の状態で、線源を適用することができる。あるいは、患者が座っているまたは立っている状態で、線源を適用することができる。アプリケータは、皮膚線量を減少させるために表面的な乳房組織への側面照射を制限して、皮膚線量を減少させながら、実質的に妨げられない、乳房組織に対する発散する前面照射を可能にするため、照射野整形構造を含む。
【0047】
アプリケータは、好ましくは、発散照射野を作るために使用される、照射野整形構造を含む。鉛などの放射線吸収性材料で作られた照射野整形構造は、好ましくは、少なくとも約20°(10°の垂直入射からの半角)延びるが、約150°(75°の垂直入射からの半角)を越えない開放角を備えたアパーチャを備えて、少なくとも30%(平均して)側面の放射線曝露を低減する。乳房の治療の場合、心臓および肺に対する迷線量を低減するため、発散する前面照射野の軸線が胸壁から離れる方向に向けられるように、放射能源(1つまたは複数)は、適切に形作られたアパーチャなどの、アプリケータの側面照射制限構造内に置かれる。そのような用途では、妨げられない前面曝露の開放角は、少なくとも1つの面内において約150°未満である。HDR線源が、アプリケータとともに乳房の治療に使用される実施形態では、拡張された軸方向のアパーチャ構造が、HDR線源の軸方向経路の周りで使用されて、前面方向における発散放射線の自由な通過を可能にするとともに、側面照射を制限し、その結果、指定の乳房組織線量と比べて皮膚に対する相対線量を低減する。図12に示されるような、拡張された軸方向のアパーチャ・チャネルの深さは、HDR線源の通過を可能にし、また、アパーチャ・チャネルからのHDR線源の距離を変えることを可能にするので、距離が照射野の発散を決定する。照射野整形構造としては、アパーチャ、マスク、シャッター、照射野整形セル、バンド、溝、または固定もしくは可変の幾何学形状の減衰シースおよびスペーサが挙げられる。
【0048】
図9Aおよび9Bに関して記載したような治療計画ソフトウェアの場合、等線量中心(isodose center)、線量体積、および線量の均一性などの放射線照射パラメータは、乳房のサイズおよび形状、あるいは乳房内における腫瘍、腫瘍床、または指定の体積のサイズ、形状、および体積に基づく。好ましくは、等線量中心、線量体積、および線量の均一性などの放射線照射パラメータは、指定の線量および線量の分布が、イメージ・ガイダンスから特定されるような、乳房のサイズおよび形状、または乳房内における腫瘍もしくは腫瘍床の位置および範囲と一致するように設計される。線量は、好ましくは、適切なイメージ・ガイダンスから特定された乳房内の線量基準点を基準とする。線源(1つまたは複数)の位置、強度、サイズ、形状、エネルギーは、好ましくは、放射線治療の体積が、イメージ・ガイダンスに基づいて、乳房のサイズおよび形状、あるいは乳房内の腫瘍、腫瘍床、または他の指定の体積のサイズ、形状、および位置と一致するように選択される。HDR線源のドウェル位置、ドウェル・パターン、およびドウェル時間は、放射線治療の体積が、イメージ・ガイダンスによって特定されるような、乳房のサイズおよび形状、あるいは腫瘍または腫瘍床のサイズ、形状、および位置と一致するように選択される。治療目的のため、アプリケータ内の撮像可能なマーカーが、放射線治療体積を腫瘍または腫瘍床の体積に一致させるように、乳房の座標に対してアプリケータの位置を整列させるために使用される。治療計画ソフトウェアは、好ましくは、線源(1つまたは複数)のドウェル位置(1つまたは複数)およびドウェル時間(1つまたは複数)を制御するため、治療体積に対する線量がリアルタイムで監視されることを可能にする。放射能源は、点状線源、ワイヤ、チューブ、または箔の形状をとるキャリア内に封入され、あるいは、塗布、めっき、分散液への混合、および、キャリアの表面内またはその上への化学的または物理的結合を用いて、キャリア内に搭載されるか、もしくは埋め込まれてもよい。線源は、線の形態(一次元)の小さなペレットまたは分散された線源であることができる。線源は、平坦な平面の形態(二次元)のフィルタリング(保護)された、または分散された線源であることができる。線源は、湾曲した平面の形態(三次元)の分散された線源であることができる。一実施形態では、線源(1つまたは複数)は、図3および4に示されるように、乳房の周囲に沿った、かつ胸壁から乳首まで延びる螺旋状の軌道に沿って横断することができる。1つの別の実施形態では、線源(1つまたは複数)は、すべて胸壁にほぼ平行であるとともに、乳房の周囲に沿って置かれる、複数の同軸の円形軌道を横断する。さらに別の実施形態では、線源(1つまたは複数)は、乳首から胸壁まで延びる湾曲したラジアル線に沿って横断し、乳房の周囲に沿って置かれる。線源は、線の形態(一次元)の小さなペレットは分散された線源であってもよい。線源は、平坦な平面の形態(二次元)のフィルタリング(保護)された、または分散された線源であることができる。あるいは、湾曲した平面の形態(三次元)のフィルタリング(保護)された、または分散された線源である。
【0049】
近接照射治療を提供する装置および方法の特定の実施形態を記載してきたが、これらの実施形態において暗示される概念が他の実施形態にも使用されてもよいことを理解されたい。本願の保護は、添付の特許請求の範囲にのみ限定される。
【0050】
これらの請求項では、単数の要素に対する言及は、特に規定されない限り、「唯一の」を意味することを意図するのではなく、「1つまたは複数の」を意味することを意図する。当業者には知られているか、または後に知られるようになる、本開示全体を通して記載される様々な実施形態の要素に対する構造的および機能的等価物はすべて、参照により明示的に本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることを意図する。さらに、本明細書に開示されるいずれも、そのような開示が特許請求の範囲に明示的に列挙されるか否かに関わらず、公共の目的で使用されることを意図しない。いずれの請求項の要素も、その要素が、語句「〜の手段」を使用して、または方法クレームの場合にはその要素が語句「〜のステップ」を使用して、明示的に列挙されない限り、米国特許法第112条第6項の規定に基づいて、解釈されるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の形状適応的な突出した器官内の標的体積に対して非侵襲性の近接照射治療を適用するシステムであって、
前記標的体積を取り囲む組織よりも高い線量が前記標的体積に対して送達されるように、増強された線量の発散放射線を、前記形状適応的な突出した器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から経皮的に、少なくとも2つの方向から前記形状適応的な突出した器官の前記標的体積に送達可能であるように、前記器官に対して位置付けられるように構築されたアプリケータを備えるシステム。
【請求項2】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した前記アプリケータの位置が、前記器官から約3mmから約5cmの範囲以内である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記標的体積が約10から数百cm程度である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記標的体積に送達される合計の規定の治療線量が、約10Gyから約50Gyの範囲である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記合計の規定の線量が部分ごとに送達され、標的体積に送達される各部分が1.8Gy程度である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記標的体積に送達される前記規定の治療線量が、約15Gyから約40Gyの範囲である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
規定の線量が部分ごとに送達され、前記標的体積に送達される各部分が1.8Gy程度である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記アプリケータが前記患者によって着用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記器官が乳房であり、前記アプリケータが、前記発散放射線がそこから送達される位置に対して前記乳房を固定するように構築され配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記器官が乳腺腫瘤摘出を受けた乳房であり、前記アプリケータが、前記標的体積が乳腺腫瘤摘出による空洞の領域を含むように構築され配置される、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記アプリケータが、前記患者の呼吸または他の動きによって引き起こされる、前記アプリケータと前記突出した器官の相対的な動きを排除するようにして、前記突出した器官に付着される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
前記アプリケータがブラジャーである、請求項8に記載のシステム。
【請求項13】
前記アプリケータが、線源と皮膚の間の分離距離を制御するため、前記乳房の表面と放射線源の間の空間を占める、内部組織に接触する層を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項14】
前記アプリケータが、外部被曝を最小限に抑えるため、減衰外表面を含む、請求項8に記載のシステム。
【請求項15】
前記アプリケータが、乳房の形状に合致する可撓性カップを含み、それにより、放射線治療の間、前記乳房の位置が固定され、前記アプリケータに対して一定に保たれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項16】
前記アプリケータが、その中の剛性の空間に乳房組織を合致させるように構築され配置された剛性の設計を含み、放射線治療の間、前記乳房の位置が固定され、前記アプリケータに対して一定に保たれる、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記アプリケータが、患者の単回使用のため、前記乳房のサイズ、腫瘍床の位置および形状に一致するように設計された、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
増強された線量を送達する少なくとも1つの放射線源をさらに含み、前記線源が、前記増強された線量を前記標的体積に送達するとき、前記位置のそれぞれに対して前記アプリケータ内で移動可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記線源が少なくとも1つのアイソトープを含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記線源が少なくとも1つの別個の線源を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記線源が少なくとも1つの電離放射線発生器を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項22】
前記線源が点状線源である、請求項18に記載のシステム。
【請求項23】
前記線源が線状線源である、請求項18に記載のシステム。
【請求項24】
前記線源が面状線源である、請求項18に記載のシステム。
【請求項25】
前記線源が、前記線源から放射される放射線を予め定められた方向に整形し方向付ける、選択的な減衰器を含む、請求項18に記載のシステム。
【請求項26】
前記線源が連続的な照射野整形セルを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記線源が、前記アプリケータに埋め込まれた少なくとも1つの照射野整形セルを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
前記線源が、前記アプリケータに埋め込まれた複数の照射野整形セルを含む、請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
前記増強された線量を前記標的体積に送達する複数の放射線源をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記線源が少なくとも2つの別個の線源を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記線源が少なくとも2つの電離放射線発生器を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項32】
前記線源が点状線源を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項33】
前記線源が線状線源を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項34】
前記線源が面状線源を含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項35】
各線源が、前記アプリケータに埋め込まれた減衰セルを含む、請求項29に記載のシステム。
【請求項36】
前記アプリケータが、前記皮膚に送達される皮膚被曝線量を追跡および/または測定する、少なくとも1つの放射線モニタを収容する、請求項1に記載のシステム。
【請求項37】
前記アプリケータが、腹臥位で前記患者を治療するように構築される、請求項1に記載のシステム。
【請求項38】
前記アプリケータが、仰臥位で前記患者を治療するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項39】
前記アプリケータが、座位で前記患者を治療するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項40】
前記アプリケータが、立位で前記患者を治療するように適合される、請求項1に記載のシステム。
【請求項41】
適用が前記治療を断続的に提供するように適合された、請求項1に記載のシステム。
【請求項42】
適用が前記治療を連続的に提供するように適合された、請求項1に記載のシステム。
【請求項43】
放射線治療の有効性を増強する別の装置をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項44】
前記別の装置が温熱療法によって放射線治療の有効性を増強する、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記別の装置が放射線増感剤によって放射線治療の有効性を増強する、請求項43に記載のシステム。
【請求項46】
前記アプリケータが、他の放射線治療装置に対するブーストを行うように構築される、請求項1に記載のシステム。
【請求項47】
前記アプリケータが、前記器官の両側に位置付けられるように適合された一対のプレートを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項48】
前記プレートの1つが、前記増強された線量を送達する少なくとも1つの放射線源を含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記プレートが、前記器官に対して少なくとも2つの異なる向きで位置付けられるように構築され配置される、請求項48に記載のシステム。
【請求項50】
前記プレートの1つが、前記増強された線量を送達する複数の放射線源を含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記アプリケータが、前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した位置で、線源を位置付けるように構築され配置されたロボット・アームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項52】
前記標的体積を撮像するように構築され配置された撮像システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項53】
前記撮像システムがマンモグラフィ撮像デバイスを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項54】
前記撮像システムがCTスキャナを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項55】
前記撮像システムが超音波スキャナを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項56】
前記撮像システムがMRI撮像システムを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項57】
前記撮像システムが蛍光透視撮像システムを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項58】
前記アプリケータが、前記撮像システムを用いて目で見ることができるタイプの少なくとも1つのマーカーを含む、請求項52に記載のシステム。
【請求項59】
前記アプリケータが、前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した位置で、前記線源を位置付けるように適合された、前記発散放射線の少なくとも1つの線源にロボット・アームを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項60】
前記周囲の、またはそれに非常に近接した位置が、前記周囲から約3mmから約5cmの範囲以内である、請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
患者の形状適応的な突出した器官内の標的体積に対して非侵襲性の近接照射治療を適用する方法であって、
前記標的体積を取り囲む組織よりも高い線量が前記標的体積に対して送達されるように、増強された線量の発散放射線を、前記形状適応的な突出した器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から経皮的に、少なくとも2つの方向から前記形状適応的な突出した器官の前記標的体積に送達するステップを含む方法。
【請求項62】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量の放射線を送達するステップが、前記増強された線量を、前記器官から約3mmから約5cmの範囲以内の位置から送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記標的体積が約10から数百cm程度である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量の放射線を送達するステップが、約10Gyから約50Gyの範囲の合計の規定の治療線量を送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量の放射線を送達するステップが、前記増強された線量を部分ごとに送達するステップを含み、各部分が1.8Gy程度である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量の放射線を送達するステップが、約15Gyから約40Gyの範囲の合計の規定の治療線量を送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量の放射線を送達するステップが、前記増強された線量を部分ごとに送達するステップを含み、各部分が1.8Gy程度である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量の放射線を送達するステップが、アプリケータを使用して前記線量を送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
アプリケータを使用して前記線量を送達するステップが、前記アプリケータを前記患者に固着するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項70】
前記器官が乳房であり、アプリケータを使用して前記線量を送達するステップが、前記発散放射線がそこから送達される位置に対して前記乳房を固定するように、前記アプリケータを前記乳房に固着するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記器官が乳腺腫瘤摘出を受けた乳房であり、アプリケータを使用して前記線量を送達するステップが、前記標的体積が乳腺腫瘤摘出による空洞の領域を含むようにして、前記アプリケータを前記乳房に固着するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記患者の呼吸または他の動きによって引き起こされる、前記アプリケータと前記突出した器官の相対的な動きを排除するようにして、前記アプリケータを前記突出した器官に付着するステップをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記アプリケータがブラジャーであり、前記アプリケータを使用して前記線量を送達するステップが、前記ブラジャーを前記患者に固着するステップを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記アプリケータが、線源と皮膚の間の分離距離を制御するため、前記乳房の表面と放射線源の間の空間を占める、内部組織に接触する層を含み、前記ブラジャーを前記患者に固着するステップが、前記内部組織に接触する層と前記患者の前記皮膚の接触を補償する、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記ブラジャーを前記患者に固着するステップが、減衰外表面を介して最小限の外部被曝を補償するように、前記アプリケータが、外部被曝を最小限に抑えるため、前記減衰外表面を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記アプリケータが、乳房の形状に合致する可撓性カップを含み、それにより、前記ブラジャーを前記患者に固定するステップが、放射線治療の間、前記乳房の位置を固定し、前記アプリケータに対して一定に保つ、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記アプリケータが、その中の剛性の空間に乳房組織を合致させるように構築され配置された剛性の設計を含み、放射線治療の間、前記乳房の位置を固定し、前記アプリケータに対して一定に保つステップをさらに含む、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記アプリケータが、患者の単回使用のため、前記乳房のサイズ、腫瘍床の位置および形状に一致するように設計され、前記乳房の位置を前記アプリケータに対して固定するステップをさらに含む、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量を送達するステップが、前記増強された線量を送達する少なくとも1つの線源を移動させるステップを含み、前記線源が、前記増強された線量を前記標的体積に送達するとき、前記位置のそれぞれに対して前記アプリケータ内で移動可能である、請求項68に記載の方法。
【請求項80】
前記線源が少なくとも1つのアイソトープを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記線源が少なくとも1つの別個の線源を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記線源が少なくとも1つの電離放射線発生器を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記線源が点状線源である、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記線源が線状線源である、請求項79に記載の方法。
【請求項85】
前記線源が面状線源である、請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から増強された線量を送達するステップが、選択的な減衰器を用いて、前記線源から放射される放射線を予め定められた方向に整形し方向付けるステップを含む、請求項79に記載の方法。
【請求項87】
減衰器を用いて前記線源から放射される放射線を整形し方向付けるステップが、連続的な照射野として放射線を整形し方向付けるステップを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
減衰器を用いて前記線源から放射される放射線を整形し方向付けるステップが、前記アプリケータに埋め込まれた少なくとも1つの照射野整形セルを使用して、放射線を整形し方向付けるステップを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項89】
減衰器を用いて前記線源から放射される放射線を整形し方向付けるステップが、前記アプリケータに埋め込まれた複数の照射野整形セルを使用して、放射線を整形し方向付けるステップを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項90】
減衰器を用いて前記線源から放射される放射線を整形し方向付けるステップが、前記増強された線量を前記標的体積に送達するため、複数の線源を使用して放射線を整形し方向付けるステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項91】
前記線源が少なくとも2つの別個の線源を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記線源が少なくとも2つの電離放射線発生器を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記線源が点状線源を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項94】
前記線源が線状線源を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項95】
前記線源が面状線源を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項96】
放射線を整形し方向付けるステップが、前記増強された線量を前記標的体積に送達するため、前記アプリケータに埋め込まれた対応する減衰セル内に配置された複数の放射線源を使用するステップを含む、請求項90に記載の方法。
【請求項97】
前記皮膚に送達された皮膚被曝線量を監視するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項98】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、増強された線量の発散放射線を腹臥位の前記患者に送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項99】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、増強された線量の発散放射線を仰臥位の患者に送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項100】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、増強された線量の発散放射線を座位の患者に送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項101】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、増強された線量の発散放射線を立位の患者に送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項102】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、増強され他線量を断続的に送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項103】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、増強された線量を連続的に送達するステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項104】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、別の装置を用いた前記増強された線量の送達を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項105】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、温熱療法を用いた前記増強された線量の送達を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、放射線増感剤を有する別の装置を用いた前記増強された線量の送達を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
増強された線量の発散放射線を送達するステップが、他の放射線治療装置に対するブーストを行う、請求項61に記載の方法。
【請求項108】
前記アプリケータが、前記器官の両側に位置付けられるように適合された一対のプレートを含み、増強された線量の発散放射線を送達するステップが、前記器官を前記プレートの間に位置付けるステップを含む、請求項61に記載の方法。
【請求項109】
前記プレートの1つが、前記増強された線量を送達する少なくとも1つの放射線源を含み、それにより、前記器官を前記プレートの間に置くステップが、前記標的体積を前記1つの線源に曝露するステップを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記プレートが、前記器官に対して少なくとも2つの異なる向きで位置付けられるように構築され配置され、それにより、前記器官を前記プレートの間に置くステップが、前記標的体積を、前記プレートの前記異なる向きで前記1つの線源に曝露するステップを含む、請求項109に記載のシステム。
【請求項111】
前記プレートの1つが、前記増強された線量を送達する複数の放射線源を含み、それにより、前記器官を前記プレートの間に置くステップが、前記標的体積を前記複数の線源に曝露するステップを含む、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記アプリケータが、線源を前記突出した器官の前記周囲に対して位置付けるロボット・アームを含み、前記標的体積を取り囲む組織よりも高い線量が前記標的体積に対して送達されるように、増強された放射線量を、前記器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から経皮的に、少なくとも2つの方向から前記突出した器官の前記標的体積に送達するため、前記線源を移動させるステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項113】
前記標的体積を撮像するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項114】
マンモグラフィ撮像デバイスを用いて前記標的体積を撮像するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項115】
CTスキャナを用いて前記標的体積を撮像するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項116】
超音波スキャナを用いて前記標的体積を撮像するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項117】
MRI撮像システムを用いて前記標的体積を撮像するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項118】
蛍光透視撮像システムを用いて前記標的体積を撮像するステップをさらに含む、請求項113に記載の方法。
【請求項119】
前記アプリケータが、前記撮像システムを用いて目で見ることができるタイプの少なくとも1つのマーカーを含み、前記マーカーを使用して、前記標的体積に対して前記アプリケータを位置付けるステップをさらに含む、請求項113に記載の方法。
【請求項120】
前記アプリケータが、発散放射線源を含むロボット・アームを含み、前記線源を前記器官の前記周囲の、またはそれに非常に近接した位置で位置付けるように、前記ロボット・アームを移動させるステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項121】
前記周囲の、またはそれに非常に近接した位置が、前記周囲から約3mmから約5cmの範囲以内である、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
突出した器官内の指定の体積に対して近接照射治療を非侵襲的に送達する方法であって、
a.放射線治療を必要とする前記器官内の指定の体積を特定し、前記指定の体積を取り囲む組織よりも高い線量が前記指定の体積に対して送達されるように、増強された線量の発散放射線を経皮的に、前記突出した器官の前記指定の体積にそこから送達することができる、前記器官の周囲の、またはそれに近接した位置を決定するステップと、
b.前記指定の体積を位置決めするため、イメージ・ガイダンスを使用するステップと、
c.アプリケータが、少なくとも1つの放射線源を受け入れ、それを前記指定の体積に対して固定して位置付けることができるように、非侵襲性のアプリケータを前記器官に固着するステップと、
d.治療線量が前記標的体積に送達され、部分的な治療線量が前記標的体積に送達され、かつ部分的な治療線量が前記指定の体積を取り囲む組織に送達されるように、前記器官の周囲の、またはそれに近接した所定の位置それぞれにおいて、予め定められた時間、前記指定の体積を曝露するステップとを含む方法。
【請求項123】
突出した器官内の指定の体積に対して近接照射治療を非侵襲的に送達するシステムであって、
a.(a)放射線治療を必要とする前記器官内の指定の体積を特定し、(b)前記指定の体積を取り囲む組織よりも高い線量が前記指定の体積に対して送達されるように、増強された線量の発散放射線を経皮的に、前記突出した器官の前記指定の体積にそこから送達することができる、前記器官の周囲の、またはそれに近接した位置を決定するのを助け、かつ(c)前記指定の体積を位置決めするため、イメージ・ガイダンスを使用するのを支援するように構築され配置された撮像システムと、
b.前記器官に対して固定できるように形作られた非侵襲性のアプリケータであって、少なくとも1つの放射線源を受け入れ、それを前記指定の体積に対して固定して位置付けることができるように構築され配置されたアプリケータとを備え、
治療線量が前記標的体積に送達され、部分的な治療線量が前記標的体積に送達され、かつ部分的な治療線量が前記指定の体積を取り囲む組織に送達されるように、前記器官の周囲の、またはそれに近接した所定の位置それぞれにおいて、予め定められた時間、前記指定の体積を曝露するシステム。
【請求項124】
突出した器官に対して近接照射治療を適用する方法であって、
前記器官上に、少なくとも1つの放射線源を受け入れ、前記器官内の指定の体積を少なくとも2つのドウェル位置から曝露するように構築され配置された、非侵襲性のアプリケータを置くステップと、
各ドウェル位置からの発散照射野が、他のドウェル位置からの発散照射野に重ね合わされて、前記器官の大きな部分またはほぼ全体積に治療線量を送達するように、前記器官の周囲に対して近距離で、前記アプリケータを介して置かれた前記放射線源の前記ドウェル位置およびドウェル時間を制御するステップとを含む方法。
【請求項125】
突出した器官に対して近接照射治療を適用するシステムであって、
治療の間前記器官に接触するように構成された、少なくとも1つの放射線源を受け入れ、前記器官内の指定の体積を少なくとも2つのドウェル位置から経皮的に曝露するように構築され配置された非侵襲性のアプリケータを備え、
各ドウェル位置からの発散照射野が、他のドウェル位置からの発散照射野に重ね合わされて、前記器官内の標的体積に治療線量を送達するように、前記器官の周囲に、またはそれに近接して、前記アプリケータを介して置かれた前記ドウェル位置それぞれにおいて、前記放射線源のドウェル時間を制御するシステム。
【請求項126】
突出した器官内の指定の体積に対して近接照射治療を適用する方法であって、
前記指定の体積を位置決めするため、イメージ・ガイダンスを使用するステップと、
前記指定の体積を、予め定められたドウェル時間、前記器官の周囲の、またはそれに近接した少なくとも2つのドウェル位置のそれぞれに対して経皮的に曝露できるように、少なくとも1つの放射線源を備えた非侵襲性のアプリケータを前記器官上に置くステップと、
各ドウェル位置からの発散照射野が、他のドウェル位置からの発散照射野に重ね合わされて、治療線量を前記指定の体積に、また部分的な治療線量を前記指定の体積に隣接した他の組織に送達するように、前記ドウェル位置のそれぞれにおける放射線曝露の前記ドウェル位置および前記ドウェル時間を制御するステップとを含む方法。
【請求項127】
突出した器官内の指定の体積に対して近接照射治療を適用するシステムであって、
前記指定の体積を規定する撮像システムと、
前記指定の体積を、予め定められたドウェル時間、前記器官の周囲の、またはそれに近接した少なくとも1つのドウェル位置のそれぞれに対して経皮的に曝露できるように、前記器官上に置かれるように構築された、少なくとも1つの放射線源を備えた非侵襲性のアプリケータとを備え、
各ドウェル位置からの発散照射野が、他のドウェル位置からの発散照射野に重ね合わされて、治療線量を前記指定の体積に、また部分的な治療線量を前記指定の体積に隣接した他の組織に送達するように、前記ドウェル位置のそれぞれにおける放射線曝露の前記ドウェル位置および前記ドウェル時間を制御するシステム。
【請求項128】
突出した器官に対して放射線治療を適用する方法であって、
A.最初の治療面を規定するため、前記突出した器官を2つのプレートの間で圧縮するステップと、
B.放射線治療を必要とする組織の指定の体積を特定するため、不動にされた状態で、前記突出した器官を前記最初の治療面で撮像するステップと、
C.前記突出した器官が不動にされた状態で、前記最初の治療面に対して垂直の角度から30°以内で、前記指定の体積に放射線治療を送達するステップと、
D.圧縮プレートを除去し、前記圧縮プレートを、前記最初の治療面の60°から120°以内の新たな向きまで回転させ、再度圧縮して、前記突出した器官を前記新たな向きで不動にするステップと、
E.撮像または他の手段によって、前記新たな向きから前記突出した器官内の前記指定の体積を特定するステップと、
F.突出した器官が前記新たな向きで不動にされた状態で、前記圧縮プレートにほぼ垂直な方向から、前記指定の体積に放射線治療を送達するステップと、
G.治療線量が前記突出した器官内の前記指定の体積に送達されるまで、必要に応じてステップDからFを繰り返すステップとを含む方法。
【請求項129】
前記突出した器官が乳房である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記乳房が乳腺腫瘤摘出手術を受けており、前記指定の体積が乳腺腫瘤摘出による窩洞である、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
圧縮手段を含み、撮像および放射線治療の送達が単一の装置を用いて行われる、請求項128に記載の方法。
【請求項132】
突出した器官に対して放射線治療を適用する装置であって、
A.前記突出した器官を圧縮し、最初の治療面を規定するように構築され配置された一対のプレートであって、少なくとも第2の向きまで回転し、再度圧縮して前記突出した器官を新たな向きで不動にするように適合された圧縮プレートと、
B.前記器官が不動にされた状態で、前記突出した器官を前記最初の治療面で撮像するように、また、放射線治療を必要とする組織の指定の体積を特定し、前記第2の向きの前記指定の体積を特定するように構築され配置された撮像デバイスと、
C.前記突出した器官が不動にされた状態で、前記最初の治療面に対して垂直の角度から30°以内の方向から、放射線治療を送達するように構築され配置された放射線送達システムとを備える装置。
【請求項133】
前記第2の向きが前記最初の治療面の60°から120°以内である、請求項132に記載のシステム。
【請求項134】
前記突出した器官が乳房である、請求項132に記載のシステム。
【請求項135】
前記乳房が乳腺腫瘤摘出手術を受けており、前記指定の体積が乳腺腫瘤摘出による窩洞である、請求項134に記載のシステム。
【請求項136】
患者の形状適応的な突出した器官内の標的体積に対して非侵襲性の近接照射治療を適用するシステムであって、
前記標的体積を取り囲む組織よりも高い線量が前記標的体積に対して送達されるように、増強された線量の発散放射線を、前記形状適応的な突出した器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から経皮的に、少なくとも2つの方向から前記形状適応的な突出した器官の前記標的体積に送達可能であるように、前記器官に対して位置付けられるように構築されたアプリケータと、
前記アプリケータの使用法を案内するのに使用される治療計画プログラムと、
前記標的体積を撮像するように構築され配置されたイメージ・ガイダンス装置とを備え、
前記治療計画プログラムおよび前記イメージ・ガイダンス装置が、最適な治療計画を決定するために使用されるシステム。
【請求項137】
前記治療計画プログラムが、前記突出した器官のサイズおよび形状、ならびに前記イメージ・ガイダンス装置から特定される前記標的体積の場所および範囲による、指定の線量および線量分布の関数としての、等線量中心、線量、および線量の均一性を含む放射線照射パラメータを決定するように構成され配置されたパラメータ決定サブ・プログラムを含む、請求項136に記載のシステム。
【請求項138】
前記治療計画プログラムが、前記標的体積の関数としての、すなわち前記器官のサイズおよび形状、または前記イメージ・ガイダンス装置から特定される指定の体積のサイズおよび形状によって決定される、前記増強された線量を提供するため、1つまたは複数の線源の位置、強度、サイズ形状、およびエネルギーを決定するように構成され配置されたサブ・プログラムを含む、請求項136に記載のシステム。
【請求項139】
前記治療計画プログラムが、前記増強された線量を前記標的体積と一致するようにするため、1つまたは複数の線源のドウェル位置、膨張パター、およびドウェル時間を決定するように構成され配置されたサブ・プログラムを含む、請求項136に記載のシステム。
【請求項140】
放射線治療を前記標的体積と一致させるため、前記アプリケータの位置を前記器官の座標と整列させるように配置されたイメージ・マーカーをさらに含む、請求項136に記載のシステム。
【請求項141】
患者の形状適応的な突出した器官内の標的体積に対して非侵襲性の近接照射治療を適用する方法であって、
前記標的体積を取り囲む組織よりも高い線量が前記標的体積に対して送達されるように、増強された線量の発散放射線を、前記形状適応的な突出した器官の周囲の、またはそれに非常に近接した少なくとも2つの位置から経皮的に、少なくとも2つの方向から前記形状適応的な突出した器官の前記標的体積に送達可能であるように、前記器官に対して位置付けられるアプリケータを位置付けるステップと、
前記アプリケータの使用法を案内する治療計画プログラムを使用するステップと、
最適な治療計画を決定するため、イメージ・ガイダンス装置を使用して前記標的体積を撮像するステップとを含む方法。
【請求項142】
前記治療計画プログラムを使用するステップが、前記突出した器官のサイズおよび形状、ならびに前記イメージ・ガイダンス装置から特定される前記標的体積の場所および範囲による、指定の線量および線量分布の関数としての、等線量中心、線量、および線量の均一性を含む放射線照射パラメータを決定するステップを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記治療計画プログラムを使用するステップが、
前記器官のサイズおよび形状、または前記イメージ・ガイダンス装置から特定される指定の体積のサイズおよび形状によって決定するステップと、
前記標的体積の関数として、前記増強された線量を提供するため、1つまたは複数の線源の位置、強度、サイズ形状、およびエネルギーを決定するステップとを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項144】
前記治療計画プログラムを使用するステップが、前記増強された線量を前記標的体積と一致するようにするため、1つまたは複数の線源のドウェル位置、膨張パター、およびドウェル時間を決定するステップを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項145】
放射線治療を前記標的体積と一致させるため、前記アプリケータの位置を前記器官の座標と整列させるように配置されたイメージ・マーカーを使用するステップをさらに含む、請求項141に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−143584(P2012−143584A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−69985(P2012−69985)
【出願日】平成24年3月26日(2012.3.26)
【分割の表示】特願2007−556244(P2007−556244)の分割
【原出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【出願人】(507274870)アドヴァンスト レイディエイション セラピー,エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】