説明

窓拭き装置

窓ガラスの隅までキレイに清掃することができ、安価に製造でき、窓ガラスのガラス面をスムーズに走行させることができ、所望の方向に真っ直ぐ走行でき、窓ガラスに拭き残しが生じるのを防止できる窓拭き装置を提供する。
窓ガラスWに吸着する吸着部10と、この吸着部10に取り付けられ、窓ガラスWを清掃する清掃ユニット20と、吸着部10に取り付けられた走行部30とから構成されており、吸着部10に、走行部30が旋回自在に取り付けられている。吸着部10に走行部30が旋回自在に取り付けられているので、走行部30の走行方向を変えても、清掃ユニット20の姿勢を変えないようにできる。このため、清掃ユニット20の拭取り部22を平面視で四角形状にすることにより、窓ガラスWの隅までキレイに清掃することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、窓拭き装置に関する。
【背景技術】
特許文献1や特許文献2に示すように、吸着部によって窓ガラスに吸着しながら、走行部によって窓ガラスのガラス面に沿って移動し、走行方向を変えながら、窓拭き部によって窓ガラスを清掃する窓拭き装置はある。
【特許文献1】 特開平08−010189号公報
【特許文献2】 特開平08−010190号公報
しかるに、従来の窓拭き装置には、以下の(i)〜(v)に示す問題がある。
(i)従来の窓拭き装置は、業務用のものであり大型で重いので、これを窓ガラスに吸着させるための吸引力を得るために、大型の真空ポンプを使用している。もし、大型の真空ポンプを窓拭き装置に搭載して落下した場合には、非常に危険なので、真空ポンプと窓拭き装置との間をチューブで連結している。しかし、窓ガラスのガラス面上を窓拭き装置が走行しているときには、チューブが邪魔になり、窓拭き装置の走行が制限されることがある。
(ii)従来の窓拭き装置は、走行部と窓拭き部が固定されているので、窓ガラスの上で旋回して走行方向を変えると、窓拭き部も旋回する。このため、窓ガラスの隅で旋回可能なように、窓拭き部が平面視で丸い形状にした場合には、窓ガラスの隅に拭き残しが生じる。逆に、窓拭き部を窓ガラスの形状に合わせて平面視で四角形状にすると、窓ガラスの隅で旋回することができない。いずれにしても、従来の窓拭き装置では、窓ガラスの隅に拭き残しが生じるのである。
(iii)従来の窓拭き装置は、業務用のものであり、排気用モータや排気用ファンなどが必要であり、しかも制御方式が複雑になると制御部分の設計実装費が高くなり、安価に製造することができない。
(iv)吸着部により窓ガラスに吸着した状態で、そのガラス面に沿って走行部で走行させているので、窓ガラスと吸着部との間の摩擦力が、窓ガラスと走行部との間の摩擦力に対してバランスが悪いと、窓ガラスに吸着した状態で、そのガラス面に沿ってスムーズに走行させることができないことがある。
(v)窓ガラスのガラス面は滑りやすいので、走行車輪が真っ直ぐに走行しないことがある。このため、窓ガラスに拭き残しが生じることがある。
本発明はかかる事情に鑑み、走行の制限を排除でき、窓ガラスの隅までキレイに清掃することができ、安価に製造でき、窓ガラスのガラス面をスムーズに走行させることができ、所望の方向に真っ直ぐ走行でき、窓ガラスに拭き残しが生じるのを防止できる窓拭き装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
第1発明の窓拭き装置は、窓ガラスに吸着する吸着部と、該吸着部に取り付けられ、窓ガラスを清掃する清掃ユニットと、前記吸着部に取り付けられた走行部とからなり、前記吸着部に、吸着用の負圧発生装置が搭載されたことを特徴とする。
第2発明の窓拭き装置は、窓ガラスに吸着する吸着部と、該吸着部に取り付けられ、窓ガラスを清掃する清掃ユニットと、前記吸着部に取り付けられた走行部とからなり、前記吸着部に、前記走行部が旋回自在に取り付けられていることを特徴とする。
第3発明の窓拭き装置は、第2発明において、窓ガラスに吸着した状態における前記清掃ユニットにおいて、前記走行部の旋回中心より下部となる部分に、電源が取り付けられたことを特徴とする。
第4発明の窓拭き装置は、第1または第2発明において、窓ガラスに吸着した状態において、前記清掃ユニットの上端および下端となる部分にそれぞれ取り付けられ、窓枠を検出する一対の上部センサおよび下部センサと、該上部センサおよび下部センサにより窓枠検出信号が送信される制御部とからなり、該制御部が、前記走行部を垂直方向に往復走行させながら、前記上部センサおよび下部センサから送信された窓枠検出信号を検知する毎に、走行部の垂直走行路を横シフトさせる走行処理部を備えたことを特徴とする。
第5発明の窓拭き装置は、第4発明において、前記横シフトの距離が、清掃ユニットの幅より小さいことを特徴とする。
第6発明の窓拭き装置は、第1または第2発明において、前記吸着部が吸盤を備え、前記走行部が車輪を備えており、窓ガラスに対する前記吸盤の摩擦抵抗を、窓ガラスに対する前記車輪の摩擦抵抗に比べて小さくしたことを特徴とする。
第7発明の窓拭き装置は、第1または第2発明において、前記走行部が車輪を備えており、該車輪の駆動用モータが、ステッピングモータであることを特徴とする。
第8発明の窓拭き装置は、第4発明において、前記走行部に、ズレ検出センサが設けられ、前記制御部が、前記ズレ検出センサで検出したズレ量が0に近づくように、走行方向をフィードバック補正する走行方向補正処理部を備えたことを特徴とする。
第9発明の窓拭き装置は、第1または第2発明において、前記清掃ユニットが、前記吸着部に着脱自在に取り付けられたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、本実施形態の窓拭き装置1による窓ガラスWの清掃状況を示す説明図である。
図2は、本実施形態の窓拭き装置1の単体図であって、(A)は平面図、(B)側面図である。
図3は、(A)図は図2(A)のIIIA−IIIA線矢視図、(B)図は図2(A)のIIIB−IIIB線矢視図、(C)図は図2(A)のIIIC−IIIC線矢視図である。
図4は、本実施形態の窓拭き装置1の底面図である。
図5は、図2(B)のV−V線矢視図である。
図6は、図5のVI−VI線矢視図である。
図7は、他の清掃ユニット20Bの説明図であって、(A)は平面図、(B)は側面図、(C)は縦断面図である。
図8は、制御部50のブロック図である。
図9は、走行処理部51のフローチャートである。
図10は、本実施形態の窓拭き装置1の使用手順説明フローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の窓拭き装置1による窓ガラスWの清掃状況を示す説明図である。同図に示すように、本実施形態の窓拭き装置1は、窓ガラスWに吸着しながら、そのガラス面に沿って移動し、窓ガラスWを清掃する装置である。
図2は、本実施形態の窓拭き装置1の単体図であって、(A)は平面図、(B)側面図である。図3は、(A)図は図2(A)のIIIA−IIIA線矢視図、(B)図は図2(A)のIIIB−IIIB線矢視図、(C)図は図2(A)のIIIC−IIIC線矢視図である。図2〜図3に示すように、本実施形態の窓拭き装置1は、吸着部10、清掃ユニット20、走行部30、検出部40および制御部50から構成されたものである。
まず、吸着部10を説明する。
図4は、本実施形態の窓拭き装置1の底面図である。同図に示すように、吸着部10は、吸引力によって窓ガラスWに吸着するものであり、吸引ノズル11、吸盤12および負圧発生器13から構成されたものである。
吸引ノズル11は、ノズル本体の中空部分に吸引孔が形成されたものである。
前記吸引ノズル11の先端部には、吸盤12が取り付けられている。この吸盤12は、摩擦抵抗が小さい素材、例えば四フッ化エチレンの重合体やポリアセタール、アセタール樹脂等を、吸盤状に形成したものである。
前記吸引ノズル11の基端部には、連結チューブ14の一端が取り付けられている。連結チューブ14の他端は、真空ポンプやブロア等の負圧発生器13が取り付けられている。この負圧発生器13は、後述する内側フレーム31に取り付けられており、後述する電源28より電力が供給されるようになっている。
吸着部10によれば、負圧発生器13で吸引することにより、吸盤12を窓ガラスWに吸着させることができる。しかも、負圧発生器13は吸着部10の内部に取り付けられているので、外部の真空ポンプが必要なく、窓拭き装置1を自走式にすることができ、走行の制限を排除することができる。
また、吸着部10によれば、吸引力で窓ガラスWに吸着させているので、厚いガラスや2重ガラスの窓ガラスWであっても吸着させることができる。
なお、吸着部は、吸引力により窓ガラスWに吸着するものだけでなく、磁石を用いて磁力で窓ガラスWに吸着するようにしてもよい。この場合、一対の磁石もしくは磁石と鉄板などの磁性体との間で、窓ガラスWを挟むようにすればよい。また、前記磁石等の表面に保護膜を形成させておくと、窓ガラスWのガラス面が傷付かないので好適である。
つぎに、清掃ユニット20を説明する。
前記吸着部10の吸引ノズル11には、外枠フレーム21の上面中央部が旋回自在に取り付けられている。この外枠フレーム21は、上面部および四側面部からなり、四隅を有する形状のフレームである。外枠フレーム21の下端縁部には、拭取り部22が取り付けられている。
外枠フレーム21の上面には、円弧状の長孔21hが形成されており、この長孔21hにはチューブ14が通されている。この長孔21hは、走行部30が旋回したときに旋回しやすくするためのものである。
そこで、拭取り部22を説明する。
前記外枠フレーム21の上端部および下端部には、複数の回転軸23が垂直に配設され、その軸廻りに回転自在に取り付けられている。各回転軸23の先端には、スポンジやブラシなどの清掃具24が取り付けられている。回転軸23の基端にはプーリ25が取り付けられている。そして、隣接するプーリ25、25同士の間にはベルト26が巻き掛けられているので、一のベルト25を清掃用モータ27で走行させることにより、全ての清掃具23を一斉に旋回させることができる。このため、清掃具23によって、窓ガラスWのガラス面を清掃することができるのである。
なお、清掃具23を回転させるための伝達機構は、プーリとベルトの組み合わせだけでなく、ギヤの組み合わせであってもよく、種々の機構を採択しうる。
また、前記清掃具23は円形状に形成されており、千鳥格子状に配設されているので、前列の清掃具23、23間の隙間による拭き残しがあっても、後列の清掃具23によって拭き取ることができ、拭き残しを防止できるので好適である。
なお、拭取り部は上記構成に限らず、図7に示す拭取り部22Bであってもよい。この拭取り部22Bは、四隅を有する形状の外枠フレーム21の周端縁部に、スポンジやブラシ等の清掃具23が直接取り付けられたものである。この場合、簡単に製造することができる。
前記外側フレーム21には、例えば乾電池などの電源28が内蔵されている。この電源28により、前記清掃用モータ27や後述する走行用モータ32を駆動させることができる。この電源28は、前記清掃ユニット20の外側フレーム21において、走行部30の旋回中心より下部となる部分に取り付けられているが、その理由は後述する
つぎに、走行部30を説明する。
前記吸引ノズル11には、走行部30が旋回自在に取り付けられている。この走行部30は、内側フレーム31、走行用モータ32および車輪33から構成されたものである。
内側フレーム31は、上面および四側面を備えたフレームである。前記吸着部10の吸引ノズル11には、内側フレーム31の上面中央部が旋回自在に取り付けられている。
内側フレーム31の端縁部には、一対の走行用モータ32が取り付けられている。各走行用モータ32の駆動軸には、車輪33が取り付けられている。このため、車輪33を回転させることができる。
前記走行用モータ32は、ステッピングモータであり、所望の回転角度をもって車輪33を回転でき、正確な走行距離で正確に走行させることができる。よって、走行部30の垂直走行路を所望の走行距離だけ正確に横シフトさせることができ、窓ガラスWの拭き残しを防止することができる。
なお、走行用モータ32は、ステッピングモータだけでなく、通常のモータであってもよい。
一対の車輪33、33を正転させると、前進させることができ、一対の車輪33、33を逆転させると、後退させることができる。また、一方の車輪33を正転させ他方の車輪33を逆転させることにより、走行部30を左右に旋回させて横方向に向けさせることができる。
走行部30によれば、走行用モータ32を駆動させて車輪33を回転させることにより、窓ガラスWのガラス面を前進後退させたり、旋回して横方向に向けて移動させることができる。
走行部30の旋回時には、清掃ユニット20の電源28が錘となって、清掃ユニット20の下部が常に下方に向くので、清掃ユニット20が追随して旋回することを防止することができ、清掃ユニット20の姿勢を維持することができる。
前記車輪33は、ゴム製であり、その摩擦抵抗は高い。前記吸着部10における吸盤12は、その摩擦抵抗は低い。
走行部30における車輪33の摩擦抵抗に比べて、吸着部10における吸盤12の摩擦抵抗を小さくしているので、窓ガラスWに吸着した状態で、そのガラス面に沿ってスムーズに走行させることができる。
つぎに、検出部40を説明する。
前記外枠フレーム21の上下左右の各端面には、上部センサ41、下部センサ42、左部センサ43および右部センサ44が取り付けられている。各センサ41〜44は、例えばリミットスイッチであり、窓ガラスWの窓枠を検出することができる。
なお、各センサ41〜44は、接触式のリミットスイッチだけでなく、非接触式の近接スイッチや位置検出素子などであってもよい。
また、前記走行部30の適所には、例えばジャイロセンサや角速度検出センサ、傾斜検出センサ等のズレ検出センサ45が取り付けられている。このズレ検出センサ45によって、走行部30のズレ量を検出することができる。
つぎに、制御部50を説明する。
図8は制御部50のブロック図である。同図に示すように、検出部40の検出信号は、制御部50に送信されるようになっている。この制御回部50は、走行処理部51および走行方向補正処理部52を備えている。
走行処理部51は、センサ41〜44の窓枠検出信号を受信するようになっており、走行部30における一対の車輪33,33の回転を制御する処理部である。
図9は、走行処理部51のフローチャートである。同図に示すように、この走行処理部51は以下のように処理を行う。まず、スタートスイッチがONされると、走行部30を垂直方向上向きまたは下向きに走行させる(S1)。上部センサ41または下部センサ42により窓枠検知信号が検知されると(S2)、走行部30を横方向に旋回させて移動させる(S3)。そして、左部センサ43または右部センサ44により窓枠検知信号が検知されたかどうか判定される(S4)。当該窓枠検知信号が検知されたと判定されると処理終了となるが、この窓枠検知信号が検知されたと判定されなければ、走行部30を垂直方向に戻し、ステップ1の走行方向と垂直方向逆向きに走行させる(S5)。このため、走行部30の垂直走行路を横にシフトさせることができる。そして、前記(S2)〜(S5)が繰り返される。
この結果、清掃ユニット20により、窓ガラスWの全ガラス面を清掃することができる。
走行処理部51の横シフトの距離を、清掃ユニット20の幅より小さく設定することにより、垂直走行路間の間隔を短くでき、清掃ユニット20により窓ガラスWを拭いた清掃軌跡の端縁部分を重ねて拭くことができるから、窓ガラスWの拭き残しを防止することができ、窓ガラスWの全領域を清掃することができる。
前記走行方向補正処理部52は、前記ズレ検出センサ45で検出したズレ量を受信し、ズレ量が0に近づくようにフィードバック補正し、走行部30の走行方向を補正するような補正値を走行処理部51に送信する処理部である。
この走行方向補正処理部52によれば、走行部30の走行方向がズレると、ズレた分だけフィードバック補正されるので、走行部30を真っ直ぐに走行させることができる。
なお、本実施形態の窓拭き装置1は、自動で走行するようになっているが、リモコンによる遠隔操作で制御するようにしてもよい。
さらになお、本実施形態の窓拭き装置1は、家庭用のものであるが、業務用のものであってもよい。
つぎに、本実施形態の窓拭き装置1の使用手順を説明する。
図10は本実施形態の窓拭き装置1の使用手順説明フローチャートである。同図に示すように、まず、本実施形態の窓拭き装置1の電源スイッチを入れる。そして、真空ポンプを始動させてから、窓拭き装置1を窓ガラスWに吸着させる。走行用スイッチを入れると、窓拭き装置1によって窓ガラスWを拭くことができる。窓拭き装置1は窓ガラスWを上下方向に往復しながら、窓枠の上端および下端に到達する毎に、垂直走行路を横シフトしながら走行するので、窓ガラスWの全ガラス面を拭くことができる。窓拭き装置1が窓ガラスWの側端に到達すると、自動的に停止し、音や表示により窓拭き完了が知らされる。そこで、窓拭き装置1の電源スイッチを切ってから真空ポンプを停止し、窓ガラスWから窓拭き装置1を取り外せばよい。
なお、異常時や窓拭き完了の通知は、音や表示だけでなく、携帯電話やパソコンなどに送信するようにしてもよい。
本実施形態の窓拭き装置1によれば、以下(1)〜(9)の作用効果を奏する。
(1)吸着部10に、吸着用の負圧発生装置13が搭載されているので、外部の真空ポンプが必要なく、窓拭き装置1を自走式にすることができ、走行の制限を排除することができる。
(2)吸着部10に走行部30が旋回自在に取り付けられているので、清掃ユニット20の姿勢を変えずに、走行部30の走行方向を変えることができる。このため、清掃ユニット20の拭取り部22を、四隅を有する形状にすることにより、窓ガラスWの隅までキレイに清掃することができる。
(3)清掃ユニット20において、走行部30の旋回中心より下部となる部分に電源28が取り付けられているので、走行部30の旋回時に清掃ユニット20が追随して旋回することを防止することができ、清掃ユニット20の姿勢を維持することができる。
(4)走行処理部51によって、走行部30を垂直方向に往復走行させながら、上部センサ41および下部センサ42により窓枠上端および窓枠下端を検出する毎に、走行部30の垂直走行路を横シフトさせることができるので、窓ガラスWをキレイに清掃することができる。しかも、安価なセンサと簡単な制御方式により制御できるから、安価に製造できる。
(5)走行処理部51の横シフトの距離が清掃ユニット20の幅より小さいので、垂直走行路間の間隔を短くでき、清掃ユニット20により窓ガラスWを拭いた清掃軌跡の端縁部分を重ねて拭くことができるから、窓ガラスWの拭き残しを防止することができ、窓ガラスWの全領域を清掃することができる。
(6)車輪33の摩擦抵抗に比べて、吸盤12の摩擦抵抗を小さくしているので、窓ガラスWに吸着した状態で落下させることなく、車輪33により窓ガラスWのガラス面上をスムーズに走行させることができる。
(7)車輪の駆動用走行用モータ32がステッピングモータであるから、所望の回転角度をもって車輪33を回転でき、正確な走行距離で正確に走行させることができる。よって、走行部30の垂直走行路を所望の走行距離だけ正確に横シフトさせることができ、窓ガラスWの拭き残しを防止することができる。
(8)走行方向補正処理部52によって、ズレ検出センサ45で検出されたズレ量が0に近づくように、走行方向をフィードバック補正させることにより、所望の方向に真っ直ぐに走行させることができる。
(9)清掃ユニット20を吸着部10から取り外すことができるので、清掃ユニット20のメンテナンスを簡単に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
第1発明によれば、吸着部に、吸着用の負圧発生装置が搭載されているので、外部の真空ポンプが必要なく、窓拭き装置を自走式にすることができ、走行の制限を排除することができる。
第2発明によれば、吸着部に走行部が旋回自在に取り付けられているので、清掃ユニットの姿勢を変えずに、走行部の走行方向を変えることができる。このため、清掃ユニットの拭取り部を、四隅を有する形状にすることにより、窓ガラスの隅までキレイに清掃することができる。
第3発明によれば、清掃ユニットにおいて、走行部の旋回中心より下部となる部分に電源が取り付けられているので、走行部の旋回時に清掃ユニットが追随して旋回することを防止することができ、清掃ユニットの姿勢を維持することができる。
第4発明によれば、走行処理部によって、走行部を垂直方向に往復走行させながら、上部センサおよび下部センサにより窓枠上端および窓枠下端を検出する毎に、走行部の垂直走行路を横シフトさせることができるので、窓ガラスをキレイに清掃することができる。しかも、安価なセンサと簡単な制御方式により制御できるから、安価に製造できる。
第5発明によれば、走行処理部の横シフトの距離が清掃ユニットの幅より小さいので、垂直走行路間の間隔を短くでき、清掃ユニットにより窓ガラスを拭いた清掃軌跡の端縁部分を重ねて拭くことができるから、窓ガラスの拭き残しを防止することができ、窓ガラスの全領域を清掃することができる。
第6発明によれば、車輪の摩擦抵抗に比べて、吸盤の摩擦抵抗を小さくしているので、窓ガラスに吸盤を吸着させた状態で落下させることなく、車輪により窓ガラスのガラス面上をスムーズに走行させることができる。
第7発明によれば、車輪の駆動用モータがステッピングモータであるから、所望の回転角度をもって車輪を回転でき、正確な走行距離で走行させることができる。よって、走行部の垂直走行路を所望の走行距離だけ正確に横シフトさせることができ、窓ガラスの拭き残しを防止することができる。
第8発明によれば、走行方向補正処理部によって、ズレ検出センサで検出されたズレ量が0に近づくように、走行方向をフィードバック補正させることにより、所望の方向に真っ直ぐに走行させることができる。このため、窓ガラスの拭き残しを防止することができる。
第9発明によれば、清掃ユニットを吸着部から取り外すことができるので、清掃ユニットのメンテナンスを簡単に行うことができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓ガラスに吸着する吸着部と、該吸着部に取り付けられ、窓ガラスを清掃する清掃ユニットと、前記吸着部に取り付けられた走行部とからなり、前記吸着部に、吸着用の負圧発生装置が搭載されたことを特徴とする窓拭き装置。
【請求項2】
窓ガラスに吸着する吸着部と、該吸着部に取り付けられ、窓ガラスを清掃する清掃ユニットと、前記吸着部に取り付けられた走行部とからなり、前記吸着部に、前記走行部が旋回自在に取り付けられていることを特徴とする窓拭き装置。
【請求項3】
窓ガラスに吸着した状態における前記清掃ユニットにおいて、前記走行部の旋回中心より下部となる部分に、電源が取り付けられたことを特徴とする請求項2記載の窓拭き装置。
【請求項4】
窓ガラスに吸着した状態において、前記清掃ユニットの上端および下端となる部分にそれぞれ取り付けられ、窓枠を検出する一対の上部センサおよび下部センサと、該上部センサおよび下部センサにより窓枠検出信号が送信される制御部とからなり、該制御部が、前記走行部を垂直方向に往復走行させながら、前記上部センサおよび下部センサから送信された窓枠検出信号を検知する毎に、走行部の垂直走行路を横シフトさせる走行処理部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の窓拭き装置。
【請求項5】
前記横シフトの距離が、清掃ユニットの幅より小さいことを特徴とする請求項4記載の窓拭き装置。
【請求項6】
前記吸着部が吸盤を備え、前記走行部が車輪を備えており、窓ガラスに対する前記吸盤の摩擦抵抗を、窓ガラスに対する前記車輪の摩擦抵抗に比べて小さくしたことを特徴とする請求項1または2記載の窓拭き装置。
【請求項7】
前記走行部が車輪を備えており、該車輪の駆動用モータが、ステッピングモータであることを特徴とする請求項1または2記載の窓拭き装置。
【請求項8】
前記走行部に、ズレ検出センサが設けられ、前記制御部が、前記ズレ検出センサで検出したズレ量が0に近づくように、走行方向をフィードバック補正する走行方向補正処理部を備えたことを特徴とする請求項4記載の窓拭き装置。
【請求項9】
前記清掃ユニットが、前記吸着部に着脱自在に取り付けられたことを特徴とする請求項1または2記載の窓拭き装置。

【国際公開番号】WO2004/028324
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【発行日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−539432(P2004−539432)
【国際出願番号】PCT/JP2002/009806
【国際出願日】平成14年9月24日(2002.9.24)
【出願人】(505046570)
【出願人】(305039563)
【Fターム(参考)】