立体構造経編地
【課題】地組織の外表面と内側面とに露出する挿入糸の効果で、肌に接触する面積が小さく、通気性に優れかつ柔軟な感触を呈することができる立体構造経編地を提供する。
【解決手段】表裏の地組織を連結糸で連結してなる立体構造経編地であり、少なくとも一方の地組織1に挿入糸4が地組織1の外表面と内側面とに交互に露出するようにループ間でループ形成することなくウエル方向に挿入係止され、この挿入糸が地組織表面と裏面に露出するコース数の比率1:1〜1:8、地組織の外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率が10〜40%である立体構造経編地。
【解決手段】表裏の地組織を連結糸で連結してなる立体構造経編地であり、少なくとも一方の地組織1に挿入糸4が地組織1の外表面と内側面とに交互に露出するようにループ間でループ形成することなくウエル方向に挿入係止され、この挿入糸が地組織表面と裏面に露出するコース数の比率1:1〜1:8、地組織の外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率が10〜40%である立体構造経編地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維より成る立体構造経編地の地組織にその外面と内面に露出する挿入糸を挿入係止して成る、触感および通気性に優れた立体構造経編地に関する。
【背景技術】
【0002】
表裏の地組織とそれを連結する連結糸よりなる立体編物、中でも経編により編成される立体構造経編地は、その優れた反発性、クッション性、通気性などから、多岐の分野にわたって利用されている。衣料分野においては、一般衣料やスポーツ衣料、インナー衣料として利用され、また、内装材分野としては、自動車のシートや椅子、ベッドなどの表皮材、クッション材などとして広く利用されている。更に、この立体編物の表面に凹凸を設けることで、肌に接触する面積を小さくし、通気性や肌触りなどを向上させることが行われている。
【0003】
立体構造経編地等の立体編物において肌に接触する面積を小さくする方法はいくつか提案されており、例えば、特許文献1では、織編物に高圧液流を打ち当てて、ウネ状スジ模様を形成することが開示されている。また特許文献2では、編地をカレンダーロール等で加熱プレスする事により、柄模様を表面に形成することが開示されている。
【0004】
しかしながら、高圧液流によるウネ形成方法の場合、編地表面のウネ形状を長期間保持することが難しく、また加熱プレスによる方法では、編地がつぶれたり、表面が硬化する事により風合いが悪くなる虞がある。
【0005】
また、この様な後処理によるものではなく、編みの組織で表面に凹凸を形成する方法が知られている。例えば、特許文献3では、メッシュ編、針抜き組織、タック編で編地表面により凹凸構造を形成する方法が開示されている。また、本発明者らが提案した特許文献4には、編地を編成するときに太さの異なる2本の糸を用い、該糸の振り幅を調整して凹凸を形成する方法の開示がある。また、特許文献5には、連結糸のランナー値を調整することにより、連結される表裏地組織間の距離(間隔)を2種類以上に変化させて、表面に凹凸を形成するものが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3の方法では、地組織を地糸でつまむことによって凹凸が形成されるため、地組織が固くなり風合いが悪くなる。また特許文献4の方法は、地組織のニードルループを太い糸と細い糸によって形成することにより凹凸を形成するため、地組織表面の触感が悪く、更に加工後にループが硬化して、ガサガサした触感で風合いが悪くなり不快感を与える虞があった。
【0007】
また、特許文献3,4の方法では、通気性は良好であるが、表面に露出しているループなどの糸の長さが短く構成されているため、柔らかい糸を使用しても風合いが固くなるという問題があった。
【0008】
このほか、表面の触感を改善する先行技術としては、表面を起毛するなどの技術があるが、加工工程が増えるといった問題点がある。また表面を起毛することによる連結糸の飛び出しや、地組織の強度低下の問題がある。
【0009】
また、地組織がメッシュ構造である場合は、メッシュ開口部から連結糸が飛び出すことにより触感が悪くなる問題がある。
【0010】
また特許文献5の方法は、連結糸の調整によって得られる凹部は凹凸の効果が得られず、また、凹部では地組織のループが連結糸に引っ張られることにより地組織が硬くなるという問題があった。
【特許文献1】特公平1−40135号公報
【特許文献2】特開平4−146246号公報
【特許文献3】特開平9−137380号公報
【特許文献4】特開2001−11757号公報
【特許文献5】特開2003−13346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、肌に接触する面積を小さくし、通気性に優れかつ柔軟な感触を呈する立体構造経編地を提供するものであり、特には挿入糸が地組織の外面と内面に露出するように挿入係止されてなる立体構造経編地を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(1)表裏の地組織を連結糸で連結してなる立体構造経編地であり、少なくとも一方の地組織において、挿入糸が該地組織の外表面と内側面とに露出するように挿入係止されてなる立体構造経編地であって、前記地組織の外表面と内側面において、前記挿入糸が外表面に露出しているコース数と露出していないコース数との露出比率が1:1〜1:8であり、該地組織の外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率が10〜40%である立体構造経編地である。
【0013】
また、(2)前記挿入糸が地組織を形成するループ間において挿入係止されてなることを特徴とする(1)記載の立体構造経編地である。
【0014】
また、(3)前記挿入糸がウエル方向に挿入係止されていることを特徴とする(1)又は(2)記載の立体構造経編地である。
【0015】
また、(4)前記挿入糸が地組織の外表面側に2〜30コースの範囲で露出するように挿入係止されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の立体構造経編地である。
【0016】
また、(5)前記挿入糸の繊度が167dtex〜1400dtexである(1)乃至(4)のいずれかに記載の立体構造経編地である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の立体構造経編地は、表裏の地組織とその両地組織を連結する連結糸による連結部分から成る立体構造経編地において、該経編地の通気性を損なうことなく表面の触感に優れた立体構造経編地を提供することができる。
【0018】
更に、地組織面からの挿入糸のはみ出し、地組織面の硬化、ざらつき等を解消した立体構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、表裏の2枚の地組織と該両地組織を連結糸で連結して成る立体構造経編地において、図1に模式的に示すように、前記表裏地組織1,2の少なくとも一方の地組織、例えば表地組織1に、挿入糸4が該地組織1の外表面と内側面とに交互に露出するように挿入係止すること、特には該挿入糸4を地組織1を形成するループ1a,1a間において基本的に編目形成(ループ形成)することなくウエル方向に挿入し係止することにより、上述の問題を解決し得ることを見い出したものである。
【0021】
本発明において、挿入糸の地組織に対する挿入係止とは、図1に示すように、表裏の地組織1,2の少なくとも一方の地組織、例えば表地組織1を形成するループ1aとループ1aの間において、前記挿入糸4が外表面から内側面の側に、また内側面から外表面の側に基本的にループ形成せずに移動することによって、該表地組織1に対し挿入されて係止した状態のことをいう。
【0022】
図において、符号1は表地組織を、符号2は裏地組織を示し、1a及び2aはそれぞれ地組織を形成する編目のループを示している。また、符号3は両地組織1,2を連結する連結糸を、符号4は挿入糸を、符号4aは地組織の外表面側に位置し露出した挿入糸部分を、4bは地組織の内側面に露出している挿入糸部分を示している。
【0023】
前記の挿入糸4について、図1に示すように、該挿入糸4が表地組織1の外表面に位置し露出した挿入糸部分4aと、内側面に露出している挿入糸部分4bの各々の露出部分のコース数の比率(露出比率)は、1:1〜1:8であることが、更には1:2〜1:6であることが好ましい。地組織の外表面と内側面との挿入糸の露出比率が1:8(1/8)より小さいと触感が損なわれる虞があり、1:1(1/1)より大きいと触感が悪くなり、更に挿入糸が引っかかり易くなる虞がある。
【0024】
また、挿入糸が挿入係止された地組織の外表面におけるコース方向(編幅方向)での挿入糸の本数比率SRは10〜40%であり、更には10〜20%であることが好ましい。前記挿入糸の本数比率が10%未満であると、優れた表面触感や通気性が得られない虞があり、40%より大きいと風合いが硬くなる虞がある。
【0025】
本発明における地組織外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率SR(%)は、下記の[式1」で算出される。
[式1]
SR(%)=(A/B)×100
A・・・1インチ間のコース方向の挿入糸本数
B・・・1インチ間のコース方向のループ数
また、上記本数比率SR(%)の算出は、生機を精錬、染色、ヒートセット等の通常の染色仕上げ工程を通した仕上がり時の立体構造経編地を用いて行う。
【0026】
また、前記挿入糸4は、地組織の外表面側に、ウエル方向に所定の間隔(挿入糸の露出比率1:1〜1:8)において2〜30コースの範囲で、特には2〜20コースの範囲で露出するように挿入係止することが好ましい。すなわち、外表面での挿入糸の露出が2コース未満であると、外表面の挿入糸の露出が目立ちにくく、露出の効果が得られなくなる虞があり、また外表面の露出が30コースより大きくなると、地組織外表面に露出した挿入糸がひっかかりやすくなり、ピリングの発生や耐摩耗性が悪くなる虞があるため好ましくない。
【0027】
本発明で用いることのできる挿入糸としては、167〜1400dtex、好ましくは220〜1000dtexの糸で、地組織を構成する糸条よりも太いマルチフィラメント糸や、この繊度に相当するスパンヤーン、あるいはこれらの捲縮加工糸等の各種の糸を用いることができる。さらに、糸の側面が有毛調をなすモール糸や紡績糸、加工糸等の、糸の側面がソフトなものが好ましく用いられる。また、挿入糸をバフなどで起毛を施すことにより、触感が向上する。更に、綿やレーヨン等の親水性繊維、或いは吸汗処理された合成繊維などの吸汗性に優れた繊維を用いることもできる。挿入糸の繊度が167dtex未満であると地組織の外表面に現れにくく、優れた触感が十分発揮できなかったり、挿入糸が損傷しやすくなる虞がある。また1400dtexより大きくなると、地組織外表面の凹凸が大きくなりすぎ、触感が悪くなる虞がある。
【0028】
また、本発明においては、前記挿入糸4が経編編成による挿入編成の手法により、地組織のループ間においてウエル方向(編方向)に挿入係止されていることが好ましい。
【0029】
また、挿入糸4を含む地組織、例えば表地組織1の外表面と、外表面側の挿入糸4(露出した挿入糸部分4a)との高低差は、図2に示すように、挿入糸4を含む立体構造経編地の全厚Cと、挿入糸4の無い部分の立体構造経編地の全厚Bとの差Aで表される。挿入糸4と地組織表面との高低差は0.1mm〜2.0mm、更に0.2mm〜1.0mmであることが好ましい。挿入糸と地組織表面の高低差が0.1mm未満であると、挿入糸が地組織表面に露出しにくく、十分な通気性が得られない虞がある。また2.0mmより大きいと、人体(肌)の接触面の触感が損なわれる虞があるため好ましくない。
【0030】
前記のように、表裏の地組織1,2の少なくとも一方(表地組織1)の外表面に挿入糸4を所定の間隔で露出させるように、該挿入糸4を地組織1に対し挿入係止することにより、地組織外表面の触感に優れ、また通気性を損なうことの無い、意匠性に優れた立体構造経編地を提供することができる。図3に前記の立体構造経編地の1例の略示斜視図を、図4(a)(b)に挿入糸4が地組織の外表面に露出する場合と、内側面に露出する場合との略示断面図を、図5に拡大した略示断面図を示す。
【0031】
また、図6〜図8に示すように、前記の挿入糸4を挿入係止した地組織(例えば裏地組織2)と対向するもう一方の地組織(例えば表地組織1)については、プレーンな組織のほか、図示のように開口部5を有する組織(例えばメッシュ組織)にすることができる。この場合、他方の地組織2に挿入されている挿入糸4の該地組織2の内側面に露出している挿入糸部分4bが前記開口部5から見えるようになり、意匠性に優れた立体構造体を提供することができる。図6に前記の立体構造経編地の略示斜視図を、図7(a)(b)に同経編地の挿入糸が地組織の外表面に露出する場合と、内側面に露出する場合との略示断面図を示し、図8に拡大した略示断面図を示す。
【0032】
前記挿入糸4の挿入係止の方法及び形態は、少なくとも一方の地組織において、編方向すなわちウエル方向に一定の間隔(挿入糸の露出比率1:1〜1:8)で地組織のループ間に挟まれて挿入係止される。前記挿入糸4の地組織に対する挿入係止状態及び外表面の露出状態については、用途に応じて適宜設定することができるが、図9や図10に示すように、経緯に所定の間隔をおいて外表面に露出するように挿入係止したり、ストライプ状、市松模様、ドット状など任意の形状に挿入することができる。また、地組織面はメッシュ、無地組織など、その用途や目的に応じて適宜の組織で編成できることはいうまでもない。
【0033】
本発明の立体構造経編地の経方向(編み方向)の編密度は、20〜70コース/インチ、好ましくは25〜50コース/インチ程度が採用される。前記縦方向の編密度が20コース/インチ未満では、編み立てた時の地組織表面の密度感がなく商品価値が劣り、また70コース/インチより大きいと、編地が硬くなったり、目付が重くなる虞がある。
【0034】
本発明に用いられる繊維としては、立体編物に使用した場合にその効果に支障をきたさないものであれば繊度は特に限定はないが、表裏地組織を形成する糸の繊度は33〜500dtex、間隙を形成する連結糸は22〜220dtexのモノフィラメント糸又マルチフィラメント糸、或いは加工糸が用いられる。
【0035】
また、使用できる繊維の種類は、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等が好適であるが、耐久性の点からポリエステル繊維が好ましく用いられる。
【0036】
本発明は、地組織に挿入する挿入糸には、糸の側面の素材感及び風合いに優れたものを用いることができる為、素材感や触感の優れた経編地を提供することができる。更に、該挿入糸を地組織の外表面に露出するように挿入することで、地組織を形成するループは挿入糸の下部に位置し、人体等と接触する面に現れにくくなり、また、挿入糸はループ形成することなく挿入されるため、地組織表面に起伏が現れにくい。
【0037】
さらに、本発明の経編地は、外表面に露出する挿入糸の側面が人体等と接することになる為、糸の本来の性能が発現され、例えば、挿入糸に捲縮糸などを用いた場合は、手で触った時の触感が良好であり、肌面に触れる用途に対しても好ましく用いることができる。また、挿入糸と地組織面との間に適度の間隔や高低差ができるため通気性に優れ、蒸れ感の少ない立体構造経編地を提供することができる。
又、本発明は挿入糸が地組織にループ形成されることなく挿入されているだけであるため、ループからの挿入糸の飛び出し、基布の硬化、地組織表面のザラツキ、見栄えの悪さが無く、挿入糸の糸の消費量も少なく、太い糸を使用しても、地組織表面の見栄えが良好な立体構造体を提供できる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例を比較例と共にあげ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
〔評価方法〕
1.通気性:布帛の通気性をJIS L1096 6.27 に準じて測定した。
2.剛軟度:布帛の剛軟度をJIS L1098 6.19 A法(45°カンチレバー法)に準じて測定した。
3.ピリング性:布帛のピリング性をJIS L1096 6.17 C法(テーバー法)に準じて測定し、外観変化を 下記のように評価した。
○ 異常なし
△ やや損傷している
× タテ又はヨコが切断している
4.表面触感:布帛の表面触感を官能検査にて評価した。
◎ 非常に良好
○ 良好
△ やや悪い
× 悪い
【0040】
[実施例1]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図11に示すように筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織に対し、挿入糸として、筬L−6で1200dtex/210fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に5本を配列して、表地組織の外表面、内側面にそれぞれ28コースづつ交互に露出させるように地組織を構成するループ間において挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出比率は1:1で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は23%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、1.6mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、前記挿入糸によるストライプ状の柄を呈する意匠が得られた。この立体構造経編地の通気性、剛軟度、ピリング性及び表面触感等の性能を表1に示す。
【0041】
[実施例2]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図12に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6により1200dtexのポリエステルモール糸を1インチ間に5本を配列して、該挿入糸を8コース地組織外表面に、48コース地組織内側面に交互に露出させる様に地組織に挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:6で、該地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は23%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、1.8mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ドット状の意匠が得られた。この立体構造経編地の通気性、剛軟度、ピリング性及び表面触感等の性能を表1に示す。
【0042】
[実施例3]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図13に示すように筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で220dtex/48fのポリエステルモール糸を1インチ間に8本配列して、該挿入糸を18コース地組織外表面に、32コース地組織内側面に交互に露出させるように挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:2で、該地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は36%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、0.2mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ストライプ状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0043】
[実施例4]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図14に示すように筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で334dtex/60fのポリエステル加工糸を1インチ間に3本配列して、該挿入糸を10コース地組織外表面に、30コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、36コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:3で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は14%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、0.6mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ドット状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0044】
[実施例5]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図15に示すように、筬L−1を使わず、筬L−3で裏側地組織を編成し、筬L−5、L−6で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、さらに、前記裏側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−2で660dtex/120fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に8本配列して、該挿入糸を6コース地組織外表面に、6コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、36コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:1で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は36%であった。この立体構造経編地の裏側地組織のストライプ状の挿入糸が、表側地組織の開口部から垣間見える意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0045】
[比較例1]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図16の組織図に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を、筬L−5、L−6開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、両地組織を筬L−3の連結糸で連結し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。その性能を表1に示す。
【0046】
[比較例2]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図17に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、さらに前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で110dtex/48fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に12本配列して、該挿入糸を20コース地組織外表面に、10コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は2:1で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は54%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、0.05mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ストライプ状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0047】
[比較例3]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−18G(マイヤー社製)を使用して、図18に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、さらに前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で1500dtex/270fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に5本配列して、該挿入糸を30コース地組織外表面に、10コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、29コース/吋、18ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり30コース/吋、19ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は100:33で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は28%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、2.2mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ストライプ状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【表1】
【0048】
上記のように、本発明の立体構造経編地は、比較例の経編地に比して、少なくとも一方の地組織に挿入係止された挿入糸の効果により、通気性、剛軟度が良好で、特にピリング性や表面触感に特に優れたものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、一般衣料やスポーツ衣料、インナー衣料等の衣料分野において、また、自動車のシートや椅子、ベッドなどの表皮材、クッション材などの内装材分野において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の立体構造経編地の挿入糸の挿入係止の状態を模式的に示す地組織内側面からの略示平面図と、ウエル方向(編方向)に沿う略示断面図である。
【図2】本発明の挿入糸の状態を模式的に示すウエル方向の略示断面図である。
【図3】本発明の立体構造経編地の1例を示す略示斜視図である。
【図4】(a)(b)それぞれ同上の立体構造経編地の地組織外表面に挿入糸が露出する部分と、地組織内側面に挿入糸が露出する部分とを模式的に示すコース方向に沿う略示断面図である。
【図5】同上の立体構造経編地の挿入糸の挿入形態を模式的に示すウエル方向に沿う略示断面図である。
【図6】本発明の立体構造経編地の別の例を示す略示斜視図である。
【図7】(a)(b)それぞれ同上の立体構造経編地の地組織外表面に挿入糸が露出する部分と、地組織内側面に挿入糸が露出する部分とを模式的に示すコース方向に沿う略示断面図である。
【図8】同上の立体構造経編地の挿入糸の挿入形態を模式的に示すウエル方向に沿う略示断面図である。
【図9】本発明の立体構造経編地のさらに別の例を示す略示斜視図である。
【図10】本発明の立体構造経編地のさらに別の例を示す略示斜視図である。
【図11】実施例1の立体構造経編地の組織図である。
【図12】実施例2の立体構造経編地の組織図である。
【図13】実施例3の立体構造経編地の組織図である。
【図14】実施例4の立体構造経編地の組織図である。
【図15】実施例5の立体構造経編地の組織図である。
【図16】比較例1の立体構造経編地の組織図である。
【図17】比較例2の立体構造経編地の組織図である。
【図18】比較例3の立体構造経編地の組織図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・表側の地組織
1a・・表側のループ
2・・・裏側の地組織
2a・・裏側のループ
3・・・連結糸
4・・・挿入糸
4a・・地組織外表面に露出した挿入糸部分
4b・・地組織内側面に露出した挿入糸部分
5・・・開口部
A・・・挿入糸と地組織表面との高低差
B・・・挿入糸無し部の厚み
C・・・挿入糸を含む厚み
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維より成る立体構造経編地の地組織にその外面と内面に露出する挿入糸を挿入係止して成る、触感および通気性に優れた立体構造経編地に関する。
【背景技術】
【0002】
表裏の地組織とそれを連結する連結糸よりなる立体編物、中でも経編により編成される立体構造経編地は、その優れた反発性、クッション性、通気性などから、多岐の分野にわたって利用されている。衣料分野においては、一般衣料やスポーツ衣料、インナー衣料として利用され、また、内装材分野としては、自動車のシートや椅子、ベッドなどの表皮材、クッション材などとして広く利用されている。更に、この立体編物の表面に凹凸を設けることで、肌に接触する面積を小さくし、通気性や肌触りなどを向上させることが行われている。
【0003】
立体構造経編地等の立体編物において肌に接触する面積を小さくする方法はいくつか提案されており、例えば、特許文献1では、織編物に高圧液流を打ち当てて、ウネ状スジ模様を形成することが開示されている。また特許文献2では、編地をカレンダーロール等で加熱プレスする事により、柄模様を表面に形成することが開示されている。
【0004】
しかしながら、高圧液流によるウネ形成方法の場合、編地表面のウネ形状を長期間保持することが難しく、また加熱プレスによる方法では、編地がつぶれたり、表面が硬化する事により風合いが悪くなる虞がある。
【0005】
また、この様な後処理によるものではなく、編みの組織で表面に凹凸を形成する方法が知られている。例えば、特許文献3では、メッシュ編、針抜き組織、タック編で編地表面により凹凸構造を形成する方法が開示されている。また、本発明者らが提案した特許文献4には、編地を編成するときに太さの異なる2本の糸を用い、該糸の振り幅を調整して凹凸を形成する方法の開示がある。また、特許文献5には、連結糸のランナー値を調整することにより、連結される表裏地組織間の距離(間隔)を2種類以上に変化させて、表面に凹凸を形成するものが開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献3の方法では、地組織を地糸でつまむことによって凹凸が形成されるため、地組織が固くなり風合いが悪くなる。また特許文献4の方法は、地組織のニードルループを太い糸と細い糸によって形成することにより凹凸を形成するため、地組織表面の触感が悪く、更に加工後にループが硬化して、ガサガサした触感で風合いが悪くなり不快感を与える虞があった。
【0007】
また、特許文献3,4の方法では、通気性は良好であるが、表面に露出しているループなどの糸の長さが短く構成されているため、柔らかい糸を使用しても風合いが固くなるという問題があった。
【0008】
このほか、表面の触感を改善する先行技術としては、表面を起毛するなどの技術があるが、加工工程が増えるといった問題点がある。また表面を起毛することによる連結糸の飛び出しや、地組織の強度低下の問題がある。
【0009】
また、地組織がメッシュ構造である場合は、メッシュ開口部から連結糸が飛び出すことにより触感が悪くなる問題がある。
【0010】
また特許文献5の方法は、連結糸の調整によって得られる凹部は凹凸の効果が得られず、また、凹部では地組織のループが連結糸に引っ張られることにより地組織が硬くなるという問題があった。
【特許文献1】特公平1−40135号公報
【特許文献2】特開平4−146246号公報
【特許文献3】特開平9−137380号公報
【特許文献4】特開2001−11757号公報
【特許文献5】特開2003−13346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、肌に接触する面積を小さくし、通気性に優れかつ柔軟な感触を呈する立体構造経編地を提供するものであり、特には挿入糸が地組織の外面と内面に露出するように挿入係止されてなる立体構造経編地を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、(1)表裏の地組織を連結糸で連結してなる立体構造経編地であり、少なくとも一方の地組織において、挿入糸が該地組織の外表面と内側面とに露出するように挿入係止されてなる立体構造経編地であって、前記地組織の外表面と内側面において、前記挿入糸が外表面に露出しているコース数と露出していないコース数との露出比率が1:1〜1:8であり、該地組織の外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率が10〜40%である立体構造経編地である。
【0013】
また、(2)前記挿入糸が地組織を形成するループ間において挿入係止されてなることを特徴とする(1)記載の立体構造経編地である。
【0014】
また、(3)前記挿入糸がウエル方向に挿入係止されていることを特徴とする(1)又は(2)記載の立体構造経編地である。
【0015】
また、(4)前記挿入糸が地組織の外表面側に2〜30コースの範囲で露出するように挿入係止されていることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の立体構造経編地である。
【0016】
また、(5)前記挿入糸の繊度が167dtex〜1400dtexである(1)乃至(4)のいずれかに記載の立体構造経編地である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の立体構造経編地は、表裏の地組織とその両地組織を連結する連結糸による連結部分から成る立体構造経編地において、該経編地の通気性を損なうことなく表面の触感に優れた立体構造経編地を提供することができる。
【0018】
更に、地組織面からの挿入糸のはみ出し、地組織面の硬化、ざらつき等を解消した立体構造体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
本発明者らは、前述の問題点を解決すべく鋭意研究の結果、表裏の2枚の地組織と該両地組織を連結糸で連結して成る立体構造経編地において、図1に模式的に示すように、前記表裏地組織1,2の少なくとも一方の地組織、例えば表地組織1に、挿入糸4が該地組織1の外表面と内側面とに交互に露出するように挿入係止すること、特には該挿入糸4を地組織1を形成するループ1a,1a間において基本的に編目形成(ループ形成)することなくウエル方向に挿入し係止することにより、上述の問題を解決し得ることを見い出したものである。
【0021】
本発明において、挿入糸の地組織に対する挿入係止とは、図1に示すように、表裏の地組織1,2の少なくとも一方の地組織、例えば表地組織1を形成するループ1aとループ1aの間において、前記挿入糸4が外表面から内側面の側に、また内側面から外表面の側に基本的にループ形成せずに移動することによって、該表地組織1に対し挿入されて係止した状態のことをいう。
【0022】
図において、符号1は表地組織を、符号2は裏地組織を示し、1a及び2aはそれぞれ地組織を形成する編目のループを示している。また、符号3は両地組織1,2を連結する連結糸を、符号4は挿入糸を、符号4aは地組織の外表面側に位置し露出した挿入糸部分を、4bは地組織の内側面に露出している挿入糸部分を示している。
【0023】
前記の挿入糸4について、図1に示すように、該挿入糸4が表地組織1の外表面に位置し露出した挿入糸部分4aと、内側面に露出している挿入糸部分4bの各々の露出部分のコース数の比率(露出比率)は、1:1〜1:8であることが、更には1:2〜1:6であることが好ましい。地組織の外表面と内側面との挿入糸の露出比率が1:8(1/8)より小さいと触感が損なわれる虞があり、1:1(1/1)より大きいと触感が悪くなり、更に挿入糸が引っかかり易くなる虞がある。
【0024】
また、挿入糸が挿入係止された地組織の外表面におけるコース方向(編幅方向)での挿入糸の本数比率SRは10〜40%であり、更には10〜20%であることが好ましい。前記挿入糸の本数比率が10%未満であると、優れた表面触感や通気性が得られない虞があり、40%より大きいと風合いが硬くなる虞がある。
【0025】
本発明における地組織外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率SR(%)は、下記の[式1」で算出される。
[式1]
SR(%)=(A/B)×100
A・・・1インチ間のコース方向の挿入糸本数
B・・・1インチ間のコース方向のループ数
また、上記本数比率SR(%)の算出は、生機を精錬、染色、ヒートセット等の通常の染色仕上げ工程を通した仕上がり時の立体構造経編地を用いて行う。
【0026】
また、前記挿入糸4は、地組織の外表面側に、ウエル方向に所定の間隔(挿入糸の露出比率1:1〜1:8)において2〜30コースの範囲で、特には2〜20コースの範囲で露出するように挿入係止することが好ましい。すなわち、外表面での挿入糸の露出が2コース未満であると、外表面の挿入糸の露出が目立ちにくく、露出の効果が得られなくなる虞があり、また外表面の露出が30コースより大きくなると、地組織外表面に露出した挿入糸がひっかかりやすくなり、ピリングの発生や耐摩耗性が悪くなる虞があるため好ましくない。
【0027】
本発明で用いることのできる挿入糸としては、167〜1400dtex、好ましくは220〜1000dtexの糸で、地組織を構成する糸条よりも太いマルチフィラメント糸や、この繊度に相当するスパンヤーン、あるいはこれらの捲縮加工糸等の各種の糸を用いることができる。さらに、糸の側面が有毛調をなすモール糸や紡績糸、加工糸等の、糸の側面がソフトなものが好ましく用いられる。また、挿入糸をバフなどで起毛を施すことにより、触感が向上する。更に、綿やレーヨン等の親水性繊維、或いは吸汗処理された合成繊維などの吸汗性に優れた繊維を用いることもできる。挿入糸の繊度が167dtex未満であると地組織の外表面に現れにくく、優れた触感が十分発揮できなかったり、挿入糸が損傷しやすくなる虞がある。また1400dtexより大きくなると、地組織外表面の凹凸が大きくなりすぎ、触感が悪くなる虞がある。
【0028】
また、本発明においては、前記挿入糸4が経編編成による挿入編成の手法により、地組織のループ間においてウエル方向(編方向)に挿入係止されていることが好ましい。
【0029】
また、挿入糸4を含む地組織、例えば表地組織1の外表面と、外表面側の挿入糸4(露出した挿入糸部分4a)との高低差は、図2に示すように、挿入糸4を含む立体構造経編地の全厚Cと、挿入糸4の無い部分の立体構造経編地の全厚Bとの差Aで表される。挿入糸4と地組織表面との高低差は0.1mm〜2.0mm、更に0.2mm〜1.0mmであることが好ましい。挿入糸と地組織表面の高低差が0.1mm未満であると、挿入糸が地組織表面に露出しにくく、十分な通気性が得られない虞がある。また2.0mmより大きいと、人体(肌)の接触面の触感が損なわれる虞があるため好ましくない。
【0030】
前記のように、表裏の地組織1,2の少なくとも一方(表地組織1)の外表面に挿入糸4を所定の間隔で露出させるように、該挿入糸4を地組織1に対し挿入係止することにより、地組織外表面の触感に優れ、また通気性を損なうことの無い、意匠性に優れた立体構造経編地を提供することができる。図3に前記の立体構造経編地の1例の略示斜視図を、図4(a)(b)に挿入糸4が地組織の外表面に露出する場合と、内側面に露出する場合との略示断面図を、図5に拡大した略示断面図を示す。
【0031】
また、図6〜図8に示すように、前記の挿入糸4を挿入係止した地組織(例えば裏地組織2)と対向するもう一方の地組織(例えば表地組織1)については、プレーンな組織のほか、図示のように開口部5を有する組織(例えばメッシュ組織)にすることができる。この場合、他方の地組織2に挿入されている挿入糸4の該地組織2の内側面に露出している挿入糸部分4bが前記開口部5から見えるようになり、意匠性に優れた立体構造体を提供することができる。図6に前記の立体構造経編地の略示斜視図を、図7(a)(b)に同経編地の挿入糸が地組織の外表面に露出する場合と、内側面に露出する場合との略示断面図を示し、図8に拡大した略示断面図を示す。
【0032】
前記挿入糸4の挿入係止の方法及び形態は、少なくとも一方の地組織において、編方向すなわちウエル方向に一定の間隔(挿入糸の露出比率1:1〜1:8)で地組織のループ間に挟まれて挿入係止される。前記挿入糸4の地組織に対する挿入係止状態及び外表面の露出状態については、用途に応じて適宜設定することができるが、図9や図10に示すように、経緯に所定の間隔をおいて外表面に露出するように挿入係止したり、ストライプ状、市松模様、ドット状など任意の形状に挿入することができる。また、地組織面はメッシュ、無地組織など、その用途や目的に応じて適宜の組織で編成できることはいうまでもない。
【0033】
本発明の立体構造経編地の経方向(編み方向)の編密度は、20〜70コース/インチ、好ましくは25〜50コース/インチ程度が採用される。前記縦方向の編密度が20コース/インチ未満では、編み立てた時の地組織表面の密度感がなく商品価値が劣り、また70コース/インチより大きいと、編地が硬くなったり、目付が重くなる虞がある。
【0034】
本発明に用いられる繊維としては、立体編物に使用した場合にその効果に支障をきたさないものであれば繊度は特に限定はないが、表裏地組織を形成する糸の繊度は33〜500dtex、間隙を形成する連結糸は22〜220dtexのモノフィラメント糸又マルチフィラメント糸、或いは加工糸が用いられる。
【0035】
また、使用できる繊維の種類は、アクリル繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等が好適であるが、耐久性の点からポリエステル繊維が好ましく用いられる。
【0036】
本発明は、地組織に挿入する挿入糸には、糸の側面の素材感及び風合いに優れたものを用いることができる為、素材感や触感の優れた経編地を提供することができる。更に、該挿入糸を地組織の外表面に露出するように挿入することで、地組織を形成するループは挿入糸の下部に位置し、人体等と接触する面に現れにくくなり、また、挿入糸はループ形成することなく挿入されるため、地組織表面に起伏が現れにくい。
【0037】
さらに、本発明の経編地は、外表面に露出する挿入糸の側面が人体等と接することになる為、糸の本来の性能が発現され、例えば、挿入糸に捲縮糸などを用いた場合は、手で触った時の触感が良好であり、肌面に触れる用途に対しても好ましく用いることができる。また、挿入糸と地組織面との間に適度の間隔や高低差ができるため通気性に優れ、蒸れ感の少ない立体構造経編地を提供することができる。
又、本発明は挿入糸が地組織にループ形成されることなく挿入されているだけであるため、ループからの挿入糸の飛び出し、基布の硬化、地組織表面のザラツキ、見栄えの悪さが無く、挿入糸の糸の消費量も少なく、太い糸を使用しても、地組織表面の見栄えが良好な立体構造体を提供できる。
【実施例】
【0038】
以下、本発明の実施例を比較例と共にあげ、本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
〔評価方法〕
1.通気性:布帛の通気性をJIS L1096 6.27 に準じて測定した。
2.剛軟度:布帛の剛軟度をJIS L1098 6.19 A法(45°カンチレバー法)に準じて測定した。
3.ピリング性:布帛のピリング性をJIS L1096 6.17 C法(テーバー法)に準じて測定し、外観変化を 下記のように評価した。
○ 異常なし
△ やや損傷している
× タテ又はヨコが切断している
4.表面触感:布帛の表面触感を官能検査にて評価した。
◎ 非常に良好
○ 良好
△ やや悪い
× 悪い
【0040】
[実施例1]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図11に示すように筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織に対し、挿入糸として、筬L−6で1200dtex/210fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に5本を配列して、表地組織の外表面、内側面にそれぞれ28コースづつ交互に露出させるように地組織を構成するループ間において挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出比率は1:1で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は23%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、1.6mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、前記挿入糸によるストライプ状の柄を呈する意匠が得られた。この立体構造経編地の通気性、剛軟度、ピリング性及び表面触感等の性能を表1に示す。
【0041】
[実施例2]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図12に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6により1200dtexのポリエステルモール糸を1インチ間に5本を配列して、該挿入糸を8コース地組織外表面に、48コース地組織内側面に交互に露出させる様に地組織に挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:6で、該地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は23%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、1.8mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ドット状の意匠が得られた。この立体構造経編地の通気性、剛軟度、ピリング性及び表面触感等の性能を表1に示す。
【0042】
[実施例3]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図13に示すように筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で220dtex/48fのポリエステルモール糸を1インチ間に8本配列して、該挿入糸を18コース地組織外表面に、32コース地組織内側面に交互に露出させるように挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:2で、該地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は36%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、0.2mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ストライプ状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0043】
[実施例4]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図14に示すように筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、筬L−3で連結糸を導糸して表裏両地組織を連結するように編成し、さらに、前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で334dtex/60fのポリエステル加工糸を1インチ間に3本配列して、該挿入糸を10コース地組織外表面に、30コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、36コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:3で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は14%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、0.6mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ドット状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0044】
[実施例5]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図15に示すように、筬L−1を使わず、筬L−3で裏側地組織を編成し、筬L−5、L−6で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、さらに、前記裏側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−2で660dtex/120fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に8本配列して、該挿入糸を6コース地組織外表面に、6コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、36コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は1:1で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は36%であった。この立体構造経編地の裏側地組織のストライプ状の挿入糸が、表側地組織の開口部から垣間見える意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0045】
[比較例1]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図16の組織図に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を、筬L−5、L−6開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、両地組織を筬L−3の連結糸で連結し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。その性能を表1に示す。
【0046】
[比較例2]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−22G(マイヤー社製)を使用して、図17に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、さらに前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で110dtex/48fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に12本配列して、該挿入糸を20コース地組織外表面に、10コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、35コース/吋、22ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり36コース/吋、23ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は2:1で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は54%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、0.05mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ストライプ状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【0047】
[比較例3]
ダブルラッシェル機RD6DPLM−77E−18G(マイヤー社製)を使用して、図18に示すように、筬L−1、L−2で裏側地組織を編成し、筬L−4、L−5で開口部を有するメッシュ状の表側地組織を編成し、さらに前記表側地組織の側に対し、挿入糸として、筬L−6で1500dtex/270fのポリエステルフィラメント糸を1インチ間に5本配列して、該挿入糸を30コース地組織外表面に、10コース地組織内側面に交互に露出させる様に挿入係止し、29コース/吋、18ウエル/吋の立体経編地を得た。得られた立体構造経編地を190℃で1分間プレセットした後、130℃にて染色、乾燥し、150℃で1分間仕上セットして、仕上がり30コース/吋、19ウエル/吋で厚み3.0mmの立体構造経編地を作成した。地組織の外表面と内側面に露出する挿入糸の露出割合は100:33で、地組織におけるコース方向の挿入糸の本数比率は28%であった。また、挿入糸と地組織表面との高低差は、2.2mmであった。この立体構造経編地の表側地組織の外表面には、ストライプ状の意匠が得られた。その性能を表1に示す。
【表1】
【0048】
上記のように、本発明の立体構造経編地は、比較例の経編地に比して、少なくとも一方の地組織に挿入係止された挿入糸の効果により、通気性、剛軟度が良好で、特にピリング性や表面触感に特に優れたものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、一般衣料やスポーツ衣料、インナー衣料等の衣料分野において、また、自動車のシートや椅子、ベッドなどの表皮材、クッション材などの内装材分野において好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の立体構造経編地の挿入糸の挿入係止の状態を模式的に示す地組織内側面からの略示平面図と、ウエル方向(編方向)に沿う略示断面図である。
【図2】本発明の挿入糸の状態を模式的に示すウエル方向の略示断面図である。
【図3】本発明の立体構造経編地の1例を示す略示斜視図である。
【図4】(a)(b)それぞれ同上の立体構造経編地の地組織外表面に挿入糸が露出する部分と、地組織内側面に挿入糸が露出する部分とを模式的に示すコース方向に沿う略示断面図である。
【図5】同上の立体構造経編地の挿入糸の挿入形態を模式的に示すウエル方向に沿う略示断面図である。
【図6】本発明の立体構造経編地の別の例を示す略示斜視図である。
【図7】(a)(b)それぞれ同上の立体構造経編地の地組織外表面に挿入糸が露出する部分と、地組織内側面に挿入糸が露出する部分とを模式的に示すコース方向に沿う略示断面図である。
【図8】同上の立体構造経編地の挿入糸の挿入形態を模式的に示すウエル方向に沿う略示断面図である。
【図9】本発明の立体構造経編地のさらに別の例を示す略示斜視図である。
【図10】本発明の立体構造経編地のさらに別の例を示す略示斜視図である。
【図11】実施例1の立体構造経編地の組織図である。
【図12】実施例2の立体構造経編地の組織図である。
【図13】実施例3の立体構造経編地の組織図である。
【図14】実施例4の立体構造経編地の組織図である。
【図15】実施例5の立体構造経編地の組織図である。
【図16】比較例1の立体構造経編地の組織図である。
【図17】比較例2の立体構造経編地の組織図である。
【図18】比較例3の立体構造経編地の組織図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・表側の地組織
1a・・表側のループ
2・・・裏側の地組織
2a・・裏側のループ
3・・・連結糸
4・・・挿入糸
4a・・地組織外表面に露出した挿入糸部分
4b・・地組織内側面に露出した挿入糸部分
5・・・開口部
A・・・挿入糸と地組織表面との高低差
B・・・挿入糸無し部の厚み
C・・・挿入糸を含む厚み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏の地組織を連結糸で連結してなる立体構造経編地であり、少なくとも一方の地組織において、挿入糸が該地組織の外表面と内側面とに露出するように挿入係止されてなる立体構造経編地であって、
前記地組織の外表面と内側面において、前記挿入糸が外表面に露出しているコース数と露出していないコース数との露出比率が1:1〜1:8であり、該地組織の外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率が10〜40%である立体構造経編地。
【請求項2】
前記挿入糸が地組織を形成するループ間において挿入係止されてなることを特徴とする請求項1記載の立体構造経編地。
【請求項3】
前記挿入糸がウエル方向に挿入係止されていることを特徴とする請求項1又は2記載の立体構造経編地。
【請求項4】
前記挿入糸が地組織の外表面側に2〜30コースの範囲で露出するように挿入係止されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の立体構造経編地。
【請求項5】
前記挿入糸の繊度が167dtex〜1400dtexである請求項1乃至4のいずれかに記載の立体構造経編地。
【請求項1】
表裏の地組織を連結糸で連結してなる立体構造経編地であり、少なくとも一方の地組織において、挿入糸が該地組織の外表面と内側面とに露出するように挿入係止されてなる立体構造経編地であって、
前記地組織の外表面と内側面において、前記挿入糸が外表面に露出しているコース数と露出していないコース数との露出比率が1:1〜1:8であり、該地組織の外表面におけるコース方向での挿入糸の本数比率が10〜40%である立体構造経編地。
【請求項2】
前記挿入糸が地組織を形成するループ間において挿入係止されてなることを特徴とする請求項1記載の立体構造経編地。
【請求項3】
前記挿入糸がウエル方向に挿入係止されていることを特徴とする請求項1又は2記載の立体構造経編地。
【請求項4】
前記挿入糸が地組織の外表面側に2〜30コースの範囲で露出するように挿入係止されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の立体構造経編地。
【請求項5】
前記挿入糸の繊度が167dtex〜1400dtexである請求項1乃至4のいずれかに記載の立体構造経編地。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−104620(P2006−104620A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294355(P2004−294355)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】
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