立体感を有する印刷シート
【課題】 暗い環境におかれても視認者に意匠を視認させることが可能な用途を広げることができる立体感を有する印刷シートを提供する。
【解決手段】 被印刷板1の裏面には、視認者に視認させたい文字、記号、マーク等の意匠部分を白抜き部33として、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって地色インク層2が形成される。被印刷板1の裏面において、白抜き部33における外周部分に、透明インク層31が形成される。透明インク層31の裏面が高輝度インク層32で覆われる。透明インク層31の裏層に高輝度インク層32が形成されているので、白抜き部33の外周部に光沢感の違いによる影ができたようになり、視認者に、白抜き部33が浮き上がったように見せることができる。
【解決手段】 被印刷板1の裏面には、視認者に視認させたい文字、記号、マーク等の意匠部分を白抜き部33として、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって地色インク層2が形成される。被印刷板1の裏面において、白抜き部33における外周部分に、透明インク層31が形成される。透明インク層31の裏面が高輝度インク層32で覆われる。透明インク層31の裏層に高輝度インク層32が形成されているので、白抜き部33の外周部に光沢感の違いによる影ができたようになり、視認者に、白抜き部33が浮き上がったように見せることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、記号、マーク等の意匠を立体的に視認させることができる印刷シートに関する。
【背景技術】
【0002】
文字、記号、マーク等の意匠を立体的に視認させることができる印刷シートとして、基材上に印刷により意匠を形成し、さらに、その上に光反射性微粉末を含有する層を印刷することによって得られるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そのような印刷シートは、層中の光反射性微粉末の分布密度の差に起因して、外部からの光の反射度合に差を生じさせ、その結果、視認者に、意匠を立体的に見せることができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3220829号公報(段落0021−0022、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている印刷シートは、外部からの光の反射度合にもとづいて立体感を生じさせているので、印刷シートが暗い環境におかれた場合には、効果を発揮することができない。例えば、昼間では使用に耐えるものの、夜間では意匠を視認させることはできない。また、昼間でも、光量が少ない環境下では、意匠を視認させることが困難になることがある。すなわち、立体感を有する印刷シートの用途が限られてしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決できる発明であって、暗い環境におかれても視認者に意匠を視認させることが可能になり、用途を広げることができる立体感を有する印刷シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による立体感を有する印刷シートは、透明性を有する被印刷板と、意匠部分を白抜き部として被印刷板の裏面に形成された地色インク層と、白抜き部における外周に形成された透明インク層と、透明インク層の裏面に形成された高輝度インク層とを含むことを特徴とする。
【0008】
白抜き部の裏面に、無色または着色された光透過性インク層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、着色された白抜き部を視認者に視認させたり、被印刷板の裏面から照光する場合に、白抜き部の部分の明るさを均一にさせることができる。
【0009】
地色インク層の裏面に、不透明インクで形成される隠蔽層が設けらていてもよい。そのような構造によれば、地色インク層における光漏れを防止することができる。
【0010】
被印刷板の表面に、意匠を表す表示層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、印刷シートにおける白抜き部以外の領域においても意匠を視認させることができる。
【0011】
被印刷板の裏面と地色インク層との間に、意匠を表す表示層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、印刷シートにおける白抜き部以外の領域においても意匠を視認させることができ、また、使用者が印刷シートの表面に接触しても凹凸を感じることがない。
【0012】
被印刷板の表面に、表面コート層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、被印刷板に傷防止やつや消し等の付加価値を持たせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、立体感を有する印刷シートにおいて、暗い環境におかれても視認者に意匠を視認させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明による印刷シートの第1の実施の形態を示す図であり、図1(A)は平面図、図1(B)は部分断面図である。
【0016】
まず、本発明による印刷シートの第1の実施の形態の構造を説明する。基材となる被印刷板1として、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板などの透明性を有するフィルム状または板状の基材が用いられる。被印刷板1の表面(視認者が見る側の面)には、傷防止のためのハードコート処理や、つや消しのためのマットコート処理が施されてもよい。また、印刷が施される面である裏面(視認者が見る側と反対の面)は、印刷に支障がない程度に平滑である。
【0017】
被印刷板1の裏面には、視認者に視認させたい文字、記号、マーク等の意匠を除く部分に、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって地色インク層2が形成される。すなわち、意匠部分を白抜きにして被印刷板1の裏面に地色インク層2が形成される。地色インク層2は、有機顔料や無機顔料を含むカラーインク、アルミニウム粉末やブロンズ粉末等の金属粉顔料を含むメタリックインク、または、雲母単体もしくは雲母に酸化チタンや酸化鉄をコーティングして作るパール顔料を含むパールインクで形成される層である。以下、地色インク層2が形成されない部分を白抜き部(または透明層)33という。
【0018】
被印刷板1の裏面において、白抜き部33における外周部分に、透明インク層31が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成される。透明インク層31は、メジウムインクや透明性のあるUVインクなどによって形成される。
【0019】
さらに、透明インク層31の表面(視認者側から見ると裏面)と白抜き部33とは反対側の側面とが高輝度インク層32で覆われる。高輝度インク層32は、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって、アルミニウム粉末やブロンズ粉末等の金属粉顔料を含むミラーインクもしくはメタリックインクで、または、雲母単体もしくは雲母に酸化チタンや酸化鉄をコーティングして作るパール顔料を含むパールインクの中でも金属光沢を有するもので形成される層である。以下、白抜き部33、透明インク層31および高輝度インク層32で形成される部分を立体デザイン部3と呼ぶ。
【0020】
次に、本発明による印刷シートの第1の実施の形態の作用を説明する。図1に示すように形成された印刷シートにおける立体デザイン部3において、白抜き部33は、透明インク層31と、その裏層(視認者から見て遠い側)に形成されている高輝度インク層32とで縁取りがなされている。このように、立体デザイン部3において意匠を形成する部分(白抜き部33、透明インク層31および高輝度インク層32)は、被印刷板1の裏面に設けられている。透明インク層31の裏層に高輝度インク層32が形成されているので、白抜き部33の外周部に光沢感の違いによる影ができたようになる。そのため、視認者に、白抜き部33が浮き上がったように見せることができる。すなわち、視認者に対して、白抜き部33を立体的に見せることができる。
【0021】
図2は、印刷シートの印刷面(背面)側に設置された光源4から光を当てた様子を示す図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は断面図である。光源4の種類に特に制約はないが、LEDが好ましい。
【0022】
印刷シートの印刷面側から光を当てると、白抜き部33を光が透過するが、地色インク層2では、光は透過しないか、または白抜き部33に比べて少量の光しか透過しない。そのため、印刷シートの表面側から見ると、白抜き部33のみが光り、印刷シートが暗い環境下に置かれても、視認者は、意匠を視認することができる。光源4は、白色光を発するものでもよいが、着色光(例えば緑光)を発する光源4を使用すれば、着色(例えば緑)された意匠として見せることができる。
【0023】
実施の形態2.
図3は、本発明による印刷シートの第2の実施の形態を示す断面図である。図3に示すように、第2の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける透明層33に、さらに、無色または着色された光透過性インク層34が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。光透過性インク層34は、1層で形成されてもよいし、多層に形成されてもよい。なお、図3では、立体デザイン部3全体に光透過性インク層34が設けられている場合が示されている。
【0024】
例えば、光源4により照光しない場合に透明層33の部分を着色して見せたいときには、光透過性インク層34を印刷形成する際に、スモークインクや透過性のある赤や緑等のカラーインクを用いる。また、光源4により照光する場合に透明層33の部分を通過する光を拡散させたい場合には、光拡散効果を有するシリカや酸化チタン等の無機粉末、アクリルやPP(ポリプロピレン)等の樹脂粉末等を含む光拡散インクを用いる。光透過性インク層34を印刷形成する際に、透過性のあるカラーインクと拡散インクを重ねて用いることも可能である。
【0025】
この実施の形態では、照光しないときに、着色された透明層33を視認者に視認させたり、照光するときに、透明層33の部分の明るさを均一にさせることができるなど、印刷シートの用途をさらに広げることができる。
【0026】
実施の形態3.
図4は、本発明による印刷シートの第3の実施の形態を示す断面図である。図4に示すように、第3の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける地色インク層2の表面(視認者側から見ると裏面)に、隠蔽層5が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。隠蔽層5を印刷形成する際に、不透明インクを用いる。隠蔽層5は、1層で形成されてもよいし、多層に形成されてもよい。
【0027】
地色インク層2の色や、地色インク層2を形成する際に使用する顔料の種類によっては、照光を行った場合に、光が地色インク層2を透過することがある。しかし、不透明インクを1層または多層に重ねることによって形成される隠蔽層5を設けることによって、地色インク層2における光漏れを防止することができる。
【0028】
実施の形態4.
図5は、本発明による印刷シートの第4の実施の形態を示す断面図である。図5に示すように、第4の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける被印刷板1の表面に、傷防止やつや消し等の機能を有する表面コート層6が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。表面コート層6によって、被印刷板1に傷防止やつや消し等の付加価値を持たせることができる。
【0029】
実施の形態5.
図6は、本発明による印刷シートの第5の実施の形態を示す図であり、図6(A)は平面図、図6(B)は断面図である。
【0030】
図6に示すように、第5の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける被印刷板1の表面に、カラーインク(白インクおよび黒インクもカラーインクに含まれるとする)により、文字、記号、マーク等の意匠を表す表示層7がスクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。
【0031】
この実施の形態では、立体デザイン部3において視認者に意匠を視認させるだけでなく、印刷シートのその他の領域においても意匠を視認させることができる。なお、図6では、1つの意匠が例示されているが、多数の意匠を形成することもできる。
【0032】
実施の形態6.
図7は、本発明による印刷シートの第6の実施の形態を示す図であり、図7(A)は平面図、図7(B)は断面図である。
【0033】
図7に示すように、第6の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける被印刷板1の裏面と地色インク層2の間に、カラーインク(白インクおよび黒インクもカラーインクに含まれるとする)により、文字、記号、マーク等の意匠を表す表示層7がスクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。
【0034】
この実施の形態でも、立体デザイン部3において視認者に意匠を視認させるだけでなく、印刷シートのその他の領域においても意匠を視認させることができる。また、第5の実施の形態とは異なり、被印刷板1の表面が表示層7によって盛り上がることはなく、使用者が印刷シートの表面に接触しても凹凸を感じることがないので、家庭電化製品等の操作部に適用するのに適している。また、表示層7が摩耗するおそれもない。なお、図7では、1つの意匠が例示されているが、多数の意匠を形成することもできる。また、
【0035】
以上に説明したように、上記の各実施の形態の印刷シートは、立体デザイン部3において視認者に意匠を立体的に視認させることができる上に、光源4からの照光によって、印刷シートが暗い環境下におかれても、視認者に意匠を視認させることができる
【0036】
なお、上記の各実施の形態では、各層を印刷によって形成する場合について説明したが、インクを塗るなど、他の手法によって形成される印刷シートも本発明に含まれる。また、上記の第2〜第6の実施の形態の説明では、それぞれの特徴について説明したが、第2〜第6の実施の形態の特徴を任意に組み合わせることもできる。
【0037】
また、上記の各実施の形態の印刷シートであって操作のための意匠(立体デザイン部3)が設けられた印刷シートと、LEDなどの光源4とを組み合わせた操作パネルを形成することによって、意匠に立体感を持たせるとともに、暗い環境下でも操作が容易になる操作パネルを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば、自動車のメータパネル、携帯電話機の表示部分、冷蔵庫や電子レンジなどの家庭用電気製品の操作パネルへの応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による印刷シートの第1の実施の形態を示す平面図および断面図である。
【図2】印刷シートの背面側に設置された光源から光を当てた様子を示す平面図および断面図である。
【図3】本発明による印刷シートの第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明による印刷シートの第3の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明による印刷シートの第4の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明による印刷シートの第5の実施の形態を示す平面図および断面図である。
【図7】本発明による印刷シートの第6の実施の形態を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 被印刷板
2 地色インク層
3 立体デザイン部
31 透明インク層
32 高輝度インク層
33 白抜き部(透明層)
34 光透過性インク層
4 光源
5 隠蔽層
6 表面コート層
7 表示層
【技術分野】
【0001】
本発明は、文字、記号、マーク等の意匠を立体的に視認させることができる印刷シートに関する。
【背景技術】
【0002】
文字、記号、マーク等の意匠を立体的に視認させることができる印刷シートとして、基材上に印刷により意匠を形成し、さらに、その上に光反射性微粉末を含有する層を印刷することによって得られるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
そのような印刷シートは、層中の光反射性微粉末の分布密度の差に起因して、外部からの光の反射度合に差を生じさせ、その結果、視認者に、意匠を立体的に見せることができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3220829号公報(段落0021−0022、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されている印刷シートは、外部からの光の反射度合にもとづいて立体感を生じさせているので、印刷シートが暗い環境におかれた場合には、効果を発揮することができない。例えば、昼間では使用に耐えるものの、夜間では意匠を視認させることはできない。また、昼間でも、光量が少ない環境下では、意匠を視認させることが困難になることがある。すなわち、立体感を有する印刷シートの用途が限られてしまうという課題がある。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決できる発明であって、暗い環境におかれても視認者に意匠を視認させることが可能になり、用途を広げることができる立体感を有する印刷シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による立体感を有する印刷シートは、透明性を有する被印刷板と、意匠部分を白抜き部として被印刷板の裏面に形成された地色インク層と、白抜き部における外周に形成された透明インク層と、透明インク層の裏面に形成された高輝度インク層とを含むことを特徴とする。
【0008】
白抜き部の裏面に、無色または着色された光透過性インク層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、着色された白抜き部を視認者に視認させたり、被印刷板の裏面から照光する場合に、白抜き部の部分の明るさを均一にさせることができる。
【0009】
地色インク層の裏面に、不透明インクで形成される隠蔽層が設けらていてもよい。そのような構造によれば、地色インク層における光漏れを防止することができる。
【0010】
被印刷板の表面に、意匠を表す表示層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、印刷シートにおける白抜き部以外の領域においても意匠を視認させることができる。
【0011】
被印刷板の裏面と地色インク層との間に、意匠を表す表示層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、印刷シートにおける白抜き部以外の領域においても意匠を視認させることができ、また、使用者が印刷シートの表面に接触しても凹凸を感じることがない。
【0012】
被印刷板の表面に、表面コート層が設けられていてもよい。そのような構造によれば、被印刷板に傷防止やつや消し等の付加価値を持たせることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、立体感を有する印刷シートにおいて、暗い環境におかれても視認者に意匠を視認させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明による印刷シートの第1の実施の形態を示す図であり、図1(A)は平面図、図1(B)は部分断面図である。
【0016】
まず、本発明による印刷シートの第1の実施の形態の構造を説明する。基材となる被印刷板1として、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板などの透明性を有するフィルム状または板状の基材が用いられる。被印刷板1の表面(視認者が見る側の面)には、傷防止のためのハードコート処理や、つや消しのためのマットコート処理が施されてもよい。また、印刷が施される面である裏面(視認者が見る側と反対の面)は、印刷に支障がない程度に平滑である。
【0017】
被印刷板1の裏面には、視認者に視認させたい文字、記号、マーク等の意匠を除く部分に、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって地色インク層2が形成される。すなわち、意匠部分を白抜きにして被印刷板1の裏面に地色インク層2が形成される。地色インク層2は、有機顔料や無機顔料を含むカラーインク、アルミニウム粉末やブロンズ粉末等の金属粉顔料を含むメタリックインク、または、雲母単体もしくは雲母に酸化チタンや酸化鉄をコーティングして作るパール顔料を含むパールインクで形成される層である。以下、地色インク層2が形成されない部分を白抜き部(または透明層)33という。
【0018】
被印刷板1の裏面において、白抜き部33における外周部分に、透明インク層31が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成される。透明インク層31は、メジウムインクや透明性のあるUVインクなどによって形成される。
【0019】
さらに、透明インク層31の表面(視認者側から見ると裏面)と白抜き部33とは反対側の側面とが高輝度インク層32で覆われる。高輝度インク層32は、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって、アルミニウム粉末やブロンズ粉末等の金属粉顔料を含むミラーインクもしくはメタリックインクで、または、雲母単体もしくは雲母に酸化チタンや酸化鉄をコーティングして作るパール顔料を含むパールインクの中でも金属光沢を有するもので形成される層である。以下、白抜き部33、透明インク層31および高輝度インク層32で形成される部分を立体デザイン部3と呼ぶ。
【0020】
次に、本発明による印刷シートの第1の実施の形態の作用を説明する。図1に示すように形成された印刷シートにおける立体デザイン部3において、白抜き部33は、透明インク層31と、その裏層(視認者から見て遠い側)に形成されている高輝度インク層32とで縁取りがなされている。このように、立体デザイン部3において意匠を形成する部分(白抜き部33、透明インク層31および高輝度インク層32)は、被印刷板1の裏面に設けられている。透明インク層31の裏層に高輝度インク層32が形成されているので、白抜き部33の外周部に光沢感の違いによる影ができたようになる。そのため、視認者に、白抜き部33が浮き上がったように見せることができる。すなわち、視認者に対して、白抜き部33を立体的に見せることができる。
【0021】
図2は、印刷シートの印刷面(背面)側に設置された光源4から光を当てた様子を示す図であり、図2(A)は平面図、図2(B)は断面図である。光源4の種類に特に制約はないが、LEDが好ましい。
【0022】
印刷シートの印刷面側から光を当てると、白抜き部33を光が透過するが、地色インク層2では、光は透過しないか、または白抜き部33に比べて少量の光しか透過しない。そのため、印刷シートの表面側から見ると、白抜き部33のみが光り、印刷シートが暗い環境下に置かれても、視認者は、意匠を視認することができる。光源4は、白色光を発するものでもよいが、着色光(例えば緑光)を発する光源4を使用すれば、着色(例えば緑)された意匠として見せることができる。
【0023】
実施の形態2.
図3は、本発明による印刷シートの第2の実施の形態を示す断面図である。図3に示すように、第2の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける透明層33に、さらに、無色または着色された光透過性インク層34が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。光透過性インク層34は、1層で形成されてもよいし、多層に形成されてもよい。なお、図3では、立体デザイン部3全体に光透過性インク層34が設けられている場合が示されている。
【0024】
例えば、光源4により照光しない場合に透明層33の部分を着色して見せたいときには、光透過性インク層34を印刷形成する際に、スモークインクや透過性のある赤や緑等のカラーインクを用いる。また、光源4により照光する場合に透明層33の部分を通過する光を拡散させたい場合には、光拡散効果を有するシリカや酸化チタン等の無機粉末、アクリルやPP(ポリプロピレン)等の樹脂粉末等を含む光拡散インクを用いる。光透過性インク層34を印刷形成する際に、透過性のあるカラーインクと拡散インクを重ねて用いることも可能である。
【0025】
この実施の形態では、照光しないときに、着色された透明層33を視認者に視認させたり、照光するときに、透明層33の部分の明るさを均一にさせることができるなど、印刷シートの用途をさらに広げることができる。
【0026】
実施の形態3.
図4は、本発明による印刷シートの第3の実施の形態を示す断面図である。図4に示すように、第3の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける地色インク層2の表面(視認者側から見ると裏面)に、隠蔽層5が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。隠蔽層5を印刷形成する際に、不透明インクを用いる。隠蔽層5は、1層で形成されてもよいし、多層に形成されてもよい。
【0027】
地色インク層2の色や、地色インク層2を形成する際に使用する顔料の種類によっては、照光を行った場合に、光が地色インク層2を透過することがある。しかし、不透明インクを1層または多層に重ねることによって形成される隠蔽層5を設けることによって、地色インク層2における光漏れを防止することができる。
【0028】
実施の形態4.
図5は、本発明による印刷シートの第4の実施の形態を示す断面図である。図5に示すように、第4の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける被印刷板1の表面に、傷防止やつや消し等の機能を有する表面コート層6が、スクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。表面コート層6によって、被印刷板1に傷防止やつや消し等の付加価値を持たせることができる。
【0029】
実施の形態5.
図6は、本発明による印刷シートの第5の実施の形態を示す図であり、図6(A)は平面図、図6(B)は断面図である。
【0030】
図6に示すように、第5の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける被印刷板1の表面に、カラーインク(白インクおよび黒インクもカラーインクに含まれるとする)により、文字、記号、マーク等の意匠を表す表示層7がスクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。
【0031】
この実施の形態では、立体デザイン部3において視認者に意匠を視認させるだけでなく、印刷シートのその他の領域においても意匠を視認させることができる。なお、図6では、1つの意匠が例示されているが、多数の意匠を形成することもできる。
【0032】
実施の形態6.
図7は、本発明による印刷シートの第6の実施の形態を示す図であり、図7(A)は平面図、図7(B)は断面図である。
【0033】
図7に示すように、第6の実施の形態の印刷シートは、第1の実施の形態の印刷シートにおける被印刷板1の裏面と地色インク層2の間に、カラーインク(白インクおよび黒インクもカラーインクに含まれるとする)により、文字、記号、マーク等の意匠を表す表示層7がスクリーン印刷その他の手法による印刷によって形成されたものである。
【0034】
この実施の形態でも、立体デザイン部3において視認者に意匠を視認させるだけでなく、印刷シートのその他の領域においても意匠を視認させることができる。また、第5の実施の形態とは異なり、被印刷板1の表面が表示層7によって盛り上がることはなく、使用者が印刷シートの表面に接触しても凹凸を感じることがないので、家庭電化製品等の操作部に適用するのに適している。また、表示層7が摩耗するおそれもない。なお、図7では、1つの意匠が例示されているが、多数の意匠を形成することもできる。また、
【0035】
以上に説明したように、上記の各実施の形態の印刷シートは、立体デザイン部3において視認者に意匠を立体的に視認させることができる上に、光源4からの照光によって、印刷シートが暗い環境下におかれても、視認者に意匠を視認させることができる
【0036】
なお、上記の各実施の形態では、各層を印刷によって形成する場合について説明したが、インクを塗るなど、他の手法によって形成される印刷シートも本発明に含まれる。また、上記の第2〜第6の実施の形態の説明では、それぞれの特徴について説明したが、第2〜第6の実施の形態の特徴を任意に組み合わせることもできる。
【0037】
また、上記の各実施の形態の印刷シートであって操作のための意匠(立体デザイン部3)が設けられた印刷シートと、LEDなどの光源4とを組み合わせた操作パネルを形成することによって、意匠に立体感を持たせるとともに、暗い環境下でも操作が容易になる操作パネルを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、例えば、自動車のメータパネル、携帯電話機の表示部分、冷蔵庫や電子レンジなどの家庭用電気製品の操作パネルへの応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による印刷シートの第1の実施の形態を示す平面図および断面図である。
【図2】印刷シートの背面側に設置された光源から光を当てた様子を示す平面図および断面図である。
【図3】本発明による印刷シートの第2の実施の形態を示す断面図である。
【図4】本発明による印刷シートの第3の実施の形態を示す断面図である。
【図5】本発明による印刷シートの第4の実施の形態を示す断面図である。
【図6】本発明による印刷シートの第5の実施の形態を示す平面図および断面図である。
【図7】本発明による印刷シートの第6の実施の形態を示す平面図および断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 被印刷板
2 地色インク層
3 立体デザイン部
31 透明インク層
32 高輝度インク層
33 白抜き部(透明層)
34 光透過性インク層
4 光源
5 隠蔽層
6 表面コート層
7 表示層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明性を有する被印刷板と、意匠部分を白抜き部として前記被印刷板の裏面に形成された地色インク層と、前記白抜き部における外周に形成された透明インク層と、該透明インク層の裏面に形成された高輝度インク層とを含むことを特徴とする立体感を有する印刷シート。
【請求項2】
白抜き部の裏面に、無色または着色された光透過性インク層が設けられている
請求項1記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項3】
地色インク層の裏面に、不透明インクで形成される隠蔽層が設けられている
請求項1または請求項2記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項4】
被印刷板の表面に、意匠を表す表示層が設けられている
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項5】
被印刷板の裏面と地色インク層との間に、意匠を表す表示層が設けられている
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項6】
被印刷板の表面に、表面コート層が設けられている
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項1】
透明性を有する被印刷板と、意匠部分を白抜き部として前記被印刷板の裏面に形成された地色インク層と、前記白抜き部における外周に形成された透明インク層と、該透明インク層の裏面に形成された高輝度インク層とを含むことを特徴とする立体感を有する印刷シート。
【請求項2】
白抜き部の裏面に、無色または着色された光透過性インク層が設けられている
請求項1記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項3】
地色インク層の裏面に、不透明インクで形成される隠蔽層が設けられている
請求項1または請求項2記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項4】
被印刷板の表面に、意匠を表す表示層が設けられている
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項5】
被印刷板の裏面と地色インク層との間に、意匠を表す表示層が設けられている
請求項1から請求項4のうちのいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【請求項6】
被印刷板の表面に、表面コート層が設けられている
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の立体感を有する印刷シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2006−7623(P2006−7623A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189115(P2004−189115)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000220686)東京特殊印刷工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000220686)東京特殊印刷工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】
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