説明

窒素ドープした炭素コーティングを含む板状顔料の製造方法

本発明は、コア並びに60〜95質量%の炭素及び5〜25質量%の窒素を有する化合物(100%に対する残りは水素、酸素及び硫黄からなる群の要素から選択される)から本質的になる少なくとも1つのコーティング層を含む板状顔料の製造方法であって:(a)液体中に板状粒子を懸濁させる工程;(b)窒素及び炭素原子を含有する1種又は複数種のポリマーを添加する工程、又は(a1)窒素及び炭素原子を含有する1種又は複数種のポリマーを液体中に懸濁させる工程;(b1)板状粒子を添加する工程、(c)ポリマーコーティング層を工程(b)、又は(a1)で添加されたポリマーから上記板状粒子の表面上に形成させる工程;(d)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子を該懸濁液から単離する工程;及び(e)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子をガス環境中で100℃〜1000℃の温度に加熱する工程を含む、板状顔料の製造方法に関し、該方法によって得られた顔料及びその使用に関する。極めて広い範囲の厚さで非常に規則的な、均一且つ連続のコーティングを得ることは、本発明の方法によって可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア並びに60〜95質量%の炭素及び5〜25質量%の窒素を有する化合物(100%に対する残りは、水素、酸素及び硫黄からなる群の要素から選択される)から本質的になる少なくとも1つのコーティング層を含む板状顔料の製造方法に関し、且つ該方法によって得られた顔料及びそれらの使用に関する。
【0002】
付着するアミノシロキサンで処理したアクリロニトリルベースのポリマー粒子の200〜350℃での酸化熱分解による微細なブラック顔料の製造は、JP−63/142066−A号に開示されている。この方法は均一に成形されたブラック粉末をもたらし、該粉末はほんのわずかな窒素のみを含有し且つ光沢効果又はゴニオクロマティシティー(goniochromaticity)を全く生じない。
【0003】
DD238994号は、導電性ポリマーをベースとしたマトリックス中に埋め込まれた小さなクレー又はカオリン粒子(Φ≦2μm)からなる有機親和性の着色された充填剤を開示しており、該充填剤はクレーの分解点よりも低い150℃〜50℃の温度でクレーのセラミック素材及びアクリロニトリルなどのポリマーのか焼によって得られる。更に、これらの複合充填剤は褐色〜黒色であり、光沢効果又はゴニオクロマティシティーがなく、かつそれらの成分は規則正しく配置されていない。
【0004】
DD238994号は、非晶質炭素を含有するマトリックス中に埋め込まれた小さなクレー又はカオリン粒子(Φ≦2μm)からなる有機親和性の着色された充填剤を開示しており、該充填剤はクレーの分解点よりも高い温度でクレーのセラミック素材及びアクリロニトリルなどのポリマーのか焼によって得られる。マイカなどの追加の成分は20質量%までの量で含有してよい。更に、これらの複合充填剤は褐色〜黒色であり、光沢効果又はゴニオクロマティシティーがなく、かつそれらの成分は規則正しく配置されていない。
【0005】
US5,322,561号は導電性フレーク状顔料に関し、その導電性コーティングは追加の金属酸化物粒子でドープされた金属酸化物顔料層からなり且つ相互分散させたカーボンブラック粒子を含有する。しかしながら、色は極めて低いクロマを有する、黒〜薄いグレー及びシルバーグレーである。
【0006】
US3,087,827号は700〜1000℃での炭化水素、脂肪酸、脂肪又は石けんからの炭素のTiO層への堆積を開示している。炭素はプロセスの最後に堆積される場合でさえも、TiO粒子間のわずかな空隙に充填する。全酸素の不在が、望ましくないすす又は粒状の炭素形成を避けるために求められる。更に、生成物はUS5,501,731号から公知のように不十分な光安定性である。
【0007】
US5,271,771号は炭素含有効果顔料を開示しており、該顔料は、プレート状基材の上での炭素及び金属の同時蒸着、その後の、還元条件下及び高温での、炭素の析出とともに、顔料の下塗りの金属酸化物と顔料のトップコートの金属との間の酸化還元反応によって得られる。しかしながら、システムの光学的性質を変えることなく炭素含有層を堆積させることは不可能である。
【0008】
暗黒効果顔料はDE−OS19502231号から公知であり、該顔料は埋め込まれたカーボンブラックで被覆されるか又は酸化チタンでオーバーレイされる。該顔料は板状コアを機械的にカーボンブラック粒子で被覆し、その上に水酸化チタン及び金属還元剤を析出させ、且つ不活性条件下及び約500〜1000℃で得られた複合材を熱分解することによって得られる。クロマはいくらか改善されたが、明度を損失し、それは低すぎる。
【0009】
US4,076,551号は金属水酸化物又はビスマス酸塩化物層で被覆された顔料及びそこに組み込まれたカーボンブラック粒子を開示している。実施例3は3%のカーボンブラック及び0.73%のAlで被覆された青色マイカ/TiO干渉顔料を開示しており、該顔料は鮮やかな青色のきらめきを有する強い暗青色の粉末色を示し、これを光沢又は色を変えずに300℃に40分間加熱してよい。しかしながら、固定され得る炭素の量は制限され且つ顔料の利用可能な表面積によって変化する。マイカフレークの場合、これは約15mg/mを超えず、過剰の炭素は懸濁液中に残り且つ光沢に影響を及ぼす。更に、水性媒体中のカーボンブラックを分散させることは非常に困難であり、且つコーティングが不規則であるため、色及びゴニオクロマティシティーは満足する程度まで今日の要求を満たさない。
【0010】
米国特許第5,501,731号は、上述の欠点の一部は、炭素含有金属化合物(例えば、CrIIIacac)及び式[(CHO)1−6(糖又はデンプン)の化合物で板状シリカの基材を被覆し、次いで酸素除去の条件下で基材粒子の表面上で該炭素含有化合物を分解することによって解決され得ることを特許請求している。非常になめらかなコーティングは、分解がガス相から起こる時に得られると言われている。しかしながら、このプロセスは多量の金属を含有するコーティングをもたらし、比Cr/Cは実施例1で0.92であり、実施例2で1.50である。従って、非常に薄い層、一般的に1〜20nm、有利には1〜10nmのみが適している。更に、相当量の金属が熱分解時にコーティングから分離すると、金属粒子による望ましくない高度な汚染が引き起こされ、これは色の特性に影響を及ぼし、そして顔料が高分子量の有機金属に組み込まれる時に研磨されるか又は望ましくない触媒活性を改善する。
【0011】
米国特許第5,364,467号及び米国特許第5,662,738号は最終的に、最1層の金属酸化物、第2の、非選択的な炭素の吸収層、金属又は金属酸化物、及び場合により第3層の金属酸化物を含む板状金属基材をベースとする光輝顔料を開示している。しかしながら、第2層が炭素である例は存在しない。炭素層が、全ての2つの炭素原子に対して少なくとも1つの酸素を含有する化合物(例えば、PVA、ソルビトール又は糖)の熱分解によって製造され得ることが言及されているにもかかわらず、この方法は規則的に被覆された、単離された粒子を製造することができない。実際に、非常に不規則に被覆された粒子は、炭素質塊の架橋による異なる二面角(dihedric angle)において一緒に結合された複数の小板からなるアグロメレートと共に得られる。
【0012】
米国特許第2006292371号は、炭素含有有機コーティングを有する効果顔料基材を含む顔料を開示しており、上記有機コーティングは炭素含有イオン種を含む。顔料は、板状顔料基材を少なくとも1つの炭素含有イオン種で被覆するか又は反対の電荷の炭素含有イオン種の層を交互にし、コーティングを処理して上記基材上に炭素コーティングを生成することを含む方法によって得られる。有利には上記基材は少なくとも1つの交互の順序のポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド及びポリ(4−スチレンスルホネートナトリウム)で被覆される。
【0013】
DE4317019号は、0.5〜20%の式−(CH−CM−、又は−(−O−(CH−O−CO−NH−(CH−NH−CO−)−(式中、MはH、C1−10アルキル、−COOR、−NH、−COOH又は−CONHであり;MはH又はC1−10アルキルであり;RはC1−10アルキルであり;x及びyは1−10であり;n>1000である)のポリマー化合物、又は場合により置換されたメラミン樹脂で被覆された表面改質されたパール顔料を開示している。DE4317019号の実施例1においてFe被覆のマイカがトルエン中に分散され、ポリエチレンワックスが添加され且つ該分散液は還流下で加熱される。ポリエチレンワックス被覆の顔料は分離され且つ80℃で2時間乾燥される。
【0014】
50gのlriodin504(Fa. E. メルク社(ダルムシュタット)の粒度10〜60μmの被覆マイカ顔料)を300mlのトルエン中に懸濁し且つ5gのポリエチレンワックス(分子量約10000)と混合する。この懸濁液を0.5時間還流下で沸騰させ、その際、該ポリエチレンワックスを溶解させる。冷却時にこの懸濁液は顔料でポリエチレンワックスを吸着する。被覆顔料は吸収され、80DEG Cの際に2時間乾燥される。
【0015】
米国特許第6436538号は、コア及び60〜95質量%の炭素及び5〜25質量%の窒素を有する化合物(100%に対する残りは水素、酸素及び硫黄からなる群の要素から選択される)から本質的になる少なくとも1つの被覆層を含む複合板状粒子の回収に関する。有利には、当該回収される粒子の製造方法は、
(a)板状粒子を液体中に懸濁させる工程;
(b)場合により表面改質剤、重合触媒又は両方を添加する工程;
(c)工程(b)の前又は後に、窒素及び炭素原子を含有するポリマーを重合することが可能な1種又は複数種のモノマーを添加する工程;
(d)ポリマーコーティング層を工程(c)で添加されたモノマーから上記板状粒子の表面上に形成させる工程;
(e)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子を該懸濁液から単離する工程;及び
(f)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子を100℃から1000℃までの温度にガス環境中で加熱する工程
を含む。
【0016】
ポリマーは有利には、ポリピロール、ポリアミド、ポリアニリン、ポリウレタン、ニトリルゴム又はメラミン−ホルムアミド樹脂であり、且つ有利にはポリマーコーティング層を上記板状粒子の表面上に形成させながらモノマーから「インサイチュで」形成される。この方法により不規則に被覆された粒子が得られる。
【0017】
その結果、これらの光沢顔料の色の特性はまだ満たされていない。
【0018】
本発明の目的は、高品質の適用においても格別に高い程度まで今日の要求を満たす効果顔料を提供することである。本発明の方法による効果顔料は、優れた光学特性、例えば、高い屈折率、明度、光沢及び不透明度を有する。着色されたそれらの当該効果顔料は、興味深い揺れ動く効果(色の移動)、例えば、ゴニオクロマティシティーに加えて高いクロマを示す。それらの顕著な光安定性及び化学的及び機械的特性は、それらを特に水性コーティング系を含む全ての従来の種類の基材での使用に適切にし、その際、驚くことに金属コアの場合でさえも追加の安定処理を必要としない。
【0019】
上記の目的は、コア並びに60〜95質量%の炭素及び5〜25質量%の窒素を有する化合物(100%に対する残りは水素、酸素及び硫黄からなる群の要素から選択される)から本質的になる少なくとも1つのコーティング層を含む板状顔料の製造方法であって:
(a)液体中に板状粒子を懸濁させる工程;
(b)窒素及び炭素原子を含有する1種又は複数種のポリマーを添加する工程、又は
(a1)窒素及び炭素原子を含有する1種又は複数種のポリマーを液体中に懸濁させる工程;
(b1)板状粒子を添加する工程
(c)ポリマーコーティング層を工程(b)、又は(a1)で添加されたポリマーから上記板状粒子の表面上に形成させる工程;
(d)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子を該懸濁液から単離する工程;及び
(e)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子をガス環境中で100℃〜1000℃の温度に加熱する工程
を含む、板状顔料の製造方法によって解決された。
【0020】
板状顔料は新規であり且つ本発明の更なる目的を形成する。従って、本発明は、本発明の方法によって得られる、コア並びに60〜95質量%の炭素及び5〜25質量%の窒素を有する化合物(100%に対する残りは水素、酸素及び硫黄からなる群の要素から選択される)から本質的になる少なくとも1つのコーティング層を含む板状顔料にも関する。
【0021】
上記コーティングは以降、窒素ドープした炭素コーティングをも指す。
【0022】
化合物の炭素含有率は有利には70〜90質量%である。水素含有率は有利には0.5〜5質量%である。窒素含有率は有利には13〜22質量%である。硫黄含有率は有利には1質量%未満、最も有利にはゼロである。それぞれのコアは有利には窒素ドープした炭素コーティングによって囲まれるが、2種以上の上記コーティングによって囲まれてもよい。
【0023】
本発明の顔料は、塗料、インクジェット印刷、織物染色に、顔料着色コーティングに、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック用の上薬及びガラスにおいて使用してよい。従って、本発明による顔料で顔料着色された、塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラスは、本発明の更なる目的を形成する。
【0024】
好適な板状に成形された基材(=コア)は透明であり、部分的に反射されるか、又は反射される。それらの例は、天然の酸化鉄(例えば、WO99/48634号)、合成の及びドープしたマイカ状酸化鉄(例えば、EP−A−068311号)、マイカ(黒雲母、ヒル石、絹雲母、白雲母、金雲母、フッ素金雲母、カオリナイト又は類似物)、又は任意の合成マイカ、例えば、合成のフッ素金雲母、塩基性炭酸鉛、フレーク状の硫酸バリウム、MoS、SiO、Al、TiO、ガラス、ZnO、ZrO、SnO、BiOCl、酸化クロム、BN、MgOフレーク、Si及びグラファイトである。特に有利な基材は、天然の、又は合成のマイカ、SiOフレーク、Alフレーク、TiOフレーク、及びガラスフレークである。
【0025】
別の有利な実施態様は平坦な金属粒子のコアとしての使用である。好適な金属粒子の例は、Ag、Al、Au、Cu、Cr、Fe、Ge、Mo、Ni、Si、Ti、又はそれらの合金、例えば、真ちゅう又はスチール、有利にはAl片である。材料に応じて、天然の場合により非干渉の酸化物層は、金属粒子の表面上で形成され得る。部分的に反射コアは、有利には380〜800nmの範囲でその表面上に垂直に落ちる光の少なくとも35%の反射を有する。
【0026】
板状基材の追加の例は、板状有機顔料、例えば、キナクリドン(chinacridone)、フタロシアニン、フルオロルビン、レッドペリレン又はジケトピロロピロールである。
【0027】
当該顔料は有利にはコアと窒素ドープした炭素コーティングとの間に中間コーティングをも含み、該中間コーティングは、例えば、1種又は複数種のプルシアンブルー、MgFの層又は、特に、金属又は混合金属酸化物又は酸化水和物の層からなってよい。中間層は有利には0.01〜1μmの厚さを有する。かかる顔料は当業者に公知である。それらの例は、真珠泊顔料(流動床条件下で窒化物、オキシ窒化物に反応するもの又は亜酸化物への還元によるものを含む)(例えば、EP−A−0948571号、EP−A−1028146号、EP−A−0763573号、US−A−5,858,078号、WO98/53012号、WO97/43348号、US−B−6,165,260号、DE−A−1519116号、WO97/46624号);真珠泊多層顔料(例えば、EP−A−0948572号、EP−A−0882099号、US−A−5,958,125号、US−A−6,139,613号)、特に酸化チタンで被覆した板状マイカもまたIriodin(登録商標)(E.Merck,Darmstadt)、Flonac(登録商標)(Kemira Oy,Finland)、Mearlin(登録商標)(Mearl Corporation,New York/USA)及びInfinite Color(登録商標)(資生堂、日本)の商品名で市販されている、及び被覆した金属フレーク、例えば、二酸化チタン又は二酸化ケイ素被覆金属フレーク(例えば、WO0043457号、US5091010号及びEP717453号)である。コア粒子のサイズは本質的に重要ではなく且つ特定の使用に適合され得る。一般的に、粒子は約1〜200μm、特に約5〜100μmの長さを有し、約0.05〜5μm、有利には0.1〜2μmの厚さを有する。板状形状を有する粒子は、約2:1〜約1000:1のアスペクト比(長さ対厚さ)、及び3:1〜1:1の長さ対幅の比を有する、2つの本質的に平坦で且つ平行な表面を有するものである理解される。
【0028】
低い屈折率を有する透明なコア粒子上の中間層は、有利には金属酸化物、酸化水和物又はハロゲン化物、例えば、チタン、ジルコニウム、スズ、鉄、クロム又は酸化亜鉛、オキシ塩化ビスマス又はそれらの混合物からなり、その上に、任意の保護層も有利には適用して、例えば、金属酸化物、例えば、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの層の安定性を高めてよい。高い屈折率の無色の金属酸化物又は酸化水和物で被覆された、マイカが特に重要である。二酸化ジルコニウム又は二酸化チタンの中間コーティングが特に有利であり;二酸化チタンのコーティングが特に極めて有利である。0.03〜0.3μmの厚さの誘電性コーティング層を有するマイカが特に極めて興味深い。
【0029】
中間コーティング層もまた例えば、2〜20層の多層のパックからなってよい。所望の場合、無色の金属酸化物又は酸化水和物の層は、例えば、着色された金属酸化物又は酸化水和物の層と組み合わせることができる。あるいは、高い屈折率(≧2.0)を有する層及び低い屈折率(≦2.0)を有する層は交互にしてよい。
【0030】
金属フレークにおける中間層は、有利には金属酸化物、酸化水和物又はハロゲン化物、例えば、チタン、ジルコニウム、スズ、鉄、クロム又は亜鉛の酸化物、オキシ塩化ビスマス又はそれらの混合物からなる。二酸化ケイ素のコーティングが特に有利である。
【0031】
窒素ドープした炭素コーティングは例えば、1nm〜1μm、有利には1nm〜300nmの厚さを有する。以下に示した特定のコーティング化合物が更に有利である。
【0032】
上述の窒素ドープした炭素コーティング、当該効果顔料は、場合により外側のコーティングで被覆してもよく、これは実施される機能によって種々の材料の1種又は複数種の層からなってよい。例えば、外側のコーティングは、種々の透明又は選択的吸収性誘電材料からなってもよく、その特殊な電気抵抗は慣用の定義に従って少なくとも1010Ω・cmである。
【0033】
適切な場合、外側コーティングは有利には金属酸化物、酸化水和物又は金属フッ化物、例えば、TiO、ZrO、SiO、SiO、SnO、GeO、ZnO、Al、V、Fe、Cr、MgO、MgF、CuO又はPbTiO、又はそれらの混合物からなる。外側コーティングは化学的又は機械的影響から下層のコーティングを保護し得る。この場合、その屈折率は有利には、顔料が埋め込まれることが意図される外側の媒体の屈折率と可能な限り同等である。特に有利には、外側コーティングは1.33〜1.71の屈折率を有するが、高い屈折率を有する材料も使用してよい。保護的な外側コーティングの厚さは、最も適切には200nm以下、有利には100nm以下、特に50nm以下である。
【0034】
しかしながら、外側コーティングは、入射光の一部を反射するか、又は入射光及びコアによって反射された光を屈折させてよく、干渉効果が生じる。この場合、その屈折率は有利には可能な限り高く、例えば、2.0を超える。反射外側コーティングの厚さは最も適切には100〜400nmである。
【0035】
もちろん、外側コーティングもまた、例えば、中間コーティングについて上で記載されたような多層からなってよい。外側コーティングが2つ以上の層からなる場合、従ってそれは有利には誘電体材料及び当該窒素ドープした炭素コーティング又は半透明金属コーティングの交互の層から構成される。
【0036】
以下の層構造を有する顔料が特に有利である:
【表1】

ここでTRASUBは、低い屈折率を有する透明、又は半透明の板状基材、特に天然の、又は合成のマイカ、別の層状シリカ、ガラス、Al、SiO、特にSiO、SiO/SiO/SiO(0.03≦x≦0.95)、SiO1.40−2.0/SiO0.70−0.99/SiO1.40−2.0、又はSi/SiO(式中、0.70≦z≦2.0、特に1.40≦z≦2.0)であり、且つ
STLは半透明層、例えば、Cu、Ag、Cr、又はSnの半透明の金属層、又は半透明の炭素層である。
【0037】
有利には、本発明の方法は以下の工程:
(a1)窒素及び炭素原子を含有する1種又は複数種のポリマーを液体中に懸濁させる工程;
(b1)板状粒子を添加する工程;
(c)ポリマーコーティング層を工程(a1)で添加されたポリマーから上記板状粒子の表面上に形成させる工程;
(d)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子を懸濁液から単離する工程;及び
(e)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子を100℃から1000℃までの温度にガス環境中で加熱する工程
を含む。
【0038】
この方法により、驚くことに1nm〜1μm、有利には1nm〜300nmの厚さの非常に一定した、規則的な窒素ドープした炭素コーティングを形成することが可能である。
【0039】
窒素及び炭素原子を含有するポリマーは有利には不飽和結合を有する。例はポリピロール、ポリアミド、ポリアニリン、ポリウレタン、ニトリルゴム又はメラミン−ホルムアミド樹脂であり、これらは他のポリマー、例えば、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン又はポリパラフェニレン-スルフィドと一緒に混合物中で単独で使用してよい。有利なポリマーはホモ重合及び共重合のアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、クロトノニトリル及びクロトンアミド、例えば、最も有利にはポリアクリロニトリルである。1種又は複数種のポリマーは、有利にはポリビニルピロリドン(Mw=50,000−80,000)、ポリアクリロニトリル(Mw=50,000−200,000)、ポリアニリン(5,000−10,000)、及びポリウレタン(30,000−50,000)から選択される。ポリアクリロニトリル(Mw=50,000−150,000)が最も有利である。
【0040】
使用される溶液(溶媒)はポリマーの選択によって変わり、例えば、蒸留水、N’N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、又はそれらの混合物であってよい。
【0041】
ポリアクリロニトリルの場合、液体は有利にはDMAC及びDMFであり、その際、DMACが最も有利である。ポリビニルピロリドンの場合、液体は有利には水である。液体の量は全く重要ではなく、例えば、板状粒子の質量を基準として、1〜1000質量部であってよい。
【0042】
極性ポリマーは窒素含有ポリマーの前に、又は上記ポリマーとの混和剤中に堆積させてよい。好適な極性ポリマーは、例えば、約1000〜約100000の分子量(M)及びポリビニルアルコール、セルロース又はそれらの誘導体などの極性基を有する繰り返し単位を有する化合物である。ポリビニルアルコール誘導体、例えば、スルホネート又はシラノール基を有するポリビニルアルコール、及びセルロース誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロース又はセルロースチオ炭酸が最も有利である。
【0043】
工程(a1)において窒素及び炭素原子を含有するポリマーを液体中に懸濁、又は溶解させる。工程(b1)において板状粒子を添加する。
【0044】
ポリマーコーティング層を形成させることは、それ自体公知の方法と似せて実施される。窒素及び炭素原子を含有するポリマー(及び場合により極性ポリマー)は、例えば、0〜100℃、特に40〜80℃の温度で単純に撹拌することによって被覆してよい。
【0045】
被覆された粒子の単離は、例えば、濾過又は遠心分離を行い、次いでこの残留物を一般的な溶媒又は水で洗い、そして例えば、オーブン中でバッチ式に又は噴霧乾燥機中で連続的に乾燥させるような標準的な方法によってなされる。
【0046】
被覆された粒子は次いで有利には100℃から1000℃までの温度にガス環境中で加熱される。有利な温度範囲は150〜600℃である。この工程で、ほとんどの水素原子及びヒドロキシ基が除去され、このコーティングは高い程度の不飽和及び架橋、並びに非常に暗い色を得る。理想的な場合、各コアの周りの全コーティングは、可能な限り共役二重結合によって完全に不飽和になる。一般的に、得られる結果に適した温度は、バルク窒素含有ポリマーについて公知であるか又は関連材料と同様に選択され得る。
【0047】
ガス環境は、工程(e)の間に粒子間の最小限の接触があることを保証する。重力によって粒子がくっつかないように、例えば、流動床中で、粒子を弱く撹拌することが有利である。使用されるガスは温度によって変わり且つ還元を引き起こすべきでない。酸素含有ガス、例えば、100℃から300℃までの温度の空気、及び不活性ガス、例えば、約200〜1000℃の温度の窒素又はアルゴンを使用することが有利である。温度が300℃を超えるべき場合、2段階で加熱することが有利であり、200℃〜300℃の温度まで酸素含有ガスが使用され、その後、温度がそれを超えた時に不活性ガスが使用される。
【0048】
本発明の有利な実施態様において、板状粒子は、工程e)において200〜600℃、特に250〜400℃の温度まで加熱される。
【0049】
向上したクロマを有する干渉顔料は、板状粒子を工程e)において酸素含有雰囲気、例えば、空気中で、200〜300℃、特に240〜280℃の温度まで、1〜4時間、特に約2時間加熱した時に得られる。
【0050】
熱処理の時間はコーティングの化学組成並びに使用される装置によって変わる。これは数秒間(例えば、10秒)〜数日間(例えば、1週間)のできるだけ短時間でよい。有利には、バッチ式操作について1/2〜30時間の反応時間が選択され、1〜10時間の反応時間が最も有利である。
【0051】
驚くことに、極めて広い範囲の厚さで非常に規則的な、均一且つ連続のコーティングを得ることが可能であることが見出された。
【0052】
本発明による(効果又は干渉)顔料は、全ての慣用の目的のために、例えば、素材中のポリマー、コーティング(自動車分野のためのものを含む、効果仕上げを含む)及び印刷インク(オフセット印刷、おう版印刷、ブロンジング及びフレキソ印刷を含む)の着色に、また、例えば、化粧品、インクジェット印刷の用途に、織物の染色に、セラミック及びガラス用の上薬に並びに紙及びプラスチックのレーザーマーキングに使用できる。かかる用途は、例えば、"High Performance Pigments" (H. M. Smith, Wiley VCH-Verlag GmbH, Weinheim, 2002)、及び"Special effect pigments" (R. Glauschら、Curt R. Vincentz Verlag, Hannover, 1998)の文献から公知である。
【0053】
本発明による顔料が干渉顔料(効果顔料)である時、それらはゴニオクロマティック(goniochromatic)であってよく且つ輝く、高度に飽和した(光沢のある)色をもたらす。従ってそれらは従来の、透明顔料、例えば、有機顔料、例えば、ジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノン等との組み合わせに特に極めて適しており、該透明顔料が効果顔料と類似した色を有することが可能である。しかしながら、透明顔料の色及び効果顔料の色が補色である時、例えば、EP−A−388932号又はEP−A−402943号と類似した特に興味深い組み合わせ効果が得られる。
【0054】
従って、本発明は、塗料、インクジェット印刷での、織物染色のための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラス用の上薬の顔料着色のための本発明の顔料の使用に関し、且つ本発明による顔料で着色された、塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラスに関する。
【0055】
本発明による(効果)顔料は、着色上の有効量で、着色された高分子量の有機材料に添加してよい。高分子量の有機材料を基準として、0.01から80質量%まで、有利には0.1質量%から30質量%までの本発明の顔料を含む着色された物質の組成物が有利である。1から20質量%、特に約10質量%の濃度が、しばしば実際に使用できる。
【0056】
高濃度、例えば、30質量%を超える濃度が、通常濃縮物の形態(「マスターバッチ」)であり、該濃縮物は、比較的低い顔料分を有する着色材料を製造するための着色剤として使用してよい。本発明による顔料は慣用の配合物において極めて低い濃度を有するので、なお適切に加工できる。
【0057】
有機材料の顔料着色のために、本発明による効果顔料を単独で使用してよい。しかしながら、異なる色相又は色効果を達成するために、所望の量の他の着色成分、例えば、白色の、着色された、黒色の又は効果顔料を、本発明による効果顔料に加えて高分子量の有機物質に添加することも可能である。着色された顔料を本発明による効果顔料と混和させて使用する場合、高分子量の有機材料を基準として、全量は有利には0.1〜10質量%である。特に高いゴニオクロミシティ(goniochromicity)は、本発明による効果顔料と、該効果顔料を使用して作られた色合い及び10°の測定角で、20〜340、特に150〜210の色相差(ΔH)を有する着色顔料を使用して作られた色合いを有する、別の色、特に補色の着色顔料と、の有利な組み合わせによって提供される。
【0058】
本発明による顔料による高分子量の有機物質の顔料着色は、例えば、かかる顔料の混和によって、適切な場合、マスターバッチの形態で、基材でロールミル又は混合装置もしくは粉砕装置を使用して実施される。次に顔料着色された材料を、それ自体公知の方法、例えば、カレンダー加工、圧縮成形、押出し、コーティング、流し込み又は射出成形を用いて、所望の最終形態にする。プラスチック工業において、慣用の添加剤、例えば、可塑剤、充填剤又は安定剤は、慣用の量で、顔料の組み込み前又は後にポリマーに添加してよい。特に、軟質の成形物品を製造するために又はそれらの脆性を低減するために、可塑剤、例えば、リン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを、成形前に高分子量の化合物に添加することが望ましい。
【0059】
コーティング及び印刷インクの顔料着色のために、高分子量の有機材料及び本発明による効果顔料を、適切な場合、慣用の添加剤、例えば、充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤と一緒に、同じ有機溶媒又は溶媒混合物中に最終的に分散又は溶解させる。これは、個々の成分が個別に溶解又は分散されるか又は多数の成分が一緒に溶解又は分散されて、その直後に全ての成分が一緒にされることが可能である。
【0060】
顔料着色された高分子量の有機材料中の本発明による効果顔料を分散させること、及び本発明による顔料組成物を加工することは、有利には、効果顔料がより小さな部分に分解されないような比較的弱い剪断力が生じる条件下で実施される。プラスチックは、0.1〜50質量%、特に0.5〜7質量%の量で本発明の顔料を含む。コーティング分野において、本発明の顔料は0.1〜10質量%の量で使用される。例えば、塗料及び凹版の印刷インク、オフセット又はスクリーン印刷のための、バインダー系の顔料着色において、顔料は0.1〜50質量%、有利には5〜30質量%及び特に8〜15質量%の量で印刷インク中に組み込まれる。
【0061】
本発明による効果顔料は、唇又は肌のメークアップ及び髪又は爪の着色にも適している。
【0062】
従って本発明は、化粧品又は配合物の全質量を基準として、0.0001〜90質量%の顔料、特に本発明による効果顔料、及び10〜99.9999質量%の化粧用に適したキャリア材料を含む、化粧品又は配合物にも関する。
【0063】
かかる化粧品又は配合物は、例えば、口紅、ほお紅、ファンデーション、マニキュア液及びヘアシャンプーである。
【0064】
顔料は単独で又は混合物の形態で使用してよい。更に、本発明による顔料は、他の顔料及び/又は着色剤と一緒に、例えば、化粧品において上述されたもの又は公知のものと組み合わせて、使用することが可能である。本発明による化粧品及び配合物は、有利には、化粧品の全質量を基準として、0.005〜50質量%の量で本発明による顔料を含有する。
【0065】
本発明による化粧品及び配合物の好適なキャリア材料としてかかる成分中で使用される慣用の材料が挙げられる。
【0066】
本発明による化粧品及び配合物は、例えば、スティック、軟膏剤、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末又は溶液の形態であってよい。それらは、例えば、口紅、マスカラ製品、ほお紅、アイシャドウ、ファンデーション、アイライン、パウダー又はマニキュア液である。
【0067】
本発明による化粧品及び配合物は、例えば、成分と一緒に混合又は撹拌すること、場合により混合物が溶解するように加熱することによって、従来の方法で製造される。
【0068】
本発明の種々の特徴及び態様を更に以下の実施例において例示する。これらの実施例は当業者が本発明の範囲内で操作する方法を示すために提示されており、それらは特許請求の範囲でのみ定義されている本発明の範囲を限定しない。以下の実施例及び他の詳細な説明及び特許請求の範囲に特に示されていなければ、全ての部及びパーセンテージは質量部であり、温度は摂氏度であり、そして圧力は大気圧であるか又はそれに近い。
【0069】
実施例
色相値h及び飽和度C及びさらに隠蔽力ΔE−S/Wを測定するための分析試料を、1.0質量%の干渉顔料を含有するプレスされたPVC板(厚さ1mm)を使用してDIN53 775第7部に準拠して調製した。
【0070】
隠蔽力ΔE−S/WはDIN55984に準拠して測定する。
【0071】
規約反射率/透過性について全ての色測定を、Minolta CM 3610d分光光度計(d/8形状、光沢、光源D65、観測装置2°&10°)及びB&W Leneta cardsを使用して行う。全ての「角度に依存する」測定を、Datacolor FX 10及びB&W Leneta cardsを使用して行う。
【0072】
実施例1
0.04gのポリアクリロニトリル(PAN)を50mlのN’N−ジメチルアセトアミド(DMAC)中に溶解させる。10gのXYMARA D05効果顔料を、得られたPAN−DMAC溶液中に60℃で1時間懸濁させる。次いでこの溶媒を揮発させて、得られたフレークをマッフル炉中の空気の下において260℃で2時間加熱する。得られた顔料の乾燥粉末は0.30%の炭素を含有し且つ金色の干渉色を示す。
【0073】
実施例2
ポリアクリロニトリルコーティングを実施例1に従って調製するが、但しXYMARA D05をXYMARA D15と交換することを除く。熱分解の後に得られた顔料の乾燥粉末は0.3%の炭素を含み且つ赤色の干渉色を示す。
【0074】
実施例3
10gのXYMARA D25効果顔料を、0.1質量%のポリビニルピロリドン(PVP)水溶液100ml中に室温で1時間懸濁させる。次いでこの溶媒を揮発させて、得られたフレークをマッフル炉中の空気の下で260℃で1時間加熱する。得られた顔料の乾燥粉末は0.28%の炭素を含有し且つ青色の干渉色を示す。
【0075】
比較例1[米国特許第6436538号の実施例1に類似する]
10gのXYMARA D05を0.1Mのクエン酸水溶液150ml中に50℃で1時間懸濁させてD05フレーク基材の表面上に吸着されたクエン酸を得る。懸濁液からのフレークの分離後、フレークを水で完全に洗って且つ再度50℃で0.015Mのドデシル硫酸ナトリウムの水溶液150ml中に懸濁させる。懸濁液のpHを1Mの水性HNOにより2.0に調整し、0.1gのアクリロニトリルを添加する。0.05MのHNO中の1mlの0.2Mのセリウム硝酸アンモニウム溶液を窒素下で懸濁液に滴加する。アクリロニトリルの重合を、窒素雰囲気下において50℃で6時間進行させる。その後、フレークを水、メタノールで洗い、次いで3回N,N−ジメチルホルムアミドを用いてグラフトしていないポリアクリロニトリルを除去する。ポリアクリロニトリルで被覆されたコーティングフレークを、次いで空気の下において260℃で2時間加熱する。
【0076】
最終生成物は0.30%の炭素を含有し且つ強力な金色の干渉色を有する。比較例1の干渉顔料の炭化されたポリマーコーティングは、実施例1〜3の干渉顔料の場合と同様に滑らかではない。
【0077】
適用例1
【表2】

【表3】

【0078】
練り顔料及びレットダウンを30:70の比で良好に混合する。0.2gの干渉顔料及び9.8gのブレンドをマグネチックスターラーで連続的に撹拌する。樹脂/顔料分散液を、湿潤フィルムアプリケーターを使用してLeneta社製のLeneta黒色試験紙及び白色試験紙(パネル)の上に引き延ばす。フィルムをフラッシュキャビネット中で30分間フラッシュさせ、次いでオーブン中で130℃で30分間「焼付け」する。
【0079】
実施例1、2及び3並びに比較例1で得られた顔料の15°のドローダウンにおける黒色背景の上の色特性の変化(CIELAB−ΔL,ΔC,Δh)を以下の表に示す。炭化ポリマーコーティングをしないで干渉顔料を含有するドローダウンを標準として用いる。
【表4】

【0080】
表から明らかなように本発明の干渉顔料のクロマは、標準と比較して及び比較例の顔料と比較して増加する。
【0081】
適用例2
0.8gの干渉顔料を、63.5gのポリビニルクロリド(PVC Evipol(登録商標)SH7020,EVC GmbH,Frankfurt a.M)、33.5gのVESTINOL DZ(DIDP)可塑剤及び1.5gのREOPLAST39、バリウム亜鉛カルボキシレートをベースとした1.30gの熱安定剤IRGASTAB BZ561(BaZn)及び0.20gの紫外線吸収剤TINUVIN320と混合する。
【0082】
30分の湿潤時間後に、混合物をロールミル上で8分間160℃のロール温度でPVCフィルムに加工する。
【0083】
実施例1、2及び3それぞれで得られた顔料を含有するPVCフィルムの15°での白色背景上の色特性変化(CIELAB−ΔL,ΔC,Δh)を以下の表に示す。炭化ポリマーコーティングをしないで干渉顔料を含有するPVCを標準として用いる。
【表5】

【0084】
表から明らかなように本発明の干渉顔料のクロマは、標準と比較して増加する。
【0085】
メチレンブルー試験
炭化ポリマーで被覆された実施例1〜3の干渉顔料の光触媒活性はメチレンブルーの光劣化によって評価される:5gの水中の50mgの効果顔料を、1滴のメチレンブルー溶液の存在下でマグネチックスターラーによって撹拌し且つ光に曝す。炭化ポリマーコーティングをしない相当する干渉顔料を含む比較試料を、遮光下で一度に調製且つ撹拌する。該試料の色変化を、比較試料に関して30分毎(4x)に評価する。
【0086】
上の試験から炭化ポリマーコーティングをしない干渉顔料を含有するメチレンブルー溶液が15分以内に色を変化させることが明らかである。メチレンブルー溶液は炭化ポリマーコーティングされた干渉顔料を含有するが、紫外線の曝露の2時間後に全く色変化を示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア並びに60〜95質量%の炭素及び5〜25質量%の窒素を有する化合物(100%に対する残りは水素、酸素及び硫黄からなる群の要素から選択される)から本質的になる少なくとも1つのコーティング層を含む板状顔料の製造方法であって:
(a)液体中に板状粒子を懸濁させる工程;
(b)窒素及び炭素原子を含有する1種又は複数種のポリマーを添加する工程、又は
(a1)窒素及び炭素原子を含有する1種又は複数種のポリマーを液体中に懸濁させる工程;
(b1)板状粒子を添加する工程
(c)ポリマーコーティング層を工程(b)、又は(a1)で添加されたポリマーから上記板状粒子の表面上に形成させる工程;
(d)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子を該懸濁液から単離する工程;及び
(e)上記ポリマーコーティング層を有する上記板状粒子をガス環境中で100℃〜1000℃の温度に加熱する工程
を含む、板状顔料の製造方法。
【請求項2】
1種又は複数種のポリマーがポリビニルピロリドン、ポリアクリロニトリル、ポリアニリン、及びポリウレタンから選択される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ポリマーが50,000〜200,000、特に50,000〜150,000の質量平均分子量を有するポリアクリロニトリルである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
液体がジメチルアセトアミド(DMAC)及び/又はN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)である、請求項1又は3記載の方法。
【請求項5】
ポリマーが50,000〜80,000の質量平均分子量を有するポリビニルピロリドンである、請求項2記載の方法。
【請求項6】
液体が水である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
板状粒子を、工程e)において200〜600℃、特に250〜400℃の温度まで加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載の方法によって得られた、コア並びに60〜95質量%の炭素及び5〜25質量%の窒素を有する化合物(100%に対する残りは、水素、酸素及び硫黄からなる群の要素から選択される)から本質的になる少なくとも1つのコーティング層を含む板状顔料。
【請求項9】
塗料、インクジェット印刷での、織物の染色のための、コーティング、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラス用の上薬の顔料着色のための請求項8記載の顔料の使用。
【請求項10】
請求項8記載の顔料で顔料着色された、塗料、印刷インク、プラスチック、化粧品、セラミック及びガラス。

【公表番号】特表2010−536968(P2010−536968A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521384(P2010−521384)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060366
【国際公開番号】WO2009/024471
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】