説明

窒化物系化合物半導体発光素子

【課題】 発効効率が高く寿命の長い窒化物系化合物半導体発光素子を提供する。
【解決手段】 Al23を主成分とするAl23基板110と、Al23基板110上に形成されている、不純物を含有するInxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)(たとえば、GaN層120)とを含むことを特徴とする窒化物系化合物半導体発光素子。ここで、上記基板のAl23成分を51モル%以上99.999999モル%未満とすること、上記基板の厚さを1μm以上5mm以下とすることができる。また、上記不純物を、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかとすること、上記不純物の濃度を、1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下の範囲とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視領域から紫外光領域で発光可能な窒化物系化合物半導体発光素子に関し、特に、Al23を主成分とする導電性基板を用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化物系化合物半導体を用いた発光素子は、各化合物半導体層の組成を調整することで紫外域から赤外域までの幅広い波長で発光させることができるため、広い分野に応用されている。
【0003】
従来の窒化物系化合物半導体発光素子は、たとえば、図2に示すように、サファイア基板210上に、バッファ層220としてAlN層が設けられ、このバッファ層220上に、Si(シリコン)がドープされたn型のGaNからなるn型コンタクト層230が形成されている。n型コンタクト層230上に、AlaInbGa1-a-bN(0≦a、0≦b、a+b≦1)組成の多重量子井戸からなる活性層240が形成されている。この活性層240上に、Mg(マグネシウム)がドープされたp型のAlcGa1-cN(0≦c≦1)からなるp型クラッド層250が形成され、このp型クラッド層250上に、Mgがドープされたp型のGaNからなるp型コンタクト層260が形成されている。さらに、p型コンタクト層260の表面にp側電極280が設けられ、積層された半導体層の一部がエッチングされて露出したn型コンタクト層230の表面にn側電極270が設けられている(たとえば、特許文献1および特許文献2を参照)。
【0004】
上記のような従来の窒化物系化合物半導体発光素子は、Al23を主成分とするサファイア基板上にAlN層を形成する場合には、このAlN層に不純物を添加するとAlN層および/またはその上に形成される層の結晶性が悪化し発光効率が低下するため、このAlN層には不純物が添加されていない。このように、従来の窒化物系化合物半導体発光素子においては、基板上に成長させるエピタキシャル層に不純物が混入するのを防止するために、Al23成分が、少なくとも99.9999999モル%(9N)以上、好ましくは99.999999999モル%(11N)以上の高純度のサファイア基板が用いられてきた。
【0005】
しかし、従来の窒化物系化合物半導体発光素子について、より一層の発効効率の向上および寿命の長期化が求められていた。
【特許文献1】特開平8−293643号公報
【特許文献2】特許第3182346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、発効効率が高く寿命の長い窒化物系化合物半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、Al23を主成分とする基板と、この基板上に形成されている、不純物を含有するInxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)とを含むことを特徴とする窒化物系化合物半導体発光素子である。
【0008】
本発明にかかる特化物系化合物半導体発光素子において、基板のAl23成分を51モル%以上99.999999モル%未満とすることができる。また、基板の厚さを1μm以上5mm以下とすることができる。また、基板は、Al23成分以外に、Ti、CおよびNのいずれか、TiおよびC、またはTiおよびNを含有することができる。
【0009】
また、本発明にかかる特化物系化合物半導体発光素子において、InxAlyGa1-x-yN層の厚さを1nm以上5mm以下とすることができる。また、InxAlyGa1-x-yN層に含有されている不純物をO、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかとすることができる。さらに、InxAlyGa1-x-yN層に含有されている不純物の濃度を1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下の範囲とすることができる。
【発明の効果】
【0010】
上記のように、本発明によれば、発効効率が高く寿命の長い窒化物系化合物半導体発光素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態1)
本発明にかかる一の窒化物系化合物半導体発光素子は、図1を参照して、Al23成分が70モル%であるAl23基板110上に、InxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)であるGaN層120、n型GaN層130、InvGa1-vN−MQW(多重量子井戸)発光層(0≦v≦1)140、p型InpAlqGa1-p-qN層(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)150およびp型GaN層160が順次積層されている。また、n型GaN層130の一部が露出されて、その露出部分上にn側電極170が形成されている。また、p型GaN層160上にp側電極180が形成されている。ここで、GaN層120は、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかの不純物を含有する。また、本実施形態においてはp型InpAlqGa1-p-qN層150のIn組成比pを0、Al組成比qを0.3とするが、他の組成比とすることも可能である。
【0012】
上記の窒化物系化合物半導体発光素子は、以下のようにして作製される。すなわち、MOCVD(有機金属気相成長)法により、Al23基板100上に、GaN層120、n型GaN層130、InvGa1-vN−MQW発光層140、p型InpAlqGa1-p-qN層150、p型GaN層160を順次積層させた。各層の原材料としては、N源としてNH3を、Ga源としてTMG(トリメチルガリウム)を、In源としてTMI(トリメチルインジウム)を用いており、GaN層120の成長温度は1150℃、n型GaN層130の成長温度は1100℃、InvGa1-vN−MQW発光層140の成長温度は600℃〜900℃、p型GaN層160の成長温度は1000℃とした。
【0013】
尚、本実施形態においてはMOCVD法により積層しているが、他の方法、たとえばHVPE(ハイドライド気相成長)法、MBE(分子線エピタキシ)法などを用いて積層してもよい。
【0014】
また、エッチングによりn型GaN層130の一部を露出させて、露出部分上にn側電極170を形成し、p型GaN層160上にp側電極180を形成した。n側電極170およびp側電極180の形成方法としては、EB(エレクトロンビーム)蒸着法を用いた。また、n側電極の構成としてはn型GaN層130側からHf/Alとした。なお、n側電極の他の構成としてはTi/Al、Ti/Mo、Hf/Auなどを用いることができる。p側電極の構成としてはp型GaN層160側からPd/Auとした。なお、本実施形態においては、p側電極の材料として、PdおよびAuを用いたが、ITO(インジウム−スズ酸化物)やNiなどの材料を用いてもよい。
【0015】
本実施形態においては、Al23成分が70モル%のAl23基板を用いたが、Al23基板のAl23成分量と発光強度との関係は、図3に示すとおりである。図3から明らかなように、発光素子の発光強度を高める観点から、Al23基板のAl23成分は、51モル%以上99.999999モル%(8N)未満であることが好ましく、40モル%以上99.999モル%(5N)未満であることがより好ましい。
【0016】
本実施形態において、Al23基板が、上記Al23成分以外に、Ti、CおよびNのいずれかを含有することが好ましい。Al23基板が上記元素を含有することにより、発光素子の発光強度が増大する。Al23基板に含有される元素は、Ti、CおよびNのいずれかが単独であってもよく、これらの元素が複数であってもよい。特に、Al23基板がTiおよびCを含有する発光素子は、Al23基板がTiを単独に含有する発光素子に比べて、発光の寿命が長くなった。また、Al23基板がTiおよびNを含有する発光素子は、Al23基板がTiを単独に含有する発光素子に比べて、発光素子の順電圧Vfが低減した。なお、Al23基板の成分の分析は、X(エックス)線回折法およびTEM(透過型電子顕微鏡)によるEDX(エネルギー分散X線分光)法、SIMS(2次イオン質量分析)法により行なった。
【0017】
本実施形態においては、Al23基板の厚さと内部量子効率の関係は、図4に示すとおりである。図4から明らかなように、内部量子効率を高める観点から、Al23基板の厚さは1μm以上5mm以下であることが好ましい。なお、Al23基板の厚さの測定は、SEM(走査型電子顕微鏡)および光学顕微鏡を用いて行なった。
【0018】
本実施形態において、Al23基板上に形成されるInxAlyGa1-x-yN層のひとつ(x=0、y=0の場合)であるGaN層120の厚さと内部量子効率との関係は、図5に示すとおりである。図5から明らかなように、GaN層の厚さが1nm以上とすると内部量子効率が向上する。一方、GaN120層は、厚さ5mmまではクラックを発生することなく成長させることができたが、厚さ10mmまで成長させたところクラックが発生し、発光素子として用いることができなくなった。以上のことより、内部量子効率を高め、クラックのないInxAlyGa1-x-yN層を成長させる観点から、基板上に形成されるInxAlyGa1-x-yN層の厚さは1nm以上5mm以下であることが好ましい。なお、InxAlyGa1-x-yN層の厚さの測定は、SEM、TEMおよび光学顕微鏡を用いて行なった。
【0019】
本実施形態において、Al23基板上に形成されるInxAlyGa1-x-yN層のひとつであるGaN層120に不純物としてCが含有される場合の発光スペクトルは、図6に示すとおりである。図6において、曲線610はGaN層120に不純物が含有されていない発光素子の発光スペクトルを示し、曲線620はGaN層120に不純物としてCが1×1017cm-3含有されている発光素子の発光スペクトルを示す。図6から明らかなように、InxAlyGa1-x-yN層に不純物を含有させることにより、発光素子の発光強度を向上させることができる。
【0020】
本実施形態において、Al23基板上に形成されるInxAlyGa1-x-yN層のひとつであるGaN層120に含有される不純物の濃度と発光強度との関係は、図7に示すとおりである。図7において、曲線710は不純物がC、曲線720は不純物がO、曲線730は不純物がGe、曲線740は不純物がSi、曲線750は不純物がCa、曲線760は不純物がBe、曲線770は不純物がMgの場合における不純物の濃度と発光強度との関係を示す。図7から明らかなように、不純物がO、C、Ge、Si、Ca、BeおよびMgのいずれの場合であっても、これらの不純物が含有されることにより、発光強度が大きくなった。また、発光強度を増大させる観点から、不純物の濃度は、1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下であることが好ましい。
【0021】
また、GaN層120に含有されている不純物が以下の元素の場合は、上記の発光強度の増大の効果に加えて、以下の効果が認められた。すなわち、不純物がOの場合は、発光素子の寿命が長くなった。不純物がSiの場合は、発光素子の寿命が長くなるとともに順電圧Vfが低減した。不純物がGeの場合は、発光素子の順電圧Vfが低減した。不純物がBeの場合は、発光素子の順電圧Vfが低減するとともに表面モフォロジがよくなった。不純物がMgの場合は、発光素子の寿命が長くなり順電圧Vfが低減するとともに表面モフォロジがよくなった。不純物がCaの場合は、発光素子の表面モフォロジがよくなった。
【0022】
なお、本実施形態においては、MOCVD法によりGaN層120の成長の際に不純物を添加しているが、他の方法によって不純物を添加することもできる。
【0023】
(実施形態2)
本発明にかかる他の窒化物系化合物半導体発光素子は、図8を参照して、Al23成分が70モル%であり不純物として15モル%のTiと15モル%のCとを含むAl23基板810上に、InxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)であるGaN層820、n型GaN層830、InvGa1-vN−MQW発光層(0≦v≦1)840、p型InpAlqGa1-p-qN層(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)850およびp型GaN層860が順次積層されている。また、Al23基板810(InxAlyGa1-x-yN層が形成されていない主面)上にn側電極870が形成されている。また、p型GaN層860上にp側電極880が形成されている。ここで、GaN層820は、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかの不純物を含有する。また、本実施形態においてはp型InpAlqGa1-p-qN層850のIn組成比pを0、Al組成比qを0.1とするが、他の組成比とすることも可能である。すなわち、本実施形態は、p型InpAlqGa1-p-qN層のIn組成比pを0、Al組成比qを0.1としたこと、n側電極870がn型GaN層130の露出部上ではなくAl23基板810上に形成されていること以外は実施形態1と同様である。
【0024】
本実施形態においては、発光素子の基板としてAl23成分が70モル%であり不純物として15モル%のTiと15モル%のCとを含むAl23基板を用いているため、このAl23基板に含まれる不純物により、このAl23基板の一方の主面から反対側の主面への電気的接続が可能となり、このAl23基板を挟んで両側に発光素子の電極を設けることが可能となる。本実施形態においては、不純物としてTiとCとが含まれるAl23基板を用いたが、Cに替えて、Nが含まれるAl23基板であってもよい。また、不純物としてTi、CおよびNのうちいずれかのみが含まれるAl23基板、Ti、CおよびNのすべてが含まれるAl23基板であってもよい。また、上記不純物を適量含む観点から、Al23基板のAl23成分は、51モル%以上99.999999モル%未満であることが好ましい。
【0025】
本実施形態の発光素子の発光強度は、基板上に形成されているGaN層が本実施形態と同一の種類および濃度の不純物を含有する実施形態1の発光素子の発光強度の2倍となり、発光強度の高い発光素子が得られた。
【0026】
(実施形態3)
本発明にかかるさらに他の窒化物系化合物半導体発光素子は、図9を参照して、Al23成分が70モル%であり不純物として15モル%のTiと15モル%のCとを含むAl23基板910上に、InxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)であるGaN層920、p型GaN層960、p型InpAlqGa1-p-qN層(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)950、InvGa1-vN−MQW発光層(0≦v≦1)940およびn型GaN層930が順次積層されている。また、Al23基板910上にp側電極980が形成されている。また、n型GaN層930上にn側電極970が形成されている。ここで、GaN層920は、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかの不純物を含有する。また、本実施形態においてはp型InpAlqGa1-p-qN層950のIn組成比pを0、Al組成比qを0.2とするが、他の組成比とすることも可能である。すなわち、本実施形態は、実施形態2においてp型InpAlqGa1-p-qN層のIn組成比pを0、Al組成比qを0.2とし、p型層とn型層との配置を逆にしたものに相当する。
【0027】
本実施形態の発光素子の発光強度は、基板上に形成されているGaN層が本実施形態と同一の種類および濃度の不純物を含有する実施形態2の発光素子の発光強度の1.2倍(すなわち実施形態1の発光素子の発光強度の2.4倍)となり、発光強度の高い発光素子が得られた。
【0028】
(実施形態4)
本発明にかかるさらに他の窒化物系化合物半導体発光素子は、図10を参照して、Al23成分が70モル%であり不純物として15モル%のTiと15モル%のCとを含むAl23基板1010上に、InxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)であるIn0.05Ga0.95N層1020、n型GaN層1030、InzGa1-zN−MQW発光層(0≦z≦1)1040、p型InpAlqGa1-p-qN層(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)1050およびp型GaN層1060が順次積層されている。また、Al23基板1010上にn側電極1070が形成されている。また、p型GaN層1060上にp側電極1080が形成されている。ここで、In0.05Ga0.95層1020は、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかの不純物を含有する。また、本実施形態においてはp型InpAlqGa1-p-qN層1050のIn組成比pを0、Al組成比qを0.35とするが、他の組成比とすることも可能である。すなわち、本実施形態は、実施形態2においてGaN層をIn0.05Ga0.95N層に置き換え、p型InpAlqGa1-p-qN層のIn組成比pを0、Al組成比qを0.35としたものに相当する。
【0029】
本実施形態の発光素子の発光強度は、基板上に形成されているInxAlyGa1-x-yN層が本実施例形態と同一の種類および濃度の不純物を含有する(すなわち、図10のIn0.05Ga0.95層1020と図8のGaN層820とが同一の種類および濃度の不純物を含有する)実施形態2の発光素子の発光強度の1.5倍(すなわち実施形態1の発光素子の発光強度の3.0倍)となり、発光強度の高い発光素子が得られた。
【0030】
(実施形態5)
本発明にかかるさらに他の窒化物化合物半導体発光素子は、図11を参照して、Al23成分が70モル%であり不純物として15モル%のTiと15モル%のCとを含むAl23基板1110上に、InxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)であるIn0.05Ga0.95N層1120、InvGa1-vN−MQW発光層(0≦v≦1)1140、p型InpAlqGa1-p-qN層(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)1150およびp型GaN層1160が順次積層されている。また、Al23基板1110上にn側電極1170が形成されている。また、p型GaN層1160上にp側電極1180が形成されている。ここで、In0.05Ga0.95N層1120は、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかの不純物を含有する。また、本実施形態においてはp型InpAlqGa1-p-qN層1150のIn組成比pを0、Al組成比qを0.25とするが、他の組成比とすることも可能である。すなわち、本実施形態は、実施形態4においてn型GaN層を除き、p型InpAlqGa1-p-qN層のIn組成比pを0、Al組成比qを0.25としたものに相当する。
【0031】
本実施形態の発光素子の発光強度は、基板上に形成されているIn0.05Ga0.95N層が本実施形態と同一の種類および濃度の不純物を含有する実施形態4の発光素子の発光強度の1.1倍(すなわち実施形態1の発光素子の発光強度の3.3倍)となり、発光強度の高い発光素子が得られた。
【0032】
(実施形態6)
本発明にかかるさらに他の窒化物化合物半導体発光素子は、図12を参照して、Al23成分が70モル%であり不純物として15モル%のTiと15モル%のCとを含むAl23基板1210上に、InxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)であるAl0.02Ga0.98N層1220、n型GaN層1230、InvGa1-vN−MQW発光層(0≦v≦1)1240、p型InpAlqGa1-p-qN層(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)1250およびp型GaN層1260が順次積層されている。また、Al23基板1210上にn側電極1270が形成されている。また、p型GaN層1260上にp側電極1280が形成されている。ここで、Al0.02Ga0.98N層1220は、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかの不純物を含有する。また、本実施形態においてはp型InpAlqGa1-p-qN層1250のIn組成比pを0、Al組成比qを0.15とするが、他の組成比とすることも可能である。すなわち、本実施形態は、実施形態2においてGaN層をAl0.02Ga0.98N層に置き換え、p型InpAlqGa1-p-qN層のIn組成比pを0、Al組成比qを0.15としたものに相当する。
【0033】
本実施形態の発光素子の発光強度は、基板上に形成されているInxAlyGa1-x-yN層が本実施例形態と同一の種類および濃度の不純物を含有する(すなわち、図12のIn0.02Ga0.98層1220と図8のGaN層820とが同一の種類および濃度の不純物を含有する)実施形態2の発光素子の発光強度の1.6倍(すなわち実施形態1の発光素子の発光強度の3.2倍)となり、発光強度の高い発光素子が得られた。
【0034】
(実施形態7)
本発明にかかるさらに他の窒化物化合物半導体発光素子は、図13を参照して、Al23成分が70モル%であり不純物として15モル%のTiと15モル%のCとを含むAl23基板1310上に、InxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)であるIn0.05Al0.02Ga0.93N層1320、n型GaN層1330、InvGa1-vN−MQW発光層(0≦v≦1)1340、p型InpAlqGa1-p-qN層(0≦p≦1、0≦q≦1、0≦p+q≦1)1350およびp型GaN層1360が順次積層されている。また、Al23基板1310上にn側電極1370が形成されている。また、p型GaN層1360上にp側電極1380が形成されている。ここで、In0.05Al0.02Ga0.93N層1320は、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかの不純物を含有する。また、本実施形態においてはp型InpAlqGa1-p-qN層1350のIn組成比pを0、Al組成比qを0.15とするが、他の組成比とすることも可能である。すなわち、本実施形態は、実施形態2においてGaN層をIn0.05Al0.02Ga0.93N層に置き換え、p型InpAlqGa1-p-qN層のIn組成比pを0、Al組成比qを0.15としたものに相当する。
【0035】
本実施形態の発光素子の発光強度は、基板上に形成されているInxAlyGa1-x-yN層が本実施例形態と同一の種類および濃度の不純物を含有する(すなわち、図13のIn0.05Al0.02Ga0.93N層1320と図8のGaN層820とが同一の種類および濃度の不純物を含有する)実施形態2の発光素子の発光強度の1.4倍(すなわち実施形態1の発光素子の発光強度の2.8倍)となり、発光強度の高い発光素子が得られた。
【0036】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかる一の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【図2】従来の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【図3】本発明にかかる一の窒化物系化合物半導体発光素子における基板中のAl23成分と内部量子効率との関係を示す図である。
【図4】本発明にかかる一の窒化物系化合物半導体発光素子における基板の厚さと内部量子効率との関係を示す図である。
【図5】本発明にかかる一の窒化物系化合物半導体発光素子におけるInxAlyGa1-x-yN層(x=0、y=0)の厚さと内部量子効率との関係を示す図である。
【図6】本発明にかかる一の窒化物系化合物半導体発光素子の発光スペクトルを示す図である。
【図7】本発明にかかる一の窒化物系化合物半導体発光素子におけるGaN層中の不純物の濃度と発光強度との関係を示す図である。
【図8】本発明にかかる他の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【図9】本発明にかかるさらに他の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【図10】本発明にかかるさらに他の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【図11】本発明にかかるさらに他の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【図12】本発明にかかるさらに他の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【図13】本発明にかかるさらに他の窒化物系化合物半導体発光素子を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0038】
110,810,910,1010,1110,1210,1310 Al23基板、120,820,920 GaN層、130,830,930,1030,1230,1330 n型GaN層、140,840,940,1040,1140,1240,1340 InvGa1-vN−MQW発光層、150,850,950,1050,1150,1250,1350 p型InpAlqGa1-p-qN層、160,860,960,1060,1160,1260,1360 p型GaN層、170,270,870,970,1070,1170,1270,1370 n側電極、180,280,880,980,1080,1180,1280,1380 p側電極、210 サファイア基板、220 バッファ層、230 n型コンタクト層、240 活性層、250 p型クラッド層、260 p型コンタクト層、610 GaN層に不純物が含有されていない発光素子の発光スペクトル、620 GaN層に不純物としてCが含有されている発光素子の発光スペクトル、710 不純物がCの場合の曲線、720 不純物がOの場合の曲線、730 不純物がGeの場合の曲線、740 不純物がSiの場合の曲線、750 不純物がCaの場合の曲線、760 不純物がBeの場合の曲線、770 不純物がMgの場合の曲線、1020,1120 In0.05Ga0.95N層、1220 Al0.02Ga0.98N層、1320 In0.05Al0.02Ga0.93N層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Al23を主成分とする基板と、前記基板上に形成されている、不純物を含有するInxAlyGa1-x-yN層(0≦x≦1、0≦y<0.5、0≦x+y≦1)とを含むことを特徴とする窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項2】
前記基板のAl23成分が、51モル%以上99.999999モル%未満であることを特徴とする請求項1記載の窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項3】
前記基板の厚さが1μm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項4】
前記基板が、前記のAl23成分以外に、Ti、CおよびNのいずれかを含有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項5】
前記基板が、前記のAl23成分以外に、TiおよびCを含有することを特徴とする請求項4に記載の窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項6】
前記基板が、前記のAl23成分以外に、TiおよびNを含有することを特徴とする請求項4に記載の窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項7】
前記InxAlyGa1-x-yN層の厚さが、1nm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項8】
前記InxAlyGa1-x-yN層に含有されている前記不純物が、O、C、Si、Ge、Be、MgおよびCaの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の窒化物系化合物半導体発光素子。
【請求項9】
前記InxAlyGa1-x-yN層に含有されている前記不純物の濃度が、1×1016cm-3以上1×1020cm-3以下の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の窒化物系化合物半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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