説明

窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法

【課題】硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、別途亜酸化窒素分解の為の工程を設けることなく、硝化工程と脱窒工程の条件検討により亜酸化窒素の大気中への拡散を防止する技術を提供すること。
【解決手段】硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、脱窒槽1の酸化還元電位を−300〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、硝化槽2の酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、硝化工程で副生成物として発生する亜酸化窒素を含有する硝化液を、脱窒工程に循環導入し、脱窒工程における微生物反応により、当該亜酸化窒素を還元する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素含有排水の生物処理時に発生する亜酸化窒素が、大気中へ拡散することを抑制する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下水等の窒素含有排水を生物学的に処理する際、反応副生成物として亜酸化窒素ガスが発生することが知られている。亜酸化窒素ガスは、二酸化炭素ガスの数百倍の温室効果を有する温室効果ガスであり、地球温暖化防止の観点から、大気中への排出抑制が求められている。
【0003】
生物学的な排水処理方法は、窒素含有排水中のアンモニア性窒素を酸化する硝化工程と、当該硝化液中に含まれる窒素酸化物を還元する脱窒工程とを有する(例えば、特許文献1)。前記生物学的な排水処理方法における亜酸化窒素ガスの生成メカニズムは、未だ明らかではないが、主に硝化工程におけるアンモニア性窒素の酸化反応の副生成物として生成するものと考えられる。
【0004】
ここで、硝化反応促進のためには、通常1.5mg/Lの溶存酸素が残存することが必要とされており(非特許文献1および非特許文献2)、硝化工程でブロアーからのエア送気により曝気を行い、前記溶存酸素量を確保している。しかし、曝気量が過剰となった場合には、硝化反応の副生成物として生成して硝化液中に溶存している亜酸化窒素が大気中に拡散してしまう問題があった。また、亜酸化窒素ガスを生物学的に処理する方法としては、亜酸化窒素ガスを吸着工程に導き、吸着剤に通して酸化二窒素を吸着させたのちに、該吸着剤又は該吸着剤から脱着した酸化二窒素含有ガス、又は該酸化二窒素含有ガスを吸収させた吸収液を、嫌気的条件下にある生物学的酸化二窒素分解工程に導入し、酸化二窒素を分解する技術が開示されている(特許文献2)。しかし、新たな工程の増設によらず、既存の排水処理設備をそのまま利用して、運転条件により亜酸化窒素が大気中に拡散することを防止する生物学的な排水処理技術への需要があった。
【0005】
なお、ブロアーの運転には大きな電力を必要とするため、過剰量の曝気は不必要な電力の消費に繋り二酸化炭素排出量が増加する問題があった。このように、過剰量の曝気は地球温暖化ガス排出抑制の観点から好ましくないため、生物学的な排水処理に際し、曝気量を最適に制御する技術への需要があった。
【0006】
また、脱窒工程での還元反応の進行には、水素供与体となる有機炭素源の存在が必要となるが、過剰量の有機炭素源の添加はエネルギー効率の観点から好ましくない。したがって、生物学的な排水処理に際し、水素供与体となる有機炭素源の添加量を最適に制御する技術への需要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−63588公報
【特許文献2】特開平6─190241号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】高度処理施設設計マニュアル、p225−252、日本下水道協会、平成6年
【非特許文献2】嫌気−無酸素−好気法運転管理マニュアル(案)、東京都下水道サービス、平成9年3月、p21−p53
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、前記の需要を満足し、硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、別途亜酸化窒素分解の為の新たな工程を設けることなく、硝化工程と脱窒工程の運転条件検討により亜酸化窒素の大気中への拡散を防止する技術を提供することである。また、当該技術は、硝化工程と脱窒工程の全行程において、排水処理効率を維持しつつ、地球温暖化ガス排出量の削減と、エネルギー効率の改善を図ることも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法は、硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、脱窒槽の酸化還元電位を−300〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、硝化槽の酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、硝化工程で副生成物として発生する亜酸化窒素を含有する硝化液を、脱窒工程に循環導入し、脱窒工程における微生物反応により、当該亜酸化窒素を還元することを特徴とするものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法であって、硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、排水中に含有されるリンも合せて除去するために、脱窒槽の前段に嫌気槽を備え、嫌気槽の酸化還元電位を−400〜−200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、脱窒槽の酸化還元電位を−200〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、硝化槽の酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、硝化工程で副生成物として発生する亜酸化窒素を含有する硝化液を、脱窒工程に循環導入し、脱窒工程における微生物反応により、当該亜酸化窒素を還元することを特徴とするものである。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法において、硝化槽の酸化還元電位制御は、曝気量の増減により行い、硝化槽中のアンモニア性窒素濃度が0〜1mg/Lとなるまで曝気を行うことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法において、硝化槽の酸化還元電位制御は、曝気量の増減により行い、硝化槽中の亜硝酸性窒素濃度が0〜2mg/Lとなるまで曝気を行うことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1または2記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法において、脱窒槽の酸化還元電位制御を、水素供与体の添加量の増減により行うことを特徴とするものである。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1または5に記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法において、脱窒槽の酸化還元電位制御を、硝化液の循環導入量の増減により行うことを特徴とするものである。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項2記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法において、嫌気槽の酸化還元電位制御は、水素供与体の添加量の増減により行うことを特徴とするものである。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法において、硝化槽の酸化還元電位制御は、曝気量の増減により行い、硝化槽中の亜硝酸性窒素濃度が0〜0.5mg/Lとなるまで曝気を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の方法によれば、窒素含有排水の生物処理時に、硝化反応の副生成物として生じる亜酸化窒素の生物学的処理に関し、酸化還元電位が50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御された硝化槽からの硝化液を、酸化還元電位が0mV(銀/塩化銀基準)以下に維持制御された脱窒槽に導くことにより、亜酸化窒素を大気中に拡散させることなく、また、別途亜酸化窒素分解の為の工程を設ける手段によらずに、脱窒工程で亜酸化窒素を効果的に分解することが可能となった。なお、硝化槽と脱窒槽を各々前記範囲に制御することは、脱窒効率の観点からも好ましい。
【0019】
また被処理水の脱窒槽における酸化還元電位を、請求項1記載の発明では−300〜0mV(銀/塩化銀基準)、請求項2記載の発明では−200〜0mV(銀/塩化銀基準)と、高めに維持することにより、その後に硝化槽に導入された被処理水を、硝化反応促進に適した酸化還元電位である50〜200mV(銀/塩化銀基準)に上昇させる際に必要となる曝気量を低減させることができる。これにより、ブロワー運転による電力消費、及びこれに伴う二酸化炭素排出量が削減される。また、曝気量の低減により、硝化液中に溶存する亜酸化窒素が大気中への拡散リスクを低下させることができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、前記の効果を維持しつつ、排水中のリン成分も効果的に除去することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、硝化槽中のアンモニア性窒素濃度を基準として、硝化反応の促進に最適量の曝気を行うことができる。これにより、硝化槽での過剰の曝気により、硝化液中に溶存する亜酸化窒素が大気中に拡散する問題を、効果的に抑制することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、亜硝酸性窒素濃度を基準として、硝化反応の促進に最適量の曝気を行うことができる。これにより、硝化槽での過剰の曝気により、硝化液中に溶存する亜酸化窒素が、大気中に拡散する問題を効果的に抑制することができる。請求項8記載の発明によれば、亜酸化窒素が大気中に拡散する問題を更に効果的に抑制することができる。
【0023】
請求項6記載の発明のように、排水中の窒素除去処理時に、脱窒槽の酸化還元電位制御を、硝化液の循環導入量の増減により行うことにより、水素供与体の添加量を抑制することができ、エネルギー効率の向上に資する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の方法を適用する窒素含有排水処理装置の構成図である。
【図2】本発明の方法を適用する窒素及びリン含有排水処理装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る亜酸化窒素の生物学的処理方法を詳細に説明する。
図1には、本発明の方法を適用する窒素含有排水処理装置の構成図を示している。窒素含有排水の生物学的処理工程では、図1に示すように、窒素含有排水が、嫌気性の脱窒槽1に流入してから好気性の硝化槽2に送られ、硝化槽2で処理された処理水の一部が循環路3を介して脱窒槽1に戻されると共に、残りが固液分離槽4に送られる。固液分離槽4では、処理水に同伴される活性汚泥を固液分離し、汚泥返送経路5を介して脱窒槽1に返送して脱窒槽1内の生物量を維持している。また、一部の汚泥は余剰汚泥として排出管6を介して装置外に排出される。
【0026】
硝化槽2では、ブロア8から供給されたエアが散気装置7により散気され、好気性条件下で活性汚泥中の好気性微生物である硝化菌により廃水中のアンモニア性窒素が亜硝酸性窒素や硝酸性窒素に硝化処理される。ここで、硝化槽2での硝化処理の反応副産物として亜酸化窒素ガスが生成する。
【0027】
(化1)
2NH4+3O2→2NO2+2H2O+4H
2NO2+O2→2NO3
【0028】
ここで、亜硝化窒素ガスが硝化槽2内の曝気に伴い大気中に拡散することを防止するためには、曝気量を抑制することが必要となる。一方、硝化反応促進の視点からは、通常、硝化槽末端の酸化還元電位は+100〜125mV以上が望ましいとされており、積極的な曝気が好適とされる。そこで、本発明では、硝化反応促進の指標として、アンモニア性窒素や亜硝酸性窒素濃度を測定して、硝化槽中のアンモニア性窒素濃度が0〜1mg/L、かつ、亜硝酸性窒素濃度が0〜2mg/Lとなるまで曝気を行って硝化反応の進行を確認しつつ、酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御することにより、過剰な曝気を抑制し、亜硝化窒素ガスが大気中に拡散することを防止している。なお、硝化槽中の亜硝酸性窒素濃度を0〜0.5mg/Lとすれば、より亜酸化窒素の排出量を低減することが可能になる。
【0029】
硝化槽2内における酸化還元電位の維持制御は、硝化槽2内に設置したORP計9、アンモニア性窒素測定計10、亜硝酸性窒素濃度測定計11による連続測定データのモニタリングを行いつつ、それぞれの値が前記制御範囲となるように、曝気量を調整することが好ましい。なお、曝気のための電力ブロワー運転による電力消費、及びこれに伴う二酸化炭素排出量削減の観点からは、酸化還元電位を50〜70mV(銀/塩化銀基準)に維持制御することが更に好ましい。
【0030】
硝化槽2からの硝化液が循環導入される脱窒槽1では、硝化槽2で生成された亜硝酸性窒素や硝酸性窒素が、原水中の有機物或いはメタノール等の電子供与体を還元剤として、嫌気性微生物である脱窒菌により脱窒処理されて窒素ガスに還元する。これにより原水中のアンモニア性窒素が除去される。一般に、硝化槽2で発生した亜酸化窒素含有ガスを、脱窒槽1の処理水中に直接導入して活性汚泥中の脱窒菌により生物学的に還元処理すると、含有ガス中に多く混在する酸素が嫌気性微生物である脱窒菌の還元反応を阻害する現象が生じるが、本発明では、前記のように硝化槽での曝気量を抑えて硝化液中の溶存酸素量を低水準に保ちつつ、脱窒槽の酸化還元電位を0mV(銀/塩化銀基準)以下に制御することにより、脱窒菌の還元反応を促進している。当該方法によれば、当該酸化還元電位下において、硝化液中に含有される亜硝酸性窒素や硝酸性窒素のみならず、硝化反応の副生成物として生じた亜酸化窒素も、嫌気性微生物による還元作用を受けて分解される。即ち、当該方法によれば、窒素含有排水の生物的処理工程において、別途亜酸化窒素処理工程を設けることなく、亜酸化窒素を分解処理することができる。
【0031】
なお、酸化還元電位は電子供与体の添加と共に低下するが、−300mV以下に低下させた場合、その後に硝化槽2に導入された被処理水の酸化還元電位を前記の50〜200mV(銀/塩化銀基準)にまで上昇させるために多量の曝気が必要となり、多量の曝気は、硝化液中に含有される亜酸化窒素の大気中への拡散に繋がるため好ましくない。また、コスト面からも電子供与体の過剰投与は好ましくない。これらの観点からは、脱窒槽1の酸化還元電位を−100〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御することが特に好ましい。当該制御は、硝化槽2内に設置したORP計のモニタリングを行いつつ、酸化還元電位が上記範囲となるように、水素供与体の添加、及び、硝化液の循環導入量の増減を行うことが好ましい。
【0032】
図2には、本発明の方法を適用する窒素及びリン含有排水処理装置の構成図を示している。窒素及びリン含有排水の生物学的処理工程では、図2に示すように、脱窒槽1の前段に嫌気槽13が設けられ、リン放出を促している。本発明では、ORP計のモニタリングを行いつつ、酸化還元電位が−400〜−200mV(銀/塩化銀基準) となるように、水素供与体の添加を行う。当該範囲に制御を行うことにより、水素供与体の添加量を、リンの良好な放出のための最適量に抑制することができ、コスト抑制の観点から好ましい。嫌気槽13の酸化還元電位を−400〜−200mV(銀/塩化銀基準)に制御した場合、その後段に設けられた脱窒槽1に導入される処理液の酸化還元電位は−200mV以上に制御可能となる。脱窒工程および硝化工程に関しては、基本的に上記の窒素及含有排水処理の場合と同様である。なお、脱窒槽1における酸化還元電位の制御下限値が窒素及含有排水処理の場合(−300mV(銀/塩化銀基準)以上)と異なるのは、前記のように、脱窒槽1の前段にリン放出のための必要電位(−400〜−200mV(銀/塩化銀基準))を有する嫌気槽13を備えたことによるものであり、望ましくは−100〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御することが特に好ましいことは、前記の窒素及含有排水処理の場合と同様である。
【実施例】
【0033】
下記の表1〜6には、都市下水最初沈殿池越流水(T−N濃度;30mg/L、NH4-N濃度;25mg/L)を、図1に示す装置を用いて、表1〜6の各条件で硝化液循環型生物学的脱窒を行った際の亜酸化窒素の大気中への放出量測定結果、及び処理水T−N濃度を示している。ここで、亜酸化窒素の大気中への放出量は捕集した曝気排ガス中の亜酸化窒素濃度をECD法にて測定した値から算出し、処理水T−N濃度は還元蒸留ケルダール法により測定した。なお、T−N濃度とは全窒素濃度をいう。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
上記の表1〜3に示すように、本発明によれば硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、脱窒槽の酸化還元電位を−300〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、硝化槽の酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御することで処理水中のT−N濃度を低く維持しつつ、亜酸化窒素の排出量を低減することが可能になる。
【0038】
【表4】

【0039】
【表5】

【0040】
【表6】

【0041】
なお、上記の表4〜6に示すように、硝化槽の酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御するに際し、硝化槽の酸化還元電位制御を曝気量の増減によって行い、具体的には、硝化槽中の亜硝酸性窒素濃度が0〜0.5mg/Lとなるまで曝気を行うことにより、亜酸化窒素の排出量を更に低減することが可能になる。
【符号の説明】
【0042】
1 脱窒槽
2 硝化槽
3 循環路
4 固液分離槽
5 汚泥返送経路
6 排出管
7 散気装置
8 ブロア
9 ORP計
10 アンモニア性窒素計
11 亜硝酸性窒素計
12 有機酸タンク
13 嫌気槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、
脱窒槽の酸化還元電位を−300〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、
硝化槽の酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、
硝化工程で副生成物として発生する亜酸化窒素を含有する硝化液を、脱窒工程に循環導入し、脱窒工程における微生物反応により、当該亜酸化窒素を還元することを特徴とする窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。
【請求項2】
硝化工程と脱窒工程を有する窒素含有排水の処理方法において、排水中に含有されるリンも合せて除去するために、脱窒槽の前段に嫌気槽を備え、
嫌気槽の酸化還元電位を−400〜−200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、
脱窒槽の酸化還元電位を−200〜0mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、
硝化槽の酸化還元電位を50〜200mV(銀/塩化銀基準)に維持制御し、
硝化工程で副生成物として発生する亜酸化窒素を含有する硝化液を、脱窒工程に循環導入し、脱窒工程における微生物反応により、当該亜酸化窒素を還元することを特徴とする窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。
【請求項3】
硝化槽の酸化還元電位制御は、曝気量の増減により行い、硝化槽中のアンモニア性窒素濃度が0〜1mg/Lとなるまで曝気を行うことを特徴とする請求項1または2記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。
【請求項4】
硝化槽の酸化還元電位制御は、曝気量の増減により行い、硝化槽中の亜硝酸性窒素濃度が0〜2mg/Lとなるまで曝気を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。
【請求項5】
脱窒槽の酸化還元電位制御を、
水素供与体の添加量の増減
により行うことを特徴とする請求項1または2記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。
【請求項6】
脱窒槽の酸化還元電位制御を、
硝化液の循環導入量の増減
により行うことを特徴とする請求項1または5に記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。
【請求項7】
嫌気槽の酸化還元電位制御は、
水素供与体の添加量の増減
により行うことを特徴とする請求項2記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。
【請求項8】
硝化槽の酸化還元電位制御は、曝気量の増減により行い、硝化槽中の亜硝酸性窒素濃度が0〜0.5mg/Lとなるまで曝気を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の窒素含有排水処理に伴う亜酸化窒素排出抑制方法。

【図1】
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【図2】
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