説明

窒化膜の製造装置及びその製造方法、並びにその製造プログラム

【課題】窒化膜の屈折率及び/又は堆積速度の分布の均一性を所定の数値範囲内に収めるとともに、窒化膜の応力の制御性を高める。
【解決手段】本発明の1つの窒化膜の製造装置100は、チャンバー30内に配置された基板20上にプラズマCVD法によって窒化膜70(70a)を形成する窒化膜の製造装置100である。具体的には、この窒化膜の製造装置100は、窒化膜70(70a)の形成のために独立に印加する相対的に高い周波数の第1高周波電力及び/又は相対的に低い周波数の第2高周波電力とを用いて得られる、所定の数値範囲内に収まった前述の窒化膜の屈折率の分布及び/又は前述の窒化膜の堆積速度の分布に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)の窒化膜70(70a)の圧縮応力又は引張応力を得るための第1高周波電力が印加される第1期間と第2高周波電力が印加される第2期間とを算出する制御部39を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化膜の製造装置及びその製造方法、並びにその製造プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体を用いた各種デバイスの開発と活用の勢いは未だその衰えを知らず、今後も重要な地位を占め続けることは疑いない。この半導体を用いたデイバス開発を支える主要な要素技術の1つが、酸化膜、窒化膜、又は酸窒化膜等のいわゆる薄膜の形成技術である。半導体構造の微細化が日進月歩で進められていく中で、膜質の向上とともに制御性の高い膜の形成を実現することは、この要素技術の発展には欠かせないものとなる。
【0003】
これまで、多くの成膜技術が開示されてきた。例えば、平行平板型のプラズマCVD装置において、2種類の異なる周波数の電力を同時に印加することにより、形成される絶縁膜のチャージアップダメージを抑制又は防止する技術が既に開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−367986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、半導体を用いた各種デバイスの開発においては、薄膜の形成技術としての膜質や制御性の向上が強く望まれる。
【0006】
半導体構造が年々微細化されていく中では、その膜質の向上とともに、膜の形成によって生じ得る各種の応力(ストレスともいう。本出願では総称して「応力」という。)を適切に制御しなければ、そのデバイスの耐久性を含む信頼性等に少なからず影響することになる。特に、酸窒化膜や窒化膜(以下、本出願では総称して「窒化膜」という。)は、膜質としての有用性から広範に活用されているが、一方において、その膜の形成によって生じてしまう応力の制御が非常に困難であるという難点が存在する。
【0007】
例えば、上述の先行技術において開示されている、平行平板型のプラズマCVD装置において2種類の異なる周波数の電力を同時に印加することによって形成される窒化膜は、チャージアップの問題が解決されたとしても、その窒化膜の応力の制御性が低いという問題は依然として解決されない。
【0008】
本願発明者らは、プラズマCVD法によって形成される窒化膜に対して所望の屈折率又は堆積速度の均一性を得るためには、その窒化膜に引張応力又は圧縮応力が生じ易いことを認識していた。しかしながら、通常、それらの応力を無くすために成膜条件(例えば、窒化膜が形成される基板の温度やその基板が配置されるチャンバー内の圧力など)を変えると、所望の屈折率が得られなくなるという問題が生じる。逆に言えば、所望の応力の得るためだけに各種のプロセス条件の最適化を図ると、得られた窒化膜の屈折率や堆積速度の均一性が所望の数値範囲から外れている場合が多く、上述の全ての物性値やプロセス特性を得るためには、数多くの試行錯誤を経なければならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、窒化膜の物性(屈折率)及び/又はプロセス特性(堆積速度の分布の均一性)を所定の数値範囲内に収めるとともに、窒化膜の応力の制御性を格段に高める技術を提供することにより、有用性の高い窒化膜の形成技術の更なる向上に貢献するものである。
【0010】
上述のように、所望の窒化膜を得ることが困難な状況の中で、発明者らは数多くの成膜条件に基づく窒化膜の応力、屈折率、及び堆積速度の均一性に対する実験と分析を行った結果、幾つかの興味深い相関性のある実験結果を得た。具体的には、例えば、プラズマを形成する際に与えられる、周波数が相対的に高い高周波電力の場合の窒化膜が圧縮応力を有している一方、その周波数が相対的に低い場合の窒化膜は引張応力を有していることが明らかとなった。更に分析を進めると、独立して印加される、相対的に高い周波数の高周波電力(以下、「第1高周波電力」ともいう。)と相対的に低い周波数の高周波電力(以下、「第2高周波電力」ともいう。)との印加時間の比を調整さえすれば、形成された窒化膜に対する所望の応力のみならず、所望の屈折率及びと堆積速度の均一性が確度高く得られることが判明した。本発明は上述のような着眼点と事実に基づいて創出された。
【0011】
本発明の1つの窒化膜の製造装置は、チャンバー内に配置された基板上にプラズマCVD法によって窒化膜を形成する窒化膜の製造装置である。より具体的には、この窒化膜の製造装置は、窒化膜の形成のために独立に印加する相対的に高い周波数の第1高周波電力及び/又は相対的に低い周波数の第2高周波電力とを用いて得られる、所定の数値範囲内に収まった前述の窒化膜の屈折率の分布及び/又は前述の窒化膜の堆積速度の分布に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)のその窒化膜の圧縮応力又は引張応力を得るための前述の第1高周波電力が印加される第1期間と前述の第2高周波電力が印加される第2期間とを算出する制御部を備えている。
【0012】
この製造装置によれば、独立に印加する上述の第1高周波電力及び/又は第2高周波電力を用いて基板上に窒化膜を形成するときの窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布が所定の数値範囲内に収まる条件が把握された状況で、所望の応力(応力が0の場合を含む)を得るための第1期間と第2期間とが算出される。換言すれば、第1高周波電力のみ又は第2高周波電力のみの印加に限らず、第1高周波電力と第2高周波電力とがそれぞれ独立に印加されることにより形成された、いわば積層膜である場合であっても、所望の応力を得るための任意の第1期間と第2期間とが算出されたときに、確度高く、所定の数値範囲の窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度が得られる。なお、付言すれば、この製造装置において第1高周波電力又は第2高周波電力のいずれかが単独で印加される場合は、第1期間又は第2期間が存在しないことになる。
【0013】
そのため、上述の製造装置によれば、最終的に得たい窒化膜の応力を設定さえすれば、そのための第1期間と第2期間とが制御部によって算出されるだけでなく、その窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布は所定の数値範囲内に収めることができるという特筆すべき効果が得られる。
【0014】
また、本発明の1つの窒化膜の製造方法は、チャンバー内に配置された基板上にプラズマCVD法によって窒化膜を形成する窒化膜の製造方法である。より具体的には、この窒化膜の製造方法は、窒化膜の形成のために独立に印加する相対的に高い周波数の第1高周波電力及び/又は相対的に低い周波数の第2高周波電力を用いて所定の数値範囲内に収まった前述の窒化膜の屈折率の分布及び/又は前述の窒化膜の堆積速度の分布を得る工程と、その窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)の前述の窒化膜の圧縮応力又は引張応力を得るための前述の第1高周波電力が印加される第1期間と前述の第2高周波電力が印加される第2期間とを算出する工程と、を含む。
【0015】
この製造方法によれば、独立に印加する上述の第1高周波電力及び/又は第2高周波電力を用いて基板上に窒化膜を形成するときの窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布が所定の数値範囲内に収まる条件が把握された状況で、所望の応力(応力が0の場合を含む)を得るための第1期間と第2期間とが算出される。換言すれば、第1高周波電力のみ又は第2高周波電力のみの印加に限らず、第1高周波電力と第2高周波電力とがそれぞれ独立に印加されることにより形成された、いわば積層膜である場合であっても、所望の応力を得るための任意の第1期間と第2期間とが算出されたときに、確度高く、所定の数値範囲の窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度が得られる。なお、付言すれば、この製造方法において第1高周波電力又は第2高周波電力のいずれかが単独で印加される場合は、第1期間又は第2期間が存在しないことになる。
【0016】
そのため、上述の製造方法によれば、最終的に得たい窒化膜の応力を設定さえすれば、そのための第1期間と第2期間とを算出されるだけでなく、その窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布は所定の数値範囲内に収めることができるという特筆すべき効果が得られる。
【0017】
また、本発明の1つの窒化膜の製造プログラムは、チャンバー内に配置された基板上にプラズマCVD法によって窒化膜を形成する窒化膜の製造プログラムである。より具体的には、この窒化膜の製造プログラムは、コンピューターに、窒化膜の形成のために独立に印加する相対的に高い周波数の第1高周波電力及び/又は相対的に低い周波数の第2高周波電力を用いて所定の数値範囲内に収まった前述の窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布を取得させるステップと、前述の窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)の窒化膜の圧縮応力又は引張応力を得るための前述の第1高周波電力が印加される第1期間と前述の第2高周波電力が印加される第2期間とを算出させるステップと、を実行させる命令を含む。
【0018】
この製造プログラムによれば、独立に印加する上述の第1高周波電力及び/又は第2高周波電力を用いて基板上に窒化膜を形成するときの窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布が所定の数値範囲内に収まる条件が把握された状況で、所望の応力(応力が0の場合を含む)を得るための第1期間及び第2期間の算出が実行される。換言すれば、第1高周波電力のみ又は第2高周波電力のみの印加に限らず、第1高周波電力と第2高周波電力とがそれぞれ独立に印加されることにより形成された、いわば積層膜である場合であっても、所望の応力を得るための任意の第1期間と第2期間とが算出されたときに、確度高く、所定の数値範囲の窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度が得られる。なお、付言すれば、この製造プログラムにおいて第1高周波電力又は第2高周波電力のいずれかが単独で印加される場合は、第1期間又は第2期間が存在しないことになる。
【0019】
そのため、上述の製造プログラムによれば、最終的に得たい窒化膜の応力を設定さえすれば、そのための第1期間と第2期間とを算出されるだけでなく、その窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布は所定の数値範囲内に収めることができるという特筆すべき効果が得られる。
【0020】
加えて、本出願においては、上述の製造プログラムにより制御される制御部を備えた窒化膜の製造装置も1つの製造装置の例として開示される。
【0021】
ところで、本出願において、上述の製造装置、製造方法、及び製造プログラムにおける「引張応力」とは、図1に示すように、基板20上にある窒化膜90aが形成された状態で、膜が収縮する(図1の矢印91aの)方向の応力をいう。この応力により、基板20の材質等によって程度の差はあるが、基板20が矢印21aの方向に湾曲するように変形することになる。なお、一般的には、この方向の応力に対して「+」(プラス)の数値が与えられる。他方、上述の製造装置、製造方法、及び製造プログラムにおける「圧縮応力」とは、図2に示すように、基板20上にある窒化膜90bが形成された状態で、膜が膨張する(図2の矢印91bの)方向の応力をいう。この応力により、基板20の材質等によって程度の差はあるが、基板20が矢印21bの方向に湾曲するように変形することになる。なお、一般的には、この方向の応力に対して「−」(マイナス)の数値が与えられる。
【0022】
また、上述の製造装置、製造方法、及び製造プログラムにおいて、「所望の圧縮応力又は引張応力」には、応力が0(ゼロ)とは異なる値となる場合も含まれる。窒化膜単層を考慮した場合においては、上述の応力が生じない(つまり、「0(ゼロ)」となる)ことが好ましいが、他の膜(例えば、ある応力が既に生じている酸化膜)との積層膜が形成される際に、その積層膜全体として応力を生じさせないことが要求される場合がある。そのような場合においては、形成する窒化膜単層に対して敢えて引張応力又は圧縮応力を与えることも現実的に採用され得るためである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の1つの窒化膜の製造装置によれば、最終的に得たい窒化膜の応力を設定さえすれば、そのための第1期間と第2期間とが制御部によって算出されるだけでなく、その窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布は所定の数値範囲内に収めることができるという特筆すべき効果が得られる。また、本発明の1つの窒化膜の製造方法、又は本発明の1つの窒化膜の製造プログラムによれば、最終的に得たい窒化膜の応力を設定さえすれば、そのための第1期間と第2期間とを算出されるだけでなく、その窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度の分布は所定の数値範囲内に収めることができるという特筆すべき効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本出願における引張応力の定義を示す概念図である。
【図2】本出願における圧縮応力の定義を示す概念図である。
【図3】本発明の1つの実施形態における窒化膜の製造装置の構成を示す一部断面図である。
【図4】本発明の1つの実施形態における第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、印加電力の変化に対する窒化シリコン膜の応力の変化を示すグラフである。
【図5】本発明の1つの実施形態における第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、チャンバー内圧力の変化に対する窒化シリコン膜の応力の変化を示すグラフである。
【図6】本発明の1つの実施形態における第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、チャンバー内に導入する2種類の反応性ガス(シラン(SiH)ガスとアンモニア(NH)ガス)の流量比を1:1としたときの総流量の変化に対する窒化シリコン膜の応力の変化を示すグラフである。
【図7】本発明の1つの実施形態における第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、チャンバー内に導入する非反応性ガス(窒素(N)ガス)の流量の変化に対する窒化シリコン膜の応力の変化を示すグラフである。
【図8】本発明の1つの実施形態における第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、基板温度の変化に対する窒化シリコン膜の応力の変化を示すグラフである。
【図9】本発明の1つの実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の応力の変化を示すグラフである。
【図10】本発明の1つの実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、堆積速度と面内均一性(換言すれば、面内不均一性)の変化を示すグラフである。
【図11】本発明の1つの実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、屈折率の変化を示すグラフである。
【図12】本発明の1つの実施形態における窒化膜の製造フローチャートである。
【図13】本発明の他の実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の応力の変化を示すグラフである。
【図14】本発明の他の実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、堆積速度と面内均一性(換言すれば、面内不均一性)の変化を示すグラフである。
【図15】本発明の他の実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、屈折率の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
つぎに、本発明の実施形態を、添付する図面に基づいて詳細に述べる。尚、この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。また、図中、本実施形態の要素は必ずしもスケール通りに示していない。また、以下の各種ガスの流量は、標準状態の流量を示す。
【0026】
<第1の実施形態>
図3は、本実施形態の窒化膜(具体的には、窒化シリコン膜(SiN))の製造装置100の構成を示す一部断面図である。本図面は概略図であるため、公知のガス供給機構の一部や排気機構の一部を含む周辺装置は省略されている。
【0027】
図3に示すように、本実施形態の窒化膜の製造装置100は、平行平板型のプラズマCVD装置であり、大きく分類すれば、チャンバー30と、複数のガスボンベ32a,32b,32cと、コンピューター60に接続する制御部39とを備えている。また、公知の搬送機構(図示しない)によって搬送された基板(本実施形態では、シリコン基板)20は、チャンバー30の中央付近に設けられたステージ31に載置される。基板20及びチャンバー30内は、チャンバー30の外壁に備え付けられたヒーター34a,34bにより加熱される。また、チャンバー30には、シラン(SiH)ガスのガスボンベ32aがガス流量調整器33aを介して接続されており、アンモニア(NH)ガスのガスボンベ32bがガス流量調整器33bを介して接続されており、さらに、窒素(N)ガスのガスボンベ32cがガス流量調整器33cを介して接続されている。また、本実施形態では、窒化シリコン膜(SiN膜)を形成するための例を示すため、酸素(O)ガスのガスボンベを図示していないが、例えば、酸窒化シリコン膜(SiON膜)を形成するために、上記各ボンベに加えて亜酸化窒素(NO)ガスのガスボンベがチャンバー30に接続されることは、他の採用し得る一態様である。
【0028】
シラン(SiH)ガスのガスボンベ32a、アンモニア(NH)ガスのガスボンベ32b及び窒素(N)ガスのガスボンベ32cから送り込まれたガスは、最終的には同一の経路を通ってチャンバー30に到達する。なお、本実施形態においてシラン(SiH)ガス及びアンモニア(NH)ガスは、いわゆる反応性ガスであり、窒素(N)ガスは非反応性ガスである。ここで、本出願における分類としては、窒素(N)ガスは「非反応性ガス」に属するが、その一部が反応に寄与する可能性を否定されない。つまり、窒素(N)ガスは、代表的には、反応性ガスの希釈や、チャンバー30内に導入するガスの全体としての適切な流量を維持するために用いられるが、その一部が反応に寄与する可能性も存在する。なお、他の非反応性ガスには、アルゴン(Ar)が含まれる。
【0029】
加えて、本実施形態の窒化膜の製造装置100は、相対的に高い周波数(本実施形態では、13.56MHz)の高周波電力を印加する第1高周波電源36aと、相対的に低い周波数(本実施形態では、380kHz)の高周波電力を印加する第2高周波電源36bと、それらの一方を選択して印加するためのスイッチ40とを備えている。第1高周波電源36a又は第2高周波電源36bは、シャワーヘッドガス導入部35に高周波電力を印加することにより、シャワーヘッド導入部35から吐出した上述のガスをプラズマ化する。その結果、生成されたプラズマが、ステージ31上の基板20に到達することによって、基板20上に窒化シリコン膜70が形成される。
【0030】
なお、シャワーヘッドガス導入部35は、リング状のシール材Sによってチャンバー30とは電気的に絶縁されている。また、ステージ31もリング状のシール材Sによってチャンバー30とは電気的に絶縁されている。また、このチャンバー30内を減圧し、かつプロセス後に生成されるガスを排気するため、チャンバー30には真空ポンプ37が排気流量調整器38を介して接続されている。さらに、このチャンバー30からの排気流量は排気流量調整器38により変更される。上述の第1高周波電源36a、第2高周波電源36b、スイッチ40、ガス流量調整器33a,33b、液体流量調整器33c、ヒーター34a,34b、及び排気流量調整器38は、制御部39により制御される。
【0031】
[実施例(予備的実験)]
次に、チャンバー30における窒化膜の形成プロセスについて説明する。本実施形態では、チャンバー30内の基板20上に窒化シリコン膜70が形成される。具体的なプロセスの一例を示すと、チャンバー30内の圧力が50〜200Paとなるまで、シラン(SiH)ガスが5〜50sccm、及びアンモニア(NH)ガスが5〜50sccm供給される。また、本実施形態では、前述の2種類のガスに加えて、窒素(N)ガスが500〜2000sccm供給される。
【0032】
次に、ステージ31の温度が150℃〜350℃になるまでヒーター34が加熱される。ここで、基板20の温度を安定化させるため、60秒以上待機する。その後、シャワーヘッドガス導入部35には、第1高周波電源36a又は第2高周波電源36bにより、30W〜400Wの第1高周波電力及び/又は30W〜400Wの第2高周波電力が印加される。本実施形態では、上記のプラズマ条件による酸化膜形成プロセスが、約10〜約100分間行われる。上記のプロセス条件が採用されると、基板20上に、約0.1〜約1μmの厚みを持つ窒化シリコン膜70が形成される。
【0033】
図4は、本実施形態において上述の第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、印加電力の変化に対する窒化シリコン膜70の応力の変化を示すグラフである。なお、このときのシラン(SiH)ガスの流量は5sccmであり、アンモニア(NH)ガスの流量は5sccmであった。また、このときの窒素(N)ガスの流量は、2000sccmであり、チャンバー内圧力は50Paであった。また、基板温度は250℃であった。
【0034】
図4に示すように、大変興味深いことに、窒化シリコン膜70の応力は、上述の第1高周波電力のみが印加された場合と上述の第2高周波電力のみが印加された場合とでは、調査された範囲の全てに渡って互いに逆向きの応力が生じることが明らかとなった。
【0035】
また、図5は、本実施形態において上述の第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、チャンバー内圧力の変化に対する窒化シリコン膜70の応力の変化を示すグラフである。なお、このときのシラン(SiH)ガスの流量は5sccmであり、アンモニア(NH)ガスの流量は5sccmであった。また、このときの窒素(N)ガスの流量は、2000sccmであり、基板温度は250℃であった。
【0036】
図5に示すように、窒化シリコン膜70の応力は、上述の第1高周波電力のみが印加された場合と上述の第2高周波電力のみが印加された場合とでは、少なくとも圧力が100Pa以下の範囲においては互いに逆向きの応力が生じることが明らかとなった。また、100Paを超える範囲においても、それらの応力には(たとえ同じ向きの応力であっても)大きな差が生じていることが確認された。
【0037】
また、図6は、本実施形態において上述の第1高周波電力のみが印加された場合の、チャンバー内に導入する2種類の反応性ガス(シラン(SiH)ガスとアンモニア(NH)ガス)の流量比を1:1としたときの総流量の変化に対する窒化シリコン膜70の応力の変化を示すグラフである。なお、このときの窒素(N)ガスの流量は、2000sccmであり、チャンバー内圧力は50Paであった。また、基板温度は250℃であった。
【0038】
図6に示すように、窒化シリコン膜70の応力は、上述の第1高周波電力のみが印加された場合と上述の第2高周波電力のみが印加された場合とでは、少なくとも総流量が40sccm以下の範囲においては互いに逆向きの応力が生じることが明らかとなった。また、40sccmを超える範囲においても、それらの応力には(たとえ同じ向きの応力であっても)大きな差が生じていることが確認された。
【0039】
また、図7は、本実施形態において上述の第1高周波電力のみが印加された場合の、チャンバー内に導入する非反応性ガス(窒素(N)ガス)の流量の変化に対する窒化シリコン膜70の応力の変化を示すグラフである。なお、このときのシラン(SiH)ガスの流量は5sccmであり、アンモニア(NH)ガスの流量は5sccmであった。また、このときのチャンバー内圧力は50Paであり、基板温度は250℃であった。
【0040】
図7に示すように、窒化シリコン膜70の応力は、上述の第1高周波電力のみが印加された場合と上述の第2高周波電力のみが印加された場合とでは、調査された範囲の全てに渡って互いに逆向きの応力が生じることが明らかとなった。
【0041】
また、図8は、本実施形態において上述の第1高周波電力のみ及び第2高周波電力のみが印加された場合の、基板温度の変化に対する窒化シリコン膜70の応力の変化を示すグラフである。なお、このときのシラン(SiH)ガスの流量は5sccmであり、アンモニア(NH)ガスの流量は5sccmであった。また、このときの窒素(N)ガスの流量は、2000sccmであり、チャンバー内圧力は50Paであった。
【0042】
図8に示すように、窒化シリコン膜70の応力は、上述の第1高周波電力のみが印加された場合と上述の第2高周波電力のみが印加された場合とでは、少なくとも基板温度が300℃以下の範囲においては互いに逆向きの応力が生じることが確認された。また、300℃を超える範囲においても、それらの応力には(たとえ同じ向きの応力であっても)大きな差が生じていることが確認された。
【0043】
加えて、本実施形態においては、上述の第1高周波電力のみが印加された場合の窒化シリコン膜70の屈折率は約1.8〜約2.2であった。また、その膜の堆積速度の平均値は約10〜約50nm/min.であり、その膜の堆積速度の不均一性は、±1〜±10%であった。他方、上述の第2高周波電力のみが印加された場合の窒化シリコン膜70の屈折率は約1.7〜約2であった。また、その膜の堆積速度の平均値は約10〜約50nm/min.であり、その膜の堆積速度の不均一性は、±5%以下、より具体的には、±1%以上±5%以下であった。
【0044】
[実施例1]
次に、上述の各種の興味深い結果を踏まえ、発明者らは、本実施形態の窒化膜の製造装置100を用いて、基板20上に、第1高周波電力のみを印加することによって形成される窒化シリコン膜と、第2高周波電力のみを印加することによって形成される窒化シリコン膜とを、いわば積層することにより、窒化シリコン膜70aを製造した。この際に、発明者らは、前述のそれぞれの高周波電力の処理時間の比を変えたときの、窒化膜の応力、窒化膜の屈折率、及び窒化膜の堆積速度の依存性を調査した。以下、第1高周波電力が印加される期間を「第1期間」といい、第2高周波電力が印加される期間を「第2期間」という。
【0045】
図9は、第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の応力の変化を示すグラフである。図9に示すように、第2期間の比率が増加するにつれて、ほぼ直線状に応力が引張応力(+)から圧縮応力(−)に変化することが明らかとなった。これは、第1期間と第2期間との比率を変動させることにより、第1高周波電力のみを印加する場合に得られる応力の数値と第2高周波電力のみを印加する場合に得られる応力の数値との間における、任意の所望の応力を得ることが可能であることを示している。
【0046】
ところで、第1期間と第2期間との比率と窒化シリコン膜70aの物性との相関性について調査を進めると、さらに興味深い知見が得られた。具体的には、以下の通りである。
【0047】
図10は、本実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、平均堆積速度と面内不均一性(換言すれば、堆積速度のバラツキ)の変化を示す。また、図11は、本実施形態における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、窒化シリコン膜70aの屈折率の変化を示すグラフである。
【0048】
図10及び図11に示すように、堆積速度、面内不均一性、及び屈折率は、いずれも第1期間と第2期間との比率に依らずに、ほぼ一定の値を示すことが確認された。
したがって、図10及び図11に示す結果に図9の結果を併せると、所望の応力を得るために任意の第1期間と第2期間とを導き出したとしても、所定の数値範囲の窒化膜の屈折率の分布及び/又はその窒化膜の堆積速度が得られることになる。
【0049】
上述のような成果を得たことにより、本実施形態の窒化膜の製造装置100の制御部39は、独立に印加する第1高周波電力及び/又は第2高周波電力とを用いて得られる、所定の数値範囲内に収まった窒化シリコン膜70aの屈折率の分布及び/又は窒化シリコン膜70aの堆積速度の分布(より詳細には、堆積速度の基板面内の分布)に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)の窒化シリコン膜70aの圧縮応力又は引張応力を得るための第1期間と第2期間とを算出する機能を備える。より具体的には、例えば、上述の各種の予備的実験の諸々のデータに基づいて得られた図9乃至図11に相当するデータを記憶した制御部39は、窒化膜の製造プロセスにおいて要求される膜の応力の値が与えられると、最終的に形成される窒化膜の応力がその所望の応力になるように第1期間と第2期間とを算出する。そして、本実施形態では、制御部39は、上述のとおり、第1高周波電源36a、第2高周波電源36b、スイッチ40、及び/又はガス流量調整器33a,33b等を制御することにより、基板20上に所望の応力を有するとともに、所望の範囲内の屈折率及び/又は堆積速度となる窒化シリコン膜70aを製造することになる。
【0050】
ところで、既に述べたとおり、制御部39はコンピューター60に接続されている。このコンピューター60は、上述の各プロセスを実行するための窒化膜の製造プログラムにより、上述の各プロセスを監視し、又は統合的に制御する。また、特に言及するまでもなく、制御部39は、上述の第1期間及び第2期間の算出するための記録部及び演算部(図示しない)を備えている。以下に、具体的な製造フローチャートを示しながら、窒化膜の製造プログラムを説明する。尚、本実施形態では、上述の製造プログラムがコンピューター60内のハードディスクドライブ、又はコンピューター60に設けられた光ディスクドライブ等に挿入される光ディスク等の公知の記録媒体に保存されているが、この製造プログラムの保存先はこれに限定されない。例えば、この製造プログラムの一部又は全部は、本実施形態における制御部39内に保存されていてもよい。また、この製造プログラムは、ローカルエリアネットワークやインターネット回線等の公知の技術を介して上述の各プロセスを監視し、又は制御することもできる。また、制御部39の代わりに、コンピューター60が、上述の第1期間及び第2期間の算出するための記録部及び演算部(図示しない)を備えている態様も、採用し得る他の一態様である。
【0051】
まず、本実施形態についての窒化膜の製造プログラムを説明する。図12は、本実施形態における窒化膜の製造フローチャートである。
【0052】
図12に示すとおり、まず、ステップS101において、基板20がチャンバー20内に導入される。その後、プラズマCVD装置において一般的に行われているプロセス、例えば、所定の圧力になるまでの排気、及びステージ31の加熱及び待機等が行われる。次に、ステップS102において、最終的に得たい窒化膜の応力の値が入力される。そうすると、本実施形態では、ステップS103において、上述の各種の予備的実験の諸々のデータに基づいて得られた図9乃至図11に相当するデータを記憶した制御部39が、ステップS102において要求された応力の値になるように第1期間と第2期間とを算出する。
【0053】
その後、ステップS104において、制御部39によって算出された、換言すれば設定された第1期間と第2期間に基づいて、制御部39が、第1高周波電源36a、第2高周波電源36b、スイッチ40、及び/又はガス流量調整器33a,33b等を制御することにより、基板20上に窒化膜を形成する。ここで、例えば、第1期間と第2期間とを1回ずつ実行するだけでは形成できない程度の厚い膜厚を得たい場合には、前述の第1期間と第2期間とが複数回繰り返され得る。
【0054】
最後に、ステップS105において、プロセスの終了後に基板20がチャンバー30から取り出される。上述のとおり、ステップS101乃至ステップS106が実行されることにより、所望の応力を有するとともに、所望の範囲内の屈折率及び/又は堆積速度となる窒化膜が得られる。
【0055】
<その他の実施形態>
ところで、上述の実施形態では、主として窒化シリコン膜の製造装置及びその製造方法、並びにその製造プログラムについて説明したが、上述の実施形態は、酸窒化膜(例えば、酸窒化シリコン膜)に対しても適用できる。酸窒化膜も、狭義の窒化膜と同様に、形成された膜に対して圧縮応力や引張応力が生じる場合が一般的であり、その応力の制御を行いつつ、屈折率や堆積速度の分布を制御することは非常に困難である。しかしながら、上述の実施形態を酸窒化膜に適用することにより、上述の実施形態の効果と同等、又は少なくとも一部の効果が奏され得る。
【0056】
例えば、図13は、図9に相当する、酸窒化シリコン膜における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の応力の変化を示すグラフである。図13に示すように、酸窒化シリコン膜を製造する場合であっても、横軸が0%から100%に至るまで、ほぼ右肩下がりに応力が下降していることが確認できる。
【0057】
また、図14は、図10に相当する、酸窒化シリコン膜における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、平均堆積速度と面内不均一性(換言すれば、堆積速度のバラツキ)の変化を示す。また、図15は、図11に相当する、酸窒化シリコン膜における第1期間と第2期間との比率を変動させた場合の、酸窒化シリコン膜の屈折率の変化を示すグラフである。
【0058】
図13乃至図15に示されるように、窒化シリコン膜と同様に、酸窒化シリコン膜の応力の制御を行いつつ、酸窒化シリコン膜の屈折率や堆積速度の分布を制御することは可能である。したがって、上述のとおり、酸窒化シリコン膜においても、上述の実施形態が適用できる。
【0059】
なお、上述の実施例1においては、第1高周波電力のみを印加することによって形成される窒化シリコン膜と、第2高周波電力のみを印加することによって形成される窒化シリコン膜とを、1層ずつ積層した窒化シリコン膜70aを採用したが、本実施例の窒化シリコン膜70aは、これに限定されない。既に述べたとおり、例えば、第1高周波電力のみを印加する第1期間と第2高周波電力のみを印加する第2期間とが複数回ずつ交互に設けられることも他の採用し得る一態様である。第1期間と第2期間とが複数回繰り返されることにより、最終的に形成される窒化シリコン膜の物性について全体としての均質化が図られるため、そのような態様はむしろ好ましいといえる。さらに、比較的短い時間としての第1期間と第2期間とが複数回ずつ交互に設けられることによって薄膜を多数回積層することにより、例えば、その後にエッチング処理を施す際に、エッチング速度等の一定性が得られやすいという効果も奏され得る。
【0060】
加えて、上述の各実施形態では、制御部39が排気流量調整器38等に直接接続されていたが、上述の各実施形態の態様は、そのような構成に限定されない。例えば、制御部39が、ローカルエリアネットワークやインターネット回線等の公知の技術を介して、いわば間接的に、排気流量調整器38等と接続されている態様も上述の各実施形態の他の採用し得る一態様に含まれ得る。また、本出願における「制御部」は、制御部39のうち、第1期間と第2期間を算出する演算機能を、制御部39とは別個の演算部に発揮させる態様をも含む。そして、その演算部を窒化膜の製造装置100に上述のごとく直接的又は間接的に接続する態様も、他の採用され得る一態様である。また、上述の各実施形態では、第1期間と第2期間とが、代表的には制御部39によって算出されているが、その算出主体も限定されない。例えば、上述の予備的実験に基づいて窒化シリコン膜の製造装置100の管理者や作業者等が算出した第1期間と第2期間を、制御部39又はコンピューター60に入力して記憶させることによって窒化シリコン膜を製造する態様も、上述の製造工程に含まれ得る。
【0061】
さらに、プラズマ生成手段として上述の実施形態では平行平板型(CCP;Capacitive−Coupled Plasma)を用いたが、本発明はこれに限定されない。他の高密度プラズマ、例えば、ICP(Inductively−Coupled Plasma)やECR(Electron−Cyclotron Resonance Plasma)を用いても本発明の効果を得ることができる。
【0062】
なお、上述の各実施形態の開示は、それらの実施形態の説明のために記載したものであって、本発明を限定するために記載したものではない。加えて、各実施形態の他の組合せを含む本発明の範囲内に存在する変形例もまた、特許請求の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
20 基板
31 ステージ
32a,32b,32c ガスボンベ
33a,33b,33c ガス流量調整器
30 チャンバー
36a 第1高周波電源
36b 第2高周波電源
37 真空ポンプ
38 排気流量調整器
39 制御部
34a,34b ヒーター
35 シャワーヘッドガス導入部
40 スイッチ
70,70a,90a,90b 窒化膜
100 窒化膜の製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバー内に配置された基板上にプラズマCVD法によって窒化膜を形成する窒化膜の製造装置であって、
前記窒化膜の形成のために独立に印加する相対的に高い周波数の第1高周波電力及び/又は相対的に低い周波数の第2高周波電力とを用いて得られる、所定の数値範囲内に収まった前記窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)の前記窒化膜の圧縮応力又は引張応力を得るための前記第1高周波電力が印加される第1期間と前記第2高周波電力が印加される第2期間とを算出する制御部を備えた、
窒化膜の製造装置。
【請求項2】
前記制御部が、前記第1期間と前記第2期間とを交互に印加する、
請求項1に記載の窒化膜の製造装置。
【請求項3】
前記所定の数値範囲は、前記窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布の不均一性が、±5%以下となる範囲である、
請求項1又は請求項2に記載の窒化膜の製造装置。
【請求項4】
前記所定の数値範囲内に収まった前記窒化膜の屈折率及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布が、前記基板の温度、前記チャンバー内の圧力、前記チャンバー内に導入される反応性ガスの流量、及び前記チャンバー内に導入される非反応性ガスの流量の群から選択される少なくとも1つの値を変動させることにより得られる、
請求項1又は請求項2に記載の窒化膜の製造装置。
【請求項5】
チャンバー内に配置された基板上にプラズマCVD法によって窒化膜を形成する窒化膜の製造方法であって、
前記窒化膜の形成のために独立に印加する相対的に高い周波数の第1高周波電力及び/又は相対的に低い周波数の第2高周波電力を用いて所定の数値範囲内に収まった前記窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布を得る工程と、
前記窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)の前記窒化膜の圧縮応力又は引張応力を得るための前記第1高周波電力が印加される第1期間と前記第2高周波電力が印加される第2期間とを算出する工程と、を含む、
窒化膜の製造方法。
【請求項6】
前記第1期間と前記第2期間とが交互に設けられる、
請求項5に記載の窒化膜の製造方法。
【請求項7】
前記所定の数値範囲は、前記窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布の不均一性が、±5%以下となる範囲である、
請求項5又は請求項6に記載の窒化膜の製造方法。
【請求項8】
チャンバー内に配置された基板上にプラズマCVD法によって窒化膜を形成する窒化膜の製造プログラムであって、コンピューターに、
前記窒化膜の形成のために独立に印加する相対的に高い周波数の第1高周波電力及び/又は相対的に低い周波数の第2高周波電力を用いて所定の数値範囲内に収まった前記窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布を取得させるステップと、
前記窒化膜の屈折率の分布及び/又は前記窒化膜の堆積速度の分布に基づいて、所望(応力が0の場合を含む)の前記窒化膜の圧縮応力又は引張応力を得るための前記第1高周波電力が印加される第1期間と前記第2高周波電力が印加される第2期間とを算出させるステップと、を実行させる命令を含む、
窒化膜の製造プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の窒化膜の製造プログラムを記録した記録媒体。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載の窒化膜の製造プログラムにより制御される制御部を備えた、
窒化膜の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−38354(P2013−38354A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−175566(P2011−175566)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(511265154)SPPテクノロジーズ株式会社 (6)
【Fターム(参考)】