説明

立体成形容器

【課題】本発明の目的は、保管又は流通時には平面状で嵩張らず、使用時には、加熱によって立体に成形する容器を提供することである。
【解決手段】本発明に係る立体成形容器101は、底面11及び底面11の少なくとも1つの辺に折罫13を介して連接する側片12を有する台紙10と、少なくとも1枚の熱収縮フィルム21を有し、少なくとも側片12の上端にて台紙10に重ね合わせた状態で固定されるフィルム部20とを備え、熱収縮フィルム21の収縮に伴い、側片12が起立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体成形容器に関し、特に、加熱によって立体化する立体成形容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子レンジなどを用いて加熱又は加熱調理して食する包装食品が流通している。これらの包装食品の容器として、表裏二枚のフィルムの周囲をシールした平パウチ状の包装袋が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。板紙と2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとの積層体からなり、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム側を内側にして製函した紙容器が提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。また、加熱後に内容物を包装容器から他の容器に移し替えることなく、包装容器を食器として活用できるプラスチック成形容器が提案されている(例えば、特許文献3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−321519号公報
【特許文献2】特開平7−277318号公報
【特許文献3】特開2005−35563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1をはじめとする平パウチ状の包装袋は、保管・輸送時の省スペースが図れるが、飲食のために内容物を食器などの他の容器に移し替えなければならないという不便がある。また、加熱後の包装袋は、非常に高温になっているために、電子レンジから取り出し、包装袋を開封して、他の容器に移し替える作業は厄介である。特許文献2をはじめとする紙容器は、使用時に製函する手間がある。また、密封性がないために、液体を収容するのに適さない。特許文献3をはじめとする包装容器は、保管・流通時に嵩張り、取り扱いが困難である。また、ある程度の剛性を必要とするため、使用後の廃棄の問題がある。
【0005】
本発明の目的は、保管又は流通時及び廃棄時には平面状で嵩張らず、使用時には、加熱によって立体に成形する容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、熱収縮フィルムが加熱によって収縮する力を利用して、容器を立体に成形できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明に係る立体成形容器は、底面及び該底面の少なくとも1つの辺に折罫を介して連接する側片を有する台紙と、少なくとも1枚の熱収縮フィルムを有し、少なくとも前記側片の上端にて前記台紙に重ね合わせた状態で固定されるフィルム部とを備え、前記熱収縮フィルムの収縮に伴い、前記側片が起立することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る立体成形容器では、前記側片が、前記底面のすべての辺に設けられることが好ましい。流動性のある被包装物により適した容器とすることができる。
【0008】
本発明に係る立体成形容器では、前記フィルム部が、熱収縮フィルムと非熱収縮フィルムとを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であり、前記非熱収縮フィルムが、前記台紙側になるように固定されていることが好ましい。容器の内容積を大きく、かつ、液体の容器としてより適したものとすることができる。
【0009】
本発明に係る立体成形容器では、前記フィルム部が、熱収縮フィルムと非熱収縮フィルムとを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であり、前記熱収縮フィルムが、前記台紙側になるように固定されていることが好ましい。容器の内容積を大きく、かつ、台紙とフィルム部との間が空洞になるため、断熱効果が得られ、加熱後の容器の取扱性が向上する。
【0010】
本発明に係る立体成形容器では、前記フィルム部が、熱収縮フィルムと熱収縮フィルムとを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であることが好ましい。台紙とフィルム部との間が空洞になるため、断熱効果が得られ、加熱後の容器の取扱性が向上する。
【0011】
本発明に係る立体成形容器では、前記フィルム部が、相隣り合う前記側片の側端の間をまたいで重ね合わせられていることが好ましい。容器の内容積を大きくとることができる。
【0012】
本発明に係る立体成形容器では、前記フィルム部が、前記側片の側端で固定されていないことが好ましい。容器の内容積を大きくとることができる。
【0013】
本発明に係る立体成形容器では、前記フィルム部を正面視した面積(Sb)と前記熱収縮フィルムの加熱による面積収縮率(Ra)とから算出した収縮後のフィルム部の面積をSaとし、前記側片が起立した後形成する容器開口部の面積をSpとし、面積比(Sa/Sp)が、数1を満たすことが好ましい。外観により優れた容器とすることができる。
(数1)Sa/Sp=Sb×(1−Ra)/Sp=0.50〜1.90
【0014】
本発明に係る立体成形容器では、前記非熱収縮フィルムの前記熱収縮フィルム側の表面が、金属蒸着部を有することが好ましい。マイクロ波加熱によって、被包装物に焦げ目をつけることができるため、特に食品用容器として適したものにすることができる。
【0015】
本発明に係る立体成形容器では、非熱収縮フィルムの表面に金属蒸着部を設けたマイクロ波発熱用フィルムを、前記立体成形容器の内部に更に備えることが好ましい。マイクロ波加熱によって、被包装物に焦げ目をつけることができるため、特に食品用容器として適したものにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、保管又は流通時には平面状で嵩張らず、使用時には、加熱によって立体に成形する容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第一実施形態に係る立体成形容器の立体成形前を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA‐A破断面図である。
【図2】第一実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のB‐B破断面図である。
【図3】第一実施形態に係る立体成形容器の変形例を示す上面図である。
【図4】第二実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示す破断面図である。
【図5】第三実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示す破断面図である。
【図6】第四実施形態に係る立体成形容器の立体成形前を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のC‐C破断面図である。
【図7】第四実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のD‐D破断面図である。
【図8】第五実施形態に係る立体成形容器を示し、(a)は立体成形前の上面図、(b)は立体成形後の斜視図である。
【図9】第六実施形態に係る立体成形容器の立体成形前の上面図である。
【図10】第七形態に係る立体成形容器を示し、(a)は立体成形前の上面図、(b)は立体成形後の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
【0019】
(第一実施形態)
図1及び図2を参照して、第一実施形態に係る立体成形容器について説明する。図1は、第一実施形態に係る立体成形容器の立体成形前を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のA‐A破断面図である。図2は、第一実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のB‐B破断面図である。第一実施形態に係る立体成形容器101は、底面11及び底面11の少なくとも1つの辺に折罫13を介して連接する側片12を有する台紙10と、少なくとも1枚の熱収縮フィルム21を有し、少なくとも側片12の上端12aにて台紙10に重ね合わせた状態で固定されるフィルム部20とを備え、熱収縮フィルム21の収縮に伴い、側片12が起立する。
【0020】
台紙10は、立体成形前(加熱前)は、平面状の板材である。第一実施形態に係る立体成形容器101では、長方形状の底面11と、底面11のすべての辺に折罫13を介して側片12が連接している。側片12を底面11のすべての辺に設けることで、側片12が全周にわたる側壁を形成するので、流動性のある被包装物1により適した容器とすることができる。
【0021】
台紙10の材質は、用途に応じて選択可能であり、例えば、紙、プラスチック、金属、木材である。この中で、耐熱性及び加工性の点で、紙を主体とすることが好ましい。紙の坪量は100〜600g/mであることが好ましく、より好ましくは、250〜470g/mである。紙を主体とする場合は、例えば、単層抄き又は多層抄き板紙、段ボールなどの紙材、紙材の片面又は両面にプラスチックを積層した積層体である。積層体は、例えば、紙材にプラスチックを溶融押出ラミネートしてプラスチック層を形成した積層体、紙材にプラスチックを塗布してプラスチック層を形成した積層体又は紙材にプラスチックシートを貼り合せた積層体である。これらの積層体は、ラミネート紙、ミルクカートン用紙と呼ばれることもある。紙材に積層するプラスチックは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリアミド(ナイロン)、ポリアミドイミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネートである。この中で、ヒートシール性及び耐水性に優れる点で、ポリエチレン、ポリプロピレンがより好ましい。台紙の厚さは、特に限定されないが、例えば、台紙としてミルクカートン用紙を用いた場合には、0.2〜2.0mmであることが好ましい。より好ましくは、0.4〜0.8mmである。
【0022】
フィルム部20は、少なくとも1枚の熱収縮フィルム21を有する。熱収縮フィルム21は、一軸又は二軸に延伸したフィルムが加熱によって収縮する性質を利用した包装材料であり、シュリンクフィルムと呼ばれることもある。熱収縮フィルム21の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンである。熱収縮フィルム21の構成は、単層又は多層のいずれでもよいが、バリア性、耐熱性などの機能付与、ヒートシール性などの加工性向上などの包材設計を容易にできる点で、多層であることが好ましい。また、最表層が、ヒートシール性を有することが好ましい。なお、本実施形態では、熱収縮フィルム21の材質及び構成は、特に限定されない。また、熱収縮フィルム21として、例えば、クレハ社製の商品名クレハロン MLB‐1000などの市販品を用いることができる。
【0023】
熱収縮フィルム21は、二軸延伸フィルムであることがより好ましい。さらに、縦方向(MD方向)の熱収縮率(Rm)と横方向(TD方向)の熱収縮率(Rt)との割合(Rm/Rt)は、0.80〜1.50であることが好ましい。より好ましくは、0.90〜1.30である。ここで、MD方向の熱収縮率(Rm)は、収縮前のMD方向の長さをLm0とし、80℃の熱水に10秒間浸漬した収縮後のMD方向の長さをLm1とした場合、数2によって算出したフィルムのMD方向の熱収縮率である。また、TD方向の熱収縮率(Rt)は、TD方向の収縮率であり、Rmと同様に算出できる。
(数2)Rm[%]=Lm1/Lm0×100
【0024】
熱収縮フィルム21の厚さは、10〜100μmであることが好ましい。より好ましくは、30〜80μmである。
【0025】
フィルム部20は、少なくとも側片12の上端12aにて台紙10に固定される。フィルム部20を側片12の上端12aにて固定することで、熱収縮フィルム21が収縮する力で、側片12を起立させ、平面状の台紙10を3次元の箱状の容器とすることができる。図2に示すように、立体成形後は、側片12は、容器の側壁となる。台紙10とフィルム部20とを固定する範囲は、側片12を起立可能であればよく、特に限定しない。例えば、第一実施形態に係る立体成形容器101では、側片12の上端12aの全幅にわたって固定しているが、局部的に固定してもよい。また、固定パターンは、特に限定されず、ライン状の他、例えばドット状としてもよい。
【0026】
第一実施形態に係る立体成形容器101では、図1(b)に示すように、フィルム部20は、熱収縮フィルム21と非熱収縮フィルム22とを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であり、非熱収縮フィルム22が、台紙10側になるように固定されている。第一実施形態に係る立体成形容器101のようにフィルム部20は、袋状であることが好ましい。袋状にすることで、バリア性の付与が容易にできる、台紙10の材質を簡素化できる、又は、立体成形を円滑に行うことができるなどの利点がある。
【0027】
被包装物1は、熱収縮フィルム21と非熱収縮フィルム22とで形成した袋内に密封されている。被包装物1は、例えば、生鮮食品、調理済み又は半調理済みの食品である。食品は、例えば、とうもろこし、枝豆、ジャガイモ、餃子、カレー、シチュー、米飯、麺、肉、魚、卵類である。本実施形態では、被包装物1の種類に限定されず、被包装物1は、食品の他、例えば、ネジ、ボルト、ナット、ボタン、ビーズである。
【0028】
非熱収縮フィルム22は、単層のプラスチックフィルム(以降、単層フィルムという。)又は積層のプラスチックフィルム(以降、積層フィルムという。)である。バリア性、耐熱性などの機能付与、ヒートシール性などの加工性向上などの包材設計を容易にできる点で、積層フィルムであることがより好ましい。非熱収縮フィルム22が、単層フィルムである場合には、ヒートシール性を有することが好ましい。ヒートシール性を有する単層フィルムは、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、エチレン‐酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルムである。非熱収縮フィルム22が、積層フィルムである場合には、最表層が、ヒートシール性を有することが好ましい。積層フィルムの構成は、例えば、シーラントフィルム及びそれ以外のフィルムからなる二層以上のフィルムであり、シーラントフィルムは、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、エチレン‐酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルムである。それ以外のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、エチレン‐ビニルアルコール共重合体、シリカ、アルミナ又はアルミニウムを蒸着したフィルム、有機コートフィルム、ポリグリコール酸フィルム(PGA)、ポリ乳酸フィルム(PLA)、ポリ塩化ビニリデンをコーティングしたフィルム、アルミニウム箔、紙、不織布である。非熱収縮フィルム22の厚さは、特に限定されないが、例えば、総厚で10〜300μmである。
【0029】
第一実施形態に係る立体成形容器101を加熱して立体成形すると、熱収縮フィルム21が収縮して側片12が起立し、図2に示すような直方体の箱状の容器を形成する。熱収縮フィルム21は、直方体の天面となり、非熱収縮フィルム22は、台紙10の底面11及び側片12に沿って、凹部を形成する。被包装物1は、非熱収縮フィルム22が形成する凹部内に収容されているため、第一実施形態に係る立体成形容器101は、被包装物1が液体、粘体などの流動性を有する物質である場合に特に適している。
【0030】
第一実施形態に係る立体成形容器101では、非熱収縮フィルム22が、底面11に固定されていることが好ましい。非熱収縮フィルム22を底面11に固定することで、非熱収縮フィルム22が、より確実に台紙10の底面11及び側片12に沿った凹部を形成するため、開封時に非熱収縮フィルム22を誤って切断してしまうことを回避し、開封を容易に行うことができる。また、開封後の被包装物1がこぼれることを防止することができる。非熱収縮フィルム22と底面11とを固定する範囲は、特に限定されないが、例えば、図1(a)の符号Pで示すように、底面11の周辺に沿って、全周にわたって固定することが好ましい。
【0031】
フィルム部20には、開封手段を設けることが好ましい。開封手段は、例えば、手で開封できるように、フィルム部の溶着部に切れ込み(ノッチ)を設ける方法、引裂き糸、カットテープなどのカット誘導体をフィルム部の内側に固定し、カット誘導体を引く時の剪断力によってフィルムを切断する方法である。さらに、フィルム部が積層フィルムで構成している場合には、ベースフィルムの一部又は全体にミシン目、微細孔、傷痕などを施す方法がある。
【0032】
また、第一実施形態に係る立体成形容器101では、非熱収縮フィルム22が、台紙10の表面のうちフィルム部20を固定する側の全面にラミネートしたプラスチックフィルム層である形態を包含する。
【0033】
フィルム部20は、空気の膨張、被包装物1からの水蒸気の発生など、加熱によって容器内の内圧が高まった時の通蒸手段(不図示)を有することが好ましい。通蒸手段は、特に限定されず、例えば、フィルム部20にガス抜きのための通気孔を設ける方法、フィルム部20の一部にハーフカットを施す方法、溶着部分の一部に剥離し易い部分を設ける方法である。
【0034】
熱収縮フィルムの面積収縮率(Ra)は、容器の寸法、立体成形後に側片12が形成する側壁の高さ及び台紙10の材質などに応じて適宜選択することができる。第一実施形態に係る立体成形容器101では、図1(a)に示す立体成形前のフィルム部20を正面視した面積(Sb)と熱収縮フィルム21の加熱による面積収縮率(Ra)とから算出した収縮後のフィルム部の面積をSaとし、図2(a)に示す側片12が起立した後形成する容器開口部15の面積をSpとし、面積比(Sa/Sp)が、数1を満たすことが好ましい。面積比(Sa/Sp)をこの範囲にすることで、外観により優れた容器とすることができる。
(数1)Sa/Sp=Sb×(1−Ra)/Sp=0.50〜1.90
【0035】
面積比(Sa/Sp)は、より好ましくは、0.60〜1.78であり、特に好ましくは0.95〜1.00である。
【0036】
面積収縮率(Ra)は、収縮前の基準面積をS0とし、80℃の熱水に10秒間浸漬した収縮後の面積をS1とした場合、数3によって求める。
(数3)Ra=(S0−S1)/S0
【0037】
第一実施形態に係る立体成形容器101のように、フィルム部20は、相隣り合う側片12の側端12bの間をまたいで重ね合わせられていることが好ましい。相隣り合う側片12の側端12bの間をまたいだ部分とは、図1(a)の符号8で示した部分である。図3は、第一実施形態に係る立体成形容器の変形例を示す上面図である。図3に示す変形例の立体成形容器101aでは、台紙10とフィルム部20aとが同一の輪郭形状を有し、完全に重なり合い、フィルム部20aは、相隣り合う側片12の側端12bの間をまたいでいない。変形例の立体成形容器101aは、第一実施形態に係る立体成形容器101と同様に、図2に示すように直方体の箱状の容器を成形する。しかし、第一実施形態に係る立体成形容器101と変形例の立体成形容器101aとを比較すると、フィルム部20を、相隣り合う側片12の側端12bの間をまたいで重ね合わせた第一実施形態に係る立体成形容器101のフィルム部20の方が、変形例の立体成形容器101aのフィルム部20aよりも、内容積が大きいことがわかる。よって、フィルム部20を、相隣り合う側片12の側端12bの間をまたいで重ね合わせることで、内容積をより大きくすることができる。
【0038】
(第二実施形態)
図4は、第二実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示す破断面図である。第二実施形態に係る立体成形容器102では、フィルム部20bが、熱収縮フィルム21と非熱収縮フィルム22とを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であり、熱収縮フィルム21が、台紙10側になるように固定されている。第二実施形態に係る立体成形容器102は、熱収縮フィルム21が台紙10側になるように固定されている点以外は、第一実施形態に係る立体成形容器101と同様の構成を有する。
【0039】
第二実施形態に係る立体成形容器102を加熱して立体成形すると、熱収縮フィルム21が収縮し、側片12が起立する。図4に示すように、フィルム部20bは、起立した側片12の上端12aを支点として、底面11とほぼ水平な状態で張架する。被包装物1は、熱収縮フィルム21と非熱収縮フィルム22とで形成した袋内に密封されている。台紙10と熱収縮フィルム21との間には、空間16が形成される。空間16によって、被包装物1の熱が台紙10に伝わりにくくなり、加熱後の容器の取り扱いが容易になる。第二実施形態に係る立体成形容器102は、被包装物1が固形物などの流動性の小さい物質である場合及び加熱によって高温になりやすい物質である場合に特に適している。
【0040】
(第三実施形態)
図5は、第三実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示す破断面図である。図5に示すように、第三実施形態に係る立体成形容器103では、フィルム部20cが、熱収縮フィルム21aと熱収縮フィルム21bとを重ね、周辺を溶着して形成した袋状である。第三実施形態に係る立体成形容器103は、フィルム部20cが熱収縮フィルム21aと熱収縮フィルム21bとで形成した袋状であり、熱収縮フィルム21bと台紙10とを固定している点以外は、第一実施形態に係る立体成形容器101と同様の構成を有する。ここから、便宜上、台紙10と固定する熱収縮フィルム21bを下熱収縮フィルム、他方の熱収縮フィルム21aを上熱収縮フィルムという。上熱収縮フィルム21aと下熱収縮フィルム21bとは、同じ材質にするか、又は異なる材質とするかを問わない。また、フィルム部20cは、1枚の熱収縮フィルム(不図示)を中央部で折り返し、周辺を溶着して形成することができる。
【0041】
第三実施形態に係る立体成形容器103を加熱して立体成形すると、上熱収縮フィルム21a及び下熱収縮フィルム21bが収縮し、側片12が起立する。図5に示すようにフィルム部20cは、起立した側片12の上端12aを支点として、底面11とほぼ水平な状態で張架する。被包装物1は、上熱収縮フィルム21aと下熱収縮フィルム21bとの間に配置される。台紙10と下熱収縮フィルム21bとの間には、空間16が形成されて、被包装物1の熱が台紙10に伝わりにくいため、加熱後の容器の取り扱いが容易になる。第三実施形態に係る立体成形容器103は、被包装物1が固形物などの流動性の小さい物質である場合及び加熱によって高温になりやすい物質である場合に特に適している。また、第三実施形態に係る立体成形容器103では、上熱収縮フィルム21a及び下熱収縮フィルム21bの2枚の熱収縮フィルムが収縮して側片12を起立させるため、第一実施形態に係る立体成形容器101及び第二実施形態に係る立体成形容器102よりも台紙10の材質を硬い材質にしたり、台紙10の厚さを厚くしたり、又は側片12の起立後の高さを高くしたりすることができる。また、フィルム部20cに前記の通蒸手段(不図示)を設けることで、被包装物1に、上熱収縮フィルム21aと下熱収縮フィルム21bとを密着させることができる。
【0042】
(第四実施形態)
図6は、第四実施形態に係る立体成形容器の立体成形前を示し、(a)は上面図、(b)は(a)のC‐C破断面図である。図7は、第四実施形態に係る立体成形容器の立体成形後を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)のD‐D破断面図である。第四実施形態に係る立体成形容器104は、フィルム部20dが1枚の熱収縮フィルム21からなる点以外は、第一実施形態に係る立体成形容器101と同様の構成を有する。
【0043】
第四実施形態に係る立体成形容器104では、合い隣り合う側片12の側端12bの間に折罫14を介して連接する連結片4を有することが好ましい。連結片4の中心には、折罫14又はミシン目(不図示)を形成し、連結片4を二つ折り可能にしている。立体成形後は、図7(a)に示すように、連結片4は容器の内側に折り込まれて、被包装物1を容器内に密閉し、より確実に保持することができる。
【0044】
第四実施形態に係る立体成形容器104では、被包装物1が台紙10dに接触するため、台紙10dは、紙材の片面又は両面にプラスチックを積層したラミネート紙、ミルクカートン紙などの積層体であることが好ましい。積層体は、第一実施形態で例示した積層体を用いることができるが、被包装物が食品の場合は、ヒートシール性及び衛生上の観点から、紙層とポリエチレンからなるプラスチック層との積層体であることがより好ましい。また、台紙10に積層体を用い、更に連結片4を設けることで、被包装物1が液体など流動性を有する物質の容器として適したものとすることができる。
【0045】
(第五実施形態)
フィルム部20は、側片12の側端12bで固定されていないことが好ましい。図8は、第五実施形態に係る立体成形容器を示し、(a)は立体成形前の上面図、(b)は立体成形後の斜視図である。図8に示す第五実施形態に係る立体成形容器105は、フィルム部20が側片12の側端12bで固定されている点以外は、図1に示す第一実施形態に係る立体成形容器101と同様の構成を有する。フィルム部20を側片12の側端12bで固定すると、立体成形後は、立体成形容器として成立するが、被包装物1を収容可能な空間が、実質的に、フィルム部20のうち底面11と重なる部分だけとなるため、内容積が小さくなる。内容積が小さくなると、容器内部の内圧が高くなりすぎて、図8(b)に示すように、ドーム状に膨張するおそれがある。また、熱収縮フィルム21のうち側片12と重なる部分の熱収縮が規制され、側片12を所望の状態に起立させることができず、容器の形状がいびつになる場合がある。さらに、フィルム部20のうち相隣り合う側片12の側端12bの間をまたいで重ね合わせられる部分8には、熱が伝わりにくくなるため、熱収縮せずに、図8(b)の符号21cのように、容器からはみ出て、外観が悪くなる場合がある。
【0046】
(第六実施形態)
図9は、第六実施形態に係る立体成形容器の立体成形前の上面図である。図9に示す第六実施形態に係る立体成形容器106は、フィルム部20aが側片12の側端12bで固定されている点以外は、図3に示す第一実施形態に係る立体成形容器の変形例101aと同様の構成を有する。第六実施形態に係る立体成形容器106も、第五実施形態に係る立体成形容器105と同様に、立体成形後は、立体成形容器として成立するが、被包装物1を収容可能な空間が、実質的に、フィルム部20aのうち底面11と重なる部分だけとなり、内容積が小さくなるため、容器内部の内圧が高くなりすぎて、図8(b)に示すように、ドーム状に膨張するおそれがある。また、熱収縮フィルムのうち側片12と重なる部分の熱収縮が規制され、側片12を所望の状態に起立させることができず、容器の形状がいびつになる場合がある。
【0047】
(第七実施形態)
図10は、第七形態に係る立体成形容器を示し、(a)は立体成形前の上面図、(b)は立体成形後の斜視図である。第一実施形態から第六実施形態のように、側片12が、底面11のすべての辺に折罫13を介して連接することがより好ましいが、本発明はこれに限定されない。例えば、図10に示す第七実施形態に係る立体成形容器107のような、底面11が、側片12を連接していない辺を有する形態を包含する。なお、第一実施形態から第七実施形態では、底面11の形状を長方形としたが、本発明の効果を奏する限り、これに限定されない。底面11の形状の形態例としては、例えば、矩形、三角形、五角形、六角形である。
【0048】
(第八実施形態)
第八実施形態に係る立体成形容器では、非熱収縮フィルムの表面に金属蒸着部を設けたマイクロ波発熱用フィルムを、立体成形容器の内部に更に備えることが好ましい。マイクロ波発熱用フィルムは、金属蒸着部の金属が、マイクロ波を吸収して誘導発熱することを利用して、被包装物の表面を焼いたり、焦がしたり、カリッとさせたりする機能を有する(以降、本明細書では、このような機能を「サセプター機能」ということもある。)。誘導発熱とは、金属蒸着層を電界が通過する時に、当該金属蒸着層に電流が発生して、発熱することである。
【0049】
マイクロ波発熱用フィルムを構成する非熱収縮フィルムは、第一実施形態に係る立体成形容器101のフィルム部20を構成する非熱収縮フィルム22として前記に例示したものを使用できる。なお、非熱収縮フィルムは、単層フィルムであるか、又は積層フィルムであるかを問わない。
【0050】
金属蒸着部は、非熱収縮フィルムの表面上に金属の薄膜(以降、金属蒸着層という。)を形成してなる。金属の種類は、例えば、アルミニウム、スズ、クロム、亜鉛、金、銀、銅、プラチナ、ニッケル、ステンレス、酸化インジュウムである。この中で、食品用容器として使用する場合には、アルミニウムであることが特に好ましい。金属蒸着層は、一般公知の蒸着方法で形成することができる。一般公知の蒸着方法は、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、イオンビーム法である。
【0051】
金属蒸着部は、ハーフ蒸着であることが好ましい。ハーフ蒸着とは、金属蒸着層の厚さが、包装材料における一般的な金属蒸着層の平均厚さよりも薄く、可視光が透過する性質をもつ蒸着形態をいう。すなわち、包装材料として使用される金属蒸着フィルムの金属蒸着層の平均厚さは、一般的に20〜50nmであるが、本実施形態では、金属蒸着層の平均厚さが、0.01〜25nmであることが好ましい。より好ましくは、0.1〜10nmであり、特に好ましくは、1〜5nmである。この範囲とすることで、マイクロ波照射によるスパーク(火花)の発生を防止することができる。また、誘導発熱による発熱量を適度に調整することができ、過剰な加熱を防止することができる。また、光を透過させることができるため、マイクロ波発熱用フィルムが被包装物1上に覆っている形態においても、使用者が被包装物を目視で確認することができる。
【0052】
マイクロ波発熱用フィルムを、第一実施形態〜第七実施形態に係る立体成形容器101,101a,102,103,104,105,106,107の内部に配置させることでサセプター機能付き立体成形容器とすることができる。立体成形容器立体成形容器101,101a,102,103,104,105,106,107の内部とは、被包装物1が収容されている空間であり、被包装物1と直に接触する位置である。具体的には、例えば、図1に示す第一実施形態に係る立体成形容器101を用いて説明すると、フィルム部20としての熱収縮フィルム21及び非熱収縮フィルム22で形成した袋の内部である。また、図6に示す第四実施形態に係る立体成形容器104を用いて説明すると、フィルム部20としての熱収縮フィルム21と台紙10との間である。マイクロ波発熱用フィルムは、非熱収縮フィルム22又は台紙10に固定することが好ましい。
【0053】
マイクロ波発熱用フィルムは、金属蒸着部を被包装物と接触させて配置する。図1を用いて説明すると、金属蒸着部は、少なくとも台紙10の底面11に対応する位置に設けることが好ましい。また、本実施形態では、マイクロ波発熱用フィルムを1枚又は2枚以上を配置することができる。2枚以上配置する場合には、被包装物の上下(図2における台紙10の底面11側及び容器開口部15側)に配置することで、被包装物の両面に焦げ目を形成することができる。
【0054】
第一実施形態〜第三実施形態及び第五実施形態〜第七実施形態に係る立体成形容器101,101a,102,103,105,106,107のように、フィルム部20として非熱収縮フィルム22を有する立体成形容器では、マイクロ波発熱用フィルムの非熱収縮フィルムとして、フィルム部20を構成する非熱収縮フィルム22を兼用させることで、構造がより簡素なサセプター機能付き立体成形容器とすることができる。すなわち、図1及び図2を用いて説明すると、第八実施形態の変形形態に係る立体成形容器では、非熱収縮フィルム22の熱収縮フィルム21側の表面が、金属蒸着部(不図示)を有することが好ましい。非熱収縮フィルム22の熱収縮フィルム21側の表面は、被包装物1と直に接触する面である。
【0055】
第八実施形態及びその変形形態に係るサセプター機能付きの立体成形容器は、被包装物が食品である場合に特に適している。食品の中でも、焦げ目がつくことによって食欲をそそる食品又はカリッとした食感が好まれる食品に適している。このような食品としては、例えば、ピザ、フライドポテト、餃子、魚、コロッケ、エビフライなどの各種揚げ物、フレンチトースト、食パン、ホットケーキである。
【0056】
次に、第一実施形態に係る立体成形容器を製造する方法の一例を説明する。なお、本発明は、本発明の効果を奏する限り、製造方法に制限されない。
【0057】
(台紙の製造工程)
台紙10の製造工程は、台紙10となる板材(原紙)に、折罫を加工する折罫加工工程と、原紙を1容器ごとの所定の形状に切断する打抜工程とを有する。折罫加工工程と打抜工程とを行う順番は、問わない。例えば、折罫加工工程を打抜加工の前に行う、打抜工程を折罫加工工程の前に行う又は折罫加工工程と打抜工程とを同時に行うことができる。また、必要に応じて、原紙に印刷を施す工程を行うことができる。
【0058】
(ブランクシートの製造工程)
ブランクシートの製造工程は、台紙の製造工程で得た台紙10に少なくとも側片12の上端にて、フィルム部20を固定して、被包装物1を充填できる状態にしたブランクシートを得る工程である。第一実施形態に係る立体成形容器では、非熱収縮フィルム22と熱収縮フィルム21とを重ね合わせて開口辺を残して周辺を溶着して袋を形成する。次いで、該袋の非熱収縮フィルム22を台紙10側にして、側片12の上端12aにて固定して、ブランクシートを得る。または、台紙10に側片12の上端12aにて非熱収縮フィルム22を固定し、次いで、非熱収縮フィルム22と熱収縮フィルム21とを重ね合わせて開口辺を残して周辺を溶着し、袋を形成して、ブランクシートを得る。第一形態に係る立体成形容器101では、非熱収縮フィルム22を更に底面11に固定することが好ましい。
【0059】
台紙10とフィルム部20とを固定する方法は、例えば、超音波溶着、高周波溶着、熱溶着などの溶着によって固定する方法、接着剤、粘着テープなどの副資材を用いて固定する方法である。第一実施形態に係る立体成形容器101では、側片12の上端12aの全幅にわたって固定しているが、局部的に固定してもよい。また、固定パターンは、特に限定されず、ライン状の他、例えばドット状としてもよい。また、台紙10として、紙材とヒートシール性を有するプラスチックとの積層体を用い、フィルム部20の台紙10に固定する側の最表層を台紙10の積層体のプラスチックと同じ材質とすることが、容易に溶着固定できる点で好ましい。紙材とヒートシール性を有するプラスチックとの積層体は、例えば、ミルクカートン紙である。
【0060】
(充填工程)
ブランクシートの開口辺から、被包装物1を充填して密封し、平面状の立体成形容器101を得ることができる。密封は、真空状態又は脱気状態で行うことが好ましい。加熱によって容器内の内圧が高まることによる容器の膨張又は破裂を防止することができる。また、被包装物1の酸化による劣化を防止することができる。
【0061】
第一実施形態に係る立体成形容器を製造する方法の別形態として、充填包装機を使用して、熱収縮フィルム21と非熱収縮フィルム22とを供給して周辺をヒートシールしながら、被包装物1を充填してフィルム部20を形成し、その後、フィルム部20を台紙10に固定して立体成形容器101を得る方法がある。
【0062】
次に、本発明に係る立体成形容器の使用方法の一例を説明する。
【0063】
使用者は、平面状の立体成形容器を加熱する。すると、熱収縮フィルムの収縮に伴って、側片が起立して立体になる。加熱手段は、熱収縮フィルムを収縮することができればよく、例えば、熱風、赤外線、熱水浸漬、熱水シャワー、水蒸気である。または、被包装物1が、食品などの水を含有する物質である場合には、電子レンジによる加熱であることが好ましい。また、被包装物1が、食品である場合には、加熱又は調理と立体成形とを同時に行うことができて効率がよい。加熱温度は、熱収縮フィルムの収縮温度によって異なるが、60〜130℃であることが好ましい。より好ましくは、80〜120℃である。
【0064】
第八実施形態及びその変形形態に係る立体成形容器では、電子レンジを用いて加熱を行うことで、更にサセプター機能を有効にすることができる。電子レンジで加熱すると、まず、金属蒸着部がマイクロ波を吸収して誘導発熱する。すると、金属蒸着部の温度が金属蒸着部を設けない場合よりも高温(約200℃)となり、金属蒸着部に接した被包装物の表面を焼いたり、焦がしたり、カリッとさせたりすることができる。
【0065】
立体成形後、使用者は、フィルム部を開封する。フィルム部を開封する方法は、特に限定されず、例えば、カッターなどの切断手段を用いる方法、フィルム部に前記の開封手段を設けて開封する方法である。第一実施形態をはじめとするフィルム部が袋状である場合には、立体成形容器の天面を形成しているフィルムだけを切断して開封することが好ましい。切断する位置は、特に限定されず、例えば、I字状、X字状、天面の周辺に沿った全周である。
【実施例】
【0066】
次に、実施例を示しながら本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に限定して解釈されない。
【0067】
(実施例1)
図1に示す第一実施形態に係る立体成形容器101を作製した。ここで、台紙10として、坪量約375g/mの板紙の両面に低密度ポリエチレン(LDPE)を溶融押出して積層した厚さが0.5mmのミルクカートン紙を用いた。底面11の大きさは、7cm×10cmとした。側片12の折罫13からの側片12の上端辺までの距離は、3cmとした。さらに、熱収縮フィルム21として、3μmの超低密度ポリエチレン層(VLDPE)と、22μmのエチレン‐酢酸ビニル共重合体層(EVA1)と、7μmの塩化ビニリデン層(PVDC)と、12μmのエチレン‐酢酸ビニル共重合体層(EVA2)と、10μmのアイオノマー層(IO)と、を共押出した多層フィルム(商品名MLB‐1000、クレハ社製)を用いた。また、非熱収縮フィルム22として、31μmのポリエチレン単層フィルム(PE)を用いた。ここで、フィルム部20を正面視した面積(Sb)は172cm、熱収縮フィルム21の面積熱収縮率(Ra)は、0.75及び容器開口部15の面積Spは、70cmであり、Sa/Sp=0.61であった。
【0068】
熱収縮フィルム21のIOと非熱収縮フィルム22のPEとを対面させて重ねあわせ、開口辺を残して周辺をヒートシールして袋を形成した。該袋を、非熱収縮フィルム22が台紙側になるように重ね合わせた状態で側片12の上端12aにてヒートシールで固定して、ブランクシートを得た。ブランクシートの開口辺から被包装物1として、コーン20gを充填して密封し、平面状の立体成形容器を得た。
【0069】
(実施例2)
図3に示す第一実施形態に係る立体成形容器の変形例101aとした以外は、実施例1に準じて、平面状の立体成形容器を得た。
【0070】
(実施例3)
図9に示す第六実施形態に係る立体成形容器の変形例106とした以外は、実施例1に準じて、平面状の立体成形容器を得た。
【0071】
(実施例4)
図8(a)に示す第五実施形態に係る立体成形容器の変形例105とした以外は、実施例1に準じて、平面状の立体成形容器を得た。
【0072】
実施例1〜4の立体成形容器101,101a,106,105を、電子レンジ(東芝社製、電子レンジER‐AS7(W))を用いて、500Wで30秒加熱して、加熱中の様子及び立体成形後の状態を確認した。さらに、追加評価として、実施例1の立体成形容器101を用いて、500Wで60秒加熱して、加熱時間が超過した場合の立体成形後の状態を確認した。
【0073】
実施例1〜4の立体成形容器101,101a,106,105は、いずれも加熱によって、側片が起立して立体になった。実施例3及び実施例4の立体成形容器106,105は、フィルム部20を側片12の側端12bで固定したため、加熱によって側片が各々バラバラに起立しながら立体化し、加熱中に、図8(b)に示すようにドーム状に膨張した。立体成形後の立体成形容器106,105の状態は、実施例1の立体成形容器101よりもいびつであった。また、立体成形後の立体成形容器106,105は、実施例1の立体成形容器101よりも内容積が小さかった。さらに、実施例4では、図8(b)の符号8で示すように、未収縮のフィルム部が台紙からはみ出ていて、見栄えが悪かった。実施例1及び実施例2の立体成形容器101,101aは、加熱によってすべての側片12が同時に起立しながら立体化した。立体成形後の立体成形容器101,101aの状態は、均整の取れた直方体であった。実施例1と実施例2とを比較すると、実施例1の方が、内容積が大きかった。また、500Wで60秒加熱後の実施例1の立体成形容器101は、均整の取れた直方体を保持していた。
【0074】
次に、サセプター機能を付与した立体成形容器について、そのサセプター機能を検証する評価を行った。
【0075】
(実施例5)
第8実施形態に係る立体成形容器を作製した。立体成形容器の形状は、図1に示す第一実施形態に係る立体成形容器101と同様である。台紙10は、実施例1で用いた台紙と同様の台紙を用いた。まず、非熱収縮フィルム22として、31μmのPE単層フィルムを台紙10に固定した。次いで、非熱収縮フィルム22の熱収縮フィルム21側の表面で、かつ、底面11に対応する位置に、マイクロ波発熱用フィルムとして、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面上にアルミニウムを真空蒸着法で蒸着したアルミ蒸着PETフィルム(大きさ7cm×12cm)を、PET側を非熱収縮フィルム22に向けて、両面テープ(商品名再生紙両面テープナイスタック、ニチバン社製)を用いて固定した。その後、熱収縮フィルム21として、2μmの共重合ポリエチレンテレフタレート(COPET)と、10μmの6‐66ナイロン(6‐66Ny)と、4.6μmのエチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)と、19.1μmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)とを共押出した多層フィルム(商品名VS‐20、クレハ社製)のLLDPEを非熱収縮フィルム22と対面させて重ねあわせ、開口辺を残して周辺をヒートシールしてブランクシートを得た。ブランクシートの開口辺から被包装物1として、(A)フレンチトースト(食パンに卵と砂糖との混合液を浸透させたもの)、(B)バターを塗布した食パン又は(C)ホットケーキをそれぞれ充填して密封し、実施例5A〜実施例5Cの平面状の立体成形容器を得た。
【0076】
実施例5A〜5Cの立体成形容器を、電子レンジ(東芝社製、電子レンジER‐AS7(W))を用いて、500Wで1分間加熱して立体成形した。この時、加熱中の様子及び加熱後の被包装物1の様子を確認した。また、対照区として、実施例5において、マイクロ波発熱用フィルムを設けずにブランクシートを作製し、(A)〜(C)の食材をそれぞれ充填密封した立体成形容器について、同様に試験した。
【0077】
実施例5A〜5Cの立体成形容器は、いずれも加熱中にスパークが発生することなく、側片が起立して、均整の取れた直方体となった。そして、実施例5A〜5Cの立体成形容器内で加熱された被包装物1は、金属蒸着部と接触していた部分に焦げ目が形成されていた。これに対して、対照区では、いずれも被包装物1に焦げ目は形成されていなかった。以上より、サセプター機能を有することが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る立体成形容器は、生鮮食品、調理済み又は半調理済みの食品、ネジ、ボルト、ナット、ボタン、ビーズなどの容器として適している。
【符号の説明】
【0079】
1 被包装物
4 連結片
10,10d台紙
11 底面
12 側片
12a 側片の上端
12b 側片の側端
13 折罫
14 折罫
15 容器開口部
16 空間
20,20a,20b,20c,20d フィルム部
21 熱収縮フィルム
21a 上熱収縮フィルム
21b 下熱収縮フィルム
22 非熱収縮フィルム
101 第一実施形態に係る立体成形容器
101a 第一実施形態に係る変形例の立体成形容器
102 第二実施形態に係る立体成形容器
103 第三実施形態に係る立体成形容器
104 第四実施形態に係る立体成形容器
105 第五実施形態に係る立体成形容器
106 第六実施形態に係る立体成形容器
107 第七実施形態に係る立体成形容器


【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面及び該底面の少なくとも1つの辺に折罫を介して連接する側片を有する台紙と、
少なくとも1枚の熱収縮フィルムを有し、少なくとも前記側片の上端にて前記台紙に重ね合わせた状態で固定されるフィルム部とを備え、
前記熱収縮フィルムの収縮に伴い、前記側片が起立することを特徴とする立体成形容器。
【請求項2】
前記側片が、前記底面のすべての辺に設けられることを特徴とする請求項1に記載の立体成形容器。
【請求項3】
前記フィルム部が、熱収縮フィルムと非熱収縮フィルムとを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であり、
前記非熱収縮フィルムが、前記台紙側になるように固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体成形容器。
【請求項4】
前記フィルム部が、熱収縮フィルムと非熱収縮フィルムとを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であり、
前記熱収縮フィルムが、前記台紙側になるように固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体成形容器。
【請求項5】
前記フィルム部が、熱収縮フィルムと熱収縮フィルムとを重ね、周辺を溶着して形成した袋状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の立体成形容器。
【請求項6】
前記フィルム部が、相隣り合う前記側片の側端の間をまたいで重ね合わせられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の立体成形容器。
【請求項7】
前記フィルム部が、前記側片の側端で固定されていないことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の立体成形容器。
【請求項8】
前記フィルム部を正面視した面積(Sb)と前記熱収縮フィルムの加熱による面積収縮率(Ra)とから算出した収縮後のフィルム部の面積をSaとし、前記側片が起立した後形成する容器開口部の面積をSpとし、面積比(Sa/Sp)が、数1を満たすことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の立体成形容器。
(数1)Sa/Sp=Sb×(1−Ra)/Sp=0.50〜1.90
【請求項9】
前記非熱収縮フィルムの前記熱収縮フィルム側の表面が、金属蒸着部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の立体成形容器。
【請求項10】
非熱収縮フィルムの表面に金属蒸着部を設けたマイクロ波発熱用フィルムを、前記立体成形容器の内部に更に備えることを特徴とする請求項1に記載の立体成形容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−111547(P2012−111547A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264315(P2010−264315)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】