説明

立体模型製造方法、立体模型およびCADデータ加工装置

【課題】強度や耐摩耗性を向上させた立体物を造形する立体模型製造方法および立体模型を提供する。
【解決手段】コンピュータ100、3次元プリンタPRN1および減圧装置VCMを使用する立体模型製造方法は、立体模型の第1の面に複数の第1の開口と、立体模型の第2の面に第2の開口とを設け、第1の開口と該第2の開口とを連通する経路を形成するように前記3次元CAD情報を加工する加工ステップと、3次元CAD情報に基づき、第1の面に複数の第1の開口と、第2の面に第2の開口と、第1の開口と該第2の開口とを連通する経路と、が形成された立体模型を出力する出力ステップと、立体模型の前記第1の面に、前記第1の開口を覆うようにシートを載置し、減圧装置を使用して、前記第2の面の第2の開口から経路を減圧して該立体模型と該シートを密着させる密着ステップを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体模型製造方法、立体模型およびCADデータ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品開発においては、設計段階や開発段階にて幾つかの試作品を作成し、外観や性能の評価をしている。最も原始的な試作モデルには、粘土で作製したクレイモデルやウッド(木)を削り出して作製したウッドモデルがある。しかしながら、このようなモデル作製は、人手、時間、経費がかかり、再現性が悪く、モデル作製職人の技量に依存し過ぎるといった問題がある。このような従来の試作モデル作製技術に代わって、コンピュータ技術が進展した現在では、開発製品の造形データを3次元CADで作成し、この3次元CADデータを用いて試作モデルを作成する「ラピッドプロトタイピング」という技術が開発され、実用化されつつある。これは、3次元CADデータから目的とする「立体モデル」を人手や時間をかけずに、極めて、高速、かつ、低コストで作成する技術である。
【0003】
ラピッドプロトタイピングの代表的な技法は「積層造形法」であり、これは、対象物の3次元CADデータからスライス状データ(正確には、対象物を構成するわずかな厚さを持つ薄板)を作成し、このスライス状データを1層ずつ積層して立体物(立体模型)を形成するものである。そして、積層造形法で実用されているものとしては、大別して、レーザで光硬化性樹脂を固化させて造形する「光造影法」と、インクジェット方式などで固化剤/結合剤を供給して粉末を固めて造形する「粉末固着式積層法」とがあるが、低コスト、高速、カラー化という点で後者の方が優れている。「粉末固着式積層法」については、幾つかの関連特許が出願・取得されており、これを用いた3次元プリンタが市場に投入されている。例えば、従来技術としては「3次元物体の模型を製作する方法および装置」(特許文献1を参照されたい。)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−538191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来は、作成済みの3次元データから、より正確に、より安価に、より短時間で目的の立体物を造形するかに主眼がおかれてきた。これは、開発している製品が機械部品や携帯電話端末などの単体商品、即ち、比較的小さな物品の造形物である場合には、このような開発目標の設定でもさほど問題はなく、このような用途には「光造影法」が適している。
【0006】
他方、「粉末固着式積層法」は、近年、技術的な革新があり、極めて低コストかつ高速に「カラーの立体物」を造形することが可能になった。そのため、機械部品などの物品造形物以外の様々な分野への応用が期待されるようになりつつある。
【0007】
しかしながら、従来技術の「粉末固着式積層法」では、基材に石膏系材料を用いているため、人が触ると立体模型の表面に描画した模様、色彩、文字がかすれたり、或いは、表面の強度が低いため、摩耗して形状が損なわれたりするなど、強度面で問題があった。そこで、立体模型の表面強度を高めるために、立体模型の成型後の後処理として、模型の表面にシアノアクリレートを主剤とする表面処理剤を塗布して表面強化処理が実施されている。この後処理によって、立体模型の強度はある程度向上するが、塗布の塗りムラによって処理剤の膜厚が薄い部分の強度が弱くなることがある。また、立体模型は複雑な形状をしていることが多く表面を漏れなく完全に塗布することが困難であり、その場合は、処理剤が塗布されていない箇所は、強度の向上が図れず、摩耗して、模様、色彩、形状が損なわれることがある。また、処理剤を完全にムラなく塗布できたとしても、処理剤による強化膜の厚さは、せいぜい数マイクロメートル程度と薄いため、十分な耐摩耗性、表面強度、耐久性を確保できないという問題点があった。また、立体模型は、形状を伝達することができ、視覚障害者に対して、建物や部屋割りなどの形状情報を認識させることが可能である。しかし、視覚障害者には、このような形状情報だけでは、情報伝達量としてまだ不十分である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、強度、耐摩耗性、耐久性を向上させた立体物を造形する立体模型製造方法、立体模型およびCADデータ加工装置を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、立体物に形状パターンを付加して、触感により情報を伝達できる立体模型製造方法、立体模型およびCADデータ加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明による立体模型製造方法は、
コンピュータ(CADデータ加工装置)、3次元プリンタおよび減圧装置を使用して立体模型を製造する立体模型製造方法であって、
前記立体模型を形成するための複数の3次元オブジェクトを含む3次元CAD情報を取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に複数の第1の開口と、該出力前の立体模型の第2の面に第2の開口とを設け、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口の少なくとも1つとを連通する経路を形成するように前記3次元CAD情報を加工する加工ステップと、
前記3次元プリンタを使用して、前記加工された3次元CAD情報に基づき、第1の面に複数の第1の開口と、第2の面に少なくとも1つの第2の開口と、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口のいずれか1つとを連通する経路と、が形成された立体模型を出力する出力ステップと、
前記出力された立体模型の前記第1の面に、前記第1の開口を覆うようにシート(模型の模様などが、外部から見えるように透明、或いは、半透明シートとすることが好適である。)を載置し、減圧装置を使用して、前記第2の面の第2の開口から経路を減圧して該立体模型と該シートを密着させる密着ステップと、
を有する。
【0010】
また、第2の発明による立体模型製造方法は、
前記シートが熱可塑性樹脂であり、
前記立体模型製造方法は、
加熱器具を使用して、前記シートを加熱する加熱ステップをさらに有する、
ことを特徴とする。
【0011】
また、第3の発明による立体模型製造方法は、
前記経路が、少なくとも1つの曲り部を有する(第1の開口の近傍に曲り部を有することが好適である。また、経路の壁は、第1の開口の付近の色彩、模様などのテクスチャを付加することが好適である)、
ことを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明による立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に、前記3次元オブジェクトの少なくとも1つで規定される構造物が突き出ている場合、該第1の面と、突き出た構造物の面とで形成されるコーナー部に、該第1の面と、突き出た構造物の面とをスムーズに接続するベジェ曲面或いはスプライン曲面(など)を表面とする3次元オブジェクト(属性としては、色彩や模様などのテクスチャ情報などは構造物の属性を受け継ぐことが好適である)を追加する、或いは、突き出た構造物の角の部分を除去する(面取り加工、スムーズ処理を行う)ように前記3次元CAD情報を加工する追加ステップ、
をさらに有する、ことを特徴とする。
【0013】
また、第5の発明による立体模型製造方法は、
前記シートの一面と、前記出力された立体模型の一面との間に、接着剤または接着層が設けられている、
ことを特徴とする。
【0014】
また、第6の発明による立体模型製造方法は、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクト(部材、建具、建物、壁、部屋、部屋の床面、設置物、構造物などの構成要素(立体物)の形状、模様、色彩、位置などを規定する情報)が、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報(例えば、3次元オブジェクトにより規定される立体物の名称を示す文字情報や簡略記号)を有し、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報(典型的には、名称と点字パターンとのセット、或いは、簡略記号と形状パターンとのセット)を取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面或いはその近傍に形成するように前記3次元CAD情報を加工するパターン形成ステップと、
をさらに有することを特徴とする。
【0015】
また、第7の発明による立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトの表面或いはその近傍にテクスチャとして付加する付加ステップ、
をさらに有することを特徴とする。
【0016】
また、第8の発明による立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトに密着されるべき、前記シートの対応する位置或いはその近傍の一面、或いは、該一面の反対側の面にテクスチャとして印刷するテクスチャ印刷ステップ、
をさらに有することを特徴とする。
【0017】
また、第9の発明による立体模型製造方法は、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクト(部材、建具、建物、壁、部屋、部屋の床面、設置物、構造物などの構成要素(立体物)の形状、模様、色彩、位置などを規定する情報)が、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報(例えば、3次元オブジェクトにより規定される立体物の名称を示す文字情報や簡略記号)を有し、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報(典型的には、名称と点字パターンとのセット、或いは、簡略記号と突起状の形状パターンとのセット)とを取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面(模型完成後に外側に露出した面)に形成するように、印刷するパターン印刷ステップ(例えば、UV印刷などの発砲インクや隆起インクを使用した形状付加ステップ)と、
をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また、第10の発明による立体模型製造方法は、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクト(部材、建具、建物、壁、部屋、部屋の床面、設置物、構造物などの構成要素(立体物)の形状、模様、色彩、位置などを規定する情報)が、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報(例えば、3次元オブジェクトにより規定される立体物の名称を示す文字情報や簡略記号)を有し、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報(典型的には、名称と点字パターンとのセット、或いは、簡略記号と突起状の形状パターンとのセット)とを取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面(模型完成後には、シートと模型の間に挟まれる面)に形成するように、印刷するパターン印刷ステップ(例えば、UV印刷などの発砲インクや隆起インクを使用した形状付加ステップ)と、
をさらに有することを特徴とする。
【0019】
また、第11の発明による立体模型製造方法は、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャ(表面の質感、模様、色彩などを規定する画像情報)の少なくとも一部を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去する除去ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面(模型完成後に内側になり、露出しない面)に位置するように、印刷するテクスチャ印刷ステップと、
をさらに有することを特徴とする。
【0020】
また、第12の発明による立体模型製造方法は、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャ(表面の質感、模様、色彩などを規定する画像情報)の少なくとも一部を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去する除去ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面(模型完成後に外側に露出した面)に位置するように、印刷するテクスチャ印刷ステップと、
をさらに有することを特徴とする。
【0021】
また、第13の発明による立体模型製造方法は、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面の少なくとも一部に、読み取り可能な各座標に固有の座標識別パターン(例えば、固有の配置パターンで分布した複数の点により座標を示すアノトパターン)をテクスチャとして重畳する(既存のテクスチャに重ねて描画する)、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを置換する、或いは、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを付加する、パターン追加ステップ、
をさらに有することを特徴とする。
【0022】
上述したように本発明の解決手段を方法として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する装置、方法に製造された立体模型、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、下記の方法やプログラムの各ステップは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどを磁気テープ、HDD、メモリなどの記憶装置に格納するものである。
【0023】
例えば、本発明をものとして実現させた第14の発明による立体模型は、
上記のいずれかの立体模型製造方法により製造された立体模型である。
【0024】
また、第15の発明による立体模型は、
前記立体模型が、触地図模型である、
ことを特徴とする。
【0025】
また、第16の発明による立体模型は、
前記立体模型が、点字状の形状(突起形状など)を含む地図模型である、
ことを特徴とする。
【0026】
例えば、本発明を装置として実現させた第17の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
立体模型を形成するための複数の3次元オブジェクトを含む3次元CAD情報を取得する取得部と、
前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に複数の第1の開口と、該出力前の立体模型の第2の面に第2の開口とを設け、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口の少なくとも1つとを連通する経路を形成するように前記3次元CAD情報を加工する加工部と、
前記3次元プリンタを使用して、前記加工された3次元CAD情報に基づき、第1の面に複数の第1の開口と、第2の面に少なくとも1つの第2の開口と、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口のいずれか1つとを連通する経路と、が形成された立体模型を出力する3次元出力制御部と、
を有する。
そして、減圧装置が、
出力された立体模型の前記第1の面に、前記第1の開口を覆うようにシート(模型の模様などが見えるように透明、或いは、半透明シートとすることが好適である。)を載置し、減圧装置を使用して、前記第2の面の第2の開口から経路を減圧して該立体模型と該シートを密着させる。
【0027】
また、第18の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記経路が、少なくとも1つの曲り部を有する、
ことを特徴とする。
【0028】
また、第19の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に、前記3次元オブジェクトの少なくとも1つで規定される構造物が突き出ている場合、該第1の面と、突き出た構造物の面とで形成されるコーナー部に、該第1の面と、突き出た構造物の面とをスムーズに接続するベジェ曲面或いはスプライン曲面を表面とする3次元オブジェクトを追加するように前記3次元CAD情報をさらに加工する、
或いは、
前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に、突き出た構造物がある場合、該構造物の角の部分を除去して、なだらかな形状に加工する、
ことを特徴とする。
【0029】
また、第20の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記記憶部が、
3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報をさらに格納し、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出し、
前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報を取得し、
前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面或いはその近傍に形成するように前記3次元CAD情報を加工する、
ことを特徴とする。
【0030】
また、第21の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記加工部が、
前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトの表面或いはその近傍にテクスチャとして付加する、
ことを特徴とする。
【0031】
また、第22の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記加工部が、
前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトに密着されるべき、前記シートの対応する位置或いはその近傍の一面、或いは、該一面の反対側の面にテクスチャとして印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とする。
【0032】
また、第23の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記記憶部が、
3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報をさらに格納し、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出し、
前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報とを取得し、
前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面に形成するように、印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とする。
【0033】
また、第24の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記加工部が、
3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報とを取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面に形成するように、印刷するパターン印刷ステップと、
ことを特徴とする。
【0034】
また、第25の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記加工部が、
前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャの少なくとも一部を抽出し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面に位置するように、印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とする。
【0035】
また、第26の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記加工部が、
前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャの少なくとも一部を抽出し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面に位置するように、印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とする。
【0036】
また、第27の発明によるCADデータ加工装置(コンピュータ)は、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面の少なくとも一部に、読み取り可能な各座標に固有の座標識別パターンをテクスチャとして重畳する、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを置換する、或いは、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを付加する、
ことを特徴とする。
【0037】
また、第17−27のいずれの発明であっても、プログラムとして実現できることに注意されたい。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、強度、耐摩耗性、耐久性を向上させた立体模型を得ることが可能となる。特に、触地図などのようなユーザの手による接触を伴う使用の場合には、本発明による強度、耐摩耗性、耐久性の向上は非常に有利な点となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の一実施態様によるCADデータ加工装置の概要を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の一実施態様によるCADデータ加工装置、3次元プリンタ、及び減圧装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の一実施態様による立体模型の説明図である。
【図4】図4は、本発明の一実施態様による立体模型の説明図である。
【図5】図5は、本発明の一実施態様による立体模型にシートを密着させる工程の説明図である。
【図6】図6は、図5の密着させる工程の補足説明図である。
【図7】図7は、本発明の一実施態様による立体模型の3次元CADデータの加工処理の説明図である。
【図8】図8は、本発明の一実施態様によるCADデータ加工装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、図8の形状パターン工程の補足説明図である。
【図10】図10は、図8の形状パターン工程の補足説明図である。
【図11】図11は、本発明の一実施態様による立体模型の完成品の説明図である。
【図12】図12は、本発明の一実施態様による立体模型の完成品の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0041】
図1は、本発明の一実施態様によるCADデータ加工装置の概要を示すブロック図である。図に示すように、CADデータ加工装置(コンピュータ)100は、制御部(CPU、プロセッサ)110と、入力部120と、出力部130と、通信部140と、記憶部150と、表示部160とを有する。記憶部150には、予め、開口や経路の分布、寸法、形状などの複数のパターンを規定する開口・経路情報OCI、触感情報TCI,スムーズ処理情報SMTが格納されている。制御部110は、取得部111、入力受付部112、加工部113、および3次元出力制御部114を有する。取得部111は、立体物の3次元CADデータを取得する(或いは、最初から記憶部に3次元CADデータを格納しておいてもよい)。3次元CADデータは、CADシステムCD1で作成されたものであり、ネットワークNETを介して通信部140により受信され、最終的に取得部111に渡される。取得した3次元CADデータは、3次元出力制御部114により、3次元空間上に3次元モデルとしてモデリングされ、この3次元モデル(立体物)を2次元の平面(投影面)に投影し、この投影された「立体物」を表示部160が表示する。
【0042】
入力受付部112は、立体物を分割する1つ以上の分割指示面を指定する操作入力を受け付ける。具体的には、例えば、ユーザが、入力部120およびマウスMSを介して、表示部160に表示された立体物の分割を所望する分割指示面を指定し、入力受付部112は、指定された分割指示面を受け付ける。このような立体物の分割作業は必須ではないが、立体模型のうち出力したい部分、階層、建物、オブジェクトなどを抽出するために実施することが好適である。また、後工程で模型にシートを密着させるときには、凹凸がなるべく少ない形状のものが密着処理の工程を実施し易くなるため、極端に突出した構造物を除去して処理し易くするために分割作業をした方が好ましい場合が多い。加工部113は、分割指示面およびギャップ幅(分割面に設定される層の厚さ方向の寸法)で規定された分割領域で前記立体物を分割(切断)するように、3次元CADデータを加工する。
【0043】
加工部113は、さらに、3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に複数の第1の開口と、該出力前の立体模型の第2の面に(少なくとも1つの)第2の開口とを設け、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口の少なくとも1つとを連通する経路を形成するように3次元CAD情報を加工する。第1の面、第2の面は、ユーザがマウスMSやキーボードなどで指定してもいいが、自動的に加工部により設定することが可能である。第1の開口、第2の開口、経路の配置、分布、形状、寸法などは、開口・経路情報OCIに含まる幾つかのパターンから自動的に選定して利用しても良いが、ユーザが、マウスMSやキーボードなどで、開口の直径(例えば、5マイクロメートルなど)、開口の分布密度(例えば、1平方センチメートルあたり20個、40個、60個など。或いは、平坦な領域は、20個で複雑な領域は60個など領域別に分布の数値を規定してもよい。)などを指定してよい。3次元出力制御部114は、3次元プリンタPRN1を使用して、前記加工された3次元CAD情報に基づき、第1の面に複数の第1の開口と、第2の面に少なくとも1つの第2の開口と、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口のいずれか1つとを連通する経路と、が形成された立体模型を出力する。立体模型およびシートは、2次元の通常のプリンタ2DPを使用して、その表面にテクスチャや文字、記号、略称、アノトパターンなどの座標識別情報を印刷することが可能である。出力された立体模型の第1の面に、第1の開口を覆うようにシート(模型表面の模様などが見えるように透明、或いは、半透明シートとすることが好適である。)を載置するが、これは手動でもよいが、マニュピュレータ(図示せず)などの操作手段を用いて本装置が、模型やシートの位置決めを制御することが好適である。減圧装置VCMは、第2の面の第2の開口から経路を減圧して立体模型と該シートを密着させる。立体模型の下面以外の5面(上面で1面、側面で4面の合計5面)にシートが密着するように、これら5面を第1の面として、側面である4つの面にも第1の開口や経路を設けて、一回の密着処理でシートを密着させることが好適である。もちろん、模型の上面のみを密着してもよい。
【0044】
ギャップ幅は、立体物が印刷される3次元プリンタの3次元造形分解能に応じて規定される。例えば、3次元プリンタPRN1用に加工する場合には、当該プリンタの3次元造形分解能に応じた数値をギャップ幅として規定し、予め記憶部150に格納しておく(図示せず)。同様に、3次元プリンタPRN2用に加工する場合には、当該プリンタの3次元造形分解能に応じた数値をギャップ幅として規定し、予め記憶部150に格納しておく。幾つかのギャップ幅を記憶部150に格納しておき、出力先のプリンタを示す識別子の指定を入力受付部112や入力部120から受け付け、この識別子に応じて、各プリンタに最適なギャップを用いて、分割領域(正確には、分割面から垂直方向の分割領域の厚さ)を決定することも可能である。例えば、3次元プリンタの3次元造形分解能は、粉末を基材に使用して固化剤で基材の一部を固化するタイプの3次元プリンタの場合は、一回の基材散布層の厚さ、および、固化剤(造形剤、造形インク)の浸透厚さの少なくとも一方に応じて規定される。なお、立体物を3次元プリンタで立体造形したときに、あたかも、一体物であるかのごとく見せるために、ギャップ幅はできる限り薄くすることが好適である。
【0045】
取得した3次元CADデータ、分割指示面、分割領域の位置や形状の情報、経路および開口を形成するように加工された後の3次元CADデータ、は、記憶部150に中間データとして格納しておくことが望ましい。3次元出力制御部114は、3次元プリンタPRN1のデバイスドライバ或いは、その機能を有する機能部であり、加工を施された3次元CADデータを用いて、目的の立体物は出力部130を介して3次元CADプリンタPRN1に出力(立体印刷)される。3次元出力制御部114、或いは、通信部140を介して、加工後の3次元CADデータを外部の装置である端末PC1、PC2、に送信/出力し、これらの端末上に格納させてもよい。このように、生成した情報や中間データおよび取得したデータを外部に送信したり、表示部に表示したり、生成した情報や中間データおよび取得したデータなどを記憶部に格納したりすることは、後述する他の実施態様でも同様に可能であることに注意されたい。なお、CADデータ加工装置100は、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、サーバ、PCなどのコンピュータ、或いは、これらコンピュータに、本システムの機能部や処理手順(方法)をコンピュータ上で実現(実行)するプログラムモジュールをコンピュータが持つCPU(プロセッサ)や記憶部に保持したり、外部のサーバやストレージから読み込んだりすることで、コンピュータ上にCADデータ加工装置を構築することが好適であり、後続の各実施態様においても同様である。
【0046】
図2は、本発明の一実施態様によるCADデータ加工装置、3次元プリンタ、及び減圧装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS11にて、CADデータ加工装置の取得部が、立体模型を形成するための複数の3次元オブジェクトを含む3次元CAD情報を取得する。次にステップS12にて、加工部が、3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に複数の第1の開口と、出力前の立体模型の第2の面に第2の開口とを設け、第1の開口の少なくとも1つと第2の開口の少なくとも1つとを連通する経路を形成するように3次元CAD情報を加工する。次にステップS13にて、3次元出力制御部が、3次元プリンタを使用して、前記加工された3次元CAD情報に基づき、第1の面に複数の第1の開口と、第2の面に少なくとも1つの第2の開口と、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口のいずれか1つとを連通する経路と、が形成された立体模型を出力する(立体造形する)。最後にステップS14にて、出力された立体模型の前記第1の面に、前記第1の開口を覆うようにシート(透明、半透明シートとすることが好適である。)を載置し、減圧装置が、前記第2の面の第2の開口から経路を減圧して立体模型とシートを密着させる。
【0047】
図3は、本発明の一実施態様による立体模型の説明図である。本実施態様では、経路を垂直ではなく、傾斜させて複数のスライス層に亘って形成させてある。即ち、この例では、第1の開口が模型の上面に配置され、第2の開口が左側面に配置され、2つの開口を結ぶように経路が形成される。図の(a),(b)は、比較のために本発明の手法を施さず(即ち、開口および経路を設けず)に立体模型CUB1を製造する様子を模式的に示したものであり、(a)は各スライス層を見易くするために各スライス層を離して作図してあり、本来の造形は(b)に示すものである。図の(c)、(d)は本発明の手法を用いて立体模型CUB2を製造する様子を模式的に示したものである。立体模型CUB1、CUB2のハッチングを施した部分が固化されて図に示すような直方体となる。図の(c)、(d)に示すように、経路中心線CHN−lin1を通る経路および開口を設けた立体模型CUB2になるように3次元CAD情報を加工し、加工したCAD情報で造形する。この図では、経路にギザギザの凹凸ができているが、実際には、少しずつずらしていき、ほぼ平滑な経路を形成することができ、この経路の内壁には、必要に応じて、模様、色彩などのパターンを貼り付けて、目立たなくすることが可能である。また、作図の便宜上、経路の直径は大きく見えるが、実際には、目視では認識できないほど小さくても、空気が通り減圧処理でシートを密着できる程度であれば十分である。
【0048】
図4は、本発明の一実施態様による立体模型の説明図である。本実施態様では、経路を直線ではなく、S字状に曲げて複数のスライス層に亘って経路および開口を形成させてある。この例では、第1の開口が模型の上面に配置され、第2の開口が底面に配置される。図の(a),(b)は、比較のために本発明の手法を施さずに立体模型CUB3を製造する様子を模式的に示したものであり、(a)は各スライス層を見易くするために各スライス層を離して作図してあり、本来の造形は(b)に示すものである。図の(c)、(d)は本発明の手法を用いて立体模型CUB3を製造する様子を模式的に示したものである。図の(c)、(d)に示すように、経路中心線CHN−lin2を通る経路および開口を設けた立体模型CUB4になるように3次元CAD情報を加工する。この図では、経路にギザギザの凹凸ができているが、実際には、少しずつずらしていき、ほぼ平滑な経路を形成することができ、この経路の(少なくとも外から目にふれる)内壁には、必要に応じて、模様、色彩などのパターンを貼り付けて、目立たなくすることが可能である。このように、経路をS字状に曲げて経路に曲げ部を設けることで上方から模型を見たときに開口を目立たなくさせることが可能となる。
【0049】
図5は、本発明の一実施態様による立体模型にシートを密着させる工程の説明図である。本実施態様では、シートST10は熱可塑性樹脂(ポリエチレンン、ポリ塩化ビニルなど)、加熱器具HTにより、シートSTの融点以下であって、外部から力が加わらないときはその形状を保持できるが外部から力が加わったときには柔軟に形状が変化できるような(即ち、立体模型に密着できるような)温度まで加熱される。この温度設定は、シートの素材、厚さ、立体模型の凹凸の程度により適宜決定される。立体模型STR10は、上面(第1の面)PLN11に第1の開口OPN11を有し、下面(第2の面)PLN12に第2の開口OPN12を有し、第1の開口OPN11と第2の開口OPN12とは経路CHN10で繋がっている。経路CHN10は、途中に曲り部VNT10がある。立体模型STR10の上面PLN11にシートST10が載置され、減圧装置VCMは、立体模型STR10の下面PLN12にある第2の開口OPN12を真空引きし、シートST10を立体模型STR10に密着させる。
【0050】
図6は、図5の密着させる工程の補足説明図である。図に示すように、シートST10を立体模型STR10の上面に載置し、立体模型STR10の下面から減圧装置VCMで真空引きすることによって、立体模型STR10の上面にシートST10が密着し、完成品FP10が出来上がる。上面がシートで保護されるため、人が触っても色や模様が落ちたり、形状が損なわれたりしなくなる。例えば、触地図などに使用することが最適な立体模型を得ることが可能となる。このような加熱処理に加えて、シートを接着剤で密着させてもよい。或いは、加熱処理をせずに接着剤や接着層などを介して、シートと立体模型とを密着させることも可能である。
【0051】
図7は、本発明の一実施態様による立体模型の3次元CADデータの加工処理の説明図である。本実施態様では、立体模型STR20が、突き出ている構造物PRG20を有する、この突き出た構造物PRG20と、構造物PRG20が置かれた面とで形成されるコーナー部に、その面と、突き出た構造物の側面とをスムーズに接続するベジェ曲面或いはスプライン曲面(或いは、これら以外の自由曲面など)を表面とする3次元オブジェクトADB20を追加するように3次元CAD情報を加工し、立体模型STR21を得る。このとき、記憶部150に格納されたスムーズ処理情報SMTが参照され、適切なベジェ曲面或いはスプライン曲面を表面とする3次元オブジェクトが選択、或いは、適切な曲線情報により曲面や3次元オブジェクトが生成され、使用される。さらに、突き出た構造物PRG20の角の部分を除去する、面取り加工(スムーズ処理)を行うと突き出た構造物PRG21を得ることができる。このようにして得た立体模型STR22の3次元オブジェクトADB20には、第1の開口OPN21を設けて、経路CHN20を介して下面の第2の開口OPN22に接続させることで、突き出た構造物PRG21に無理なくシート(図示せず)被せて立体模型の表面強度(および耐久性)を向上させることが可能となる。このようなスムーズ処理は必須ではないが、スムーズ処理なしの場合には、シートの一部が大きく伸びる必要があり、シート材料の選択肢が限定され、また、角部や凹んだ部分では、シートが伸びてシート厚さが薄くなり、十分な強度が不足する場合があり得る。従って、角部、尖った部分、または凹んだ部分には、上記のようなスムーズ処理を施すことが好適である。
【0052】
図8は、本発明の一実施態様によるCADデータ加工装置で実行される処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップS21にて、記憶部150は、3次元オブジェクトの属性情報と、属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報TCIを格納する。次にステップS22にて、3次元CAD情報に含まれる3次元オブジェクトの属性情報を抽出する。そして、ステップS23にて、抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報(典型的には、名称と点字パターンとのセット、或いは、簡略記号と形状パターンとのセット)を取得する。最後に、ステップS24にて、取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面或いはその近傍に(或いは、シート密着処理による伸縮を計算したうえでシートの対応する箇所に)形成するように3次元CAD情報を加工する。この処理は、図2の処理の前または後に行われるものであり、触地図用の立体模型に使うことが好適である。
【0053】
図9は、図8の形状パターン工程の補足説明図である。図に示すように、立体模型STR20は、3次元オブジェクトである突起した構造物PRG20をその上面に有する。突起した構造物PRG20の属性情報である「その構造物の名称:図書館」が抽出される。抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報(この例では、名称と点字パターンとのセット、或いは、簡略記号「LIB」と形状パターンとのセット)を取得する。そして、シートST20の、突起した構造物PRG20に対応する位置に、形状パターンPRP21を印刷する。或いは、立体模型STR20の情報を加工して、突起した構造物PRG21に、パターンPRP20、文字情報CHI20として「LIB(図書館の略称)」を含む立体模型STR21を生成する。形状パターンPRP20、PRP21は、図書館を表す点字形状のパターンであり、人が触ることによって認識することが可能なものである。PRP21は、紫外線などで膨張する特殊インキで形成したり、ある程度の厚さで印刷可能なシルク印刷などで形成したり、することが可能である。PRP20は、平坦な形状に、盛り上がった半円状に凸部を幾つか形成することで形成する。このようにすることで、立体模型のCAD情報から、そのまま触地図として使用可能な立体模型を簡便に立体造形することが可能となる。
【0054】
図10は、図8の形状パターン工程の補足説明図である。図に示すように、立体模型STR30は、3次元オブジェクトR1,R2,H1,CHをその上面に有する。各オブジェクトの属性情報である「その構造物の名称」が抽出される。抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報(この例では、名称と点字パターンとのセット、或いは、簡略記号と形状パターンとのセット)を取得する。また、属性情報が抽出されたオブジェクトの表面のテクスチャ情報を切り取って、シートST30の、各オブジェクトの対応する位置であって、密着処理によるシート自体の伸縮を考慮した位置に、テクスチャパターンR1−p、R2−p、H1−p、CH−pとしてそれぞれ印刷する。これは、完成品になったときのシートの外側でも内側でもよいが、テクスチャパターンは通常の2次元印刷で印刷されるため、3次元プリンタよりも高解像度のものを印刷することが可能となる。或いは、立体模型STR30の情報を加工して、各オブジェクトに、形状パターンP31,P32、P33,P34として含む立体模型STR31を生成する。形状パターンP31,P32、P33,P34は、それぞれその構造物を表す点字形状のパターンであり、シートを被せた後でも、人が触ることによって認識することが可能なものである。このようにすることで、立体模型のCAD情報から、そのまま触地図として使用可能な立体模型を簡便に立体造形することが可能となる。
【0055】
図11は、本発明の一実施態様による立体模型の完成品の説明図である。なお、立体模型はシートで被覆させてあるが、作図の便宜上シートは図示しない。図に示すように、立体模型STR40は、図書館を表す3次元オブジェクトPRG40、そこに加工処理で追加された点字の形状をした形状パターンP40(点字で美術館を示す)、美術館を表す3次元オブジェクトPRG41、そこに加工処理で追加された点字の形状をした形状パターンP41(点字で美術館を示す)を有する。また、各構造物には、文字情報として「図書館」「美術館」が印刷されているため、健常者にも見ただけで認識できる立体模型案内図となる。視覚障碍者は、点字である形状パターンP40を触ることによって、案内図の全体のなかでの図書館の位置や大きさ、その形状を容易に認識することが可能となる。また、点字である形状パターンP41を触ることによって、案内図の全体のなかでの美術館の位置や大きさ、その形状を容易に認識することが可能となる。図示していないが、もちろん、現在地も点字パターンで表示することができ、お奨めの見学ルートなどを点字状の突起形状でなぞった形状パターンで提示することが可能である。
【0056】
図12は、本発明の一実施態様による立体模型の完成品の説明図である。なお、立体模型はシートで被覆させてあるが、作図の便宜上シートは図示しない。図に示すように、立体模型STR50は、大きな建築物の一部のブロックを表す3次元オブジェクトPRG51、そこに加工処理で追加された座標識別パターンP51、別の一部のブロックを表す3次元オブジェクトPRG50、そこに加工処理で追加された座標識別パターンP50を有する。これは、3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの3次元オブジェクトの表面の少なくとも一部に、読み取り可能な各座標に固有の座標識別パターン(例えば、アノトパターン)をテクスチャとして重畳したものである。図示しないが、アノトペンなどの光学的(電子的)に読み取り可能なデバイス、或いは、カメラを内蔵した携帯電話端末やスマートフォンなどで当該座標識別パターンを読み取ることによって、アノトパターンを含み、アノトパターンから当該場所に関する情報(位置座標情報や関連情報)に変換可能な、それらのデバイスや携帯電話の表示部に表示させたり、情報を読み上げたり(例えば、「xxx美術館2階、特別展示ホールです。展示物は、ダビンチの初期の絵画「ABC」です。」などを音声で提示する)、または、GPSを内蔵した端末の場合には当該場所までのナビゲーションを行うことが可能となる。拡大した座標識別パターンP51−enlに示すように、典型的な座標識別パターンは、位置別に固有の配置パターンで黒点を分布させたものである。これをデバイスや携帯電話で読み取れば、CAD上のワールド座標(x1,y1,z1)に変換されたり、当該場所に関する何らかの説明情報に変換されたりする。本実施態様では、一部の場所にだけアノトパターンを印刷してあるが、模型の全ての表面にアノトパターン(座標識別情報)を印刷してもよい。或いは、密着処理のための開口を黒点(位置識別のための黒点)に見立てて、座標識別パターンとして分布させてもよい。そのときには、開口から経路付近には、黒いテクスチャなど、その面においてコントラスト比が高い色を割り付けておくことが好適である。
【0057】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各ステップなどに含まれる処理や機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段/部やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。或いは、本発明による装置、方法、プログラムなどの一部の構成要素、機能、処理、ステップなどを遠隔地のサーバなどに配置することも可能であることに注意されたい。
【符号の説明】
【0058】
100 データ加工装置
110 制御部
111 取得部
112 入力受付部
113 加工部
114 3次元出力制御部
120 入力部
130 出力部
140 通信部
150 記憶部
160 表示部
ADB20 3次元オブジェクト
CUB1 立体模型
CUB2 立体模型
CUB3 立体模型
CUB4 立体模型
CD1 CADシステム
CHI20 文字情報
CHN−lin1,CHN−lin2 経路中心線
CHN10 経路
FP10 完成品
HT 加熱器具
MS マウス
NET ネットワーク
OCI 開口・経路情報
OPN11 第1の開口
OPN12 第2の開口
OPN21 第1の開口
OPN22 第2の開口
P31,P32 形状パターン
P40 形状パターン
P41 形状パターン
P50 座標識別パターン
P51 座標識別パターン
PC1 端末
PLN11 上面
PLN12 下面
PRG20 構造物
PRG21 構造物
PRG22 構造物
PRG40 3次元オブジェクト
PRG41 3次元オブジェクト
PRG50 3次元オブジェクト
PRG51 3次元オブジェクト
PRN1 3次元プリンタ
PRN2 3次元プリンタ
PRP20 形状パターン
PRP21 形状パターン
R1 テクスチャパターン
R2,R2,H1,CH 3次元オブジェクト
SMT スムーズ処理情報
ST シート
ST10 シート
ST20 シート
ST30 シート
STR10 立体模型
STR20 立体模型
STR21 立体模型
STR30 立体模型
STR31 立体模型
STR40 立体模型
STR50 立体模型
TCI 触感情報
VCM 減圧装置
VNT10 曲り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ、3次元プリンタおよび減圧装置を使用して立体模型を製造する立体模型製造方法であって、
前記立体模型を形成するための複数の3次元オブジェクトを含む3次元CAD情報を取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に複数の第1の開口と、該出力前の立体模型の第2の面に第2の開口とを設け、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口の少なくとも1つとを連通する経路を形成するように前記3次元CAD情報を加工する加工ステップと、
前記3次元プリンタを使用して、前記加工された3次元CAD情報に基づき、第1の面に複数の第1の開口と、第2の面に少なくとも1つの第2の開口と、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口のいずれか1つとを連通する経路と、が形成された立体模型を出力する出力ステップと、
前記出力された立体模型の前記第1の面に、前記第1の開口を覆うようにシートを載置し、減圧装置を使用して、前記第2の面の第2の開口から経路を減圧して該立体模型と該シートを密着させる密着ステップと、
を有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の立体模型製造方法において、
前記シートは熱可塑性樹脂であり、
前記立体模型製造方法は、
加熱器具を使用して、前記シートを加熱する加熱ステップをさらに有する、
ことを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の立体模型製造方法において、
前記経路が、少なくとも1つの曲り部を有する、
ことを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に、前記3次元オブジェクトの少なくとも1つで規定される構造物が突き出ている場合、該第1の面と、突き出た構造物の面とで形成されるコーナー部に、該第1の面と、突き出た構造物の面とをスムーズに接続するベジェ曲面或いはスプライン曲面を表面とする3次元オブジェクトを追加する、或いは、突き出た構造物の角の部分を除去するように前記3次元CAD情報を加工する追加ステップ、
をさらに有する、ことを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記シートの一面と、前記出力された立体模型の一面との間に、接着剤または接着層が設けられている、
ことを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報を取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面或いはその近傍に形成するように前記3次元CAD情報を加工するパターン形成ステップと、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の立体模型製造方法において、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトの表面或いはその近傍にテクスチャとして付加する付加ステップ、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の立体模型製造方法において、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトに密着されるべき、前記シートの対応する位置或いはその近傍の一面、或いは、該一面の反対側の面にテクスチャとして印刷するテクスチャ印刷ステップ、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項9】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報とを取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面に形成するように、印刷するパターン印刷ステップと、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項10】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報とを取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面に形成するように、印刷するパターン印刷ステップと、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャの少なくとも一部を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去する除去ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面に位置するように、印刷するテクスチャ印刷ステップと、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記立体模型製造方法は、
前記コンピュータを使用して、前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャの少なくとも一部を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去する除去ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面に位置するように、印刷するテクスチャ印刷ステップと、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の立体模型製造方法において、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面の少なくとも一部に、読み取り可能な各座標に固有の座標識別パターンをテクスチャとして重畳する、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを置換する、或いは、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを付加する、パターン追加ステップ、
をさらに有することを特徴とする立体模型製造方法。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の立体模型製造方法により製造された立体模型。
【請求項15】
請求項14に記載の立体模型において、
前記立体模型が、触地図模型である、
ことを特徴とする立体模型。
【請求項16】
請求項13に記載の立体模型において、
前記立体模型が、点字状の形状を含む地図模型である、
ことを特徴とする立体模型。
【請求項17】
CADデータ加工装置であって、
立体模型を形成するための複数の3次元オブジェクトを含む3次元CAD情報を取得する取得部と、
前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に複数の第1の開口と、該出力前の立体模型の第2の面に第2の開口とを設け、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口の少なくとも1つとを連通する経路を形成するように前記3次元CAD情報を加工する加工部と、
前記3次元プリンタを使用して、前記加工された3次元CAD情報に基づき、第1の面に複数の第1の開口と、第2の面に少なくとも1つの第2の開口と、該第1の開口の少なくとも1つと該第2の開口のいずれか1つとを連通する経路と、が形成された立体模型を出力する3次元出力制御部と、
を有するCADデータ加工装置。
【請求項18】
請求項17に記載のCADデータ加工装置において、
前記経路が、少なくとも1つの曲り部を有する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項19】
請求項17または18に記載のCADデータ加工装置において、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に、前記3次元オブジェクトの少なくとも1つで規定される構造物が突き出ている場合、該第1の面と、突き出た構造物の面とで形成されるコーナー部に、該第1の面と、突き出た構造物の面とをスムーズに接続するベジェ曲面或いはスプライン曲面を表面とする3次元オブジェクトを追加するように前記3次元CAD情報をさらに加工する、
或いは、
前記3次元CAD情報により形成される出力前の立体模型の第1の面に、突き出た構造物がある場合、該構造物の角の部分を除去して、なだらかな形状に加工する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項20】
請求項17〜19のいずれか1項に記載のCADデータ加工装置において、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記記憶部が、
3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報をさらに格納し、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出し、
前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報を取得し、
前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面或いはその近傍に形成するように前記3次元CAD情報を加工する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項21】
請求項20に記載のCADデータ加工装置において、
前記加工部が、
前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトの表面或いはその近傍にテクスチャとして付加する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項22】
請求項20または21に記載のCADデータ加工装置において、
前記加工部が、
前記抽出された属性情報に基づき、当該3次元オブジェクトにより規定される物体の名称を示す文字情報または簡略記号を、当該3次元オブジェクトに密着されるべき、前記シートの対応する位置或いはその近傍の一面、或いは、該一面の反対側の面にテクスチャとして印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項23】
請求項17〜22のいずれか1項に記載のCADデータ加工装置において、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記記憶部が、
3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報をさらに格納し、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出し、
前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報とを取得し、
前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面に形成するように、印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項24】
請求項17〜22のいずれか1項に記載のCADデータ加工装置において、
前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトが、
該3次元オブジェクトの属性を示す属性情報を有し、
前記加工部が、
3次元オブジェクトの属性情報と、該属性情報に関連付けられた形状パターンとをそれぞれに含む複数の触感情報を記憶部に格納する格納ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトの属性情報を抽出する抽出ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記抽出された属性情報に基づき、格納された複数の触感パターンから、該当する属性情報と、それに関連付けられた形状パターンとを含む触感情報とを取得する取得ステップと、
前記コンピュータを使用して、前記取得された触感情報に含まれる形状パターンを、抽出された属性情報が属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面に形成するように、印刷するパターン印刷ステップと、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項25】
請求項17〜24のいずれか1項に記載のCADデータ加工装置において、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記加工部が、
前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャの少なくとも一部を抽出し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面に位置するように、印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項26】
請求項17〜25のいずれか1項に記載のCADデータ加工装置において、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面が、
テクスチャを含み、
前記加工部が、
前記3次元オブジェクトの表面のテクスチャの少なくとも一部を抽出し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記3次元CAD情報に含まれる前記3次元オブジェクトから除去し、
前記抽出された少なくとも一部のテクスチャを、前記抽出されたテクスチャが属する前記3次元オブジェクトの表面に密着するべき、前記シートの面の反対側の面に位置するように、印刷するシート印刷情報を出力する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。
【請求項27】
請求項17〜26のいずれか1項に記載のCADデータ加工装置において、
前記加工部が、
前記3次元CAD情報に含まれる少なくとも1つの前記3次元オブジェクトの表面の少なくとも一部に、読み取り可能な各座標に固有の座標識別パターンをテクスチャとして重畳する、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを置換する、或いは、前記固有の座標識別パターンのテクスチャを付加する、
ことを特徴とするCADデータ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−18222(P2013−18222A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154474(P2011−154474)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(501263809)株式会社コンピュータシステム研究所 (26)
【Fターム(参考)】