窒化ホウ素粒子を含む光学基板
【課題】
液晶表示装置、投写型表示装置、信号機、彩飾表示板等に用いられる光学基板において、過熱に起因する割れ、光学フィルムの波打ちおよびしわまたは亀裂の発生危険度を最小化すること。
【解決手段】
フィルム、シートなどの従来技術の分散物に比べ熱伝導性に優れた分散物を有し、LCD内の発熱問題を最小化するために必要とされる熱伝導性を有した光学基板とその作成方法を提供する。前記光学基板はガラスまたは重合体材料と窒化ホウ素粒子を含む少なくとも一つの層を有している。窒化ホウ素は要求される光学特性と共に優れた熱伝導率を有している。
液晶表示装置、投写型表示装置、信号機、彩飾表示板等に用いられる光学基板において、過熱に起因する割れ、光学フィルムの波打ちおよびしわまたは亀裂の発生危険度を最小化すること。
【解決手段】
フィルム、シートなどの従来技術の分散物に比べ熱伝導性に優れた分散物を有し、LCD内の発熱問題を最小化するために必要とされる熱伝導性を有した光学基板とその作成方法を提供する。前記光学基板はガラスまたは重合体材料と窒化ホウ素粒子を含む少なくとも一つの層を有している。窒化ホウ素は要求される光学特性と共に優れた熱伝導率を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は窒化ホウ素粒子を含む光学基板に関するもので、具体的には優れた熱伝導性を具備した光学フィルムまたはシートに関するものであり、さらに具体的には窒化ホウ素粒子を含み、光を操作する光学フィルムまたはシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の陰極管(CRT:Cathode Ray Tube)は、軽量、薄型、小型で殆ど放射の無い液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)に徐々に置き換わりつつある。LCDの特長は熱発生が少なく消費電力が少ない点にある。LCDには、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなど様々なフィルムが積層されている。
【0003】
光学フィルムの公知形態の一つとして、連続マトリックス内部に介在物を分散させたフィルム構造が知られている。このような介在物の特性により、フィルムの反射率や透過率特性の範囲を操作することができる。これらの特性は、光の波長に対するフィルム内介在物の大きさ、形状、方位、体積充填率、およびフィルムの連続マトリックス内部の三元直交軸に沿った反射率の不整合を調整することなどにより調整できる。
【0004】
光学フィルムの公知技術のもう一つ形態として前記フィルムは、要求される明度、光拡散特性、放射光の均一性などを満たした光学的に透明で硬い皮膜として特徴づけられている。ある公知の実施形態では、フィルムに微小粗さを施した非ニュートン裏面皮膜を形成し、モアレ干渉を防止すると共に、化学的、物理的損傷に耐えうる表面皮膜を形成している。他の実施形態では、LCD組立工程で光拡散シートを別に組み込む必要性を低減するため、偏光フィルムの表面に梨地仕上げを施し、光拡散機能を一体化した形態の光学フィルムがある。
【特許文献1】米国特許第6,652,822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LCDパネルは従来のCRTディスプレイに比べ熱・電力の消費が少ないが、それでも無視できない量の熱が発生し、光学フィルムのしわ、波打ちおよび/または亀裂の発生原因となり、その光学的性質や見た目に悪影響を与える。
【0006】
LCD装置から発生する過剰な熱によるしわ、波打ちおよび/または亀裂の発生リスクを最小限にするため、熱伝導性の改善された光学基板、すなわちフィルムおよびシートが必要とされてきている。本発明は、従来技術の分散物に比べ熱伝導性に優れた分散物を有し、LCD内の発熱問題を最小化するために必要とされる熱伝導性を有した光学基板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点は光学基板を提供することにある。前記光学基板は窒化ホウ素粒子を含む重合体またはガラスマトリックスを少なくとも一層含む。窒化ホウ素の含有量は、前記層の総重量に対し0.1から10重量%の範囲である。
【0008】
また本発明はバックライト表示装置に関連するもので、一つの実施形態は、光を発生する光源、光を導く導光器、導光器から外方に光を反射するため前記導光器に沿って配置された反射器;キャビティーからの散逸光を反射し前記導光器に返すため前記導光器裏面に配置された反射フィルム;さらに拡散フィルムなど、前記導光器からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。もう一つの実施形態におけるバックライト表示装置は、光を発生する複数の光源;光拡散板;キャビティーからの散逸光を反射し導光器に返すため前記複数の光源の裏面に配置された反射膜;さらに拡散フィルムなど、前記光拡散板からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。前記光拡散フィルムは、約95から約99.8重量%の重合体ベースマトリックスに約0.2から約5重量%の窒化ホウ素粒子を含む。
【発明の効果】
【0009】
ここで使用する近似語は、それが関連する定量表現を本質的な機能を変更することなく修飾するものである。従って、「およそ」あるいは「本質的に」などの近似語で修飾される数値は、ある場合、必ずしもその数値の示す正確な値に限定されるものではない。
【0010】
数値範囲を終点で示す場合、その範囲に含まれる全ての数値を包含するものとする。(例えば、「1から5」と表記する場合、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4, および5はその範囲内に含まれる。)
【0011】
本明細書および請求範囲で使用される名詞は、単数であることが明示される場合を除いて、複数として扱われる。例えば「化合物を含む成分」と言う表記は、一つ以上の化合物の混合物を含むものとする。また特に明示されない場合、単体の元素は一般性を喪失しない範囲で単複両方の意味を含むものとする。
【0012】
本明細書および請求範囲で使用される「または」と言う表記は、その文章内容が別の意味を明示する場合を除いて「および/または」と言う意味を一般に含むものとする。
【0013】
ここで使用する「光学基板」と言う用語は、光学的特性を有するシート、薄膜、フィルムまたは層を示すものとする。一つの実施形態として、光学基板はレンズ、鏡、LCDパネル、LCDバックライトユニットなど、所定の電磁エネルギ波長に曝された際に光の審美的光学効果、反射、透過、吸収、屈折など所望する光学特性を発揮できるように設計された光学部品である。
【0014】
「重合体」と言う用語は、重合体、共重合体(例えば二つ以上の異なる単量体(モノマー)を使用して形成された重合体)、オリゴマーおよびこれ等の組み合わせを含み、例えば共押出しやエステル交換を含む反応によって混和される重合体、オリゴマー、共重合体も同様に含むものとする。特に別の意味が明示されない限り、ブロック、ランダムいずれの共重合体も含むものとする。
【0015】
ここで定義される「屈折率」とは材料の絶対屈折率を表し、自由空間における電磁波放射速度と当該材料中における電磁波放射速度の比として理解される。屈折率は公知の方法により測定することが出来、一般には可視光範囲でアッベ(Abbe)屈折計を用いて測定される。
【0016】
ここにおける「コロイド」と言う用語は直径がおよそ200ミクロン未満の粒子(一次粒子または付随的粒子)として定義される。
【0017】
前記の「付随的粒子」とは2つ以上の一次粒子が凝結および/または凝集したグループを意味する。
【0018】
前記の「凝結」とは化学的結合または他の作用による一次粒子同士の強いつながりを意味する。凝結体をさらに細かい粒子に砕くことは困難である。
【0019】
前記の「凝集」とは電荷、極性または他の物理的力により纏まった一次粒子同士の弱いつながりを意味するもので、さらに細かく粉砕することが可能である。
【0020】
ここで定義される「一次粒子サイズ」とは、つながりを持たない単体粒子のサイズを意味する。
【0021】
ここで定義される「ゾル」とは、コロイド粒子が液相中に分散または懸架したものである。
【0022】
ここで用いる全ての百分率および比率は全組成重量に対する重量比であり、別の明記が無い限り、25℃での測定値である。別の明記が無い限り、ここで用いる全ての百分率、比率および成分の水準は、当該成分の実量に基づくもので、溶剤、充填材、その他、市販製品において当該成分に時として組み合わされる他の材料を含まないものとする。
【0023】
窒化ホウ素は高い熱伝導性により特徴付けられ、すなわちプレス直角方向で33W/m・Kの熱伝導性を有している。(およそ理論密度の90から95%に熱間プレス成形したBNで測定した場合。)一方、従来の光学基板充填材に汎用されるアルミナおよびジルコニアの熱伝導率はそれぞれ18W/m・Kおよび2W/m・Kである。本発明の光学基板は窒化ホウ素を含む層を少なくとも一つ含んでおり、例えば基板そのもの、または基板上に配置される被覆層の中に窒化ホウ素を含むことによって、要求される光学特性と共に、従来の充填材に比べ優れた熱伝導性を有している。
【0024】
いくつかの実施形態では、光学基板の光学特性は使用する窒化ホウ素粒子の大きさにより調整することが出来る。ある実施形態では、例えば平均一時粒子サイズが10−50nm以下という非常に小さな粒子を用いることで、光学基板の屈折率を増大させ、輝度上昇フィルムなどの用途への適用を可能にしている。やや大きなBN粒子を用いる第二の実施形態では、およそ100から500nmの粒子を用いる。屈折率が十分に異なるマトリックス中では、当該BN粒子は光を放散/散乱させることができるため、前記光学基板フィルムを体積拡散層などの用途に使用する事が出来る。第三の実施形態ではより大きなミクロンサイズの粒子を用い、BN充填材に表面散乱拡散機能を持たせている。
【0025】
窒化ホウ素成分:
本発明の光学基板に用いる窒化ホウ素(BN)は、Momentive Performance Materials, Ceradyne ESK,Sintec Keramik,Kawasaki ChemicalsおよびSt. Gobain Ceramicsなど多くの発売元から入手が可能である。BNは、非晶質窒化ホウ素(ここではa‐BNと表記)、六角形のメッシュ構造を積層した六方構造の窒化ホウ素(h‐BN板状粒子と表記)、六角形のメッシュ構造をランダムに積層した乱層構造の窒化ホウ素(t‐BNと表記)、球状窒化ホウ素、およびこれ等の混合物の何れかの形態を取る。一つの実施形態におけるBNは乱層構造、六方構造、球状、またはこれ等を混合した構造を有する。
【0026】
一つの実施形態における窒化ホウ素充填材は、米国特許第6,652,822号に開示されるプラズマガスを利用した方法により作られたミクロンサイズ範囲の粒子を含んでいる。またもう一つの実施形態における球状窒化ホウ素充填材は、米国特許出願公開2001/0021740号に開示されるhBN球状凝集体、すなわち不規則・非球状のBN粒子をバインダーで結合しその後噴霧乾燥した球状凝集体を含んでいる。さらにもう一つの実施形態におけるBN充填材は米国特許第5,898,009号および米国特許第6,048,511号に開示されるプレス工程によって作製されたh‐BN粉末、米国特許出願公開2005/0041373号に開示されるBN凝集粉末、米国特許出願公開2004/0208812A1号に開示される高い熱放散性を有するBN粉末、および米国特許第6,951,583号に開示される高度に剥離されたBN粉末を含んでいる。
【0027】
一つの実施形態におけるBN粉末は、2から25m2/gの表面積を有している。もう一つの実施形態における充填材は、1ミクロン(1000nm)未満の平均粒子サイズを有するサブミクロン窒化ホウ素で、その表面積(BET法により測定される)は少なくとも100m2/gである。さらにもう一つの実施形態におけるBN粉末は、BET表面積が少なくとも450m2/gである。第三の実施形態におけるBN粉末は、200から900m2/gのBET表面積範囲を有するサブミクロン粉末である。サブミクロン窒化ホウ素は様々な公知技術により製造することが出来る。一つの工程では、アンモニア雰囲気下で化学気相蒸着法とトリメトキシボランの熱分解反応を組み合わせることにより、粒径分布が50から400nmの均一な球状窒化ホウ素を合成することが出来る。第二の工程では、市販の(サイズが1ミクロンより大きい)BN凝集体粉末を超音波槽内の水および表面活性剤中に懸架し、超音波粉砕することによりサブミクロン窒化ホウ素を作ることが出来る。サブミクロン窒化ホウ素はオハイオ州StrongsvilleのMomentive Performance Materialsなど、多くの発売元から市販されている。
【0028】
一つの実施形態において、前記BN粒子は少なくとも50ミクロン(μm)の平均粒子サイズを有している。もう一つの実施形態におけるBN粉末の一次粒子サイズは平均0.1から200μmである。さらにもう一つの実施形態におけるBN粉末の粒子サイズは平均5から500μmである。第四の実施形態における平均粒子サイズは10から100μmである。第五の実施形態におけるBN粒子の平均粒子サイズは1から30μmである。第六の実施形態におけるBN粒子は板状hBNの不規則形状凝集体を含み、10μmを越える平均粒子サイズを有している。
【0029】
第一の実施形態では、BN粉末は一次粒子平均サイズが0.1μm(100nm)から0.8(800nm)範囲のサブミクロン粒子である。第二の実施形態におけるBN粉末は平均サイズが200nmから700nmである。第三の実施形態におけるBN粉末は平均サイズが200nmから600nmである。第四の実施形態におけるBN粉末は一次粒子平均サイズが200nmから500nmである。第五の実施形態におけるサブミクロンBN粉末は一次粒子平均サイズが50nm未満である。第六の実施形態では、サブミクロンBN粉末は、例えば輝度上昇フィルムに用いられ、一次粒子平均サイズが5から50nmである。
【0030】
もう一つの実施形態におけるBN粒子は、板状hBNの球状凝集体の形態を有している。一つの実施形態における前記凝集体の平均凝集体サイズ分布は直径10から500μmである。もう一つの実施形態におけるBN粒子は球状凝集体で、その平均凝集体サイズ分布は30から125μmの範囲である。一つの実施形態における平均凝集体サイズ分布は74から100μmである。もう一つの実施形態では10から40μmである。
【0031】
一つの実施形態におけるBN粉末はb軸に沿った平均長さが少なくともおよそ1μm、典型的には1から20μmで、厚さがおよそ5μm以下の小板状である。もう一つの実施形態におけるBN粉末はアスペクト比がおよそ50からおよそ300の小板状である。
【0032】
一つの実施形態におけるBNは、高度に規則的な六法構造を有するh−BN粉末で、その結晶化率は少なくとも0.12である。もう一つの実施形態では、BN粉末の結晶化率はおよそ0.2から0.55で、さらにもう一つの実施形態では、BN粉末の結晶化率はおよそ0.3から0.55である。もう一つ別の実施形態におけるBN粉末は少なくとも0.55の結晶化率を有している。一つの実施形態におけるBN粉末は0.1から0.5重量%範囲の酸素を含有している。もう一つの実施形態におけるBN粉末はサブミクロンサイズで、その酸素含有量は10から15重量%である。
【0033】
一つの実施形態において、窒化ホウ素粒子は表面処理剤により機能化または処理されている。一般的に、表面処理剤は一端が粒子表面に(共有結合、イオン結合または強い物理吸着によって)結合し、もう一端が粒子と樹脂との適合性を与えるか、または光学フィルム樹脂マトリックスと反応する。表面処理剤の例としては、シラン、シラザン、シロキサンなどのオルガノシロキサン化合物;アルコール;アミン;カルボン酸;スルホン酸;リン酸;ジルコン酸塩:チタン酸塩などがあるが、これ等に限定されるものではない。
【0034】
表面改質剤の必要量は、窒化法素粒子のサイズ、粒子のタイプ(球状または板状)、改質剤の分子量、改質剤の種類および表面処理の方法などの因子に依存する。一つの実施形態における窒化ホウ素は、光学フィルム組成物に使用される前に、酸または塩基性の高温雰囲気で1から24時間、シランによって処理される。
【0035】
一つの実施形態における窒化ホウ素粒子はまず含酸素置換基を含むカルボン酸改質剤によって官能化される。このような改質剤の例として、2‐[2‐(2‐メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、2‐(2‐メトキシエトキシ)酢酸(MEAA)、およびモノ(ポリエチレングリコール)コハク酸などのカルボン酸ポリエーテルなどがある。もう一つの実施形態では窒化ホウ素粒子を、カルボン酸官能基を有する非極性改質剤によって官能化する。このような改質剤の例にはオクタン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびこれ等の組み合わせが含まれる。あるいくつかの実施形態では、前記カルボン酸は重合可能な有機マトリックス中で反応できる。(例えば、前記カルボン酸が重合可能な基を有している。)他の実施形態における前記カルボン酸は重合可能基を有するカルボン酸と、重合可能基を有さないカルボン酸の両者を含んでいる。反応性カルボン酸表面改質剤(例えば、重合可能基を有するカルボン酸)には、例としてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸β−カルボキシエチル、モノ‐2‐(メタクリロキシエチル)コハク酸およびこれ等の組み合わせなどが含まれる。モノ(メタクリロキシポリエチレングリコール)コハク酸はBN粒子に極性と反応性を付与するのに有効な表面改質剤である。この材料は、放射線効果型のアクリル系および/またはメタクリル系有機マトリックス材への添加剤として特に好適である。
【0036】
一つの実施形態において、窒化ホウ素粒子はまずシランにより官能化される。このようなシランの例として、n‐オクチルトリメトキシシラン、n‐オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン;3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐(メタクリロキシ)プロピルトリエトキシシランなどのメタクリロキシアルキルトリアルコキシシランまたはアクリロキシアルキルトリアルコキシシラン;3‐(メタクリロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3‐(アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシランなどのメタクリロキシアルキルアルキルジアルコキシシランまたはアクリロキシアルキルアルキルジアルコキシシラン;3‐(メタクリロキシ)プロピルジメチルエトキシシランなどのメタクリロキシアルキルジアルキルアルコキシシランまたはアシルロキシアルキルジアルキルアルコキシシラン;3‐メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトアルキルトリアルコキシルシラン;スチリルエチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランおよびp‐トリルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン;ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ‐t‐ブトキシシラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシランおよびビニルトリス(2‐メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン;グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの3‐グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン;カルバミン酸N‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチル(PEG3TES)、カルバミン酸N‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチル(PEG2TES)およびSILQUEST A‐1230などのポリエーテルシラン;およびこれ等の組み合わせがあるが、これ等に限定されるものではない。
【0037】
一つの実施形態において、BN粉末の面内(c軸に垂直なab面)および透過方向(c軸に平行方向)の屈折率はそれぞれ1.65および2.13である。(T. Ishii and T. Sato, Growth of Single Crystals of Hexagonal Boron Nitride, Journal of Crystal Growth 61 (1983) 689‐690).しかしながら、従来技術における充填材、すなわちポリ(メタクリル酸メチル)およびTospearl(登録商標)ポリメチルシルセスキオキサンなどに比較すると、窒化ホウ素は屈折率の異方性により異方性の無い材料に比べ優れた複屈折特性を発揮する。
【0038】
一つの実施形態にいて、窒化ホウ素は光学フィルム組成物に分散物として加えられ、その量は、光学フィルムが必要とする特性、例えば屈折率、拡散率、硬さ、耐久性などを維持しつつ、同時に窒化ホウ素を加えない場合に比べ、熱伝導率が少なくとも10%増大する量、添加される。第一の実施形態におけるBN粉末の添加量は、BN粉末を含む層全体の重量の0.1から10重量%である。第二の実施形態では、この量は0.5から5重量%である。第三の実施形態におけるBN粉末は反射防止フィルムまたは拡散フィルムに使用され、その添加量は0.5から8重量%の範囲であるが、皮膜に対しては反射防止フィルムとして要求される十分な光拡散性能を供与している。第四の実施形態におけるBN粉末の添加量は0.2から5重量%であるが、この際のフィルムの屈折率は少なくとも1.5である。
【0039】
ベースマトリックス:
窒化ホウ素粒子はフィルムの光学基板を形成するマトリックスに組み入れることができる。もう一つの実施形態として、窒化ホウ素粒子を光学フィルムの基板に配置された透明な被覆層に組み入れることもできる。
【0040】
本発明の光学フィルム基板層は、ガラス、プラスチックなど当業者公知のあらゆる形態の材料が用いられ、全基板層の90から99.8重量%を占める。光学的層のプラスチック材料には、十分に高い屈折率を有するあらゆる好適な材料を使用する事ができる。重合体料の屈折率は多くの場合、少なくとも1.40、少なくとも1.45、または少なくとも1.50である。当該プラスチック基板材料の材質は特に具体的に限定されず、スチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂;三酢酸セルロース(TAC)、およびこれ等の混合物の使用が可能であるが、これ等に限定されるものではない。一つの実施形態において、基板マトリックスはポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはこれ等の混合物から選択される材料を含んでいる。もう一つの実施形態における基板マトリックスはテレフタル酸ポリエチレン(PET)を含んでいる。
【0041】
一つの実施形態として、窒化ホウ素粒子は光学フィルムの基板上に配置された透明な被覆層中に組み入れられる。本発明の光学フィルムにおける被覆層に含まれる重合体マトリックスは、光学フィルムの製造に好適な当業者公知の重合性モノマーを重合することによって得ることができる。適合する重合性モノマーの例として、エポキシジアクリル酸、ハロゲン化エポキシジアクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニル、2‐フェノキシエチルアクリル酸、アクリルアミド、スチレン、ハロゲン化スチレン、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、ハロゲン化アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ハロゲン化アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ジアクリル酸脂肪族ウレタン、アクリル酸脂肪族ウレタンヘキサ、ヘキサアクリル酸芳香族ウレタン、ビスフェノール‐ジアクリル酸Aエポキシ、アクリル酸ノボラックエポキシ、アクリル酸ポリエステル、ジアクリル酸ポリエステル、アクリル酸キャップ化オリゴマー、またはこれ等の混合物、が挙げられる。好適な重合性モノマーの例には、ハロゲン化エポキシジアクリル酸、メタクリル酸メチル、2‐フェノキシエチルアクリル酸、脂肪族ウレタンジアクリル酸、脂肪族ウレタンヘキサアクリル酸、および芳香族ウレタンヘキサアクリル酸が含まれる。一つの実施形態における重合体マトリックスは、ポリカーボネート、テレフタル酸ポリエチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、エポキシ、およびアクリル酸から選択される材料を含む。本発明のBN充填材と共に用いられる重合体マトリックス材料の選定は、最終用途、樹脂の品質管理などを含む様々な要因に基づいて決定される。
【0042】
一つの実施形態における被覆層の重合体マトリックスは、三酢酸セルロース、テレフタル酸ポリエチレン、ジアセチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリ(メト)アクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート、芳香族ポリアミド、ポリオレフィン類、塩化ビニル由来の重合体、ポリ塩化ビニル、ポリサルフォン、ポリエーテル、ポリノルボルネン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトンおよび(メト)アクリロニトリルから成る群より選択される結合剤重合体を含む。もう一つの実施例における結合剤重合体はアクリル系またはメタクリル系重合体より選択される。第三の実施形態における結合剤重合体は、前記重合体またはこれ等の混合剤のフッ素誘導体である。
【0043】
任意成分:
光学フィルムは、光拡散性と熱伝導性を有した窒化ホウ素充填材に加え、その伝熱および光学特性に悪影響を殆ど与えない範囲で、有機、無機またはこれ等を混合した他の光拡散成分を含むことができる。一つの実施形態における光拡散フィルムは、ポリ(アクリル酸塩);ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などのポリ(メタクリル酸塩);ポリ (テトラフルオロエチレン)(PTFE);例えばMomentive Performance Materials Inc.からTOSPEARL(登録商標)の名称で入手可能な水素化ポリ(アルキル トリアルコキシシラン)などのシリコーン類;前記有機材料群の少なくとも一つを含む混合物にあって、アルキル基が1から12個の炭素原子を有した材料など任意の光拡散性有機材料をさらに含む。もう一つの実施形態における光拡散フィルムは、アンチモン、チタン、バリウムおよび亜鉛を含む光拡散性無機材料、例えば酸化亜鉛、酸化アンチモンなど前記材料の酸化物、硫化物、およびこれ等無機材料の少なくとも一つを含む混合物から成る任意の光拡散性無機材料をさらに含む。
【0044】
さらにもう一つの実施形態として、窒化ホウ素充填材/任意の拡散成分に加え、ベース基板または被覆層に、均染剤、光開始剤、消泡剤、帯電防止剤など当業者公知の添加剤を任意に加えることができる。
【0045】
光学フィルムまたはシートの作製方法:
一つの実施形態において光学フィルムまたはシートの基板に使用される成分は、まず公知の方法および装置を用いて混合、溶融混合、または溶融混練される。一つの実施形態では、光拡散性ポリカーボネート樹脂を窒化ホウ素および任意の光拡散添加剤と混合し、この混合物を適切な押出し機で溶融混練し、ペレットに成形する。次いでこのペレットを、押出し、射出成形、溶剤鋳造などの従来技術を使用して、本発明の光学フィルムまたはシートに成形し、商用の光拡散基板に加工する。本発明の実施形態の一つは、溶剤鋳造を用い、光位相差の少ない光拡散フィルムまたはシートを形成するものである。もう一つの実施形態における光学フィルムまたはシートは、保護層によってさらに被覆されており、この保護層は、ローラー被覆、スプレー被覆またはスクリーン印刷などの方法で形成される。
【0046】
光学フィルムまたはシートのもう一つの実施形態では、(本発明の窒化ホウ素充填材の有無に係らない)ベース基板を、さらに追加的なフィルムまたはシート層で被覆する。この被覆組成物は、(a)まず重合体マトリックスと光開始剤および(本発明の窒化ホウ素充填材を含む)充填材粒子を混合してコロイド状被覆組成物とし;(b)前記コロイド状被覆組成物を透明基板上に被覆して被覆層を成形し;(c)任意に前記被覆層を、ローラによるエンボス加工または熱間押出により光焦点構造に成形し;(d)前記被覆層を高温または常温におけるエネルギ線照射により硬化することにより作製することができる。一つの実施形態において、被覆材の硬化は、光重合反応を誘起するエネルギ線照射によって行われる。前記エネルギ線とは、紫外線、赤外線、可視光、熱線(照射または輻射)など、特定の波長域を有する光源を指し、好ましくは紫外線を指す。照射強度範囲は1から300mJ/cm2で、好ましくは10から100mJ/cm2である。
【0047】
本発明の光学フィルムまたはシートが被覆層として使用されるもう一つの実施形態では、被覆層組成物をマイクロレプリケーション(高精細表面複写)器具に接触させ;最後に前記被覆層組成物を重合反応させることによって、高精細表面を有し重合体内部に窒化ホウ素を含む被覆層を成形する。前記高精細表面は照度、輝度均一性または視野角などの調整機能を保有することができる。
【0048】
本発明の光学基板の応用と特性:
一つの実施形態における本発明の光学基板は、LCDパネルおよびLCDバックライトユニットを構成する様々な層状シートまたはフィルムに使用され、例えば偏光板フィルム、位相差版フィルム、輝度上昇フィルム(BEF:brightness enhancing
film)、光拡散フィルム、反射フィルム、旋光フィルム、および輝度上昇偏光一体型フィルムなどの一体型フィルムなどに使われるが、これ等に限定されるものではない。一つの実施形態として、前記フィルムは眼鏡や写真用レンズ表面からの望ましくない反射を低減するための、反射防止コートとして使用される。もう一つの実施形態として、前記フィルムは入射光の99%以上を反射する反射コート層として使用される。さらにもう一つの実施形態として、前記光学基板は投写型ディスプレイや信号機、電光表示板などの用途における旋光用に使用される。
【0049】
前記の光学基板として、反射板シート、光拡散板、輝度上昇フィルム、反射型偏光板などが、要求される特性、コストに応じ、様々な形態でLCD装置に使用される。またLCD装置には、冷陰極蛍光管(CCFL:cold-cathode
fluorescent light)、熱陰極蛍光管(HCFL:hot-cathode fluorescent light)、発光ダイオード(LED:light-emitting
diode)または有機発光ダイオード(OLED:light-emitting diode)などの光源や導光器などの部品が含まれ、特にバックライトにあっては、光源の種類および用途に応じバックライト当り一つ、二つ、場合によっては数千の光源が含まれる。
【0050】
一つの実施形態において、本発明の基板は導光板を有する面光源用途に使用される。本実施形態における光は、導光板の一端に設けられた光源から導光板に入射し、導光板の出口に設けられた本発明のBN粒子を含む光拡散層を通過する。
【0051】
もう一つの実施形態おける前記基板は、光を発生する光源、光を導く導光器、導光器から外方に光を反射するため前記導光器に沿って配置された反射器;キャビティーからの散逸光を反射し前記導光器に返すため前記導光器裏面に配置された反射フィルム;さらに拡散フィルムなど、前記導光器からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。
他の実施形態におけるバックライト表示装置は、光を発生する複数の光源;光拡散板;キャビティーからの散逸光を反射し導光器に返すため前記複数の光源の裏面に配置された反射膜;さらに拡散フィルムなど、前記光拡散板からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。 一つの実施形態における本発明の光拡散フィルムは、重合体マトリックスとして約95から約99.8重量%のポリカーボネート、および約0.2から約5重量%の窒化ホウ素粒子を含む。
【0052】
窒化ホウ素を含む光学基板の厚さは用途によるが、典型的には5μmから1cmの間である。一つの実施形態における光学フィルムまたはシートの厚さは0.25mmから約0.5mmとなっている。また一つの実施形態における光学フィルムまたはシート基板の厚さは1から50milの範囲である。一つの実施形態における光学フィルムまたはシートは窒化ホウ素粒子を含む被覆層を有しており、この被覆層の厚さは5から100μmである。もう一つの実施形態において、前記被覆層は10から40μmの厚さを有している。さらにもう一つの実施形態では、光学フィルム/シートの厚さは1cmまでとなっている。
【0053】
ヘイズは、光が透明な材料を通過する際の散乱または拡散によって起る現象である。ヘイズは、組成、成形プロセス、または表面テクスチャー(例えば表面のプリズム特性)など材料固有の因子によって引き起こされる。使用される窒化ホウ素の量および大きさを選ぶことで、光学フィルムまたはシートの透過/ヘイズ特性は、用途に応じて調整/制御することができる。光拡散器の実施形態では、高い透過性と高いヘイズ特性を実現するために十分な量のBNが重合体マトリックスに加えられる。もう一つの実施形態では、高い透過性と低いヘイズ特性を実現するために適合する大きさ、量の粒子がフィルムまたはシートの重合体マトリックスに加えられる。さらにもう一つの実施形態では、フィルムまたはシートが高い反射率と低いヘイズを有するように光学特性が調整される。一つの実施形態における光拡散フィルムまたはシートの透過率は少なくとも70%で、ヘイズは少なくとも10%である。もう一つの実施形態における光拡散フィルムまたはシートは、ヘイズが85%から95%で全光透過率が80から90%となるように作られている。
【0054】
本発明の窒化ホウ素を加えた一つの実施形態では、そこから発生する光の拡散を改善することができる。光の拡散は変調伝達比(MTR:Modulation Transfer Ratio)によって測定することができる。MTR試験では、変調比が大きくなるほどコントラストが高くなる。MTRは強度波形から計算され(最高強度と最低強度の比)、すなわち波形がどの程度不鮮明であるかを示すものである。「平均値」は波形強度の平均値、すなわち光の透過量を示す。一つの実施形態における光学フィルムは、LCDの拡散フィルムとして使用され、そのMTRは500未満である。第二の実施形態における本発明の拡散フィルムは、300未満のMTRを有している。第三の実施形態における本発明の拡散フィルムは、十分な量のサブミクロンBN粒子を含み、そのMTRは100未満である。
【0055】
一つの実施形態において、窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズはナノメータスケールであり、マトリックス材料に添加した際の拡散機能を最小に抑えるようになっている。この粒子は主にマトリックス材料の屈折率を増加させるために使用される。前記本発明の光学フィルムは少なくとも1.5の屈折率を有する輝度上昇フィルムとして使用される。第二の実施形態では、本発明の輝度上昇フィルムに十分な量の窒化ホウ素を加え、屈折率を少なくとも1.55に調整している。第三の実施形態における本発明の窒化ホウ素を加えた輝度上昇フィルムは少なくとも1.6の屈折率を有する。
【0056】
容積拡散器としての一つの実施形態において、窒化方素粒子はマトリックス材に加えられた際に大きな拡散機能を発揮する様、サブミクロンの大きさを有している。
【0057】
大きな窒化ホウ素粒子を用いる光拡散基板の一つの実施形態では、光拡散基板として使用される光学フィルムの表面が極めて良好な表面粗さを有していることを特徴としている。平均一次粒子サイズが4μm未満の窒化ホウ素充填材を用いる本発明の一つの実施形態の場合、フィルムの中心線平均表面粗さRaは0.1μm以下、十点平均高さRzは1μm以下、最大高さRmaxは1μm以下となっている。もう一つの実施形態における窒化ホウ素の平均一次粒子サイズは2μm未満で、その表面粗さは十点平均高さRzが0.5μm以下、最大高さRmaxが5μm以下である。平均一次粒子サイズが1μm未満の窒化ホウ素を使用したもう一つの実施形態では、表面粗さが十点平均高さRzで0.3μm以下となっている。
【0058】
一つの実施形態として、本発明の光学フィルムは輝度上昇フィルムに用いられ、その表面は複数の凸部を含む光学的な構造を有している。一つの実施形態における前記凸部は、米国特許出願公開2005/0059766号に図示される対称形の稜線と溝の繰り返し模様の形態を取っている。輝度上昇フィルムのもう一つの実施形態におけるフィルムは、米国特許出願公開2006/0256444号に開示されるランダム、または少なくとも擬似ランダムな変調機能構造を有する表面として定義される三次元表面により特徴付けられている。上記実施形態の光学的構造の高さは用途によって決まるが、典型的には100nmから5μmの間である。
【0059】
以下、本発明について非限定的な例を用いてさらに説明を行う。
【0060】
実施例1:平均一次粒子サイズが243nmの窒化ホウ素と、平均一次粒子サイズが170nmのTiO2を比較する。TiO2は従来技術の光学フィルム充填材として使用されている。下記の成分に基づきサブミクロンのBN粒子またはTiO2粒子を含む組成物についてMTR測定結果を比較する。第三の組成ではBN粒子の量を半分とし、代わりにMomentive Performance Materials製のTospearl 3210のシリコーン球状ミクロ粒子が配合されている。
【0061】
MTRおよび平均値はピクセル値で表している。MTR値は拡散率を反映するもので、その値が低いほど不鮮明さの度合いが高い。「平均」強度は測定領域における全透過光の空間平均を表す。いずれのフィルムも透過率が50%であるため、平均強度は似通った値となっている。
【0062】
成分には以下の添加物が含まれている:粒子10%、SF1528(Momentive Performance Materials)10%、600M cstk PDMS 22.8%、D5 57.2%。 前記組成物を、湿潤厚さ25μmのフィルムに引抜成形した。透過試験では、いずれのフィルムも約50%の同等な透過率を示す。試験結果は次の通りである。:a)無添加のマスク/フィルム、MTR値3766(平均値1537);b)TiO2を含む組成、MTR値550(平均値356);c)サブミクロンBNを含む組成、MTR値6(平均値349);およびd)BNおよびTospearl3120を含む組成、MTR値580(平均値377)。
【0063】
実施例2: 表1に各例における組成物の成分を示す。
表1.実施例2の組成物成分。
【0064】
登録商標EM210(2‐フェノキシアクリル酸エチル、Eternal Corp.より販売)と登録商標624−100(アクリル酸エポキシ、Eternal Corp.より販売)を表1の重量比に従い混合し、攪拌を行いながら重合開始剤(ベンゾフェノン、登録商標Chivacure、Two Bond Chemicalより販売)を加える。次いで、窒化ホウ素PolarTherm PT120(Momentive Performance Materialより販売)を前記混合物に加え、コロイド状の被覆材組成物を作製する。このコロイド状被覆材組成物をPET基板(U34、TORAY Corp.より販売)に被覆し、乾燥後厚さ25μmの光学フィルムとする。
【0065】
上述の方法で作製した光学フィルムについて屈折率と熱伝導率を測定した。窒化ホウ素粒子を基板の表面に組み込んだ被覆材の屈折率は、窒化ホウ素粒子を組み込んでいない被覆材のそれとほぼ同等であるが、前者の熱伝導率は後者に比べ少なくとも10%増大する。従って、光学フィルム上の光焦点構造の割れ、波打ち、変形を窒化ホウ素の添加により防ぐことができ、LCDパネルの輝度を高めることができる。
【0066】
本明細書は最良の実施形態を含む実施例を用いで本発明を開示するもので、当業者が本発明の製品を作製しまた利用できるようにするものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は窒化ホウ素粒子を含む光学基板に関するもので、具体的には優れた熱伝導性を具備した光学フィルムまたはシートに関するものであり、さらに具体的には窒化ホウ素粒子を含み、光を操作する光学フィルムまたはシートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、従来の陰極管(CRT:Cathode Ray Tube)は、軽量、薄型、小型で殆ど放射の無い液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)に徐々に置き換わりつつある。LCDの特長は熱発生が少なく消費電力が少ない点にある。LCDには、偏光フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルムなど様々なフィルムが積層されている。
【0003】
光学フィルムの公知形態の一つとして、連続マトリックス内部に介在物を分散させたフィルム構造が知られている。このような介在物の特性により、フィルムの反射率や透過率特性の範囲を操作することができる。これらの特性は、光の波長に対するフィルム内介在物の大きさ、形状、方位、体積充填率、およびフィルムの連続マトリックス内部の三元直交軸に沿った反射率の不整合を調整することなどにより調整できる。
【0004】
光学フィルムの公知技術のもう一つ形態として前記フィルムは、要求される明度、光拡散特性、放射光の均一性などを満たした光学的に透明で硬い皮膜として特徴づけられている。ある公知の実施形態では、フィルムに微小粗さを施した非ニュートン裏面皮膜を形成し、モアレ干渉を防止すると共に、化学的、物理的損傷に耐えうる表面皮膜を形成している。他の実施形態では、LCD組立工程で光拡散シートを別に組み込む必要性を低減するため、偏光フィルムの表面に梨地仕上げを施し、光拡散機能を一体化した形態の光学フィルムがある。
【特許文献1】米国特許第6,652,822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
LCDパネルは従来のCRTディスプレイに比べ熱・電力の消費が少ないが、それでも無視できない量の熱が発生し、光学フィルムのしわ、波打ちおよび/または亀裂の発生原因となり、その光学的性質や見た目に悪影響を与える。
【0006】
LCD装置から発生する過剰な熱によるしわ、波打ちおよび/または亀裂の発生リスクを最小限にするため、熱伝導性の改善された光学基板、すなわちフィルムおよびシートが必要とされてきている。本発明は、従来技術の分散物に比べ熱伝導性に優れた分散物を有し、LCD内の発熱問題を最小化するために必要とされる熱伝導性を有した光学基板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの観点は光学基板を提供することにある。前記光学基板は窒化ホウ素粒子を含む重合体またはガラスマトリックスを少なくとも一層含む。窒化ホウ素の含有量は、前記層の総重量に対し0.1から10重量%の範囲である。
【0008】
また本発明はバックライト表示装置に関連するもので、一つの実施形態は、光を発生する光源、光を導く導光器、導光器から外方に光を反射するため前記導光器に沿って配置された反射器;キャビティーからの散逸光を反射し前記導光器に返すため前記導光器裏面に配置された反射フィルム;さらに拡散フィルムなど、前記導光器からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。もう一つの実施形態におけるバックライト表示装置は、光を発生する複数の光源;光拡散板;キャビティーからの散逸光を反射し導光器に返すため前記複数の光源の裏面に配置された反射膜;さらに拡散フィルムなど、前記光拡散板からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。前記光拡散フィルムは、約95から約99.8重量%の重合体ベースマトリックスに約0.2から約5重量%の窒化ホウ素粒子を含む。
【発明の効果】
【0009】
ここで使用する近似語は、それが関連する定量表現を本質的な機能を変更することなく修飾するものである。従って、「およそ」あるいは「本質的に」などの近似語で修飾される数値は、ある場合、必ずしもその数値の示す正確な値に限定されるものではない。
【0010】
数値範囲を終点で示す場合、その範囲に含まれる全ての数値を包含するものとする。(例えば、「1から5」と表記する場合、1,1.5,2,2.75,3,3.80,4, および5はその範囲内に含まれる。)
【0011】
本明細書および請求範囲で使用される名詞は、単数であることが明示される場合を除いて、複数として扱われる。例えば「化合物を含む成分」と言う表記は、一つ以上の化合物の混合物を含むものとする。また特に明示されない場合、単体の元素は一般性を喪失しない範囲で単複両方の意味を含むものとする。
【0012】
本明細書および請求範囲で使用される「または」と言う表記は、その文章内容が別の意味を明示する場合を除いて「および/または」と言う意味を一般に含むものとする。
【0013】
ここで使用する「光学基板」と言う用語は、光学的特性を有するシート、薄膜、フィルムまたは層を示すものとする。一つの実施形態として、光学基板はレンズ、鏡、LCDパネル、LCDバックライトユニットなど、所定の電磁エネルギ波長に曝された際に光の審美的光学効果、反射、透過、吸収、屈折など所望する光学特性を発揮できるように設計された光学部品である。
【0014】
「重合体」と言う用語は、重合体、共重合体(例えば二つ以上の異なる単量体(モノマー)を使用して形成された重合体)、オリゴマーおよびこれ等の組み合わせを含み、例えば共押出しやエステル交換を含む反応によって混和される重合体、オリゴマー、共重合体も同様に含むものとする。特に別の意味が明示されない限り、ブロック、ランダムいずれの共重合体も含むものとする。
【0015】
ここで定義される「屈折率」とは材料の絶対屈折率を表し、自由空間における電磁波放射速度と当該材料中における電磁波放射速度の比として理解される。屈折率は公知の方法により測定することが出来、一般には可視光範囲でアッベ(Abbe)屈折計を用いて測定される。
【0016】
ここにおける「コロイド」と言う用語は直径がおよそ200ミクロン未満の粒子(一次粒子または付随的粒子)として定義される。
【0017】
前記の「付随的粒子」とは2つ以上の一次粒子が凝結および/または凝集したグループを意味する。
【0018】
前記の「凝結」とは化学的結合または他の作用による一次粒子同士の強いつながりを意味する。凝結体をさらに細かい粒子に砕くことは困難である。
【0019】
前記の「凝集」とは電荷、極性または他の物理的力により纏まった一次粒子同士の弱いつながりを意味するもので、さらに細かく粉砕することが可能である。
【0020】
ここで定義される「一次粒子サイズ」とは、つながりを持たない単体粒子のサイズを意味する。
【0021】
ここで定義される「ゾル」とは、コロイド粒子が液相中に分散または懸架したものである。
【0022】
ここで用いる全ての百分率および比率は全組成重量に対する重量比であり、別の明記が無い限り、25℃での測定値である。別の明記が無い限り、ここで用いる全ての百分率、比率および成分の水準は、当該成分の実量に基づくもので、溶剤、充填材、その他、市販製品において当該成分に時として組み合わされる他の材料を含まないものとする。
【0023】
窒化ホウ素は高い熱伝導性により特徴付けられ、すなわちプレス直角方向で33W/m・Kの熱伝導性を有している。(およそ理論密度の90から95%に熱間プレス成形したBNで測定した場合。)一方、従来の光学基板充填材に汎用されるアルミナおよびジルコニアの熱伝導率はそれぞれ18W/m・Kおよび2W/m・Kである。本発明の光学基板は窒化ホウ素を含む層を少なくとも一つ含んでおり、例えば基板そのもの、または基板上に配置される被覆層の中に窒化ホウ素を含むことによって、要求される光学特性と共に、従来の充填材に比べ優れた熱伝導性を有している。
【0024】
いくつかの実施形態では、光学基板の光学特性は使用する窒化ホウ素粒子の大きさにより調整することが出来る。ある実施形態では、例えば平均一時粒子サイズが10−50nm以下という非常に小さな粒子を用いることで、光学基板の屈折率を増大させ、輝度上昇フィルムなどの用途への適用を可能にしている。やや大きなBN粒子を用いる第二の実施形態では、およそ100から500nmの粒子を用いる。屈折率が十分に異なるマトリックス中では、当該BN粒子は光を放散/散乱させることができるため、前記光学基板フィルムを体積拡散層などの用途に使用する事が出来る。第三の実施形態ではより大きなミクロンサイズの粒子を用い、BN充填材に表面散乱拡散機能を持たせている。
【0025】
窒化ホウ素成分:
本発明の光学基板に用いる窒化ホウ素(BN)は、Momentive Performance Materials, Ceradyne ESK,Sintec Keramik,Kawasaki ChemicalsおよびSt. Gobain Ceramicsなど多くの発売元から入手が可能である。BNは、非晶質窒化ホウ素(ここではa‐BNと表記)、六角形のメッシュ構造を積層した六方構造の窒化ホウ素(h‐BN板状粒子と表記)、六角形のメッシュ構造をランダムに積層した乱層構造の窒化ホウ素(t‐BNと表記)、球状窒化ホウ素、およびこれ等の混合物の何れかの形態を取る。一つの実施形態におけるBNは乱層構造、六方構造、球状、またはこれ等を混合した構造を有する。
【0026】
一つの実施形態における窒化ホウ素充填材は、米国特許第6,652,822号に開示されるプラズマガスを利用した方法により作られたミクロンサイズ範囲の粒子を含んでいる。またもう一つの実施形態における球状窒化ホウ素充填材は、米国特許出願公開2001/0021740号に開示されるhBN球状凝集体、すなわち不規則・非球状のBN粒子をバインダーで結合しその後噴霧乾燥した球状凝集体を含んでいる。さらにもう一つの実施形態におけるBN充填材は米国特許第5,898,009号および米国特許第6,048,511号に開示されるプレス工程によって作製されたh‐BN粉末、米国特許出願公開2005/0041373号に開示されるBN凝集粉末、米国特許出願公開2004/0208812A1号に開示される高い熱放散性を有するBN粉末、および米国特許第6,951,583号に開示される高度に剥離されたBN粉末を含んでいる。
【0027】
一つの実施形態におけるBN粉末は、2から25m2/gの表面積を有している。もう一つの実施形態における充填材は、1ミクロン(1000nm)未満の平均粒子サイズを有するサブミクロン窒化ホウ素で、その表面積(BET法により測定される)は少なくとも100m2/gである。さらにもう一つの実施形態におけるBN粉末は、BET表面積が少なくとも450m2/gである。第三の実施形態におけるBN粉末は、200から900m2/gのBET表面積範囲を有するサブミクロン粉末である。サブミクロン窒化ホウ素は様々な公知技術により製造することが出来る。一つの工程では、アンモニア雰囲気下で化学気相蒸着法とトリメトキシボランの熱分解反応を組み合わせることにより、粒径分布が50から400nmの均一な球状窒化ホウ素を合成することが出来る。第二の工程では、市販の(サイズが1ミクロンより大きい)BN凝集体粉末を超音波槽内の水および表面活性剤中に懸架し、超音波粉砕することによりサブミクロン窒化ホウ素を作ることが出来る。サブミクロン窒化ホウ素はオハイオ州StrongsvilleのMomentive Performance Materialsなど、多くの発売元から市販されている。
【0028】
一つの実施形態において、前記BN粒子は少なくとも50ミクロン(μm)の平均粒子サイズを有している。もう一つの実施形態におけるBN粉末の一次粒子サイズは平均0.1から200μmである。さらにもう一つの実施形態におけるBN粉末の粒子サイズは平均5から500μmである。第四の実施形態における平均粒子サイズは10から100μmである。第五の実施形態におけるBN粒子の平均粒子サイズは1から30μmである。第六の実施形態におけるBN粒子は板状hBNの不規則形状凝集体を含み、10μmを越える平均粒子サイズを有している。
【0029】
第一の実施形態では、BN粉末は一次粒子平均サイズが0.1μm(100nm)から0.8(800nm)範囲のサブミクロン粒子である。第二の実施形態におけるBN粉末は平均サイズが200nmから700nmである。第三の実施形態におけるBN粉末は平均サイズが200nmから600nmである。第四の実施形態におけるBN粉末は一次粒子平均サイズが200nmから500nmである。第五の実施形態におけるサブミクロンBN粉末は一次粒子平均サイズが50nm未満である。第六の実施形態では、サブミクロンBN粉末は、例えば輝度上昇フィルムに用いられ、一次粒子平均サイズが5から50nmである。
【0030】
もう一つの実施形態におけるBN粒子は、板状hBNの球状凝集体の形態を有している。一つの実施形態における前記凝集体の平均凝集体サイズ分布は直径10から500μmである。もう一つの実施形態におけるBN粒子は球状凝集体で、その平均凝集体サイズ分布は30から125μmの範囲である。一つの実施形態における平均凝集体サイズ分布は74から100μmである。もう一つの実施形態では10から40μmである。
【0031】
一つの実施形態におけるBN粉末はb軸に沿った平均長さが少なくともおよそ1μm、典型的には1から20μmで、厚さがおよそ5μm以下の小板状である。もう一つの実施形態におけるBN粉末はアスペクト比がおよそ50からおよそ300の小板状である。
【0032】
一つの実施形態におけるBNは、高度に規則的な六法構造を有するh−BN粉末で、その結晶化率は少なくとも0.12である。もう一つの実施形態では、BN粉末の結晶化率はおよそ0.2から0.55で、さらにもう一つの実施形態では、BN粉末の結晶化率はおよそ0.3から0.55である。もう一つ別の実施形態におけるBN粉末は少なくとも0.55の結晶化率を有している。一つの実施形態におけるBN粉末は0.1から0.5重量%範囲の酸素を含有している。もう一つの実施形態におけるBN粉末はサブミクロンサイズで、その酸素含有量は10から15重量%である。
【0033】
一つの実施形態において、窒化ホウ素粒子は表面処理剤により機能化または処理されている。一般的に、表面処理剤は一端が粒子表面に(共有結合、イオン結合または強い物理吸着によって)結合し、もう一端が粒子と樹脂との適合性を与えるか、または光学フィルム樹脂マトリックスと反応する。表面処理剤の例としては、シラン、シラザン、シロキサンなどのオルガノシロキサン化合物;アルコール;アミン;カルボン酸;スルホン酸;リン酸;ジルコン酸塩:チタン酸塩などがあるが、これ等に限定されるものではない。
【0034】
表面改質剤の必要量は、窒化法素粒子のサイズ、粒子のタイプ(球状または板状)、改質剤の分子量、改質剤の種類および表面処理の方法などの因子に依存する。一つの実施形態における窒化ホウ素は、光学フィルム組成物に使用される前に、酸または塩基性の高温雰囲気で1から24時間、シランによって処理される。
【0035】
一つの実施形態における窒化ホウ素粒子はまず含酸素置換基を含むカルボン酸改質剤によって官能化される。このような改質剤の例として、2‐[2‐(2‐メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)、2‐(2‐メトキシエトキシ)酢酸(MEAA)、およびモノ(ポリエチレングリコール)コハク酸などのカルボン酸ポリエーテルなどがある。もう一つの実施形態では窒化ホウ素粒子を、カルボン酸官能基を有する非極性改質剤によって官能化する。このような改質剤の例にはオクタン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびこれ等の組み合わせが含まれる。あるいくつかの実施形態では、前記カルボン酸は重合可能な有機マトリックス中で反応できる。(例えば、前記カルボン酸が重合可能な基を有している。)他の実施形態における前記カルボン酸は重合可能基を有するカルボン酸と、重合可能基を有さないカルボン酸の両者を含んでいる。反応性カルボン酸表面改質剤(例えば、重合可能基を有するカルボン酸)には、例としてアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸β−カルボキシエチル、モノ‐2‐(メタクリロキシエチル)コハク酸およびこれ等の組み合わせなどが含まれる。モノ(メタクリロキシポリエチレングリコール)コハク酸はBN粒子に極性と反応性を付与するのに有効な表面改質剤である。この材料は、放射線効果型のアクリル系および/またはメタクリル系有機マトリックス材への添加剤として特に好適である。
【0036】
一つの実施形態において、窒化ホウ素粒子はまずシランにより官能化される。このようなシランの例として、n‐オクチルトリメトキシシラン、n‐オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシランおよびヘキシルトリメトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン;3‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3‐(メタクリロキシ)プロピルトリエトキシシランなどのメタクリロキシアルキルトリアルコキシシランまたはアクリロキシアルキルトリアルコキシシラン;3‐(メタクリロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3‐(アクリロキシプロピル)メチルジメトキシシランなどのメタクリロキシアルキルアルキルジアルコキシシランまたはアクリロキシアルキルアルキルジアルコキシシラン;3‐(メタクリロキシ)プロピルジメチルエトキシシランなどのメタクリロキシアルキルジアルキルアルコキシシランまたはアシルロキシアルキルジアルキルアルコキシシラン;3‐メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトアルキルトリアルコキシルシラン;スチリルエチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランおよびp‐トリルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン;ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ‐t‐ブトキシシラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシランおよびビニルトリス(2‐メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン;グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの3‐グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン;カルバミン酸N‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチル(PEG3TES)、カルバミン酸N‐(3‐トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチル(PEG2TES)およびSILQUEST A‐1230などのポリエーテルシラン;およびこれ等の組み合わせがあるが、これ等に限定されるものではない。
【0037】
一つの実施形態において、BN粉末の面内(c軸に垂直なab面)および透過方向(c軸に平行方向)の屈折率はそれぞれ1.65および2.13である。(T. Ishii and T. Sato, Growth of Single Crystals of Hexagonal Boron Nitride, Journal of Crystal Growth 61 (1983) 689‐690).しかしながら、従来技術における充填材、すなわちポリ(メタクリル酸メチル)およびTospearl(登録商標)ポリメチルシルセスキオキサンなどに比較すると、窒化ホウ素は屈折率の異方性により異方性の無い材料に比べ優れた複屈折特性を発揮する。
【0038】
一つの実施形態にいて、窒化ホウ素は光学フィルム組成物に分散物として加えられ、その量は、光学フィルムが必要とする特性、例えば屈折率、拡散率、硬さ、耐久性などを維持しつつ、同時に窒化ホウ素を加えない場合に比べ、熱伝導率が少なくとも10%増大する量、添加される。第一の実施形態におけるBN粉末の添加量は、BN粉末を含む層全体の重量の0.1から10重量%である。第二の実施形態では、この量は0.5から5重量%である。第三の実施形態におけるBN粉末は反射防止フィルムまたは拡散フィルムに使用され、その添加量は0.5から8重量%の範囲であるが、皮膜に対しては反射防止フィルムとして要求される十分な光拡散性能を供与している。第四の実施形態におけるBN粉末の添加量は0.2から5重量%であるが、この際のフィルムの屈折率は少なくとも1.5である。
【0039】
ベースマトリックス:
窒化ホウ素粒子はフィルムの光学基板を形成するマトリックスに組み入れることができる。もう一つの実施形態として、窒化ホウ素粒子を光学フィルムの基板に配置された透明な被覆層に組み入れることもできる。
【0040】
本発明の光学フィルム基板層は、ガラス、プラスチックなど当業者公知のあらゆる形態の材料が用いられ、全基板層の90から99.8重量%を占める。光学的層のプラスチック材料には、十分に高い屈折率を有するあらゆる好適な材料を使用する事ができる。重合体料の屈折率は多くの場合、少なくとも1.40、少なくとも1.45、または少なくとも1.50である。当該プラスチック基板材料の材質は特に具体的に限定されず、スチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂;三酢酸セルロース(TAC)、およびこれ等の混合物の使用が可能であるが、これ等に限定されるものではない。一つの実施形態において、基板マトリックスはポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、またはこれ等の混合物から選択される材料を含んでいる。もう一つの実施形態における基板マトリックスはテレフタル酸ポリエチレン(PET)を含んでいる。
【0041】
一つの実施形態として、窒化ホウ素粒子は光学フィルムの基板上に配置された透明な被覆層中に組み入れられる。本発明の光学フィルムにおける被覆層に含まれる重合体マトリックスは、光学フィルムの製造に好適な当業者公知の重合性モノマーを重合することによって得ることができる。適合する重合性モノマーの例として、エポキシジアクリル酸、ハロゲン化エポキシジアクリル酸、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニル、2‐フェノキシエチルアクリル酸、アクリルアミド、スチレン、ハロゲン化スチレン、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、ハロゲン化アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ハロゲン化アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ジアクリル酸脂肪族ウレタン、アクリル酸脂肪族ウレタンヘキサ、ヘキサアクリル酸芳香族ウレタン、ビスフェノール‐ジアクリル酸Aエポキシ、アクリル酸ノボラックエポキシ、アクリル酸ポリエステル、ジアクリル酸ポリエステル、アクリル酸キャップ化オリゴマー、またはこれ等の混合物、が挙げられる。好適な重合性モノマーの例には、ハロゲン化エポキシジアクリル酸、メタクリル酸メチル、2‐フェノキシエチルアクリル酸、脂肪族ウレタンジアクリル酸、脂肪族ウレタンヘキサアクリル酸、および芳香族ウレタンヘキサアクリル酸が含まれる。一つの実施形態における重合体マトリックスは、ポリカーボネート、テレフタル酸ポリエチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、エポキシ、およびアクリル酸から選択される材料を含む。本発明のBN充填材と共に用いられる重合体マトリックス材料の選定は、最終用途、樹脂の品質管理などを含む様々な要因に基づいて決定される。
【0042】
一つの実施形態における被覆層の重合体マトリックスは、三酢酸セルロース、テレフタル酸ポリエチレン、ジアセチルセルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、ポリ(メト)アクリル酸系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート、芳香族ポリアミド、ポリオレフィン類、塩化ビニル由来の重合体、ポリ塩化ビニル、ポリサルフォン、ポリエーテル、ポリノルボルネン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトンおよび(メト)アクリロニトリルから成る群より選択される結合剤重合体を含む。もう一つの実施例における結合剤重合体はアクリル系またはメタクリル系重合体より選択される。第三の実施形態における結合剤重合体は、前記重合体またはこれ等の混合剤のフッ素誘導体である。
【0043】
任意成分:
光学フィルムは、光拡散性と熱伝導性を有した窒化ホウ素充填材に加え、その伝熱および光学特性に悪影響を殆ど与えない範囲で、有機、無機またはこれ等を混合した他の光拡散成分を含むことができる。一つの実施形態における光拡散フィルムは、ポリ(アクリル酸塩);ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)などのポリ(メタクリル酸塩);ポリ (テトラフルオロエチレン)(PTFE);例えばMomentive Performance Materials Inc.からTOSPEARL(登録商標)の名称で入手可能な水素化ポリ(アルキル トリアルコキシシラン)などのシリコーン類;前記有機材料群の少なくとも一つを含む混合物にあって、アルキル基が1から12個の炭素原子を有した材料など任意の光拡散性有機材料をさらに含む。もう一つの実施形態における光拡散フィルムは、アンチモン、チタン、バリウムおよび亜鉛を含む光拡散性無機材料、例えば酸化亜鉛、酸化アンチモンなど前記材料の酸化物、硫化物、およびこれ等無機材料の少なくとも一つを含む混合物から成る任意の光拡散性無機材料をさらに含む。
【0044】
さらにもう一つの実施形態として、窒化ホウ素充填材/任意の拡散成分に加え、ベース基板または被覆層に、均染剤、光開始剤、消泡剤、帯電防止剤など当業者公知の添加剤を任意に加えることができる。
【0045】
光学フィルムまたはシートの作製方法:
一つの実施形態において光学フィルムまたはシートの基板に使用される成分は、まず公知の方法および装置を用いて混合、溶融混合、または溶融混練される。一つの実施形態では、光拡散性ポリカーボネート樹脂を窒化ホウ素および任意の光拡散添加剤と混合し、この混合物を適切な押出し機で溶融混練し、ペレットに成形する。次いでこのペレットを、押出し、射出成形、溶剤鋳造などの従来技術を使用して、本発明の光学フィルムまたはシートに成形し、商用の光拡散基板に加工する。本発明の実施形態の一つは、溶剤鋳造を用い、光位相差の少ない光拡散フィルムまたはシートを形成するものである。もう一つの実施形態における光学フィルムまたはシートは、保護層によってさらに被覆されており、この保護層は、ローラー被覆、スプレー被覆またはスクリーン印刷などの方法で形成される。
【0046】
光学フィルムまたはシートのもう一つの実施形態では、(本発明の窒化ホウ素充填材の有無に係らない)ベース基板を、さらに追加的なフィルムまたはシート層で被覆する。この被覆組成物は、(a)まず重合体マトリックスと光開始剤および(本発明の窒化ホウ素充填材を含む)充填材粒子を混合してコロイド状被覆組成物とし;(b)前記コロイド状被覆組成物を透明基板上に被覆して被覆層を成形し;(c)任意に前記被覆層を、ローラによるエンボス加工または熱間押出により光焦点構造に成形し;(d)前記被覆層を高温または常温におけるエネルギ線照射により硬化することにより作製することができる。一つの実施形態において、被覆材の硬化は、光重合反応を誘起するエネルギ線照射によって行われる。前記エネルギ線とは、紫外線、赤外線、可視光、熱線(照射または輻射)など、特定の波長域を有する光源を指し、好ましくは紫外線を指す。照射強度範囲は1から300mJ/cm2で、好ましくは10から100mJ/cm2である。
【0047】
本発明の光学フィルムまたはシートが被覆層として使用されるもう一つの実施形態では、被覆層組成物をマイクロレプリケーション(高精細表面複写)器具に接触させ;最後に前記被覆層組成物を重合反応させることによって、高精細表面を有し重合体内部に窒化ホウ素を含む被覆層を成形する。前記高精細表面は照度、輝度均一性または視野角などの調整機能を保有することができる。
【0048】
本発明の光学基板の応用と特性:
一つの実施形態における本発明の光学基板は、LCDパネルおよびLCDバックライトユニットを構成する様々な層状シートまたはフィルムに使用され、例えば偏光板フィルム、位相差版フィルム、輝度上昇フィルム(BEF:brightness enhancing
film)、光拡散フィルム、反射フィルム、旋光フィルム、および輝度上昇偏光一体型フィルムなどの一体型フィルムなどに使われるが、これ等に限定されるものではない。一つの実施形態として、前記フィルムは眼鏡や写真用レンズ表面からの望ましくない反射を低減するための、反射防止コートとして使用される。もう一つの実施形態として、前記フィルムは入射光の99%以上を反射する反射コート層として使用される。さらにもう一つの実施形態として、前記光学基板は投写型ディスプレイや信号機、電光表示板などの用途における旋光用に使用される。
【0049】
前記の光学基板として、反射板シート、光拡散板、輝度上昇フィルム、反射型偏光板などが、要求される特性、コストに応じ、様々な形態でLCD装置に使用される。またLCD装置には、冷陰極蛍光管(CCFL:cold-cathode
fluorescent light)、熱陰極蛍光管(HCFL:hot-cathode fluorescent light)、発光ダイオード(LED:light-emitting
diode)または有機発光ダイオード(OLED:light-emitting diode)などの光源や導光器などの部品が含まれ、特にバックライトにあっては、光源の種類および用途に応じバックライト当り一つ、二つ、場合によっては数千の光源が含まれる。
【0050】
一つの実施形態において、本発明の基板は導光板を有する面光源用途に使用される。本実施形態における光は、導光板の一端に設けられた光源から導光板に入射し、導光板の出口に設けられた本発明のBN粒子を含む光拡散層を通過する。
【0051】
もう一つの実施形態おける前記基板は、光を発生する光源、光を導く導光器、導光器から外方に光を反射するため前記導光器に沿って配置された反射器;キャビティーからの散逸光を反射し前記導光器に返すため前記導光器裏面に配置された反射フィルム;さらに拡散フィルムなど、前記導光器からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。
他の実施形態におけるバックライト表示装置は、光を発生する複数の光源;光拡散板;キャビティーからの散逸光を反射し導光器に返すため前記複数の光源の裏面に配置された反射膜;さらに拡散フィルムなど、前記光拡散板からの光を受け入れる一連の光学フィルム;を含む。 一つの実施形態における本発明の光拡散フィルムは、重合体マトリックスとして約95から約99.8重量%のポリカーボネート、および約0.2から約5重量%の窒化ホウ素粒子を含む。
【0052】
窒化ホウ素を含む光学基板の厚さは用途によるが、典型的には5μmから1cmの間である。一つの実施形態における光学フィルムまたはシートの厚さは0.25mmから約0.5mmとなっている。また一つの実施形態における光学フィルムまたはシート基板の厚さは1から50milの範囲である。一つの実施形態における光学フィルムまたはシートは窒化ホウ素粒子を含む被覆層を有しており、この被覆層の厚さは5から100μmである。もう一つの実施形態において、前記被覆層は10から40μmの厚さを有している。さらにもう一つの実施形態では、光学フィルム/シートの厚さは1cmまでとなっている。
【0053】
ヘイズは、光が透明な材料を通過する際の散乱または拡散によって起る現象である。ヘイズは、組成、成形プロセス、または表面テクスチャー(例えば表面のプリズム特性)など材料固有の因子によって引き起こされる。使用される窒化ホウ素の量および大きさを選ぶことで、光学フィルムまたはシートの透過/ヘイズ特性は、用途に応じて調整/制御することができる。光拡散器の実施形態では、高い透過性と高いヘイズ特性を実現するために十分な量のBNが重合体マトリックスに加えられる。もう一つの実施形態では、高い透過性と低いヘイズ特性を実現するために適合する大きさ、量の粒子がフィルムまたはシートの重合体マトリックスに加えられる。さらにもう一つの実施形態では、フィルムまたはシートが高い反射率と低いヘイズを有するように光学特性が調整される。一つの実施形態における光拡散フィルムまたはシートの透過率は少なくとも70%で、ヘイズは少なくとも10%である。もう一つの実施形態における光拡散フィルムまたはシートは、ヘイズが85%から95%で全光透過率が80から90%となるように作られている。
【0054】
本発明の窒化ホウ素を加えた一つの実施形態では、そこから発生する光の拡散を改善することができる。光の拡散は変調伝達比(MTR:Modulation Transfer Ratio)によって測定することができる。MTR試験では、変調比が大きくなるほどコントラストが高くなる。MTRは強度波形から計算され(最高強度と最低強度の比)、すなわち波形がどの程度不鮮明であるかを示すものである。「平均値」は波形強度の平均値、すなわち光の透過量を示す。一つの実施形態における光学フィルムは、LCDの拡散フィルムとして使用され、そのMTRは500未満である。第二の実施形態における本発明の拡散フィルムは、300未満のMTRを有している。第三の実施形態における本発明の拡散フィルムは、十分な量のサブミクロンBN粒子を含み、そのMTRは100未満である。
【0055】
一つの実施形態において、窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズはナノメータスケールであり、マトリックス材料に添加した際の拡散機能を最小に抑えるようになっている。この粒子は主にマトリックス材料の屈折率を増加させるために使用される。前記本発明の光学フィルムは少なくとも1.5の屈折率を有する輝度上昇フィルムとして使用される。第二の実施形態では、本発明の輝度上昇フィルムに十分な量の窒化ホウ素を加え、屈折率を少なくとも1.55に調整している。第三の実施形態における本発明の窒化ホウ素を加えた輝度上昇フィルムは少なくとも1.6の屈折率を有する。
【0056】
容積拡散器としての一つの実施形態において、窒化方素粒子はマトリックス材に加えられた際に大きな拡散機能を発揮する様、サブミクロンの大きさを有している。
【0057】
大きな窒化ホウ素粒子を用いる光拡散基板の一つの実施形態では、光拡散基板として使用される光学フィルムの表面が極めて良好な表面粗さを有していることを特徴としている。平均一次粒子サイズが4μm未満の窒化ホウ素充填材を用いる本発明の一つの実施形態の場合、フィルムの中心線平均表面粗さRaは0.1μm以下、十点平均高さRzは1μm以下、最大高さRmaxは1μm以下となっている。もう一つの実施形態における窒化ホウ素の平均一次粒子サイズは2μm未満で、その表面粗さは十点平均高さRzが0.5μm以下、最大高さRmaxが5μm以下である。平均一次粒子サイズが1μm未満の窒化ホウ素を使用したもう一つの実施形態では、表面粗さが十点平均高さRzで0.3μm以下となっている。
【0058】
一つの実施形態として、本発明の光学フィルムは輝度上昇フィルムに用いられ、その表面は複数の凸部を含む光学的な構造を有している。一つの実施形態における前記凸部は、米国特許出願公開2005/0059766号に図示される対称形の稜線と溝の繰り返し模様の形態を取っている。輝度上昇フィルムのもう一つの実施形態におけるフィルムは、米国特許出願公開2006/0256444号に開示されるランダム、または少なくとも擬似ランダムな変調機能構造を有する表面として定義される三次元表面により特徴付けられている。上記実施形態の光学的構造の高さは用途によって決まるが、典型的には100nmから5μmの間である。
【0059】
以下、本発明について非限定的な例を用いてさらに説明を行う。
【0060】
実施例1:平均一次粒子サイズが243nmの窒化ホウ素と、平均一次粒子サイズが170nmのTiO2を比較する。TiO2は従来技術の光学フィルム充填材として使用されている。下記の成分に基づきサブミクロンのBN粒子またはTiO2粒子を含む組成物についてMTR測定結果を比較する。第三の組成ではBN粒子の量を半分とし、代わりにMomentive Performance Materials製のTospearl 3210のシリコーン球状ミクロ粒子が配合されている。
【0061】
MTRおよび平均値はピクセル値で表している。MTR値は拡散率を反映するもので、その値が低いほど不鮮明さの度合いが高い。「平均」強度は測定領域における全透過光の空間平均を表す。いずれのフィルムも透過率が50%であるため、平均強度は似通った値となっている。
【0062】
成分には以下の添加物が含まれている:粒子10%、SF1528(Momentive Performance Materials)10%、600M cstk PDMS 22.8%、D5 57.2%。 前記組成物を、湿潤厚さ25μmのフィルムに引抜成形した。透過試験では、いずれのフィルムも約50%の同等な透過率を示す。試験結果は次の通りである。:a)無添加のマスク/フィルム、MTR値3766(平均値1537);b)TiO2を含む組成、MTR値550(平均値356);c)サブミクロンBNを含む組成、MTR値6(平均値349);およびd)BNおよびTospearl3120を含む組成、MTR値580(平均値377)。
【0063】
実施例2: 表1に各例における組成物の成分を示す。
表1.実施例2の組成物成分。
【0064】
登録商標EM210(2‐フェノキシアクリル酸エチル、Eternal Corp.より販売)と登録商標624−100(アクリル酸エポキシ、Eternal Corp.より販売)を表1の重量比に従い混合し、攪拌を行いながら重合開始剤(ベンゾフェノン、登録商標Chivacure、Two Bond Chemicalより販売)を加える。次いで、窒化ホウ素PolarTherm PT120(Momentive Performance Materialより販売)を前記混合物に加え、コロイド状の被覆材組成物を作製する。このコロイド状被覆材組成物をPET基板(U34、TORAY Corp.より販売)に被覆し、乾燥後厚さ25μmの光学フィルムとする。
【0065】
上述の方法で作製した光学フィルムについて屈折率と熱伝導率を測定した。窒化ホウ素粒子を基板の表面に組み込んだ被覆材の屈折率は、窒化ホウ素粒子を組み込んでいない被覆材のそれとほぼ同等であるが、前者の熱伝導率は後者に比べ少なくとも10%増大する。従って、光学フィルム上の光焦点構造の割れ、波打ち、変形を窒化ホウ素の添加により防ぐことができ、LCDパネルの輝度を高めることができる。
【0066】
本明細書は最良の実施形態を含む実施例を用いで本発明を開示するもので、当業者が本発明の製品を作製しまた利用できるようにするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学基板において、
重合体マトリックスまたはガラスマトリックス;
複数の窒化ホウ素粒子;
を含む層を少なくとも一つ含み、窒化ホウ素粒子の含有量が前記少なくとも一つの層の総重量の0.1から10重量%であることを特徴とする光学基板。
【請求項2】
窒化ホウ素粒子の含有量が前記少なくとも一つの層の総重量の0.2から10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の光学基板。
【請求項3】
窒化ホウ素粒子の含有量が前記少なくとも一つの層の総重量の0.2から8重量%であることを特徴とする請求項1から2に記載の光学基板。
【請求項4】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが5から500μmであることを特徴とする請求項1から3に記載の光学基板。
【請求項5】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが0.10から0.8μmであることを特徴とする請求項1から3に記載の光学基板。
【請求項6】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが5から50nmであることを特徴とする請求項1から3に記載の光学基板。
【請求項7】
窒化ホウ素粒子が板状hBNの球状凝集体を含み、凝集体の平均サイズ分布が30から125μmであることを特徴とする請求項1から6に記載の光学基板。
【請求項8】
窒化ホウ素粒子のBET表面積が100m2/gから900m2/gであることを特徴とする請求項1から7に記載の光学基板。
【請求項9】
窒化ホウ素粒子が板状hBNの球状凝集体を含むことを特徴とする請求項1から8に記載の光学基板。
【請求項10】
窒化ホウ素粒子が平均アスペクト比範囲50から300の板状hBNを含むことを特徴とする請求項1から9に記載の光学基板。
【請求項11】
前記光学基板において、複数の窒化ホウ素粒子を含む前記少なくとも一つの層がジアクリル酸エポキシ、ハロゲン化ジアクリル酸エポキシ、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニル、2‐フェノキシエチルアクリル酸、アクリルアミド、スチレン、ハロゲン化スチレン、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、ハロゲン化アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ハロゲン化アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ジアクリル酸脂肪族ウレタン、アクリル酸脂肪族ウレタンヘキサ、ヘキサアクリル酸芳香族ウレタン、ビスフェノール‐ジアクリル酸Aエポキシ、アクリル酸ノボラックエポキシ、アクリル酸ポリエステル、ジアクリル酸ポリエステル、アクリル酸キャップ化オリゴマー、またはこれ等の混合物の少なくとも一つを含む被覆層であることを特徴とする請求項1から10に記載の光学基板。
【請求項12】
前記光学基板が厚さ5μmから1cmのフィルムまたはシートであることを特徴とする請求項1から11に記載の光学基板。
【請求項13】
前記光学基板において、マトリックスがスチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂、三酢酸セルロース、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、およびこれ等の混合物の群から選択される重合体材料を含むことを特徴とする請求項1から12に記載の光学基板。
【請求項14】
複数の窒化ホウ素粒子を含む前記少なくとも一つの層が、厚さ5μmから1cmの被覆層であることを特徴とする請求項1から13に記載の光学基板。
【請求項15】
前記基板がプリズム状表面または平滑表面を有することを特徴とする請求項1から16に記載の光学基板。
【請求項16】
前記基板が、輝度上昇フィルムまたは変調伝達比(MTR:Modulation Transfer Ratio)が300未満の拡散フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1から15に記載の光学基板。
【請求項17】
少なくとも一つの光源と、光源からの光を受ける一つ以上の光学フィルムまたはシートを含むバックライト表示装置にあって、前記光学フィルムまたはシートの少なくとも一つが、重合体マトリックスと窒化ホウ素の合計重量に対し90からおよそ99.8重量%の重合体ベースマトリックスおよび0.1からおよそ10重量%の窒化ホウ素を含み、そのab面に沿った屈折率が少なくとも1.65であることを特徴とするバックライト表示装置。
【請求項18】
拡散フィルムの変調伝達比(MTR:Modulation Transfer Ratio)が300未満である事を特徴とする請求項17に記載のバックライト表示装置。
【請求項19】
前記バックライト表示装置において、マトリックスがスチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂、三酢酸セルロース、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、およびこれ等の混合物の群から選択される重合体材料を含むことを特徴とする請求項17から18に記載のバックライト表示装置。
【請求項20】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが1μm未満でBET表面積が少なくとも100m2/gであることを特徴とする請求項17から19に記載のバックライト表示装置。
【請求項21】
光学基板の作成方法にあって、シラン、シラザン、シロキサンなど;アルコール;アミン;カルボン酸;スルホン酸;リン酸;ジルコン酸塩:チタン酸塩;およびこれらの混合物の少なくとも一つにより表面改質された複数の窒化ホウ素粒子を供し:前記窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが0.1から200μmの範囲にあり;前記表面改質した窒化ホウ素粒子と重合体マトリックスを含む被覆層組成物を作製する工程と;前記被覆層組成物をマイクロレプリケーション器具に接触させる工程と;前記被覆層組成物を重合化しミクロ構造の表面を有した光学層を形成する光学基板の作製方法。
【請求項22】
光学基板の作製方法にあって、0.1からおよそ10重量%の窒化ホウ素と、スチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂、三酢酸セルロース、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、およびこれ等の混合物の群から選択される90からおよそ99.8重量%の重合体材料との混合物を混合する工程と、押出し、射出成形または溶剤鋳造のいずれか一つによって光学基板を形成する工程を含む光学基板の作製方法。
【請求項1】
光学基板において、
重合体マトリックスまたはガラスマトリックス;
複数の窒化ホウ素粒子;
を含む層を少なくとも一つ含み、窒化ホウ素粒子の含有量が前記少なくとも一つの層の総重量の0.1から10重量%であることを特徴とする光学基板。
【請求項2】
窒化ホウ素粒子の含有量が前記少なくとも一つの層の総重量の0.2から10重量%であることを特徴とする請求項1に記載の光学基板。
【請求項3】
窒化ホウ素粒子の含有量が前記少なくとも一つの層の総重量の0.2から8重量%であることを特徴とする請求項1から2に記載の光学基板。
【請求項4】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが5から500μmであることを特徴とする請求項1から3に記載の光学基板。
【請求項5】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが0.10から0.8μmであることを特徴とする請求項1から3に記載の光学基板。
【請求項6】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが5から50nmであることを特徴とする請求項1から3に記載の光学基板。
【請求項7】
窒化ホウ素粒子が板状hBNの球状凝集体を含み、凝集体の平均サイズ分布が30から125μmであることを特徴とする請求項1から6に記載の光学基板。
【請求項8】
窒化ホウ素粒子のBET表面積が100m2/gから900m2/gであることを特徴とする請求項1から7に記載の光学基板。
【請求項9】
窒化ホウ素粒子が板状hBNの球状凝集体を含むことを特徴とする請求項1から8に記載の光学基板。
【請求項10】
窒化ホウ素粒子が平均アスペクト比範囲50から300の板状hBNを含むことを特徴とする請求項1から9に記載の光学基板。
【請求項11】
前記光学基板において、複数の窒化ホウ素粒子を含む前記少なくとも一つの層がジアクリル酸エポキシ、ハロゲン化ジアクリル酸エポキシ、メタクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニル、2‐フェノキシエチルアクリル酸、アクリルアミド、スチレン、ハロゲン化スチレン、アクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、ハロゲン化アクリル酸ビフェニルエポキシエチル、アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ハロゲン化アルコキシル化ジアクリル酸エポキシ、ジアクリル酸脂肪族ウレタン、アクリル酸脂肪族ウレタンヘキサ、ヘキサアクリル酸芳香族ウレタン、ビスフェノール‐ジアクリル酸Aエポキシ、アクリル酸ノボラックエポキシ、アクリル酸ポリエステル、ジアクリル酸ポリエステル、アクリル酸キャップ化オリゴマー、またはこれ等の混合物の少なくとも一つを含む被覆層であることを特徴とする請求項1から10に記載の光学基板。
【請求項12】
前記光学基板が厚さ5μmから1cmのフィルムまたはシートであることを特徴とする請求項1から11に記載の光学基板。
【請求項13】
前記光学基板において、マトリックスがスチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂、三酢酸セルロース、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、およびこれ等の混合物の群から選択される重合体材料を含むことを特徴とする請求項1から12に記載の光学基板。
【請求項14】
複数の窒化ホウ素粒子を含む前記少なくとも一つの層が、厚さ5μmから1cmの被覆層であることを特徴とする請求項1から13に記載の光学基板。
【請求項15】
前記基板がプリズム状表面または平滑表面を有することを特徴とする請求項1から16に記載の光学基板。
【請求項16】
前記基板が、輝度上昇フィルムまたは変調伝達比(MTR:Modulation Transfer Ratio)が300未満の拡散フィルムのいずれかであることを特徴とする請求項1から15に記載の光学基板。
【請求項17】
少なくとも一つの光源と、光源からの光を受ける一つ以上の光学フィルムまたはシートを含むバックライト表示装置にあって、前記光学フィルムまたはシートの少なくとも一つが、重合体マトリックスと窒化ホウ素の合計重量に対し90からおよそ99.8重量%の重合体ベースマトリックスおよび0.1からおよそ10重量%の窒化ホウ素を含み、そのab面に沿った屈折率が少なくとも1.65であることを特徴とするバックライト表示装置。
【請求項18】
拡散フィルムの変調伝達比(MTR:Modulation Transfer Ratio)が300未満である事を特徴とする請求項17に記載のバックライト表示装置。
【請求項19】
前記バックライト表示装置において、マトリックスがスチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂、三酢酸セルロース、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、およびこれ等の混合物の群から選択される重合体材料を含むことを特徴とする請求項17から18に記載のバックライト表示装置。
【請求項20】
窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが1μm未満でBET表面積が少なくとも100m2/gであることを特徴とする請求項17から19に記載のバックライト表示装置。
【請求項21】
光学基板の作成方法にあって、シラン、シラザン、シロキサンなど;アルコール;アミン;カルボン酸;スルホン酸;リン酸;ジルコン酸塩:チタン酸塩;およびこれらの混合物の少なくとも一つにより表面改質された複数の窒化ホウ素粒子を供し:前記窒化ホウ素粒子の平均一次粒子サイズが0.1から200μmの範囲にあり;前記表面改質した窒化ホウ素粒子と重合体マトリックスを含む被覆層組成物を作製する工程と;前記被覆層組成物をマイクロレプリケーション器具に接触させる工程と;前記被覆層組成物を重合化しミクロ構造の表面を有した光学層を形成する光学基板の作製方法。
【請求項22】
光学基板の作製方法にあって、0.1からおよそ10重量%の窒化ホウ素と、スチレン-アクリロニトリル、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、ポリエーテルスルホン、メタクリル酸ポリメチル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、塩化ポリビニル、ポリスチレン、テレフタル酸ポリエチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリシクロ-オレフィン、ポリウレタン樹脂、三酢酸セルロース、ナフタル酸ポリエチレン、ナフタレンジカルボン酸をベースとする共重合体または混合物、およびこれ等の混合物の群から選択される90からおよそ99.8重量%の重合体材料との混合物を混合する工程と、押出し、射出成形または溶剤鋳造のいずれか一つによって光学基板を形成する工程を含む光学基板の作製方法。
【公開番号】特開2007−233389(P2007−233389A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50897(P2007−50897)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】
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