説明

窒素含有基を有するポリシロキサンを生成する方法

【課題】粘度が低く、高い保存安定性を有する、繊維柔軟化性のアミノ官能性ポリシロキサンを提供。
【解決手段】構成要素A)同一のまたは異なる末端ヒドロキシ官能性の直鎖または分枝状ポリシロキサン、構成要素B)式R3−xSiR(I)[式中、Rは、同一のまたは異なる1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、Rは、同一のまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、Rは、少なくとも1つの窒素原子を有する有機基であり、x=0〜2である]の同一のまたは異なるアルコキシシラン、および構成要素C)水を、構成要素D)のリンを含有する1種または複数のブレンステッド酸性化合物の存在下で反応させることによって、粘度の径時変化が、小さなアミノ官能性ポリシロキサンを得ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構成要素A)同一のまたは異なる末端ヒドロキシ官能性の直鎖または分枝状ポリシロキサン、構成要素B)式
3−xSiR(I)
[式中、R1は、同一のまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2は、同一のまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、R3は、少なくとも1つの窒素原子を有する有機基であり、x=0〜2である]
の同一のまたは異なるアルコキシシラン、および構成要素C)水を、構成要素D)リンを含有する1種または複数のブレンステッド酸性化合物の存在下で反応させることによって、少なくとも1つの窒素含有基を含有するポリシロキサン、特にアミノ官能性ポリシロキサンを生成する方法、対応して得られる窒素含有基を含有するポリシロキサン、ならびにその使用を対象とする。
【背景技術】
【0002】
アミノ官能性シロキサンは、テキスタイルケア(textile-care)組成物、特に繊維柔軟化(textile-softening)組成物の構成成分として、繊維の洗浄剤またはクリーナーおよび疎水化組成物の構成成分として、広く使用されている。この物質の群の数多くの構造的な変更形態は、従来技術において記載され、見出すことができ、様々な生成経路を介して得ることができる。
【0003】
窒素含量に関係なく可変的に調整され得る鎖長と共に高い変性度を有する高いポリシロキサンは、アミノ基を含有する有機置換基を有するポリシロキサンの側鎖官能化によって得ることができる。最適の適用特性を達成するためには、アミノ官能性ポリシロキサンの窒素含量およびモル質量を互いに独立に調整できることが有利である。
【0004】
従来技術では、側鎖変性アミノシロキサンに関係する数多くの文献が開示されている。例えば、欧州特許第1972330号の段落[0154]および[0155]に説明されている、生成のために塩基によって触媒される平衡化は、使用される出発材料に応じて、末端ジヒドロキシ官能性の側鎖アミノ変性ポリシロキサン、または末端鎖がトリメチルシリル基で末端キャップされている側鎖アミノ変性ポリシロキサンのいずれかをもたらすことができる。遊離SiOH基を備えたそれらの構造的な類似体と比較して、そのような末端キャップされたポリシロキサンは、希釈しなくてもより良好な保存安定性を有するだけでなく、そのようなポリシロキサンの水性エマルジョンを取り扱うときのゲル様の沈殿物およびその成長を予防する。これらのゲル沈着物は、繊維分野における適用にとって、特に望ましくない。
【0005】
従来技術によれば、例えば米国特許第7,238,768B2号に記載の通り、縮合重合によって、末端鎖にヒドロキシル基またはアルコキシ基を有するアミノ変性ポリシロキサンが得られる。使用される触媒は、カルボン酸である。非公開特許出願DE102010042861.2は、カルボン酸によって触媒される縮合重合を記載しており、この重合では、末端鎖にトリメチルシロキシ基を有し、既定の比の異なる側鎖変性を有する、利用できる加水分解安定性のポリシロキサンが得られる。
【0006】
米国特許第6,171,515B1号は、末端キャップされたジアルコキシ官能性アミノポリシロキサンを記載しており、このポリシロキサンでは、シロキサン重合の下流の合成工程において、第1級および第2級アミノ基が、例えばグリシドールなどのエポキシ官能性モノマーで官能化される。アルキレンオキシドによるアミノシロキサンの類似の官能化は、欧州特許第0399706号に記載されている。グリセロールカーボネートまたはグルコノラクトンによるアミノ官能性ポリシロキサンのさらなる官能化は、欧州特許第1972330号およびJ.Phys.Chem.B、2010年、114巻、6872〜6877頁に記載されている。
【0007】
アミノ官能性ポリシロキサンは、アミノ官能性ポリシロキサンで処理された繊維シート材料に、例えば繊維柔軟化効果、防しわ性などの有利な効果を付与し、かつ/またはクリーニングおよび/もしくはコンディショニングおよび/もしくは摩耗の最中に生じ得る退色(fading)、くすみ(greying)などの有害なもしくは負の効果を低減するために、改善され続けている。さらにその目的は、織物の良好な柔らかい感触と同様に、適切な親水性を達成することでもある。従来技術のポリシロキサンに基づく繊維柔軟化配合物の不利益の1つは、窒素含有基の酸化感受性にある。アミノ官能性ポリシロキサンおよびその配合物は、共にその保存条件に応じて黄変が増加する。さらに、ポリシロキサンの粘度は、保存中にゲル化点まで増加することがある。例えば熱応力などの、生成中の好ましくない処理条件は、アミノ官能性シロキサンもしくはその配合物の保存安定性に、既に有害な影響を及ぼしていることがあり、または合成中にゲル化をもたらすおそれもある。
【0008】
例えばWO1998019665またはDE102009048978に示されている従来技術は、例えばアミンを含有する配合物を安定化するための亜硫酸塩などの還元剤の使用を記載している。さらに、酸化電位を最小限に抑えるために、アミンを含有する配合物のアルカリ性のpH値は、可溶性の弱酸の添加によって中性から弱酸性の範囲にされる。
【0009】
従来技術の不利益を考慮すると、高い保存安定性を有する、繊維柔軟化性のポリシロキサンが必要とされている。粘度が比較的低く、保存安定性のアミノ官能性ポリシロキサンを入手できる生成方法も必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の目的は、従来技術の方法の不利益の1つまたは複数を回避する、窒素含有基を有するポリシロキサンを生成する簡単な方法を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
驚くべきことに、この目的は、ヒドロキシ官能性の直鎖または分枝状ポリシロキサン、窒素原子を有する少なくとも1つの有機基を有するアルコキシシラン、および水を、リンを含有する1種または複数のブレンステッド酸性化合物の存在下で反応させる、少なくとも1つの窒素含有基を含有するポリシロキサンを生成するための下記の本発明の方法によって達成され得ることが見出された。
【0012】
したがって本発明は、特許請求の範囲および以下の説明に詳説する通り、構成要素A)同一のまたは異なる末端ヒドロキシ官能性の直鎖または分枝状ポリシロキサン、構成要素B)式
3−xSiR(I)
[式中、R1は、同一のまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2は、同一のまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基であり、R3は、少なくとも1つの窒素原子を有する有機基であり、x=0〜2である]
の同一のまたは異なるアルコキシシラン、および構成要素C)水を、構成要素D)リンを含有する1種または複数のブレンステッド酸性化合物の存在下で反応させることによって、少なくとも1つの窒素含有基を含有するポリシロキサン、特にアミノ官能性ポリシロキサンを生成する方法を提供する。
【0013】
本発明は、同様に、対応して得られる窒素含有基を含むポリシロキサン、およびその使用を提供する
【0014】
窒素含有基を有するポリシロキサンの生成において使用される、特に縮合重合触媒として使用されるリンを含有するブレンステッド酸性化合物は、本発明に従って生成される窒素含有基を有するポリシロキサンを含む組成物を生成した後も、残存することができる。これは、錯体を分離する工程を省くことができるという利点がある。さらなる利点は、反応混合物中に残存するリンを含有するブレンステッド酸性化合物が、対応する組成物の保存安定性に良い影響を及ぼすということである。一般には、生成物の保存安定性を確保するためには活性な触媒を除去しなければならないので、このことは当業者にとって思いがけず、予見しなかったことである。例えば、欧州特許第1972330号の段落[0154]に記載の通り、テトラアルキルアンモニウム触媒を使用する場合には、反応後に加熱によって触媒を破壊することが不可欠である。
【0015】
さらなる利点は、従来技術、例えば米国特許第7,238,768B2号のカルボン酸によって触媒される縮合方法と比較して、反応中の黄変の傾向が比較的低いことにある。特に、高温および不適切な不活化を受けると、窒素含有基を有する反応物および生成物は、黄変する傾向がある。高温におけるカルボン酸の存在下では、例えばアミド化反応の結果として二次反応が生じる危険性もある。しかし、高い縮合度を達成するためには、より高い温度が有利である。本発明の方法を用いると、約100℃という相対的に高い反応温度でも、二次反応が回避され、したがって短時間でより良好な縮合収率が達成される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の方法、このようにして得られるポリシロキサン、およびその使用を、これらの例示的な実施形態に本発明を限定することなく、例示によって以下に記載する。以下に範囲、一般式または化合物のクラスが示されている場合、これらは、明確に言及されている化合物の対応する範囲または群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を抽出することによって得ることができる化合物のすべての部分範囲および部分的な群も包含するものとする。本発明の文脈において文献が引用されている場合、それらの内容は、全体が本発明の開示に属するものとみなされる。以下に百分率が示されている場合、別段記載されない限り、これらは重量百分率である。組成物に関する百分率は、別段記載されない限り、全組成物に対するものである。以下に平均値が示されている場合、別段記載されない限り、これらは数平均である。以下に測定値が示されている場合、これらの測定値は、別段記載されない限り101325Paの圧力および23℃の温度で確認されたものである。
【0017】
アミノ官能性ポリシロキサンを生成するための本発明の方法は、以下の構成要素
A)同一のまたは異なる末端ヒドロキシ官能性の直鎖または分枝状ポリシロキサン、
B)式(I)
3−xSiR(I)
[式中、
は、同一のまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基、好ましくはメチル基であり、
は、同一のまたは異なる、好ましくは同一の、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくはメトキシ基またはエトキシ基であり、
は、少なくとも1つの窒素原子を有する有機基、好ましくは基−(CR−[NR−(CRNRであり、y=1〜6、好ましくは1〜4、好ましくは3であり、z=1〜6、好ましくは1〜4、好ましくは2または3であり、e=0〜6、好ましくは0〜3、好ましくは0または1であり、Rは、好ましくは1〜10個の炭素原子を有する同一のもしくは異なるアルキルまたはH、好ましくはHであり、Rは、同一のまたは異なる、好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル、H、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝状ヒドロキシアルキル、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝状ポリヒドロキシアルキル、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝状アシルまたはヒドロキシアシル、特に−C(O)−[CH(OH)]−CHOH、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する直鎖または分枝状カルボキシアシル、特に−C(O)−CH−CH−COOH、好ましくは1〜20個の炭素原子および1〜20個の酸素原子を有する直鎖または分枝状カルバメートアルキル、特に−C(O)−O−CH−CH(OH)−CHOH、−C(O)−NH(ウレイド)、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するウレイドアルキル、窒素原子に結合してグアニジン基をもたらす基−C(NH)−NH、式−C(NR)−NRのアルキルアミノ(アルキルイミノ)アルキレン基(Rは、好ましくは1〜20個の炭素原子を有するアルキルである)であり、Rは、好ましくは基−(CHy’−NR4’5’であり、y’=1〜10、好ましくは2〜5、好ましくは3であり、R4’およびR5’は、同一のまたは異なるHまたは−(CHz’−NHであり、z’=1〜10、好ましくは2〜5、好ましくは2であり、ただし基RまたはRの少なくとも1つは、好ましくはHであり、
x=0〜2、好ましくは0または1である]
の同一のまたは異なるアルコキシシラン、および
C)水
を、リンを含有する1種または複数のブレンステッド酸性化合物D)の存在下で反応させることを特徴とする。
【0018】
使用される構成要素D)の量は、使用されるアルコキシシラン(構成要素B)の量に対して0.1〜30mol%、好ましくは1〜20mol%、特に好ましくは5〜15mol%である。
【0019】
構成要素A)〜D)の総量に対する水の割合は、0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0020】
好ましくは本発明の方法では、構成要素A)およびB)は、構成要素A)のOH基と構成要素B)の基Rとのモル比が、1:1または>1:1、特に好ましくは>1〜2:1となる量で使用される。
【0021】
構成要素A)として、好ましくは式(III)
【0022】
【化1】


[式中、
n=0〜10、好ましくは0であり、
m=1〜500、好ましくは10〜200、特に15〜100であり、
21は、同一のまたは異なるOHまたはCH、好ましくは同一のOHであり、ただし少なくとも1つの基R21=OHであり、
22は、同一のもしくは異なるOH、または2〜20個の炭素原子を有する直鎖、環式もしくは分枝状の脂肪族もしくは芳香族の、飽和もしくは不飽和の炭化水素基を含む群の同一のもしくは同一でない基、
−CH−RIV
−CH−CH−(O)x’−RIV
−CH−CH−CH−O−CH−CH(OH)−CHOH、
【0023】
【化2】


および
−CH−CH−CH−O−CH−C(CHOH)−CH−CHであり、
x’は、0または1であり、
IVは、任意選択により置換されている、任意選択によりハロゲンで置換されている、1〜50個の炭素原子を有する炭化水素基であり、
22は、好ましくはOHである]
のヒドロキシ官能性ポリシロキサンが使用される。
【0024】
構成要素A)が構成要素A1)との混合物中に存在する場合、有利であり得る。構成要素A1)の好ましい化合物は、アルキルアルコキシシラン、好ましくはジメチルジアルコキシシランまたはメチルトリアルコキシシランであり、アルコキシは、好ましくはメトキシまたはエトキシの意味を有する。好ましくは、構成要素A)およびA1)は、10:1〜1000:1、特に100:1〜1000:1のモル比で使用される。
【0025】
構成要素B)として、好ましくはEvonik Industries AGから名称Dynasylan(登録商標)1411で利用可能なN−(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、またはEvonik Industries AGから名称Dynasylan(登録商標)1505で利用可能なアミノプロピルメチルジエトキシシランが使用される。
【0026】
本発明の方法における化合物D)として、実験式(II)
11(II)
[式中、
11=同一のまたは異なる、好ましくは同一の、任意選択によりリン、酸素および/または窒素原子を有する一価または多価の炭化水素基であり、
a=(c+2)または<(c+2)、好ましくは2であり、
b=(c+2)または<(c+2)、好ましくは1であり、
c=1〜10、好ましくは1〜5、特に1であり、
d=(3c+1)または<(3c+1)、好ましくは3であり、
ただしa+b=c+2であり、a>0、好ましくは1以上である]
の化合物を使用するのが好ましい。
【0027】
本発明の方法における構成要素D)として、モノマー性もしくはオリゴマー性リン酸、モノマー性もしくはオリゴマー性ホスホン酸もしくはホスフィン酸、ハイポジホスホン酸もしくはハイポジホスフィ酸、または炭化水素基によって置換されている、前述の酸の1つの有機誘導体、またはその混合物を使用することが好ましい。また、例えば1−ヒドロキシエタン(1,1−ジホスホン酸)、アミノトリメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)または2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸などの、架橋ジホスホン酸と呼ぶことができる酸を使用することが可能である。構成要素D)として、リン酸およびアルキルホスホン酸、特にオクチルホスホン酸を使用することが特に好ましい。構成要素D)は、室温または反応温度で固体として存在することができる。このような場合、その固体を、少量の溶媒、好ましくは構成要素D)1g当たり0.3g〜2gの溶媒に溶解させ、次にその溶液を反応混合物に添加することが有利である。好適な溶媒は、例えば、モノオール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノール、好ましくはエタノールである。オクチルホスホン酸のエタノール溶液を使用することが、特に好ましい。構成要素D)、特にホスホン酸を≧50重量%の含量で含む、高度に濃縮された溶液を使用するのが好ましい。
【0028】
本発明の方法は、反応前または反応中に、触媒として活性なリンを含有するブレンステッド酸性化合物(構成要素D)を、不活性な前駆体からその場で(in situ)形成することを含む。列挙される不活性な前駆体は、例えばリン酸エステルまたはホスホン酸エステルであり、これは、加水分解の結果、触媒として活性な化合物をもたらし、または好適な補助的な酸の存在下で、リンを含有するブレンステッド酸性化合物を形成する塩をもたらす。
【0029】
構成要素D)に加えて、触媒として活性なさらなる構成要素D1)を使用することが有利である場合がある。好ましい構成要素D1)は、例えば、酢酸、プロピオン酸、オレイン酸またはイソノナン酸などのカルボン酸であってよく、さらには、任意選択により水が添加される、例えばHCl、HPO、HSOなどの無機酸であってもよいが、この場合、構成要素D)はカルボン酸ではないことが好ましい。構成要素D1)は、特に好ましくは補助的な酸である。
【0030】
さらなる構成要素E)として、ジシラザン、好ましくは1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、もしくは例えばジビニルテトラメチルジシラザンなどの異なる炭素基で置換されているジシラザン、またはSi−OH基と反応性がある基を有する化合物、好ましくはモノオール、好ましくは1〜30個、好ましくは4〜22個、特に好ましくは8〜18個の炭素原子を有するモノオール、特に好ましくは、好ましくはステアリルアルコールおよびラウリルアルコールから選択される脂肪アルコールを使用することが有利であり得る。さらなる構成要素E)として、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを使用することが好ましい。構成要素E)の割合は、構成要素A)1molに対して、好ましくは0.01〜0.5mol、特に0.03〜0.3molである。
【0031】
本方法は、連続的または非連続的に実施することができる。好ましくは、本方法は非連続的に実施される(バッチ手順)。
【0032】
本方法は、好ましくは0℃〜150℃、好ましくは20℃〜100℃の温度で実施される。
【0033】
本発明の方法全体は、超大気圧、標準気圧または減圧下で実施することができる。好ましくは、本方法は、1〜2000mbar、好ましくは2〜1013mbarの圧力で実施される。
【0034】
本発明の方法は、以下の部分工程で実施することが有利であり得る。
【0035】
工程A
構成要素A)を、構成要素D)および任意選択によりC)のいくらかまたはすべてと合わせ、十分に混合する。混合は、バッチ手順では任意の撹拌機により、または連続的手順では静的ミキサーにより行うことができる。工程Aでは、混合物は、好ましくは50〜100℃、好ましくは75〜90℃の温度に加熱される。本発明の方法において構成要素E)も使用される場合、この構成要素の添加も同様に工程Aで行われる。構成要素A)およびE)の反応中に形成される任意のアンモニアは、好ましくは方法工程Bの前に、脱気によって除去される。
【0036】
工程B
構成要素B)を添加し、構成要素D)および/またはC)の添加については、工程Aで実施されなかった場合または完全には実施されなかった場合には、それらを添加し、その後、低大気圧、好ましくは1mbar〜500mbarを適用して、その間に発生するアルコールを、好ましくは蒸留して除去する。工程Bは、好ましくは75〜125℃、好ましくは80〜110℃の温度で実施される。
【0037】
工程C
反応混合物を、ガスを使用して、好ましくは空気または不活性ガス、好ましくは窒素を使用して、標準気圧に曝気し、反応混合物を周囲温度に冷却し、任意選択により反応混合物を後処理する。そのような後処理は、例えば反応混合物を濾過して、生成された任意の固体画分を分別し、または反応混合物を脱臭することにあり得る。
【0038】
ガス、好ましくは不活性ガス、好ましくは窒素によってガス処理することによって、工程Aの混合と、工程Bの蒸留の両方を支援することができる。ガス処理は、気泡塔反応器を使用するか、または反応器のガス管ラインを使用して行うことができる。
【0039】
本発明の方法では、異なる順番で反応を行うこともできる。したがって、例えば、まず構成要素D)を、B)および任意選択によりC)と混合し、70〜125℃で反応させることができ、この場合、反応は、好ましくは1mbar〜500mbarの低大気圧(絶対圧力)で実施され、その間に発生するアルコールを、好ましくは蒸留して除去する。次に、構成要素A)をこのようにして得られた反応混合物に添加する。
【0040】
本発明の方法を用いることにより、窒素含有基を含むポリシロキサン、および窒素含有基を含むポリシロキサンを有する組成物も得ることができる。概して、本発明の方法によって得られる生成物(窒素含有基を含むポリシロキサンおよび/または窒素含有基を含むポリシロキサンを有する組成物)は、無色透明かつ無臭であり、そのことが本発明の方法の1つの利点になっている。
【0041】
窒素含有基を含むポリシロキサンは、当業者に公知の方法によってさらに誘導体化することができる。可能な誘導体化の方法は、例えば米国特許第6,171,515号、欧州特許第0399706号または欧州特許第1972330号に記載されている。
【0042】
本発明の窒素含有基を含むポリシロキサンは、本発明の方法によって生成されていることを特徴とする。
【0043】
本発明の組成物は、窒素含有基を含む少なくとも1種のポリシロキサン、およびリンを含有する1種または複数のブレンステッド酸性化合物D)、好ましくは先に定義の1つを有し、好ましくは本発明の方法によって得られ得ることを特徴とする。
【0044】
リンを含有するブレンステッド酸性化合物D)に対する窒素含有基を含むポリシロキサンの重量百分率の比は、窒素含有基を有するポリシロキサンが、好ましくは90.00重量%〜99.99重量%、好ましくは95.00重量%〜99.90重量%、特に好ましくは97.00重量%〜99.70重量%である。したがって、リンを含有するブレンステッド酸性化合物D)の重量百分率での割合は、好ましくは10.00重量%〜0.01重量%、好ましくは5.00重量%〜0.10重量%、特に好ましくは3.00重量%〜0.30重量%である。
【0045】
本発明の窒素含有基を含むポリシロキサンまたは本発明の組成物は、テキスタイルケア組成物として、繊維用の洗浄剤もしくはクリーナーとして、または疎水化組成物として使用することができ、あるいはこれらを生成するため、またはこれらの構成成分として使用することができる。
【0046】
本願の文脈では、テキスタイルケア組成物は、テキスタイルケア組成物で処理された繊維シート材料に、例えば繊維柔軟化効果、防しわ性などの有利な効果を付与し、かつ/またはクリーニングおよび/もしくはコンディショニングおよび/もしくは摩耗の最中に生じ得る、例えば退色、くすみなどの有害なもしくは負の効果を低減する任意の組成物を意味すると理解される。テキスタイルケア組成物は、特に好ましくは、繊維柔軟化組成物(織物柔軟剤)である。従来技術では、織物柔軟剤組成物は、例えばすすぎサイクル後および乾燥後の織物のしわを低減し、アイロンがけをより容易にし、柔軟性を高め、または再湿潤性を改善する1種または複数のシリコーンまたは有機変性シロキサンを含むことができる。このことは、例えばWO9524460、FR7621830、GB1596792、米国特許第4426299号、米国特許第4806255号、GB0239910および米国特許第4855072号に開示されている。
【0047】
織物柔軟剤配合物にシリコーンを導入するためのマイクロエマルジョンの使用は、例えばWO92/01776に記載されている。織物柔軟剤配合物にシリコーンを導入するためのマクロエマルジョンの使用は、例えばWO A97/31997およびWO A97/31998に記載されている。
【0048】
本発明の組成物は、マイクロエマルジョンまたはマクロエマルジョンであってよい。
【0049】
本発明の組成物、特に繊維柔軟化組成物(織物柔軟剤)は、好ましくは全組成物に対して5〜98重量%、好ましくは75〜90重量%の水を有する。
【0050】
本発明の組成物が、繊維柔軟化組成物(織物柔軟剤)である場合、これらの組成物は、例えばメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N−ジ(獣脂−アシルオキシエチル)アンモニウム化合物またはN,N−ジメチル−N,N−ジ(獣脂−アシルオキシエチル)アンモニウム化合物などの、分子中に1つまたは複数の長鎖アルキル基を有する1種または複数のカチオン性の繊維柔軟化化合物を含むことができる。さらなる好適なアンモニウム化合物は、米国特許第2010/0184634号の段落[0027]〜[0068]に開示されており、これに関してその明示的開示は、参照によって本開示の一部を形成する。
【0051】
織物柔軟剤は、添加剤および助剤、特に香料、染料、粘度調節剤、消泡剤、保存剤、有機溶媒、シロキサンを含有しないポリマーおよび/または本発明によって生成されない他のシロキサン含有ポリマーをさらに含むことができる。特に、本発明の組成物は、合計0.001〜25重量%、特に好ましくは0.01〜15重量%の1種または複数の異なる添加剤または助剤を含むことができる。
【0052】
香料として、従来技術により織物柔軟剤に好適であることが公知の任意の芳香剤または芳香剤混合物を、好ましくは香油の形態で使用することができる。芳香剤の例は、中でもDE19751151A1の4頁、11〜17行目に開示されている。特に、本発明の組成物は、組成物の全組成に対して0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の1種または複数の香料を含むことができる。
【0053】
染料として、従来技術により織物柔軟剤に好適であることが公知の任意の染料を使用することができるが、水溶性染料が好ましい。好適な標準の市販の水溶性染料の例は、SANDOLAN(登録商標)Walkblau NBL 150(製造者Clariant)およびSicovit(登録商標)Azorubine 85 E122(製造者BASF)である。特に、本発明の組成物は、0.001〜0.1重量%、特に好ましくは0.002〜0.05重量%の1種または複数の染料を含むことができる。
【0054】
織物柔軟剤は、粘度を低減するための粘度調節剤として、アルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、またはその混合物、好ましくは塩化カルシウムを、組成物の全組成に対して好ましくは0.05〜2重量%の量で含むことができる。
【0055】
織物水性柔軟剤は、粘度を増大するための粘度調節剤として、従来技術により好適であることが公知の増粘剤を含むことができるが、WO2007/125005から公知のポリウレタン増粘剤が好ましい。好適な増粘剤の例は、TEGO(登録商標)Visco Plus 3030(製造者Evonik Tego Chemie)、Acusole(登録商標)880および882(製造者Rohm&Haas)、Rheovis(登録商標)CDE(製造者BASF)、Rohagit(登録商標)KF720 F(製造者Evonik Rohm GmbH)、ならびにNeochem GmbHのPolygel(登録商標)K100である。
【0056】
消泡剤として、従来技術により織物柔軟剤に好適であることが公知の任意の消泡剤を使用することができる。好適な標準の市販の消泡剤の例は、Dow Corning(登録商標)DB−110AおよびTEGO(登録商標)Antifoam(登録商標)7001XPである。特に、本発明の組成物は、0.0001〜0.05重量%、好ましくは0.001〜0.01重量%の1種または複数の異なる消泡剤を含むことができる。
【0057】
織物柔軟剤は、保存剤として、従来技術により好適であることが公知の殺細菌性および/または殺真菌性の活性成分を含むことができるが、水溶性の活性成分が好ましい。好適な標準の市販の殺細菌剤の例は、メチルパラベン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。織物水性柔軟剤も同様に、酸化防止剤を保存剤として含むことができる。好適な標準の市販の酸化防止剤の例は、アスコルビン酸、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロールおよび没食子酸プロピルである。特に、本発明の組成物は、0.0001〜0.5重量%、特に好ましくは0.001〜0.2重量%の1種または複数の異なる保存剤を含むことができる。特に、本発明の組成物は、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.001〜0.01重量%の1種または複数の異なる酸化防止剤を含むことができる。
【0058】
織物柔軟剤は、有機溶媒として、例えば、短鎖アルコール、グリコールおよびグリコールモノエーテルを含むことができるが、エタノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオールおよびジプロピレングリコールが好ましい。特に、本発明の組成物は、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%の1種または複数の異なる有機溶媒を含むことができる。
【0059】
織物柔軟剤は、シロキサンを含有しない1種または複数のポリマーを含むことができる。その例は、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリレート、ポリエチレンイミンまたは多糖である。特に、本発明の組成物は、0.01〜25重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%の、シロキサンを含有しない1種または複数の異なるポリマーを含むことができる。
【0060】
さらに織物柔軟剤は、任意選択により1種または複数の乳化剤を含むことができる。本明細書の乳化剤は、カチオン性または非荷電の性質であってよい。非荷電の乳化剤の例は、脂肪アルコールエトキシレートである。
【0061】
織物柔軟剤は、錯化剤を含むことができる。その例は、アミノカルボン酸化合物に加えて、有機アミノホスホン酸誘導体およびその混合物である。好適なアミノカルボン酸化合物の例は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DEPTA)である。好適なアミノホスホン酸誘導体の例は、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)およびMonsantoから商標Dequest 2000で市販のアミノトリ(メチレンホスホン酸)である。特に、本発明の組成物は、0.001〜0.5重量%、特に好ましくは0.005〜0.25重量%の1種または複数の錯化剤を含むことができる。
【0062】
繊維柔軟化配合物は、当業者に明らかであり、かつ/または従来技術である、本明細書に列挙されていないさらなる添加剤をさらに含むことができる。
【0063】
本発明はさらに、本発明に従って生成される窒素含有基を含むポリシロキサンの使用、および/あるいは洗浄剤もしくはクリーナーにおける、または洗浄剤もしくはクリーナーとしての本発明の組成物の使用を提供する。洗浄剤またはクリーナーに組成物を組み込むと、消費者には、テキスタイルケア洗浄剤またはクリーナー(「2 in 1」タイプの洗浄剤またはクリーナー)が提供され、消費者は、2種類の組成物(洗浄剤またはクリーナーおよび織物柔軟剤)を注入する必要がなくなり、すすぎサイクルを分離する必要もなくなる。洗浄剤またはクリーナーは、テキスタイルケア組成物および界面活性剤に加えて、洗浄剤またはクリーナーの適用および/または審美特性をさらに改善するさらなる成分を含むことができる。好ましい洗浄剤またはクリーナーは、界面活性剤、ビルダー(builder)物質、漂白剤、漂白活性化剤、酵素、香料、香料担体、蛍光剤、染料、発泡防止剤、シリコーン油、再沈着防止(antiredeposition)剤、蛍光増白剤、くすみ防止剤、収縮防止剤、しわ防止剤、色移り防止剤、抗菌活性成分、殺菌剤、殺真菌剤、抗酸化剤、保存剤、腐食防止剤、帯電防止剤、苦味剤、アイロンがけ助剤(ironing aid)、疎水化(phobicization)剤および含浸剤、膨張剤および滑り止め剤、中性のフィラー塩(filling salt)、ならびにUV吸収剤の群の1種または複数の物質をさらに含む。特に、本発明の組成物の洗浄剤またはクリーナーは、0.001〜90重量%、特に好ましくは0.01〜45重量%の、本明細書で特定される1つまたは複数のさらなる成分を含むことができる。
【0064】
使用することができる界面活性剤の例は、WO2007/115872の17頁、28行目〜21頁、24行目に記載されている。これに関してその明示的開示は、参照によって本開示の一部を形成する。
【0065】
ビルダー物質、ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒および酵素の例は、WO2007/115872、22頁の7行目〜25頁、26行目に記載されており、これに関してその明示的開示は、参照によって本開示の一部を形成する。再沈着防止剤、蛍光増白剤、くすみ防止剤、色移り防止剤は、WO2007/115872の26頁、15行目〜28頁、2行目に記載されており、これに関してその明示的開示は、参照によって本開示の一部を形成する。しわ防止剤、抗菌活性成分、殺菌薬、殺真菌剤、抗酸化剤、保存剤、帯電防止剤、アイロンがけ助剤、UV吸収剤の例は、例えばWO2007/115872の28頁、14行目〜30頁、22行目に記載されており、これに関してその明示的開示は、参照によって本開示の一部を形成する。
【0066】
本発明の主題を、これらの例示的な実施形態に本発明の主題を限定することなく、実施例を参照することにより、以下により詳細に示す。
【実施例】
【0067】
測定方法
NMRスペクトルの記録および解釈については、当業者に公知である。参考文献として、Verlag Marcel Dekker Inc.から2000年に刊行された、A.BrandoliniおよびD.Hillsの「NMR Spectra of Polymers and Polymer Additives」を、本明細書に導入することができる。シロキサンの鎖長を、NMR分光法を用いて決定した。鎖長により、すべてのRSiO1/2、RSiO、RSiO3/2およびSiO単位の合計、したがってシロキサン中のポリマー結合したモノマー性シロキシ単位のすべての合計の統計的平均が得られる。粘度は、ブルックフィールド製の回転式粘度計(機器のタイプLVT)およびスピンドルLV4を使用して、DIN5391に従って決定した。
【0068】
例S1(本発明による)
エチルホスホン酸を使用する、側鎖変性アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジ(distillation bridge)を備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン238.1g(65mmol)およびエチルホスホン酸(98%強度、ABCR GmbH)0.43gを、撹拌しながら加熱した。87℃で、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(登録商標)HMDS、Evonik industries AG)1.47g(9.1mmol)を添加した。100℃にさらに加熱した後、混合物をこの温度で30分間撹拌した。次に、アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1505、Evonik industries AG)12.45g(65mmol)を添加し、混合物を、10〜20mbarで4時間蒸留した。得られた残渣は、無色透明の液体生成物であり、25℃で2100mPasの粘度を有していた。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、268であった。
【0069】
例S2(本発明による)
オクチルホスホン酸を使用する、側鎖変性N−(アミノエチル)アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン238.3g(65mol)およびオクチルホスホン酸(Hostaphat OPS 100、Clariant Produkte GmbH)0.76gを、撹拌しながら加熱した。80℃で、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(登録商標)HMDS、Evonik industries AG)1.68g(10.4mmol)を添加し、混合物を85℃で30分間撹拌した。次に、N−(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1411、Evonik Industries AG)10.71g(52mmol)を添加し、混合物を85℃で1時間撹拌した。次に、さらなるオクチルホスホン酸0.25gを添加し、得られたメタノールを、100℃において20mbarで3時間、蒸留して除去した。得られた残渣は、無色透明の液体生成物であり、25℃で14900mPasの粘度を有していた。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、299であった。室温で1カ月保存すると、粘度は25℃で8200mPasに低下する。
【0070】
例S3(本発明による)
エチルホスホン酸を使用する、側鎖変性アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン238.1g(65mmol)およびエチルホスホン酸(98%強度、ABCR GmbH)0.43gを、撹拌しながら加熱した。73℃で、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(登録商標)HMDS、Evonik industries AG)1.46g(9.1mmol)を添加した。85℃にさらに加熱した後、混合物をこの温度で30分間撹拌した。次に、アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1505、Evonik industries AG)9.94g(52mmol)を添加し、混合物を、85℃において14〜20mbarで4時間蒸留した。得られた残渣は、無色透明の液体生成物であり、25℃で2700mPasの粘度を有していた。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、305であった。
【0071】
例S4(本発明ではない)
カルボン酸を使用する、側鎖変性N−(アミノエチル)アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長51.5のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン383.7g(100mmol)、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(登録商標)HMDS、Evonik Industries AG)1.68g(10.4mmol)、および酢酸(99%強度、Sigma Aldrich)0.12gを、撹拌しながら85℃に加熱し、この温度で40分間撹拌した。N−(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1411、Evonik Industries AG)16.5g(80mmol)およびイソノナン酸(97%、Alpha Aesar)0.63gを添加し、得られたメタノールを、85℃において20mbarで2時間、蒸留して除去した。得られた残渣は、黄色がかった、わずかに濁った液体生成物であり、25℃で7800mPasの粘度を有していた。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、250である。室温でちょうど1週間保存した後、粘度は25℃で18100mPasに増大していた。
【0072】
例S5(本発明による)
エチルホスホン酸を使用する、側鎖変性N−(アミノエチル)アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン238.32g(65mmol)およびエチルホスホン酸(98%強度、ABCR GmbH)0.43gを、撹拌しながら加熱した。80℃で、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(登録商標)HMDS、Evonik Industries AG)1.68g(10.4mmol)を添加し、混合物を85℃で30分間撹拌した。次に、N−(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1411、Evonik Industries AG)10.72g(52mmol)を添加し、混合物を85℃で1時間撹拌した。100℃に加熱した後、混合物を10〜20mbarで1時間蒸留した。得られた残渣は、無色の乳白濁の液体生成物であり、粘度は25℃で1350mPasであった。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、166であった。
【0073】
例S6(本発明による)
N−(アミノエチル)アミノプロピル基およびグアニジノプロピル基で側鎖が変性されたシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1505、Evonik Industries AG)2487.42gおよびエタノール1800gを、初期負荷として入れ、酢酸(99〜100%強度、J. T. Baker)702gを、撹拌しながら室温で30分間かけて滴下添加した。温度を63℃に上昇させた。80℃に加熱した後、シアンアミドF1000(Alzchem Trostberg GmbH)273.13gのエタノール800g溶液を、撹拌しながら2時間45分間かけて滴下添加した。混合物を、80℃でさらに9時間撹拌した。少量の試料を取り出し、60℃において10〜20mbarで1時間、蒸留して除去した。残渣は54.7重量%に相当していたが、これはこの方式で決定したグアニジノプロピルメチルジエトキシシランのエタノール溶液の固体含量である。
【0074】
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン274.98g(75mmol)およびオクチルホスホン酸(Hostaphat OPS 100、Clariant Produkte GmbH)0.87gを、撹拌しながら加熱した。80℃で、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(登録商標)HMDS、Evonik Industries AG)1.94g(12mmol)を添加し、混合物を85℃で30分間撹拌した。次に、N−(アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1411、Evonik Industries AG)6.18g(30mmol)および54.7%強度のグアニジノプロピルメチルジエトキシシランのエタノール溶液14.61gを添加し、混合物を85℃で1時間撹拌した。次に、さらなるオクチルホスホン酸0.29gを添加し、得られたメタノールおよびエタノールを、100℃において20mbarで3時間、蒸留して除去した。得られた残渣は、無色の濁った粘性生成物であり、この生成物を2重量%の2−プロパノールと混合すると、25℃で3340mPasの粘度を有していた。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、227である。
【0075】
例S7(本発明による)
エチルホスホン酸を使用する、末端キャップされていない側鎖変性アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン238.3g(65mmol)およびエチルホスホン酸(98%強度、ABCR GmbH)0.43gを、撹拌しながら加熱した。85℃で、アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1505、Evonik Industries AG)9.95g(52mmol)を添加した。次に真空を適用し、混合物を、100℃において20mbarで3時間蒸留した。得られた残渣は、無色のわずかに濁った液体生成物であり、25℃で6700mPasの粘度を有していた。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、342であった。
【0076】
例S8(本発明による)
エチルホスホン酸を使用する、1−オクタデカノールで末端キャップされた側鎖変性アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン238.1g(65mmol)およびエチルホスホン酸(98%強度、ABCR GmbH)0.43gを、撹拌しながら加熱した。80℃で、アミノプロピルメチルジエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)1505、Evonik Industries AG)9.94g(52mmol)を添加した。次に真空を適用し、混合物を85℃において18mbarで1時間蒸留した。次に、1−オクタデカノール(Tego(登録商標)アルカノール18、Evonik Industries AG)7.02g(26mmol)を添加し、混合物を、100℃において16mbarで3時間蒸留した。得られた残渣は、室温で高粘度の、無色の濁った生成物であった。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、244であった。
【0077】
例S9(本発明による)
オクチルホスホン酸を使用する、側鎖変性分枝状アミノプロピルシロキサンの調製
撹拌機、内部温度計および蒸留ブリッジを備えた四つ口丸底フラスコ中、平均鎖長49.2のジヒドロキシ官能性ポリジメチルシロキサン183.3g(50mmol)およびオクチルホスホン酸(Hostaphat OPS 100、Clariant Produkte GmbH)0.58gを、撹拌しながら加熱した。80℃で、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(登録商標)HMDS、Evonik Industries AG)3.23g(20mmol)を添加し、混合物を85℃で30分間撹拌した。次に、アミノプロピルトリエトキシシラン(99%強度、Sigma Aldrich)4.43g(20mmol)およびさらなるオクチルホスホン酸0.19gを添加し、混合物を、100℃において10〜20mbarで4時間蒸留した。得られた残渣は、無色透明の液体生成物であり、25℃で2320mPasの粘度を有していた。平均鎖長を29Si−NMRによって決定すると、133であった。
【0078】
例10
室温および50℃における蓄熱(heat storage)試験
100gのガラス瓶に、例S1〜S5の生成物をそれぞれおよそ半分入れ、室温で保存し、または50℃に加熱した乾燥キャビネットに入れた。表1aおよび1bに示した時間間隔で、外観を調査し、光学的な外観が粘度の変化を示した場合には、任意選択により25℃で粘度を測定した。結果を、表1aおよび1bに示す。
【0079】
【表1】

【0080】
例S1、S2、S3およびS5を例S4と比較することにより、本発明の方法によって生成されたアミノ官能性シロキサンが、生成後も保存時も黄変しないことが明示される。
【0081】
例S5を例S4と比較することにより、本発明の方法によって生成されたアミノ官能性シロキサンの粘度の方が増大しくいことが示される。好ましい場合には、例S2に示す通り、粘度は全く上昇しない。
【0082】
例11
テキスタイルケア適用例
繊維織物に対する窒素含有基を含むポリシロキサンの柔軟化効果を決定するために、木綿タオルをそのポリシロキサンで処理した。
【0083】
この目的では、窒素含有基を含む本発明のポリシロキサンおよび化合物D)を有する組成物を、例S1〜S3ならびに例S5およびS6の生成物として得、それらを使用して、以下の指示に従ってマイクロエマルジョンを生成した。
【0084】
本発明の窒素含有基を含むポリシロキサン20部を、40℃に加熱し、プロペラ撹拌機で撹拌しながら初期負荷としてビーカーに入れた。次に、連続してジプロピレングリコール10重量部、TEGO(登録商標)アルカノールL6(Evonik Goldschmidt GmbHのラウリルアルコールポリエトキシレート(n=6))10重量部を、撹拌しながら添加した。最後に、混合物を水で最大100重量部にし、その後、混合物が室温に冷却されるまで少なくとも15分間、撹拌した。エマルジョンは、室温で濁っている。
【0085】
【表2】

【0086】
例S1の生成物として得た本発明の組成物を使用して、表3に示した組成物を有するマイクロエマルジョン(ME1)を生成した。
【0087】
【表3】

【0088】
TEGO(登録商標)アルカノールTD6、TEGO(登録商標)アルカノールTD12、およびTEGOSOFT(登録商標)Pを、室温においてプロペラ撹拌機で撹拌しながら、初期負荷としてビーカーに入れた。次いで、例S1の反応生成物を撹拌しながら添加した。最後に、水をゆっくり添加して、混合物を最大100重量部にし、その後、透明になるまで撹拌した。
【0089】
例12
例S1の本発明のポリシロキサンを含む織物柔軟剤の調製
液体REWOQUAT(登録商標)WE18(Evonik Goldschmidt GmbHの商標、トリエタノールアミン系第4級エステル、活性成分含量90%)33.3gを、60℃に加熱し、55℃に加熱した水道水556gに撹拌しながら添加し、プロペラ撹拌機を使用して50℃で20分間撹拌し、次に配合例ME1のマイクロエマルジョン6gを添加し、混合物を約1時間かけて室温に冷却した。
【0090】
木綿織物の前処理
測定値80cm×50cmの、面積当たりの重量が約350g/mのテリー織の木綿織物を、標準の粉末洗剤で2回洗浄し、2回すすぎ、脱水し(spun)、重ならないように一列につるして風乾させた。
【0091】
木綿織物の処理
前述のポリシロキサン配合物M1、M2、M3、M5、M6およびME1を、冷却した水道水でそれぞれ希釈して、本発明に従って生成した0.025重量%のポリシロキサンを含むすすぎ液を生成した。
【0092】
木綿タオルを、すすぎ液2リットルに10分間浸漬した。ここでは、タオルが確実にすすぎ液で均一に湿潤するようにすべきである。次に、タオルを脱水し、重ならないように一列につるして乾燥させた。処理したテリー織の木綿タオルを、測定値16cm×25cmの同じ小片10枚に切断した。
【0093】
柔らかい感触を判定するために、9人の熟練試験者を集めて実験チームを作り、ハンドパネル試験を活用して、エマルジョンで処理した木綿織物試料の感触を、試験者が匿名により判定した。この判定のために、各試験者に、木綿タオルをそれぞれ配布した。ここで、中間値が整数であり得る、0(ざらざらして不快な感触)〜5(柔らかく心地良い感触)の尺度で判定を実施した。
【0094】
柔らかい感触を判定するために個々の評価を合計したので、9人の試験者では、柔らかい感触の最大値が45になり得る。
【0095】
さらに、感触用の試料の中には、明らかな印のない未処理試料(ブランク値)を常に加えた。
【0096】
柔らかい感触の判定結果を、表4に示す。
【0097】
【表4】

【0098】
本発明の窒素含有基を含むポリシロキサンは、未処理の木綿タオルと比較して柔らかい感触を大きく改善するのに好適であることが、表4のデータから明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成要素
A)同一のまたは異なる末端ヒドロキシ官能性の直鎖または分枝状ポリシロキサン、
B)式(I)の同一のまたは異なるアルコキシシラン
3−xSiR(I)
[式中、
は、同一のまたは異なる、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはメチル基またはエチル基、好ましくはメチル基であり、
は、同一のまたは異なる、好ましくは同一の、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基、好ましくはメトキシ基またはエトキシ基であり、
は、少なくとも1つの窒素原子を有する有機基であり、
x=0〜2、好ましくは0または1である]、および
C)水
を、リンを含有する1種または複数のブレンステッド酸性化合物D)の存在下で反応させることによって、アミノ官能性ポリシロキサンを生成する方法。
【請求項2】
化合物D)として、実験式(II)
11(II)
[式中、
11=同一のまたは異なる、好ましくは同一の、任意選択により酸素および/または窒素原子を有する一価または多価の炭化水素基であり、
a=(c+2)または<(c+2)であり、
b=(c+2)または<(c+2)であり、
c=1〜10、好ましくは1〜5、特に1であり、
d=(3c+1)または<(3c+1)であり、
ただしa+b=c+2であり、a>0、好ましくは1以上である]
の化合物を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらなる構成要素E)として、ジシラザン、好ましくは1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザンを使用することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
使用する化合物D)の量が、使用するアルコキシシラン(構成要素B)の量に対して0.1〜30mol%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
構成要素A)〜D)の総量に対する水の割合が、0.001〜1重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
構成要素A)のOH基と構成要素B)の基Rのモル比が1:1または>1:1である量で、構成要素A)およびB)を使用することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
構成要素D)として、モノマー性もしくはオリゴマー性リン酸、モノマー性もしくはオリゴマー性ホスホン酸もしくはホスフィン酸、ハイポジホスホン酸もしくはハイポジホスフィン酸、または炭化水素基によって置換されている、前記酸の1つの有機誘導体を使用することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
オクチルホスホン酸を構成要素D)として使用することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法によって生成される、窒素含有基を含有するポリシロキサン。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法によって得られる、窒素含有基を含有するポリシロキサンを有する組成物。
【請求項11】
テキスタイルケア組成物、繊維用の洗浄剤もしくはクリーナー、または疎水化組成物の構成成分としての、請求項9に記載の窒素含有基を含有するポリシロキサンまたは請求項10に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2013−40335(P2013−40335A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−178291(P2012−178291)
【出願日】平成24年8月10日(2012.8.10)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】