説明

窒化物半導体発光素子の製造方法

【課題】工程数が少なく生産性を向上する窒化物半導体発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】まず、パッド電極層形成工程S11で、窒化物半導体発光素子構造上に、n側パッド電極およびp側パッド電極となるパッド電極層を形成し、レジストパターン形成工程S12で、パッド電極層上に、n側パッド電極およびp側パッド電極を形成する領域を被覆するレジストパターンを形成する。次に、パッド電極層エッチング工程S13で、このレジストパターンをマスクとして、パッド電極層をエッチングしてn側パッド電極およびp側パッド電極を形成する。続いて、このレジストパターンを除去せずに、保護層形成工程S14で、窒化物半導体発光素子構造の表面およびレジストパターン上に絶縁性の保護層を形成した後に、レジストパターン除去工程S15で、レジストパターンを除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッド電極面を除く窒化物半導体発光素子の表面を保護層で被覆された窒化物半導体発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物半導体は、一般に、発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)などの発光素子、太陽電池や光センサなどの受光素子、トランジスタやパワーデバイスなどの電子デバイスに用いられる。特に、窒化物半導体を用いた発光ダイオード(窒化物半導体発光素子)は、バックライトなどに用いる各種光源、照明、信号機、大型ディスプレイなどに幅広く利用されている。
【0003】
窒化物半導体発光素子は、p型窒化物半導体層上に電流を均一に拡散させるための透光性のp側全面電極を設けて出力を向上させ、この透光性のp側全面電極の上に、さらに金属材料からなるワイヤボンディングのためのパッド電極を形成し、ワイヤボンディングするパッド電極面を除き、表面を絶縁性の保護層で被覆して形成される。
【0004】
このような窒化物半導体発光素子として、例えば、特許文献1(段落0004および図8参照)には、従来はパッド電極および保護層を、それぞれ独立した異なる工法の工程で形成することが記載されている。
【0005】
この従来技術による窒化物半導体発光素子の製造方法について、図5から図7を参照して説明する。図5は、従来技術による窒化物半導体発光素子の製造方法の流れを示すフローチャートである。また、図6および図7は、従来技術による窒化物半導体発光素子の製造工程を説明するための模式的断面図であり、図6(a)は窒化物半導体発光素子構造を形成した様子、図6(b)はパッド電極を形成するための第1レジストパターンを形成した様子、図6(c)はパッド電極層を形成した様子、図6(d)は第1レジストパターンを除去した様子、図7(a)は保護層を形成した様子、図7(b)はパッド電極の電極面を露出させるための第2レジストパターンを形成した様子、図7(c)はパッド電極の電極面を露出させた様子、図7(d)は第2レジストパターンを除去した様子、をそれぞれ示す。
【0006】
従来技術による窒化物半導体発光素子の製造方法は、図5に示すように、窒化物半導体発光素子構造形成工程S20と、第1レジストパターン形成工程S21と、パッド電極層形成工程S22と、第1レジストパターン除去工程S23と、保護層形成工程S24と、第2レジストパターン形成工程S25と、保護層エッチング工程S26と、第2レジストパターン除去工程S27と、チップ分割工程S28と、を順次行うものである。
以下、図6および図7を参照して、各工程について説明する。
【0007】
(窒化物半導体発光素子構造形成工程:S20)
従来技術による窒化物半導体発光素子の製造方法について、図6(a)に示す、窒化物半導体発光素子構造110を起点として説明する。
【0008】
窒化物半導体発光素子構造110は、サファイアなどの基板102(以下、適宜ウェハという)の表面に、n型窒化物半導体層111、活性層112およびp型窒化物半導体層113が積層された積層構造をしている。また、窒化物半導体発光素子構造110は、一部(図6(a)では左端)にn側パッド電極を接続するためのn型窒化物半導体層111が露出した面であるn側パッド電極接続面110aが形成され、p型窒化物半導体層113の上面には、そのほぼ全面を覆う全面電極114が積層されている。
【0009】
また、本例では全面電極114の上面がp側パッド電極を接続するためのp側パッド電極接続面110bであり、その一部にp側パッド電極122(図6(d)参照)が形成される。窒化物半導体発光素子構造110は、公知の製造工程によって形成することができる。
【0010】
なお、基板102上には、複数の窒化物半導体発光素子がマトリクス状に配列して形成され、窒化物半導体発光素子が基板102上に完成した後に、チップに分割される。図6および図7に示した例は、その内の一つの窒化物半導体発光素子の製造工程について記載したものである。
【0011】
(第1レジストパターン形成工程:S21)
次に、図6(b)に示すように、窒化物半導体発光素子構造110上にフォトリソグラフィ法により、n側パッド電極およびp側パッド電極を形成する領域に開口部を有する第1レジストパターン130を形成する。
【0012】
(パッド電極層形成工程:S22)
次に、図6(c)に示すように、ウェハの表面全体に、スパッタリングなどにより、金属からなるパッド電極層120を形成する。なお、
【0013】
(第1レジストパターン除去工程:S23)
その後、第1レジストパターンを除去することにより、図6(d)に示すように、第1レジストパターン130とともに、第1レジストパターン130上に積層された不要なパッド電極層120が除去(リフトオフ)され、n側パッド電極121およびp側パッド電極122が形成される。
【0014】
(保護層形成工程:S24)
次に、図7(a)に示すように、ウェハの表面全体に、スパッタリングなどにより、SiOなどからなる絶縁性の保護層123を積層する。
【0015】
(第2レジストパターン形成工程:S25)
次に、図7(b)に示すように、ウェハの表面に、n側パッド電極121およびp側パッド電極122の電極面上に開口部を有する第2レジストパターン131を形成する。
【0016】
(保護層エッチング工程:S26)
次に、図7(c)に示すように、第2レジストパターン131をマスクとして、開口部の保護層123をエッチングにより除去し、n側パッド電極121およびp側パッド電極122の電極面を露出させる。
【0017】
(第2レジストパターン除去工程:S27)
そして、図7(d)に示すように、第2レジストパターン131を除去することにより、基板(ウェハ)102上に窒化物半導体発光素子が形成される。なお、前記したように、この段階では、基板102上には、複数の窒化物半導体発光素子がマトリクス状に配列して形成されている。
【0018】
(チップ分割工程:S28)
さらに、基板102上にマトリクス状に配列して形成された窒化物半導体発光素子をダイシングなどによりチップに分割することにより、チップ単位の窒化物半導体発光素子が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2000−174345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、前記したような従来技術においては、窒化物半導体発光素子の製造に多くの工程を要するため、生産性の向上が課題となっていた。
【0021】
本発明は、かかる課題を解決するために創案されたものであり、工程数が少なく生産性を向上する窒化物半導体発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記した課題を解決するために、本発明に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、基板上に積層されたn型窒化物半導体層およびp型窒化物半導体層と、基板の同じ平面側にn型窒化物半導体層にn側パッド電極を接続するn側パッド電極接続面と、p型窒化物半導体層にp側パッド電極を接続するp側パッド電極接続面と、を有する窒化物半導体発光素子構造と、n側パッド電極接続面に接続されたn側パッド電極と、p側パッド電極接続面に接続されたp側パッド電極と、を有する窒化物半導体発光素子の製造方法であって、パッド電極層形成工程と、レジストパターン形成工程と、パッド電極層エッチング工程と、保護層形成工程と、レジストパターン除去工程と、が順次行われるようにした。
【0023】
かかる手順によれば、まず、パッド電極層形成工程において、窒化物半導体発光素子構造上に、n側パッド電極およびp側パッド電極となるパッド電極層を形成する。次に、レジストパターン形成工程において、パッド電極層上に、n側パッド電極およびp側パッド電極を形成する領域を被覆するレジストパターンを形成する。次に、パッド電極層エッチング工程において、このレジストパターンをマスクとして、パッド電極層をエッチングしてn側パッド電極およびp側パッド電極を形成する。続いて、このレジストパターンを除去せずに、保護層形成工程において、窒化物半導体発光素子構造の表面およびレジストパターン上に絶縁性の保護層を形成する。そして、レジストパターン除去工程において、レジストパターンを除去することで、レジストパターンとともに、レジストパターン上に形成された不要な保護層が除去(リフトオフ)される。このように、少ない工程数で窒化物半導体発光素子が製造される。
【0024】
また、本発明に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、パッド電極層エッチング工程はウェットエッチングを用い、パッド電極層は、このウェットエッチングによってエッチングされる金属膜からなるようにした。
【0025】
かかる手順によれば、パッド電極層形成工程において、パッド電極層として、ウェットエッチングでエッチングされる金属材料を用いて金属膜を形成する。次に、レジストパターン形成工程において、パッド電極層上に、n側パッド電極およびp側パッド電極を形成する領域を被覆するレジストパターンを形成する。そして、パッド電極層エッチング工程において、レジストパターンをマスクとして、パッド電極層をウェットエッチングしてn側パッド電極およびp側パッド電極を形成する。
ウェットエッチングは、ドライエッチングに比べてエッチングする材料の選択性が高い。このため、パッド電極層を形成する金属膜を選択的にエッチングするエッチング液を用いることで、パッド電極層の下層である窒化物半導体発光素子構造の全面電極やn型窒化物半導体層へのダメージを低く抑えつつ、パッド電極層をエッチングする。
【0026】
また、本発明に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、パッド電極層は、Cr、Ru、NiまたはPdからなる金属膜を最下層としAuからなる金属膜を上層に有する金属多層膜、の何れかの金属膜からなるようにした。
【0027】
かかる手順によれば、パッド電極層形成工程において、パッド電極層として、Cr、Ru、NiまたはPdからなる金属膜を最下層としAuからなる金属膜を上層に有する金属多層膜、の何れかの金属膜を形成する。これらの金属膜は、ウェットエッチング可能であり、窒化物半導体発光素子構造の全面電極およびn型窒化物半導体層と良好に密着して形成される。
【0028】
また、本発明に係る窒化物半導体発光素子の製造方法は、パッド電極層は、CrまたはRuからなる金属膜を最下層とし、Auからなる金属膜を上層に有する金属多層膜からなるようにした。
【0029】
かかる手順によれば、パッド電極層形成工程において、パッド電極層として、CrまたはRuからなる金属膜を最下層としAuからなる金属膜を上層に有する金属多層膜を形成する。これらの金属多層膜は、ウェットエッチング可能であり、全面電極およびn型窒化物半導体層と特に良好に密着して形成される。
【発明の効果】
【0030】
本発明の製造方法によれば、窒化物半導体発光素子のパッド電極および保護層の形成に要する製造工程数を低減できるため、窒化物半導体発光素子の生産性を向上することができる。
また、本発明の製造方法によれば、パッド電極層をウェットエッチングによりエッチングしてn側パッド電極およびp側パッド電極を形成するため、下層の窒化物半導体発光素子構造の全面電極やn型窒化物半導体層へのダメージが少なく、信頼性の高い窒化物半導体発光素子を製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、パッド電極層として、Cr、Ru、NiまたはPdからなる金属膜を最下層としAuからなる金属膜を上層に有する金属多層膜、の何れかの金属膜を形成するようにしたため、ウェットエッチングによりパッド電極層を形成できるとともに、パッド電極層と窒化物半導体発光素子構造のn型窒化物半導体層および全面電極との密着性が良好でp側パッド電極の剥れ率が低く、信頼性の高い窒化物半導体発光素子を製造することができる。
また、本発明によれば、パッド電極として、CrまたはRuからなる金属膜を最下層とし、Auからなる金属膜を上層に有する金属多層膜を用いるため、p側パッド電極の全面電極からの剥れ率が特に低い窒化物半導体発光素子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の構造を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の製造工程を説明するための模式的断面図であり、(a)は窒化物半導体発光素子構造を形成した様子、(b)はパッド電極層を形成した様子、(c)はパッド電極を形成するためのレジストパターンを形成した様子、をそれぞれ示す。
【図4】本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の図3に続く製造工程を説明するための模式的断面図であり、(a)はパッド電極を形成した様子、(b)は保護層を形成した様子、(c)はレジストパターンを除去した様子、をそれぞれ示す。
【図5】従来技術による窒化物半導体発光素子の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【図6】従来技術による窒化物半導体発光素子の製造工程を説明するための模式的断面図であり、(a)は窒化物半導体発光素子構造を形成した様子、(b)はパッド電極を形成するための第1レジストパターンを形成した様子、(c)はパッド電極層を形成した様子、(d)は第1レジストパターンを除去した様子、をそれぞれ示す。
【図7】従来技術による窒化物半導体発光素子の図6に続く製造工程を説明するための模式的断面図であり、(a)は保護層を形成した様子、(b)はパッド電極の電極面を露出させるための第2レジストパターンを形成した様子、(c)はパッド電極の電極面を露出させた様子、(d)は第2レジストパターンを除去した様子、をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の製造方法について説明する。
【0033】
<実施形態>
〔窒化物半導体発光素子〕
本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の構造を、図1を参照して説明する。本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子1はLEDであり、図1に示すように、基板2と、基板2上に積層された窒化物半導体発光素子構造10と、n側パッド電極21と、p側パッド電極22と、保護層23と、を備えている。
【0034】
本明細書において、「窒化物半導体発光素子構造」とは、活性層12を含むn型窒化物半導体層11とp型窒化物半導体層13とが積層された積層構造のことをいい、フェースアップ型実装をする素子とする場合で、p型窒化物半導体層13上に電流拡散層としての透光性の全面電極14を設ける場合には、これを含めた構造をいう。また、フリップチップ型実装をする素子とする場合で、p型窒化物半導体層上やn型窒化物半導体層上に電流拡散層や反射層としての全面電極や、この全面電極の材料のマイグレーションを防止するためのカバー電極を設ける場合はそれらを含めた構造をいう。また、この窒化物半導体発光素子構造10は、基板2の同じ平面側にn側パッド電極21をn型窒化物半導体層11と電気的に接続するためのn側パッド電極接続面10aと、p側パッド電極22をp型窒化物半導体層13と電気的に接続するためのp側パッド電極接続面10bとを有する構造を備えているものである。また、本明細書において、「上」とは、基板2の窒化物半導体発光素子構造10を積層した面に垂直方向であって、窒化物半導体発光素子構造10を積層した方向をいうものとする。例えば、図1においては図の上方向を指す。
【0035】
(基板)
基板2は、窒化物半導体をエピタキシャル成長させることができる基板材料であればよく、大きさや厚さなどは特に限定されない。このような基板材料としては、C面、R面、A面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgA124)のような絶縁性基板、また炭化ケイ素(SiC)、シリコン、ZnS、ZnO、Si、GaAs、ダイヤモンド、および窒化物半導体と格子接合するニオブ酸リチウム、ガリウム酸ネオジウムなどの酸化物基板が挙げられる。
【0036】
また、窒化物半導体発光素子1を、フリップチップ型実装をする素子とする場合には、基板2の裏面が光取り出し面となる。したがって、この場合には、窒化物半導体発光素子1で発光した光は、基板2を透過して光取り出し面から出射するため、基板2は、少なくとも、この光の波長に対して透光性を有することが好ましい。一方、本実施形態のように窒化物半導体発光素子1の上面側を光取り出し面とするフェースアップ型実装をする素子の場合は、基板2の裏面にAl、Agなどからなる反射層を設けるようにしてもよい。
【0037】
(窒化物半導体発光素子構造)
窒化物半導体発光素子構造10は、前記したように、活性層12を含むn型窒化物半導体層11とp型窒化物半導体層13とが積層された積層構造のことである。本実施形態においては、窒化物半導体発光素子構造10は、p型窒化物半導体層13上に透光性の全面電極14が積層され、基板2の同じ平面側にn側パッド電極21をn型窒化物半導体層11と電気的に接続するためのn型窒化物半導体層11の上面であるn側パッド電極接続面10aと、p側パッド電極22を全面電極14を介してp型窒化物半導体層13と電気的に接続するためのp側パッド電極接続面10bとを有している。
【0038】
(n型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半導体層)
n型窒化物半導体層11、活性層12およびp型窒化物半導体層13としては、特に限定されるものではないが、例えばInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)などの窒化ガリウム系化合物半導体が好適に用いられる。n型窒化物半導体層11、活性層12およびp型窒化物半導体層13(適宜まとめて窒化物半導体層11、12、13という)は、それぞれ単層構造でもよいが、組成および膜厚の異なる層の積層構造、超格子構造などであってもよい。特に発光層である活性層12は、量子効果が生ずる薄膜を積層した単一量子井戸または多重量子井戸構造であることが好ましく、さらに井戸層がInを含む窒化物半導体であることが好ましい。なお、基板2上に、任意に基板2との格子定数の不整合を緩和させるためのバッファ層などの下地層(図示せず)を介してn型窒化物半導体層11を形成してもよい。
【0039】
通常、このような窒化物半導体層11、12、13は、それぞれがMIS接合、PIN接合、またはPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造、またはダブルへテロ構造などとして構成されてもよく、また、膜厚も特に限定されるものではなく、種々の膜厚で構成することができる。窒化物半導体層の積層構造としては、例えば、AlGaNよりなるバッファ層、アンドープGaN層、Siドープn型GaNよりなるn側コンタクト層、GaN層とInGaN層とを交互に積層させた超格子層、GaN層とInGaN層とを交互に積層させた多重量子井戸構造の活性層、MgドープAlGaN層とMgドープInGaN層とを交互に積層させた超格子層、MgドープGaNよりなるp側コンタクト層、などが挙げられる。
【0040】
本発明において、窒化物半導体層の形成方法は特に限定されないが、MOVPE(有機金属気相成長法)、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)など、窒化物半導体の成長方法として公知の方法を好適に用いることができる。特に、MOCVDは結晶性よく成長させることができるので好ましい。また、窒化物半導体層11、12、13は、種々の窒化物半導体の成長方法を使用目的により適宜選択して成長させることが好ましい。
【0041】
(全面電極)
全面電極14は、p型窒化物半導体層13上に、p型窒化物半導体層13のほぼ全面を覆うように設けられ、p側パッド電極22を介して供給される電流をp型窒化物半導体層13の全面に均一に拡散させるための電極である。また、本実施形態では、p型窒化物半導体層13側である上面が光取り出し面であるため、全面電極14は、活性層12で発光する光の波長に対して透光性を有する透光性電極である。
【0042】
透光性の全面電極14としては、ITO(インジウム−スズ酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、ZnO、In23、SnO2などの導電性酸化物や、金属薄膜を用いることができる。また、抵抗が比較的高いp型窒化物半導体層13の全域に電流を均一に供給するため、全面電極14はp型窒化物半導体層13上のより広い面積に、すなわちほぼ全面に形成することが好ましい。また、全面電極14の膜厚は特に限定されるものではないが、シート抵抗が過大とならないように、5000nm以下とすることが好ましく、100〜1000nm程度とすることがより好ましい。
全面電極14は、前記した材料を、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法(化学気相成長法)などにより形成することができる。
【0043】
(n側パッド電極、p側パッド電極)
n側パッド電極21およびp側パッド電極22は、ワイヤボンディングなどで外部電源に接続するためのパッド電極であり、n側パッド電極21はn型窒化物半導体層11に、p側パッド電極22は全面電極14を介してp型窒化物半導体層13に、それぞれ電気的に接続して、窒化物半導体発光素子1に外部から電流を供給する。n側パッド電極21は、窒化物半導体発光素子構造10のn型窒化物半導体層11の上面であるn側パッド電極接続面10a内に設けられる。また、p側パッド電極22は、窒化物半導体発光素子構造10の全面電極14の上面であるp側パッド電極接続面10b内に設けられる。
n側パッド電極21およびp側パッド電極22としては、電気抵抗が低い材料が好ましく、金属や合金の単層膜、または金属や合金の多層膜を用いることができる。
【0044】
ここで、n側パッド電極21およびp側パッド電極22は、後記する製造方法のパッド電極層エッチング工程S13(図2参照)において、パッド電極層20(図3(c)および図4(a)参照)をエッチングして形成される。このとき、パッド電極層20(図3(c)および図4(a)参照)の下層にあるITOなどからなる全面電極14やn型窒化物半導体層11へのダメージを抑えるため、エッチングは、ウェットエッチングとすることが好ましい。ウェットエッチングは、ドライエッチングに比べてエッチングする材料の選択性が高く、パッド電極層20(図3(c)および図4(a)参照)の下層にあるITOなどからなる全面電極14やn型窒化物半導体層11へのダメージを低く抑えることができる。したがって、n側パッド電極21およびp側パッド電極22を構成する材料は、ウェットエッチングにより除去(エッチング)できる材料であることが好ましい。また、n側パッド電極21およびp側パッド電極22を構成する材料は、それぞれ下層であるn型窒化物半導体層11および全面電極14との間の密着性が高く、またコンタクト抵抗が低いことが望まれる。特にp側パッド電極22と全面電極14との密着性がよくp側パッド電極22の剥れ率が低いことが好ましい。ウェットエッチング可能で、かつこの条件を満足する材料としては、左側を下層材料として、Cr/Au、Ru/Au、Ni/Au、Pd/Au、Cr/Ru/Auなどの金属多層膜を挙げることができる。このなかで、p側パッド電極22の剥れ率の低いCr/Au多層膜またはRu/Au多層膜が特に好ましい。
【0045】
また、n側パッド電極21およびp側パッド電極22の膜厚は、総膜厚で100〜10000nm程度とすることが好ましい。前記したCr、Ru、Ni、Pdなどからなる金属膜を下層とする多層膜の場合は、この下層金属膜の膜厚は、1〜100nm程度とすることが好ましく、1〜10nmとすることがより好ましい。
なお、n側パッド電極21およびp側パッド電極22は、それぞれ平面視で四角形、多角形、円形、楕円形などの任意の形状とすることができる。
【0046】
(保護層)
保護層23は、窒化物半導体発光素子構造10の露出した表面(上面および側面)を被覆する絶縁性の被膜であり、窒化物半導体発光素子1の保護膜および帯電防止膜として機能する。保護層23は絶縁性のSi、Ti、Taなどの酸化物を用いることができ、蒸着、スパッタリングなど方法によって形成することができる。保護層23の膜厚は100nm以上とすることが好ましく、例えば、膜厚が3500nm程度のSiOとすることができる。なお、保護層23は、全面電極14の上面は被覆するが、n側パッド電極21およびp側パッド電極22の上面は被覆しない。また、p型窒化物半導体層13側である上面を光取り出し面とする場合は、保護層23は、活性層12で発光する光の波長に対して透光性を有することが好ましい。
【0047】
〔窒化物半導体発光素子の動作〕
図1に示した本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子1は、ワイヤボンディングされたn側パッド電極21およびp側パッド電極22を介して外部電源から電流が供給されると、窒化物半導体発光素子構造10の活性層12が発光する。活性層12で発光した光は、窒化物半導体発光素子構造10の上面に設けられた透光性の全面電極14および保護層23や裏面の基板2を透過して、あるいは窒化物半導体発光素子構造10の側面から取り出される。また、基板2の底面に反射層を設けた場合は、裏面方向に進行した光は上方に反射され、全面電極14および保護層23を透過して取り出される。
【0048】
〔窒化物半導体発光素子の製造方法〕
本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0049】
図2に示すように、本実施形態における窒化物半導体発光素子の製造方法は、窒化物半導体発光素子構造形成工程S10と、パッド電極層形成工程S11と、レジストパターン形成工程S12と、パッド電極層エッチング工程S13と、保護層形成工程S14と、レジストパターン除去工程S15と、チップ分割工程S16と、が順次行われる。
【0050】
以下、図3および図4を参照(適宜図1および図2参照)して、各工程について詳細に説明する。
【0051】
(窒化物半導体発光素子構造形成工程:S10)
まず、サファイアなどの透光性の基板2上に、公知の製造方法により、図3(a)に示した窒化物半導体発光素子構造10を形成する。
【0052】
窒化物半導体発光素子構造10の形成工程について簡単に説明すれば、まず、サファイアなどからなる基板2上に、MOVPE法を用いて、n型窒化物半導体層11、活性層12およびp型窒化物半導体層13を構成するそれぞれの窒化物半導体を成長させる。この後、窒化物半導体の各層を成長させた基板2(以下、ウェハという)を窒素雰囲気で、600〜700℃程度のアニールを行って、p型窒化物半導体層13を低抵抗化することが好ましい。
【0053】
次に、n側パッド電極21を接続するためのn側パッド電極接続面10aとして、n型窒化物半導体層11の一部を露出させる。アニール後のウェハ上にフォトレジストにて所定の形状のマスクを形成して、反応性イオンエッチング(RIE)にて、p型窒化物半導体層13および活性層12、さらにn型窒化物半導体層11の一部を除去して、n型窒化物半導体層11を露出させる。エッチングの後、レジストを除去する。本実施形態では、このn型窒化物半導体層11の露出面がn側パッド電極接続面10aとなる。
【0054】
次に、ウェハの全面に、全面電極14として、例えば、ITOやIZOを、スパッタリング法などにより成膜する。そして、フォトリソグラフィ法により所定形状の全面電極14を形成する。本実施形態では、この所定形状に形成された全面電極14の上面がp側パッド電極接続面10bとなる。
以上により、窒化物半導体発光素子構造10が形成される。
【0055】
なお、基板2上には、複数の窒化物半導体発光素子構造10がマトリクス状に配列して形成され、窒化物半導体発光素子1が基板2上に完成した後に、チップに分割される。
【0056】
(パッド電極層形成工程:S11)
次に、図3(a)に示すように、スパッタリング法などにより、左端を最下層として、Cr/Au、Ru/Au、Ni/Au、Pd/Au、Cr/Ru/Auなどの多層膜などを、ウェハの表面全体に積層してパッド電極層20を形成する。なお、後工程であるパッド電極層エッチング工程S13においてウェットエッチング法を用いる場合は、パッド電極層20を構成する材料は、ウェットエッチングによって除去(エッチング)されることが要求される。
【0057】
従来技術においては、図6(b)から図6(d)に示したように、全面電極114およびn型窒化物半導体層111上に第1レジストパターン130を形成するため、パッド電極層120を形成する際には、n側パッド電極121およびp側パッド電極122の設置面がレジスト材料や洗浄液などで汚され、n側パッド電極121とn型窒化物半導体層111との間、およびp側パッド電極122と全面電極114との間の、密着性やコンタクト抵抗の特性が劣化するおそれがある。これに対して、本実施形態では、全面電極14を積層後に、直ぐにパッド電極層20を積層するため、このようなおそれを低減することができる。
【0058】
(レジストパターン形成工程:S12)
次に、図3(c)に示すように、フォトリソグラフィ法により、n側パッド電極21を形成する領域およびp側パッド電極22を形成する領域をマスクするレジストパターン30を形成する。レジストパターン30は、次工程のパッド電極層エッチング工程S13におけるエッチングのマスクとなるものである。このエッチングとしてウェットエッチングを用いる場合は、例えば、ノボラック樹脂系のレジスト材料を用いることができる。具体的には、例えば、AZエレクトロニックマテリアルズ社の製品名AZ5218-E(成分:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート70wt%、ノボラック樹脂誘導体、ナフトキノジアジト)、AZエレクトロニックマテリアルズ社の製品名AZ5200NJ-85cp(成分:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60wt%、ノボラック樹脂誘導体、ナフトキノンジアジト)、東京応化工業社の製品名OFPR-8600(成分:エチルセロソルブアセテート95〜45wt%、ノボラック樹脂誘導体40〜5wt%、感光剤15〜1wt%)を挙げることができる。
【0059】
(パッド電極層エッチング工程:S13)
次に、図4(a)に示すように、レジストパターン30をマスクとして、パッド電極層20をエッチングする。これにより、レジストパターン30でマスクされたn側パッド電極21およびp側パッド電極22となる領域を残して、パッド電極層20が除去される。
【0060】
ここで、パッド電極層20のエッチングは、ドライエッチング法を用いることもできるが、ドライエッチング法に比べてエッチングする材料の選択性が高いウェットエッチング法を用いることが好ましい。ウェットエッチング法を用いることにより、金属からなるパッド電極層20をエッチングする一方で、下層のITOなどからなる全面電極14やn型窒化物半導体層11へのダメージを低く抑えることができる。
また、エッチング法として、ウェットエッチング法を用いる場合は、ドライエッチング法のように真空装置を必要とせず、簡便な製造装置で高速にエッチングすることができる。
【0061】
ウェットエッチング法を用いる場合、パッド電極層20をエッチングするエッチング液としては、例えば、Auに対しては、ヨウ素、ヨウ化カリウムおよび窒素系有機化合物の混合液の希釈溶液を、Cr、Ruに対しては、硝酸二アンモニウムセリウムおよび過塩素酸の混合液の希釈溶液または硝酸二アンモニウムセリウムおよび硝酸の混合液の希釈溶液を、Ni、Pdに対しては、FeClを含有する酢酸系溶液を、それぞれ用いることができる。
【0062】
(保護層形成工程:S14)
次に、図4(b)に示すように、レジストパターン30を除去することなく残存させたままで、ウェハの表面全体に、例えば、スパッタリング法により、絶縁性のSiOなどを積層して保護層23を形成する。
【0063】
(レジストパターン除去工程:S15)
そして、図4(c)に示すように、レジスト膜剥離液を用いてレジストパターン30を除去することにより、レジストパターン30とともにレジストパターン30の上面に形成された保護層23が除去(リフトオフ)される。これによって、n側パッド電極21およびp側パッド電極22の上面である電極面が露出する。これで、基板(ウェハ)2上にマトリクス状の配列した複数の窒化物半導体発光素子1が形成される。
【0064】
本発明の製造方法においては、一つの工程(レジストパターン形成工程S12)で形成したレジストパターン30を用いてn側パッド電極21、p側パッド電極22および保護層23をパターニング形成するため、工程数を低減することができる。
【0065】
また、本発明の製造方法においては、n側パッド電極21およびp側パッド電極22の形成に用いたレジストパターン30を除去せずに保護層23を積層するため、レジストパターン30の除去後には、n側パッド電極21およびp側パッド電極22の上面は保護層23に被覆されずに露出している。このため、n側パッド電極21およびp側パッド電極22の上面全体がワイヤボンディングの際のワイヤ接続面として使用できる。したがって、n側パッド電極21およびp側パッド電極22の平面視での形状は必要最小限の大きさで形成することができる。これによって、n側パッド電極接続面10aの面積を小さくでき、発光に寄与する活性層12およびp型窒化物半導体層13の面積を大きくでき、発光量を増加させることができる。また、窒化物半導体発光素子1の上面側を光取り出し面とする場合は、光取り出しの妨げとなるp側パッド電極22の平面視での面積を小さくできるため、窒化物半導体発光素子1からの光取り出し効率を向上することができる。
【0066】
(チップ分割工程:S16)
さらに、基板(ウェハ)2上にマトリクス状に配列して形成された複数の窒化物半導体発光素子1をスクライブやダイシングなどによりチップに分割することにより、チップ単位の窒化物半導体発光素子1が完成する。また、チップに分割する前に、基板2の裏面から基板2を研削(バックグラインド)して、例えば、85μm程度の厚さとなるまで薄く加工してもよい。
【0067】
なお、パッド電極層20に用いる材料に応じて、パッド電極層形成工程S11以降に、ウェハに200〜400℃程度の熱処理を行うようにしてもよい。これにより、n側パッド電極21およびp側パッド電極22と、それぞれn型窒化物半導体層11および全面電極14との密着性が向上し、それぞれの間のコンタクト抵抗を低くしたり、剥れ率を低減したりすることができる。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施形態における窒化物半導体発光素子の製造方法によれば、製造工程を短縮することができ、窒化物半導体発光素子の生産性を向上することができる。
【0069】
本発明における窒化物半導体発光素子およびその製造方法について、本発明を実施するための形態にて説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれる。
【実施例】
【0070】
窒化物半導体発光素子を作製し、パッド電極の構造について本発明の効果を確認した実施例について説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0071】
図2ないし図4に示した製造方法により図1に示した構造の窒化物半導体発光素子1を作製した。窒化物半導体発光素子1の製造方法の実施例を具体的に説明すると、サファイア製に基板2上に、MOCVDによりn型GaN(窒化ガリウム)からなるn型窒化物半導体層11、活性層12、p型GaNからなるp型窒化物半導体層13を積層し、p型窒化物半導体層13の一部を表面からエッチングしてn型窒化物半導体層11を露出させてn側パッド電極接続面10aを形成した。さらに、光取り出し面となるp型窒化物半導体層13上にスパッタリング法によりITOからなる透光性の全面電極14を積層した。次に、スパッタリング法によりパッド電極層20を積層した後、ノボラック樹脂系のレジスト材料を用いてレジストパターン30を形成した。次に、エッチング液として、Auに対しては、ヨウ素、ヨウ化カリウムおよび窒素系有機化合物の混合液の希釈溶液を、Cr、Ruに対しては、硝酸二アンモニウムセリウムおよび過塩素酸の混合液の希釈溶液を、Ni、Pdに対しては、FeClを含有する酢酸系溶液を、それぞれ用いたウェットエッチング法によりパッド電極層20をエッチングし、n側パッド電極接続面10a上および全面電極上に、それぞれ平面視で円形のn側パッド電極21およびp側パッド電極22を形成した。次に、レジストパターン30を除去せずに残したまま、ウェハの表面にスパッタリング法によりSiOからなる保護層23を形成し、その後にレジストパターン30を除去してウェハ上に窒化物半導体発光素子1を作製した。
【0072】
表1に、パッド電極層20として、表1の「パッド構造」の欄に記載した材料を用い、「膜厚」の欄に記載した膜厚で作製した窒化物半導体発光素子1の実施例について、Auワイヤを用いてp側パッド電極22と接続した際のワイヤボンディング剥れ加速試験を行った結果を示す。No.1〜5は、パッド電極層20を積層後に熱処理を行わない場合を示し、No.6〜10はN雰囲気で30分間280℃の熱処理を行った場合を示す。なお、No.5およびNo.10は、パッド電極層20としてAu単層膜を形成した窒化物半導体発光素子であり、特にパッド電極層20の下層にCr、Ruなどの金属膜を設けた場合の効果を確認するために作製した参考例についての試験結果である。
【0073】
【表1】

【0074】
表1に示すように、p側パッド電極22の剥れ率については、サンプルNo.1〜No.4に示した熱処理なしの場合は、良好な結果が得られた。下層にCrまたはRuからなる金属膜を設けたNo.1およびNo.2に示すサンプルは、特に良好な結果が得られた。No.5に参考例としてパッド電極層20をAuのみで形成したサンプルと比較し、下層にCr、Ru、NiまたはPdからなる金属膜を設けた場合に、剥れ率低減の効果があることを示している。
【0075】
また、No.6〜No.9に示した熱処理ありの場合のサンプルにおいても、No.10に参考例としてパッド電極層20をAuのみで形成したサンプルと比較し、下層にCr、Ru、NiまたはPdからなる金属膜を設けた場合に、剥れ率低減の効果があることを示している。ここで、特に下層にPdからなる金属膜を設けた場合は、剥れ率が上昇しているが、この場合でも、熱処理を行わないようにすることで使用することができる。すなわち、熱処理を有無やその処理条件を、パッド電極層20に用いる材料に応じて適宜選択することで、より広範な材料を用いことができる。
なお、表1に示したp側パッド電極22の剥れ率は、低いほど好ましいものであるが、加速試験であるため、0%でなければ使用できないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0076】
1 窒化物半導体発光素子
2 基板
10 窒化物半導体発光素子構造
10a n側パッド電極接続面
10b p側パッド電極接続面
11 n型窒化物半導体層
12 活性層
13 p型窒化物半導体層
14 全面電極
20 パッド電極層
21 n側パッド電極
22 p側パッド電極
23 保護層
30 レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に積層されたn型窒化物半導体層およびp型窒化物半導体層と、前記基板の同じ平面側に前記n型窒化物半導体層にn側パッド電極を接続するn側パッド電極接続面と、前記p型窒化物半導体層にp側パッド電極を接続するp側パッド電極接続面と、を有する窒化物半導体発光素子構造と、
前記n側パッド電極接続面に接続された前記n側パッド電極と、
前記p側パッド電極接続面に接続された前記p側パッド電極と、
を有する窒化物半導体発光素子の製造方法であって、
前記窒化物半導体発光素子構造上に、前記n側パッド電極および前記p側パッド電極となるパッド電極層を形成するパッド電極層形成工程と、
前記パッド電極層上に、前記n側パッド電極および前記p側パッド電極を形成する領域を被覆するレジストパターンを形成するレジストパターン形成工程と、
前記レジストパターンをマスクとして、前記パッド電極層をエッチングして前記n側電極および前記p側電極を形成するパッド電極層エッチング工程と、
前記レジストパターンを除去せずに、前記窒化物半導体積層構造の表面および前記レジストパターン上に絶縁性の保護層を形成する保護層形成工程と、
前記レジストパターンを除去するレジストパターン除去工程と、
が順次行われることを特徴とする窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記パッド電極層エッチング工程はウェットエッチングを用い、
前記パッド電極層は、前記ウェットエッチングによりエッチングされる金属膜からなることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記パッド電極層は、Cr、Ru、NiまたはPdからなる金属膜を最下層とし、Auからなる金属膜を上層に有する金属多層膜からなることを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記パッド電極層は、CrまたはRuからなる金属膜を最下層とし、Auからなる金属膜を上層に有する金属多層膜からなることを特徴とする請求項3に記載の窒化物半導体発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−243954(P2012−243954A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112625(P2011−112625)
【出願日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】