説明

窓用断熱シート

【課題】窓ガラス越しの人の動きやシルエットをさらに見えにくくした窓用断熱シートを提供する。
【解決手段】着色シート2と断熱シート4の間に所定の発泡率で発泡された発泡シート3を設けて、入射してくる光を乱反射させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室などの窓に貼り付けて使用される窓用断熱シートに関し、さらに詳しく言えば、窓ガラス越しに浴室内の人の動きやシルエットを見えにくくする窓用断熱シートに関する。
【背景技術】
【0002】
冬場に暖房の効いた暖かい部屋から浴室や脱衣所などの冷えた部屋に移ると、ヒートショック(血圧が急変動したり、脈拍が早くなったりする現象)によって心筋梗塞や脳出血,脳梗塞などでの突然死(溺死や病死)が増えている。
【0003】
そこで、ヒートショックを防ぐ方法の1つとして、例えば特許文献1に示すように、室内の熱が窓から外に逃げないようにするための断熱シートが提供されている。この断熱シートは、内部に断熱層が形成された合成樹脂シートからなり、この断熱シートを窓ガラスに沿って貼り付けることにより、熱が窓から外に逃げにくくしている。
【0004】
また、夜間の入浴は、浴室内が明るく、外は暗いために、図2(a)に示すように、浴室内の人の動きやシルエットがガラス越しにハッキリと見えるため、防犯上あまり好ましいとは言えない。そこで、特許文献2に示すような目隠しシートが提供されている。
【0005】
この目隠しシートは、紙や着色フィルムからなるシート体を窓ガラスに貼り付けることにより、図2(b)に示すように、人の動きやシルエットがぼやけて見えにくくなるようにしている。また、上述した断熱シートの一部にも、フィルムに顔料を入れて、目隠し性を持たせたものもある。
【0006】
しかしながら、この断熱シートや目隠しシートには次のような問題があった。すなわち、従来の断熱シートや目隠しシートは、単にフィルムを乳白色系の顔料で着色しただけであるため、図2(b)に示すように、シルエットの輪郭がまだハッキリしているため、性別や動きなどが判別されやすかった。
【0007】
【特許文献1】実公平4−3790号公報
【特許文献2】特開平11−280358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は上述した課題を解決するため、窓ガラス越しの人の動きやシルエットをさらに見えにくくした窓用断熱シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は以下に示すいくつかの特徴を備えている。請求項1に記載の発明は、所定の透光率になるように着色された着色シートと、内部に中空な断熱層を有する断熱シートとを積層してなる窓用断熱シートにおいて、上記着色シートと上記断熱シートの間には、所定の発泡率で発泡された発泡シートが設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1において、上記発泡シートの厚みが0.5〜10mmであることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、上記請求項1または2において、上記発泡シートの発泡倍率が10〜40倍であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、着色シートと断熱シートとの間に発泡シートを設けたことにより、発泡シートの発泡層によって、入射してきた光が乱反射されるため、シルエットを完全にぼかすことができる。また、発泡層によって、より断熱性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の一実施形態に係る窓用断熱シートの要部断面図である。図1に示すように、この窓用断熱シート1は、上から順に着色シート2,発泡シート3および断熱シート4の3つシートを積層したものからなる。
【0014】
着色シート2は、PE(ポリエチレン)などの合成樹脂に所定の顔料、この例では乳白色系顔料(この例では酸化チタン)が10%配合された厚さ30μmのシート体からなる。着色シート2は、浴室側(反窓ガラス側)に向けられるため、水による影響を考慮して、防かび材が配合されていることが好ましい。
【0015】
この例において、着色シート2は、乳白色系の顔料が配合されているが、顔料の種類は仕様に応じて任意に変更可能である。また、顔料を配合せずに透明なシートであってもよい。さらには、紫外線吸収剤などをさらに添加してもよい。着色シート2の厚さは仕様に応じて任意に変更可能である。
【0016】
発泡シート3は、ポリエチレンなどの合成樹脂シートを所定の発泡率で発泡した連続気泡シートである。発泡シート3は、厚さが0.5〜10mmであり、かつ、発泡倍率10〜30倍であることが好ましく、ヘイズ値(にごり値)が80以上であることが好ましい。この例において、発泡シート2は、厚さが1.0mmのポリエチレン発泡シートで全光線透過率が30.5%,ヘイズ値が98.5のものが用いられている。
【0017】
これによれば、発泡シート2に入射してきた光が気泡に当たって乱反射されることにより、図2(c)に示すように、窓から写るシルエットを完全にぼやかすことができる。さらには、発泡シート3によってさらに断熱性を高めることができる。
【0018】
この発泡シート3は、着色シート2に対して熱融着により貼り合わせられていが、接着材などを用いて貼り合わせてもよい。貼り合わせの方法は仕様に応じて任意に選択可能である。
【0019】
再び図1を参照して、断熱シート4はPE(ポリエチレン)などの合成樹脂からなり、所定の空隙を持って対向配置された一対の樹脂シート41,42と、樹脂シート41,42の間の空間を所定間隔で区切って断熱室44を形成する仕切壁43とを備えている。
【0020】
この例において、断熱シート4は、梱包材などに用いられるエアキャップシートが用いられているが、断熱性を有する構造のシートであればこれ以外のものであってもよい。断熱シート4と発泡シート3との貼り合わせも、上述したような熱融着もしくは接着材が用いられる。
【0021】
樹脂シート41,42にはさらに、ポリオレフィン系樹脂を有する物質が配合されていることが好ましい。すなわち、ポリオレフィン系樹脂を配合することにより、樹脂シート41,42の親水性がよくなり、断熱シート4の表面に水を塗って窓ガラスに貼り付ける、いわゆる水貼りが可能となる。
【0022】
この例において、窓用断熱シート1は、凹凸加工が施されたガラス面への追従性をよくするため、断熱シート4側を窓側に向けて貼り付けるようにしているが、着色シート2側を窓に貼り付けてもよい。
【産業上の利用の可能性】
【0023】
この例において、窓用断熱シートは、人の動きやシルエットが特に気になる浴室に適用する場合について例示したが、本発明の窓用断熱シートは、居間や台所などの居室に適用してもよい。さらには、更衣室や屋内プールなどの構造物に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る窓用断熱シートの要部断面図。
【図2】(a)〜(c)本発明の窓用断熱シートを使用した状態のシルエットを従来と比較した模式図。
【符号の説明】
【0025】
1 窓用断熱シート
2 着色シート
3 発泡シート
4 断熱シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の透光率になるように着色された着色シートと、内部に中空な断熱層を有する断熱シートとを積層してなる窓用断熱シートにおいて、
上記着色シートと上記断熱シートの間には、所定の発泡率で発泡された発泡シートが設けられていることを特徴とする窓用断熱シート。
【請求項2】
上記発泡シートの厚みが0.5〜10mmであることを特徴とする請求項1に記載の窓用断熱シート。
【請求項3】
上記発泡シートの発泡倍率が、10〜40倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の窓用断熱シート。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−38558(P2008−38558A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−217923(P2006−217923)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(390003562)株式会社ニトムズ (64)
【Fターム(参考)】