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窒素酸化物計測器
説明

窒素酸化物計測器

【課題】排気ガス中の二酸化窒素を確実に一酸化窒素へ還元することにより、排気ガスにおける窒素酸化物の濃度を正確に計測する手段を提供する。
【解決手段】本発明に係る窒素酸化物計測器は、排気ガスを採取する採取管21と、採取した排気ガスについて窒素酸化物の濃度を分析する分析装置とを備え、採取管21が、排気ガスが内部を流通する管本体211と、二酸化窒素を一酸化窒素に還元可能な材料からなり、排気ガスが通過し得るように管本体211の内部に充填された細管212と、管本体211の内部に設けられて細管212を加熱するヒータ213と、ヒータ213の動作を制御する制御部214とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスについて窒素酸化物の濃度を計測する窒素酸化物計測器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンやガスエンジンから排出される排気ガスについて、窒素酸化物(NOx)の濃度を計測する方法及び計測器としては、JIS(日本工業規格)等に規格が定められている(例えば、非特許文献1を参照)。このうち、窒素酸化物の濃度を連続的に計測する方法としては、いわゆる化学発光法が広く用いられている。この化学発光法とは、一酸化窒素(NO)がオゾンとの化学反応に伴って光子を放出する現象を利用するものであって、その発光量を検出することにより、排気ガス中における窒素酸化物(NOx)の濃度を計測する。
【0003】
ところで、ガスタービンやガスエンジンを低負荷で運転した時の排気ガスは、窒素酸化物として二酸化窒素(NO)を高い比率で含んでいる。そして、この二酸化窒素は、水に溶けやすいという特性を有している。従って、窒素酸化物計測器によって窒素酸化物の濃度を計測する場合、経路上で二酸化窒素が水に溶解して損失することにより、排気ガスを化学的に成分分析した場合と比較して、窒素酸化物の濃度が低く計測されるという問題がある。ここで、経路上において二酸化窒素が損失する箇所としては、採取した排気ガスを計測器へ導入する導管の内部や、計測器の内部にて排気ガスに前処理を行う除湿器等が挙げられる。
【0004】
このような二酸化窒素の損失の問題を防止する手段としては、導管を加熱することで導管内の水を除去する方法や、導管を高速に吸引することで二酸化窒素の水への接触時間を短くする方法があるが、その効果は十分ではない。
【0005】
また、二酸化窒素の損失の問題を防止する他の手段としては、排気ガスを採取する採取管の材質をステンレス鋼とし、このステンレス鋼に接触した二酸化窒素を一酸化窒素に還元する方法が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。この方法によれば、排気ガス中の二酸化窒素が水に溶けにくい一酸化窒素になるため、二酸化窒素の損失の問題を低減することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】JIS B 7982 排ガス中の窒素酸化物自動計測システム及び自動計測器
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来の窒素酸化物計測器では、ステンレス鋼からなる採取管とその内部を流れる排気ガスとの接触が悪いため、二酸化窒素の一酸化窒素への還元率が低く且つ不安定であるという問題がある。また、従来の窒素酸化物計測器では、採取管の温度が低いため、二酸化窒素の一酸化窒素への還元反応が進みにくいという問題もある。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、排気ガス中の二酸化窒素を確実に一酸化窒素へ還元することにより、排気ガスにおける窒素酸化物の濃度を正確に計測する手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。すなわち、本発明に係る窒素酸化物計測器は、排気ガスを採取する採取管と、採取した排気ガスについて窒素酸化物の濃度を分析する分析装置と、を備える窒素酸化物計測器であって、前記採取管が、排気ガスが内部を流通する管本体と、二酸化窒素を一酸化窒素に還元可能な材料からなり、排気ガスが通過し得るように前記管本体の内部に充填された還元部材と、前記管本体の内部に設けられて前記還元部材を加熱するヒータと、前記ヒータの動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、管本体の内部を流通する排気ガスは、還元部材を通過する際に、排気ガス中の二酸化窒素が一酸化窒素に還元される。また、制御部がヒータの動作を制御することによって還元部材が加熱されるため、二酸化窒素から一酸化窒素への還元反応が一層促進される。これにより、経路上にて二酸化窒素が水に溶けて損失するのを防止することができる。
【0011】
また、本発明に係る窒素酸化物計測器は、前記還元部材が、前記管本体より径の小さい複数の細管であることを特徴とする。
【0012】
このような構成によれば、排気ガスが複数の細管の内部をそれぞれ通過する際に細管と接触する面積は、排気ガスが管本体の内部を流通する際に管本体と接触する面積より広い。従って、排気ガス中の二酸化窒素がより確実に一酸化窒素へ還元される。
【0013】
また、本発明に係る窒素酸化物計測器は、前記還元部材が、メッシュフィルター、ワイヤーメッシュ、またはチップのいずれかであることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、排気ガスがメッシュフィルター、ワイヤーメッシュ、またはチップを通過する際にこれらと接触する面積は、排気ガスが管本体を流通する際に管本体と接触する面積より広い。従って、排気ガス中の二酸化窒素がより確実に一酸化窒素へ還元される。
【0015】
また、本発明に係る窒素酸化物計測器は、前記還元部材が、ステンレス鋼からなることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、安価且つ簡略な構成によって、還元部材を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る窒素酸化物計測器によれば、排気ガス中の二酸化窒素を確実に一酸化窒素へ還元することにより、排気ガスにおける窒素酸化物の濃度を正確に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係る窒素酸化物計測器の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る採取管を示す図であって、(a)はその一部を破断した概略正面図、(b)は(a)におけるA−A断面を示す概略断面図である。
【図3】採取管の表面積の大きさと、二酸化窒素から一酸化窒素への還元率との関係を示すグラフ。
【図4】細管の温度が変化した場合に、排気ガス中における一酸化窒素(NO)及び二酸化窒素(NO)の分布比率がどのように変化するかを示すグラフである。
【図5】本発明の第二実施形態に係る採取管を示す図であって、(a)はその一部を破断した概略正面図、(b)は(a)におけるB−B断面を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第一実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。まず、第一実施形態に係る窒素酸化物計測器の全体構成について説明する。図1は、第一実施形態に係る窒素酸化物計測器1の全体構成を示す模式図である。窒素酸化物計測器1は、排気ガスを採取するための採取装置2と、排気ガスを分析するための分析装置3とを備えるものである。
【0020】
採取装置2は、図1に示すように、排気ガスを採取する採取管21と、排気ガスから塵等の異物を除去する一次フィルタ22と、採取管21に接続されて排気ガスが流通する導管23と、導管23を加熱する加熱器24と、導管23を開閉する開閉弁25とを有している。ここで、加熱器24は、排気ガス中の二酸化窒素が採取管21や導管23に溜まった水に溶解するのを防止する役割を果たすものである。
【0021】
このように構成される採取装置2は、不図示のガスタービンやガスエンジンから排出された排気ガスが流通する煙道4に装着される。より詳細には、煙道4の壁面5に形成された採取用穴51に対し、排気ガスの流れに略直交するように採取管21を挿入することにより、採取装置2を取り付ける。
【0022】
図2は、第一実施形態に係る採取管21を示す図であって、(a)はその一部を破断した概略正面図、(b)は(a)におけるA−A断面を示す概略断面図である。採取管21は、断面略円形の管状部材である管本体211と、この管本体211の内部に充填された複数の細管212(還元部材)と、同じく管本体211の内部に設けられたヒータ213と、ヒータ213の動作を制御する制御部214とを備えるものである。
【0023】
ここで、管本体211の材質としては、ステンレス鋼、ニッケル鋼、炭素鋼等を用いることができる。
【0024】
細管212は、図2(b)に示すように、ステンレス鋼からなる断面略円形の管状部材であって、その外径は管本体211の外径より小さく形成されている。また、これら細管212の長さは、管本体211の長さと同程度である。このように構成される複数の細管212は、その長手方向を管本体211の長手方向に沿わせるようにして、管本体211の内部にそれぞれ充填されている。尚、細管212の断面形状、長さ、本数等は、本実施形態に限定されず適宜設計変更が可能である。また、細管212は、その全体がステンレス鋼からなる必要はなく、少なくともその内周面がステンレス鋼であればよい。また、細管212の材質はステンレス鋼に限られず、二酸化窒素を一酸化窒素に還元可能な材料であれば、上記管本体211と同様に種々の材質を選択することができる。
【0025】
ヒータ213は、図2(b)に示すように、断面略円形の柱状部材であって、その外径は管本体211の外径より小さく形成されている。また、このヒータ213の長さは、細管212の長さと同程度である。このように構成されるヒータ213は、その長手方向を管本体211の長手方向に沿わせるようにして、管本体211の中心部に挿入されている。尚、ヒータ213の断面形状や長さ等は、本実施形態に限定されず適宜設計変更が可能である。
【0026】
一方、図1に示す分析装置3は、導入口31を有し、この導入口31に対して前記採取装置2の導管23が接続される。一方、この導入口31に対し、排気ガス流路32の一端部が接続される。なお、本実施形態に係る分析装置3(一例)は、本発明に係る分析装置の一例であって、適宜設計変更が可能である。
【0027】
図1に示すように、排気ガス流路32に沿って導入口31の下流側には、排気ガス流路32の開閉を切り換える切換弁33が設けられている。また、この切換弁33の下流側には、除湿器34が設けられている。この除湿器34は、排気ガスを冷却してその水分を凝縮させることにより、ドレンとして回収する役割を果たすものである。
【0028】
更に、排気ガス流路32に沿って除湿器34の下流側には、排気ガス中に含まれるミストを回収する二次フィルタ35が設けられている。また、この二次フィルタの更に下流側には、上流側の排気ガスを吸引して下流側へ送出する吸引ポンプ36が設けられている。
【0029】
また、排気ガス流路32に沿って吸引ポンプ36の下流側には、内部に所定の触媒を有したコンバータ37が設置されており、排気ガス中の二酸化窒素を一酸化窒素に還元する。その後、コンバータ37は、排気ガス中の一酸化窒素をオゾンで酸化することにより、その全てを二酸化窒素に変化させる。
【0030】
また、図1に示すように、排気ガス流路32に沿ってコンバータ37の下流側には、排気ガス流路32の開度を調節する絞り弁38が設けられている。更に、この絞り弁38の更に下流側には、排気ガス流路32の開閉を切り換える切換弁39が設けられている。そして、この切換弁39の下流側には、排気ガスの流量を計測する流量計40が設けられている。
【0031】
そして、排気ガス流路32に沿って流量計40の下流側には、分析計41が設けられている。この分析計41は、一酸化窒素がオゾンとの反応によって二酸化窒素に変化する際の発光量を計測することにより、排気ガス中に含まれる窒素酸化物の濃度を算出する。そして、この分析計41による分析結果が、指示記録計42に出力されて記録される。その後、分析計41を通過した排気ガスは、窒素酸化物計測器1の外部へ排出される。
【0032】
(作用効果)
次に、本発明の第一実施形態に係る窒素酸化物計測器1の作用効果について説明する。第一実施形態に係る窒素酸化物計測器1によれば、図2に示すように、採取管21が、管本体211の内部に複数の細管212を充填することにより構成される。このような採取管21の構成によれば、排気ガスが複数の細管212の内部をそれぞれ通過する際に細管と接触する面積は、細管がなく排気ガスが管本体の内部を通過する際に管本体と接触する面積より広い。
【0033】
ここで、図3は、採取管21の表面積の大きさと、二酸化窒素から一酸化窒素への還元率との関係を示すグラフである。尚、この図3におけるプロットAは、管本体211のみで構成される採取管21の内部を排気ガスが流通する場合を示している。この場合、採取管21の表面積が狭いため、二酸化窒素の還元率も低くなっている。
【0034】
一方、図3におけるプロットBは、管本体211の内部に複数の細管212が充填された採取管21の場合、すなわち第一実施形態の場合を示している。この場合、採取管21の表面積がプロットAの場合と比較して広くなるため、二酸化窒素の還元率はプロットAの場合と比較して高くなる。
【0035】
また、第一実施形態に係る窒素酸化物計測器1によれば、図2に示すように、制御部214によって動作を制御されるヒータ213が細管212を加熱する。これにより、二酸化窒素から一酸化窒素への還元反応が一層促進される。
【0036】
ここで、図4は、細管21の温度が変化した場合に、排気ガス中における一酸化窒素(NO)及び二酸化窒素(NO)の分布比率がどのように変化するかを示すグラフである。このグラフによれば、細管21の温度が高くなるほど、排気ガスに占める一酸化窒素の比率が低くなる、すなわち二酸化窒素から一酸化窒素への還元反応が促進される。
【0037】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態に係る窒素酸化物計測器の構成について説明する。第二実施形態に係る窒素酸化物計測器は、第一実施形態と比較すると、採取管の構成だけが異なっている。それ以外の構成は第一実施形態と同じであるため、同じ符号を使用し、ここでは説明を省略する。
【0038】
図5は、第二実施形態に係る採取管10を示す図であって、(a)はその一部を破断した概略正面図、(b)は(a)におけるB−B断面を示す概略断面図である。採取管10は、断面略円形の管状部材である管本体11と、この管本体11の内部に充填されたメッシュフィルター12(還元部材)と、同じく管本体11の内部に設けられたヒータ13と、ヒータ13の動作を制御する制御部14とを備えるものである。尚、管本体11の材質やヒータ13の構成は、第一実施形態と同じである。
【0039】
メッシュフィルター12は、二酸化窒素を一酸化窒素に還元可能な材料からなり、排気ガスが通過可能な網目状の部材である。このメッシュフィルター12の材質としては、第一実施形態の管本体211と同様に、ステンレス鋼、ニッケル鋼、炭素鋼等を用いることができる。尚、図に詳細は示さないが、メッシュフィルター12に代えてまたはメッシュフィルター12とともに、同じく網目状のワイヤーメッシュや、小片状のチップを管本体11の内部に充填することも可能である。
【0040】
尚、上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ、或いは動作手順等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 窒素酸化物計測器
2 採取装置
10 採取管
11 管本体
12 メッシュフィルター
13 ヒータ
14 制御部
21 採取管
211 管本体
212 細管
213 ヒータ
214 制御部
22 一次フィルタ
23 導管
24 加熱器
25 開閉弁
3 分析装置
31 導入口
32 排気ガス流路
33 切換弁
34 除湿器
35 二次フィルタ
36 吸引ポンプ
37 コンバータ
38 絞り弁
39 切換弁
4 煙道
40 流量計
41 分析計
42 指示記録計
5 壁面
51 採取用穴
A プロット
B プロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを採取する採取管と、採取した排気ガスについて窒素酸化物の濃度を分析する分析装置と、を備える窒素酸化物計測器であって、
前記採取管が、
排気ガスが内部を流通する管本体と、
二酸化窒素を一酸化窒素に還元可能な材料からなり、排気ガスが通過し得るように前記管本体の内部に充填された還元部材と、
前記管本体の内部に設けられて前記還元部材を加熱するヒータと、
前記ヒータの動作を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする窒素酸化物計測器。
【請求項2】
前記還元部材が、前記管本体より径の小さい複数の細管であることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物計測器。
【請求項3】
前記還元部材が、メッシュフィルター、ワイヤーメッシュ、またはチップのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物計測器。
【請求項4】
前記還元部材が、ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の窒素酸化物計測器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−113707(P2013−113707A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260040(P2011−260040)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】