説明

窒化ガリウム結晶、ホモエピタキシャル窒化ガリウムを基材とするデバイス、及びその製造方法

【課題】ホモエピタキシャルLED、LD、光検出器又は電子デバイスを形成するために役立つGaN基板の形成方法の提供。
【解決手段】約10/cm未満の転位密度を有し、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満の窒化ガリウムからなる単結晶基板上に配設された1以上のエピタキシャル半導体層を含むデバイス。かかる電子デバイスは、発光ダイオード(LED)及びレーザーダイオード(LD)用途のような照明用途、並びにGaNを基材とするトランジスター、整流器、サイリスター及びカスコードスイッチなどのデバイスの形態を有し得る。また、約10/cm未満の転位密度を有し、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満の窒化ガリウムからなる単結晶基板を形成し、該基板上に1以上の半導体層をホモエピタキシャルに形成する方法及び電子デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高品質の窒化ガリウム単結晶、その製造方法、ホモエピタキシャル窒化ガリウム(GaN)を基材とするデバイス(例えば、具体的には発光ダイオード(LED)やレーザーダイオード(LD)用途のような照明用途、並びにGaNを基材とする光検出器、トランジスター、整流器、サイリスター及びカスコードスイッチのようなデバイス)、並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去10年間、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)及び様々なタイプのトランジスターを始めとして、窒化ガリウム(GaN)を基材とする電子デバイス及び光電子デバイスに多大の関心が集まった。しかし、これらのデバイスの品質及び信頼度は、非常に高い欠陥レベル、特にデバイスの半導体層中の貫通転位によって低下する。これらの転位は、GaNを基材とする半導体層と、サファイア又は炭化ケイ素のような非GaN基板との格子不整合から生じることがある。追加の欠陥は、層の成長方法の細目に応じ、熱膨張不整合、不純物及び傾角粒界から生じることがある。
【0003】
窒化ガリウム(GaN)を基材とする電子デバイスは、GaNの広いバンドギャップ、高い降伏電界及び高い飽和速度のため、シリコン、ヒ化ガリウム(GaAs)又はリン化インジウム(InP)基板上に作製された類似のデバイスに比べて優れた高電圧、高出力、高温及び高周波数動作を可能にする。各種タイプのGaNを基材とするデバイスが、マイクロ波電力増幅器及び低雑音増幅器用途のために関心を集めている。かかるデバイスには、金属半導体電界効果トランジスター(MESFET)、金属酸化物電界効果トランジスター(MOSFET)、金属−絶縁体電界効果トランジスター(MISFET)、バイポーラー接合トランジスター(BJT)、ヘテロ接合バイポーラートランジスター(HBT)及び(ヘテロ接合電界効果トランジスター(HFET)、変調ドープ電界効果トランジスター(MODFET)、二次元電子ガス電界効果トランジスター(TEGFET)又は選択ドープヘテロ構造トランジスター(SDHT)としても知られる)高電子移動度トランジスター(HEMT)があり、HEMTはIII−Vヘテロ接合で可能となるバンドギャップ技術を利用して類似のMESFETよりかなり高い電子移動度を与える。追加のGaNを基材とするデバイスが電力用電子工学用途のために関心を集めている。かかるデバイスには、サイリスター、ショットキー整流器、p−i−nダイオード、電力用縦型MOSFET、電力用縦型接合電界効果トランジスター(JFET)及びカスコードスイッチがあり、これらはGaNの広いバンドギャップ、高い降伏電界、高い熱伝導性及び高い電子移動度を利用している。
【0004】
ヘテロエピタキシャルGaNを基材とする電子デバイス及び光電子デバイスは、ある種の用途にとっては満足すべき性能レベルを示してきたが、所要レベルの信頼度を有していない。通例、GaNを基材とするデバイスでは、サファイア又はSiC基板上におけるGaN及びAlGaNのヘテロエピタキシャル成長が採用されてきた。GaNと基板との格子不整合に対処すると共に、基板に対するエピタキシャル関係を維持するため、バッファー層ともいわれる薄い低温核生成層(AlN又はGaN)が通例使用される。
【0005】
低温核生成層を有するサファイア基板の使用は、LED及び他のデバイスの製造にとっていくつかの重要な制約を有している。サファイアは電気絶縁体であり、電気接点をデバイス構造の上部及び下部(いわゆる縦型デバイス構造)ではなく上部及び側部に形成しなければならないので、ウェーハ上のスペースが無駄になる。さらに、サファイアはむしろ不良な熱伝導性を有するので、放熱が制限される。サファイアはGaNに対して大きい(16%)格子不整合を有する結果、バッファー層を使用しても、非常に高いレベルの貫通転位(10〜1011cm−2)がデバイス構造中に生じる。熱膨張の不整合に原因するデバイス構造中の過度のひずみは、性能、デバイス歩留り及び信頼度の低下をもたらす。具体的には、これらの転位は非放射性再結合中心として作用することがあり、特定の用途では性能を制限することがある。例えば、近紫外の高出力LED及びLDでは発光効率を低下させ、LD及び他の高出力デバイスでは寿命を短縮することがある。核生成層の堆積は、プロセスのコスト及び複雑度も増加させる。サファイアは、GaNに対する熱膨張率の不整合も大きい(45%)ので、加工温度からの冷却時にはデバイス構造中に応力が発生し、亀裂を生じることなしに使用できるウェーハの最大寸法及びエピタキシャル層の厚さは限定される。レーザーキャビティを画成するため、レーザーダイオード構造物の端部にはファセットを設けなければならないが、c軸方位サファイアの劈開は困難であるのでファセットを設けるには多大のコストを要する。
【0006】
SiC基板の使用はこれらの制約の一部を軽減するが、他の問題を導入する。GaNに対する格子不整合はサファイアの場合より小さいが、非常に高い欠陥濃度がやはり発生し、低温核生成層の使用がやはり必要である。SiCはサファイアよりずっと高価でもある。低価格のSiCは通例は部分的に不透明であり、基板に向かって能動領域から放出された光が透過されずに吸収されるので、LEDデバイスの効率を低下させる。LEDの若干の用途は紫外光の放出を伴うが、SiCのバンドギャップはサファイア又はGaNのバンドギャップより小さいので、この光は高品質の透明SiC基板でも吸収されることがある。
【0007】
上述のような品質上及び製造上の問題のため、光検出器用途での窒化ガリウムの使用は制限されていた。高性能の光検出器は、例えば、発電用タービンの燃焼器又は航空機エンジンでの温度を制御して、燃焼条件の連続的なリアルタイム最適化並びにエンジン効率及び信頼度の向上を可能にするために使用できる。光検出器は、民生用及び軍用を含め、広範囲の様々なセンサー用途でも使用できる。現行のヘテロエピタキシャル技術は商業的に実用可能なGaNを基材とするLED及びLDの製造を可能にするが、現行の技術で製造できる光検出器は非常に高い欠陥レベルのために性能の点で限界に近い。
【0008】
欠陥の存在はエピタキシャルに成長させた層に対して有害な効果を及ぼし、電子デバイスの性能を低下させると共に、欠陥の濃度及び/又は影響を低減させるために複雑で面倒な作製段階を必要とする。高品質のGaN基板はこれらの問題を低減させる。かかる基板は半絶縁性ばかりでなく導電性にすることもできるので、縦型LED又はLD構造物を作製できる。純粋なGaNの熱伝導率はサファイアの熱伝導率の5倍であり、熱の放散を向上させ、さらに高い出力レベルを可能にし、寿命を改善する。また、熱膨張不整合が存在しないので、大きい基板への拡大が容易であり、これはコストを削減する。貫通転位の濃度は3〜10桁も低減し、これによって漏れ電流が減少し、デバイスの歩留り及びI−V特性の一貫性が向上し、特に高出力レベルでのデバイス寿命が延び、発光効率及び静電放電抵抗性も向上し得る。さらに、GaNはサファイアより劈開がずっと容易であり、反応性イオンエッチングではなく単純な劈開でLDファセットを設けることができ、さらにコストを削減できる。高品質GaN基板上へのホモエピタキシャル光検出器の成長は、感度の向上、効率の上昇、漏れ電流(暗電流)の減少、及び降伏電界の上昇をもたらすであろう。ホモエピタキシャル光検出器の他の潜在的利益には、上昇した動作温度、良好な信頼度、良好なデバイスの均一性、向上した裏面接触能力、高い製造歩留り、長い寿命、ウェーハ利用の強化、波長選択性の向上、及び良好な製造可能性がある。
【0009】
実質的な数の窒化ガリウム結晶成長方法が提唱されているが、これまての方法はなお改良の余地がある。
【0010】
米国特許第5637531号及び同第6273948号は、液体ガリウム及びガリウム基合金を溶媒として使用すると共に、GaNを熱力学的に安定な相として維持するため融液の上方に高圧の窒素を使用しながら、高圧高温で窒化ガリウム結晶を成長させるための方法を開示している。この方法は、Porowski,“Near defect−freeGaN substrates”[MRSInternet J. Nitride Semicond. Research4S1, G1.3 (1999)]に記載されているように、約10〜10cm−2の転位密度を有する導電性GaN結晶、又は別法として約10〜10cm−2の転位密度を有する半絶縁性GaN結晶を成長させることができる。
【0011】
しかし、導電性結晶は5×1019cm−3程度の高いn型欠陥濃度を有している。これらの欠陥は、酸素不純物及び窒素空格子点からなると考えられる。その結果、結晶は比較的不透明であり、スペクトルの可視部の波長で約200cm−1の吸収係数を有する。その結果、かかる結晶上に作製した発光ダイオード(LED)から放出された光の半分以下が基板で吸収される。これは、サファイア又は透明SiC基板上に作製した通常のヘテロエピタキシャルLEDに比べて大きな欠点をなす。さらに、溶融Ga中で成長させた公称的に非ドープの結晶中における高いn型欠陥濃度は、格子定数を約0.01〜0.02%増大させ、これはその上に堆積した非ドープのエピタキシャルGaN層中にひずみを生じる。加えて、この方法で形成した非ドープGaN基板は、どちらかと言えば限られたキャリヤー移動度(約30〜90cm/V−s)を有し、これは高出力デバイスで制限的に作用することがある。
【0012】
液体Ga中で成長させたGaN結晶の透明度及び転位密度は、成長媒質へのMg又はBeの添加によって向上させることができるが、こうして製造した結晶は半絶縁性であり、室温で約10Ω−cmを超える抵抗率を有する。かかる結晶は、一つの電気接点を基板自体に形成する縦型デバイスには適さない。これらの基板は、(i)高温処理中にデバイス構造中に拡散する可能性があるMg及びO原子の高い濃度(各々約1019cm−3)[J.I.Pankoveet al.,Appl.Phys.Lett.74,416(1999)]並びに(ii)比較的不良な熱伝導性を含め、いくつかの追加の欠点を有する。例えば、二次元電子ガスによる輸送が起こるように設計されている高電子移動度トランジスター(HEMT)では、ドーパントが非ドープのGaNバッファー層中に拡散してキャリヤー移動度を低下させることがある。加えて、点欠陥の存在はバルクGaN基板中にフォノンを散乱させて熱伝導性を低下させ、これはGaNを基材とするHEMTで理論性能レベルを達成するのに有害である。
【0013】
Porowskiらの方法は、約10mmの直径及び0.1〜0.2mmの厚さを有する複数の小板状結晶を製造することを開示しており、まだよく理解されていない理由によって成長はこの時点で停止する。この方法でこれまでに成長した最大の結晶は、直径約20mmのものである。この方法が厚いボウル(50mm以上の直径を有するGaNボウル及びウェーハを意味する)ではなく小板を製造するので、通常のウェーハ加工技術(スライシング、ポリッシング)に関連して規模の経済を達成することができず、基板は極めて高価なままである。
【0014】
擬似バルク又はバルクGaNの成長のための最も成熟した技術は、水素化物/ハロゲン化物気相エピタキシー(HVPEとしても知られる)である。最も広く適用されているアプローチでは、HClが液体Gaと反応して気相GaClを生成し、これが基板に輸送され、そこで注入されたNHと反応してGaNを生成する。通例、堆積はサファイア、シリコン、ヒ化ガリウム又はLiGaOのような非GaN基板上に行われる。HVPEで成長させたフィルム中の転位密度は、最初は極めて高くて、GaNのヘテロエピタキシーについては通例1010cm−2程度であるが、厚さ100〜300μmのGaNを成長させた後には約10cm−2の値に低下する。例えば、Vaudoら[米国特許第6596079号]は、10cm−2未満の転位密度を有するGaNウェーハ又はボウルを作製するための方法を教示している。
【0015】
HVPEは、厚いフィルムでの欠陥レベルをさらに低下させることができるが、ウェーハ全体にわたる転位密度について10cm−2未満の値は報告されていない。通常はヘテロエピタキシャルに成長させたGaN中に存在する貫通転位のかなりの部分を占める刃状転位は、任意の厚さのGaNフィルムの成長後にもいつまでも存続すると予想される。HVPEで成長させた厚いボウルからGaNウェーハをスライスし、追加の成長用の種晶として使用しても、刃状転位はいつまでも存続すると予想される。Vaudoら[Phys.Stat.Solidi(a)194,494(2002)]は、厚いHVPEフィルムの結晶粒の内部で10cm−2未満の転位密度を報告した。しかし、恐らくは主として刃状転位からなると思われる結晶粒間の転位密度はずっと高いと予想される。加えて、HVPEウェーハには、基板とフィルムの間における熱膨張不整合に原因するひずみが存在する。このひずみは、基板及び成長後のフィルムの冷却後に弓そりを生じ、これが元の基板を除去した後にも残存する。
【0016】
まだ理解されていない理由により、厚いHVPE GaNでは、バンドエッジに閾値を有する室温での光の吸収も放出も起こらない。透過分光法では、HVPE GaNは366nm付近の予想カットオフからかなりシフトした370nm付近にカットオフを有する吸収を示す。同様に、室温でのフォトルミネセンスピークは予想よりかなり低いエネルギーである3.35eVに生じる。このような挙動は、光の一部が放出されずに基板で吸収されるので、紫外域で動作する発光デバイスの性能を損なう。シフトしたフォトルミネセンスピークは、デバイス性能を損なう可能性がある欠陥状態の存在を表している。
【0017】
大面積で低転位密度のGaNを成長させるための他の広く適用されている方法は、エピタキシャル・ラテラル・オーバーグロース(ELO又はELOG)、ラテラル・エピタキシャル・オーバーグロース(LEO)、選択区域成長(SAG)、逆ピラミッド状ピットを用いたエピタキシャル成長による転位の除去(DEEP)などと様々に呼ばれている。米国特許第6294440号は、かかる基板上のホモエピタキシャル発光レーザーダイオードを開示している。この方法の変法では、基板上において、位置同士がマスク、溝などで隔てられた一次元又は二次元配列の位置でヘテロエピタキシャル成長が開始される。成長位置の周期又はピッチは3〜100μmであり、通例は約10〜20μmである。個別のGaN微結晶が成長し、次いで合体する。次いで、合体したGaN材料の上部にエピタキシャル成長が継続して厚いフィルム又は「インゴット」を生じる。通例、合体したGaN材料上に形成される厚いGaN層はHVPEで堆積される。
【0018】
ELO法は、特にマスク上方の領域での転位濃度を通例は約10〜10cm−2のレベルまで大幅に低下させることができる。しかし、ELO基板上に作製した発光デバイスは、通例は約10μm(10−4cm)以上の表面積を有し、なおも実質的な数の貫通転位を含んでいる。加えて、多くの著者がELO構造物を単結晶と呼んでいるものの、ELOGaN基板は真の単結晶ではない。各々の個別GaN微結晶は結晶粒をなしており、通例は結晶粒が合体した位置に低角粒界又は傾角粒界が存在している。低角粒界又は傾角粒界は一連の刃状転位となって現われ、GaN中に横ひずみを生じる。結晶学的傾きの大きさはマスキング及び成長条件の詳細に依存するが、一般には結晶粒の合体に伴って少なくとも低レベルの傾きが存在する。結晶学的傾きの多く又はほとんどは、単に熱膨張不整合の結果ではなく、成長中に直接生じる。傾角粒界間の離間距離は元のマスクの周期又はピッチに等しく、通例は約10〜20μmである。その結果、デバイスが約100μmを超える横方向寸法を有する場合、特に約300μmを超える横方向寸法を有する場合、さらに約2000μmを超える横方向寸法を有する場合には、かかる基板上に形成されたデバイスもそれを貫通する傾角粒界を有する。基板又はデバイス中の傾角粒界は、透過電子顕微鏡検査、X線回折及びX線トポグラフィーを始めとする一連の分析技術で検出できる。
【0019】
例えば傾角粒界の存在から生じる、ホモエピタキシャルGaNを基材とするデバイス中の残留応力又はひずみは、LD、高出力LED、高出力トランジスター又は他のデバイスの劣化を促進することがある。同様に、傾角粒界に付随する転位は、高出力発光ダイオード、レーザーダイオード及び電力用電子デバイスの寿命を短縮することがある。転位密度に対するレーザーダイオード寿命の依存性を示す、かかる挙動の例を図24に示す。転位によるデバイス寿命の低下は、能動層中への不純物拡散を容易にすること、又は新しい転位の容易な発生から生じる可能性がある。転位は非放射性再結合中心として作用し、発光ダイオード及びレーザーダイオードの発光効率を低下させることがある。転位は逆バイアス電流の漏れを増加させ、ダイオード、トランジスター及び光検出器の性能を低下させることもある。明らかに、GaNを基材とするデバイス中にただ一つの転位が存在するだけでも、その性能及び/又は寿命を低下させることがある。
【0020】
傾角粒界構造及び横ひずみは、インゴット全体にわたって存続し、したがってこのインゴットからスライスした各基板中にも存続する。換言すれば、かかるインゴットからスライスしたいかなる基板も、傾角粒界及び横ひずみを含まない真の単結晶でない。加えて、GaN基板は、「標準的な」HVPEGaNと同じく、室温でのUV吸収及びフォトルミネセンスについての欠陥を受け易い。
【0021】
GaNの結晶成長のための他の方法は、溶媒として超臨界アンモニアを使用することを必要とする。超臨界アンモニア中での非常に小さいGaN結晶の成長については、特にKolis他の1)“MaterialsChemistry and Bulk Crystal Growthof Group III Nitrides inSupercritical Ammonia”,Mater. Res. Soc. Symp. Proc.495, 367(1998)]、2)“CrystalGrowth of Gallium Nitride inSupercritical Ammonia”,J. Cryst. Growth 222, 431(2001)、3)“Synchrotronwhite beam topography characterization of physical vaportransport grown AlN and ammonothermalGaN”, J. Cryst. Growth 246,271(2002)、並びにDwilinski他の1)“AMMONO Method of GaN and AlN Production”,Diamond Relat. Mater. 7, 1348(1998)、2)“AMMONOMethod of BN, AlN, andGaN Synthesis and Crystal Growth”,MRS Internet J. Nitride SemiconductorRes. 3, article 25(1997)、3)“On GaN Crystallization by Ammonothermal Method” Acta Phys.Pol. A 90, 763(1996)、及び4)“GaN Synthesis by AmmonothermalMethod” Acta Phys. Polonica A88,833(1995)に開示されている。
【0022】
これら先行技術の方法は、一般にアンモノ塩基性化学を使用しており、A、ANH又はAX(式中、Aはアルカリ金属原子であり、Xはハロゲン化物イオンである。)の1種以上から選択される鉱化剤の添加を伴う。NHの存在下では、アルカリ金属原子Aは一般に反応してANH+1/2Hを生成し、したがってやはり塩基性と見なされる。しかし、従前、転位密度が約10cm−2を超える比較的品質の悪い小さな結晶又はmm大の結晶しか報告されていない。加えて、これらの著者は種晶上への成長を最適化するために温度勾配プロフィルを使用することを開示していない。
【0023】
さらに最近に至り、Dwilinskiらは、米国特許公開第2002/0189531A1号及び同第2002/0192507A1号並びにPCT特許出願国際公開第WO03/035945号中で、複合温度勾配プロフィルの使用を伴うGaN成長のための改良アンモノ塩基性方法を開示している。これらのDwilinskiらの参考文献は、10〜10cm−2の範囲内又はそれ以下の転位密度を開示している。示されたただ一つの例では、HVPE種晶上の厚さ約200〜300μmの層で6×10cm−2の転位密度が報告されている。本発明者らは、成長層の控えめな厚さ及びHVPE種晶での典型的な転位密度(約10cm−2)に基づけば、この値は実際の転位密度を過小評価していると考えている。さらに、Dwilinskiらの文献には、GaN結晶からの傾角粒界の排除に関する教示がない。不可避的に傾角粒界を含むHVPE種晶の使用のため、DwilinskiらのGaN結晶には傾角粒界が予想される。さらに、Dwilinskiらは反応器へのガリウム又はアルカリ金属の添加を教示している。かかる添加はアンモニアとの化学反応で水素を生成するが、これは水素が圧力容器の壁体を脆化する傾向を有すると共にGaNに対して有効な溶媒でないので望ましくない。Dwilinskiらの参考文献は、最高10kbarの圧力の使用を教示しているが、かかる圧力を達成するための有効な方法を提供していない。即ち、これらの参考文献は圧力容器としてオートクレーブを使用することを教示しているが、オートクレーブが安全に達成し得る最高圧力は5kbarにすぎないからである。最後に、Dwilinskiらは通常のMOCVDで達成されるものとほとんど違わない非常に遅い速度(約0.2〜3μm/時)を報告しており、したがってこの方法の経済的実行可能性について大きな疑問を提起する。
【0024】
フランス特許第FR2796657号(Demazeauら)は、5〜6kbarの限界最高圧力を有する、当技術分野で公知のTuttle型コールドシール圧力容器を使用しながら、0.05〜20kbarの圧力、100〜600℃の温度、及び10〜100℃の温度勾配下にある超臨界アンモニア又はヒドラジン中でGaNを成長させるための方法を開示している。Jacobs及びSchmidt著,“HighPressure Ammonolysisin Solid−StateChemistry”, Curr.Topics Mater. Sci. 8, Kaldis編(North−Holland,1982)に記載されているように、NH3を用いて作業する場合、標準的な圧力容器は約5〜6kbarの圧力に限定され、これは最高温度、反応速度及び(恐らくは)結晶の品質を制限する。したがって、Demazeauは高い圧力範囲に到達し得る方法を開示しておらず、1mmより大きいサイズのGaN結晶を実証していない。
【0025】
米国特許第6398867号(D’Evelynら)は、5kbarを超える圧力、550℃を超える温度、及び5〜300℃の温度勾配下にある超臨界流体中でのGaNの温度勾配再結晶のための方法を開示している。種晶上への成長を最適化するための温度勾配プロフィルの使用は開示されておらず、10cm−2未満の転位密度の実証も開示されていない。
【0026】
すべての公知方法で成長させた窒化ガリウムは、結晶及びその上に形成したデバイスの性質を低下させることがある自然欠陥を含んでいる。普通に生じる自然欠陥の1つはGa空格子点であり、これはn型GaN中ではドナーを補償する深部三重アクセプターとして作用する。原則として、水素はガリウム空格子点に結合し、1〜4の周囲N原子のダングリングボンドを封鎖して(VGaH、VGa、VGa及びVGaと表示される)N−H結合を形成し得る。Ga空格子点に付随するN−H結合は、3100〜3500cm−1の振動周波数を有すると共に、極めて安定であると予測されている[C.Vande Walle,Phys.Rev.B56,R10020(1997)]。しかし、公知のGaN結晶成長方法は、水素化でGaN空格子点をパッシベートするための手段を提供しない。例えば、HVPEで成長させた厚さ300〜400μmのGaN試料に関する赤外透過分光分析は、別の欠陥に関連する2850cm−1及び2915cm−1付近の弱い吸収ピークを示したが、水素化Ga空格子点に帰属し得る3100〜3500cm−1の吸収ピークは観察されなかった。
【0027】
従前、GaN基板上にホモエピタキシャルLED又はLDデバイスを形成することに関して若干の限られた研究が行われていた。Journalof Crystal Growth中に書いた文書で、Pelzmannらは、ホモエピタキシャルホモ接合型GaN LEDがサファイア基板上の類似デバイスに比べて2倍の発光強度を示すことを報告した。しかし、ホモ接合型GaN LEDは、当技術分野で公知の通り、InGaN/GaNヘテロ接合型LEDよりずっと低い発光強度を有している。したがって、Pelzmannらによって実証されたデバイスは、通常のヘテロエピタキシャルLEDに比べていかなる性能上の利点も与えない。
【0028】
Kampらは、GaN結晶上に成長させたホモエピタキシャルLEDの形成方法を開発した。MRSInternet Journal of Nitride SemiconductorResearch中に報告されたこの研究は、LED形成に先立ってGaN結晶を研磨する方法として化学的支援イオンビームエッチングを適用することに焦点を合わせたものである。
【0029】
Grzegoryら及びPrystawkoらは、バルクGaN基板上でのパルス動作青色LDの作製を報告している。Kampらによって記載されたホモエピタキシャルGaNを基材とするLED並びにGrzegoryら及びPrystawkoらによって記載されたLDは、複数の重要な制約を受けている。例えば、スペクトルの可視部中の700nm(赤色)〜465nm(青色)の波長で約200cm−1の吸光係数を有するこれらの基板が比較的不透明である結果、LEDから放出された光の半分までは基板で吸収される。これは、サファイア又は透明SiC基板上に作製した通常のヘテロエピタキシャルLEDに比べて大きな不利益となる。加えて、Kampら、Grzegoryら及びPrystawkoらによって使用された基板は、約10〜10cm−2の転位密度を有している。この値は、ヘテロエピタキシャルLEDでの対応する値(約10〜1010cm−2)より低いが、それでも大面積のデバイスには転位が存在する。さらに、溶融Ga中で成長させた非ドープ結晶中の高いn型欠陥濃度は、格子定数を約0.01〜0.02%増大させ、これがその上に堆積された非ドープのエピタキシャルGaN層中にひずみを生じる。加えて、Kampら、Grzegoryら及びPrystawkoらによって使用された非ドープのGaN基板は、どちらかと言えば限られたキャリヤー移動度(約30〜90cm/V−s)を有しており、これが高出力デバイスで限定要因となりかねない。
【0030】
米国特許第5770887号及び同第5810925号は、GaN擬似基板上に二重ヘテロ構造のLEDを成長させることを教示している。これらの擬似基板は、GaN単結晶ではなくGaN/ZnO多層からなる。ZnOは結晶成長プロセス全体を通じてバッファー層として役立ち、したがってこのプロセスはZnO層の形成及び後の除去のために余分の段階を必要とする。参考文献には、この方法で達成できる転位密度は開示されていない。
【0031】
ELO技術の不使用又は使用を伴うHVPEで成長させたGaN基板上のホモエピタキシャルLED、レーザーダイオード及び光検出器が、Flynnら[米国特許第6447604号]、Yasanら[Appl.Phys.Lett.81,2151(2002)]及びTsudaら[米国特許第6294440号]によって開示されている。しかし、これらのデバイスは、約10〜10cm−2の転位密度及び傾角粒界の存在を含め、上述の欠点を有している。
【0032】
ホモエピタキシャルGaNを基材とする電子デバイスのデザインに関しては、これまでに1種以上のデザイン(具体的にはHEMT)が報告されている。Khanら[Appl.Phys.Lett.76,3807(2000)]は、1300〜1500℃の温度及び15〜20kbarのN2圧力下にある液体Mg/Ga合金中て成長させたバルクGaN基板上でのAlGaN/GaNHEMTの作製を開示している。しかし、これらの基板は、(i)高温加工中にデバイス構造中に拡散する可能性のあるMg及びO原子の高い濃度(各々約1019cm−3)並びに(ii)比較的不良な熱伝導性を含め、いくつかの欠点を有している。加えて、基板の抵抗率(約10Ω−cm)はHEMT用として望ましくないほどに低く、デバイスの周波数応答を低下させると共に、GaNバッファー層中の残留電荷及びDC−RFドレイン電流のばらつきを生じることがある。事実、Khanらによって報告されたホモエピタキシャルHEMTは、SiC上に作製された同様なデバイスよりわずかに劣った性能を実際に有していた。
【0033】
本発明者らは、上述の問題を解消するため、傾角粒界を含まないと共に10cm−2未満の転位密度を有する高品質GaN基板であって、その上にホモエピタキシャルLED、LD、光検出器又は電子デバイスを形成するために役立つGaN基板の形成方法を開発した。本発明の一実施形態では、本発明者らは意外にも、種晶上への成長を最適化するための温度勾配プロフィルを使用することで、1mmを超えるサイズ及び10cm−2未満の転位密度を有するGaN結晶が得られることを発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】米国特許第5637531号明細書
【特許文献2】米国特許第6273948号明細書
【特許文献3】米国特許第6596079号明細書
【特許文献4】米国特許第6294440号明細書
【特許文献5】米国特許公開第2002/0189531A1号明細書
【特許文献6】米国特許公開第2002/0192507A1号明細書
【特許文献7】国際公開第WO03/035945号パンフレット
【特許文献8】フランス特許第FR2796657号明細書
【特許文献9】米国特許第6398867号明細書
【特許文献10】米国特許第5770887号明細書
【特許文献11】米国特許第5810925号明細書
【特許文献12】米国特許第6447604号明細書
【特許文献13】米国特許第6294440号明細書
【非特許文献】
【0035】
【非特許文献1】Porowski,MRS Internet J.Nitride Semicond.Research4S1,G1.3(1999)
【非特許文献2】J.I.Pankove et al.,Appl.Phys.Lett.74,416(1999)
【非特許文献3】Vaudo et al.,Phys.Stat.Solidi(a)194,494(2002)
【非特許文献4】Kolis et al.,Mater.Res.Soc.Symp.Proc.495,367(1998)
【非特許文献5】Kolis et al.,J.Cryst.Growth 222,431(2001)
【非特許文献6】Kolis et al.,J.Cryst.Growth 246,271(2002)
【非特許文献7】Dwilinski et al.,Diamond Relat.Mater.7,1348(1998)
【非特許文献8】Dwilinski et al.,MRS InternetJ.Nitride SemiconductorRes.3,article 25(1997)
【非特許文献9】Dwilinski et al.,Acta Phys.Pol.A90,763(1996)
【非特許文献10】Dwilinski et al.,Acta Phys.PolonicaA 88,833(1995)
【非特許文献11】Jacobs and Schmidt,Curr.Topics Mater.Sci.8,E Kaldis編(North−Holland,1982)
【非特許文献11】C.Van de Walle,Phys.Rev.B 56,R10020(1997)
【非特許文献12】Pelzmann et al.,Journal of Crystal Growth
【非特許文献13】Kamp et al.,MRS InternetJournal of Nitride Semiconductor Research
【非特許文献14】Yasan et al.,Appl.Phys.Lett.81,2151(2002)
【非特許文献15】Khan et al.,Appl.Phys.Lett.76,3807(2000)
【発明の開示】
【0036】
本発明の一態様では、約2mm以上の直径、約10cm−1未満の転位密度を有し、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満のGaN単結晶が提供される。
【0037】
本発明の別の態様では、約2mm以上の直径、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満のGaN単結晶であって、300Kの結晶温度で約3.38〜約3.41eVの光子エネルギーにピークを示すフォトルミネセンススペクトルを有するGaN単結晶が提供される。一実施形態では、結晶は、単位厚さ当たりの吸光度が約0.01cm−1を超える赤外吸収ピークを3175cm−1付近に生じる形態で水素を含む。
【0038】
本発明の一態様では、(a)チャンバーの第一の領域に核生成中心を供給する段階と、(b)チャンバーの第二の領域にGaN原料物質を供給する段階と、(c)チャンバー内にGaN溶媒を供給する段階と、(d)チャンバーを加圧する段階と、(e)チャンバーの第一の領域で溶媒が過飽和となり、核生成中心とGaN原料物質の間に第一の温度勾配が存在して核生成中心でGaN結晶が成長するような第一の温度分布を生成して保持する段階と、(f)チャンバーの第一の領域で溶媒が過飽和となり、核生成中心とGaN原料物質の間に第二の温度勾配が存在して核生成中心でGaN結晶が成長するような第二の温度分布をチャンバー内に生成する段階とを含んでなる方法であって、第二の温度勾配は第一の温度勾配より大きく、第二の温度分布に対する結晶成長速度は第一の温度分布に対するものより大きい、方法が提供される。
【0039】
本発明の別の態様では、GaN単結晶を形成する方法が提供される。この方法は、(a)第一の端部を有するチャンバーの第一の領域に核生成中心を供給する段階と、(b)第二の端部を有するチャンバーの第二の領域にGaN原料物質を供給する段階と、(c)チャンバー内にGaN溶媒を供給する段階と、(d)チャンバーを5〜80kbarの圧力に加圧する段階と、(e)チャンバーの第一の領域で溶媒が過飽和となり、第一の端部と第二の端部の間に第一の温度勾配が存在して核生成中心でGaN結晶が成長するような、約550〜約1200℃の平均温度を有する第一の温度分布を生成して保持する段階と、(f)チャンバーの第一の領域で溶媒が過飽和となり、第一の端部と第二の端部の間に第二の温度勾配が存在して核生成中心でGaN結晶が成長するような、約550〜約1200℃の平均温度を有する第二の温度分布をチャンバー内に生成する段階とを含んでなり、第二の温度勾配は第一の温度勾配より大きく、第二の温度分布に対する結晶成長速度は第一の温度分布に対するものより大きい。
【0040】
本発明の別の態様では、GaN単結晶を形成する方法が提供される。この方法は、(a)第一の端部を有するチャンバーの第一の領域に核生成中心を供給する段階と、(b)第二の端部を有するチャンバーの第二の領域にGaN原料物質を供給する段階と、(c)チャンバー内にGaN溶媒を供給する段階と、(d)チャンバーを加圧する段階と、(e)第一の端部と第二の端部の間に第一の温度勾配が存在するような第一の温度分布を生成して保持する段階と、(f)チャンバーの第一の領域で溶媒が過飽和となり、第一の端部と第二の端部の間に第二の温度勾配が存在して核生成中心でGaN結晶が成長するような第二の温度分布をチャンバー内に生成する段階とを含んでなり、第一の温度分布はゼロであるか又は第二の温度勾配と反対の符号を有する。
【0041】
本発明の一態様では、ホモエピタキシャル窒化ガリウムを基材とする電子デバイスが提供される。このデバイスは、窒化ガリウムからなる単結晶基板上に配設された1以上のエピタキシャル半導体層を含んでなり、基板は約10/cm未満の転位密度を有すると共に傾角粒界を含まず、1以上のエピタキシャル半導体層はトランジスター、整流器、サイリスター及びカスコードスイッチのいずれかをなす電子デバイス中に含まれている。
【0042】
本発明の別の態様では、電子デバイスを形成する方法であって、約10/cm未満の転位密度を有し、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満の窒化ガリウムからなる単結晶基板を用意する段階と、基板上に1以上の半導体層を形成する段階とを含んでなり、電子デバイスがトランジスター、整流器、サイリスター及びカスコードスイッチのいずれかである、方法が提供される。
【0043】
本発明の別の例示的な実施形態では、発光ダイオード(「LED」)が提供される。このLEDは、10/cm未満の転位密度を有し、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満のGaNからなる基板上に配設された発光半導体能動領域を含んでなる。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態では、発光デバイスの製造方法であって、低温バッファー層の不存在下でGaNからなる基板上に第III族半導体能動領域を配設することを含んでなる方法が記載される。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態では、ホモエピタキシャル発光ダイオードが提供される。このホモエピタキシャル発光ダイオードは、n型電極と、n−GaN基板と、任意には1以上のn−GaN又はn−AlInGa1−u−vNクラッド層、AlInGa1−w−xN能動層、1以上のp−AlInGa1−y−zNクラッド層又はp−GaNクラッド層と、p型電極とを含んでなり(式中、0≦u,v,w,x,y,z≦1、0≦u+v,w+x,y+z≦1)、能動層のバンドギャップはクラッド層のバンドギャップより小さい。
【0046】
本発明の追加の例示的な実施形態では、ホモエピタキシャルレーザーダイオードは、n型電極と、n−GaN基板と、1以上のn−GaN又はn−AlInGa1−a−bNクラッド層と、任意には1以上のn−AlInGa1−c−dN光ガイド層と、AlInGa1−e−fN/AlInGa1−g−hN多重量子井戸と、任意にはp−AlInGa1−i−jNブロッキング層と、任意には1以上のp−AlInGa1−k−lN光ガイド層と、1以上のp−AlInGa1−m−nNクラッド層と、任意にはp−AlInGa1−o−pN接触層と、p型電極とを含んでなり(式中、0≦a,b,c,d,e,f,g,h,i,j,k,l,m,n,o,p≦1、0≦a+b,c+d,e+f,g+h,i+j,k+l,m+n,o+p≦1)、多重量子井戸能動層のバンドギャップは光ガイド層のバンドギャップより小さく、後者はクラッド層のバンドギャップより小さく、後者はp型ブロッキング層のバンドギャップより小さい。次いで、堆積した層に垂直な方向に側壁及び平行ファセットが設けられる。
【0047】
本発明の別の例示的な実施形態では、ホモエピタキシャル光検出器が提供される。本発明の光検出器は、10/cm未満の転位密度を有すると共に傾角粒界を含まない窒化ガリウム基板と、基板上に配設された1以上の能動層と、能動層及び(若干の実施形態では)基板に取り付けられた導電性接点構造物とを含んでいる。本発明の一実施形態では、光検出器は窒化ガリウム基板上に絶縁性能動層が配設された金属−半導体−金属(MSM)型構造を有しており、導電性接点構造物は半絶縁性能動層に接続された櫛形のショットキー型(即ち、整流性)金属接点のパターン化アレイである。
【0048】
本発明の別の実施形態は、P−i−N構造を有する光検出器である。この光検出器は、n型ドープ窒化ガリウム基板又は基板上に配設されたn型ドープ能動層と、絶縁性能動層と、p型ドープ能動層とを含んでいる。この実施形態では、導電性接点構造物はp型能動層に接続された1以上のオーム型接点と基板に接続されたオーム接点とからなる。
【0049】
本発明の光検出器は、ショットキー障壁構造物である第三の実施形態も包含している。この場合には、窒化ガリウム基板上に絶縁性能動層が堆積され、導電性接点構造物は絶縁性能動層に接続された1以上のショットキー型接点と基板に接続されたオーム接点とからなる。
【0050】
本発明の追加の態様は、光検出器を提供することである。この光検出器は、単結晶窒化ガリウムウェーハからなり約10cm−2未満の転位密度を有する窒化ガリウム基板と、窒化ガリウム基板上に配設された、Ga1−x−yAlInN(式中、0≦x,y≦1及び0≦x+y≦1)からなる1以上の能動層と、窒化ガリウム基板及び能動層の1以上に取り付けられた1以上の導電性接点構造物とを含んでなる。
【0051】
本発明の追加の態様は、10/cm未満の転位密度を有し、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満の窒化ガリウム基板と、窒化ガリウム基板上に配設された1以上の能動層と、窒化ガリウム基板及び能動層の1以上に取り付けられた1以上の導電性接点構造物とを含んでなる光検出器を製造する方法を提供することである。この方法は、窒化ガリウム基板を用意する段階と、窒化ガリウム基板上に1以上の能動層を堆積する段階と、1以上の能動層及び窒化ガリウム基板の1以上に1以上の導電性接続構造物を取り付ける段階とを含んでなる。
【0052】
本発明の上記その他の態様、利点及び顕著な特徴は、以下の詳しい説明、添付の図面及び特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施形態に係るHEMTデバイスの略図である。
【図2】図2は、本発明の別の好ましい実施形態に係るHEMTデバイスの略図である。
【図3】図3は、本発明の別の好ましい実施形態に係るHEMTデバイスの略図である。
【図4】図4は、本発明の別の好ましい実施形態に係るMESFETデバイスの略図である。
【図5】図5は、本発明の別の好ましい実施形態に係るMOSFET又はMISFETデバイスの略図である。
【図6】図6は、本発明の別の好ましい実施形態に係るHBTデバイスの略図である。
【図7】図7は、本発明の別の好ましい実施形態に係るBJTデバイスの略図である。
【図8】図8は、本発明の別の好ましい実施形態に係るショットキー整流器デバイスの略図である。
【図9】図9は、本発明の別の好ましい実施形態に係るp−i−n整流器デバイスの略図である。
【図10】図10は、本発明の別の好ましい実施形態に係るサイリスターデバイスの略図である。
【図11】図11は、本発明の別の好ましい実施形態に係るUMOSFET/UNISFETデバイスの略図である。
【図12】図12は、本発明の別の好ましい実施形態に係るDMOSFET/DNISFETデバイスの略図である。
【図13】図13は、本発明の別の好ましい実施形態に係る電力用絶縁ゲートバイポーラートランジスター(電力用IGBT)デバイスの略図である。
【図14】図14は、本発明の別の好ましい実施形態に係る電力用縦型JFETデバイスの略図である。
【図15】図15は、本発明の別の好ましい実施形態に係るカスコード構成を実現する可能な方法を略示している。
【図16】図16は、本発明の別の好ましい実施形態に係る縦型JFETと同じ基板上に低電圧GaN常時オフFETを集積したカスコード構成に対する集積アプローチの略図である。
【図17】図17は、本発明の別の好ましい実施形態に係るHEMTアレイの一例を示す略図である。
【図18】図18は、本発明を代表する縦型ホモエピタキシャル発光ダイオードデバイスの構造の詳細略図である。
【図19】図19は、本発明を代表する横方向ホモエピタキシャル発光ダイオードデバイスの構造の詳細略図である。
【図20】図20は、本発明を代表するホモエピタキシャルレーザーダイオードデバイスの構造の詳細略図である。
【図21】図21は、本発明の好ましい実施形態に従ってGaN単結晶を製造するために使用するカプセルの略断面図である。
【図22】図22は、本発明の好ましい実施形態に従ってGaN単結晶を形成するために使用する圧力容器の略断面図である。
【図23】図23は、本発明の好ましい実施形態に係るGaN結晶の一連のフォトルミネセンススペクトルである。
【図24】図24は、転位密度に対するレーザーダイオード寿命の依存性を示している。
【図25】図25は、先行技術に係る光検出器の略図である。
【図26】図26は、本発明の一実施形態に係る光検出器の略図である。
【図27】図27は、本発明の別の実施形態に係る光検出器の略図である。
【図28】図28は、本発明の別の実施形態に係る光検出器の略図である。
【図29】図29は、本発明の一実施形態に係る方法段階を示すフローチャートである。
【図30】図30は、転位を含むc方位の種晶上に成長させたバルクGaN中での転位の発生の略図である。
【図31】図31は、傾角粒界を含むc方位の種晶上に成長させたバルクGaN中での傾角粒界の発生の略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
本発明者らは、GaNが意外にも超臨界アンモニア及び他の超臨界GaN溶媒中で容易に核生成する結果、再結晶によって一つの大きい結晶ではなく多くの小さい結晶が生成することを見出した。先行技術で知られた方法で小さい高品質GaN結晶を成長させることはできたが、これらの方法では10cm−2未満の転位密度を有する2mmより大きい高品質結晶は成長しなかった。本発明者らは、種晶を取り付けるための改良方法と共に、適当な温度勾配を含む改良温度プロフィルを使用する方法が、これらの制約を解消できることを見出した。
【0055】
本発明者らはさらに、本発明の高品質GaN結晶を用いるホモエピタキシャル発光デバイス及びそのデバイスの形成方法も開示した。一実施形態では、かかるデバイスはGaN基板上に成長させたGaNを基材とするLED又はLDである。本明細書中では、能動層及びクラッド層の組成(AlInGaN)及び格子定数は基板(GaN)のものと同一ではないものの、かかるLED又はLDデバイスはホモエピタキシャルといわれる。その理由は、能動層及びクラッド層の格子定数は通例はGaNの格子定数に近似しており、基礎となる化学組成(第III族窒化物)も非常に類似していることにある。
【0056】
ホモエピタキシャルGaNを基材とする電子デバイスの構造は、単結晶GaN基板上に複数のGaNを基材とする半導体層をエピタキシャル成長させることで形成される。かくしてこの用途では、ホモエピタキシャルGaNを基材とする電子デバイスは、GaN基板及び基板上に形成された1以上のGaNを基材とする半導体層を有する電子デバイスである。1以上のGaNを基材とする半導体層は、Ga1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)からなる。別の実施形態では、1以上のGaNを基材とする半導体層は、AlInGa1−x−yN(式中、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦x+y≦1)からなる。GaNを基材とする半導体に加え、ホモエピタキシャルGaNを基材とする電子デバイスは、AlN層又はAlIn1−xN層(式中、0≦x≦1)のような、GaNを基材としない他のエピタキシャル層を有していてもよい。トランジスター、整流器又はサイリスターのような、窒化ガリウムを基材とする電子デバイスは、低い転位密度及び低い外来不純物濃度を有する高品質の単結晶窒化ガリウム基板上に直接にホモエピタキシャル成長させる。
【0057】
基板製造プロセス
本発明の実施形態では、高品質の単結晶を合成し、単一の核から直径2mm以上のサイズに成長させることができる。単結晶は、n型で、導電性で、光学的に透明で、横ひずみ及び傾角粒界を含まず、約10cm−2未満の転位密度を有するものでもよい。一実施形態では、転位密度は約10cm−2未満である。別の実施形態では、転位密度は約100cm−2未満である。一実施形態では単結晶はp型であり、別の実施形態では半絶縁性である。別の実施形態では、単結晶は磁性を有する。さらに別の実施形態では、それは発光性を有する。一実施形態では、結晶は単位厚さ当たりの吸光度が約0.01cm−1を超える赤外吸収ピークを3175cm−1付近に生じる形態で水素を含む。別の実施形態では、基板は約0.04ppmを超えるフッ素を含む。別の実施形態では、それは約0.04〜1ppmのフッ素を含む。一実施形態では、結晶にはH、Be、C、O、Mg、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Hf及び希土類金属の1種以上が約1016〜1021cm−3の濃度でドープされている。このような大きい高品質の窒化ガリウム単結晶は、超臨界流体溶媒中における高圧高温での温度勾配再結晶で成長させることができる。
【0058】
本発明の結晶は真の単結晶であり、即ち、傾角粒界(低角粒界としても知られる)が実質的に存在しない。ここで、「傾角粒界が実質的に存在しない」とは、1)結晶に存在し得る傾角粒界が、TEM又はX線回折のような当技術分野で公知の分析技術で傾角粒界を検出できないような小さな傾角又は無視できるレベルであること、或いは2)結晶に存在し得る傾角粒界が互いに広く(例えば、1mm以上)隔たっていることを意味する。この間隔は、一実施形態では2mm以上であり、別の実施形態では5mm以上である。
【0059】
GaN基板を形成するための一方法の一実施形態では、該方法は、原料窒化ガリウム、溶媒、鉱化剤、及び(一実施形態では)1以上のGaN種晶を用意することを含む。次に、原料窒化ガリウムを鉱化剤及び溶媒の1以上と混合して混合物を形成する。窒化ガリウム、溶媒及び鉱化剤は、任意には、独立した別個の非混合材料として個別にカプセルに供給することもできる。混合物は窒化ガリウムと鉱化剤及び溶媒の1以上とからなるものでもよく、任意には、ピルに圧縮成形することもできる。しかし、窒化ガリウム成長プロセスでは混合物の圧縮成形を行う必要はない。
【0060】
超臨界流体:
溶媒又は超臨界流体の例には、特に限定されないが、アンモニア、ヒドラジン、メチルアミン、エチレンジアミン、メラミン又は他の含窒素流体がある。
【0061】
原料
原料窒化ガリウムは、結晶性の悪い窒化ガリウム、結晶性の良い窒化ガリウム、無定形窒化ガリウム、多結晶質窒化ガリウム及びこれらの組合せの1種以上からなるものでよい。原料窒化ガリウムは、その原料形態のままで供給できる。別法として、原料窒化ガリウムをピルに圧縮成形することもでき、及び/又は多結晶質成形体に焼結することもできる。別法として、原料窒化ガリウムをその場で形成することもできる。ガリウム金属を供給すれば、それはカプセルの密封及び高圧高温での処理後にアンモニアと反応して原料窒化ガリウムを形成し得る。
【0062】
原料の例には、単結晶又は多結晶質GaNが含まれる。原料としての単結晶又は多結晶質GaNは、当技術分野で知られる任意の数の方法で成長させることができる。その他の形態の原料、例えば無定形GaN又はGa金属やGa化合物のようなGa前駆体も使用できる。一実施形態では、原料GaNは、さらに詳しく後述するようなチャンバー又はカプセルにおいて、原料が位置する原料領域を核生成中心が位置する結晶成長領域から隔てるバッフルの開口を通過しない程度に大きいサイズを有する1以上の粒子からなる。
【0063】
カプセルの結晶成長部分では、種晶がなくても容器壁の一部分のような核生成中心でGaN成長のための核生成を誘起することができ、或いは例えばサファイアのような非GaN種晶を用いて誘起することができる。しかし、プロセスの制御が容易になると共に、成長する結晶の品質が高くなるので、GaN種晶を供給することが好ましい。
【0064】
一実施形態では、種晶は直径が1mmより大きく、高品質であり、実質的に傾角粒界を含まず、約10cm−2未満の転位密度を有する。第二の実施形態では、種晶は約10cm−2未満の転位密度を有する。サファイア又はSiCのような非GaN基板上のエピタキシャルGaN層、HVPE、昇華又は金属・有機化学蒸着(MOCVD)で成長させた独立のGaNフィルム、或いは以前の作業において超臨界流体中で成長させた結晶を始めとして、各種タイプのGaN種晶を供給できる。さらに別の実施形態では、GaN種晶は約10cm−2未満の転位密度を有すると共に実質的に傾角粒界を含まず、その結果として同様に約10cm−2未満の転位密度を有すると共に実質的に傾角粒界を含まないGaN結晶が得られる。
【0065】
1以上の傾角粒界を含むGaN種晶を使用することは、傾角粒界を有する大面積の種晶を製造するための簡便な方法であることが知られている。しかし、ヘテロエピタキシーはモザイク構造を生じると共に、ヘテロエピタキシャルフィルムの厚さが(例えば、1mmを超えて)増加するのに伴い、厚いフィルム中における傾角粒界の存在はますます明らかとなる。
【0066】
本発明では、意外にも、約10〜10cm−2の転位密度及び傾角粒界を有する種晶から、約10cm−2未満の転位密度を有すると共に実質的に傾角粒界を含まないGaN結晶を成長できることが見出された。本発明者らは、溶媒充填量、鉱化剤濃度、温度及び温度勾配を最適化することで、種晶上への成長がc方向(即ち、c軸に沿った(0001)及び(00011 ̄))及びc方向に垂直な方向(例えば、(11 ̄00)及び(112 ̄0)方向)の両方で起こること、並びにc方向に成長するバルクGaN中の転位密度が顕著に低下することを見出した。
【0067】
成長はすべての露出したGaN表面上に起こるので、種晶は任意の結晶方位を有し得る。成長した結晶は、主として末端に(0001)、(0001 ̄)及び(11 ̄00)ファセットを有するのが通例であり、これらの方位のすべてが種晶表面として好適である。一実施形態では、(112 ̄0)表面が好適な種晶表面方位として使用される。
【0068】
一実施形態では、貫通転位を含むc方位の種晶上に成長したバルクGaN中における貫通転位の発生を示す略図である図30に示されるように、約10cm−2の転位を含むc方位の種晶の上方に厚さ300〜800μmの層を成長させると、種晶上方の領域には約1〜3×10cm−2の転位を有するGaN結晶が得られる。しかし、c方位の種晶に対して横方向に成長したバルクGaNは10cm−2より少ない転位を有する。一実施形態では、成長したバルクGaNは10cm−2より少ない転位を有し、さらに別の実施形態では、図30に示すように100cm−2より少ない転位を有する。c方位の種晶中に存在する傾角粒界は、c方向への成長中に伝搬する。その結果、傾角粒界を含むc方位の種晶上に成長したバルクGaN中における傾角粒界の発生を示す略図である図31に示されるように、種晶の上方に成長したバルクGaN中の結晶構造は種晶中のものと同様になる。しかし、横方向に成長したバルクGaN中では傾角粒界が外方に放散するため、図31に示されるように、結晶が大きくなるのに伴って傾角粒界を含まないドメインが次第に大きくなる。
【0069】
X線回折、X線トポグラフィー又は単純な光反射のような、当技術分野で公知の方法で傾角粒界の位置を決定でき、傾角粒界を完全に又は実質的に含まない側方に成長したGaNから新しい種晶を切り出すことができる。この新しい種晶から成長したバルクGaNは、意外にも実質的に傾角粒界を含まず、一実施形態では10cm−2未満の転位密度を有し、他の実施形態では10cm−2未満の転位密度、さらには100cm−2未満の転位を有することが判明している。
【0070】
鉱化剤
鉱化剤には、(i)LiN、Mg及びCaのようなアルカリ金属窒化物及びアルカリ土類金属窒化物、(ii)LiNH、NaNH及びKNHのようなアミド、(iii)尿素及び関連化合物、(iv)NHF及びNHClのようなアンモニウム塩、(v)CeCl、NaCl、LiS又はKNOのような希土類、ハロゲン化物、硫化物又は硝酸塩、(vi)NaNのようなアジ化物塩、(vii)他のLi塩、(viii)上述のものの組合せ、並びに(ix)上述のものの1種以上とGa及び/又はGaNとの化学反応で生成される化合物の1種以上を含むものがある。
【0071】
鉱化剤は、固体として、又は溶媒のような流体中に溶解した添加剤として供給できる。アルカリ土類又は希土類鉱化剤の使用は、成長媒質中の外来酸素に対するゲッターとして作用し、低いn型キャリヤー密度を有する非ドープGaN結晶の成長を可能にするという追加の利点を有する。
【0072】
別法として、鉱化剤はその場で生成させることもできる。リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム又は希土類金属の1種以上を供給すれば、それがアンモニア溶媒と反応して鉱化剤を生成し得る。
【0073】
低酸素不純物レベル
本発明の一実施形態では、原材料(原料窒化ガリウム、鉱化剤及び溶媒)中の不純物レベルを制御することで、成長結晶中の不純物を適当な低いレベルに限定された状態に保つことができる。第二の実施形態では、原材料及びカプセル中の総酸素含有量を(最終結晶の重量に対して表して)15ppm未満に保つことで、成長結晶中に10cm−3未満の酸素濃度が達成される。別の実施形態では、総酸素含有量を適当なレベルより低く保つことで、3×1018cm−3未満の不純物レベルが得られる。さらに別の実施形態では、原材料及びカプセル中の総酸素含有量を1.5ppm未満に保つことで3×1017cm−3のレベルが達成できる。
【0074】
任意ドーパント源
一実施形態では、n型、半絶縁性、p型、磁性又は発光性のGaN結晶を得るため、プロセスにドーパント源が添加される。さもなければ、酸素又は炭素のような外来不純物は結晶をn型にするのが普通である。O、Si又はGe(n型)及びBe、Mg又はZn(p型)のようなドーパントは、原料GaN中に不純物として添加できる。別法として、ドーパントは、Si、Si、SiCl、BeF、Mg、MgF、Zn、ZnF又はZnのような金属、塩又は無機化合物として添加できる。約1015〜1016cm−3未満の総不純物濃度を有するGaN結晶は半絶縁性である。しかし、通例は外来不純物の濃度は1016cm−3より高く、結晶はn型である。
【0075】
半絶縁性GaN結晶は、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnの1種以上によるドーピングで得られる。Feドーピングによる(本発明より低品質の)半絶縁性GaNの合成は、先行技術で知られている。しかし、本発明者らは意外にも、Coによるドーピングが本発明方法で成長させたGaNを半絶縁性にすることを見出した。磁性GaN結晶は、Mnのような特定の遷移金属によるドーピングで得られる。発光性GaN結晶は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Hf、Pr、Eu、Er又はTmのような特定の遷移金属又は希土類金属によるドーピングで得られる。遷移金属ドーパントは、単独で或いはO、Si、Mg、Zn、C又はHのような1種以上の追加ドーパントと共に、原料GaN中に不純物として添加でき、或いはFe、Co、CoF、CrN又はEuFのような金属、塩又は無機化合物として添加できる。一実施形態では、ドーパントは原料GaN中に約1015〜約1021cm−3の範囲内の濃度で存在する。
【0076】
次に、(圧縮成形された混合物又は圧縮成形されない混合物としての)原料窒化ガリウム、溶媒及び鉱化剤と(一実施形態では)1以上のGaN種晶とをカプセル内に配置する。任意には、追加の鉱化剤もカプセルに添加し得る。
【0077】
次に、後述されるカプセルに含窒素溶媒を充填することができる。かかる溶媒は、例えば、アンモニア又はヒドラジン或いは有機溶媒(特に限定されないが、メチルアミン、メラミン又はエチレンジアミンを含む)及びこれらの混合物の1種以上からなる。カプセルは、窒化ガリウム形成プロセスで望ましくない空気又は水が入らないように充填して密封する。
【0078】
空気又は水が入らないようにカプセルを充填するには、カプセルを充填してから負圧源(例えば、真空マニホルド)に連結し、排気する。次いで、カプセルを室温未満の温度(好ましくは約−72℃以下)に冷却した後、マニホルドに気相溶媒を導入することができる。すると、気相溶媒はカプセル内に凝縮する。例えば、含窒素溶媒がアンモニアからなる場合、凝縮はドライアイス又は液体窒素の温度で起こる。次いで、負圧源への弁を閉鎖することで、カプセルを密封のために隔離することができる。次いで、当技術分野で公知の冷間圧接装置を用いたピンチオフ段階により、カプセルをマニホルド又は弁のいずれかから分離できる。ピンチオフ段階は、カプセルが銅である場合に特に有効である。シールの完全性は、任意のアーク溶接で高めることができる。
【0079】
カプセルを密封した後、それを圧力セル内に配置し、適当な高圧高温(HPHT)装置内で高圧及び高温条件に暴露する。HPHT条件は、原料窒化ガリウムの実質的な部分を溶解し、1以上の窒化ガリウム結晶、窒化ガリウムボウル又は窒化ガリウム種晶の上に再析出させるのに十分な時間にわたって維持される。
【0080】
一実施形態では、圧力は約5kbarを超えて約80kbarまでの範囲内にある。別の実施形態では、窒化ガリウム結晶成長プロセスのための温度は約550〜約3000℃の範囲内にある。次いで、HPHT装置を放冷し、高圧を解放する。
【0081】
高品質単結晶を形成する方法の例
本発明の一実施形態では、多孔質のバッフルで2以上の領域に分割された圧力容器又はカプセル内に原料物質及び1以上の種晶(使用する場合)を配置する。例示的なカプセルは、“HighTemperature HighPressure Capsule for Processing Materials in SupercriticalFluids”と題する米国特許出願第US2003/0141301A1号(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に記載されている。
【0082】
図21は、本発明の方法で使用できる例示的なカプセル100を示している。カプセル100は、カプセル100のチャンバー104を包囲するように密封できる壁体102を含んでいる。チャンバーは、多孔質のバッフル100で隔てられた第一の領域108及び第二の領域106に分割されている。結晶成長中、カプセル100は種晶120又は他の核生成中心及び原料物質124をバッフル110で互いに隔てられた状態で収容している。原料物質124及び種晶120は、例えば、それぞれ第二の領域106及び第一の領域108内に配置できる。カプセル100は溶媒130も収容している。後述の成長プロセスでは、成長結晶132は種晶120上に成長し、溶媒は超臨界状態にある。バッフル110は、例えば複数の穴を有する板、又は金属織物からなるものがある。バッフル110の開放面積率は1〜50%、好ましくは約5〜約40%である。原料物質124から種晶120又は成長結晶132への補給物の輸送は、超臨界流体としての溶媒中では、カプセル100の低温部分が高温部分の上方にある結果として自己対流が流体を撹拌する場合に最適化される。多くの溶媒中では、GaNの溶解度は温度と共に増加する。このような場合には、原料物質124をカプセルの下部の高温部分に配置し、種晶120をカプセルの上部の低温部分に配置すべきである。
【0083】
一実施形態では、壁体102又は他の材料からの干渉を最小限にしてあらゆる方向への結晶成長を可能にするため、種晶に設けた穴を通したワイヤー(150)で種晶120を吊り下げる。穴あけは、例えば、レーザー、ダイヤモンド又は研磨材ドリル、或いは超音波ドリルで行うことができる。別法として、種晶の一端にワイヤーを巻き付けることで種晶120を吊り下げることもできる。
【0084】
しかし、若干の溶媒に関しては、GaNの溶解度は温度と共に減少する。このような場合には、種晶120をカプセルの下部の高温部分に配置し、原料物質124をカプセルの上部の低温部分に配置すればよい。一実施形態では、原料物質124をバッフル110に直接接触させるのでなく、バッフル110から離れた多孔質バスケット140内に配置する。その理由は、前者の構成はバッフル110を通しての流体及び補給物の輸送を妨げることがあるからである。
【0085】
一実施形態では、溶媒中でのGaNの溶解度を増加させるため、原料物質と共に又は別途に鉱化剤をカプセル100に添加することもできる。
【0086】
カプセル100には、溶媒130(即ち、処理条件下では超臨界流体)が充填される。一実施形態では、超臨界流体溶媒130としてアンモニアが使用される。カプセル内の自由容積(即ち、原料物質、種晶及びバッフルで占拠されていない容積)のうち、25〜100%が溶媒130で満たされ、カプセル100が密封される。別の実施形態では、カプセルの約70〜約95%が超臨界流体溶媒で満たされる。
【0087】
さらに別の実施形態では、超臨界流体溶媒130としてアンモニアが使用され、鉱化剤としてフッ化アンモニウム(NHF)が使用される。この組合せは、特にカプセルが銀製である場合、カプセルに対して過度の腐食性を示さずにGaNの溶解度が比較的高いという利点をもたらす。この場合、GaNの実効溶解度は温度と共に減少する。理論によって拘束されることは望まないが、本発明者らは、GaNが鉱化剤及び溶媒との化学反応を受けて、ガリウム、フッ化物イオン、アンモニウムイオン及びアンモニアからなる錯体を生成し、これが超臨界アンモニアに可溶であると考えている。錯体の生成は可逆的であって、生成のための平衡定数は温度と共に減少するので、遊離GaNの生成は高温ほど有利であり、GaNの実効溶解度は温度と共に増加する。このような化学組成を用いて結晶成長作業を終了した後には、通例、カプセルは白色の針状結晶で満たされることがわかる。X線回折分析によれば、かかる結晶はGaF(NH及び(NHGaFからなり、これらの構造は文献からわかる。
【0088】
カプセルを充填して密封するための方法の一実施形態では、まずカプセル100を溶媒130が液体又は固体になる温度に冷却する。カプセル100が十分に冷却された後、溶媒源をカプセル100の開放チャンバーと流通する状態にし、この時点では開放されているチャンバー内に溶媒を凝縮又は注入で導入する。開放チャンバー内に所望量の溶媒130を導入した後、チャンバーを密封する。チャンバーは、例えば、壁体102の一部をつまみ又はつぶして圧接部を形成することで密封できる。
【0089】
密封したカプセルを、約550〜約3000℃、好ましくは約550〜約1200℃の温度、及び約5〜約80kbar、好ましくは約5〜約20kbarの圧力を生み出すことができる容器内に配置する。
【0090】
例示的な圧力容器は、2002年1月31日出願の“ImprovedPressure Vessel”と題する米国特許第09/683658号(D’Evelyn他)(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に記載されている。本発明の一つの例示的な圧力容器はゼロストローク型装置49である。これは、ゼロストローク型装置49について図22に示される通り、操作員がセル内の平均温度及びセルを横切る温度勾配の両方を独立に制御することを可能にする。
【0091】
この圧力容器49では、上方の鋼製末端キャップ17は環状パイロフィライトブッシュ51で包囲されている。下方の鋼製末端キャップ31は環状パイロフィライトブッシュ33で包囲されている。ブッシュ51は、環状パイロフィライトブッシュ33と共に、アンビル37及び41をダイ15から電気的に絶縁している。ヒーター又は発熱体16の頂部と底部とのほぼ中間に導電性環状体53が挿入され、反応セルを上部セクション及び下部セクションに分割している。発熱体16は、加熱管、或いは加熱箔、リボン、バー、ワイヤー又はリング、或いはこれらの組合せの形態を有し得る。発熱体16は、黒鉛箔、黒鉛、ニクロム、ニオブ、チタン、タンタル、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、レニウム、ハフニウム、白金、炭化ケイ素及びこれらの組合せの1種以上からなるものでよい。一実施形態では、発熱体16は温度勾配を与えるためにその長さに沿って不均一な抵抗率を有し得る。不均一な抵抗率は、例えば、厚さの不均一な発熱体16を設けること、1以上の発熱体の特定の位置に穴をあけること、又は1以上の発熱体16の長さに沿った特定の位置に抵抗率の異なる2種以上の材料の積層物を含む1以上の発熱体16を設けることで与え得る。
【0092】
環状体53は、その内径に沿って発熱体16と接触し、その外径に沿ってダイ15と接触する。環状体53は、例えば、GRAFOIL(登録商標)黒鉛箔、黒鉛、ニクロム合金(Ni60%、Fe25%、Cr15%)、ニオブ、チタン、タンタル、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、ジルコニウム、モリブデン、タングステン、レニウム、ハフニウム、白金、炭化ケイ素並びにこれらの合金及び組合せの1種以上から形成し得る。
【0093】
主ヒーター電力はアンビル37及び41の間に供給され、差動ヒーター電力はダイ15とアンビル37又はアンビル41の間に供給される。別法として、一つのヒーター回路をダイ15とアンビル37の間に設け、第二の回路をダイ15とアンビル41の間に設けることができる。セル内の二つの位置(例えば、試料の頂部及び底部)での温度を監視又は制御するため、温度センサー55及び57がセル部品を通して所望の位置に挿入される。本発明の一実施形態では、温度センサーは熱電対、サーミスター、光高温計に結合された光ファイバー、又はこれらの任意の組合せの形態を有する。
【0094】
セル又はカプセル100は、1atm(約1bar)と約80kbarとの間まで自己加圧可能である。一実施形態では、カプセル100は約5〜約80kbarまで加圧可能である。カプセル100は、通例、特に限定されないが銅、銀、金、白金、ステンレス鋼などの可鍛性金属から形成される。別の実施形態では、カプセル100は低い水素透過性を有し、超臨界流体及びカプセル100内で処理すべき材料に対して化学的に不活性である。軽微な改造により、本発明のゼロストローク装置の上記実施形態を、本発明のGaN結晶を成長させるためのベルト装置、ピストン−シリンダー装置、マルチアンビルプレス装置又は分割球装置に適用することができる。
【0095】
カプセル100を、約1〜約1000℃/時の平均速度で約550〜1200℃の成長温度に加熱する。圧力容器48に関して上述したように、セル内でのカプセルの非対称的配置、非対称的加熱などのため、カプセル内には温度勾配が存在し得る。この温度勾配は、加熱シーケンス全体を通じて過飽和を生み出す効果を有し、これが自発核生成を促進することを本発明者らは見出した。
【0096】
本発明の一実施形態では、成長温度での温度勾配は、最初は小さく、約25℃未満に保たれる。別の実施形態では、平衡段階で系を平衡させるため、約1分〜2時間の期間にわたって約10℃未満に保たれる。本発明で使用する温度勾配は、例えば制御用熱電対を配置したカプセル100の端部における温度の差である。原料物質の位置に対する種晶又は核生成中心の位置での温度勾配は、やや小さくなる可能性がある。
【0097】
任意には、平衡段階での温度勾配は、核生成中心で結晶成長が起こる温度勾配とは符号が反対になるように(即ち、核生成中心ではエッチングが起こり、原料物質上では成長が起こるように)設定される。これは、核生成中心が供給されるカプセル領域内で、加熱中に生成した可能性のある自発核生成結晶をエッチングで除去するためである。換言すれば、正の温度勾配で結晶成長が起こる場合には、温度勾配は負に設定され、その逆も同様である。
【0098】
平衡期間の後、温度勾配を増大させると共に、大きい速度で種晶上に成長が起こるような符号に設定する成長期間を設けることができる。例えば、温度勾配を約0.01〜25℃/時の速度で、成長が速くなる大きい値まで増大させることができる。結晶成長段階では、温度勾配を5〜300℃の値に保つことができると共に、成長中に上下に調整することもできる。任意には、温度勾配を種晶上に成長が起こる符号とは反対の符号を有するように変化させることができる。自発的に生成する核を交互にエッチングで除去し、1以上の核生成中心又は種晶上での成長を促進するため、勾配の符号をさらに1回以上逆転することができる。HPHT条件は、原料窒化ガリウムの実質的な部分を溶解し、それを1以上の窒化ガリウム結晶、窒化ガリウムボウル又は窒化ガリウム種晶上に析出させるのに十分な時間にわたって維持される。
【0099】
成長期間の終了後、成長結晶に対する熱衝撃を最小限に抑えるため、カプセル100の温度を約1〜1000℃/時、好ましくは約1〜300℃/時の速度で低下させればよい。カプセル及び圧力媒質を含むセルを圧力容器48から取り出し、カプセル100をセルから取り出す。
【0100】
カプセル100内の溶媒は、カプセルを冷却して溶媒の蒸気圧を1bar未満に低下させ、カプセル100に穴をあけ、それを温めて溶媒を蒸発させることで簡便に取り出すことができる。カプセルを切り開き、成長結晶を取り出す。結晶は、例えば、水、アルコール又は他の有機溶剤、及び鉱酸の1種以上のような適当な洗浄液で洗浄して鉱化剤を除去することができる。窒化ガリウム結晶を洗浄するための鉱酸には、特に限定されないが、塩酸(HCl)及び硝酸(HNO)がある。
【0101】
本発明者らは意外にも、HF、NHF、GaF、これらとGa、GaN又はNHとの反応生成物、或いはこれら同士の反応生成物の1種以上を選択し、NH中で0.5〜90原子%のフッ化物濃度、600〜1000℃の成長温度、及び10〜75℃の温度勾配で使用すれば、5μm/時以上のGaN成長速度を達成し得ることを見出した。本発明の一実施形態では、成長速度は10μm/時以上である。別の実施形態では、成長速度は20μm/時以上である。さらに第四の実施形態では、成長速度は50μm/時を超える。
【0102】
GaN単結晶基板を形成するための方法に関する以上の説明は例示的なものにすぎず、限定的な意味に解すべきでない。単結晶を形成するための他の方法は当業者には自明であろうが、本発明の技術的範囲内に含まれるものとする。
【0103】
結晶の特性決定方法
結晶は、当技術分野で公知の標準的な方法で特性決定できる。単結晶の品質は、GaNに関する室温でのバンドエッジで起こるフォトルミネセンスのような特性決定技術で表すことができる。
【0104】
転位密度を決定するには、陰極ルミネセンス(CL)及びエッチピット密度が簡便に利用できる。CLイメージングは転位密度の非破壊的測定方法を提供すると共に、試料の調製を必要としない。転位はGaN中の非放射性再結合中心であり、したがってCL中に暗点となって現われる。CL画像中の暗点の濃度を測定するだけで、転位密度を決定できる。
【0105】
ある意味ではさらに決定的となる第二の簡便な方法は、エッチピット密度である。例えば、かかるエッチ方法の一つは、T.Hinoet al.,Appl.Phys.Lett.76,3421(2000)(その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に記載されているような気相HCLエッチである。
【0106】
本発明者らは、HVPEで成長させた市販のGaN試料を用いてこれらの方法の両方を試験した。1〜2×10cm−2の転位密度(暗点密度又はエッチピット密度)が得られ、同様な材料に関して供給者及び他の研究者から報告された値と優れた一致を示した。
【0107】
別の実施形態では、転位密度は当技術分野で公知のように透過電子顕微鏡検査(TEM)で決定される。
【0108】
成長したGaNの吸光性及び発光性は、当技術分野で公知のように、吸光分光法、散乱分光法及びフォトルミネセンス分光法で決定できる。電気的性質は、Vander Pauw Hall効果測定、水銀プローブCV及びホットプローブ技術で決定できる。
【0109】
形成された結晶の加工
結晶をさらに加工し、1以上のウェーハにスライスし、ラッピングを施し、研磨し、化学的に研磨することができる。ウェーハ又は基板は、好ましくは約0.01〜10mmの厚さを有し、最も好ましくは約0.05〜5mmの厚さを有する。この単結晶窒化ガリウム結晶及びそれから形成されたウェーハは、電子デバイス及び光電子デバイス用の基板として有用である。
【0110】
切削後、基板は当技術分野で公知の機械的研磨技術を用いて鏡面仕上に研磨される。研磨操作後にも表面下の損傷が残留する場合には、化学的支援イオンビームエッチング、反応性イオンエッチング又は化学機械的研磨を始めとして、当技術分野で公知のいくつかの方法で損傷を除去できる。残留損傷は、約10−8mbar〜20000barの分圧の窒素含有雰囲気(例えば、N又はアンモニア)中においてウェーハを約700〜1500℃の温度に加熱することでも除去できる。
【0111】
結晶は、当技術分野で公知の方法で1以上のウェーハにスライスできる。GaN結晶又はウェーハは、エピタキシャルAlInGa1−x−yNフィルム(式中、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦x+y≦1)、発光ダイオード、レーザーダイオード、光検出器、アバランシフォトダイオード、トランジスター、ダイオード並びに他の光電子デバイス及び電子デバイス用の基板として有用である。
【0112】
本発明の方法で形成された結晶の特性
上述の実施形態は、温度勾配を結晶成長中の温度勾配に対して実質的に低下させ、さらにはゼロ又は負に設定する平衡期間を温度プログラム中に含めると共に、成長チャンバー内に種晶を吊り下げることで、核生成制御の向上をもたらす。改良された結晶成長方法は高品質で大面積のGaN結晶を与え、この結晶は複数の成長中心の合体で形成されるのではなく単一の種晶に由来する真の単結晶であり、結晶粒界、傾角粒界などが実質的に存在せず、酸素不純物レベルは1019cm−3未満である。
【0113】
本発明の方法の一実施形態では、大きい窒化ガリウム単結晶が得られ、例えば、約0.02〜約12インチ(約0.05〜約30cm)の範囲内の直径及び厚さを有するGaN単結晶が得られる。別の実施形態では、約2〜約6インチの範囲内のサイズを有する。
【0114】
さらに別の実施形態では、形成されたGaN単結晶は実質的に透明であり、100cm−1未満の吸収係数を有する。別の実施形態では、基板は約100cm/V−sを超えるキャリヤー移動度及び非ドープのGaNホモエピタキシャル層について約0.005%未満のひずみを有する。
【0115】
上述の方法で形成されたGaN単結晶は、エッチピット密度測定、フォトルミネセンス及び吸光技術を用いて特性決定できる。一実施形態では、形成されたGaN結晶は10/cm未満の貫通転位を含んでいる。一実施形態では、形成されたGaN結晶は10/cm未満の転位を含んでいる。別の実施形態では、形成された単結晶は、100cm−2未満の転位密度、300°Kの結晶温度で約3.38〜約3.41eVの光子エネルギーにピークを示すフォトルミネセンススペクトル、及び700nm(赤色)〜465nm(青色)の波長について5cm−1未満の吸光係数で特性づけられる。
【0116】
上述の方法で形成されたGaN単結晶は、赤外透過分光法及びラマン分光法でも特性決定できる。他の方法で成長させたGaN結晶とは対照的に、一実施形態で成長させたGaNは3050〜3300cm−1の範囲内にいくつかの鋭い吸収ピークを有し、3175cm−1付近で最大吸収を示す。結晶を高純度窒素中において750℃で30分間アニールし、赤外スペクトルを再測定する。3050〜3300cm−1の範囲内の吸収ピークは本質的に変化しないことがわかり、吸収ピークの原因となる化学種の高い安定性を示している。VGa〜VGaに関する3100〜3470cm−1の振動周波数の予測(これは実際の周波数を約200cm−1だけ過大評価することがある)並びに水素注入GaNにおける3020〜3050cm−1及び3140cm−1での赤外吸収ピークの観察[M.G.Weinsteinet al.,Appl.Phys.Lett.72,1703(1998)]に基づけば、この実施形態の試料における3150〜3200cm−1の吸収ピークはVGa及びVGaに対応し、本発明の結晶及び水素注入GaNの両方で3000〜3150cm−1に観察される吸収ピークはVGa及びVGaに対応し、他の小ピークは他の不純物又は欠陥の存在に関連し得ると考えられる。かくして、本発明で成長させたGaN結晶における3175cm−1付近の赤外吸収ピークの存在はガリウム空格子点のパッシベーションを表し、高温アニール後の赤外ピークの存続はこのパッシベーションが極めて安定であることを表している。GaN結晶中における水素化ガリウム空格子点の濃度に応じ、3175cm−1ピークの単位厚さ当たりの吸光度は約0.01〜200cm−1の範囲内にある。
【0117】
本発明の方法で成長させたGaN結晶の別の実施形態では、ラマン分光法により、点欠陥のパッシベーションを示す追加の証拠を得ることができる。一例では、400〜800cm−1の範囲内の二つの図形中に全部で五つのピークが観察される。これらのピークは、530cm−1[A(TO)]、558cm−1[E(TO)]、569cm−1[E(high)]、734cm−1[A(LO)]及び742cm−1[E(LO)]に観察される(角カッコ内に帰属を示す)。これらの値はすべて、文献中に報告された純GaNに関する公認値から数cm−1の範囲内にある。加えて、フォノン−プラズモン結合に伴う幅広いピークは観察されない。非シフトLOモードの観察及びフォノン−プラズモンモードの不存在は、1016〜1020cm−3のキャリヤー濃度を有するGaNについて文献中に報告されたラマン測定値に基づけば、1017cm−1未満のキャリヤー濃度を表している。この結晶中での全不純物濃度は1019cm−3を超える。不純物濃度に比べてキャリヤー濃度が劇的に低下したことは、恐らくは水素に原因する高度の補償を表している。
【0118】
取り込まれた水素は良性であり、恐らくはむしろ有益であると考えられる。典型的な窒化ガリウム結晶成長方法は、成長系中に水素が存在していても、水素化によるガリウム空格子点のパッシベーションをもたらさない。例えば、水素化物気相エピタキシー(HVPE)で成長させた厚さ300〜400mmのGaN試料に関する赤外透過分光法は、別の欠陥に関連する2850cm−1及び2915cm−1付近の弱い吸収ピークを示したが、水素化Ga空格子点に帰属し得る3100〜3500cm−1の吸収ピークはHVPE窒化ガリウム材料で観察されなかった。
【0119】
可視スペクトルの範囲内では、窒化ガリウムボウルは通例は実質的な透明性を示す。公称的に非ドープの結晶に関する吸光係数は、一般に465〜700nmで5cm−1未満である。ドープ結晶は同様に低い吸収を示すが、高いキャリヤー濃度では多少の自由キャリヤー吸収が導入されることがある。その上、ドーパント、置換型又は侵入型不純物、空格子点複合体又は他の点欠陥が可視域内に高い吸収の狭いピークを導入することがある。しかし、かかる点欠陥に関係する狭い吸収ピークは、放出された光の裏面抽出のような目的のための可視域内では結晶の実質的な透明性を顕著に低下させないのが通例である。
【0120】
NHF、GaF、又はGa、GaN、NH及びHFの反応で得られる他の化合物を鉱化剤として用いて窒化ガリウムボウルを成長させる本発明の一実施形態では、窒化ガリウムは通例は約0.04ppmを超えるフッ素を含む。さらに別の実施形態では、約0.04〜1ppmのフッ素を含む。対照的に、フッ素を含まない鉱化剤を用いて成長させたGaN結晶は、通例は0.02ppm未満のフッ素を含む。取り込まれたフッ素は、グロー放電質量分析法、二次イオン質量分析法、融解−溶解に続く誘導結合プラズマ又はフッ素選択電極分析などで適宜に定量できる。取り込まれた水素の場合と同じく、取り込まれたフッ素は良性であり、恐らくはむしろ有益であると考えられる。分子又は固体中のフッ素に対する結合長は、通例は水素に対する対応した結合よりわずかに大きいだけなので、フッ素は欠陥のパッシベーションに関して同様な役割を演じ得る。
【0121】
一実施形態では、結晶を形成した後、上述の方法で形成したボウルからデバイス作製用の基板が切り出される。本発明の別の実施形態では、得られた基板は約0.01〜10mmの厚さを有し、最も好ましくは約0.05〜5mmの厚さを有する。
【0122】
本発明の一実施形態では、デバイス作製用のGaN基板は、約550℃を超える温度及び約5kbarを超える圧力で超臨界溶媒を用いて成長させたボウルから切り出された(0001)方位のGaNウェーハからなる。この基板は、実質的に傾角粒界を含まず、約10cm−2未満の転位密度を有することが判明している。別の実施形態では、基板はn型で実質的に透明であり、700nm(赤色)〜465nm(青色)の波長について5cm−1未満の吸光係数を有する。さらに別の実施形態では、基板は磁性を示し、別の実施形態では発光性を示す。別の実施形態では、基板は約0.01〜200cm−1の単位厚さ当たり吸光度を有する赤外吸収ピークを3175cm−1付近に有する。一実施形態では、結晶には、H、Be、C、O、Mg、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Hf又は希土類金属の1種以上が約1016〜約1021cm−3の濃度でドープされる。
【0123】
本発明の別の実施形態では、ウェーハはウルツ鉱型構造の材料である。一実施形態では、(0001)方位のGaNウェーハはGa末端の(0001)面及びN末端の(0001 ̄)面を有している。ウェーハは、特に限定されないが、無極性の(101 ̄0)及び(112 ̄0)方位並びに(0001)及び(0001 ̄)面に対して近接した(非整列)表面のような他の方位で製造することもできる。(0001)Ga面はLED及びLDデバイス構造を堆積させるために有用であるが、他の方位も有利である。例えば、無極性の(101 ̄0)及び(112 ̄0)方位の使用は、デバイス構造中における圧電電界の存在を回避する。
【0124】
さらに別の実施形態では、ウェーハは電気抵抗率約100Ω−cm未満のn型GaNからなる。別の実施形態では、n型GaNからなるウェーハは約100Ω−cm未満の電気抵抗率を有する。第三の実施形態では、電気抵抗率は約10Ω−cm未満である。第四の実施形態では、約1Ω−cm未満である。さらに別の実施形態では、ウェーハは電気抵抗率約100Ω−cm未満のp型GaNからなり、さらに別の実施形態では、ウェーハは電気抵抗率が約10Ω−cmを超える半絶縁性GaNからなる。
【0125】
一実施形態では、成長のために使用される方位は(0001)Gaである。別の実施形態では、ウェーハは約10cm−2未満の転位密度を有する。さらに別の実施形態では、約10cm−2未満であり、さらに別の実施形態では、約100cm−2未満である。さらに第五の実施形態では、形成された基板は約100cm/V−sを超えるキャリヤー移動度及び非ドープのGaNホモエピタキシャル層について約0.005%未満のひずみを有し得る。
【0126】
電子デバイスの作製
本明細書中で使用する電子デバイスとは、本発明のGaN結晶の特性(即ち、2mm以上の最大寸法、10cm−2未満の転位密度を有し、傾角粒界が実質的に存在せず、酸素不純物レベルが1019cm−3未満の酸素不純物レベル)を有する層スタックを含むと共に、デバイスを動作させるための電気エネルギー源に接続するための電気接点を含む任意のデバイスをいう。本発明の一実施形態では、電子デバイスは約100μm以上の横方向寸法を有する。別の実施形態では、電子デバイスは約1mm以上の横方向寸法を有する。別の実施形態では、約2mm以上である。さらに別の実施形態では、約5mm以上である。
【0127】
電子デバイスの例には、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、共鳴空洞発光ダイオード(RCLED)、縦型空洞表面放出レーザー(VCSEL)及び光検出器のような光電子デバイス、MESFET、MOSFET、MISFET、BJT、HBT、HEMT、電力用縦型MOSFET、電力用縦型JFET及びカスコードスイッチのような各種のトランジスター、並びにサイリスター、ショットキー整流器及びp−i−nダイオードがある。
【0128】
能動デバイス構造の一実施形態では、デバイスは、周期表の第III族及び/又は第V族の1種以上の元素の半導体窒化物フィルムを本発明のGaN結晶上に堆積させる分子ビームエピタキシー(MBE)又は金属・有機気相エピタキシー(MOVPE)(OMVPE又はMOCVDとしても知られる)で作製できる。これらの堆積方法は当技術分野で公知である。一実施形態では、ウェーハ又は基板を成長反応器内に配置し、次いでそれを排気する。10−6mbar〜1barの分圧でアンモニアを含有する雰囲気中でウェーハを約900〜1200℃の温度に加熱することで、残留表面欠陥をアニールし、又は外来夾雑物を除去する。
【0129】
一実施形態では、デバイス構造は複数のGaNを基材とする半導体層のホモエピタキシャル堆積で形成される。即ち、1以上のGaNを基材とする半導体層が基板上に形成される。構造中の各層は、Ga、Al、In及びSiのような原子種の凝縮、又は基板表面上における窒素含有雰囲気中の有機金属前駆体の分解で形成される。一例では、窒素含有雰囲気は窒素、アンモニア又はヒドラジンを含み、基板表面との接触前に部分的又は完全に分解できる。H又はHeのようなキャリヤーガスを使用できる。別の例では、有機金属前駆体を使用できる。MOVPE用の前駆体には、特に限定されないが、トリメチルガリウムGa(CH、トリメチルアルミニウムAl(CH及びトリメチルインジウムIn(CHがある。好適なドーパント前駆体(層をドープする場合)には、特に限定されないが、n型材料用としてシラン(SiH)があり、p型材料用としてビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(Mg(c−C)及びジメチル亜鉛(Zn(CH)がある。残留表面損傷を低減させるためのアニール段階の後、電子デバイス構造の追加の層が形成される。
【0130】
本発明のデバイス実施形態の例
本発明の若干のデバイス実施形態の例を図1〜17に示す。これらは、(i)単結晶GaN基板、(ii)1以上のエピタキシャルGaNを基材とする層、及び(iii)2以上の電気接点を含んでなる。図18及び19はホモエピタキシャルLEDを示している。図20はホモエピタキシャルLDを示している。図26〜28はホモエピタキシャルフォトダイオードを示している。
【0131】
図1〜3に関しては、これらは一実施形態に係るHEMTデバイスを示している。図1はHEMTの第一の実施形態を示している。上述のアニール段階の後、基板10上にバッファー層12が形成される。本発明では、バッファー層はGaNデバイス技術でしばしば記載される「バッファー層」(即ち、サファイア又はSiCのような非GaN基板とエピタキシャルGaN層との間で遷移層又は核生成層として作用する結晶状態の不良な層)と異なる意味を有する。バッファー層12は、例えば、AlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)でもよい。一実施形態では、バッファー層12は非ドープGaNからなる。バッファー層12は、約300nm〜20μmの厚さを有し得る。別の実施形態では、1〜3μmである。
【0132】
図1(及び後述の図2の)実施形態では、バッファー層12は二次元電子ガス(2DEG)を含み、チャネル層として作用する。バッファー層12中のキャリヤー濃度は、一実施形態では5×1016cm−3未満であり、別の実施形態では1015cm−3未満である。任意には、基板10自体の最も外側の部分を2DEG領域として利用することもできる。バッファー層12を形成した後、バッファー層12上にバリヤー層14が形成される。バリヤー層14はバッファー層12より広いバンドギャップを有している。バリヤー層14は、AlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)、例えばAlInGa1−x−yN(式中、x≒0.2〜0.3)からなるものとし得る。AlInGa1−x−yNバリヤー層(式中、y≒0.22x)中にInを導入すれば、バンドギャップが大きいにもかかわらず、バリヤー層14をGaNバッファー層12に対して近似的に格子整合させることができる。バリヤー層は、二つのサブバリヤー層14a及び14bからなっていてもよい。例えば、サブバリヤー層14bはバッファー層12a上に形成され、AlNであってもよく、サブバリヤー層14aはサブバリヤー層14b上に形成され、AlGaNであってもよい。サブバリヤー層14bはサブバリヤー層14aより高いバンドギャップ層であり、例えば約0.6〜1.5nmの厚さを有し得る。
【0133】
バリヤー層14は、一実施形態では5〜50nmの厚さを有し得ると共に、さらに別の実施形態では15〜25nmの厚さを有し得る。デバイスの上面にソース接点20、ドレイン接点22及びゲート接点24が形成される。ソース接点20及びドレイン接点22はデバイスの両側にオーム接点として堆積され、ソース及びドレイン領域を形成する。ソース接点20及びドレイン接点22用として好適な組成物には、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au及びTi/Al/Pt/Auスタックがあり、スタック中の各層は約10〜約500nmの厚さを有する。一実施形態では、第一のTi層は約10〜30nmの厚さを有し、Al層は約30〜300nmの厚さを有し、最も外側の層は約30〜70nmの厚さを有する。堆積は、例えば、電子ビーム蒸着、熱蒸着又は他の技術で達成できる。
【0134】
ソース接点20及びドレイン接点22は、例えば、約50〜1000μmの長さを有し得る。ソース接点20及びドレイン接点22の幅は約20〜200μmとし得る。一実施形態では、幅は約40〜100μmである。ソース接点20とドレイン接点22との離間距離は約0.2〜約10μmとし得る。一実施形態では、離間距離は0.5〜2μmである。
【0135】
ソース接点20及びドレイン接点22の堆積後、構造は約500〜950℃の温度でアニールされる。一実施形態では、オーム接触を達成するため、アニール温度は約750〜870℃である。
【0136】
ゲート接点24は、バリヤー層14上のソース接点とドレイン接点の間にショットキーゲートとして堆積される。ゲート接点の長さは、一実施形態では約20〜1000μmであり、第二の実施形態では約50〜500μmであり、幅は第三の実施形態では約50nm〜1μmである。ゲート接点24用として好適な組成物には、Ni/Au及びPt/Auスタックがあり、スタックの第一の層は約20〜200nmの厚さを有し、Au層は約100〜1000nmの厚さを有する。堆積は、やはり電子ビーム蒸着、熱蒸着又は他の技術で達成できる。ショットキー整流を保持するため、構造はアニールされない。
【0137】
図2のHEMTは図1のものに類似している。しかし、図2のHEMTは、ソース接点20及びドレイン接点22とバリヤー層14の間に形成された接触層18と、バリヤー層14を露出させるため接触層18中に形成された溝とを含んでおり、ゲート接点24はバリヤー層14上に形成されている。接触層18は、n型ドープAlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)からなるものでもよく、例えばキャリヤー濃度が約2×1018cm−3を超えるn型GaNとし得る。接触層18は、例えば10〜200nmの厚さを有し得る。接触層18は、Al濃度が低いのでバリヤー層14よりも酸化を受けにくく、さらに信頼度の高いオーム接触を形成する。
【0138】
図3のHEMTは図1のものに類似している。しかし、図3のHEMTは、バッファー層12とバリヤー層14の間に形成されたチャネル層28を含んでいる。チャネル層28は、バッファー層12より狭いバンドギャップを有しており、2DEGを含んでいる。チャネル層28は、AlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)からなるものでよく、InGa1−xN(式中、x≒0.05〜0.15)とし得る。チャネル層28は、3〜20nm、さらに好ましくは5〜10nmの厚さを有し得る。
【0139】
図4は、デバイスがMESFETである実施形態を示している。MESFETデバイスは本質的にHEMTの簡略形であって、半導体構造全体にわたってGaNが使用され、バリヤー層は存在しない。GaN基板10上にGaNチャネル層30が形成される。ソース接点20、ドレイン接点22及びゲート接点24は、図1に関して記載したものと同様に形成できる。任意には、図2に示したものに類似した接触層(図示せず)により、又はさらに簡単にはソース接点20及びドレイン接点22の直下の領域にSiのようなn型ドーパントをイオン注入することにより、オーム接触は向上する。MESFETはHEMTに比べてやや劣った性能を有し得るが、作製するのが簡単で安価である。
【0140】
図5に示す別の実施形態では、デバイスはMOSFET又はMISFETである。MOSFET/MISFETは、ゲート接点24が絶縁層32(MOSFETについては酸化物、MISFETについては絶縁誘電体)でチャネル層30から隔てられている点を除けば、図4の実施形態のMESFETに構造が類似している。酸化物層又は絶縁体層の存在が高電流及び/又は高温での動作中にGaN層を酸化から保護するので、MOSFET/MISFETは電力用電子工学用途のために特に適している。MOSFETにおける絶縁層32の酸化物用として好適な組成物には、SiO、Sc、MgO、Ga及びR(式中、RはGdのような希土類元素である。)の1種以上がある。
【0141】
MISFETにおける絶縁誘電体絶縁層32用として好適な組成物には、AlN、SiN及びSi(式中、xは0〜1.4である。)がある。酸化物層又は絶縁層は、図1のHEMT構造でゲートをバリヤー層から隔てるためにも使用できる。
【0142】
図6に示す別の実施形態では、デバイスはHBTである。HBTは、GaNデバイスの最高周波数用途のために特に有用である。HBTは、npn構造又はpnp構造として作製できる。簡略のため、npn構造の作製のみを詳しく説明するが、pnp構造の作製も全く同様であって、npn構造のp型層をpnp構造のn型層で置換すると共に、その逆も行えばよい。基板10は、半絶縁性のバルクGaN基板でよく、10Ω−cmを超える抵抗率を有し得る。基板10はn型であってもよく、好ましくは約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有し得る。
【0143】
基板10の上方にコレクター層42が形成される。コレクター層42は、200〜5000nm、さらに好ましくは400〜800nmの厚さを有するAlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)のn型層でよい。コレクター層42は、n−GaN又はn−AlGa1−xN(式中、0≦x≦1)からなるものでよく、約1×1016〜約5×1016cm−3のキャリヤー濃度にドープされる。
【0144】
一実施形態では、特に基板10が半絶縁性である場合、コレクター層42と基板10の間にサブコレクター層40を任意に形成できる。サブコレクター層40は、例えばn+型ドープGaNでよい。サブコレクター層40の厚さは、約0.2〜5μm、好ましくは約1〜2μmであり、約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有し得る。サブコレクター層40の表面上には、オーム性であり得るサブコレクター接点52が形成される。サブコレクター層40の目的は、オーム性サブコレクター接点52の性能を向上させると共に、半絶縁性基板の場合にはコレクター層へのオーム接触をもたらすことにある。
【0145】
コレクター層42上にベース層44が形成される。ベース層44は、p型AlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)からなり、10〜1000nm、さらに好ましくは50〜200nmの厚さを有し得る。ベース層44は、約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度にドープされたp−GaNとし得る。ベース層44は、コレクター層の接触部におけるGaNから、ベース層44の上面付近におけるAlGa1−xN(式中、x≒0.05)まで徐々に変化させることができる。別法として、ベース層44の上面にp−AlGa1−xN/GaN超格子を堆積することもできる。
【0146】
ベース層44上にエミッター層46が形成される。エミッター層46は、n型AlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)からなるものでよく、一実施形態では0.5〜1000nm、別の実施形態では50〜300nmの厚さを有し得る。エミッター層46は、ベース層44より広いバンドギャップを有する。通例、エミッター層46はn−AlGa1−xN(式中、0.15≦x≦0.25)からなり、約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度にドープしてもよい。一実施形態では、任意にエミッター層46の組成を、ベース層44との接触部におけるn−AlGa1−xN(式中、x≒0.05)から、エミッター層46の上面付近におけるn−GaNまで徐々に変化させる。
【0147】
エミッター層46上にキャップ層48が形成される。キャップ層48はn−GaNからなり、約100nmの厚さ及び約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有し得る。これらの層にエッチングを施してベース層44を露出させると共に、上向きのコレクター接点が所望されるならば、エッチングでさらに深いスルーホールを設けることでサブコレクター層40を露出させる。
【0148】
コレクター接点52、ベース接点54及びエミッター接点56が形成される。これらの接点は、好ましくはオーム性金属接点である。エミッター接点56はキャップ層48上に堆積され、ベース接点54はエッチングで露出させたベース層44上に堆積される。一実施形態では、コレクター接点52は上述のようにサブコレクター層40上に堆積される。別の実施形態では、バルクGaN基板がn型であって、約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有する。この場合には、デバイス構造と反対側にある基板10の背面上にコレクター接点50が堆積される。
【0149】
n型のコレクター接点及びエミッター接点用として好適な組成物には、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au及びTi/Al/Pt/Auスタックがあり、スタック中の各層は約10〜約500nmの厚さを有し、その堆積は電子ビーム蒸着、熱蒸着又は他の技術で達成できる。一実施形態では、第一のTi層は10〜30nmの厚さを有し、Al層は50〜300nmの厚さを有し、最も外側の層は約30〜70nmの厚さを有する。p型接点(p型層への接点)用の例示的な組成物には、Ni/Au及びPt/Auスタックがあり、第一の層は約20〜200nmの厚さを有し、Au層は約100〜1000nmの厚さを有する。堆積後、オーム接触を達成するため、一実施形態では約500〜950℃、第二の実施形態では約750〜870℃の温度で構造がアニールされる。
【0150】
上述の通り、pnp HBTは、pnp HBTのp型層をnpn HBTのn型層で置換すると共に、その逆も行うことで形成できる。
【0151】
図7は別の実施形態を示しており、この場合のデバイスはBJTである。図7のBJTデバイスは、図6のHBTデバイスに類似している。BJTデバイスはHBTの簡略形であって、非合金化GaNがすべての半導体層を構成している。このように、合金化GaN層の代わりに非合金化GaNを使用した点を除けば、図7のBJTデバイスは図6のデバイスと同じである。
【0152】
図8は別の実施形態を示しており、この場合のデバイスはショットキー整流器である。ショットキー整流器はGaN基板10を含んでいる。GaN基板10はn型であり得ると共に、一実施形態では約2×1018cm−3を超えるキャリヤーレベルを有している。基板10上に電圧ブロッキング層70が形成される。電圧ブロッキング層70は非ドープのAlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)からなり、一実施形態では1〜500μmの厚さを有し、別の実施形態では50〜200μmの厚さを有する。電圧ブロッキング層70は、高いブロッキング電圧要件に対しては大きい厚さを有する。電圧ブロッキング層70中のキャリヤー濃度は、低いレベル、例えば5×1016cm−3未満、別の実施形態では1015cm−3未満に保つことができる。別法として、ショットキー整流器はp型GaN基板及びp型エピレヤーを使用する。
【0153】
任意には、電圧ブロッキング層70上に一連の保護環72及び接合障壁制御環74が形成される。保護環72は、続いて生成される酸化物と接点との境界に集中する電界を低減させると共に、ブロッキング電圧を高めるために使用できる。保護環72及び接合障壁制御環74は、例えばイオン注入によって電圧ブロッキング層70上に形成できる。注入用のイオンは、例えばMg又はZnであり得る。一実施形態では、環の領域中のキャリヤーレベルは約2×1017cm−3を超える。電圧ブロッキング層70上に絶縁体層76が形成される。絶縁体層76は、例えば、SiO、SiN、Sc、MgO、Ga及びR(式中、xは0〜1.4であり、RはGdのような希土類元素である。)の1種以上からなり得る。絶縁体層76は保護環72を覆うが、接合障壁制御環74は覆わない。
【0154】
電圧ブロッキング層70及び基板10上に、それぞれ電圧ブロッキング層接点80及び基板接点60が形成される。一実施形態では、基板接点60は(n型層に接触する)n型接点であり、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au又はTi/Al/Pt/Auスタックのような一連の層からなり得る。ここで、各層は約10〜約500nmの厚さを有する。基板接点60の堆積は、例えば、電子ビーム蒸着、熱蒸着又は他の技術で達成できる。一実施形態では、第一のTi層は約10〜30nmの厚さを有し、Al層は50〜300nmの厚さを有し、接点60の最も外側の層は約30〜70nmの厚さを有する。
【0155】
接点60の堆積に続き、オーム接触を達成するため、一実施形態では約500〜950℃の温度で、別の実施形態では約750〜870℃の温度で構造をアニールする。
【0156】
電圧ブロッキング層接点80用として好適な組成物には、Ti/Pt/Au、Ni/Au及びPt/Auスタックがある。ここで、第一の層は約20〜200nmの厚さを有し、Au層は約100〜約1000nmの厚さを有する。電圧ブロッキング層接点80を形成した後には、ショットキー接触特性を保持するため、デバイス構造は高温でアニールされない。
【0157】
図9は本発明の別の実施形態を示しており、この場合のデバイスはp−i−n整流器である。図9のp−i−n整流器のデバイス構造は、上述の図8のショットキー整流器のものに類似している。任意には、図9のp−i−n整流器は、電圧ブロッキング層70上の保護環及び図8中のものに類似した絶縁層も含む。電圧ブロッキング層70上に接触層90が直接形成される。接触層90は、例えばp−GaNからなり得る。接触層90は、例えば、一実施形態では約100〜1000nm、別の実施形態では約300〜約700nmの厚さを有し得る。接触層90は、約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有し得る。
【0158】
図9のp−i−n整流器は、図8のデバイスと同様に基板接点60も含んでおり、これはn型接点であり得る。図9のp−i−n整流器は、オーム接触層接点92も含んでいる。
【0159】
接触層接点92用として好適な組成物には、例えば、Ni/Au及びPt/Auスタックがある。ここで、第一の層は約20〜200nmの厚さを有し、Au層は約100〜約1000nmの厚さを有する。基板接点60及び接触層接点92の堆積に続き、オーム接点を達成するため、約500〜950℃、好ましくは約750〜870℃の温度で構造をアニールする。
【0160】
図10は本発明の別の実施形態を示しており、この場合のデバイスはサイリスターである。サイリスターは、npn(N)p構造又はpnp(P)n構造として作製できる。簡略のため、npn(N)p構造の作製のみを詳しく説明するが、pnp(P)n構造の作製も全く同様である。pnp(P)n構造は、p型層をnpn(N)p構造の対応するn型層で置換すると共に、その逆も行うことで形成できる。
【0161】
図10のサイリスターはGaN基板10を含んでいる。GaN基板10は半絶縁性であり得ると共に、10Ω−cmを超える抵抗率を有し得る。或いは、基板10はn型であってもよく、好ましくは約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有し得る。
【0162】
基板10の上方に電圧ブロッキング層102が形成される。電圧ブロッキング層102は、一実施形態では1〜5000μm、別の実施形態では50〜200μmの厚さを有するAlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)の非ドープ層であり得る。電圧ブロッキング層102は、高いブロッキング電圧要件に対しては大きい厚さを有する。電圧ブロッキング層102中のキャリヤー濃度は好ましくは低く、例えば5×1016cm−3未満であり、別の例では1015cm−3未満である。
【0163】
基板10が半絶縁性である場合、基板10と電圧ブロッキング層102の間に第一のドープ層100を任意に形成できる。第一のドープ層100は、基板10上に堆積させたn型ドープGaN層であり得ると共に、一実施形態では約0.2〜5μm、別の実施形態では約1〜2μmの厚さ、及び約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有し得る。バルクGaN基板10が半絶縁性である場合、第一のドープ層100上にドープ層接点112が形成される。第一のドープ層100は、基板10に対する接点のオーム接触の性能を向上させると共に、半絶縁性基板の場合には電気的接触をもたらすために使用できる。
【0164】
電圧ブロッキング層102上に第二のドープ層104が形成される。第二のドープ層104は、例えば、n型AlInGa1−x−yN(式中、0≦x,y≦1、0≦x+y≦1)からなり、一実施形態では100〜3000nm、別の実施形態では500〜700nmの厚さを有し得る。
第二のドープ層104は、約2×1017cm−3のキャリヤー濃度を有し得る。第二のドープ層104はn−GaNからなり得る。任意には、第二のドープ層104の上面にn−AlGa1−xN/GaN超格子を堆積することもできる。
【0165】
第二のドープ層104上にキャップ層106が形成される。キャップ層106はp−GaNからなり、約500nmの厚さ及び約2×1018cm−3を超えるキャリヤー濃度を有し得る。
【0166】
第一のドープ層100、第二のドープ層104及びキャップ層106上に、それぞれドープ層接点112、電圧ブロッキング層接点114及びキャップ層接点116が形成される。これらの層に適宜にエッチングを施して該当する層を露出させることができる。例えば、バルクGaN基板10がn型である場合には、基板10の背面上に底部接点110を堆積することができる。
【0167】
n型接点(n型層上の接点)用として好適な組成物には、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au及びTi/Al/Pt/Auスタックがあり、各スタック層は約10〜約500nmの厚さを有し、その堆積は電子ビーム蒸着、熱蒸着又は他の技術を含む当技術分野で公知の技術で達成できる。一実施形態では、第一のTi層は10〜30nmの厚さを有し、Al層は50〜300nmの厚さを有し、最も外側の層は約30〜70nmの厚さを有する。p型接点(p型層上の接点)用として好適な組成物には、Ni/Au及びPt/Auスタックがあり、スタックの第一の層は約20〜200nmの厚さを有し、Au層は約100〜1000nmの厚さを有する。堆積後、接触層に対するオーム接触を達成するため、約500〜950℃、好ましくは約750〜870℃の温度で構造がアニールされる。
【0168】
図11及び12は本発明の二つの他の実施形態を示しており、この場合のデバイスは電力用縦型MOSFET又はMISFET(ゲート酸化物を有するデバイスについてはMOSFET、ゲート絶縁層を有するデバイスについてはMISFET)である。図11はUMOSFET/UMISFETを示すのに対し、図12はDMOSFET/DMISFETを示す。UMOSFET/UMISFET中の「U」は、ゲートが位置する溝構造の形状をいう。DMOSFET/DMISFET中の「D」は、構造中の拡散層又は二重注入層をいう。MOSFET/MISFET縦型構造は動作については横方向MOSFET/MISFETデバイスに類似しているが、縦型構造では電流は基板を通して縦方向に導かれる。UMOSFET及びDMOSFETに関する以下の説明ではnpn型構造を取り上げるが、pnp構造を有する類似のデバイスも可能である。
【0169】
再び図11のUMOSFETについて述べれば、デバイスはGaN基板10を含んでいる。GaN基板10は、例えばn型であり得る。基板10上に電圧ブロッキング層120が形成される。これは例えばn型であり得ると共に、約1×1017〜約5×1016cm−3のキャリヤー濃度を有し得る。電圧ブロッキング層120は、例えばGaNであり得ると共に、例えば約400nmを超える厚さを有し得る。
【0170】
電圧ブロッキング層120上にp型チャネル層122が形成される。p型チャネル層122は、例えば、約2×1017cm−3のキャリヤー濃度にp型ドープし得る。p型チャネル層122は、例えばGaNであり得ると共に、例えば約100〜200nmの厚さを有し得る。
【0171】
p型チャネル層122上にn型ソース層124が形成される。n型ソース層124は、例えばGaNであり得る。
【0172】
ゲート絶縁体126及び金属ゲート128の形成を可能にするため、電圧ブロッキング層120、p型チャネル層122及びn型ソース層124中に溝をエッチングすることができる。溝は、例えばプラズマエッチングで形成できる。
【0173】
溝をエッチングした後、溝中にゲート絶縁体126の一部が形成される。ゲート絶縁体126の材料は、例えば、SiO、Sc、MgO、Ga及びR(式中、RはGdのような希土類元素である。)の1種以上のような酸化物であり得る。
【0174】
非酸化物ゲート絶縁体126用として好適な組成物には、AlN、SiN及びSi(式中、xは0〜1.4である。)がある。次いで、溝中のゲート絶縁体126上に金属ゲート128が堆積され、次に酸化物又は非酸化物絶縁材料で上部被覆することで、金属ゲート128に対する電気接点を形成する1以上の部位(図示せず)の上方を除き、金属ゲート128上にゲート絶縁体126の一部が形成される。次いで、n型ソース層124上にソース接点130が形成されると共に、基板10の背面上に底部接点132が形成される。
【0175】
接点130及び132用として好適な組成物には、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au及びTi/Al/Pt/Auスタックがあり、各スタック層は約10〜約500nmの厚さを有し、堆積は電子ビーム蒸着、熱蒸着などを含む公知技術で達成される。一実施形態では、第一のTi層は約10〜30nmの厚さを有し、Al層は約50〜300nmの厚さを有し、最も外側の層は約30〜70nmの厚さを有する。堆積後、接触層に対するオーム接触を達成するため、一実施形態では約500〜950℃、別の実施形態では約750〜870℃の温度で構造がアニールされる。
【0176】
図12はDMOSFETデバイス構造を示している。DMOSFETはUMOSFETに類似しているが、ゲート絶縁体126及び金属ゲート128は溝の中ではなくp型層122及びn型層124上に形成される。さらに、DMOSFETデバイス構造では、p型層122及びn型層124は、選択区域イオン注入、拡散ドーピング、又は別法としてエピタキシーに続くエッチング、追加のエピタキシー及び再平面化を用いて電圧ブロッキング層120中に形成できる。
【0177】
DMOSFETでは、ゲート絶縁体126及び金属ゲート128は、ゲート下方のチャネル層122部分を変調するために働く。電流はソース124からチャネル122を通って横方向に流れ、次いで電圧ブロッキング層120を通って底部接点132まで縦方向に流れる。UMOSFET及びDMOSFETの両方について、電圧ブロッキング層は常時オフ条件下でブロッキング電圧を維持する。この縦型デバイス構造は、ヘテロエピタキシャル構造に比べ、ホモエピタキシャルデバイス構造のエピ/基板界面にバンドオフセット及び電圧降下が存在しないことによる大きな利益を有する。加えて、ホモエピタキシャルに成長した電圧ブロッキング層120中での低下した転位密度、及びそれから得られる長いキャリヤー寿命は、電圧ブロッキング層の導電率変調を引き起こし、これがデバイスの総合電力損失を低下させる。
【0178】
図13は本発明の別の実施形態を示しており、この場合のデバイスは電力用絶縁ゲートバイポーラートランジスター(電力用IGBT)である。電力用IGBTは、n−p−n−p構造又はp−n−p−n構造として作製できるが、簡略のためにn−p−n−pについて詳しく説明する。p−n−p−nの作製は全く同様であって、n型ドープ層をp型ドープ層で置換すると共に、その逆も行えばよい。電力用IGBTの動作及び作製は、図12の実施形態の電力用横方向DMOSFETの場合に類似している。しかし、電力用IGBTでは、基板はブロッキング層と反対の極性を有しており、実際的にはデバイスが電流を一方向にのみ流すようにp−i−n接合ダイオードと直列にDMOSFETを形成している。
【0179】
電力用IGBTは、p型基板10と、p型基板10上に形成されたn型電圧ブロッキング層140と、ブロッキング層140中及びその上に形成された高濃度ドープp型ベース層142と、ブロッキング層140中及びその上に形成されると共に高濃度ドープp型ベース層142上に形成された低濃度ドープp型ベース層144と、低濃度ドープp型ベース層144中に形成されたn型エミッター146とを含んでいる。ドープ層上にはゲート絶縁層148が形成され、金属ゲート150を部分的に包囲している。最後に、エミッター146上に接触してエミッター接点152が形成されると共に、基板10の裏面上に底部接点154が形成される。
【0180】
基板はp型ドープGaNであり得る。電圧ブロッキング層140は、例えば、約1×1016〜5×1016cm−3のドーピング濃度を有するn型ドープGaNであり得ると共に、約400nmを超える厚さを有し得る。高濃度ドープp型ベース層142は、例えば、約2×1018cm−3のドーピング濃度を有するGaNであり得ると共に、約100〜200nmの厚さを有し得る。低濃度ドープp型ベース層144は、例えば、約2×1017cm−3のドーピング濃度を有するGaNであり得ると共に、約100〜200nmの厚さを有し得る。n型エミッター146は、例えば、約1×1018cm−3のドーピング濃度を有するGaNであり得ると共に、約50〜100nmの厚さを有し得る。ゲート絶縁体148の材料は、例えば、SiO、Sc、MgO、Ga及びR(式中、RはGdのような希土類元素である。)の1種以上のような酸化物であり得る。非酸化物ゲート絶縁体148用として好適な組成物には、AlN、SiNx及びSi(式中、xは0〜1.4である。)がある。金属ゲート150は、例えばMoであり得る。エミッター接点152用として好適な組成物には、Ti/Al/Ti/Au、Ti/Al/Ni/Au及びTi/Al/Pt/Auスタックがあり、スタックの各層は約10〜約500nmの厚さを有し、堆積は電子ビーム蒸着、熱蒸着又は他の技術で達成される。一実施形態では、第一のTi層は10〜30nmの厚さを有し、Al層は50〜300nmの厚さを有し、最も外側の層は30〜70nmの厚さを有する。底部接点154用として好適な組成物には、Ni/Au及びPt/Auスタックがあり、第一の層は約20〜200nmの厚さを有し、Au層は約100〜1000nmの厚さを有する。堆積後、オーム接触を達成するため、一実施形態では約500〜950℃、別の実施形態では約750〜870℃の温度で構造がアニールされる。
【0181】
n型エミッター層146、低濃度ドープp型ベース層144及び高濃度ドープp型ベース層142は、例えば、選択区域イオン注入、拡散ドーピング、又は別法としてエピタキシーに続く溝のエッチング、溝のエピタキシャル充填、及び再平面化を用いて形成できる。高濃度ドープp型ベース層142は、デバイス構造に固有の寄生サイリスターのラッチアップを抑制するために使用できる。n型電圧ブロッキング層140は、所望のブロッキング電圧に従って変化する厚さ及びドーピング濃度を有する。上述のDMOSFET及びUMOSFETと同じく、縦型デバイス構造はバルクGaN基板の導電率が高いことによる大きな利益を有する。加えて、ホモエピタキシャルに成長したブロッキング層中での低下した転位密度、及びそれから得られる長いキャリヤー寿命は、ドリフト領域の導電率変調を引き起こし、これがデバイスの総合電力損失を低下させる。
【0182】
図14は本発明の別の実施形態を示しており、この場合のデバイスは電力用縦型JFETである。電力用JFETは、n型基板10と、n型基板10上に形成された低濃度ドープn型電圧ブロッキング層140と、ブロッキング層160上に形成された高濃度ドープn型ソース層164と、ブロッキング層160中及びその上に形成されたp型ゲート層162とを含んでいる。ソース層164上にソース接点層166が形成される。ゲート層162上にゲート接点層168が形成される。最後に、基板10の裏面上にドレイン接点170が形成される。
【0183】
縦型JFET構造では、電流はソース層164からブロッキング層160及び基板10を通って縦方向に流れる。このデバイスは常時オン型デバイスである。ソース層164とゲート層162との間のpn接合に負バイアスを印加することでターンオフされる。pn接合に十分な逆バイアスを印加すると、空乏層がソース層164の下方に広がってチャネルをピンチオフし、縦方向の電流の流れが阻止される。この構造は、表面トラップ及び絶縁層の問題が最小限に抑えられる埋込みチャネルからなっている。GaNの大きい臨界電界により、この構造は低いオン状態抵抗と共に高いブロッキング電圧を有する。また、このデバイスはユニポーラー多数キャリヤーデバイスであり、蓄積少数電荷が存在しないので高いスイッチング速度が可能である。このデバイスは、ゲート層162から延在する埋込み空乏領域がソース層164下方のチャネルをピンチオフするようにソース層164の幅を約1ミクロン未満に減少させることで、常時オフとなるように設計できる。
【0184】
このデバイスでは、基板はn型GaNであり得る。電圧ブロッキング層160は、例えば、約1×1016〜5×1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaNであり得ると共に、約5000nmを超える厚さを有し得る。ソース層164は、例えば、約1×1018cm−3のドーピング濃度を有するn型GaNであり得ると共に、約100〜500nmの厚さを有し得る。ゲート層162は、例えば、約5×1017cm−3を超えるドーピング濃度を有するp型GaNであり得ると共に、約750〜2000nmの厚さを有し得る。ソース接点166は、例えばTi/Al/Ti/Auであり得る。ゲート接点168は、例えばNi/Auであり得る。ドレイン接点170は、例えばTi/Al/Ti/Auであり得る。これらの厚さ及びドーピング値は、1000V程度のブロッキング電圧に対するものである。一般に、ドーピング値及び厚さは所望のブロッキング電圧特性に依存する。
【0185】
ブロッキング層160及びソース層164は、一実施形態ではエピタキシャルに成長させ得る一方、ゲート層162はブロッキング層160及びソース層164中にp型注入化学種(例えば、Mg)を注入することで形成できる。別法として、ゲート層162は、それを成長させるべき領域に溝をエッチングした後にエピタキシャル再成長を行い、次いで平面化によって上面を平滑にすることでも形成できる。
【0186】
上述の常時オン電力用縦型JFETをカスコード構成で低電圧FETと組み合わせることで、電圧制御される常時オフ回路を形成できる。図15は、低電圧ディスクリートシリコンMOSFET182とカスコード接続されたGaN縦型JFETを示している。別法として、182はディスクリートSiC又はGaNを基材とする低電圧常時オフFETからなり得る。
【0187】
図16は、カスコード構成のための集積アプローチを実証する本発明の別の実施形態を示している。この場合には、低電圧GaN常時オフFETが縦型JFETと同じ基板上に構造の一部として集積されている。集積構造は、基板10と、基板10上に形成されたn型ブロッキング層192と、ブロッキング層192中に形成された埋込みp型ゲート層194と、埋込みp型ゲート層194上に形成されたp型井戸層196と、井戸層196中に形成されたn型ソース198及びn型ドレイン200と、n型ソース198及びn型ドレイン200の横方向においてブロッキング層192中に形成されたp型電界ストップ202とを含んでいる。デバイスはさらに、ソース198上のソース接点206と、ソース198とドレイン200の間における井戸層196中のチャネル領域上にある絶縁層204上のゲート接点208と、電界ストップ202上の電界ストップ接点210と、基板10の裏面上のドレイン接点212とを含んでいる。
【0188】
集積構造中で、基板はn型GaNであり得る。ブロッキング層192は、例えば、約1×1016〜5×1016cm−3のドーピング濃度を有するn型GaNであり得ると共に、約5000nmを超える厚さを有し得る。埋込みゲート層194は、例えば、約1×1019のドーピング濃度を有するp型GaNであり得ると共に、約100〜500nmの厚さを有し得る。井戸層196は、例えば、約1×1017のドーピング濃度を有するp型GaNであり得ると共に、約500〜2000nmの厚さを有し得る。電界ストップ層202は、例えば、約1×1019のドーピング濃度を有するp型GaNであり得ると共に、約100〜500nmの厚さを有し得る。ソース198及びドレイン200は、例えば、約1×1019のドーピング濃度を有するp型GaNであり得ると共に、約100〜500nmの厚さを有し得る。絶縁層204は、例えば酸化物又は他の絶縁層であり得る。ソース接点206及びドレイン接点212用として好適な組成物には、Ti/Al/Ti/Auがある。ゲート接点208及び電界ストップ接点210用として好適な組成物には、Ni/Auがある。
【0189】
上述の実施形態で記載したデバイスは、例えばHBT、ショットキー整流器、p−i−n整流器、サイリスター、或いは縦型MOSFET又はJFETデバイスについてはディスクリートであり得ると共に、例えばHEMT、MESFET及びMOSFET/MISFETデバイスについてはアレイからなり得る。
【0190】
HEMTアレイの例を図17に示す。このアレイデバイスは、ゲート接点224と、ドレイン接点222と、ソース接点220とを含んでいる。ソース接点のアレイに対する外部電気接続は、エアブリッジ230によって行われる。これらはソース接点220に結合されるが、ドレイン接点222及びゲート接点224には電気接続を行うことなしにその上方を通過する。アレイデバイスは接点の下方に能動領域(図示せず)を含んでおり、そこではアレイデバイスはアレイ状をなす多数のHEMT部品を含んでいる。
【0191】
ホモエピタキシャル発光ダイオードデバイス又はLEDを包含する実施形態に関しては、ホモエピタキシャルLEDの一実施形態の構造を示す詳細略図である図18を参照されたい。デバイスを形成するための基板としてGaNウェーハ4が示されている。基板4の表面上においてアンモニア含有雰囲気中で有機金属前駆体を分解することで、デバイス構造6、8、10及び12が形成される。水素又はヘリウムのようなキャリヤーガスが使用できる。好適な有機金属前駆体には、トリメチルガリウム、トリメチルアルミニウム、トリメチルインジウム及びこれらの混合物がある。好適なドーパント前駆体には、n型材料用のシラン、及びp型材料用のビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム又はジメチル亜鉛がある。
【0192】
[0152]で上述したように基板4をアニールした後、n型GaN又はAlInGa1−u−vN(式中、0≦u,v,u+v≦1)のクラッド層6が基板4の表面上に任意に形成される。n型GaN又はAlInGa1−u−vNクラッド層6は、一実施形態では約1nm〜10μm、別の実施形態では約0.1〜4μmの厚さを有する。n型GaN又はAlInGa1−u−vNクラッド層6の堆積は、基板自体に比べて向上した電気的性質、異なるドーピングレベル及び導電率、高いバンドギャップ、又はこれらの組合せをもたらすことができる。
【0193】
次いで、任意のn型GaN又はAlInGa1−u−vN層6又は基板4(n型GaN又はAlInGa1−u−vN層6が存在しない場合)上に能動層8が堆積される。能動層8はAlInGa1−w−xN(式中、0≦w,x,w+x≦1であり、一実施形態ではw及びxの1以上がゼロでない。)からなる。w=0に対しては、xが0から1まで変化するのに伴い、バンドギャップは3.4〜0.8eVの間で変化し、電磁スペクトルの紫外域と赤色域との間での発光を可能にする。クラッド層の組成は、そのバンドギャップが能動層のバンドギャップより大きくなるように選択される。通例、xは約0.025〜0.6の範囲内にある。さらに詳しくは、xは約0.05〜0.5である。通例、w<0.05である。
【0194】
能動層は、非ドープであってもよく、Si又はGeのような不純物でn型ドープされていてもよく、Zn又はMgのような不純物でp型ドープされていてもよい。それは、いわゆる二重ヘテロ構造又は単一量子井戸構造のように単一層からなっていてもよく、いわゆる多重量子井戸構造のようにAlInGa1−c−dN/AlInGa1−e−fN(式中、0≦c,d,e,f,c+d,e+f≦1)又はIndGa1−dN及びInGa1−fN(式中、0≦d≦f)の超格子からなっていてもよい。一実施形態では、超格子は2種のAlInGaN組成物からなる約1〜50の交互層を含み、高度の富In/貧Al層(低バンドギャップ)が井戸を構成し、低度の富In/貧Al層(高バンドギャップ)がバリヤーを構成する。各個の層は約0.5〜50nmの厚さを有し得る。井戸層及びバリヤー層は、非ドープ、n型ドープ又はp型ドープであり得る。一実施形態では、構造は非ドープ井戸層及びn型ドープ又は非ドープバリヤー層を含む。InN及びAlInGa1−c−dNは、GaNより低い温度で分解する。一実施形態では、これらの層は約500〜1200℃の温度で堆積される。第二の実施形態では、約650〜1050℃の温度で堆積される。
【0195】
能動層がn型ドープで比較的厚い(約50〜500nm)実施形態では、特にn型クラッド層6がGaNではなくAlInGa1−u−vNからなる場合、LEDは二重ヘテロ構造デバイスである。能動層が非ドープで比較的薄い(例えば、1〜10nm)別の実施形態では、特にn型GaN層6と能動層8の間に1以上の追加n−AlInGa1−u−vNクラッド層が配置されている場合、LEDは単一量子井戸である。
【0196】
一実施形態では、能動層8の周囲に1以上のクラッド層が任意に配設される。図18に見られるように、クラッド層10はp型クラッド層からなる。クラッド層10はp−AlInGa1−y−zN(式中、0≦y,z,y+z≦1)からなる。クラッド層10は、能動層8よりバンドギャップが大きいという特性を有し、電気キャリヤーを閉じ込めるために有用であると共に、レーザーダイオードの場合には光閉込めによって発光を所望の方向に好ましく導くために有用である。
【0197】
一実施形態では、クラッド層6及び10は約600〜1500℃の温度で堆積される。別の実施形態では、約850〜1200℃の温度で堆積される。一実施形態では、1以上のクラッド層はAlInGa1−y−zN超格子からなる。超格子の使用は、格子ひずみを管理するのを助けると共に、特にp型クラッド層の場合には導電率を増大させる。
【0198】
p型ドープクラッド層の上方に、1以上のp型接触層12が任意に堆積される。一実施形態では、p型接触層12はp−GaNからなる。電流の広がりのために有利な別の実施形態では、p型接触層はp−AlInGa1−y−zN超格子からなる。別の実施形態では、p型接触層はp−AlInGa1−y−zN/n−AlInGa1−y−zNトンネル接合からなる。さらに別の実施形態では、トンネル接合がp−AlInGa1−y−zN超格子及びn−AlInGa1−y−zN超格子の1以上と組み合わされる。さらに別の実施形態では、p型接触層は1種以上の金属酸化物MO(式中、0<x≦2であり、金属Mはインジウム、スズ、亜鉛、金、銀、銅及びニッケルの1種以上である。)からなる。
【0199】
GaAlInNデバイスで普通の不純物の一つは水素である。p型材料の場合、水素はアクセプター中心と錯体を生成して抵抗率を高くし、デバイス性能を低下させることがある。本発明では、約400℃を超える温度でアニールすることで水素−アクセプター錯体を解離でき、或いはアルゴン、窒素又は真空のような無水素成長環境の使用でその生成を最初から回避できる。水素の不存在下での実施形態では、p型層の抵抗率は約10Ω−cm未満に保たれ、別の実施形態では約10Ω−cm未満に保たれる。
【0200】
本発明の発光ダイオードデバイスの形成の一実施形態では、上面(p型)及び底面(n型)上に金属及び/又は導電性酸化物接点14、16が形成される。p型接点16の面積の大部分は、実質的な光学的透明性を得るため、非常に薄い(厚さ約0.001〜約1μm)。p型接点16用として好適な組成物には、ニッケル−金或いはPd、Pt、Ag、Au、Al、Sn、In、Cr、Ti及びこれらの混合物から選択される1種以上の金属がある。導電性酸化物接点は、酸化インジウム、酸化スズ及び酸化亜鉛の1種以上又はこれらの混合物からなる。ニッケル−金p型接点16は、合金化することができ、或いはp−GaN層12に接してニッケルに富む組成物を含むと共に、富ニッケル層に接して金に富む組成物を含むことができる。
【0201】
n型接点14用として好適な組成物はチタン−アルミニウムである。チタン−アルミニウムn型接点14は、合金化することができ、或いはn−GaN基板14に接してチタンに富む組成物を含むと共に、富チタン層に接してアルミニウムに富む組成物を含むことができる。別法として、n型接点14はAl、Sc、Ti、Zr、Mo、Ta、W、Ni、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、Hf、希土類金属及びこれらの混合物の1種以上を用いて形成できる。接点14、16は、スパッター堆積、熱蒸着又は電子ビーム蒸着を始めとする当技術分野で公知の任意手段で堆積できる。一実施形態では、約400〜950℃の温度でアニールすれば、金属接点14、16はオーム接点として働く。
【0202】
任意には、個別LEDダイへのウェーハの分離を助けると共に、デバイスの寿命を向上させるため、デバイスの周辺においてデバイス構造を通してのエッチングを行ってメサを形成し、メサの側面上にパッシベーション層18を堆積させる。パッシベーション層はSiO又はSiNからなり、熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、化学蒸着、プラズマ支援化学蒸着などで堆積できる。
【0203】
基板の高い品質のため、ホモエピタキシャル発光デバイスは傾角粒界を含まず、約10μm以下、又は約9×10μm以下、又は1mm以下のデバイス面積については、大抵のデバイスは実質的に貫通転位を含まない。
【0204】
図19を参照すれば、本発明のホモエピタキシャルLED構造の別の実施形態が示されている。縦型LED構造(図18)は基板面積を効率的に使用するが、ある種の用途(例えば、フリップチップボンディング)では二つの上部接点を有する横型構造が有利である。この実施形態では、GaN基板4はn型、半絶縁性又はp型であり得るが、単なる例示目的のために基板はn型であると仮定する。n−GaN又はn−AlInGa1−u−vN(式中、0≦u,v,u+v≦1)からなるn型接触層20を基板上に堆積した後、任意には、1以上のn−AlInGa1−u−vNクラッド層6を堆積する。次いで、AlInGa1−w−xN(式中、0≦w,x,w+x≦1であり、一実施形態ではw及びxの1以上がゼロでない。)からなる能動層8を堆積する。上述の通り、能動層は二重ヘテロ構造、単一量子井戸、又はAlInGa1−c−dN/AlInGa1−e−fN多重量子井戸(式中、0≦c,d,e,f,c+d,e+f≦1)からなり得る。次に堆積すべきは、任意には、1以上のp−GAN又はp−AlInGa1−y−zN(式中、0≦y,z,y+z≦1)クラッド層10、及びp−GAN又はp−AlInGa1−y−zNのp型接触層12である。次いで、層の一部を通してのエッチングを行ってメサを形成することで、n型接触層20の一部を露出させる。次いで、上述のようにしてn型電極14及びp型電極16を堆積し、任意には露出したメサにパッシベーション層18を施す。
【0205】
一実施形態では、基板が、1種以上の発光原子又は色中心、例えばTi、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zr、Hf、Pr、Eu、Er又はTmのような遷移金属又は希土類金属の1種以上でドープされる。別の実施形態では、1種以上の発光原子又は色中心を含むGaNのホモエピタキシャル層が、窒化ガリウム基板、能動層、クラッド層のいずれか、又は基板の背面上に堆積される。ホモエピタキシャル層は、分子ビームエピタキシー又は金属・有機化学蒸着のような、当技術分野で公知の方法で堆積される。一実施形態では、ドーパント又は色中心は1017cm−3以上の濃度で存在し、300〜1000nmの1以上の波長でルミネセンスを生じる。この実施形態では、能動層から放出される光の一部は基板中の1種以上の発光原子又は色中心で吸収され、電子励起状態を生じる。次いで、励起状態が緩和して異なる色の光を放出する。このようにして発光ダイオードは、独立の蛍光体を使用しなくても2以上の波長で光を放出し得る。例えば、Euでドープすることで赤色発光GaN結晶を合成できる。発光ダイオードの能動層から放出される青色、青緑色又は緑色の光と、基板から放出される赤色、橙色、黄色及び/又は緑色の光との組合せは、白色光を生じ得る。別の実施形態では、当技術分野で公知の方法で窒化ガリウム基板の背面にウェーハ結合された第二の基板によるルミネセンスが得られる。かかる第二の基板の例には、ルビー(Tiドープサファイア)及びセリウムドープイットリウム−アルミニウム−ガーネットがある。
【0206】
図20は、本発明のホモエピタキシャルレーザーダイオードデバイスを表す構造の詳細略図である。レーザーダイオードデバイス18の形成時における初期段階は、上述の発光ダイオードデバイス12を形成する場合のものと同じである。図20は、図18に関して記載した任意部品の多くを含むレーザーダイオードを示している。具体的には、レーザーダイオード18はLD半導体デバイスを配設するためのn−GaN基板を含んでいる。例示目的のため、縦型デバイスを図20に示す。図19に示したデバイスに類似する横型デバイスも、本発明の技術的範囲内にある。
【0207】
図19中のn−GaN基板4上に配設される第一の層は、n−AlInGa1−a−bN構造のn型クラッド層6であり、次いで任意のn−AlInGa1−c−dN光ガイド層20が配設される(式中、0≦a,b,s,d,a+b,c+d≦1)。クラッド層6は、n−AlInGa1−a−bN超格子からなり得る。図中に示す能動層は、上述の超格子構造のAlInGa1−e−fN/AlInGa1−g−hN多重量子井戸層である(式中、0≦e,f,g,h,e+f,g+h≦1)。能動層22上には、p−AlInGa1−i−jNブロッキング層24が配設され、次いでp−AlInGa1−k−lN光ガイド層26及びp−AlInGa1−m−nN光ガイド層10が配設される(式中、0≦i,j,k,l,i+j,k+l≦1)。一実施形態では、クラッド層10はp−AlInGa1−m−nN超格子からなる。別の実施形態では、クラッド層6及び10、光ガイド層20及び26、並びにp型ブロッキング層24の各々は能動層22よりもハンドギャップが大きい。さらに別の実施形態では、光ガイド層20及び26はクラッド層6及び10よりもバンドギャップが小さく、p型ブロッキング層24はクラッド層6及び10よりもハンドギャップが大きい。最後の層は、任意のp−AlInGa1−o−pN接触層12(式中、0≦o,p,o+p≦1)であり、これは能動層22より大きいがクラッド層10よりもバンドギャップが小さい。
【0208】
上述のように、接触層12は別法としてp−AlInGa1−y−zN超格子、p−AlInGa1−y−zN/n−AlInGa1−y−zNトンネル接合(式中、0≦y,z,y+z≦1)及び1種以上の金属酸化物MO(式中、0<x≦2であり、金属Mはインジウム、スズ、亜鉛、金、銀、銅及びニッケルの1種以上である。)の1以上からなり得る。
【0209】
レーザーキャビティの横方向閉込めを可能にするため、p型接触層、クラッド層、能動層及び(任意には)n型接触層にデバイス構造を通してのエッチングを施すことでメサ構造が形成される。メサは少なくとも能動層の下方にまで延在の十分なだけ深く、基板の最上部にまで延在することができる。一実施形態では、ストライプ状メサの幅は約2〜約500μmである。第二の実施形態では、約5〜約25μmである。
【0210】
電気的閉込めを向上させると共に、閾値電流を減少させるため、図20に示すように、接触層12の周辺を通して最上のクラッド層10中に達するエッチングを行うことでリッジ構造を形成できる。リッジの幅は約1〜約10μmであり、メサ構造の形成に伴う格子損傷が能動層による発光の効率を低下させないようにするため、その境界は好ましくはストライプメサのへりから3μm以上離れており、さらに好ましくはストライプメサのへりから10μm以上離れている。普通、リッジ構造は浅いので、メサ構造のエッチングに先立って形成される。ストライプメサ及びリッジ構造のを形成するためのエッチングの後、(リッジの上面ではなく)メサ及びリッジの側面がパッシベーション層18によってパッシベートされる。パッシベーション層はSiO又はSiNからなり、熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリングなどで堆積できる。任意には、パッシベーション層18は上部金属接点16の後に堆積できる。
【0211】
図示のように、上面(p型)及び底面(n型)上に金属接点14、16が形成される。p型接点16用として好適な組成物はニッケル−金であり、これは合金化されるか、或いはp−GaN層12に接したニッケルに富む組成物及び富ニッケル層に接した金に富む組成物と共に使用される。n型接点14用として好適な組成物はチタン−アルミニウムであり、これは合金化されるか、或いはn−GaN基板4に接したチタンに富む組成物及び富チタン層に接したアルミニウムに富む組成物と共に使用される。これらの接点は、当技術分野で公知の任意手段(例えば、スパッター堆積又は電子ビーム蒸着)で堆積できる。一実施形態では、約400〜950℃の温度でアニールすれば、これらの接点はオーム接点として働く。
【0212】
レーザーダイオードデバイス構造の製造における最終段階は、レーザーキャビティの長い寸法を定義するため、ストライプ/リッジ構造に垂直な平面内でデバイスを切断することである。一実施形態では、レーザー構造の長さは100〜2000μmである。別の実施形態では、約400〜1000μmである。
【0213】
デバイスの縁端に反射面を形成するための最も簡単な方法は、基板及びデバイス構造を劈開し、任意に研磨し、最後にファセット上に反射フィルムを堆積して反射率を高めることである。
【0214】
さらに別の実施形態では、短い(ファセット)寸法が基板4の(101 ̄0)面に平行となるようにデバイス構造を成長させる。層堆積の完了後、(101 ̄0)面に沿ってウェーハを劈開する。この面は(0001)成長方向に対して垂直であり、容易に劈開する。代わりの実施形態では、反応性イオンエッチング又は類似のドライエッチ法でレーザーファセットを設けられる。表面仕上を向上させることが所望される場合には、標準的な金属組織学的方法でファセットを機械的に研磨することができる。
【0215】
一実施形態では、ファセット上の反射被膜は、屈折率が交互に変化する複数の層を含む分散ブラッグ反射体(DBR)からなる。DBR用として好適な組成物には、約390nmを波長に対してはTiO/SiOがあり、約230nmを波長に対してはHfO/SiOがある。ここで、各層に関する厚さと屈折率との積は、一実施形態ではλ/4の奇数倍であり、別の実施形態ではλ/4に等しい(λはレーザーダイオードの所望動作波長である。)。一実施形態では、DBR中の層数は、後部ファセットの反射率が約0.95を超え、前部ファセットの反射率が約0.1〜約0.5になるように選択される。
【0216】
図18〜20に示した実施形態の各々では、基板をn型として記載した。しかし、別の一組の実施形態では、基板はp型であり得ると共に、n型及びp型接触層並びにn型及びp型クラッド層がそれぞれ逆になる。
【0217】
修正や変更も本発明の技術的範囲内にあることに注意すべきである。例えば、詳しい説明は上部及び底部の電気接点を有する縦型デバイスに向けられているが、絶縁性又は半絶縁性基板を「側部」の接点と共に使用することもできる。LEDに関する本発明のデバイスの範囲内における変更例では、LED構造の多重スタックを単一のデバイス中に組み込むことができる。この場合、各スタックは、高濃度ドープp/nトンネル接合、例えばp++/n++InGaN、GaN又はAlInGaNトンネル接合に基づく拡散層で隔てられる。ここで、p/nトンネル接合の層中のドーピング濃度は1019cm−3以上の範囲にある。多重スタックを有するLEDは、例えば2以上の波長の光を放出するために使用できる。
【0218】
図25に示すような実施形態について述べれば、これは先行技術に係るサファイア上GaN/AlGaNメサp−i−n光検出器10である。光検出器10は、サファイア基板層11と、n型AlGaNオーム接触層12と、真性GaN吸収層13と、p型GaNオーム接触層14とを含んでいる。通例、低温AlN又はGaN核生成層(図示せず)がサファイア基板11をn型AlGaNオーム接触層12から隔てている。サファイア基板層11はGaN吸収層に対して透明であるので、後方からの光の場を検出できる。層12は、n型AlGaN層と、AlGaN層上に堆積されアニールされてオーム接点を形成するn型金属接点層(例えば、Ti/Al/Ti/Au)とを含んでいる。層14は、p型AlGaN層と、AlGaN層上に堆積されアニールされてオーム接点を形成するp型金属層(例えば、特に限定されないがNi/A)とを含んでいる。好ましくは光検出器が、接合を逆バイアスすることで動作する。これは、n型AlGaN層12に正電圧を印加することで達成される。これらの条件下では、電流は電圧にほぼ無関係であるが、キャリヤーの光学的発生速度に比例する。層13はGaN真性領域であり、ここでは光子が吸収されて電子/正孔対を生成し、これらが電界により接合の両側に引き寄せられて検出器電流に寄与する。半導体層12、13及び14は、サファイア基板との格子不整合のため、通例は高濃度(例えば、約10〜1010cm−2)の貫通転位を含む。
【0219】
図26は、先行技術の光検出器とは対照的に、本発明の金属−半導体−金属(MSM)光検出器100の例示的な実施形態を示している。光検出器100は、窒化ガリウム基板102と、窒化ガリウム基板102上に配設された1以上の能動層104と、1以上の能動層104に取り付けられた1以上の導電性接点構造物106とを含んでいる。一実施形態では、1以上の能動層104はGa1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)からなる。別の実施形態では、1以上の能動層104はGa1−xAlN(式中、0≦x≦1)からなる。
【0220】
デバイスで使用されるウェーハは、実質的に傾角粒界を含まないと共に約10cm−2未満の転位密度を有する本発明の窒化ガリウムウルツ鉱型結晶構造である。一実施形態では、結晶構造の転位密度は10cm−2未満であり、別の実施形態では100cm−2未満である。その上、一実施形態では、GaNウェーハは(0001)結晶方位を有する。一実施形態では、光検出器デバイス構造の優れた堆積のため、Ga末端の(0001)面及びN末端の(0001 ̄)面を有する。
【0221】
図26に示す例示的な実施形態では、光検出器100は1以上の能動層104を含む金属−半導体−金属(MSM)構造を有している。1以上の能動層104は基板102の表面上に配設された絶縁層であり、一実施形態では、Ga1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)からなる。別の実施形態では、1以上の能動層104はGa1−xAlN(式中、0≦x≦1)からなる。絶縁層104はドープされたもの又はドープされないものであり得ると共に、通例は約1nm〜約10ミクロンの範囲内の厚さを有する。加えて、絶縁層104は通例約1018cm−3以下のキャリヤー濃度を有する。基板102は、n型ドープ又は絶縁性窒化ガリウムからなる。絶縁層104の表面110上に、複数のショットキー接点108からなる導電性接点構造物106が配設される。
【0222】
図26に示されるように、ショットキー接点108は互いにかみ合った櫛形をしている。一例では、ショットキー接点108はニッケル及び金から形成される。それぞれのショットキー接点108の絶縁層104に接触する部分は、好ましくはニッケル及びニッケルに富むニッケル−金組成物の1種以上からなる接触層(図示せず)である。通例、接触層は金又は金に富むニッケル−金組成物の1種以上に接触している。
【0223】
金属接点は良好な電気導体であるが、光学的透明性に劣るために光検出器の集光効率を低下させるという欠点を有している。これは、対応する金属接点の代わりに、又は対応する金属接点と組み合わせて、導電性金属酸化物(例えば、特に限定されないが酸化スズ及び酸化インジウム)を使用することで解消される。ショットキー接点又はオーム接点として使用できる材料には、パラジウム、白金、金、アルミニウム、スズ、インジウム、クロム、ニッケル、チタン、亜鉛及びこれらの酸化物がある。オーム接点として使用できる追加の材料には、特に限定されないが、スカンジウム、ジルコニウム、タンタル、タングステン、銅、銀、ハフニウム及び希土類金属がある。
【0224】
図示した実施形態では、ショットキー接点108は絶縁層104の表面110上にスパッターできる。別法として、ショットキー接点108は電子ビーム蒸着で絶縁層104の表面110上に堆積できる。ここにはスパッタリング及び電子ビームを記載したが、これらの方法は本発明を限定するものではない。実際、表面110上にショットキー接点108を堆積するには任意の同等な方法を使用できる。別の実施形態では、基板102と絶縁層104の間にn型ドープ層112が配設される。
【0225】
図27の実施形態では、光検出器200は、図27に示すように、n型ドープ基板202と、n型ドープ基板202の表面206上に配設された絶縁層204と、n型ドープ基板202の反対側にある絶縁層204の表面209上に配設された第一のp型ドープ層208とを含むP−i−N構造を有している。絶縁層204及び第一のp型ドープ層208は各々、約1nm〜約10ミクロンの範囲内の公称厚さを有する。絶縁層204は、約1018cm−3以下の公称キャリヤー濃度を有する。
【0226】
導電性接点構造物210は、通例、通例はニッケル及び金から形成される第一のオーム接点212を含んでいる。第一のオーム接点212は第一のp型ドープ層208に取り付けられると共に、通例はチタン及びアルミニウムから形成される第二のオーム接点214がn型基板202に取り付けられる。
【0227】
第一のオーム接点212の第一のp型ドープ層208に接触する部分は、ニッケル及びニッケルに富むニッケル−金組成物の1種以上からなる接触層216である。通例、接触層216は金及び金に富むニッケル−金組成物の1種以上からなる上層217に接触している。第一のp型ドープ層208に対する第一のオーム接点212として使用できる材料には、パラジウム、白金、金、アルミニウム、スズ、インジウム、クロム、ニッケル、チタン及びこれらの酸化物がある。ここに記載した任意のp型ドープ層に対するオーム接点を形成するためにこれらの材料を使用できることは言うまでもない。
【0228】
図27に示した実施形態では、第一のオーム接点212は第一のp型ドープ層208の表面211上にスパッターできる。別法として、第一のオーム接点212は電子ビーム蒸着で第一のp型ドープ層208の表面211上に堆積できる。ここにはスパッタリング及び電子ビームを記載したが、これらの方法は本発明を限定するものではない。実際、表面211上に第一のオーム接点212を堆積するには任意の同等な方法を使用できる。
【0229】
図27では、第二のオーム接点214のn型基板202に接触する部分は、好ましくは、通例はチタンに富むチタン−アルミニウム組成物からなる接触層218である。通例、接触層218はアルミニウムに富むチタン−アルミニウム組成物からなる上層219に接触している。p型基板202に接触する第二のオーム接触層214として使用できる材料には、特に限定されないが、アルミニウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、タンタル、タングステン、ニッケル、銅、銀、ハフニウム及び希土類金属がある。ここに記載した任意のn型ドープ層に対するオーム接点を形成するためにこれらの材料を使用できることは言うまでもない。
【0230】
図示のように、第二のオーム接点214はn型基板202上にスパッターできる。別法として、第二のオーム接点214は電子ビーム蒸着でn型基板202上に堆積できる。ここにはスパッタリング及び電子ビームを記載したが、これらの方法は本発明を限定するものではない。実際、n型基板202上に第二のオーム接点214を堆積するには任意の同等な方法を使用できる。
【0231】
図27に示した実施形態では、光検出器200はさらに、例えば、絶縁層204の反対側にある第一のp型ドープ層208の表面211上に配設されたp型ドープ窒化アルミニウムガリウムからなる第二のp型ドープ層220を含み得る。光検出器はさらに、例えば、n型ドープ基板202と絶縁層204の間に配設されたn型ドープ窒化ガリウムからなるn型ドープ層224を含み得る。図3に示す本発明の一実施形態では、絶縁層204、第一のp型ドープ層208、第二のp型ドープ層220及びn型ドープ層224の各々は、Ga1−xAlN(式中、0≦x≦1)からなる。別の実施形態では、絶縁層204、第一のp型ドープ層208、第二のp型ドープ層220及びn型ドープ層224の各々は、Ga1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)からなる。
【0232】
図28に示した例示的な実施形態では、光検出器300はショットキーバリヤーデバイスである。この場合、1以上の能動層302は(通例はn型ドープ又は絶縁性GaN基板である)基板306の表面304上に配設された絶縁層からなり、導電性接点構造物308は絶縁層302に取り付けられた(通例はニッケル及び金からなる)1以上のショットキー接点310と基板306に取り付けられた(通例はチタン及びアルミニウムからなる)1以上のオーム接点312とからなる。絶縁層302は約1018cm−3以下の公称キャリヤー濃度を有する。
【0233】
図28に示した実施形態では、光検出器300はさらに、基板306と絶縁層302の間に配設された第一のn型ドープ層314を含み得る。第一のn型ドープ層314は約1nm〜約10ミクロンの範囲内の公称厚さを有する。別の実施形態では、光検出器300はさらに、基板306と第一のn型ドープ層314の間に配設された(通例はn型ドープ窒化ガリウムからなる)第二のn型ドープ層316を含み得る。この実施形態では、基板306通例は絶縁性GaN基板である。第二のn型ドープ層316は1以上のオーム接点312に接触している。第二のn型ドープ層316は約1〜約10ミクロンの範囲内の公称厚さを有する。本発明の一実施形態では、能動層(この例では絶縁層)302、第一のn型ドープ層314及び第二のn型ドープ層316の各々は、Ga1−xAlN(式中、0≦x≦1)からなる。別の実施形態では、能動層(この例では絶縁層)302、第一のn型ドープ層314及び第二のn型ドープ層316の各々は、Ga1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)からなる。
【0234】
1以上のショットキー接点310の絶縁層302に接触する部分は、好ましくは、ニッケル及びニッケルに富むニッケル−金組成物の1種以上からなる接触層318である。通例、接触層318は金及び金に富むニッケル−金組成物の1種以上からなる上層319に接触している。1以上のショットキー接点310は約1ないし約0.001〜約10ミクロンの範囲内の公称厚さを有する。
【0235】
図28では、1以上のショットキー接点310は絶縁層302上にスパッターできる。別法として、ショットキー接点310は電子ビーム蒸着で絶縁層302上に堆積できる。ここにはスパッタリング及び電子ビームを記載したが、これらの方法は本発明を限定するものではない。実際、絶縁層302上にショットキー接点310を堆積するには任意の同等な方法を使用できる。
【0236】
1以上のオーム接点312の基板306に接触する部分は、好ましくはチタンに富むチタン−アルミニウム組成物からなる接触層320である。通例、接触層320はアルミニウムに富むチタン−アルミニウム組成物からなる上層321に接触している。
【0237】
一実施形態では、1以上のオーム接点312は基板306上にスパッターできる。別法として、オーム接点312は電子ビーム蒸着で基板306上に堆積できる。ここにはスパッタリング及び電子ビームを記載したが、これらの方法は本発明を限定するものではない。実際、基板306上にオーム接点312を堆積するには任意の同等な方法を使用できる。
【0238】
一実施形態では、基板102、202、306及び1以上の能動層104、204、302の1以上はさらに、通例はケイ素、ゲルマニウム及び酸素からなる群から選択される1種以上のn型ドーパントを含み得る。n型ドーパントは、通例、基板102、202、306及び1以上の能動層104、204、302の1以上にエピタキシャル堆積される。別法として、n型ドーパントは基板102、202、306及び1以上の能動層104、204、302の1以上に注入される。
【0239】
本発明の別の実施形態では、基板102、202、306及び1以上の能動層104、204、302の1以上はさらに、通例はマグネシウム、カルシウム及びベリリウムからなる群から選択される1種以上のp型ドーパントを含み得る。p型ドーパントは、通例、基板102、202、306及び1以上の能動層104、204、302の1以上にエピタキシャル堆積される。別法として、p型ドーパントは基板102、202、306及び1以上の能動層104、204、302の1以上に注入される。
【0240】
一実施形態では、光検出器100、200、300は燃焼室(図示せず)内の火炎を検出するために適合した火炎検出器で使用される。各能動層104、204、302の化学量論関係により、特定波長の電磁放射に対するそれぞれの光検出器100、200、300の感度が決定される。さらに具体的には、能動層中の様々な金属の相対量(例えば、Ga1−xAlN中のアルミニウム及びガリウムの相対量)により、光検出器100、200、300が応答する波長範囲が決定される。したがって光検出器100、200、300は、適切な組成を有する能動層104、204、302を堆積することで、特定波長の放射を検出するように調整できる。2以上の火炎検出器の組合せを使用すれば、火炎温度測定のために2種の発光範囲を監視できる。別の実施形態では、基板102、202、306は、実質的に傾角粒界を含まないと共に約10cm−2未満の公称転位密度を有する単結晶窒化ガリウムウェーハからなる窒化ガリウム基板である。窒化ガリウム基板102、202、306は、約10Ω−cm以上の公称抵抗率を有する。別法として、窒化ガリウム基板102、202、306は約10Ω−cm未満の抵抗率を有する。窒化ガリウム基板102、202、306は、好ましくは約10cm−2未満の公称転位密度を有し、さらに好ましくは約100cm−2未満の公称転位密度を有する。
【0241】
窒化ガリウムウェーハは、約3〜約150mmの範囲内の公称直径を有する。一実施形態では、窒化ガリウムウェーハは約12〜約150mmの範囲内の直径を有する。さらに別の実施形態では、窒化ガリウムウェーハは約20〜約150mmの範囲内の直径を有する。一実施形態では、実施形態では、窒化ガリウムウェーハは(0001)結晶方位を有する。
【0242】
本発明の一実施形態では、光検出器は量子井戸型赤外線検出器(QWIP)である。量子井戸型赤外線検出器は、検出器及びセンサー用として並びに撮像用途のために赤外線(IR)を検出するために使用され、6〜25μmの赤外線に対して感受性を有する。QWIP構造は多重量子井戸層を含んでおり、各Ga1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)井戸層及びバリヤー層の組成及び厚さは、各井戸中に一つの基底状態及び多くても一つの励起状態が存在すると共に、励起エネルギーは興味の対象である光子エネルギーに一致するように選択される。
【0243】
本発明のさらに別の実施形態では、光検出器は量子ドット型赤外線検出器(QDIP)である。これは複数の半導体材料層を含み、例えば下から上に向かって、キャリヤーを供給すると共に導電性を与えるためにドープし得るコレクター又はエミッターとして役立つ底部接触層と、キャリヤーを供給すると共に導電性を与えるため図示のように連続ドープ又は変調ドープし得る第一のバリヤー層と、少なくとも第一の量子ドット層とを含んでいる。実質的に傾角粒界を含まないと共に約10cm−2未満の公称転位密度を有する本発明のGaN基板上では、量子ドット材料及びバリヤー材料の各々はGa1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)からなり、バリヤー材料のバンドギャップは量子ドット材料のバンドギャップを超える。
【0244】
図29は、光検出器100、200、300の製造方法400を示している。ここで光検出器100、200、300は、窒化ガリウム基板102、202、306と、窒化ガリウム基板102、202、306上に配設された1以上の能動層104、204、302と、窒化ガリウム基板102、202、306及び能動層104、204、302の1以上に取り付けられた1以上の導電性接点構造物106、210、308とを含んでいる。
【0245】
方法400は、窒化ガリウム基板(102、202、306)を用意する段階402と、窒化ガリウム基板(102、202、306)上に1以上の能動層(104、204、302)を堆積する段階404と、1以上の能動層(104、204、302)及び窒化ガリウム基板(102、202、306)の1以上に導電性接続構造物(106、210、308)を取り付ける段階406とを含んでなる。
【0246】
窒化ガリウム基板(102、202、306)上に1以上の能動層(104、204、302)を堆積することからなる段階404は、通例、金属・有機気相エピタキシー又は別法として分子ビームエピタキシーによって1以上の能動層(104、204、302)を堆積することからなる。
【0247】
能動層(104、204、302)及び窒化ガリウム基板(102、202、306)の1以上に導電性接続構造物(106、210、308)を取り付けることからなる段階406は、1種以上の能動層(104、204、302)及び窒化ガリウム基板(102、202、306)の1以上に金属層をスパッター堆積すること、又は別法として1種以上の能動層(104、204、302)及び窒化ガリウム基板(102、202、306)の1以上に金属層を電子ビーム蒸着することを含み得る。
【0248】
一実施形態では、方法400はさらに、窒化ガリウム基板(102、202、306)中に1種以上のドーパントを導入する段階408を含む。
【0249】
窒化ガリウム基板(102、202、306)中に1種以上のドーパントを導入することからなる段階408は、好ましくは金属・有機気相エピタキシーにより、窒化ガリウム基板(102、202、306)上にドープ層をエピタキシャル堆積することからなり得る。別法として、窒化ガリウム基板(102、202、306)中にドーパントを注入することで、窒化ガリウム基板(102、202、306)中にドーパントを導入することもできる。
【0250】
修正及び変更も本発明の技術的範囲内にあることに注意すべきである。例えば、デバイス実施形態の詳しい説明は本発明の基板を含んでいるが、若干の用途には、1以上のエピタキシャル層を堆積した後に基板を除去することが有利な場合もある。例えば、365nm未満の発光波長を有する紫外線LEDでは、基板による光の吸収を回避するために基板の除去が望ましいことがあり、或いは高出力デバイスでは、能動層をヒートシンクの直近に配置するために基板の除去が望ましいことがある。
【0251】
基板の除去は、ラッピング、研磨、イオンミリング、レーザー誘起分解、又は当技術分野で公知の他の方法で達成できる。基板の除去後でも、デバイスは、10cm−2未満の転位密度を有すると共に実質的に傾角粒界を含まない1以上のエピタキシャル層によって特徴づけられるであろう。
【実施例】
【0252】
実施例
以下の比較例(比較例1〜3)は、実施例(実施例1〜4)との比較のために示される。
【0253】
比較例は必ずしも本発明に対する先行技術をなすものではないが、比較目的のために示される。
【0254】
比較例1
直径0.5インチの銀製カプセルの底部に0.1gのNH4F鉱化剤を配置した。5.0%の開放面積率を有するバッフルをカプセルの中央部に配置し、0.31gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.583インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、0.99gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストローク高圧高温(HPHT)装置内に挿入した。セルを約700℃に加熱し、約85℃の温度勾配を有するようにしてこの温度に55時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0255】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、カプセルの底部に多数の自発核生成結晶が認められた。約0.36mmの直径を有する一つの結晶をランダムに選択し、625℃のAr中において10%HClで30分間エッチングを施した。エッチピットは認められなかった。露出c面の面積は約5.3×10−4cmであり、エッチピット密度は(1/(5.3×10−4cm))又は1900cm−2未満であることを表していた。対照的に、水素化物/ハロゲン化物気相エピタキシー(HVPE)で成長させた厚さ200μmのGaN片に同一のエッチング処理を施したところ、GaN面上に2×10cm−2のエッチピット密度が認められた。
【0256】
比較例2
直径0.5インチの銀製カプセルの底部に、各3〜4mgの重量を有する三つの種晶を0.10gのNH4F鉱化剤と共に配置した。5.0%の開放面積率を有するバッフルをカプセルの中央部に配置し、0.34gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.675インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、1.03gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストロークHPHT装置内に挿入した。セルを約15℃/分の速度で約500℃に加熱し、次いで0.046℃/分の速度で700℃に加熱し、約28℃の温度勾配を有するようにして後者の温度に6時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0257】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、カプセルの底部に多数の自発核生成結晶が認められた。非常に遅い加熱速度にもかかわらず、自発核生成結晶上での成長に比べ、種晶上には極めてわずかな成長しか認められなかった。
【0258】
比較例3
直径0.5インチの銀製カプセルの底部に、10.4mgの重量を有するGaN種晶を0.04gのNHF鉱化剤と共に配置した。5.0%の開放面積率を有するバッフルをカプセルの中央部に配置し、0.74gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.675インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、1.14gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストロークHPHT装置内に挿入した。セルを約15℃/分の速度で約500℃に加熱し、次いで0.05℃/分の速度で680℃に加熱し、約70℃の温度勾配を有するようにして後者の温度に53時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0259】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、非常に遅い加熱速度にもかかわらず、カプセルの底部に多数の自発核生成結晶が認められた。種晶は、41.7mgの重量及び約2mmの直径にまで大きく成長した。しかし、自発核生成結晶の重量は種晶の重量増加の10倍を超えていた。
【0260】
実施例1
19.7mgの重量を有するGaN種晶に高出力レーザーで小さな穴をあけた。0.13mmの銀線により、35%の開放面積率を有する銀製バッフルから種晶を吊り下げ、0.10gのNHF鉱化剤と共に直径0.5インチの銀製カプセルの下半部に配置した。0.74gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.583インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、0.99gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストロークHPHT装置内に挿入した。セルを約11℃/分の速度で加熱することで、K型熱電対で測定して、カプセルの底部の温度が約700℃になり、カプセルの上半部の温度が約660℃になるようにした。次いで、ヒーターの上半部を流れる電流を増加させて温度勾配δTをゼロに減少させた。δT=0を1時間保った後、カプセルの上半部の温度を5℃/時の速度で低下させてδTを約35℃に増加させ、温度をこれらの値に78時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0261】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、種晶の重量は33.4mgに増加したことが認められた。この結晶は、266nmでの励起(周波数四倍化YAG)を用いてのフォトルミネセンスで特徴づけられた。いくつかの温度でのスペクトルを図23に示す。詳しくは、結晶試料は5K、20K、77K及び300Kの温度でのフォトルミネセンスで特徴づけられた。5〜300Kの範囲内のすべての温度で、発光ピークは3.38〜3.45eVの範囲内にある。
【0262】
実施例2
以前の作業から得られた、12.6mgの重量を有するGaN種晶を、0.13mmの銀線により、レーザー穿孔した穴を通して35%の開放面積率を有する銀製バッフルから吊り下げ、直径0.5インチの銀製カプセルの下半部に配置した。0.10gのNH4F鉱化剤及び1.09gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.583インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、0.95gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストロークHPHT装置内に挿入した。セルを約11℃/分の速度で加熱することで、K型熱電対で測定して、カプセルの底部の温度が約700℃になり、カプセルの上半部の温度が約640℃になるようにした。次いで、ヒーターの上半部を流れる電流を増加させて温度勾配δTをゼロに減少させた。δT=0を1時間保った後、カプセルの上半部の温度を5℃/時の速度で低下させてδTを約50℃に増加させ、温度をこれらの値に98時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0263】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、種晶は24.3mgの重量に成長していた。この結晶に、625℃のAr中において10%HClで30分間エッチングを施した。種晶領域の上方のc面上に若干のエッチピットが認められ、エッチピット密度は約10cm−2であった。しかし、種晶に対して横方向に成長した区域はエッチピットを含まなかった。新たに横方向に成長したGaNの面積は約3.2×10−2cmであり、エッチピット密度は(1/3.2×10−2cm)又は32cm−2未満であることを表していた。
【0264】
実施例3
以前の作業から得られた、48.4mg及び36.6mgの重量を有する二つのGaN種晶を、0.13mmの銀線により、レーザー穿孔した穴を通して35%の開放面積率を有する銀製バッフルから吊り下げ、直径0.5インチの銀製カプセルの下半部に配置した。0.10gのNH4F鉱化剤及び1.03gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.583インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、1.08gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストロークHPHT装置内に挿入した。セルを約11℃/分の速度で加熱することで、K型熱電対で測定して、カプセルの底部の温度が約700℃になり、カプセルの上半部の温度が約642℃になるようにした。次いで、ヒーターの上半部を流れる電流を増加させて温度勾配δTをゼロに減少させた。δT=0を1時間保った後、カプセルの上半部の温度を5℃/時の速度で低下させてδTを約30℃に増加させ、温度をこれらの値に100時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0265】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、種晶は219.8mgの重量に成長していた。二つの結晶の小さい方から分離した小片を分析のために選択した。Cary500i分光計を用いて結晶の光透過スペクトルを測定した。赤色(700cm−1)から青色(465cm−1)までの範囲内の波長について、透過率は60%を超えていた。
【0266】
GaNについての屈折率[G Yu et al.,AppliedPhysics Letters 70,3209(1997)]及び結晶の厚さ(0.206mm)に基づけば、吸光係数は同じ波長範囲にわたって5cm−1未満であった。ホットポイントプローブ測定により、結晶はn型導電性を有することがわかった。次いで、625℃のAr中において、結晶に10%HClで30分間エッチングを施した。結晶全体がエッチピットを含まなかった。結晶のc面の面積は約4.4×10−2cmであり、エッチピット密度は(1/4.4×10−2cm)又は23cm−2未満であることを表していた。
【0267】
実施例4
以前の作業から得られた、25.3mgの重量を有するGaN種晶を、0.13mmの銀線により、レーザー穿孔した穴を通して35%の開放面積率を有する銀製バッフルから吊り下げ、直径0.5インチの銀製カプセルの下半部に配置した。0.10gのNHF鉱化剤及び0.98gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.583インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、1.07gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストロークHPHT装置内に挿入した。セルを約11℃/分の速度で加熱することで、K型熱電対で測定して、カプセルの底部の温度が約700℃になり、カプセルの上半部の温度が約648℃になるようにした。次いで、ヒーターの上半部を流れる電流を増加させて温度勾配δTを3℃に減少させた。δT=3℃を1時間保った後、カプセルの上半部の温度を5℃/時の速度で低下させてδTを約30℃に増加させ、次いでさらに2.5℃/時の速度で低下させてδTを約60℃に増加させ、温度をこれらの値に20時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0268】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、種晶は40.2mgの重量に成長していた。次いで、結晶に50%HNOで30分間エッチングを施した。種晶と新しく横方向に成長した材料との界面の上方のc面上に、一列のエッチピットが認められた。しかし、新たに成長したGaNの残りの区域はエッチピットを含まなかった。ピットを含まない新たに成長したGaNの面積は約6.9×10−2cmであり、エッチピット密度は(1/6.9×10−2cm)又は14cm−2未満であることを表していた。
【0269】
実施例5
HVPEで成長させた、13.5mgの重量を有するGaN種晶を、0.13mmの銀線により、レーザー穿孔した穴を通して35%の開放面積率を有する銀製バッフルから吊り下げ、直径0.5インチの銀製カプセルの下半部に配置した。0.10gのNHF鉱化剤、0.03gのCoF、及び0.30gの多結晶質GaN原料物質をカプセルの上半部に配置した。次いで、カプセルを直径0.583インチの鋼製リングと共に充填/密封アセンブリ内に封入した。カプセル及び充填/密封アセンブリをガスマニホルドに移し、1.01gのアンモニアを満たした。次に、カプセルの開放上端にプラグを挿入することで、銀製カプセルと銀製プラグの間に冷間圧接部を形成すると共に、鋼製リングがプラグを包囲して補強をもたらすようにした。次いで、カプセルを充填/密封アセンブリから取り出し、ゼロストロークHPHT装置内に挿入した。セルを約11℃/分の速度で加熱することで、K型熱電対で測定して、カプセルの底部の温度が約700℃になり、カプセルの上半部の温度が約634℃になるようにし、温度をこれらの値に10時間保った。次いで、セルを冷却してプレスから取り出した。
【0270】
アンモニアを逃がした後にカプセルを開いたところ、種晶上に成長した結晶は約10.3mgの重量を有していた。この結晶は、ファセット及び厚さの増加(0.7mm)を始めとする明らかな成長の形跡を示し、公称的に非ドープの結晶よりかなり色が濃かった。重量の減少は、少なくとも部分的にはプロフィルの初期部分における種晶のエッチングに原因しており、さらに種晶が部分的な破砕を受けて直径を減少させた可能性もある。洗浄後、CoドープGaN結晶を液状Ga−In合金で濡らした2枚のIn箔片(電極面積約0.02cm)の間にサンドイッチした。結晶の電気抵抗は、いずれの極性についても室温で約1050MΩであり、約3×10Ω−cmの抵抗率に相当することが判明した。約10Ω−cmを超える抵抗率を有するGaNは半絶縁性と見なされる。
【0271】
GaN結晶の成長速度は、5μm/時を実質的に超えることが判明している。
【0272】
GaN結晶材料を形成するための本発明の改良方法は、大きい高品質GaN結晶の成長を可能にする。これらの改良GaN結晶は、効率、信頼度、歩留り、高出力性能及び降伏電圧が向上し、暗電流及び雑音が減少した良好な性能の電子デバイス及び光電子デバイスの製造を可能にする。
【0273】
以上、本発明の特定の特徴のみを例示し説明してきたが、当業者には数多くの修正及び変更が想起されるであろう。したがって、特許請求の範囲は本発明の真の技術的思想に含まれるかかる修正及び変更のすべてを包含するものであることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2mm以上の最大寸法、10cm−2未満の転位密度を有し、酸素不純物レベルが1019cm−3未満であり、3175cm−1に単位厚さ当たりの吸光度が0.01cm−1を超える赤外吸収ピークを有し、傾角粒界が少なくとも1mm以上互いに広く隔たっているGaN単結晶。
【請求項2】
当該単結晶が465〜700nmの波長で100cm−1未満の単位厚さ当たりの吸光度を有する、請求項1に記載のGaN単結晶。
【請求項3】
0.04〜1ppmのフッ素を含む、請求項1又は請求項2に記載のGaN単結晶。
【請求項4】
当該単結晶が、300Kの結晶温度で3.38〜3.41eVの光子エネルギーにピークを示すフォトルミネセンススペクトルを有する、請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載のGaN単結晶。
【請求項5】
請求項1ないし請求項のいずれか1項記載のGaN単結晶と、前記GaN単結晶上に配設された1以上の半導体層又は部分層とを含んでなる半導体構造物であって、前記半導体層又は部分層が、
a)AlInGa1−x−yN(式中、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦x+y≦1)、
b)Ga1−x−yAlIn1−z−wAs(式中、0≦x,y,z,w≦1、0≦x+y≦1及び0≦z+w≦1)、
c)AlGa1−xN(式中、0≦≦1)、並びに
d)InGa1−yN(式中、0≦y≦1)
の1種以上である、半導体構造物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか1項記載のGaN単結晶を含む電子デバイスであって、発光ダイオード、レーザーダイオード、光検出器、アバランシフォトダイオード、カスコードスイッチ、トランジスター、整流器及びサイリスターからなる群から選択され、トランジスター、整流器、ショットキー整流器、サイリスター、高電子移動度トランジスター(HEMT)、金属半導体電界効果トランジスター(MESFET)、金属酸化物電界効果トランジスター(MOSFET)、電力用金属酸化物半導体電界効果トランジスター(電力用MOSFET)、電力用金属−絶縁体半導体電界効果トランジスター(電力用MISFET)、バイポーラー接合トランジスター(BJT)、金属−絶縁体電界効果トランジスター(MISFET)、ヘテロ接合バイポーラートランジスター(HBT)、電力用絶縁ゲートバイポーラートランジスター(電力用IGBT)、電力用縦型接合電界効果トランジスター(電力用縦型JFET)、内部サブバンドエミッター、量子井戸型赤外線検出器(QWIP)、量子ドット型赤外線検出器(QDIP)及びこれらの組合せのいずれかである電子デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載のGaN単結晶の基板上に、1以上のエピタキシャル半導体能動領域を配設してなる電子デバイス。
【請求項8】
前記基板が、
700〜465nmの波長で5cm−1未満の単位厚さ当たりの吸光度、
100cm/V−sを超えるキャリヤー移動度、
0.005%未満のひずみ、
0.05〜5mmの厚さ、
1×1019cm−3未満のキャリヤー濃度、
700〜465nmの波長で100cm−1未満の単位厚さ当たりの吸光度、
0.04〜1ppmの濃度のフッ素、及び
3050〜3300cm−1の範囲に、単位厚さ当たり吸光度が0.01〜200cm−1の1以上の赤外吸収ピーク
の1以上を有する、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記半導体能動領域が、下記の式
AlInGa1−w−xN(式中、0≦w,x,w+x<1)、
AlInGa1−c−dN/AlInGa1−e−fN(式中、0≦c,d,e,f,c+d,e+f≦1)、及び
InGa1−dN/InGa1−fN(式中、0≦d≦f)
の1以上である、請求項7又は請求項に記載の電子デバイス。
【請求項10】
ホモエピタキシャル窒化ガリウムを基材とする電子デバイスの製造方法であって、GaNからなる基板上に1以上の半導体能動層を形成する段階を含んでなると共に、前記基板が請求項1に記載のGaN単結晶の基板である、方法。
【請求項11】
1以上のホモエピタキシャル発光ダイオードを含んでなるデバイスであって、前記ホモエピタキシャル発光ダイオードが
a.n型電極と、
b.請求項1に記載のGaN単結晶を基材とした単結晶n−GaN基板であって、700〜465nmの波長で100cm−1未満の単位厚さ当たりの吸光度を有する基板と、
c.AlInGa1−c−dN/AlInGa1−e−fN多重量子井戸層と、
d.p−GaN及びp−AlInGa1−g−hNの1種からなる1以上のクラッド層と、
e.p型電極と
を含み(式中、0≦c,d,e,f,g,h,c+d,e+f,g+h≦1)、能動層のバンドギャップがクラッド層のバンドギャップより小さい、デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載のGaN単結晶からなる基板であって、700〜465nmの波長で100cm−1未満の単位厚さ当たりの吸光度を有する基板と、
前記基板上に配設された1以上の能動層と、
前記基板及び前記1以上の能動層の1以上に取り付けられた1以上の導電性接点構造物と
を含んでなる光検出器。
【請求項13】
AlInGa1−x−yN(式中、0≦x≦1、0≦y≦1及び0≦x+y≦1)からなる1以上の層を含んでなる、請求項1に記載のGaN単結晶を基材とする半導体構造物。
【請求項14】
Be、C、Mg、Si、H、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Zr、Hf及び希土類金属から選択される1種以上のドーパントをさらに含む、請求項1に記載のGaN単結晶により構成される結晶化構造物。
【請求項15】
磁性及び/又は発光性を有する、請求項1に記載のGaN単結晶により構成される結晶化構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2013−67556(P2013−67556A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−231681(P2012−231681)
【出願日】平成24年10月19日(2012.10.19)
【分割の表示】特願2004−565702(P2004−565702)の分割
【原出願日】平成15年12月22日(2003.12.22)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】