説明

立体映像表示装置,テレビジョン受像機

【課題】立体映像の表示中に表示される緊急速報などの文字を,3Dメガネを掛けていない者にとっても見やすい状態で表示させることのできる立体映像表示装置及びテレビジョン受像機を提供すること。
【解決手段】相対的に表示位置が異なる左目映像及び右目映像を交互に表示することにより立体映像を表示する立体映像表示装置であって,立体映像の表示中に,その立体映像の内容に関連しない緊急速報などの例外情報の表示を検知した場合には(S1,S2のYes側),その例外情報の表示色と異なる色の塗りつぶし画像を背景として前記例外情報を表示させる(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,相対的に表示位置が異なる左目映像及び右目映像を交互に表示することにより立体映像を視聴させるテレビジョン受像機などの立体映像表示装置に関し,特に,立体映像の表示中における緊急速報などの文字の表示手法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,表示位置を少しだけ左右にずらした左目映像及び右目映像を交互に表示することにより立体(3D)映像を表示させる立体映像表示装置が知られている。この立体映像表示装置の視聴者は,左目映像及び右目映像の表示に連動して左目及び右目の視界の有無を交互切り換える立体表示メガネ(以下,3Dメガネという)を使用することで立体映像を視聴することが可能である。特に近年では,3D映像への関心が高まっており,3D映像表示が可能な家庭用のテレビジョン受像機(以下「3Dテレビ」と称する)も普及しつつある。
一般に,テレビジョン受像機では,表示されているテレビ番組等の内容に関係なく,緊急速報を通知するための文字表示が行われる。例えば緊急速報には,災害情報(地震情報,台風情報など)や選挙速報などの各種のニュース速報が含まれる。そして,このような緊急速報の表示は3Dテレビにおいても同様に行われる。なお,立体映像表示中に文字を表示させる技術として,例えば特許文献1では,表示映像のコンテンツ内容に直接関連のある字幕の表示位置(距離)を適切に設定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−274125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで,3Dメガネを掛けていない者が3Dテレビで表示される立体映像を見ると,二重に重なった左目映像及び右目映像がそのまま見えることになる。そのため,図3(a)に示すように,立体映像表示中に緊急速報の文字Cを表示させると,3Dメガネを掛けていない者は,その二重に重なった左目映像及び右目映像を背景として文字Cを見ることになり,その文字Cが見えづらいという問題が生じる。一方,緊急速報の文字は,3Dメガネを掛けて立体映像を視聴している者のみならず,3Dメガネを掛けずにその3Dテレビの周辺に居る者も見ることがある。なお,緊急速報の文字に限らず,例えばチャンネル表示や音量表示などのように表示映像のコンテンツ内容とは直接関わりのない文字も同様である。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,立体映像の表示中に表示される緊急速報などの文字を,3Dメガネを掛けていない者にとっても見やすい状態で表示させることのできる立体映像表示装置及びテレビジョン受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,相対的に表示位置が異なる左目映像及び右目映像を交互に表示することにより立体映像を表示する立体映像表示装置であって,前記立体映像のコンテンツ内容に関連しない例外情報の表示を検出する例外情報検出手段と,前記立体映像の表示中に前記例外情報検出手段により前記例外情報の表示が検出された場合に,該例外情報の表示色と異なる色の塗りつぶし画像を背景として前記例外情報を表示させる背景制御手段とを備えてなることを特徴とする立体映表示装置として構成される。
本発明によれば,前記立体映像の表示中に表示される前記例外情報の背景が,該例外情報の表示色とは異なる色の前記塗りつぶし画像となるため,3Dメガネの利用の有無にかかわらず前記例外情報を見やすい状態で表示させることができる。
【0006】
具体的に,前記例外情報は,テレビジョン放送の放送局から送信される少なくとも災害情報を含む緊急速報,チャンネル表示,音量表示,時計表示,入力切替表示,ONタイマー表示,OFFタイマー表示,輝度調整表示のいずれか一つ又は複数を含むものであることが考えられる。これらの,緊急速報,チャンネル表示,音量表示,時計表示,入力切替表示,ONタイマー表示,OFFタイマー表示,輝度調整表示などの情報は,前記立体映像表示装置で立体映像を視聴しない者でも見る可能性があるためである。なお,前記例外情報は,例えば文字や画像(アイコン等)で表示される。このとき,前記例外情報の色は問わないが,前記例外情報をできるだけ見やすくするため,前記塗りつぶし画像は黒色であることが望ましい。
ここに,前記例外情報検出手段は,前記立体映像の上端部に点滅表示又はスクロール表示される文字が存在することを条件に,前記緊急速報の表示を検出することが可能である。また,前記例外情報検出手段は,前記立体映像の表示中に再生される音声信号に,前記緊急速報の表示時に再生される予め定められた通知音声信号が含まれることを条件に,前記緊急速報の表示を検出するものであってもよい。さらに,前記例外情報検出手段は,前記立体映像の上端部に,緊急,速報,緊急速報,臨時ニュースのいずれかの文字が表示されることを条件に,前記緊急速報の表示を検出するものであってもよい。なお,前記例外情報検出手段が,前記テレビジョン放送に含まれたメタデータに基づいて前記緊急速報の表示を検出するものであってもよい。
ところで,前記例外情報の表示色が白色である場合は,前記塗りつぶし画像が黒色であることが考えられる。これにより,前記例外情報を,最もコントラストの強い見えやすい状態で表示させることができる。
なお,前記背景制御手段は,前記例外情報の表示領域を含む表示ライン全体の背景を前記塗りつぶし画像とし,或いは前記例外情報の表示領域のみの背景を前記塗りつぶし画像とすることにより,前記塗りつぶし画像を背景として前記例外情報を表示させるものであることが考えられる。
また,本発明は,上述のように構成された前記立体映像表示装置を含んでなるテレビジョン受像機の発明として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば,前記立体映像の表示中に表示される前記例外情報の背景が,該例外情報の表示色とは異なる色の前記塗りつぶし画像となるため,3Dメガネの利用の有無にかかわらず前記例外情報を見やすい状態で表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xで実行される緊急速報表示処理の手順の一例を説明するためのフローチャート。
【図3】緊急速報の表示例を説明するための図。
【図4】例外情報の表示例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず,図1に示すブロック図を用いて,本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xの概略構成について説明する。当該テレビジョン受像機Xは,相対的に表示位置が異なる左目映像及び右目映像を交互に表示することにより立体映像を表示する立体映像表示装置の機能を含んで構成されたものである。なお,本発明に係る立体映像表示装置はテレビジョン受像機に限らず,例えば立体映像の表示を行うディスプレイ装置などにも適用可能である。
図1に示すように,テレビジョン受像機Xは,チューナ1a,1b,外部入力部2,映像切替回路3,映像判別回路41,映像処理回路42,立体映像処理回路43,RF通信回路5,LCD制御回路6,液晶表示部7,制御回路8,リモコンインターフェース(I/F)回路9,リモコン9a,音声切替回路10,音声処理回路11,アンプ12,スピーカ装置13,3DメガネY(立体表示メガネ)などを具備している。なお,テレビジョン受像機Xは,ここで説明する構成要素以外にも,一般的なテレビジョン受像機が有する構成要素を備えている。
【0010】
制御回路8は,演算手段であるMPU8a,そのMPU8aによって実行される制御プログラムが予め格納されるROM8b(EPROM),MPU8aが各種の処理を実行する際の作業記憶領域として利用されるEEPROM8cなどを備えている。そして,制御回路8は,前記制御プログラムに従って各種の処理を実行することにより,当該テレビジョン受像機X全体を統括的に制御する。
リモコンインターフェース回路9は,当該テレビジョン受像機Xの操作用のリモコン9aから,赤外線伝送などの無線伝送によって,リモコン9aに対するユーザの操作入力の内容を取得し,その操作入力の内容を制御回路8に伝送するものである。例えば,リモコン9aには,テレビジョン受像機Xで視聴するテレビジョン放送のチャンネル選択や音量調節,電源ON/OFFなどの各種操作を行う一般的な操作キー9bが設けられている。また,リモコン9aには,テレビジョン受像機Xの表示映像を立体映像及び平面映像のいずれかに切り替えるための表示切替キー9cが設けられている。もちろん,リモコン9aの操作によって表示されるメニュー画面上の操作により立体映像及び平面映像の切替操作が可能な構成であってもよい。
【0011】
チューナ1a,1b各々は,テレビジョン放送局から送信される地上デジタル放送やBS・CS放送などの各種テレビジョン放送の複数チャンネル分の映像信号,及びその映像信号と同期した音声信号が重畳された信号(以下,放送信号という)などを放送受信アンテナ20により受信する。そして,チューナ1a,1bは,制御回路8から指示された放送チャンネルの信号を前記放送信号から抽出(選局)するとともに,その抽出信号の検波によって映像信号及び音声信号を取り出し,その映像信号及び音声信号の各々を映像切替回路3及び音声切替回路10各々へ伝送する。
また,外部入力部2は,外部から入力されるコンポジット方式の映像信号及び音声信号や,セパレート方式の映像信号及び音声信号(いわゆるS端子の信号)等の外部入力映像信号及び外部入力音声信号を,映像切替回路3及び音声切替回路10各々へ伝送するインターフェースである。外部入力部2には,例えばDVDレコーダやブルーレイレコーダ,ハードディスクレコーダなどが接続される。
【0012】
音声切替回路10は,チューナ1a,1b各々からの音声信号及び外部入力部2からの音声信号のうち任意の音声信号を制御回路8からの指示に従って選択し,その選択した音声信号を音声処理回路11に伝送する。
音声処理回路11は,制御回路8からの指示に従って,音声切替回路10から伝送される音声信号に対して各種信号処理(例えば,イコライズ処理やサラウンド処理等)を行うものである。
アンプ12は,音声処理回路11による各種信号処理後の音声信号を,制御回路8からの音量指示に従って増幅或いは減衰させる処理を行い,処理後の音声信号をスピーカ装置13へ伝送するものである。これにより,スピーカ装置13では,アンプ12から入力された音声信号に基づいて音声が再生される。
【0013】
一方,映像切替回路3は,チューナ1a,1b各々から入力される映像信号及び外部入力部2から入力される映像信号のうち任意の映像信号を制御回路8からの指示に従って選択し,その選択した映像信号を映像判別回路41に伝送する。
映像判別回路41は,入力された映像信号が立体映像を表示させるための左目映像及び右目映像を含む映像信号(3D映像信号)であるか否かを判別する。そして,映像判別回路41は,その判別結果を制御回路8に通知する。これにより,制御回路8では,入力された映像信号が3D映像信号であるか否か,即ち液晶表示部7で立体映像が表示されるか否かを検知することができる。また,制御回路8が,電子番組情報に基づいて現在表示中のテレビジョン番組が立体映像であるか否かを判断することも他の実施例として考えられる。
【0014】
さらに,映像判別回路41は,前記映像信号のコンテンツ内容に関連しない緊急速報の表示を検出する例外情報検出機能を有している。ここに,係る検出を行うときの映像判別回路41が例外情報検出手段に相当する。前記緊急速報は,テレビジョン放送の放送局から送信される緊急情報であって,例えば災害情報(地震情報,台風情報など)や選挙速報などの各種のニュース速報が含まれる。なお,緊急速報(例外情報)が表示されることの検出は,その表示前又は表示中に行うことが可能である。
例えば,映像判別回路41は,複数フレーム分の映像信号をバッファするバッファメモリを有しており,そのバッファメモリに記憶される複数フレーム分の映像信号やその映像信号から算出される動きベクトルに基づいて,緊急速報の有無を判断するものであることが考えられる。具体的には,立体映像表示の上端部に点滅表示又はスクロール表示(テロップ表示)される文字が存在することを条件に緊急速報の表示を検出することが可能である。
また,映像判別回路41が,入力される映像信号に基づいて立体映像表示の上端部に表示される文字を認識する文字認識機能を有しており,予め設定された「緊急」や「速報」,「緊急速報」,「臨時ニュース」などの文字が含まれる場合に緊急速報の表示を検出することも可能である。
さらに,前記テレビジョン放送局から受信する前記放送信号には,テレビジョン番組のタイトルや出演者情報などが記載されたメタデータが含まれる。そして,そのメタデータに災害情報などの緊急速報が含まれることも考えられる。この場合,映像判別回路41は,テレビジョン放送に含まれたメタデータに基づいて,例えば緊急速報を示す識別子が前記メタデータに含まれているか否かを判断し,緊急速報の表示の有無を検出することも可能である。なお,係る検出は,チューナ1a,1bで行われてもよい。チューナ1a,1bで緊急速報の表示の有無を検出する構成では,例えば外部入力部2から入力された映像を表示している際にも,該緊急速報をその映像に重畳させて表示させることが可能である。
また,一般に緊急速報が表示される際には,その表示を認知させるために予め定められた通知音が流れる。そこで,映像判別回路41に代えて音声処理回路11が,映像信号と共に入力される音声信号に前記通知音を示す通知音声信号が含まれていることを条件に緊急速報の表示を検出することも考えられる。この場合には,前記音声処理回路11が例外情報検出手段の一例である。
【0015】
映像処理回路42は,映像判別回路41から伝送された映像信号に対して各種信号処理を行うものである。具体的に,映像処理回路42は,映像信号のA/D変換や,A/D変換後の映像信号から水平同期信号及び垂直同期信号の分離,その同期信号に位相同期したクロック信号の生成,A/D変換後の映像信号からの輝度信号及び色信号の分離,所定の画質改善処理等を行い,その処理後の映像信号を立体映像処理回路43に出力する。また,映像処理回路42は,テレビジョン放送に緊急速報が含まれている場合に,その緊急速報を映像信号に重畳して表示させる映像合成処理なども実行する。
立体映像処理回路43は,映像処理回路42から入力された映像信号が立体映像信号である場合,その立体映像信号をそのままLCD制御回路6に出力する。ここに,前記立体映像信号は,液晶表示部7における表示位置が所定量異なる左目映像及び右目映像を交互に表示させるための映像信号である。具体的に,前記立体映像信号は,左目フレーム画像及び右目フレーム画像が1フレームの半分の時間ごとに交互に合成されたものである。もちろん,テレビジョン受像機Xでは,立体映像信号に含まれた左目フレーム画像又は右目フレーム画像の一方のみを表示させることやその中間の画像を生成して表示させることにより,視聴者に平面映像を視聴させることも可能である。
【0016】
また,立体映像処理回路43は,映像処理回路42から入力された映像信号が平面映像信号である場合,制御回路8からの制御指令に従って,映像処理回路42から入力された平面映像信号をそのままLCD制御回路6に出力する平面映像表示モードと,前記平面映像信号に基づく映像をユーザに立体的に視聴させるための前記立体映像信号を生成してLCD制御回路6に出力する立体映像表示モードとのいずれかを実行する。なお,前記平面映像表示モードと前記立体映像表示モードとの切り替えはリモコン9aの表示切替キー9cによって行われる。具体的に,前記立体映像表示モードにおいて,立体映像処理回路43は,映像の1フレームごとの画像を左右に少しずらすことにより予め設定されたズレ量が生じた左目フレーム画像及び右目フレーム画像を生成する。そして,立体映像処理回路43は,その左目フレーム画像及び右目フレーム画像を1フレームの半分の時間ごとに交互に合成し,前記左目映像及び前記右目映像を交互に表示させるための立体映像信号を生成し,その立体映像信号をLCD制御回路6に出力する。
ここで,立体映像処理回路43は,LCD制御回路6に出力している映像信号が立体映像信号であるか平面映像信号であるかを示す映像種別通知信号を制御回路8に入力する。これにより,制御回路8では,液晶表示部7において立体映像の表示中であるか否かを判別することができる。
【0017】
LCD制御回路6は,立体映像処理回路43から入力される平面映像信号又は立体映像信号や,垂直同期信号,水平同期信号などに基づいて液晶表示部7に映像を表示させる。具体的に,LCD制御回路6は,前記立体映像信号が入力された場合,該立体映像信号に基づいて,液晶表示部7に前記左目映像及び前記右目映像を交互に表示させることにより,視聴者に立体映像を視聴させる。
液晶表示部7は,液晶パネルやバックライト装置などを備えており,LCD制御回路6から出力される映像信号に基づく映像を液晶パネルに表示するものである。なお,前記バックライト装置は,前記液晶パネルの後方側にマトリクス状に配置された多数のLEDや複数の冷陰極管(蛍光管)により該液晶パネルを背後から照明するものである。
【0018】
RF通信回路5は,3DメガネYとの間で無線周波数(RF)通信方式による無線伝送を行うことにより映像信号や音声信号,同期信号などの各種のデータを伝送するRF送信回路及びRF受信回路を有している。なお,RF通信回路5を利用してリモコン9aとの間でRF通信方式によるデータ通信が行われることも他の実施例として考えられる。
3DメガネYは,ユーザの左目及び右目の視界の有効及び無効(光の透過及び遮蔽)を切り替える液晶層を有する左目シャッタ及び右目シャッタを備えている。そして,3DメガネYは,テレビジョン受像機XのRF通信回路5とのRF通信によって受信される同期信号により,テレビジョン受像機Xで表示される左目映像及び右目映像の表示に連動して前記左目シャッタ及び前記右目シャッタを交互に開閉させ,左目及び右目の視界を交互に切り替えて有効化させる。これにより,3DメガネYを用いる視聴者は前記テレビジョン受像機Xで立体表示映像を視聴することができる。
【0019】
このように構成されたテレビジョン受像機Xは,制御回路8によって後述の緊急速報表示処理(図2参照)が実行されることにより,立体映像の表示中に緊急速報を表示する際に,3DメガネYの使用の有無にかかわらずその緊急速報を見やすい状態で表示させることのできる点に特徴を有している。
以下,図2のフローチャートに従って,本実施の形態に係るテレビジョン受像機Xで実行される緊急速報表示処理について説明する。なお,図中のS1,S2,…は処理手順(ステップ)番号を示している。ここに,当該緊急速報表示処理を実行するときの制御回路8が背景制御手段に相当する。
【0020】
(ステップS1)
まず,ステップS1において,制御回路8は,緊急速報の表示の有無を判断する。例えば,制御回路8は,映像判別回路41による判別結果に応じて緊急速報の表示の有無を判断する。もちろん,緊急速報の有無は,前述したようにチューナ1a,1bや音声処理回路11で検出されてもよい。
ここで,映像判別回路41で緊急速報の表示が検出されていない場合(S1のNo側),制御回路8は当該ステップS1の処理を所定間隔で繰り返し実行する。一方,映像判別回路41で緊急速報の表示が検出された場合(S1のYes側),制御回路8は処理をステップS2に移行させる。
【0021】
(ステップS2)
続いて,ステップS2において,制御回路8は,液晶表示部7で立体(3D)映像を表示中であるか否かを判断する。前述したように,制御回路8は,例えば立体映像処理回路43から立体映像信号又は平面映像信号のいずれが出力されているかに応じて液晶表示部7で立体映像が表示中であるか否かを判断する。
ここで,立体映像の表示中ではないと判断されると(S2のNo側),制御回路8は処理を後述のステップS21に移行させる。一方,立体映像の表示中であると判断されると(S2のYes側),制御回路8は処理をステップS3に移行させる。
【0022】
(ステップS3)
次に,ステップS3において,制御回路8は,後述のステップS4によって緊急速報の文字の背景を自動的に変更する背景制御機能が有効に設定されているか否かを判断する。具体的に,テレビジョン受像機Xにおいて,制御回路8は,初期設定などのメニュー画面に従った視聴者のリモコン操作に応じて,前記背景制御機能の有効及び無効の設定を行う。即ち,テレビジョン受像機Xでは,ユーザの好みによって前記背景制御機能の使用の有無を切り換えることが可能である。
ここで,前記背景制御機能が有効でないと判断されると(S3のNo側),制御回路8は処理をステップS21に移行させる。一方,前記背景制御機能が有効であると判断された場合(S3のYes側),制御回路8は処理をステップS4に移行させる。
【0023】
(ステップS21)
液晶表示部7の表示映像が立体映像でない場合(S2のNo側)や,背景制御機能が無効である場合(S3のNo側),制御回路8は,続くステップS21において,映像処理回路42に制御指示を与えることにより,黒色で塗りつぶした画像を背景に表示させることなく,通常通り液晶表示部7に表示された映像上に重ねて緊急速報の文字を白色で表示させる。
【0024】
(ステップS4)
緊急速報の表示が検出されたときに(S1のYes側),液晶表示部7の表示映像が立体映像であり(S2のYes側),且つ背景制御機能が有効である場合(S3のYes側),続くステップS4において,制御回路8は,映像処理回路42に制御指示を与えることにより,黒色で塗りつぶした画像を背景として緊急速報の文字を白色で表示させる。例えば,このとき映像処理回路42は,黒色で塗りつぶした画像の上に緊急速報の文字を白色で表示する緊急速報画像を生成する。そして,映像処理回路42は,入力された映像信号のうち緊急速報の表示領域を含む表示ライン全体(上端部の複数ライン)に対応する映像信号を前記緊急速報画像に置き換える。これにより,液晶表示部7では,立体映像の表示画面の上端部に,緊急速報の表示領域を含む表示ライン全体の背景を前記塗りつぶし画像として該緊急速報の文字が表示されることになる。なお,前記緊急速報画像の生成手法や表示手法については従来周知のOSD表示などで用いられる画像合成技術を利用すればよい。
【0025】
ここに,図3は,緊急速報の表示例を示す図であって,(a)は当該背景制御処理を実行しない従来の表示例,(b)は当該背景制御処理を実行して前記緊急速報画像が表示される場合を示している。
図3(a)に示すように,白色の緊急速報の文字Cをそのまま重複映像の上に表示させると,その文字の背景が,二重に見える重複映像であるため,3DメガネYを使用していない者から見ると,その文字Cが見えづらくなる。
しかしながら,本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xでは,図3(b)に示すように,白色の緊急速報の文字Cが,黒色の塗り潰し画像(黒帯画像)Pを背景として表示される。そのため,その緊急速報の文字Cは,3DメガネYを使用している者,使用していない者の両方にとって見えやすい表示となる。特に,テレビジョン受像機Xでは,文字Cが白色,塗りつぶし画像Pが黒色であってコントラストが強いため,特に文字Cを見やすい状態で表示させることができる。但し,緊急速報の文字Cと塗りつぶし画像Pとの色が異なる色であれば,白色と黒色との組み合わせに限らない。例えば文字Cが黒色で塗りつぶし画像Pが黄色,青色,赤色などであることも考えられる。さらに,制御回路8が,視聴者によるリモコン操作などに応じて,文字Cと塗りつぶし画像Pとの色の組み合わせを任意に設定することのできる構成も考えられる。
なお,図3(b)に示すように,緊急速報の文字Cが表示される領域を含む表示ライン全体を黒色の塗り潰し画像Pとしてもよいが,図3(c)に示すように,文字Cの表示領域のみの背景を黒色の塗り潰し画像P1とすることも他の実施例として考えられる。
【0026】
以上説明したように,テレビジョン受像機Xでは,制御回路8によって当該緊急速報表示処理が実行されることにより,立体映像の表示中に映像判別回路41などにより緊急速報の表示が検出された場合には,該緊急速報の表示色(白色)と異なる色(黒色)の塗りつぶし画像を背景としてその緊急速報が表示される。従って,立体映像の表示中でも,3DメガネYの利用の有無にかかわらず緊急速報を見やすい状態で表示させることができる。
【0027】
ところで,本実施の形態では,立体映像の表示中に緊急速報を表示させる場合を例に挙げて説明したが,本発明は,緊急速報に限らず,立体映像表示中にその映像のコンテンツ内容に関連のないその他の例外情報を表示させる場合にも適用可能である。例えば,前記例外情報には,前記緊急速報の他に,例えば以下の(1)〜(6)のいずれか一つ又は複数が含まれることが考えられる。これらの表示も,3DメガネYを掛けてテレビジョン受像機Xを視聴しない者が見る可能性があるためである。また,前記例外情報は,文字に限らず画像(アイコン等)によって表示されるものであってもよい。なお,これらの例外情報の表示の有無は,例えばリモコン9aの操作に応じて,或いは制御回路8で実行される処理において,該制御回路8で制御されるため,該制御回路8により前記例外情報の表示の有無を検出することができる。即ち,この場合,制御回路8が例外情報検出手段の一例となる。
(1)現在表示中のテレビジョン番組のチャンネルを表示するチャンネル表示。
(2)再生される音声の音量を調節する際の音量表示。
(3)現在時刻を表示する時計表示。
(4)表示する映像の種別を地上デジタル放送,BS放送,外部入力などの間で切り換える際の入力切替表示。
(5)テレビジョン受像機Xの電源を自動的に入り切りするONタイマーやOFFタイマーをセットするためのON/OFFタイマー表示。
(6)OPCセンサで測定される環境照度に応じてバックライトの輝度を自動調整する輝度調整処理が行われているときに輝度調整の内容が表示される輝度調整表示。
さらに,上記(1)〜(6)のような例外情報は前記緊急速報に比べて表示文字数(表示サイズ)が少ない。そこで,表示文字数の少ない例外情報を表示する場合には,該例外情報の表示領域のみの背景を塗りつぶし画像とし,表示文字数の多いと思われる緊急速報のような例外情報を表示する場合には,該緊急速報の表示領域を含む表示ライン全体の背景を塗りつぶし画像とすることが考えられる。
ここに,図4(a)〜(c)は,上記(1)〜(6)の例外情報の表示例を示している。なお,図4(a)〜(c)に示す塗りつぶし画像P11〜P16は黒色であり,その上に表示される文字C11〜C16は塗りつぶし画像P11〜P16とは異なる緑色,赤色,青色,白色などである。
具体的に,図4(a)は,塗りつぶし画像P11上にチャンネル表示(10CH)の文字C11,塗りつぶし画像P12上に音量表示(24)の文字C12,塗りつぶし画像P13上に時計表示(時計7時5分)を表示させる場合の表示例である。
また,図4(b)は,塗りつぶし画像P14上に入力切替表示(入力1)の文字C14,塗りつぶし画像P15上にON/OFFタイマー表示(オンタイマー30分)の文字C15を表示させる場合の表示例である。
さらに,図4(c)は,塗りつぶし画像P16上に輝度調整表示(○○○―――)の文字C16を表示させる場合の表示例である。なお,文字C16における「○」の数は液晶表示部7のバックライト装置の輝度のレベルを示すものであって,「○」の数が多いほどバックライト装置の輝度が低く省電力が図られていることを示す。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は,立体映像表示を行うテレビジョン受像機やディスプレイ装置などの立体映像表示装置への利用が可能である。
【符号の説明】
【0029】
1a,1b:チューナ
2 :外部入力部
3 :映像切替回路
41:映像判別回路
42:映像処理回路
43:立体映像処理回路
5 :RF通信回路
6 :LCD制御回路
7 :液晶表示部
8 :制御回路
8a:MPU
8b:ROM
8c:EEPROM
9 :リモコンインターフェース回路
9a:リモコン
9b:操作キー
9c:表示切替キー
10:音声切替回路
11:音声処理回路
12:アンプ
13:スピーカ装置
S1,S2,…,:処理手順(ステップ)番号
X :テレビジョン受像機(本発明に係る立体映像表示装置の一例)
Y :3Dメガネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に表示位置が異なる左目映像及び右目映像を交互に表示することにより立体映像を表示する立体映像表示装置であって,
前記立体映像のコンテンツ内容に関連しない例外情報の表示を検出する例外情報検出手段と,
前記立体映像の表示中に前記例外情報検出手段により前記例外情報の表示が検出された場合に,該例外情報の表示色と異なる色の塗りつぶし画像を背景として前記例外情報を表示させる背景制御手段と,
を備えてなることを特徴とする立体映像表示装置。
【請求項2】
前記例外情報が,テレビジョン放送の放送局から送信される少なくとも災害情報を含む緊急速報,チャンネル表示,音量表示,時計表示,入力切替表示,ONタイマー表示,OFFタイマー表示,輝度調整表示のいずれか一つ又は複数を含んでなる請求項1に記載の立体映像表示装置。
【請求項3】
前記塗りつぶし画像が黒色である請求項2に記載の立体映像表示装置。
【請求項4】
前記例外情報検出手段が,前記立体映像の上端部に点滅表示又はスクロール表示される文字が存在することを条件に,前記緊急速報の表示を検出するものである請求項2又は3のいずれかに記載の立体映像表示装置。
【請求項5】
前記例外情報検出手段が,前記テレビジョン放送に含まれたメタデータに基づいて前記緊急速報の表示を検出するものである請求項2又は3のいずれかに記載の立体映像表示装置。
【請求項6】
前記例外情報の表示色が白色であって,前記塗りつぶし画像が黒色である請求項1〜5のいずれかに記載の立体映像表示装置。
【請求項7】
前記背景制御手段が,前記例外情報の表示領域を含む表示ライン全体の背景を前記塗りつぶし画像とし,或いは前記例外情報の表示領域のみの背景を前記塗りつぶし画像とすることにより,前記塗りつぶし画像を背景として前記例外情報を表示させるものである請求項1〜6のいずれかに記載の立体映像表示装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の立体映像表示装置を含んでなるテレビジョン受像機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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