説明

立体映像表示装置及びその駆動方法

【課題】一スイッチャブル領域において透過領域の比率を調節し、バリア領域を移動させることによって、位置を変更した視聴者が感じるフリッカー(Flicker)を最小化することができる立体映像表示装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】立体映像表示装置は、2次元映像を出射する表示パネルと、複数個のスイッチャブル領域を有し、前記表示パネル上に位置して、前記2次元映像を3次元映像に出射するスイッチャブルパネルと、前記スイッチャブル領域内にバリア領域と透過領域とを区分するために、前記スイッチャブルパネルに電圧を印加する電圧印加部と、前記スイッチャブル領域の位置、及び各スイッチャブル領域内のバリア領域の幅を調整するように前記電圧印加部を制御する制御部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像表示装置に係り、視聴者が位置を変更する時、フリッカー(Flicker)を最小化することができる立体映像表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、超高速情報通信網に基づいて構築される情報の高速化のために実現されるサービスは、現在の電話のように単に「聞いて話す」サービスから、文字、音声、映像を高速処理するデジタル端末を中心とした「見聞きする」マルチメディア型サービスに発展し、窮極的には「時空間を超越し、現実感があり、立体的に見て感じて楽しむ」超空間型立体情報通信サービスに発展するものと予想される。
【0003】
一般に、3次元(3−Dimension;3D)を表現する立体映像は、二つの目を通じたステレオ視覚の原理によってなされる。二つの目の視差、すなわち、二つの目が約65mm程度離れて存在するので、二つの目の位置の差によって、左目と右目は互いに少し異なる映像を見ることになる。このように、二つの目の位置の差による映像の差異を両眼視差(Binocular disparity)という。
【0004】
3次元立体映像表示装置は、このような両眼視差を用いて、左目は左目に対する映像のみを見るようにし、右目は右目に対する映像のみを見ることができるようにして、使用者が両眼視差を感じ、立体感を感じるようにする。すなわち、左/右の目は、それぞれ互いに異なる2次元映像を見ることになり、この二つの映像が網膜を介して脳に伝達されると、脳はこれらを正確に融合し、本来の3次元映像の奥行き感と現実感を再生する。通常、このような能力を立体画法(Stereography)といい、これを表示装置に応用した装置を立体映像表示装置という。
【0005】
一方、立体映像表示装置は、3次元映像を具現する方式において、メガネの有無によって、メガネ方式と無メガネ方式とに区分することができる。無メガネ方式は、3次元映像を具現する構造物の形状によって、スイッチャブルパネル方式(Switchable panel type)とレンチキュラー方式(Lenticular type)がある。スイッチャブルパネル方式は、2次元映像を出射する表示パネル上に、2次元映像を3次元映像に変換する3Dパネルが備えられて、立体映像を具現し、レンチキュラー方式は、表示パネル上に半円筒形のレンチキュラーシートを付着して立体映像を具現する。
【0006】
また、スイッチャブルパネル方式は、2次元映像を出射する表示パネル上に、2次元映像を3次元映像に変換するスイッチャブルパネルが備えられて、立体映像を具現するもので、バリア(Barrier)方式のスイッチャブルバリア方式(Switchable Barrier Type)と、レンズ(Lens)方式のスイッチャブル液晶レンズ方式(Switchable Liquid Crystal Lens Type)とがある。
【0007】
特に、スイッチャブルバリア方式は、スイッチャブルパネルの複数個の電極に選択的に電圧を印加し、液晶分子の配列によって、液晶層がバリア領域と透過領域とに区分される。バリア領域を通じて光学的に左、右の映像が分離され、視聴者が立体映像を視聴することができる。
【0008】
一般に、スイッチャブルバリア方式の立体映像表示装置は、2次元映像を出射する表示パネルと、表示パネル上に形成され、2次元映像を3次元映像に出射するスイッチャブルパネルとを含む。
【0009】
しかし、このようなスイッチャブルバリアは、固定された位置にバリアが形成されるもので、装置の回転などによりスイッチャブルバリアに対して視聴者が位置移動し、正視聴位置から外れると、視聴者が立体を視認できないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたもので、一スイッチャブル領域において透過領域の比率(Open Ratio)を調節し、バリア領域を移動させることによって、位置を変更した視聴者が感じるフリッカー(Flicker)を最小化することができる立体映像表示装置及びその駆動方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような目的を達成するための本発明の立体映像表示装置は、2次元映像を出射する表示パネルと、複数個のスイッチャブル領域を有し、前記表示パネル上に位置して、前記2次元映像を3次元映像に出射するスイッチャブルパネルと、前記スイッチャブル領域内にバリア領域と透過領域とを区分するために、前記スイッチャブルパネルに電圧を印加する電圧印加部と、前記スイッチャブル領域の位置、及び各スイッチャブル領域内のバリア領域の幅を調整するように前記電圧印加部を制御する制御部と、を含むことにその特徴がある。
【0012】
ここで、前記制御部は、視聴者が位置を変更する場合、最終位置において3次元映像を視聴できるように、前記電圧印加部を制御して前記バリア領域を移動させ、前記バリア領域を移動させる時、視聴者が位置を変更しない場合より、一スイッチャブル領域において透過領域の比率を増加させることができる。
【0013】
また、前記一スイッチャブル領域において透過領域の比率を増加させることは、クロストークが1%以下に発生する範囲内で最大に増加させることが好ましい。
【0014】
一方、前記スイッチャブルパネルは、液晶層を介して互いに対向する第1及び第2基板、前記第1基板上に形成された複数個の下部電極、及び前記第2基板の全面に形成された上部電極を含んでなることができる。
【0015】
そして、前記バリア領域を移動させることは、前記複数個の下部電極に印加される電圧を調節してなされることができる。
【0016】
また、前記制御部は、視聴者の位置が臨界時間以上変わらない場合、前記視聴者の位置を最終位置と認識し、再び前記一スイッチャブル領域において透過領域の比率を低くすることができる。
【0017】
前記視聴者の最終位置において、一スイッチャブル領域における透過領域の比率は、前記視聴者が位置を変更しない場合の一スイッチャブル領域における透過領域の比率であってもよい。
【0018】
また、同一の目的を達成するための本発明の立体映像表示装置の駆動方法は、表示パネルと、複数個のスイッチャブル領域を有し、前記表示パネル上に位置したスイッチャブルパネルと、前記スイッチャブル領域内にバリア領域と透過領域とを区分するために、前記スイッチャブルパネルに電圧を印加する電圧印加部とを含む立体映像表示装置の駆動方法において、前記スイッチャブルパネルを見る視聴者の位置をトラッキングする段階と、前記視聴者が位置を変更する時、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を変更する段階と、前記視聴者の位置変更終了を検出する時、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を元の状態に調整する段階と、を含むことができる。
【0019】
そして、前記スイッチャブル領域は、前記視聴者が位置を固定する時、第1幅の透過領域の幅を有し、前記視聴者が位置を変更する時、第1幅よりも大きい第2幅の透過領域の幅を有することができる。
【0020】
そして、前記視聴者が位置を変更する時、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を変更する段階は、前記視聴者の位置変更を検出する第1段階と、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を変更する第2段階と、前記視聴者の位置に対応して、前記スイッチャブル領域を移動させる第3段階と、を含むことができる。
【0021】
そして、前記第1段階は、ユーザトラッキングして前記視聴者の位置を検出してなされることができる。
【0022】
また、前記第2段階及び第3段階は、前記電圧印加部から、各スイッチャブル領域の下部電極に印加するバリア領域用電圧と、透過領域用電圧を調節してなされることができる。この場合、前記第2段階は、前記位置変更検出直前の前記第1幅に対応して下部電極に印加されたときの透過領域用電圧の数を左右に増やした前記透過領域の幅である前記第2幅に対応するように、前記下部電極に印加してなされることができる。
【0023】
また、前記第3段階は、前記第2幅の透過領域が、前記視聴者の位置移動に相応して移動するように、前記下部電極に透過領域用電圧を印加してなされることができる。
【0024】
一方、前記視聴者の位置変更終了の検出は、前記視聴者の位置が臨界時間以上変わらないことを、ユーザトラッキングして検出してなされることができる。
【発明の効果】
【0025】
上記のような本発明の立体映像表示装置及びその駆動方法は、視聴者が位置を変更する時、ユーザトラッキングなどの方法を用いて、変更された位置において立体映像を視聴できるようにバリア領域を変更させる。
【0026】
また、変更前の固定状態と、変更時の動き状態での輝度変化を補償するように、変更時、スイッチャブル領域内の透過領域の比率(Open Ratio)を増加させ、視聴者の輝度変化の視認を低減させることができる。これによって、ムービングフリッカー(moving flicker)を防止することができる。これにより、視聴者の動きによって視野角が変化しても、滑らかな立体映像を見ることができる。
【0027】
そして、無メガネ立体映像視聴領域の制限が緩和され、視聴者の不便を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の立体映像表示装置の断面図である。
【図2】図1の下部電極に電圧を印加する方法を示す概略図である。
【図3】図1の立体映像表示装置において、視聴者の位置変動によってバリア領域を移動した例を示す図である。
【図4】図3の視聴者の位置変動時、視野角による輝度を示すグラフである。
【図5】本発明の立体映像表示装置において、視聴者の位置変動時、バリア及び透過領域の幅を調整した後、位置変動によるシフトを適用した例を示す図である。
【図6A−6B】本発明の立体映像表示装置において、視聴者が位置を変動する前と、位置変動によるバリア及び透過領域の幅の変化を示す図である。
【図7A−7B】図3及び図5による視野角による輝度変化を示すグラフである。
【図8】本発明の立体映像表示装置の駆動方法によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して、本発明の立体映像表示装置及びその駆動方法を詳細に説明すると、次の通りである。
【0030】
図1は、本発明の立体映像表示装置の断面図で、図2は、図1の下部電極に電圧を印加する方法を示す概略図である。
【0031】
図1及び図2のように、本発明の立体映像表示装置は、2次元映像を出射する表示パネル100と、表示パネル100上に形成され、複数個のスイッチャブル領域を含んで2次元映像を3次元映像に出射するスイッチャブルパネル200と、を含む。
【0032】
前記スイッチャブルパネル200は、各スイッチャブル領域がバリア領域と透過領域とに区分され、これは、内部に形成された電極に電圧が印加されたか否かによってオン/オフ機能する。すなわち、電圧の印加時、2次元映像から3次元映像に出射可能な前記各スイッチャブル領域内のバリア領域がバリアとして機能し、電圧のオフ時は、下部の表示パネル100から出射される2次元映像をそのまま出射する一つの透過セルとして機能する。
【0033】
スイッチャブルパネル200は、液晶層230を介して互いに対向する第1及び第2基板200a、200b、第1基板200a上に形成された複数個の下部電極210、第2基板200bの全面に形成された上部電極240を含む。このとき、複数個の下部電極210は、図1に示すように、絶縁層220を介して互いに異なる層上に分けて配置されてもよく、場合によっては、一層に微細に分けて形成されてもよい。
【0034】
表示パネル100は、2次元映像を出射する液晶表示パネル(Liquid crystal Display Panel)、有機発光表示パネル(Organic Light Emitting Display Panel)、プラズマ表示パネル(Plasma Display Panel)、電界放出表示パネル(Field Emission Display Panel)、電気泳動表示パネル(Electrophoretic Display Panel)、量子ドット表示パネル(Quantum Dot Display Panel)などの平板表示パネルが使用され得る。そして、表示パネル100上に形成されたスイッチャブルパネル200は、複数個の下部電極210に電圧印加部300が連結され、電圧印加部300から電圧の印加を受けて、液晶層230の液晶分子を選択的に配列する。
【0035】
特に、複数個の下部電極210に選択的に電圧を印加すると、液晶分子の配列によって、1ピッチに対応する幅‘S’を有する一スイッチャブル領域が、液晶層230内で、バリア領域Bと透過領域Tとに区分される。そして、前記スイッチャブル領域は、図上の横方向に反復される。バリア領域の液晶分子は、バックライト(図示せず)から前記表示パネル100を経て前記スイッチャブルパネル200に入射する光の出射が遮断されるように配列され、透過領域の液晶分子は、光を透過するように配列される。
【0036】
すなわち、バリア領域と透過領域は、実際に何らかの構成要素ではなく、液晶分子の配列によって、バックライトから入射される光が遮断又は透過されて、液晶層230内にバリアが形成されたように見えるものである。したがって、スイッチャブルパネル200は、表示パネル100から出射された2次元映像を、透過領域を通じて3次元映像に分離し、視聴者の左眼が左眼映像を、右眼が右眼映像を認知して立体映像を視聴することができる。
【0037】
視聴者が位置を変更して、視聴者の視野角が特定位置を外れると、2次元映像の一部がバリア領域により遮られ、立体映像を具現できないので、視聴者の動きを感知して、視聴者が最終位置で安定した立体映像を維持するようにバリア領域を移動させなければならない。
【0038】
図示していないが、ユーザトラッキング(User tracking)などの方法を用いて視聴者の動きを感知する。ユーザトラッキング方法は、表示パネル100またはスイッチャブルパネル200、又はこれらを含んだシステムに装着されたカメラが視聴者の瞳孔やヘッド(Head)を認識し、視聴者の最終位置を検出することをいう。
【0039】
仮に、瞳孔の動きを感知する場合、視聴者が位置を移動すると、カメラは視聴者の左/右の瞳孔の中心位置を検出し、中心位置が変わることを認知する。また、顔の動きを感知する場合、視聴者がヘッドを回したり動かしたりすると、動きを顔と背景色との差でカメラが認知し、動く視聴者の最終位置を検出する。
【0040】
そして、複数個の下部電極210は、検出された視聴者の変更位置によって制御部400の制御信号を変更し、制御部400と連結された電圧印加部300から前記下部電極210に印加される電圧印加の順序をシフトすることで、生成されるバリア領域と透過領域の位置を移動することができる。すなわち、位置を変更した視聴者の最終位置を認識し、視聴者の視野角によって複数個の下部電極210に印加される電圧を変更することによって、バリア領域を視聴者の視聴位置に移動させることができる。
【0041】
図3は、図1の立体映像表示装置において、視聴者の位置変動によってバリア領域を移動した例を示す図で、図4は、図3の視聴者の位置変動時、視野角による輝度を示すグラフである。図3のように、視聴者が位置を変更しない場合には、1ピッチ(P:Pitch)に対応する幅を有する一スイッチャブル領域の幅において透過領域の幅の比率(以下、Open Ratioと称する)を、例えば、約37%に固定して維持する。そして、視聴者が位置を変更することが感知された場合、ユーザトラッキングなどの方法によって、視聴者の位置変更を追ってバリア領域を移動させ、視聴位置を変更する。しかし、視聴者位置の変更が起こった場合、例えば、図4のように、視聴者が視野角を次第に増やす方向に移動(画面の中央を見ていたが、次第に傾けて見る方向に移動)する時、輝度は、初期位置から次の位置に変化する間に変化が発生する。
【0042】
実質的に、輝度変化は、その差が大きいほど視聴者がその輝度の差を視認し、このような視認をムービングフリッカー(moving flicker)という。図4において太線で表示されたものが、視野角を連続的に増やして観察するとき、視聴者が実質的に視感する輝度である。ここで、特に、視聴者が初期位置から次の位置に変化する中央領域において、前後の輝度変化が大きいため、視聴者のムービングフリッカー視認が激しいことを実験上確認した。
【0043】
以下、図5乃至図8を参照して、ムービングフリッカーを防止した本発明の立体映像表示装置の駆動方法について説明する。
【0044】
図5は、本発明の立体映像表示装置において、視聴者の位置変動時、バリア及び透過領域の幅を調整した後、位置変動によるシフトを適用した例を示す図で、図6A及び図6Bは、本発明の立体映像表示装置において、視聴者が位置を変動する前と、位置変動によるバリア及び透過領域の幅の変化を示す図である。
【0045】
また、図7Aと図7Bは、図3及び図5による視野角による輝度変化を示すグラフである。そして、図8は、本発明の立体映像表示装置の駆動方法によるフローチャートである。
【0046】
本発明の立体映像表示装置の駆動方法は、視聴者の位置変更時、透過領域の幅を調節して、ムービングフリッカーを減少させる方法である。
【0047】
図5、6A及び図8のように、視聴者が動く前、固定した状態(ステップA)で、スイッチャブルパネルの透過領域の幅が第1幅T1を示す(100S)。この場合、open ratioが約37%である。これは、T1/Sに該当する値が約37%であることを意味する。ここで、‘S’は、一スイッチャブル領域の幅を、‘T1'は、透過領域の幅を示し、これは‘S−B1'でも定まり得る。ここで、‘B1'は、バリア領域の第1の幅を意味する。
【0048】
次に、前記スイッチャブルパネルを見る視聴者の位置を、ユーザトラッキングなどの方法でトラッキングする(110S)。
【0049】
このとき、視聴者の位置が変更することを検出(ステップB)すれば、図5及び図6Bのように、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を第2幅T2に変更する(120S)。図5では、透過領域の第1幅T1から左右に一つの下部電極210の幅だけ移動した状態を示す。これは一例に過ぎず、その変化の値は、視野角の移動による輝度の値の変化を、視聴者が輝度変化を視認しない水準で設定することができる。
【0050】
仮に、視聴者が位置を変更しなければ、前記各スイッチャブル領域のバリア領域の幅は、元の第1の幅‘B1’を維持することになる(130S)。
【0051】
このように、視聴者が位置を変更することが感知(ステップB)されると、制御部は、透過領域の幅を増加(T1→T2)(T2は透過領域の第2幅)させるために、複数個の下部電極に印加される電圧を変更させる。すなわち、スイッチャブルレンズに備えられた複数個の下部電極に印加される電圧は、バリア領域形成用電圧と、透過領域形成用電圧とに区分されるが、この場合、透過領域の拡張によって透過領域形成用電圧の数を増やす。図5では、視聴者の移動時、Open Ratio、すなわち、T2/Sを50%に増加させたことを示した。上記のように、Open Ratioを増加させることは、Open Ratioが高いほど視野角の変化による視認される輝度の減少程度が減るためである。この場合、変化されたバリア領域の幅はB2を示す。
【0052】
次に、スイッチャブルパネルを見る視聴者がその動きを持続するか否かを、ユーザトラッキングなどの方法により検出する(140S)。
【0053】
図示のように、視聴者の位置変動が持続(ステップC)されると、拡張した透過領域T2を維持し(150S)、位置変更によるスイッチャブル領域の移動を進行する。このような移動によって、バリア領域と透過領域が共に移動し、ステップB状態の透過領域の幅を維持したまま移動する。場合によって、前記ステップCの段階は省略しても良い。この場合、前記第2幅T2の透過領域が前記視聴者の位置移動に相応して移動するように、前記下部電極に透過領域用電圧を印加する。
【0054】
次に、視聴者の位置変更が終了(ステップD)すると、変更された位置において、透過領域の幅を再び元の状態の透過領域の幅である第1幅T1に減らす(155S)。この場合、前記視聴者の位置変更終了の検出は、前記視聴者の位置が臨界時間以上変わらないことを、ユーザトラッキングして検出することができる。例えば、臨界時間を1秒とする時、1秒経過する間に視聴者位置の変動が検出されなければ、この場合、視聴者の位置変更が終了したものと判断する。
【0055】
すなわち、本発明の立体映像表示装置においては、視聴者が位置を変更する間は増加したOpen Ratioを維持(透過領域の幅を維持。T2→T2)しながら、バリア領域を移動させ、視聴者の位置が臨界時間以上変わらない場合、これを視聴者の最終位置と認識し、Open Ratioを再び減少(透過領域の幅を変更。T2→T1)させる。このとき、視聴者の位置変更の終了後、最終位置に対応するOpen Ratioは、初期状態、すなわち、視聴者が位置を変更する前のOpen Ratio(T1/S)と同一である。
【0056】
ここで、前記スイッチャブル領域は、前記視聴者が位置固定時、第1幅T1の透過領域の幅を有し、前記視聴者の位置変更時、第1幅よりも大きい第2幅T2の透過領域の幅を有することができる。
【0057】
このように、上述した本発明の立体映像表示装置の駆動方法は、特に、視聴者の位置変更時、透過領域の幅を増やし、視野角の変化による輝度減少の変化を人為的に減らすことで、ムービングフリッカーを減少させることを特徴とする。
【0058】
上述した駆動方法を適用する本発明の立体映像表示装置は、図6A及び図2のように、2次元映像を出射する表示パネル100と、複数個のスイッチャブル領域を有し、前記表示パネル100上に位置して、前記2次元映像を3次元映像に出射するスイッチャブルパネル200と、前記各スイッチャブル領域内にバリア領域と透過領域とを区分するために、前記スイッチャブルパネル200に電圧を印加する電圧印加部300と、前記スイッチャブル領域の位置、及び各スイッチャブル領域内のバリア領域の幅を調整するように前記電圧印加部300を制御する制御部400と、を含む。
【0059】
ここで、前記制御部400は、視聴者が位置を変更する場合、最終位置において3次元映像を視聴できるように前記電圧印加部を制御して、図5のように、スイッチャブル領域を移動させ(スイッチャブル領域の移動時、その内部の透過領域とバリア領域が共に移動)、前記バリア領域を移動させる時、図6Bのように、視聴者が位置を変更しない場合よりも、一スイッチャブル領域において透過領域の比率を増加させること、すなわち、透過領域の幅を第1幅T1から第2幅T2に増加させることができる。
【0060】
一方、前記スイッチャブルパネル200は、液晶層230を介して互いに対向する第1及び第2基板200a、200b、前記第1基板200a上に形成された複数個の下部電極210、及び前記第2基板200bの全面に形成された上部電極240を含んでなることができる。また、前記下部電極210は、二層に分けて形成された第1層の下部電極と第2層の下部電極との間に絶縁層220をさらに介在しても良い。
【0061】
前記スイッチャブル領域の移動、及びバリア領域の幅の調整は、前記複数個の下部電極210に印加される電圧を調節してなされることができる。すなわち、バリア領域の幅の調節は、複数個の下部電極210に印加される透過領域用電圧とバリア領域用電圧の数を調節してなされ、スイッチャブル領域の移動は、視聴者の位置に対応するように各スイッチャブル領域に該当する透過領域用電圧及びバリア領域用電圧を下部電極に印加し、印加位置を左又は右に移動してなされる。
【0062】
また、前記制御部400は、視聴者の位置が臨界時間以上変わらない場合、前記視聴者の位置を最終位置と認識し、再び前記一スイッチャブル領域において透過領域の比率を低くするように調節するように、前記電圧印加部300を制御する。
【0063】
したがって、本発明の立体映像表示装置は、視聴者が位置を変更することが感知されると、位置を変更する間にも高品質の立体映像を視聴できるように、Open Ratioを視聴者位置の固定時よりも増加させるように制御部を調整する。
【0064】
図6A及び図6Bでは、一つのスイッチャブル領域に該当する幅を‘S’で表現し、それぞれ右眼R、左眼Lの映像情報を一つずつ有する表示パネル100の領域を、一つのスイッチャブル領域と定義した。これによって、隣接した右眼R、左眼Lの映像情報を有する領域が、一つのスイッチャブル領域になっても良く、または左眼L、右眼Rの映像情報を有する領域が、一つのスイッチャブル領域になっても良い。
【0065】
図6Aのように、視聴者位置の固定時には、スイッチャブル領域の透過領域を第1幅T1に維持し、位置変動の検出時には、図6Bのように、第2幅T2に左右拡張させる。すなわち、拡張は、位置変動を検出する直前の透過領域を基準として左右同一の幅を拡張することとする。
【0066】
ここで、図2を参照すると、複数個の下部電極210は、それぞれ電圧印加部300と連結され、複数個の下部電極210に印加される電圧が個別的に調節されることが好ましい。
【0067】
具体的に、スイッチャブルパネル200の複数個の下部電極210は、制御部400と連結された電圧印加部300と連結され、制御部400は、視聴者の位置変更及び最終位置を認識し、最終位置において立体映像を視聴できるように、複数個の下部電極210に印加される電圧を変更する。このとき、制御部400は、バリア領域が移動しない場合のOpen Ratio(T1/S)と、バリア領域が移動する場合のOpen Ratio(T2/S)が互いに異なるように、電圧印加部300を通じて複数個の下部電極210に印加される電圧を制御する。
【0068】
図7Aと図7Bは、図3及び図5による視野角による輝度変化を示すグラフである。
【0069】
まず、図7Aのように、図3の方法で駆動する際、視聴者が位置を変更する時にも、視聴者が位置を変更しない時と同じOpen Ratioを維持しながらバリア領域を移動させ、視聴位置を補償する。
【0070】
この場合、図7Aのように、第1位置と第2位置の透過率曲線が合う地点で、輝度が急激に低下する。したがって、輝度が急激に低下する区間は、フリッカー(Flicker)のように視聴者に認識され、表示品質が低下する。
【0071】
しかし、図7Bのように、本発明の立体映像表示装置は、視聴者の動きが感知されてバリア領域を移動させなければならない場合は、Open Ratioを増加させる。すなわち、視聴者が位置を変更することを感知すると、バリア領域を減少させ、透過領域を増加させることで、視野角の変化による輝度の減少を減らすためにOpen Ratioを増加させる。
【0072】
一方、スイッチャブル領域において透過領域の比率を高めるほど、3Dクロストーク(Cross Talk)が増加し得る。すなわち、3Dクロストークは、左眼映像が右眼に、右眼映像が左眼に入射するもので、3Dクロストークが50%発生したことは、左眼映像の50%が右眼に入射したことを意味する。3Dクロストークが増加すると、立体映像表示装置の不良率が高まる。したがって、3Dクロストークが1%以下に発生する範囲内で、視聴者位置の変動時にのみ前記Open Ratioを最大に増加させ、バリア領域を移動させることが好ましい。
【0073】
図7Bは、Open Ratioを50%に増加させた場合を示し、バリア領域を移動させながら視野角によって輝度を測定すると、以前の位置から次の位置に移動する前に輝度が低下する輝度の変化程度が減少する。すなわち、図7Aに比べて、輝度変化の程度(矢印を介した点線間の輝度の変化量)が減ることが分かる。したがって、視聴者が位置を変更しながら立体映像を視聴しても、高品質の立体映像を視聴できるので、視聴領域に対する制限が解消する。
【0074】
上記のような本発明の立体映像表示装置は、視聴者が位置を変更する時、立体映像の輝度減少を最小化して視聴できるように、Open Ratioを増加させてバリア領域を変更させる。したがって、輝度減少の程度が減少し、バリアムービングフリッカーを最小化することで、表示品質を向上させることができる。
【0075】
一方、上述した説明で、固定時のOpen Ratioは約37%で説明し、位置変動時のOpen Ratioは50%に説明したが、必ずこれに限定されるものではない。これらの値は、スイッチャブルパネルのピッチの幅、電極の間隔、一スイッチャブルパネル内に備えられた電極の数によって、変更可能である。
【0076】
また、以上で説明した本発明は、上述した実施例及び添付の図面に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であるということが本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者にとって自明である。
【符号の説明】
【0077】
100 表示パネル
200 スイッチャブルパネル
200a 第1基板
200b 第2基板
210 下部電極
220 絶縁層
230 液晶層
240 上部電極
300 電圧印加部
400 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元映像を出射する表示パネルと、
複数個のスイッチャブル領域を有し、前記表示パネル上に位置して、前記2次元映像を3次元映像に出射するスイッチャブルパネルと、
前記スイッチャブル領域内にバリア領域と透過領域とを区分するために、前記スイッチャブルパネルに電圧を印加する電圧印加部と、
前記スイッチャブル領域の位置、及び各スイッチャブル領域内のバリア領域の幅を調整するように前記電圧印加部を制御する制御部と、を含むことを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、視聴者が位置を変更する場合、最終位置において3次元映像を視聴できるように、前記電圧印加部を制御して前記バリア領域を移動させ、前記バリア領域を移動させる時、視聴者が位置を変更しない場合より、一スイッチャブル領域において透過領域の比率を増加させることを特徴とする、請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記一スイッチャブル領域において透過領域の比率を増加させることは、クロストークが1%以下に発生する範囲内で最大に増加させることを特徴とする、請求項2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記スイッチャブルパネルは、液晶層を介して互いに対向する第1及び第2基板、前記第1基板上に形成された複数個の下部電極、及び前記第2基板の全面に形成された上部電極を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記バリア領域を移動させることは、前記複数個の下部電極に印加される電圧を調節してなされることを特徴とする、請求項4に記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、視聴者の位置が臨界時間以上変わらない場合、前記視聴者の位置を最終位置と認識し、再び前記一スイッチャブル領域において透過領域の比率を低くすることを特徴とする、請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項7】
前記視聴者の最終位置において、一スイッチャブル領域における透過領域の比率は、前記視聴者が位置を変更しない場合の一スイッチャブル領域における透過領域の比率であることを特徴とする、請求項6に記載の立体映像表示装置。
【請求項8】
表示パネルと、複数個のスイッチャブル領域を有し、前記表示パネル上に位置したスイッチャブルパネルと、前記スイッチャブル領域内にバリア領域と透過領域とを区分するために、前記スイッチャブルパネルに電圧を印加する電圧印加部とを含む立体映像表示装置の駆動方法において、
前記スイッチャブルパネルを見る視聴者の位置をトラッキングする段階と、
前記視聴者が位置を変更する時、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を変更する段階と、
前記視聴者の位置変更終了を検出する時、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を元の状態に調整する段階と、を含むことを特徴とする立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項9】
前記スイッチャブル領域は、前記視聴者が位置を固定する時、第1幅の透過領域の幅を有し、
前記視聴者が位置を変更する時、第1幅よりも大きい第2幅の透過領域の幅を有することを特徴とする、請求項8に記載の立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項10】
前記視聴者が位置を変更する時、前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を変更する段階は、
前記視聴者の位置変更を検出する第1段階と、
前記スイッチャブル領域内の透過領域の幅を変更する第2段階と、
前記視聴者の位置に対応して、前記スイッチャブル領域を移動させる第3段階と、を含むことを特徴とする、請求項9に記載の立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項11】
前記第1段階は、ユーザトラッキングにより前記視聴者の位置を検出してなされることを特徴とする、請求項10に記載の立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項12】
前記スイッチャブルパネルは、液晶層を介して互いに対向する第1及び第2基板、前記第1基板上に形成された複数個の下部電極、及び前記第2基板の全面に形成された上部電極を含んでなることを特徴とする、請求項10に記載の立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項13】
前記第2段階及び第3段階は、前記電圧印加部から、各スイッチャブル領域の下部電極に印加するバリア領域用電圧と、透過領域用電圧を調節してなされることを特徴とする、請求項12に記載の立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項14】
前記第2段階は、前記位置変更検出直前の前記第1幅に対応して下部電極に印加されたときの透過領域用電圧の数を左右に増やした前記透過領域の幅である前記第2幅に対応するように、前記下部電極に印加してなされることを特徴とする、請求項13に記載の立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項15】
前記第3段階は、前記第2幅の透過領域が、前記視聴者の位置移動に相応して移動するように、前記下部電極に透過領域用電圧を印加してなされることを特徴とする、請求項13に記載の立体映像表示装置の駆動方法。
【請求項16】
前記視聴者の位置変更終了の検出は、前記視聴者の位置が臨界時間以上変わらないことを、ユーザトラッキングして検出してなされることを特徴とする、請求項8に記載の立体映像表示装置の駆動方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−70373(P2013−70373A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−205752(P2012−205752)
【出願日】平成24年9月19日(2012.9.19)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】