説明

窒素還元方法

【課題】触媒を用いることなく、印加過電圧が比較的小さい領域で窒素の陰極還元反応を促進させることが可能な窒素還元方法を提供する。
【解決手段】窒素還元方法は、リチウムを含むアルカリハライドの溶融塩120を準備するステップ(a)と、溶融塩120中に陽極130と陰極140とを配置するステップ(b)と、陰極140に窒素を供給するステップ(c)と、陽極130と陰極140との間に、陰極140においてLiを生成させるための電圧を印加して通電するステップ(d)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒素を電気化学的に還元する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒素分子は強い三重結合を持ち、非極性分子であるために、一般には不活性ガスとして取り扱われている。一方、伊藤靖彦、「常圧アンモニア電解合成−アンモニアエコノミーの基盤技術−」、溶融塩および高温化学、2003年、Vol.46、No.2、p.97−118(非特許文献1、以下「非特許文献1」とする)には、アルカリハライドなどの溶融塩中で窒素ガス電極を用いることにより、次の反応によって比較的容易に窒素(N)を電気化学的に還元できることが示されている。
【0003】
(式1) N+6e → 2N3−
【0004】
溶融塩中における窒素のこのような陰極還元反応を用いて、窒素(N)から、N3−(ナイトライドイオン)のような化学的に活性な種への変換を、容易に行うことができる。この変換を容易に行うことで、例えば金属表面の電気化学的な窒化処理や、アンモニアの常圧電解合成など、窒素が関与する新たな工学プロセスの構築が可能になった。
【0005】
上述のような窒素の陰極還元反応を扱う場合には、溶融塩として、特にLiを含むアルカリハライドから成る溶融塩、例えばLiClとKClとの混合物(LiCl−KCl)などを用いることが多い。この溶融塩中に存在するLiは陰極で還元されて金属Liを生成する。また、LiCl−KCl溶融塩中では、金属Liと溶融塩との界面にLiCl層が形成されることが、Pascal Hebant 外1名、Electrochimica Acta、1998年、Vol.43、No.14−15、p.2071−2081(非特許文献2、以下「非特許文献2」とする)に報告されている。
【0006】
こういった電気化学的な工学プロセスでは、一般に、より小さい過電圧の印加でより大きな電流を得ることのできる電極が優れた電極として扱われる。これまでの窒素ガス電極の開発においても、窒素の陰極還元反応を、印加過電圧の小さい領域で大きく促進させることが目的となっている。特に、陰極触媒の開発を中心に、窒素の陰極還元反応を促進させる研究が進められてきた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】伊藤靖彦、「常圧アンモニア電解合成−アンモニアエコノミーの基盤技術−」、溶融塩および高温化学、2003年、Vol.46、No.2、p.97−118
【非特許文献2】Pascal Hebant 外1名、Electrochimica Acta、1998年、Vol.43、No.14−15、p.2071−2081
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、陰極触媒を用いて窒素の陰極還元反応を促進させる研究では、貴金属などの高価で希少な金属が評価の中心となっているが、そういった貴金属触媒を用いた場合でも、飛躍的に窒素の陰極還元反応を促進させるには未だ至っていない。
【0009】
そこで、この発明の目的は、触媒効果に頼るのではなく、印加過電圧が比較的小さい領域で窒素の陰極還元反応を促進させることが可能な窒素還元方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討の結果、Liの電気化学的な還元により、金属Liの還元析出よりも貴な電位領域でLiが生成することにより、次の式のように窒素を間接的に還元できると考えた。
【0011】
(式2) 12Li+6e → 6Li
(式3) N+6Li → 2N3−+12Li
【0012】
Liの存在については、非特許文献2において検討されている。非特許文献2のFig.2とFig.6に示されているように、共晶組成のLiCl−KCl中(450℃)でのLiとLiとの平衡によるプラトー電位が約−3.37V(Cl/Cl電位基準)である。すなわち、このプラトー電位よりも卑な電位領域では、上の式2に示す反応によってLiが生成する。
【0013】
Liを生成させることにより、上の式3に示す反応によって、窒素(N)が還元される。
【0014】
本発明者のこのような知見に基づいて、本発明に従った窒素還元方法は、次のように構成される。
【0015】
この発明に従った窒素還元方法は、(a)リチウムを含むアルカリハライドの溶融塩を準備するステップと、(b)溶融塩中に陽極と陰極とを配置するステップと、(c)陰極に窒素を供給するステップと、(d)陽極と陰極との間に、陰極においてLiを生成させるための電圧を印加して通電するステップとを備える。
【0016】
リチウムを含むアルカリハライドの溶融塩中に配置された陽極と陰極との間に、陰極においてLiを生成させるための電圧を印加して通電することによって、溶融塩中の陰極においてLiが生成される。
【0017】
Liが生成される陰極に、窒素を供給することによって、陰極において窒素が間接的に還元される。
【0018】
このように、本発明は、前記のような触媒効果とは異なる観点から、窒素の陰極還元反応の促進を達成するものである。
【0019】
このようにすることにより、陰極触媒を用いることなく、印加過電圧が比較的小さい領域で窒素の陰極還元反応を促進させることが可能な窒素還元方法を提供することができる。
【0020】
この発明に従った窒素還元方法においては、溶融塩は共晶組成のLiClとKClとから構成され、溶融塩の温度は450℃であり、ステップ(d)において陽極と陰極との間に印加される電圧は、陰極電位がLi/Li電位を基準として約0.26Vよりも卑な電位領域となるように制御されていることが好ましい。
【0021】
上述のように、共晶組成のLiCl−KCl中(450℃)でのLiとLiとの平衡によるプラトー電位が約−3.37V(Cl/Cl電位基準)である。すなわち、このプラトー電位よりも卑な電位領域では、上の式2に示す反応によってLiが生成する。
【0022】
一方で、共晶組成のLiCl−KCl中(450℃)におけるLi/Li電位は−3.626V(Cl/Cl電位基準)である(J.A.Plambeck著、A.J.Bard編、Encyclopedia of Electrochemistry of the elements、1976年、Vol.X、p.68)。したがって、この溶融塩を用いた場合、Liが生成する電位は、約0.26V(vs.Li/Li)よりも卑な電位領域であると考えられる。
【0023】
そこで、上述のようにすることにより、Liを生成することができる。
【0024】
この発明に従った窒素還元方法においては、溶融塩は、LiCl、LiBr、LiI、または、LiFのいずれかを含むことが好ましい。
【0025】
この発明に従った窒素還元方法においては、溶融塩は、LiCl、LiBr、LiI、および、LiFの少なくともいずれか1つと、NaCl、KCl、CsCl、NaBr、KBr、CsBr、NaI、KI、および、CsIの少なくともいずれか1つとの混合物であることが好ましい。
【0026】
この発明に従った窒素還元方法においては、陰極は、多孔質状、金網状、メッシュ状に構成されていることが好ましい。
【0027】
このようにすることにより、生成したLiと窒素とを効率よく接触させることができる。
【0028】
この発明に従った窒素還元方法においては、陰極上には、窒素の直接的な還元を促進させるための陰極触媒が配置されていてもよい。この陰極触媒としては、Pt、Ru、Ir、Os、または、Feなどが例示される。
【0029】
このようにすることにより、Liを介した窒素の間接的な還元を進行させると同時に、陰極上における陰極触媒による窒素の直接的な還元を促進することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、この発明によれば、触媒を用いることなく、印加過電圧が比較的小さい領域で窒素の陰極還元反応を促進させることが可能な窒素還元方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の方法に従って窒素を還元させる窒素還元装置の全体の断面を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す窒素還元装置において、窒素ガス電極にアルゴンを供給した場合と、窒素を供給した場合の各電位における電流値をそれぞれ示す図である。
【図3】図1に示す窒素還元装置において、窒素ガス電極にアルゴンを供給した場合と、窒素を供給した場合の各電位における電流値の差を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図1に示すように、本発明のひとつの実施形態の窒素還元方法によって窒素を還元するための窒素還元装置1は、溶融塩浴部110と、溶融塩浴部110内に収容される溶融塩120と、陽極130と、陰極140と、電源部150と、雰囲気保持部160と、雰囲気隔離筒170とを備える。窒素還元装置1は、参照電極としてAg/Ag電極に代表されるような参照電極180を備えていることが好ましい。
【0034】
溶融塩浴部110は、溶融塩120を収容するものである。溶融塩120はリチウムのハライドを含む。溶融塩120としては、例えば、LiClとKClとの混合物(LiCl−KCl)が用いられる。溶融塩120は、LiCl、LiBr、LiI、または、LiFのいずれかを含むことが好ましい。また、溶融塩120は、LiCl、LiBr、LiI、および、LiFの少なくともいずれか1つと、NaCl、KCl、CsCl、NaBr、KBr、CsBr、NaI、KI、および、CsIの少なくともいずれか1つとの混合物であってもよい。例えば、LiCl−KCl、LiCl−KCl−CsCl、LiCl−CsCl、LiCl−KCl−LiBr−KBr、LiBr−KBr、LiBr−CsBr、LiBr−KBr−CsBr、LiI−KIなどを溶融塩120として用いることができる。溶融塩120の温度(浴温)については特に制限はなく、塩が溶融状態であればよい。例えば、溶融塩120としてLiClとKClとを組成比58.5:41.5(mol%)の割合で含む混合物(LiCl−KCl)を用いると、溶融塩120の融点が約360℃であるので、浴温は約360℃よりも高い温度として、例えば400℃に設定される。また例えば、溶融塩120としてLiIとKIとを組成比63.5:36.5(mol%)の割合で含む混合物(LiI−KI)を用いると、溶融塩120の融点が約285℃となるので、浴温は約285℃よりも高い温度に設定される。
【0035】
陽極130は、溶融塩浴部110内に収容される溶融塩120中に配置される。陽極130としては、例えば、電気化学的な窒化のための被処理基材等が用いられる。
【0036】
陰極140も、溶融塩浴部110内に収容される溶融塩120中に配置される。陰極140を構成する材料としては、導電性を有し、溶融塩120中で溶解したり分解したりしない物質であれば、特に制限はない。陰極140は、例えば、ニッケルや鉄を含むことが好ましい。また、陰極上には、Liを介した窒素の間接的な還元を妨げない限り、窒素の直接的な還元を促進させるための陰極触媒が配置されることが好ましく、特に、Pt、Ru、Ir、Os、または、Feを含む陰極触媒が配置されることが好ましい。このようにすることにより、陰極上において、Liを介した窒素の間接的な還元を進行させるとともに、同時に進行する触媒による窒素の直接的な還元を促進することができる。陰極140は、多孔質状、金網状、メッシュ状に構成されていることが好ましい。このようにすることにより、生成したLiと窒素とを効率よく接触させることができる。また、陰極140の周囲や陰極140の内部の溶融塩120を攪拌するように、バブリング等を行ってもよい。
【0037】
電源部150は、陽極130と陰極140との間に電圧を印加するものである。溶融塩120として共晶組成のLiCl−KClが用いられ、溶融塩の温度が450℃である場合には、陽極130と陰極140との間に印加される電圧は、陰極電位が、Li/Li電位を基準として約0.26Vよりも卑な電位領域となるように制御されていることが好ましい。なお、浴組成や浴温が異なれば有効な電位領域も変化するため、適宜調整は必要である。
【0038】
雰囲気保持部160は、少なくとも溶融塩120と陰極140との周辺を、例えば窒素雰囲気やアルゴン雰囲気に保持することができるように構成されている。
【0039】
雰囲気隔離筒170は、雰囲気保持部160内の雰囲気から雰囲気隔離筒170内の雰囲気を隔離するためのものであり、また、陰極140に窒素を供給するためのものである。雰囲気隔離筒170は、例えば、Niやアルミナ、石英によって形成され、図に矢印Aで示すように雰囲気隔離筒170の外部から供給される窒素を流通させる筒として構成される。なお、例えば、雰囲気保持部160内が窒素雰囲気に保持されている場合には、窒素還元装置1は雰囲気隔離筒170を必ずしも備えなくてもよい。
【0040】
以上のように構成された窒素還元装置1における窒素還元の工程は、次のステップを備える。
【0041】
まず、ステップ(a)として、リチウムを含むアルカリハライドの溶融塩120を準備し、ステップ(b)として、溶融塩120中に陽極130と陰極140とを配置する。次に、ステップ(c)として、陰極140に窒素を供給する。最後に、ステップ(d)として、陽極130と陰極140との間に、陰極140においてLiを生成させるための電圧を印加して通電する。
【0042】
リチウムを含むアルカリハライドの溶融塩120中に配置された陽極130と陰極140との間に、陰極140においてLiを生成させるための電圧を印加して通電することによって、溶融塩120中の陰極140においてLiが生成される。
【0043】
Liが生成される陰極140に、窒素を供給することによって、陰極140において窒素が間接的に還元される。
【0044】
このように、本発明は、触媒効果とは異なる観点から、窒素の陰極還元反応の促進を達成するものである。
【0045】
このようにすることにより、触媒を用いることなく、印加過電圧が比較的小さい領域で窒素の陰極還元反応を促進させることが可能な窒素還元方法を提供することができる。
【0046】
また、窒素還元装置1における窒素還元方法においては、溶融塩120は共晶組成のLiClとKClとから構成され、溶融塩120の温度は450℃であり、ステップ(d)において陽極130と陰極140との間に印加される電圧は、陰極電位がLi/Li電位を基準として約0.26Vよりも卑な電位領域となるように制御されていることが好ましい。
【0047】
LiCl−KCl中でのLiとLiとの平衡によるプラトー電位が約−3.37V(Cl/Cl電位基準)である。すなわち、このプラトー電位よりも卑な電位領域では、上の式2に示す反応によってLiが生成する。
【0048】
一方で、450℃の共晶組成のLiCl−KCl中におけるLi/Li電位は−3.626V(Cl/Cl電位基準)である。したがって、溶融塩としてLiClとKClとから構成される溶融塩120を用いた場合、Liが生成する電位は、約0.26V(vs.Li/Li)よりも卑な電位領域であると考えられる。
【0049】
そこで、溶融塩120は共晶組成のLiClとKClとから構成され、溶融塩120の温度は450℃であり、ステップ(d)において陽極130と陰極140との間に印加される電圧を、陰極電位が、Li/Li電位を基準として約0.26Vよりも卑な電位領域となるように制御することにより、Liを生成することができる。
【実施例】
【0050】
図1に示す窒素還元装置1において、窒素還元電位を調べるために次の実験を行った。
【0051】
溶融塩120として、共晶組成のLiClとKClとを組成比58.5:41.5(mol%)の割合で含む混合物(LiCl−KCl)を用いた。溶融塩120の浴温は450℃とした。
【0052】
陽極130としてはグラッシーカーボンによって形成された電極を用いた。
【0053】
陰極(窒素ガス電極)140としては、発泡ニッケルを用いた。発泡Niとしては、断面が縦20mm、横10mm、500m/mのものを用いた。陰極140は、溶融塩120中に半浸漬状態に保持された。
【0054】
参照電極180としては、Ag/Ag電極が用いられた。
【0055】
雰囲気保持部160によって、窒素還元装置(電解セル)1内はアルゴン雰囲気下に保持された。
【0056】
雰囲気隔離筒170としては石英によって形成されたものを用いた。雰囲気隔離筒170内には、窒素還元反応を評価する際には窒素(N)が供給された。また、雰囲気隔離筒170内には、比較測定の際にはアルゴン(Ar)が供給された。窒素とアルゴンは、それぞれ単独で供給された。このように、雰囲気隔離筒170の内部は、窒素還元反応を評価する際には窒素雰囲気に保持され、比較測定の際にはアルゴン雰囲気に保持された。雰囲気隔離筒170の内部が窒素雰囲気に保持されているときには、陰極140に窒素が供給される。また、雰囲気隔離筒170の内部がアルゴン雰囲気に保持されているときには、陰極140にアルゴンが供給される。
【0057】
このように構成された窒素還元装置1において分極測定を行った。電源部150によって陽極130と陰極140との間に、陰極電位を様々な値に設定して電圧を印加し、定電位電解を行った。電位はすべて、Li/Li電位を基準として較正した。電流値が一定になった後、600秒経過したときを定常状態とみなして、その時の電流値を測定した。
【0058】
図2に示すように、雰囲気隔離筒170によって陰極140にアルゴンを供給した場合(破線)よりも、窒素を供給した場合(実線)の方が、どの電位においても、電流値が大きかった。
【0059】
測定された電流値から、陰極(窒素ガス電極)140にアルゴンを供給した場合と、窒素を供給した場合の各電位における電流値の差を求めた。図3は、得られた電流値の差を示す図である。この図3に示す電流値の差は、窒素の還元反応に起因するものである。
【0060】
陰極140に窒素を供給しても、窒素を供給する代わりにアルゴンを供給しても、0.25V(vs.Li/Li)より卑な電位領域の測定点においてLiの生成反応は進行するはずである。しかしながら、図2と図3とに示すように、0.25V(vs.Li/Li)より卑な電位領域の測定点において、陰極140にアルゴンを供給した場合(図2の破線)には、図3ほど大きな電流の増加が見られない。これは、陰極140に窒素の代わりにアルゴンを供給した場合には、生成したLiが消費されず陰極140の近傍に蓄積するために、Liの生成反応は大きく進むことがないためであると考えられる。
【0061】
一方、図3に示すように、陰極140に窒素を供給した場合には、0.25V(vs.Li/Li)より卑な電位領域の測定点において急激な電流値の増加が確認された。これは、LiによるNの間接還元が起きていることを示している。すなわち、陰極140に窒素を供給した場合には、生成したLiがNと反応して速やかに消費されるために、生成したLiが陰極140の周囲に蓄積されることがない。そのため、Liの生成反応はスムーズに進行し、Liを介してNの還元反応が促進されると考えられる。
【0062】
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【符号の説明】
【0063】
120:溶融塩、130:陽極、140:陰極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)リチウムを含むアルカリハライドの溶融塩を準備するステップと、
(b)前記溶融塩中に陽極と陰極とを配置するステップと、
(c)前記陰極に窒素を供給するステップと、
(d)前記陽極と陰極との間に、前記陰極においてLiを生成させるための電圧を印加して通電するステップとを備える、窒素還元方法。
【請求項2】
前記溶融塩は共晶組成のLiClとKClとから構成され、
溶融塩の温度は450℃であり、
前記ステップ(d)において前記陽極と前記陰極との間に印加される電圧は、陰極電位が、Li/Li電位を基準として約0.26Vよりも卑な電位領域となるように制御されている、請求項1に記載の窒素還元方法。
【請求項3】
前記溶融塩は、LiCl、LiBr、LiI、または、LiFのいずれかを含む、請求項1に記載の窒素還元方法。
【請求項4】
前記溶融塩は、LiCl、LiBr、LiI、および、LiFの少なくともいずれか1つと、NaCl、KCl、CsCl、NaBr、KBr、CsBr、NaI、KI、および、CsIの少なくともいずれか1つとの混合物である、請求項1に記載の窒素還元方法。
【請求項5】
前記陰極は、多孔質状、金網状、メッシュ状に構成されている、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の窒素還元方法。
【請求項6】
前記陰極上には、窒素の直接的な還元を促進させるための陰極触媒が配置される、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の窒素還元方法。
【請求項7】
前記陰極触媒は、Pt、Ru、Ir、Os、または、Feを含む、請求項6に記載の窒素還元方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−219285(P2012−219285A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83262(P2011−83262)
【出願日】平成23年4月5日(2011.4.5)
【出願人】(506360310)アイ’エムセップ株式会社 (17)
【Fターム(参考)】