説明

窯業系建材の積載構造

【課題】表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有する窯業系建材であっても、表面に微小な亀裂、破損、光沢などを発生させることがない積載構造を提供する。
【解決手段】表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有する窯業系建材の積載構造であって、パレットの上には、中空構造であるスペーサーが配されており、該スペーサーの上には、複数枚の該窯業系建材が積載されている。そして、窯業系建材の表面には、合紙が配されている。なお、スペーサーは、合成樹脂からなり、圧縮強度の平均が2000N以上であることが好ましい。また、窯業系建材は、2枚以上が、1つの梱包体として、結束材により結束された状態でスペーサーの上に積載されていることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅の外壁や内壁等に用いられる窯業系建材の積載構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から窯業系建材は、住宅の壁材や屋根材等の住宅用部材として広く使用されている。これらの窯業系建材は、複数枚をパレットに積載し、保管、運搬される。
【0003】
窯業系建材を積載するパレットとしては、図19に示すように、複数個の横桟10を所定間隔をおいて配列し、該横桟10の上下面に複数個の縦板材11を釘等で固定した構成のものが使用されている。パレットには、横桟10と縦板材11により形成された、フォークリフトの爪を差し込む差込口12が設けられており、差込口12にフォークリフトの爪を差し込むことにより、窯業系建材はパレットに積載された状態でフォークリフトにより移動されている。
【0004】
窯業系建材の代表例として、幅が455mm、長さが1500〜3030mm、厚さが9〜25mmと長方形状の窯業系サイディングがある。
【0005】
従来の窯業系サイディングの積載構造の一例を図10に示す。
図10では、窯業系サイディング1は表面側を上にしてパレットB上に2列で積載される。なお、最上段の窯業系サイディング1の表面を保護するために、最上段の窯業系サイディング1は、表面を下側にして積載されることも行われている。
【0006】
また、在庫する際や施工現場に運搬するまでの破損や汚れを防ぐためや、仕分け作業を容易に行えるようにするために梱包が施されることが多い。その場合には、2〜3枚の窯業系サイディングを1つの梱包体とすることが多い。なお、窯業系サイディングは表面を保護するために、裏面側が外側となるよう梱包する。例えば、2枚の窯業系サイディングを梱包する場合には、互いの表面を向かい合わせて梱包する。3枚の窯業系サイディングを梱包する場合には、まずは2枚の窯業系サイディングを互いの表面を向かい合わせとし、更にその上に別の窯業系サイディングを1枚、表面を下側にして積載して梱包するか、表面を上側とした1枚の窯業系サイディングの上に、互いの表面を向かい合わせとした2枚の窯業系サイディングを積載して梱包する。そうすることにより、窯業系サイディングの表面が露出しない為、表面は保護される。また、窯業系サイディングの表面を保護するために、窯業系サイディングの間に合紙を用いることも行われている。
このように梱包された複数の梱包体は、パレットの上に積載される。
【0007】
従来の梱包体の一例を図11に示す。図11に示すとおり、梱包体A51は合紙2を挟んで積み重ねた2枚の窯業系サイディング1が1枚のシュリンクフィルム6により全体を覆われている。
図11に示す梱包体を用いた、別の従来の積載構造を図12に示す。図12に示すとおり、梱包体A51はパレットB上に2列で積載される。
【0008】
別の従来の梱包体を図13に示す(特許文献1を参照)。
図13に示すとおり、梱包体A61は、積み重ねた2枚の窯業系サイディング1の長手方向の両側に紙製の緩衝材5,5が取り付けられており、短手方向の両側には紙製キャップ7,7が嵌め込まれ、更に、複数本のポリプロピレン製バンド3で結束されている。
図13に示す梱包体を用いた、更に別の従来の積載構造を図14に示す(特許文献1を参照)。図14に示すとおり、梱包体A61はパレットB上に2列で積載され、梱包体A61を結束しているポリプロピレン製バンド3の配置位置は、図13に示した状態でもって、全ての梱包体A61で同じである。
【0009】
更に別の従来の梱包体を図15に示す(特許文献1を参照)。図15に示すとおり、梱包体A71は、積み重ねた2枚の窯業系サイディング1の両端部にシュリンクフィルム6,6を被覆し、シュリンクフィルム6を加熱収縮して両端部を結束する。更に、シュリンクフィルム6の上面にホットメルト8による滑り止め加工が施されている。
図15に示す梱包体を用いた、更に別の従来の積載構造を図16に示す(特許文献1を参照)。図16に示すとおり、梱包体A71は、パレットB上に2列で積載される。
【0010】
更に別の従来の梱包体を図17に示す(非特許文献1を参照)。梱包体A81,A82は、図17に示すとおり、積み重ねた2枚の窯業系サイディング1がポリプロピレン製バンド3で結束された梱包体であり、ポリプロピレン製バンド3の数は、一例として4本である。梱包体A81,A82ともに、パレットBに積載した際に、ポリプロピレン製バンド3がパレットの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪が差し込まれる差込口12の直上位置とならないよう配置されているが、梱包体A81と梱包体A82のポリプロピレン製バンド3の配置位置は異なり、梱包体A81の上に梱包体A82を積載しても互いのポリプロピレン製バンド3が重ならない配置位置である。
図17に示す梱包体を用いた、更に別の従来の積載構造を図18に示す(非特許文献1を参照)。図18に示す積載構造では、複数の梱包体A81,A82がパレットBに2列で積載されているが、梱包体A81と梱包体A82を上下方向に交互で積載することにより、ポリプロピレン製バンド3の結束位置が、直上、及び、直下の梱包体を結束しているポリプロピレン製バンド3の位置と同じ位置になく、かつ、パレットBの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪が差し込まれる差込口12の直上位置にない積載構造である。
【0011】
しかし、近年、意匠に関する関心が高く、窯業系建材の表面に、塗膜及び/又は凹凸模様を設けて意匠性を向上させることが行われている。そのため、図10、図12、図14、図16に示した従来の積載構造では、表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有する窯業系建材であると、特に下段に積載した窯業系建材の表面の一部に微小な亀裂や破損、光沢などが生ずるという問題が発生している。図18に示した積載構造では、微小な亀裂、破損、光沢などの発生を低減させることができるが、完全に抑えることはできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2005−231713号公報
【非特許文献1】実用新案登録第3130459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有する窯業系建材であっても、表面に微小な亀裂、破損、光沢などを発生させることがない積載構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、複数枚の窯業系建材をパレット上に積載した窯業系建材の積載構造である。窯業系建材は、表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有する。そして、積載された窯業系建材の表面には、合紙が配されている。更に、パレットの上には、中空構造であるスペーサーが配されており、該スペーサーの上に複数枚の窯業系建材が積載されている。合紙としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどの合成樹脂フィルムや、発泡ポリスチレンシートなどの合成樹脂シートや、紙、段ボールなどがある。スペーサーとしては、軟質繊維板や、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミドなどの合成樹脂からなり、内部を貫通した開口を有する板状材や、合成樹脂の発泡体などのクッション材があり、いずれも中空構造を有する。
本発明によれば、窯業系建材の表面には合紙が配されており、更に中空構造であるスペーサーを介してパレットの上に積載されているので、該窯業系建材の一部に荷重が集中することを防ぐことができる。それにより、該窯業系建材の表面に微小な亀裂、破損、光沢などが発生することを防ぐことができる。
【0015】
更に、本発明においては、スペーサーは、ウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリアミドなどの合成樹脂からなることが好ましい。合成樹脂からなる中空構造のスペーサーであると、高強度であるとともに劣化しにくいので、長期に渡り窯業系建材の表面に微小な亀裂、破損、光沢などが発生することを防ぐことができる。また、スペーサーを繰り返し利用することができる。
【0016】
更に、本発明においては、スペーサーは、圧縮強度の平均が2000N以上であることが好ましい。なお、圧縮強度は、長さ5cm角にしたスペーサーを、測定速度10m/sで、圧縮強度測定機で測定することにより求めることができる。スペーサーの圧縮強度が平均2000N以上であると、高強度であるので、長期に渡り窯業系建材の表面に微小な亀裂、破損、光沢などが発生することを防ぐことができる。また、窯業系建材を積載したパレットは複数積み重ねられることが多いが、そのような場合でも、窯業系建材の表面に微小な亀裂、破損、光沢などが発生することを防ぐことができる。圧縮強度が平均2000Nより小さいと、窯業系建材の材質や柄によっては、窯業系建材の表面に微小な亀裂、破損、光沢などが発生することを十分に防ぐことができない。
【0017】
更に、本発明においては、スペーサーは、内部を貫通した開口を有し、該開口がパレットの縦板材と平行になるよう積載されていることが好ましい。内部を貫通した開口を有することで、該窯業系建材にかかる荷重を軽減することができる。また、該開口がパレットの縦板材と平行になるよう積載されていることで、運搬の際にパレットを持ち上げてもスペーサーは破損しにくい。
【0018】
更に、本発明においては、窯業系建材は、表面に、深さが3mm以上で、傾斜角が45度以上の凹凸模様と、該凹凸模様を被覆する塗膜を有していても、表面に微小な亀裂、破損、光沢などを発生させることを防ぐことができる。
【0019】
更に、本発明においては、破損、汚れを防ぐためや、仕分け作業を容易に行えるようにするために、窯業系建材は、2枚以上が、1つの梱包体として、結束材により結束された状態でスペーサーの上に積載されていることができる。結束材としては、ポリプロピレン製バンドやポリエチレン製バンドなどの樹脂バンドや、ストレッチフィルムやシュリンクフィルムなどの樹脂フィルムや、紙製バンドや布製バンドなどが使用できる。結束材により結束した場合には、積載された上下の各梱包体における結束材の位置は、互いに異なっている、スペーサーの直上に積載された梱包体の結束材の位置は、パレットの横桟の上ではない、スペーサーの直上に積載された梱包体の結束材の位置は、フォークリフトの爪の差込口の上ではないの少なくともいずれかであると、結束材の結束位置に加重が集中することを防ぐことができ、より窯業系建材の表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有する窯業系建材であっても、表面に微小な亀裂、破損、光沢などを発生させることがない積載構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の一実施例を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の一実施例を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の他の実施例を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の他の実施例を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図8】図8は、図7に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図9】図9は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図10】図10は、窯業系建材の従来の積載構造の一例を示す斜視図である。
【図11】図11は、窯業系建材の従来の積載構造を構成する梱包体の一例を示す斜視図である。
【図12】図12は、図11に示す梱包体を用いた、窯業系建材の従来の積載構造の他の例を示す斜視図である。
【図13】図13は、窯業系建材の従来の積載構造を構成する梱包体の他の例を示す斜視図である。
【図14】図14は、図13に示す梱包体を用いた、窯業系建材の従来の積載構造の更に他の例を示す斜視図である。
【図15】図15は、窯業系建材の従来の積載構造を構成する梱包体の更に他の例を示す斜視図である。
【図16】図16は、図15に示す梱包体を用いた、窯業系建材の従来の積載構造の更に他の例を示す斜視図である。
【図17】図17は、窯業系建材の従来の積載構造を構成する梱包体の更に他の例を示す斜視図である。
【図18】図18は、図17に示す梱包体を用いた、窯業系建材の従来の積載構造の更に他の例を示す斜視図である。
【図19】図19は、窯業系建材を積載するパレットの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図9に従って具体的に説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の一実施例を示す斜視図であり、図2は、図1に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の一実施例を示す斜視図である。
梱包体A11,A12は、図1に示すとおり、2枚の窯業系サイディング1aがポリプロピレン製バンド3で結束された梱包体であり、ポリプロピレン製バンド3の数は、一例として4本である。なお、窯業系サイディング1aは、表面に、深さが最大で4.5mmで、傾斜角が最大60度の凹凸模様を有するとともに、該凹凸模様にはアクリル樹脂により塗膜が形成されている。また、2枚の窯業系サイディング1aは、互いに表面を向かい合わせ、裏面が外側となるようにしている。更に、2枚の窯業系サイディング1aの間には、ポリエチレン製合紙2が挟まれている。更に、梱包体A11,A12ともに、パレットBに積載した際に、ポリプロピレン製バンド3がパレットの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置とならないよう配置されているが、梱包体A11と梱包体A12のポリプロピレン製バンド3の配置位置は異なり、梱包体A11の上に梱包体A12を積載しても互いのポリプロピレン製バンド3が重ならない配置位置である。
図2に示す積載構造では、パレットBの上にポリプロピレン製スペーサーD1が配されており、更にその上には複数の梱包体A11,A12が2列に積載されている。なお、ポリプロピレン製スペーサーD1は内部を貫通した開口を有する板状材であり、表面は、梱包体を2列に積載できる大きさであり、圧縮強度の平均は2461Nである。そして、ポリプロピレン製スペーサーD1は、開口がパレットBの縦板材と平行になるように配されている。更に、梱包体A11と梱包体A12は上下方向に交互で積載されており、梱包体A11と梱包体A12のポリプロピレン製バンド3の結束位置は、直上、及び、直下の梱包体を結束しているポリプロピレン製バンド3の位置と同じ位置になく、かつ、パレットBの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置にない積載構造となる。
そのため、図2に示す積載構造によれば、窯業系サイディング1aの表面にはポリエチレン製合紙2が配されており、更に中空構造であるポリプロピレン製スペーサーD1を介してパレットBの上に積載されているので、窯業系サイディング1aの一部に荷重が集中することを防ぐことができ、窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
更に、窯業系サイディング1aを結束しているポリプロピレン製バンド3の位置は、直上、及び、直下のポリプロピレン製バンド3の位置と同じ位置になく、かつ、パレットBの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置にないので、ポリプロピレン製バンド3の結束位置に加重が集中することを防ぐことができ、より窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
【0024】
図3は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の他の実施例を示す斜視図であり、図4は、図3に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の他の実施例を示す斜視図である。
梱包体A21,A22は、図3に示すとおり、積み重ねた2枚の窯業系サイディング1aがストレッチフィルム4で結束された梱包体であり、ストレッチフィルム4の数は、一例として4本である。なお、窯業系サイディング1aは図1と同じものである。また、2枚の窯業系サイディング1aは、互いに表面を向かい合わせ、裏面が外側となるようにしている。更に、2枚の窯業系サイディング1aの間には、ポリエチレン製合紙2が挟まれている。更に、梱包体A21と梱包体A22のストレッチフィルム4の配置位置は異なり、梱包体A21の上に梱包体A22を積載しても互いのストレッチフィルム4が重ならない配置位置である。
図4に示す積載構造では、パレットBの上にポリプロピレン製スペーサーD1が配されており、更にその上には複数の梱包体A21,A22が2列に積載されている。なお、ポリプロピレン製スペーサーD1は図2と同じものであり、開口がパレットBの縦板材と平行になるように配されている。また、梱包体A21と梱包体A22は上下方向に交互で積載されており、梱包体A21と梱包体A22のストレッチフィルム4の結束位置は、直上、及び、直下の梱包体を結束しているストレッチフィルム4の位置と同じ位置にない積載構造となる。
そのため、図4に示す積載構造によれば、窯業系サイディング1aの表面にはポリエチレン製合紙2が配されており、更に中空構造であるポリプロピレン製スペーサーD1を介してパレットBの上に積載されているので、窯業系サイディング1の一部に荷重が集中することを防ぐことができ、窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
更に、窯業系サイディング1aを結束しているストレッチフィルム4の結束位置は、直上、及び、直下のストレッチフィルム4の位置と同じ位置にない積載構造となり、ストレッチフィルム4の結束位置に加重が集中することを防ぐことができ、より窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
【0025】
図5は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の他の実施例を示す斜視図であり、図6は、図5に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の他の実施例を示す斜視図である。
梱包体A31,A32は、積み重ねた2枚の窯業系サイディング1aがストレッチフィルム4により結束され、パレットBに2列で積載されている点では図3に示す梱包体と同様であるが、ストレッチフィルム4の結束構造が図3に示す積載構造と異なる。具体的には、図5に示すとおり、梱包体A31,A32は、積み重ねた2枚の窯業系サイディング1aがストレッチフィルム4を螺旋状に巻いて結束された梱包体である。なお、梱包体A31と梱包体A32のストレッチフィルム4の配置位置は異なり、梱包体A31の上に梱包体A32を積載しても互いのストレッチフィルム4が重ならない配置位置である。
図6に示す積載構造では、パレットBの上に発泡ウレタン製スペーサーD2が配されており、更にその上には複数の梱包体A31,A32が2列に積載されている。なお、発泡ウレタン製スペーサーD2は板状材であり、表面は、梱包体を2列に積載できる大きさである。また、梱包体A31と梱包体A32は上下方向に交互で積載されており、梱包体A31と梱包体A32のストレッチフィルム4の結束位置は、直上、及び、直下の梱包体を結束しているストレッチフィルム4の位置と同じ位置にない積載構造となる。
そのため、図6に示す積載構造によれば、窯業系サイディング1aの表面にはポリエチレン製合紙2が配されており、更に中空構造である発泡ウレタン製スペーサーD2を介してパレットBの上に積載されているので、窯業系サイディング1aの一部に荷重が集中することを防ぐことができ、窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
更に、窯業系サイディング1aを結束しているストレッチフィルム4の結束位置は、直上、及び、直下のストレッチフィルム4の位置と同じ位置にない積載構造となり、ストレッチフィルム4の結束位置に加重が集中することを防ぐことができ、より窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
【0026】
図7は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造を構成する梱包体の他の実施例を示す斜視図であり、図8は、図7に示す梱包体を用いた、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の他の実施例を示す斜視図である。
梱包体A41は、図7に示すとおり、積み重ねた2枚の窯業系サイディング1aの両端が、表面が粘着性のストレッチフィルム4aで結束されており、それ以外の箇所は、表面が非粘着性のストレッチフィルム4bで結束された梱包体であり、梱包体A41を結束するストレッチフィルムの数は、一例として4本である。なお、窯業系サイディング1aは図1と同じものであり、2枚の窯業系サイディング1aは、互いに表面を向かい合わせ、裏面が外側となるようにしている。また、2枚の窯業系サイディング1aの間には、ポリエチレン製合紙2を挟んでいる。更に、梱包体A41は、パレットBに積載した際に、ストレッチフィルム4a,4bがパレットの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置とならないよう配置されている。なお、梱包体A41のストレッチフィルム4aとストレッチフィルム4bの配置位置は全ての梱包体で同じであり、梱包体A41の上に別の梱包体A41を積載すると互いのストレッチフィルム4a,4bが重なる配置位置である。
図8に示す積載構造では、パレットBの上に2つのポリプロピレン製スペーサーD3が配されており、更にその上には複数の梱包体A41が2列に積載されている。なお、ポリプロピレン製スペーサーD3は内部を貫通した開口を有する板状材であり、圧縮強度の平均は3106Nである。そして、2つのポリプロピレン製スペーサーD3は、開口がパレットBの縦板材と平行になるように配されている。また、梱包体A41を結束するストレッチフィルム4a,4bは、パレットBの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置にない積載構造となる。
そのため、図8に示す積載構造によれば、窯業系サイディング1aの表面にはポリエチレン製合紙2が配されており、更に中空構造であるポリプロピレン製スペーサーD3を介してパレットBの上に積載されているので、窯業系サイディング1aの一部に荷重が集中することを防ぐことができ、窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
更に、窯業系サイディング1aを結束しているストレッチフィルム4a,4bの結束位置は、パレットBの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置にない積載構造となり、ストレッチフィルム4の結束位置に加重が集中することを防ぐことができ、より窯業系サイディング1aの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。また、粘着性のストレッチフィルム4aが配されているので、梱包体A41は滑りにくく、荷崩れが起きにくい。
【0027】
図9は、本発明にかかる窯業系建材の積載構造の更に他の実施例を示す斜視図である。
図9に示す積載構造では、パレットBの上にポリプロピレン製スペーサーD1が配されており、更にその上には複数の窯業系サイディング1bが2列に積載されている。なお、ポリプロピレン製スペーサーD1は図1と同じものであり、開口がパレットBの縦板材と平行になるように配されている。窯業系サイディング1bは、窯業系サイディング1aと同じようにアクリル樹脂により表面に塗膜が形成されているが、表面は平滑であり、凹凸模様を有さない。最上段の窯業系サイディング1bは、表面を下側にして積載されているが、他の窯業系サイディング1bは全て表面を上側にして積載されており、窯業系サイディング1bの間には、ポリエチレン製合紙2が挟まれている。更に、パレットBと、ポリプロピレン製スペーサーD1と、窯業系サイディング1bは、ポリプロピレン製バンド3により結束されているが、ポリプロピレン製バンド3の数は、一例として3本であり、ポリプロピレン製バンド3の結束位置は、パレットBの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置にない。
そのため、図9に示す積載構造によれば、窯業系サイディング1bの表面にはポリエチレン製合紙2が配されており、更に中空構造であるポリプロピレン製スペーサーD1を介してパレットBの上に積載されているので、窯業系サイディング1bの一部に荷重が集中することを防ぐことができ、窯業系サイディング1bの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
更に、パレットBと、ポリプロピレン製スペーサーD1と、窯業系サイディング1bを結束しているポリプロピレン製バンド3の結束位置は、パレットBの横桟10の上、及び、フォークリフトの爪Cが差し込まれる差込口12の直上位置にない積載構造なので、ポリプロピレン製バンド3の結束位置に加重が集中することを防ぐことができ、より窯業系サイディング1bの表面への望まない光沢や微小な亀裂の発生が抑えられる。
【0028】
以上に本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載の発明の範囲において種々の変形態を取り得る。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上説明したように、本発明によれば、表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有する窯業系建材であっても、表面に微小な亀裂、破損、光沢などを発生させることがない積載構造を提供することができる。
【符号の説明】
【0030】
A11〜A82 梱包体
B パレット
C フォークリフトの爪
D1〜D3 スペーサー
1,1a,1b 窯業系サイディング
2 合紙
3 ポリプロピレン製バンド
4 ストレッチフィルム
5 緩衝材
6 シュリンクフィルム
7 紙製キャップ
8 ホットメルト
10 横桟
11 縦板材
12 差込口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の窯業系建材をパレット上に積載した窯業系建材の積載構造であって、
窯業系建材は、表面に塗膜及び/又は凹凸模様を有し、
積載された窯業系建材の表面には、合紙が配されており、
パレットの上には、中空構造であるスペーサーが配されており、該スペーサーの上に複数枚の窯業系建材が積載されている
ことを特徴とする窯業系建材の積載構造。
【請求項2】
前記スペーサーは、合成樹脂からなる
ことを特徴とする請求項1に記載の窯業系建材の積載構造。
【請求項3】
前記スペーサーは、圧縮強度の平均が2000N以上である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の窯業系建材の積載構造。
【請求項4】
前記スペーサーは、内部を貫通した開口を有し、該開口が前記パレットの縦板材と平行になるよう積載されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の窯業系建材の積載構造。
【請求項5】
前記窯業系建材は、表面に深さが3mm以上で、傾斜角が45度以上の凹凸模様と、該凹凸模様を被覆する塗膜を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の窯業系建材の積載構造。
【請求項6】
前記窯業系建材は、2枚以上が、1つの梱包体として、結束材により結束された状態で前記スペーサーの上に積載されており、
積載された上下の各梱包体における結束材の位置は、互いに異なっている
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の窯業系建材の積載構造。
【請求項7】
前記窯業系建材は、2枚以上が、1つの梱包体として、結束材により結束された状態で前記スペーサーの上に積載されており、
前記スペーサーの直上に積載された梱包体の結束材の位置は、前記パレットの横桟の上ではない
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の窯業系建材の積載構造。
【請求項8】
前記窯業系建材は、2枚以上が、1つの梱包体として、結束材により結束された状態で前記スペーサーの上に積載されており、
前記スペーサーの直上に積載された梱包体の結束材の位置は、フォークリフトの爪の差込口の上ではない
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の窯業系建材の積載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−25989(P2011−25989A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176464(P2009−176464)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000110860)ニチハ株式会社 (182)
【Fターム(参考)】