立位体位保持器具
【課題】多様な用途への適応性があると共に、使用者による各種機器等の快適な操作性の確保と使用者の立位体位の安定した保持とができるようにする。
【解決手段】立位体位の術者2の左右の腸骨を前方・左右側方から支持する腸骨支持部30を有するようにした。
【解決手段】立位体位の術者2の左右の腸骨を前方・左右側方から支持する腸骨支持部30を有するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立位体位保持器具に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば患者が手術台に横たわると共に術者が立位の体位で手術を行う場合の術者の立位体位の保持に用いて好適な器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば脳神経外科をはじめとする顕微鏡下手術では、術者は顕微鏡のフォーカスやズームの調整を専用のフットペダルで行う。術者が座位の体位で行うことができる頭部の手術では、比較的汎用化されている専用の椅子に座って手術を行うことが可能であり、術者の体位は安定的に保持されて下肢の疲労は少ない。一方、術部の位置の制約から術者が立位の体位で行う脊髄手術では、前述の専用のフットペダルの操作時に軸足による片足立ち姿勢となり、体位が不安定になってしまう。体位が不安定になると安定させるための筋力が必要となり、長時間に及ぶ手術では特に下肢への負担が大きく、疲労の要因になる。さらに、体位が不安定であることに起因する顕微鏡の接眼レンズと術者の目との位置ずれも疲労の要因になる。また、体重のおよそ16%を占める両腕はフリーの状態であるため、疲労が増幅するばかりでなく、手術の質への悪影響も懸念される。具体的には例えば、立位の体位で行う代表的な手術の一つである脊髄手術は、手術の対象が僅か10mm程度の脊髄であり、手術用顕微鏡を用いての5〜6時間に亘る長時間の繊細な作業が必要とされる。このような場合には特に、立位の体位でありながらも、座位の体位の場合と同様に、術者による手術機器の快適な操作性の確保と術者の体位の安定した保持とが求められる。
【0003】
術者の体位の保持を考慮した従来の補助器具として例えば、図13に示すように、術者101の臀部をサドル形状の身体保持座102によって保持すると共に術者101が前傾姿勢をとる際は胸部を胸当て103で支えて保持するものがある(特許文献1)。この図13に示す補助器具においては、身体保持座102は、手術台104に固定されるスライド機構105及び旋回機構106と水平方向に旋回するアーム107とを介して手術台104に取り付けられて設置される。なお、図13において、符号108は患者を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の補助器具では、術者101が特に前傾姿勢でなく胸当て103を使用しない場合は自転車に手を離して乗っているような状態であって体位が不安定になってしまい、一方、前傾姿勢をとって胸当て103を使用する場合は胸部への圧迫があって疲労を誘発してしまう。このため、術者101による例えば顕微鏡のフォーカスやズームの調整を行うフットペダルの快適な操作性を確保することができなかったり、疲労を軽減しつつ術者101の体位を安定的に保持することができなかったりするので、術者にとっての快適性や機能性が高いとは言えない。
【0006】
また、立位の体位での例えば顕微鏡下手術で要求される姿勢は直立若しくはやや前傾姿勢であると共に、体位を安定させつつ上半身の自由度が確保されなければならない。しかしながら、特許文献1の補助器具では、胸部を胸当て103に押し当てるので、上半身の自由度を確保することができない。このため、立位の体位で行う多様な種類の手術のいずれにも使用可能であって汎用性が高いとは言えない。
【0007】
また、特許文献1の補助器具では、身体保持座102を手術台や手術室天井に設置するようにしているので、専用の手術台を新規に購入したり手術室に対して直接施工したりすることが必要であって多額の費用が必要になったり即時・容易に導入することができなかったりするので、この点からも汎用性が高いとは言えない。
【0008】
そこで、本発明は、多様な種類の手術やその他の用途への適応性があると共に、使用者による各種機器等の快適な操作性の確保と使用者の立位体位の安定した保持とを実現しこれにより使用者の疲労を軽減することができる立位体位保持器具を提供することを目的とする。また、本発明は、手術台や手術室等の既存の設備や施設はそのままで低額且つ即時・容易に導入することができる立位体位保持器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の立位体位保持器具は、立位体位の使用者の左右の腸骨のうちの少なくとも一方を左側前方と右側前方と左側方と右側方とのうちの少なくとも一方から支持する腸骨支持部を有するようにしている。
【0010】
したがって、この立位体位保持器具によると、立位体位の使用者の腸骨を支持することにより、使用者の体位が安定的に保持される。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部は、使用者の腸骨を左側前方及び右側前方から支持する前支持部と左側方及び右側方から支持する横支持部とを有するようにしている。この場合には、左側前方及び右側前方と左側方及び右側方との四方から使用者の腸骨を支持することにより、使用者の体位がより一層安定的に保持される。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部が取り付けられる支柱と当該支柱が固定されるベース部とを更に有するようにしている。この場合には、立位体位保持器具自体が独立して単独で使用者のサポート器具として機能する。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の立位体位保持器具において、使用者の足を乗せるステップがベース部に備えられ、当該ステップの上面が3〜7度の前傾勾配を有するようにしている。この場合には、ステップ上面の前傾勾配により、使用者が腸骨支持部に腸骨を当接させることが自然に促される。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部の上方に、使用者の両腕のうちの少なくとも一方を下方から支えるアームレストを更に有するようにしている。この場合には、使用者の腕を下方から支えることにより、使用者の上半身特に上肢が安定的に支持される。
【0015】
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部が左右一対の支持パッドを有し、これら左右一対の支持パッド相互間の幅を調整する幅調整機構を更に有するようにしている。この場合には、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて左右の支持パッド相互間の幅が好みの幅に調整され固定される。
【0016】
また、請求項7記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部の高さを調整する高さ調整機構を更に有するようにしている。この場合には、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて腸骨支持部の高さが好みの高さに調整され固定される。
【0017】
また、請求項8記載の発明は、請求項5記載の立位体位保持器具において、アームレストの高さを調整する高さ調整機構を更に有するようにしている。この場合には、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせてアームレストの高さが好みの高さに調整され固定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の立位体位保持器具によれば、立位体位の使用者の腸骨を支持することによって使用者の体位を安定的に保持することができるので、使用者の胸部や腹部(内蔵)を圧迫しないようにすると共に下肢の筋力を必要以上に使用しないようにしつつ使用者の体位を安定的に保持することができ、使用者の疲労を軽減することが可能になる。しかも、使用者が片足立ちになったときでも上肢の自由を確保したままで体位を安定させることができ、自由な上肢の動作を確保すると共に前後方向・左右方向の体位のぶれを防止して安定的な立位体位を保持することができる。
【0019】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、左側前方及び右側前方と左側方及び右側方との四方から使用者の腸骨を支持することによって使用者の体位をより一層安定的に保持することができるので、使用者の疲労をより一層軽減することが可能になる。
【0020】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、立位体位保持器具自体が独立して単独で使用者のサポート器具として機能することができるので、既存の設備や施設に影響を与えることがなく、汎用性を高めて導入を容易にすることが可能になる。
【0021】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、ステップ上面の前傾勾配によって使用者が腸骨支持部に腸骨を当接させることを自然に促すことができるので、余計な筋力を使わずに自然に楽な姿勢を保持することができると共にかかとにかかる負担を軽減することができ、使用者の疲労をより一層軽減することが可能になる。
【0022】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の腕を下方から支えることによって使用者の上半身特に上肢を安定的に支持することができるので、特に上半身の安定のために使用者の胸部を圧迫しないようにすることができると共に肩や腕の筋力を必要以上に使用しないようにすることができ、使用者の疲労をより一層軽減することが可能になる。
【0023】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて左右の支持パッド相互間の幅を好みの幅に調整し固定することができるので、使用者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0024】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて腸骨支持部の高さを好みの高さに調整し固定することができるので、使用者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0025】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせてアームレストの高さを好みの高さに調整し固定することができるので、使用者の特に上半身の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す左側面図である。
【図2】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す右側面図である。
【図3】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す正面図である。
【図4】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す背面図である。
【図5】実施形態の立位体位保持器具のアームレストの平面図である。
【図6】実施形態の立位体位保持器具の腸骨支持部の図である。(A)は前記部分の拡大正面図である。(B)は平面図である。
【図7】実施形態の立位体位保持器具の高さ調整機構を説明する縦断面図であり、アームレストが最下位置にある状態を示す図である。
【図8】実施形態の立位体位保持器具の高さ調整機構を説明する縦断面図であり、アームレストが最上位置にある状態を示す図である。
【図9】本発明の立位体位保持器具のアームレストを備えない場合の実施形態の一例を示す図である。(A)は左側面図である。(B)は正面図である。
【図10】アームレスト及び腸骨支持部並びに幅調整機構の他の実施形態を示す図である。(A)は前記部分の拡大縦断面図である。(B)は前記部分の拡大背面図である。(C)は前記部分の拡大平面図である。
【図11】アームレスト及び腸骨支持部並びに幅調整機構の更に他の実施形態を示す図である。(A)は前記部分の拡大縦断面図である。(B)は前記部分の拡大背面図である。(C)は前記部分の拡大平面図である。
【図12】幅調整機構のまた更に他の実施形態を示す図である。(A)は前記部分の拡大正面図である。(B)は前記部分の拡大平面図である。
【図13】術者の体位を保持する従来の補助器具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1から図8に、本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、図1から図4に示すように、手術台6に横たわる患者5に対して顕微鏡7を用いて顕微鏡下脊髄手術を立位の体位で行う術者2が立位体位保持器具1を使用する場合を例に挙げて説明する。また、本明細書においては、立位体位保持器具1を使用する術者2を基準にして上下、前後、左右を定義する。
【0029】
本実施形態の立位体位保持器具1は、立位体位の術者2の左右の腸骨を左側前方及び右側前方と左側方及び右側方とから支持する腸骨支持部30を有するようにしている。
【0030】
また、本実施形態の立位体位保持器具1は、腸骨支持部30の上方に、術者2の腕を下方から支えるアームレスト20を更に有するようにしている。
【0031】
本実施形態の立位体位保持器具1は、大まかな構成として、術者2が足を乗せるベース部40と、当該ベース部40の前端に立設される本体部10と、当該本体部10の上端から上下動自在(言い換えると、伸縮自在)に突出する支柱19と、当該支柱19の上端に取り付けられるアームレスト20と、当該アームレスト20の下方に配置されて支柱19に取り付けられる腸骨支持部30とを備える。そして、本実施形態では、アームレスト20及び腸骨支持部30が取り付けられる支柱19が本体部10を介してベース部40に固定される。
【0032】
本体部10は、本体カバー11と、当該本体カバー11の上端部分に取り付けられる筒部12と、本体カバー11の下端部分に取り付けられる本体基部13とを有する。
【0033】
本体カバー11は、連続する前壁11a及び左右の側壁11b,11b並びに後方に湾曲して概ね弓形の後壁11cを有する。
【0034】
筒部12には、支柱19が、上端部分は常に突出しながら軸方向に往復運動可能(即ち、上下動可能)に挿入される。
【0035】
本体基部13は、下端につばを有する柱状に形成され、ベース部40に立設して取り付けられる。これにより、本体基部13を介して本体部10がベース部40に対して取り付けられ固定される。
【0036】
アームレスト20は、支柱19の上端に固定して取り付けられ、術者2の腕、特に肘2aや前膊2b(前腕とも呼ばれる)を下方から支えるものである。
【0037】
本実施形態のアームレスト20は、平面的に屈曲している帯板状で、左右方向の前部20aと当該前部20aの左右両端部のそれぞれから後方に延出する側部20b,20bとを有し、平面視コ字形に形成される(図5参照)。
【0038】
アームレスト20は、術者2を支える面とは反対側である下側は剛性が高く変形しづらい材質によって形成されると共に、術者2を支える面の側である上側は術者2が体の一部(即ち、腕)を当接させた際の体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質で形成される。それぞれの材質は特定のものに限定されるものではないが、上側を形成する材質として具体的には例えばエラストマー・ジェルが用いられる。
【0039】
腸骨支持部30は、アームレスト20の下方に配置され、立位の体位の術者2の骨盤の腸骨、特に腸骨の上前腸骨棘2c部分を左側前方・右側前方・左側方・右側方から支えるものである。なお、本発明においては、立位体位保持器具1を使用する者の腸骨の上前腸骨棘2c部分を支えることが好ましいが、腸骨支持部30によって支える部分は上前腸骨棘2c部分に限られるものではなく、腸骨の他の部分であっても良い。
【0040】
本実施形態の腸骨支持部30は、支柱19の左右それぞれに離されて配置される左右一対の支持パッド31,31と、これら左右の支持パッド31,31を支柱19のうちの筒部12から常に突出している部分にそれぞれ取り付ける左右一対の取付部材32,32とを有する。
【0041】
支持パッド31は、術者2の腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を前方から支持する前側の前支持部31aと左右側方から支持する左右側の横支持部31bとを有し、平面視略L字形に形成される(図6(B)参照;なお、図6(B)においては、アームレスト20よりも下側の構成を分かり易くするために、アームレスト20を除いた平面図としている。また、図6(B)においてはフットペダル7aの図示を省略している)。
【0042】
支持パッド31は、術者2を支える面とは反対側である前支持部31aの前側及び横支持部31bの左右外側は剛性が高く変形しづらい材質によって形成されると共に、術者2を支える面の側である前支持部31aの後側及び横支持部31bの左右内側は術者2が体の一部(即ち、腰部)を当接させた際の体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質で形成される。それぞれの材質は特定のものに限定されるものではないが、術者2を支える面の側を形成する材質として具体的には例えばエラストマー・ジェルが用いられる。
【0043】
取付部材32は、本実施形態では棒状に形成され、一端は支持パッド31の前支持部31aの前面に取り付けられて固定されると共に、他端は支柱19のうちの筒部12から常に突出している部分に固定される。これにより、支持パッド31は、取付部材32を介して支柱19に対して取り付けられ固定される。
【0044】
そして、支持パッド31,31によって術者2の上前腸骨棘2c部分を支えるようにすることで、胸部は当然のこととして腹部(の内臓)を圧迫することなく立位の体位を安定させることができる。なお、本実施形態では腸骨支持部30は左右一対の支持パッド31,31で構成されていると共にこれら左右の支持パッド31,31が左右に離されて配置され取り付けられているので、尚更、腹部が圧迫されてしまうことを防止することができる。
【0045】
ベース部40は、硬質のベース板部材41の上面に、本実施形態では、術者2の左足側にはステップ42が備えられ、右足側には顕微鏡7を操作するためのフットペダル7aが備えられる。なお、術者2が左足でフットペダル7aを操作する場合にはステップ42とフットペダル7aとの左右の配置を入れ換えれば良い。また、顕微鏡7ではない他の手術機器を操作するためのフットペダル等を備えるようにしても良いし、顕微鏡7等を使用しないのでフットペダル等が不要である場合には左右両側にステップ42を備えるようにしても良い。
【0046】
術者2を直接支えることになるステップ42は術者2が体の一部(即ち、足)を当接させた際の体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質で形成される。この材質は特定のものに限定されるものではないが、具体的には例えばエラストマー・ジェルが用いられる。
【0047】
ステップ42の上面は、水平でも構わないが、術者2が腸骨支持部30に腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を当接させることを自然に促すため、前傾勾配を僅かにつけることが好ましい。当該前傾勾配の角度は、特定の角度に限定されるものではないが、具体的には例えば3〜7度程度が好ましく、5度程度が最も好ましい。
【0048】
本実施形態の立位体位保持器具1は、さらに、アームレスト20及び腸骨支持部30の高さを調整し固定するための高さ調整機構50、及び、腸骨支持部30の左右一対の支持パッド31,31相互間の幅を調整し固定するための幅調整機構60を備える。
【0049】
本実施形態では具体的には、高さ調整機構50として、図7及び図8に示すように、本体部10の本体カバー11内の筒部12の下方に固定された駆動装置51を備え、支柱19が筒部12内を貫通すると共に駆動装置51の上端から突出して上下軸方向に往復運動するピストン51aに連結されて上下動自在に構成される。なお、図7及び図8においてはフットペダル7aの図示を省略している。
【0050】
駆動装置51としては、例えば電気アクチュエータが用いられ得るが、これに限定されるものではなく、支柱19を上下軸方向に往復運動させ得るものであれば良い。
【0051】
これにより、アームレスト20及び腸骨支持部30の高さを調整し固定することが可能になり(図7(最下位置),図8(最上位置)を参照)、術者の体格や手術時の姿勢に合わせてアームレスト20及び腸骨支持部30を好みの位置に固定することができ、術者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では具体的には、幅調整機構60として、図6に示すように、左右の取付部材32,32のそれぞれの周囲に取り付けられて(言い換えると、取付部材32を貫通させて)取付部材32の軸方向に摺動可能な筒状のスライダ61と、頭部にグリップを有すると共に軸部がスライダ61の周壁を貫通する固定用ねじ62とを備える。
【0053】
スライダ61は腸骨支持部30の支持パッド31の前支持部31aの前面に固定されている。
【0054】
固定用ねじ62の軸部(雄ねじ)と当該軸部が貫通するスライダ61の周壁の貫通孔(雌ねじ)とが噛み合い、そして、固定用ねじ62を締めると軸部の先端が取付部材32に当接してスライダ61の位置が固定される。
【0055】
これにより、腸骨支持部30の支持パッド31がスライダ61を介して取付部材32に沿って左右方向に移動することができると共に固定用ねじ62によって任意位置に固定することができるので、左右一対の支持パッド31,31相互間の幅を調整し固定することが可能になり、術者の体格や手術時の姿勢に合わせて左右の支持パッド31,31相互間の幅を好みの幅に固定することができ、術者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0056】
以上のように構成された本発明の立位体位保持器具1は、それ自体が独立して単独で術者2のサポート器具として機能することができるので、既存の設備や施設に影響を与えることがなく、汎用性が非常に高く導入が容易である。しかも、例えば本実施形態の顕微鏡7のフットペダル7aのような手術機器の操作に関連する機器と組み合わせて使用することができるので、この点からも汎用性が非常に高く導入が容易である。
【0057】
また、以上のように構成された本発明の立位体位保持器具1によれば、立位体位の術者2の腸骨を前方・左右側方から腸骨支持部30で支えることによって体位を安定させるようにしているので、術者2の胸部や腹部(内蔵)を圧迫しないようにすることができると共に下肢の筋力を必要以上に使用しないようにすることができ、このため、術者2の疲労を軽減することができる。さらに言えば、術者2が例えば手術機器の操作に用いるフットペダルを操作するために片足立ちになったときでも上肢の自由を確保したままで体位を安定させることができ、自由な手術動作を確保すると共に前後方向・左右方向の体位のぶれを防止して安定的な立位体位を保持することができる。
【0058】
また、ステップ42の上面に前傾勾配を僅かにつける(最も好ましいのは5度程度)ようにしているので、自然な状態で術者2が腸骨支持部30に体を預けるやや前傾姿勢になるようにすることができ、余計な筋力を使わずに自然に楽な姿勢を保持することができると共に踵にかかる負担を軽減することができる。このため、術者2の疲労を軽減することができる。
【0059】
また、体重のおよそ16%を占める術者2の両腕をアームレスト20で下方から支えることによって上半身特に上肢を安定させるようにしているので、特に上半身の安定のために術者2の胸部を圧迫しないようにすることができると共に肩や腕の筋力を必要以上に使用しないようにすることができ、このため、術者2の疲労を軽減することができる。
【0060】
そして、上述のように術者2の疲労を軽減すると共に体位を安定させることができるので、術者2の繊細な作業を可能にし、しかも長時間に亘る繊細な作業を可能にし、質の高い手技の実現による手術の質の向上を図ることが可能になる。
【0061】
また、高さ調整機構50及び幅調整機構60を備えるようにしているので、術者2の体格や手術時の姿勢に合わせてアームレスト20や腸骨支持部30を好みの位置に固定するようにすることができ、このため、術者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することができる。
【0062】
また、術者2の体の一部が当接する部分は体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質(具体的には例えばエラストマージェル)で形成されるようにしているので、快適性を向上させることができると共に、術者の疲労軽減を実現することができる。
【0063】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では手術台6に横たわる患者5に対して顕微鏡7を用いて顕微鏡下脊髄手術を立位の体位で行う術者2が立位体位保持器具1を使用する場合を例に挙げて説明したが、本発明の立位体位保持器具の使用態様はこれに限られるものではなく、顕微鏡7とは異なる手術機器を使用する場合に用いることもできるし、特別の手術機器を使用しない場合に用いることもできるし、脊髄手術の他にも胸部手術や腹部手術などを行う場合に用いることもできる。さらに言えば、本発明の立位体位保持器具の使用態様は手術を行う術者の姿勢サポートに限られるものではなく、例えば、工場や工房などでの加工作業・組立作業等を立位姿勢で行う工員の姿勢サポートや、立位姿勢で会議を行う出席者の姿勢サポートや、立ち飲み屋・立ち食い屋やファストフード店などにおいて立位姿勢で飲食を行う客の姿勢サポートや、施設の入口において入場券の確認や半券の切取り等を立位姿勢で行う係員の姿勢サポートなど、立位の体位を維持する必要がある人の姿勢サポート器具として広く使用され得る。
【0064】
また、上述の実施形態ではベース部40のベース板部材41の上面にステップ42や手術機器を操作するためのフットペダル7aを備えるようにしているが、手術を行う術者が使用するのではなくて、例えば上述のように加工作業・組立作業等を行う工員が使用する場合には作業に使用する機械を操作するためのフットペダル等を備えるようにしても良いし、上述のように客や係員などが使用する場合には操作のためのペダルではなくて両足位置共にステップ42を備えるようにしても良いし或いはステップ42を備えずにベース板部材41のみにしても良い。なお、使用者が靴などを履いていることが想定される場合にはステップを硬質の材質で形成するようにしても良い。
【0065】
また、上述の実施形態では腸骨支持部30に加えてアームレスト20を備えるようにしているが、例えば図9に示すように、アームレスト20を備えないようにしても良い。この場合も、立位体位保持器具の使用者の腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を腸骨支持部30(左右一対の支持パッド31,31)によって支えて使用者の立位体位を安定的に保持することができ、使用者の疲労軽減などの効果を発揮することができる。なお、図9においてはフットペダル7aの図示を省略している。
【0066】
また、上述の実施形態ではアームレスト20を左右方向の前部20aと当該前部20aの左右両端部のそれぞれから後方に延出する側部20b,20bとを有して平面視コ字形に形成されるようにしているが、アームレスト20の形状は上述の実施形態のものに限られるものではない。具体的には例えば、前部20aの左右端部から後方に延出する側部20bを左右両端部のうちの一方のみに設けるようにしても良い。
【0067】
また、上述の実施形態では腸骨支持部30を左右一対の支持パッド31,31と取付部材32,32とを有するものとして構成するようにしているが、立位の体位の術者2の骨盤の腸骨、特に腸骨の上前腸骨棘2c部分を前方・左右側方から支えるものであれば、腸骨支持部30の構成は上述の実施形態のものに限られるものではない。具体的には例えば、左右の支持パッド31,31を一体とするようにしても良いし(即ち、支持パッド31は平面視コ字形になる)、左右どちらか一方の支持パッド31のみを有するようにしても良い。また、独立した部材である取付部材32を設けなくとも支持パッド31を支柱19に直接取り付けるようにしても良い。
【0068】
また、上述の実施形態では腸骨支持部30の左右一対の支持パッド31のそれぞれを前側の前支持部31aと左右側の横支持部31bとを有して平面視略L字形に形成されるようにしているが、立位の体位の術者2の骨盤の腸骨、特に上前腸骨棘2c部分を前方と左右側方とのうちの少なくとも一方から支えるものであれば、支持パッド31の形状は上述の実施形態のものに限られるものではなく、具体的には例えば腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を前方から支持する前支持部31aのみでも良いし、左右側方から支持する横支持部31bのみでも良い。また、上述のように左右どちらか一方の支持パッド31のみを有するようにしても良いので、腸骨支持部30は結局のところ、立位の体位の術者2の腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を、左側前方と右側前方と左側方と右側方との四方のうちの少なくとも一方から支持するものであれば良い。
【0069】
また、上述の実施形態ではアームレスト20と腸骨支持部30とを別体として備えるようにしているが、これらアームレスト20と腸骨支持部30とを一体として備えるようにしても良い。さらに、上述の実施形態では腸骨支持部30の左右の支持パッド31,31を別体として備えるようにしているが、これら左右の支持パッド31,31を一体として備えるようにしても良い。この場合は、具体的には例えば図10や図11に示すように、アームレスト20(前部20a及び側部20b,20b)から下方に垂れるように腸骨支持部30の支持パッド31,31(前支持部31a,31a及び横支持部31b,31b)を形成する。そして、支柱19上端に固定される取付部材32を介して支柱19に対して固定して取り付けられるようにしても良い。なお、この場合の取付部材32は平面視コ字形に形成される。また、この場合には、一体成形される左右の前支持部31a,31aの間の抜き空間31cを設けることにより(更に言えば、この抜き空間31cを前部20aに達する程度まで設けた場合には左右の支持パッド31,31を実質的に別体として備える態様と同じになり)、左右の支持パッド31,31を別体として構成した場合と同様に腹部(の内臓)の圧迫をより一層確実に防止しつつ立位の体位を安定させることができる。(なお、図11(B)及び(C)においては、調整用ねじ67にかかる部分において支持パッド31の横支持部31b,アームレスト20の側部20bが一部切り欠きになっている。)
【0070】
また、上述の実施形態ではベース部40を備えると共に本体部10及び支柱19を介してアームレスト20や腸骨支持部30がベース部40に対して固定されるようにしているが、ベース部40を備えないようにしても良い。具体的には例えば、腸骨支持部30を支柱19に取り付けると共に当該支柱19に取付具が設けられ、当該取付具を介して支柱19を例えば手術台6の側部に直接取り付けるようにしても良い。この場合には、立位体位保持器具が独立して単独で術者2のサポート器具として機能することはできないものの、術者2の立位体位を安定的に保持するという効果を発揮することはできる。
【0071】
また、上述の実施形態では高さ調整機構50によってアームレスト20と腸骨支持部30との両方の高さが調整されるようにしているが、アームレスト20と腸骨支持部30とのうちのどちらか一方のみの高さが調整されるようにしても良い。具体的には例えば、腸骨支持部30は本体部10の筒部12に取り付けられると共にアームレスト20のみが支柱19に取り付けられ、本実施形態のように支柱19を上下動させるようにし、腸骨支持部30の高さは固定である一方でアームレスト20のみの高さが調整されるようにしても良い。或いは、例えば、アームレスト20が取り付けられる支柱と腸骨支持部30が取り付けられる支柱とを別体にし、どちらか一方の支柱のみを上下動させるようにし、アームレスト20と腸骨支持部30とのうちのどちらか一方のみの高さが調整されるようにしても良い。
【0072】
(幅調整機構の他の実施形態1)
また、上述の実施形態ではスライダ61と固定用ねじ62とによって幅調整機構60を構成して腸骨支持部30を構成する左右一対の支持パッド31,31相互間の幅を任意位置に調整し固定するようにしているが、使用者の腸骨、特に上前腸骨棘2c部分を支える部材の幅を調整し固定可能な仕組みであれば幅調整機構60の構成はこれに限定されるものではない。
【0073】
具体的には例えば図10に示すように、支持パッド31の横支持部31bの使用者側の面に取り付けられるエアバッグ64と当該エアバッグ64に空気を送るポンプ65とから幅調整機構60を構成するようにしても良い。
【0074】
この構成の場合は、エアバッグ64が横支持部31bとして機能して使用者の腸骨(特に上前腸骨棘2c)部分を支える。そして、ポンプ65によってエアバッグ64内の空気量を調整することにより左右の支持パッド31と支持パッド31(エアバッグ64)との間の幅を好みの幅に調整し固定することができる。
【0075】
なお、図10においては右側の支持パッド31のみにエアバッグ64及びポンプ65を備えるようにしているが、左右両側の支持パッド31にこれらを備えるようにしても良い。
【0076】
(幅調整機構の他の実施形態2)
また、具体的には例えば図11に示すように、支持パッド31の横支持部31bの使用者側の側方に配置される当接プレート66と当該当接プレート66の横支持部31b側の面において先端が連結する軸部67a及び頭部67bを有する調整用ねじ67とから幅調整機構60を構成するようにしても良い。なお、軸部67aの先端は当接プレート66と軸回転可能に連結され、調整用ねじ67を出し入れするために回しても当接プレート66は回転せずに当接に適した姿勢が維持される。
【0077】
この構成の場合には、さらに、調整用ねじ67の軸部67aが貫通する左右方向の貫通孔が支持パッド31の横支持部31bに設けられると共に、この貫通孔に、雌ねじが形成されて調整用ねじ67の軸部67a(雄ねじ)が貫通するリング31cが取り付けられる。
【0078】
この構成の場合は、当接プレート66が横支持部31bとして機能して使用者の腸骨(上前腸骨棘2c)部分を支える。そして、調整用ねじ67の出し入れ量を調整することによって左右の支持パッド31と支持パッド31(当接プレート66)との間の幅を好みの幅に調整し固定することができる。
【0079】
なお、図11においては右側の支持パッド31のみに当接プレート66及び調整用ねじ67を備えるようにしているが、左右両側の支持パッド31にこれらを備えるようにしても良い。
【0080】
(幅調整機構の他の実施形態3)
さらに、具体的には例えば図12に示すように、取付部材32の左右それぞれの周囲に取り付けられて(言い換えると、取付部材32を貫通させて)取付部材32の軸方向に摺動可能な筒状のスライダ68によって幅調整機構60を実現するようにしても良い。
【0081】
筒状のスライダ68は、筒軸方向の左右端面における径が異なる貫通孔68bと、当該貫通孔68b周面に設けられて貫通孔68b内に突出する爪部68aと、貫通孔68b周面に取り付けられて貫通孔68b内に備えられる板ばね68cと、貫通孔68b周面に設けられて貫通孔68b内に突出する円柱状の係止突起68dとを有する。
【0082】
図12に示す例では、貫通孔68bの径は支柱19側(即ち中央寄り内側)よりも反対側(即ち左右外側)が大きく形成されて、貫通孔68bの径が小さい中央寄り内側に係止突起68dが形成され、貫通孔68bの径が大きい左右外側に爪部68aが形成される。
【0083】
爪部68aは、貫通孔68bの径が大きい方の端部に設けられる。一方、係止突起68dは、貫通孔68bの径が小さい方の端部に設けられる。
【0084】
板ばね68cは、貫通孔68bの径が小さい方に一端の固定端が配されると共に、貫通孔68bの径が大きい方に他端の揺動端が配され、貫通孔68bの軸方向に配置される
【0085】
爪部68aと板ばね68cとは、貫通孔68bの周面に、対向して(即ち、取付部材32を挟んで)配置される。そして、板ばね68cによって、スライダ68の板ばね68c側の周壁を取付部材32から引き離すと共に板ばね68cと対向する爪部68aを取付部材32に押し付けるように付勢力を発揮する。
【0086】
この構成の場合にはさらに、取付部材32に、スライダ68の係止突起68dが摺動可能に嵌まる取付部材32の軸方向の係合長溝32aが形成され、また、取付部材32の軸方向に所定の間隔で複数形成されてスライダ68の爪部68aが嵌まり込む凹部32b,32b,…が形成され、さらに、板ばね68cの揺動端が嵌まる取付部材32の軸方向の長溝32cが形成される。
【0087】
図12に示す例では、スライダ68の爪部68aと取付部材32の凹部32b,32b,…とが上側に形成され、係止突起68dと係合長溝32aとが前側及び後側に形成され、下側に板ばね68cが配置されると共に長溝32cが形成される。
【0088】
そして、スライダ68の係止突起68dが取付部材32の係合長溝32aに嵌まると共に板ばね68cの揺動端が長溝32cに嵌まることによって爪部68aが凹部32b,32b,…に嵌まり得る両者の位置関係が保たれたままで取付部材32の周囲をスライダ68が左右方向に摺動し、且つ、スライダ68の左右方向の摺動範囲が制限されて取付部材32から抜けてしまうことがない。
【0089】
板ばね68cの付勢力に抗する力をスライダ68の貫通孔68bの径が大きい方の端部(図12に示す例では上向きの力をスライダ68の左右外側の端部)に加えると、係止突起68dを中心としてスライダ68が揺動して爪部68aが凹部32bから外れ、スライダ68が取付部材32に対して摺動可能になって左右の支持パッド31と支持パッド31との間の幅を好みの幅に調整することができる。そして、好みの幅になった状態でスライダ68に加えていた力を解除すると、係止突起68dを中心としてスライダ68が揺動して爪部68aが凹部32bに嵌まり、スライダ68が取付部材32に対して固定される。
【0090】
なお、図12においては左右両側の支持パッド31に幅調整機構60を備えるようにしているが、左右どちらか一方のみの支持パッド31に幅調整機構60を備えるようにしても良い。
【0091】
また、図12はアームレストを備えない構成としているが、図12に示す幅調整機構60とアームレストとを組み合わせても勿論良い。
【符号の説明】
【0092】
1 立位体位保持器具
2 術者(使用者)
30 腸骨支持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、立位体位保持器具に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えば患者が手術台に横たわると共に術者が立位の体位で手術を行う場合の術者の立位体位の保持に用いて好適な器具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば脳神経外科をはじめとする顕微鏡下手術では、術者は顕微鏡のフォーカスやズームの調整を専用のフットペダルで行う。術者が座位の体位で行うことができる頭部の手術では、比較的汎用化されている専用の椅子に座って手術を行うことが可能であり、術者の体位は安定的に保持されて下肢の疲労は少ない。一方、術部の位置の制約から術者が立位の体位で行う脊髄手術では、前述の専用のフットペダルの操作時に軸足による片足立ち姿勢となり、体位が不安定になってしまう。体位が不安定になると安定させるための筋力が必要となり、長時間に及ぶ手術では特に下肢への負担が大きく、疲労の要因になる。さらに、体位が不安定であることに起因する顕微鏡の接眼レンズと術者の目との位置ずれも疲労の要因になる。また、体重のおよそ16%を占める両腕はフリーの状態であるため、疲労が増幅するばかりでなく、手術の質への悪影響も懸念される。具体的には例えば、立位の体位で行う代表的な手術の一つである脊髄手術は、手術の対象が僅か10mm程度の脊髄であり、手術用顕微鏡を用いての5〜6時間に亘る長時間の繊細な作業が必要とされる。このような場合には特に、立位の体位でありながらも、座位の体位の場合と同様に、術者による手術機器の快適な操作性の確保と術者の体位の安定した保持とが求められる。
【0003】
術者の体位の保持を考慮した従来の補助器具として例えば、図13に示すように、術者101の臀部をサドル形状の身体保持座102によって保持すると共に術者101が前傾姿勢をとる際は胸部を胸当て103で支えて保持するものがある(特許文献1)。この図13に示す補助器具においては、身体保持座102は、手術台104に固定されるスライド機構105及び旋回機構106と水平方向に旋回するアーム107とを介して手術台104に取り付けられて設置される。なお、図13において、符号108は患者を表す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−29504号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の補助器具では、術者101が特に前傾姿勢でなく胸当て103を使用しない場合は自転車に手を離して乗っているような状態であって体位が不安定になってしまい、一方、前傾姿勢をとって胸当て103を使用する場合は胸部への圧迫があって疲労を誘発してしまう。このため、術者101による例えば顕微鏡のフォーカスやズームの調整を行うフットペダルの快適な操作性を確保することができなかったり、疲労を軽減しつつ術者101の体位を安定的に保持することができなかったりするので、術者にとっての快適性や機能性が高いとは言えない。
【0006】
また、立位の体位での例えば顕微鏡下手術で要求される姿勢は直立若しくはやや前傾姿勢であると共に、体位を安定させつつ上半身の自由度が確保されなければならない。しかしながら、特許文献1の補助器具では、胸部を胸当て103に押し当てるので、上半身の自由度を確保することができない。このため、立位の体位で行う多様な種類の手術のいずれにも使用可能であって汎用性が高いとは言えない。
【0007】
また、特許文献1の補助器具では、身体保持座102を手術台や手術室天井に設置するようにしているので、専用の手術台を新規に購入したり手術室に対して直接施工したりすることが必要であって多額の費用が必要になったり即時・容易に導入することができなかったりするので、この点からも汎用性が高いとは言えない。
【0008】
そこで、本発明は、多様な種類の手術やその他の用途への適応性があると共に、使用者による各種機器等の快適な操作性の確保と使用者の立位体位の安定した保持とを実現しこれにより使用者の疲労を軽減することができる立位体位保持器具を提供することを目的とする。また、本発明は、手術台や手術室等の既存の設備や施設はそのままで低額且つ即時・容易に導入することができる立位体位保持器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の立位体位保持器具は、立位体位の使用者の左右の腸骨のうちの少なくとも一方を左側前方と右側前方と左側方と右側方とのうちの少なくとも一方から支持する腸骨支持部を有するようにしている。
【0010】
したがって、この立位体位保持器具によると、立位体位の使用者の腸骨を支持することにより、使用者の体位が安定的に保持される。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部は、使用者の腸骨を左側前方及び右側前方から支持する前支持部と左側方及び右側方から支持する横支持部とを有するようにしている。この場合には、左側前方及び右側前方と左側方及び右側方との四方から使用者の腸骨を支持することにより、使用者の体位がより一層安定的に保持される。
【0012】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部が取り付けられる支柱と当該支柱が固定されるベース部とを更に有するようにしている。この場合には、立位体位保持器具自体が独立して単独で使用者のサポート器具として機能する。
【0013】
また、請求項4記載の発明は、請求項3記載の立位体位保持器具において、使用者の足を乗せるステップがベース部に備えられ、当該ステップの上面が3〜7度の前傾勾配を有するようにしている。この場合には、ステップ上面の前傾勾配により、使用者が腸骨支持部に腸骨を当接させることが自然に促される。
【0014】
また、請求項5記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部の上方に、使用者の両腕のうちの少なくとも一方を下方から支えるアームレストを更に有するようにしている。この場合には、使用者の腕を下方から支えることにより、使用者の上半身特に上肢が安定的に支持される。
【0015】
また、請求項6記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部が左右一対の支持パッドを有し、これら左右一対の支持パッド相互間の幅を調整する幅調整機構を更に有するようにしている。この場合には、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて左右の支持パッド相互間の幅が好みの幅に調整され固定される。
【0016】
また、請求項7記載の発明は、請求項1記載の立位体位保持器具において、腸骨支持部の高さを調整する高さ調整機構を更に有するようにしている。この場合には、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて腸骨支持部の高さが好みの高さに調整され固定される。
【0017】
また、請求項8記載の発明は、請求項5記載の立位体位保持器具において、アームレストの高さを調整する高さ調整機構を更に有するようにしている。この場合には、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせてアームレストの高さが好みの高さに調整され固定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の立位体位保持器具によれば、立位体位の使用者の腸骨を支持することによって使用者の体位を安定的に保持することができるので、使用者の胸部や腹部(内蔵)を圧迫しないようにすると共に下肢の筋力を必要以上に使用しないようにしつつ使用者の体位を安定的に保持することができ、使用者の疲労を軽減することが可能になる。しかも、使用者が片足立ちになったときでも上肢の自由を確保したままで体位を安定させることができ、自由な上肢の動作を確保すると共に前後方向・左右方向の体位のぶれを防止して安定的な立位体位を保持することができる。
【0019】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、左側前方及び右側前方と左側方及び右側方との四方から使用者の腸骨を支持することによって使用者の体位をより一層安定的に保持することができるので、使用者の疲労をより一層軽減することが可能になる。
【0020】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、立位体位保持器具自体が独立して単独で使用者のサポート器具として機能することができるので、既存の設備や施設に影響を与えることがなく、汎用性を高めて導入を容易にすることが可能になる。
【0021】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、ステップ上面の前傾勾配によって使用者が腸骨支持部に腸骨を当接させることを自然に促すことができるので、余計な筋力を使わずに自然に楽な姿勢を保持することができると共にかかとにかかる負担を軽減することができ、使用者の疲労をより一層軽減することが可能になる。
【0022】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の腕を下方から支えることによって使用者の上半身特に上肢を安定的に支持することができるので、特に上半身の安定のために使用者の胸部を圧迫しないようにすることができると共に肩や腕の筋力を必要以上に使用しないようにすることができ、使用者の疲労をより一層軽減することが可能になる。
【0023】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて左右の支持パッド相互間の幅を好みの幅に調整し固定することができるので、使用者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0024】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせて腸骨支持部の高さを好みの高さに調整し固定することができるので、使用者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0025】
本発明の立位体位保持器具によれば、さらに、使用者の体格や使用時の姿勢に合わせてアームレストの高さを好みの高さに調整し固定することができるので、使用者の特に上半身の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す左側面図である。
【図2】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す右側面図である。
【図3】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す正面図である。
【図4】本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す背面図である。
【図5】実施形態の立位体位保持器具のアームレストの平面図である。
【図6】実施形態の立位体位保持器具の腸骨支持部の図である。(A)は前記部分の拡大正面図である。(B)は平面図である。
【図7】実施形態の立位体位保持器具の高さ調整機構を説明する縦断面図であり、アームレストが最下位置にある状態を示す図である。
【図8】実施形態の立位体位保持器具の高さ調整機構を説明する縦断面図であり、アームレストが最上位置にある状態を示す図である。
【図9】本発明の立位体位保持器具のアームレストを備えない場合の実施形態の一例を示す図である。(A)は左側面図である。(B)は正面図である。
【図10】アームレスト及び腸骨支持部並びに幅調整機構の他の実施形態を示す図である。(A)は前記部分の拡大縦断面図である。(B)は前記部分の拡大背面図である。(C)は前記部分の拡大平面図である。
【図11】アームレスト及び腸骨支持部並びに幅調整機構の更に他の実施形態を示す図である。(A)は前記部分の拡大縦断面図である。(B)は前記部分の拡大背面図である。(C)は前記部分の拡大平面図である。
【図12】幅調整機構のまた更に他の実施形態を示す図である。(A)は前記部分の拡大正面図である。(B)は前記部分の拡大平面図である。
【図13】術者の体位を保持する従来の補助器具を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0028】
図1から図8に、本発明の立位体位保持器具の実施形態の一例を示す。なお、本実施形態では、図1から図4に示すように、手術台6に横たわる患者5に対して顕微鏡7を用いて顕微鏡下脊髄手術を立位の体位で行う術者2が立位体位保持器具1を使用する場合を例に挙げて説明する。また、本明細書においては、立位体位保持器具1を使用する術者2を基準にして上下、前後、左右を定義する。
【0029】
本実施形態の立位体位保持器具1は、立位体位の術者2の左右の腸骨を左側前方及び右側前方と左側方及び右側方とから支持する腸骨支持部30を有するようにしている。
【0030】
また、本実施形態の立位体位保持器具1は、腸骨支持部30の上方に、術者2の腕を下方から支えるアームレスト20を更に有するようにしている。
【0031】
本実施形態の立位体位保持器具1は、大まかな構成として、術者2が足を乗せるベース部40と、当該ベース部40の前端に立設される本体部10と、当該本体部10の上端から上下動自在(言い換えると、伸縮自在)に突出する支柱19と、当該支柱19の上端に取り付けられるアームレスト20と、当該アームレスト20の下方に配置されて支柱19に取り付けられる腸骨支持部30とを備える。そして、本実施形態では、アームレスト20及び腸骨支持部30が取り付けられる支柱19が本体部10を介してベース部40に固定される。
【0032】
本体部10は、本体カバー11と、当該本体カバー11の上端部分に取り付けられる筒部12と、本体カバー11の下端部分に取り付けられる本体基部13とを有する。
【0033】
本体カバー11は、連続する前壁11a及び左右の側壁11b,11b並びに後方に湾曲して概ね弓形の後壁11cを有する。
【0034】
筒部12には、支柱19が、上端部分は常に突出しながら軸方向に往復運動可能(即ち、上下動可能)に挿入される。
【0035】
本体基部13は、下端につばを有する柱状に形成され、ベース部40に立設して取り付けられる。これにより、本体基部13を介して本体部10がベース部40に対して取り付けられ固定される。
【0036】
アームレスト20は、支柱19の上端に固定して取り付けられ、術者2の腕、特に肘2aや前膊2b(前腕とも呼ばれる)を下方から支えるものである。
【0037】
本実施形態のアームレスト20は、平面的に屈曲している帯板状で、左右方向の前部20aと当該前部20aの左右両端部のそれぞれから後方に延出する側部20b,20bとを有し、平面視コ字形に形成される(図5参照)。
【0038】
アームレスト20は、術者2を支える面とは反対側である下側は剛性が高く変形しづらい材質によって形成されると共に、術者2を支える面の側である上側は術者2が体の一部(即ち、腕)を当接させた際の体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質で形成される。それぞれの材質は特定のものに限定されるものではないが、上側を形成する材質として具体的には例えばエラストマー・ジェルが用いられる。
【0039】
腸骨支持部30は、アームレスト20の下方に配置され、立位の体位の術者2の骨盤の腸骨、特に腸骨の上前腸骨棘2c部分を左側前方・右側前方・左側方・右側方から支えるものである。なお、本発明においては、立位体位保持器具1を使用する者の腸骨の上前腸骨棘2c部分を支えることが好ましいが、腸骨支持部30によって支える部分は上前腸骨棘2c部分に限られるものではなく、腸骨の他の部分であっても良い。
【0040】
本実施形態の腸骨支持部30は、支柱19の左右それぞれに離されて配置される左右一対の支持パッド31,31と、これら左右の支持パッド31,31を支柱19のうちの筒部12から常に突出している部分にそれぞれ取り付ける左右一対の取付部材32,32とを有する。
【0041】
支持パッド31は、術者2の腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を前方から支持する前側の前支持部31aと左右側方から支持する左右側の横支持部31bとを有し、平面視略L字形に形成される(図6(B)参照;なお、図6(B)においては、アームレスト20よりも下側の構成を分かり易くするために、アームレスト20を除いた平面図としている。また、図6(B)においてはフットペダル7aの図示を省略している)。
【0042】
支持パッド31は、術者2を支える面とは反対側である前支持部31aの前側及び横支持部31bの左右外側は剛性が高く変形しづらい材質によって形成されると共に、術者2を支える面の側である前支持部31aの後側及び横支持部31bの左右内側は術者2が体の一部(即ち、腰部)を当接させた際の体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質で形成される。それぞれの材質は特定のものに限定されるものではないが、術者2を支える面の側を形成する材質として具体的には例えばエラストマー・ジェルが用いられる。
【0043】
取付部材32は、本実施形態では棒状に形成され、一端は支持パッド31の前支持部31aの前面に取り付けられて固定されると共に、他端は支柱19のうちの筒部12から常に突出している部分に固定される。これにより、支持パッド31は、取付部材32を介して支柱19に対して取り付けられ固定される。
【0044】
そして、支持パッド31,31によって術者2の上前腸骨棘2c部分を支えるようにすることで、胸部は当然のこととして腹部(の内臓)を圧迫することなく立位の体位を安定させることができる。なお、本実施形態では腸骨支持部30は左右一対の支持パッド31,31で構成されていると共にこれら左右の支持パッド31,31が左右に離されて配置され取り付けられているので、尚更、腹部が圧迫されてしまうことを防止することができる。
【0045】
ベース部40は、硬質のベース板部材41の上面に、本実施形態では、術者2の左足側にはステップ42が備えられ、右足側には顕微鏡7を操作するためのフットペダル7aが備えられる。なお、術者2が左足でフットペダル7aを操作する場合にはステップ42とフットペダル7aとの左右の配置を入れ換えれば良い。また、顕微鏡7ではない他の手術機器を操作するためのフットペダル等を備えるようにしても良いし、顕微鏡7等を使用しないのでフットペダル等が不要である場合には左右両側にステップ42を備えるようにしても良い。
【0046】
術者2を直接支えることになるステップ42は術者2が体の一部(即ち、足)を当接させた際の体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質で形成される。この材質は特定のものに限定されるものではないが、具体的には例えばエラストマー・ジェルが用いられる。
【0047】
ステップ42の上面は、水平でも構わないが、術者2が腸骨支持部30に腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を当接させることを自然に促すため、前傾勾配を僅かにつけることが好ましい。当該前傾勾配の角度は、特定の角度に限定されるものではないが、具体的には例えば3〜7度程度が好ましく、5度程度が最も好ましい。
【0048】
本実施形態の立位体位保持器具1は、さらに、アームレスト20及び腸骨支持部30の高さを調整し固定するための高さ調整機構50、及び、腸骨支持部30の左右一対の支持パッド31,31相互間の幅を調整し固定するための幅調整機構60を備える。
【0049】
本実施形態では具体的には、高さ調整機構50として、図7及び図8に示すように、本体部10の本体カバー11内の筒部12の下方に固定された駆動装置51を備え、支柱19が筒部12内を貫通すると共に駆動装置51の上端から突出して上下軸方向に往復運動するピストン51aに連結されて上下動自在に構成される。なお、図7及び図8においてはフットペダル7aの図示を省略している。
【0050】
駆動装置51としては、例えば電気アクチュエータが用いられ得るが、これに限定されるものではなく、支柱19を上下軸方向に往復運動させ得るものであれば良い。
【0051】
これにより、アームレスト20及び腸骨支持部30の高さを調整し固定することが可能になり(図7(最下位置),図8(最上位置)を参照)、術者の体格や手術時の姿勢に合わせてアームレスト20及び腸骨支持部30を好みの位置に固定することができ、術者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では具体的には、幅調整機構60として、図6に示すように、左右の取付部材32,32のそれぞれの周囲に取り付けられて(言い換えると、取付部材32を貫通させて)取付部材32の軸方向に摺動可能な筒状のスライダ61と、頭部にグリップを有すると共に軸部がスライダ61の周壁を貫通する固定用ねじ62とを備える。
【0053】
スライダ61は腸骨支持部30の支持パッド31の前支持部31aの前面に固定されている。
【0054】
固定用ねじ62の軸部(雄ねじ)と当該軸部が貫通するスライダ61の周壁の貫通孔(雌ねじ)とが噛み合い、そして、固定用ねじ62を締めると軸部の先端が取付部材32に当接してスライダ61の位置が固定される。
【0055】
これにより、腸骨支持部30の支持パッド31がスライダ61を介して取付部材32に沿って左右方向に移動することができると共に固定用ねじ62によって任意位置に固定することができるので、左右一対の支持パッド31,31相互間の幅を調整し固定することが可能になり、術者の体格や手術時の姿勢に合わせて左右の支持パッド31,31相互間の幅を好みの幅に固定することができ、術者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することが可能になる。
【0056】
以上のように構成された本発明の立位体位保持器具1は、それ自体が独立して単独で術者2のサポート器具として機能することができるので、既存の設備や施設に影響を与えることがなく、汎用性が非常に高く導入が容易である。しかも、例えば本実施形態の顕微鏡7のフットペダル7aのような手術機器の操作に関連する機器と組み合わせて使用することができるので、この点からも汎用性が非常に高く導入が容易である。
【0057】
また、以上のように構成された本発明の立位体位保持器具1によれば、立位体位の術者2の腸骨を前方・左右側方から腸骨支持部30で支えることによって体位を安定させるようにしているので、術者2の胸部や腹部(内蔵)を圧迫しないようにすることができると共に下肢の筋力を必要以上に使用しないようにすることができ、このため、術者2の疲労を軽減することができる。さらに言えば、術者2が例えば手術機器の操作に用いるフットペダルを操作するために片足立ちになったときでも上肢の自由を確保したままで体位を安定させることができ、自由な手術動作を確保すると共に前後方向・左右方向の体位のぶれを防止して安定的な立位体位を保持することができる。
【0058】
また、ステップ42の上面に前傾勾配を僅かにつける(最も好ましいのは5度程度)ようにしているので、自然な状態で術者2が腸骨支持部30に体を預けるやや前傾姿勢になるようにすることができ、余計な筋力を使わずに自然に楽な姿勢を保持することができると共に踵にかかる負担を軽減することができる。このため、術者2の疲労を軽減することができる。
【0059】
また、体重のおよそ16%を占める術者2の両腕をアームレスト20で下方から支えることによって上半身特に上肢を安定させるようにしているので、特に上半身の安定のために術者2の胸部を圧迫しないようにすることができると共に肩や腕の筋力を必要以上に使用しないようにすることができ、このため、術者2の疲労を軽減することができる。
【0060】
そして、上述のように術者2の疲労を軽減すると共に体位を安定させることができるので、術者2の繊細な作業を可能にし、しかも長時間に亘る繊細な作業を可能にし、質の高い手技の実現による手術の質の向上を図ることが可能になる。
【0061】
また、高さ調整機構50及び幅調整機構60を備えるようにしているので、術者2の体格や手術時の姿勢に合わせてアームレスト20や腸骨支持部30を好みの位置に固定するようにすることができ、このため、術者の姿勢変更及び姿勢維持をより一層良好に実現することができる。
【0062】
また、術者2の体の一部が当接する部分は体圧を分散するのに適当な弾性を備える材質(具体的には例えばエラストマージェル)で形成されるようにしているので、快適性を向上させることができると共に、術者の疲労軽減を実現することができる。
【0063】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では手術台6に横たわる患者5に対して顕微鏡7を用いて顕微鏡下脊髄手術を立位の体位で行う術者2が立位体位保持器具1を使用する場合を例に挙げて説明したが、本発明の立位体位保持器具の使用態様はこれに限られるものではなく、顕微鏡7とは異なる手術機器を使用する場合に用いることもできるし、特別の手術機器を使用しない場合に用いることもできるし、脊髄手術の他にも胸部手術や腹部手術などを行う場合に用いることもできる。さらに言えば、本発明の立位体位保持器具の使用態様は手術を行う術者の姿勢サポートに限られるものではなく、例えば、工場や工房などでの加工作業・組立作業等を立位姿勢で行う工員の姿勢サポートや、立位姿勢で会議を行う出席者の姿勢サポートや、立ち飲み屋・立ち食い屋やファストフード店などにおいて立位姿勢で飲食を行う客の姿勢サポートや、施設の入口において入場券の確認や半券の切取り等を立位姿勢で行う係員の姿勢サポートなど、立位の体位を維持する必要がある人の姿勢サポート器具として広く使用され得る。
【0064】
また、上述の実施形態ではベース部40のベース板部材41の上面にステップ42や手術機器を操作するためのフットペダル7aを備えるようにしているが、手術を行う術者が使用するのではなくて、例えば上述のように加工作業・組立作業等を行う工員が使用する場合には作業に使用する機械を操作するためのフットペダル等を備えるようにしても良いし、上述のように客や係員などが使用する場合には操作のためのペダルではなくて両足位置共にステップ42を備えるようにしても良いし或いはステップ42を備えずにベース板部材41のみにしても良い。なお、使用者が靴などを履いていることが想定される場合にはステップを硬質の材質で形成するようにしても良い。
【0065】
また、上述の実施形態では腸骨支持部30に加えてアームレスト20を備えるようにしているが、例えば図9に示すように、アームレスト20を備えないようにしても良い。この場合も、立位体位保持器具の使用者の腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を腸骨支持部30(左右一対の支持パッド31,31)によって支えて使用者の立位体位を安定的に保持することができ、使用者の疲労軽減などの効果を発揮することができる。なお、図9においてはフットペダル7aの図示を省略している。
【0066】
また、上述の実施形態ではアームレスト20を左右方向の前部20aと当該前部20aの左右両端部のそれぞれから後方に延出する側部20b,20bとを有して平面視コ字形に形成されるようにしているが、アームレスト20の形状は上述の実施形態のものに限られるものではない。具体的には例えば、前部20aの左右端部から後方に延出する側部20bを左右両端部のうちの一方のみに設けるようにしても良い。
【0067】
また、上述の実施形態では腸骨支持部30を左右一対の支持パッド31,31と取付部材32,32とを有するものとして構成するようにしているが、立位の体位の術者2の骨盤の腸骨、特に腸骨の上前腸骨棘2c部分を前方・左右側方から支えるものであれば、腸骨支持部30の構成は上述の実施形態のものに限られるものではない。具体的には例えば、左右の支持パッド31,31を一体とするようにしても良いし(即ち、支持パッド31は平面視コ字形になる)、左右どちらか一方の支持パッド31のみを有するようにしても良い。また、独立した部材である取付部材32を設けなくとも支持パッド31を支柱19に直接取り付けるようにしても良い。
【0068】
また、上述の実施形態では腸骨支持部30の左右一対の支持パッド31のそれぞれを前側の前支持部31aと左右側の横支持部31bとを有して平面視略L字形に形成されるようにしているが、立位の体位の術者2の骨盤の腸骨、特に上前腸骨棘2c部分を前方と左右側方とのうちの少なくとも一方から支えるものであれば、支持パッド31の形状は上述の実施形態のものに限られるものではなく、具体的には例えば腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を前方から支持する前支持部31aのみでも良いし、左右側方から支持する横支持部31bのみでも良い。また、上述のように左右どちらか一方の支持パッド31のみを有するようにしても良いので、腸骨支持部30は結局のところ、立位の体位の術者2の腸骨(特に上前腸骨棘2c部分)を、左側前方と右側前方と左側方と右側方との四方のうちの少なくとも一方から支持するものであれば良い。
【0069】
また、上述の実施形態ではアームレスト20と腸骨支持部30とを別体として備えるようにしているが、これらアームレスト20と腸骨支持部30とを一体として備えるようにしても良い。さらに、上述の実施形態では腸骨支持部30の左右の支持パッド31,31を別体として備えるようにしているが、これら左右の支持パッド31,31を一体として備えるようにしても良い。この場合は、具体的には例えば図10や図11に示すように、アームレスト20(前部20a及び側部20b,20b)から下方に垂れるように腸骨支持部30の支持パッド31,31(前支持部31a,31a及び横支持部31b,31b)を形成する。そして、支柱19上端に固定される取付部材32を介して支柱19に対して固定して取り付けられるようにしても良い。なお、この場合の取付部材32は平面視コ字形に形成される。また、この場合には、一体成形される左右の前支持部31a,31aの間の抜き空間31cを設けることにより(更に言えば、この抜き空間31cを前部20aに達する程度まで設けた場合には左右の支持パッド31,31を実質的に別体として備える態様と同じになり)、左右の支持パッド31,31を別体として構成した場合と同様に腹部(の内臓)の圧迫をより一層確実に防止しつつ立位の体位を安定させることができる。(なお、図11(B)及び(C)においては、調整用ねじ67にかかる部分において支持パッド31の横支持部31b,アームレスト20の側部20bが一部切り欠きになっている。)
【0070】
また、上述の実施形態ではベース部40を備えると共に本体部10及び支柱19を介してアームレスト20や腸骨支持部30がベース部40に対して固定されるようにしているが、ベース部40を備えないようにしても良い。具体的には例えば、腸骨支持部30を支柱19に取り付けると共に当該支柱19に取付具が設けられ、当該取付具を介して支柱19を例えば手術台6の側部に直接取り付けるようにしても良い。この場合には、立位体位保持器具が独立して単独で術者2のサポート器具として機能することはできないものの、術者2の立位体位を安定的に保持するという効果を発揮することはできる。
【0071】
また、上述の実施形態では高さ調整機構50によってアームレスト20と腸骨支持部30との両方の高さが調整されるようにしているが、アームレスト20と腸骨支持部30とのうちのどちらか一方のみの高さが調整されるようにしても良い。具体的には例えば、腸骨支持部30は本体部10の筒部12に取り付けられると共にアームレスト20のみが支柱19に取り付けられ、本実施形態のように支柱19を上下動させるようにし、腸骨支持部30の高さは固定である一方でアームレスト20のみの高さが調整されるようにしても良い。或いは、例えば、アームレスト20が取り付けられる支柱と腸骨支持部30が取り付けられる支柱とを別体にし、どちらか一方の支柱のみを上下動させるようにし、アームレスト20と腸骨支持部30とのうちのどちらか一方のみの高さが調整されるようにしても良い。
【0072】
(幅調整機構の他の実施形態1)
また、上述の実施形態ではスライダ61と固定用ねじ62とによって幅調整機構60を構成して腸骨支持部30を構成する左右一対の支持パッド31,31相互間の幅を任意位置に調整し固定するようにしているが、使用者の腸骨、特に上前腸骨棘2c部分を支える部材の幅を調整し固定可能な仕組みであれば幅調整機構60の構成はこれに限定されるものではない。
【0073】
具体的には例えば図10に示すように、支持パッド31の横支持部31bの使用者側の面に取り付けられるエアバッグ64と当該エアバッグ64に空気を送るポンプ65とから幅調整機構60を構成するようにしても良い。
【0074】
この構成の場合は、エアバッグ64が横支持部31bとして機能して使用者の腸骨(特に上前腸骨棘2c)部分を支える。そして、ポンプ65によってエアバッグ64内の空気量を調整することにより左右の支持パッド31と支持パッド31(エアバッグ64)との間の幅を好みの幅に調整し固定することができる。
【0075】
なお、図10においては右側の支持パッド31のみにエアバッグ64及びポンプ65を備えるようにしているが、左右両側の支持パッド31にこれらを備えるようにしても良い。
【0076】
(幅調整機構の他の実施形態2)
また、具体的には例えば図11に示すように、支持パッド31の横支持部31bの使用者側の側方に配置される当接プレート66と当該当接プレート66の横支持部31b側の面において先端が連結する軸部67a及び頭部67bを有する調整用ねじ67とから幅調整機構60を構成するようにしても良い。なお、軸部67aの先端は当接プレート66と軸回転可能に連結され、調整用ねじ67を出し入れするために回しても当接プレート66は回転せずに当接に適した姿勢が維持される。
【0077】
この構成の場合には、さらに、調整用ねじ67の軸部67aが貫通する左右方向の貫通孔が支持パッド31の横支持部31bに設けられると共に、この貫通孔に、雌ねじが形成されて調整用ねじ67の軸部67a(雄ねじ)が貫通するリング31cが取り付けられる。
【0078】
この構成の場合は、当接プレート66が横支持部31bとして機能して使用者の腸骨(上前腸骨棘2c)部分を支える。そして、調整用ねじ67の出し入れ量を調整することによって左右の支持パッド31と支持パッド31(当接プレート66)との間の幅を好みの幅に調整し固定することができる。
【0079】
なお、図11においては右側の支持パッド31のみに当接プレート66及び調整用ねじ67を備えるようにしているが、左右両側の支持パッド31にこれらを備えるようにしても良い。
【0080】
(幅調整機構の他の実施形態3)
さらに、具体的には例えば図12に示すように、取付部材32の左右それぞれの周囲に取り付けられて(言い換えると、取付部材32を貫通させて)取付部材32の軸方向に摺動可能な筒状のスライダ68によって幅調整機構60を実現するようにしても良い。
【0081】
筒状のスライダ68は、筒軸方向の左右端面における径が異なる貫通孔68bと、当該貫通孔68b周面に設けられて貫通孔68b内に突出する爪部68aと、貫通孔68b周面に取り付けられて貫通孔68b内に備えられる板ばね68cと、貫通孔68b周面に設けられて貫通孔68b内に突出する円柱状の係止突起68dとを有する。
【0082】
図12に示す例では、貫通孔68bの径は支柱19側(即ち中央寄り内側)よりも反対側(即ち左右外側)が大きく形成されて、貫通孔68bの径が小さい中央寄り内側に係止突起68dが形成され、貫通孔68bの径が大きい左右外側に爪部68aが形成される。
【0083】
爪部68aは、貫通孔68bの径が大きい方の端部に設けられる。一方、係止突起68dは、貫通孔68bの径が小さい方の端部に設けられる。
【0084】
板ばね68cは、貫通孔68bの径が小さい方に一端の固定端が配されると共に、貫通孔68bの径が大きい方に他端の揺動端が配され、貫通孔68bの軸方向に配置される
【0085】
爪部68aと板ばね68cとは、貫通孔68bの周面に、対向して(即ち、取付部材32を挟んで)配置される。そして、板ばね68cによって、スライダ68の板ばね68c側の周壁を取付部材32から引き離すと共に板ばね68cと対向する爪部68aを取付部材32に押し付けるように付勢力を発揮する。
【0086】
この構成の場合にはさらに、取付部材32に、スライダ68の係止突起68dが摺動可能に嵌まる取付部材32の軸方向の係合長溝32aが形成され、また、取付部材32の軸方向に所定の間隔で複数形成されてスライダ68の爪部68aが嵌まり込む凹部32b,32b,…が形成され、さらに、板ばね68cの揺動端が嵌まる取付部材32の軸方向の長溝32cが形成される。
【0087】
図12に示す例では、スライダ68の爪部68aと取付部材32の凹部32b,32b,…とが上側に形成され、係止突起68dと係合長溝32aとが前側及び後側に形成され、下側に板ばね68cが配置されると共に長溝32cが形成される。
【0088】
そして、スライダ68の係止突起68dが取付部材32の係合長溝32aに嵌まると共に板ばね68cの揺動端が長溝32cに嵌まることによって爪部68aが凹部32b,32b,…に嵌まり得る両者の位置関係が保たれたままで取付部材32の周囲をスライダ68が左右方向に摺動し、且つ、スライダ68の左右方向の摺動範囲が制限されて取付部材32から抜けてしまうことがない。
【0089】
板ばね68cの付勢力に抗する力をスライダ68の貫通孔68bの径が大きい方の端部(図12に示す例では上向きの力をスライダ68の左右外側の端部)に加えると、係止突起68dを中心としてスライダ68が揺動して爪部68aが凹部32bから外れ、スライダ68が取付部材32に対して摺動可能になって左右の支持パッド31と支持パッド31との間の幅を好みの幅に調整することができる。そして、好みの幅になった状態でスライダ68に加えていた力を解除すると、係止突起68dを中心としてスライダ68が揺動して爪部68aが凹部32bに嵌まり、スライダ68が取付部材32に対して固定される。
【0090】
なお、図12においては左右両側の支持パッド31に幅調整機構60を備えるようにしているが、左右どちらか一方のみの支持パッド31に幅調整機構60を備えるようにしても良い。
【0091】
また、図12はアームレストを備えない構成としているが、図12に示す幅調整機構60とアームレストとを組み合わせても勿論良い。
【符号の説明】
【0092】
1 立位体位保持器具
2 術者(使用者)
30 腸骨支持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立位体位の使用者の左右の腸骨のうちの少なくとも一方を左側前方と右側前方と左側方と右側方とのうちの少なくとも一方から支持する腸骨支持部を有することを特徴とする立位体位保持器具。
【請求項2】
前記腸骨支持部は、前記使用者の腸骨を左側前方及び右側前方から支持する前支持部と左側方及び右側方から支持する横支持部とを有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項3】
前記腸骨支持部が取り付けられる支柱と当該支柱が固定されるベース部とを更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項4】
前記使用者の足を乗せるステップが前記ベース部に備えられ、当該ステップの上面が3〜7度の前傾勾配を有することを特徴とする請求項3記載の立位体位保持器具。
【請求項5】
前記腸骨支持部の上方に、前記使用者の両腕のうちの少なくとも一方を下方から支えるアームレストを更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項6】
前記腸骨支持部が左右一対の支持パッドを有し、これら左右一対の支持パッド相互間の幅を調整する幅調整機構を更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項7】
前記腸骨支持部の高さを調整する高さ調整機構を更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項8】
前記アームレストの高さを調整する高さ調整機構を更に有することを特徴とする請求項5記載の立位体位保持器具。
【請求項1】
立位体位の使用者の左右の腸骨のうちの少なくとも一方を左側前方と右側前方と左側方と右側方とのうちの少なくとも一方から支持する腸骨支持部を有することを特徴とする立位体位保持器具。
【請求項2】
前記腸骨支持部は、前記使用者の腸骨を左側前方及び右側前方から支持する前支持部と左側方及び右側方から支持する横支持部とを有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項3】
前記腸骨支持部が取り付けられる支柱と当該支柱が固定されるベース部とを更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項4】
前記使用者の足を乗せるステップが前記ベース部に備えられ、当該ステップの上面が3〜7度の前傾勾配を有することを特徴とする請求項3記載の立位体位保持器具。
【請求項5】
前記腸骨支持部の上方に、前記使用者の両腕のうちの少なくとも一方を下方から支えるアームレストを更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項6】
前記腸骨支持部が左右一対の支持パッドを有し、これら左右一対の支持パッド相互間の幅を調整する幅調整機構を更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項7】
前記腸骨支持部の高さを調整する高さ調整機構を更に有することを特徴とする請求項1記載の立位体位保持器具。
【請求項8】
前記アームレストの高さを調整する高さ調整機構を更に有することを特徴とする請求項5記載の立位体位保持器具。
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2013−106857(P2013−106857A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255494(P2011−255494)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000108627)タカノ株式会社 (250)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】
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